(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】浄化槽およびそれを用いた処理水の処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/00 20230101AFI20240205BHJP
【FI】
C02F3/00 B
C02F3/00 E
(21)【出願番号】P 2022123570
(22)【出願日】2022-08-02
【審査請求日】2023-08-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514323899
【氏名又は名称】株式会社レックEM益子
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】河原 弘道
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-024584(JP,A)
【文献】特開昭48-078770(JP,A)
【文献】実開昭53-000673(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0346374(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽と、
前記槽の内部に配設される浄化モジュールと、を具備し、
前記浄化モジュールは、好気分解が行われる第1槽部と、嫌気分解が行われる第2槽部と、を有し、
前記第1槽部は、処理水が収納される第1処理空間を形成する第1層本体部と、前記第1処理空間に前記処理水が流入する第1流入部と、前記第1処理空間から外部に前記処理水が流出する第1流出部と、を有し、
前記第2槽部は、前記処理水が収納される第2処理空間を形成する第2層本体部と、前記第1層本体部から前記第2処理空間に前記処理水が流入する第2流入部と、前記第2処理空間から外部に前記処理水が流出する第2流出部と、を有し、
前記第2槽部は、上方に向かって開口する開口部を有
し、
前記開口部は、前記槽に貯留される前記処理水の水面よりも下方に配置されることを特徴とする
浄化槽。
【請求項2】
汚泥返送部を更に具備し、前記汚泥返送部は、前記槽の底部に堆積した汚泥を前記第1槽部に返送するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の浄化槽。
【請求項3】
前記汚泥返送部は、エアリフト効果により、前記汚泥を返送することを特徴とする請求項2に記載の浄化槽。
【請求項4】
前記第1流出部および前記第2流入部は、前記第1層本体部の下端側を開口した連通開口部であることを特徴とする請求項1に記載の
浄化槽。
【請求項5】
前記第1槽部の内部に空気を供給する空気供給部を、更に具備することを特徴とする請求項1に記載の
浄化槽。
【請求項6】
前記第1槽部は、上端が開口する略直方体の箱形状を呈すると共に、第1主面部と、前記第1主面部に対向する第2主面部と、前記第1主面部の下端近傍を開口することで形成された第1連通開口部と、前記第2主面部の下端近傍を開口することで形成された第2連通開口部と、を有し、
2つの前記第2槽部を有し、
一方の前記第2槽部は、前記第1槽部の前記第1主面部に密着して配設され、
他方の前記第2槽部は、前記第2槽部の前記第2主面部に密着して配設され、
一方の前記第2槽部は、前記第1連通開口部を介して、前記第1槽部と連通し、
他方の前記第2槽部は、前記第2連通開口部を介して、前記第1槽部と連通し、
前記第1連通開口部は、前記第1槽部の前記第1流出部、および、一方の前記第2槽部の前記第2流入部であり、
前記第2連通開口部は、前記第1槽部の前記第1流出部、および、他方の前記第2槽部の前記第2流入部であることを特徴とする請求項1に記載の浄化槽。
【請求項7】
上方から見た場合、
前記浄化モジュールの外周部は、前記槽から離れて配設されることを特徴とする請求項1に記載の浄化槽。
【請求項8】
浄化槽を用いた処理水の処理方法であり、
前記浄化槽は、槽と、前記槽の内部に配設される浄化モジュールと、を具備し、
前記浄化モジュールは、好気分解が行われる第1槽部と、嫌気分解が行われる第2槽部と、を有し、
前記第1槽部は、前記処理水が収納される第1処理空間を形成する第1層本体部と、前記第1処理空間に前記処理水が流入する第1流入部と、前記第1処理空間から外部に前記処理水が流出する第1流出部と、を有し、
前記第2槽部は、前記処理水が収納される第2処理空間を形成する第2層本体部と、前記第1層本体部から前記第2処理空間に前記処理水が流入する第2流入部と、前記第2処理空間から外部に前記処理水が流出する第2流出部と、を有し、
前記第2槽部は、上方に向かって開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記槽に貯留される前記処理水の水面よりも下方に配置され、
前記処理水は、前記第1流入部、前記第1層本体部、前記第1流出部、前記第2流入部、前記第2層本体部、前記第2流出部である前記開口部の順番で流れることを特徴とする処理水の処理方法。
【請求項9】
前記第1流出部および前記第2流入部は、前記第1層本体部の下端側を開口した連通開口部であり、
前記第1処理空間に外部から前記処理水が流入される間は、前記第1処理空間の内部で空気を供給することにより、前記処理水を曝気し、
