(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】履物収納体
(51)【国際特許分類】
A47G 25/00 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A47G25/00 Z
(21)【出願番号】P 2019150336
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512026754
【氏名又は名称】株式会社若林化成
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】若林 正蔵
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-104917(JP,U)
【文献】特開平08-244795(JP,A)
【文献】特開2006-034846(JP,A)
【文献】実開昭61-031126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物を入れるための開口部を有し、可撓性を有する複数枚のシート状部材からなる前後方向で略矩形状の履物収納袋体と、該履物収納袋体の後面を左右一体で補強するための板状の補強部材と、前記履物収納袋体の左右端から左右方向外側に延びるとともに前側に折り返して前記履物収納袋体に重ね合わせる二枚の横帯状体と、一方の前記横帯状体を前記履物収納袋体の前面に重ね合わせた時に前記履物収納袋体に左右に並べて収納されている履物を左右方向一方側に締め付けて該一方の前記横帯状体を該履物収納袋体に固定するための第1締め付け固定手段と、他方の前記横帯状体を前記履物収納袋体の前面に重ね合わせた一方の前記横帯状体の前面に重ね合わせた時に前記履物収納袋体に左右に収納されている履物を左右方向他方側に締め付けて該他方の前記横帯状体を該一方の前記横帯状体に固定するための第2締め付け固定手段と、を備
え、
前記補強部材は、前記履物収納袋体の後面側に重ねて配置される略矩形状の前側シート状部材及び後側シート状部材からなる補強部材収納袋体に収納され、前記左右の横帯状体が、前記後側シート状部材の左右端から左右方向外側に延びており、前記後側シート状部材の上下端から上下方向外側に延びるとともに上側又は下側に折り返して前記左右の横帯状体に重ね合わせる二枚の縦帯状体を備え、上下の前記縦帯状体のうちの一方の縦帯状体を他方の前記横帯状体の前面に重ね合わせた時に収納されている履物を上下方向一方側に締め付けて固定するための第3締め付け固定手段と、上下の前記縦帯状体のうちの他方の縦帯状体を一方の前記縦帯状体の前面に重ね合わせた時に収納されている履物を上下方向他方側に締め付けて固定するための第4締め付け固定手段と、を備えていることを特徴とする履物収納体。
【請求項2】
前記第1締め付け固定手段は、前記履物収納袋体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように一方の前記横帯状体に設けられた面ファスナと、を備え、前記第2締め付け固定手段は、前記重ね合わせた状態の一方の前記横帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように他方の前記横帯状体に設けられた面ファスナと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の履物収納体。
【請求項3】
前記履物収納袋体が、前側のシート状部材と、後側のシート状部材と、前後のシート状部材を繋ぐマチ部を構成する左右のシート状部材と、を備え、前記後側のシート状部材の開口部側端を前側のシート状部材の開口部側端よりも延出させた延出部を備え、該延出部は、前記前側のシート状部材の開口端部に重なるように折り返すことで前記開口部を閉じる蓋部として構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物収納体。
【請求項4】
前記第3締め付け固定手段は
、他方の
前記横帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように一方の前記縦帯状体に設けられた面ファスナと、を備え、前記第4締め付け固定手段は、前記重ね合わせた状態の一方の
前記縦帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように他方の前記縦帯状体に設けられた面ファスナと、を備えていることを特徴とする請求項
1~3のうちのいずれか1項に記載の履物収納体。
【請求項5】
前記履物収納袋体が、前記補強部材収納袋体の前側のシート状部材の前面に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
