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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】監視データ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
G05B23/02 301V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023113018
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】中崎 恭男
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-118567(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167726(WO,A1)
【文献】特開2008-112209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラにて撮像される産業機械の動画のデータと、その撮像中の前記産業機械又はそれが製造するワークの、状態若しくは物理量の、経時データと、を取得して記憶部に保存するデータ記録部と、
過去一定期間分の前記経時データから、時間軸に沿った前記経時データの変化を視認可能に示す経時画像を生成してモニタに表示すると共に、前記経時画像の前記時間軸における位置を示すためのスライダを前記経時画像に重ねて表示する画像表示部と、
前記経時画像を固定した状態で前記スライダを前記時間軸に沿った任意の位置に移動操作するためのコンソールと、
前記スライダの位置に対応する時間の前記産業機械の前記動画を、前記モニタに表示する動画表示部と、を備え
前記記憶部に保存される前記経時データには、前記産業機械の状態が動作状態か停止状態かを判別可能にする第1の経時データが含まれ、
前記第1の経時データに基づく前記経時画像は、前記動作状態か前記停止状態かを判別可能に示すように生成される監視データ処理装置。
【請求項2】
前記第1の経時データにおける前記産業機械の前記停止状態には、異常を有している異常停止状態と、異常を有しない正常停止状態とが含まれ、
前記第1の経時データに基づく前記経時画像は、前記異常停止状態か前記正常停止状態かを判別可能に示すように生成される請求項1に記載の監視データ処理装置。
【請求項3】
前記経時画像は、前記時間軸に沿って延びるバーを、前記産業機械或いは前記ワークの状態の相違又は物理量に応じて色分けした態様になっている請求項1に記載の監視データ処理装置。
【請求項4】
前記記憶部に保存される前記経時データには、前記産業機械或いは前記ワークの物理量の第2の経時データが含まれ、
前記第2の経時データに基づく前記経時画像は、前記時間軸を横軸とし、前記物理量を縦軸とするグラフである請求項1に記載の監視データ処理装置。
【請求項5】
前記データ記録部は、複数種類の前記経時データを前記記憶部に保存し、
前記画像表示部は、複数種類の前記経時データから複数種類の前記経時画像を生成し、それら複数種類の経時画像を前記時間軸に一致させて前記モニタに一緒に表示する請求項1に記載の監視データ処理装置。
【請求項6】
前記データ記録部は、複数の前記監視カメラにて同時に撮像される複数の動画のデータを取得して記憶部に保存し、
前記動画表示部は、前記スライダの位置に対応する前記複数の動画を前記モニタに表示する請求項1から5の何れか1の請求項に記載の監視データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視カメラにて撮像される産業機械の動画のデータを取得して、モニタに表示する監視データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視データ処理装置として、過去一定期間の動画における任意の瞬間を選択して再生することができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許7195729号公報(図1図10、段落[0089])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の監視データ処理装置では、例えば異常が生じたり、所定の計測結果に変化が生じた場合に、それら異常・変化等が生じた特別な瞬間の動画を見ようとしても、動画における特別な瞬間を探し出すまでに手間がかかるという問題があった。そこで、本願では、産業機械の動画における特別な瞬間を容易に探し出せるようにする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、監視カメラにて撮像される産業機械の動画のデータと、その撮像中の前記産業機械又はそれが製造するワークの、状態若しくは物理量の、経時データと、を取得して記憶部に保存するデータ記録部と、過去一定期間分の前記経時データから、時間軸に沿った前記経時データの変化を視認可能に示す経時画像を生成して、モニタに表示する画像表示部と、前記経時画像の時間軸に沿った任意の位置を選択可能なコンソールと、前記コンソールにて選択された位置に対応する前記産業機械の前記動画を、前記モニタに表示する動画表示部と、を備える監視データ処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様の監視データ処理装置によれば、過去一定期間の動画の撮像中における産業機械又はそれが製造するワークの状態又は物理量の推移が、経時画像としてモニタに表示される。そして、経時画像上で、産業機械又はワークに異常や変化が見つかった場合に、経時画像上においてそのような異常や変化が見つかった特別な位置(つまり、特別な瞬間)をコンソールにて選択することで、その選択された特別な位置(特別な瞬間)に対応する産業機械の動画をモニタに表示させることができる。このようにして本発明の一態様によれば、産業機械の動画における特別な瞬間を容易に探し出して見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の産業機械の一例としてのトランスファプレス機の正面図
