(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ネジを切った繊維強化バイオ複合材料インプラント
(51)【国際特許分類】
A61L 27/44 20060101AFI20240205BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20240205BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61L27/44
A61L27/10
A61L27/18
A61L27/20
A61L27/22
A61L27/24
A61L27/16
A61L27/58
A61L27/56
(21)【出願番号】P 2020511984
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 IB2018056809
(87)【国際公開番号】W WO2019049062
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-03
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520061929
【氏名又は名称】オッシオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】プリース‐ブルーム,オルハン
(72)【発明者】
【氏名】リンダー,タリー プニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ウチテル,イラン オレーグ
(72)【発明者】
【氏名】クリボラク,イリヤ
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103049(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0282395(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113695(US,A1)
【文献】国際公開第96/009014(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ複合材料を含む医療用インプラントであって、前記バイオ複合材料が、生体吸収性ポリマー
、および
、鉱物組成物を含む複数の強化繊維を含み、前記バイオ複合材料医療用インプラント中の
前記鉱物組成物の重量パーセントが、30~60%の範囲であり、前記繊維の平均直径が、1~100ミクロンの範囲であり、前記医療用インプラントは、
シャフト及び前記シャフトの少なくとも一方の端に設けられた複数のネジ山を含み、前記医療用インプラントは、前記複数のネジ山が切られ;前記繊維が複数のらせん状繊維および複数の長手方向繊維を含み;前記らせん状繊維の前記長手方向繊維に対する重量パーセント比率が、90:10~10:90であ
り、
前記らせん状繊維は、リボン状の細長い材料細片が前記医療用インプラントのシャフトの周りにらせん状に巻き付けられる工程において形成され、前記細長い材料細片がリボンの長手方向に略平行して含有される強化繊維を含有し、
前記長手方向繊維は強化繊維を含み、前記シャフトの軸方向に接合されたリボン状の細長い材料細片中に含有され、前記強化繊維が、前記医療用インプラントの長手方向に配置されている、
インプラント。
【請求項2】
前記らせん状繊維の巻き角が、5~60度または20~45度の範囲である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ネジ山が、一定のピッチまたは可変ピッチである、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記らせん状繊維を含有する1以上のらせん状層および前記長手方向繊維を含有する1以上の長手方向層を含む複数の層
がシャフトを構成し、各層の繊維が、隣接層に対し不連続であり、
任意選択で、第1層の前記らせん状繊維が、一方の方向に巻き付けられ、隣接層の前記らせん状繊維が、前記第1層の前記らせん状繊維とは反対方向に巻き付けられる、請求項2または3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記らせん状層および前記長手方向層が、前記インプラント中で同心状の領域を形成するように、前記インプラントの壁厚の不連続領域にそれぞれ分割される、請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記らせん状層の数が、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、8~15の範囲であり、
任意選択で、前記ネジを切ったインプラントの直径が、2~4mmの範囲で、前記らせん状層の数が、2~12の範囲、好ましくは3~8である、
請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記長手方向層の数が、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、1~5の範囲である、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
少なくとも1つの層であって、当該層に沿う複数の連続繊維により形成される複数の層からなる前記少なくとも1つの層、および複数のチョップド繊維を含む少なくとも1つの他の層をさらに含み、前記チョップド繊維の長さが、前記少なくとも1つの他の層の長さ未満であり、
任意選択で、前記チョップド繊維の平均長さが、前記インプラントの長さの10%未満、好ましくは前記インプラントの5%未満であり、
さらに任意選択で、前記チョップド繊維が、強化のために前記ネジ山に配置される、
請求項4~7のいずれかに記載のインプラント。
【請求項9】
単一セットのネジ山を含み、または、複数セットのネジ山を含み、または、固定リードもしくは漸進的リードを有するネジ山を含み、または、固定ピッチもしくは漸進的ピッチを有するネジ山を含む、請求項1~8のいずれかに記載のインプラント。
【請求項10】
ねじ切りが、円周全体を通して連続ではなく、任意選択で、前記ネジ山の平均深さが、0.2~4mmの範囲である、請求項1~9のいずれかに記載のインプラント。
【請求項11】
前記ネジ山中で中断する1つまたは複数の長手方向溝をさらに含み、
任意選択で、前記溝が、前記ネジ山の全長に及び、
さらに任意選択で、前記溝が、前記ネジ山の長さの最大80%に及ぶ、
請求項1~10のいずれかに記載のインプラント。
【請求項12】
前記鉱物組成物が、シリカ系である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記バイオ複合材料組成物の密度が、0.5~4g/cm
3、1~3g/cm
3、または1.3~2.5g/cm
3である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記鉱物含量が、前記鉱物組成物から作製される強化鉱物繊維によりもたらされる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記繊維が
、前記生体吸収性ポリマーのマトリックス中に埋め込まれ、
任意選択で、前記生体吸収性ポリマーには、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、バレロラクトン、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、など)、ジオキサノン(例えば、1,4-ジオキサノン)、δ-バレロラクトン、1,ジオキセパノン(例えば、1,4-ジオキセパン-2-オンおよび1,5-ジオキセパン-2-オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ-ヒドロキシバレレート、β-ヒドロキシプロピオネート、α-ヒドロキシ酸、ヒドロキシブテレート、ポリ(オルトエステル)、ヒドロキシアルカノエート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリ(ビスフェノールA-イミノカルボネートおよびポリ(ヒドロキノンイミノカルボネート)などのポリイミノカーボネート、ポリウレタン、ポリ無水物、ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療薬)、糖類;デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、ポリサッカライド、コラーゲン、キトサン、フィブリン、ヒアルロン酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アミノ酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA);ポリグリコリド(PGA);グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC);PLAの他のコポリマー、例えば、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d-バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε-カプロラクトンコポリマー、L-ラクチド/DL-ラクチドコポリマー、グリコリド/L-ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド-コ-グリコリド;PLAのターポリマー、例えば、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε-カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー;ポリデプシペプチド;非対称性3,6-置換ポリ-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン;ポリヒドロキシブチレート(PHB)などのポリヒドロキシアルカノエート;PHB/b-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV);ポリーb-ヒドロキシプロピオネート(PHPA);ポリ-p-ジオキサノン(PDS);ポリ-d-バレロラクトン-ポリ-ε-カプララクトン(capralactone)、ポリ(ε-カプロラクトン-DL-ラクチド)コポリマー;メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー;ポリエステルアミド;シュウ酸のポリエステル;ポリジヒドロピラン;ポリアルキル-2-シアノアクリレート;ポリウレタン(PU);ポリビニルアルコール(PVA);ポリペプチド;ポリ-b-リンゴ酸(PMLA);ポリ-b-アルカン酸;ポリカーボネート;ポリオルトエステル;ポリリン酸;ポリ(エステル無水物);およびこれらの混合物および誘導体、コポリマーならびにこれらの混合物が含まれる、請求項14に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
永久整形外科用インプラント材料
医療用インプラントは、金属、合金、セラミックスまたはその両方の分解性で安定な複合材料から製造できる。高強度を必要とする耐荷重整形外科用途では通常、ステンレス鋼またはチタン合金が使用される。金属インプラントは、整形外科手術での使用に成功した長い歴史を有するが、合併症に対する多くのリスクも抱えている。これら材料は不活性であるが、それらはまた、骨折の固定などの一時的にのみインプラントが必要である状況でも使用される。骨折の固定用の金属ロッドおよびプレートの場合では、約1年後の骨結合の確認後に装置を取り除くための二次的手術が推奨され得る。インプラントの取り除きは、患者への追加のリスクおよびさらなる病的状態をもたらし、医院の利用可能性を占有し、全体の手術コストを増大させる。装置が取り除かれない場合には、骨の再構築を生じ得る。このような再構築は次に、宿主組織の応力遮蔽または炎症に起因して、骨を弱める可能性がある。応力遮蔽は、皮質骨の剛性および強度に比較して、金属の高い剛性(弾性率)および強度が原因で発生し、それにより、金属が骨に応力を加え、人工関節周囲骨折または骨強度の低下を生ずることがある。
【0002】
従来から金属合金で構築されてきた耐荷重医療用インプラントの例には、治癒のために骨片を固定する、骨折および/または骨切り術の固定用の骨プレート、ロッド、ネジ、鋲、釘、クランプ、および留針が挙げられる。その他の例としては、脊椎手術の脊椎椎体固定および他の施術のための頸部くさび、腰椎ケージおよびプレートならびにネジが挙げられる。
【0003】
例えば、ポリメタアクリレート(PMMA)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリシロキサンおよびアクリルポリマーをベースにした、生体安定性ポリマーおよびそれらの複合材料が、同様に、医療用インプラントを製造するために使用されてきた。これら材料は、生分解性または生体吸収性ではなく、従って、医療用インプラント用途に使用する場合、金属と同様の多くの制約に直面しており、例えば、これらは、インプラントの寿命におけるある時点でインプラントを置き換えるかまたは取り除くための2回目の手術を必要とし得る。さらに、これら材料は、金属より弱い(強度および剛性が低い)ので、特に、反復動的負荷後に(すなわち、材料疲労またはクリープにより)、より機械的破断を受けやすい。
【0004】
既存の分解性ポリマー医療用インプラント
吸収性ポリマーを用いて吸収性インプラントが開発されてきた。吸収性インプラントは、吸収性、生体吸収性、または生分解性インプラントと呼ばれることもある。生体適合性、吸収性ポリマーの使用の利点は、ポリマー、従ってインプラントが身体中に吸収され、代謝系により代謝される非毒性分解生成物が放出されることである。ポリ乳酸およびポリグリコール酸ならびにポリジオキサノンを含むポリマーは、吸収性生体適合性材料であり、現在、頭蓋顔面用途などの非耐荷重医療用インプラント用途のための整形外科プレート、ロッド、留め具、留針またはネジとして使用されている。これらの医療用インプラント材料は、最終的な再吸収、後での取り除きの不要化の利点を提供し、同時に、再構築された骨折への応力伝達を可能とする。しかし、現在の生体吸収性材料およびインプラントは、金属インプラントに相当する機械的性質を有していない。非強化吸収性ポリマーの機械的強度および弾性率(約3~5GPa)は、約15~20GPaの範囲の弾性係数を有する、骨折した皮質骨を支持するには不十分である(Snyder SMらは、ヒト脛骨の曲げ弾性率を約17.5GPaと測定した:Snyder SM Schneider E,Journal of Orthopedic Research,Vol.9,1991,pp.422-431)。従って、吸収性ポリマーから構築された既存の医療用インプラントの適応症は限られており、それらの固定は通常、運動または大きな負荷からの保護が必要である。これらの装置は、小児患者の場合、または成人の足関節内果骨折、靱帯固定、顎顔面もしくは骨軟骨骨折の場合などの低応力領域の固定が必要な場合(すなわち、非耐荷重用途)に検討されるに過ぎない。
【0005】
強化分解性ポリマー材料
近年、改善された強度および剛性(弾性率)を有する強化ポリマー材料が採用されてきた。これらの生分解性複合材料は、通常繊維形態の充填剤で強化されたポリマーを含む。複合材料の場合、通常は、比較的柔軟なマトリックス(すなわち、ポリマー)が剛性で強い強化材料と組み合わされて、複合材料マトリックスの機械的性質が強化される。例えば、生分解性ガラスまたは鉱物材料を用いて、生分解性ポリマーマトリックスの剛性および強度を改善できる。先行技術では、このような複合材料を作製するいくつかの試みが報告され、生理活性のガラス粒子、ヒドロキシアパタイト粉末または短いガラス繊維を使用して生分解性ポリマーの性質が強化された。ほとんどの場合、これらの複合材料の強度および剛性は、皮質骨より低いか、または生理的環境中での急速な劣化後に皮質骨より低くなる。従って、大部分のこれらの複合材料は、耐荷重医療用インプラント用途での使用に適しない。しかし、皮質骨以上の強度および剛性を有する生分解性複合材料、例えば、生分解性ポリマーおよび20~70体積%のガラス繊維を含む生分解性複合材料が近年報告されている(国際公開第2010/128039A1号)。その他の複合材料インプラント、例えば、繊維強化ポリマーから形成されたものが、米国特許第4,750,905号、第5,181,930号、第5,397,358号、第5,009,664号、第5,064,439号、第4,978,360号、第7,419,714号で開示されている。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
