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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】包装方法及び包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/04 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
B65B9/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022530424
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022823
(87)【国際公開番号】W WO2021250810
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正常
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-145215(JP,A)
【文献】特開平6-143399(JP,A)
【文献】特開2005-111751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムに凹部を成型するとともに前記凹部の底に凸部を成型する成型工程と、
前記凸部を前記凹部の底から凹む第2凹部に変形させる凸凹反転工程と、
前記凹部及び前記第2凹部内に物品を供給する供給工程と、
前記凹部を蓋材によって被覆するように前記フィルムに前記蓋材をシールするシール工程と、
を含む包装方法。
【請求項2】
前記成型工程において、前記凸部を環状凸部によって囲繞するよう前記凹部の底に前記環状凸部を成型し、
前記凸凹反転工程において、前記凸部及び前記環状凸部を前記凹部の底から凹む段状凹部に変形させ、
前記供給工程において、前記凹部及び前記段状凹部内に前記物品を供給する
請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
前記凸凹反転工程において、前記フィルムの裏側から前記凸部を吸引することによって前記凸部を前記第2凹部に変形させ、
前記供給工程において、前記フィルムの裏側から前記第2凹部を引き続き吸引した状態で前記凹部及び前記第2凹部内に物品を供給する
請求項1又は2に記載の包装方法。
【請求項4】
フィルムに凹部を成型するとともに前記凹部の底に凸部を成型する成型機と、
前記凸部を前記凹部の底から凹む第2凹部に変形させる凸凹反転機と、
物品が収容された前記凹部を蓋材によって被覆するように前記フィルムに前記蓋材をシールするシール機と、
を備える包装装置。
【請求項5】
前記成型機が、前記凸部を環状凸部によって囲繞するよう前記凹部の底に前記環状凸部を成型し、
前記凸凹反転機が、前記凸部及び前記環状凸部を前記凹部の底から凹む段状凹部に変形させる
請求項4に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装方法及び包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
深絞り包装体は、物品が収容される凹状のポケットが成型された第1フィルムと、その第1フィルムに貼り合わせられてポケットを覆った第2フィルムと、を備えるものである。深絞り包装体の製造には、例えば特許文献1に開示された深絞り包装装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。深絞り包装装置は、上流側から順に、下側フィルム供給機、成型機、上側フィルム供給機、シール機、横カット機及び縦カット機等を備える。下側フィルムが下側フィルム供給機から繰り出されて、フィルム搬送機によって成型機、シール機、横カット機及び縦カット機の順に搬送される。成型機は、真空成型法によって下側フィルムにポケットを成型する。成型機の下流側では、物品が作業員又は供給装置によってポケットに供給された後に、上側フィルム供給機から繰り出された上側フィルムが下側フィルムの上に重ねられる。シール機は、上側フィルムを下側フィルムに熱シールする。横カット機がシールされた上下のフィルムを幅方向に切断し、縦カット機がシールされた上下のフィルムを搬送方向に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-065574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、包装される物品の高さが高い場合、ポケットを深くする必要がある。更に物品の太さが高さ方向で段階的に細くなる場合、ポケットを段状凹部に成型する必要がある。段状凹部とは、深くになるにつれて内径が段階的に小さくなるものをいう。