図2図2は、トランスファプレス機及び監視システムのブロック図
図3図3は、監視データ処理装置のブロック図
図4図4は、第1の監視画面の概念図
図5図5は、第2の監視画面の概念図
図6図6は、第2の監視画面の概念図
図7図7は、第3の監視画面の概念図
図8図8は、入力操作画面の概念図
図9図9は、第2実施形態に係る検索操作画面の概念図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図1図8を参照して、監視データ処理装置30Aを含む監視システム10Aの一実施形態について説明する。図1には、監視システム10Aの監視対象である産業機械の一例として、トランスファプレス機50が示されている。このトランスファプレス機50は、ラム51の下面に横並びに配置される複数のパンチ52と、ボルスタ53の上面に横並びに配置される複数のダイ54とで、板金から筒形のワークを製造するものである。
【0009】
具体的には、ラム51が昇降する度に図1における左端のパンチ52により板金から例えば円形又は楕円形のブランク材が打ち抜かれると共にそれが筒形の中間ワークに形成される。また、その中間ワークは、ラム51が昇降する度にトランスファ装置55により図1における右隣のパンチ52の加工ステージに順次搬送されて絞られ又はしごかれ、最終的に例えば角筒形のワークに成形される。また、トランスファプレス機50のうち図1における右端部にはワーク測定装置56が備えられ、完成したワークの高さ、縦幅、横幅の寸法が自動測定され、その測定結果が、図2に示されたトランスファプレス機50のコントローラ60に取り込まれる。
【0010】
図2に示すように、コントローラ60には、トランスファプレス機50の種々の電気機器を駆動する駆動回路62と、駆動回路62を制御する制御回路63と、モニタ67と、コンソール68と、警告灯69とが備えられている。また、制御回路63には、CPU61A、RAM61B、ROM61C、補助記憶装置61D(例えば、HDD又はSDD)、リアルタイムクロック61E(以下、「RTC61E」という)、バックアップ電源61F等とが備えられている。そして、コンソール68に備えた連続運転ボタンがオン操作されることで、CPU61Aが、ROM61Cに保存されているワーク製造用プログラムを実行し、トランスファプレス機50が、上記の通り複数のワークを順次製造する動作状態になる。そして、予め設定された個数のワークの製造が完了するか、コンソール68に備えた運転終了ボタンがオン操作されることで、トランスファプレス機50が停止状態になる。
【0011】
また、トランスファプレス機50には、異常を検出するために複数の計測機器が備えられ、それらの計測結果が補助記憶装置61Dに保存されるようになっている。その一例として、例えば、ラム51の駆動源である主モータ57の電流を検出する電流計62Aと、主モータ57の温度を検出すための温度センサ63Aとが挙げられる。それら電流計62A及び温度センサ63Aによる計測データは、所定周期でCPU61Aに取り込まれ、RTC61Eによる時刻データを付された経時データ(具体的には、ログデータ)にされて、補助記憶装置61Dに保存される。また、前述のワーク測定装置56による測定データも時刻データを付された経時データにされて補助記憶装置61Dに保存される。
【0012】
なお、上記の例では、計測機器やワーク測定装置にて計測・測定される物理量として、電流、温度、寸法を挙げたが、経時的に変化し得る物理量であれば、それら電流等以外のものであってもよい。また、経時データは、物理量を計測等された時間を特定することができるデータであれば、ログデータでなくてもよい。
【0013】
CPU61Aは、各計測機器の計測結果と基準値とを比較し、計測結果が第1基準値を超えた場合には、警告灯69を警告用の色で点灯させ、第2基準値を超えた場合には、警告灯69を異常用の色で点灯させてトランスファプレス機50を強制的に非常停止する。また、CPU61Aは、コンソール68に備えた非常停止ボタン(図示せず)がオン操作されたり、トランスファプレス機50を包囲する安全柵(図示せず)が開放された場合も異常と判断してトランスファプレス機50を非常停止する。そして、非常停止した場合には、異常が解消されかつリセット操作が行われない限り、トランスファプレス機50の再起動は許容されない。また、異常が解消されなければ、リセット操作が行われても、その操作は無効になる。
【0014】
CPU61Aは、トランスファプレス機50の状態が、動作状態であるか、異常を有する異常停止状態か、異常を有しない正常停止状態かを特定する状態データを生成する。そして、状態が切り替わったタイミングでRTC61Eから時刻データを取得し、その時刻データを状態データに付して経時データを生成する。そして、状態データの経時データも、上述した計測データの経時データと同様に、補助記憶装置61Dに保存される。また、コントローラ60には、補助記憶装置61Dに保存された経時データを外部に出力するためのデータ出力部60Aが備えられている。
