(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20240205BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B60K11/04 E
A01C11/02 313Z
(21)【出願番号】P 2020163492
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 賢志郎
(72)【発明者】
【氏名】渡部 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】渡里 圭介
(72)【発明者】
【氏名】鐵見 幸一
(72)【発明者】
【氏名】都田 洋三
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寛成
(72)【発明者】
【氏名】中山 陽介
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1610025(JP,S)
【文献】特開2011-075106(JP,A)
【文献】特開平11-34924(JP,A)
【文献】特開平08-119146(JP,A)
【文献】特開2009-035257(JP,A)
【文献】特開平10-203274(JP,A)
【文献】登録実用新案第3106206(JP,U)
【文献】実開平02-064428(JP,U)
【文献】特開2003-326985(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0057528(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B60K 13/02
A01C 11/02
B62D 17/00 - 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム上のエンジンルーム内に収容されるエンジンと、
前記エンジンルームの後部側を形成するように平面視で前方が開放されたコ字状に形成されて、その後面側に複数の通風孔が設けられたカバー体と、
前記通風孔を介して前記エンジンの後方側から前方側に向けて空気を供給する空冷機構とを備え、
前記通風孔は、前記カバー体の上部に配置される上部通風孔と、前記カバー体の下部に配置された下部通風孔と、前記カバー体の上下方向中央側に配置された中央部通風孔とを有し、
前記カバー体は、その上下方向中央側に前記カバー体を固定するための固定部が設けられ、該固定部の左右外側に左右方向に延設される前記中央部通風孔が配置され、
前記下部通風孔は、前記中央部通風孔よりも左右方向が短く形成されるとともに、前記中央部通風孔よりも左右方向に数多く配置された
作業車両。
【請求項2】
前記上部通風孔は、前記中央部通風孔よりも左右方向が短く形成されるとともに、前記中央部通風孔よりも左右方向に数多く配置された
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記カバー体は、前記後面の左右端側から前方に延設された側面側に、左右外側に向けてクランク状に屈曲形成された段部を有し、
前記段部は、段部通風孔が設けられた
請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記カバー体は、外縁側に切欠部に形成可能な切欠加工部が設けられ、
前記切欠加工部は、前記切欠部と、該切欠部の開放端を閉じるように設けられた切断加工部とから構成された
請求項1乃至3の何れかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを冷却する空冷機構を備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
機体フレーム前部のエンジンルーム内に載置されるエンジンと、前記エンジンの後部をカバーするように平面視で前方が開放されたコ字状に形成されて、その後面側に複数の通風孔が穿設されたカバー体と、前記通風孔を介して前記エンジンの後方から前方に向けて送風する空冷機構とを備え、前記エンジンに対して常に前記エンジンルーム外の冷えた空気を供給し、前記エンジンを効率的に冷却できる特許文献1に記載の作業車両が従来公知である。
【0003】
