(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】線材カバー
(51)【国際特許分類】
A44B 99/00 20100101AFI20240205BHJP
【FI】
A44B99/00 611A
A44B99/00 611N
(21)【出願番号】P 2020092567
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518031882
【氏名又は名称】吉田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳子
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-085581(JP,U)
【文献】登録実用新案第3079169(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0091527(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0152981(US,A1)
【文献】実開平02-092710(JP,U)
【文献】特開2016-209518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 99/00
A45C 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに合体分離可能な下部カバーと上部カバーとから成り、
前記下部カバーが、有底筒状の下部本体と、前記下部本体の周壁に前記下部本体の開口縁部から底部に向かって開設された少なくとも一つのスリットと、前記開口縁部に前記底部から離れる方向に突設された複数の下部係合体と、前記下部係合体に前記下部本体の軸心から離れる方向に突設されたフランジと、を備え、
前記上部カバーが、複数の前記下部係合体を包囲した状態で前記下部本体に嵌合可能な有底筒状の上部本体と、前記上部本体の内周から前記上部本体の軸心に向かって突設され前記下部カバーと前記上部カバーとが合体状態にあるとき前記下部係合体のフランジに対して前記下部本体の開口縁部側から当接する係合面を有する複数の上部係合体と、前記上部本体の開口縁部に設けられ前記合体状態にあるとき前記下部カバーの開口縁部のスリットに嵌入する突起部と、を備えた線材カバー。
【請求項2】
前記下部カバーの下部係合体に、前記上部カバーの上部係合体の軸心周りの移動を阻止するストッパを設けた請求項1記載の線材カバー。
【請求項3】
前記下部カバーの下部係合体のフランジと、前記上部カバーの上部係合体の係合面との当接面が前記下部本体の軸心周りの仮想螺旋と同方向に傾斜した請求項1または2記載の線材カバー。
【請求項4】
前記下部カバーの下部係合体のフランジから前記下部本体の開口縁部寄りの位置に前記フランジと同方向に突出した補強部を設けた請求項1~3の何れかの項に記載の線材カバー。
【請求項5】
前記下部カバーの下部係合体のフランジから前記下部本体の軸心に沿って前記下部本体の底部から遠ざかる方向に変位した位置に副フランジを設け、前記合体状態にあるとき前記副フランジに対して前記下部本体の開口縁部側から当接する係合面を有する副上部係合体を前記上部カバーの上部係合体から前記上部本体の軸心に沿って前記上部本体の底部に近づく方向に変位した位置に設けた請求項1~3の何れかの項に記載の線材カバー。
【請求項6】
前記上部カバーの開口縁部の突起部の形状が、半球形状若しくは前記上部本体の軸心と直交する方向を長手方向とする半円柱形状である請求項1~5の何れかの項に記載の線材カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐、針金、ロープ、ワイヤなどの各種線材の端部の結び目、交差部、連結部などを被覆するための線材カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
紐や針金などの線材の端部の結び目、交差部、連結部などを覆うように取り付けられる部材や器具については、従来、様々なものが提案されているが、本発明に係る線材カバーに関連する従来技術として、例えば、特許文献1の[
図1]に記載された「締結器具10」、特許文献2の[
図2]に記載された「ループエンド9」、特許文献3の[
