(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】繰出し容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/04 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A45D40/04 B
(21)【出願番号】P 2020146252
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-140509(JP,U)
【文献】登録実用新案第3213879(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0090613(US,A1)
【文献】特開平07-285291(JP,A)
【文献】中国実用新案第206699691(CN,U)
【文献】実開昭63-194179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に窓部(21B)が形成されたケース本体(21)と先端に棒状物(P)を繰り出す開口部(22a)が形成されたノズル部(22)とが連結されたケース(20)と、先端に棒状物(P)を保持すると共に前記窓部(21B)を介して外部に突出する操作用突起(23D)を有して前記ケース(20)の内側に摺動自在に配置されたスライド部材(23)と、を備えた繰出し容器であって、
前記ケース本体(21)と前記スライド部材(23)とが対向する部分に、前記スライド部材(23)の移動を規制するロック手段が設けられ
ると共に、
前記操作用突起(23D)が前記窓部(21B)の内側領域内を長手方向及び周方向に移動可能に設けられていることを特徴とする繰出し容器。
【請求項2】
ロック手段は、スライド部材(23)側に形成された蛇腹状の凹凸部(23b)と、ケース本体(21)に形成されて前記凹凸部(23b)に係合する係止突片(21a)により構成される請求項1記載の繰出し容器。
【請求項3】
一対の係止突片(21a)が、ケース本体(21)の細径部(21A)の内周面で且つ軸対称を成す位置に形成されている請求項2記載の繰出し容器。
【請求項4】
スライド部材(23)が、側面に操作用突起(23D)が形成された有頂筒形状からなる基端部(23A)と、該基端部(23A)の頂壁(23a)に垂直に起立設された棒状の軸部(23B)と、該軸部(23B)の先端に設けられて棒状物(P)の保持を可能とする保持部(23C)とを有して形成されており、前記軸部(23B)の外周面上で且つ軸対称を成す位置に一対の凹凸部(23b)が設けられている請求項2又は3記載の繰出し容器。
【請求項5】
軸部(23B)の周囲で且つ一方の凹凸部(23b)と他方の凹凸部(23b)との間に、一対の非係止空間部(23c)が長手方向に沿って設けられている請求項4記載の繰出し容器。
【請求項6】
スライド部材(23)は、基端部(23A)がケース本体(21)の内側に長手方向及び周方向に摺動可能に挿嵌されている請求項5記載の繰出し容器。
【請求項7】
窓部(21B)の側部に、棒状物(P)の残量を測るインジケータ(21c)が設けられている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の繰出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内部に収納された棒状の内容物を、ケース先端の開口部から自在に繰り出して使用する繰出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒状の内容物(以下「棒状物」という)、例えばアイライナーやリップライナーなどの棒状の化粧料、あるいは鉛筆の芯材又は消しゴムなどの棒状の筆記具等を、棒状のケースの先端から必要な量だけ自在に繰り出して使用できる繰出し容器として、例えば特許文献1に示されるような先行技術が知られている。
特許文献1に記載の繰出し容器は、いわゆる回転式の繰出し容器であり、内周面に螺旋溝が形成された外筒と、挟持片に対応する二つのスリットを有して外筒内に嵌挿される内筒と、外筒に対する内筒の回転を許容しつつ軸線方向への移動を阻止するロック手段と、棒状物を挟持する二つの挟持片が設けられると共に内筒内に摺動自在に嵌挿された棒状物ホルダを有して構成され、外筒に対して内筒を相対回転させると、外筒の螺旋溝に、棒状物ホルダの突起が係合され、棒状物ホルダがその突起を嵌め込んだ内筒のスリットに沿って案内されながら軸方向に移動して棒状物ホルダに保持された棒状物が回転方向に応じて内筒から繰り出される、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の繰出し容器では、棒状物が必要以上に大きく繰り出され易いという問題がある。
【0005】
また外筒と内筒とを相対回転させる構成であることから、片手で操作することが困難であり、また外部から棒状物の残量を把握し難いという問題もある。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、片手の操作だけで適量の棒状物を繰り出すことができ、また棒状物の残量を容易に把握できるようにした繰出し容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
