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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】解放可能ケーブル結束具
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/12 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
B65D63/12 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020548868
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2018062873
(87)【国際公開番号】W WO2019108671
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-12-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】62/593,908
(32)【優先日】2017-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520344578
【氏名又は名称】ケイエムエル ホールディング グループ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100111224
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 攻治
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・アール・マクドゥウェル3世
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4236280(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113660(US,A1)
【文献】特開2012-056629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解放可能ケーブル結束具において;
一体成型された熱可塑性の細長い平坦なストラップであって、一方の面に形成された複数のストラップ歯を備えるストラップと;
前記ストラップの一方の端部に該ストラップと一体に形成されたロックヘッドと、から構成され、
前記ロックヘッドが、
前記ストラップの前記一方の端部に隣接した該ロックヘッドの第1の端部にあるロックヘッド自身を貫通する開口部であって、当該開口部は前記ストラップの他方の端部を受け入れ、当該他方の端部は前記開口部内にロック方向に挿入可能で、束ねられるケーブルを受け入れるためのループを形成し、前記ストラップ歯が前記ループの外側で前記束ねられるケーブルとは反対側の面に配置される開口部と;
前記ストラップ歯と相補的であり、前記開口部内の上部に延びて前記ストラップが解放方向に移動することを阻止するため前記ストラップ歯の少なくとも1つと係合するよう形成された少なくとも1つのラッチロック歯を有する解放可能ラッチと;
前記解放可能ラッチから前記ロックヘッドの第2の端部に向けて水平方向に延びる主平面を有するパッドであって、使用者の親指によって押し付けられると前記解放可能ラッチにある屈曲線を中心に屈曲して前記ストラップが前記解放方向へ移動可能となるよう前記少なくとも1つのロック歯を前記少なくとも1つのストラップ歯との係合から解除するパッドと;
前記開口部の下部から前記ロックヘッドの第2の端部に向けて水平方向に延びる主平面を有し、使用者の人差し指のサポートを提供するよう形成されたバックプレートと、を具えており、
前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面の下に位置し、前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面よりも広く、長いため、前記パッドの主平面よりも外側まで広がり、前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面とほぼ平行であり、前記パッドと前記バックプレートは、前記ストラップが前記開口部内にあるときに前記ループから離れる方向に前記ストラップに対してほぼ直角に延びており、前記解放可能ケーブル結束具が前記ストラップでケーブルを束ねて密集した中で使用された状況下においても、使用者が前記パッドと前記バックプレートを親指と人差し指の間でつまんで前記屈曲線の周りに変形させ、前記ロック歯を解放するようつままれた前記パッドと前記バックプレートを引くことによって前記解放可能ケーブル結束具の拘束を緩めもしくは取り除き可能となるよう、使用者が当該パッドとバックプレートに容易にアクセス可能に形成されていることを特徴とする解放可能ケーブル結束具。
【請求項2】
前記少なくとも1つのラッチロック歯は、前記ストラップ歯が前記開口部を移動する際に当該ストラップ歯と対向する側の開口部にあり、前記パッドの動きにより直接動作して前記少なくとも1つのラッチロック歯を前記少なくとも1つのストラップ歯とのロック係合から解除して前記ストラップが前記解放方向へ移動するに十分な距離だけ移動させる、請求項1に記載された解放可能ケーブル拘束具。
【請求項3】
前記パッドが、前記ストラップの幅の少なくとも90%の幅を有する、請求項1に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項4】
前記パッドが、自身の遠隔端につまみ部を有する、請求項3に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項5】
前記少なくとも1つのラッチロック歯が前記解放可能ラッチの一方の端部に配置され、前記パッドが前記解放可能ラッチの他方の端部に配置され、当該解放可能ラッチはさらに該解放可能ラッチを支持する支点を有し、これにより前記パッドの端部への圧力が前記解放可能ラッチを前記支点の回りに屈曲させて前記少なくとも1つのラッチロック歯を前記少なくとも1つのストラップ歯との係合から解除する、請求項1に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項6】
前記支点が前記少なくとも1つのラッチロック歯より下側に位置している、請求項5に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項7】
