(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】バスケット用クリップ
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20240205BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
G09F1/10 T
F16B2/22 D
F16B2/22 E
(21)【出願番号】P 2020119075
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591135657
【氏名又は名称】ワヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】加山 元則
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-134184(JP,A)
【文献】特開2012-155012(JP,A)
【文献】特開平09-068921(JP,A)
【文献】実開昭57-157979(JP,U)
【文献】米国特許第04134222(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0010479(KR,U)
【文献】登録実用新案第3145274(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00 - 1/14
F16B 2/22
B42F 1/02 - 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を所定間隔で縦横に連結して成るバスケットの上部に装着して表示体を支持するためのバスケット用クリップであって、
互いに回動可能に係合する一対のクリップ部品と、両クリップ部品に跨がって装着するばね部品とを備え、
両クリップ部品が、回動中心を間にして、先端側に配置され且つバスケットの棒材を挟持するための挟持部と、基端側に配置され且つ挟持部同士を開くための操作部とを備えると共に、挟持部と回動中心との間に、回動中心線に沿う方向に連通してバスケットの開口縁の棒材を貫通させる空間部を形成しており、
ばね部品が、両クリップ部品に対して挟持部同士を閉じる方向に反発力を付与するばね部と、表示体を装着するための連結部とを備えていることを特徴とするバスケット用クリップ。
【請求項2】
表示体が、バスケットに対して立設する支持ロッドと、支持ロッドの上端部に設けた表示部と、支持ロッドの下端部に設けた取付部とを備え、
ばね部品の連結部と表示体の取付部とが、相対的に、回動可能に係合する凹凸であると共に、係合方向に直交する断面が多角形状を成していることを特徴とする請求項1に記載のバスケット用クリップ。
【請求項3】
表示体の支持ロッドが、下端部寄りの位置で当該支持ロッドを折り曲げ可能にする回動連結部を備えていることを特徴とする請求項2に記載のバスケット用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗内の保冷ケースにおいて、商品を収容するバスケットに装着して宣伝広告等の表示体を保持するのに用いられるバスケット用クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、表示体を保持するクリップとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のクリップ式の表示具は、折り曲げ可能で保形性を有するワイヤの一端及び他端の夫々にクリップを設けた構成を有する。この表示具は、一方のクリップを商品陳列棚などに装着すると共に、他方のクリップに表示板を挟んで、商品陳列棚などに表示板を掲示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、とくに食料品類を販売する店舗において、上側に開放された保冷ケースが用いられている。この保冷ケースは、冷ケース、冷蔵ケースなどと呼ばれ、内部に複数のバスケットを配列して、各バスケットに商品を収容する。また、保冷ケースに用いるバスケットは、金属製の棒材を所定間隔で縦横に連結した構造を有し、上側に開放された箱形を成すものが多用されている。
【0005】
ここで、従来のクリップ式の表示具は、上記の保冷ケースに用いるバスケットにも装着することができる。ところが、バスケットを構成する棒材には、多くの場合、丸棒材が用いられており、とくに、バスケットの上部の開口縁には、強度を確保する都合上、縦横の桟よりも大径の丸棒材が用いられる。これに対して、上記の表示具は、一本の丸棒材にクリップを装着せざるを得ないので、装着後、外力等によりクリップが回転し易く、表示体の姿勢が変わってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、棒材から成るバスケットに用いるのに適したクリップであり、バスケットに対して確実に固定して、表示体の姿勢を安定して支持することができるバスケット用クリップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わるバスケット用クリップは、棒材を所定間隔で縦横に連結して成るバスケットの上部に装着して表示体を支持するためのクリップであって、互いに回動可能に係合する一対のクリップ部品と、両クリップ部品に跨がって装着するばね部品とを備え、両クリップ部品が、回動中心を間にして、先端側に配置され且つバスケットの棒材を挟持するための挟持部と、基端側に配置され且つ挟持部同士を開くための操作部とを備えると共に、挟持部と回動中心との間に、回動中心線に沿う方向に連通してバスケットの開口縁の棒材を貫通させる空間部を形成しており、ばね部品が、両クリップ部品に対して挟持部同士を閉じる方向に反発力を付与するばね部と、表示体を装着するための連結部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成を備えたバスケット用クリップは、棒材を所定間隔で縦横に連結して成るバスケットに装着するのに適している。バスケットは、上述したように店舗用の保冷ケースの内部に配列されるもので、上側に開放された箱形を成し、多くの場合、金属製の丸棒材が用いられており、上部の開口縁には桟部分よりも大径の丸棒材が用いられている。