強化分解性ポリマー材料の分解機序
生分解性複合材料が、骨折を固定するためなどで耐荷重医療用インプラント用途に使用される場合、医療用インプラントの機械的性質は、長時間にわたり保持される必要がある。複合材料の分解は、インプラント強度または剛性の早期喪失を生じ、不適切な骨治癒を生じる骨セグメントの不十分な固定などのインプラント機能喪失に繋がり得る。
【0007】
生分解性複合材料は、体液に接触すると加水分解により分解を始める。この分解は、生分解性ポリマー、補強充填剤、または両方の分解の結果であり得る。生理的環境などの水性の環境中でのこのような分解は、特に、無機化合物で強化されている特定の強化ポリマー材料で機械的強度および剛性の急激な低下が生じ得る。吸収性ポリマーマトリックスが有機材料の場合で、充填剤が無機化合物の場合には、水性の環境中で吸収性ポリマーマトリックスと充填剤との間の接着性は、ポリマーまたは充填剤の分解により小さくなり得、強化ポリマーの初期の機械的性質が急速に低下し、適切な耐荷重特性として望まれるものより低くなるように急速に小さくなり得る。ポリマーおよび充填剤の別々の分解とは別に、水性環境中では、ポリマーの強化境界との不十分な相互作用および接着性が、境界での早期破壊を生じ、それにより、強化材がポリマーから剥離し、充填剤の強化作用が失われる伴い、急激な機械的性質の低下が生じ得る。
【0008】
Tormalaら(国際公開第2006/114483号)は、ポリマーマトリックス中に2種の強化繊維、1種はポリマーで1種はセラミック、を含む複合材料を記載し、皮質骨の特性と同等の良好な初期機械的結果(420±39MPaの曲げ強度および21.5GPaの曲げ弾性率)を報告した。しかし、この先行技術は、吸収性ガラス繊維で強化された生体吸収性複合材料が高い初期曲げ弾性率を有していても、それらは、インビトロで、強度および弾性率を急速に失うことを教示している。
【0009】
ポリマーと強化材との間の改善された界面結合(例えば、共有結合)は、水性環境中で強化生体吸収性ポリマー機械的性質の保持を大きく延長できるが(国際公開第2010/128039A1号)、ポリマー、強化材、または2つの間の境界での加水分解の継続により、時間と共に機械的性質の低下を生じる。骨結合は、数ヶ月以上を要する場合があるので、共有結合強化生体吸収性ポリマーの長期の機械的性質分解プロファイルであっても、耐荷重整形外科用途に使われる医療用インプラントの最適機能には不十分であり得る。
【0010】
強化分解性ポリマーインプラントの強度低下の例は、自己強化ポリL乳酸に関して記載されている(Majola A et al.,Journal of Materials Science Materials in Medicine,Vol.3,1992,pp.43-47)。この報告では、ウサギの髄内および皮下埋め込み後の、自己強化ポリL乳酸(SR-PLLA)複合材料ロッドの強度および強度保持が評価された。SR-PLLAロッドの初期曲げ強度は250~271MPaであった。12週の髄内および皮下埋め込み後、SR-PLLAの曲げ強度は、100MPaであった。
【0011】
PLA、PGAおよびPCLのコポリマーおよびターポリマーは、医療装置用の吸収性複合材料のために最適ポリマーを調整するという観点で興味がある。モノマー比および分子量の選択は、吸収性複合材料の強度、弾性、弾性率、熱的特性、分解速度および融解粘度に大きく影響を与え、全てのこれらのポリマーは、インビトロおよびインビボ両方の水性条件中で分解性であることが知られている。分解プロセスでは、2つの段階が特定された:第1段階では、分解は、エステル結合のランダム加水分解分子鎖切断により進行し、これは、ポリマーの分子量を減少させる。第2段階では、分子鎖切断に加えて、測定できるほどの減量が観察される。減量が始まる時点で機械的性質が大きく失われるか、または少なくとも顕著な低下が認められる。これらポリマーの分解速度は、ポリマー構造:結晶化度、分子量、ガラス転移温度、ブロック長、ラセミ化および鎖構造に応じて異なる。(Middleton JC,Tipton AJ,Biomaterials 21,2000,2335-2346)。
【0012】
整形外科インプラント中の鉱物含量の未解決の問題
上記で記載したように、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性ポリマーから整形外科用固定インプラント作製する試みがなされてきた。しかし、これらのインプラントの機械的性質は、PLA酸性ポリマー鎖からのみ得られたものであった。従って、それらの強度は、限られており(低い強度および弾性率の骨)、これらの生体吸収性ポリマーインプラントの酸性突発的分解(acidic burst degradation)プロセスは問題となる局部的組織反応(嚢胞、膿瘍、など)を生ずる。これらのインプラントに対する骨の付着は不十分であった。
【0013】
製造業者は、炎症性の局所組織反応および生体吸収性固定装置の不十分な骨付着に対し、種々の鉱物組成物を生体吸収性ポリマー組成物に混合することにより対応した。鉱物組成物については、企業は、骨伝導特性を有する鉱物または鉱物組成物を用いた。一部の企業は、リン酸三カルシウムを用い、一部の企業は、ヒドロキシアパタイトを用い、一部の企業は硫酸カルシウムを用い、一部の企業はこれらの混合物を用いている。これらの混合組成物インプラントは、「バイオ複合材料」インプラントと呼ばれ、25~35%の鉱物を組み込み、鉱物粉末は、ポリマー組成物中に均一に分布されている。
【0014】
都合の悪いことに、これらのバイオ複合材料インプラント中の鉱物添加物は、インプラントの機械的性質を低下させる。理由は、これらのインプラントの機械的強度は、生体吸収性ポリマーに由来し、鉱物組成物が加えられると、インプラント中のポリマーが少なくなるためである。従って、バイオ複合材料インプラントは、全てが生体吸収性ポリマーから構成される同等のインプラントよりもさらに脆性になる傾向がある。既存の25~35%よりも多量の鉱物は、インプラントの機械的性質が不足するために使用できない。
【0015】
他方では、鉱物組成物を含めない場合には、既存のバイオ複合材料インプラントの長期埋め込み結果は問題がある。これらのインプラントは未だに、生体吸収性ポリマーインプラントを厄介者にしてきた炎症性の組織反応を生じている。例えば、バイオ複合材料組成物からなるACLインターフェアレンススクリューでは、バイオ複合材料ネジが、極めて高い比率の炎症反応(嚢胞、浮腫)が生じることを実証している(Cox CL et al.J Bone Joint Surg Am.2014;96:244-50)。さらに、それらは、生物学的統合を全く促進していない。この論文は、「これらの新世代生体吸収性ネジは骨統合を促進するように設計されているのであるが、骨孔の狭小化は確認されなかった」と結論付けている。
【0016】
これらの炎症の問題の他に、現在のバイオ複合材料ネジはまた、十分な機械的性質が欠けている(Mascarenhas et al.Arthroscopy:J Arthroscopic & Related Surg 2015:31(3):pp 561-568)。この論文が結論付けているように、「この調査の主要な知見は、生体吸収性インターフェアレンススクリュー使用に関連する、長期の膝浸出液、増大した大腿部骨孔の拡幅、および増大したネジ破壊であった」。
【0017】
機械的なレベルに関しては、バイオ複合材料インプラント中のより高いパーセンテージレベルの鉱物組成物は、不十分な機械的な結果および特に、単独の生体吸収性ポリマーからなるインプラントの機械的な結果より劣る機械的な結果になることがある。例えば、異なるパーセンテージのベータリン酸三カルシウム(βTCP)のPLAベースバイオ複合材料の機械的性質に対する影響が調査された(Ferri JM et al.J Composite Materials.2016;0(0):1-10)。
【0018】
この調査では、この文献の
図1に示すように、より高いパーセンテージのβTCPは、PLA-βTCPバイオ複合材料の引張強度の大きな低下をもたらすことが示された。
【0019】
さらに、シャルピー衝撃エネルギーで測定して、βTCPのパーセンテージの増大は、バイオ複合材料が吸収できるエネルギーの量の大きな低下をもたらす。整形外科インプラントの不可欠の特性が破壊することなく衝撃に耐える能力であることから、これは整形外科インプラントにおける極めて重要なパラメーターである。表2(上記文献から引用)は、この問題を示す。
【表1】
【0020】
ネジを切った強化バイオ複合材料インプラント
ネジ山を含む医療用ネジまたは医療用インプラントが多くの外科用途での使用のために、特に整形外科固定における多くの用途のために記載されてきた。これらの用途は主に、骨または骨片の骨への固定および軟組織(靱帯、腱、など)の骨への付着を含む。以前に記載されたネジを切った医療用インプラントのタイプには、頭付きネジ、ヘッドレス圧縮ネジ、漸進ネジを切った(progressively threaded)ヘッドレス圧縮ネジ、縫合糸アンカー、インターフェアレンススクリュー、などが含まれる(すなわち、米国特許出願公開第20080234730A1号、米国特許第5275601A号、米国特許第6743233B1号、米国特許第589146号、米国特許第7731738B2号)。
【0021】
ネジが切られ多くの場合、ネジを切った医療用インプラントまたはネジは、ほとんどの部分または全体が骨組織中に挿入される。従って、インプラントまたはネジが、インプラント上およびその中への周囲の骨組織の付着または内殖を促進するバイオ複合材料からなることは有用であろう。このようなバイオ複合材料ネジは、相当量の骨伝導鉱物からなり、ネジの残りの部分が生体吸収性ポリマーからなるのが好ましい。バイオ複合材料ネジは、以前に記載されている(US patent number 5275601.Felfel RM,et al,Bioresorbable composite screws manufactured via forging process:Pull-out,shear,flexural and degradation characteristics,Journal of mechanical behavior of biomedical materials18(2913)109-122)。
【0022】
都合の悪いことに、以前に記載されたバイオ複合材料ネジの機械的性質は、生体吸収性ポリマーの機械的強度に限定された。これは、皮質骨の機械的強度の一部に過ぎない。
【発明の概要】
【0023】
インプラントの高強度および剛性が皮質骨と同等またはそれを超えるレベルで、少なくとも最大骨治癒時間と同程度の時間にわたり維持される、耐荷重目的のための構造的固定などの耐荷重医療用インプラント用途での使用のための改善された機械的性質を示す強化生体吸収性ポリマー材料を含むネジを切ったバイオ複合材料インプラントの大きなニーズがある。
【0024】
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、鉱物繊維により強化されるネジを切ったバイオ複合材料インプラントに関する。インプラントの内部構造および構成、特にポリマーマトリックス内の繊維の構成および配向は、インプラントに有益な機械的性質を与え、インプラントが整形外科固定で効果的に機能することを可能とする。さらに、これらの構造は、インプラントがこれらの機械的性質を有することを可能とすると同時に、周囲組織からの骨の内殖をさらに可能とする。
【0025】
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、特に、生体吸収性ポリマーおよび強化鉱物繊維を含むバイオ複合材料組成物からなるネジおよびネジを切ったインプラントに関する。
【0026】
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、高い比率の鉱物含量を有し、また、優れた機械的性質をさらに有するバイオ複合材料組成物を含むこのようなインプラントを提供することにより、以前のバイオ複合材料医療用ネジおよびネジを切ったインプラントの制限を克服する。鉱物組成物は、鉱物組成物から作製される強化繊維として提供されるのが好ましい。
【0027】
好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の鉱物組成物の重量パーセントは30%~60%、または40%~90%、より好ましくは重量パーセントは40%~70%の範囲、より好ましくは40%~65%、さらにより好ましくは重量パーセントは45%~60%の範囲である。
【0028】
驚くべきことに、発明者らは、このような高い比率または量の鉱物含量が優れた機械的性質を有するインプラントをもたらすことができることを見出した。
【0029】
また、より高い鉱物内容物を有するインプラントを構築する以前の試みは失敗していた。理由は、バイオ複合材料インプラントは概して、射出成形されているためである。高含量域を超える鉱物含量または割合の複合材料の流動特性は、射出成形するには難易度が高い。
【0030】
これらの選択される範囲は、生体適合性(静止状態の炎症反応)と高い機械的性質との間のきわどいバランスから導かれる。以前に考察したように、医療用インプラント中のより高い鉱物含量割合は、インプラントの周囲の組織、特に骨組織との生体適合性および安全性プロファイルを高めるのに潜在的有益性を有する。しかし、高すぎる鉱物含量は、機械的性質の望ましくない低下を生じ得る。いくつかの事例では、インプラント機械的性質の低下は、直ちに認められる。他の事例では、高い鉱物含量は、加速された機械的分解プロセスを生じ、この場合、インプラントは、その機械的性質を加速速度で失い、それにより、インビボでの組織(特に、整形外科的組織)の治癒を補助するのに十分な期間にわたり機械的固定をもたらす能力を喪失する。
【0031】
本発明は、本明細書に記載のいずれか他の実施形態または副次的実施形態と組み合わせ得る、少なくともいくつかの実施形態では、バイオ複合材料を含む医療用インプラントを含み、バイオ複合材料は、ポリマーおよび複数の強化繊維を含み、バイオ複合材料医療用インプラント中の鉱物組成物の重量パーセントは、30~60%の範囲であり、繊維の平均直径は、1~100ミクロンの範囲であり、医療用インプラントは、複数のネジ山が切られ;繊維は複数のらせん状繊維および複数の長手方向繊維を含み;らせん状繊維の長手方向繊維に対する重量パーセント比率は、90:10~10:90である。
【0032】
任意選択で、該重量パーセント比は、80:20~20:80である。任意選択で、該重量パーセント比は、33:66~66:33である。任意選択で、らせん状層の巻き角は、5~60度の範囲である。任意選択で、らせん状繊維の巻き角は、20度~45度の範囲である。
【0033】
任意選択で、インプラントネジ山は、一定のピッチまたは可変ピッチである。任意選択で、らせん状繊維は、一定のピッチであり、ピッチ角度は、1~45度の範囲、任意選択で、5~20度の範囲、あるいは20~45度の範囲である。あるいはおよび任意選択で、ネジ山は、可変ピッチ角度であり、ピッチ角度は、0~90度の範囲、好ましくは0~45度の範囲、より好ましくは20~45の範囲である。
【0034】
任意選択で、バイオ複合材料は、複数の層に配列され、各層の繊維は、隣接層に対し不連続である。任意選択で、第1層のらせん状繊維は、時計回りに巻き付けられ、一方、隣接層のらせん状繊維は、反時計回りに巻き付けられる。任意選択で、巻き角は、インプラントのより大きなねじれ応力の領域に向けて巻き付けられる。任意選択で、ネジ山とらせん状繊維の角度との間の角度は、0~60度の範囲、好ましくは40~60度の範囲、または任意選択で、0~20度の範囲である。
