(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】回動ロック付き防水構造、引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ、引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水フランジインレット、防水カバー、引掛形防水パネルコンセント用アダプター、及び引掛形防水フランジインレット用アダプター
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2023196674
(22)【出願日】2023-11-20
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592119742
【氏名又は名称】アメリカン電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100213540
【氏名又は名称】鈴木 恵庭
(72)【発明者】
【氏名】関谷 恭介
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3176159(JP,U)
【文献】特表2023-529403(JP,A)
【文献】特開2006-332033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0233851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/62
H01R 13/625-13/627
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線を接続する一対の引掛形接続器本体の接続端以外を個別に覆うようにして取付けられ、互いに嵌合可能な第一のハウジング及び第二のハウジングを備え、
前記第一のハウジングには、
前記第二のハウジングの側に先端側を向けたシーソー式のクリップが取付けられ、
前記第二のハウジングには、
前記一対の引掛形接続器本体の一方が他方へ差込まれる際に前記クリップの先端側を滑らかに押上げて開成するガイドスロープと、
前記ガイドスロープの周方向に隣接する位置に設けられ、接続のために前記一対の引掛形接続器本体を回動させた際に前記ガイドスロープを横滑りした前記クリップの先端側を係止するクリップ受けとが備えられ、
前記第一のハウジングの前記クリップの先端側が開成されない限りは前記一対の引掛形接続器本体の回動戻りが生じないようにした
ことを特徴とする回動ロック付き防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造において、
前記第一のハウジングと前記第二のハウジングとの嵌合部に配置される防水パッキングを備える
ことを特徴とする回動ロック付き防水構造。
【請求項3】
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造において、
前記第一のハウジングは、
前記クリップの回動シャフトを支持するようにして立設された一対の隔壁と、
前記一対の隔壁の前記クリップの元端側に同軸で設けられた貫通孔とを備え、
前記一対の隔壁の前記貫通孔の間に結束バンドが架渡されると前記クリップの元端側の押下げが阻止されるようにした
ことを特徴とする回動ロック付き防水構造。
【請求項4】
請求項1に記載の前記引掛形接続器本体としての引掛形コードコネクタボディ本体と、
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造の前記第一のハウジングと
を備えることを特徴とする引掛形防水コードコネクタボディ。
【請求項5】
請求項4に記載の引掛形防水コードコネクタボディにおいて、
前記第一のハウジングの反接続端側には、被覆電線を挟持するためのグリップが設けられると共に、前記被覆電線の周囲の隙間に防水ブッシングが配置されていることを特徴とする引掛形防水コードコネクタボディ。
【請求項6】
請求項1に記載の前記引掛形接続器本体としての引掛形プラグ本体と、
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造の前記第二のハウジングと
を備えることを特徴とする引掛形防水プラグ。
【請求項7】
請求項6に記載の引掛形防水プラグにおいて、
前記第二のハウジングの反接続端側には、被覆電線を挟持するためのグリップが設けられると共に、前記被覆電線の周囲の隙間に防水ブッシングが配置されていることを特徴とする引掛形防水プラグ。
【請求項8】
請求項1に記載の前記引掛形接続器本体としての引掛形パネルコンセント本体と、
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造の前記第一のハウジングとを備える
ことを特徴とする引掛形防水パネルコンセント。
【請求項9】
請求項8に記載の引掛形防水パネルコンセントにおいて、
前記第一のハウジングの接続端側に嵌合可能なヒンジ式防水カバーを備え、
前記ヒンジ式防水カバーには、前記第一のハウジングの前記クリップに係止可能なクリップ受けが設けられている
ことを特徴とする引掛形防水パネルコンセント。
【請求項10】
請求項9に記載の引掛形防水パネルコンセントにおいて、
前記クリップの先端側には、反り返し状の把手が設けられており、
当該引掛形防水パネルコンセントの接続端に差込まれるべき引掛形防水プラグをユーザが手で把持したまま当該手の親指の背で前記クリップを開成できるようになっている
ことを特徴とする引掛形防水パネルコンセント。
【請求項11】
請求項1に記載の前記引掛形接続器本体としての引掛形フランジインレット本体と、
請求項1に記載の回動ロック付き防水構造の前記第二のハウジングとを備える
ことを特徴とする引掛形防水フランジインレット。
【請求項12】
請求項11に記載の引掛形防水フランジインレットにおいて、
前記第二のハウジングの接続端側に嵌合可能なヒンジ式防水カバーを備え、
前記ヒンジ式防水カバーには、前記第二のハウジングの前記クリップ受けに係止可能なクリップが設けられている
ことを特徴とする引掛形防水フランジインレット。
【請求項13】
請求項4に記載の引掛形防水コードコネクタボディの前記第一のハウジングの接続端側に嵌合可能な防水カバーであって、
前記第一のハウジングの前記クリップを係止可能なクリップ受けが設けられている
ことを特徴とする防水カバー。
【請求項14】
請求項6に記載の引掛形防水プラグの前記第二のハウジングの接続端側に嵌合可能な防水カバーであって、
前記第二のハウジングの前記クリップ受けに係止可能なクリップが設けられている
ことを特徴とする防水カバー。
【請求項15】
請求項8に記載の引掛形防水パネルコンセントと取付け面との間に配置されるアダプターであって、前記第一のハウジングの外周に嵌合可能な開口を有することを特徴とする引掛形防水パネルコンセント用アダプター。
【請求項16】