前記第1処理空間に外部から前記処理水が流入されない間は、前記第1処理空間の内部で前記空気を供給することにより前記処理水を攪拌し、前記連通開口部を経由して、混濁物を前記第2処理空間から前記第1処理空間に逆流させることを特徴とする請求項8に記載の処理水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化モジュールおよびそれを備えた浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄化槽のあり方としては、集末処理ではなく汚染源において処理することが理想的とされている。ここで、汚水発生源である個別住宅での処理の方法としては、浸透桝方式や個別浄化槽方式などがある。ところが、設備の設置スペースが確保できない場合や不完全な設備をしたために、充分な処理が行われずに河川への放出が行われていることも多く見られる。
【0003】
仮に、充分に処理がなされたとしても、処理機能を維持するためには、汚水槽の水面に発生する比重の軽い油脂分などからなる塊(スカム)の除去処理や沈殿汚泥の引き抜き処理を定期的に行わなければならず、その処理に要する手間や費用の負担も大きいものがある。
【0004】
特に、これまではスカムからくる悪臭は、消臭剤などで消臭する方法がなされたとしても、発生する量が大きく且つ継続して発生するために容易に防止することができなかった。また、スカムには蝿などの昆虫の幼虫である蛆虫が発生し、そのままでは不衛生なので殺虫剤で退治するなどの処理をしていた。
【0005】
係る課題に鑑みて、特許文献1に記載された浄化装置および浄化方法が開発された。特許文献1に係る浄化装置は、第一室と、第一室の周囲に配設された第二室とを有する。具体的には、原汚水を第一室に導き入れ、その第一室の低層部へ空気を継続注入することによってその室内汚水の全体を常時混濁状態に攪拌してその室内の表層スカムの発生を抑える。また第一室への原汚水流入による水位変動により攪拌混濁した汚水をその室内低部に設けた汚水流出孔から粗目濾しして第二室に逃がす。更に、第二室Bでは汚水を安静状態にすることによってその室内の擂鉢状底部に重量汚泥分を沈殿させる。更にまた、その第二室へ流入する汚水の水位変動によりその室内の透明度の上がった汚水を汚水処理槽に排出し、汚水処理槽へ空気を継続して注入することによって、汚水処理槽の汚水上層を常時攪拌して表面スカムの発生を抑える。また、特許文献1に類似した浄化装置および浄化方法に係る発明が、特許文献2および特許文献3にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-275756号公報
【文献】特開2006-130448号公報
【文献】特開2002-273104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1等に記載された浄化装置および浄化方法であっても、汚水を更に高度に浄化する観点から改善の余地があった。
【0008】
具体的には、特許文献1等の第一室は好気処理層として機能するが、第二室において水面一体にスカムが厚く形成されることがあり、スカムを除去するのに手間がかかる課題があった。更に、特許文献1の第二室は、天板が備えられており密閉されていたため、上部近傍にスカムが滞留し、スカムが腐敗することでガスが発生し、係る事項に対策を施すことは簡単ではなかった。特に、飲食店や工場排水のグリストラップから発生する油脂汚泥が、汚水処理槽の内部でスカムとなった場合は、その処理は極めて困難であった。
【0009】
更に、特許文献1に記載された浄化装置は、例えば、既存の浄化施設の前段に設置されるものであり、かかる浄化装置を採用することで、設備費用および設置面積が増大する懸念があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、内部におけるスカムの発生を抑制することができる浄化モジュールおよびそれを備えた浄化槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の浄化槽は、槽と、前記槽の内部に配設される浄化モジュールと、を具備し、前記浄化モジュールは、好気分解が行われる第1槽部と、嫌気分解が行われる第2槽部と、を有し、前記第1槽部は、処理水が収納される第1処理空間を形成する第1層本体部と、前記第1処理空間に前記処理水が流入する第1流入部と、前記第1処理空間から外部に前記処理水が流出する第1流出部と、を有し、前記第2槽部は、前記処理水が収納される第2処理空間を形成する第2層本体部と、前記第1層本体部から前記第2処理空間に前記処理水が流入する第2流入部と、前記第2処理空間から外部に前記処理水が流出する第2流出部と、を有し、前記第2槽部は、上方に向かって開口する開口部を有し、前記開口部は、前記槽に貯留される前記処理水の水面よりも下方に配置されることを特徴とする。
本発明は、浄化槽を用いた処理水の処理方法であり、前記浄化槽は、槽と、前記槽の内部に配設される浄化モジュールと、を具備し、前記浄化モジュールは、好気分解が行われる第1槽部と、嫌気分解が行われる第2槽部と、を有し、前記第1槽部は、前記処理水が収納される第1処理空間を形成する第1層本体部と、前記第1処理空間に前記処理水が流入する第1流入部と、前記第1処理空間から外部に前記処理水が流出する第1流出部と、を有し、前記第2槽部は、前記処理水が収納される第2処理空間を形成する第2層本体部と、前記第1層本体部から前記第2処理空間に前記処理水が流入する第2流入部と、前記第2処理空間から外部に前記処理水が流出する第2流出部と、を有し、前記第2槽部は、上方に向かって開口する開口部を有し、前記開口部は、前記槽に貯留される前記処理水の水面よりも下方に配置され、前記処理水は、前記第1流入部、前記第1層本体部、前記第1流出部、前記第2流入部、前記第2層本体部、前記第2流出部である前記開口部の順番で流れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内部におけるスカムの発生を抑制することができる浄化槽等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本発明の実施形態に係る浄化モジュールを示す斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る浄化モジュールの第1槽部を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る浄化槽を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る浄化槽を示す上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る浄化槽を示す前面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る浄化モジュールを詳細に示す側面図である。
