IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西浦 信一の特許一覧

<>
  • 特許-発電機、発電素子、発電装置 図1
  • 特許-発電機、発電素子、発電装置 図2
  • 特許-発電機、発電素子、発電装置 図3
  • 特許-発電機、発電素子、発電装置 図4
  • 特許-発電機、発電素子、発電装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】発電機、発電素子、発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/02 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
H02K35/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021190641
(22)【出願日】2021-11-24
(65)【公開番号】P2023077353
(43)【公開日】2023-06-05
【審査請求日】2023-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712008002
【氏名又は名称】西浦 信一
(72)【発明者】
【氏名】西浦 信一
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-072361(JP,A)
【文献】特開2015-212524(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169486(JP,U)
【文献】特開2015-126584(JP,A)
【文献】特開2016-201899(JP,A)
【文献】特開2004-282818(JP,A)
【文献】特開2017-011879(JP,A)
【文献】特開2015-044165(JP,A)
【文献】特開2015-179804(JP,A)
【文献】特開2021-158818(JP,A)
【文献】特開2017-093148(JP,A)
【文献】特開2006-158113(JP,A)
【文献】特開2004-201376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのコアと少なくとも一つのコイルを備え、前記コアは磁性材料によって作られ、前記コイルは前記コアの周りにコイルボビンを介して固定して配置され、前記コイルと前記コアとで構成した発電部を備え、少なくとも一つの磁石を備え、前記磁石は前記コイルボビンに接続された磁石ボックス内に、前記コアとの端部にわずかに隙間を作って対峙して運動可能に配置され、前記発電部と前記磁石とは、同一の外部振動を受容して振動することを特徴とする発電機並びにセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー、運動エネルギー、振動を利用した発電機、発電素子、該発電機を利用した発電装置、通信装置、センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーを利用した発電方法が注目されている。特にIoT(Internet of Things)に貢献する発電方法として、様々な振動発電が考案され、公開されている。
【0003】
振動発電による発電機や自己発電型センサーがあれば、小型でメンテナンスフリーのIoT機器が構成でき、様々な用途での使用が期待できる。
しかし、これまで考案されてきた方法の多くは、発電力がμW級と微力で、そのパフォーマンスは限られていた。とくに、リチューム電池や電気2重層キャパシタのような蓄電デバイスへの充電能力がないものが多く、実際には、ほとんど実用に供さないものが多い。
【0004】
近年、Feと希土類元素(Tb、Dy等)を混ぜ合わせた材料が0.1%程度の磁歪量を示すことが発見され、巨大磁歪材料として実用化されている。鉄ガリューム合金(Fe-Ga)なども、効率的に逆磁歪効果を上げる材料として、近年、注目されている。
【0005】
こうした、磁歪材料の逆磁歪効果を用いて発電装置を構成する発明は数多く公開されて、その発電量が注目されている。この磁歪材料を利用した発電方式ではmW級の発電が可能なものも多い。
【0006】
しかし、特殊な磁歪材料を用いたものが多く、材料の量産手法が確立されないことで、価格が高くなるのが欠点である。磁歪材料の供給と価格が妨げになって、製品化が進んでいないのが実状である。
【0007】
小型の発電機や好感度で高出力のセンサーを構成すれば、小型のIoT用通信機や、橋梁や道路の振動測定器などに利用でき、社会貢献の高い製品の開発が可能となる。しかし、それには、量産性と低価格化がもとめられる。
【0008】
