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特許7430412基材表面に浮き彫りを生成するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】基材表面に浮き彫りを生成するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/14 20060101AFI20240205BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240205BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20240205BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240205BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B32B37/14 Z
B05D1/26 Z
B05D5/06 104Z
B05C5/00 101
B41J2/01 109
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022047686
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2022165912
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】21382250.5
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503194(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175621(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02329954(EP,A1)
【文献】特開2018-134817(JP,A)
【文献】特開2017-190442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170083(US,A1)
【文献】国際公開第2020/115337(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/255798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00 - 7/26
B05C 5/00 - 5/04
B32B 1/00 -43/00
B29C67/00 -67/08
B41J 2/01
2/165- 2/20
2/21 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に浮き彫りを生成するための方法であって、該方法は、付着された浮き彫り材料(3)によって決まる浮き彫りを備えた浮き彫り表面を得るために、基材(1)表面の局所領域に付着される前記浮き彫り材料(3)の液滴のデジタルインクジェット印刷(4)による塗布を含み、付着された前記浮き彫り材料(3)を覆ってコーティングシート(2)が組み込まれ、該コーティングシート(2)は前記浮き彫り表面に一致し、前記コーティングシート(2)は、接着剤(5)によって接着されることによって固定され、前記基材(1)を覆って前記コーティングシート(2)を組み込む前に、前記接着剤(5)は、前記浮き彫り材料(3)の塗布手段と同一の又は異なる接着剤塗布手段によって前記浮き彫り材料(3)として又は前記浮き彫り材料(3)に塗布される基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項2】
前記浮き彫り材料(3)及び前記接着剤(5)を前記コーティングシート(2)の面に塗布し、前記コーティングシート(2)の面に付着された前記塗布材料を備えた前記コーティングシート(2)を、前記基材(1)を覆って組み込むことを特徴とする、請求項1に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項3】
前記浮き彫り材料(3)及び前記接着剤(5)を前記基材(1)表面に塗布し、前記基材(1)表面に付着された前記塗布材料によって決まる表面に前記コーティングシート(2)を組み込むことを特徴とする、請求項1に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項4】
前記浮き彫り材料(3)及び前記接着剤(5)は、一部が前記基材(1)表面に、一部が前記コーティングシート(2)の面に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項5】
前記接着剤(5)は、同じインクジェット(4)のパスによって前記浮き彫り材料(3)として塗布されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項6】
前記浮き彫り材料(3)及び前記接着剤(5)は、それぞれのインクジェットのパス(4)及び(6)により個別に塗布されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項7】