前記ロックヘッドが、前記解放可能ラッチを補強して前記解放ラッチのための前記支点と屈曲線とを定めるよう構成され形成された側壁を含む、請求項6に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項8】
電気ケーブルを束ねて保持する方法において;
一方の面に複数のストラップ歯を備えた樹脂製の細長く平坦なストラップと前記ストラップの一方の端部に該ストラップと一体に形成されたロックヘッドを提供し;
前記ロックヘッドの開口部内に前記ストラップの他方の端部をロック方向に挿入して束ねられるケーブルを受け入れるループを形成し、この際に前記複数のストラップ歯が前記ループの外側で前記束ねられるケーブルから離れる方向に配置され、前記ロックヘッドは前記ループから離れる方向に前記ストラップに対してほぼ直角に延びており;
前記ストラップの開放方向への移動を阻止するため、前記ストラップ歯と相補的で前記開口部内に延びている前記ロックヘッドの解放可能ラッチに形成された少なくとも1つのロック歯を少なくとも1つのストラップ歯と係合させて前記ストラップを前記ロックヘッド内でロックし;
パッドとバックプレートを2本の指を使って一緒に摘まみ、屈曲線に沿って屈曲させて前記ロック歯による前記ストラップ歯への係合を解除し、前記ストラップを解放方向に移動させるよう前記ロックヘッドにある解放可能ラッチを操作することによって前記ロックされたストラップを解放し、
ここで前記パッドは前記開口部から離れる方向に前記解放可能ラッチの上部から水平方向に延びる主平面を有し、前記バックプレートは前記開口部から離れる方向に前記解放可能ラッチの下端から水平方向に延びる主平面を有しており、前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面の下に位置し、前記バックプレートの主平面は、前記パッドの主平面よりも広く、長いため、前記パッドの主平面よりも外側まで広がり、前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面とほぼ平行であり、前記パッドと前記バックプレートは前記ストラップが前記開口部内にあるときに前記ループから離れるように前記ストラップにほぼ直角に延びており、前記解放可能ケーブル結束具がケーブルを前記ストラップで束ねて密集した中で使用された状況下においても使用者が前記パッドと前記バックプレートを親指と人差し指の間でつまめるよう前記パッドとバックプレートには容易にアクセス可能であり、
前記ロック歯を解放するためにつままれた前記パッドとバックプレートを引くことによって前記ストラップを前記ロックヘッドから外すこと、
からなることを特徴とする電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのラッチロック歯は前記ストラップが開口部を移動する際に該ストラップの歯の面に対向する側の前記開口部にあり、前記少なくとも1つのラッチロック歯は前記パッドの動きによって直接操作され、前記ストラップの前記解放方向への移動を可能にするよう前記少なくとも1つのストラップ歯とのロック係合から前記少なくとも1つのラッチロック歯を十分な距離だけ移動させる、請求項8に記載された電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項10】
前記パッドが、前記ストラップ幅の少なくとも90%の幅を有し、自身の遠隔端につまみ部を有する、請求項8に記載された電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項11】
前記パッドが、前記ストラップ幅の少なくとも95%の幅を有する、請求項8に記載された電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのラッチロック歯は前記解放可能ラッチの一方の端部に配置され、前記パッドは前記解放可能ラッチの他方の端部に配置されており、前記解放可能ラッチはさらに該解放可能ラッチを支持して前記少なくとも1つのラッチロック歯の下側に配置された支点を有し、これにより前記パッドの端にかかる圧力が前記解放可能ラッチを前記支点の回りに屈曲させ、前記少なくとも1つのラッチロック歯を前記少なくとも1つのストラップ歯との係合から解除する、請求項8に記載された電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項13】
前記ロックヘッドが、前記解放可能ラッチのための前記支点と前記屈曲線を定めて補強するよう構成され配置された側壁をさらに含む、請求項12に記載された電気ケーブルを束ねて保持する方法。
【請求項14】
解放可能ケーブル結束具において、
第1の面に形成された複数の歯を有する細長い平坦なストラップと;前記ストラップの第1端部に形成されたロックヘッドとから構成され、前記ロックヘッドが、
前記ストラップの第1の端部に隣接する該ロックヘッドの第1の端部に該ロックヘッドを貫通するよう形成された開口部であって、該開口部は前記ストラップの軸に横向きに形成され、該開口部は前記複数の歯が前記開口部の第1の側に対向するよう前記ストラップの第2の端部を受け入れ、前記ストラップが前記開口部内に挿入されると束ねられる電気ケーブルを受け入れるためのループを形成し、その際に前記複数の歯が前記ループの外側となる開口部と;
前記開口部内部の前記第1の側の上側に延びる少なくとも1つのロック歯を有する解放可能ラッチであって、前記少なくとも1つのロック歯は少なくとも1つのストラップ歯と係合するよう前記ストラップの複数の歯と相補的であり、前記少なくとも1つのロック歯と前記少なくとも1つのストラップ歯との係合が前記ループの周囲を縮めるよう前記ストラップが第1の方向へ移動することを可能にすると同時に、該ストラップが広がるかもしくは前記ループを解消する第2の方向への移動を阻止する解放可能ラッチと;
前記解放可能ラッチから前記ロックヘッドの第2の端部に向けて延びる主平面を有するパッドであって、前記ストラップの幅の少なくとも95%の幅を有し、自身の遠隔端につまみ部を有するよう形成されたパッドと;
前記開口部から前記ロックヘッドの前記第2の端部に向けて延びる主平面を有するバックプレートと;
前記解放可能ラッチを支持し、該解放可能ラッチの屈曲線を提供するよう該解放可能ラッチの下側に位置する支点と;
前記解放可能ラッチを補強し、該解放可能ラッチのための前記支点と屈曲線を定める側壁と、を具えており、
前記ロックヘッドのパッドの主平面と前記バックプレートの主平面は、前記ストラップが前記開口部内にあるときに前記ループから離れる方向に前記ストラップからほぼ直角に延び;
前記パッドの主平面は使用者の第1の指によって押し付けられるよう形成され;
前記バックプレートの主平面は使用者の第2の指によって支持されるよう形成され;