側面に窓部が形成されたケース本体と先端に棒状物を繰り出す開口部が形成されたノズル部とが連結されたケースと、先端に棒状物を保持すると共に窓部を介して外部に突出する操作用突起を有してケースの内側に摺動自在に配置されたスライド部材と、を備えた繰出し容器であって、
ケース本体とスライド部材とが対向する部分に、スライド部材の移動を規制するロック手段が設けられると共に、
前記操作用突起が前記窓部の内側領域内を長手方向及び周方向に移動可能に設けられていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、片手の親指等を用いて操作するだけで棒状物の繰り出し及びその戻しができるため、操作性を向上させることができる。
また操作用突起を操作するだけで、先端に棒状物を保持するスライド部材の長手方向への移動及び周方向への回転を容易に達成できる。
【0008】
本発明の他の手段は、上記主たる手段に、ロック手段は、スライド部材側に形成された蛇腹状の凹凸部と、ケース本体に形成されて凹凸部に係合する係止突片により構成される、との手段を加えたものである。
上記手段では、ロック手段におけるロック操作とその解除操作を簡単に行うことができる。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記手段に、一対の係止突片が、ケース本体の細径部の内周面で且つ軸対称を成す位置に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、軸対称に配置された一対の係止突片を用いて両側から係止することができるため、ロック手段におけるロック操作を確実に行うことが可能となる。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、スライド部材が、側面に操作用突起が形成された有頂筒形状からなる基端部と、基端部の頂壁に垂直に起立設された棒状の軸部と、軸部の先端に設けられて棒状物の保持を可能とする保持部とを有して形成されており、軸部の外周面上で且つ軸対称を成す位置に一対の凹凸部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、片手の親指等で基端部に設けられた操作用突起を操作することにより、軸部の先端の保持部に保持されている棒状物を容易に繰り出すことができ、またケース本体側に設けられた一対の係止突片が軸部に設けられた一対の凹凸部を夫々係止することが可能となることから、ロック手段におけるロック操作を確実に行うことが可能となる。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記手段に、軸部の周囲で且つ一方の凹凸部と他方の凹凸部との間に、一対の非係止空間部が長手方向に沿って設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、ケース本体側に設けられた一対の係止突片を一対の非係止空間部内に夫々位置することにより、スライド部材が自在に摺動可能なフリー状態に設定することができる。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記手段に、スライド部材は、基端部がケース本体の内側に長手方向及び周方向に摺動可能に挿嵌されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、スライド部材を長手方向に移動させることにより、棒状物の繰り出し及びその戻しが可能となり、またスライド部材を周方向に回転させることにより、スライド部材をロック状態からフリー状態に、及びフリー状態からロック状態に容易に変更することが可能となる。
【0014】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、窓部の側部に、棒状物の残量を測るインジケータが設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、長手方向における操作用突起の位置をインジケータで測定することにより、棒状物の残量を容易に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、片手の親指等を用いて操作するだけで、ケースの先端からの棒状物の繰り出しとその戻しを容易に行うことが可能となるため、繰出し容器の操作性を向上させることができる。
また凹凸部のピッチ寸法を細かく設定することにより、棒状物が必要以上に大きく繰り出されてしまうことを防止することが可能となる。
更に棒状物を適量繰り出した状態で、操作用突起を回転させることにより、繰出し容器を繰出しロック状態に設定することができる。
またインジケータを利用することにより、棒状物の残量を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施例としての繰出し容器を示し、(a)はキャップの半断面図及びケースの断面図、(b)はケースの平面図である。
