(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】牛樟芝の栽培方法と牛樟芝栽培用の多孔質担体
(51)【国際特許分類】
A01G 18/00 20180101AFI20240205BHJP
【FI】
A01G18/00
(21)【出願番号】P 2022543089
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2020123625
(87)【国際公開番号】W WO2021143254
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】202010042692.1
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522280917
【氏名又は名称】チャン,ジュイ-ナン
【氏名又は名称原語表記】CHANG, Jui-neng
【住所又は居所原語表記】No. 141, Zhongzheng 2nd St., Yongkang Dist. Tainan City, Taiwan
(73)【特許権者】
【識別番号】522280928
【氏名又は名称】リウ,イエン-ハン
【氏名又は名称原語表記】LIU, Yen-hung
【住所又は居所原語表記】No. 212, Dingchang St., Sanmin Dist. Kaohsiung City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジュイ-ナン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イエン-ハン
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161939(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104130074(CN,A)
【文献】実開平01-108050(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110024614(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)培養液
は混合され、前記培養液の組成に牛樟樹の抽出物、炭素、窒素が含まれる、前記培養液は多孔質担体上に配置され、前記多孔質担体は周辺面と、前記周辺面に埋め込まれた複数微細孔を有し、前記培養液が前記複数微細孔に浸透し、前記周辺面と前記複数微細孔の内周に培養層が形成されるステップと、
b)前記多孔質担体は膜処理され、前記培養層上に食品添加物、牛樟芝の抽出物及
び炭水化物
を混合してなるフィルムを形成されるステップと、
c)前記多孔質担体は滅菌処理されるステップと、
d)前記フィルム上
に牛樟菌
を接種し、次に前記多孔質担体は一定の温度及
び一定の湿度の密閉された環境に置かれて培養し、前記フィルムは前記牛樟菌によって分解し、前記培養層は前記牛樟菌が牛樟芝の子実体に成長するのを提供することができるステップ、
を含むことを特徴とする牛樟芝の栽培方法。
【請求項2】
前記ステップa)では、前記多孔質担体を前記培養液に浸し、前記複数微細孔が前記培養液を吸収し、次に、前記多孔質担体を35~45℃で乾燥させ、前記培養液は固化して前記培養層になり、前記周辺面と前記複数微細孔の内周に形成されることを特徴とする請求項1に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項3】
前記ステップa)では、前記牛樟樹の抽出物は牛樟樹の枝と牛樟樹の葉均質化及
び抽出によって得られる、前記炭素はグルコースとスクロースであり、前記窒素は酵母エキスであることを特徴とする請求項2に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項4】
前記多孔質担体は、非プラスチック材料で作られた立方体の本体であり、前記多孔質担体は、レンガ、石粉圧縮ブロック、陶瓦、テラコッタ、チャイナクレイ、及
び耐火レンガのいずれかが含まれることを特徴とする請求項2に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項5】
前記ステップb)では、前記食品添加物はポリエチレングリコールであり、前記牛樟芝の抽出物は牛樟芝の粉末と牛樟芝の菌糸体均質化及
