(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60P 3/30 20060101AFI20240205BHJP
E03F 7/10 20060101ALI20240205BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B60P3/30
E03F7/10 Z
B60P3/00 Q
(21)【出願番号】P 2020165059
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津 俊介
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0267365(US,A1)
【文献】実開昭60-002003(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00- 9/00
E03F 1/00-11/00
E01H 1/00-15/00
F04F 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水タンクと、
前記洗浄水タンクの水をノズルから噴出させるための水流路と、
前記水流路に介設されて水を圧送する水ポンプと、
前記水ポンプを駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータの作動油を貯留する作動油タンクと、
前記作動油の温度上昇を抑制するためのオイルクーラとを備えた作業車両であって、
前記オイルクーラの作動流体を流すための作動流体流路が、前記水流路の一部によって構成されて
おり、
前記オイルクーラは、前記水流路のうち、前記洗浄水タンクと前記水ポンプとの間に介設されており、
前記作動流体は、前記水ポンプの駆動により前記洗浄水タンクから前記ノズルへ圧送される水であることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両において、
前記オイルクーラは、その長手方向の一端部が前記作動油タンクの内方側へ突出するようにして作動油タンクに取り付けられ、前記オイルクーラと前記作動油タンクとが一体的に設けられていることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便に洗浄を行うために洗浄水タンクを備えた作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。この吸引車(作業車両)では、汚水、汚泥や土砂のような処理物の回収、積み込み、搬送、抜き取りを行うために洗浄水タンクの水が使用される。
【0003】
従来、このような洗浄水タンクの水は、油圧駆動式の水ポンプにより圧送されていた。しかし、洗浄水の連続的な使用等によって水ポンプを駆動する油圧アクチュエータの作動油の温度が上昇する可能性があり、油圧機器やその他の機器に温度上昇による故障が発生するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、コンパクトかつ低コストな構成によって水ポンプを駆動する油圧アクチュエータの作動油の温度上昇を抑制することが可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、洗浄水タンクと、前記洗浄水タンクの水をノズルから噴出させるための水流路と、前記水流路に介設されて水を圧送する水ポンプと、前記水ポンプを駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの作動油を貯留する作動油タンクと、前記作動油の温度上昇を抑制するためのオイルクーラとを備えた作業車両であって、前記オイルクーラの作動流体を流すための作動流体流路が、前記水流路の一部によって構成されており、前記オイルクーラは、前記水流路のうち、前記洗浄水タンクと前記水ポンプとの間に介設されており、前記作動流体は、前記水ポンプの駆動により前記洗浄水タンクから前記ノズルへ圧送される水であることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、コンパクトかつ低コストな構成によって水ポンプを駆動する油圧アクチュエータの作動油の温度上昇を抑制することができる。詳細には、オイルクーラにより水ポンプを駆動する油圧アクチュエータの作動油を冷却することができるので、作動油の温度上昇による機器故障を防ぐことができる。また、オイルクーラの作動流体として、洗浄水タンクからノズルへ圧送される水を利用しているので、専用の作動流体を使用する場合と比較して、オイルクーラ周りの装置の簡略化を図ることができ、その結果、装置全体をコンパクトにすることができ、しかも、装置のコスト削減も図ることができる。また、洗浄水タンク内の未使用で低温の水を、高温となっている水ポンプを通る前に、オイルクーラの作動流体として使用することができ、オイルクーラの冷却効果をより高めることができる。
