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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】パネル用シール材およびその装着機構
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/38 20060101AFI20240205BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
E04D3/38 C
E04F13/08 W
E04F13/08 101Y
E04D3/38 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020073338
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021169728
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】596066482
【氏名又は名称】明正工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】永上 修一
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏伸
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039153(JP,A)
【文献】特開平08-284333(JP,A)
【文献】特開昭61-024762(JP,A)
【文献】特開2018-123520(JP,A)
【文献】特開平09-157607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
E04F 13/00-13/30
E04F 21/165
E04B 1/68
C09J 7/00-7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される複数のパネルの接合面の少なくとも一方側の接合面に、該接合面に沿って延在するように断面矩形状の弾性材料からなるシール材を装着するパネル用シール材の装着機構であって、
前記接合面の長さ方向に沿って搬送される前記パネルの前記接合面に対向して配置され、前記シール材を前記接合面に押し付ける押し付け部と、
所定のシール材蓄積部から引き出された前記シール材を前記押し付け部にガイドするガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記シール材を、前記接合面と略平行となる状態に該接合面と前記押し付け部との間に導入し、
前記押し付け部が、搬送される前記パネルの前記接合面に前記シール材を押し付けることにより、前記パネルの搬送に追従して前記シール材が前記接合面に連続的に装着され
前記パネルの接合面は、断面視で略コ字状をなす溝の底部に設けられ、
前記溝は、前記接合面の一端縁から該接合面と略直交する方向に延在する第1板部と、
前記接合面の他端縁から該接合面と鈍角をなす方向に延在する第2板部と、を備え、
前記押し付け部は、前記接合面に対して前記第1板部側に傾斜した方向に前記シール材を押し付けることを特徴とするパネル用シール材の装着機構。
【請求項2】
前記押し付け部は、前記シール材との摩擦により前記パネルの搬送に追従して従動的に回転する回転部材を含むことを特徴する請求項に記載のパネル用シール材の装着機構。
【請求項3】
前記押し付け部は、前記接合面に対向する位置に固定的に設けられる固定部材を含むことを特徴する請求項に記載のパネル用シール材の装着機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビルあるいは倉庫等の建物の壁や屋根等の建材として用いるパネルを接合する際に接合面に装着されるシール材およびその装着機構に関する。
【背景技術】
【0002】
内壁や外壁、間仕切り壁等の壁、あるいは屋根等の建物部分を、複数のパネルの接合体で構築する場合がある。そのようなパネルにおいては、互いの接合部分にシール材を設け