簡略で、かつ生産性に富み、低価格での提供が可能な、再生可能エネルギー、運動エネルギー、振動を利用した発電機、該発電機を利用した発電装置、通信装置、センサーなどの提供が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特願2020―186201
【文献】特願2021―169177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明者は、これまで発明した自己の特許文献を精査し、さらに実験と研究を進め、本発明を考案した。
【0011】
発明者は、先行する特許文献である特願2020―186201において、磁歪材料の逆磁歪効果を利用する発電機を、複数の磁性材料からなるバネ材を用いて、量産性の容易化と発電性能の両立が可能な発電デバイスの構造を考案した。
【0012】
しかしながら、この発明では、発電部のコイルが外部振動や再生可能エネルギーによって振動することが前提であり、コイルと外部回路の接続信頼性を長期にわたって得るのが難しいという問題があった。
【0013】
先行する特許文献である特願2021―169177において、発明者は鋭意研究と実験を行い、特に特別な磁歪材料を用いることなく磁歪効果を得ることに成功するとともに、外部エネルギーの受容方法を考案して、コイルにかかる振動を低減する発明をした。
【0014】
しかしながら、出力を決定するコイルの大きさに応じてデバイス構造が大きくなるので、出力向上に伴って素子の小型化が難しくなるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
【0016】
本発明は、コイルに内包されるように配置され固定されたコア磁性体に近接して、振動可能に配置された磁石が振動することで、振動する磁石の磁力を受けてコア磁性体の磁性の向きが反転を繰り返し、コイルに電力が発生する発電機(発電素子)あるいは発電装置である。
【0017】
前記磁石が、弾性体に連動し、周期を伴う振動をすることによって、例えば、不連続な再生可能エネルギーをエネルギー源とする発電や、重力方向のエネルギーが主となる振動発電で従来方法より効率の高い発電が可能となる。
【0018】
コイルに内包されるように配置され固定されたコア磁性体の構造は、電気をコアに流すと内部のコア磁性体が磁化する電磁石の基本構造と同一である。従って本発明による発電方法を、逆電磁発電と呼称することができる。
【0019】
本発明を考案するにあたり、発明者は、先行する特願2020―186201および特願2021―169177で得た知見に基づいて製作した発電機を用いて、鋭意各種実験を行い、磁石とコイルの振動の関係を精査した。その結果、空芯コイルの端部外側中央に磁石を配置し、コイルの軸方向に対して垂直に、コイル開口部に対して並行に、磁石を往復運動させると、コイルに電気が発生し、磁石の移動速度に応じて増減することに着目した。(電磁誘導)。磁石に、弾性体、例えばスプリングや板バネを接続し、外力を与えて、単振動を発生させたところ、コイルに周期を伴う電気が発生した。発明者はさらに研究を進め、コイルにコイルの長さに相当する磁性体を内包し、同様の実験を行ったところ、空芯状態に比較してほぼ3倍の電力が得られることを発見した。(逆電磁発電)。さらに、同一の電力を得るために必要な運動エネルギーが、コイル内部で磁石を動かして発電する通常の発電機に比べ10分の1で済むことも確認した。そして、磁石をコイル端部面の外側の中央付近に配置し、コイル端部面に平行に(コイル巻き方向に対しては垂直に)往復運動(振動)させるのが最も発電力があることを確認した。また、この往復運動(振動)は、円弧運動の一部を用いたものでも発電できることを確認した。この方法によれば、コイルは振動する必要がなく、さらにはコイルの重量を気にする必要もないので、コイルの巻き数、巻線径等、求める電気性能に合わせて設定することが可能である。そのことがもたらす利便性と長期安定性は疑いの余地がない。さらに、発電力を効果的に高める知見として次の事象を得た。1.コイル端部面と磁石の配置位置は、磁石が自由運動可能な状態で近いほど良い。2.コイル中心に磁性体を内包する場合は、磁性体との磁力の引っ張り合いで磁石が自由運動を阻害されないよう隙間を作るのが良い3.磁石の振幅が大きいほど発電力が高まる。4.使用する磁石に磁力の大きいものを使用すると発電力が高まる。5.コイル内に内包する磁性体は、端面の面積が大きいほど良い。6.磁性体に変えて磁石を用いることもできるが、出力は低下する。なお、本発明はこれら考案に至る過程の知見に限定されるものではない。
【0020】
本発明は、発電素子とした方が適切な場合もあるかと思うが、構造的には発電機である。適宜、発電素子あるいは発電機と呼称する。
【0021】