【0008】
上記構成の作業車両において、前記オイルクーラは、その長手方向の一端部が前記作動油タンクの内方側へ突出するようにして作動油タンクに取り付けられ、前記オイルクーラと前記作動油タンクとが一体的に設けられていることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、オイルクーラを作動油タンクと一体化したことにより、オイルクーラと作動油タンクとを別々に車台に配置する場合と比較して、オイルクーラと作動油タンクとをつなぐ配管や取付スペースを低減することができる。これより、コンパクトかつ低コストな作業車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の作業車両によれば、コンパクトかつ低コストな構成によって水ポンプを駆動する油圧アクチュエータの作動油の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る吸引車の概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図1の吸引車に搭載された吸引装置のエア配管図であって、吸引時のエアの流れを示す図である。
【
図4】
図3のエア配管図において、加圧時のエアの流れを示す図である。
【
図5】
図1の吸引車に搭載された吸引装置の水封式ポンプ、3次キャッチャ、4次キャッチャ等を左前方から見た斜視図である。
【
図6】
図1の吸引車に搭載された吸引装置の水封式ポンプ、3次キャッチャ、4次キャッチャ等を左後方から見た斜視図である。
【
図7】水ポンプを駆動するための油圧回路等の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を吸引車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。つまり、本発明に係る作業車両が、洗浄水タンクの水を圧送する油圧駆動式の水ポンプを備えた吸引車である場合について説明する。
【0015】
図1、
図2は、本発明の実施形態に係る吸引車2を示している。この吸引車2の車台3上のサブフレーム4上に吸引装置1が設けられている。具体的には、サブフレーム4の後部に、例えば、汚泥、土砂、廃液等よりなる回収対象物を回収するレシーバタンク5が搭載されている。
【0016】
レシーバタンク5は、例えば、後端開口を有する断面円形容器状のタンク本体5aと、この後端開口を開閉するテールゲート5cとを有する。テールゲート5cは、例えば、タンク本体5aの上部後端部にヒンジピン5bを介して回動自在に軸支されている。タンク本体5aとテールゲート5cとの間には、開閉シリンダ5dが設けられており、この開閉シリンダ5dを伸縮操作することで、テールゲート5cがタンク本体5aの後端開口を開閉可能となっている。
【0017】
テールゲート5cの下部には、回収対象物の吸引口となる開閉弁付の吸引口8と、回収対象物の排出口となる開閉弁付の排出口9とが設けられている。レシーバタンク5は、サブフレーム4の後方に設けた傾倒軸10を介してサブフレーム4に対して傾倒可能に軸支されている。すなわち、サブフレーム4とレシーバタンク5との間には、傾倒シリンダ11が設けられている。この傾倒シリンダ11を伸縮操作することで、レシーバタンク5が傾倒軸10の周りに起立回動または倒伏回動するようになっている。
【0018】
詳しくは後述するが、吸引装置1がレシーバタンク5内に回収対象物を吸引し回収する場合、レシーバタンク5内の減圧およびエアの流れにより、吸引口8に接続した図示しない吸引ホースを通じて外部からレシーバタンク5内に回収対象物を吸引するようになっている。一方、吸引装置1でレシーバタンク5内の回収対象物を、例えば汚泥処理場等に排出する場合、レシーバタンク5内のエアを加圧し、排出口9に接続した図示しない排出ホースを通じてレシーバタンク5内の回収対象物を外部へ排出するようになっている。また、テールゲート5cを開いてレシーバタンク5を起立回動させることによって、レシーバタンク5内の回収対象物を排出することも可能となっている。
【0019】