請求項11に記載の引掛形防水フランジインレットと取付け面との間に配置されるアダプターであって、前記第二のハウジングの外周に嵌合可能な開口を有することを特徴とする引掛形防水フランジインレット用アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC電源電線などの被覆電線を接続する一対の引掛形接続器本体に取付けられる回動ロック付き防水構造、引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ、引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水フランジインレット、防水カバー、引掛形防水パネルコンセント用アダプター、及び引掛形防水フランジインレット用アダプターに関する。なお、ここでいう「被覆電線」には、例えば撚線構造の電線に絶縁被覆を施した電線コード、電線ケーブル等が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
AC電源電線などの被覆電線を接続する引掛形・防水形接続器として、例えばJIS規格や米国NEMA規格に準拠した引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ等が知られている(特許文献1,非特許文献1等を参照)。例えばユーザは、左手に把持した引掛形防水コードコネクタボディの刃受穴に右手で把持した引掛形防水プラグの鍵状栓刃を差込み、これらの引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグを右周りに所定角度だけ回動させることにより、刃受穴の奥の刃受に鍵状栓刃を係止させてプラグの抜けを防止すると共に、防水性能(及び耐塵性能)を得ることができる。その他にも、引掛形防水プラグに接続可能な引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水コードコネクタボディに接続可能な引掛形防水フランジインレットなどの引掛形・防水形接続器も公知である。これらの引掛形・防水形接続器には、防水(及び耐塵)を図るためのゴム製カバー、金属製プレート、金属製カバーなどが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】製品情報「防水形接続器シリーズ」,アメリカン電機株式会社,[令和5年9月27日検索],インターネット<URL:https://www.americandenki.co.jp/products/c0wpdv/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の引掛形・防水形接続器は、ゴム製カバー、金属製プレート、金属製カバーなどを要するため、防水性能(及び耐塵性能)を有しない引掛形接続器と比較して製造コストを抑えるのが難しい。また、従来の引掛形・防水形接続器は、一般に、被覆電線の捻回に起因して回動戻りの生じる可能性が完全に排除できないような過酷な使用状況下では、電気的接続が不安定になることを許容するか、又は、回動戻りを防ぐための別途の措置を講じる必要があった。
【0006】
そこで、本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、製造コストを抑えることが可能であり、しかも利便性の高い回動ロック付き防水構造、これに適合した互換性の高い引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ、引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水フランジインレット、これに適合した利便性の高い防水カバー、引掛形防水パネルコンセント用アダプター、及び引掛形防水フランジインレット用アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る回動ロック付き防水構造は、被覆電線を接続する一対の引掛形接続器本体の接続端以外を個別に覆うようにして取付けられ、互いに嵌合可能な第一のハウジング及び第二のハウジングを備え、前記第一のハウジングには、前記第二のハウジングの側に先端側を向けたシーソー式のクリップが取付けられ、前記第二のハウジングには、前記一対の引掛形接続器本体の一方が他方へ差込まれる際に前記クリップの先端側を滑らかに押上げて開成するガイドスロープと、前記ガイドスロープの周方向に隣接する位置に設けられ、接続のために前記一対の引掛形接続器本体を回動させた際に前記ガイドスロープを横滑りした前記クリップの先端側を係止するクリップ受けとが備えられ、前記第一のハウジングの前記クリップの先端側が開成されない限りは前記一対の引掛形接続器本体の回動戻りが生じないようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る回動ロック付き防水構造において、前記第一のハウジングと前記第二のハウジングとの嵌合部に配置される防水パッキングを備えてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る回動ロック付き防水構造において、前記第一のハウジングは、前記クリップの回動シャフトを支持するようにして立設された一対の隔壁と、前記一対の隔壁の前記クリップの元端側に同軸で設けられた貫通孔とを備え、前記一対の隔壁の前記貫通孔の間に結束バンドが架渡されると前記クリップの元端側の押下げが阻止されるようにしてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水コードコネクタボディは、前記引掛形接続器本体としての引掛形コードコネクタボディ本体と、本発明に係る一の回動ロック付き防水構造の前記第一のハウジングとを備えることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水コードコネクタボディにおいて、前記第一のハウジングの反接続端側には、被覆電線を挟持するためのグリップが設けられると共に、被覆電線の周囲の隙間に防水ブッシングが配置されてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水プラグは、前記引掛形接続器本体としての引掛形プラグ本体と、本発明に係る一の回動ロック付き防水構造の前記第二のハウジングとを備えることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水プラグにおいて、前記第二のハウジングの反接続端側には、被覆電線を挟持するためのグリップが設けられると共に、前記被覆電線の周囲の隙間に防水ブッシングが配置されてもよい。
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水パネルコンセントは、前記引掛形接続器本体としての引掛形パネルコンセント本体と、本発明に係る一の回動ロック付き防水構造の前記第一のハウジングとを備えることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水パネルコンセントにおいて、前記第一のハウジングの接続端側に嵌合可能なヒンジ式防水カバーを備え、前記ヒンジ式防水カバーには、前記第一のハウジングの前記クリップに係止可能なクリップ受けが設けられていてもよい。