【0035】
任意選択で、インプラントは、長手方向軸を有し、第1層の長手方向繊維は、長手方向軸に対し第1の角度を有し、第2層の長手方向繊維は、長手方向軸に対し第2の角度を有する。任意選択で、インプラントの軸と長手方向繊維との間の角度は、-5°~5°の範囲である。
【0036】
インプラントは、任意選択で、複数のらせん状層および複数の長手方向層をさらに含み得、らせん状および長手方向層は、インプラント中で同心状の領域を形成するように、インプラントの壁厚の不連続領域にそれぞれグループ分けされる。
【0037】
任意選択で、少なくとも1つの同心状の長手方向繊維領域が、少なくとも1つの同心状のらせん状繊維領域に対し内側に存在する。任意選択で、少なくとも1つの同心状のらせん状繊維領域が、少なくとも1つの同心状の長手方向繊維領域に対し外側に存在する。
【0038】
任意選択で、同心状の領域の厚さは、0.2mm~インプラントの壁厚の最大50%の範囲である。任意選択で、同心状の領域の厚さは、0.2mm~4mmの範囲である。任意選択で、該厚さは、0.2mm~2mmの範囲であり、好ましくは、0.2mm~1mmの範囲である。
【0039】
任意選択で、らせん状層の数は、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、8~15の範囲である。任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、2~4mmの範囲で、らせん状層の数は、2~12の範囲、好ましくは3~8である。任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、3.5mm~8mmの範囲で、らせん状層の数は、4~18、好ましくは6~14である。任意選択で、長手方向層の数は、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、1~5の範囲である。任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、2~4mmの範囲で、長手方向層の数は、1~5、好ましくは1~4である。
【0040】
任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、3.5mm~8mmの範囲で、長手方向層の数は、1~10、好ましくは2~7である。任意選択で、各らせん状層の厚さ中の繊維の数は、2~20の範囲、好ましくは8~15の範囲である。任意選択で、各長手方向層の厚さ中の繊維の数は、2~20の範囲、好ましくは8~15の範囲である。任意選択で、長手方向層の数は、1~10の範囲、好ましくは4~10の範囲、より好ましくは6~8の範囲である。任意選択で、長手方向層間の角度は、-5°~5°の範囲である。
【0041】
インプラントは、場合により、少なくとも1つの層であって、当該層に沿う複数の連続繊維により形成される複数の層からなる少なくとも1つの層、及び、複数のチョップド繊維からなる少なくとも1つの他の層、ここで、チョップド繊維の長さが少なくとも1つの他の層の長さ未満である、を更に含み得る。
【0042】
任意選択で、チョップド繊維の平均長さは、インプラントの長さの10%未満、好ましくはインプラントの5%未満である。
【0043】
任意選択で、インプラントは、複数の異なる部分を含み、チョップド繊維の濃度は、インプラントの複数の部分の間で変化する。任意選択で、チョップド繊維の濃度は、バイオ複合材料の1重量%~50重量%、好ましくは2重量%~10重量%、あるいは1重量%~10重量%変化する。
【0044】
任意選択で、インプラントは、頭部と本体を含み、チョップド繊維は、強化のために頭部に配置される。任意選択で、インプラントは、複数のネジ山を含み、チョップド繊維は、強化のためにネジ山に配置される。
【0045】
任意選択で、本明細書に記載のいずれかのインプラントは、カニューレ挿入される。
【0046】
任意選択で、インプラントは、壁を含み、壁は、内側セグメントおよび外側セグメントを含む、傾斜した繊維を有する層のより大きな分布がインプラントの内側セグメント内に存在する。任意選択で、傾斜した繊維は、長手方向軸に対して、正または負に傾斜している。任意選択で、内側セグメントは、壁厚の内側50%を含む。任意選択で、内側セグメントは、壁厚の内側35%を含む。任意選択で、内側セグメントは、壁厚の内側30%を含む。任意選択で、内側セグメントは、壁厚の内側25%を含む。
【0047】
任意選択で、外側セグメントは、傾斜した繊維を有する層のより大きな分布を含む。任意選択で、外側セグメントは、壁厚の内側50%を含む。好ましくは、外側セグメントは、壁厚の内側35%を含む。任意選択で、外側セグメントは、壁厚の内側30%を含む。任意選択で、外側セグメントは、壁厚の内側25%を含む。
【0048】
インプラントは、複数の層を任意にさらに含んでもよく、そこでは、傾斜した繊維を有する層の分布は、層数または重量でインプラントの残りの部分に比べて、内側セグメント中で、10%大きい分布である。
【0049】
任意選択で、該分布は20%大きい分布である。任意選択で、該分布は30%大きい分布である。任意選択で、該分布は50%大きい分布である。
【0050】
任意選択で、インプラントは、カニューレ挿入を含み、カニューレ挿入は、0.5~3.5mmの範囲の直径中で行われる。任意選択で、カニューレ挿入は、0.85~1.7mmの範囲の直径中で行われる。
【0051】
任意選択で、インプラント直径は、2~10mmの範囲である。任意選択で、該直径は、3~8mmの範囲である。任意選択で、カニューレ挿入直径は、ネジ直径のパーセンテージで、10%~50%である。任意選択で、該直径は、15~45%である。任意選択で、該直径は、20~40%である。任意選択で、該直径は、25~35%である。
【0052】
インプラントは、ねじ回し駆動面を任意にさらに含んでもよく、駆動面はインプラントの内側または外側にある。
【0053】
任意選択で、駆動面は、スロット、溝、くぼみ、またはソケットの内の1つまたは複数を含む。任意選択で、駆動面は、一定の断面を含む。任意選択で、駆動面は、可変断面を含む。任意選択で、駆動面は、テーパー断面を含む。
【0054】
インプラントは、駆動面に複数のチョップド繊維を任意にさらに含んでもよく、チョップド繊維の長さは、駆動面の長さより短い。
【0055】
インプラントは、複数の層を任意にさらに含んでもよく、駆動面は少なくとも1つの層を含み、少なくとも1つの層は複数のチョップド繊維を含み、チョップド繊維の長さは少なくとも1つの層の長さより短い。
【0056】
インプラントは、単一セットのネジ山を任意にさらに含んでもよい。
【0057】
インプラントは、複数セットのネジ山を任意にさらに含んでもよい。
【0058】
インプラントは、一条ネジを任意にさらに含んでもよい。
【0059】
インプラントは、多条ネジを任意にさらに含んでもよい。
【0060】
インプラントは、固定リードまたは漸進的リードを有するネジ山を任意にさらに含んでもよい。
【0061】
インプラントは、固定ピッチまたは漸進的ピッチを有するネジ山を任意にさらに含んでもよい。
【0062】
インプラントは、一定または可変外径を任意にさらに含んでもよい。
【0063】
任意選択で、ねじ切りは、円周全体を通して連続的ではない。
【0064】
任意選択で、ネジは、V型ネジ、バットレスネジ、逆バットレスネジ、らせんネジ、バットレスネジと逆バットレスネジの組み合わせ、台形ネジ、四角ネジ、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される形状を含む。
【0065】
任意選択で、ネジ山の平均深さは、0.2~4mmの範囲である。任意選択で、平均ピッチは、0.2~7.0mmである。
【0066】
インプラントは、ネジ山中で中断する1つまたは複数の長手方向溝を任意にさらに含んでもよい。
【0067】
任意選択で、溝は、ねじ山の全長に及ぶ。任意選択で、溝は、ねじ山の長さの最大80%に及ぶ。任意選択で、溝は3mm未満の幅である。任意選択で、溝は1.5mm未満の幅である。任意選択で、溝は1mm未満の幅である。
【0068】
任意選択で、インプラントは、表面領域の一部または全体にわたる穴または穿孔を含む。任意選択で、穴の直径は、0.1~2.5mmの範囲である。
【0069】
インプラントは、2つ以上の部分を任意にさらに含んでもよい。
【0070】
インプラントは、軸方向に、半径方向にまたは円周方向に任意に分割されてもよい。
【0071】
任意選択で、鉱物組成物はシリカ系である。任意選択で、シリカ系鉱物化合物は、次記の少なくとも1つのモル%範囲の少なくとも1種の酸化物組成物を含む:
Na2O:11.0~19.0モル%
CaO:8.0~14.0モル%
MgO:1.5~8.0モル%
B2O3:0.5~3.0モル%
Al2O3:0~0.8モル%
P2O3:0.1~0.8モル%
SiO2:65~73モル%
【0072】
任意選択で、シリカ系鉱物化合物は、次記の少なくとも1つのモル%範囲の少なくとも1種の酸化物組成物を含む:
Na2O:12.0~13.0モル%
CaO:8.0~10.0モル%
MgO:7.0~8.0モル%
B2O3:1.4~2.0モル%
P2O3:0.5~0.8モル%
SiO2:65~70モル%
【0073】
任意選択で、バイオ複合材料組成物の密度は、0.5~4g/cm3である。任意選択で、密度は1~3g/cm3である。任意選択で、密度は1.3~2.5g/cm3である。
【0074】
任意選択で、鉱物含量は、鉱物組成物から作製される強化鉱物繊維によりもたらされる。任意選択で、繊維の直径は、8~15μmの範囲である。任意選択で、強化繊維は、ポリマーマトリックス内に繊維断片を含み、ポリマーは生分解性であり、生分解性ポリマーは生分解性複合材料中に組み込まれてマトリックスを形成する。
【0075】
任意選択で、繊維は、バイオ複合材料を含むポリマーマトリックス中に埋め込まれる。任意選択で、ポリマーには、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、バレロラクトン、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、など)、ジオキサノン(例えば、1,4-ジオキサノン)、δ-バレロラクトン、1,ジオキセパノン(例えば、1,4-ジオキセパン-2-オンおよび1,5-ジオキセパン-2-オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ-ヒドロキシバレレート、β-ヒドロキシプロピオネート、α-ヒドロキシ酸、ヒドロキシブテレート、ポリ(オルトエステル)、ヒドロキシアルカノエート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリ(ビスフェノールA-イミノカルボネート)およびポリ(ヒドロキノンイミノカルボネート)などのポリイミノカーボネート、ポリウレタン、ポリ無水物、ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療薬)、糖類;デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、ポリサッカライド、コラーゲン、キトサン、フィブリン、ヒアルロン酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アミノ酸)、ポリラクチド(PLA)、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA);ポリグリコリド(PGA);グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC);PLAの他のコポリマー、例えば、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d-バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε-カプロラクトンコポリマー、L-ラクチド/DL-ラクチドコポリマー、グリコリド/L-ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド-コ-グリコリド;PLAのターポリマー、例えば、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε-カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー;ポリデプシペプチド;非対称性3,6-置換ポリ-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン;ポリヒドロキシブチレート(PHB)などのポリヒドロキシアルカノエート;PHB/b-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV);ポリーb-ヒドロキシプロピオネート(PHPA);ポリ-p-ジオキサノン(PDS);ポリ-d-バレロラクトン-ポリ-ε-カプララクトン(capralactone)、ポリ(ε-カプロラクトン-DL-ラクチド)コポリマー;メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー;ポリエステルアミド;シュウ酸のポリエステル;ポリジヒドロピラン;ポリアルキル-2-シアノアクリレート;ポリウレタン(PU);ポリビニルアルコール(PVA);ポリペプチド;ポリ-b-リンゴ酸(PMLA);ポリ-b-アルカン酸;ポリカーボネート;ポリオルトエステル;ポリリン酸;ポリ(エステル無水物);およびこれらの混合物および誘導体、コポリマーならびにこれらの混合物が含まれる。
【0076】
任意選択で、ポリマーは、PLLA、PDLA、PGA、PLGA、PCL、PLLA-PCLおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0077】
任意選択で、治療を必要としている対象の整形外科用途のための治療方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の医療用インプラントを対象に移植することを含む。
【0078】
任意選択で、対象への移植は、対象における耐荷重目的のための構造的固定を行うことを含む。
【0079】
任意選択で、構造的固定を行うことは、骨固定を行うことを含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、身体中で吸収性(resorbable)、生体吸収性(bioabsorbable)または吸収性(absorbable)である材料を意味する。
【0081】
以降で、単に例示を目的として、本発明を添付の図面を参照しながら本明細書で説明する。以下の図面への詳細な具体的言及により、示された詳細事項は、一例としての本発明の好ましい実施形態の例示による考察の目的のみのためのものであり、本発明の原理と概念的側面の最も有用で容易に理解される説明であると考えられる内容を提供するために呈示されていることが強調される。その際、本発明の基本的理解に必要である以上に詳細には本発明の構造的詳細を示す試みは行わなかったが、図で行われた説明により、本発明のいくつかの形態を実際に実施することができる方法が当業者に明らかにされている。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図4A】全ての直線状繊維がCS軸に平行な同じ方向に配向した例示的インプラントの図である。
【
図4B】全ての直線状繊維がCS軸に平行な同じ方向に配向した例示的インプラントの図である。
【
図5】異なる長さのプレートを有する型中への材料充填の図である。
【
図6】直線状平行繊維により製造されたインプラントの略図を示す。
【
図7】繊維が巻き付けられた内部コアおよび直線状平行繊維を含む外殻を有するインプラントの略図である。
【
図8】直線状平行繊維を外殻に、および巻き付けた繊維をそのコアに用いて製造されたインプラントの略図を示す。
【
図9】外殻中の直線状平行繊維(赤と青の円の間の領域)およびコア中の巻き付けた繊維(青い円の内側の領域)を示すインプラントの断面像である。