【
図3】(a)は棒状物がケース内に収納されると共に初期のロック状態を示す容器本体の断面図、(b)はその正面図である。
【
図4】(a)は棒状物がケース先端から繰り出すと共にフリー状態を示す容器本体の断面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図5】(a)は棒状物がケース先端から繰り出されると共に再度のロック状態を示す容器本体の断面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図6】(a)は
図4(a)中のVIa-VIa線における断面図、(b)は
図5(a)中のVIb-VIb線における断面図である。
【
図7】本発明の第2実施例としての繰出し容器を示す断面図である。
【
図8】(a)は第2実施例におけるケースの断面図、(b)はその正面図である。
【
図9】ケースの平面図を示し、(a)は第1の実施形態、(b)は第2実施形態、(c)は第3実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の繰出し容器1は、例えば棒状に形成されたアイライナー、アイブロウ、アイシャドウ又は口紅などの化粧料、あるいは棒状に形成されて成る鉛筆の芯材又は消しゴムなどの筆記具等の棒状物を収納し、使用者の操作に応じてケースの先端から棒状物が繰り出すことで使用できるようにするものである。
【0018】
先ず本発明の第1実施例に説明する。
図1は本発明の第1実施例としての繰出し容器を示し、(a)はキャップの半断面図及びケースの断面図、(b)はケースの平面図、
図2は
図1(a)におけるA部拡大図である。
図1に第1実施例として示す繰出し容器1は、棒状物を収納するケース20と棒状物Pが繰り出される先端部を保護する有頂筒状から成るキャップ10とを有して構成され、これらはすべて合成樹脂材料を射出成形することにより形成されている。
【0019】
ケース20は、ケース本体21と、ケース本体21の先端に連結されるノズル部22と、ケース本体21及びノズル部22の内部に移動可能に設けられたスライド部材23とを有して形成されている。
ケース本体21は頂部及び底部が開口する長筒状の部材であり、頂部側には複数の段差を介して連設された細径部21Aが形成され、
図2及び
図6(a)(b)に示すように、細径部21Aの先端の内周面で軸対称となる位置には、径方向内側に向かって突出する一対の係止突片21aが設けられている。また細径部21Aの下端の位置には、被係止部21bが突設されている。
【0020】
またケース本体21の底部側の側面には縦長略長方形状に開口形成された窓部21Bが設けられている。
図3(b)、
図4(b)に示すように、窓部21Bの下端の位置の図示左側の位置には「Lock」と印刷表示され、その右側の位置には「Free」と印刷表示されている。また
図4(c)に示すように、窓部21Bの側部には、棒状物Pの残量を示すインジケータ21cが印刷表示されている。本実施例に示すインジケータ21cは、太い破線が下側から上側に向かって徐々に細くなるように表示したものであり、下側の位置が最も残量が多く、上方の位置ほど残量が少ないことを示している。
またケース本体21の下端の内周面には、断面凸状から成る被係止突起21dが環状又は間欠的に突設されている。
【0021】
ノズル部22は基端部から先端部に向かって徐々に縮径する筒状の部材であり、先端部には棒状物を繰り出す開口部22aが長手方向に沿って穿設されている。そして、ノズル部22の基端側の内面には係止部22bが形成されており、ケース本体21の細径部21Aの外周面に形成された被係止部21bに係合することでノズル部22がケース本体21に対して不動に組み付き固定されている。
【0022】
スライド部材23は、下端が開口形成された有頂筒形状からなる基端部23Aと基端部23Aの頂壁23aに垂直に起立設された棒状の軸部23Bと、軸部23Bの先端に設けられた保持部23Cとを有して形成されている。基端部23Aの側面には径方向外側に向かって突設され、ケース本体21に設けられた窓部21Bから外部に突出する操作用突起23Dが形成されている。基端部23Aはケース本体21の内側に長手方向及び周方向に摺動可能に挿嵌されており、操作用突起23Dは窓部21Bの内側領域内を長手方向及び周方向に自在に移動可能に構成されている。使用者は、片手のいずれかの指、例えば親指(以下、「親指等」という)を使用して操作用突起23Dを簡単に操作することが可能とされている。
また基端部23Aの下端の外周面には、ケース本体21に形成された被係止突起21dに係合する断面凸状の係止突起23dが環状又は間欠的に突設されている。
【0023】
軸部23Bの略中間高さ位置で且つ軸部23Bの外周面上で互いに軸対称を成す位置には、多数の小さな凹凸を長手方向に沿って連続的に並設されてなる一対の蛇腹状の凹凸部23bが突設されている。この一対の凹凸部23bには、後述するようにロック状態においてケース本体21に設けられた一対の係止突片21aが係合可能に構成されている。
【0024】
凹凸部23bを形成する凹凸の外径寸法は軸部23Bの外形寸法と同寸法である。
