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特許7430304没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システム及びその反応方法
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  • 特許-没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システム及びその反応方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システム及びその反応方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/04 20060101AFI20240205BHJP
   C07C 31/10 20060101ALI20240205BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
C07C29/04
C07C31/10
C07B61/00 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022555086
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020092755
(87)【国際公開番号】W WO2021189638
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】202010217611.7
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520307724
【氏名又は名称】南京延長反応技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING YANCHANG REACTION TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO. LTD
【住所又は居所原語表記】ZHOU, Zheng No.88, South Tuan District, Jiangbei New District Nanjing , Jiangsu 210047 China
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】張志炳
(72)【発明者】
【氏名】周政
(72)【発明者】
【氏名】張鋒
(72)【発明者】
【氏名】李磊
(72)【発明者】
【氏名】孟為民
(72)【発明者】
【氏名】王宝栄
(72)【発明者】
【氏名】楊高東
(72)【発明者】
【氏名】羅華勲
(72)【発明者】
【氏名】楊国強
(72)【発明者】
【氏名】田洪舟
(72)【発明者】
【氏名】曹宇
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101679164(CN,A)
【文献】特表2004-511535(JP,A)
【文献】特開昭47-031910(JP,A)
【文献】特開平04-117337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬プロピレン水和に対するマイクロ界面強化反応システムであって、
脱イオン水とプロピレンの反応場を提供しイソプロパノールを製作するための反応器1
であって、前記反応器内に触媒剤配置器2が備えられ、前記触媒剤配置器は円筒環状を呈
し且つ反応器と同軸であり、前記触媒剤配置器の内外側壁にそれぞれ小孔を均等に設置し
、前記触媒剤配置器の上下端面が環状のブラインドプレートで密封され、前記触媒剤配置
器は触媒を充填するためのキャビティを有し、前記触媒剤配置器は、反応物中に没頭でき
るように使用され、前記反応器は完全混合流反応区3と還流反応区4からなり、前記完全
混合流反応区は、前記反応器の下方に設置され、脱イオン水、プロピレンおよび触媒剤を
配置すると共に、プロピレン水和反応のために反応空間を提供するために使用され、前記
還流反応区は、前記反応器の上方に設置され、未反応のプロピレンを還流処理するととも
に、未反応のプロピレンと脱イオン水とを再び反応させるように使用される、前記反応器
1と、
気相の圧力エネルギーおよび/または液体の運動エネルギーを気泡の表面エネルギーに
変換するとともに気相反応物に伝達し、気相反応物のプロピレンを直径1μm以上かつ1
mm未満のミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕し、これにより、気相反応物と液相反
応物との間の物質移動面積を増加し、液膜厚度を減らし、物質移動抵抗力を低降させるマ
イクロ界面発生器と、および
前記反応器と前記マイクロ界面発生器に連通することにより、前記反応器内の反応物温
度を調節し、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記反応器内の
反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力
