(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】焼却プラントの排水処理装置および排水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240205BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20240205BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20240205BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240205BHJP
C02F 1/02 20230101ALI20240205BHJP
C02F 1/12 20230101ALI20240205BHJP
【FI】
C02F1/00 M
B01D61/04
B01D61/12
C02F1/44 A
C02F1/02 A
C02F1/12
(21)【出願番号】P 2019206233
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592141927
【氏名又は名称】JFE環境テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】遠山 朋子
(72)【発明者】
【氏名】和田 恵
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043218(JP,A)
【文献】特開平09-014629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00、1/02、1/12、1/44
B01D61/04、61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を燃焼させる焼却部と、
前記焼却部から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収部と、
前記焼却部と前記熱回収部を備える焼却プラントから発生する排水に対して浄化処理をする排水処理部と、を備える焼却プラントの排水処理装置であって、
前記排水処理部は、
前記排水に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水を生成する第1段処理部と、
前記第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理部と、
前記第2段処理部に流入する前記第1段処理水の一部を前記第1段処理部より上流側に戻すバイパス路と、
前記第2段処理部で発生する濃縮排水を受ける噴霧水槽と、
前記噴霧水槽から噴霧される前記濃縮排水を焼却処理する焼却部と、
前記バイパス路に流入させる水量を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、
少なくとも前記第2段処理部の濃縮排水の発生量と炉内噴霧処理量の関係から第2段処理部で処理する水量の調整を実行すると共に、
前記濃縮排水の発生量が前記炉内噴霧処理量を超えないように前記第2段処理部で処理する水量を調整する、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焼却プラントの排水処理装置において、
前記熱回収部は、ボイラと低温エコノマイザを備える、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の焼却プラントの排水処理装置において、
前記バイパス路に流入した前記第1段処理水は、焼却プラント内の1以上の第1段処理水使用箇所に送られる、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の焼却プラントの排水処理装置において、
前記第2段処理部は、逆浸透膜分離装置である、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の焼却プラントの排水処理装置において、
前記逆浸透膜分離で生成された前記第2段処理水は、焼却プラント内の1以上の第2段処理水使用箇所に送られる、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の焼却プラントの排水処理装置において、
前記第1段処理水に対して、前記第2段処理部に流入させる水量と、前記バイパス路に流入させる水量を調整する制御部を備える、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理装置。
【請求項7】
廃棄物を燃焼させる焼却部と、
前記焼却部から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収部と、
前記焼却部と前記熱回収部を備える焼却プラントから発生する排水に対して浄化処理をする排水処理部と、を備える焼却プラントにおける排水処理方法であって、
前記排水処理部は、
前記排水に対して第1段階の浄化処理をする第1段処理工程と、
前記第1段処理工程で処理された第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理工程と、
前記第2段処理工程に流入する前記第1段処理水の一部を前記第1段処理工程より上流側にバイパス路を介して戻す工程と、
前記第2段処理工程で発生する濃縮排水を焼却部に噴霧して前記濃縮排水を焼却処理する焼却工程と、を備え、
少なくとも第2段処理工程で出る前記濃縮排水の発生量と炉内噴霧処理量の関係から前記第2段処理工程で処理する水量の調整を実行すると共に、