図6(a)(b)に示すように、軸部23Bの周囲で且つ一方の凹凸部23bと他方の凹凸部23bとの間には、一対の非係止空間部23cが長手方向に沿って設けられている。後述するように、フリー状態において、この一対の非係止空間部23c内には一対の係止突片21aが位置することが可能となっている。
【0025】
図1(a)に示すように、保持部23Cには棒状物Pを保持するためのホルダ24が取り付けられている。ホルダ24は、棒状物Pの断面形状に応じて形成された専用品であり、本実施例における棒状物Pの断面形状は略楕円形状(トラック形状ともいう)であり、ホルダ24は断面略楕円形状からなる棒状物Pの基部を保持できるように構成されている。
図1(b)に示すように、ノズル部22先端の開口部22aについても、棒状物Pの形状に合わせた断面略楕円形状で形成されている。
【0026】
次に、上記構成からなる繰出し容器の動作について説明する。
(1)初期のロック状態
図3(a)は棒状物がケース内に収納されると共に初期のロック状態を示す容器本体の断面図、
図3(b)はその正面図である。
この状態では、スライド部材23が最も下方に位置にあって、棒状物Pはその全体がノズル部22内に収納されている。
また操作用突起23Dは、窓部21B内にあって「Lock」側の位置にあり、スライド部材23の軸部23Bに設けられた一対の凹凸部23bを構成する凹凸に、ケース本体21に設けられた一対の係止突片21aが係合している(
図6(b)参照)。またケース本体21側の被係止突起21dに、スライド部材23側の係止突起23dが係合している。このため、繰出し容器1は、スライド部材23の長手方向への移動が規制され、棒状物Pが開口部22aから外部に繰り出すことのできないロック状態に設定されている。
尚、ケース本体21に設けられた一対の係止突片21aとスライド部材23の軸部23Bに設けられた一対の凹凸部23bとは、スライド部材23の長手方向への移動を規制するロック手段を構成している。
【0027】
(2)フリー状態
図4(a)は棒状物がケース先端から繰り出すと共にフリー状態を示す容器本体の断面図、
図4(b)はその正面図、
図4(c)はその側面図である。
片手の親指等を使用して操作用突起23Dを操作し、「Lock」の位置から「Free」の位置に回すと、スライド部材23が略60度回転し、軸部23Bに設けられた一対の凹凸部23bが、ケース本体21側の一対の係止突片21aと係合する位置(
図6(b)参照)から周方向に移動して係合が解除され、
図6(a)に示すように軸部23Bの一対の非係止空間部23c内に一対の係止突片21aが位置するフリー状態に設定される。
【0028】
そして、操作用突起23Dを「Free」側に回した状態において、操作用突起23Dを長手方向に沿って上下に操作すると、ケース本体21側の被係止突起21dとスライド部材23側の係止突起23dとの係合も解除されるため、操作用突起23Dの操作に応じてスライド部材23を上下に自在に移動させることが可能となる。したがって、このフリー状態では使用者の操作に応じて、スライド部材23の先端にホルダ24を介して保持されている棒状物Pを開口部22aから外部に繰り出し、又は棒状物Pを開口部22a内に戻すことできる。
尚、スライド部材23は、係止突起23dがケース本体21の内周面を摺動しながら、すなわち摺動抵抗を生じながら移動するため、移動中のスライド部材23が落下するようなことはない。またスライド部材23が最も下方に移動した位置では、係止突起23dが被係止部21dに係合するため、スライド部材21がケース本体21内から抜け出ることを防止することができる。
【0029】
(3)再度のロック状態
図5(a)は棒状物がケース先端から繰り出されると共に再度のロック状態を示す容器本体の断面図、
図5(b)はその正面図、
図5(c)はその側面図である。
棒状物Pをケース20の先端から繰り出した状態において、操作用突起23Dを操作し、「Free」の位置から「Lock」の位置に回すと、スライド部材23が略60度回転し、再び軸部23Bに設けられた一対の凹凸部23bが、ケース本体21側の一対の係止突片21aと係合するため、繰出し容器1を再度のロック状態に設定することができる。再度のロック状態では、スライド部材23が自在に移動できないため、ケース20の先端から繰り出している棒状物Pを用いての作業中(棒状物Pがアイライナーの場合には化粧中)に、棒状物Pがケース20の開口部22a内に容易に戻ることがなく、作業を良好に行うことができる。
【0030】
尚、上記ロック状態を解除するには、操作用突起23Dを操作し、再び「Lock」の位置から「Free」の位置に回戻した状態で、操作用突起23Dを長手方向に沿って移動させればよく、このような操作は片手の親指等の操作だけで容易に行うことが可能である。
【0031】
上記においては、ケース20の開口部22aからの繰り出される棒状物Pの繰り出し量を、一対の凹凸部23bを構成する長手方向における凹凸のピッチ寸法に応じて設定することができる。すなわち、凹凸部23bのピッチ寸法を細かく設定することにより、棒状物Pの繰り出し量を微調整することが可能であり、棒状物Pが必要以上に大きく繰り出されてしまうことを防止することができる。