上記文献1の作業車両によれば、前記空冷機構によって前記エンジンルームの後方から前記エンジンに向けて空気を供給することで該エンジンを空冷することができる一方で、より大型で発熱量の多いエンジンを搭載した場合に前記カバー体の後方から前記通風孔を介して供給される風量が足りなくなり、前記エンジンを十分に冷却することができない場合がある他、これに対応すべく前記カバー体に形成される通風孔を大きくすると、前記カバー体の強度に問題が生じる場合が有り得るという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記エンジンの後方をカバーする前記カバー体と、前記エンジンの後方から前方に向けて空気を供給することにより前記エンジンを冷却する空冷機構とを備えた作業車両において、前記カバー体に形成された前記通風孔を介して前記エンジンに供給される通風量と前記カバー体の強度とを両立することができる作業車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1に、機体フレーム上のエンジンルーム内に収容されるエンジンと、前記エンジンルームの後部側を形成するように平面視で前方が開放されたコ字状に形成されて、その後面側に複数の通風孔が設けられたカバー体と、前記通風孔を介して前記エンジンの後方側から前方側に向けて空気を供給する空冷機構とを備え、前記通風孔は、前記カバー体の上部に配置される上部通風孔と、前記カバー体の下部に配置された下部通風孔と、前記カバー体の上下方向中央側に配置された中央部通風孔とを有し、前記カバー体は、その上下方向中央側に前記カバー体を固定するための固定部が設けられ、該固定部の左右外側に左右方向に延設される前記中央部通風孔が配置され、前記下部通風孔は、前記中央部通風孔よりも左右方向が短く形成されるとともに、前記中央部通風孔よりも左右方向に数多く配置されたことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記上部通風孔は、前記中央部通風孔よりも左右方向が短く形成されるとともに、前記中央部通風孔よりも左右方向に数多く配置されたことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記カバー体は、前記後面の左右端側から前方に延設された側面側に、左右外側に向けてクランク状に屈曲形成された段部を有し、前記段部は、段部通風孔が設けられたことを特徴としている。
【0009】
第4に、前記カバー体は、外縁側に切欠部に形成可能な切欠加工部が設けられ、前記切欠加工部は、前記切欠部と、該切欠部の開放端を閉じるように設けられた切断加工部とから構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
前記カバー体のうち前記固定部が配置された上下方向中央では、前記中央部通風孔を少なく、且つ、左右方向に大きく構成することで、前記エンジンへの通風量をより多く確保する一方で、前記下部通風孔は数を多く、且つ、左右方向を短く構成することにより、前記カバー体の下部(縁)側では、該カバー体の強度を重視したことにより、前記カバー体は、前記エンジン後部への空気の供給量と、該カバー体の強度とを両立することができる。また、前記通風孔は、前後方向に貫通する孔のみとし、前記カバー体の側面側に左右方向に貫通する通風孔を形成しなかったことによって、前記空冷機構による風の流れがスムーズになるとともに、前記カバー体を成形する金型をより簡素化できるため、製造コストもより低く抑えることができる。
【0011】
また、前記上部通風孔は、前記中央部通風孔よりも左右方向が短く形成されるとともに、前記中央部通風孔よりも左右方向に数多く配置されたものによれば、前記カバー体の上部から下部に亘って通風量と前記カバー体の強度とをバランス良く設定できるため、前記エンジンを空冷するための通風量の確保と前記カバー体の強度とを高いレベルで両立することができる。
【0012】
また、前記カバー体は、前記後面の左右端側から前方に延設された側面側に、左右外側に向けてクランク状に屈曲形成された段部を有し、前記段部は、左右方向の段部通風孔を設けたものによれば、前記カバー体に同じ向きの通風孔の設置量を増やすことができるため、前記カバー体から供給される風の流れを乱すことなく通風量を増やすことができる。また、前記段部通風孔は、スライド式の金型を用いることなく形成できるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0013】
なお、前記カバー体は、外縁側に切欠部に形成可能な切欠加工部が設けられ、前記切欠加工部は、前記切欠部と、該切欠部の開放端を閉じるように設けられた切断加工部とから構成されたものによれば、前記カバー体に、前記エンジンルーム内に延設するハーネスを通すための前記切欠部を必要に応じて簡単かつ低コストで形成することができるため、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の作業車両を適用した乗用田植機の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の作業車両である植付作業機を適用した乗用田植機の全体側面図であり、