また、運転室13とレシーバタンク5との間のサブフレーム4上には、レシーバタンク5内のエアを加減圧し、エアの流れを発生させる水封式ポンプ25、オイルリザーバ31等が設けられている。詳しくは図示しないが、水封式ポンプ25は、吸引車2のPTOのドライブシャフトを介して連結されたエンジンE(
図7参照)の駆動力によって回転駆動されるようになっている。また、サブフレーム4上には、油圧ポンプ26が設けられている(
図7参照)。この油圧ポンプ26によって、オイルリザーバ31に貯留された作動油が油圧制御回路C1(
図7参照)を経由して、開閉シリンダ5d、傾倒シリンダ11、後述する水ポンプ33を駆動する油圧モータ32(
図7参照)等に供給可能になっている。油圧制御回路C1には、開閉シリンダ5d、傾倒シリンダ11、油圧モータ32等の作動状態を制御するための各種バルブ等が設けられている。水封式ポンプ25の周辺には、水封式ポンプ25に接続された配管類、各種バルブ、操作パネル15等が配置されている。例えば吸水ホース28(
図5参照)の一端が水封式ポンプ25の吸水口25cに接続されており、この吸水ホース28を介して4次キャッチャ22の内部に貯留された水が、水封式ポンプ25内へ供給可能になっている。
【0020】
図3~
図6に示すように、吸引装置1は、1次キャッチャとしてのレシーバタンク5、サイクロン式の集塵機よりなる2次キャッチャ20および3次キャッチャ21、気水分離器兼水タンクよりなる4次キャッチャ22等を備えており、これらの機器が、例えば金属製丸鋼管等よりなるレシーバタンク加減圧配管7を介して接続されている。本実施形態では、3次キャッチャ21および4次キャッチャ22が一体的に設けられている。3次キャッチャ21および4次キャッチャ22の具体的な構成ついては後述する。
【0021】
レシーバタンク5は、2次キャッチャ20と第1配管7aにより接続されている。また、2次キャッチャ20は、3次キャッチャ21と第2配管7bにより接続されている。なお、2次キャッチャ20は、
図3および
図4に図示しているが、
図1、
図2、
図5、
図6では図示を省略している。
【0022】
水封式ポンプ25、3次キャッチャ21、4次キャッチャ22、および一体型サイレンサ23は、エア切換式四方弁24と配管を介して接続されるようになっている。具体的には、水封式ポンプ25は、吸引口25aと吐出口25bとを有している。3次キャッチャ21とエア切換式四方弁24とが、第3配管7cにより接続されている。また、水封式ポンプ25の吸引口25aとエア切換式四方弁24とが、第4配管7dにより接続されている。また、4次キャッチャ22とエア切換式四方弁24とが、第5配管7eにより接続されている。また、一体型サイレンサ23とエア切換式四方弁24とが、第6配管7fにより接続されている。水封式ポンプ25の吐出口25bは、4次キャッチャ22と第7配管7gにより接続されている。
【0023】
吸引時には、3次キャッチャ21と水封式ポンプ25の吸引口25aとがエア切換式四方弁24を介して接続される一方、4次キャッチャ22と一体型サイレンサ23とがエア切換式四方弁24を介して接続されるようになっている。また、エア切換式四方弁24を切り換えることにより、加圧時には、一体型サイレンサ23と水封式ポンプ25の吸引口25aとがエア切換式四方弁24を介して接続される一方、4次キャッチャ22と3次キャッチャ21とがエア切換式四方弁24を介して接続されるようになっている。
【0024】
そして、レシーバタンク5と水封式ポンプ25とをつなぐ配管には、この配管の上流側よりも高い圧力のエアを駆動エアとして導入するエゼクタ30が介設されている。具体的には、エア切換式四方弁24と水封式ポンプ25との間の第4配管7dにエゼクタ30が介設されている。なお、第4配管7dには、このエゼクタ30を通さずにエア切換式四方弁24から吸引口25aへ通るバイパス通路(図示せず)を設けてもよい。エゼクタ30の駆動エアは、図示しないエアタンクから配管を通じて供給されるようになっている。エアタンクは、例えば、車台3側に設けられ、車両制動時に使用される加圧エアを蓄積するものである。エアタンクからは、例えば0.7MPaの加圧エアが供給されるようになっている。
【0025】
エア切換式四方弁24には、図示しない四方弁切換バルブユニットが接続されており、エアタンクからの加圧エアが供給可能になっている。操作パネル15(
図1参照)に設けられた吸引ボタン15a、中正ボタン15b、加圧ボタン15cのいずれかが押されたことに基づいて、エアタンクから加圧エアがエア切換式四方弁24に供給され、この加圧エアの圧力によりエア切換式四方弁24が切換制御されるようになっている。
【0026】
上記構成の吸引装置1の作動について説明する。