【
図6A】本発明の実施形態に係る浄化槽の使用状況を示す側面図である。
【
図6B】本発明の実施形態に係る浄化槽の使用状況を示す側面図である。
【
図7】本発明の他形態に係る浄化槽を示す側面図である。
【
図8】本発明の更なる他形態に係る浄化槽を示す側面図である。
【
図9】本発明の更なる他形態に係る浄化槽を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明に於いて、左右方向とは、浄化槽10または浄化モジュール11を前方から見た場合の左右である。更に、以下の説明では、浄化槽10および浄化モジュール11により浄化される処理水が流れる際に、上流側を前方と称し、下流側を後方と称する場合がある。また、以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0031】
図1Aは、浄化モジュール11を示す斜視図である。
図1Bは、浄化モジュール11の第1槽部12を示す斜視図である。
【0032】
浄化モジュール11は、後述する浄化槽10の内部に配設されるモジュールである。浄化モジュール11は、浄化槽10に後付けで備えることができる。浄化モジュール11を備えることにより、浄化槽10が処理水を処理する能力を高めることができ、更に浄化モジュール11および浄化槽10の内部におけるスカムの発生を抑制できる。
【0033】
具体的には、浄化モジュール11は、第1槽部12と、第2槽部13と、を具備する。また、浄化モジュール11は、例えば、合成樹脂板等の板状材料を、所定形状に接合することにより形成される。
【0034】
第1槽部12は、第1処理空間121と、第1層本体部122と、第1流入部123と、第1流出部124と、を有する。
【0035】
第1処理空間121は、処理水が浄化を行うために収納される空間であり、本実施形態では好気分解が行われる。
【0036】
第1層本体部122は、上端が開口する略箱状の部材である。第1層本体部122の概略的形状は、前後方向に対して扁平に形成された直方体形状を呈する。
【0037】
第1流入部123は、第1処理空間121に処理水が流入する部位であり、第1層本体部122の上方側に配設される。ここでは、第1流入部123は、流入部16の後方端部開口とされている。流入部16は、例えば、閉管路または開管路であり、生活排水または下水等である処理水が流入する。ここで、第1層本体部122の上方開口を、第1流入部123と見做すこともできる。
【0038】
第1流出部124は、
図1Bに示すように、第1処理空間121から外部に処理水が流出する部位である。第1流出部124は、第1層本体部122の前側面および後側面に形成した開口であり、第1処理空間121により一時的に処理された処理水が、第1処理空間121から外部に排出される部位である。
【0039】
第2槽部13は、第2処理空間131と、第2層本体部132と、第2流入部133と、第2流出部134と、を有する。また、第2槽部13の上端は、上方に向かって開口している。換言すると、開口部136が第2流出部134として機能する。
【0040】
第2処理空間131は、処理水の浄化を行うための空間であり、後述するように、本実施形態では嫌気分解が行われる。
【0041】
第2層本体部132は、その内部に第2処理空間131が形成され、上端が開口する容器状の部位であり、第1槽部12の前側および後側に、密着するように配設される。ここで、第2層本体部132の前後方向外側を向く面であって、下方部分は、傾斜面135とされている。傾斜面135は、下方に向かって第1槽部12の側に傾斜する面である。傾斜面135を有することにより、第2処理空間131の内部において、傾斜面135に沿って処理水が良好にガイドされ、第1槽部12から第2槽部13への処理水の流動が促進される。
【0042】
第2流入部133は、
図1Bに示すように、第1層本体部122から第2処理空間131に処理水が流入する部位である。第2流入部133は、第2槽部13の下端側に形成される。
【0043】
第2流出部134は、第2処理空間131から外部に処理水が流出する部位である。第2流出部134は、例えば、上方に向かって開口する開口部である。
【0044】
第2槽部13は、第1槽部12を挟むように複数が配置される。具体的には、第1槽部12の前側および後側に、第2槽部13が配設されている。このようにすることで、第2槽部13の排水処理能力を高く確保し、より多くの処理水を浄化できる。
【0045】
図1Bを参照して、第1流出部124および第2流入部133は、第1層本体部122の下端側を開口した連通開口部14である。換言すると、連通開口部14は、第1槽部12の側から見たら処理水が流出する開口であり、第2槽部13の側から見たら処理水が流入する開口である。連通開口部14は、第1層本体部122の前面および後面の、下端または下端近傍に形成されている。更に、連通開口部14は、左右方向に沿って細長く伸びる矩形形状を呈する。連通開口部14が係る形状を呈することにより、第1流出部124および第2流入部133の面積を大きく確保し、第1流出部124および第2流入部133における固形物の詰まりを抑制すると共に、第1流出部124および第2流入部133における流速を一定以上確保し、浄化モジュール11の排水浄化能力を高めることができる。