図2は、走行機体の前部を示した要部側面図であり、
図3は、操縦部を示した要部斜視図である。図示する乗用田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2を有する走行機体3と、該走行機体3の後端部に昇降リンク4を介して昇降自在に連結された植付作業機6とを備えている。
【0016】
前記走行機体3は、機体フレーム8の前部のエンジンルーム20内に収容されたエンジン10と、該エンジン10の前方から上方及び左右側方側を覆うボンネット7と、該ボンネット7の後方に配置されてオペレータによる走行操作が行われる操縦部9とが設置されている。
【0017】
前記操縦部9には、オペレータが着座する座席11と、該座席の前方側に配置されたステアリングハンドル12と、前記ステアリングハンドル12の前方に配置された表示パネル13と、前記ボンネット7の後方に支持されて前記ステアリングハンドル12や前記表示パネル13が支持されるフロントパネル14と、前記ステアリングハンドル12の下方側に配置されたフロアステップ15とが設けられている。
【0018】
前記エンジンルーム20は、前記エンジン10の上方から前方及び左右側方をカバーする前記ボンネット7と、前記エンジン10の後方をカバーする後述するカバー体(リヤカバー)30とにより、前記エンジン10を囲繞するように構成されている(
図2等参照)。該カバー体30は、前記フロントパネル14(ステアリングハンドル12)の下方と、前記フロアステップ15前端側に配置されて上方に向けて立上げ成形されたカバー支持体16との間に着脱可能に取付けられる平面視コ字状の板状部材である(
図3参照)。該カバー体30の具体的な構成については後述する。
【0019】
該エンジンルーム20には、前記エンジン10と、前記エンジン10の後方に設置された冷却ファン(空冷機構)21と、該冷却ファン21の真後側に支持されたラジエータ22と、前記エンジン10の後部上側に支持されたエアクリーナ23と、該エアクリーナ23の側方側に支持された冷却水タンク24と、前記エンジン10から排出される排気ガスを機外へ排出するマフラー26と、前記ステアリングハンドル12の基端側から機体フレーム8側に向けて上下方向に延設されたステアリングユニット27とが設けられている(
図2参照)。
【0020】
上記冷却ファン21は、前記エンジン10の後方から前記エンジン10の前方に向けて送風し、前記エンジンルーム20に前後方向のエアフローを形成することによって前記エンジン10を冷却(空冷)するように構成されている。このとき、前記カバー体30には、前記エンジンルーム20外の冷えた空気を前記エンジンルーム20内に供給するための通風孔が設けられており、前記ボンネット7の前端(と前記機体フレーム8の前端との間)には、前記冷却ファン21によりエンジンルーム20内に供給された冷却風をエンジンルーム20外に排出する排気口が設けられている。
【0021】
該構成によれば、上記冷却ファン21によって、前記エンジンルーム20の後方外側の冷えた空気を前記エンジン10に供給するとともに、該エンジン10によって暖められた空気を、前記エンジンルーム20の前端側から機外へと排出することができるため、前記エンジン10をより効率的に空冷することができる。
【0022】
なお、前記カバー体30は、後面側全体に前記通風孔(通気孔)31が形成されることにより、前記エンジンルーム20内に十分な通気量を確保できるように構成されている(
図3等参照)。前記カバー体30の具体的な構成については後述する。
【0023】
前記植付作業機6は、前方に向かって情報に急傾斜して背面側(上面側)に苗が載置される苗載台17と、後方に向けて延設された複数のプランタケースと、前記苗載台17上の苗を掻き取って圃場への植付作業を行う植付部18と、前記プランタケースの下方側で左右に並べて配置されて圃場を均すフロート19とを備えている。
【0024】
前記植付部18は、前記プランタケースの後部側面側に回転可能に軸支されて、前記走行機体3側から伝動された動力によって所定の軌道で回転駆動するように構成されている。これにより、該植付部18は、回転駆動する過程で、前記苗載台17上のマット苗の下端側から苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付ける植付作業を行うことができるように構成されている。
【0025】