課題を解決する本発明の第1の手段は、少なくとも一つのコアと少なくとも一つのコイルを備え、前記コアは磁性材料によって作られ、前記コイルは前記コアの周りに配置された発電部と、少なくとも一つの磁石が少なくとも一つの支持部材によって支持され振動可能に配置された磁石振動部を備え、前記発電部の前記コアが、前記磁石振動部の前記磁石に近接して配置されたことを特徴とする発電機である。本発明の第2の手段は、前記磁石振動部が、少なくとも一つの可動部材によって支持され振動可能に配置された前記磁石を備えることを特徴とする第1の手段に記載の発電機である。本発明の第3の手段は、前記磁石振動部が、少なくとも一つの弾性部材によって支持され振動可能に配置された前記磁石を備えることを特徴とする第1の手段に記載の発電機である。本発明の第4の手段は、前記磁石振動部の前記磁石からの磁力を受けて前記発電部の前記コアの磁性の向きの反転を繰り返す第1の手段に記載の発電機である。
【0022】
本発明の第5の手段は、前記発電部の前記コアが前記コイルに固定されていることを特徴とする第1の手段に記載の発電機である。
本発明の第6の手段は、発生する電力が交流であることを特徴とする第1の手段に記載の発電機である。
【0023】
発明の第1は、外力を受容し発電する発電機において、該発電機は、少なくとも、コイル、磁石を備え、該コイルの端面外側近傍に、該磁石を運動可能に配置することを特徴とする発電機である。
【0024】
発明の第2は、前記コイルは、磁性材料を内包することを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0025】
発明の第3は、前記磁石は弾性体に接続し、該弾性体は前記コイル端部面外側に対して並行に、前記コイル巻き方向に対して垂直方向に、前記磁石が振動するよう配置されたことを特徴とする発明第1に記載の発電機である。
【0026】
発明の第4は、前記弾性体は、少なくともスプリングあるいは板バネを含む構造体であることを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0027】
発明の第5は、前記外力は、再生可能エネルギー、運動エネルギー、外部振動、であることを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0028】
発明の第6は、前記外力を、回転運動や上下運動に変換した機構を用いて、前記磁石を振動させることを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0029】
発明の第7は、前記外力により前記弾性体が荷重を受け変形し、除荷されて発生する復元力によって前記磁石が振動することを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0030】
発明の第8は、前記外力を、回転運動や上下運動に変換した機構を用いて、前記弾性体に弾性力を発生させ、前記磁石を振動させることを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0031】
発明の第9は、前記外力を、てこの原理を用いた機構あるいは変速機などを用いて、前記弾性体に弾性力を発生させることを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0032】
発明の第10は、前記磁石あるいは前記弾性体に重りを連結して、前記磁石の振動周波数を調整することを特徴とする発明の第1に記載の発電機である。
【0033】
発明の第11は、発明の第1に記載の発電機を具備することを特徴とする電源装置である。
【0034】
発明の第12は、発明の第11に記載の前記電源装置を具備することを特徴とする通信システムである。
【0035】
発明の第13は、発明の第1に記載の発電機の発電量をセンサー情報として利用したことを特徴とするセンシングシステムである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、簡単至便に再生可能エネルギーや、運動エネルギー、あるいは外部振動などをエネルギー源とした小型・高出力の発電機が構成できる。そして、フリーメンテナンスを求められる用途に、本発明の発電機を使った高信頼の電源や蓄電装置、通信装置、あるいはセンサーなどを提供することができる。また、本発明の原理を使用して大掛かりな発電機の製作も可能である。さらにプリント基板用の超小型のコイル等を利用して超小型の本発明の発電機を形成することもできる。さらに、振動状態を発電波形で観測する自己発電型センサーとしても好適であり、安価な低周波観測機などにも利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】発明の概念図 振動発電用構造 斜視図
図2】発明の概念図 外部振動を受容する実施例 a)スプリングタイプ縦置き b)スプリングタイプ横置き c)板バネタイプ縦置き d)板バネタイプ横置き
図3】発明の概念図 発電用構造 A)側面図 B)上面図