【0046】
図2は、前述した浄化モジュール11が組み込まれた浄化槽10を示す側面図である。
図3は、浄化槽10を示す上面図である。
図4は、浄化槽10を示す前面図である。
【0047】
図2ないし
図4を参照して、浄化槽10は、処理水の流れにおける上流側から、第1層17、第2層18および第3層19を有している。第1層17と第2層18とは区画壁20により隔てされ、第2層18と第3層19とは区画壁21により隔てられる。第1層17、第2層18および第3層19の上端には、メンテナンスのために、夫々、マンホール22が配設される。また、第1層17の前方側端部には、第1層17に処理水を導入するための流入部16が配設される。
【0048】
第1層17と第2層18との間には、第1層17から第2層18に処理水を移送するための流入部26が配設される。流入部26は、区画壁20を貫通し、且つ、水面23または水面24の近傍に配置された閉管路または開管路である。第2層18と第3層19との間には、第2層18から第3層19に処理水を移送するための流入部27が配設される。流入部27は、区画壁21を貫通し、且つ、水面24または水面25の近傍に配置された閉管路または開管路である。第3層19の内部で浄化または消毒された処理水は、ここでは図示しない管路を経由して浄化槽10の外部に放出される。
【0049】
ここで、浄化槽10には浄化モジュール11が配設されるが、浄化モジュール11は既設の浄化槽10に後付けで配設さても良いし、浄化モジュール11を備える浄化槽10が新設されても良い。更に、浄化槽10は、第1層17、第2層18および第3層19からなる3つの処理槽を有するが、第1層17および第2層18の何れかを省いて構成することもできる。
【0050】
第1層17および第2層18は、例えば、嫌気分解および好気分解を行う処理槽である。第3層19は、例えば、好気分解および消毒を行う処理槽である。浄化槽10には、前述したように、生活排水や下水が処理水として流入する。浄化槽10からは浄化処理された処理水が放出される。
【0051】
第1層17は、浄化槽10の最上流に配置された浄化槽である。第1層17の内部には、前述した構成を有する浄化モジュール11が配設される。第1層17では、例えば、嫌気分解および好気分解の両方が行われる。浄化モジュール11は、第1層17に貯留された処理水に浸漬され、その上端部が水面23から上方に突出している。第1層17には、流入部16を介して処理水が導入される。また、第1層17により浄化された処理水は、流入部26を経由して、第2層18に移送される。
【0052】
第2層18は、第1層17の下流側に配置された浄化槽である。第2層18の内部には、第1層17と同様に、浄化モジュール11が配設される。第2層18の内部では、濾材29が配設されている。濾材29は、例えば、軽石である。第2層18の内部は、網部32により上下方向に区切られている。濾材29は、網部32により区切られた空間に配設される。網部32の下方は、汚泥が沈殿する領域である。
【0053】
第2層18に濾材29を配設することにより、濾材29の表面により多くの微生物を付着させ、第2層18の内部において処理水の透明度を向上することができる。第2層18には、流入部26を介して処理水が導入される。また、第2層18により浄化された処理水は、流入部27を経由して、第3層19に移送される。
【0054】
第3層19は、第2層18の下流側に配置された浄化槽である。第3層19の内部には、浄化モジュール11は配設されない。また、第3層19の内部では、図示しない曝気装置により処理水が曝気される。更に、第3層19では、浄化用の添加剤を処理水に添加することにより処理水を浄化し、処理水に含まれる大腸菌等を減少させる。第3層19には、流入部27を介して処理水が導入される。第3層19により浄化された処理水は、水面25を経由して、浄化槽10の外部に移送される。
【0055】
図2を参照して、本実施形態の浄化モジュール11を、浄化槽10に配設することにより、スカムの発生および滞留を大幅に減少できることから、マンホール22の蓋を外すことにより、第1層17に設置された浄化モジュール11の稼働状況を簡単に目視点検することができる。係る事項は、第2層18に関しても同様である。浄化モジュール11の具体的な構成および機能は、
図5を参照して後述する。
【0056】
図5は、浄化モジュール11を詳細に示す側面図である。
【0057】
前述したように、浄化モジュール11は、第1槽部12および第2槽部13を有する。
【0058】
空気供給部15は、第1槽部12の内部に配設され、第1槽部12の内部に空気を供給する機器である。空気供給部15の上端は、ここでは図示しないエアポンプに接続される。空気供給部15の下端には、第1槽部12の底面近傍に配設され、気泡が発生される空気吹出部28が配設される。図示しないエアポンプを運転することにより、空気吹出部28から空気を発生させる。これにより、第1処理空間121の内部に貯留された処理水を曝気し、第1槽部12の内部で処理水を好気分解することができる。
【0059】
第1槽部12の上端は、処理水の水面23よりも上方に配置される。このようにすることで、流入部16から供給される処理水を、第1槽部12の第1処理空間121に確実に流入させることができる。
【0060】
第2槽部13の上端である第2流出部134は、水面23よりも下方に配置されている。このようにすることで、第2槽部13から流出する処理水を、第2層18に貯留された処理水の側に移送することができる。