次に、
図3乃至9に基づいて、前記カバー体の構成について説明する。
図4及び
図5は、カバー体の後方斜視図及び前方斜視図であり、
図6乃至8は、カバー体の背面図、右側面図及び左側面図であり、
図9は、切欠加工部を示した要部斜視図である。前記カバー体30は、(
図3参照)。
【0026】
前記カバー体30は、前記エンジンルーム20の後面をカバーする後面部32と、該後面部32の左右両端側から前方に向けて延設された一対の側面部33、33と、前記後面部32と一対の前記側面部33、33の下端側に沿って肉厚に成形したコ字状の下端支持部34とを有し、前後方向に延設された前記側面部33の中途部には、左右外側に向けてクランク状に屈曲形成された段部36が形成されている。すなわち、該カバー体30は、平面視コ字状に形成された板状部材であって、前記エンジンルーム20側面の後部(前記ボンネット7の後方)を形成している。
【0027】
また、前記カバー体30は、前記エンジンルーム20内へ空気を供給するための前記通風孔31と、前記後面部32を前記エンジンルーム20内の部材(ステアリングユニット27等)側に着脱可能にボルト固定するための固定部37と、該カバー体30を設置個所に係止するための複数の係止片38と、ハーネス等を通すための切欠部に形成可能な切欠加工部39とが設けられている。
【0028】
前記固定部37は、固定ナットが挿通される固定孔41と、該固定孔41に挿通された前記固定ナット42の頭部を収容する収容部43とから構成されており、前記カバー体30の背面視(正面視)で、前記後面部32の左右中央側で且つ上下方向中央(上部寄り)の位置に配置されている。言い換えると、前記カバー体30は、前記固定部37が設けられる前記後面部32の中央には、前記通風孔31が形成されないエリアを設けている(
図3乃至8参照)。
【0029】
前記通風孔31は、前記カバー体の背面視で前後方向に穿設されることにより前記エンジンルーム20後方からエンジンルーム20内に空気を供給可能な通気孔であって、前記後面部32の上部側に形成された上部通風孔31Aと、前記後面部32の下部側に形成された下部通風孔31Cと、前記後面部32の上下方向中央側に配置された中央部通風孔31Bと、前記下端支持部に形成された下端通風孔(下部通風孔)31Dと、前記段部36側に形成された段部通風孔31Eとを有している。
【0030】
図示する例では、各通風孔31は、前記カバー体30の背面視で左右方向に細長い長孔状であって、前記カバー体30の前後方向を向いている平面(後面部32・段部36・下端支持部の34一部)に対して、左右方向・上下方向に並べて配置することにより、前記エンジンルーム20後面の全体に設けられている。
【0031】
上記上部通風孔31Aは、前記後面部32の上部側に形成された左右方向に細長い長孔であって、前記固定部37の上方側に複数並べて配置されている。図示する例では、該上部通風孔31Aは、前記後面部32の左右方向(列方向)に並べて3つ形成され、上下方向(行方向)に並べて4つ又は5つ(計13カ所)形成されている。
【0032】
上記中央部通風孔31Bは、前記固定部32の左右側方側にそれぞれ形成された左右方向に長い長孔であって、各中央部通風孔31Bは、前記固定部37の近傍から前記後面部32の左右端側まで延設されている。図示する例では、該中央部通風孔31Bは、前記固定孔37の左右に1列ずつ形成され、上下方向(行方向)に並べて4つ(計8カ所)形成されている。
【0033】
上記下部通風孔31Cは、前記後面部32の下部側に形成された左右方向に細長い長孔であって、前記固定部37の下方側に複数並べて配置されている。図示する例では、該下部通風孔31Cは、前記後面部32の左右方向(列方向)に並べて3つ形成され、上下方向(行方向)に並べて4つ(計12カ所)形成されている。
【0034】
上記下端通風孔31Dは、前記下端支持部34に形成された左右方向に細長い長孔であって、該下端支持部34の正面(背面)側に上下左右に複数並べて配置されている。図示する例では、該下端通風孔31Dは、前記下端支持部34正面の左右方向(列方向)に並べて4つ形成され、上下方向(行方向)に並べて2つ形成されている。
【0035】
上記段部通風孔31Eは、前記段部36に形成された左右方向に細長い長孔である。具体的に説明すると、前記段部36は、背面視で上下方向に長さを有する面(クランク面)を有しており、前記段部36のクランク面に前記段部通風孔31Eが上下方向に複数並べて配置されている。図示する例では、前記段部通風孔31Eは、前記段部36(のクランク面)に上下方向(行方向)に8つ並べて形成されている。
【0036】