【0016】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水パネルコンセントにおいて、前記クリップの先端側には、反り返し状の把手が設けられており、当該引掛形防水パネルコンセントの接続端に差込まれるべき引掛形防水プラグをユーザが手で把持したまま当該手の親指の背で前記クリップを開成できるようになっていてもよい。
【0017】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水フランジインレットは、前記引掛形接続器本体としての引掛形フランジインレット本体と、本発明に係る一の回動ロック付き防水構造の前記第二のハウジングとを備えることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水フランジインレットにおいて、前記第二のハウジングの接続端側に嵌合可能なヒンジ式防水カバーを備え、前記ヒンジ式防水カバーには、前記第二のハウジングの前記クリップ受けに係止可能なクリップが設けられていてもよい。
【0019】
上記課題を解決するために本発明に係る防水カバーは、本発明に係る一の引掛形防水コードコネクタボディの前記第一のハウジングの接続端側に嵌合可能な防水カバーであって、前記第一のハウジングの前記クリップを係止可能なクリップ受けが設けられていることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために本発明に係る防水カバーは、本発明に係る一の引掛形防水プラグの前記第二のハウジングの接続端側に嵌合可能な防水カバーであって、前記第二のハウジングの前記クリップ受けに係止可能なクリップが設けられていることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水パネルコンセント用アダプターは、本発明に係る一の引掛形防水パネルコンセントと取付け面との間に配置されるアダプターであって、前記第一のハウジングの外周に嵌合可能な開口を有することを特徴とする。なお、ここでいう「取付け面」は、引掛形・防水形接続器の取付け先となる面のことであって、壁面のみならず、機器等に設けられた平坦な面(パネル)なども含まれる。
【0022】
上記課題を解決するために本発明に係る引掛形防水フランジインレット用アダプターは、本発明に係る一の引掛形防水フランジインレットと取付け面との間に配置されるアダプターであって、前記第二のハウジングの外周に嵌合可能な開口を有することを特徴とする引掛形防水フランジインレット用アダプター。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る回動ロック付き防水構造は、一対の引掛形接続器本体の接続端以外を個別に覆うようにして取付けられた一対のハウジングを備え、これら一対のハウジングに回動ロック機能が搭載されているので、一対の引掛形接続器本体に対して防水性能(及び耐塵性能)と回動ロック機能との双方を付加することが可能である。よって、(既存の)引掛形接続器本体をそのまま利用できるので、引掛形・防水形接続器の製造コストは低く抑えられる。
しかも、ハウジング付きの一対の引掛形接続器本体を接続する際には、一方のハウジングをユーザが手で把持し、これを適当な姿勢で他方のハウジングへ嵌合させると、ガイドスロープの表面を摺動しながらクリップが開成されるので、一対の引掛形接続器本体の一方の刃受穴に他方の鍵状栓刃をスムーズに差込むことができる。
その後、ユーザが一対のハウジングを所定方向に相対的に回動させると、クリップの先端側がガイドスロープを横滑りしてガイドスロープから外れるので、クリップが閉成し、当該ガイドスロープに隣接するクリップ受けに「カチッ」という音を立てて係止される。このため、ユーザは、引掛形接続器本体同士を接続するときと同じ動作によって、一対のハウジングの嵌合による防水性能(及び耐塵性能)と回動ロック機能とを得ることができる。
そして、一対の引掛形接続器本体同士の接続を解除する際には、ユーザがクリップの元端側を手で押下げつつ、一対のハウジングを所定方向とは反対方向に相対的に回動させると、クリップの先端側がガイドスロープ上に乗るので、一対のハウジングを互いに離間させるだけで、クリップの先端側がガイドスロープの表面を滑り落ち、一対の引掛形接続器本体の接続がスムーズに解除される。このため、ユーザは、一対の引掛形接続器本体の接続を解除するときと同じ動作(回動及び引抜き)に、クリップ押下という動作を加えるだけで、一対のハウジングの接続を解除することができる。
以上の結果、本発明に係る回動ロック付き防水構造は、引掛形・防水形接続器の製造コストを抑えることが可能であり、しかも利便性が高いという効果を奏する。
【0024】
また、本発明に係る引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ、引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水フランジインレットは、本発明に係る回動ロック付き防水構造に適合した構造を有しているので、互換性が高いという効果を奏する。
また、本発明に係る防水カバー、引掛形防水パネルコンセント用アダプター、及び引掛形防水フランジインレット用アダプターも、本発明に係る回動ロック付き防水構造に適合した構造を有しているので、利便性が高いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本実施形態に係る回動ロック付き防水構造を備える引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの斜視図である。
【
図2】
図2は引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの平面図である。
【
図3】
図3は引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの概略断面図である。
【
図4】
図4は本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセントの斜視図である。(1)は防水カバーが閉鎖された状態、(2)は防水カバーが開放された状態を示している。
【
図5】
図5は本実施形態に係る引掛形防水フランジインレットの斜視図である。(1)は防水カバーが閉鎖された状態、(2)は防水カバーが開放された状態を示している。
【
図6】
図6は本実施形態に係る引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバーを説明する説明図である。(1)は防水カバーの取付け前の状態、(2)は防水カバーの取付け後の状態を示している。
【
図7】
図7は本実施形態に係る引掛形防水プラグ用防水カバーを説明する説明図である。(1)は防水カバーの取付け前の状態、(2)は防水カバーの取付け後の状態を示している。
【
図8】