【0027】
まず、吸引車2の走行を停止した状態で、運転室13等に設けられたPTOスイッチをオンにする。すると、車両の走行用エンジンの駆動力が水封式ポンプ25に供給されるようになる。
【0028】
次に、吸引開始のために、作業者が操作パネル15の吸引ボタン15aを押す。すると、エアタンクの加圧エアの圧力でエア切換式四方弁24のスプールが吸引側へ移動する。
【0029】
次いで、
図3の状態にエア切換式四方弁24が切り換わり、水封式ポンプ25の駆動と共に、吸引口8からエアが吸い込まれてレシーバタンク5に回収対象物が回収される。エアは、レシーバタンク5、2次キャッチャ20、3次キャッチャ21を通り、エア切換式四方弁24を通って水封式ポンプ25の吸引口25aから吸い込まれる。このとき、エア切換式四方弁24からのエアは、エゼクタ30を通る。
【0030】
吸引開始時には、レシーバタンク5内は負圧が所定値よりも高まっていない(圧力が所定値以上である)ので、外部エア導入管を介して外部エア(大気)が吸引される。これにより、エゼクタ30内に大気が導入される。このように、水封式ポンプ25の駆動時など大気とレシーバタンク5内との差圧が小さいときは、水封式ポンプ25は発熱しにくいため、大気圧を利用しても冷却能力を十分に発揮できる。そして、封水より温度の低い外部エアが水封式ポンプ25に送り込まれるので、水封式ポンプ25および封水の温度上昇が抑制される。
【0031】
一方、レシーバタンク5内の負圧が高まってくると、水封式ポンプ25の負荷が増大し、発熱が大きくなって、水温上昇しやすくなる。負圧が高まると封水は蒸発しやすくなり、キャビテーションが発生しやすくなる。そこで、レシーバタンク5内の負圧が所定値よりも高まると、エアタンクの加圧エアがエゼクタ30に送られる。これにより、レシーバタンク5内の負圧がエゼクタ効果によりさらに高められる。また、水封式ポンプ25にはエゼクタ30から大量のエアが供給される。エゼクタ30から噴出された加圧エアは、圧力が下がると膨張して温度が下がるので、水封式ポンプ25には大量の冷たいエアが供給されることになる。これにより、水封式ポンプ25の封水温度の上昇を抑えることができ、キャビテーション発生の心配も無くなる。
【0032】
水封式ポンプ25に吸い込まれたエアは、吐出口25bから吐出され、4次キャッチャ22を通ってエア切換式四方弁24に戻り、一体型サイレンサ23を通って外部に排気される。
【0033】
一方、吸引から中正に切り換えるときには、作業者が操作パネル15の中正ボタン15bを押す。すると、エアタンクの加圧エアの圧力によりエア切換式四方弁24のスプールが中正側に戻る。
【0034】
そして、中正から加圧に切り換えるときには、作業者が操作パネル15の加圧ボタン15cを押す。すると、エアタンクの加圧エアの圧力によりエア切換式四方弁24のスプールが中正側から加圧側へ移動する。
【0035】
次いで、
図4の状態にエア切換式四方弁24が切り換わり、水封式ポンプ25の駆動と共に、吐出口25bから加圧エアが吐出され、4次キャッチャ22を通過したエアは、エア切換式四方弁24を通って3次キャッチャ21および2次キャッチャ20を通り、レシーバタンク5に到達して回収した回収対象物と共に、排出口9から排出される。
【0036】
図5、
図6に示すように、吸引装置1の3次キャッチャ21と4次キャッチャ22とが一体的に設けられている。具体的には、4次キャッチャ22は、一部が水平方向に延びた水平延長部22bを有し、この水平延長部22bの内部に3次キャッチャ21が上下方向に貫通した状態で設けられている。
【0037】
詳細には、4次キャッチャ22は、上下方向に延びる円筒状の本体部22aと、内部で当該本体部22aと連通するとともに本体部22aの上端部の側面から左右方向(車幅方向)に突出する円筒状の水平延長部22bとを有している。本体部22aの上端部には、円筒状に形成された洗浄水タンク22cが一体的に設けられている。洗浄水タンク22cに貯留された洗浄水を水ポンプ33(
図7参照)によって吸引装置1およびその周辺に散水して洗浄できるようになっている。
【0038】
本体部22aの上端面には、図示しない空気の流出口が設けられており、この流出口が、洗浄水タンク22cの内部に収容された第5配管7eの一端部に接続されている。第5配管7eは、洗浄水タンク22cの洗浄水の貯留部とは遮断されている。本体部22aの内部の空気は、第5配管7eを介して、エア切換式四方弁24側へ排出されるようになっている。
【0039】