前記少なくとも1つのラッチロック歯は、前記パッドの動きによって直接操作され、これによって該パッドの下方向への十分な動きが前記少なくとも1つのラッチロック歯を前記少なくとも1つのストラップ歯とのロック係合から移動させて前記ストラップの前記第2の方向への移動を許容し、
前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面の下に位置し、
前記バックプレートの主平面は、前記パッドの主平面よりも幅が広く、長いために前記パッドの主平面よりも外側まで広がり、
前記バックプレートの主平面は前記パッドの主平面とほぼ平行であり、
前記解放可能ケーブル結束具が前記ストラップでケーブルを束ねて密集した中で使用された状況下においても、使用者が前記パッドと前記バックプレートを親指と人差し指の間でつまんで前記屈曲線の周りに変形させ、前記ロック歯を解放するようつままれた前記パッドと前記バックプレートを引くことによって前記解放可能ケーブル結束具の拘束を緩めもしくは取り除き可能となるよう、使用者が当該パッドとバックプレートに容易にアクセス可能に形成されていることを特徴とする解放可能ケーブル結束具。
【請求項15】
前記バックプレート上の前記第2の指は、前記第1の指が前記パッドを押し付けできるレバー効果を及ぼす、請求項14に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項16】
使用者が前記ストラップを前記ロックヘッドから取り除くよう前記ロックヘッドを前記第1および第2の指の間につまむことが可能である、請求項14に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項17】
前記バックプレートが、前記第2の指により把持可能な開口を有する、請求項14に記載された解放可能ケーブル結束具。
【請求項18】
前記パッドの長さと前記バックプレートから上の前記パッドの高さのいずれか一方もしくは双方が、前記ストラップの幅の関数である、請求項14に記載された解放可能ケーブル結束具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月 2日提出の米国仮特許出願番号62/593,908の部分継続出願である。
【0002】
本発明は、対象物を一緒に束ねて保持するための結束具装置および結束方法に関する。1つの態様では、本発明は電気ケーブルを一緒に束ねるための結束具装置および結束方法に関する。また1つの態様では、本発明は航空機産業で使用される電気ケーブル結束具装置および結束方法に関する。
【背景技術】
【0003】
結束具は、電源コードや電気ケーブルその他束ねるべき対象物を結束して固定するために使用され、これにより電源コードや電気ケーブルを一緒にしっかりと確実に束ねて保持する役割を果たす。
【0004】
米国特許第8,499,419号は、解放を容易にするためのアーム17を有する解放可能結束具を開示しているが、アーム17の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第4,236,280号は、ラッチ26と同ラッチ26の屈曲線もしくはピボット線を有する解放可能結束具を開示しているが、ラッチ26の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第3,991,444号は、使用者の指の爪に係合する剛性レバー42を有する解放可能ケーブル拘束具を開示している(第3欄第37-40行目および第59-62行目)。
米国特許第3,908,233号は、延長部260を有する解放可能ケーブル結束具を開示しているが、当該延長部260の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第4,805,856号は、解放レバー29を有する解放可能ケーブル結束具を開示しているが、当該解放レバー29の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第6,185,791号は、ラッチ22を有する解放可能ケーブル結束具を開示しているが、当該ラッチ22の寸法諸元はどこにも開示していない。
特許第7,866,005号は、解放タブ42を有する解放可能結束具を開示しているが、当該解放タブ42の寸法諸元はどこにも開示していない。
【0005】
米国特許第5,901,416号は、クリップ28を有する解放可能結束具を開示しているが、当該クリップ28の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第5,890,265号は、ロックタブ36の先端部分42を有する平行挿入結束具を開示している。拘束ヘッドの歯44から外すには当該先端部分42が上方に持ち上げられる。
米国特許第5,193,250号は、爪28からの遠隔端で上向きに突出する延長部34を有する解放可能ケーブル結束具を開示している。
米国特許第5,687,455号は、アーム19の操作端20を有する解放可能円形ファスナを開示しているが、当該アーム19の寸法諸元はどこにも開示していない。
米国特許第5,577,698号は、祭日装飾具を保持するためのロック部材を有する祝賀装飾用の搭載部を開示している。
米国特許第4,813,105号は、アクセスし難い領域における航空機の困難環境用にケーブルやワイヤを束ねるクランプの爪16の上部88を有するケーブル・クランプを開示している。
米国特許第3,747,164号は、部材62を有する回転式解放ストラップを開示している。
米国特許第8,955,198号は、ストラップ本体との相互ロックを手動で解除するための親指プレート82を開示している。
【0006】
今日市場で入手可能な結束具では、きつく束ねて締め付けられると電源コードや電気ケーブルを傷付けることなく解放することができない。結束された状態にある電源コードや電気ケーブルその他の対象物の数を増減したいとき、あるいは既に拘束状態にある対象物を再配置したいときなどには、従来の結束具ではこれを切断して新しいものと取り替える必要があった。これは不便でコストがかかるばかりでなく、もっと重要なことには電源コードまたは電気ケーブルの損傷につながりかねないことである。もし結束具に束ねられた電源コードや電気ケーブルが損傷を受けると、電気配線全体を交換してやり直す必要がある。今日の大型旅客機の生産においては、何マイルにも及ぶ電気ケーブルを交換して初めからやり直さなければならなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解放可能ケーブル結束具装置および結束方法は、上述した従来技術における欠点および問題点を克服するための手段および方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、ストラップとロックヘッドとを含む解放可能ケーブル結束具を提供する。前記ストラップは第1の端部と反対側の第2の端部とを有する。前記第1の端部はロックヘッドに接合されている。前記ロックヘッドは、開口部を設けるよう形成されている。前記ストラップの反対側の第2の端部は、前記ロックヘッドの開口部を通して挿入され、ロックヘッドと係合して所定位置でロックヘッドに固定される。