【0015】
図2に示すように、トランスファプレス機50を監視する本実施形態の監視システム10Aは、例えば、第1と第2の監視カメラ11,12と、パソコン13とを有する。第1の監視カメラ11は、例えば、トランスファプレス機50のうち板金からブランク材を打ち抜く加工ステージを撮像するように設置されている。また、第2の監視カメラ12は、例えば、中間ワークを絞り成形する複数の加工ステージを撮像するように設置されている。第1と第2の監視カメラ11,12は、例えば、図示しないRTCを備え、撮像した動画を時刻データ付きの動画データにして出力する。
【0016】
パソコン13は、CPU14、RAM15、ROM16、補助記憶装置17、RTC18、バックアップ電源19、モニタ20と、マウス21及びキーボード22からなるコンソール23とを備える。また、パソコン13は、第1と第2の監視カメラ11,12と、トランスファプレス機50のコントローラ60とに有線又は無線にて接続されている。
【0017】
パソコン13は、補助記憶装置17にインストールされている監視データプログラムをCPU14が実行することで、図3のブロック図に示された監視データ処理装置30Aとして機能する。
【0018】
監視データ処理装置30Aは、データ記録部25と画像データ生成部26と動画取込部27と表示制御部28とを備える。また、画像データ生成部26と表示制御部28とから画像表示部26Aが構成され、動画取込部27と表示制御部28とから動画表示部27Aが構成されている。
【0019】
データ記録部25は、第1と第2の監視カメラ11,12が出力する動画データを取得して補助記憶装置17に保存する。その際、動画データは、所定期間(例えば、1分、10分等)の動画ファイルに分けられて補助記憶装置17に保存される。また、データ記録部25は、トランスファプレス機50のコントローラ60から前述した測定データ、計測データ及び状態データの各経時データを取得して補助記憶装置17に保存する。それら経時データは、補助記憶装置17に保存した動画の撮像中のものであり、上記動画ファイルに紐付けられた経時データファイルとして補助記憶装置17に保存される。
【0020】
画像データ生成部26は、補助記憶装置17に保存されている過去一定期間の経時データに基づいて経時画像を生成する。また、画像データ生成部26は、補助記憶装置17に保存されている複数のテンプレート画面を取得し、それらテンプレート画面のうち予め定められた表示エリアに経時画像を嵌め込み、図4図8に例示された第1~第3の監視画面G1~G3と入力操作画面G4とを含む複数の監視・操作画面の画像データを生成する。そして、それら監視・操作画面の画像データが表示制御部28に付与され、表示制御部28が、付与された画像データに応じた監視・操作画面をモニタ20に表示する。その際、表示制御部28は、動画取込部27からの動画データに基づく動画を、監視・操作画面に設けられる所定の表示エリアに組み込んでモニタ20に表示する。
【0021】
具体的には、図4図8に示すように第1~第3の監視画面G1~G3と入力操作画面G4(これらを総称して「監視・操作画面G1~G4」という)とには、以下のものが共通して表示されるようになっている。即ち、監視・操作画面G1~G4には、上側左端部に、時刻表示部A1が備えられ、その右横に再生/停止ボタンA2が備えられている。再生/停止ボタンA2は、マウス21にてオン操作することで、図4に示される再生マークのアイコンを表示した状態と、図6に示される停止マークのアイコンを表示した状態とに切り替わる。時刻表示部A1に関しては、後に説明する。
【0022】
監視・操作画面G1~G4のうち再生/停止ボタンA2の右隣の位置から右端部に亘る範囲には、コンソール23にてオン操作可能な複数の画面選択ボタンB1,B2,B3,B4が備えられている。そして、画像データ生成部26は、「稼働履歴1」と付された画面選択ボタンB1がマウス21にてオン操作されたときには、表示制御部28に、図4に示される第1の監視画面G1の画像データを付与し、「稼働履歴2」と付された画面選択ボタンB2がオンされたときには、図5に示される第2の監視画面G2の画像データを表示制御部28に付与し、「稼働履歴3」と付された画面選択ボタンB3がオンされたときには、図7に示される第3の監視画面G3の画像データを表示制御部28に付与し、「入力画面」と付された画面選択ボタンB4がオンされたときには、図8に示される入力操作画面G4の画像データを表示制御部28に付与する。また、コンソール23が操作されていない初期状態では、画像データ生成部26は、図4に示した第1の監視画面G1の画像データを表示制御部28に付与する。
【0023】
監視・操作画面G1~G4の右上部には、現状のトランスファプレス機50の状態が、動作状態であるか停止状態であるかを示す第1点灯部C1と、トランスファプレス機50にアラームが発生中であるか否かを示す第2点灯部C2とが備えられている。
【0024】
監視・操作画面G1~G4のそれぞれは、以下のようになっている。図4に示すように、第1の監視画面G1の下辺部分には、「経時画像」としての状態表示バー40が表示される。その状態表示バー40は、横方向に延びるバーであり、画像データ生成部26は、状態表示バー40を、補助記憶装置17に保存されている状態データの経時データに基づいて生成する。