【
図10】らせん状層を有するインプラントの内側部分および長手方向層を有する外側部分を示す像である。
【
図11】らせん状層を有するインプラントの内側部分および長手方向層を有する外側部分を示す像である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、鉱物繊維により強化されるバイオ複合材料ネジを切ったインプラントに関する。好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の鉱物組成物の重量パーセントは、以下でさらに詳細に記載されるように、30~60%の範囲である。インプラントの内部構造および構成、特にポリマーマトリックス内の繊維の構成および配向は、インプラントに有益な機械的性質を与え、インプラントが整形外科固定で効果的に機能することを可能とする。さらに、これらの構造は、インプラントがこれらの機械的性質を有することを可能とすると同時に、周囲組織からの骨の内殖をさらに可能とする。
【0084】
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、特に、生体吸収性ポリマーおよび強化鉱物繊維を含むバイオ複合材料組成物からなるネジおよびネジを切ったインプラントに関する。
【0085】
好ましくは、バイオ複合材料組成物は、鉱物組成物で強化された(任意選択で、生体吸収性)ポリマーからなる。鉱物組成物強化は、鉱物組成物から作製される強化繊維により与えられるのが好ましい。上述のように、インプラントの鉱物含量は、かなり高いのが好ましい。
【0086】
任意選択で、医療用インプラントまたはその一部は、多くのバイオ複合材料層からなり、各層は、一方向強化繊維により強化された生体吸収性ポリマーを含む。インプラントの特性は、任意選択で、および好ましくは、層組成物および構造、ならびに装置における層の配置、例えば、層方向に関する配置により決定される。繊維は、別々のままで任意に残ってもよいが、ポリマーの若干の融解を任意に起こさせて、層を一緒に結合させてもよい。
【0087】
バイオ複合材料層は、医療用インプラントの一部または全体を連続または半連続的に広がる層と定義でき、層は、一方向に整列された強化繊維からなる。
【0088】
任意選択で、インプラント内の隣接層間で方向性のある繊維配向は、それぞれの隣接層が、それに隣接する層から位相がずれる(異なる角度になる)ように層間で交互する。好ましくは、層間の平均または中央角度差異は、15~75度、より好ましくは30~60度、最も好ましくは40~50度である。
【0089】
好ましくは、医療用インプラント中のバイオ複合材料層は、相互に十分に接近している。より好ましくは、層間の距離は、1つの層の最後の繊維と、その次の層の最初の繊維との間の距離で測定して、0~200μm、より好ましくは0~60μm、1~40μm、最も好ましくは2~30μmである。層内の繊維の隣接層内の繊維への良好な接近は、各層が隣接層を機械的に支持するのを可能とする。しかし、層間の若干の距離が、多少のポリマーが隣接層の繊維間で残り、それにより、層を一緒に付着させ、高い機械的な負荷下で離開するのを防ぐことを可能とするために望ましい場合がある。
【0090】
任意選択で、繊維は、直線状層または同心状の環状層としてインプラント中に存在する。各層はその繊維の配向が均一であるのが好ましい。
【0091】
任意選択で、層の数は、インプラント全体で一定である。あるいは、および任意選択で、層の数は、インプラント全体にわたり変化する。
【0092】
好ましくは、層は、0.05mm~0.3mm、より好ましくは0.1mm~0.18mmの厚さである。
【0093】
層の厚さは、インプラント全体で一定であるのが好ましい。
【0094】
あるいは、層の厚さは、ネジまたはインプラント全体にわたって変化する。
【0095】
好ましくは、層は8~40繊維厚さ、より好ましくは8~15繊維厚さである。任意選択で、各層は、インプラントに対し長手方向軸に、長手方向軸に対し、ある角度で、または長手方向軸に対し負の角度で整列した繊維からなる。
【0096】
任意選択で、異なる整列をした層がインプラント全体にわたり均一に分布される。
【0097】
任意選択で、本明細書で強化バイオ複合材料医療用インプラントと共に使用するための大部分の強化繊維の直径は、1~100μmの範囲である。繊維の直径は、1~20μmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは、繊維の直径は、4~16μmの範囲、最も好ましくは8~15μmの範囲である。
【0098】
任意選択で、本明細書で強化バイオ複合材料医療用インプラントと共に使用するための強化繊維の平均直径は、1~100μmの範囲である。繊維の直径は、1~20μmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは、繊維の直径は、4~16μmの範囲、最も好ましくは8~15μmの範囲である。
【0099】
医療用インプラント中の繊維間の繊維直径の標準偏差は、好ましくは5μm未満、より好ましくは3μm未満、最も好ましくは1.5μm未満である。繊維直径の均一性は、インプラント全体にわたる一貫した特性にとって有益である。
【0100】
一実施形態では、強化繊維は、ポリマーマトリックス内の繊維断片である。好ましくは、このような繊維断片は、平均で、0.5~20mmの長さ、より好ましくは繊維断片の長さは1~15mmの範囲、より好ましくは3~10mmの範囲、最も好ましくは4~8mmの範囲である。
【0101】
好ましくは、大部分の強化繊維断片は、0.5~20mmの長さ、より好ましくは繊維断片の長さは1~15mmの範囲、より好ましくは3~10mmの範囲、最も好ましくは4~8mmの範囲である。
【0102】
任意選択で、強化繊維は連続繊維である。連続繊維は、好ましくは5mmより長い、より好ましくは8mm、12mm、16mmより長い、最も好ましくは20mmより長い。
【0103】
あるいは、または追加して、強化繊維長さは、インプラント長さの関数として定義でき、少なくとも一部の強化繊維、および好ましくは大部分の強化繊維が、これらの繊維からなる医療用インプラントまたは医療用インプラント成分の長手方向長さの少なくとも50%の連続長さである。好ましくは、一部または大部分の強化繊維が、医療用インプラントの長さの少なくとも60%の連続長さであり、より好ましくは医療用インプラントの長さの少なくとも75%の連続長さである。このような連続強化繊維は、インプラントの大きな部分に対する構造的強化を提供できる。
【0104】
任意選択で、バイオ複合材料層内の隣接強化繊維間の距離は、0.5~50μm、好ましくは隣接繊維間の距離は1~30μmの範囲、より好ましくは1~20μmの範囲、最も好ましくは1~10μmの範囲である。
【0105】
好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の強化繊維(鉱物組成物)の重量パーセントは40%~90%、より好ましくは、重量パーセントは40%~70%の範囲、より好ましくは、40%~60%の範囲、さらにより好ましくは、重量パーセントは45%~60%の範囲である。
【0106】
好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の強化繊維の体積パーセントは30%~90%の範囲、より好ましくは、体積パーセントは40%~70%の範囲である。
【0107】
任意選択で、インプラント中の複数の繊維は、一方向に整列されている。任意選択で、整列された繊維断片は、平均で、5~12mmの長さである。
【0108】
好ましくは、一方向に整列された繊維は、インプラントの長手方向軸に整列されている(長手方向軸に対し、0°の整列)。好ましくは、10%~100%の繊維は、インプラントの長手方向軸に配向している。より好ましくは、30%~70%の繊維がそのように配向している。最も好ましくは、40%~60%の繊維がそのように配向している。
【0109】
任意選択で、複数の繊維がさらに、3種までの追加の方向に整列される。任意選択で、複数の繊維が、長手方向軸に対する次の整列:0°、30°、-30°、45°、-45°、90°のそれぞれの選択で整列される。好ましくは、複数の繊維が、長手方向軸に対する次の整列:0°、45°、-45°、90°のそれぞれの選択で整列される。より好ましくは、複数の繊維が、長手方向軸に対する次の整列:0°、45°、-45°のそれぞれの選択で整列される。
【0110】
任意選択で、および代わりに、繊維断片が不規則に整列される。
【0111】
インプラント内のバイオ複合材料組成物は、インプラントの機械的なおよびバルク特性の決定に重要であるが、インプラントの面縁と接触する特定の組成物および構造は、身体への埋め込み後に、この組成物および構造が、まわりの細胞および組織がインプラントとどのように相互作用するかに大きく影響を与えることができるという点で、特有の意味を有する。例えば、バイオ複合材料の吸収性ポリマー部分は、周りの組織をある程度まで寄せ付けないような性質上疎水性であり得、一方、バイオ複合材料の鉱物強化繊維部分は、性質上親水性であり得、従って、周りの組織がインプラントに付着するのを促進する、または組織内殖を生じさせる。
【0112】
本明細書の発明の任意の実施形態では、表面領域のパーセンテージによる1つの組成成分の表面存在は、体積パーセンテージによるインプラントのバルク組成物中のその成分の存在より大きい。例えば、表面上の鉱物の量は、ポリマーの量より大きい可能性があり、逆もまた同じである。ただ1つの仮説に限定されることを望むものではないが、骨とのより一層の統合のためには、より多くの量の鉱物が、任意に、および好ましくは、表面に存在するであろう。骨との統合を低減させるために、より多くの量のポリマーが、任意に、および好ましくは、表面に存在するであろう。好ましくは、組成物の1つの成分の表面領域パーセンテージは、全体バイオ複合材料インプラント中のその成分の体積パーセンテージより10%大きい。より好ましくは、パーセンテージは30%超大きく、最も好ましくは50%超大きい。
【0113】
任意選択で、医療用インプラントの1つの表面は、1つのバイオ複合材料成分の場所有意性を有し得、一方、異なる表面、または同じ表面の異なる部分は、異なるバイオ複合材料成分の場所有意性を有し得る。
【0114】
任意選択で、鉱物含量は、大部分の表面領域には存在しない(すなわち、インプラントの表面の大部分はポリマーフィルムで覆われている)。任意選択で、表面ポリマーフィルムは、平均で、0.5~50μmの厚さ、より好ましくは5~50μm、最も好ましくは10~40μmの厚さである。
【0115】
任意選択で、ネジまたはインプラントの外面での繊維露出のパーセンテージは、ネジまたはインプラント中の繊維のパーセンテージと同じである。任意選択で、表面での繊維露出のパーセンテージは、ネジまたはインプラント中の繊維のパーセンテージよりも10%少ない(全体ネジ/インプラントの重量%として)。任意選択で、20%少ない、または30%少ない。あるいは、100%少ない。任意選択で、繊維は、一定のパターンでまたはインプラント表面全体の一定の領域で露出され得る。
【0116】
用語のインプラントの外面は、任意に、インプラントの外側100um、好ましくは外側50um、より好ましくは外側30um、最も好ましくは外側15umを意味する。
【0117】
好ましくは、インプラントの外面内の複数の繊維の整列は、インプラントのネジ山の一部または全部の角度と類似の、インプラントの長手方向軸に対して、一定の角度である。これに関して、類似の角度は、その角度の20度以内の角度を意味し得る。
【0118】
任意選択で、医療用インプラントは、ネジを切ったネジまたはその他のネジを切ったインプラントである。好ましくは、インプラントの外層は、繊維の方向がねじ切りのらせん角度に近づけるように、方向性を付与して整列される。好ましくは、繊維方向の整列角度は、らせん角度の45度以内である。より好ましくは、整列角度は30度以内、最も好ましくは、整列角度はらせん角度の15度以内である。このようにして繊維整列角度をらせん角度に近付けることにより、ねじ切りの堅牢さを改善でき、ねじ切り内での強化繊維の離開を防ぐことができる。
【0119】
生体吸収性ポリマー
本発明の好ましい実施形態では、生分解性複合材料は、生体吸収性ポリマーを含む。
【0120】
本明細書で記載の医療用インプラントは、任意の生分解性ポリマーから作製され得る。生分解性ポリマーは、ホモポリマーまたはランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーを含むコポリマーであり得る。生分解性ポリマーは、直鎖ポリマー、分枝ポリマー、またはデンドリマーであり得る。生分解性ポリマーは、天然起源のものでもよく、合成起源のものでもよい。
【0121】
好適な生分解性ポリマーの例には、限定されないが、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、バレロラクトン、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、など)、ジオキサノン(例えば、1,4-ジオキサノン)、δ-バレロラクトン、1,ジオキセパノン(例えば、1,4-ジオキセパン-2-オンおよび1,5-ジオキセパン-2-オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ-ヒドロキシバレレート、β-ヒドロキシプロピオネート、α-ヒドロキシ酸、ヒドロキシブテレート、ポリ(オルトエステル)、ヒドロキシアルカノエート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリ(ビスフェノールA-イミノカルボネートおよびポリ(ヒドロキノンイミノカルボネート)などのポリイミノカーボネート、ポリウレタン、ポリ無水物、ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療薬)およびコポリマーならびにこれらの組み合わせから作製されるものなどのポリマーが挙げられる。好適な天然の生分解性ポリマーには、コラーゲン、キチン、キトサン、セルロース、ポリ(アミノ酸)、ポリサッカライド、ヒアルロン酸、腸、コポリマーおよび誘導体ならびにこれらの組み合わせから作製されるものが挙げられる。
【0122】
本発明では、生分解性ポリマーは、コポリマーまたはターポリマー、例えば:ポリラクチド(PLA)、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA);ポリグリコリド(PGA);グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC);PLAの他のコポリマー、例えば、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d-バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε-カプロラクトンコポリマー、L-ラクチド/DL-ラクチドコポリマー、グリコリド/L-ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド-コ-グリコリド;PLAのターポリマー、例えば、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε-カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー;ポリデプシペプチド;非対称性3,6-置換ポリ-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン;ポリヒドロキシブチレート(PHB)などのポリヒドロキシアルカノエート;PHB/b-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV);ポリーb-ヒドロキシプロピオネート(PHPA);ポリ-p-ジオキサノン(PDS);ポリ-d-バレロラクトン-ポリ-ε-カプララクトン(capralactone)、ポリ(ε-カプロラクトン-DL-ラクチド)コポリマー;メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー;ポリエステルアミド;シュウ酸のポリエステル;ポリジヒドロピラン;ポリアルキル-2-シアノアクリレート;ポリウレタン(PU);ポリビニルアルコール(PVA);ポリペプチド;ポリ-b-リンゴ酸(PMLA);ポリ-b-アルカン酸;ポリカーボネート;ポリオルトエステル;ポリリン酸;ポリ(エステル無水物);およびこれらの混合物;ならびに天然ポリマー、例えば、糖類;デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、ポリサッカライド、コラーゲン、キトサン、フィブリン、ヒアルロン酸、ポリペプチドおよびタンパク質であり得る。上記のポリマーのいずれかと、それらの種々の形態の混合物も同様に使用し得る。