前記濃縮排水の発生量が前記炉内噴霧処理量を超えないように前記第2段処理工程で処理する水量を調整する、
ことを特徴とする焼却プラントの排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却部と前記熱回収部を備える焼却プラントから発生する排水に対して浄化処理をする排水処理部を備える焼却プラントの排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の焼却プラントの排水処理装置の従来文献として特許文献1から特許文献4が挙げられる。これらの文献に記載されている排水処理装置は、前記排水に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水を生成する第1段処理部と、前記第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理部を備えている。前記第1段処理部は凝集沈殿処理及び生物処理、前記第2段処理部は逆浸透(RO)膜処理が通常である。
前記第2段処理水は高度浄化水であるので、前記熱回収部を成すボイラの補給水や前記焼却部の周辺機器冷却用に設けた冷却塔等の機器冷却水補給水として利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6241525号特許公報
【文献】特許第6123833号特許公報(P2016-190223A)
【文献】特許第6052041号特許公報(P2014-213529A)
【文献】特許第5874924号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の焼却プラントの排水処理装置は、第1段処理部で生成した第1段処理水を全て第2段処理部で処理する構成である。そのため、以下の2つの問題がある。
1つ目は前記第2段処理部が大型化する問題がある。2つ目は第2段処理部での処理量に比例して、利用用途が限定される汚れた濃縮排水の量が増えるため、炉内噴霧等で処理しきれなくなり、排水クローズドを成立させるために濃縮排水の一部を排ガス冷却用の減温塔で使用する必要性が生じ、発電効率向上の妨げとなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、焼却プラントの排水処理装置における第2段処理部が大型化する問題を抑制することにある。また、前記第2段処理部の濃縮排水量を抑え、減温塔がなくても排水クローズドと高効率発電を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る焼却プラントの排水処理装置は、廃棄物を燃焼させる焼却部と、前記焼却部から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収部と、前記焼却部と前記熱回収部を備える焼却プラントから発生する排水に対して浄化処理をする排水処理部と、を備える焼却プラントの排水処理装置であって、前記排水処理部は、前記排水に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水を生成する第1段処理部と、前記第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理部と、前記第2段処理部に流入する前記第1段処理水の一部を前記第1段処理部より上流側に戻すバイパス路と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記排水処理部は、前記排水に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水を生成する第1段処理部と、前記第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理部と、前記第2段処理部に流入する前記第1段処理水の一部を前記第1段処理部より上流側に戻すバイパス路と、を備える。即ち、第2段処理部において処理するものは、第1段処理部で生成した第1段処理水の全てでは無く、その一部だけである。これにより、第2段処理部の小型化を実現することができる。
また、上記バイパス路を設けることによって、第2段処理部に流入する量を調整し、減温塔がなくても排水クローズドが達成できるように第2段処理部の濃縮排水量を調整することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記熱回収部は、ボイラと低温エコノマイザを備える、ことが好ましい。
ここで、低温エコノマイザとは、ボイラ出口に配設されて、排ガス温度を後段のバグフィルター等の排ガス処理装置にそのまま送れる程度(170℃以下)にまで下げることが可能な熱回収部である。
【0009】
本態様によれば、前記熱回収部は低温エコノマイザを備えるので、該熱回収部の熱回収量を増やすことができ、以って高効率発電を実現することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記バイパス路に流入した前記第1段処理水は、焼却プラント内の1以上の第1段処理水使用箇所に送られる、ことが好ましい。
【0011】
焼却プラント内には、プラットホーム床、ごみ収集車の洗車場、トイレ等といった前記第1段処理水を使用できる箇所が存在する。
本態様によれば、前記バイパス路に流入した前記第1段処理水は、焼却プラント内の床洗浄等の1以上の第1段処理水使用箇所に送られるので、当該第1段処理水を、当該焼却プラント内を循環させて有効に利用することができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記第2段処理部は逆浸透膜分離装置である、ことが好ましい。