【0061】
浄化モジュール11により処理水を浄化する方法を以下に説明する。
【0062】
先ず、流入部16から、第1槽部12の第1処理空間121に、処理前の処理水が導入される。第1処理空間121の内部では、前述したように、空気供給部15による曝気が行われているので、第1処理空間121の内部に貯留された処理水には、常に酸素が供給される。これにより、第1槽部12の第1処理空間121では、好気分解が行われる。更に、空気吹出部28から曝気することにより、第1処理空間121の内部で処理水を攪拌し、処理水に含まれる有機性固形物を破砕し、その後の微生物による分解を促進できる。
【0063】
第1槽部12の第1処理空間121にて好気分解された処理水は、第1槽部12の下端近傍に形成された連通開口部14を経由して、第2槽部13に移送される。ここで、第2層本体部132の下端部分は、前出したように傾斜面135とされている。よって、連通開口部14を経由して、第1槽部12から第2槽部13に流入した処理水は、傾斜面135に沿って良好に上方に流動する。
【0064】
第2槽部13の第2処理空間131では曝気は行っていない。よって、第2処理空間131では、処理水の嫌気分解が行われる。第2処理空間131により嫌気分解された処理水は、第2槽部13の上端に形成された第2流出部134から、第1層17の内部に移送される。
【0065】
第2処理空間131が収納される第1層17の内部では、曝気を行っていない。よって、第1層17の内部では、第2槽部13の第2処理空間131と同様に、処理水の嫌気分解が行われる。第1層17の内部により嫌気分解された処理水は、前述したように、第2層18に移送される。そして、第2層18においても、同様に、浄化モジュール11による処理水の分解処理が行われる。
【0066】
本実施形態では、第2槽部13の第2流出部134が、上方に向かって開口する開口部であることで、スカムが第2槽部13の内部で滞留することがなく、ガスが発生することを抑制できる。
【0067】
更に、第1層本体部122の下端側を開口した連通開口部14により、第1槽部12と第2槽部13とが連通することで、第1槽部12により浄化処理された処理水を、効果的に第2槽部13に移送することができる。
【0068】
更に、第2槽部13が、第1槽部12を挟むように複数が配置されることから、複数の第2槽部13の開口から処理水を放出することができ、処理の高速化を実現できる。
【0069】
更に、処理水の流入量に応じて、第1槽部12および第2槽部13の大きさ等を設計できることから、様々な条件や大きさの浄化槽10に、浄化モジュール11を備えることができる。
【0070】
更に、第1槽部12を左右方向に沿って長手方向を有する扁平直方体形状とすることで、連通開口部14の面積を大きくでき、連通開口部14における混濁物30の詰まりを防止できる。
【0071】
更に、浄化モジュール11は、前述した浄化槽10の内部に配設されることから、処理機構を外部に敷設した背景技術と比較すると、浄化モジュール11の設置に要するスペースを最小にすることができる。更に、本実施形態によれば、浄化槽の内部におけるスカムの発生を抑制することにより、メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)の発生量を抑制できる。メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)は、地球温暖化の原因の1つとされる温室効果ガスである。よって、本実施形態にかかる浄化槽10により、メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)の発生量を抑制し、大気中における温室効果ガスの増加を抑制し、地球環境の保護に寄与できる。
【0072】
また、浄化モジュール11が組み込まれた浄化槽10により浄化処理された処理水は、BOD、COD、SS、大腸菌数、T-N、T-Pおよび油脂残留量の観点から、高度に浄化された状態となる。
【0073】
図6Aは、浄化槽10の使用状況を示す側面図である。
図6Bは、浄化槽10の使用状況を示す側面図である。
【0074】
図6Aを参照して、浄化モジュール11に処理水を流入させつつ、処理水の好気分解および嫌気分解を行う際には、空気供給部15および空気吹出部28から、第1処理空間121の内部にて曝気を行う。これにより、第1処理空間121では、処理水に酸素を供給し、処理水の好気分解を促進できる。更には、第1処理空間121の内部において、処理水を攪拌し、係る作用によっても、処理水の好気分解を促進できる。更には、攪拌の作用により、処理水に含まれる排泄物等を破砕し、粗目の有機物を微細にすることができ、好気分解を更に促進できる。また、流入部16から処理水を第1槽部12に導入しつつ、浄化モジュール11による分解を続行すると、第2処理空間131の下部に、沈降する微粒子から成る混濁物30が滞留するようになる。
【0075】
図6Bを参照して、第1処理空間121に外部から処理水が流入されない間においても、第1処理空間121の内部で、空気吹出部28から空気を供給する。このようにすることで、第1処理空間121の内部を攪拌し、第2層本体部132に堆積した混濁物30を、連通開口部14を経由して、第1層本体部122に逆流させ、第2層本体部132における閉塞を防止できる。更に、第1層本体部122に逆流した混濁物30に対して、再び曝気および攪拌を行うことができる。更にまた、第2槽部13の外側面の下部は傾斜面135であるため、この逆流の際に、混濁物30が傾斜面135により良好にガイドされ、第2処理空間131に混濁物30が残ることがない。
【0076】
図6Aに示す稼動状態と、