図4】運動エネルギー発電用装置例 斜視図
図5】発明の概念図 運動エネルギー発電用構造斜視図
【符号の説明】
【0038】
2…磁石、5…コア磁性体、6…ボビン、7…コイル、8…磁石ボックス、9…磁石ボックスふた、10…磁石ボックス溝底面、11…ボビン裏面、21…スプリング、22…板バネ、29…打鍵部、30…発電部、31…磁石振動部、32…磁石の移動方向、33…コイル台、34…発電部台座、35…弾性体固定ネジ、36…磁石振動部支柱、37…磁石振動部台座、38…運動エネルギー受容方向39…磁石駆動用弾性体40…板バネ止めネジ、41…板バネ台、42…板バネ、43…弾き受容部、44…弾き爪、45…弾きカム、46…第1歯車、47…動力エネルギー受容部、48…第2歯車、49…台座
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図中同一又は相当部分については同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
図1図2を参照して、本発明の実施例1を説明する。本実施例は、動力源として運動エネルギー、外力あるいは外部振動を受けて発電する発電機である。動力源には、風力、水力、波力などの自然の再生可能エネルギーによって発生する振動、道路、建物、橋梁など建築物が発生する振動、機械が動作する際の振動、さらには、ボタンを押す動作などの人力によるものなどを利用できる。
【0041】
この発電機は、コア磁性体5、コイル7、ボビン6、磁石2、磁石ボックス8、とを備えている。図1はボビン6にコイル7が巻かれている構造ではあるが、ボビン6を使わず直接コア磁性体5にコイル7を巻くことも可能である。公知のコイル構造はすべて使いうる。ボビン6は、コイル7巻き方向にパイプが伸びていてコイル両端の端部を磁石ボックスふた9で止めて、内部は空洞になっている。コア磁性体5は、コイル7の空洞に包まれるように棒状でコイルの巻き方向へ伸びて配置されている。このコア磁性体5は、コイル7に固着していることが好ましい。この構造は、コイルに電気を供給すると内部の磁性体が磁石となる電磁石とほぼ同一のものであり、一般に流布している電磁石をそのまま使うことも可能である。従って、本発明の発電方式を逆電磁発電と呼称することができる。
【0042】
コイル7は、図示しないが、外部回路へ発生電力を伝える配線が接続されている。発生した電力は通信機器やセンサーなどの電気機器に利用され、充電装置で充電することも可能である。これら発電機構に含まれる装置や設備の構造、機能、作用などについては、実質的に従来公知の発電機構と同様なので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0043】
コイル7の中心、同時にボビン6の中央に、コイル7に内包されるようにコア磁性体5が配置されている。
【0044】
コア磁性体5は、軟磁性材料が好ましいが、磁性材料に基づくものであればいずれも使いうる。通常コイルの磁心(コア)材料に使われるけい素鋼板やパーマロイなどが好適であるが、たとえば、鉄製のネジなども使用し得る。形状も棒状、角状、平板、パイプ状いずれも使いうる。このコア磁性体5の長さは、好ましくは、コイル7と同等程度の長さが好ましい。コア磁性体5はコイル7に直接圧入や接着剤等を使って固定するか、あるいはコイル7が巻かれたボビン6に挿入されたまま圧入しても良いし、接着剤などを使用してボビン6に固定してもよい。このコイル7とコア磁性体5で構成される構造は、電磁石の基本構造と同一ともいえる。従って、公開されている電磁石の構造はすべて使いうる。磁力を上げるヨークを備えたり、電磁石の性能を上げるための工夫はすべて排除しない。このことから、本発明を、逆電磁発電と呼称することもできる。
【0045】
図1では、コア磁性体5はボビン6と磁石ボックス8に内包されて、その端部と磁石2との間にわずかに隙間ができるよう配置されている。
ボビン6には磁石ボックス8が接続されている。磁石ボックス8には長方形の溝が中央付近に作られており、その中に円筒状の磁石2が運動可能なように配置されている。
【0046】
磁石2は、電磁石なども使いうるが、永久磁石で、好ましくは磁力の高いネオジウム磁石などが適している。形状は、磁石ボックス8の溝の中を動きやすいものであればよく、図1に示した円筒形の他に正方形、球体なども使いうる。
【0047】
これに、便宜上外して書かれている磁石ボックスふた9を接続して全体の構成となる。
【0048】
これにより、磁石2は、外部振動を受けると、コイル端部面外側に対して並行に運動し、コイル巻き方向に対しては垂直に動くようになる。発電機全体に振動が加わると、磁石2はコア磁性体5を横切りながら磁石ボックス8の溝内を往復する。この磁石2の往復運動(振動)により、磁石2の磁力を受けてコア磁性体5の磁性の向きが反転を繰り返し、コイル7に電力が発生し、図示しないがコイル7に配線された線材によって、外部回路へ供給される。