び抽出によって得られる、前記炭水化物はスクロースまたはグルコースであることを特徴とする請求項2に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項6】
前記ステップb)では、前記食品添加物を液体状態に加熱し、次に前記牛樟芝の抽出物と前記炭水化物を加えて混合し、コーティングを形成し、次に前記コーティングを前記培養層にコーティングして冷却し、前記フィルムを形成することを特徴とする請求項5に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項7】
前記ステップc)では、前記多孔質担体にガンマ線を照射して、放射線によって前記フィルムと前記培養層を滅菌することを特徴とする請求項1に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項8】
前記ステップd)では、前記多孔質担体は成長ボックスに密封され、前記成長ボックスは透明な材料で作られ、固定フレームが前記成長ボックスに配置されて前記多孔質担体を高く固定し、前記成長ボックスは前記多孔質担体に接触しない滅菌水で満たされ、前記成長ボックス内の温度は25~28℃に維持され、湿度は60~80%に維持されることを特徴とする請求項1に記載の牛樟芝の栽培方法。
【請求項9】
周辺面と前記周辺面に埋め込まれた複数微細孔を有し、培養層とフィルムを有し、前記培養層が前記周表面と前記複数微細孔の内周に形成され、前記フィルムは前記培養層上に形成され、前記フィルム
が前記培養層を
覆うことを特徴とする牛樟芝栽培用の多孔質担体。
【請求項10】
前記多孔質担体は、非プラスチック材料で作られた立方体の本体であることを特徴とする請求項9に記載の牛樟芝栽培用の多孔質担体。
【請求項11】
前記多孔質担体は、レンガ、石粉圧縮ブロック、陶瓦、テラコッタ、チャイナクレイ、及
び耐火レンガのいずれかが含まれることを特徴とする請求項10に記載の牛樟芝栽培用の多孔質担体。
【請求項12】
前記培養層は牛樟樹の抽出物、炭素、窒素が含まれる、前記牛樟樹の抽出物は牛樟樹の枝と牛樟樹の葉均質化及
び抽出によって得られる、前記炭素はグルコースとスクロースであり、前記窒素は酵母エキスであることを特徴とする請求項9に記載の牛樟芝栽培用の多孔質担体。
【請求項13】
前記フィルムは食品添加物、牛樟芝の抽出物及
び炭水化物混合して形成する、前記食品添加物はポリエチレングリコールであり、前記牛樟芝の抽出物は牛樟芝の粉末と牛樟芝の菌糸体均質化及
び抽出によって得られる、前記炭水化物はスクロースまたはグルコースであることを特徴とする請求項9に記載の牛樟芝栽培用の多孔質担体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛樟芝の栽培技術、特に牛樟芝の栽培方法と牛樟芝栽培用の多孔質担体に関する。
【背景技術】
【0002】
牛樟芝は、台湾固有の牛樟樹の自然環境でのみ成長します、その中で、牛樟樹は現在、絶滅危惧種の保護植物に分類されており、その数は少ない、その結果、野生の牛樟芝を入手するのは簡単ではなく、したがって、牛樟芝の人工栽培は、学界と産業界の両方で重要な研究指標になっている。
【0003】
現在、牛樟芝の栽培方法としては、主に液体栽培法、固体栽培法および原木栽培法がある。原木栽培法では、牛樟樹または他の類似種の原木を培養培地として利用し、次に牛樟芝の果実体を培養することであり、この方法で栽培された牛樟芝の子実体は、牛樟芝の子実体と同じまたは類似の有効成分および効力を有することができる。しかし、原木栽培法で必要とされる牛樟樹は、台湾の保護木材であり、伐採することはできなく、牛樟樹を入手するのは容易ではなく、牛樟樹の栽培には栽培期間が100年を超える、の栽培コストを大幅に増加させ、、このアプローチは一般の学界や産業界の手の届かないところにある。
【0004】
液体栽培法では、液体培地を利用して、牛樟芝菌糸体の発酵培養を実施します。この方法は、培養時間が短く、コストが低く、産業上の利用可能性が高い。しかし、培養された牛樟芝のトリテルペン含有量が低く、かつ含有するトリテルペン類は、野生の牛樟芝に含まれる独特なトリテルペン類は入手できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を解決するために、本発明の実施形態は、牛樟芝の栽培方法と牛樟芝栽培用の多孔質担体を提供する。入手が容易な多孔質担体は、従来の原木栽培法に必要な牛樟樹を置き換えるために使用され、それによって栽培コストを削減し、多孔質担体は培養層とフィルムを形成し、牛樟菌の成長を促進することができる。