【0005】
深い段状凹部が成型機によって真空成型される際には、下側フィルムのうち段状凹部の深い部分が大きく伸びる。そのため、段状凹部の形状が安定しない上、段状凹部の深い部分に予期せぬ損傷が生じることがある。
【0006】
そこで、本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、段状凹部の形状を安定させるとともに、段状凹部の深い部分に損傷が発生しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、フィルムに凹部を成型するとともに前記凹部の底に凸部を成型する成型工程と、前記凸部を前記凹部の底から凹む第2凹部に変形させる凸凹反転工程と、前記凹部及び前記第2凹部内に物品を供給する供給工程と、前記凹部を蓋材によって被覆するように前記フィルムに前記蓋材をシールするシール工程と、を含む包装方法が提供される。
【0008】
また、以上の課題を解決するために、フィルムに凹部を成型するとともに前記凹部の底に凸部を成型する成型機と、前記凸部を前記凹部の底から凹む第2凹部に変形させる凸凹反転機と、物品が収容された前記凹部を蓋材によって覆うように前記フィルムに前記蓋材をシールするシール機と、を備える包装装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第2凹部においてフィルムが薄くならず、凹部及び第2凹部の形状が安定する。更に、第2凹部においてフィルムの損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】深絞り包装体の断面図である。
図2】深絞り包装装置の斜視図である。
図3】段状ポケットが成型された下側フィルムの断面図である。
図4】雌型の平面図である。
図5】雌型及び加熱装置の断面図である。
図6】雌型及び加熱装置の動作中の一工程の状態を示した断面図である。
図7図6における工程の成型後の状態を示した断面図である。
図8】凸凹反転機の平面図である。
図9】凸凹反転機の断面図である。
図10】凸凹反転機の動作中の一工程の状態を示した断面図である。
図11】変形例の成型機の断面図である。
図12】変形例の凸凹反転機の断面図である。
図13】変形例の凸凹反転機の断面図である。
図14】変形例の深絞り包装体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
<<1. 深絞り包装体>>
図1は深絞り包装体100の断面図である。
【0013】
深絞り包装体100は収容フィルム103、蓋フィルム107及び物品109を備える。深絞り包装体100、収容フィルム103及び蓋フィルム107は平面視矩形状に形作られている。
【0014】
物品109は、例えば、哺乳瓶の口に装着されるゴム製のニップルである。物品109は、ドーム状のベース部109aと、ベース部109aの頂部から突出したニップル部109bと、を備える。なお、物品109がゴム製ニップル以外のもの、例えば食品であってもよい。
【0015】
収容フィルム103は熱可塑性樹脂からなる。収容フィルム103には段状ポケット105が成型されている。段状ポケット105は、蓋フィルム107側において凹状とされ、蓋フィルム107の反対側において凸状とされている。段状ポケット105は、円形状の1段目の凹部105aと、凹部105aの底の中央部において凹んだ円形状の2段目の凹部105bとから構成されている。物品109が段状ポケット105に収容されている。具体的には、物品109のベース部109aが2段目の凹部105bに嵌め込まれて収容され、物品109のベース部109aが1段目の凹部105aに嵌め込まれて収容されている。
蓋フィルム107はシーラントフィルムからなる。蓋フィルム107は段状ポケット105及び物品109を覆って、段状ポケット105の周囲において収容フィルム103に貼り合わされている。