を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる循環ユニット6と、
を含み、
前記マイクロ界面発生器は、
気動型のマイクロ界面発生器とする第1マイクロ界面発生器51であって、前記第1マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の完全混合流反応区に位置し、前記第1マイクロ界面発
生器はプロピレンをミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕するととともにミクロンオー
ダーのマイクロ気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し、前記反応器内の完全混
合流反応区内の脱イオン水と混合させて気液乳化物を形成する前記第1マイクロ界面発生
器51と、
液動型のマイクロ界面発生器とする第2マイクロ界面発生器52であって、前記第2マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の還流反応区に位置し、前記第2マイクロ界面発生器は
前記反応器内の還流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻してミクロン
オーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イオン水と混合
させて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混合流反応区に
伝送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器51から送出する気液乳化物と突き合わ
せることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させる前記第2マイクロ界面発生
器52と、
を含む、浸漬プロピレン水和に対するマイクロ界面強化反応システム。
【請求項2】
前記触媒剤配置器の内外側壁はステンレス鋼線網により構成されている、請求項1に記載
浸漬プロピレン水和に対するマイクロ界面強化反応システム。
【請求項3】
前記完全混合流反応区内に、第1プロピレン伝送管7と、プロピレン伝送総管8と、およ
び脱イオン水伝送管9とが設置されており、前記プロピレン伝送総管に第1ポンプ10が
取り付けられ、前記第1プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記第1マイクロ界面発生器
とプロピレン伝送総管に接続されており、前記第1ポンプはプロピレンを前記プロピレン
伝送総管と前記第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面発生器に伝送するた
めに用いられ、前記脱イオン水伝送管に第3ポンプ11が取り付けられ、前記第3ポンプ
は脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って前記反応器内に送入するために用いられる
、請求項1に記載の浸漬プロピレン水和に対するマイクロ界面強化反応システム。
【請求項4】
前記還流反応区内に、第2プロピレン伝送管12と、還流管13と、廃気排出管14とが
設置されており、前記第2プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記プロピレン伝送総管と
前記第2マイクロ界面発生器に接続されており、前記還流管の一端は第3マイクロ界面発
生器に接続され、前記還流管の他端は前記還流反応区上部に位置し、前記還流管は未反応
のプロピレンを前記第2マイクロ界面発生器に伝送するために用いられ、前記廃気排出管
は前記反応器内の廃気を排出するために用いられる、請求項1に記載の浸漬プロピレン水
に対するマイクロ界面強化反応システム。
【請求項5】
前記循環ユニットは、熱交換器61と第2ポンプ62とを含み、前記第2ポンプは前記反
応器内の生成物を前記熱交換器内まで吸出して熱交換をさせた後、生成物を排出するため
に用いられ、前記第2マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記反応器
内の反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環
動力を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる、請求項4に記載の
漬プロピレン水和に対するマイクロ界面強化反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイソプロパノール製造技術分野に関し、特に没頭式プロピレン水素添加に対する
マイクロ界面強化反応システム及びその反応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンは水和により対応するアルコールに変えることができ、一般的な方法は主に間
接水法と直接水法があり、その中で間接水法はオレフィンをエステル化し加水分解する必
要がある。この反応は濃硫酸を媒質とし、濃硫酸の消費量は巨大であり、廃液処理量は大
きく、設備の腐食が深刻である。そのため、新工業生産装置は基本的にこの方法を採用し
