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特許7430467連結トラックの橋渡し構造及びトラック用ゲート板の取り付け構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】連結トラックの橋渡し構造及びトラック用ゲート板の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 53/00 20060101AFI20240205BHJP
   B62D 25/20 20060101ALN20240205BHJP
【FI】
B62D53/00 G
B62D53/00 B
B62D25/20 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021081382
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175172
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
(72)【発明者】
【氏名】作道 弘也
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-015209(JP,A)
【文献】実開昭49-100307(JP,U)
【文献】実開昭59-087336(JP,U)
【文献】実開昭59-096258(JP,U)
【文献】米国特許第03965588(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 53/00
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
B60D 5/00
B60P 1/44
B62D 33/027,33/04
B60J 5/10
E06B 3/48, 3/90- 3/94
E05F 1/00-13/04,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を開閉可能なゲート板によって往来可能にする連結トラックの橋渡し構造であって、
該ゲート板は、フルトラクタの荷箱の後方開口部全体を開閉するリアドアの内側に自立状態で格納される第一ゲート板と、フルトレーラの前方開口部全体を開閉するフロントドアの内側に自立状態で格納される第二ゲート板と、を含み、
該第一ゲート板は、該フルトラクタの該後方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該後方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、該第二ゲート板は該フルトレーラの荷箱の前方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該前方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、
該フルトラクタのリアドアと該フルトレーラのフロントドアとが開放された状態で第一ゲート板及び第二ゲート板が開かれた際に、いずれか一方が水平状態で固定され、該一方に対して他方の一部が上方から重なるように開かれて該一方に支持された状態となってフルトラクタとフルトレーラの荷箱間が橋渡しされて、該連結トラックの荷箱間が該第一ゲート板と該第二ゲート板とにより往来可能な状態となるものであって、該第一ゲート板は、単独でも荷下ろし場と荷箱間とを橋渡しするゲート板として機能する連結トラックの橋渡し構造。
【請求項2】
該第一ゲート板には、該第一ゲート板と該フルトラクタの荷箱の後方開口部の下辺側のフレームの上面とを連結して該第一ゲート板を閉じ方向に付勢する第一付勢手段が配設され、該第一付勢手段は、該第一ゲート板が該フルトラクタの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該第一ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該フルトラクタの荷箱内部に収容される請求項1に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項3】
該第一ゲート板が荷箱内部に格納される際、該第一付勢手段の作用により自立した状態から該荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該リアドアが閉じられた際に該リアドアが該第一ゲート板に当接して、該第一ゲート板を自立状態に保持する請求項2に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項4】
該第二ゲート板には、該第二ゲート板と該フルトレーラの荷箱の前方開口部の下辺側のフレームの上面とを連結して該第二ゲート板を閉じ方向に付勢する第二付勢手段が配設され、該第二付勢手段は、該第二ゲート板が該フルトレーラの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該第二ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該フルトレーラの荷箱内部に収容される請求項1又は2に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項5】
該第二ゲート板が該荷箱内部に格納される場合、該第二付勢手段の作用により、該第二ゲート板が自立した状態から該荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該フルトレーラのフロントドアが閉じられた際に該フロントドアが該第二ゲート板に当接して、該第二ゲート板を自立状態に保持する請求項4に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項6】
該第一付勢手段は圧縮コイルばねを含み、該圧縮コイルばねは、該第一ゲート板が閉じ状態とされた際に該第一ゲート板に形成された収容凹部に収容される請求項2又は3に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項7】
第二付勢手段は圧縮コイルばねを含み、該圧縮コイルばねは、該第二ゲート板が閉じ状態とされた際に該第二ゲート板に形成された収容凹部に収容される請求項4又は5に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項8】
該フルトラクタのリアドアは観音開きするドアであり、該リアドア、該第一ゲート板の少なくともいずれか一方に、該連結トラックの前後方向に沿う方向に開かれた該リアドアと水平状態にされた該第一ゲート板とを連結し、該リアドアを該連結トラックの前後方向に沿う方向に開いた状態で固定する第一固定手段を備える請求項1から7のいずれかに記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項9】