前記浮き彫り材料(3)及び前記接着剤(5)を個別に塗布し、前記浮き彫り材料(3)をインクジェットのパス(4)により塗布し、前記接着剤(5)を他の塗布手段により塗布することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項8】
前記接着剤(5)は、ローラー(7)又はリップ(8)により塗布されることを特徴とする、請求項7に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項9】
前記浮き彫り材料(3)の塗布は、前記基材(1)表面又は前記コーティングシート(2)の面に配置されたモチーフ(15)と同期されることを特徴とする、請求項1からのいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項10】
前記浮き彫り材料(3)の塗布は、スキャンによって前記モチーフ(15)を捉えることによって制御されることを特徴とする、請求項に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項11】
前記浮き彫り材料(3)及び/又は前記接着剤(5)は、その塗布後に、前記コーティングシート(2)を組み込む前に少なくとも部分的に固化されことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項12】
前記浮き彫り材料(3)及び/又は前記接着剤(5)は、硬化又は乾燥によって少なくとも部分的に固化されることを特徴とする、請求項11に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項13】
前記コーティングシート(2)を連続的に供給することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項14】
前記コーティングシート(2)を、供給スプール(11)から連続シートの形態で供給することを特徴とする、請求項13に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項15】
前記コーティングシート(2)は、個別のシートの形態で個別に供給されことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項16】
前記コーティングシート(2)は、供給スタック(12)から供給されることを特徴とする、請求項15に記載の基材表面に浮き彫りを生成するための方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1つに記載の方法を実施する基材表面に浮き彫りを生成するためのシステムであって、
前記浮き彫り材料を塗布するためのデジタルインクジェット印刷手段と、
前記基材の搬送手段と、
前記基材を覆って前記コーティングシートを組み込むためのコーティングシート組み込み手段と
を含む、基材表面に浮き彫りを生成するためのシステム。
【請求項18】
前記コーティングシートのガイド手段、
接着剤塗布手段、
前記基材又は前記コーティングシートの面に配置されたモチーフを捉えるように構成されたスキャン手段、及び/又は
前記方法を実施するための制御手段
を含む、請求項17に記載の基材表面に浮き彫りを生成するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具、ドア及び床用のパネル、フレーム用のプロファイル材などの建築又は家具用の製品の製造などの用途において、触覚及び視覚的質感を備えた表面を得るために、特にデジタルインクジェット印刷によって、基材表面に浮き彫りを生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、基材表面に浮き彫りを生成するための様々な方法が知られているが、その中でもデジタルインクジェット印刷に基づくものは特に注目に値し、彫刻や成形などの基材表面に浮き彫りを得るための他の方法と比較して、高い柔軟性及び精細度を備えた浮き彫りを得ることができる。
【0003】
デジタルインクジェット印刷によって基材表面に浮き彫りを生成する既知の方法では、浮き彫り材料の液滴が基材表面の局所領域に付着されて、得られる浮き彫りが決まる。使用される浮き彫り材料に応じて、局所領域に塗布された浮き彫り材料によって形成された突起を含む凸形の浮き彫り表面、又は特に液状又はペースト状で先に塗布された基材層に対する浮き彫り材料の液滴の衝撃によって、局所領域において均して固まる、変位される又は導入される、浮き彫り材料によって決められる窪みを含む凹形の浮き彫り表面を生成することが可能である。
【0004】