【0009】
前記ロックヘッドは、ベースプレートと、一対の第1の側壁と、第2の側壁と、操作ロッドとを含んでいる。前記ベースプレートは、前記ロックヘッドの開口部を提供するよう形成され、前端と後端を有する。前記一対の第1の側壁は、前記ベースプレートの前端で対向する2つの側面にそれぞれ形成されている。前記第2の側壁は前記ベースプレートの前端に配置され、前記第1の側壁にそれぞれ接続する2つの平行な側面を有している。
【0010】
本発明の前記ロックヘッドの操作ロッドは、前記ベースプレートの開口部の上方に設けられ、接続部材を介して前記第1の側壁と相互に接続されている。当該操作ロッドは、第1の上面を持つ。前記操作ロッドの少なくとも1つの第1の係合歯が、前記第1の上面から垂直方向下向きに延びて所定の深さに設けられている。少なくとも1つの第1の係合歯は、歯の深さを画定する第2の上面を有している。前記操作ロッドはさらに、前記ストラップから離れる方向に操作ロッドから延びるアームを含んでいる。
前記ストラップは上面と底面を有しており、上面はストラップの底面よりも前記操作ロッドのアームに近接している。前記ストラップの底面には、前記ロックヘッドの操作ロッドの第1の係合歯と係合可能な複数の第2の係合歯が設けられている。当該第2の係合歯は、所定の歯の深さを有する。前記ロックヘッドの第1の係合歯の深さは、前記ストラップの第2の係合歯の深さよりも深く、前記所定の深さは、所定の歯のピッチよりも大きい。
【0011】
本発明の主要な目的は、本発明に係る解放可能結束具を提供することにあり、ここでは前記ストラップが前記ロックヘッドの開口部を通して挿入された後、前記ロックヘッドの第1の係合歯の第1の歯の深さが前記第2の係合歯の第2の歯の深さよりも深いことによって、前記第1の係合歯とそれに係合する前記第2の係合歯との間に小さな隙間が形成される。その結果、前記ストラップの挿入抵抗が軽減され、前記開口部を通過する前記ストラップ本体の挿入が容易になる。
【0012】
本発明の他の目的は、前記操作ロッドの第1の上面と前記ロックヘッドの第1の係合歯との間の所定深さと、前記ストラップの第2の係合歯の所定の歯ピッチとによって特徴付けられる本発明の解放可能ケーブル結束具および同方法を提供することであり、ここで前記ストラップが前記ロックヘッドの開口部に第1の方向に挿入されたときに前記ストラップの第2係合歯が前記操作ロッドの第1の係合歯と係合する。前記所定の歯のピッチよりも大きい前記所定の深さは、少なくとも2つの第2の係合歯を同時に受け入れることができ、これによって解放可能結束具の引張りに対する抵抗力を増大させている。
【0013】
本発明の解放可能ケーブル結束具および結束方法の他の目的は、ロックヘッドの操作ロッドの第1の上面が延長した長さを持つ解放可能結束具を提供することである。当該延長した長さにより、ストラップに外力が加わったときでも操作ロッドが簡単にひっくり返ることがなく、前記ロックヘッドから前記ストラップが緩まないようストラップに圧力を及ぼす。
【0014】
本発明の他の目的は、前記操作ロッドから前記解放タブのアームが延びていることによって、使用者が前記アームに容易に力を及ぼして前記操作ロッドの少なくとも1つの第1の係合歯を前記ストラップ本体の第2の係合歯から外すことができ、これによって前記ストラップ本体の反対側の第2の端部を前記ロックヘッドの開口部から引き出し可能とする本発明の解放可能結束具装置および結束法を提供することである。このように、当該解放可能結束具は、操作が簡単で、繰り返し使用することができ、使用コストが低く、そしてより重要なことにはケーブル結束具が解放されて取り除かれる際に電源コードや電気ケーブルに何らの損傷をも与えないことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の結束具および結束方法の上述したこれらの目的、およびさらなる目的は、以下に示す技術図面の明確な表示および詳細な説明を精査することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の構造、ならびに本発明の好ましい使用モード、さらなる目的および利点は、本発明の解放可能ケーブル結束具の例示的な実施形態の詳細な説明を以下の添付の技術図面の明確な表示とともに参照することによって理解されるであろう:
図1】本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具の平面図である。
図2】本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具の立面図である。
図3】本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具の拡大平面図である。
図4】本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具の拡大立面図である。
図5】本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具の立面図であり、ロックヘッド内の所定位置に保持された解放可能ストラップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、固定効果を達成するために細長いストラップの係合歯が採用され、ロックヘッドの係合歯との間の解放可能な係合が新規な方法で操作される、解放可能ケーブル結束具を含んだ新規の結束具装置および結束方法を提供する。以下の詳細な説明で参照される図面は、本発明に係る新規の解放可能ケーブル結束具の重要な特徴を特定し、描写し、証明する。
【0018】
まず図1を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る解放可能結束具10は、細長い平坦なストラップ20と、ロックヘッド30とを含んでいる。ロックヘッド30は、開口部12を備えており、当該開口部12は、ロックヘッド30を完全に貫通して延びるチャネル、通路、あるいは窓口を提供している。細長いストラップ20は、第1の端部14および反対側の第2の端部16を有する。 ストラップ20の第1の端部14は、ロックヘッド30に結合している。ストラップ20の反対側の第2の端部16は、ロックヘッド30の開口部12内に挿入され、ロックヘッド30と係合してロックヘッド30の所定位置に固定され、束ねられる対象物を結束することができる。