本体部22aおよび水平延長部22bの内部には、水が貯留されており、本体部22aおよび水平延長部22bは、水封式ポンプ25を通った空気の除塵を行う水槽となっている。本体部22aの側面には、図示しないオーバーフロー口が設けられており、本体部22aおよび水平延長部22bの底壁からオーバーフロー口までが水貯留部となっている。オーバーフロー口の高さ位置が最大水位に設定され、この最大水位以上に水が溜まらないようにオーバーフロー口から排水させるようになっている。なお、オーバーフロー口には、排水させないときに4次キャッチャ22内の気密を保つためのバルブが取り付けられる。
【0040】
水平延長部22bの左右方向の中間部には、上下方向に延びる凹部22hが形成されている。この凹部22h内に、エア切換式四方弁24と水封式ポンプ25とを接続する第4配管7dが配設されている。
【0041】
水平延長部22bの本体部22aに接続されていない側の端部(
図6等では、左端部)には、上下方向に延びる円筒状の外周壁を有する3次キャッチャ21が挿入されている。3次キャッチャ21が、水平延長部22bの内部に上下方向に貫通した状態で配置されている。具体的には、水平延長部22bの左端部には、上下一対の貫通孔22iが形成されており、上下の貫通孔22iに3次キャッチャ21の中間部21aが挿入されている。3次キャッチャ21の中間部21aの外径と、上下の貫通孔22iの内径とが略一致しており、3次キャッチャ21の中間部21aの外周壁が上下の貫通孔22iの内周縁に溶接等の手段によって接続されている。このように、3次キャッチャ21の中間部21aが4次キャッチャ22の水平延長部22bに固定されており、3次キャッチャ21と4次キャッチャ22とが一体化されている。3次キャッチャ21の内部と、水平延長部22bの内部とは遮断されており、3次キャッチャ21と4次キャッチャ22との間で水が流通しないようになっている。3次キャッチャ21の内部には、サイクロン式の集塵機構が設けられている。なお、水平延長部22bの上部の左右方向の中間部には、ベース部22lが設けられている。一体型サイレンサ23は、その下端部が水平延長部22bのベース部22lに取り付けられている。一体型サイレンサ23は、水平延長部22bの内部とは遮断されている。
【0042】
4次キャッチャ22の本体部22aの下部の側面と、水平延長部22bの底面と、この水平延長部22bから下方に突出された3次キャッチャ21の下部21bの側面とによって空間S1が形成されており、この空間S1に水封式ポンプ25が配置されている。
【0043】
水平延長部22bには、水封式ポンプ25の吐出口25bから送られた空気が流入する図示しない流入口が設けられている。この流入口から入った空気は、水平延長部22bの内部を通って本体部22aの内部へ送られ、上述した第5配管7eを通ってエア切換式四方弁24側へ送られる。
【0044】
図7に示すように、水ポンプ33によって、洗浄水タンク22cの洗浄水がノズル33aから噴出可能になっている。水ポンプ33は、油圧アクチュエータとしての油圧モータ32によって駆動される。洗浄水タンク22cからノズル33aまでの水流路34には、水ポンプ33に加えて、フィルタ、アンロード弁、締切弁等が設けられている。また、水流路34は、オイルクーラ35に接続されている。
【0045】
油圧モータ32は、油圧制御回路C1に接続されている。油圧ポンプ26がエンジンEに駆動されることによって、オイルリザーバ31の作動油が、油圧制御回路C1を介して油圧モータ32に供給可能になっている。また、油圧モータ32の作動油が、油圧制御回路C1を介してオイルリザーバ31へ排出可能になっている。油圧制御回路C1からオイルリザーバ31へ作動油を戻す排出油路36には、作動油の温度上昇を抑制するためのオイルクーラ35が設けられている。
【0046】
本実施形態では、オイルクーラ35はオイルリザーバ31に一体的に設けられている。オイルクーラ35の長手方向に延びる円筒状の本体部(胴体部)35a(
図1参照)が、オイルリザーバ31の内部に挿入されている。オイルクーラ35の本体部35aの一端部が、オイルリザーバ31の内部の内方側へ突出するようにして、オイルリザーバ31に直接的に取り付けられている。
【0047】
オイルクーラ35には、排出油路36が接続されており、油圧制御回路C1から戻される作動油がオイルクーラ35の本体部35aの内部に流入されるようになっている。なお、オイルクーラ35から直接的にオイルリザーバ31へ作動油を排出可能になっており、オイルクーラ35からオイルリザーバ31へ作動油を排出するための配管は設けられていない。
【0048】