該フルトレーラのフロントドアは観音開きするドアであり、該フロントドア、該第二ゲート板の少なくともいずれか一方には、該連結トラックの前後方向に沿う方向に開かれた該フロントドアと水平状態にされた該第二ゲート板とを連結し、該フロントドアを該連結トラックの前後方向に沿う方向に開いた状態で固定する第二固定手段を備える請求項1から8のいずれかに記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項10】
該フルトラクタと該フルトレーラとの荷箱間が、該第一ゲート板と該第二ゲート板とによって橋渡しされるとき、該第二ゲート板が該第一ゲート板の下側に位置付けられ、該第二ゲート板の裏面側に、該フルトレーラ側の荷箱の前方開口部を形成する下フレームと該第二ゲート板の裏面とを連結して該第二ゲート板を水平状態に支持するステーが配設され、該ステーは、該第二ゲート板の裏面側において車幅方向の両端部に配設されると共に、該車幅方向に延びる連結部材により連結されている、請求項1から9のいずれかに記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項11】
該第二ゲート板が閉じ状態にあるとき、該ステー及び該連結部材が磁石の作用によって該第二ゲート板に吸着して固定される請求項10に記載の連結トラックの橋渡し構造。
【請求項12】
トラックの荷箱の開口部に配設されるトラック用ゲート板の取り付け構造であって、
該ゲート板は、該トラックの荷箱の前記いずれかの開口部全体を開閉するドアの内側に自立状態で格納されるものであって、該トラックの開口部の下辺側を回転軸として開閉可能に取り付けられ、
該ゲート板には、該ゲート板と該トラックの荷箱の開口部を構成する下辺側のフレームの上面とを連結してゲート板を閉じ方向に付勢する付勢手段が配設され、該付勢手段は、該ゲート板が該トラックの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該トラック用ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該ドアの内側に収容されるトラック用ゲート板の取り付け構造。
【請求項13】
該ゲート板は、荷箱内部に格納される際、該付勢手段の作用により自立した状態から荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該ドアが閉じられた際に該ドアが該ゲート板に当接して、該ゲート板を自立状態に保持する請求項12に記載のトラック用ゲート板の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を開閉可能なゲート板によって往来可能にする連結トラックの橋渡し構造、及びトラックの荷箱の開口部に配設されるゲート板の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックは、国内の貨物輸送において中心的な役割を果たしており、輸送する荷物に応じて、様々なタイプのトラックが提案されている。また、近年のトラック輸送においては、ドライバー不足が深刻さを増しており、トラックによる貨物輸送の省人化によって、より効率を向上させることが求められている。
【0003】
上記したトラックによる貨物輸送の省人化を図るべく、例えば、荷物を積載する荷箱を搭載したフルトラクタを牽引車両とし、荷物を積載する荷箱を備えたトレーラを被牽引車両として連結した連結トラックが提案され、さらに、該連結トラックにおいて荷物を積み下ろしする際に、連結トラックを構成するフルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部とを往来できるように構成して、荷物の積み下ろしを効率化することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0004】
また、連結トラックを構成するフルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部とを行き来できる構成とする際に、連結トラックの牽引車両を構成するフルトラクタのリア側開口部に配設した渡し板と、被牽引車両を構成するトレーラのフロント側開口部に配設した渡し板とにより往来可能とする構成も提案されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-144516号公報
【文献】特開2004-255923号公報
【文献】実願昭58-63832号(実開昭59-167708号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、荷物の積み下ろしをする際に、牽引車両であるフルトラクタを後退させて、全開にしたフルトラクタの後方開口部を、全開としたトレーラの前方開口部に接近させて、フルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部との間の隙間がなくなる状態として往来することを可能としている。このような構成によって往来可能にするためには、フルトラクタとフルトレーラとを正確に直列状態にして、フルトラクタの後方開口部とフルトレーラの前方開口部のドアを開放し、フルトラクタとトレーラとを連結するドローバーを伸縮自在な状態としたうえで、ドライバーがフルトラクタとフルトレーラの隙間がなくなる距離だけ正確にフルトラクタを後退させねばならず、極めて煩雑な作業となる。
【0007】
また、特許文献2に記載された技術では、荷物の積み下ろしをする際に、トレーラ側の前方開口部に配設された一枚の大きな渡し板を使用して、フルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部とを橋渡しして往来可能としている。しかし、このような1枚の大きな渡し板を使用してフルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部とを橋渡しする場合、該渡し板は大きな重量物となることから、作業者が開閉する際の操作性が極めて悪いという問題がある。また、渡し板を操作する際の操作力を補助するための付勢手段を設置するにしても、このような大きな重量の渡し板を持ち上げるだけの大きな付勢力を付加する付勢装置の場合、それ自体が大きくなって、このような付勢手段を渡し板の外側に配設する場合、荷箱の内部に渡し板全体を格納することが困難になって、該渡し板がドアを兼ねる構造にせざるを得ないという問題も発生する。
【0008】