解放ストラップ20は長尺の長さ18を有することが図示されている。ストラップ20の上面にある解放可能ロック歯22は、調節可能なストラップをロックヘッド30内に固定するための手段を提供する。解放ガイドレール24は、ストラップ20をロックヘッド30の開口部12内に滑り込ませる手段を提供する。 解放ストラップの舌部26は、ガイドレール24の開口部12内への挿入をガイドする。
【0019】
次に図1の平面図およびこれに対応する図2の立面図を参照すると、解放ヘッド30の底板28は、人差し指パッドサポート32と一体になっている。解放親指パッド34には、解放つまみ部(release ripple trip)/親指グリップ36が設けられている。ストラップ20にはストラップ底部38が表示されている。
次に図3および図4を参照すると、解放ロックヘッド42は、解放ヘッド側壁44および頂部解放ヘッド46を含んでいる。ロックヘッド30は、人差し指パッド48と、解放ヘッド開口挿入部/ストラップ開口部12と、ストラップ挿入枠壁54と、解放タブ通過部56と、解放ヘッドロック歯58と、そして解放タブの支点62が組み込まれている。人差し指パッド48は、親指パッド34の背後で下方に配置されたバックプレートを提供している。
【0020】
本発明に係る「安全ケーブル結束具 新EZ解放可能」ケーブル結束具のデザインは、迅速で容易な解放、加えて快適な解放トリガー反応を提供することが見出されている。当該「EZ解放可能」結束具は、技術図面の正確な表示に示されているように、親指パッドもしくはパドル34に新規な幅広い解放つまみ部/親指グリップ36を使用しており、前記親指パッドもしくはパドル34は、使用者にとってより大きく幅広い領域を生み出している。当該「EZ」解放可能結束具は、親指パッド34の表面積が大きいことにより、またロック歯58を解放するのに必要な力または引っ張り力が使用者の親指の幅全体に広がることにより、迅速な解放とスムーズな操作を実現する。つまみ部36のある親指パッド34は、操作者の平均親指幅の3分の1から2分の1(1/3から1/2)の広さがあり、これがより快適な押し込み(squeeze)と解放操作を可能にしている。平均的な親指幅は約2.5cmとされている。親指パッド34は、所定の幅に形成されている。
【0021】
本発明の親指パッド34は、ストラップ20の幅の少なくとも90%の幅を有するように形成される。好ましい実施形態では、親指パッド34は、スラップ20の幅の少なくとも95%の幅を有するように形成される。1つの実施形態では、親指パッド34は幅7.6mmのストラップ20に対して7.5mmの幅を有する。1つの実施形態では、親指パッド34は5.6mm幅のストラップ20に対して5.5mmの幅を有する。1つの実施形態では、親指パッド34は幅4.6mmのストラップ20に対して4.5mmの幅を有する。
人差し指バックプレート48は、少なくとも親指パッド34の幅および長さと同じ幅および長さの寸法を有する。 換言すれば、指のバックプレート48の幅および長さは、少なくとも親指パッド34と同じ幅および長さである。
【0022】
親指パッド34の0.5mmの解放移動距離は、解放ヘッドロック歯58をストラップ歯22から後退作動させて本発明のケーブル結束具を解放させることになる。
人差し指バックプレート48は、少なくとも親指パッドの幅と長さの100%の寸法のバックプレートを提供する。
大人の親指の平均的な幅は約2.5cmである。前記親指パッド34は、幅が少なくとも3mm、長さが少なくとも6.5mmあり、前記平均的な親指幅に対応してより快適な押し込みと解放操作を実現している。
【0023】
親指パッド34の長さは、結束具10の寸法との関数である。ストラップ20の寸法が7.6mmである結束具10には、親指パッド34の長さは少なくとも5mmから最大19mmまでの範囲の長さ関数が対応しており、好ましい親指パッドの関数の大きさは14mmで使用時の快適さと使いやすさの両方が実現される。
人差し指のバックプレート48から上の親指パッド34の高さは、結束具10の寸法との関数である。7.6mmのストラップ20の寸法を有する結束具10には、少なくとも2mmから7mmまでの範囲の高さを備えた親指パッド34が対応しており、快適さと使い易さの両方のためには、好ましい関数の高さは人差し指バックプレート48の高さよりも3.5mm高いことである。
【0024】
結束具10の寸法が大きくなるにつれて親指パッド34の長さと関数の範囲が大きくなり、結束具10の寸法が小さくなるにつれて親指パッド34の長さと関数の範囲が小さくなる。
結束具10の寸法が大きくなるにつれて人差し指バックプレート48から上の親指パッド34の高さが前記関数の範囲に対して大きくなり、結束具10の寸法が小さくなるにつれて人差し指バックプレート48から上の親指パッド34の高さが前記関数の範囲に対して小さくなって、平均的親指幅を受け入れてより快適な押し込みと解放動作を生み出す。
従来技術の解放可能ケーブル結束具は通常はるかに小さな解放タブしか有しておらず、指または指の爪に掛かる圧力を高め、ストラップのロック歯からロックヘッドのロック歯を解除するにははるかに大きな力を必要とする。従来技術は、特には狭い空間やきつく締め付けられた際には、使用者がケーブル結束具をロック位置から適切に解放することをより困難にし、時には不可能にする緊張を及ぼすこともある。
【0025】
図3図4とを参照すると、ここにはロックヘッド30の解放ロックヘッド42の構造を示しており、上部解放ヘッド46は、結合されて一体的に形成された解放ヘッド下部28を含んでいる。内部開口枠壁54は、解放ロックヘッド42の解放ヘッド側壁44間に延びている。 解放親指パッド34の下側の解放タブ支点62は、解放親指パッド34を補強している。当該解放タブ支点62は解放親指パッド34の直立部分と結合し、解放親指パッド34を強化するばかりでなく、解放親指パッド34の屈曲線もしくはピボット線を定めている。解放ヘッド側壁44の側面はまた、解放ヘッド側壁44よりも低い高さで後方に延びる部分を含み、解放親指パッド34を横方向の干渉から保護し、解放ヘッド側壁44に追加の強度を提供するのに役立っている。
【0026】
親指パッド34と一体的に形成され、それに沿って移動するよう解放ヘッド開口部12内に延びているのはロック歯58である。図示の実施形態では、親指パッド34の内部表面上の2つのロック歯が、解放ロックヘッド42内で解放親指パッド34の一部を形成している。ロックヘッドのロック歯58は、ストラップ20の歯22と相補的関係にあり、解放ヘッド開口部12内に十分な長さで延びて選択されたストラップロック歯22と協同し、相互保持される複数の電力コードや電気ケーブルを取り巻くストラップを所定位置でロックしている。
【0027】