図1],[
図6]に記載された「線材係留アンカーA」あるいは特許文献4に記載された「高電圧中継端子」などがある。
【0003】
特許文献1に記載された「締結器具10」は、紐状体3の両端部に形成された拡径部31,32を固定、分離することができる器具である。特許文献2に記載された「ループエンド9」は、紐3の両端部を結束する部材である。特許文献3に記載された「線材係留アンカーA」は、金属線材15x,15yが直交する部分を、自然石25に対して、位置ズレ不能に押え止めることができる器具である。特許文献4に記載された「高電圧中継端子」は、複数の高電圧配線の端末にそれぞれ接続された端子を互いに接続及び中継することができる器具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3215673号公報
【文献】実用新案登録第3157903号公報
【文献】特開平11-210003号公報
【文献】実開昭59-85581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「締結器具10」は紐状体3の両端部を締結する用途には好適であるが、1本の紐の一端部のみを被覆したり、3本以上の紐の3つ以上の端部や連結部を被覆したりする用途には不適である。また、「締結器具10」は、タグの取付時などに本体1とカバー2とが容易に固定・分離できるように、作業性の向上を重視した形状であるため、締結状態が不安定な面があるのは否定できない。
【0006】
特許文献2に記載された「ループエンド9」は紐3の両端部を強力に結束する機能を有しているが、固定式であるため、一旦、紐3の両端部を結束した後、ループエンド9を紐3から離脱させたり、ループエンド9を紐3に再装着したりすることができない。
【0007】
特許文献3に記載された「線材係留アンカーA」は、金属線材15x,15yを位置ズレ不能に押え止めることができるが、使用中はボルトBの軸部18から金属線材15x,15yに対して強い押圧力や剪断力が加わっているので、柔軟な材料で形成された紐、針金、ロープなどの連結部や交差部に使用すると、紐、針金、ロープなどが破断する可能性が高い。
【0008】
特許文献4に記載された「高電圧中継端子」は、複数の高電圧配線の端末にそれぞれ接続された端子をねじにより互いに固定する内部中継部を密閉状態で収納することができるが、配線用端子5が固定された内部中継部2を中空絶縁部材3に挿入し、中空絶縁部3の開放端にふた1をネジ込んで配線4を固定したとき、配線引き出し用溝10に沿って引き出された配線4に対して強い押圧力や剪断力が加わるので、柔軟な材料で形成された紐、針金、ロープなどの連結部や交差部に使用すると、紐、針金、ロープなどが破断する可能性が高い。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、比較的柔軟な線材の端部の結び目、交差部、連結部などを着脱可能に被覆することができ、安定した被覆状態を維持することができる線材カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る線材カバーは、
互いに合体分離可能な下部カバーと上部カバーとから成り、
前記下部カバーが、有底筒状の下部本体と、前記下部本体の周壁に前記下部本体の開口縁部から前記底部に向かって開設された少なくとも一つのスリットと、前記開口縁部に前記底部から離れる方向に突設された複数の下部係合体と、前記下部係合体に前記下部本体の軸心から離れる方向に突設されたフランジと、を備え、
前記上部カバーが、複数の前記下部係合体を包囲した状態で前記下部本体に嵌合可能な有底筒状の上部本体と、前記上部本体の内周から前記上部本体の軸心に向かって突設され前記下部カバーと前記上部カバーとが合体状態にあるとき前記下部係合体のフランジに対して前記下部本体の開口縁部側から当接する係合面を有する複数の上部係合体と、前記上部本体の開口縁部に設けられ前記合体状態にあるとき前記下部カバーの開口縁部のスリットに嵌入する突起部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記線材カバーにおいては、前記下部カバーの下部係合体に、前記上部カバーの上部係合体の軸心周りの移動を阻止するストッパを設けることができる。
【0012】