【0013】
本態様によれば、前記第2段処理部は、逆浸透膜分離装置であるので、焼却プラント内のボイラの補給水や前記焼却部の周辺機器冷却用に設けた冷却塔等の機器冷却水補給水として使用できる高度浄化水を容易に得ることができる。
【0014】
本発明の第5の態様は、第4の態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記逆浸透膜分離で生成された前記第2段処理水は、焼却プラント内の1以上の第2段処理水使用箇所に送られる、ことが好ましい。
【0015】
焼却プラント内には、前記ボイラや冷却塔といった高度浄化水である前記第2段処理水を使用できる箇所が存在する。
本態様によれば、前記第2段処理水は、焼却プラント内のボイラ等の1以上の第2段処理水使用箇所に送られるので、当該第2段処理水を、当該焼却プラント内を循環させて有効に利用することができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つの態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記第1段処理水に対して、前記第2段処理部に流入させる水量と、前記バイパス路に流入させる水量を調整する制御部を備える、ことが好ましい。
【0017】
本態様によれば、前記第1段処理水に対して、前記第2段処理部に流入させる水量と、前記バイパス路に流入させる水量を調整する制御部を備えるので、前記第1処理水と第2処理水の生成量を当該焼却プラントの運転状態に応じて適切に調整することができる。
【0018】
本発明の第7の態様は、第6の態様に係る焼却プラントの排水処理装置において、前記制御部は、少なくとも第2段処理部の濃縮排水の発生量と炉内噴霧処理量の関係から第2段処理部で処理する水量の調整を実行する、ことが好ましい。
ここで、「第2段処理部の濃縮排水の発生量と炉内噴霧処理量の関係」とは、前記濃縮排水の発生量が炉内噴霧等での処理量を超えないような量的な関係を意味する。
【0019】
本態様によれば、濃縮排水の発生量は炉内噴霧等での処理量を超えないように第2段処理部で処理する水量を調整するので、例えば濃縮排水水槽の保有水量を一定に保持することで自動化を容易に実現することができる。
【0020】
尚、焼却プラント内の各場所から発生する高汚染水については、前記焼却装置の燃焼雰囲気中に送られて焼却処理されるようにすることで、排水処理部の処理効率を向上することができる。
ここで、「高汚染水」とは、第1段処理水としての再利用に不適敵な、例えば逆浸透膜分離装置から出る濃縮水、灰処理室の床を洗浄した汚染水、ボイラ用水を得るために純水装置を備える場合に該純水装置から出る再生排水等である。
【0021】
本発明の第8の態様に係る焼却プラントの排水処理方法は、廃棄物を燃焼させる焼却部と、前記焼却部から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収部と、前記焼却部と前記熱回収部を備える焼却プラントから発生する排水に対して浄化処理をする排水処理部と、を備える焼却プラントにおける排水処理方法であって、前記排水処理部は、前記排水に対して第1段階の浄化処理をする第1段処理工程と、前記第1段処理工程で処理された第1段処理水に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水を生成する第2段処理工程と、前記第2段処理工程に流入する前記第1段処理水の一部を前記第1段処理工程より上流側にバイパス路を介して戻す工程、を実行する、ことを特徴とする。
本態様の排水処理方法によれば、第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る焼却プラントの排水処理装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る排水処理部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
続いて、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下の説明では、最初に
図1に基づいて本発明の実施形態1に係る焼却プラントの排水処理装置の概略構成について説明する。次に、
図2に基づいて本発明の実施形態に係る排水処理部の構成を説明する。
【0024】
[実施形態]
<全体の概略構成の説明>
図1に表したように、本実施形態に係る焼却プラントの排水処理装置1は、廃棄物を燃焼させる焼却部3と、焼却部3から排出される燃焼排ガス2の熱を回収する熱回収部5と、焼却部3と熱回収部5を備える焼却プラントから発生する排水4に対して浄化処理をする排水処理部7と、を備える。
本実施形態では、熱回収部5は、ボイラ10と低温エコノマイザ12を備える。低温エコノマイザ10は、ボイラ10の出口に配設されて、排ガスを後段の排ガス処理部11にそのまま送れる程度(170℃以下)にまで下げる熱回収部である。熱回収部5は、低温エコノマイザ12を備えるので、該熱回収部5の熱回収量を増やすことができ、以って高効率発電を実現することができる。
【0025】
焼却部3に入る廃棄物は、有機物を含む廃棄物であって、具体的にはごみ収集車で集められた生活ごみ廃棄物や各種工場から出た有機物を含む産業廃棄物等である。
燃焼排ガス2は、ガス流路管9を通って熱回収部5、排ガス処理部11を経て浄化されて、煙突13から大気中に放出される。