次に図3および図4を参照して、拡大された平面図が解放ストラップ20を表している。噛み合い歯あるいは突起部22は、解放ストラップ20の上面から比較的短い距離だけ延び、それによりロックヘッド42内の横向き解放ヘッド開口部12を通過して挿入された解放ストラップ20の締め付けを強化する。
本発明の解放ストラップ20は、複数の細長い電線(図示せず)の周りで位置決め固定することができる。ストラップ20の反対側の第2の端部16は、一体に寄り合って固定され束ねられる複数の電線等の周りにストラップ20がぴったりと引き寄せられるまで解放ヘッド開口部12の横向き開口部内に挿入される。解放ストラップ20が電線の周りにしっかり引っ張られると、相補的な解放ロック歯22は、ロックヘッド歯58と関係してロックされる。ベース部分に垂直な歯22のエッジは、解放親指パッド34の内面に垂直な歯58のエッジに当接する。
【0028】
ロック歯22の当接した平面は、選択されて協働する歯58の同様な協働面と係合しているため、解放方向へ向かう後退もしくは移動が阻止される。ストラップ10の平面に対する解放ヘッド開口部12の横向きの関係のため、歯22と58との相補的な構造は、ベース部分が解放方向に引き寄せられても互いに解放されることなくより強固に係合する。
ストラップ20の歯22からのロック歯58の解除は、解放親指パッド34に加えられる積極的な下向きの力によってかなえられる。この時、解放ヘッド42の解放タブ支点62に対して解放親指パッド34が折り曲げられ、これによってストラップ20の歯22との係合からロック歯58が解除される。親指パッド34の0.5mmの解放動作はストラップ歯22との係合から解放ヘッドロック歯58を引き離し、本発明の解放ケーブル結束具を解放する。その後、ストラップ20を横向き解放ヘッド開口部12内を解放方向に移動させ、当該結束具10からの電源コードまたは電気ケーブル(図示せず)を調整しまたは取り外すことができるようになる。
【0029】
次に図5を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る解放可能ケーブル結束具10の立面図は、ロックヘッド30内の所定位置で保持されている解放可能なストラップ20を示している。ストラップ20は、ロックヘッド30を解放する一体型の解放可能なラッチ機能によって容易に解放可能であり、所望により容易に再結束したり調整したりすることが可能である。
解放ケーブル結束具10は、好ましくはナイロンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から一体に成型され、所望の動作ならびに望ましいラッチ効果と解除を可能にする十分な強度および弾力性を有する。
解放ケーブル結束具10は、特定の産業用途における使用を促進するために色分けすることもできる。
【0030】
詳細な説明および技術図面の正確な表示に対する参照符号の特定は、本発明の新規の解放可能ケーブル結束具の現時点での好ましい実施形態を示しているが、変更は可能であり、本発明は添付の特許請求の範囲内のみに限定されることが意図されている点は理解されるであろう。
【0031】
本発明の解放可能ケーブル結束具は、操作ロッドに解放タブを備え、当該解放タブは締め付けられたときに結束具の上部から直立して立ち上がる。結束具はさらに、解放タブの下方で背後に配置されたバックプレートを有し、解放する際に解放タブをつまみやすくしている。
本発明の解放可能ケーブル結束具は、大きく幅広い親指パッドもしくはパドル解放部と、解放親指タブの下方で背後に配置された人差し指パッドのバックプレートを備えている。この大きく幅広の親指パッドは、使用者が容易にアクセスできるよう解放可能ラッチ上に好ましい長さと幅で形成されている。この大きなパッドあるいはパドル解放部と人差し指パッドバックプレートにより、余分な力を使用することなく解放タブ自体をつまんで解放し易くしている。当該人差し指バックプレートは、本発明の親指パッドの背後で下方に配置されている。
【0032】
本発明の解放可能ケーブル結束具は、締め付けられたときに幅広解放タブパッドがストラップ上に直接横たわるのではなく、ストラップから直立して立つことで非常に重要な利点を提供する。締め付け時にこの幅広い解放タブパッドがストラップの上に直接横たわることなく、ストラップから所定距離だけ離れて立ち上がることで、使用者が解放タブパッドの両側に指を置く十分な余地が生じ、結束具をつまんで解放するための十分なレバー効果を与えることができる。従来からの古い技術では、結束具がきつく締め付けられると解放タブの後ろに指が入る余地がなくなる。従来技術のケーブル結束具を使用した場合、タブ上で結束具を解放可能にするだけの十分なレバー効果を得ることは困難であるか、あるいはほぼ不可能であることが知られている。
【0033】
本発明の解放可能ケーブル結束具は、現在知られている他の解放可能ケーブル結束具と比較して、結束具がケーブル束から容易に解放されるように構成されているという点で重要であり、新規である。本発明の解放タブパッドは、ストラップの中央ではなくヘッドの上部にある。ストラップの中央に解放タブがある解放可能ケーブル結束具では、電気ケーブルがきつく締め付けられていると、ケーブル結束具が束になった電気ケーブルの周りに位置することになって解放が非常に困難になる。
従来技術のケーブル結束具では、作業者が解放タブ自体にレバー効果を何ら及ぼすことができないため、狭いスペースにおいてロックヘッドの解放タブを押さえることが非常に困難であり、ほとんど不可能である。
【0034】
本発明の新規の解放タブパッドにより、使用者/作業者は、電気ケーブル束の周りにきつく締め付けられていても解放タブパッドへのアクセスが可能となる。
本発明のケーブル結束具によれば、ケーブル結束具が電気ケーブル束の周りにきつく締め付けられているがためにワイヤーカッターなどでケーブル結束具を切り離す手段に頼らざるを得ない、などということはなく、容易に解放することができる。これまで解放可能ケーブル結束具が適切に外れないときには、使用者/作業者はケーブル結束具を取り外すために切断するほかなかった。この際、ストラップで一緒に固定されている電気ケーブルは切削工具の刃による損傷のリスクが高まる。電線束が損傷すると束内の電線が損傷することで使用不能となり、電線に損傷がないことを保証するには電線ケーブルアセンブリごと全体を完全にやり替えねばならない。
【0035】
本発明の解放ケーブル結束具は、解放タブパッドへのアクセスを容易にしており、過重負荷がかかったストラップであっても解放タブへ手を差し延べて解放することは容易である。
本発明の新規の解放タブパッドは、過去の従来技術タブと比較してはるかに大きく幅広いため、押し込みがはるかに容易である。