前記線材カバーにおいては、前記下部カバーの下部係合体のフランジと、前記上部カバーの上部係合体の係合面との当接面が前記下部本体の軸心周りの仮想螺旋と同方向に傾斜した構造とすることができる。
【0013】
前記線材カバーにおいては、前記下部カバーの下部係合体の前記フランジから前記下部本体の開口縁部寄りの位置に前記フランジと同方向に突出した補強部を設けることができる。
【0014】
前記線材カバーにおいては、前記下部カバーの下部係合体のフランジから前記下部本体の軸心に沿って前記下部本体の底部から遠ざかる方向に変位した位置に副フランジを設け、前記合体状態にあるとき前記副フランジに対して前記下部本体の開口縁部側から当接する係合面を有する副上部係合体を前記上部カバーの上部係合体から前記上部本体の軸心に沿って前記上部本体の底部に近づく方向に変位した位置に設けることができる。
【0015】
前記線材カバーにおいては、前記上部カバーの開口縁部の突起部の形状を、半球形状若しくは前記上部本体の軸心と直交する方向を長手方向とする半円柱形状とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により比較的柔軟な線材の端部の結び目、交差部、連結部などを着脱可能に被覆することができ、安定した被覆状態を維持することができる線材カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【
図2】
図1中に示す下部カバーの一部省略平面図である。
【
図3】
図1に示す線材カバーの使い方を示す一部省略斜視図である。
【
図4】
図3に示す線材カバーを構成する下部カバーと上部カバーの合体工程を示す一部省略斜視図である。
【
図5】
図1に示す線材カバーのその他の使い方を示す一部省略斜視図である。
【
図6】
図1に示す線材カバーのその他の使い方を示す一部省略斜視図である。
【
図7】本発明の第二実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【
図8】
図7中に示す下部カバーの一部省略平面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【
図10】
図9中に示す下部カバーの一部省略平面図である。
【
図11】本発明の第四実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【
図12】本発明の第五実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【
図13】本発明の第六実施形態である線材カバーを分離状態で示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図13に基づいて本発明の実施形態である線材カバー10,20,30,40,50,60について説明する。なお、
図7~
図13に示す線材カバー20,30,40,50,60を構成する部分において
図1~
図6に示す線材カバー10を構成する部分と共通する部分については
図1~
図6中の符号と同符号を付して説明を省略する場合がある。
【0019】
初めに、
図1~
図6に基づいて、本発明の第一実施形態である線材カバー10について説明する。
図1,
図2に示すように、線材カバー10は、互いに合体分離可能な下部カバー11と上部カバー12とから成る。
図2,
図3に示すように、下部カバー11は、有底筒状の下部本体1と、下部本体1の周壁1wに下部本体1の開口縁部1aから底部1bに向かって開設された複数のスリット2,2と、開口縁部1aの一部に底部1bから離れる方向に突設された複数の下部係合体3,3と、下部係合体3,3のそれぞれに下部本体1の軸心1cから離れる方向に突設されたフランジ4,4と、フランジ4,4の周方向の一方の端部から底部1bに向かって垂下するように突設されたストッパ5と、を備えている。
図2に示すように、下部係合体3,3は、開口縁部1a,1aの内周に沿って一方のスリット2から他方のスリット2に至る範囲に半円筒状をなすように設けられている。
【0020】
図1~
図3に示すように、上部カバー12は、下部カバー11の複数の下部係合体3,3を包囲した状態で下部本体1に嵌合可能な有底筒状の上部本体6と、上部本体6の内周6dから上部本体6の軸心6cに向かって突設され下部カバー11と上部カバー12が合体状態にあるとき下部係合体3,3のフランジ4,4に下部本体1の開口縁部1a側から当接する係合面7a(