て防水や気密を図る構造が採られている(例えば、特許文献1等参照)。パネルを製造するにあたっては、製造ライン上でパネルを搬送しながら接合面にシール材を装着していくことにより、製造面での効率化を図る製造技術が実施されている。その場合、長尺なシール材をロール状に巻いて蓄積したシール材のロールからシール材を引き出しながら、そのシール材を接合面に押し付けて装着するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-123520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの場合、ロールから引き出したシール材を接合面に導入する過程、または導入して装着する過程などにおいて、シール材に「よれ」や「ねじれ」といった変形が生じ、接合面に適切な状態で装着されない場合が生じていた。また、製造ラインの下流端部においてパネルを切断して所望の長さのパネルを得る場合、切断によってシール材が弾性復帰することで収縮し、実質的に長さが短くなり、結果としてシール性が不十分になる場合があった。そこで、よれやねじれが生じることなく適切にシール材を接合面に装着することができるとともに、パネルを所定長さに切断した後にシール材の収縮を抑制することができる技術が望まれた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、よれやねじれが生じることなく、かつ、切断後の収縮が抑制されることにより、適切にシール材をパネルの接合面に装着することができるパネル用シール材およびそのようなシール材の装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパネル用シール材の装着機構は、互いに接合される複数のパネルの接合面の少なくとも一方側の接合面に、該接合面に沿って延在するように断面矩形状の弾性材料からなるシール材を装着するパネル用シール材の装着機構であって、前記接合面の長さ方向に沿って搬送される前記パネルの前記接合面に対向して配置され、前記シール材を前記接合面に押し付ける押し付け部と、所定のシール材蓄積部から引き出された前記シール材を前記押し付け部にガイドするガイド部と、を備え、前記ガイド部は、前記シール材を、前記接合面と略平行となる状態に該接合面と前記押し付け部との間に導入し、前記押し付け部が、搬送される前記パネルの前記接合面に前記シール材を押し付けることにより、前記パネルの搬送に追従して前記シール材が前記接合面に連続的に装着され、前記パネルの接合面は、断面視で略コ字状をなす溝の底部に設けられ、前記溝は、前記接合面の一端縁から該接合面と略直交する方向に延在する第1板部と、前記接合面の他端縁から該接合面と鈍角をなす方向に延在する第2板部と、を備え、前記押し付け部は、前記接合面に対して前記第1板部側に傾斜した方向に前記シール材を押し付けることを特徴とする。
【0008】
上記装着機構において、前記押し付け部は、前記シール材との摩擦により前記パネルの搬送に追従して従動的に回転する回転部材を含むことを特徴する。
【0009】
上記装着機構において、前記押し付け部は、前記接合面に対向する位置に固定的に設けられる固定部材を含むことを特徴する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、よれやねじれが生じることなく、かつ、切断後の収縮が抑制されることにより、適切にシール材をパネルの接合面に装着することができるパネル用シール材およびそのようなシール材の装着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る屋根パネルを複数接合して屋根を施工している状態を示す斜視図である。
図2】屋根パネルの接合構造および固定構造を示す断面図である。
図3】分離した屋根パネルの一端側および他端側の接合端部を示す断面図である。
図4】一実施形態の装着機構が配置された屋根パネルの製造ラインの一部を示す平面図である。
図5】一実施形態の装着機構を示す平面図である。
図6】一実施形態のシール材を模式的に示す斜視図である。
図7】(a)図7のA-A断面図、(b)図7のB-B断面図、(c)図7のC-C断面図、(d)図7のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
(屋根パネル)
図1は、本発明の一実施形態に係る長方形状の屋根パネル1を接合して所定角度で傾斜する屋根を施工している状態を示し、図2は屋根パネル1の接合部および屋根骨組である母屋材2への固定構造の断面を示している。
【0013】
屋根パネル1は、複数の母屋材2上に設置され、図2で左側に示す屋根パネル1の一端側(右側)の接合端部1Aがビス3によって母屋材2に固定される。そして図2で右側に示す屋根パネル1の他端側(左側)の接合端部1Bが接合端部1Aに接合される。このように屋根パネル1の一端側の接合端部1Aをビス3で固定し、その固定した屋根パネル1の接合端部1Aに他端側の接合端部1Bを接合していくことを繰り返し、所定枚数の屋根パネル1を設置することで屋根は施工される。
【0014】