本発明の解放可能ケーブル結束具は、使用者/作業者が両手を差し込むスペースがなく到達困難なスポットであってもアクセスを容易にする。
大きくて幅広い解放親指パッドと指板バックプレートとを有する本発明の大きな解放タブは、迅速で容易な解放を目的とした2本の指の素早い差し込みを可能にする。
【0036】
従来技術によるこれまでのケーブル結束具では、先行米国特許文献に開示され記載されているような逆ヘッド解放可能ケーブル結束具が本発明の大きく幅広い親指パッドよりもはるかに小さなヘッド設計とはるかに細いストラップデザインになっていた。従来のケーブル結束具の小さなヘッドは把持面積が小さいため、タイトな場所に手を差し延べ、解放し、束からケーブル結束具を引き離したりすることがはるかに困難であった。従来のケーブル結束具のヘッドとタブははるかに小さいため、狭いスペースでヘッドを保持しつつケーブル結束具を見付けて手を差し延べ引き抜こうとするのははるかに困難であり、ほとんど不可能である。
【0037】
本発明のより大きく幅広い解放親指タブパッドと、隆起部を有するより大きな人差し指バックプレートによれば、ケーブル結束具がきつく締め付けられていても手を差し述べている間に2本の指でこれを掴み、保持することが容易であり、ケーブル結束具を引き出して電気ケーブル束からケーブル結束具を解放することも容易である。
本発明の解放可能ケーブル結束具親指パッドと従来技術の解放可能ケーブル結束具との間の重要な違いは、指把持プレートと、保持し、差し延べ、解放することがはるかに容易となるより大きな解放タブ親指パッドにある。
【0038】
本発明の解放可能ケーブル結束具装置および結束方法は、束ねられたアイテムを確実に保持するためにきつく締め付けることができる一方、片手または2本の指の動作で迅速かつ容易に取り外すことが唯一可能である「EZ解放可能ケーブル結束具」を提供している。
従来の解放可能ケーブル結束具では、ケーブル結束具をケーブルの周りにきつく締め付けると、それを簡単に取り除くことはできない。これまでの結束具では、古いスタイルの解放可能ケーブル結束具を解放するための適切なレバー効果をタブに与えることができない。従来の解放可能結束具では、当該解放可能結束具がケーブルの周りにきつく巻かれていると、使用者/作業者が解放タブを押し込む際に1本の指を結束具の後ろに差し込むことができない。
【0039】
本発明の解放可能ケーブル結束具の新しい「安全EZ解放可能ケーブル結束具」のデザインは、主要な旅客機製造業者が電気ケーブルを旅客用飛行機の側面に固定するために使用する小さな円形支持体に納まる製品を要求したことから開発が開始された。旅客機の製造業者は、最終組み立て時に恒久的な飛行可能状態のケーブル結束具が取り付けられるまでの飛行機の艤装と配線をする間だけ一時的に使用可能な製品を必要としていた。旅客機製造業に関わる全ての電気技師やその他の製造担当者からの共通の要求は、50ポンドもしくはそれ以上の荷重を保持することが可能であり、かつケーブルアセンブリから切断することなく簡単に取り外すことができる解放可能結束具を得ることであった。解放可能ケーブル結束具は、電気ケーブルアセンブリの周囲をきつく締め付けると共に、簡単に外せることが要求された。
【0040】
この旅客機製造業者の問題点を解明し解決するプロセスは、従来技術のケーブル結束具には見出すことができず、第一印象で考えられるほど簡単なものではなかった。「新安全ケーブル解放可能」の結束具によって本発明の解放可能ケーブル結束具の構成と構造を獲得するに至るまでには、この構成と構造を見出すための多くの実証的な開発を必要とした。レバー効果に関わる問題点を理解することに関して、解放可能なタブの後ろに2本の指を押し込むための方法を見付けなければならなかった。当初の開発は、引金を引くような銃のデザインから始まった。銃のデザインは非常に大きく、製造することや使用者/作業者が解放タブの後ろに1本の指をしのばせるのにはやはり問題があるようであった。その後、開発は本発明の「新安全ケーブル結束具解放可能」結束具を生み出すために試行錯誤を重ね、使用者/作業者にはそれでもまだ解放タブへの十分なレバー効果を得ることができないことがわかった。
【0041】
多くの試行錯誤の後、本発明のパッドもしくはパドルレバーは、作業者/使用者にはるかに快適な操作を提供するだけでなく、電気ケーブル束の周囲にきつく締め付けられた本発明の新しい解放可能ケーブル結束具を解放するために必要となる適切なレバー効果を提供するものであることが経験的に判明し、最終的な構成を見出すことができた。
【0042】
当該「安全ケーブル結束具 新EZ」解放可能結束具が大手旅客機製造業者のために開発されると、製造業者は、航空機の製造中に飛行機の胴体からケーブル結束具を取り外すことができる特有の要求を明らかにした。旅客機製造業者は、使用し操作することが容易であり、完成したワイヤハーネスに恒久的なもしくは飛行可能なケーブル拘束具が取り付けられたときには電気ワイヤハーネスから解放される商品を必要としていたのだ。旅客機製造業者は、市場で入手可能なあらゆる解放可能ケーブル結束具を試したものの、本発明の新しい解放可能ケーブル結束具が開発されて実験的に成功裏に問題解決をするに至るまで成功を見出すことはなかった。
【0043】
本発明の解放可能ケーブル結束具装置および結束方法は、締め付け時に解放タブ親指パッドが結束具から直立して立つという点で重要な新規構成を備えている。新しい結束具にはさらに、人差し指バックプレートがタブの親指パッドの背後の下側に配置されているため、外すときにタブをつまむのが容易になる。
ほとんどの従来技術の解放可能結束具では、きつく締め付けられるとストラップとタブの間に指を入れる余地がない。ほとんどの従来技術の解放可能結束具では、タブをつまんでストラップを解放できるようタブにレバー効果を及ぼすことは不可能であり、このことが作業者/使用者をしてストラップを切断させることにつながった。他の解放可能ケーブル結束具では不適切な設計のラッチが付いているため、作業者/使用者は指の爪に力を加えるかドライバーを使用するかによりそれらを解き放さなければならなかった。
従来技術の解放可能結束具の中には、つまんで解放することができるストラップ上に配置されたタブを有するものがある。しかしながらこれらの先行技術の解放可能結束具では、締め付けられるとタブをつまんで解放できるようなレバー効果をもはや利用することができなくなっている。
【0044】
本発明の新規な大きく幅広い解放タブ親指パッドは、ストラップの上部から直立するため、作業者/使用者はタブパッドの両側に指をかけて簡単につまんで結束具を解放することができる。ストラップの上部から直立したタブ親指パッドは非常にうまく機能するため、作業者は指に負担をかけることなくタブ親指パッドに簡単にアクセスして結束具を外すことができる。
【0045】