図1参照)を有する複数の上部係合体7と、上部本体6の開口縁部6aに設けられ前記合体状態にあるときに下部カバー11の開口縁部1aのスリット2,2に嵌入する半円柱状の突起部8,8と、を備えている。
【0021】
次に、
図3,
図4に基づいて、線材カバー10の使い方の一例について説明する。
図3に示すように、線材カバー10を構成する下部カバー11と上部カバー12とを分離し、下部カバー11の下部本体1の中央部分にある凹状の収容部Rに紐Sの一部に形成された結び目Nを収容するとともに、結び目Nを挟んで反対方向に延出する紐S,Sをそれぞれスリット2,2内に装入する。
【0022】
この後、下部カバー11に対し、その上面部分(開口縁部1a、下部係合体3及びフランジ4が存在する部分)を上部カバー12の下面部分(開口縁部6a、上部係合体7及び突起部8が存在する部分)で覆うような姿勢で、下部カバー11並びに上部カバー12を対向させ、両者を接近させる。
【0023】
詳しくは、下部カバー11の下部本体1の開口縁部1aと上部カバー12の上部本体6の開口縁部6aとを、それぞれの軸心1c,6cが同一直線をなすような姿勢で対向させ、且つ、複数の下部係合体3,3と複数の上部係合体7,7とがそれぞれ互いに向き合わないように、下部カバー11(上部カバー12)を軸心1c(6c)周りに所定角度変位させた状態で、上部カバー12と下部カバー11とを接近させると、
図4(a)に示すように、下部カバー11の開口縁部1aに上部カバー12の開口縁部6aが接触した状態となる。
【0024】
この後、
図4(a)に示すように、上部カバー12を矢線方向に回転させると、
図3に示す上部カバー12の複数の上部係合体7がそれぞれ下部カバー11のフランジ4と開口縁部1aとの間に進入するとともに、上部カバー12の複数の突起部8が下部カバー11の複数のスリット2に嵌入し、
図4(b)に示すように、下部カバー11と上部カバー12とが合体した状態となる。
【0025】
下部カバー11と上部カバー12とが合体状態にあるとき、
図1に示す上部係合体7の係合面7aが開口縁部1a側からフランジ4の係合面4aに当接するとともに、突起部8がスリット2に嵌入しているので、下部カバー11と上部カバー12とは簡単に分離せず、また、下部カバー11と上部カバー12とが合体状態にあるとき、
図1に示す上部係合体7の先頭面7bがストッパ5に当接または近接しているので、上部カバー12に
図4(a)中の矢線方向の外力が加わることがあっても上部カバー12の回転を阻止することが可能であり、紐Sの結び目Nを被覆した状態を安定保持することができる。
【0026】
さらに、
図4(a)に示すように、スリット2の深さ(開口縁部1aからスリット2の最下面までの距離)は紐Sの外径より大であり、
図4(b)に示すように、合体状態にある下部カバー11と上部カバー12とは両者の開口縁部1a,6a同士が密着した状態のまま、これ以上接近しないように拘束されるので、スリット4に装入された紐Sに押圧力や剪断力が加わることがなく、紐Sの変形や損傷を防止することができる。
【0027】
なお、線材カバー10においては、
図4(a)に示すように、上部カバー12を矢円方向に回転させていき、
図1に示す上部係合体7の先頭面7bがストッパ5に当接して回転不能となったとき、
図4(b)に示すように、突起部8がスリット2に嵌入するように設定されているので、突起部8がスリット2に確実に嵌入したことを的確に把握することができる。
【0028】
線材カバー10から紐Sの結び目Nを取り外すときは、
図4(b)に示す合体状態にある線材カバー10の上部カバー12を、
図4(a)中の矢線と反対方向に回転させれば、突起部8がスリット2から離脱し、
図1に示す上部係合体7がフランジ4から離れ、上部カバー12は下部カバー11から分離可能となるので、取り外し作業も容易である。
【0029】
このように、線材カバー10は、比較的柔軟な線材の一種である紐Sの一部に形成された結び目Nを着脱可能に被覆することができ、安定した被覆状態を維持することができる。また、前述したように、線材カバー10によって被覆状態にある紐Sに押圧力や剪断力などが加わらないので、紐Sが変形したり、損傷したりすることもない。
【0030】
次に、
図5,