【0123】
強化生体吸収性ポリマー
少なくとも本発明のいくつかの実施形態では、医療用インプラントは、強化生体吸収性ポリマー(すなわち、前述のポリマーを含み、また、通常、繊維形態の補強充填剤を組み込んでポリマーの機械的強度を増大させる生体吸収性複合材料)を含む。
【0124】
本発明のより好ましい実施形態では、強化生体吸収性ポリマーは、上記生体吸収性ポリマーのいずれかおよび好ましくは繊維形態の補強充填剤からなる強化ポリマー組成物である。補強充填剤は、有機または無機の(すなわち、天然または合成)材料からなり得る。補強充填剤は、生分解性ガラス、セルロース系材料、ナノダイアモンド、または当該技術分野において生体吸収性ポリマーの機械的性質を高めることが既知の任意の他の充填剤であり得る。充填剤は好ましくは、生体吸収性ポリマーそれ自体以外の材料または以外の種類の材料から作製される。しかし、任意選択で、生体吸収性ポリマーそれ自体の繊維でもあり得る。
【0125】
このような強化ポリマー組成物の多数の例は、以前に実証されている。例えば、生体適合性および吸収性融解由来ガラス組成物で、ガラス繊維を連続的なポリマーマトリックス中に埋め込むことができる(欧州特許第EP2243749A1号)、生分解性ポリマーおよび20~70体積%のガラス繊維を含む生分解性複合材料(国際公開第2010/128039A1号)、ポリマーマトリックス中に埋め込むことができる吸収性および生体適合性グラス繊維(米国特許出願公開第2012/0040002A1号)、生体適合性複合材料およびその使用(米国特許出願公開第2012/0040015A1号)、ポリ[スクシンイミド]を充填剤として含む吸収性ポリマー(欧州特許第EP0671177B1号)。
【0126】
本発明のより好ましい実施形態では、強化作用が長時間にわたり維持されるように、補強充填剤を生体吸収性ポリマーに結合させる。このような手法は、米国特許出願公開第2012/0040002A1号および欧州特許第2243500B1号に記載されており、これらの特許では、生体適合性ガラス、生体適合性マトリックスポリマーおよび共有結合を形成できるカップリング剤を含む複合材料について考察がなされている。
【0127】
上述のように、生分解性複合材料および繊維は、好ましくは、生分解性複合材料層の形で整列され、各層は、1種または複数の生体吸収性ポリマーからなるポリマーマトリックス中に埋め込まれた一方向に整列した連続強化繊維を含む。
【0128】
生分解性複合材料層は、好ましくは、1つまたは複数の生分解性複合材料テープからなり、各テープは、1種または複数の生体吸収性ポリマーからなるポリマーマトリックス中に埋め込まれた一方向に整列された連続強化繊維を含む。
【0129】
生分解性複合材料は好ましくは、ポリマーマトリックス中に組み入れられ、これは、上記ポリマーのいずれかを任意に含んでもよい。任意選択で、および好ましくは、生分解性複合材料は、PLLA(ポリ-L-ラクチド)、PDLLA(ポリ-DL-ラクチド)、PLDLA、PGA(ポリグリコール酸)、PLGA(ポリラクチドグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLLA-PCLおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含み得る。PLLAが使われる場合、マトリックスは好ましくは、少なくとも30%のPLLA、より好ましくは50%、最も好ましくは少なくとも70%のPLLAを含む。PDLAが使われる場合、マトリックスは好ましくは、少なくとも5%のPDLA、より好ましくは10%、最も好ましくは少なくとも20%のPDLAを含む。
【0130】
好ましくは、ポリマーマトリックスの固有粘度(IV)(強化繊維とは独立に)は、1.2~2.4dl/gの範囲、より好ましくは1.5~2.1dl/gの範囲、最も好ましくは1.7~1.9dl/gの範囲である。
【0131】
固有粘度(IV)は、分子サイズを測定するための粘度測定法である。IVは、純粋な溶媒の狭い毛細管を通る流下時間と比較した、ポリマー溶液の毛細管を通る流下時間に基づいている。
【0132】
強化繊維
好ましくは、強化繊維が生体吸収性ガラス繊維を含むように、強化繊維はシリカ系鉱物化合物からなり、これはバイオガラス繊維複合材料と呼ぶこともできる。
【0133】
鉱物組成物は、ベータリン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、または生体吸収性ガラス(バイオガラスとしても知られる)を含み得る。
【0134】
さらなる任意のガラス繊維組成物は、以前にLehtonen TJら(Acta Biomaterialia 9(2013)4868-4877)により記載されており、この文献は参照によりその全体が組み込まれる;このようなガラス繊維組成物は、上記組成物の代わりに、またはそれに加えて、任意に使用してもよい。
【0135】
さらなる任意の生体吸収性ガラス組成物は、本明細書で記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる、次の特許出願に記載されている:Biocompatible composite and its use(国際公開第2010/122098号);and Resorbable and biocompatible fibre glass compositions and their uses(国際公開第2010/122019号)。
【0136】
本発明のより好ましい実施形態では、強化作用が長時間にわたり維持されるように、補強充填剤を生体吸収性ポリマーに結合させる。このような手法は、米国特許出願公開第2012/0040002A1号および欧州特許第2243500B1号に記載されており、これらの特許では、生体適合性ガラス、生体適合性マトリックスポリマーおよび共有結合を形成できるカップリング剤を含む複合材料について考察がなされている。
【0137】
生体吸収性ガラス繊維は、次のモル%の範囲の酸化物組成物を任意に有してもよい:
Na2O:11.0~19.0モル%
CaO:8.0~14.0モル%
MgO:1.5~8.0モル%
B2O3:0.5~3.0モル%
Al2O3:0~0.8モル%
P2O3:0.1~0.8モル%
SiO2:65~73モル%
【0138】
また、より好ましくは次のモル%の範囲の酸化物組成物を任意に有してもよい:
Na2O:12.0~13.0モル%
CaO:8.0~10.0モル%
MgO:7.0~8.0モル%
B2O3:1.4~2.0モル%
P2O3:0.5~0.8モル%
SiO2:65~70モル%
【0139】
さらなる任意のガラス繊維組成物は、以前にLehtonen TJら(Acta Biomaterialia 9(2013)4868-4877)により記載されており、この文献は参照によりその全体が組み込まれる;このようなガラス繊維組成物は、上記組成物の代わりに、またはそれに加えて、任意に使用してもよい。
【0140】
さらなる任意の生体吸収性ガラス組成物は、本明細書で記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる、次の特許出願に記載されている:Biocompatible composite and its use(国際公開第2010/122098号);and Resorbable and biocompatible fibre glass compositions and their uses(国際公開第2010/122019号)。
【0141】
ネジを切ったインプラント構造
ネジは、ネジを切ったインプラントの非限定的例である。ネジを切ったインプラントは通常、内部骨固定に使用され、骨折のタイプおよびどのようにネジを使用するかに基づいて異なる設計が存在する。ネジは、種々のサイズの骨と共に使用するために、種々のサイズが必要になる。ネジは、骨折を保持するために単独で、ならびに、プレート、ロッド、または釘と一緒に使用できる。骨治癒後、ネジは、所定位置に残されるか取り除かれ得る。
【0142】
本発明のネジを切ったインプラントの場合、少なくともいくつかの実施形態では、任意選択で、それらは、バイオ複合材料を含む医療用インプラントとして提供され、バイオ複合材料は、ポリマーおよび複数の強化繊維を含む。任意選択で、繊維の平均直径は、1~100μmの範囲である。好ましくは、医療用インプラントは、複数のネジ山が切られる。好ましくは、繊維は、複数のらせん状繊維および複数の長手方向繊維を含む。
【0143】
任意選択で、らせん状繊維の長手方向繊維に対する重量パーセント比率は、90:10~10:90であるが、好ましくは80:20~20:80、より好ましくは33:66~66:33である。
【0144】
任意選択で、らせん状層の巻き角は、5~60度の範囲、好ましくは20度~45度の範囲である。
【0145】
インプラントのネジ山は、一定のピッチまたは可変ピッチであり得る。一定のピッチの場合、任意選択で、ピッチ角度は、1~45度の範囲、任意選択で、5~20度の範囲、あるいは20~45度の範囲である。
【0146】
可変ピッチ角度の場合、任意選択で、ピッチ角度は、0~90度の範囲、好ましくは0~45度の範囲、より好ましくは20~45度の範囲である。
【0147】
上述のように、バイオ複合材料は、好ましくは、複数の層に配列され、各層の繊維は、隣接層に対し不連続である。
【0148】
任意選択で、第1層のらせん状繊維は、時計回りに巻き付けられ、一方、隣接層のらせん状繊維は、反時計回りに巻き付けられる。任意選択で、巻き角は、インプラントのより大きなねじれ応力の領域に向けて巻き付けられる。任意選択で、ネジとらせん状繊維の角度との間の角度は、0~60度の範囲、好ましくは40~60度の範囲、または任意選択で、0~20度の範囲である。
【0149】
任意選択で、インプラントは、長手方向軸を有し、第1層の長手方向繊維は、長手方向軸に対し第1の角度を有し、第2層の長手方向繊維は、長手方向軸に対し第2の角度を有する。
【0150】
任意選択で、インプラントの軸と長手方向繊維との間の角度は、-5°~5°の範囲である。
【0151】
好ましくは、インプラントは、複数のらせん状層および複数の長手方向層を含み、らせん状および長手方向層は、インプラント中で同心状の領域を形成するように、インプラントの壁厚の不連続領域にそれぞれグループ分けされる。任意選択で、少なくとも1つの同心状の長手方向繊維領域が、少なくとも1つの同心状のらせん状繊維領域に対し内側に存在する。任意選択で、代わりにまたは追加して、少なくとも1つの同心状のらせん状繊維領域が、少なくとも1つの同心状の長手方向繊維領域に対し外側に存在する。任意選択で、同心状の領域の厚さは、0.2mm~インプラントの壁厚の最大50%の範囲である。好ましくは、同心状の領域の厚さは、0.2mm~4mmの範囲である。より好ましくは、該厚さは、0.2mm~2mmの範囲であり、最も好ましくは、0.2mm~1mmの範囲である。
【0152】
任意選択で、らせん状層の数は、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、8~15の範囲である。任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、2~4mmの範囲で、らせん状層の数は、2~12の範囲、好ましくは3~8である。
【0153】
任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、3.5mm~8mmの範囲で、らせん状層の数は、4~18、好ましくは6~14である。
【0154】
任意選択で、長手方向層の数は、1~15の範囲、好ましくは1~10の範囲、より好ましくは4~6の範囲、または任意選択で、1~5の範囲である。
【0155】
任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、2~4mmの範囲で、長手方向層の数は、1~5、好ましくは1~4である。
【0156】
任意選択で、ネジを切ったインプラントの直径は、3.5mm~8mmの範囲で、長手方向層の数は、1~10、好ましくは2~7である。
【0157】
任意選択で、各らせん状層の厚さ中の繊維の数は、2~20の範囲、好ましくは8~15の範囲である。
【0158】
任意選択で、各長手方向層の厚さ中の繊維の数は、2~20の範囲、好ましくは8~15の範囲である。
【0159】
任意選択で、長手方向層の数は、1~10の範囲、好ましくは4~10の範囲、より好ましくは6~8の範囲である。
【0160】
任意選択で、長手方向層間の角度は、-5°~5°の範囲である。
【0161】
インプラントは、場合により、少なくとも1つの層であって、当該層に沿う複数の連続繊維により形成される複数の層からなる少なくとも1つの層、及び、複数のチョップド繊維からなる少なくとも1つの他の層、ここで、チョップド繊維の長さが少なくとも1つの他の層の長さ未満である、を更に含み得ることを特徴とする。任意選択で、チョップド繊維の平均長さは、インプラントの長さの10%未満、好ましくはインプラントの5%未満である。
【0162】
任意選択で、インプラントは、複数の異なる部分を含み、チョップド繊維の濃度は、インプラントの複数の部分の間で変化する。好ましくは、チョップド繊維の濃度は、バイオ複合材料の1重量%~50重量%、好ましくは2重量%~10重量%、あるいは1重量%~10重量%変化する。
【0163】
任意選択で、インプラントは、頭部と本体を含み、チョップド繊維は、強化のために頭部に配置される。
【0164】
任意選択で、インプラントは、複数の頭部を含み、チョップド繊維は、強化のためにネジ部に配置される。
【0165】
任意選択で、インプラントは、壁を含み、壁は、内側セグメントおよび外側セグメントを含み、傾斜した繊維を有する層のより大きな分布がインプラントの内側セグメント内に存在する。好ましくは、傾斜した繊維は、長手方向軸に対して、正または負に傾斜している。任意選択で、および好ましくは、内側セグメントは、壁厚の内側50%を含む。より好ましくは、内側セグメントは、壁厚の内側35%を含む。最も好ましくは、内側セグメントは、壁厚の内側30%を含む。また、最も好ましくは、内側セグメントは、壁厚の内側25%を含む。
【0166】
任意選択で、外側セグメントは、傾斜した繊維を有する層のより大きな分布を含む。好ましくは、外側セグメントは、壁厚の内側50%を含む。より好ましくは、外側セグメントは、壁厚の内側35%を含む。最も好ましくは、外側セグメントは、壁厚の内側30%を含む。また、最も好ましくは、外側セグメントは、壁厚の内側25%を含む。
【0167】
任意選択で、インプラントは、複数の層を含み、そこでは、傾斜した繊維を有する層の分布は、層数または重量でインプラントの残りの部分に比べて、内側セグメント中で、10%大きい分布である。好ましくは、分布は20%大きい分布である。より好ましくは、分布は30%大きい分布である。最も好ましくは、分布は50%大きい分布である。
【0168】
任意選択で、インプラントは、カニューレ挿入を含む、またはカニューレ挿入されている。その場合、任意選択で、カニューレ挿入は、0.5~3.5mmの範囲の直径中で行われる。好ましくは、カニューレ挿入は、0.85~1.7mmの範囲の直径中で行われる。任意選択で、カニューレ挿入直径は、ネジ直径のパーセンテージで、10%~50%である。好ましくは、直径は、15~45%である。より好ましくは、直径は、20~40%である。最も好ましくは、直径は、25~35%である。
【0169】