【0016】
複数の深絞り包装体100が一列に又は格子状に配列されて、これらが連なっていてもよい。複数の深絞り包装体100が連なったものを連包体という。深絞り包装体100が1つに分離している場合、各深絞り包装体100を個包体という。
【0017】
以下、深絞り包装体100の製造方法及び製造装置(つまり、深絞り包装装置1)について詳細に説明する。
【0018】
<<2. 深絞り包装装置及び深絞り包装方法>>
図2は、深絞り包装装置1の斜視図である。
深絞り包装装置1は、収容フィルム供給機20、フィルム搬送機25、蓋フィルム供給機30、成型機40、凸凹反転機46、物品供給機50、シール機60、横カット機70及び縦カット機80を備える。
【0019】
(1) 収容フィルム供給機
収容フィルム供給機20は、帯状の収容フィルム3が巻回された原反ロール2から収容フィルム3をフィルム搬送機25の上流端部に供給する。ここで、上述の収容フィルム103は、収容フィルム3が切断されることによって得られる。
【0020】
収容フィルム供給機20は、互いに平行な支持シャフト21及び複数本のガイドローラ22を有する。支持シャフト21には原反ロール2が支持されている。ガイドローラ22が支持シャフト21からフィルム搬送機25の上流端にかけて配設されている。原反ロール2から引き出される収容フィルム3は、これらガイドローラ22に巻き掛けられることによって支持シャフト21からフィルム搬送機25の上流端に案内されている。
【0021】
(2) フィルム搬送機
フィルム搬送機25は、収容フィルム3の搬送経路の両側に設けられており、ガイドローラ22の下流側において水平となった収容フィルム3の両側部を把持して、収容フィルム3を間欠的に搬送する。
【0022】
フィルム搬送機25は一対のエンドレスチェーン、多数の爪及びモータを有する。一対のエンドレスチェーンは、ガイドローラ22の下流側に且つ収容フィルム3の搬送経路の両側に設けられた複数のスプロケットに巻き掛けられている。多数の爪がエンドレスチェーンに所定間隔で取り付けられており、収容フィルム3の側部が爪によって把持される。モータによってエンドレスチェーンが間欠的に走行されると、収容フィルム3が間欠的に搬送される。フィルム搬送機25による1回当たりの搬送距離は、後述の成型機40の1回あたりの成型動作によって成型される段状ポケット105の搬送方向の個数分(具体的には、2個分)に相当する。
【0023】
(3) 蓋フィルム供給機
蓋フィルム供給機30は、蓋材としての帯状の蓋フィルム7が巻回された原反ロール6から蓋フィルム7をフィルム搬送機25の中流部に供給する。ここで、上述の蓋フィルム107は、蓋フィルム7が切断されることで得られる。
【0024】
蓋フィルム供給機30は互いに平行な支持シャフト31及び複数本のガイドローラ32を有する。支持シャフト31には、原反ロール6が支持されている。ガイドローラ32が支持シャフト31からフィルム搬送機25の中流部にかけて配設されている。原反ロール6から引き出される蓋フィルム7は、これらガイドローラ32に巻き掛けられることによって支持シャフト31からフィルム搬送機25の中流部に案内されている。フィルム搬送機25の中流部よりも下流側においては、蓋フィルム7が収容フィルム3に重ねられ、蓋フィルム7と収容フィルム3が一緒に間欠的に搬送される。
【0025】
(4) 成型機
収容フィルム3の搬送経路には、上流から順に成型機40、凸凹反転機46、シール機60、横カット機70及び縦カット機80が設けられている。成型機40は、蓋フィルム7が収容フィルム3に重ねられる位置よりも上流側に設けられている。シール機60、横カット機70及び縦カット機80は、蓋フィルム7が収容フィルム3に重ねられる位置よりも下流側に設けられている。成型機40とシール機60との間における収容フィルム3の搬送経路の側方には、物品供給機50が設けられている。
【0026】
成型機40は、収容フィルム3の搬送が停止する毎に、図3に示すような凹凸部5を真空成型法により収容フィルム3に成型する。成型機40によって成型される凹凸部5は、収容フィルム3の上面において凹む円形状の凹部105aと、凹部105aの底の中央部において凸(つばく)む円錐台状の凸部5bと、を有する。収容フィルム3の下面では、凹部105aの裏側が凸んでおり、凸部5bの裏側が凹んでいる。成型機40による1回当たりの凹凸部5の成型数は、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つである。