焼却部3や熱回収部5から出る排水4、更に焼却プラント設備から出る洗車排水、床洗浄排水、トイレ汚水等の雑排水も含めて全ての排水4は、排水処理部7に送られる。
なお、排水処理部7に送られる排水は、焼却プラント設備以外に、管理棟からの排水が含まれてもよい。管理棟とは、焼却プラントで勤務中の従業員が飲食、風呂、洗濯するための設備や、見学者用のトイレ等の設備を備えた建物を指す。
【0026】
図2に表したように、排水処理部7は、排水4に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水6を生成する第1段処理部15と、第1段処理水6に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水8を生成する第2段処理部17と、第2段処理部17に流入する第1段処理水6の一部を第1段処理部15より上流側に戻すバイパス路19とを備える。
排水処理部7において、排水4は先ず汚水受水槽21に集められる。汚水受水槽21は、後段の第一段処理部15における浄化処理を効率よく行うために複数設け、懸濁物質、有機成分量に応じて分けて貯留することが好ましい。汚水受水槽21から水流路管23を通って各処理部に送られる。
【0027】
<第1段処理部、第1段処理水>
第1段処理部15では、排水4に含まれる有機成分や懸濁物質を除去する。ここで用いる水処理方法に制限はないが、排水4の汚染度に応じて、中和、凝集、沈殿、ろ過、生物処理、吸着、消毒のうち1つ以上の処理を行う。また、ろ過と生物処理を組み合わせた膜分離活性汚泥法を適用することもできる。活性汚泥の分離には、精密ろ過(MF)膜あるいは限外ろ過(UF)膜を用いる。第1段処理水6は、水流路管23を通って第2段処理部17に送られる。また、バイパス路19がこの部分の水流路管23に接続されているので、第1段処理水6の一部は、該バイパス路19を通って第1段処理水槽29に送られる。第1段処理水槽29は、第1段処理水6の一部を第1段処理部15より上流側に戻すために一旦貯留するためのものである。
【0028】
バイパス路19に流入した第1段処理水6は、第1段処理水槽29を経て焼却プラント内の1以上の第1段処理水使用箇所31に送られる。
第1段処理水使用箇所31は、焼却プラント内のプラットホーム床33、ごみ収集車等の洗車場35、管理エリアや居室等のトイレ37が挙げられる。即ち、バイパス路19を通った第1段処理水6は、プラットホーム床33の洗浄用水、洗車場35での洗車用水、トイレ37のフラッシング用水として使用される。
また、第1段処理水6は、焼却プラント内の灰処理室床39の洗浄用水としても使われる。
【0029】
第1段処理水使用箇所31で洗浄水として使用された第1段処理水6の内、プラットホーム床33、洗車場35、及びトイレ37での各洗浄水は、再利用するために水流路管23を通して汚水受水槽21に戻される。なお、汚水受水槽21に戻される前段に予備処理を含めることもできる。
一方、第1段処理水使用箇所31の灰処理室床39の洗浄に使われた第1段処理水6は、焼却部3の燃焼領域に噴霧される。灰処理室床39にはダイオキシン等が付着した灰が存在する虞があるので、そこの洗浄に使われた高汚染水20は、そのまま再利用水として使用するルートに入れることは適切ではないからである。
第1段処理部15の使用で発生する汚泥22は、ごみピットに送られ、焼却部3で焼却処理する。
【0030】
<第2段処理部、第2段処理水>
第2段処理部17は、逆浸透膜(RO膜)分離装置41を備える。RO膜分離装置41は、第1段処理水6の一部に対して第2段の浄化処理を行い、これにより第2段処理水8が得られる。この第2段処理水8は、高度浄化水であり、焼却プラント内のボイラ10のボイラ補給水や冷却塔14等の補給水として使用可能なものである。
RO膜分離装置41によって生成された第2段処理水8は、第2段処理水槽47に一旦貯留されて、焼却プラント内の1以上の第2段処理水使用箇所43に送られる。第2段処理水使用箇所43としては、焼却プラント内のボイラ10や冷却塔14等が挙げられる。即ち、第2段処理水8は、ボイラ10のボイラ補給水として、また冷却塔等の補給水として使用される。生成された第2段処理水8で足りない分は、工業用水などを補給水として利用する。
【0031】
第2段処理水8は、第2段処理水使用箇所43において使用されることにより、ボイラ10及び冷却塔14からブロー水16が定期的に発生する。このブロー水16は、再利用するために水流路管23を通して汚水受水槽21に戻される。
一方、第2段処理水使用箇所43から発生する、そのまま再利用水として使用することは不適切な高汚染水20は、焼却部3の燃焼領域に噴霧される。
また、RO膜分離装置41から出る濃縮水も高汚染水20になるので、焼却部3の燃焼領域に噴霧される。
焼却部3に噴霧する高汚染水20は、一度噴霧水槽48に貯め置かれた後、焼却部3で焼却処理される。
【0032】
<流量調整>
本実施形態では、第2段処理部17で発生する濃縮排水の発生量と炉内噴霧等での処理量の関係から、バイパス路19に流入させる水量を調整する制御部45を備える。制御部45は、図示を省く流量調整部とセンシング部とを備え、前記センシング部の取得した情報に基づいて前記流量調整部を調整して、第2段処理部17に流入させる水量、第2段処理部17の電源のON/OFF、及びバイパス路19に流入させる水量を変えることができるように構成されている。
ここで、「情報」とは、第2段処理部17で発生する濃縮排水の水量、炉内噴霧等での処理可能量、第1段処理水6の現在量と必要量の関係、第2段処理水8の現在量と必要量の関係等、前記水量の調整に関わる情報である。また、「第2段処理部17の濃縮排水の発生量と炉内噴霧処理量の関係」とは、前記濃縮排水の発生量が炉内噴霧等での処理量を超えないような量的な関係を意味する。