1~4のうちのいずれか1項に記載の履物収納体。
【請求項6】
前記履物収納袋体の収納空間が、左右方向で仕切られていることを特徴とする請求項1~
5のうちのいずれか1項に記載の履物収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物を収納して持ち運ぶための履物収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
上記履物収納体としては、布等の可撓性を有するシートを用いて上端に履物を入れることができる開口を有する袋状体を作製し、この袋状体の上端の開口を開閉するための紐を備えた履物用袋が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3064449号公報(
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記履物用袋は、大きなサイズの履物を容易に収納できるように大きなサイズの履物よりも少し大きめのサイズに構成され、しかも可撓性を有するシートで構成されている。そのため、履物用袋に履物を収納して持ち運ぶ時に、履物用袋内で履物が不測に移動してしまう。この移動により履物が袋の内面に擦れて、履物に付着している泥や塵等が落とされて、それらが履物の足収容部の内部に入り込んでしまうことがある。特に、革靴やスニーカーの場合が顕著になる。また、履物が袋の内面に擦れることで履物の材質によっては履物の表面に傷を付けてしまうこともあり、改善の余地があった。
【0005】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、持ち運ぶ時に履物が移動することを防止できる履物収納体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の履物収納体は、前述の課題解決のために、履物を入れるための開口部を有し、可撓性を有する複数枚のシート状部材からなる前後方向で略矩形状の履物収納袋体と、該履物収納袋体の後面を左右一体で補強するための板状の補強部材と、前記履物収納袋体の左右端から左右方向外側に延びるとともに前側に折り返して前記履物収納袋体に重ね合わせる二枚の横帯状体と、一方の前記横帯状体を前記履物収納袋体の前面に重ね合わせた時に前記履物収納袋体に左右に並べて収納されている履物を左右方向一方側に締め付けて固定するための第1締め付け固定手段と、他方の前記横帯状体を前記履物収納袋体の前面に重ね合わせた一方の前記横帯状体の前面に重ね合わせた時に前記履物収納袋体に左右に収納されている履物を左右方向他方側に締め付けて固定するための第2締め付け固定手段と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、履物収納袋体に開口部を通して履物を収納してから、一方の横帯状体を履物収納袋体の前面に重ね合わせるときに、補強部材で補強されている履物収納袋体の後面が変形しにくいため、第1締め付け固定手段で収納されている履物を左右方向一方側に締め付けて固定することができる。また、他方の横帯状体を履物収納袋体の前面に重ね合わせた一方の横帯状体の前面に重ね合わせるときに、補強部材で補強されている履物収納袋体の後面が変形しにくいため、第2締め付け固定手段で収納されている履物を左右方向他方側に確実に締め付けて固定することができる。このように第1締め付け固定手段及び第2締め付け固定手段で履物を左右方向両側に締め付けて固定することによって、履物を収納した履物収納体を持ち運ぶ時に、履物収納袋体内で履物が不測に左右方向に移動することを防止できる。したがって、履物を収納した履物収納体を持ち運ぶ時に、履物に付着している泥や塵等が落とされて、それらが履物の足収容部の内部に入り込んでしまうことや、履物が袋の内面に擦れることで履物の表面に傷を付けてしまうことを確実に防止できる。また、履物収納体を使用しないときには、複数のシート状部材が重ね合わされることによりコンパクトに保管することができる。
【0008】
又、本発明の履物収納体は、前記第1締め付け固定手段が、前記履物収納袋体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように一方の前記横帯状体に設けられた面ファスナと、を備え、前記第2締め付け固定手段は、前記重ね合わせた状態の一方の前記横帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように他方の前記横帯状体に設けられた面ファスナと、を備えていてもよい。
【0009】
上記のように、第1締め付け固定手段及び第2締め付け固定手段が面ファスナを備えているので、収納される履物の大きさに応じて、面ファスナ同士が係止する位置を変更するだけで、履物に対する左右方向の締め付け力を適正に設定することができる。
【0010】