【0032】
また棒状物Pを適量繰り出した状態で、操作用突起23Dを回転方向に操作することにより、棒状物Pが適量繰り出された状態のままで繰出し容器をロック状態に設定することができる。
【0033】
更に棒状物Pの先端を開口部22aの開口端と重なる位置に合わせると、長手方向における操作用突起23Dの位置をインジケータ21cを用いて測ることができ、これにより棒状物Pの残量を容易に把握することが可能となる。
【0034】
次に本発明の第2実施例について説明する。
図7は本発明の第2実施例としての繰出し容器を示す断面図、
図8(a)は第2実施例におけるケースの断面図、
図8(b)はその正面図、
図9はケースの平面図を示し、(a)は第1の実施形態、(b)は第2実施形態、(c)は第3実施形態である。
第2実施例に示す繰出し容器1が、第1実施例と繰出し容器1と異なる点は、ロック手段の構成にあり、その他の構成及び効果を第1実施例と同様である。このため、以下の説明においては第1実施例と異なる点を中心に、同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0035】
図7に示すように、第2実施例に示す繰出し容器1では、スライド部材23を構成する軸部23Bの中間高さ位置に、位置決め用の蛇腹状の凹凸部23bが長手方向に一定の長さ寸法を有して形成されている。このような凹凸部23bは、第1実施例同様に軸部23Bの軸対称を成す位置に長手方向に沿って連続的に並設する構成としても良いし、又は複数の環状凹部を長手方向に沿って所定のピッチ寸法で配置した構成であっても良い。
そして、ケース本体21側の細径部21Aの内周面に突設された一対の係止突片21aが凹凸部23bに係合可能に構成されている。
ただし、ケース本体21の底部側の側面に形成される窓部21Bは、長手方向に延びる長穴状であり、操作用突起23Dは長穴状の窓部21B内を長手方向にのみ移動でき、周方向には移動できない点で上記第1実施例とは異なる。
【0036】
第2実施例においては、片手の親指等で操作用突起23Dを長手方向に操作するだけで、窓部21B内においてスライド部材23を長手方向に移動させることができる。この際には、ケース本体21側の一対の係止突片21aがスライド部材23側の位置決め用の凹凸部23b上を相対的に移動する。そして、
図8(a)(b)に示すように、任意の位置で親指等を操作用突起23Dから離すと、その位置で一対の係止突片21aが位置決め用の凹凸部23bを係止する。これより、スライド部材23が任意の位置に位置決めされた状態でロック固定することができ、結果として棒状物Pの先端を開口部22aから外部に適量だけ繰り出して使用することが可能となる。またスライド部材23の長手方向への移動量を変えてロック位置(係止位置)を調整することにより、開口部22aから繰り出される棒状物Pの繰り出し量を調整することが可能である。第2実施例でも、ケース本体21側の一対の係止突片21aとスライド部材23側の位置決め用の凹凸部23bとが、スライド部材23の長手方向への移動を規制するロック手段を構成している。
また使用後は、操作用突起23Dを窓部21Bの最下部の位置に戻すことにより、棒状物Pをケース20内に戻すことができる(
図7参照)。
【0037】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記第1実施例では、棒状物Pがホルダ24を介して間接的に保持される場合を示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、スライド部材23の保持部23Cが棒状物Pの基端を直接保持する構成であってもよい。
【0038】
また棒状物Pの断面形状については、
図1(b)及び
図9(a)の第1実施形態に示すような断面略楕円形状の場合を示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば
図9(b)の第2実施形態に示すような断面円形状で構成されるものであってもよいし、また
図9(c)の第3実施形態に示すような断面略正方形状で構成されるものであってもよい。この場合、ノズル部22の先端部に設けられた開口部22aについても棒状物Pの断面形状に合わせて同様の形状で形成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の繰出し容器は、アイライナーやリップライナーなどの棒状物を適量繰り出して使用する容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 : 繰出し容器
10 : キャップ
20 : ケース
21 : ケース本体
21A: 細径部
21B: 窓部
21a: 係止突片
21b: 被係止部
21c: インジケータ
21d: 被係止突起
22 : ノズル部
22a: 開口部
22b: 係止部
23 : スライド部材
23A: 基端部
23B: 軸部
23C: 保持部
23D: 操作用突起
23a: 頂壁
23b: 凹凸部
23c: 非係止空間部
23d: 係止突起
24 : ホルダ
P : 棒状物