さらに、特許文献3に記載された技術では、連結トラックを構成するフルトラクタの後方開口部と、トレーラの前方開口部との双方に、該後方開口部と前方開口部を開閉するドアを兼ねた渡し板を配設して、フルトラクタの後方開口部とトレーラの前方開口部とを往来可能にする構成が開示されている。しかし、この特許文献3に記載された連結トラックは、ドーリーを使用してフルトラクタとトレーラとを連結しており、該ドーリーは、フルトラクタ側、トレーラ側のいずれにも屈曲点を有することを前提として、フルトラクタとトレーラとの距離を大きく取らねばならず、フルトラクタ側の渡し板と、トレーラ側の渡し板とを、それぞれドーリーによって水平状態に維持する構成になっている。このような構成を有する特許文献3の技術では、該渡し板が該後方開口部と該前方開口部を閉鎖するドアを兼ねていることから、荷箱の密閉性を確保することが困難であると共に、フルトラクタ側の渡し板と、トレーラの渡し板との間に隙間が生じることになって、作業性が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を、作業性に優れた構成によって安全に往来可能にする連結トラックの橋渡し構造、及び該橋渡し構造を実現するために好適なトラックの荷箱の開口部に配設されるゲート板の取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を開閉可能なゲート板によって往来可能にする連結トラックの橋渡し構造であって、該ゲート板は、フルトラクタの荷箱の後方開口部全体を開閉するリアドアの内側に自立状態で格納される第一ゲート板と、フルトレーラの前方開口部全体を開閉するフロントドアの内側に自立状態で格納される第二ゲート板と、を含み、該第一ゲート板は、該フルトラクタの該後方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該後方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、該第二ゲート板は該フルトレーラの荷箱の前方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該前方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、該フルトラクタのリアドアと該フルトレーラのフロントドアとが開放された状態で第一ゲート板及び第二ゲート板が開かれた際に、いずれか一方が水平状態で固定され、該一方に対して他方の一部が上方から重なるように開かれて該一方に支持された状態となってフルトラクタとフルトレーラの荷箱間が橋渡しされて、該連結トラックの荷箱間が該第一ゲート板と該第二ゲート板とにより往来可能な状態となるものであって、該第一ゲート板は、単独でも荷下ろし場と荷箱間とを橋渡しするゲート板として機能する連結トラックの橋渡し構造が提供される。
【0011】
該第一ゲート板には、該第一ゲート板と該フルトラクタの荷箱の後方開口部の下辺側のフレームの上面とを連結して該第一ゲート板を閉じ方向に付勢する第一付勢手段が配設され、該第一付勢手段は、該第一ゲート板が該フルトラクタの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該第一ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該フルトラクタの荷箱内部に収容されるようにすることが好ましい。より好ましくは、該第一ゲート板が荷箱内部に格納される際、該第一付勢手段の作用により自立した状態から該荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該リアドアが閉じられた際に該リアドアが該第一ゲート板に当接して、該第一ゲート板を自立状態に保持する。
【0012】
また、該第二ゲート板には、該第二ゲート板と該フルトレーラの荷箱の前方開口部の下辺側のフレームの上面とを連結して該第二ゲート板を閉じ方向に付勢する第二付勢手段が配設され、該第二付勢手段は、該第二ゲート板が該フルトレーラの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該第二ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該フルトレーラの荷箱内部に収容されることが好ましい。より好ましくは、該第二ゲート板が該荷箱内部に格納される場合、該第二付勢手段の作用により、該第二ゲート板が自立した状態から該荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該フルトレーラのフロントドアが閉じられた際に該フロントドアが該第二ゲート板に当接して、該第二ゲート板を自立状態に保持する。
【0013】
さらに、該第一付勢手段は圧縮コイルばねを含み、該圧縮コイルばねは、該第一ゲート板が閉じ状態とされた際に該第一ゲート板に形成された収容凹部に収容されることが好ましく、また、第二付勢手段は圧縮コイルばねを含み、該圧縮コイルばねは、該第二ゲート板が閉じ状態とされた際に該第二ゲート板に形成された収容凹部に収容されることが好ましい。
【0014】
該フルトラクタのリアドアは観音開きするドアであり、該リアドア、該第一ゲート板の少なくともいずれか一方に、該連結トラックの前後方向に沿う方向に開かれた該リアドアと水平状態にされた該第一ゲート板とを連結し、該リアドアを該連結トラックの前後方向に沿う方向に開いた状態で固定する第一固定手段を備えるようにしてもよい。また、該フルトレーラのフロントドアは観音開きするドアであり、該フロントドア、該第二ゲート板の少なくともいずれか一方には、該連結トラックの前後方向に沿う方向に開かれた該フロントドアと水平状態にされた該第二ゲート板とを連結し、該フロントドアを該連結トラックの前後方向に沿う方向に開いた状態で固定する第二固定手段を備えるようにしてもよい。
【0015】
該フルトラクタと該フルトレーラとの荷箱間が、該第一ゲート板と該第二ゲート板とによって橋渡しされるとき、該第二ゲート板が該第一ゲート板の下側に位置付けられ、該第二ゲート板の裏面側に、該フルトレーラ側の荷箱の前方開口部を形成する下フレームと該第二ゲート板の裏面とを連結して該第二ゲート板を水平状態に支持するステーが配設され、該ステーは、該第二ゲート板の裏面側において車幅方向の両端部に配設されると共に、該車幅方向に延びる連結部材により連結されていてもよく、より好ましくは、該第二ゲート板が閉じ状態にあるとき、該ステー及び該連結部材が磁石の作用によって該第二ゲート板に吸着して固定される。
【0016】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、トラックの荷箱の開口部に配設されるトラック用ゲート板の取り付け構造であって、該ゲート板は、該トラックの荷箱の前記いずれかの開口部全体を開閉するドアの内側に自立状態で格納されるものであって、該トラックの開口部の下辺側を回転軸として開閉可能に取り付けられ、該ゲート板には、該ゲート板と該トラックの荷箱の開口部を構成する下辺側のフレームの上面とを連結してゲート板を閉じ方向に付勢する付勢手段が配設され、該付勢手段は、該ゲート板が該トラックの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該トラック用ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該ドアの内側に収容されるトラック用ゲート板の取り付け構造が提供される。
【0017】