又、本発明の履物収納体は、前記履物収納袋体が、前側のシート状部材と、後側のシート状部材と、前後のシート状部材を繋ぐマチ部を構成する左右のシート状部材と、を備え、前記後側のシート状部材の開口部側端を前側のシート状部材の開口部側端よりも延出させた延出部を備え、該延出部は、前記前側のシート状部材の開口端部に重なるように折り返すことで前記開口部を閉じる蓋部として構成されていてもよい。
【0011】
上記のように、前後のシート状部材を繋ぐマチ部を構成する左右のシート状部材を備えているので、履物を収納していないときには、マチ部が折り畳まれて履物収納袋体を扁平な形状にすることができる。また、延出部を前側のシート状部材の開口端部に重なるように折り返すことで開口部を閉じて履物を飛び出さないように覆うことができる。
【0012】
又、本発明の履物収納体は、前記補強部材は、前記履物収納袋体の後面側に重ねて配置される略矩形状の前側シート状部材及び後側シート状部材からなる補強部材収納袋体に収納され、左右の横帯状体が、前記後側シート状部材の左右端から左右方向外側に延びており、前記後側シート状部材の上下端から上下方向外側に延びるとともに上側又は下側に折り返して前記左右の横帯状体に重ね合わせる二枚の縦帯状体を備え、上下の前記縦帯状体のうちの一方の前記縦帯状体を他方の前記横帯状体の前面に重ね合わせた時に収納されている履物を上下方向一方側に締め付けて固定するための第3締め付け固定手段と、上下の縦帯状体のうちの他方の前記縦帯状体を前記一方の縦帯状体の前面に重ね合わせた時に収納されている履物を上下方向他方側に締め付けて固定するための第4締め付け固定手段と、を備えていてもよい。
【0013】
上記のように、補強部材が、履物収納袋体の後面側に重ねて配置される略矩形状の前側シート状部材及び後側シート状部材からなる補強部材収納袋体に収納されているので、補強部材が傷んだ場合に、傷んだ補強部材を取り出して新しい補強部材を入れるだけなので、補強部材の交換がしやすい。また、一方の縦帯状体を他方の横帯状体の前面に重ね合わせるときに、補強部材で補強されている履物収納袋体の後面が変形しにくいため、第3締め付け固定手段で収納されている履物を上下方向一方側に締め付けて固定することができる。また、他方の縦帯状体を一方の縦帯状体の前面に重ね合わせるときに、補強部材で補強されている履物収納袋体の後面が変形しにくいため、第4締め付け固定手段で収納されている履物を上下方向他方側に確実に締め付けて固定することができる。履物を、前記第1締め付け手段及び第2締め付け手段で左右方向両側に締め付けて固定するとともに、第3締め付け固定手段及び第4締め付け固定手段で履物を上下方向両側に締め付けて固定することによって、履物を収納した履物収納体を持ち運ぶ時に、履物収納袋体内で履物が不測に上下方向に移動することを防止することができる。したがって、履物を収納した履物収納体を持ち運ぶ時に、履物に付着している泥や塵等が落とされて、それらが履物の足収容部の内部に入り込んでしまうことや、履物が袋の内面に擦れることで履物の表面に傷を付けてしまうことを確実に防止できる。また、履物収納体を使用しないときには、複数のシート状部材が重ね合わされてコンパクトに保管することができる。
【0014】
又、本発明の履物収納体は、前記第3締め付け固定手段は、前記他方の横帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように一方の前記縦帯状体に設けられた面ファスナと、を備え、前記第4締め付け固定手段は、前記重ね合わせた状態の一方の縦帯状体の前面に設けられた面ファスナと、該面ファスナが係止するように他方の前記縦帯状体に設けられた面ファスナと、を備えていてもよい。
【0015】
上記のように、第3締め付け固定手段及び第4締め付け固定手段が面ファスナを備えているので、収納される履物の大きさに応じて、面ファスナ同士が係止する位置を変更するだけで、履物に対する上下方向の締め付け力を適正に設定することができる。
【0016】
又、本発明の履物収納体は、前記履物収納袋体が、前記補強部材収納袋体の前側のシート状部材の前面に着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0017】
上記のように、履物収納袋体が、補強部材収納袋体の前側のシート状部材の前面に着脱自在に取り付けられていれば、履物収納袋体を取り外して洗濯することができる。また、取り外した履物収納袋体に履物を収納し、履物が収納された履物収納袋体を下駄箱等に収納しておくこともできる。
【0018】
又、本発明の履物収納体は、前記履物収納袋体の収納空間が、左右方向で仕切られていてもよい。
【0019】