図8は引掛形防水パネルコンセント用アダプターを説明する説明図である。(1)は引掛形防水パネルコンセントの取付け前の状態、(2)は引掛形防水パネルコンセントの取付け後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.カチッとロックシリーズの概要
以下、本実施形態に係る回動ロック付き防水構造、これを用いた引掛形・防水形接続器(引掛形防水コードコネクタボディ、引掛形防水プラグ、引掛形防水パネルコンセント、引掛形防水フランジインレット)、これらの引掛形・防水形接続器に適合した付属品(防水カバー、引掛形防水パネルコンセント用アダプター、引掛形防水フランジインレット用アダプター)について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1~3に示す回動ロック付き防水構造1、
図1~
図3に示す引掛形防水コードコネクタボディ10、
図1~
図3に示す引掛形防水プラグ20、
図4に示す引掛形防水パネルコンセント30、
図5に示す引掛形防水フランジインレット40は、例えばJIS規格や米国NEMA規格に準拠した定格の他、60A又は100Aといった高容量定格の被覆電線(電線コード、電線ケーブル等)に用いられる引掛形防水シリーズ(以下、「カチッとロックシリーズ」という。)であり、
図6に示す防水カバー50、
図7に示す防水カバー60、
図8に示す引掛形防水パネルコンセント用アダプター70、及び後述する引掛形防水フランジインレット用アダプター(不図示)は、カチッとロックシリーズの付属品である。
カチッとロックシリーズに属する刃受穴タイプの引掛形・防水形接続器(引掛形防水コードコネクタボディ10、引掛形防水パネルコンセント30の何れか)と栓刃タイプの引掛形・防水形接続器(引掛形防水プラグ20、引掛形防水フランジインレット40の何れか)とは、互いに接続可能であり、接続のための回動動作により「カチッ」と音を立ててロックされる(回動ロック)ようになっている。また、カチッとロックシリーズの付属品(防水カバー50、防水カバー60、引掛形防水パネルコンセント用アダプター70、後述する引掛形防水フランジインレット用アダプター)は、カチッとロックシリーズに属する刃受穴タイプ又は栓刃タイプの引掛形・防水形接続器に使用することが可能である。
そして、カチッとロックシリーズに属する引掛形・防水形接続器の各々は、基本的に、例えばJIS規格又は米国NEMA規格などの規格に準拠した引掛形接続器本体に、回動ロック付き防水構造のハウジングを取付けることにより、例えば外郭保護等級IP65を満たす防水性能(及び耐塵性能)と回動ロック機能との双方を発揮するものである。
このハウジングの主な材質としては、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂を採用することが可能であり、その製造には、主として金型を用いた樹脂成形が一般的であるが、それ以外にも例えば3Dプリンターを採用することも可能である。
したがって、カチッとロックシリーズに属する引掛形・防水形接続器は、ゴム製カバー、金属製プレート、金属製カバーなどを必要とせず、製造コストが低いというメリットがある。
以下、カチッとロックシリーズに属する引掛形・防水形接続器及びカチッとロックシリーズの付属品を詳細に説明する。
【0027】
1-1.回動ロック付き防水構造
以下、本実施形態のカチッとロックシリーズに係る回動ロック付き防水構造の一例として、引掛形コードコネクタボディ本体及び引掛形プラグ本体に取付けられた回動ロック付き防水機構を説明する。なお、後述する他の引掛形接続器本体に取付けられた回動ロック付き防水機構も、基本的に同様の機能を有している。
図1は本実施形態に係る回動ロック付き防水構造を備える引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの斜視図、
図2は引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの平面図、
図3は引掛形防水コードコネクタボディ及び引掛形防水プラグの概略断面図である。
図1,
図2,
図3に示すとおり、本実施形態の回動ロック付き防水構造1は、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21の接続端以外を個別に覆うようにして取付けられ、互いに嵌合可能な第一のハウジング13及び第二のハウジング23を備える。これら第一のハウジング13、第二のハウジング23の材質は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂である。
第一のハウジング13は、その接続端寄りに例えば接着又は溶着で接合された同じ材質のフランジ14と、フランジ14に取付けられたシーソー式のクリップ16とを備える。シーソー式のクリップ16は、クリップ受け25(後述)に係止可能な返し付きの先端側161と、操作レバーとしての元端側162と、先端側161と元端側162の間に設けられた回動シャフト164と、クリップ16の元端側162を挟持するようにして立設され、且つ回動シャフト164を軸支する一対の隔壁17,17と、回動シャフト164の周囲に巻付けられたトーションバネ163とを備える。クリップ16の材質は例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂であり、回動シャフト164及びトーションバネ163の材質は例えばステンレスなどの金属である。
第一のハウジング13のクリップ16は、先端側161が第二のハウジング23の側に向くような姿勢でフランジ14の外周に取り付けられ、クリップ16の元端側162の周方向の幅は、ユーザの親指で押下しやすいよう十分なサイズに設定されている。
第二のハウジング23は、その接続端寄りに例えば接着又は溶着で接合された同じ材質のフランジ24と、フランジ24の外周の所定位置に設けられたガイドスロープ25と、フランジ24の外周においてガイドスロープ25の周方向に隣接する位置に設けられた凹状のクリップ受け26と、第一のハウジング13との嵌合部にシーリングのために配置された例えば弁膜構造の防水パッキング241とを備える。防水パッキング241の材質は、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマー等である。
なお、第二のハウジング23に設けられたフランジ24は、第一のハウジング13に設けられたフランジ14に嵌合可能な形状をしている。
また、クリップ16の先端側161及びガイドスロープ25には、互いの位置合わせを容易にするために、例えば三角形マーク161M及び三角形マーク25Mがそれぞれ付されている。
また、第二のハウジング23の側に配置される防水パッキング241の表面には、接続時の回動操作が反復して行われることを踏まえて、摺動性を良くするためのフッ素樹脂コーティングなどが施されてもよい。
【0028】
1-2.回動ロック付き防水構造の動作
以下、本実施形態のカチッとロックシリーズに係る回動ロック付き防水構造1の動作を説明する。
ユーザは、例えば第一のハウジング13を右手で把持すると共に、第一のハウジング24を把持し、位置合わせ用のマーク161M,25M(