【0027】
図4は成型機40の雌型(ネガティブモールド)42の平面図であり、図5は成型機40の断面図である。図5の断面の位置は図4中のV-Vにより示す。図4及び図5に示すように、成型機40は、上側の加熱装置41及び下側の雌型(ネガティブモールド)42を有する。収容フィルム3が加熱装置41と雌型42との間を上流側から下流側へ搬送される。加熱装置41及び雌型42は、上下方向に互いに接離するようにエアシリンダ等のアクチュエータによって駆動される。加熱装置41が下降するとともに雌型42が上昇すると、収容フィルム3が加熱装置41と雌型42との間に挟まれる。一方、加熱装置41が上昇するとともに雌型42が下降すると、加熱装置41及び雌型42が収容フィルム3から離間する。
【0028】
雌型42の上面には、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つの円形状の凹部42aが形成されている。各凹部42aの底の中央部には、円錐台状の凸部42bが形成されている。雌型42の内部には空気流路42cが形成されており、空気流路42cの端部が凹部42a及び凸部42bの表面において開口している。空気流路42cは、バキューム、レギュレター及びバルブ等から構成された空圧機器に接続されている。
【0029】
成型機40の動作について説明する。
上述のように収容フィルム3が間欠的に搬送されるところ、収容フィルム3の搬送が一時的に停止すると、アクチュエータが加熱装置41及び雌型42を駆動する。そうすると、図6に示すように、加熱装置41が下降するとともに雌型42が上昇して、収容フィルム3が加熱装置41と雌型42の間に挟まれる。そのため、収容フィルム3が加熱装置41によって加熱されて軟化する。
【0030】
その後、雌型42の凹部42a内の空気が空圧機器によって吸引されて、凹部42a内の気圧が負圧になる。そうすると、図7に示すように、収容フィルム3が凹部42a及び凸部42bの表面に密着するように変形し、収容フィルム3に凹凸部5が成型される。ここで、収容フィルム3のうち凸部42bの表面に密着する部分の伸びは凹部42aの底に密着する部分の伸びよりも小さく、凸部5bにおける収容フィルム3の薄型化を防止できる。特に、凸部5bの頂部における収容フィルム3の伸び及び薄型化は殆ど生じない。
【0031】
その後、空圧機器による吸引が解除される。そして、加熱装置41が上昇とともに雌型42が下降して、凹凸部5が凹部42aから外れる。その後、フィルム搬送機25による収容フィルム3の搬送が再開される。
【0032】
なお、成型機40による成型法が圧空成型法又は真空圧空成型法であってもよい。圧空成形の場合、空圧機器によって加熱装置41と収容フィルム3の間に圧縮空気が供給されると、収容フィルム3が凹部42a及び凸部42bの表面に密着するように変形し、収容フィルム3に凹凸部5が成型される。真空圧空成型法の場合、加熱装置41と収容フィルム3の間に圧縮空気が供給され、且つ、雌型42の凹部42a内の空気が空圧機器によって吸引される。
【0033】
(5)凸凹反転機
図8は凸凹反転機46の平面図であり、図9は凸凹反転機46の断面図である。図9の断面の位置は図8中のIX-IXにより示す。
凸凹反転機46は、収容フィルム3の裏側(つまり、収容フィルム3の下側)から凹凸部5を吸引することによって、凹凸部5の凸部5bを凹部105aの底から下方へ凹ませるように変形させる。これにより、凸部5bが凹部105bに変形する。
【0034】
凸凹反転機46は、上下方向に移動するようにエアシリンダ等のアクチュエータによって駆動される。凸凹反転機46の上面には、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つの段状凹部47が形成されている。各段状凹部47は、凸凹反転機46の上面において凹んだ1段目の円形状の凹部47aと、凹部47aの底の中央部において凹んだ円形状の2段目の凹部47bとから構成されている。凸凹反転機46の内部には空気流路48が形成されており、空気流路48の端部が凹部47a,47bの表面において開口している。空気流路48は、バキューム、レギュレター及びバルブ等から構成された空圧機器に接続されている。