上記のように、履物収納袋体の収納空間が、左右方向で仕切られていることによって、左右方向で仕切られていない場合に比べて、左右の収納空間のそれぞれを左右方向で強固に締め付けることができ、履物収納袋体内で履物が不測に左右方向に移動することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1締め付け固定手段及び第2締め付け固定手段で履物を左右方向両側に締め付けて固定することによって、持ち運ぶ時に履物が移動することを防止できる履物収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の履物収納体を展開した状態の平面図であり、履物を入れる履物収納袋体を取り外した状態である。
【
図3】履物を入れた履物収納袋体を履物収納体に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図4】履物収納袋体の蓋部を閉じた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図5】左側の横帯状体を履物収納袋体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図6】右側の横帯状体を左側の横帯状体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図7】下側の縦帯状体を右側の横帯状体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図8】上側の縦帯状体を下側の縦帯状体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図9】第2実施形態の履物収納体を展開した状態の平面図であり、履物を入れる履物収納袋体を取り外した状態である。
【
図10】履物を入れた履物収納袋体を履物収納体に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図11】履物収納袋体の蓋部を閉じた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図12】左側の横帯状体を履物収納袋体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【
図13】右側の横帯状体を左側の横帯状体の前面に重ね合わせた状態を示す履物収納体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図3に、本発明の履物収納体1を示している。
図3では、履物収納体1の補強部材収納袋体2の前面(
図1参照)に、
図2に示す履物を入れる履物収納袋体3が着脱自在に取り付けられている。履物としては、特に革靴やスニーカーなどが挙げられるが、ハイヒール、パンプス、ブーツ、サンダル、下駄等も挙げられる。
【0023】
履物収納体1は、主として、補強部材収納袋体2、履物収納袋体3、履物収納袋体3の後面を補強するための板状の補強部材4、左右の横帯状体5,6、上下の縦帯状体7,8を備えている。
【0024】
補強部材収納袋体2は、履物収納袋体3の後方側に配置される前後方向視において略矩形状(
図1では、下端に向かうほど幅狭となる逆台形状になっているが、長方形状でもよい)の前側シート状部材9と、後側シート状部材10と、を備えている。後側シート状部材10の上下方向の寸法が、前側シート状部材9の上下方向の寸法よりも長く設定されており、前側シート状部材9の上端よりも後側シート状部材10の上端が上方に位置し、かつ、前側シート状部材9の下端よりも後側シート状部材10の下端が下方に位置している。補強部材収納袋体2は、上端に開口部2Aが形成され、左右側部及び下部(底部)が縫い付けられて閉じられている。また、補強部材収納袋体2は、開口部2Aを通して挿入される補強部材4をほぼ収容できる大きさに構成されている。
図1に示すように、補強部材4の上端部が前側シート状部材9の上端から少し上方に露出する状態で補強部材4を補強部材収納袋体2に収納させるようにしておけば、傷んだ補強部材4を新しい補強部材4に交換する場合に、補強部材収納袋体2から補強部材4を迅速に取り出し易く、補強部材4の交換がしやすい。
【0025】
補強部材4は、低発泡ポリエチレン(他の低発泡体でもよい)から構成され、前後方向視において下端に向かうほど幅狭となる逆台形状(略矩形状)に構成されているが、長方形状であってもよい。また、補強部材4の材料としては、容易に変形しないものであれば、どのような材料でもよく、例えば厚紙、硬質プラスチック、場合によっては金属などであってもよい。
【0026】
履物収納袋体3は、例えばポリエステル樹脂(他の各種樹脂でもよい)から形成された可撓性を有する複数枚のシート状部材を縫い合わせて構成されている。具体的には、履物収納袋体3は、
図2及び