【0049】
図示しないが、磁石ボックス溝底面10にスプリングやバネ等の弾性体を配置して磁石の運動速度を速め、発電力を高めることも可能である。
【実施例2】
【0050】
図2を用いて実施例2を説明する。スプリング21や板バネ22の弾性体を片持ち構造で固定し、その自由端側に図1の発電機を接続している図である。図2の実施の態様に関し、図1と重複する箇所については、その説明および符号を省略する。外部振動を受容して、スプリング21や板バネ22の弾性体がバネ振動子のふるまいをすると図1の発電機が振動し、内部の磁石2が振動、磁石2はコア磁性体5を横切りながら磁石ボックス8の溝内を往復する。この磁石2の運動により、磁石2の磁力を受けてコア磁性体5の磁性の向きが反転を繰り返し、コイル7に電気が発生する。
【0051】
図1のボビン裏面11に弾性体を接続し、外部振動を受けて、主に矢印の方向へ振動することを示している。
【0052】
a)とb)は弾性体スプリング21を使って外部振動を受容する例である。主に機械振動や構造体の振動など揺れの方向が定まらないものに対しては有効な構造である。
【0053】
c)とb)は弾性体板バネ22を使って外部振動を受容する例である。振幅方向が定まるため、重力方向の振動が発生する場所での利用に向いている。
【0054】
なお、弾性体は振動エネルギーを弾性力に変換できるものなら、必ずしも金属製に限定するものではなく、ゴムや樹脂などで弾性を持つ材料や構造を使って受容してもよい。
【実施例3】
【0055】
図3を用いて、本発明の発電機の実施例3を説明する。
【0056】
図3は、本発明の実施例3の概略図である。
【0057】
なお、図3の実施の態様に関し、図1図2と重複する箇所については、同一の符号を使い、その説明を省略した。
【0058】
本実施例は、磁石振動部31と発電部30に概略構成される。図3のA)は側面図、B)は上面図である。ここではA)の側面図を用いて説明する。
【0059】
磁石振動部31は、磁石2と磁石駆動用弾性体39と磁石振動部支柱36磁石振動部台座37で概略構成される。磁石駆動用弾性体39は弾性のある材料を板状にして伸ばし、端部を弾性体固定ネジ35で磁石振動部支柱36に固定した、片梁構造である。そして、自由端側の端部付近に、磁石2を配置している。静止状態にある磁石2の位置は、発電部30のコア磁性体5に近接して磁石振動部支柱36によって配置されている。図3では、磁石2はコア磁性体5の端面に対峙するよう配置されているが、例えば、コア磁性体5を伸ばして、コア磁性体5の側面に近接して配置することも可能である。
【0060】
磁石駆動用弾性体39は、バネ性を有する磁性金属が望ましいが、必ずしも磁性を持つ必要はない。従って、金属ではなく樹脂やゴムといった弾性材料でも可能である。形状も板状だけでなく、棒状、スプリング状、でもよく、さらには振動と周期を得られる構造であればいずれも使いうる。さらにエネルギー受容しやすいよう、打鍵部等別機構を追加したりすることもできる。さらに、磁石駆動用弾性体39の自然振動数を調整するための重り等を付けたり、屈折部を設けてバネ力を調整したり、することも可能である。
【0061】
発電部30は、図1で説明したものと概略同じものは、同じ符号を付して、説明を省略する。発電部30は、コイル7、ボビン6、コア磁性体5、コイル台33、発電部台座34で概略構成される。
【0062】
コア磁性体5は棒状に伸びてボビン6,コイル7に内包されるように配置・固定され両端部がわずかにボビンから出ている。ボビン6,コイル7は、コイル台33によって発電部台座34に固定されている。
コア磁性体5の端部位置を磁石振動部31の静止状態の磁石2に近接するように発電部台座34を配置する。
【0063】
磁石振動部31の磁石2は、片梁構造の自由端側にある重りとして作用する。磁石2にさらに別材料の重りを付けることも可能である。運動エネルギーが運動エネルギー受容方向38に伝わると磁石駆動用弾性体39は変形し、弾性力によって振動する。あるいは、荷重が除荷されて振動する。その結果、磁石2の位置は磁石2の移動方向32のように振動し、磁石2の磁力を受けてコア磁性体5の磁性の向きが反転を繰り返しコイル7に電力が発生する。運動エネルギーが例えば地震や構造物の揺れであれば、本発電機の全体が揺れ、この揺れによって自由端側の重りとして、磁石2には重力に従って下にひかれる力と、慣性力によって上に押し上げられる力が働き、磁石駆動用弾性体39は、バネ振動子としてふるまう。そして、磁石2には、周期を伴なう振動が生じ、磁石2の磁力を受けてコア磁性体5の磁性の向きが反転を繰り返しコイル7に電力が発生する。図示しないが発生電力はコイル7に配線された線材によって、外部回路へ供給される。
【0064】