【0035】
凸凹反転機46の動作について説明する。
上述のように収容フィルム3が間欠的に搬送されるところ、収容フィルム3の搬送が一時的に停止すると、アクチュエータが凸凹反転機46を駆動する。そうすると、凸凹反転機46が上昇して、凹凸部5の凹部105aの裏側が段状凹部47の凹部47aに収容される(図9参照)。
【0036】
その後、凹部47a,47b内の空気が空圧機器によって吸引されて、凹部47a,47b内の気圧が負圧になる。そうすると、図10に示すように、凹凸部5の凹部105aの裏側が凹部47aの表面に密着するとともに、凸部5bの裏側が凹部47bに引き込まれて、凹部47bの表面に密着する。これにより、凸部5bが凹部105bに変形する。ここで、凸凹反転機46が加熱されていないため、凹部105bにおいて収容フィルム3の伸びが殆ど発生せず、凹部105bにおいて収容フィルム3が薄くならない。そのため、段状ポケット105の形状が安定する。
【0037】
その後、空圧機器による吸引が解除される。そして、凸凹反転機46が下降して、凹部105aの裏側が凹部47aから外れるとともに、凹部105bの裏側が凹部47bから外れる。その後、フィルム搬送機25による収容フィルム3の搬送が再開される。
【0038】
凸凹反転機46から下流側へ離れた位置において、蓋フィルム7が収容フィルム3に重ねられるため、段状ポケット105の凹部105aが蓋フィルム7によって覆われる。収容フィルム3に蓋フィルム7が重ねられる位置をラミネート位置という。
【0039】
(6) 物品供給機
物品供給機50は、凸凹反転機46の脇に設けられているか、凸凹反転機46からラミネート位置までの収容フィルム3の搬送経路の脇に設けられている。物品供給機50は、段状ポケット105内に物品109を自動供給するものであって、例えば多軸マニピュレータである。なお、多軸マニピュレータに代えてシュートコンベアが物品供給機50に採用されてもよい。
【0040】
物品供給機50が物品109を段状ポケット105に供給する時、その段状ポケット105は凸凹反転機46の段状凹部47に位置している。物品供給機50が物品109を段状ポケット105に供給するタイミングは、段状凹部47内の空気が空圧機器によって吸引されてからその吸引が解除されるまでの間である。従って、凸凹反転機46によって段状ポケット105が成型された直後では収容フィルム3の凹部105a及び凹部105bの裏側が吸引により段状凹部47の内面に密着した状態であるため、段状ポケット105の開口が広げられており、物品109が物品供給機50によって確実に供給される。また、成型機40の下流側に凸凹反転機46が設置されても、成型機40からラミネート位置までの範囲を大きくとらずに済む。よって、深絞り包装装置1の大型化を抑えられる上、収容フィルム供給機20から収容フィルム103が繰り出されてから深絞り包装体100が完成するまでのサイクルタイムの長期化を抑えられる。
【0041】
なお、物品供給機50が、凸凹反転機46から下流側へ移動した段状ポケット105に物品109を供給するものとしてもよい。また、物品供給機50に代えて、人手による供給としてもよい。
【0042】
(7) シール機
シール機60は、収容フィルム3の搬送が停止する毎に、収容フィルム3とそれに重ねられた蓋フィルム7を熱シールする。1回当たりのシール処理では、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つの段状ポケット105内の物品109が収容フィルム3と蓋フィルム7との間に密閉される。
【0043】
シール機60は、ロアボックス610、アッパーボックス620及び熱盤を備える。アッパーボックス620の下面に凹部が収容され、その凹部に熱盤が昇降可能に設けられている。ロアボックス610の上面に複数の収容凹部が形成されている。
【0044】
シール機60の動作について説明する。
収容フィルム3及び蓋フィルム7の搬送が停止した時に、アクチェータによってロアボックス610とアッパーボックス620が互いに近づけられると、収容フィルム3及び蓋フィルム7がアッパーボックス620の下面の凹部の周囲においてロアボックス610の上面とアッパーボックス620の下面との間に挟み込まれるとともに、段状ポケット105及び物品109がアッパーボックス620の上面の凹部に収容される。その後、熱盤がアクチェータによって下降すると、そうすると、収容フィルム3及び蓋フィルム7がロアボックス610の上面の収容凹部の周囲において熱盤の下面とロアボックス610の上面との間に挟み込まれて、熱シールされる。収容フィルム3のうち熱シールされる箇所は、段状ポケット105以外の部分である。