図3に示すように、前側のシート状部材11と、後側のシート状部材12と、前後のシート状部材11,12を繋ぐマチ部を構成する左右のシート状部材13,14と、後側のシート状部材12の開口部側端を前側のシート状部材11の開口部側端よりも上方へ延出させた延出部15と、を縫い合わせて履物S(
図3参照)を収納できるようになっている。
【0027】
延出部15は、前側のシート状部材11の開口端部に重なるように折り返すことで開口部3Aを閉じる蓋部に構成されている。この実施形態では、前側のシート状部材11と後側のシート状部材12とが一枚のシート状部材から構成されているが、別々のシート状部材を縫い合わせてもよい。このように構成された履物収納袋体3は、マチ部を構成する左右のシート状部材13,14を備えているので、履物Sを収納していないときには、マチ部が折り畳まれて履物収納袋体3を扁平な形状にすることができる。また、延出部15を前側のシート状部材11の開口端3A部に重なるように折り返すことで開口部3Aを閉じて履物Sを飛び出さないように覆うことができる。
【0028】
後側のシート状部材12の後面(外面)には、補強部材収納袋体2の前面の左右両端部に縦向きに取り付けられた長方形状の左右の面ファスナ16,17(
図1参照)に着脱自在に取り付けられる2つの面ファスナ18,19(
図2参照)が取り付けられている。これらの面ファスナ18,19は、後側のシート状部材12の後面の上下方向に間隔を置いて横向きに取り付けられている。前側のシート状部材11の左右方向中央部の一部が、後側のシート状部材11に縫い付けられており、その縫い目11Mが袋内の空間を左右2つの収納空間(履物を収納する空間)に仕切るための仕切部を形成している。前記のように、履物収納袋体3の収納空間が、左右方向で仕切られていることによって、左右方向で仕切られていない場合に比べて、左右の収納空間のそれぞれを後述する第1締め付け手段及び第2締め付け手段により左右方向で強固に締め付けることができ、履物収納袋体3内で履物Sが不測に左右方向に移動することを確実に防止できる。
【0029】
図2に示すように、前側のシート状部材11の前面には、左右方向で間隔をおいて縦向きで長方形状の左右の面ファスナ20,21が取り付けられている。延出部15の内面(延出部15を前側に折り曲げた時に内側となる面)の上端部に、延出部15を折り曲げたときに前側のシート状部材11の面ファスナ20,21に係止する長方形状の面ファスナ22を横向きに取り付けている。また、延出部15の内面の面ファスナ22よりも少し下方から下端部にかけて延出部15の横幅と略等しい幅を有する長方形状でメッシュ状のポケット23を備えている。ポケット23は、
図2及び
図3の延出部15を上方に上げて開放状態にした時に上端に開口23Aが位置するように構成されている。
【0030】
図4において、閉じた時の延出部15の前面の左右中央部に、縦向きの長方形状の面ファスナ24が取り付けられている。この面ファスナ24は、延出部15を前側のシート状部材11の開口端部に重なるように折り返して開口部3Aを閉じた状態にすることにより、履物収納袋体3の前面に位置する。この面ファスナ24に、後述する左側の横帯状体5の内面の上側に備える面ファスナ25が係止する(
図4参照)。延出部15を前側のシート状部材11の開口端部に重なるように折り返す線は、収納した履物Sの後端に後側のシート状部材12の内面が当接(接触)する位置となる。このため、履物Sの長さ方向の寸法によって異なることになる。このように延出部15を折り返すことによって、履物収納袋体3内における履物Sの後端との上下方向の隙間をできるだけ少なくした状態で延出部15を閉じることができる。
【0031】
左右の横帯状体5,6は、例えばポリエステル樹脂(他の樹脂でもよい)から形成された2枚のシート状部材を縫い合わせて構成されている。また、左側の横帯状体5の右端部が、補強部材収納袋体2の後側シート状部材10の左端部に縫い付けられ、右側の横帯状体6の左端部が、補強部材収納袋体2の後側シート状部材10の右端部に縫い付けられている。また、左右の横帯状体5,6のそれぞれは、
図1において、下端に向かうほど幅狭となる逆台形状(略矩形状)になっているが、長方形状でもよい。
図1において、左側の横帯状体5の前面に、上下方向に間隔を置いて横向きの2枚の面ファスナ25,26を備えている。
【0032】
図5において、折り返して履物収納袋体3の前面に重ね合わせた左側の横帯状体5の前面(折り返す前は後面)に、上下に間隔(
図5では等間隔)を置いて横向きの3枚の面ファスナ27,28,29を備えている。
図1において、折り返す前の右側の横帯状体6の前面に、右端部に左右方向に間隔を置いて右側の横帯状体6の右辺(下端側ほど内側に位置する傾斜辺)と平行な略縦向き(下端側ほど内側に位置する傾斜姿勢)の2枚の面ファスナ30,31を備えている。
図6において、折り返して左側の横帯状体5の前面に重ね合わせた右側の横帯状体6の前面(折り返す前は後面)に、上下方向略中央に横向きの長方形状の1枚の面ファスナ32を備えている。