【0025】
詳細には、状態表示バー40の全長は過去一定期間の時間に相当し、左から右に向かうに従って時間が経過し、状態表示バー40の長手方向の任意の位置が、過去一定期間における任意の瞬間を意味する。また、状態表示バー40の下隣には、状態表示バー40における複数位置に対応する日時が付されている。また、状態表示バー40は、トランスファプレス機50の状態に応じて3色に色分けされる。図4では、状態表示バー40のドットのハッチング(図4の符号40Aを付した部分のハッチング)が第1の色であり、クロスのハッチング(図4の符号40Bを付した部分のハッチング)が第2の色であり、斜線のハッチング(図4の符号40Cを付した部分のハッチング)が第3の色である。そして、第1の色が、トランスファプレス機50が動作状態であることを意味し、第2の色が、トランスファプレス機50が異常停止状態であることを意味し、第3の色が、トランスファプレス機50が正常停止状態であることを意味する。
【0026】
画像データ生成部26は、状態表示バー40に重ねてスライダ41を表示する。スライダ41は、例えば、状態表示バー40の縦幅全体に亘って延びる縦線の両端部に三角形の重ねた形状をなしている。そして、このスライダ41は、コンソール23の操作に応じて状態表示バー40上の任意の位置にスライドさせることができる。具体的には、モニタ20に表示されるポインタをマウス21の操作によりスライダ41に重ねてドラッグするか、キーボード22に設けられた矢印のキーをオン操作することでスライダ41をスライド操作することができる。そして、状態表示バー40におけるスライダ41の位置に対応する日時が前述した時刻表示部A1に表示される。
【0027】
第1の監視画面G1のうち状態表示バー40の上方には、動画表示窓43,44が横並びに配置されている。図4における左側の動画表示窓43は、第1の監視カメラ11が撮像した動画を表示するためのものであり、右側の動画表示窓44は、第2の監視カメラ12が撮像した動画を表示するためのものである。
【0028】
動画表示窓43,44には、再生/停止ボタンA2が再生マークのアイコンを表示している状態、即ち、再生が行われていない状態では、現在、第1及び第2の監視カメラ11,12が撮像している所謂リアルタイムの動画が表示される。具体的には、動画取込部27が、データ記録部25を通して第1及び第2の監視カメラ11,12から動画データを取得し、その動画データを表示制御部28に付与することで、動画表示窓43,44にリアルタイムの動画が表示される。
【0029】
再生/停止ボタンA2の再生マークのアイコンがオン操作されて、再生/停止ボタンA2が停止マークのアイコンに切り替わると、時刻表示部A1に表示されている日時、つまり、状態表示バー40におけるスライダ41の位置に対応する日時からの動画が動画表示窓43,44に表示される。
【0030】
具体的には、動画取込部27が、補助記憶装置17から状態表示バー40におけるスライダ41の位置に対応する日時を含んだ動画ファイルを取得して表示制御部28に付与し、表示制御部28は、その動画ファイルに基づいてスライダ41の位置に対応する日時からの動画を再生して動画表示窓43,44に表示する。
【0031】
また、それら動画が再生されている間は、その動画の進行に応じてスライダ41が状態表示バー40上を移動し、時刻表示部A1に表示される日時も変化する。さらに、マウス21にてスライダ41をドラッグして状態表示バー40における位置を移動することで、それに対応して動画表示窓43,44に表示される動画が変更される。
【0032】
第1の監視画面G1のうち動画表示窓43,44の上方には、アラーム表示部45が備えられている。このアラーム表示部45には、「Alarm ID」、「日時」、「警告レベル」、「メッセージ」等の欄が備えられ、状態表示バー40に対応する過去一定期間におけるアラームの番号と、発生日時と、アラームの警告レベル、メッセージ等が表示される。なお、アラーム表示部45の右端には、スクロール操作部45Aが備えられ、そのスクロール操作部45Aを操作することで、アラーム表示部45に表示内容の全体を見ることができる。
【0033】
次に、図5及び図6を参照して、第2の監視画面G2について説明する。図5に示すように、第2の監視画面G2には、第1の監視画面G1の動画表示窓43,44の代わりに、「経時画像」としてのグラフ46,47が上下に並べて表示される。下側のグラフ46は、横軸を時間、縦軸を主モータ57の電流値としたものである。一方、上側のグラフ47は、横軸を時間、縦軸を主モータ57の温度としたものである。そして、これらグラフ46,47の横軸である時間軸と状態表示バー40の長手方向の時間軸とは一致している。即ち、グラフ46,47の横軸と直交する垂直線(図示せず)を、それらの横軸の任意の位置に配置したときに、その垂直線とグラフ46,47及び状態表示バー40とがそれぞれ交差する位置にて特定される日時は、全て同じ日時になるようにグラフ46,47及び状態表示バー40が表示されている。
【0034】
第2の監視画面G2において、再生/停止ボタンA2が再生マークのアイコンを表示している状態では、第1の監視画面G1で説明したアラーム表示部45がグラフ47の上方に表示される。そして、再生/停止ボタンA2の再生マークのアイコンがオン操作されて、図6に示すように停止マークのアイコンに切り替わると、アラーム表示部45に代わって動画表示窓88,89が表示される。動画表示窓88,89は、前述した第1の監視画面G1の動画表示窓43,44を縮小したもので、それら動画表示窓88,89に、動画表示窓43,44と同様に、時刻表示部A1に表示されている日時からの動画が表示される。