該ゲート板は、荷箱内部に格納される際、該付勢手段の作用により自立した状態から荷箱内部側に倒れないように規制されると共に、該ドアが閉じられた際に該ドアが該ゲート板に当接して、該ゲート板を自立状態に保持することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の連結トラックの橋渡し構造は、フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を開閉可能なゲート板によって往来可能にする連結トラックの橋渡し構造であって、該ゲート板は、フルトラクタの荷箱の後方開口部全体を開閉するリアドアの内側に自立状態で格納される第一ゲート板と、フルトレーラの前方開口部全体を開閉するフロントドアの内側に自立状態で格納される第二ゲート板と、を含み、該第一ゲート板は、該フルトラクタの該後方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該後方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、該第二ゲート板は該フルトレーラの荷箱の前方開口部の下辺側を回転軸として開閉可能であると共に、該自立状態では該前方開口部の下辺側を閉塞するように取り付けられ、該フルトラクタのリアドアと該フルトレーラのフロントドアとが開放された状態で第一ゲート板及び第二ゲート板が開かれた際に、いずれか一方が水平状態で固定され、該一方に対して他方の一部が上方から重なるように開かれて該一方に支持された状態となってフルトラクタとフルトレーラの荷箱間が橋渡しされて、該連結トラックの荷箱間が該第一ゲート板と該第二ゲート板とにより往来可能な状態となるものであって、該第一ゲート板は、単独でも荷下ろし場と荷箱間とを橋渡しするゲート板として機能するものであることから、第一ゲート板と第二ゲート板との間に隙間がなく、安全であり、フルトラクタとフルトレーラとが、正確に直列していない場合であっても、対向する荷箱と荷箱との間において、一方のゲート板に対して他方のゲート板の端部を重ねることが容易にでき、荷箱間の安全な往来が実現される。
【0019】
また、本発明のトラック用ゲート板の取り付け構造は、トラックの荷箱の開口部に配設されるトラック用ゲート板の取り付け構造であって、該ゲート板は、該トラックの荷箱の前記いずれかの開口部全体を開閉するドアの内側に自立状態で格納されるものであって、該トラックの開口部の下辺側を回転軸として開閉可能に取り付けられ、該ゲート板には、該ゲート板と該トラックの荷箱の開口部を構成する下辺側のフレームの上面とを連結してゲート板を閉じ方向に付勢する付勢手段が配設され、該付勢手段は、該ゲート板が該トラックの荷箱内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見て該トラック用ゲート板と重なる位置に収容されると共に、その全体が該ドアの内側に収容されるものであることから、フルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を安全に往来可能にする橋渡し構造を実現するために好適であることに加え、トラックを単独で使用し、所定の高さを有する荷下ろし場に位置付けて、ゲート板を開いて、該荷下ろし場と荷箱間を容易に橋渡しすることができ、該トラックの荷箱に対して荷物の積み下ろしを実施する際にも、作業者が容易にゲート板を開閉させることができるという効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の連結トラックの側面図である。
図2図1に記載の連結トラックのフルトラクタの背面図である。
図3図2に記載のフルトラクタの後方からみた斜視図である。
図4図3に記載のフルトラクタに装着された第一ゲート板の構造を示す一部断面とした側方図である。
図5図1に記載の連結トラックのフルトレーラの正面図である。
図6図5に記載のフルトレーラの前方からみた斜視図である。
図7図6に記載のフルトレーラに装着された第二ゲート板の構造を示す一部断面とした側方図である。
図8】第一ゲート板と第二ゲート板によってフルトラクタとフルトレーラとを往来可能にする実施態様を説明するための概念図である。
図9】(a)本実施形態において、第一固定手段によってリアドアを連結トラックの前後方向に沿う方向に開いた状態で固定する態様を示す平面図、(b)(a)の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に基づいて構成されるフルトラクタとフルトレーラとを連結して構成された連結トラックの荷箱間を開閉可能なゲート板によって往来可能にする連結トラックの橋渡し構造、及び該連結トラックの橋渡し構造を好適に実現するトラックの荷箱の開口部に配設されるトラック用ゲート板の取り付け構造について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0022】
図1には、本実施形態の連結トラック1が示されている。連結トラック1は、牽引車両であるフルトラクタ10と、被牽引車両であるフルトレーラ20とを備えている。フルトラクタ10は、運転席12と前輪13とを備えたキャブ14と、キャブ14の後方に配設され車体フレーム11上に配設された荷箱15とを備えている。キャブ14の床下には、図示を省略する内燃機関が配設され、該内燃機関の駆動力は、図示を省略するトランスミッション、ドライブシャフト等を介して、フルトラクタ10の駆動輪16に伝達される。
【0023】
フルトレーラ20は、センターアクスル式のトレーラであり、箱型の荷箱22と、該荷箱22を支持する車体フレーム21と、車体フレーム21に支持された車輪23とを備える。フルトラクタ10とフルトレーラ20とは、フルトレーラ20に配設されたドローバー30によって連結される。ドローバー30は、フルトレーラ20の車体フレーム21に固定された基部31と、該基部31に対して前後方向の長さが調整可能に構成された棒部材32とからなり、棒部材32の先端部33がフルトラクタ10の車体フレーム11の連結部11aに連結される。連結トラック1が走行して旋回する際には、連結部11aにて屈曲する。
【0024】
本実施形態の連結トラック1を構成するフルトラクタ10の荷箱15及びフルトレーラ20の荷箱22は、ウイングボデーを採用している。荷箱15は、ウイングサイドパネル17と、側アオリ18、18とを備え、荷箱22は、ウイングサイドパネル24と、側アオリ25と、を備えている。図1では、左側面のみ示しているが、右側面側も同様の構成を備えている。図1に示す連結トラック1は、上記の荷箱15と荷箱22とを往来可能にする際の状態を示しており、補助脚21a、21aを伸長させてフルトレーラ20を支持した状態を示している。なお、本発明は、連結トラック1の荷箱15、荷箱22をウイングボデーで構成することに限定されず、例えば、バンボデーによって構成するものであってもよい。
【0025】
本実施形態の連結トラック1は、フルトラクタ10の後方開口部40と、フルトレーラ20の前方開口部60とをゲート板によって往来可能に構成されている。該ゲート板は、図1に示すように、フルトラクタ10の後方開口部40に配設された第一ゲート板50と、フルトレーラ20の前方開口部60に配設された第二ゲート板70とを含む。フルトラクタ10の後方開口部40とフルトレーラ20の前方開口部60とが開放され、第一ゲート板50及び第二ゲート板70が開かれた際に、第二ゲート板70が水平状態で固定され、該第二ゲート板70に対して第一ゲート板50の一部が第二ゲート板70に上方から重なるように開かれて第二ゲート板70に支持された状態となって、フルトラクタ10の荷箱15とフルトレーラ20の荷箱22とが橋渡しされて、該連結トラック1の荷箱間が往来可能な状態となる(詳細については追って説明する)。なお、図1においては、該後方開口部40に配設されたリアドア及び該前方開口部60に配設されたフロントドアは、説明の都合上省略されている。また、荷下ろしを実施する際には、図中番号26で示すフルトレーラ20の後方のリアドアを開放して実施する。