図2)が正対するような姿勢で第一のハウジング13のフランジ14と第二のハウジング23のフランジ24とを互いに近づけて嵌合させることにより、引掛形コードコネクタボディ本体11の刃受穴12,12,12に引掛形プラグ本体21の鍵状栓刃22,22,22を差込むことができる。
この差込みの際には、第二のハウジング23のガイドスロープ25が第一のハウジング13のクリップ16の先端側161を滑らかに押上げて開成するので、クリップ16が差込みの障害とはならず、差込みはスムーズに行われる。
その後、接続のためにユーザが第一のハウジング13及び第二のハウジング23を右回り(右ネジを締める方向)に相対的に回動させると、刃受穴12,12,12の奥に設けられた刃受に鍵状栓刃22,22,22が係止される。この回動の際には、第一のハウジング13のクリップ16の先端側161は、第二のハウジング23のガイドスロープ25を横滑りした後に、そのガイドスロープ25から外れるので、そのガイドスロープ25に隣接するクリップ受け26に先端側161が落とし込まれ、「カチッ」という音を立てて係止される。これによって、引掛形プラグ本体21と引掛形コードコネクタボディ11とが回動ロックされる。
このようにして回動ロックされると、第一のハウジング13のクリップ16の先端側161が開成されない限りは、クリップ受け26に対する先端側161の係止が解かれないので、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21の回動戻りが生じない。これによって、回動ロックが維持される。
そして、引掛形プラグ本体21及び引掛形コードコネクタボディ本体11の接続を解除する際には、ユーザがクリップ16の元端側162を右手親指の腹で押下げつつ、第一のハウジング13及び第二のハウジング14を左回り(右ネジを緩める方向)に相対的に回動させる。この回動により、第一のハウジング13のクリップ16の先端側161が第二のハウジング23のガイドスロープ25の上に乗る。
その後は、ユーザがクリップ16の元端側162を指で押下げなくとも、第一のハウジング13及び第二のハウジング23を互いに離間させるだけで、クリップ16の先端側161がガイドスロープ25の表面を滑り落ちるので、引掛形コードコネクタボディ本体11に対する引掛形プラグ本体21の接続がスムーズに解除される。
【0029】
1-3.二重ロック構造
以下、本実施形態の回動ロック付き防水構造の二重ロック構造について説明する。
図2に示すとおり、本実施形態の回動ロック付き防水構造1において、一対の隔壁17,17には、貫通孔171,171が同軸で設けられており、これら一対の貫通孔171,171の間に結束バンドが架渡されると、クリップ16の元端側162の押下げが阻止されるようになっている。
ユーザは、例えば2.5mm×1mmサイズの結束バンドのストラップを貫通孔171,171へ通してから、結束バンドのヘッドにテールを通し、そのテール部を引っ張ることにより、バンドを締めて結束バンドを固定することができる。
その後は、結束バンドを切断しない限り、貫通孔171,171の間に架渡された結束バンドが緩まないので、クリップ16の元端側162の押下げが阻止されることになる。その結果、回動ロック付き防水構造1の回動ロックが二重ロックされる。
【0030】
1-4.引掛形防水コードコネクタボディ
以下、
図1~
図3を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水コードコネクタボディ10に固有の構造について説明する。
本実施形態に係る引掛形防水コードコネクタボディ10は、
図3に示すとおり引掛形コードコネクタボディ本体11と前述した第一のハウジング13とを備える。
第一のハウジング13の内壁の反接続端寄りには、引掛形コードコネクタボディ本体11に予め設けられた複数のネジ受けと同軸で複数のネジ受け131がリブ状に設けられている。第一のハウジング13の内部に引掛形コードコネクタボディ本体11を挿入してから、これらネジ受けの各々に取付用ネジ132(
図3)を差込んで締付けると、第一のハウジング13に引掛形コードコネクタボディ本体11を取付けることができる。
また、第一のハウジング13の反接続端側には、引掛形コードコネクタボディ本体11の反接続端側から延在する不図示の被覆電線を挟持するための一対のグリップ19,19が取付けられている。一対のグリップ19,19には、一対のグリップ19,19を互いに固定するためのネジ受け193,193が設けられており、そのネジ受け193,193にグリップネジ192,192を差込んで締付けると、一対のグリップ19,19で被覆電線をしっかりと挟持することができる。
なお、第一のハウジング13のうち、一対のグリップ19,19の取付け箇所の近傍には、シーリングのために例えば弁膜構造の防水ブッシング191が配置されており、被覆電線の周囲の隙間を充填して浸水を防いでいる。防水ブッシング191の材質は、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマー等である。
【0031】
1-5.引掛形防水プラグ
以下、
図1~
図3を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水プラグ20に固有の構造について説明する。
本実施形態に係る引掛形防水プラグ20は、
図3に示すとおり引掛形プラグ本体21と前述した第二のハウジング23とを備える。
第二のハウジング23の内壁の反接続端寄りには、引掛形プラグ本体21に予め設けられた複数のネジ受けと同軸で複数のネジ受け231がリブ状に設けられている。第二のハウジング23の内部に引掛形プラグ本体21を挿入してから、これらネジ受けの各々に取付用ネジ232(
図3)を差込んで締付けると、第二のハウジング23に引掛形プラグ本体21を取付けることができる。
また、第二のハウジング23の反接続端側には、引掛形プラグ本体21の反接続端側から延在する不図示の被覆電線を挟持するための一対のグリップ29,29が取付けられている。一対のグリップ29,29には、一対のグリップ29,29を互いに固定するためのネジ受け293,293が設けられており、そのネジ受け293,293にグリップネジ292,292を差込んで締付けると、一対のグリップ29,29で被覆電線をしっかりと挟持することができる。
なお、第二のハウジング23のうち、一対のグリップ29,29の取付け箇所の近傍には、シーリングのために例えば弁膜構造の防水ブッシング291が配置されており、被覆電線の周囲の隙間を充填して浸水を防いでいる。防水ブッシング291の材質は、クロロプレンゴム、軟質エラストマー等である。
【0032】
1-6.引掛形防水パネルコンセント
以下、
図4を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水パネルコンセント30の構造について説明する。
図4は本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセントの斜視図である。