図6に基づいて、線材カバー10のその他の使い方について説明する。
図5,
図6は複数の紐S1,S2の端部に形成された結び目N1,N2を線材カバー10によって被覆することにより紐S1,S2などを繋いだ例を示している。
【0031】
図5に示すように、下部カバー11と上部カバー12とを分離し、下部カバー11の下部本体1の中央部分にある凹状の収容部Rに紐S1,S2の端部に形成された結び目N1,N2を収容するとともに、結び目N1,N2から延出する紐S1,S2をそれぞれスリット2,2内に装入する。
【0032】
次に、下部カバー11に対し、その上面部分(開口縁部1a、下部係合体3及びフランジ4が存在する部分)を上部カバー12の下面部分(開口縁部6a、上部係合体7及び突起部8が存在する部分)で覆うような姿勢で、下部カバー11並びに上部カバー12を対向させ、両者を接近させる。
【0033】
この後は、前述した
図4(a)に示すような手順で上部カバー12を矢線方向に回転させると、
図6に示すように、下部カバー11と上部カバー12とが合体した状態となり、紐S1,S2の結び目N1,N2が線材カバー10によって被覆されるとともに、紐S1,S2とが繋がれた状態となる。また、
図5に示す紐S2の結び目N1の反対側の端部に形成された結び目(図示せず)並びに
図6に示す紐S3の端部に形成された結び目(図示せず)を他の線材カバー10で被覆すれば、複数の紐S1,S2,S3を連続的に繋げることもできる。
【0034】
次に、
図7,
図8に基づいて、その他の実施形態である線材カバー20について説明する。
図7に示すように、線材カバー20においては、上部カバー22の上部本体6の開口縁部6aに複数の半球状の突起部28,28が設けられている。下部カバー21と上部カバー22とが合体状態にあるとき、突起部28,28は、
図8に示す下部カバー21のスリット2,2に嵌入する。
【0035】
また、線材カバー20においては、
図8に示すように、下部カバー21の下部本体1の開口縁部1aの内周の一部に沿って複数の下部係合体3,3が突設されている。具体的には、開口縁部1aの内周の一方のスリット2から他方のスリット2に至る領域の中央部分において、開口縁部1aの内周に沿って下部本体1の軸心1cを中心とした角度60度の範囲に下部係合体3,3が設けられている。その他の部分の構成並びに使い方などは
図1,
図2に示す線材カバー10と同様である。
【0036】
次に、
図9,
図10に基づいて、その他の実施形態である線材カバー30について説明する。
図9に示すように、線材カバー30においては、上部カバー32の上部本体6の開口縁部6aに複数の半球状の突起部28,28が設けられている。下部カバー31と上部カバー32とが合体状態にあるとき、突起部28,28は、
図10に示す下部カバー31のスリット2,2に嵌入する。
【0037】
また、線材カバー30においては、
図10に示すように、下部係合体33、フランジ34及びストッパ35が、開口縁部1aの内周より内側(軸心1cに近い側)に設けられている。また、下部係合体33、フランジ34及びストッパ35は、開口縁部1aの内周の一方のスリット2から他方のスリット2に至る領域の中央部分において、開口縁部1aの内周に沿って下部本体1の軸心1cを中心とする角度60度~90度の範囲に設けられている。その他の部分の構成並びに使い方などは
図1,
図2に示す線材カバー10と同様である。
【0038】
次に、
図11に基づいて、その他の実施形態である線材カバー40について説明する。
図11に示すように、線材カバー40においては、上部カバー42の上部本体6の開口縁部6aに複数の半球状の突起部28,28が設けられている。下部カバー41と上部カバー42とが合体状態にあるとき、突起部28,28は、下部カバー41のスリット(図示せず)に嵌入する。
【0039】
また、線材カバー40においては、下部カバー41の下部係合体43のフランジ44の係合面44a(上部カバー42の上部係合体47の係合面47a)が下部本体1の軸心1c周り(上部本体6の軸心6c周り)の仮想螺旋と同方向に傾斜している。従って、下部カバー41と上部カバー42とが合体状態にあるとき、係合面44a,47aの当接面が前記仮想螺旋と同方向に傾斜した状態となる。
【0040】
