(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】フレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2019215208
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175924(JP,A)
【文献】特開2018-022808(JP,A)
【文献】特開2018-132655(JP,A)
【文献】特開2019-194989(JP,A)
【文献】特表2015-517209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを含む絶縁基材を有するアレイ基板と、
前記第2面側に位置し前記アレイ基板に密着した第1有機絶縁層と、
前記第1有機絶縁層に対して前記アレイ基板の反対側に位置し前記第1有機絶縁層に密着した第2有機絶縁層と
、
前記第1面側に位置し前記アレイ基板に密着した第3有機絶縁層と、
前記第3有機絶縁層に対して前記アレイ基板の反対側に位置し前記第3有機絶縁層に密着した第4有機絶縁層と、を備え、
前記第2有機絶縁層の内部には、複数の気泡が混在されており、
前記第2有機絶縁層は、前記絶縁基材より弾性率が
低く、
前記第4有機絶縁層の内部には、複数の気泡が混在されており、
前記第4有機絶縁層は、前記絶縁基材より弾性率が低く、
前記第3有機絶縁層は、中実の層である、
フレキシブル基板。
【請求項2】
前記第1有機絶縁層は、中実の層である、
請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記絶縁基材は、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の島状部と、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の延在部と、前記複数の島状部及び前記複数の延在部で囲まれた複数の開口と、を有し、
各々の前記延在部は、前記複数の島状部のうち2つの島状部の間に位置している、
請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記アレイ基板は、前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた複数の配線と、それぞれ前記絶縁基材の前記第2面側に設けられ前記複数の配線のうち対応する配線に電気的に接続された複数の電気的素子と、をさらに有し、
各々の前記配線は、前記複数の島状部及び前記複数の延在部に沿って延在し、
各々の前記電気的素子は、前記複数の島状部のうち対応する島状部の前記第2面側に設けられている、
請求項3に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記第1有機絶縁層及び前記第2有機絶縁層は、同一の材料で形成されている、
請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記第2有機絶縁層の厚みは、前記第1有機絶縁層の厚みより大きい、
請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
前記第1有機絶縁層の厚みと前記第2有機絶縁層の厚みとの和は、前記絶縁基材の厚みと前記第3有機絶縁層の厚みと前記第4有機絶縁層の厚みとの和と同一である、
請求
項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを含む絶縁基材を有するアレイ基板と、
前記第2面側に位置し前記アレイ基板に直接又は間接に固定された第1有機絶縁層と、を備え、
前記絶縁基材は、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の島状部と、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の延在部と、前記複数の島状部及び前記複数の延在部で囲まれた複数の開口と、を有し、
各々の前記延在部は、前記複数の島状部のうち2つの島状部の間に位置し、湾曲又は屈曲した第1区間と、前記第1区間以外の第2区間と、を含み、
前記第1有機絶縁層は、前記複数の延在部の前記第1区間に重なった複数の第1部分と、前記複数の第1部分以外の第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記複数の第1部分の剛性より低い剛性を持っている、
フレキシブル基板。
【請求項9】
前記第2部分は、前記複数の第1部分より弾性率の低い材料で形成されている、
請求
項8に記載のフレキシブル基板。
【請求項10】
前記複数の第1部分及び前記第2部分は、同一の材料で形成され、
前記複数の第1部分は、それぞれ中実の部分であり、
前記第2部分の内部には、複数の気泡が混在されている、
請求
項8に記載のフレキシブル基板。
【請求項11】
前記第1有機絶縁層は、前記アレイ基板に密着している、
請求
項8に記載のフレキシブル基板。
【請求項12】
前記アレイ基板は、前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた複数の配線と、それぞれ前記絶縁基材の前記第2面側に設けられ前記複数の配線のうち対応する配線に電気的に接続された複数の電気的素子と、をさらに有し、
各々の前記配線は、前記複数の島状部及び前記複数の延在部に沿って延在し、
各々の前記電気的素子は、前記複数の島状部のうち対応する島状部の前記第2面側に設けられている、
請求
項8に記載のフレキシブル基板。
【請求項13】
前記第1面と対向し前記アレイ基板に直接又は間接に固定された第2有機絶縁層をさらに備え、
前記第2有機絶縁層は、前記複数の延在部の前記第1区間に重なった複数の第3部分と、前記複数の第3部分以外の第4部分と、を有し、
前記第4部分は、前記複数の第3部分の剛性より低い剛性を持っている、