また、オイルクーラ35には、上述した水流路34が接続されており、洗浄水タンク22cの洗浄水がオイルクーラ35の本体部35aの内部に流入されるようになっている。オイルクーラ35は、水流路34において、洗浄水タンク22cと水ポンプ33との間に介設されている。水ポンプ33によって洗浄水タンク22cから吸い上げられた洗浄水が、オイルクーラ35の本体部35aの内部に供給可能になっている。これにより、洗浄水タンク22cから供給される洗浄水と、油圧制御回路C1から戻される作動油との間で熱交換が行われる。洗浄水タンク22cから供給される洗浄水により、油圧制御回路C1から戻される作動油が冷却され、冷却された作動油がオイルリザーバ31へ戻される。一方、熱交換後の洗浄水は、水ポンプ33に送られた後、水ポンプ33により圧送され、ノズル33aから噴射される。
【0049】
本実施形態では、上述したように、オイルクーラ35に供給される熱交換用の作動流体が、洗浄水タンク22cの洗浄水になっている。そして、オイルクーラ35の内部に形成された作動流体を流すための作動流体流路が、水流路34の一部によって構成されている。
【0050】
本実施形態によれば、コンパクトかつ低コストな構成によって水ポンプ33を駆動する油圧モータ32の作動油の温度上昇を抑制することができる。詳細には、オイルクーラ35により水ポンプ33を駆動する油圧モータ32の作動油を冷却することができるので、作動油の温度上昇による機器故障を防ぐことができる。また、オイルクーラ35の作動流体として、洗浄水タンク22cからノズル33aへ圧送される洗浄水を利用しているので、専用の作動流体を使用する場合と比較して、オイルクーラ35周りの装置の簡略化を図ることができ、その結果、装置全体をコンパクトにすることができ、しかも、装置のコスト削減も図ることができる。
【0051】
また、オイルクーラ35は、その長手方向の一端部がオイルリザーバ31の内方側へ突出するようにしてオイルリザーバ31に取り付けられており、これにより、オイルクーラ35とオイルリザーバ31とが一体的に設けられている。このように、オイルクーラ35をオイルリザーバ31と一体化したことにより、オイルクーラ35とオイルリザーバ31とを別々に車台3上に配置する場合と比較して、オイルクーラ35とオイルリザーバ31とをつなぐ配管や取付スペースを低減することができる。これより、コンパクトかつ低コストな吸引車2を提供することができる。
【0052】
また、オイルクーラ35は、水流路34のうち、洗浄水タンク22cと水ポンプ33との間に介設されているので、洗浄水タンク22c内の未使用で低温の洗浄水を、高温となっている水ポンプ33を通る前に、オイルクーラ35の作動流体として使用することができ、オイルクーラ35の冷却効果をより高めることができる。
【0053】
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
上記実施形態では、洗浄水タンク22cを4次キャッチャ22に一体的に設けたが、洗浄水タンクを4次キャッチャ22とは別体で設ける構成としてもよい。
【0055】
上記実施形態では、真空ポンプとして水封式ポンプ25を用いたが、これ以外の真空ポンプを用いてもよい。なお、真空ポンプとして水封式ポンプ25を用いた場合には、水がポンプの一部を形成するため、清浄かつ静粛で金属接触がなく、オイルも不要であるといった多くの利点を有する。さらに、インペラとケーシングとの間に大きなスキがあるため異物に強いという利点や、水が無くなるとポンプとして動作しなくなることから焼付きしにくいという利点も有する。
【0056】
上記実施形態では、3次キャッチャ21および4次キャッチャ22を一体的に設けたが、3次キャッチャ21および4次キャッチャ22を別体で設ける構成としてもよい。また、一体型サイレンサ23を3次キャッチャ21および4次キャッチャ22に一体的に設けたが、サイレンサを3次キャッチャ21および4次キャッチャ22とは別体で設ける構成としてもよい。
【0057】
以上では、本発明を吸引車に適用した場合について説明したが、本発明は、洗浄水タンクの水を圧送する油圧駆動式の水ポンプを備えた作業車両であればさまざまな車両に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、洗浄水タンクの水を圧送する油圧駆動式の水ポンプを備えた作業車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 吸引装置
2 吸引車(作業車両)
22c 洗浄水タンク
31 オイルリザーバ(作動油タンク)
32 油圧モータ(油圧アクチュエータ)
33 水ポンプ
34 水流路
35 オイルクーラ
35a 本体部