この実施で栽培された牛樟芝の子実体には、有効成分とトリテルペンの有効性が含まれていること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態は、以下のステップを含むことする牛樟芝の栽培方法を提供する:a)培養液は比例して混合され、培養液の組成に牛樟樹の抽出物、炭素、窒素が含まれる、培養液は多孔質担体上に配置され、多孔質担体は周辺面と、周辺面に埋め込まれた複数微細孔を有し、培養液が複数微細孔に浸透し、周表面と複数微細孔の内周に培養層が形成されるステップと、b)多孔質担体は膜処理され、培養層上に食品添加物、牛樟芝の抽出物及炭水化物混合してなるフィルムを形成されるステップと、c)多孔質担体は滅菌処理されるステップと、d)フィルム上にを牛樟菌接種し、次に多孔質担体は一定の温度及一定の湿度の密閉された環境に置かれて培養し、フィルムは牛樟菌によって分解し、培養層は牛樟菌が牛樟芝の子実体に成長するのを提供することができるステップ。
【0007】
本発明の別の実施形態は、牛樟芝栽培用の多孔質担体を提供する。牛樟芝栽培用の多孔質担体は、周辺面と周辺面に埋め込まれた複数微細孔を有し、培養層とフィルムを有し、培養層が周表面と複数微細孔の内周に形成され、フィルムは培養層上に形成され、フィルムは培養層を覆いる。
【0008】
本発明の牛樟芝の栽培方法は、多孔質担体上に培養層とフィルムを形成し、多孔質担体の周辺面と微細孔に牛樟菌を接種し、多孔質担体は、牛樟菌の成長環境をシミュレートするために、一定の温度と一定の湿度の培養のために密閉された環境に置かれ、培養層とフィルムの成分は牛樟菌の成長を促進することができる。この実施で栽培された牛樟芝の子実体は、トリテルペンの有効成分と効果を含み、牛樟芝を効果的に栽培するという目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態によるステップのフローチャートである;
【
図2】本発明の実施形態による多孔質担体の立体図である;
【
図6】本発明の実施形態による、牛樟芝の子実体の成長状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態を通して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0011】
図1から
図5を参照してください。本発明の実施形態は、牛樟芝の栽培方法と牛樟芝栽培用の多孔質担体10を提供し、多孔質担体10は、非プラスチック材料で作られた立方体の本体である。好ましい実施形態では、多孔質担体10は、レンガ、石粉圧縮ブロック、陶瓦、テラコッタ、チャイナクレイ、及耐火レンガのいずれかが含む。
図2に示すように、本発明の実施形態は、耐火レンガで示されている。多孔質担体10は、周辺面11と、周辺面11に埋め込まれた複数微細孔12とを有する。微細孔12は、多孔質内部に分布している。多孔質担体10は、培養層13およびフィルム14でさらに形成され、培養層13は、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12の内周に形成され、培養層13上にフィルム14が形成されている。
【0012】
本発明の
図1から
図5に示すように協力してください。本発明の牛樟芝の栽培方法は、前述の多孔質担体10を用いて牛樟芝を培養することであり、牛樟芝の栽培方法は、以下のステップを含む。
【0013】
ステップa)は、培養液は比例して混合され、前記培養液の組成に牛樟樹の抽出物、炭素、窒素が含まれる。好ましい実施形態では、牛樟樹の抽出物は牛樟樹の枝と牛樟樹の葉均質化及抽出によって得られる、牛樟菌の成長を促進する効果を提供する、炭素はグルコースとスクロースであり、窒素は酵母エキスである。続いて、培養液は、多孔質担体10上に配置される。例えば、本発明の多孔質担体10は、培養液が多孔質担体10の微細孔12に浸透できるように、培養液に浸漬される。次に、湿った多孔質担体10を35~45℃で乾燥させて、培養液の組成が劣化するのを防ぐ。培養液は、培養層13に固化され、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12の内周に形成される。
【0014】