【0009】
上記のバスケットに対して、バスケット用クリップは、各クリップ部品の操作部を操作して挟持部同士を開き、両挟持部でバスケットの棒材を内外から挟持し、ばね部品の反発力で挟持状態を維持する。この際、バスケット用クリップは、バスケットの開口縁の棒材を跨いた状態にして、両挟持部で縦又は横の棒材を挟むように装着し、開口縁の棒材が空間部を貫通する。これにより、バスケット用クリップは、バスケットに確実に固定され、ばね部品の連結部に装着した表示体を安定して支持する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わるバスケット用クリップは、上記構成を採用したことにより、棒材から成るバスケットに用いるのに適したクリップであり、バスケットに対して確実に固定して、表示体の姿勢を安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のバスケット用クリップの一実施形態を説明する正面図(A)及び側面図(B)である。
【
図2】
図1に示すバスケット用クリップの正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)、及び操作部を押圧した状態を示す側面図(D)である。
【
図3】
図1に示すバスケット用クリップを構成するクリップ部品の正面図(A)、平面図(B)、及びクリップ部品及びばね部品を分解状態で示す側面図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すバスケット用クリップ(以下、「クリップ」と略記する)1は、棒材を所定間隔で縦横に連結して成るバスケットBの上部に装着して表示体Aを支持するのに用いるのに好適である。
【0013】
図1に一部を示すバスケットBは、店舗用の保冷ケース内に配列して商品を収容するものである。このバスケットBは、金属製の断面円形の棒材(丸棒材)50A,50Bを所定間隔で縦横に連結した構造を有し、上側に開放された箱形を成している。また、バスケットBは、とくに
図1(B)に示すように、縦(縦桟)の棒材50Aの片側に、横(横桟)の棒材50Bが接合してあり、強度を確保する都合上、上部の開口縁を形成する横の棒材50Cが、桟の棒材50A、50Bよりも大径である。この開口縁の棒材50Cは、下側の横の棒材50Bと同様に、縦の棒材50Aの片側に接合してある。よって、横の棒材50B,50Cと縦の棒材50Aとは、バスケットBの内外にずれた位置にある。
【0014】
上記バスケットBに用いるクリップ1は、互いに回動可能に係合する一対のクリップ部品2,2と、両クリップ部品2,2に跨がって装着するばね部品3とを備えている。
【0015】
クリップ部品2は、その材料が限定されるものではないが、生産性や製造コスト等の面で有利なプラスチック製であることがより好ましく、
図2(A)及び
図3(A)に示す正面が概略正方形を成し、とくに、バスケットBの縦の棒材50Aの間隔よりも大きい横寸法と、開口縁の棒材50Cを超えて縦の棒材50Aを挟持し得る縦寸法を有する。
【0016】
クリップ部品2は、左右両側に、並列に配置した二個一組の膨出部2A,2Aを夫々有し、
図3(B)に示すように、各組の一方側の膨出部2Aに凸部2Bを、他方側の膨出部に凹部2Cを有する。これにより、一対のクリップ部品2,2は、背面同士を相対向させた状態にして、夫々の凸部2Bと凹部2Cとを係合させることで、互いに回動可能に組み合わされる。一対のクリップ部品2,2は、同じ部品を用いることができ、凸部2Bと凹部2Cとの4カ所の係合部分を通る線が回動中心CLになる。
【0017】
上記のクリップ部品2は、回動中心CLを間にして、先端側に配置され且つバスケットBの縦又は横の棒材50A,50Bを内外から挟持するための挟持部2Eと、基端側に配置され且つ挟持部2E同士を開くための操作部2Fとを備えている。挟持部2Eは、その背面側に、縦方向に連続する凹凸を所定範囲に形成した滑り止め2Gを有している。この滑り止め2Gは、多数の凸を所定間隔で縦横に配置した構成としても良い。操作部2Fは、先述した二個一組の膨出部2Aの正面側に相当する部分であり、クリップ部品2の左右両側に設けてある。
【0018】
上記のクリップ部品2は、
図3(A)に示すように、左右の操作部2F,2Fの間に、ばね部品3を装着するための被挟持部2Hを有する。また、クリップ部品2は、挟持部2Fと回動中心CLとの間に、背面側を凹面とする湾曲部2Jを有し、
図2(C)に示すように、相対向する湾曲部2J,2J同士の間に、回動中心線に沿う方向(横方向)に連通してバスケットBの開口縁の棒材50Cを貫通させる空間部2Kを形成している。
【0019】
ばね部品3は、その材料が限定されるものではないが、生産性や製造コスト等の面で有利なプラスチック製であることがより好ましく、
図3(C)に示すように、両クリップ部品2,2に対して挟持部2E,2E同士を閉じる方向に反発力を付与するばね部3Aと、表示体Aを装着するための連結部3Bとを備えている。