このように、係合面44a,47aが何れも前記仮想螺旋と同方向に傾斜していることにより、上部カバー42を軸心6c中心に回転させて下部カバー41と合体させるとき、上部係合体47はフランジ44の係合面44aと開口縁部1aとの間にスムーズに誘導される。その他の部分の構成並びに使い方などは
図1,
図2に示す線材カバー10と同様である。
【0041】
次に、
図12に基づいて、その他の実施形態である線材カバー50について説明する。
図12に示すように、線材カバー50においては、上部カバー52の上部本体6の開口縁部6aに複数の半球状の突起部28,28が設けられている。下部カバー51と上部カバー52とが合体状態にあるとき、突起部28,28は、下部カバー51のスリット(図示せず)に嵌入する。
【0042】
また、線材カバー50においては、下部カバー51の下部係合体53のフランジ54から下部本体1の開口縁部1a寄りの位置にフランジ54と同方向に突出した補強部54xが設けられ、フランジ54及び補強部54xの先頭側にストッパ55が設けられている。下部カバー51と上部カバー52とが合体状態にあるとき、上部カバー52の上部本体6の内周6dに突設された上部係合体57がフランジ54と補強部54xとの間に嵌入している。このとき、上部係合体57の係合面57aが下部カバー51のフランジ54に補強部54x側(開口縁部1a側)から当接し、上部係合体57の先頭面57bが下部カバー51のストッパ55に当接または近接している。その他の部分の構成並びに使い方などは
図1,
図2に示す線材カバー10と同様である。
【0043】
次に、
図13に基づいて、その他の実施形態である線材カバー60について説明する。
図13に示すように、線材カバー60においては、上部カバー62の上部本体6の開口縁部6aに複数の半球状の突起部28,28が設けられている。下部カバー61と上部カバー62とが合体状態にあるとき、突起部28,28は、下部カバー61のスリット(図示せず)に嵌入する。
【0044】
また、線材カバー60においては、下部カバー61の下部係合体63のフランジ66から下部本体1の軸心1cに沿って下部本体1の底部1bから遠ざかる方向に変位した位置に副フランジ64が設けられ、上部カバー62の上部係合体68から上部本体6の軸心6cに沿って上部本体6の底部6bに近づく方向に変位した位置に副上部係合体67が突設されている。
【0045】
下部カバー61と上部カバー62とが合体状態にあるとき、上部係合体68は下部カバー61のフランジ66と開口縁部1aとの間に嵌入され、副上部係合体67は下部カバー61のフランジ66と副フランジ64との間に嵌入されている。
【0046】
また、前記合体状態にあるとき、上部カバー62の上部係合体68の係合面68aは下部カバー61のフランジ66の係合面66aに当接し、上部カバー62の副上部係合体67の係合面67aは下部カバー61の副フランジ64の係合面64aに当接し、上部係合体68及び副上部係合体67の先頭面68b,67bはそれぞれストッパ65に当接または近接している。その他の部分の構成並びに使い方などは
図1,
図2に示す線材カバー10と同様である。
【0047】
なお、
図1~
図13に基づいて説明した線材カバー10,20,30,40,50,60は本発明に係る線材カバーを例示するものであり、本発明に係る線材カバーは前述した線材カバー10,20,30,40,50,60に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る線材カバーは、様々な産業分野で使用されている紐、針金、ロープなどの各種線材の端部の結び目、交差部、連結部などを被覆する器具として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 下部本体
1a,6a 開口縁部
1b,6b 底部
1c,6c 軸心
1w 周壁
2 スリット
3,33,43,53,63 下部係合体
4,34,44,54,66 フランジ
5,35,55,65 ストッパ
6 上部本体
6d 内周
7,37,47,57,68 上部係合体
7a,4a,34a,37a,44a,47a,57a,64a,66a,67a,68a 係合面
7b,37b,57b,67b,68b 先頭面
8,28 突起部
54x 補強部
64 副フランジ
67 副上部係合体
N,N1,N2 結び目
R 収容部
S,S1,S2,S3 紐
10,20,30,40,50,60 線材カバー