熱シール後、熱盤がアクチュエータによって上昇し、ロアボックス610及びアッパーボックス620がアクチュエータによって互いに離間する。
【0045】
(7) 横カット機
横カット機70は、収容フィルム3及び蓋フィルム7の搬送が1回停止する毎に、収容フィルム3及び蓋フィルム7のうち、搬送方向に隣り合う段状ポケット105の間の部分を切断する。そのため、最終的に連包体が作成される。なお、複数の横カット機70が搬送方向に並んで設けられ、最終的に個包体が作成されるものとしてもよい。
【0046】
また、収容フィルム3の搬送が複数回停止する毎に、横カット機70が搬送方向に隣り合う段状ポケット105の間の部分を切断してもよいが、この場合、最終的に連包体が作成される。また、横カット機70は、最終的な個包体又は連包体の角に相当する部分を丸く切ってもよい。
【0047】
(8) 縦カット機
縦カット機80は、収容フィルム3及び蓋フィルム7の両側部を連続的に切断するとともに、幅方向に隣り合う段状ポケット105の間を連続的に切断する。なお、縦カット機80によって幅方向に隣り合う段状ポケット105の間の切断が行われなくてもよいが、この場合、最終的に連包体が作成される。
【0048】
収容フィルム3及び蓋フィルム7が縦カット機80を通過することによって、個包体又は連包体が完成する。
【0049】
<<3. 有利な効果>>
(1) 凹凸部5の成型の際、収容フィルム3のうち雌型42の凸部42bに密着する部分の伸びが小さく、特に包装体100の底部となる凸部5bの伸びが小さく、その凸部5bにおける収容フィルム3の薄型化及び損傷が発生しにくい。そのような凸部5bが裏返されて、凸部5bが凹部105bに変形するため、凹部105bにおける収容フィルム3の薄型化及び損傷を抑えられる。つまり、深い段状ポケット105を成型しても、段状ポケット105の深い部分となる凹部105bの形状が保たれやすい上、段状ポケット105の形状が安定する。このような効果は、原反ロール2に巻かれる収容フィルム3を薄くすることができるという副次的な効果ももたらす。
【0050】
(2) 成型機40の下流側に凸凹反転機46が設置されても、深絞り包装装置1の大型化を抑えられる上、収容フィルム供給機20から収容フィルム103が繰り出されてから深絞り包装体100が完成するまでのサイクルタイムの長期化を抑えられる。
【0051】
<<4. 変形例>>
以上、実施形態について説明した。上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、実施形態は本発明の趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。
【0052】
(1) 変形例1
図11は上述の成型機40に代えて設けられる成型機40Aの断面図である。この成型機40Aと前述の成型機40との間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
成型機40の雌型42と同様に、成型機40Aの雌型42の上面にも、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つの円形状の凹部42aが形成されている。各凹部42aの底の中央部には、円錐台状の凸部42bが形成されている。各凹部42aの底の凸部42bの周りに環状凸部42dが形成されており、凸部42bが環状凸部42dによって囲繞されている。図11に示す例では、凸部42bが1重の環状凸部42dによって囲繞されているが、2重以上の環状凸部42dによって囲繞されていてもよい。
【0053】
この成型機40Aの動作について説明する。収容フィルム3の搬送が一時的に停止すると、加熱装置41が下降するとともに雌型42Aが上昇した後、雌型42の凹部42a内の空気が空圧機器によって吸引される。そうすると、収容フィルム3には凹部105aが成型されるとともに、凸部5bとそれを囲繞する環状凸部5dとが凹部105aの底に成型される。その後、空圧機器による吸引が解除される。そして、加熱装置41が上昇とともに雌型42が下降して、加熱装置41及び雌型42か収容フィルム3から離間する。