ステップb)は、次に、多孔質担体10を膜処理し、培養層13上にフィルム14を形成し、食品添加物、牛樟芝の抽出物および炭水化物混合してなるフィルム14を形成する。好ましい実施形態では、食品添加物はポリエチレングリコールであり、牛樟芝の抽出物は牛樟芝の粉末と牛樟芝の菌糸体均質化及抽出によって得られる、炭水化物はスクロースまたはグルコースである。フィルム14の実施プロセスは、最初に食品添加物を液体状態に加熱し、次に牛樟芝の抽出物と炭水化物を加えて混合し、次に多孔質担体10の培養層13上にコーティングをコーティングすることである。コーティングは、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12の培養層13上で冷却されて、フィルム14を形成することができる。フィルム14が培養層13を覆うように、培養層13が外界と接触するのを阻止する機能として、
図3および
図4に示すように。
【0015】
ステップc)は、多孔質担体10は滅菌される。好ましい実施形態では、多孔質担体10は、ガンマ線で照射されて、放射線によって多孔質担体10上のフィルム14および培養層13を滅菌する。
【0016】
ステップd)は、最後に、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12のフィルム14に牛樟菌を接種し、次に多孔質担体10を一定の温度および一定の湿度の培養のために密閉環境に置く。フィルム14は、牛樟菌によって分解することができ、栄養層13は、牛樟菌を牛樟芝の子実体30に成長させることができる。好ましい実施形態では、
図5に示されるように、多孔質担体10は、成長ボックス20に密封される。成長ボックス20は、容器21およびカバー22を含む。カバー22は、容器21の開口部を覆い、収容空間211を密閉された環境にする。さらに、成長ボックス20は、容器21内に固定フレーム23を備えており、固定フレーム23は、高く固定される多孔質担体10を提供することができる。そして、成長ボックス20の容器21内は、多孔質担体10に接触しない滅菌水24で満たされ、その結果、成長ボックス20の内部は、湿度を維持するために密封され得る。牛樟菌の成長環境をシミュレートするために、栽培プロセス中は光を避け、成長ボックス20の内部温度を25~28℃に維持し、湿度を60~80%に維持します。多孔質担体10によって形成された培養層13およびフィルム14の組成は、牛樟菌の成長を促進することができる。そして、微細孔12の内周の培養層13の含有量は、周辺面11の培養層13の含有量よりも多い。したがって、牛樟菌は、周囲の周辺面11に沿って多孔質担体10の微細孔12から増殖することができる。
【0017】
さらに、本発明の成長ボックス20は透明な材料であり、使用者は、成長ボックス20を通して牛樟菌の増殖状態を直接観察することができ、定期的に注射器を使用して、多孔質担体10に適切な量の培養液を補充し、牛樟菌の成長に必要な栄養素を提供する。本発明は、3ヶ月の観察後、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12が明らかに牛樟菌菌糸体を成長させることができ、次いで8ヶ月の観察後、多孔質担体10の周辺面11は実際に成長した。
図6に示すように、牛樟芝の子実体30は成長する。
【0018】
したがって、本発明の牛樟芝の栽培方法は、多孔質担体10上に培養層13およびフィルム14を形成し、多孔質担体10の周辺面11および微細孔12に牛樟菌を接種することである。多孔質担体10を密閉環境に置いて実施する一定の温度と湿度を培養して、牛樟菌の成長環境をシミュレートし、培養層13とフィルム14の組成により、牛樟菌の成長を促進することができます。この実施で栽培された牛樟芝の子実体30は、牛樟芝を効果的に栽培するという目的を達成するために、トリテルペンの有効成分と有効性を含んでいる。
【0019】
さらに、本実施は、容易に入手できる多孔質担体10を利用して、従来の原木栽培に必要な牛樟樹を置き換えることにより、栽培のコストを削減する。本発明の牛樟芝の栽培方法は、研究および使用のための一般的な学界および産業界を提供することができる。
【0020】
以上、異なる実施例により本発明を詳しく説明したが、当該分野の技術を熟知するものは本発明の主旨を脱しない範囲内で、明細書の実施例に対して各種の変更や修正を加えることができ、これらの変更や修正は本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0021】
10 多孔質担体
11 周辺面
12 微細孔
13 培養層
14 フィルム
20 成長ボックス
21 容器
211 収容空間
22 カバー
23 固定フレーム
24 滅菌水
30 牛樟芝の子実体
S1 ステップa)
S2 ステップb)
S3 ステップc)
S4 ステップd)