図6Bに示す稼動状態とは、繰り返し実行される。このようにすることで、混濁物30は何度も第1処理空間121に引き戻されて好気分解される。このようにすることで、微生物の働きが安定化して発酵力が高まることで処理効率が向上する。更に、処理水の曝気攪拌処理を更に効果的に行うことができる。
【0077】
図7を参照して、他の形態に係る浄化槽10の構成および動作を説明する。
図7に示す浄化槽10の基本構成および基本動作は、前述したものと同様である。
【0078】
ここでは、第2流出部134は第2槽部13の側面に形成される。具体的には、第1槽部12の後方に配置される第2槽部13の後面上部を部分的に開口することで第2流出部134が形成される。同様に、第1槽部12の前方に配置される第2槽部13の前面上部を部分的に開口することで第2流出部134が形成される。また、第2流出部134は、第1層17の内部において、水面23よりも下方に配置される。換言すると、第2流出部134は、処理水に浸漬される。係る構成により、第2槽部13の内部で嫌気処理されることで澄んだ処理水を、第2流出部134を経由して、第1層17に流動させることができる。
【0079】
また、第2流出部134が第2槽部13の側面に形成される場合であっても、第2槽部13の上端には開口部136が形成される。開口部136は、水面23よりも上方に配設される。このようにすることで、第2槽部13の内部にスカムが形成されることを抑制できる。更には、浄化槽10の稼働状況下において、マンホール22を開けることにより、開口部136を介して第2槽部13の内部の状況を確認することもできる。
【0080】
空気供給部31は、図示しないエアポンプと接続され、第2槽部13に貯留される処理水に空気を供給する機器である。ここでは、後方の第2槽部13のみに空気供給部31が配設されているが、空気供給部31は前方の第2槽部13にも配設される。第2槽部13に貯留された処理水に対して、空気供給部31によりエアを導入することで、第2槽部13の内部におけるスカムの発生を抑制することができる。
【0081】
図8を参照して、更なる他の実施形態に係る浄化モジュール11の構成を説明する。この図に示す浄化モジュール11の構成および動作は、前述したものと基本的には同様であり、第2槽部13の構成が異なる。当該相違する部分を以下に説明する。
【0082】
ここでは、浄化モジュール11は、第1槽部12の前方のみに第2槽部13を有しており、第1槽部12の後方には第2槽部13は形成されない。このようにすることで、浄化モジュール11の前後方向における幅を狭くすることができる。よって、前述した第1層17の内部に浄化モジュール11を配設する場合、第1層17が狭小な空間であっても、その内部に浄化モジュール11を配設することができる。
【0083】
浄化モジュール11の動作は、前述したものと同様であり、処理水は流入部16を経由して、第1槽部12の第1処理空間121に導入される。第1処理空間121の内部では、処理水に対して、空気吹出部28から曝気しつつ、好気性微生物による処理を行う。第1処理空間121の内部で処理された処理水は、連通開口部14を経由して、第2槽部13の第2処理空間131に導入される。第2処理空間131の内部では、処理水に対して、嫌気性微生物による処理を行う。かかる処理が行われた処理水は、第2流出部134から、第1層17の内部に移送される。
【0084】
ここで、第2槽部13は第1槽部12の前方側のみに配設されたが、第2槽部13は、第1槽部12の後方側のみに配設することもできる。係る構成であっても、前述と同様の効果を奏することができる。
【0085】
図9を参照して、更なる他の形態に係る浄化槽10を説明する。ここに示す浄化槽10の構成は、前述したものと基本的には同様であり、汚泥返送部36により汚泥38を第1槽部12に返送する事項が異なる。
【0086】
ここでは、浄化槽10は、空気供給部15に加えて、空気供給部151ないし空気供給部153を有する。
【0087】
空気供給部15は、外側の端部がブロワ37に接続される。ブロワ37は、圧縮空気を空気供給部15に供給する。空気供給部15の内側端部は、空気供給部151、空気供給部152および空気供給部153に分岐する。ここで、空気供給部15、空気供給部151、空気供給部152および空気供給部153は、合成樹脂等から成る略パイプ状の部材である。
【0088】
空気供給部151は、第1処理空間121の最下部近傍まで伸びる。空気供給部151は、
図5を参照して前述したように、第1処理空間121に貯留された処理水をバブリングする。
【0089】
空気供給部152は、空気供給部15から分岐し、第2処理空間131の途中部分まで下方に向かって伸びる。後述するように、空気供給部152を経由して第2処理空間131に貯留された処理水に空気を供給することで、スカムの発生を抑制できる。
【0090】
空気供給部153は、空気供給部15から分岐し、第1層17の底面近傍まで伸びる。後述するように、空気供給部153を介して、エアリフトを発生させるための気泡を供給する。
【0091】
空気供給部151、空気供給部152および空気供給部153には、夫々、調整バルブ33、調整バルブ34および調整バルブ35が介装される。調整バルブ33、調整バルブ34および調整バルブ35を調整することにより、空気供給部151、空気供給部152および空気供給部153を介して供給されるエアの流量を最適化できる。
【0092】
汚泥返送部36は、略パイプ状の部材であり、その下方部分は、第1層17の底面近傍に向かって略直線状に伸びる。また、汚泥返送部36の上方部分は、第1処理空間121の上方に至るまで、前方に向かって伸びる。汚泥返送部36の内部には、前述した空気供給部153が挿通されている。汚泥返送部36は、エアリフトの効果により、第1槽部12に返送される汚泥が通過する。ここで、汚泥返送部36を含む機器を、汚泥再処理循環器と称することもできる。