図4に示すとおり、本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセント30は、引掛形パネルコンセント本体31と、引掛形パネルコンセント本体31の接続端以外を覆うようにして取付けられた第一のハウジング33とを備える。この第一のハウジング33の材質は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂である。
第一のハウジング33は、前述した第一のハウジング13と同じ機能を有しており、接続端寄りに例えば接着又は溶着で接合された同じ材質のフランジ34と、フランジ34の上部側に設けられたクリップ36とを備える。このクリップ36は、前述したクリップ16と同様の機能を有している。
したがって、本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセント30は、上述した引掛形防水プラグ20と組み合わせた際に、上述した回動ロック付き防水構造1と同じ機能を発揮することができる。
また、第一のハウジング33には、パネルコンセントに固有の構造として、第一のハウジング33の周囲に設けられた平面視略四角形のベース341と、フランジ34の下部側に取付けられるヒンジ391と、ヒンジ391を介してフランジ34に取付けられ、且つ、第一のハウジング33の接続端側に嵌合可能な例えばポリカーボネート樹脂製の丸蓋状のヒンジ式防水カバー39と、ヒンジ式防水カバー39のうち第一のハウジング33との嵌合部にシーリングのために配置された例えば弁膜構造の防水パッキング393とを備える。防水パッキング393の材質は、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマー等である。
このヒンジ式防水カバー39の反ヒンジ側には、第一のハウジング33のクリップ36を係止可能なクリップ受け392が設けられている。よって、ヒンジ式防水カバー39が閉鎖される際、すなわち引掛形防水パネルコンセント30の接続端をカバーする際には、このクリップ受け392にクリップ36の先端側361が係止される。
また、クリップ36の元端側をユーザが押下すると、ヒンジ式防水カバー39が開放(例えば180°展開)される。このヒンジ式防水カバー39は、角度維持の機構を持たない「フリー可動の蓋」であるが、カバーの全開位置でのグラつき幅を減少する構造(突起)を有していることが望ましい。
なお、ベース341の表面側には敷設(固定)のための取付穴342が設けられており、取付け面側には、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマーなどの材質のベースパッキング343が設けられており、これによって防水性能(及び耐塵性能)を得ることが可能である。
また、ヒンジ式防水カバー39の材質を透明又は半透明とすることにより当該カバーに光透過性を付与すれば、カバーをしたまま接続端のタイプ(刃受穴タイプ/栓刃タイプの別。ここでは刃受穴タイプであること。)を確認できるので便利である。
また、本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセント30において、クリップ36の先端側361には、反り返し状の把手が設けられている。この反り返し状の把手は、取付け面側に向かって引掛形防水パネルコンセント30を見たときに、手前上側に向かって反り返された形状をしている。
よって、例えば、引掛形防水パネルコンセント30の接続端に差込まれるべき引掛形防水プラグ20をユーザが手で把持した場合に、これを把持したまま同じ手の親指の背でクリップ36を開成することができる。つまり、ユーザは、引掛形防水プラグ20を把持した一方の手でヒンジ式防水カバー39を開閉することもできるし、引掛形防水プラグ20を把持した一方の手で引掛形防水パネルコンセント30に引掛形防水プラグ20を接続すること(カチッとロックすること)も可能である。
【0033】
1-7.引掛形防水フランジインレット
以下、
図5を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水フランジインレット40の構造について説明する。
図5は本実施形態に係る引掛形防水フランジインレットの斜視図である。
図5に示すとおり、本実施形態に係る引掛形防水フランジインレット40は、引掛形フランジインレット本体41と、引掛形フランジインレット本体41の接続端以外を覆うようにして取付けられた第二のハウジング43とを備える。この第二のハウジング43の材質は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂である。
第二のハウジング43は、前述した第二のハウジング23と同じ機能を有しており、接続端寄りに例えば接着又は溶着で接合された同じ材質のフランジ44と、フランジ44の上部側に設けられたガイドスロープ45と、ガイドスロープ45に隣接して設けられたクリップ受け46とを備える。このガイドスロープ45及びクリップ受け46は、前述したガイドスロープ25及びクリップ受け26と同様の機能を有している。
したがって、本実施形態に係る引掛形防水フランジインレット40は、上述した引掛形防水コードコネクタボディ10と組み合わせた際に、上述した回動ロック付き防水構造1と同じ機能を発揮することができる。
また、第二のハウジング43には、フランジインレットに固有の構造として、第二のハウジング43の周囲に設けられた平面視略四角形のベース441と、フランジ44の下部側に取付けられるヒンジ491と、ヒンジ491を介してフランジ44に取付けられ、且つ、第二のハウジング43の接続端側に嵌合可能な例えばポリカーボネート樹脂製の丸蓋状のヒンジ式防水カバー49とを備える。
このヒンジ式防水カバー49の反ヒンジ側には、第二のハウジング43のクリップ受け46に係止可能なクリップ492が設けられている。よって、ヒンジ式防水カバー49が閉鎖される際、すなわち引掛形防水フランジインレット40の接続端をカバーする際には、このクリップ492の先端側がクリップ受け46に係止される。
また、クリップ492の元端側をユーザが押下すると、ヒンジ式防水カバー49が開放(例えば180°展開)される。このヒンジ式防水カバー49は、角度維持の機構を持たない「フリー可動の蓋」であるが、カバーの全開位置でのグラつき幅を減少する構造(突起)を有していることが望ましい。
なお、ベース441の表面側には敷設(固定)のための取付穴442が設けられており、取付け面側には、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマーなどの材質のベースパッキング443が設けられており、これによって防水性能(及び耐塵性能)を得ることが可能である。
また、ヒンジ式防水カバー49の材質を透明又は半透明とすることにより当該カバーに光透過性を付与すれば、カバーをしたまま接続端のタイプ(刃受穴タイプ/栓刃タイプの別。ここでは栓刃タイプであること。)を確認できるので便利である。
【0034】
1-8.引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバー
以下、
図6を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバー50の構造について説明する。