【0026】
図2(a)には、本実施形態のフルトラクタ10を後方から見た背面図が示されている。図2(a)に示すフルトラクタ10の荷箱15のリアドア41は、部分的な開放を可能とするいわゆる4枚観音扉である。図2(b)は、説明の都合上リアドア41を省略して荷箱15の後方開口部40を示す背面図である。図2(a)に示すように、リアドア41は、左側ドア411と右側ドア412とにより構成されている。左側ドア411は、中央ドア411aと外側ドア411bとを備え、右側ドア412は、中央ドア412aと外側ドア412bとにより構成されている。左側ドア411の中央ドア411aと外側ドア411bとは複数の蝶番43によって折れ曲がり可能に連結され、右側ドア412の中央ドア412aと外側ドア412bも複数の蝶番45によって折れ曲がり可能に連結されている。左側ドア411の外側ドア411b、右側ドア412の外側ドア412bは、後方開口部40を形成する縦フレーム19a、19aに、複数の蝶番44、46によって連結されており、左側ドア411、右側ドア412を開閉可能に支持している。左側ドア411の中央ドア411a、外側ドア411bには、固定ロッド411c、411dが配設されている。固定ロッド411cを操作することにより、中央ドア411aを後方開口部40の下辺側を形成する下フレーム19b、上辺側を形成する上フレーム19cに固定したり、該固定を解除して中央ドア411aのみを開放したりすることができ、固定ロッド411cに加え、固定ロッド411dを操作することで、左側ドア411全体を開放することができる。同様に、右側ドア412の中央ドア412a、外側ドア412bにも、固定ロッド412c、412dが配設されており、固定ロッド412c、固定ロッド412dを操作することにより、後方開口部40に右側ドア412を固定した状態から、中央ドア412aのみを開放したり、右側ドア412全体を開放したりすることができる。
【0027】
図2(b)には、フルトラクタ10の荷箱15の後方開口部40の内側に格納された第1ゲート板50が示されている。第一ゲート板50は、上記したリアドア41が後方開口部40を閉じるとき、リアドア41の内側、すなわち荷箱15内にその全体が格納される。第一ゲート板50は、フルトラクタ10の後方開口部40の下フレーム19bに対して、下フレーム19bに沿う方向を回転軸として開閉可能に取り付けられている。
【0028】
第一ゲート板50には、第一ゲート板50とフルトラクタ10の荷箱15の後方開口部40の下フレーム19bとを連結して第一ゲート板50を閉じ方向に付勢する一対の第一付勢手段52、52が配設されている。本実施形態の第一付勢手段52、52は、第一ゲート板50の車幅方向の両端部に配設されている。
【0029】
図3には、第一ゲート板50が閉じられ、荷箱15内で自立している状態を左斜め後方から見た斜視図が示されている。図3に示すように、本実施形態の第一ゲート板50は、下フレーム19b上に配設された補強部材53の両端部において軸受部材54、54を介して回動自在に支持されている。なお、前記の補強部材53は任意に配設されるものであり、必須の構成ではない。図4には、図3のA-Aの位置で第一ゲート板50及びその周辺の一部を前後方向に切り断面とした側方図が示されており、図3に加え、図4を参照しながら、第一付勢手段52についてより具体的に説明する。
【0030】
第一付勢手段52は、サポートばね521を備えている。図4(a)に示すように、本実施形態のサポートばね521は、圧縮コイルばねであり、サポートばね521の中心には、金属棒からなるガイドロッド522が挿入されている。ガイドロッド522は、その先端側が、第一ゲート板50側に配設されたロックナットストッパー523に挿入され、ガイドロッド522の先端部には、ロックナット524が螺合されて固定されている。ガイドロッド522の後端側には、上記したサポートばね521を受ける受け座525と、受け座525の位置を調整する調整ナット526が配設され、ガイドロッド522の後端部は、上記した軸受部材54に回動自在に支持されている。図4(a)から理解されるように、軸受部材54によって支持された第一ゲート板50の回動軸541に対し、ガイドロッド522の後端部の回動軸542は、側方からみて、フルトラクタ10の後方(図中右方)側且つ下方側にずれて配置されている。これにより、第一ゲート板50の回動軸541と、ガイドロッド522の回動軸542と、ロックナットストッパー523の位置とにより三角形が形成され、前記したロックナット524及び調整ナット526の位置が適宜調整されていることにより、図4(a)に矢印R1で示す方向、すなわち荷箱15の内側方向に、第一ゲート板50がこれ以上倒れないように規制される。また、図3図4(a)に示すように、サポートばね521を含む第一付勢手段52は、第一ゲート板50の収容凹部55に収容されており、側方から見たとき、少なくともその一部、より具体的には、サポートばね521が、第一ゲート板50と重なる位置に位置付けられる。
【0031】
上記した図4(a)に示す状態から、第一ゲート板50を、回動軸541を中心に矢印R2で示す方向に回動させて開き、図4(b)に示す状態とするとき、回動軸541と回動軸542の位置は変わらないことから、ガイドロッド522に配設された受け座525と、ロックナットストッパー523との距離が短くなり、サポートばね521が圧縮される。このように圧縮されたサポートばね521の作用により、第一ゲート板50が閉じる方向、すなわち、図中矢印R1で示す方向に第一ゲート板50が付勢される。これにより、作業者が第一ゲート板50を開く際には、急激に矢印R2で示す方向に倒れてしまうことが抑制されると共に、第一ゲート板50を矢印R1で示す方向に持ち上げて閉じる際には、作業者の力がサポートされて、弱い力でも第一ゲート板50を楽に閉じることができる。
【0032】
また、図3図4に示すように、第一ゲート板50の裏面50b側には、第一ゲート板50に対して垂直な方向に突出する緩衝ゴム56が装着されている。この緩衝ゴム56は、第一ゲート板50が自立した状態でリアドア41が閉じられ(図4(a)に2点鎖線で示す)、上記した荷箱15の開口40が完全に閉鎖されたときに、該リアドア41に当接するようにその突出量(高さ)が設定されている。そして、上記したように、第一付勢手段52の作用により、第一ゲート板50が自立した状態から、矢印R1で示す荷箱15の内側の方向に倒れないように規制されていることから、リアドア41を閉じることで、第一ゲート板50が自立状態に保持され、走行中にがたつくことも抑制される。したがって、リアドア41を閉じて、第一ゲート板50を荷箱15の内部に格納する際に、第一ゲート板50が自立状態を維持するための構成を別途備える必要がない。
【0033】
また、上記したように、第一付勢手段52は、第一ゲート板50に対して、側方から見て第一ゲート板50と重なる位置に収容される構造になっていることから、リアドア41によって荷箱15の後方開口部40を閉鎖する際にも、第一付勢手段52含む第一ゲート板50全体が荷箱15内の容積を圧迫することなく、リアドア41の内側に近接した状態でコンパクトに格納される。
【0034】