本発明の解放可能ケーブル結束具を他のケーブル結束具と区別する重要な特徴および利点は、締め付けられたときに解放タブ親指パッドがストラップに直接横たわることなく、ストラップの上部から直立して立つという事実である。本発明の新規の解放可能ケーブル結束具は、タブパッドの両側に指を置くことができる十分な余地を使用者に与え、結束具をつまんで十分なレバー効果を及ぼし、容易に結束具を解放することができる。これまでの技術では、結束具をきつく締めたときにタブの背後に指を入れることができなかったため、結束具を解放するために十分なレバー効果をタブに及ぼすことはできなかった。
本発明では、大きく幅広いパッドもしくはパドル解放部と人差し指のバックプレートとを備えており、これらは解放タブ親指パッド自体を、余分な力を使用することなくはるかに容易にこれをつまみ、解放することを可能にしている。
【0046】
当該解除可能なケーブル結束具は、熱可塑性樹脂を使用して射出成型によって製造される。1つの態様では、解放可能ケーブル結束具はポリプロピレンまたはナイロンで形成されている。1つの態様では、解放可能ケーブル結束具はナイロン66により構成されている。
【0047】
本発明の解放可能な一体型熱可塑性ケーブル結束具が提供する重要な利点は、大きく幅広いタブ親指パッドが、締め付け時にストラップに直接横たわるのではなくストラップの上部から直立して立つことにより、タブ親指パッドの両側に指を置くことができる十分なスペースを使用者に与え、結束具を容易につまんで解放するに十分なレバー効果を与えることができることにある。これまでの技術では、結束具がきつく締め付けられるとタブの背後に指を入れる余地がなくなり、結束具が解放できるだけの十分なレバー効果を解放タブに及ぼすことは非常に困難であるかほぼ不可能であった。新規の解放可能ケーブル結束具は、新規の大きなパッドもしくはパドル解放具と人差し指バックプレートとを提供しており、タブ自身を余分な力を使用することなくつまみ、解放可能にしている。
【0048】
本発明の新規な解放可能ケーブル結束具は、きつく締め付けることができ、その後に2つの指のみを使って作業中に引っ掛かったり詰まったりすることなく数秒以内に容易に解放できることがわかった。
本発明の新規の解放可能ケーブル結束具の確認された重要な利点、特徴、および利点には、使い易さ、きつく保持する能力、タブ親指パッド自体のグリップの高強度、迅速な解放、および全体的な耐久性が含まれる。
【0049】
本発明の新規の解放可能ケーブル結束具について、旅客機製造業者に実験的に提供することで見出された改善効果として、これまで非常に困難であった飛行機の部分や、偶発的に解放されても救済不可能であった部分に、解放可能に必要な解放親指パッドのつまむ力を旅客機製造業者に提供できるものであることが判明したことであり、さらには今日の旅客機製造常業者で経験されるような、より融通性のあるサイズが提供可能である点が見出されたことである。
【0050】
本発明の解放可能結束具は、全てのケーブルが操縦パネルに向けて集中する飛行機の前部にある非常にきつい場所でも片手または2本の指で操作可能であることが実験的に見出された。飛行機の前部には非常に混み入ったケーブルの束があり、これらの束のほとんどは互いに折り重なって配置されている。電気技師が解放可能ケーブル結束具を取り外すことは非常に困難である。今日市場にあるケーブル結束具では、ほとんどの場合両手を使って結束具を解放する必要があり、ケーブル結束具を押し込むためにこれらの場所に1本以上の手を入れることができないため、電気技師は従来の結束具を切断せざるを得なかった。
電気技師は、ワイヤハーネスを完備する際に通常毎日50個または100個以上の解放可能結束具を解放する必要がある。この解放すべき解放可能結束具の数が多いため、通常の解放可能結束具を押し込むと作業者には痛みと不快感を及ぼす。本発明の解放可能結束具は、このような不快感の問題を解消することが見出された。解放可能なタブをより大きく幅広くすることにより、本発明の解放可能結束具の新規な大きい親指パッドは親指の表面領域を押し拡げ、より快適な解放を可能にする。
【0051】
大きく幅広い解放タブの予期しない利点として、ロック歯の容易な解除があることも経験的に見出された。親指パッドにおけるより大きな力によって、電気技師は、親指もしくは指のより少ない力で本発明の新しい解放可能結束具を解放し、どのような厳しい場所からでも容易に引き出すことができる。
本発明の解放可能ケーブル結束具によれば、使用者の一方の手の2本の指のみを差し延べて圧力下にある解除可能な結束具を解放することができる。7.6mmのストラップサイズを有し、ロックヘッドと新規の支点を有する好ましい実施形態に係る本発明の解放可能ケーブル結束具は、100ポンド以上の全体引っ張り強度に耐える極めて良好に作用することが確認された解放可能なタブ機能を備えるより強力な解除可能な結束具を提供するものであり、偶発的な解放の怖れを低減させるより安定した解除可能なタブを提供することにもなる。
【0052】
本発明の新しい解放可能結束具の強度、快適性、解放の容易さにより、大型旅客機の製造により明らかにされた全ての希望項目は、この新しい解放可能結束具によって満たされるものとなる。タイトな場所から解放可能結束具を取り外すことの問題点は、片手または2本の指による解放によって解消され、ワイヤハーネスを取り外すために結束具を切断したりワイヤハーネスを損傷したりすることなしに引き出すことを可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、対象物を互いに結び付けて保持するための結束具装置および結束方法に関する。1つの態様では、本発明は、電気ケーブルを一緒に束ねるための結束装置および結束方法に関する。1つの態様では、本発明は、航空産業で使用される電気ケーブル結束具装置および結束方法に関する。
【符号の説明】
【0054】
10.解放ケーブル結束具、 12.ロックヘッド開口部、解放ヘッド開口部(ストラップ開口部)、 14.ストラップ本体の第1の端部、 16.ストラップ本体の第2の端部、 18.「EZ解放」ストラップの長さ、 20.解放可能ケーブル結束具のストラップ、 22.「EZ解放」ロック歯(調整可能ストラップ)、 24.「EZ解放」グライドレール、 26.「EZ解放」ストラップ舌部、 28.底部解放ヘッド、 30.解放ロックヘッド、 32.人差し指パッドサポート、 34.「EZ解放」親指パッド、 36.親指グリップ用解放つまみ部、 42.「EZ解放」ロックヘッド、 44.「EZ解放」ヘッド側壁、 46.頂部解放ヘッド、 48.人差し指パッド、 54.ストラップ侵入口枠壁、 56.「EZ解放」タブ通過部、58.ロック歯、 62.「EZ解放」タブ支点、 64.「EZ解放」グライドトラック
図1
図2
図3
図4
図5