【0035】
次に、図7を参照して、第3の監視画面G3について説明する。同図に示すように、第3の監視画面G3には、第1の監視画面G1の状態表示バー40及び動画表示窓43,44の代わりに、「経時画像」としてのグラフ47,48A~48Cが上下に並べて表示される。最も上方に配置されるグラフ47は、前述した第2の監視画面G2のグラフ47と同じである。上から2番目のグラフ48Aは、前述のワーク測定装置56にて測定されるワークの高さ寸法の目標値に対するずれ量を縦軸、時間を横軸にしたものであり、上から3番目のグラフ48Bは、ワークの縦横の縦幅寸法の目標値に対するずれ量を縦軸、時間を横軸にしたものであり、上から4番目のグラフ48Cは、ワークの縦横の横幅寸法の目標値に対するずれ量を縦軸、時間を横軸にしたものである。そして、これらグラフ47,48A~48Cは横軸を一致させた状態に表示され、それらに共通する横軸座標バー80がグラフ48Cの下方に表示されている。
【0036】
横軸座標バー80には、一定間隔で日時が付されている。また、横軸座標バー80にはスライダ81が重ねて表示されている。そのスライダ81は、例えば、横軸座標バー80上に配置されて黒点から真上に垂直線を延ばした形状をなし、第1の監視画面G1のスライダ41と機能・操作は同じになっている。
【0037】
第3の監視画面G3においても、第2の監視画面G2と同様に、再生/停止ボタンA2が再生マークのアイコンを表示している状態では、グラフ47の上方にアラーム表示部45が表示されている。そして、再生マークのアイコンがオン操作されて停止マークのアイコンに切り替わると、アラーム表示部45に代わって動画表示窓88,89が表示され(図示せず)、それら動画表示窓88,89に時刻表示部A1に表示されている日時からの動画が表示される。
【0038】
次に、図8を参照して、入力操作画面G4について説明する。この入力操作画面G4は、過去一定期間におきたイベントをマニュアル入力するものである。そのために、入力操作画面G4には、第1の監視画面G1の一方の動画表示窓43の代わりに入力操作窓29が備えられている。また、他方の動画表示窓44の代わりに、動画の一部を静止画として表示するための画像表示窓83が備えられている。
【0039】
入力操作窓29には、時刻表示部29Aとイベントボックス29Bと備考ボックス29Cとが備えられている。時刻表示部29Aには、時刻表示部A1と同様に状態表示バー40におけるスライダ41の位置に応じた日時が表示される。そして、時刻表示部29Aに表示された日時における静止画が画像表示窓83に表示される。その画像表示窓83の静止画は、画像表示窓83の上に配置された表示切替ボタン84によって、第1の監視カメラ11による静止画か第2の監視カメラ12による静止画に切り替えることができる。
【0040】
イベントボックス29Bには、登録するイベント名の候補がリストアップされている。そして、そのリストアップされているイベント名の1つにポインタを重ねることでカーソルを表示させ、その状態で、イベントボックス29Bの下方の登録ボタン29Dをオン操作すると、そのイベントが時刻表示部29Aに表示の日時に行われたものとして登録される。そして、アラーム表示部45の「Alarm ID」と「日時」の欄に、登録されたイベント名と日時が表示される。
【0041】
また、備考ボックス29Cには、登録する備考の内容の候補がリストアップされている。そして、イベントボックス29Bの場合と同様に、備考の内容の1つを選択して、備考ボックス29Cの下方の登録ボタン29Dをオン操作すると、その備考の内容が時刻表示部29Aに表示の日時に行われたものとして登録される。そして、アラーム表示部45の「メッセージ」と「日時」の欄に、登録された備考の内容と日時とが表示される。
【0042】
なお、イベントボックス29B、備考ボックス29Cにカーソルが表示された状態でキーボード22にて文字入力を行うことで、リスト以外のものを登録することができるようになっている。また、この入力操作画面G4においても、第2及び第3の監視画面G2,G3と同様に、再生/停止ボタンA2の操作により、アラーム表示部45の代わりに、動画表示窓88,89を出現させて動画が表示させることができるようになっている。なお、動画表示窓88,89に動画が表示されているときには、画像表示窓83にも動画が表示される。
【0043】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、この実施形態の作用効果について説明する。
【0044】
例えば、トランスファプレス機50が過去一定期間の間に停止した場合、例えば、監視データ処理装置30Aにて第1の監視画面G1をモニタ20に表示させれば、状態表示バー40にて過去一定期間のトランスファプレス機50の状態の推移を目視確認することができる。それと共に、アラーム表示部45にて過去一定期間に発生したアラーム等を確認することができる。このとき、動画表示窓43,44にてリアルタイムのトランスファプレス機50の動画も同時に確認することができる。そして、トランスファプレス機50が異常停止する瞬間の動画を確認したい場合には、状態表示バー40においてトランスファプレス機50が異常停止状態(図4のうち符号40Bで示した部分)になる直前の位置にスライダ41を移動し、再生/停止ボタンA2の再生のアイコンをオン操作すればよい。すると、動画表示窓43,44に、トランスファプレス機50が異常停止する瞬間の動画が表示される。