図6は本実施形態に係る引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバーを説明する説明図である。
図6に示すとおり、本実施形態に係る引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバー50は、引掛形防水コードコネクタボディ10の第一のハウジング13の接続端側に嵌合可能な例えばポリカーボネート樹脂製の丸蓋状の防水カバーであって、フランジ14のクリップ16の先端側161に係止可能なクリップ受け56と、フランジ14との嵌合部にシーリングのために配置された例えば弁膜構造の防水パッキング59とを備える。防水パッキング59の材質は、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマー等である。
この防水カバー50の頂部には、先端側がループ571になった例えばナイロン樹脂製のストラップ57がストッパ58により取付けられている。使用時には、このストラップ57のループ571が引掛形防水コードコネクタボディ10の第一のハウジング13の周囲に係止される。
したがって、防水カバー50は、未使用時の引掛形防水コードコネクタボディ10に防水性能(及び耐塵性能)を付与できるだけでなく、引掛形防水コードコネクタボディ10のクリップ16を利用することにより、引掛形防水コードコネクタボディ10の接続端側を開放したり閉鎖したりするので、効率的である。
また、防水カバー50の材質を透明又は半透明とすることにより当該カバーに光透過性を付与すれば、カバーをしたまま接続端のタイプ(刃受穴タイプ/栓刃タイプの別。ここでは刃受穴タイプであること。)を確認できるので便利である。
【0035】
1-9.引掛形防水プラグ用防水カバー
以下、
図7を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水プラグ用防水カバー60の構造について説明する。
図7は本実施形態に係る引掛形防水プラグ用防水カバーを説明する説明図である。
図7に示すとおり、本実施形態に係る引掛形防水プラグ用防水カバー60は、引掛形防水プラグ20の第二のハウジング23の接続端側に嵌合可能な例えばポリカーボネート樹脂製の丸蓋状の防水カバーであって、フランジ24のクリップ受け26に係止可能なクリップ66を備える。
この防水カバー60の頂部には、先端側がループ671になった例えばナイロン樹脂製のストラップ67がストッパ68により取付けられている。使用時には、このストラップ67のループ671が引掛形防水プラグ20の第二のハウジング23の周囲に係止される。
したがって、防水カバー60は、未使用時の引掛形防水プラグ20に防水性能(及び耐塵性能)を付与できるだけでなく、引掛形防水プラグ20のクリップ受け26を利用することにより、引掛形防水プラグ20の接続端側を開放したり閉鎖したりするので、効率的である。
また、防水カバー60の材質を透明又は半透明とすることにより当該カバーに光透過性を付与すれば、カバーをしたまま接続端のタイプ(刃受穴タイプ/栓刃タイプの別。ここでは栓刃タイプであること。)を確認できるので便利である。
【0036】
1-10.引掛形防水パネルコンセント用アダプター
以下、
図8を参照して本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水パネルコンセント用アダプター70の構造について説明する。
図8は引掛形防水パネルコンセント用アダプターを説明する説明図である。
図8に示すとおり、本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセント用アダプター70は、上述した引掛形防水パネルコンセント30と取付け面側との間に配置される台座(取付補助具)であって、引掛形防水パネルコンセント30の第一のハウジング33の外周に嵌合可能な円形の開口71と、引掛形防水パネルコンセント30のベース34に嵌合可能な平面視四角形の凹部72とを備える。この引掛形防水パネルコンセント用アダプター70材質は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂である。
この引掛形防水パネルコンセント用アダプター70は、取付け面側に敷設済みの(既存の)防水プレート(防噴流)を利用しつつ、本実施形態に係る引掛形防水パネルコンセント30を使用可能とするためのオプション部品である。引掛形防水パネルコンセント30への取替えの際は、敷設済みの埋込コンセントを除去した後、取付け面に収められたコンセントボックス(例えば取付穴ピッチ48×83.5mm)を利用して引掛形防水パネルコンセント用アダプター70の取付穴73よりネジ止めにて固定し、この引掛形防水パネルコンセント用アダプター70の上に、引掛形防水パネルコンセント30を引掛形防水パネルコンセント取付用ネジ受け74にネジ止めすればよい。
なお、この引掛形防水パネルコンセント用アダプター70の取付け面側には、例えばクロロプレンゴム、軟質エラストマーなどの材質のベースパッキング75が設けられており、これによって防水性能(及び耐塵性能)を得ることが可能である。
また、ここでは、引掛形防水パネルコンセント30に適合した引掛形防水パネルコンセント用アダプター70を説明したが、引掛形防水フランジインレット40に適合した引掛形防水フランジインレット用アダプターを同様に実現してもよい。この引掛形防水フランジインレット用アダプターは、引掛形防水フランジインレット40と取付け面との間に配置されるアダプターであって、引掛形防水フランジインレット40の第二のハウジング43の外周に嵌合可能な開口を有する。
【0037】
2.実施形態の効果
以下、本実施形態のカチッとロックシリーズの効果について説明する。ここでは、一対の引掛形・防水形接続器として、引掛形防水コードコネクタボディ10及び引掛形防水プラグ20の組み合わせを例に挙げるが、他の組み合わせについても同様の効果が得られる。
本実施形態のカチッとロックシリーズの回動ロック付き防水構造1は、一対のハウジング13,23を備え、一対のハウジング13,23に回動ロック機能が搭載されているので、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21に対して防水性能(及び耐塵性能)と回動ロック機能との双方を付加することが可能である。よって、既存の引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21をそのまま利用することができるので、引掛形防水コードコネクタボディ10及び引掛形防水プラグ20の製造コストは低く抑えられる。
しかも、引掛形防水コードコネクタボディ10と引掛形防水プラグ20とを接続する際には、一方のハウジング13をユーザが手で把持し、これを適当な姿勢で他方のハウジング23へ嵌合させると、ガイドスロープ25の表面を摺動しながらクリップ16が開成されるので、引掛形コードコネクタボディ本体11の刃受穴12に引掛形プラグ本体21の鍵状栓刃22をスムーズに差込むことができる。