【0033】
上下の縦帯状体7,8は、例えばポリエステル樹脂(他の樹脂でもよい)から形成された2枚のシート状部材を縫い合わせて構成されている。上側の縦帯状体7の下端部が、補強部材収納袋体2の後側シート状部材10の上端部に縫い付けられ、下側の縦帯状体8の上端部が、補強部材収納袋体2の後側シート状部材10の下端部に縫い付けられている。上側の縦帯状体7の上下方向の寸法が、下側の縦帯状体8の上下方向の寸法よりも長く構成されている。また、上側の縦帯状体7が上端に向かうほど幅狭となる台形状(略矩形状)に構成され、下側の縦帯状体8が下端に向かうほど幅狭となる逆台形状(略矩形状)に構成されている。
図1において、上側の縦帯状体7の前面の上端部に、上下方向に間隔を置いて横向きの長方形状の2枚の面ファスナ33,34を備えている。下側の縦帯状体8の内面の左右中央部に縦向きの1枚の面ファスナ35を備えている。また、
図7において、折り返して右側の横帯状体6に重ね合わせた下側の縦帯状体8の前面(折り返す前は後面)の左右両端部に縦向きの2枚の面ファスナ36,37を備えている。
【0034】
図8に示すように、折り返して下側の縦帯状体8の前面に重ね合わせた上側の縦帯状体7の前面(折り返す前は後面)の上端部(上側の縦帯状体7が後側シート部材10に連結される端部)の左右両端部に取っ手38が縫い付けられている。取っ手38は、前記同様に可撓性を有するシート状部材から構成してもよいし、硬質の材料から構成してもよい。尚、前記長方形状は勿論のこと、長方形状に近い逆台形状も含めて略矩形状と称する。
【0035】
上記のように構成された履物収納体1に履物Sを収納して持ち運べるようにしていく過程について説明する。
図2に示す履物収納袋体3に履物Sを収納し、履物Sが収納された履物収納袋体3の後側のシート状部材12の後面に備える2枚の面ファスナ18,19を、補強部材収納袋体2の前側シート状部材9の前面に備える面ファスナ16,17(
図1参照)に係止することによって、履物収納袋体3を補強部材収納袋体2に固定できる(
図3参照)。
【0036】
次に、履物収納袋体3の延出部15を
図3の2点鎖線で示すように閉じる。このとき、延出部15の内面の面ファスナ22が履物収納袋体3の前側のシート状部材11の2枚の面ファスナ20,21の上側部分に係止する。これによって、延出部15を前側のシート状部材11に固定できる。こののち、左側の横帯状体5を履物収納袋体3の前面に重ね合わせるために、左側の横帯状体5を補強部材収納袋体2の後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、左側の横帯状体5の内面の上側の面ファスナ25を延出部15の外面の面ファスナ24に係止させると同時に、左側の横帯状体5の内面の下側の面ファスナ26を前側のシート状部材11の2枚の面ファスナ20,21の下側部分に係止させる(
図4の2点鎖線参照)ことによって、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けて固定することができる。左側の横帯状体5を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けることができる。左側の横帯状体5の前面の上下の面ファスナ25,26、延出部15の前面の面ファスナ24、前側のシート状部材11の前面の2枚の面ファスナ20,21が、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けて固定する第1締め付け固定手段を構成している。
【0037】
続いて、右側の横帯状体6を左側の横帯状体5の前面に重ね合わせるために、右側の横帯状体6を補強部材収納袋体2の後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、右側の横帯状体6の前面の2枚の面ファスナ30,31を折り曲げられて履物収納袋体3の前面に重ね合わせた左側の横帯状体5の前面の3枚の面ファスナ27,28,29に係止させる(
図5の2点鎖線参照)ことによって、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けて固定することができる。右側の横帯状体6を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けることができる。右側の横帯状体6の前面の2枚の面ファスナ30,31、左側の横帯状体5の前面(左側の横帯状体5を折り曲げる前の後面)の3枚の面ファスナ27,28,29が、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けて固定する第2締め付け固定手段を構成している。
【0038】
次に、