これらの場合、得られる凸形の浮き彫り表面は、浮き彫りの磨耗に対する耐性が限定的であるという欠点を有し、一方で凹形の浮き彫り表面は、塗布された生産物及び基層の表面張力、密度、粘性などの浮き彫りの精細度に影響を与える浮き彫り生成方法のパラメータの制御が困難であるという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の方法の欠点に照らして、浮き彫りの精細度と磨耗に対する抵抗力の適切な状態で浮き彫りを柔軟に得ることができる、基材表面に浮き彫りを生成する方法及びシステムを提供することについての明確な関心が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、基材表面に浮き彫りを生成する方法が提示され、これは付着された浮き彫り材料によって決まる浮き彫りを備えた浮き彫り表面を得るために、基材表面の局所領域に付着される浮き彫り材料をデジタルインクジェット印刷によって塗布又は提供することを含む。付着された浮き彫り材料を覆ってコーティングシートが組み込まれ、コーティングシートはその浮き彫り表面に一致する。コーティングシートは、浮き彫り材料と一緒になって又は浮き彫り材料と組み合わせた方法で塗布される接着剤によって接着されることによって、基材に固定される。
【0007】
本発明によれば、浮き彫り材料及び任意での接着剤は、基材表面の局所領域に付着され、特に基材及び/又はコーティングシートの面に直接塗布されることが可能である。
【0008】
本発明によれば、デジタルインクジェット印刷は、好ましくは浮き彫り材料の液滴を塗布するために、特に基材とコーティングシートとの間で浮き彫り材料を凸状に充填するために用いられ、凸状の充填はその充填された材料で変形し、それにより適用基材の表面で浮き彫り表面が得られ、特に視覚的にも分かることができる触覚的な浮き彫りの質感を備えた浮き彫り表面が得られる。
【0009】
浮き彫りを形成するためのインクジェット印刷による浮き彫り材料の提供は、適用基材及びコーティングシートの面で入れ替え可能に又は組み合わせた方法で行われることができ、インクジェット印刷において、コーティングシートを固定するための接着剤を一緒に提供し、あるいはインクジェット印刷による浮き彫り材料の提供を、コーティングシートを固定するために必要な接着剤を提供するインクジェットの塗布と、又は塗布ローラー、塗布リップ、スプレーなどによる接着剤の提供の他の従来の方法と組み合わせる。
【0010】
従って、本発明の状況では、浮き彫り材料と接着剤を一緒にして塗布することによって、浮き彫り材料と接着剤が同じインクジェットのパス又は塗布によって、特に同じインクジェットの液滴で又は別々の液滴で提供されることが理解される。組み合わされた塗布よって、浮き彫り材料と接着剤は、異なる塗布若しくはインクジェットのパスによって、又は異なる塗布手段によって提供されることが理解される。
【0011】
このようにして、非常に汎用的で柔軟な方法が得られ、この方法によってインクジェット印刷によって特徴付けられる高精度の浮き彫りが実現され、耐摩耗性を備え、コーティングシートによって耐えられて浮き彫り材料によって耐えられる必要がなく、浮き彫りの面の予め設定された構成が定められることが可能である。
【0012】
好ましくは、浮き彫り材料の塗布は、基材表面及び/又はコーティングシートの面に配置されたモチーフに同期される。本発明の状況では、モチーフは、装飾又は機能的要素、特に画像又は浮き彫りであり得る。特に、モチーフは、基材表面及び/又はコーティングシートの面に、より具体的にはインクジェット印刷によって印刷されて配置されることができる。
【0013】
浮き彫り材料の塗布の同期により、基材及び/又はシートの面の所定の形状であるモチーフと空間的に対応する浮き彫りを得ることができる。特に、その空間的な対応は、一致した位置で配置された浮き彫り及び対応するモチーフからなることができる。このようにして、例えば石や木のような天然の表面を模倣した仕上げのために、最終製品で必要とされる触覚効果と組み合わされた視覚効果が実現される。
【0014】
本発明によれば、コーティングシートは、特にそのシートを通して対応するモチーフを見ることができるように、少なくとも部分的に透明であることができることが想定される。
【0015】
浮き彫りに対応するモチーフは、浮き彫り材料又は接着剤と同じインクジェットのパス又は塗布中に実施されることができ、特にモチーフのインク又は印刷材料と浮き彫り材料を同じインクジェット液滴で、又は別々の液滴で塗布することができる。同様に、浮き彫りに対応するモチーフの塗布は、浮き彫り材料又は接着剤の塗布の前及び/若しくは又は後に行われることが想定される。同様に、その対応するモチーフは、コーティングシート及び/又は基材に組み込まれることができる。
【0016】
デジタル印刷による浮き彫りとモチーフの間で同期させる、したがって対応させるために、同期されるモチーフのデジタル表現を備えたデータファイルを開始点として使用することができ、またはそのデータファイルは、例えばそのモチーフのスキャンによって、オンラインで取得されてもよい。モチーフのデータファイルは、モチーフのための印刷材料、浮き彫り材料又は接着剤の塗布位置及び時間を、特に方法が実施される時には搬送されるので基材の前進を考慮して、制御するために処理される。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、上述したいずれかの方法を用いて基材表面に浮き彫りを生成するためのシステムを提供する。そのシステムは、浮き彫り材料を塗布するデジタルインクジェット印刷手段と、基材の搬送手段と、基材を覆ってコーティングシートを組み込むためのコーティングシート組み込み手段とを備える。
【0018】