ない。
【0003】
イソプロパノールは無色透明揮発性液体であり、水と混和してもよく、アルコール、エー
テル、ベンゼン、クロロホルムなどに溶解してもよく、樹脂、ゴムなどの有機物と無機物
に溶解性があり、エタノール、アセトンなどの有機物に似たにおいを持っている。イソプ
ロパノールは広範な工業用途があり、化学原料としてイソプロピルエーテル、アセトン、
過酸化水素などを生産することができ、また高効率の溶媒として、天然物質中の有効成分
を抽出することができ、医薬生産などの業界に広く応用されている。同時にガソリンを調
合する添加剤、洗浄剤、脱水剤、凍結防止剤などとしても使用でき、スキンケア用品とし
ても使用でき、化粧品業界に応用できる。
【0004】
気相直接水法はドイツのビバ社が最初に開発した。既存の気相直接水の合法的なイソプロ
パノール生産プロセスは液体プロピレン、脱イオン水と循環プロピレンガスが一緒に反応
器に入り、反応温度180?260℃、反応圧力2?2.5Mpaであり、プロピレンガスは触媒作用下
で脱イオン水と反応してイソプロパノールを生成し、後の反応生成物は水洗精留などのプ
ロセスを経て精製すればよい。
【0005】
このプロセスは環境汚染が小さく、間接水合法プロセスに比べてより簡単で広く応用され
ている。しかし、この方法は使用中に明らかな欠点と不足がある:
【0006】
プロピレンガスと脱イオン水の接触過程において、気液を混合させ、比較的に多い気泡を
発生し、気泡が比較的に大きいため、気液の2項は十分に混合できず、しかも触媒との接
触に影響し、イソプロパノールの製造効率を低下させ、プロピレンの片道転化率は6%?7%
にすぎない。
【発明の概要】
【0007】
そのため、本発明は従来技術におけるイソプロパノール製造の効率を高めるために、没頭
式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システム及びその反応方法を提供す
る。
【0008】
没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システムは、
脱イオン水とプロピレンの反応場を提供しイソプロパノールを製作するための反応器1
であって、前記反応器内に触媒剤配置器2が備えられ、前記触媒剤配置器は円筒環状を呈
し且つ反応器と同軸であり、前記触媒剤配置器の内外側壁にそれぞれ小孔を均等に設置し
、前記触媒剤配置器の上下端面が環状のブラインドプレートで密封され、前記触媒剤配置
器は触媒を充填するためのキャビティを有し、前記触媒剤配置器は、反応物中に没頭でき
るように使用され、前記反応器は完全混合流反応区3と還流反応区4からなり、前記完全
混合流反応区は、前記反応器の下方に設置され、脱イオン水、プロピレンおよび触媒剤を
配置すると共に、プロピレン水素添加反応のために反応空間を提供するために使用され、
前記環流反応区は、前記反応器の上方に設置され、未反応のプロピレンを環流処理すると
ともに、未反応のプロピレンと脱イオン水とを再び反応させるように使用される、前記反
応器1と、
気相の圧力エネルギーおよび/または液体の運動エネルギーを気泡の表面エネルギーに
変換するとともに気相反応物に伝達し、気相反応物のプロピレンを直径1μm以上かつ1
mm未満のミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕し、これにより、気相反応物と液相反
応物との間の物質移動面積を増加し、液膜厚度を減らし、物質移動抵抗力を低降させるマ
イクロ界面発生器と、および
前記反応器と前記マイクロ界面発生器に連通することにより、前記反応器内の反応物温
度を調節し、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記反応器内の
反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力
を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる循環ユニット6と、
を含む。
好ましくは、前記マイクロ界面発生器は、
気動型のマイクロ界面発生器とする第1マイクロ界面発生器51であって、前記第1マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の完全混合流反応区に位置し、前記第1マイクロ界面発
生器はプロピレンをミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕するととともにミクロンオー
ダーのマイクロ気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し、前記反応器内の完全混
合流反応区内の脱イオン水と混合させて気液乳化物を形成する前記第1マイクロ界面発生
器51と、
液動型のマイクロ界面発生器とする第2マイクロ界面発生器52であって、前記第2マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の環流反応区に位置し、前記第2マイクロ界面発生器は
前記反応器内の環流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻してミクロン
オーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イオン水と混合
させて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混合流反応区に
伝送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器51から送出する気液乳化物と突き合わ
せることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させる前記第2マイクロ界面発生
器52と、
を含む。
好ましくは、前記触媒剤配置器の内外側壁はステンレス鋼線網により構成されている。
好ましくは、前記第2マイクロ界面発生器は前記触媒剤配置器の内部に位置している。
好ましくは、前記完全混合流反応区内に、第1プロピレン伝送管7と、プロピレン伝送総
管8と、および脱イオン水伝送管9とが設置されており、前記プロピレン伝送総管に第1
ポンプ10が取り付けられ、前記第1プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記第1マイク
ロ界面発生器とプロピレン伝送総管に接続されており、前記第1ポンプはプロピレンを前
記プロピレン伝送総管と前記第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面発生器
に伝送するために用いられ、前記脱イオン水伝送管に第3ポンプ11が取り付けられ、前
記第3ポンプは脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って前記反応器内に送入するため
に用いられる。
好ましくは、前記環流反応区内に、第2プロピレン伝送管12と、環流管13と、廃気排
出管14とが設置されており、前記第2プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記プロピレ
ン伝送総管と前記第2マイクロ界面発生器に接続されており、前記環流管の一端は前記第
3マイクロ界面発生器に接続され、前記環流管の他端は前記環流反応区上部に位置し、前
記環流管は未反応のプロピレンを前記第2マイクロ界面発生器に伝送するために用いられ
、前記廃気排出管は前記反応器内の廃気を排出するために用いられる。
好ましくは、前記循環ユニットは、熱交換器61と第2ポンプ62とを含み、前記第2ポ
ンプは前記反応器内の生成物を前記熱交換器内まで吸出して熱交換をさせた後、生成物を
排出するために用いられる。
没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応方法は、
ステップ1:前記第3ポンプの動作により、脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って
前記反応器内に伝送することと、
ステップ2:前記第1ポンプの動作により、プロピレンを前記プロピレン伝送総管と前記
第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面発生器に伝送するとともに、前記プ
ロピレン伝送総管と前記第2プロピレン伝送管に沿って前記第2マイクロ界面発生器に伝
送することと、
ステップ3:前記第1マイクロ界面発生器の動作により、プロピレンを破砕してミクロン
オーダーのマイクロ気泡を形成するとともに、破砕した後、ミクロンオーダーのマイクロ
気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し前記反応器内の完全混合流反応区内の脱
イオン水と混合させて気液乳化物を形成すること、そして、前記第2マイクロ界面発生器
の動作により前記反応器内の環流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻
してミクロンオーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イ
オン水と混合させて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混
合反応区に伝送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器から送出する気液乳化物と突
き合わせることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させること、そして、前記
反応器内のプロピレンと脱イオン水の気液乳化物をともに前記触媒剤配置器に接触させて
反応させてイソプロパノールを生成することと、
ステップ4:ステップ3中における前記反応器内の残存廃気を前記廃気排気管に沿って排
出させ、以降の廃気処理を行うことと、および
ステップ5:ステップ3中におけるイソプロパノールの生成とともに、前記循環ユニット
の動作により、生成物を熱交換処理することにより、前記反応器内の反応物温度を調節し
、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供し、前記反応器内の反応物料を前記触媒剤配
置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力を提供することと、