屋根パネル1は縦方向(長手方向)を図1の矢印Sで示す傾斜方向と平行に配して施工される。すなわち屋根パネル1は接合端部1A、1Bの縁が傾斜方向に延びるように設置される。母屋材2は図1の矢印Tで示す桁行方向に沿って水平に延び、図示せぬ垂木上に傾斜方向に間隔をおいて設けられている。母屋材2は、木材、あるいは金属製のチャンネル等が用いられるが、図示例では木製であり、ビス3は木製の母屋材2に対応したものが用いられる。母屋材2が金属製である場合、ビス3はそれに対応したタイプのものが用いられる。
【0015】
図2に示すように、屋根パネル1は、2枚の金属板10、20の間に所定厚さの断熱材からなる芯材30を挟んだ断熱機能に優れる金属サンドイッチパネルである。金属板10、20は、芯材30の両面にそれぞれ接着剤によって接着される。接着剤は、金属板10、20や芯材30の種類等に応じて選択され、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の樹脂系接着剤が用いられる。
【0016】
金属板10、20の材質は限定されないが、鋼板が好適であり、例えば、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金メッキ鋼板(例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標))や亜鉛-アルミニウム6%-マグネシウム3%メッキ鋼板(例えば、ZAM(登録商標))、あるいはカラー鋼板等が用いられる。金属板10、20は弾性変形可能な厚さ(例えば0.35mm程度)を有している。芯材30は、例えばポリスチレン等の軽量樹脂発泡材が用いられるが、材質は限定されない。芯材30の厚さは、例えば25~100mmとされる。屋根パネル1の全体寸法は任意であって施工する屋根に対応したものとされるが、例えば縦方向長さ:1800~13000mm、幅:400~1200mm、厚さ:25~100mm程度のものが挙げられる。
【0017】
図3に示すように、接合端部1A、1Bは断面形状が異なっており、互いに接合される各接合面1a、1bは複雑な凹凸状に形成されている。
【0018】
図3の左側に示す接合端部1Aにおいては、芯材30の端面の表面側(図3で上側)には角部が欠損されて段部310が形成され、裏面側(図3で下側)には側方に突出する突出部320が形成されている。接合端部1Aの裏面側の金属板20の端部には、芯材30の突出部320から所定長さ側方に突出した平坦部210が形成され、この平坦部210の先端には、表面側に直角に屈曲してから側方に向かって断面長方形状に膨らみを持ちつつループ状に折り曲げられた裏面側係合部230が形成されている。
【0019】
接合端部1Aにおける表面側の金属板10の端部には、芯材30の段部310を覆って突出してから断面平行四辺形状に膨らみを持ちつつ180°折り曲げられた表面側係合部110が形成されている。
【0020】
接合面1aの金属板10の先端部で構成される部分には、表面側係合部110と段部310に沿った屈曲部分とにより側方に開口する溝120が形成され、この溝120内に、接合面1aの長手方向全長にわたってシール材200が装着されている。
接合端部1Aの裏面側には樋状部6が形成されている。樋状部6には、芯材30の延長部30aが配置されている。
【0021】
図3の右側に示す接合端部1Bにおいては、芯材30の端面の裏面側には角部が欠損されて段部350が形成され、表面側には側方に突出する重畳部40が形成されている。接合端部1Bの裏面側の金属板20の端部には、芯材30の裏面に沿って側方に突出してから断面長方形状に膨らみを持ちつつ180°折り曲げられた裏面側係合部250が形成されている。
【0022】
接合端部1Bの表面側の金属板10の端部には、重畳部40からさらに側方に突出して上記表面側係合部110と互いに係合される表面側係合部150が形成されている。表面側係合部150は、重畳部40の芯材30の端面側に折り曲げられてから側方に延び、先端に断面三角形状の膨らみ部151を有している。
【0023】
屋根パネル1は、上記のように接合端部1Aがビス3で母屋材2に固定されるが、図1および図2に示すように、ビス3は、樋状部6に嵌め込まれる吊子4および裏面側の金属板20による樋状部6を貫通して母屋材2にねじ込まれ、締結される。なお、ビス3が貫通する孔は、適宜なシール手段によって雨水や融雪水等の水分が母屋材2に到達することを防ぐ止水処理がなされる。
【0024】
上記屋根パネル1は、接合端部1Aに接合端部1Bを嵌合させて接合面1a、1bを接合させることを繰り返し、複数の屋根パネル1で屋根が施工される。図2に示すように、屋根パネル1どうしは、接合端部1Aの裏面側係合部230が接合端部1Bの裏面側係合部250に弾性的に係合し、接合端部1Bの表面側係合部150が表面側係合部110の下側に入り込んで弾性的に係合する。表面側係合部150の膨らみ部151の先端がシール材200に押し付けられて圧着し、シールされる。また、表面側係合部110、150間は、コーキング材180が充填されてシールされる。