【0020】
ばね部3Aは、片側に開放された断面コ字形状又は断面C字形状を成し、一対のクリップ部品2,2の被挟持部2H,2Hを挟み込むように装着する。連結部3Bは、ばね部3Aの開放方向とは逆の外側中央に配置してあり、凸型を成すと共に、突出方向に直交する断面が多角形状を成している。なお、図示例の連結部3Bは、断面八角形状である。
【0021】
表示体Aは、様々な形態を採用することが可能であり、その材料が限定されるものではないが、生産性や製造コスト等の面で有利なプラスチック製である。この実施形態の表示体Aは、
図1に示すように、バスケットBに対して立設する支持ロッド60と、支持ロッド60の上端部に設けた表示部61と、支持ロッド60の下端部に設けた取付部62とを備えている。
【0022】
図示例の表示部61は、板状であり、例えば、商品の宣伝広告や価格などを記載したシート等の表示物を表示することができ、シートを差し込むためのポケットやシートを挟むクリップ類を設けることも可能である。
【0023】
ここで、クリップ1及び表示体Aは、ばね部品3の連結部3Bと取付部62とが、相対的に、回動可能に係合する凹凸であると共に、係合方向に直交する断面が多角形状を成している。この実施形態のクリップ1は、先述したように、連結部3Bが断面八角形状の凸型であるから、表示体Aの取付部62が断面八角形状の凹型を成している。この際、連結部3Bと取付部62との間には、クリアランスや面取り(R)が設けてあり、角を超える適当な力で回動させることができ、その回動位置を保持し得る。
【0024】
さらに、図示例の表示体Aは、支持ロッド60が、下端部寄りの位置で当該支持ロッド60を折り曲げ可能にする回動連結部63を備えている。つまり、支持ロッド60は、下端部寄りの位置で上下に分割してあり、上部ロッド60Aの下端と下部ロッド60Bの上端とを回動連結部63で回動可能に連結している。この回動連結部63は、少なくとも上部ロッド60Aを垂直にした位置と折り曲げた位置の二カ所で保持し得るように、上部ロッド60A側と下部ロッド60B側との回動接触面に、回動規制用の凹凸などを形成しても良い。
【0025】
上記構成を備えたクリップ1は、
図2(D)に示すように、一対のクリップ部品2,2の操作部2F,2Fを押圧操作して挟持部2E,2E同士を開き、
図1に示すように、両挟持部2E.2EでバスケットBの縦の棒材50Aを内外から挟持し、ばね部品3の反発力で挟持状態を維持する。また、クリップ1は、バスケットBへの装着に前後して、ばね部品3の連結部3Bに表示体Aの取付部62を係合し、バスケットBにおいて表示物を掲示する。
【0026】
上記のクリップ1は、バスケットBの開口縁の棒材50Cが空間部2Kを貫通し、且つ両挟持部E,2Eで縦の棒材50Aを挟むように装着する。このバスケットBは、先述したように、開口縁の棒材50Cが他の棒材50A,50Bよりも大径であり且つ横の棒材50B,50Cと縦の棒材50Aとが、バスケットBの内外にずれた位置にある。これに対して、クリップ1は、
図1(B)に示すように、空間部2Kを形成する湾曲部2Jが、開口縁の棒材50Cの逃げとして機能するので、バスケットBの内外に傾くことがないうえに、挟持部2Eの滑り止め2Gの凹部分と縦桟の棒材50Aとが確実に係合するので、不用意に動くことのない装着状態になる。
【0027】
また、
図1(A)には、クリップ1が2本の縦の棒材50Aを挟持している状態を示しているが、上記したように、開口縁の棒材50Cを跨ぐように装着してあるので、1本の縦の棒材50Aを挟持するだけでも確実に固定することができる。このように、クリップ1は、棒材50A,50B,50Cから成るバスケットBに用いるのに適しており、バスケットBに対して確実に固定して、表示体Aの姿勢を安定して支持することができる。
【0028】
さらに、クリップ1に取り付けた表示体Aは、クリップ1のばね部品3の連結部3Bと、取付部62とが、相対的に、回動可能に係合する断面八角形状の凹凸であるから、
図1(B)中に仮想線で示すように、支持ロッド60及び表示部61を回動させて45間隔で回動位置を保持することができる。
【0029】
ところで、店舗内の保冷ケースでは、一般的に、その内部に複数のバスケットBを配置して、各バスケットBにクリップ1及び表示体Aを装着する。そこで、表示体Aは、各々の表示部61を同じ向きに統一した方が見やすくて外界体裁も良好であるから、無段階的に回動可能にするよりも、上記の如く45度間隔で表示部61の回動位置を保持可能にすることにより、各々の姿勢の調整作業が容易である。
【0030】
なお、クリップ1は、ばね部品3の連結部3B及び表示体Aの取付部62の断面を多角形状にするが、代表例として八角形状を挙げたように、互いの回動が許容できる程度の多角形状であることが望ましい。
【0031】
さらに、クリップ1に取り付けた表示体Aは、
図1(B)中に仮想線で示すように、回動連結部63により上部ロッド60Aを折り曲げて、上部ロッド60A及び表示部61を横倒しにすることができる。これにより、クリップ1及び表示体Aは、保冷ケースにカバーを掛ける際、バスケットBに装着したままでカバーとの干渉を回避し得る。
【0032】
本発明に係わるバスケット用クリップや表示体を含むクリップは、構成の細部が上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 バスケット用クリップ
2 クリップ部品
3 ばね部品
2E 挟持部
2F 操作部
2K 空間部
3A ばね部
3B 連結部
50A 縦の棒材
50B 横の棒材
50C 開口縁の棒材
60 支持ロッド
61 表示部
62 取付部
63 回動連結部
A 表示体
B バスケット
CL 回動中心