【0045】
また、異常停止の更なる原因調査を行う場合には、画面選択ボタンB2をオン操作して、図5に示すように、第2の監視画面G2をモニタ20に表示させればよい。すると、トランスファプレス機50の主モータ57の電流と温度の時間経過に伴い変化を示したグラフ46,47が、状態表示バー40と時間軸を一致させた状態で表示される。
【0046】
そこで、例えば、トランスファプレス機50が異常停止状態になる前の動作状態(図5のうち符号40Aで示した部分)の間に、グラフ46,47上で、主モータ57の電流又は温度が変化している点が見つかった場合には、そのような変化点の直前の位置にスライダ41を移動し、再生/停止ボタンA2の再生のアイコンをオン操作すればよい。すると、図5に示されたアラーム表示部45に代わって図6に示すように動画表示窓88,89が出現し、電流又は温度の変化する瞬間を含んだ動画が表示される。これにより、電流又は温度の変化の原因を見つけることができる場合がある。具体的には、例えば、電流又は温度の変化の原因として、ワークの材料となる板金が正常な状態より変形していたり、潤滑油の供給が滞って煙が発生している等の状況を動画にて見つけることができる場合がある。
【0047】
なお、例えば、トランスファプレス機50が異常停止はしていないが、潤滑油を調整したり、トランスファプレス機50の動作速度を下げるような措置を行った場合には、画面選択ボタンB4をオン操作して図8に示された入力操作画面G4をモニタ20に表示すれば、行った措置を履歴として登録することができる。そして、その後、所定の措置によって異常を回避することできたか否かを容易に確認することができる。
【0048】
ワークの品質に寸法変化が生じた場合には、画面選択ボタンB3をオン操作して、図7に示された第3の監視画面G3をモニタ20に表示させればよい。すると、ワークの高さ、縦幅、横幅の各寸法の目標値に対するずれ量の推移がグラフ48A~48Cとして表示される。そこで、グラフ48A~48C上で、何れかの寸法が変化する点が見つかった場合には、そのような変化点の直前の位置にスライダ81を移動し、再生/停止ボタンA2の再生のアイコンをオン操作して動画を表示することで、変化の原因を見つけることができる場合がある。
【0049】
このように本実施形態の監視データ処理装置30Aによれば、過去一定期間の動画の撮像中におけるトランスファプレス機50及びそれが製造するワークの状態及び物理量の推移が、経時画像(状態表示バー40及びグラフ46,47,48A~48C)としてモニタ20に表示される。そして、それら経時画像上で、トランスファプレス機50又はワークに異常や変化が見つかった場合に、経時画像上においてそのような異常や変化が見つかった特別な位置(特別な瞬間)をコンソール23にて選択することで、その選択された特別な位置(特別な瞬間)の動画をモニタ20に表示させることができる。このようにして本実施形態の監視データ処理装置30Aによれば、トランスファプレス機50の動画における特別な瞬間を容易に探し出して見ることができる。
【0050】
しかも、図5及び図7に示すように、複数種類の経時画像(状態表示バー40及びグラフ46,47,48A~48C)を時間軸に一致させて纏めて表示することができるので、異常や変化を多面的に捉えて、動画における特別な瞬間を探し出すことができる。また、経時画像と時間軸を一致させて日時がモニタ20に表示されるので、時刻に基づいて、例えば、停電や地震等の外乱要因を判断することもできる。
【0051】
[第2実施形態]
本実施形態の監視データ処理装置は、第1実施形態の監視データ処理装置30Aの機能に加え、図9に示した検索操作画面G5をモニタ20に表示することができるようになっている。具体的には、検索操作画面G5を含む全ての監視・操作画面G1~G5に画面選択ボタンB5が備えられ、その画面選択ボタンB5をオン操作することで検索操作画面G5がモニタ20に表示されるようになっている。
【0052】
検索操作画面G5には、入力操作画面G4の入力操作窓29に代えて検索操作窓87が設けられ、入力操作画面G4の状態表示バー40とは異なる状態表示バー85が下辺部分に設けられ、さらに、アラーム表示部45に代えて検索結果表示部86が設けられている。また、入力操作画面G4の画像表示窓83に代えて動画表示窓44が設けられている。
【0053】
検索操作窓87には、アラームボックス87A、イベントボックス87B、備考ボックス87Cが横並びに配置され、それらのうちイベントボックス87B、備考ボックス87Cは、入力操作画面G4のイベントボックス29B及び備考ボックス29Cと同じ内容になっている。また、アラームボックス87Aには、アラーム名の選択候補がリストアップされている。そして、アラームボックス87A、イベントボックス87B、備考ボックス87Cのうちの少なくとも1つのボックス内の1つの項目を選択して検索ボタン87Dをオン操作すると、過去一定期間におけるアラーム、イベント、備考の履歴から、選択された項目と一致するものが検索結果表示部86にリストアップされる。
【0054】
検索結果表示部86には、検索項目、日時、マークの欄が設けられ、検索項目の欄には、ヒットした検索項目のアラーム、イベント、備考の内容が表示され、日時の欄には、ヒットしたアラーム等の発生日時が表示される。また、マークの欄には、リストアップされた項目を区別するためのマークが自動的に付される。
【0055】