好ましくは、そのシステムは、コーティングシートのガイド手段、接着剤塗布手段、基材又はコーティングシートの面に配置されたモチーフを捉えるように構成されたスキャン手段、及び/又はその方法を実施するための制御手段を含むことができる。
【0019】
本発明によれば、コーティングシートを供給するための手段は、公知の方法でガイドローラーを備えることができる。同様に、基材の搬送手段は、連続した基材用又は個別の基材用が想定される。連続した基材は、例えば連続シートの形態であり得る。個別の基材は、例えばシート又はパネルの形態であり得る。連続した基材の搬送手段は、ガイドローラーを含むことができる。個別の基材のための搬送手段は、コンベヤベルト又はローラーテーブルを含むことができる。
【0020】
従って、本発明の方法及びシステムは、意図される基材表面での質感のある浮き彫り表面の生成のための非常に有利な特徴をもたらし、その機能のために現在知られている方法及びシステムに対して、寿命及び差別的な特徴を獲得する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】浮き彫り材料として及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤を、基材表面に組み込まれる装飾用コーティングシートの面にインクジェットで塗布することによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図1A図1に示すA-A線による断面図である。
図1B図1に示すB-B線による断面図である。
図1C図1に示すC-C線による断面図である。
図1D図1に示すD-D線による断面図である。
図2】浮き彫り材料として及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤を用い、コーティングシートによって被覆される基材表面にインクジェットで塗布することによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図3】浮き彫り材料として及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤を、装飾用コーティングシートによって被覆される基材表面及びその装飾用コーティングシート自体の面に、組み合わせてインクジェット塗布することによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図4】基材表面に組み込まれる装飾用コーティングシートの面での浮き彫り材料のインクジェット塗布、及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤の装飾用コーティングシート自体の面でのインクジェット塗布による、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図5】装飾用コーティングシートで被覆される基材表面での浮き彫り材料のインクジェット塗布、及び浮き彫り材料として及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤の基材自体の面でのインクジェット塗布による、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図6】浮き彫り材料と、コーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤の、いずれもインクジェット塗布による、装飾用コーティングシートによって被覆される基材表面及びその装飾用コーティングシート自体の面での組み合わされた塗布による、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図7】基材表面に組み込まれる装飾用コーティングシートの面での浮き彫り材料のインクジェット塗布と、コーティングシートを基材に固定するための手段として接着剤を用いての塗布ローラーによるそのコーティングシート自体の面でのインクジェット塗布による、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図8】基材表面に組み込まれる装飾用コーティングシートの面での浮き彫り材料のインクジェット塗布と、コーティングシートを基材に固定するための手段として接着剤を用いての塗布ローラーによる基材表面での塗布とによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図9】装飾用コーティングシートで被覆される基材表面での浮き彫り材料のインクジェット塗布と、コーティングシートを基材に固定するための手段として接着剤を用いての、基材表面での塗布ローラー及びコーティングシートの面での塗布リップによる塗布とによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図である。
図10】浮き彫り材料として及びコーティングシートを基材に固定するための手段としての接着剤を、装飾用コーティングシートで被覆される基材表面にインクジェットで塗布することによる、本発明の方法の例示の実施形態を概略的に示す図であり、コーティングシートはスタックから個別のシートで供給される。