を含む。
好ましくは、前記反応器内の温度は170~180℃とし、圧力は1.7~2.0MPa
とする。
【0009】
従来の気泡にはない理化学的性質をミクロンオーダーのマイクロ気泡が有するが、球体体
積及び表面積の計算式から、総体積が不変な場合には、気泡の総表面積が個々の気泡径に
反比例することにより、マイクロ気泡の総表面積が巨大であるといった認知上で、プロピ
レンガスを破砕分散してミクロンオーダーのマイクロ気泡を形成して、マイクロ気泡と脱
イオン水とを混合して気液乳化物を形成することにより、気液両相の接触面積を大きくし
、そして、低プリセット動作条件の範囲内で質量移動を強化する効果を達成し、イソプロ
パノールの調製における変換率と効率を効果的に改善することにある。
【0010】
没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システムは、
脱イオン水とプロピレンの反応場を提供しイソプロパノールを製作するための反応器1
であって、前記反応器内に触媒剤配置器2が備えられ、前記触媒剤配置器は円筒環状を呈
し且つ反応器と同軸であり、前記触媒剤配置器の内外側壁にそれぞれ小孔を均等に設置し
、前記触媒剤配置器の上下端面が環状のブラインドプレートで密封され、前記触媒剤配置
器は触媒を充填するためのキャビティを有し、前記触媒剤配置器は、反応物中に没頭でき
るように使用され、前記反応器は完全混合流反応区3と還流反応区4からなり、前記完全
混合流反応区は、前記反応器の下方に設置され、脱イオン水、プロピレンおよび触媒剤を
配置すると共に、プロピレン水素添加反応のために反応空間を提供するために使用され、
前記環流反応区は、前記反応器の上方に設置され、未反応のプロピレンを環流処理すると
ともに、未反応のプロピレンと脱イオン水とを再び反応させるように使用される、前記反
応器1と、
気相の圧力エネルギーおよび/または液体の運動エネルギーを気泡の表面エネルギーに
変換するとともに気相反応物に伝達し、気相反応物のプロピレンを直径1μm以上かつ1
mm未満のミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕し、これにより、気相反応物と液相反
応物との間の物質移動面積を増加し、液膜厚度を減らし、物質移動抵抗力を低降させるマ
イクロ界面発生器と、および
前記反応器と前記マイクロ界面発生器に連通することにより、前記反応器内の反応物温
度を調節し、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記反応器内の
反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力
を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる循環ユニット6と、
を含む。
好ましくは、前記マイクロ界面発生器は、
気動型のマイクロ界面発生器とする第1マイクロ界面発生器51であって、前記第1マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の完全混合流反応区に位置し、前記第1マイクロ界面発
生器はプロピレンをミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕するととともにミクロンオー
ダーのマイクロ気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し、前記反応器内の完全混
合流反応区内の脱イオン水と混合させて気液乳化物を形成する前記第1マイクロ界面発生
器51と、
液動型のマイクロ界面発生器とする第2マイクロ界面発生器52であって、前記第2マ
イクロ界面発生器は前記反応器内の環流反応区に位置し、前記第2マイクロ界面発生器は
前記反応器内の環流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻してミクロン
オーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イオン水と混合
させて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混合流反応区に
伝送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器51から送出する気液乳化物と突き合わ
せることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させる前記第2マイクロ界面発生
器52と、
を含む。反応器内におけるプロピレンと脱イオン水の気液乳化物が触媒配置装置と完全
に接触するようになり、プロピレンのワンパス転化率が向上する。
好ましくは、前記触媒剤配置器の内外側壁はステンレス鋼線網により構成されている。円
筒状の触媒配置器の内外側にも触媒が露出することができるため、反応器内におけるプロ
ピレンと脱イオン水の気液乳化物が触媒配置装置と完全に接触するようになり、プロピレ
ンのワンパス転化率が向上する。
好ましくは、前記第2マイクロ界面発生器は前記触媒剤配置器の内部に位置している。