【0025】
図2に示すように、本実施形態においては、接合端部1Aの裏面側の金属板20の端部に接合端部1Bの重畳部40が重畳し、ビス3の頭部は重畳部40で覆われ、表面側に露出しない状態となる。
【0026】
(屋根パネルの製造とシール材の装着)
図4は、上記屋根パネル1を連続的に製造する製造ライン500の一部と、製造ライン500に設けられたシール材200の装着機構400を示している。
【0027】
製造ライン500では、金属板10、20および芯材30を備える屋根パネル1の切断前のパネル素材1Sが、フレーム510に設けられた複数の搬送ローラ520上を矢印T方向に搬送される。パネル素材1Sの搬送方向は、接合面1a、1bの長さ方向と平行な方向とされる。
【0028】
製造ライン500では、パネル素材1Sを搬送しながら、少なくとも、上記芯材30の両面に金属板10、20を接着する工程と、金属板10、20の各接合面1a、1bを図3で示したような所定の屈曲形状に折り曲げ加工する工程と、装着機構400によってシール材200を接合面1aの溝120内に装着する工程と、切断工程とが、この順にしたがって行われるようになっている。切断工程では、例えば搬送方向に直交する方向にパネル素材1Sが切断され、所定長さの屋根パネル1が得られる。以下、パネル素材1Sは上記屋根パネル1の形状や構成を同様に備えたものとして説明を続ける。
【0029】
装着機構400は、製造ライン500のフレーム510に固定された支持板530に支持されている。また、支持板530には、シール材200をロール状に巻いて蓄積したシール材のロール(シール材蓄積部)200Aが回転可能に支持されている。
【0030】
ここで、本実施形態で用いられるシール材200について説明する。図6に示すように、シール材200は、シール本体部201と、テープ部202と、フィルム203と、を備える。
【0031】
シール本体部201は、シール材200の長尺な帯状の基材であって、例えば樹脂やゴム等からなる所定厚さ(例えば、1~30mm程度の厚さ)の可撓性、気密性ならびに弾力性を有する材料で構成される。シール本体部201は、互いに平行な一対の主面201a、201bを有し、一方の主面201aにテープ部202が設けられ、他方の主面201bにフィルム203が設けられる。テープ部202は、紙や樹脂等からなる材料によって構成され、主面201aに対し剥離可能に粘着剤によって貼られている。テープ部202は、可撓性は有するものの、シール本体部201に貼られることにより、シール本体部201の剛性を上げるものである。
【0032】
フィルム203は、例えば薄膜状の樹脂によって構成され、シール本体部201の主面201bに対し剥離可能に粘着剤によって貼られている。シール本体部201に対するテープ部202およびフィルム203は、ゴム系、アクリル系、ウレタン系等の粘着剤で剥離可能に貼られて配設される。
【0033】
シール本体部201、テープ部202およびフィルム203を備えた上記構成のシール材200は、市販品のいわゆる両面テープを適用することができる。
【0034】
次いで、装着機構400を説明する。図4に示すように、装着機構400は、支持板530に固定されたベース板部401を有する。図5に示すように、ベース板部401には、搬送される屋根パネル1のパネル素材1Sの接合面1aに対向して配置され、シール材200を接合面1aに押し付ける押し付け部410と、ロール200Aから引き出されたシール材200を押し付け部410にガイドするガイド部420が設けられている。
【0035】
押し付け部410は、搬送されるパネル素材1Sの接合面1aの溝120にシール材200を押し付けてはめ込むように構成され、これにより、パネル素材1Sの搬送に追従してシール材200が接合面1aの溝120に連続的に装着される。ガイド部420は、シール材200を、接合面1aの溝120と略平行となる状態に接合面1aと押し付け部410との間に導入するように構成されている。
【0036】
本実施形態の押し付け部410は、複数の部材、すなわち搬送方向の上流側から順に配置された第1ローラ(回転部材)411、へら部材(固定部材)412および第2ローラ(回転部材)413から構成されている。各ローラ411、413は円盤状に形成されたもので、それぞれ回転軸411a、413aを介して、回転可能にベース板部401に支持されている。各回転軸411a、413aは、図7に示すように、搬送されるパネル素材1Sの厚さ方向に対しやや傾斜する方向に軸心が延在しており、各ローラ411、413は、図5において時計方向・反時計方向のいずれの方向にも回転自在となっている。