【0093】
係る構成の浄化槽10において、汚泥38が第1槽部12に返送される動作を説明する。
【0094】
先ず、浄化槽10による処理水の浄化を続けると、第1層17の底部に、剰余汚泥である汚泥38が沈殿する。
【0095】
本実施形態では、汚泥38の沈殿量を抑制するために、エアリフト効果を用いた汚泥38の返送を行っている。
【0096】
具体的には、空気供給部15から供給された空気は、空気供給部151、空気供給部152および空気供給部153に分岐する。
【0097】
空気供給部151に供給された空気は、第1槽部12の内部の底部近傍で、処理水を曝気する。
【0098】
空気供給部152に供給された空気は、第2槽部13に貯留された処理水の液面近傍に供給される。このようにすることで、第2槽部13の内部におけるスカムの成長を抑制できる。
【0099】
空気供給部153に供給された空気は、汚泥返送部36の内部において最下部近傍に供給される。そうすると、汚泥返送部36の内部において、発生した空気が上昇し、これによりエアリフト効果が発生する。
【0100】
汚泥返送部36の内部においてエアリフト効果が発生すると、汚泥38が汚泥返送部36の内部を上昇する。この結果、汚泥返送部36の前端から、処理水および空気と共に、汚泥38が第1処理空間121に返送される。返送された汚泥38は、第1槽部12の内部において生物学的処理により消化される。
【0101】
このように、汚泥返送部36の内部にて発生するエアリフト効果により、汚泥38を第1槽部12に返送することで、第1層17の底部に汚泥38が堆積することを抑制できる。よって、堆積した汚泥を除去するメンテナンスに要するコストを低減できる。更に、前述したように、槽内に於けるスカム等の発生を抑制し、温室効果ガスの発生を抑制し、地球環境の保護にも寄与する。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。例えば、
図7に示した第2流出部134の構成を、
図8に示した浄化モジュール11に適用することもできる。
【0103】
例えば、
図1Aを参照して、第2槽部13は、第1槽部12の前後に設けられたが、前後左右方向から第1槽部12を囲むように第2槽部13を設けることもできる。
【0104】
また、
図1Bを参照して、連通開口部14は、第1層本体部122の前面および後面を開口することで形成されたが、第1層本体部122の前面および後面に加えて、左側面および右側面を開口することで連通開口部14を形成することもできる。
【0105】
更に、
図2を参照して、処理水の浄化を促進するために、浄化槽10に微生物を添加することができる。添加する微生物としては、好気性微生物および嫌気性微生物の何れかまたは両方を採用できる。添加する微生物の形態としては、固形状、粉末状、液体状の何れも採用できる。微生物を添加する箇所としては、流入部16、第1層17、第2層18、第3層19、第1槽部12、第2槽部13の何れも採用できる。一方、浄化槽10の状況に応じて、即ち、浄化槽10における微生物の活動が活発であれば、微生物を人為的に添加しなくても良い。
【0106】
更にまた、
図1Aおよび
図1B等を参照した説明では、第1槽部12は底面を有していたが、第1槽部12は底面を有しない構成であっても良い。この場合は、
図2を参照して、第1槽部12の下部は、第1層17の平坦な底面に当接される。
【0107】
更に、
図1を参照して、浄化モジュール11を構成する第1槽部12および第2槽部13は、略円筒状に形成されても良い。また、第1槽部12および第2槽部13は、分割可能に構成されても良い。このようにすることで、
図2を参照して、分割された状態で第1槽部12および第2槽部13を、マンホール22を経由して第1層17に搬入し、第1層17の内部で第1槽部12および第2槽部13を接合により一体化できる。
【0108】
図9に示した、汚泥38を返送するための構成を、
図2等に示した第2層18等に適用できる。このようにすることで、第2層18の内部において汚泥38の堆積を抑制できる。
【0109】
また、
図9を参照して説明した、エアリフト効果により汚泥を返送するシステムは、浄化槽10の運転と共に連続して少量ずつ返送する様に運転しても良いし、汚泥の返送が必要とされる時のみ運転するようにしても良い。
【0110】
更に、
図9に示した、汚泥38を返送するための浄化槽10の構成は、他の槽にも適用できる。例えば、係る構成は、浄化槽調整槽、グリストラップ槽、貯留槽、下水等のポンプ槽等に適用できる。
前述した実施形態から把握可能な発明を、その効果と共に下記する。
本発明は、浄化槽の内部に配設される浄化モジュールであり、第1槽部と、第2槽部と、を具備し、前記第1槽部は、処理水が収納される第1処理空間を形成する第1層本体部と、前記第1処理空間に前記処理水が流入する第1流入部と、前記第1処理空間から外部に前記処理水が流出する第1流出部と、を有し、前記第2槽部は、前記処理水が収納される第2処理空間を形成する第2層本体部と、前記第1層本体部から前記第2処理空間に前記処理水が流入する第2流入部と、前記第2処理空間から外部に前記処理水が流出する第2流出部と、を有し、前記第2槽部は、上方に向かって開口する開口部を有することを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、内部におけるスカムの発生を抑制することができる。具体的には、第2槽部の第2流出部が、上方に向かって開口する開口部であることで、スカムが浄化槽の内部で滞留することがなく、ガスが発生することを抑制できる。