図5(a)には、本実施形態のフルトレーラ20を前方から見た正面図が示されている。図5(a)に示すフルトトレーラ20の荷箱22のフロントドア61は、フルトラクタ10のリアドア41と同様に、部分的な開放を可能とするいわゆる4枚観音扉によって構成されている。図5(b)は、説明の都合上フロントドア61を省略して荷箱22の前方開口部60を示す正面図である。なお、以下にする説明は、上記のフルトラクタ10の説明と同様に、連結トラック1の進行方向を基準にして左右を規定しており、図5上の左右とは逆になる。
【0035】
フロントドア61は、右側ドア611と左側ドア612とにより構成され。右側ドア611は、中央ドア611aと外側ドア611bとを備え、左側ドア612は、該右側ドア611と対称な形状の中央ドア612aと外側ドア612bとを備えている。右側ドア611の中央ドア611aと外側ドア611bとは複数の蝶番63によって折れ曲がり可能に連結され、左側ドア612の中央ドア612aと外側ドア612bも複数の蝶番65によって折れ曲がり可能に連結されている。右側ドア611の外側ドア611b、左側ドア612の外側ドア612bは、前方開口部60を形成する縦フレーム27a、27aに、複数の蝶番64、66によって連結されており、右側ドア611、左側ドア612を開閉可能に支持している。右側ドア611の中央ドア611a、外側ドア611bには、固定ロッド611c、611dが配設されている。固定ロッド611cを操作することにより、中央ドア611aを前方開口部60の下辺側を形成する下フレーム27b、上辺側を形成する上フレーム27cに固定したり、中央ドア611aのみを開放したりすることができ、固定ロッド611cに加え、固定ロッド611dを操作することで、右側ドア611全体を開放することができる。同様に、左側ドア612の中央ドア612a、外側ドア612bにも上下方向に移動可能に装着された固定ロッド612c、612dが配設されており、固定ロッド612c、固定ロッド612dを操作することにより、前方開口部60に左側ドア612を固定した状態から、中央ドア612aのみを開放したり、左側ドア612全体を開放したりすることができる。
【0036】
図5(b)に示すように、フルトレーラ20の荷箱22の前方開口部60の内側には、第二ゲート板70及び跳ね上げパネル71が配設されている。第二ゲート板70及び跳ね上げパネル71は、上記したフロントドア61が前方開口部60を閉じるとき、フロントドア61の内側、すなわち荷箱22内にその全体が格納される。第二ゲート板70は、フルトレーラ20の前方開口部60の下辺側を形成する下フレーム27bに装着され、下フレーム27bに沿う方向を回転軸として開閉可能に取り付けられている。跳ね上げパネル71は、フルトレーラ20の前方開口部60の上辺側を形成する上フレーム27cに装着され、上フレーム27cに沿う方向を回転軸として開閉可能に取り付けられている。
【0037】
第二ゲート板70には、第二ゲート板70とフルトレーラ20の荷箱22の前方開口部60の下フレーム27bとを連結して第二ゲート板70を閉じ方向に付勢する一対の第二付勢手段72、72が配設されている。該一対の第二付勢手段72、72は、第二ゲート板70の車幅方向の両端部に配設されている。
【0038】
図6には、第二ゲート板70が荷箱22内で自立している状態で左斜め前方から見た斜視図が示されている。図6に示すように、本実施形態の第二ゲート板70は、下フレーム27b上において、下フレーム27bと一体的に配設された補強部材73の両端部に、軸受部材74、74を介して回動自在に支持されている。図7は、図6のB-Bの位置で第二ゲート板70及びその周辺の一部を前後方向に切り断面とした側方図を示すものであり、図6に加え、図7を参照しながら、第二付勢手段72についてより具体的に説明する。
【0039】
第二付勢手段72は、サポートばね721を備えている。図7(a)に示すように、本実施形態のサポートばね721は、圧縮コイルばねである。サポートばね721に対して金属ロッドからなるガイドロッド722が挿入され、ガイドロッド722は、その先端側が、第二ゲート板70側に配設されたロックナットストッパー723に挿入されて、且つガイドロッド722の先端側には、ロックナット724が螺合されて固定されている。ガイドロッド722の後端側は、上記したサポートばね721を受ける受け座725と、受け座725の位置を調整する調整ナット726が配設され、ガイドロッド722の後端は、軸受部材74に回動自在に支持されている。図7(a)から理解されるように、軸受部材74によって支持された第二ゲート板70の回動軸741に対し、ガイドロッド722の回動軸742は、側方視で、フルトレーラ20の前方(図中左方)側且つ下方側にずれて配置されている。第二ゲート板70の回動軸741と、ガイドロッド722の回動軸742と、ロックナットストッパー723の位置とにより三角形が形成され、ガイドロッド722のロックナット724と調整ナット726の位置が適宜調整されることにより、図7(a)に示す第二ゲート板70が自立している状態から、図中R3で示す方向(後方)に倒れることが規制されている。また、図6図7(a)に示すように、サポートばね721を含む第二付勢手段72は、第二ゲート板70の収容凹部75に収容されており、側方から見たとき、少なくともその一部、より具体的には、サポートばね721が、第二ゲート板70と重なる位置に位置付けられる。
【0040】
上記した図7(a)に示す状態から、第二ゲート板70を、回動軸741を中心に矢印R4で示す方向に回動させて開き、図7(b)に示す状態とするとき、ガイドロッド722に配設された受け座725と、ロックナットストッパー723との距離が短くなり、サポートばね721が圧縮される。このように圧縮されたサポートばね721の作用により、第二ゲート板70が閉じる方向、すなわち、図中矢印3で示す方向に第二ゲート板70が付勢される。これにより、作業者が第二ゲート板70を矢印R3で示す方向に閉じるときには、作業者の力がサポートされて、弱い力でも第二ゲート板70を楽に閉じることができる。
【0041】
また、図6図7に示すように、第二ゲート板70の裏面70b側には、作業者が握るハンドル70cと、第二ゲート板70に対して垂直な方向に突出する緩衝ゴム76が装着されている。この緩衝ゴム76は、第二ゲート板70が自立した状態でフロントドア61が閉じられたとき(図7(a)に2点鎖線で示す)にフロントドア61に当接する。これにより、第二付勢手段72の作用によって第二ゲート板70が荷箱22内部側に倒れないように規制されると共に、フロントドア61が第二ゲート板70支持して、第二ゲート板70が自立状態に保持される。したがって、第二ゲート板70を荷箱22の内部に格納する際に、第二ゲート板70が自立状態を維持するための構成を別途備える必要がない。
【0042】