任意選択で、インプラントの直径は、2~10mmの範囲であり;好ましくは、直径は3~8mmの範囲である。
【0170】
任意選択で、インプラントは、ねじ回し駆動面を含み、駆動面はインプラントの内側または外側にある。好ましくは、駆動面は、スロット、溝、くぼみ、またはソケットの内の1つまたは複数を含む。任意選択で、および好ましくは、駆動面は、一定の断面、あるいは、可変断面を含む。任意選択で、駆動面は、テーパー断面を含む。
【0171】
任意選択で、インプラントは、駆動面に複数のチョップド繊維を含み、チョップド繊維の長さは、駆動面の長さより短い。
【0172】
任意選択で、インプラントは、複数の層を含み、駆動面は少なくとも1つの層を含み、少なくとも1つの層は複数のチョップド繊維を含み、チョップド繊維の長さは少なくとも1つの層の長さより短い。
【0173】
任意選択で、インプラントは、単一セットのネジ山を含む、あるいは複数セットのネジ山を含む。
【0174】
任意選択で、インプラントは、一条ネジを含む、あるいは多条ネジを含む。
【0175】
任意選択で、インプラントは、固定リードまたは漸進的リードを有するネジ山を含む、および/または固定ピッチまたは漸進的ピッチを有するネジ山を含む。
【0176】
任意選択で、インプラントは、一定または可変外径を含む。
【0177】
任意選択で、ねじ切りは、円周全体を通して連続的ではない。
【0178】
任意選択で、ネジは、V型ネジ、バットレスネジ、逆バットレスネジ、らせんネジ、バットレスネジと逆バットレスネジの組み合わせ、台形ネジ、四角ネジ、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される形状を含む。
【0179】
任意選択で、ネジ山の平均深さは、0.2~4mmの範囲である。
【0180】
任意選択で、平均ピッチは、0.2~7.0mmである。
【0181】
任意選択で、インプラントは、ネジ山中で中断する1つまたは複数の長手方向溝を含む。任意選択で、溝は、ねじ山の全長に及ぶ。あるいは、溝は、ねじ山の長さの最大80%に及ぶ。
【0182】
任意選択で、溝は3mm未満の幅である。好ましくは、溝は1.5mm未満の幅である。より好ましくは、溝は1mm未満の幅である。
【0183】
任意選択で、インプラントは、表面領域の一部または全体にわたる穴または穿孔を含む。好ましくは、穴の直径は、0.1~2.5mmの範囲である。
【0184】
任意選択で、インプラントは、2つ以上の部分を含む。
【0185】
任意選択で、インプラントは、軸方向に、半径方向にまたは円周方向に分割される。
【0186】
ネジはねじ切りされるが、ねじ切りは、全体的または部分的であり得る。ネジは、圧縮ネジ、係止ネジ、および/またはカニューレ型ネジを含み得る。外部ネジ直径は、0.5または1.0mmの小ささであり得るが、通常、より小さい骨の固定に対しては3.0mm未満である。より大きな骨皮質ネジは、最大5.0mmであり得、海綿骨ネジは、7~8mmにもなり得る。いくつかのネジは、タッピングネジであり、その他のものは、ネジの挿入の前に穴あけが必要である。カニューレ型ネジの場合、中央の中空部分は通常、ガイドワイヤを収容するために1mmより大きい直径である。
【0187】
任意選択で、インプラントの外側セグメント内で傾斜した繊維(長手方向軸に対して正または負の角度)を有する層のより大きな分布が存在する。
【0188】
外側セグメントは、任意選択で、壁厚の外側50%、好ましくは外側35%、より好ましくは外側30%、より好ましくは壁厚の外側25%、最も好ましくは壁厚の外側15%を意味する。
【0189】
ねじ回し駆動面は、ネジまたはインプラントの内側または外側であり得る。ねじ回し駆動面は、スロット、溝、くぼみ、ソケット、または任意の当該技術分野において既知のその他の型のねじ回し接触面であり得る。
【0190】
任意選択で、ネジ駆動面は、一定の断面を有し得る。
【0191】
任意選択で、ネジ駆動面は、可変断面を有し得、これは、任意選択で、テーパー断面である。
【0192】
インプラントは、単一セットのネジ山、あるいは複数セットのネジ山を有し得る。
【0193】
インプラントのネジ山は、一条ネジ、またな多条ネジを有し得る。
【0194】
ネジ山は、固定リードまたは漸進的リードを有し得る。
【0195】
ネジ山は、固定ピッチまたは漸進的ピッチを有し得る。
【0196】
ネジを切ったインプラントは、一定または可変外径を任意に有してもよい。任意選択で、ねじ切りは、円周全体に連続的でない場合もある。
【0197】
ネジを切ったインプラントのネジは、表面領域の一部または全体にわたり穴または穿孔を有し得る。穴の直径は、0.1~2.5mmの範囲であり得る。
【0198】
任意選択で、ネジまたはネジ型インプラントは、2つ以上の部分を含み得る。インプラントは、軸方向に、半径方向にまたは円周方向に分割され得る。
【0199】
ネジは、予荷重を維持するための柔軟性の特徴を有し得る。
【0200】
ネジまたはインプラントのねじ切りは、限定されないが、V型ネジ、バットレスネジ、逆バットレスネジ、らせんネジ、バットレスネジと逆バットレスネジの組み合わせ、台形ネジ、四角ネジならびにこれらの組み合わせを含む種々の形状であり得る。
【0201】
ネジ山の平均深さは、任意選択で、0.2~4mmの範囲である。平均ピッチは、任意選択で、0.2~7.0mmである。
【0202】
任意選択で、ネジを切ったインプラントは、ネジ山中で中断する1つまたは複数の長手方向溝を有する。このような溝は、任意選択で、ねじ山の全長に及ぶ。任意選択で、溝は、ねじ山の長さの最大80%に及ぶ。
【0203】
溝は、任意選択で、3mm未満の幅である。好ましくは、溝は1.5mm未満の幅である。より好ましくは、溝は1mm未満の幅である。
【0204】
任意選択で、溝に沿った層は、溝の軸に沿って整列される。
【0205】
任意選択で、溝に沿った繊維は、溝の軸に整列される。
【0206】
任意選択で、溝に沿った繊維は、角度的に溝の軸に整列される。
【0207】
ネジを切った強化バイオ複合材料インプラントの良好な性能を確保するために、任意に実施され得る多くの特定の幾何学的比率が存在する。
【0208】
例えば、ネジの平均ネジ山の高さの壁厚に対する比率の範囲は、好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.3~0.9である。
【0209】
任意選択で、ねじ切り部の鉱物含量は、インプラントの本体とは異なる。
【0210】
任意選択で、その鉱物含量はより多い。任意選択で、その鉱物含量はネジ中より少ない。
【0211】
任意選択で、鉱物の向きはネジ中で異なる。任意選択で、ネジ中の繊維は連続的でないが、インプラントの本体中では繊維は連続的である。
【0212】
任意選択で、インプラントのネジ山は、挿入時に歪められ、可能な限り骨中でのグリップを高める。
【0213】
任意選択で、ネジの表面粗さは、ネジ山上およびシャフト上で異なり、特に、ネジ山に比べてシャフト上でより粗い。
【0214】
任意選択で、ネジのカニューレ処置ではテーパーが付いている。
【0215】
医療用ネジ適応症には、骨固定、軟組織の骨への付着が含まれる。ネジは、圧縮ネジまたはその他のものであり得る。任意選択で、ネジは、係止ネジまたは非係止ネジであり得る。
【0216】
任意の追加の特徴
下記の特徴および実施形態は、いずれかの上記の特徴および実施形態と任意に組み合わせ可能である。
【0217】
強化繊維の引張強度は、好ましくは1200~2800MPaの範囲、より好ましくは1600~2400MPaの範囲、最も好ましくは1800~2200MPaの範囲である。
【0218】
強化繊維の弾性係数は、好ましくは30~100GPaの範囲、より好ましくは50~80GPaの範囲、最も好ましくは60~70GPaの範囲である。
【0219】
任意選択で、医療用インプラントの長手方向軸に整列した強化繊維の大部分は、インプラントの全体長さの少なくとも50%の長さ、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも85%である。
【0220】
好ましくは、複数の強化繊維は、ネジまたはインプラントの長手方向軸に対し一定角度で配向している。より好ましくは、複数の強化繊維は、ネジまたはインプラントの長手方向軸に対し一定角度で配向し、複数の強化繊維はネジまたはインプラントの長手方向軸に対し負の同じ角度で配向している。
【0221】
好ましくは、角度は、30°~90°の範囲であり、対応する負の角度は、-30°~-90°の範囲である。より好ましくは、角度は、40°~50°の範囲であり、対応する負の角度は、-40°~-50°の範囲である。最も好ましくは、角度は、45°であり、対応する負の角度は、-45°である。
【0222】
好ましくは、強化繊維は、ある角度の10%~45%の範囲の繊維を含む第1の部分、および対応する負の角度の10%~45%の範囲の繊維を含む第2の部分を含む。より好ましくは、各部分は、10%~30%の範囲であり、最も好ましくは、各部分は、20%~30%の範囲である。
【0223】
好ましくは、角度の繊維および対応する負の角度の繊維が等量の部分が存在する。より好ましくは、ある角度の繊維の量のパーセンテージは、負の角度の対応する繊維の量の繊維の全数の10%以内である。最も好ましくは、量のパーセンテージは、5%以内である。
【0224】
好ましくは、インプラントは、2~20複合材料テープ層を含み、より好ましくは2~10層、最も好ましくは2~6層を含み、各層は、異なる方向に、または層の一部は他の層と同じ方向に整列され得る。しかし、上述のように、テープは、必ずしも層の特徴ではなく、層は複数の繊維からなり得る。
【0225】
好ましくは、少なくとも一部の層中での繊維間の最大角度は、各層および長手方向軸の繊維間における角度より大きい。例えば、強化繊維の1つの層が長手方向軸に対し右斜めに整列され得、同時に、別の層が長手方向軸に対し左斜めに整列され得る。
【0226】
相溶化剤
任意選択で、および好ましくは、複合材料組成物は、相溶化剤をさらに含み、これは、例えば、国際公開第2010/122098号に記載の薬剤のようなものである。この特許は、あたかも、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0227】
生分解性複合材料の代替形態
別の選択肢として、生分解性複合材料は、生体吸収性ポリマーを含浸した連続強化繊維または繊維束を含む複合材料ストランドを含み得る。好ましくは、ストランドは、直径1cm未満である。より好ましくは、ストランドは、8mm未満、5mm未満、3mm未満、または2mm未満の直径である。
【0228】
あるいは、生分解性複合材料は、連続強化繊維の織メッシュを含み得、織メッシュは生体吸収性ポリマーを予備含浸されるか、または織メッシュは強化繊維から構成後に生体吸収性ポリマーで含浸される。
【0229】
好ましくは、生分解性複合材料メッシュ層は、厚さ1cm未満である。より好ましくは、含浸メッシュは、8mm未満、5mm未満、3mm未満、または2mm未満の厚さである。
【0230】
鉱物含量
本発明は、少なくともいくつかの実施形態では、高い比率の鉱物含量を有し、また、優れた機械的性質をさらに有するバイオ複合材料組成物からなる医療用インプラントを提供することにより、以前のバイオ複合材料医療用インプラントの制限をさらに克服する。好ましくは、鉱物組成物は、鉱物組成物から作製される強化繊維により提供される。
【0231】
いくつかの実施形態では、好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の鉱物組成物の重量パーセントは40%~90%、より好ましくは、重量パーセントは40%~70%の範囲、さらにより好ましくは、重量パーセントは45%~60%の範囲である。上述のように、任意選択で、および好ましくは、バイオ複合材料医療用インプラント中の鉱物組成物の重量パーセントは、30~60%の範囲である。
【0232】
任意選択で、および好ましくは、インプラント内の繊維強化生分解性複合材料は、5GPaを超える曲げ弾性率および80MPを超える曲げ強度を有する。
【0233】
好ましくは、インプラント内の繊維強化生分解性複合材料は、150~800MPaの範囲の、より好ましくは150~400MPaの範囲の曲げ強度を有する。弾性係数は、好ましくは、5~27GPa、より好ましくは10~27GPaの範囲である。
【0234】
好ましくは、インプラント内の繊維強化複合材料は、8週間の埋め込み後、10GPaを超える弾性係数および8週間後150MPaを超える曲げ強度を有する。
【0235】
本発明では、少なくともいくつかの実施形態では、生分解性ポリマーは、コポリマーまたはターポリマー、例えば:ポリラクチド(PLA)、ポリ-L-ラクチド(PLLA)、ポリ-DL-ラクチド(PDLLA);ポリグリコリド(PGA);グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC);PLAの他のコポリマー、例えば、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d-バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε-カプロラクトンコポリマー、L-ラクチド/DL-ラクチドコポリマー、グリコリド/L-ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド-コ-グリコリド;PLAのターポリマー、例えば、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε-カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー;ポリデプシペプチド;非対称性3,6-置換ポリ-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン;ポリヒドロキシブチレート(PHB)などのポリヒドロキシアルカノエート;PHB/b-ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV);ポリーb-ヒドロキシプロピオネート(PHPA);ポリ-p-ジオキサノン(PDS);ポリ-d-バレロラクトン-ポリ-ε-カプララクトン(capralactone)、ポリ(ε-カプロラクトン-DL-ラクチド)コポリマー;メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー;ポリエステルアミド;シュウ酸のポリエステル;ポリジヒドロピラン;ポリアルキル-2-シアノアクリレート;ポリウレタン(PU);ポリビニルアルコール(PVA);ポリペプチド;ポリ-b-リンゴ酸(PMLA);ポリ-b-アルカン酸;ポリカーボネート;ポリオルトエステル;ポリリン酸;ポリ(エステル無水物);およびこれらの混合物;ならびに天然ポリマー、例えば、糖類;デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、ポリサッカライド、コラーゲン、キトサン、フィブリン、ヒアルロン酸、ポリペプチドおよびタンパク質であり得る。上記のポリマーのいずれかと、それらの種々の形態との混合物も同様に使用し得る。
【0236】
生分解性複合材料は好ましくは、ポリマーマトリックス中に組み入れられ、これは、上記ポリマーのいずれかを任意に含んでもよい。任意選択で、および好ましくは、生分解性複合材料は、PLLA(ポリ-L-ラクチド)、PDLLA(ポリ-DL-ラクチド)、PLDLA、PGA(ポリグリコール酸)、PLGA(ポリラクチドグリコール酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLLA-PCLおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含み得る。PLLAが使われる場合、マトリックスは好ましくは、少なくとも30%のPLLA、より好ましくは50%、最も好ましくは少なくとも70%のPLLAを含む。PDLAが使われる場合、マトリックスは好ましくは、少なくとも5%のPDLA、より好ましくは10%、最も好ましくは少なくとも20%のPDLAを含む。
【0237】