その後、ユーザが一対のハウジング13,23を右周りに回動させると、クリップ16の先端側161がガイドスロープ25を横滑りしてガイドスロープ25から外れるので、クリップ16が閉成し、当該ガイドスロープ25に隣接するクリップ受け26に「カチッ」という音を立てて係止される。このため、ユーザは、引掛形コードコネクタボディ本体11と引掛形プラグ本体21とを接続するときと同じ動作によって、一対のハウジング13,23の嵌合による防水性能(及び耐塵性能)と、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21の回動戻りを防止する機能(回動ロック機能)とを得ることができる。
そして、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21の接続を解除する際には、ユーザがクリップ16の元端側162を手で押下げつつ、一対のハウジング13,23を左周りに回動させると、クリップ16の先端側161がガイドスロープ25上に乗るので、一対のハウジング13,23を互いに離間させるだけで、クリップ16の先端側161がガイドスロープ25の表面を滑り落ち、スムーズに接続が解除される。このため、ユーザは、引掛形コードコネクタボディ本体11及び引掛形プラグ本体21の接続を解除するときと同じ動作(回動及び引抜き)に、クリップ16の押下という動作を加えるだけで接続を解除することができる。
以上の結果、本実施形態のカチッとロックシリーズの回動ロック付き防水構造1は、引掛形防水コードコネクタボディ10及び引掛形防水プラグ20の製造コストを抑えることが可能であり、しかも利便性が高い。
【0038】
また、本実施形態のカチッとロックシリーズに属する引掛形防水コードコネクタボディ10、引掛形防水プラグ20、引掛形防水パネルコンセント30、引掛形防水フランジインレット40は、いずれもカチッとロックシリーズの回動ロック付き防水構造1に適合した構造を有しているので、互換性が高い。また、カチッとロックシリーズの付属品である防水カバー50,60、引掛形防水パネルコンセント用アダプター70、引掛形防水フランジインレット用アダプター(不図示)は、いずれもカチッとロックシリーズの回動ロック付き防水構造1に適合した構造を有しているので、利便性が高い。
【0039】
3.変形例
3-1.防水パッキングの配置先について
上述した実施形態では、防水パッキングの配置先を、栓刃タイプの引掛形・防水形接続器の側及び刃受穴タイプの引掛形・防水形接続器の防水カバーの側としたが、刃受穴タイプの引掛形・防水形接続器の側、及び栓刃タイプの引掛形・防水形接続器の防水カバーの側としてもよい。
【0040】
3-2.反転した構造について
上述した実施形態又は変形例では、クリップの設け先を、刃受穴タイプの引掛形・防水形接続器の側及び栓刃タイプの引掛形・防水形接続器の防水カバーの側とし、クリップ受け(及びガイドスロープ)の設け先を、栓刃タイプの引掛形・防水形接続器の側及び刃受穴タイプの引掛形・防水形接続器の防水カバーの側としたが、クリップの設け先と、クリップ受け(及びガイドスロープ)の設け先とを反転させてもよい。但し、本願発明者等が行った試作の結果、反転させない場合(
図1~
図8のとおり)の方が接続器サイズを小型化できるというメリットのあることが判明している。
【0041】
3-3.ハウジングへの引掛形接続器本体の固定方法について
上述した実施形態又は変形例では、ハウジングの内壁に設けられたネジ受けと、引掛形接続器本体に予め設けられたネジ受けと、ネジとによって、引掛形接続器本体とハウジングとを固定したが、他の固定方法を採用してもよい。例えば、引掛形接続器本体の周囲の形状に係止可能な係止部をハウジングの内壁に設けるなどの別の方法を採用してもよい。
また、上述した実施形態又は変形例では、ハウジングの内部に装着される引掛形接続器本体の回転位置が必ず適切になるように、不適切な姿勢だと引掛形接続器本体が挿入できないような形状にハウジングの内壁が設定されていることが好ましい。
【0042】
3-4.その他
その他、上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々に変形することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 回動ロック付き防水構造
10 引掛形防水コードコネクタボディ
11 引掛形コードコネクタボディ本体
12,12,12 刃受穴
13 第一のハウジング
131 ネジ受け
132 取付用ネジ
14 フランジ
16 クリップ
161 先端側
161M 位置合わせ用のマーク
162 元端側
163 トーションバネ
164 回動シャフト
17,17 隔壁
171,171 貫通孔
19,19 グリップ
191 防水ブッシング
192,192 グリップネジ
193 ネジ受け
20 引掛形防水プラグ
21 引掛形プラグ本体
22 鍵状栓刃
23 第二のハウジング
231 ネジ受け
232 取付用ネジ
24 フランジ
241 防水パッキング
25 ガイドスロープ
25M 位置合わせ用のマーク
26 クリップ受け
29,29 グリップ
291 防水ブッシング
292,292 グリップネジ
293 ネジ受け
30 引掛形防水パネルコンセント
31 引掛形パネルコンセント本体
32,32,32 刃受穴
33 第一のハウジング
34 フランジ
341 ベース
342 取付穴
343 ベースパッキング
36 クリップ
361 反り返し状の把手が設けられた先端側
362 元端側
39 ヒンジ式防水カバー
391 ヒンジ
392 クリップ受け
393 防水パッキング
40 引掛形防水フランジインレット
41 引掛形フランジインレット本体
42,42,42 鍵状栓刃
43 第二のハウジング
431 防水パッキング
44 フランジ
441 ベース
442 取付穴
443 ベースパッキング
45 ガイドスロープ
46 クリップ受け
49 ヒンジ式防水カバー
491 ヒンジ
492 クリップ
50 引掛形防水コードコネクタボディ用防水カバー
56 クリップ受け
57 ストラップ
571 ループ
58 ストッパ
59 防水パッキング
60 引掛形防水プラグ用防水カバー
66 クリップ
67 ストラップ
671 ループ
68 ストッパ
70 引掛形防水パネルコンセント用アダプター
71 開口
72 凹部
73 取付穴
74 引掛形防水パネルコンセント取付用ネジ受け
75 ベースパッキング
【要約】
【課題】製造コストを抑えることが可能であり、しかも利便性の高い回動ロック付き防水構造を提供する。
【解決手段】回動ロック付き防水構造1は、引掛形接続器本体11,21の接続端以外を個別に覆うようにして取付けられ、互いに嵌合可能なハウジング13,23を備え、ハウジング13には、ハウジング23の側に先端側を向けたシーソー式のクリップ16が取付けられ、ハウジング23には、クリップ16の先端側161を滑らかに押上げて開成するガイドスロープ25と、ガイドスロープ25に隣接するクリップ受け26とが備えられ、クリップ16の先端側161が開成されない限りは引掛形接続器本体11,21の回動戻りが生じないようにした。
【選択図】
図1