状態表示バー85は、検索を行う前は、例えば、状態表示バー40を白抜きにした形状をなしている。そして、検索結果が検索結果表示部86にリストアップされると、そのリスト中のマークが、状態表示バー85の対応する日時の位置に重ねて表示される。これにより、状態表示バー85は、トランスファプレス機50の状態の経時変化を示した経時画像になる。
【0056】
そして、状態表示バー85上でスライダ41を任意の位置に移動して再生/停止ボタンA2をオン操作すると、検索操作窓87の隣りの動画表示窓44に、スライダ41に対応した第1又は第2の監視カメラ11,12の何れか一方の動画が表示される。また、画像表示窓83の上の表示切替ボタン84によって、動画表示窓44に表示される動画を、第1又は第2の監視カメラ11,12の一方から他方の動画に切り替えることができる。
【0057】
[他の実施形態]
前記第1実施形態では、パソコン13のCPU14が、補助記憶装置17にインストールされている監視データプログラムを実行することで監視データ処理装置30Aとして機能するようになっていたが、例えば、監視データプログラムがクラウドサーバーにて実行されて、パソコン13等のユーザ端末とクラウドサーバーとの間の通信により、ユーザ端末のモニタに上記した監視・操作画面G1~G5が表示されるようにしてもよい。
【0058】
前記実施形態では、データ記録部25が、第1及び第2の監視カメラ11,12が出力する動画データと、コントローラ60が出力する経時データとを直接取得していたが、それら動画データ及び経時データがクラウドにアップされ、そのアップされたデータをデータ記録部25がダウンロードして取得するようにしてもよいし、クラウドサーバーがデータ記録部として機能して、動画データ及び経時データをクラウドの記憶部に保存する構成としてもよい。
【0059】
前記実施形態のコンソール23は、マウス21とキーボード22であったが、タッチパネルであってもよい。
【0060】
前記第1実施形態では、産業機械としてトランスファプレス機50を例示したが、産業機械であれば、どのようなものであってもよい。
【0061】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴を含んだ本開示に係る特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成の符号を括弧書きで示すが、これら特徴群は、この括弧書きで示した符号の構成に限定されるものではない。
【0062】
[特徴1]
監視カメラ(11,12)にて撮像される産業機械(50)の動画のデータと、その撮像中の前記産業機械(50)又はそれが製造するワークの、状態若しくは物理量の、経時データと、を取得して記憶部(17)に保存するデータ記録部(25)と、過去一定期間分の前記経時データから、時間軸に沿った前記経時データの変化を視認可能に示す経時画像(40,46,47,48A~48C)を生成して、モニタ(20)に表示する画像表示部(26A)と、前記経時画像(40,46,47,48A~48C)の時間軸に沿った任意の位置を選択可能なコンソール(23)と、前記コンソール(23)にて選択された位置に対応する前記産業機械(50)の前記動画を、前記モニタ(20)に表示する動画表示部(27A)と、を備える監視データ処理装置(30A)。
【0063】
[特徴2]
前記記憶部(17)に保存される前記経時データには、前記産業機械(50)の状態が動作状態か停止状態かを判別可能にする第1の経時データが含まれ、前記第1の経時データに基づく前記経時画像(40)は、前記動作状態か前記停止状態かを判別可能に示すように生成される特徴1に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0064】
[特徴3]
前記第1の経時データにおける前記産業機械(50)の前記停止状態には、異常を有している異常停止状態と、異常を有しない正常停止状態とが含まれ、前記第1の経時データに基づく前記経時画像(40)は、前記異常停止状態か前記正常停止状態かを判別可能に示すように生成される特徴2に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0065】
[特徴4]
前記経時画像(40)は、前記時間軸に沿って延びるバーを、前記産業機械(50)或いは前記ワークの状態の相違又は物理量に応じて色分けした態様になっている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0066】
[特徴5]
前記記憶部(17)に保存される前記経時データには、前記産業機械(50)或いは前記ワークの物理量の第2の経時データが含まれ、前記第2の経時データに基づく前記経時画像(46,47,48A~48C)は、前記時間軸を横軸とし、前記物理量を縦軸とするグラフ(46,47,48A~48C)である特徴1から4の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0067】
[特徴6]
前記データ記録部(25)は、複数種類の前記経時データを前記記憶部(17)に保存し、前記画像表示部(26A)は、複数種類の前記経時データから複数種類の前記経時画像(40,46,47,48A~48C)を生成し、それら複数種類の経時画像(40,46,47,48A~48C)を前記時間軸に一致させて前記モニタ(20)に一緒に表示する特徴1から特徴5の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0068】