図6に示すように、下側の縦帯状体8を折り曲げられた右側の横帯状体6の前面に重ね合わせるために、下側の縦帯状体8を後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、下側の縦帯状体8の前面の面ファスナ35を右側の横帯状体6の前面の面ファスナ32に係止させることによって、履物Sを上下方向一方側(上側)に締め付けて固定することができる。下側の縦帯状体8を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを上下方向一方側(上側)に締め付けることができる。下側の縦帯状体8の前面の面ファスナ35、右側の横帯状体6の前面(右側の横帯状体6を折り曲げる前の後面)の面ファスナ32が、履物Sを左右方向一方側(上側)に締め付けて固定する第3締め付け固定手段を構成している。
【0039】
続いて、
図7に示すように、上側の縦帯状体7を折り返して右側の横帯状体6の前面に重ね合わせた下側の縦帯状体8の前面に重ね合わせるために、上側の縦帯状体7を後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、上側の縦帯状体7の前面の2枚の面ファスナ33,34を下側の縦帯状体8の前面(下側の縦帯状体8を折り曲げる前の後面)の2枚の面ファスナ36,37に係止させることによって、履物Sを上下方向一方側(下側)に締め付けて固定することができる。上側の縦帯状体7を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを上下方向他方側(下側)に締め付けることができる。上側の縦帯状体7の前面の2枚の面ファスナ33,34、下側の縦帯状体8の前面(下側の縦帯状体8を折り曲げる前の後面)の2枚の面ファスナ36,37が、履物Sを左右方向他方側(下側)に締め付けて固定する第4締め付け固定手段を構成している。
図8に、履物収納体1に履物(図示せず)を収納して持ち運べる状態を示している。この状態で取っ手38を持って履物を収納した履物収納体1を運ぶことができる。
【0040】
したがって、履物Sを収納した履物収納体1を持ち運ぶ時に、履物Sに付着している泥や塵等が落とされて、それらが履物Sの足収容部の内部に入り込んでしまうことや、履物Sが袋の内面に擦れることで履物Sの表面に傷を付けてしまうことを確実に防止できる。また、履物収納体1を使用しないときには、複数のシート状部材が重ね合わされることによりコンパクトに保管することができる。また、第1締め付け固定手段、第2締め付け固定手段、第3締め付け固定手段、第4締め付け固定手段が、前述した面ファスナを備えているので、収納される履物の大きさに応じて、面ファスナ同士が係止する位置を変更するだけで、履物に対する締め付け力を適正に設定することができ、好ましいが、ホックやボタン等で前記締め付け固定手段を構成して実施してもよい。なお、ホックやボタン等で前記締め付け固定手段を構成する場合には、左右の横帯状体5,6及び上下の縦帯状体7,8を伸縮自在な生地で構成することが好ましい。
【0041】
<第2実施形態>
第1実施形態では、第1締め付け固定手段~第4締め付け手段を備えた履物収納体を示したが、第1締め付け手段及び第2締め付け手段の2つのみを備え、第3締め付け手段及び第4締め付け手段を省略した履物収納体が第2実施形態である。
【0042】
図9及び
図10に示すように、履物収納体1は、補強部材収納袋体2、履物収納袋体3、履物収納袋体3の後面を補強するための板状の補強部材4、左右の横帯状体5,6を備えている。つまり、第1実施形態で示した上下の縦帯状体7,8を備えていないだけで、他の構成は、第1実施形態と同一であり、同一の符号を付して、構成部材の説明は、省略する。
【0043】
履物収納体1に履物Sを収納して持ち運べるようにしていく過程について説明する。
図2に示す履物収納袋体3に履物Sを収納し、履物Sが収納された履物収納袋体3の後側のシート状部材12の後面に備える2枚の面ファスナ18,19を、補強部材収納袋体2の前側シート状部材9の前面に備える面ファスナ16,17に係止することによって、履物収納袋体3を補強部材収納袋体2に固定できる(
図10参照)。
【0044】
次に、履物収納袋体3の延出部15を
図11で示すように閉じる。このとき、延出部15の内面の面ファスナ22が履物収納袋体3の前側のシート状部材11の2枚の面ファスナ20,21の上側部分に係止することによって、延出部15を前側のシート状部材11に固定できる(
図10の2点鎖線参照)。こののち、左側の横帯状体5を履物収納袋体3の前面に重ね合わせるために、左側の横帯状体5を補強部材収納袋体2の後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、左側の横帯状体5の前面の上側の面ファスナ25を延出部5の外面の面ファスナ24に係止させるとともに、左側の横帯状体5の前面の下側の面ファスナ26を前側のシート状部材11の2枚の面ファスナ20,21の下側部分に係止させる(