前記流量調整により、濃縮排水の発生量は炉内噴霧等での処理量を超えないように第2段処理部で処理する水量を調整するので、例えば濃縮排水水槽の保有水量を一定に保持することで自動化を容易に実現することができる。
【0033】
<焼却プラントの排水処理方法>
本実施形態に係る焼却プラントの排水処理方法は、
図1及び
図2に表れているように、焼却部3と、熱回収部5とを備える焼却プラントから発生する排水4に対して浄化処理をする排水処理部7を備えた焼却プラントであって、排水処理部7は、以下の各工程を実行するように構成されている。排水4に対して第1弾処理部15で第1段階の浄化処理をする第1段処理工程と、前記第1段処理工程で処理された第1段処理水6に対して第2段処理部17で第2段階の浄化処理を行って第2段処理水8を生成する第2段処理工程と、前記第2段処理工程に流入する第1段処理水6の一部を前記第1段処理工程より上流側にバイパス路19を介して戻す工程、を実行する。
【0034】
<実施形態の効果の説明>
(1)本実施形態に係る排水処理部7は、排水4に対して第1段階の浄化処理を行って第1段処理水6を生成する第1段処理部15と、第1段処理水6に対して第2段階の浄化処理を行って第2段処理水8を生成する第2段処理部17と、第2段処理部17に流入する第1段処理水6の一部を第1段処理部15より上流側に戻すバイパス路19と、を備える。即ち、第2段処理部17において処理するものは、第1段処理部15で生成した第1段処理水6の全てでは無く、その一部だけである。これにより、第2段処理部17の小型化を実現することができる。
また、バイパス路19を設けることによって、第2段処理部17に流入する量を調整し、減温塔がなくても排水クローズドが達成できるように第2段処理部17の濃縮排水量を調整することが可能となる。
【0035】
(2)焼却プラント内には、プラットホーム床33やごみ収集車の洗車場35、トイレ37等といった第1段処理水6を使用できる箇所が存在する。
本実施形態によれば、バイパス路19に流入した第1段処理水6は、焼却プラント内のプラットホーム床等の1以上の第1段処理水使用箇所31に送られるので、第1段処理水6を、当該焼却プラント内を循環させて有効に利用することができる。
【0036】
(3)焼却プラント内には、前記ボイラ10や冷却塔14といった第2段処理水8を使用できる箇所が存在する。
本実施形態によれば、第2段処理水8は、焼却プラント内のボイラ10等の1以上の第2段処理水使用箇所43に送られるので、第2段処理水8を、当該焼却プラント内を循環させて有効に利用することができる。
【0037】
(4)本実施形態によれば、第1段処理水6に対して、第2段処理部17に流入させる水量と、バイパス路19に流入させる水量を調整する制御部45を備えているので、第1段処理水6と第2段処理水8の生成量を当該焼却プラントの運転状態に応じて適切に調整することができる。
その際、第1段処理水6と第2段処理水8の少なくとも一方の情報に基づいて前記水量の調整が行われるので、前記水量調整の自動化を容易に実現することができる。
【0038】
<排水クローズド>
(5)更に、上記において説明したように、第1段処理水6は、第1段処理水使用箇所31で使用された洗浄水となったものは、そのほとんどが再利用のために第1段処理部15より上流側に戻される、即ち循環される。また、第2段処理水8が第2段処理水使用箇所43で使用されて発生するブロー水16も、同様に再利用のために第1段処理部15より上流側に戻される、即ち循環される。再利用に適さない高汚染水20と汚泥22は、焼却部3の燃焼領域に噴霧されて焼却処理されて灰と水蒸気になる。
従って、排水として外部に流出の無い排水クローズドシステムを構築することが可能である。
【0039】
[他の実施形態]
本発明に係る焼却プラントの排水処理装置及び排水処理方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0040】
上記実施形態では、第1段処理水使用箇所31として、プラットホーム床33、洗車場35、トイレ37、灰処理室床39を挙げて説明したが、これらに限定されないことは勿論である。焼却プラント内で第1段処理水を使える場所があれば、それらを含めることができる。
同様に、第2段処理水使用箇所43についても、ボイラ10と冷却塔14の他に高度浄化水である第2段処理水8を使えるものがあれば、それらを含めることができる。
【0041】
上記実施形態では、焼却プラントの各発生源から出る排水4を全て汚水受水槽21に集め、まとめて第1段処理に付しているが、排水発生源毎に、或いは排水発生源をグループ分けして、各グループ毎に処理を行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…焼却プラントの排水処理装置、2…燃焼排ガス、3…焼却部、4…排水、
5…熱回収部、6…第1段処理水、7…排水処理部、8…第2段処理水、
9…ガス流路管、10…ボイラ、11…排ガス処理部、
12…低温エコノマイザ、13…煙突、14…冷却塔、15…第1段処理部、
16…ブロー水、17…第2段処理部、19…バイパス路、20…高汚染水、
21…汚水受水槽、22…汚泥、23…水流路管、
29…第1段処理水槽、31…第1段処理水使用箇所、
33…プラットホーム床、35…洗車場、37…トイレ、39…灰処理室床、
41…逆浸透膜分離装置、43…第2段処理水使用箇所、45…制御部、
47…第2段処理水槽、48…噴射水槽