請求
項8に記載のフレキシブル基板。
【請求項14】
前記第1有機絶縁層の厚みは、前記絶縁基材の厚みと前記第2有機絶縁層の厚みとの和と同一である、
請求
項13に記載のフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フレキシブル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性及び伸縮性を有したフレキシブル基板の利用が種々の分野で検討されている。一例を挙げると、マトリクス状に電気的素子が配列されたフレキシブル基板を電子機器の筐体や人体等の曲面に貼り付ける利用形態が考えられる。電気的素子としては、例えばタッチセンサや温度センサ等の各種センサや表示素子が適用され得る。
【0003】
フレキシブル基板においては、屈曲や伸縮による応力で配線が損傷しないように対策を講じる必要がある。このような対策としては、例えば、配線を支持する基材にハニカム形状の開口を設けることや、配線を蛇行した形状(ミアンダ形状)とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-322864号公報
【文献】特開2014-38589号公報
【文献】特開2017-187580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、伸長率の向上が可能なフレキシブル基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るフレキシブル基板は、
第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを含む絶縁基材を有するアレイ基板と、前記第2面側に位置し前記アレイ基板に密着した第1有機絶縁層と、前記第1有機絶縁層に対して前記アレイ基板の反対側に位置し前記第1有機絶縁層に密着した第2有機絶縁層と、前記第1面側に位置し前記アレイ基板に密着した第3有機絶縁層と、前記第3有機絶縁層に対して前記アレイ基板の反対側に位置し前記第3有機絶縁層に密着した第4有機絶縁層と、を備え、前記第2有機絶縁層の内部には、複数の気泡が混在されており、前記第2有機絶縁層は、前記絶縁基材より弾性率が低く、前記第4有機絶縁層の内部には、複数の気泡が混在されており、前記第4有機絶縁層は、前記絶縁基材より弾性率が低く、前記第3有機絶縁層は、中実の層である。
【0007】
また、一実施形態に係るフレキシブル基板は、
第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを含む絶縁基材を有するアレイ基板と、前記第2面側に位置し前記アレイ基板に直接又は間接に固定された第1有機絶縁層と、を備え、前記絶縁基材は、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の島状部と、それぞれ前記第1面の一部及び前記第2面の一部を構成する複数の延在部と、前記複数の島状部及び前記複数の延在部で囲まれた複数の開口と、を有し、各々の前記延在部は、前記複数の島状部のうち2つの島状部の間に位置し、湾曲又は屈曲した第1区間と、前記第1区間以外の第2区間と、を含み、前記第1有機絶縁層は、前記複数の延在部の前記第1区間に重なった複数の第1部分と、前記複数の第1部分以外の第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記複数の第1部分の剛性より低い剛性を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るフレキシブル基板を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板の一部を示す拡大平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の線III-IIIに沿ったフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2の線IV-IVに沿ったフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図2の線V-Vに沿ったフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、有機絶縁層における、厚み、弾性率、及び剛性の関係を表で示す図である。
【
図7】
図7は、有機絶縁層の弾性率を変えた場合における、フレキシブル基板の伸長率に対する歪量の変化をグラフで示す図である。
【
図8】
図8は、上記第1の実施形態の変形例1に係るフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図9】
図9は、上記第1の実施形態の変形例2に係るフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、上記第1の実施形態の変形例3に係るフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係るフレキシブル基板の一部を示す拡大平面図である。
【
図12】
図12は、
図11の線XII-XIIに沿ったフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図11の線XIII-XIIIに沿ったフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1部分及び第3部分の弾性率を変えた場合における、フレキシブル基板の伸長率に対する歪量の変化をグラフで示す図である。
【
図15】
図15は、上記第2の実施形態の変形例1に係るフレキシブル基板の一部を示す拡大平面図である。
【
図16】
図16は、上記第2の実施形態の変形例2に係るフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【