【0037】
第1ローラ411および第2ローラ413は、パネル素材1Sの搬送方向に沿って所定間隔をおいてこの順に配置されている。これら第1ローラ411および第2ローラ413は、図7(d)、(b)にそれぞれ示すように、搬送されるパネル素材1Sの接合面1aにおける溝120に対して、僅かな隙間をあけてその周面が対向するよう配置されている。それらの隙間にシール材200が導入され、そのシール材200を各ローラ411、413が溝120内に押し込むように構成されている。
【0038】
第1ローラ411と第2ローラ413との間に、へら部材412が配置されている。へら部材412は、ベース板部401に取り付けられる基端部412aと、基端部412aからパネル素材1S側に向かって延びる棒状部412bと、棒状部412bの先端側に設けられ、パネル素材1Sの溝120に対向するへら部412cと、を有する。先端のへら部412cは、パネル素材1Sの搬送方向上流側に向かうにしたがってパネル素材1Sから離れるように傾斜するへら状の面に形成されている。図7(c)に示すように、へら部412cは、パネル素材1Sの溝120に対して僅かな隙間をおいて対向するよう配置されている。それらの隙間にシール材200が導入され、そのシール材200をへら部412cが溝120内に押し付けるように構成されている。
【0039】
へら部材412の基端部412aは、搬送方向に直交して延びる長孔401aを利用してベース板部401にねじ留めされることにより、パネル素材1Sに対して離間したり接近したりすることが可能なように取り付けられている。これにより、適度な圧力でシール材200を押し付けることができるようになっている。
【0040】
図5に示すように、ガイド部420は、ガイドステー421と、円盤状のガイドローラ422とによって構成されている。
【0041】
ガイドステー421は、ベース板部401におけるパネル素材1Sの搬送方向上流側に配置されている。ガイドステー421は、ロッドをJ字状に屈曲させた形状を有し、一端部がベース板部401に装着され、先端部に、シール材200を通すリング部421aを有する。シール材200はリング部421aに通されて、押し付け部410の方向に導かれる。
【0042】
ガイドローラ422は、第1ローラ411に対しパネル素材1Sの搬送方向上流側に配置されている。ガイドローラ422は、図7(a)に示すように外周面に周溝422bが形成されており、その周溝422bが、第1ローラ411の外周部と僅かな隙間をあけて対向するように配置されている。ガイドローラ422は、回転軸422aを介して回転可能にベース板部401に支持されている。回転軸422aは、第1ローラ411および第2ローラ413の各回転軸411a、413aと平行であって、図5において時計方向・反時計方向のいずれの方向にも回転自在となっている。
【0043】
以上の構成を備えた装着機構400によれば、次のようにしてシール材200がパネル素材1Sの溝120に装着される。はじめにシール材200の先端部が、ロール200Aから引き出されてガイドステー421のリング部421aに挿入されてから、ガイドローラ422と第1ローラ411との間に導入される。シール材200はガイドローラ422と第1ローラ411とに挟まれ、シール材200の移動により、ガイドローラ422と第1ローラ411は従動的に回転する。ガイドローラ422と第1ローラ411は従動的に回転する。次いで、シール材200は、図7(b)に示すように第1ローラ411と溝120との間に差し込まれ、第1ローラ411により溝120に押し込まれる。
【0044】
次いで、シール材200は、溝120に入り込んだまま、へら部材412および第2ローラ413と、溝120との間を通過させられる。図7(c)に示すように、へら部材412を通過するときに、シール材200はへら部412cで溝120内に押し込まれる。そして、第2ローラ413を通過するとき、図7(d)に示すように、第2ローラ413で溝120内に押し付けられ、最終的に溝120にはまり込んだ状態が保持され、装着された状態となる。
【0045】
第2ローラ413を通過するとき、シール材200は第2ローラ413と溝120の底面とに挟まれ、この状態で生じる摩擦により、シール材200は、ロール200Aから引き出されながら、溝120内に連続的に装着されていく。また、第2ローラ413は従動回転させられる。
【0046】