図11の2点鎖線参照)ことによって、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けて固定することができる。左側の横帯状体5を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けることができる。左側の横帯状体5の前面の上下の面ファスナ25,26、延出部15の外面の面ファスナ24、前側のシート状部材11の2枚の面ファスナ20,21が、履物Sを左右方向一方側(右側)に締め付けて固定するための前述した第1締め付け固定手段を構成している。
【0045】
続いて、右側の横帯状体6を左側の横帯状体5の前面に重ね合わせるために、右側の横帯状体6を補強部材収納袋体2の後側シート状部材10との連結部で折り曲げつつ引っ張りながら、右側の横帯状体6の前面の2枚の面ファスナ30,31を折り曲げて履物収納袋体3の前面に重ね合わせた左側の横帯状体5の前面(左側の横帯状体5を折り曲げる前では後面)の3枚の面ファスナ27,28,29に係止させる(
図12の2点鎖線参照)ことによって、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けて固定することができる。右側の横帯状体6を補強部材収納袋体2に対して引っ張る時に、補強部材収納袋体2が補強部材4で補強されているため、補強部材収納袋体2の後面が変形しにくい。よって、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けることができる。右側の横帯状体6の前面の2枚の面ファスナ30,31、左側の横帯状体5の前面の3枚の面ファスナ27,28,29が、履物Sを左右方向他方側(左側)に締め付けて固定するための前述した第2締め付け固定手段を構成している。
【0046】
図13に、履物収納体1に履物を収納して持ち運べる状態を示している。この状態で延出部15の基端側に取り付けた取っ手38を持って履物を収納した履物収納体1を運ぶことができる。
【0047】
したがって、履物Sを収納した履物収納体1を持ち運ぶ時に、履物Sに付着している泥や塵等が落とされて、それらが履物Sの足収容部の内部に入り込んでしまうことや、履物Sが袋の内面に擦れることで履物Sの表面に傷を付けてしまうことを確実に防止できる。また、履物収納体1を使用しないときには、複数のシート状部材が重ね合わされることによりコンパクトに保管することができる。また、第1締め付け固定手段、第2締め付け固定手段が、前述した面ファスナを備えているので、収納される履物の大きさに応じて、面ファスナ同士が係止する位置を変更するだけで、履物に対する締め付け力を適正に設定することができ、好ましいが、ホックやボタンあるいは紐等で前記締め付け固定手段を構成して実施してもよい。なお、ホックやボタンあるいは紐等で前記締め付け固定手段を構成する場合には、左右の横帯状体5,6を伸縮自在な生地で構成することが好ましい。
【0048】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、持ち運ぶための取っ手38を備えたが、肩に吊り下げる肩ベルトであってもよいし、場合によっては、取っ手38や肩ベルトを省略して、履物収納体を脇に抱えるようにして持ってもよい。
【0050】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、履物収納袋体3が、補強部材収納袋体2の前側シート状部材9の前面に着脱自在に取り付けられていたが、取り外しができないように履物収納袋体3を補強部材収納袋体2に縫い付ける又は接着剤などにより固定してもよい。
【0051】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、補強部材4が、履物収納袋体3の後面側に配置される前後の略矩形状のシート状部材からなる補強部材収納袋体2に収納する構成を示したが、補強部材収納袋体2を省略し、補強部材4に履物収納袋体3を直接取り付けるようにしてもよい。この場合、補強部材4に左右の横帯状体5,6や上下の縦帯状体7,8を縫い付ける又は接着剤を用いて連結することになる。
【符号の説明】
【0052】
1…履物収納体、2…補強部材収納袋体、2A…開口部、3…履物収納袋体、3A…開口部、4…補強部材、5,6…左右の横帯状体、7,8…上下の縦帯状体、9…前側シート部材、10…後側シート状部材、11…前側のシート状部材、12…後側のシート状部材、11M…縫い目、13,14…左右のシート状部材、15…延出部、16~22…面ファスナ、23…ポケット、23A…開口、24~37…面ファスナ、38…取っ手、S…履物