更に、本発明によれば、浄化槽の内部におけるスカムの発生を抑制することにより、メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)の発生量を抑制できる。メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)は、地球温暖化の原因の1つとされる温室効果ガスである。よって、本発明は、メタン(CH4)および酸化二窒素(N20)の発生量を抑制することにより、大気中における温室効果ガスの増加を抑制し、地球環境の保護に寄与でき、更には脱炭素化を促進できる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第1流出部および前記第2流入部は、前記第1層本体部の下端側を開口した連通開口部であることを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、第1層本体部の下端側を開口した連通開口部により、第1槽部と第2槽部とが連通することで、第1槽部により浄化処理された処理水を、効果的に第2槽部に移送することができる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第2槽部は、前記第1槽部を挟むように配置され、前記連通開口部は、前記第1槽部の対向する側面に、それぞれ形成されることを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、第2槽部が第1槽部を挟むように複数が配置されることから、複数の第2槽部開口から処理水を放出することができ、処理の高速化を実現できる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第1槽部の内部に空気を供給する空気供給部を、更に具備することを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、空気供給部により第1層部の内部を曝気し、第1槽部の内部で処理水を好気分解することができる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記空気供給部は、前記第1処理空間に外部から前記処理水が流入される間は、前記第1処理空間の内部で前記空気を供給することにより、前記処理水を曝気し、前記第1処理空間に外部から前記処理水が流入されない間は、前記第1処理空間の内部で前記空気を供給することにより、前記処理水を攪拌することを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、処理水が流入されない間に、前記処理水を攪拌することにより、第2層本体部に堆積した堆積物を、第1層本体部に逆流させ、第2層本体部における閉塞を防止できる。即ち、微細粒子が底部において固まることがなく、処理水が渦を巻くように流動し、或いは処理水が吸引されることにより、微細粒子が適度に流動する状況を作り出すことができる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第2流出部は、上方に向かって開口する開口部であることを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、上方に向かって開口する開口部から処理後の処理水を放出できる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第2流出部は、前記第2層本体部の側面を開口した開口部であることを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、開口部から側方に向かって処理後の処理水を放出できる。
また、本発明の浄化モジュールでは、前記第2槽部は、前記第1槽部の一方側のみに配設されることを特徴とする。本発明の浄化モジュールによれば、その幅を狭くし、狭小な空間に浄化モジュールを配設できる。
また、本発明の浄化槽では、前記浄化モジュールが配設されることを特徴とする。本発明の浄化槽によれば、第2槽部の第2流出部が、上方に向かって開口する開口部であることで、スカムが浄化槽の内部で滞留することがなく、ガスが発生することを抑制できる。
【符号の説明】
【0111】
10 浄化槽
11 浄化モジュール
12 第1槽部
121 第1処理空間
122 第1層本体部
123 第1流入部
124 第1流出部
13 第2槽部
131 第2処理空間
132 第2層本体部
133 第2流入部
134 第2流出部
135 傾斜面
136 開口部
14 連通開口部
15 空気供給部
16 流入部
17 第1層
18 第2層
19 第3層
20 区画壁
21 区画壁
22 マンホール
23 水面
24 水面
25 水面
26 流入部
27 流入部
28 空気吹出部
29 濾材
30 混濁物
31 空気供給部
32 網部
33 調整バルブ
34 調整バルブ
35 調整バルブ
36 汚泥返送部
37 ブロワ
38 汚泥
【要約】
【課題】内部におけるスカムの発生を抑制することができる浄化モジュールおよびそれを備えた浄化槽を提供する。
【解決手段】浄化モジュール11は、浄化槽10の内部に配設され、第1槽部12と、第2槽部13と、を具備する。第1槽部12は、処理水が収納される第1処理空間121を形成する第1層本体部122と、第1処理空間121に処理水が流入する第1流入部123と、第1処理空間121から外部に処理水が流出する第1流出部124と、を有する。第2槽部13は、処理水が収納される第2処理空間131を形成する第2層本体部132と、第1層本体部122から第2処理空間131に処理水が流入する第2流入部133と、第2処理空間131から外部に処理水が流出する第2流出部134と、を有する。第2流出部134は、上方に向かって開口する開口部である。
【選択図】
図1A