さらに、図6に示すように、本実施形態の第二ゲート板70の裏面70bには、第二ゲート板70を水平状態に開いたとき(図7(b)も併せて参照)に、フルトレーラ20側の荷箱22の前方開口部60を形成する下フレーム27bと第二ゲート板70の裏面70bとを連結して第二ゲート板70を水平状態に支持する一対のステー77、77が配設されている。ステー77、77の一端側は、第二ゲート板70の裏面70b側において車幅方向の両端部に配設された軸受部79、79に回動自在に支持されると共に、ステー77、77の他端側は、車幅方向に延びる連結部材78により連結されている。第二ゲート板70の裏面70bにおいて、連結部材78の中央位置と対応する位置には、磁石80が配設され、連結部材78において該磁石80と対応する位置には、磁石80に吸着される金属プレート(図示は省略している)が配設されている。図6に示すように、第二ゲート板70が自立状態にあるとき、ステー77、77及び連結部材80は、前記した磁石80の作用によって第二ゲート板70の裏面70bに吸着されて固定される。
【0043】
上記した図7(a)に示す状態から、第二ゲート板70を、回動軸741を中心に回動させて、矢印R4で示す方向(前方)に開き、図7(b)に示す水平状態にする際には、上記したステー77、77の他端側を第二ゲート板70から離し、第二ゲート板70を倒しながら、前方開口部60の下フレーム27bに配設されたステー受け部材28、28に載置して、該ステー77、77によって、第二ゲート板70と下フレーム27bとを連結して、第二ゲート板70を確実に水平状態に保持する。
【0044】
図8図9を参照しながら、上記した連結トラック1の荷物の積み下ろしを実施する際に、フルトラクタ10の荷箱15とフルトレーラ20の荷箱22とを上記した開閉可能な第一ゲート板50及び第二ゲート板70によって往来可能にする態様について説明する。
【0045】
図8(a)には、連結トラック1において、上記したフルトラクタ10の荷箱15と、フルトレーラ20の荷箱22とが近接した状態が示されている。該状態では、荷箱15の後方開口部40を開閉するリアドア41と、荷箱22の前方開口部60を開閉するフロントドア61は、開放されており、説明の都合上省略されている。該状態においては、荷箱15の後方開口部40と、荷箱22の前方開口部60とは対向し、荷箱15の後方開口部40において第一ゲート板50が自立し、荷箱22の前方開口部60において第二ゲート板70が自立した状態が示されている。なお、荷箱15と荷箱22との距離は、ドローバー30によって規定されるものであり、例えば、約920mmである。
【0046】
荷箱15と荷箱22とを往来可能にするに際し、作業者は、まず、荷箱22の第二ゲート板70のハンドル70cを握り、第二ゲート板70を矢印R4で示す方向に開きながら、図8(b)に示すように、ステー77を第二ゲート板70の裏面70bから離す。このとき、上記したように、第二ゲート板70に配設された第二付勢手段72が作用していることにより、作業者の力がサポートされ、作業者に過度な負担が掛かることが防止され、第二ゲート板70が急激に開くことはない。さらに、図8(c)に示すように、第二ゲート板70が水平となる位置まで開く際に、ステー77の他端部77aを、下フレーム27bに配設された上記のステー受け部材28に載置して、第二ゲート板70と前方開口部60を形成する下フレーム27bとを連結し、第二ゲート板70が水平状態で固定された状態とする。第二ゲート板70は、第一ゲート板50よりも先に開かれており、このとき、第一ゲート板50は、まだ倒されていない。
【0047】
上記したように、第二ゲート板70を倒してステー77の作用により水平状態に固定したならば、次いで、図8(a)に矢印R2で示す方向に第一ゲート板50を操作して、図8(b)に示すように開き、図8(c)に示すように、第二ゲート板70の上に第一ゲート板50の先端部50dが重なるよう位置付ける。第一ゲート板50の前後方向の長さは、例えば500mm程度の長さで形成され、第二ゲート板70の前後方向の長さは、例えば700mm程度の長さで形成されている。したがって、第一ゲート板50と第二ゲート板70とは、前後方向で最大で280mm程度の幅で重なり合うように連結され、図中矢印Fで示す前後方向において、荷箱15と荷箱22との間で往来可能になる。上記したように、第二ゲート板70は、フルトレーラ20側の荷箱22の前方開口部60を形成する前記した下フレーム27bと第二ゲート板70の裏面70bとをステー77を介して連結して水平状態が維持されており、第一ゲート板50は、第二ゲート板70によって支持されることにより水平状態が維持される。
【0048】
上記した構成によれば、フルトラクタ10のリアドア41とフルトレーラ20のフロントドア61とが開放された状態で、第一ゲート板50及び第二ゲート板70が開かれた際に、第二ゲート板70が水平状態で固定され、該第二ゲート板70に対して第一ゲート板50の後端側に形成された先端部50dが上方から重なるように開かれて第二ゲート板70に支持された状態となって、フルトラクタ10の荷箱15と、フルトレーラ20の荷箱22とが橋渡しされることから、第一ゲート板50と第二ゲート板70との間に隙間がなく、安全であり、さらに、フルトラクタ10とフルトレーラ20とが、正確に直列していない場合であっても、荷箱15と荷箱22との間において、第二ゲート板70に対して第一ゲート板50の後端側の先端部50dを重ねることが容易にでき、矢印Fで示す前後方向において、安全な往来が実現される。なお、上記した実施形態では、第二ゲート板70の上から、第一ゲート板50を重ねるように橋渡ししたが、本発明は、必ずしもこれに限定されず、第一ゲート板50の上に、第二ゲート板70を重ねるようにすることもできる。その際には、上記した実施形態の第一ゲート板50の先端部50dのように厚みを薄くした構成を、第二ゲート板70側に形成することが好ましい。
【0049】
さらに、本実施形態では、図9(a)、(b)から理解されるように、上記したフルトラクタ10の荷箱15に配設されたリアドア41(図9では、左側ドア411のみを示す)を開き、該リアドア41、第一ゲート板50の少なくともいずれか一方に、連結トラック1の前後方向に沿う方向(図中矢印Fで示す方向)に開かれたリアドア41と水平状態にされた第一ゲート板50とを連結し、リアドア41を連結トラック1の前後方向に沿う方向(矢印F)に開いた状態で固定する第一固定手段90を備えている。なお、図9においては、リアドア41の左側ドア411側のみを示しているが、右側ドア412側も同様の構成を備えており、右側ドア412側の説明については省略する。
【0050】
図9(a)には、荷箱15のリアドア41の左側ドア411を開き、第一ゲート板50と第二ゲート板70を開いて重ねて、荷箱15と荷箱22とを往来可能にした状態の平面図(一部のみ)が示されている。本実施形態のリアドア41の左側ドア411は、上記したように、4枚観音扉によって構成されており、左側ドア411の外側ドア411bは、前後方向(矢印Fで示す方向)に沿う方向に位置付けられた状態で、第一固定手段90によって、水平状態にされた第一ゲート板50に固定されている。第一固定手段90は、図9(b)に示すように、第一ゲート板50に配設されたストッパー保持部91と、ストッパー92と、左側ドア411の外側ドア411bに配設されたループ受け93とを備えている。ストッパー保持部91は、逆U字形状をなしている。ストッパー保持部91には、先端部にL字部92aを備えたストッパー92の他端部側のリング部92bが係合されている。ループ受け93は、左側ドア411の外側ドア411bの下端部に配設されており、ストッパー92の前記L字部92aが挿入される孔93aが形成されている。ループ受け93は、左側ドア411の外側ドア411bが、連結トラック1の前後方向に沿う方向(図中矢印Fで示す方向)に位置付けられた状態で、該ストッパー92のL字部92aがループ受け93の孔93aに挿入される位置に配設されており、ループ受け93の孔93aに該L字部92aが挿入されることで、該外側ドア411bが連結トラック1の前後方向に沿う方向(矢印Fで示す方向)に開いた状態で固定される。なお、この第一固定手段90は、第一ゲート板50の右方側にも配設されており、左側ドア411の外側ドア411bが連結トラック1の前後方向に沿う方向に開いた状態で固定される際には、右側ドア412の外側ドア412bも、上記と同様に連結トラック1の前後方向に沿う方向に開いた状態で第一ゲート板50と連結され、連結トラック1の前後方向に沿う方向(矢印Fで示す方向)に開いた状態で固定される。なお、図9に示す実施形態では、リアドア41の中央ドア411aが蝶番43において折り曲げられて、外側ドア411bに連結されて固定されており、意図せず外側に開くことが防止されている。