[特徴7]
前記データ記録部(25)は、前記動画の撮像日時の日時データを前記記憶部(17)に保存し、前記画像表示部(26A)は、前記経時画像(40,46,47,48A~48C)と前記時間軸を一致させて前記日時データに基づく日時を前記モニタ(20)に表示する特徴1から特徴6の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0069】
[特徴8]
前記画像表示部(26A)は、前記経時画像(40,46,47,48A~48C)と併せてスライダ(41,81)を前記モニタ(20)に表示し、そのスライダ(41,81)を前記コンソール(23)の操作に応じて前記時間軸に沿って移動させる特徴1から7の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0070】
[特徴9]
前記データ記録部(25)は、複数の前記監視カメラ(11,12)にて同時に撮像される複数の動画のデータを取得して記憶部(17)に保存し、前記動画表示部(27A)は、前記コンソール(23)にて選択された位置に対応する前記複数の動画を前記モニタ(20)に表示する特徴1から8の何れか1の特徴に記載の監視データ処理装置(30A)。
【0071】
上記した特徴1の監視データ処理装置によれば、過去一定期間の動画の撮像中における産業機械又はそれが製造するワークの状態又は物理量の推移が、経時画像としてモニタに表示される。そして、経時画像上で、産業機械又はワークに異常や変化が見つかった場合に、経時画像上においてそのような異常や変化が見つかった特別な位置(つまり、特別な瞬間)をコンソールにて選択することで、その選択された特別な位置(特別な瞬間)に対応する産業機械の動画をモニタに表示させることができる。このようにして本発明の一態様によれば、産業機械の動画における特別な瞬間を容易に探し出して見ることができる。
【0072】
経時データは、産業機械又はそれが製造するワークに係るもので、動画の撮像中に変化し得るものであればどのようなものでもよい。産業機械の状態の経時データの一例としては、上記特徴2及び3のようなものに加え、例えば、自動運転状態かマニュアル運転状態かを判別するデータや、省エネ運転状態か高速運転状態かを判別するデータ等が挙げられる。また、ワークの状態の経時データの一例としては、例えば、ワークの色が問題になる場合には、異常色状態か正常色状態かを判別するデータや、ワークのバリが問題になる場合には、バリ有り状態かバリ無し状態かを判別するデータ等が挙げられる。さらに、産業機械の物理量の経時データの一例としては、例えば、産業機械の温度、油圧、空気圧、電流、電圧、磁気、騒音、振動等のデータが挙げられる。また、ワークの物理量の経時データの一例としては、例えば、ワークの全体又は各部位の寸法、質量、剛性、硬度、温度等のデータが挙げられる。また、経時画像は、時間軸に沿った経時データの変化を視認可能に示すものであれば、どのようなものであってもよく、その一例としては、例えば、上記特徴4のようなバーや、上記特徴5のようなグラフが挙げられる。
【0073】
また、記憶部に保存される経時データは、1種類でもよいし、複数種類でもよい。特徴6の監視データ処理装置のように、複数種類の経時データを記憶部に保存し、複数種類の経時データに基づく複数種類の経時画像を時間軸に一致させてモニタに一緒に表示すれば、それら複数種類の経時画像に基づく多面的な判断から動画における特別な瞬間を探し出すことができる。
【0074】
また、特徴7の監視データ処理装置では、経時画像と時間軸を一致させて日時がモニタに表示されるので、時刻に基づいて、例えば、停電や地震等の外乱要因を判断することができる。
【0075】
特徴8の監視データ処理装置では、経時画像と併せてスライダをモニタに表示し、そのスライダを時間軸に沿って移動させて経時画像上で任意の位置を選択することができるので、経時画像上での位置の選択操作が容易になる。
【0076】
特徴9の監視データ処理装置では、選択された時刻の複数の動画を同時に見て異常の原因を判断することができる。
【0077】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0078】
11 第1の監視カメラ
12 第2の監視カメラ
17 補助記憶装置(記憶部)
20 モニタ
23 コンソール
25 データ記録部
26A 画像表示部
27A 動画表示部
30A 監視データ処理装置
40,85 状態表示バー(経時画像)
41,81 スライダ
46,47,48A~48C グラフ(経時画像)
50 トランスファプレス機(産業機械)
80 横軸座標バー
【要約】
【課題】産業機械の動画における特別な瞬間を容易に探し出せるようにする技術を開示する。
【解決手段】本実施形態の監視データ処理装置30Aは、第1及び第2の監視カメラ11,12が撮像したトランスファプレス機50の動画のデータと、その撮像中のトランスファプレス機50の状態の経時データとを記憶部17に保存するデータ記憶部25と、過去一定期間分の経時データから時間軸に沿った経時画像40,46,47を生成してモニタ20に表示する画像表示部26Aとを備える。そして、経時画像40,46,47の時間軸の任意の位置をコンソール23にて選択することで、その選択された位置に対応する動画がモニタ20に表示される。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9