図11】浮き彫り材料及び接着剤を提供する前に、装飾画像がコーティングシートの面にインクジェットで印刷され、その装飾画像と、得られる浮き彫りとが同期するようにされた、例示の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的は、印刷画像(15)に対応して又は対応せずに、基材(1)とコーティングシート(2)の間に含まれる浮き彫り材料(3)を組み込んで、装飾用コーティングシート(2)で覆われる基材(1)表面に、浮き彫り又は質感のある表面を生成する方法に関する。
【0023】
そのために、浮き彫り材料(3)の提供は、インクジェット(4)のパス、つまり塗布によって行われ、これは図1、4、7及び8の実施例のようにコーティングシート(2)の面に、図2、5、9及び10の実施例のように基材(1)表面に、又は図3及び6の実施例のように組み合わされた方法で、一部がコーティングシート(2)の面に、一部が基材(1)表面に行われる。デジタルインクジェット印刷手段は、少なくとも1つの印刷ヘッドを含む。
【0024】
図1、2及び3の実施例のように、浮き彫り材料(3)の提供は、コーティングシート(2)を基材(1)に固定するための接着剤(5)の提供を兼ね、接着剤(5)自体が浮き彫り材料(3)及び固定手段として使用されることができ、あるいは浮き彫り材料(3)はインクジェット(4)のパス、つまり塗布によって塗布され、図4、5及び6の実施例のように接着剤(5)は別のインクジェット(6)のパス、つまり塗布によって個別に塗布されることができ、又は接着剤(5)の個別の塗布が、図7及び8の実施例のように塗布ローラー(7)によって、若しくは図9の実施例のように塗布ローラー(7)及び塗布リップ(8)による組み合わされた方法で、行われることができる。例えばスプレーなどの接着剤(5)を塗布するための他の技術を同様に使用することができるので、上述の図面に表された実施例は限定的なものでない。
【0025】
いずれにしても、浮き彫り材料(3)の提供は、コーティングシート(2)の面及び/又は基材(1)の面のいずれにおいてもインクジェット(4)での塗布によって行われ、各場所で得られる浮き彫りの程度(浮き彫りの高さ又は深さ)に基づいて材料の必要量を提供し、続いて浮き彫り材料(3)を適切な程度の結合状態にするためにある程度の固化又は硬化を行う。固化又は硬化は、例えば紫外線照射硬化(9)によるが、他の技術、例えば電子又は電磁放射、加熱、乾燥、蒸発なども使用することが可能である。最後に、コーティングシート(2)を基材(1)表面に組み込み、塗布された浮き彫り材料(3)の表面のコーティングシート(2)の変形によって、所望の浮き彫りに応じて、基材(1)の質感のある表面が得られるようにする。各図に示されるように、コーティングシートを組み込むための手段は、シートを基材に押し付けて基材表面で延ばすための加圧ローラーを含むことができる。
【0026】
特に図1に見られるように、本発明によれば、シート(2)と基材(1)の間に配置された浮き彫り材料(3)及び接着剤(5)に沿って基材(1)表面でシート(2)に形状を与えて、シート(2)を基材(1)の形状に適合させるために、基材(1)に対するコーティングシート(2)の後の成形が想定される。そのために、シートを基材に押し付けるための加圧ローラーの列(13)のような後の成形手段が組み込まれる。
【0027】
更に、図11に特に見られるように、浮き彫り材料(3)の提供は、特にコーティングシート(2)又は基材(1)に配置されるモチーフに対応することも想定される。例えば、モチーフは、インクジェット(14)での塗布によって印刷された画像(15)からなることができ、これは基材(1)表面又はコーティングシート(2)の面に、浮き彫り材料(3)の塗布の前(図11に示されるように)、後又は同時に塗布することができ、浮き彫り材料(3)は、インクジェット(4)での塗布によって提供されている。浮き彫り材料(3)の提供は、例えば、印刷画像に基づくスキャナ(10)による制御された方法で行われ、それにより所望の外観を模倣した高品質の質感のある表面が実現される。
【0028】
浮き彫り材料(3)の全面に亘って基材(1)を覆うために組み込まれるコーティングシート(2)は、例えば図1~9の実施例でのような供給スプール(11)から連続的に供給されることができる。しかし、コーティングシート(2)はまた、それぞれの適用基材(1)に対応させて個別のコーティングシート(2)を配置するために、例えば図10の実施例のような供給スタック(12)から供給される、個別のシートの形態で個別に又は不連続的に供給されることが可能である。
【0029】
加えて、浮き彫り材料(3)又は接着剤(5)を供給する前に、基材(1)表面を洗浄又は下塗りするための手段など、基材(1)表面を準備するための手段が想定される。
【符号の説明】
【0030】
1 基材
2 装飾用コーティングシート
3 浮き彫り材料
4 インクジェット
5 接着剤
6 インクジェット
7 塗布ローラー
8 塗布リップ
9 紫外線照射硬化
10 スキャナ
11 供給スプール
12 供給スタック
13 加圧ローラーの列
14 インクジェット
15 印刷画像
図1
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f