好ましくは、ポリマーマトリックスの固有粘度(IV)(強化繊維とは独立に)は、1.2~2.4dl/gの範囲、より好ましくは1.5~2.1dl/gの範囲、最も好ましくは1.7~1.9dl/gの範囲である。
【0238】
固有粘度(IV)は、分子サイズを測定するための粘度測定法である。IVは、純粋な溶媒の狭い毛細管を通る流下時間と比較した、ポリマー溶液の毛細管を通る流下時間に基づいている。
【0239】
鉱物組成物は、ベータリン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、または生体吸収性ガラス(バイオガラスとしても知られる)を任意に含んでもよい。
【0240】
生体吸収性ガラス繊維は、次のモル%の範囲の酸化物組成物を任意に有してもよい:
Na2O:11.0~19.0モル%
CaO:8.0~14.0モル%
MgO:1.5~8.0モル%
B2O3:0.5~3.0モル%
Al2O3:0~0.8モル%
P2O3:0.1~0.8モル%
SiO2:65~73モル%
【0241】
また、より好ましくは次のモル%の範囲の酸化物組成物を任意に有してもよい:
Na2O:12.0~13.0モル%
CaO:8.0~10.0モル%
MgO:7.0~8.0モル%
B2O3:1.4~2.0モル%
P2O3:0.5~0.8モル%
SiO2:65~70モル%
【0242】
さらなる任意のガラス繊維組成物は、以前にLehtonen TJら(Acta Biomaterialia 9(2013)4868-4877)により記載されており、この文献は参照によりその全体が組み込まれる;このようなガラス繊維組成物は、上記組成物の代わりに、またはそれに加えて、任意に使用してもよい。
【0243】
さらなる任意の生体吸収性ガラス組成物は、本明細書で記載されるかのように参照により本明細書に組み込まれ、本出願と共通に所有され、共通の発明者を有する、次の特許出願に記載されている:Biocompatible composite and its use(国際公開第2010/122098号);and Resorbable and biocompatible fibre glass compositions and their uses(国際公開第2010/122019号)。
【0244】
本発明のより好ましい実施形態では、強化作用が長時間にわたり維持されるように、補強充填剤を生体吸収性ポリマーに結合させる。このような手法は、米国特許出願公開第2012/0040002A1号および欧州特許第2243500B1号に記載されており、これらの特許では、生体適合性ガラス、生体適合性マトリックスポリマーおよび共有結合を形成できるカップリング剤を含む複合材料について考察がなされている。
【0245】
医療用インプラント複合材料構造
インプラントの平均壁厚は、好ましくは、0.2~10mmの範囲、より好ましくは0.4~5mmの範囲、より好ましくは0.5~2mmの範囲、最も好ましくは0.5~1.5mmの範囲である。
【0246】
インプラントは、好ましくは、2~30の複合材料テープ層を含み、より好ましくは3~12層、最も好ましくは2~6層を含む。
【0247】
任意選択で、インプラントは、強化リブ、ガセット、またはストラットを含み得る。
【0248】
リブベースの厚さは、好ましくは隣接する壁厚の100%未満である。より好ましくは、厚さは85%未満、最も好ましくは75%未満である。リブベース厚さは、好ましくは、隣接する壁厚の20%超、より好ましくは30%超、および最も好ましくは隣接する壁厚の50%超である。
【0249】
好ましくは、リブ高さは、隣接する壁厚の少なくとも2.0倍、より好ましくは少なくとも壁厚の3.0倍である。
【0250】
強化リブの図面角度は、好ましくは、0.2~0.8°、より好ましくは0.4~0.6°である。
【0251】
好ましくは、リブ間の距離は、隣接する壁厚の少なくとも2倍である。より好ましくは、隣接する壁厚の少なくとも3倍である。
【0252】
好ましくは、強化リブまたは他の要素は、圧縮または引張剛性を10%まで高めることなく、インプラントの曲げ剛性を少なくとも20%増大させる。
【0253】
任意選択で、インプラントの容易な挿入を促進するために、1つの軸に沿った、例えば、インプラントの長手方向軸に沿ったリブは、垂直軸、例えば、インプラントの横軸に沿ったリブより高い。
【0254】
任意選択で、インプラントは、ネジ挿入に適応するために、1つまたは複数のボスを含み得る。好ましくは、ボスは、タッピングネジ適用のために、ネジ直径よりも2~3倍である。ボスは、さらに支持をするガセットまたはリブを含み得る。
【0255】
任意選択で、インプラントの1つまたは複数の側面は、非平滑化され得る。
【0256】
任意選択で、インプラントは、インプラント内でネジ穴またはピンホールなどの穴のまわりに環状配置に整列された連続繊維を含み得る。
【0257】
穴あきインプラント部分壁
一部の医療用インプラントでは、インプラントの組織中への組み込みを強化して生理学的機能へのインプラントの適合性を高めるように、インプラントを通って細胞または組織の内殖があるのが望ましい。このような内殖をさらに促進するために、本明細書で記載の医療用インプラントの壁に間隙または穴を有するのが有益である。
【0258】
好ましくは、存在する場合、インプラント壁中のこのような穿孔は、インプラントの表面領域の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、またはインプラントの表面領域の少なくとも50%を含む。
【0259】
本発明の1つの任意の実施形態では、インプラントはネジであり、ねじ切り加工での窓形成は、穿孔を含む。
【0260】
本発明の一実施態様では、インプラントは、インプラントを構成する複合材料テープ間、または複合材料テープ内の強化繊維間の穿孔を含む。
【0261】
好ましい実施形態では、大部分の穿孔は、強化繊維間に存在し、強化繊維に侵入しない。
【0262】
非強化周囲材料を有する連続繊維強化構造のフレームワーク
連続繊維強化生体吸収性複合材料構造は、医療用インプラントに対し最適な機械的強度および剛性をもたらすが、連続繊維強化複合材料テープからは作製できない医療用インプラントにおいて、追加の特徴または層を有することはまた、場合によっては、有益であり得る。このような場合には、連続繊維強化生体吸収性複合材料構造体の機械的強度をインプラントに組み込むことができるが、非強化ポリマーの追加の部分または層が加えられて、インプラントを改善またはカスタマイズされ得る。これらの部分または層は、構造体上にオーバーモールド成形することにより、または構造体上に3Dプリンティングすることにより、インプラントに追加されるのが好ましい。
【0263】
本発明の一実施態様では、医療用インプラントは、連続繊維強化生体吸収性複合材料からなる構造支持体を含み、さらに、非強化ポリマー材料からなる部分または層を含む。
【0264】
任意選択で、第2の層は、非強化吸収性ポリマー材料からなる骨境界層として機能する。また、任意選択で、構造支持体および非強化ポリマー部分は、それぞれ、異なる作製技術を用いて製造される。また、任意選択で、構造支持体は、機械加工、圧縮成形、または複合材料流動成形により製造され、境界層は射出成形または3Dプリンティングにより製造される;任意選択で、境界層は、プレハブ式の構造支持体の上に製造される。
【0265】
任意選択で、非強化ポリマー部分は、骨境界層であり、境界層の寸法は、特定の患者または患者集団の骨形状により、部分的にまたは全体的に決定される。
【0266】
任意選択で、患者または患者集団の骨形状は、X線、CT、MRIなどの画像処理技術により測定することにより決定される。
【0267】
任意選択で、構造支持体の弾性係数および/または曲げ強度は、非強化ポリマー部分の強度より少なくとも20%大きい。
【0268】
任意選択で、インプラント中の連続繊維強化複合材料は、ポリマー樹脂でコーティングされ、複合材料の繊維上のポリマー樹脂は、流動性を有するマトリックス樹脂より高いまたは低い溶解温度を有する;繊維上のポリマー樹脂は、流動性を有するマトリックス樹脂より遅いまたは早い分解速度を有する;または繊維上のポリマー樹脂は、流動性を有するマトリックス樹脂より疎水性であるか、またはより親水性である。
【0269】
任意の実施形態では、追加の部分または層は、強化ポリマーからなるが、ポリマーは非連続繊維、好ましくは10mm未満の長さの繊維、より好ましくは5mm未満の長さの繊維により強化される。
【0270】
任意の実施形態では、非強化または非連続繊維強化ポリマーの追加の部分または層は、さらに添加物を含む。
【0271】
任意選択で、添加物は、ベータリン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、脱細胞化骨などの骨伝導材料または骨伝導材料の組み合わせを含む。
任意選択で、添加物は、抗菌剤または骨誘導剤を含む。
【0272】
製造方法
連続繊維強化生体吸収性インプラントは、任意選択で、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して製造され得る。方法には、圧縮成形、射出成形、押し出し、機械加工、またはこれらの方法の任意の組み合わせを含み得る。
【0273】
好ましくは、製造後のインプラントの含水量は、50%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.4%、0.2%未満である。
【0274】
低含水量は、貯蔵中のインプラントの分解を避けるために重要である。
【0275】
好ましくは、製造後のインプラント中の残留モノマー含有量は、3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満である。
【0276】
ただ1つの仮説により限定されることを望むものではないが、鉱物含量は、バイオ複合材料インプラントよりも多く、ポリマー成分は主に、モノマー成分の非常に少ないポリマーからなることが特に重要である。これは、モノマー成分はインプラントの機械的機能に寄与しないためである。
【0277】
インプラントの周囲組織との接触
本発明の任意の実施形態では、100%未満のインプラント表面領域が、周囲組織と接触している。これは、いくつかの理由で臨床的に望ましい場合がある:
1.挿入時に周囲組織との摩擦を減らし、挿入を容易にする
2.低減された骨接触は、骨表面血流への干渉を減らすことができる
【0278】
好ましい実施形態では、インプラントは、インプラントの周囲の組織と接触する少なくとも0.1mm高さおよび2mm未満の表面突出要素を含む。
【0279】
好ましくは、周囲組織と接触する、インプラントの表面領域の総パーセンテージは、80%未満、より好ましくは60%、50%、40%、30%未満である。
【0280】
インプラントの製造
いずれかの上述した生体吸収性ポリマーまたは強化生体吸収性ポリマーは、本発明で用いるために、任意の所望の物理的形態に製造され得る。ポリマー基材は、例えば、圧縮成形、キャスティング、射出成形、引抜成形、押し出し、フィラメントワインディング、複合材料流動成形(CFM)、機械加工、または当業者に既知の任意の他の製造技術により製造され得る。ポリマーは、例えば、プレート、ネジ、釘、繊維、シート、ロッド、ステープル、クリップ、ニードル、管、発泡体、または医療デバイスに好適する任意の他の構造などの任意の形状に作製され得る。
【0281】
耐荷重機械的強度
本明細書の発明は特に、骨の剛性に比べて、高強度および剛性を必要とする医療用途に使用できる生体吸収性複合材料に関する。これらの医療用途は、身体よりまたは身体に加えられる全てのまたは一部の荷重に耐える医療用インプラントを必要とし、そのために、通常、「耐荷重」用途と呼ばれる場合がある。これらは、骨折固定、腱再接合、関節置換、脊椎固定、および脊椎ケージを含む。
【0282】
本明細書で記載の耐荷重医療用インプラントで好ましい曲げ強度は、少なくとも100MPa、好ましくは400MPa超、より好ましくは600MPa超、さらにより好ましくは800MPa超である。本明細書の発明で使用するための生体吸収性複合材料の弾性係数(またはヤング率)は、好ましくは少なくとも6GPa、より好ましくは15GPa超、さらにより好ましくは20GPa超であるが、100GPaを超えることはなく、好ましくは60GPaを超えることはない。
【0283】
持続的機械的強度
本明細書の発明の生体吸収性耐荷重医療用インプラントはそれらの機械的性質(高強度および剛性)を長時間維持し、十分な骨治癒を可能とする必要がある。強度および剛性は、皮質骨の強度および剛性、それぞれ、約150~250MPaおよび15~25GPa、を上回って、少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらにより好ましくは少なくとも9ヶ月間、インビボで(すなわち、生理的環境中で)維持されるのが好ましい。
【0284】
より好ましくは、曲げ強度は、400MPa超で残存し、さらにより好ましくは600MPa超で残存する。
【0285】
本発明の別の実施形態では、医療用インプラントの機械的強度低下速度は、生分解性複合材料の減量で測定したインプラントの材料分解速度に近似している。
【0286】
好ましい実施形態では、インプラントは、埋め込みの3ヶ月後に、その機械的強度の50%超を保持し、一方、50%を超える材料分解および従って、減量は、埋め込みの12ヶ月以内に起こる。
【0287】
好ましい実施形態では、インプラントは、埋め込みの3ヶ月後に、その機械的強度の70%超を保持し、一方、70%を超える材料分解および従って、減量は、埋め込みの12ヶ月以内に起こる。
【0288】
好ましい実施形態では、インプラントは、埋め込みの6ヶ月後に、その機械的強度の50%超を保持し、一方、50%を超える材料分解および従って、減量は、埋め込みの9ヶ月以内に起こる。
【0289】
好ましい実施形態では、インプラントは、埋め込みの6ヶ月後に、その機械的強度の70%超を保持し、一方、70%を超える材料分解および従って、減量は、埋め込みの9ヶ月以内に起こる。
【0290】
医療用インプラントの機械的強度低下および材料分解(減量)速度は、インビボ埋め込み後、またはインビトロでのシミュレートによる埋め込み後に測定できる。インビトロでのシミュレートによる埋め込みの場合には、シミュレーションは、リアルタイムまたは加速分解標準に従って実施され得る。
【0291】
本明細書で使用される場合、「生分解性」は、インビボでの分散に伴う分解により崩壊する材料、例えば、ポリマーを含む一般化用語である。身体中の生分解性材料の質量の減少は、受動的プロセスの結果であり得、これは、宿主組織内の物理化学的条件(例えば、湿度、pH値)により触媒される。生分解性の好ましい実施形態では、身体内の生分解性材料の質量の低下による生成物はまた、分解副産物の単純な濾過により、または材料の代謝(「生体吸収(Bioresorption)」または「生体吸収(Bioabsorption)」)後に、天然の経路を介して排出される。いずれの場合でも、質量の減少により、初期の異物の部分的なまたは全体的排出が生じ得る。好ましい実施形態では、生分解性複合材料は、水性環境中での巨大分子分解による鎖切断を受ける生分解性ポリマーを含む。
【0292】
ポリマーは、害をもたらすことなく、身体から代謝または排出できる小さい非毒性断片に破壊できる場合には、本発明の意味での「吸収性」である。一般に、吸収性ポリマーは、体組織に曝露時に、膨潤、加水分解、および分解し、かなりの減量を生ずる。いくつかの事例では、加水分解反応は酵素的に触媒され得る。完全な生体吸収、すなわち、完全な減量は、かなりの期間を要し得るが、好ましくは、完全な生体吸収は、24ヶ月以内、最も好ましくは12ヶ月以内に起こる。
【0293】
用語の「ポリマー分解」は、それぞれのポリマーの分子量の減少を意味する。本発明の範囲内で使用されるのが好ましいポリマーに関しては、分解は遊離水によるエステル結合の切断により誘導される。例えば、実施例に記載のような生体用材料で使用されるポリマーの分解は、バルク浸食の原理に従う。それにより、分子量の連続的な低下の後に、極めて顕著な質量減少が起こる。質量減少は、分解生成物の溶解が原因である。水誘導ポリマー分解の測定方法は、分解生成物の滴定、粘度測定、示差走査熱量測定(DSC)などのように当該技術分野において周知である。