【0051】
上記したように、第一固定手段90によって、連結トラック1の前後方向に沿う方向に開かれたリアドア41と水平状態にされた第一ゲート板50とが連結されて、リアドア41を連結トラック1の前後方向に沿う方向に開いた状態で固定されるので、第一ゲート板50と第二ゲート板70とによって、フルトラクタ10とフルトレーラ20とによって構成された連結トラック1の荷箱15、22間を往来可能にする際に、幅方向における荷箱15と荷箱22との間隙を塞ぎ、連結トラック1の荷箱15、22間を安全に往来することができるようになる。
【0052】
なお、図示は省略するが、上記のフルトレーラ20の荷箱22のフロントドア61と、第二ゲート板70の少なくともいずれか一方に、連結トラック1の前後方向に沿う方向に開かれたフロントドア61と水平状態にされた第二ゲート板70とを連結し、フロントドア61を連結トラック1の前後方向に沿う方向(上記の矢印Fで示す方向)に開いた状態で固定する上記の第一固定手段90と同様の第二固定手段を配設してもよい。なお、該第二固定手段は、第一固定手段90と共に配設してもよく、第一固定手段90に替えて配設するものであってもよい。また、上記した本実施形態の第一固定手段90は、単なる実施形態に過ぎないものであり、リアドア41と水平状態にされた第一ゲート板50とを機械的に連結する構成であればよいのであり、その他の変形例を除外するものではない。また、図9を参照することにより容易に理解されるように、リアドア41、フロントドア61が位置付けられる「連結トラック1の前後方向に沿う方向」とは、連結トラック1の前後方向と精密に一致する方向ことを意味するのではなく、フルトラクタ10の荷箱15の後方開口部40と、フルトレーラ20の荷箱22の前方開口部60とによって形成される間隙を塞ぐように機能する方向に位置付けることを意味するものである。
【0053】
さらに、上記した実施形態では、リアドア41とフロントドア61とは、4枚観音扉によって構成された実施形態を示したが、本発明はこれに限定されず、2枚から構成された観音扉であることを除外するものではない。ただし、上記のリアドア41とフロントドア61とを4枚観音扉によって構成されている場合は、フルトラクタ10とフルトレーラ20との間隔が狭く設定されている場合であっても、連結トラック1の荷箱15、22間を、上記の第一ゲート板50第二ゲート板70によって往来可能にする際に容易に開くことができ、本発明を実現するのに好適である。
【0054】
また、本発明によって実現されるトラックの荷箱の開口部に配設されるトラック用ゲート板の取り付け構造は、上記した実施形態のように、フルトラクタ10とフルトレーラ20とを連結した場合のみに適用されることに限定されず、例えば、フルトラクタ10のみである場合であっても有効である。例えば、フルトラクタ10のみによってトラックが構成される場合にも、上記したように、第一ゲート板50が、フルトラクタ10の荷箱15の後方開口部40の全体を開閉するリアドア41の内側に格納されるものであって、フルトラクタ10の後方開口部40の下辺19b側を回転軸として開閉可能に取り付けられ、第一ゲート板50に、第一ゲート板50とフルトラクタ10の荷箱15の後方開口部40の下フレーム19bとを連結して該第一ゲート板50を閉じ方向に付勢する第一付勢手段52を配設し、該第一付勢手段52を、第一ゲート板50がフルトラクタ10の荷箱15内部に格納されたとき、少なくとも一部が側方から見てフルトラクタ10の第一ゲート板50と重なる位置に収容される構成とすると共に、その全体がリアドア41の内側に収容されるように形成することで、上記したように、フルトラクタ10とフルトレーラ20とを連結して構成された連結トラック1の荷箱15、22間を安全に往来可能にする橋渡し構造を実現するために好適であることに加え、フルトラクタ10を単独で使用し、所定の高さを有する荷下ろし場に位置付けて、第一ゲート板50を開いて、該荷下ろし場と荷箱15間を橋渡しすることができ、荷箱15に対して荷物の積み下ろしを実施する際にも、作業者が容易に第一ゲート板50を扱うことができるという効果を享受することができる。上記したように、本願明細書において第一ゲート板50、第二ゲート板70として示されたゲート板の取り付け構造の有効性は、連結トラックの橋渡しに限定されるものではなく、上記したようなゲート板を、フルトレーラ20の後面に設けた場合、フルトラクタ10の荷箱15の側面、フルトレーラ20の荷箱22の側面に設けた場合も同様に発揮されるものである。
【符号の説明】
【0055】
1:連結トラック
10:フルトラクタ
11:車体フレーム
11a:連結部
12:運転席
13:前輪
14:キャブ
15:荷箱
16:駆動輪
17:ウイングサイドパネル
18:側アオリ
19a:縦フレーム
19b:下フレーム
19c:上フレーム
20:フルトレーラ
21:車体フレーム
22:荷箱
23:車輪
24:ウイングサイドパネル
25:側アオリ
27a:縦フレーム
27b:下フレーム
27c:上フレーム
28:ステー受け部材
30:ドローバー
31:基部
32:棒部材
33:先端部
40:後方開口部
41:リアドア
411:左側ドア
411a:中央ドア
411b:外側ドア
412:右側ドア
412a:中央ドア
412b:外側ドア
43、44、45、46:蝶番
50:第一ゲート板
52:第一付勢手段
521:サポートばね
522:ガイドロッド
523:ロックナットストッパー
524:ロックナット
525:受け座
526:調整ナット
53:補強部材
54:軸受部材
541、542:回動中心
55:収容凹部
56:緩衝ゴム
60:前方開口部
61:フロントドア
63、64、65、66:蝶番
70:第二ゲート板
72:第二付勢手段
721:サポートばね
722:ガイドロッド
723:ロックナットストッパー
724:ロックナット
725:受け座
726:調整ナット
73:補強部材
74:軸受部材
741、742:回動中心
75:収容凹部
76:緩衝ゴム
77:ステー
78:連結部材
79:軸受部
80:磁石
90:第一固定手段
91:ストッパー保持部
92:ストッパー
92a:L字部
92b:リング部
93:ループ受け
93a:孔
図1
図2
図3
図4
図5
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図9