すなわちシール材200は、搬送されるパネル素材1Sに追従して、押し付け部410により溝120内に連続的に装着されていく。本実施形態では、シール材200は、テープ部202が内側に配置されて溝120の底面に押し付けられるように装着されるが、シール材200の向きはこれに限定されず、フィルム203が内側に配置されるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第2ローラ413がシール材200をパネル素材1Sに押し付け、第1ローラ411およびへら部材412は、シール材200を溝120内に確実にはめ込むようにするものとしているが、第1ローラ411およびへら部材412も、ともにシール材200を溝120内の底面に押し付けるように構成してもよい。
【0048】
上記実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態のシール材200は、互いに接合される複数の屋根パネル1の接合面の少なくとも一方側の接合面1aに、該接合面1aに沿って延在するように装着されるシール材200であって、互いに平行な一対の主面201a、201bを有するとともに所定厚さを有する帯状の可撓性を有するシール本体部201と、該シール本体部201の一方の主面201aに貼着されて該シール本体部201の剛性を上げる可撓性を有するテープ部202と、を備えている。
【0049】
これにより本実施形態のシール材200は、テープ部202により剛性が付加されて適度な剛性を有するため、よれやねじれが生じることなく適切に屋根パネル1における接合面1aの溝120に装着することができる。
【0050】
また、製造ライン500の下流端部においてパネル素材1Sを切断して所望の長さの屋根パネル1を得る際、切断によってシール材200が弾性復帰等を原因として長さ方向に収縮することが、テープ部202によって抑制される。これは、テープ部202がシール本体部201に貼着されているため、テープ本体部201はテープ部202に拘束される状態となっており、テープ本体部201の収縮が抑制されるからである。このため、シール材200は屋根パネル1の接合面1aの全長にわたる長さが切断後も変化せず、結果として十分なシール性が確保される。
【0051】
本実施形態の装着機構400は、シール材200を屋根パネル1の素材、すなわちパネル素材1Sの接合面1aの溝120に装着する装着機構であって、接合面1a、1bの長さ方向に沿って搬送されるパネル素材1Sの接合面1aに対向して配置され、シール材200を接合面1aの溝120に押し付ける押し付け部410と、ロール200Aから引き出されたシール材200を押し付け部410にガイドするガイド部420と、を備える。そして、ガイド部420は、シール材200を、接合面1aと略平行となる状態に該接合面1aと押し付け部410との間に導入し、押し付け部410が、搬送されるパネル素材1Sの接合面1aの溝120にシール材200を押し付けることにより、パネル素材1Sの搬送に追従してシール材200が接合面1aの溝120に連続的に装着される。
【0052】
これにより本実施形態の装着機構400は、シール材200を、よれやねじれが生じることなく適切に屋根パネル1における接合面1aの溝120に装着することができる。
【0053】
本実施形態の押し付け部410は、シール材200との摩擦によりパネル素材1Sの搬送に追従して従動的に回転する第2ローラ413を含んでいる。また、押し付け部410は、接合面1aの溝120に対向する位置に固定的に設けられるへら部材412を含んでいる。このように複数の部材によりシール材200は溝120に導入されるとともにはめ込まれていき、最終的に押し付けられて装着されるため、シール材200はその溝120に確実かつ円滑に装着される。
【0054】
なお、上記実施形態は屋根パネルに適用しているが、本発明は屋根パネルに限られず、壁パネルや他種の建材パネルに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、屋根パネルや壁パネル等の建材パネルの側面等に設定される接合面に長尺な帯状のシール材を確実かつ円滑に装着することができるシール材および装着機構として好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0056】
1…屋根パネル(パネル)
1a、1b…接合面
200…シール材
200A…ロール(シール材蓄積部)
201…シール本体部
201a、201b…主面
202…テープ部
400 装着機構
410…押し付け部
411…第1ローラ(回転部材)
412…へら部材(固定部材)
413…第2ローラ(回転部材)
420 ガイド部
図1
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図5
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図7