【0294】
本明細書で使用される場合、用語の「バイオ複合材料」は、マトリックスおよび繊維強化材により形成される複合材料であり、マトリックスと繊維の両方が生体適合性であり、任意選択で生体吸収性である。ほとんどの場合、マトリックスはポリマー樹脂で、さらに具体的には、合成生体吸収性ポリマーである。繊維は、任意選択で、および好ましくは、異なる種類の材料(すなわち、合成生体吸収性ポリマーではない材料)であり、鉱物、セラミック、セルロース系、またはその他のタイプの材料を任意に含んでもよい。
【0295】
臨床適用
本明細書で考察の医療用インプラントは通常、解剖学的関係を回復するための骨折整復および固定に使用される。このような固定は、任意選択で、および好ましくは、安定な固定、骨および周囲軟組織への血液供給の維持、および早期の部分または患者の自動運動療法の内の1つまたは複数、およびより好ましくは全てを含む。
【0296】
少なくとも本発明のいくつかの実施形態に従って記載の材料および概念が関連し得る、次記のようないくつかの代表的、例示的非限定的タイプの骨固定インプラントが存在する:
【0297】
上述のいずれかの骨固定インプラントは、限定されないが、粉砕骨折、分節骨折、偽関節骨折、骨喪失を伴う骨折、近位および遠位骨折、骨幹骨折、骨切り術部位、などの種々の骨折タイプを固定するために任意に使用してもよい。
【0298】
実施例1:らせん圧縮ネジの製造方法
圧縮ネジ(CS)を、マンドレル心棒の周りに生体用材料複合材料テープの細片を巻き付けることにより作製した。
【0299】
複合材料は、47%w/wの連続鉱物繊維で強化したPLDLA70/30ポリマーから構成した。鉱物繊維組成物は、ほぼ、Na2O 14%、MgO 5.4%、CaO 9%、B2O3 2.3%、P2O5 1.5%、およびSiO2 67.8%w/wであった。
【0300】
この実施例の各細片は、次の寸法を有した:2mm幅、300mm長さおよび0.2mm厚さ。事前に切断した細片の量は、それらの総重量が、最終インプラントの重量+ばりによる材料損失を補償するための30%余地となるような量である。この実施例では、材料は正確に0.2gを秤取した。この実施例では、3つの完全細片と、1つの半分に切断した細片を中心マンドレル上に置き、ネジ長さの厚さに沿って7~8層を得た。
【0301】
最初の事前に切断した材料細片をCS軸に垂直な面に対し20°の角度でマンドレルに固定する。曲げ加工を容易にするために、細片を300℃の熱風流で加熱する。同時に、マンドレルを、5~10RPMで逆時計回り(CCW)方向(駆動装置のチャックから見て)に回転を開始し、細片を巻き付ける。巻き付けプロセス中、細片は、巻き付けるコイルをマンドレルに締めつけるために約200gの力で予荷重を加えられる。材料細片とマンドレルの角度および巻き付けるピッチを一定に維持する。材料細片がマンドレルの末端に到着すると、逆方向に巻き付けを開始し、同時に、ピッチおよび駆動速度を一定に維持する。材料細片末端に達すると、新しい細片を既に巻き付けた材料と同じ箇所で送風機により熱溶接し、このプロセスを続ける。
【0302】
全ての細片をマンドレルに巻き付けると、マンドレルを型中に挿入する。型を熱間プレス中で100~130℃に加熱した後、約1150バールの圧力を印加する。型をその圧力下で10分間保持し、同時に熱を同じ範囲に維持する。型を30~37℃に冷却後、プレスから取り出す。インプラントを型から取り出し、さらなる処理を続ける。
【表2】
【0303】
図1は、実施例1に関連して使用した例示的細片巻き付けプロセスの図を示す。図からわかるように、プロセス100では、巻き付ける材料の予荷重方向102が示されている。巻き付け中、テープに張力が加えられる。予荷重は、巻き付ける方向に加えられた張力から生じる初期応力である。巻き付け方向104も同様に示されている。材料細片108は、巻き付け方向104で、インプラント本体106上に巻き付けられる。
【0304】
図2Aおよび2Bは、例示的ネジの略図を示す。
図2Aに示すように、二次元概略図によるネジ200が示されている(上段)。
図2Aはまた、図に示すように、A-Aを通る断面202を示す(下段)。ネジ200に戻ると、ネジ200は、例示的な非限定的長さ12.60mmを有する複数の遠位ネジ山204を特徴とする。ネジ200はまた、複数の近位ネジ山205およびシャフト206も特徴とする。ネジ200の長さは、この非限定的実施例では、好ましくは、24.60mmと示されている。
【0305】
典型的なネジ208および210の下面図および上面図も示されている。
【0306】
ここでネジ断面202に戻ると、2つの遠位のネジ山212間の距離は、この非限定的実施例では、1.45mmと示されている。内側先端部214は、この非限定的実施例では、1.20mmの幅を有する。外側先端部216は、この非限定的実施例では、1.27mmの幅を有する。遠位のネジ山のもっとも広幅の部分は、218で示されるように、この非限定的実施例では、3.47mmの幅を有する。距離220は、この非限定的実施例では、好ましくは、0.6mmであり、一方、距離222は、好ましくは、0.67mmである;これらの距離は、ネジ歯の高さとピッチを意味する。2つの近位のネジ山224間の距離は、この非限定的実施例では、1.10mmと示されている。
【0307】
内側シャフト226は、この非限定的実施例では、2.00mmの幅を有すると示されている。外側シャフト228は、この非限定的実施例では、3.00mmの幅を有すると示されている。近位のネジ山~ネジ山間の最も外側の幅は、この非限定的実施例では、4.63mmと示されている。
【0308】
図2Bは、三次元の視点でのネジ200を示し、再度、遠位ネジ山204、近位ネジ山205およびシャフト206を示す。
【0309】
図3は、少し異なる設計のインプラントの像を示す;差異のいくつかの非限定的実施例では、異なる直径、異なるネジ山の直径に対する比率および異なる巻き角が含まれる。巻き付けた繊維は、ネジ300のインプラント軸に垂直な面に対し約20°の角度で、明確に見ることができる。
【0310】
実施例2:直線状繊維製造法による圧縮ネジ
直線状平行繊維による圧縮ネジ(CS)の製造は、材料の作製で開始される。大部分の原材料のプレートは、元の幅と厚さを有するインプラントの長さに切断される。この実施例では、プレートは次の寸法を有した:40mm長さ、13mm幅および0.2mm厚さ。ネジ山領域中の繊維濃度を増やすために、追加のより短いプレートを作製した。これらのプレートは、同じ厚さおよび幅を有したが、遠位のネジ山では15mmの長さ、近位ネジ山では5mmの長さを有した。事前に切断したプレートの量は、それらの総重量が、最終インプラントの重量+ばりによる材料損失を補償するための30%余地となるような量である:5mmのプレートでは0.024g、15mmのプレートでは0.034gおよび完全長プレート(40mm)では0.312g。この実施例では、材料は、正確に0.37gが秤取され、8個の完全長プレート、4個の5mmプレートおよび2個の15mmプレートが
図5に示す配置に順に重ねて積層された。従って、近位のネジ山領域には合計7層(4つの完全長+2つの5mm+1つの15mm)、シャフト領域には合計4層(4つの完全長)および遠位ネジ山領域には5層(4つの完全長+1つの15mm)が存在した。
【0311】
次に、事前に切断されたプレートが型に充填され、型がプレスに挿入される。短いプレートが最初に入り、各タイプが正確な位置:遠位のネジ山キャビティに15mmプレート、近位のネジ山キャビティに5mmプレートが配置され、完全長プレートがそれらの上に配置されて、型の全インプラントキャビティが充填される。型を100~130℃に加熱した後、約1150バールの圧力を印加する。型をその圧力下で10分間保持し、同時に熱を同じ範囲に維持する。型を30~37℃に冷却後、プレスから取り出す。インプラントを型から取り出し、さらなる処理を続ける。
【表3】
【0312】
図4Aおよび4Bは、全ての直線状繊維がCS軸に平行な同じ方向に配向した例示的インプラントの図である。
図4Aは、インプラント400中の概略の繊維配向を示し、部分402を剥がして、軸に平行な同じ配向を有する全ての繊維404を示している。
図4Bは、実際のインプラントモデル406を示す。
【0313】
図5は、異なる長さのプレートを有する型中への材料充填の図である。型500は、型キャビティ502を特徴とする。複数の完全長プレート504が型キャビティ502中に充填され、遠位ネジ山プレート506および近位ネジ山プレート508も同様に充填される。全てのプレートは、好ましくは、マンドレル510の両側に均一に配置される。
【0314】
図6は、直線状平行繊維により製造されたインプラントの略図を示す。図に示すように、インプラント600は、二次元概略図(上段)であり、また、同様に断面602としても示され、断面はA-Aに沿って切断されている(下段)。ここでインプラント600に戻ると、インプラント600は、複数の近位ネジ山604、複数の遠位のネジ山606およびシャフト608を特徴とする。頭部610は、この非限定的実施例では、好ましくは、4.23mmの幅を有する。先端612は、この非限定的実施例では、好ましくは、3.50mmの幅を有する。遠位のネジ山606は、この非限定的実施例では、好ましくは、13.65mmの長さを有する。インプラント600の長さは、この非限定的実施例では、好ましくは、40.00mmである。インプラント600の断面幅は、この非限定的実施例では、好ましくは、2.60mmである。断面614は、インプラントのカニューレに沿った六角ドライバーの寸法を示す。
【0315】
ここで、断面602に戻ると、この非限定的実施例では、近位のネジ山616の高さは、好ましくは0.40mmであり、一方、近位のネジ山618間の距離は、好ましくは、1.0mmである。この非限定的実施例では、遠位のネジ山622の高さは、好ましくは0.45mmであり、一方、遠位のネジ山620間の距離は、好ましくは、1.35mmである。この非限定的実施例では、断面幅624は、好ましくは、0.68mmである。
【0316】
実施例3:らせんおよび直線状繊維圧縮ネジの製造方法
直線状平行繊維によるらせん状繊維による圧縮ネジ(CS)の製造は、材料の作製で開始される。プロセスは、上記実施例:プレートおよび細片、で既に説明した2種の異なる材料作製方法を必要とする。この実施例では、平行繊維プレート重量と、らせん状繊維細片重量との比率は、3.5:1であり、インプラントの合計重量は、材料損失の補償を含めて、0.465gである。
【0317】
原材料のプレートは、元の幅と厚さを有するインプラントの長さに切断される。この実施例では、プレートは次の寸法を有した:40mm長さ(完全インプラント長さの繊維)、13mm幅および0.2mm厚さの6つプレート;15mm長さ(チョップド繊維)、13mm幅および0.2mm厚さの2つのプレート;5mm長さ(チョップド繊維)、13mm幅および0.2mm厚さの4つのプレート。事前に切断したプレートの量は、それらの総重量が0.360gであるような量である。
【0318】
細長い材料細片を原材料スプールから切り取った。この実施例の細片は、次の寸法を有した:2mm幅、600mm長さおよび0.2mm厚さ。細片の合計重量は0.105gである。材料組成は上記の通り。
【0319】
製造の次の段階は、材料巻き付けである。CSカニューレの形状を有するマンドレルを電気ネジ回しにしっかり固定する。次に、事前に切断した材料細片をCS軸に垂直な面に対し20°の一定角度で同じ駆動装置チャックを用いてマンドレルに固定する。曲げ加工を容易にするために、細片を、正確にマンドレルに交わる場所で送風機からの300℃の熱風流で加熱する。同時に、マンドレルを、5~10RPMでCCW方向(駆動装置のチャックから見て)に回転を開始する。材料細片とマンドレルの角度および巻き付けるピッチを一定に維持する。材料細片がマンドレルの末端に到着すると、逆方向に巻き付けを開始し、同時に、ピッチおよび駆動速度を一定に維持する。全ての細片をマンドレルに巻き付けると、マンドレルを型中に挿入する。
【0320】
次に、事前に切断されたプレートが型中のマンドレル周囲全体に充填され(完全長プレートおよびチョップド繊維を有するプレートが
図5にあるように折り畳んで整列される)、型がプレスに挿入される。この構成では、インプラントの内側部分の5つのらせん層、頭部領域中の5mmのチョップド繊維の2つの層、遠位のネジ山領域中の1つの15mmチョップド繊維層およびインプラント長さに沿った完全インプラント長さの繊維材料の6つの層が存在する。型を120~130℃に加熱した後、約1150バールの圧力を印加する。型をその圧力下で10分間保持し、同時に熱を同じ範囲に維持する。型を30~37℃に冷却後、プレスから取り出す。インプラントを型から取り出し、さらなる処理を続ける。このプロセスでは、最終インプラントは、そのコア中に巻き付けられた繊維および外層中に直線状平行繊維を有する。表3はインプラント性能試験結果を示す。
【表4】
【0321】
図7は、繊維が巻き付けられた内部コアおよび直線状平行繊維を含む外殻を有するインプラントの略図である。インプラント700は、複数の直線状平行繊維704を有する外殻702を特徴とする。インプラント700はまた、複数の巻き付けられた繊維708を有する内部コア706を特徴とする。
【0322】
図8は、直線状平行繊維を外殻に、および巻き付けた繊維をそのコアに用いて製造されたインプラントの略図を示す。図に示すように、インプラント800は、二次元概略図(上段)であり、また、同様に断面802としても示され、断面はA-Aに沿って切断されている(下段)。ここでインプラント800に戻ると、インプラント800は、複数の近位ネジ山804、複数の遠位のネジ山806およびシャフト808を特徴とする。頭部810は、好ましくは、この非限定的実施例では、4.23mmの幅を有する。先端812は、好ましくは、この非限定的実施例では、3.50mmの幅を有する。遠位のネジ山806は、好ましくは、この非限定的実施例では、13.65mmの長さを有する。インプラント800の長さは、好ましくは、この非限定的実施例では、40.00mmである。インプラント800の断面幅は、好ましくは、この非限定的実施例では、2.60mmである。断面814は、インプラントのカニューレに沿った六角ドライバーの寸法を示す。
【0323】
ここで、断面802に戻ると、この非限定的実施例では、近位のネジ山816の高さは、好ましくは0.40mmであり、一方、近位のネジ山818間の距離は、好ましくは、1.0mmである。この非限定的実施例では、遠位のネジ山822の高さは、好ましくは0.45mmであり、一方、遠位のネジ山820間の距離は、好ましくは、1.35mmである。この非限定的実施例では、断面幅824は、好ましくは、0.68mmである。
【0324】
図9は、外殻中の直線状平行繊維(赤と青の円の間の領域)およびコア中の巻き付けた繊維(青い円の内側の領域)を示すインプラントの断面を示す。各同心状領域の厚さは、インプラント壁厚のおおよそ1/2である。
【0325】
図10は、らせん状層を有するインプラントの内側部分および長手方向層を有する外側部分を示す。図で示すように、インプラント1000は、外部長手方向層1002および内部らせん状層1004を特徴とする。
【0326】
図11は、らせん状層を有するインプラントの内側部分および長手方向層を有する外側部分を示す。図で示すように、インプラント1100は、外部長手方向層1102および内部らせん状層1104を特徴とする。
【0327】
明確にするために別々の実施形態として、または副次的実施形態として説明されている本発明の種々の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて同様に提供され得ることは理解されよう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態として説明されている本発明の種々の特徴は、別々にまたは任意の好適な副組み合わせで提供し得る。このような特徴、実施形態および副次的実施形態の任意の好適な組み合わせがなされ得、これらは、本発明の範囲内に包含される。当業者なら、本発明が上記で詳細に示し、説明してきたものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ定められる。