【0054】
この成型機40Aの下流側には、図12に示す凸凹反転機46Aが上述の凸凹反転機46に代えて設けられている。この凸凹反転機46Aと前述の凸凹反転機46との間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
凸凹反転機46の上面には、幅方向に3つ且つ搬送方向に2つの合計6つの段状凹部47が形成されている。各段状凹部47は、凸凹反転機46の上面において凹んだ1段目の円形状の凹部47aと、凹部47aの底の中央部において凹んだ円形状の2段目の凹部47cと、凹部47cの底の中央部において凹んだ円形状の3段目の凹部47dと、凹部47dの底の中央部において凹んだ円形状の4段目の凹部47bと、から構成されている。図12に示すように環状凸部42dが1重である場合には、図13に示すように段状凹部47が4段の凹部であるところ、環状凸部42dがn重(但し、nは自然数)である場合には、段状凹部47が2×(n+1)段の凹部である。
【0055】
この凸凹反転機46Aの動作について説明する。収容フィルム3の搬送が一時的に停止すると、凸凹反転機46Aが上昇して、凹部105aの裏側が段状凹部47の凹部47aに収容される(図12参照)。その後、段状凹部47内の空気が空圧機器によって吸引される。そうすると、図13に示すように凹部105aの裏側が凹部47aの表面に密着し、環状凸部5dの裏側が凹部47c、47dに引き込まれる凹部47c,47dの表面に密着するとともに、凸部5bの裏側が凹部47bに引き込まれて、凹部47bの表面に密着する。これにより、凸部5b及び環状凸部5dが段状凹部105eに変形し、凹部105aの底において凹んだ段状凹部105eが成型される。段状凹部105eは、凹部105aの底の中央部において凹んだ円形状の凹部105cと、凹部105cの底の中央部において凹んだ円形状の凹部105dと、凹部105dの底の中央部において凹んだ円形状の凹部105bと、から構成されている。その後、空圧機器による吸引が解除されるとともに、凸凹反転機46Aが下降する。
【0056】
以上のような凹部105a及び段状凹部105eからなる段状ポケット105には、図14に示すような錐型の物品109Aが物品供給機50又は作業者によって供給される。
【0057】
そして、段状ポケット105の凹部105aが蓋フィルム7によって覆われるように蓋フィルム7が収容フィルム3に貼り合わせられる。その後、シール機60が収容フィルム3と蓋フィルム7を熱シールし、収容フィルム3及び蓋フィルム7が横カット機70及び縦カット機80によって切断される。
【0058】
(2) 変形例2
上記実施形態では、蓋フィルム7が樹脂製であり、特にシーラントフィルムであり、蓋フィルム7と収容フィルム3がシーラント層の熱用着により接合される。それに対して、蓋フィルム7が樹脂以外のもの、例えば紙製であっってもよい。蓋材フィルム7と収容フィルム3の接合は、シーラント材による熱溶着に限るものではない。
【0059】
(3) 変形例3
上記実施形態では、フィルム搬送機25による1回当たりの搬送距離は段状ポケット105の2個分に相当したが、段状ポケット105の1個分に相当してもよい。この場合、成型機40の1回あたりの成型動作によって成型される段状ポケット105の搬送方向の個数に相当する回数だけ収容フィルム3の搬送が停止するごとに、成型機40が1回の成型動作を行うとともに凸凹反転機46が1回の吸引動作を行う。更に、シール機60の1回のシール動作によって密閉される段状ポケット105の搬送方向の個数に相当する回数だけ収容フィルム3の搬送が停止するごとに、シール機60が1回のシール動作を行う。
【符号の説明】
【0060】
3…収容フィルム
7…蓋フィルム(蓋材)
5b…凸部
5d…環状凸部
40…成型機
46…凸凹反転機
60…シール機
105a…凹部
105e…段状凹部
105b…凹部(第2凹部)
109,109A…物品
図1
図2
図3
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図5
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図12
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図14