静止状態の磁石2とコア磁性体5の距離が近づけば近づくほど、磁石2の振動が生じた時の発電部30の発生電圧は高くなる。ただし、近づきすぎると磁力によるブレーキ効果が発生して、振動時間(周期)が短くなり、電力量は低下する。ただし、運動エネルギーが連続している場合はその限りではない。したがって、運動エネルギーの質や希望する電力の状態に応じて、静止状態の磁石2とコア磁性体5の距離を決定するのが望ましい。
【0065】
磁石振動部台座37と発電部台座34は、分離しても同一としても問題ない。その際、磁性材料で構成する必要もない。
【0066】
磁石駆動用弾性体39は、振動する際に固有振動数を有している。運動エネルギーである外部振動を受けて発電機全体が振動した時、外部振動の周波数と磁石駆動用弾性体39の固有振動数が近づくほど、磁石駆動用弾性体39の振幅は大きくなり、発電量も大きくなる。発明者は、この2つの周波数が近づいて共振状態に至った時、振幅はもっとも大きくなり発電量は10倍以上にもなることを実験によって確認している。
【0067】
図示しないが、前述の磁石2あるいは追加する重りの位置を変えたり、追加できるようにする固有振動周波数調整機構を磁石駆動用弾性体39に加えることもできる。これにより磁石駆動用弾性体39の固有振動周波数を外部振動の周波数に合わせて調整し、発電機の発電効率を高めることができる。さらに、共振による破壊を避けるためにも使用できる。固有振動周波数調整機構は、公知の技術であるので、図示しない。
【実施例4】
【0068】
図4を用いて、本発明の実施例4を説明する。図4は運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、変速機を通じて打鍵装置を駆動して、運動エネルギー受容部(磁石を振動させる弾性体をふくむ機構)に運動エネルギーを与える機構を備えた本発明の発電機の実施例である。
【0069】
図4の実施の態様に関し、図1図2図3と重複する箇所については、同じ符号を付し、その説明を省略した。本実施例の他にも、運動エネルギーを変換し利用する方法は、変速機や、てこの原理を利用した機構、あるいはぜんまい等エネルギーをバッファする機構、一定の周波数の振動に変更する振動発生機構など、運動エネルギーを伝達する際に使用する機構が考えられる。それら、従来公知の機構であればいずれも使いうる。従って、ここでの詳細な説明は省略する。
【0070】
回転運動に変換された運動エネルギーを動力エネルギー受容部47に入力すると、第1歯車46が回転し、さらに歯数を増やした第2歯車48が回転する。第2歯車48に連結する軸は、さらに連結する弾きカム45を回す。
【0071】
弾きカム45が備わる弾き爪44は回転によって板バネ42の弾き受容部43に荷重を与え変形させる。さらに回って、弾き爪44が弾き受容部43から外れると、板バネ42に加えられた変形は除荷されて、板バネ42が振動する。
【0072】
なお、弾きカムの内部には、図示しないがワンウェイクラッチをはめ込んである。
この構成により、小さく、不連続である自然エネルギーからの運動エネルギーであっても、板バネ42を十分変形させて弾くことができる。
【0073】
板バネ42は、コイル7およびボビン6を囲むように設計され、一方の端を固定する片梁構造となっている。コイル7の中央に備え、棒状に伸びて両端をわずかに出したコア磁性体5にわずかに隙間を作って対峙する位置に、磁石2を備えている。磁石2を備える側は、板バネ42の自由端であり、弾き受容部43の近傍となる。
【0074】
板バネ42が振動すると、それにならって磁石2も振動する。この振動は、コイル巻き方向に対してはほぼ垂直、磁性材料5の端面に対してはほぼ平行に振動して、コア磁性体5の磁性の向きが反転を繰り返し、コイル7に電力が発生し、図示しないがコイル7に配線された線材によって、外部回路へ供給される。
【0075】
なお、板バネ42の振動は、バネ振動子としてふるまいである。
【実施例5】
【0076】
図5を使用して本発明の実施例5を説明する。図5は、片持ち梁による磁石駆動用弾性体39の取り付け向きを変更し、磁石2の振れ方を変えた例の斜視図である。風車などに連結した回転子などにより磁石駆動用弾性体39の打鍵部29を打撃することで、磁石駆動振動体39を振動させる。発電までのプロセスは実施例3と同一であるので省略する。図5の実施の態様に関し、図1図2図3図4と重複する箇所については、同一の符号を使い、その説明を省略した。
【0077】
実施例1.2、3、4、5に係る、図1図2図3図4図5のいずれの例も、複数の発電機を電気的に連結して大出力を得ることができるが、説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の発電機並びに発電装置、センサーは、一般的な材料を使用し、単純な構造と一般的な加工技術で生産でき、大量生産による小型化及び低価格化が可能である。そのことにより、特殊用途だけでなく、民生用製品として、広く利用される可能性を持っている。

図1
図2
図3
図4
図5