好ましくは、前記完全混合流反応区内に、第1プロピレン伝送管7と、プロピレン伝送総
管8と、および脱イオン水伝送管9とが設置されており、前記プロピレン伝送総管に第1
ポンプ10が取り付けられ、前記第1プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記第1マイク
ロ界面発生器とプロピレン伝送総管に接続されており、前記第1ポンプはプロピレンを前
記プロピレン伝送総管と前記第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面発生器
に伝送するために用いられ、前記脱イオン水伝送管に第3ポンプ11が取り付けられ、前
記第3ポンプは脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って前記反応器内に送入するため
に用いられる。
好ましくは、前記環流反応区内に、第2プロピレン伝送管12と、環流管13と、廃気排
出管14とが設置されており、前記第2プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記プロピレ
ン伝送総管と前記第2マイクロ界面発生器に接続されており、前記環流管の一端は前記第
3マイクロ界面発生器に接続され、前記環流管の他端は前記環流反応区上部に位置し、前
記環流管は未反応のプロピレンを前記第2マイクロ界面発生器に伝送するために用いられ
、前記廃気排出管は前記反応器内の廃気を排出するために用いられる。
好ましくは、前記循環ユニットは、熱交換器61と第2ポンプ62とを含み、前記第2ポ
ンプは前記反応器内の生成物を前記熱交換器内まで吸出して熱交換をさせた後、生成物を
排出するために用いられる。前記第2マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、お
よび前記反応器内の反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環さ
せるために循環動力を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システムの構成図である。
【0012】
[符号の説明]
反応器 1
触媒剤配置器 2
完全混合流反応区 3
還流反応区 4
第1マイクロ界面発生器 51
第2マイクロ界面発生器 52
循環ユニット 6
熱交換器 61
第2ポンプ 62
第1プロピレン伝送管 7
プロピレン伝送総管 8
脱イオン水伝送管 9
第1ポンプ 10
第3ポンプ 11
第2プロピレン伝送管 12
環流管 13
廃気排出管 14
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。当業者は、これらの実
施形態は、本発明の技術的原理を説明するためだけのものであり、本発明の保護範囲を限
定するものではないことを理解すべきである。
【0014】
なお、本発明の説明において、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」な
どが示す方向または位置関係の用語は、図面に示す方向または位置関係に基づくものであ
る。これは単に説明を容易にするためのものであり、装置または要素が特定の方位、特定
の方位で構成され、動作されなければならないことを示したり暗示したりするものではな
いので、本発明の制限とは理解できない。
【0015】
さらに、本発明の説明において、用語「設置」、「接続」、「連結」は、特に明確な規定
及び限定がない限り、広義に理解されるべきであることを説明する必要がある。例えば、
固定接続でもよいし、取り外し可能接続でもよいし、一体的に接続してもよい、機械的接
続でもよいし、電気的接続でもよい、直接的に接続してもよいし、中間媒体を介して間接
的に接続してもよいし、2つの要素の内部の接続でもよい。当業者にとっては、本発明に
おける上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0016】
図1に示すように、没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応システムで
あって、
脱イオン水とプロピレンの反応場を提供しイソプロパノールを製作するための反応器1で
あって、前記反応器内に触媒剤配置器2が備えられ、前記触媒剤配置器は円筒環状を呈し
且つ反応器と同軸であり、前記触媒剤配置器の内外側壁にそれぞれ小孔を均等に設置し、
前記触媒剤配置器の上下端面が環状のブラインドプレートで密封され、前記触媒剤配置器
は触媒を充填するためのキャビティを有し、前記触媒剤配置器は、反応物中に没頭できる
ように使用され、前記反応器は完全混合流反応区3と還流反応区4からなり、前記完全混
合流反応区は、前記反応器の下方に設置され、脱イオン水、プロピレンおよび触媒剤を配
置すると共に、プロピレン水素添加反応(hydrated reaction)のため
に反応空間を提供するために使用され、前記環流反応区は、前記反応器の上方に設置され
、未反応のプロピレンを環流処理するとともに、未反応のプロピレンと脱イオン水とを再
び反応させるように使用される、前記反応器1と、
気相の圧力エネルギーおよび/または液体の運動エネルギーを気泡の表面エネルギーに変