上述の構成によれば、前記カバー体30は、背面視の全体(後面部32、段部36、下端支持部34の後面)に前記通風孔31を並べて設けたことにより、前記エンジンルーム20の後端側から前記エンジンルーム内に向けて十分な量の空気を供給することができる。
【0037】
また、各通風孔31は、全て前後方向に貫通された左右方向に長い長孔によって形成され、左右方向に貫通される通風孔31が形成されないように構成したため、前記エンジンルーム20後端(カバー体30)から前記エンジンルーム20に流入した空気の流れ(エアフロー)を、乱すことなくスムーズに前記エンジンルーム20内の前端に向かって前後方向に流すことができる。
【0038】
その一方で、前記カバー体30は、前記後面部32の左右方向及び上下方向の中央側に、前記固定部37を配置して前記通風孔31が形成されないように構成し、前記後面部32の中心を前記エンジンルーム20内の部材(ステアリングユニット27等)にボルト固定したことにより、前記カバー体30(後面部32)の強度も十分に確保することができる。また、該カバー体30は、その下端側に沿って肉厚に成形されたコ字状の前記下端支持部34を形成したことにより、通風量を確保しつつ、前記カバー体30の強度を十分に保つことができる。
【0039】
また、前記固定部37が配置されない前記後面部32の上部側と下部側では、前記上部通風孔31Aと前記下部通風孔31Cとを、その左右幅を前記中央部通風孔31Bよりも幅狭に形成するとともに、左右方向に並べて配置される通風孔31の個数を前記中央部通風孔31Bよりも増やしたことにより、前記固定部37から離れた位置でも所定以上の強度が得られるようにしている。
【0040】
上記構成によれば、前記カバー体30は、その背面側(特に前記後面部32)の上端から下端に亘って、十分な通風量を確保しつつ、該カバー体30全体の強度をバランス良く設定することができる。
【0041】
前記係止片38は、前記カバー体30の上端と下端側に沿って複数突設された係止片であって、それぞれが前記カバー体30の設置場所、言い換えると、前記フロントカバー14の後端と、前記カバー支持体16の上端とに係止されるように構成されている。これにより、前記カバー体30は、前記固定部37によって設置場所にボルト固定される前に、仮止めすることができるため、前記カバー体30の着脱作業をよりスムーズに行うことができる。
【0042】
前記切欠加工部39は、背面視で前記カバー体30の左右一方(図示する例では右)寄りの下端(言い換えると、前記下端支持部34)側に設けられており、前後方向に貫通された加工孔46と、該加工孔46の下側を閉じるように形成された加工部47とから構成されている(
図9等参照)。これにより、該切欠加工部39は、作業者が工具等を用いて前記加工部47を切除処理することにより、前記カバー体30の下端側を上方に向けて逆U字状に切欠いた切欠部(図示しない)を形成することができるように構成されている。
【0043】
該工程によって前記切欠部を形成することにより、前記エンジンルーム20の後端側(前記カバー体30の下端とカバー支持体16との間)に前記エンジンルーム20外側から内側に配線するための挿通孔を設けることができる。
【0044】
上記加工孔46は、前記加工部47が除去された際に前記切欠部が形成されるようにその上部側が滑らかな逆U字状に形成されており、配線(ハーネス)等が挿通された際に、配線が痛まないように形成されている。
【0045】
上記加工部47は、前記下端支持部34に形成される前記切欠部の開放端側を架渡す(閉じる)ように成形された板状(棒状)部材であって、前記下端支持部34よりも薄肉状に成形されている。これにより、該加工部47の左右端側と、前記下端支持部34との間に除去加工する際のガイドとなる案内段部48が形成されている(
図9参照)。
【0046】
上記構成によれば、作業者が前記加工部47の除去作業を行う際に、切断用の工具を前記加工部47の切断箇所(案内加工部48)に容易にガイドすることができるため、前記切欠加工部39の切欠部への加工作業を容易且つスムーズ行うことができるとともに、前記切欠部の仕上がりがより綺麗になる。
【0047】
また、前記切欠部(切欠加工部39)は、前記カバー体30の中で肉厚に形成された前記下端支持部34に形成されるため、前記カバー体の強度を落とすことなく、前記切欠部(切欠加工部39)を設けることができる。
【符号の説明】
【0048】
8 機体フレーム
10 エンジン
20 エンジンルーム
30 カバー体
21 冷却ファン(空冷機構)
31 通風孔
31A 上部通風孔
31B 中央部通風孔
31C 下部通風孔
31D 下端通風孔(下部通風孔)
31E 段部通風孔
36 段部
39 切欠加工部