換するとともに気相反応物に伝達し、気相反応物のプロピレンを直径1μm以上かつ<1
mm不満のミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕し、これにより、気相反応物と液相反
応物との間の物質移動面積を増加し、液膜厚度を減らし、物質移動抵抗力を低降させるマ
イクロ界面発生器と、および
前記反応器と前記マイクロ界面発生器に連通することにより、前記反応器内の反応物温度
を調節し、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記反応器内の反
応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力を
提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる循環ユニット6と、を含む。
【0017】
図1に示すように、前記マイクロ界面発生器は、
気動型のマイクロ界面発生器とする第1マイクロ界面発生器51であって、前記第1マイ
クロ界面発生器は前記反応器内の完全混合流反応区に位置し、前記第1マイクロ界面発生
器はプロピレンをミクロンオーダーのマイクロ気泡に破砕するととともにミクロンオーダ
ーのマイクロ気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し、前記反応器内の完全混合
流反応区内の脱イオン水と混合させて気液乳化物を形成する前記第1マイクロ界面発生器
51と、
液動型のマイクロ界面発生器とする第2マイクロ界面発生器52であって、前記第2マイ
クロ界面発生器は前記反応器内の環流反応区に位置し、前記第2マイクロ界面発生器は前
記反応器内の環流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻してミクロンオ
ーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イオン水と混合さ
せて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混合流反応区に伝
送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器51から送出する気液乳化物と突き合わせ
ることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させる前記第2マイクロ界面発生器
52とを含む。
【0018】
図1に示すように、前記触媒剤配置器の内外側壁はステンレス鋼線網により構成されてい
る。
【0019】
図1に示すように、前記第2マイクロ界面発生器は前記触媒剤配置器の内部に位置してい
る。
【0020】
図1に示すように、前記完全混合流反応区内に、第1プロピレン伝送管7と、プロピレン
伝送総管8と、および脱イオン水伝送管9とが設置されており、前記プロピレン伝送総管
に第1ポンプ10が取り付けられ、前記第1プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記第1
マイクロ界面発生器とプロピレン伝送総管に接続されており、前記第1ポンプはプロピレ
ンを前記プロピレン伝送総管と前記第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面
発生器に伝送するために用いられ、前記脱イオン水伝送管に第3ポンプ11が取り付けら
れ、前記第3ポンプは脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って前記反応器内に送入す
るために用いられる。
【0021】
図1に示すように、前記環流反応区内に、第2プロピレン伝送管12と、環流管13と、
廃気排出管14とが設置されており、前記第2プロピレン伝送管の両端はそれぞれ前記プ
ロピレン伝送総管と前記第2マイクロ界面発生器に接続されており、前記環流管の一端は
前記第3マイクロ界面発生器に接続され、前記環流管の他端は前記環流反応区上部に位置
し、前記環流管は未反応のプロピレンを前記第2マイクロ界面発生器に伝送するために用
いられ、前記廃気排出管は前記反応器内の廃気を排出するために用いられる。
【0022】
図1に示すように、前記循環ユニットは、熱交換器61と第2ポンプ62を含み、前記第
2ポンプは前記反応器内の生成物を前記熱交換器内まで吸出して熱交換をさせた後、生成
物を排出するために用いられる。
【0023】
図1に示すように、前記第2マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供すること、および前記
反応器内の反応物料を前記触媒剤配置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるため
に循環動力を提供することにより、反応物と触媒剤とを充分に接触させる。
【0024】
図1に示すように、前記触媒剤はリン酸ケイソウ土触媒剤とし、前記触媒剤のリン酸の保
有量は20wt%~30wt%とする。
【0025】
図1に示すように、没頭式プロピレン水素添加に対するマイクロ界面強化反応方法は、
ステップ1:前記第3ポンプの動作により、脱イオン水を前記脱イオン水伝送管に沿って
前記反応器内に伝送することと、
ステップ2:前記第1ポンプの動作により、プロピレンを前記プロピレン伝送総管と前記
第1プロピレン伝送管に沿って前記第1マイクロ界面発生器に伝送するとともに、前記プ
ロピレン伝送総管と前記第2プロピレン伝送管に沿って前記第2マイクロ界面発生器に伝
送することと、
ステップ3:前記第1マイクロ界面発生器の動作により、プロピレンを破砕してミクロン
オーダーのマイクロ気泡を形成するとともに、破砕した後、ミクロンオーダーのマイクロ
気泡を前記反応器内の完全混合流反応区に伝送し前記反応器内の完全混合流反応区内の脱
イオン水と混合させて気液乳化物を形成すること、そして、前記第2マイクロ界面発生器
の動作により前記反応器内の環流反応区の上部における未反応のプロピレンを破砕し渦巻
してミクロンオーダーのマイクロ気泡を形成し、ミクロンオーダーのマイクロ気泡を脱イ
オン水と混合させて気液乳化物を形成するとともに、気液乳化物を前記反応器内の完全混
合反応区に伝送し、これにより前記第1マイクロ界面発生器から送出する気液乳化物と突
き合わせることにより、未反応のプロピレンを再び反応に参加させること、そして、前記
反応器内のプロピレンと脱イオン水の気液乳化物をともに前記触媒剤配置器に接触させて
反応させてイソプロパノールを生成することと、
ステップ4:ステップ3中における前記反応器内の残存廃気を前記廃気排気管に沿って排
出させ、以降の廃気処理を行うことと、および
ステップ5:ステップ3中におけるイソプロパノールの生成とともに、前記循環ユニット
の動作により、生成物を熱交換処理することにより、前記反応器内の反応物温度を調節し
、前記マイクロ界面発生器に渦巻動力を提供し、前記反応器内の反応物料を前記触媒剤配
置器内に沿って前記触媒剤配置器外に循環させるために循環動力を提供することと、を含
む。
【0026】
図1に示すように、さらに、前記反応器内の温度は170~180℃とし、圧力は1.7
~2.0MPaとする。
【0027】
[実施例1]
上記システムおよび方法によりイソプロパノールの調製を行った。
前記反応器温度は170℃とし、前記反応器内の圧力は1.7MPaとした。
前記第1マイクロ界面発生器内の気液比は800:1とした。
前記第2マイクロ界面発生器内の気液比は3:1000とした。
検測により、上記システムおよび方法を使用すると、プロピレンのワンパス転化率は26
%となった。
【0028】
[実施例2]
上記システムおよび方法によりイソプロパノールの調製を行った。
前記反応器温度は175℃とし、前記反応器内の圧力は1.8MPaとした。
前記第1マイクロ界面発生器内の気液比は800:1とした。
前記第2マイクロ界面発生器内の気液比は3:1000とした。
検測により、上記システムおよび方法を使用すると、プロピレンのワンパス転化率は26
%となった。
【0029】
[実施例3]
上記システムおよび方法によりイソプロパノールの調製を行った。
前記反応器温度は176℃とし、前記反応器内の圧力は1.9MPaとした。
前記第1マイクロ界面発生器内の気液比は800:1とした。
前記第2マイクロ界面発生器内の気液比は3:1000とした。
検測により、上記システムおよび方法を使用すると、プロピレンのワンパス転化率は26
%となった。
【0030】
[実施例4]
上記システムおよび方法によりイソプロパノールの調製を行った。
前記反応器温度は178℃とし、前記反応器内の圧力は2.0MPaとした。
前記第1マイクロ界面発生器内の気液比は800:1とした。
前記第2マイクロ界面発生器内の気液比は3:1000とした。
検測により、上記システムおよび方法を使用すると、プロピレンのワンパス転化率は27
%となった。
【0031】
[実施例5]
上記システムおよび方法によりイソプロパノールの調製を行った。
前記反応器温度は180℃とし、前記反応器内の圧力は2.0MPaとした。
前記第1マイクロ界面発生器内の気液比は800:1とした。
前記第2マイクロ界面発生器内の気液比は3:1000とした。
検測により、上記システムおよび方法を使用すると、プロピレンのワンパス転化率は27
%となった。
【0032】
[対比例1]
従来技術におけるプロピレンへの直接水素添加法を使用してイソプロパノールの調製をし
た。なお、本対比例で選択したプロセスのパラメータは、前記実施例5におけるプロセス
パラメータと同じである。
プロピレンのワンパス転化率は6%となった。
【0033】
以上、図面に示す好適な実施形態に関連して本発明の技術的態様を説明した。しかし、当
業者であれば、本発明の保護範囲は明らかにこれらの具体的な実施形態に限定されないこ
とは理解できる。本発明の原理から逸脱することなく、当業者は関連する技術的特徴に対
して同等の変更または置換を行うことができ、これらの変更または置換後の技術的提案は
すべて本発明の保護範囲内に入る。
【0034】
上記は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するためには使用されない。本発明
は、当業者にとって様々な変更及び変更が可能である。本発明の精神と原則の中で、行っ
たいかなる修正、等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1