図17】
図17は、上記第2の実施形態の変形例3に係るフレキシブル基板の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本第1の実施形態に係るフレキシブル基板100を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態においては、第1方向d1、第2方向d2、及び第3方向d3を定義する。第1方向d1及び第2方向d2は、フレキシブル基板100の主面と平行であり、互いに交わる方向である。第3方向d3は、第1方向d1及び第2方向d2に対して垂直な方向であり、フレキシブル基板100の厚さ方向に相当する。第1方向d1と第2方向d2は、本実施形態では直交するが、90°以外の角度で交わってもよい。
【0011】
フレキシブル基板100は、複数の配線、複数の電気的素子3、有機絶縁層8、走査線ドライバDR1、及び信号線ドライバDR2を有している。本実施形態において、複数の配線としては、複数の走査線1及び複数の信号線2を挙げることができる。走査線1、信号線2、電気的素子3、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2は、有機絶縁層8の上に位置している。複数の走査線1は、それぞれ第1方向d1に延出し、第2方向d2に並んでいる。複数の走査線1は、それぞれ走査線ドライバDR1に接続されている。複数の信号線2は、それぞれ第2方向d2に延出し、第1方向d1に並んでいる。複数の信号線2は、それぞれ信号線ドライバDR2に接続されている。複数の電気的素子3は、それぞれ走査線1と信号線2との交差部に位置し、走査線1及び信号線2と電気的に接続されている。なお、電気的素子3の機能の詳細については後述する。
【0012】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板100の一部を示す拡大平面図である。
図2に示すように、フレキシブル基板100は、走査線1、信号線2などを支持する絶縁基材4をさらに備えている。絶縁基材4は、伸縮性及び可撓性を持っている。絶縁基材4は、例えばポリイミドで形成されているが、この例に限定されるものではなく他の絶縁材料で形成されてもよい。
【0013】
絶縁基材4は、網目状に形成されている。絶縁基材4は、複数の島状部ILと、複数の延在部E1と、複数の延在部E2と、複数の開口OPと、を有している。複数の島状部IL、複数の延在部E1、及び複数の延在部E2は、一体に形成されている。複数の島状部ILは、互いに間隔を置いて配置されている。本実施形態において、複数の島状部ILは、第1方向d1及び第2方向d2にマトリクス状に配置されている。
【0014】
複数の延在部E1は、第1方向d1に断続的に並べられ、第2方向d2に間隔を置いて配置されている。各々の延在部E1は、第1方向d1に延在し、波形の形状を有している。各々の延在部E1は、第1方向d1に隣合う2つの島状部ILの間に遊びを持たせてかけ渡されている。そのため、延在部E1は、2つの島状部ILの間を最短距離で直線的に結ぶものではない。
【0015】
複数の延在部E2は、第2方向d2に断続的に並べられ、第1方向d1に間隔を置いて配置されている。各々の延在部E2は、第2方向d2に延在し、波形の形状を有している。各々の延在部E2は、第2方向d2に隣合う2つの島状部ILの間に遊びを持たせてかけ渡されている。
本実施形態において、延在部E1,E2は、それぞれ湾曲した区間を有している。但し、
図14を用いて後述するように、延在部E1,E2は、屈曲した区間を有してもよい。
【0016】
複数の開口OPは、複数の島状部IL及び複数の延在部E1,E2で囲まれている。本実施形態において、各々の開口OPは、第2方向d2に隣合う一対の延在部E1と、第1方向d1に隣合う一対の延在部E2と、一対の延在部E1及び一対の延在部E2に接続された4つの島状部ILと、で囲まれている。複数の開口OPは、第1方向d1及び第2方向d2にマトリクス状に並んでいる。
【0017】
走査線1は、第1方向d1に連続する複数の延在部E1及び複数の島状部ILの上に位置し、複数の延在部E1及び複数の島状部ILに沿って延在している。本実施形態において、走査線1は、波形の形状を有している。信号線2は、第2方向d2に連続する複数の延在部E2及び複数の島状部ILの上に位置し、複数の延在部E2及び複数の島状部ILに沿って延在している。本実施形態において、信号線2は、波形の形状を有している。走査線1及び信号線2は、フレキシブル基板100が備える配線の一例である。走査線1及び信号線2は、例えば金属材料や透明導電材料で形成することができ、単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。フレキシブル基板100は、走査線1及び信号線2の他に、電気的素子3に給電する電源線などの他種の配線を備えてもよい。
【0018】
走査線1は、実線で示す第1部分1aと、破線で示す第2部分1bと、を有している。第2部分1bは、電気的素子3と重畳している。第1部分1aと第2部分1bは、互いに異なる層に配置されており、コンタクトホールCH1及びコンタクトホールCH2を通って電気的に接続されている。
電気的素子3は、複数の配線のうち対応する配線に電気的に接続されている。本実施形態において、電気的素子3は、一の走査線1と、一の信号線2とに電気的に接続されている。
【0019】
走査線1は、電気的素子3に走査信号を供給する。例えば電気的素子3がセンサのような信号の出力を伴うものである場合、信号線2には電気的素子3からの出力信号が供給される。また、例えば電気的素子3が発光素子やアクチュエータのように入力される信号に応じて作動するものである場合、信号線2には駆動信号が供給される。走査信号の供給源、駆動信号の供給源又は出力信号を処理するプロセッサなどを含むコントローラは、フレキシブル基板100に設けられてもよいし、フレキシブル基板100に接続される機器に設けられてもよい。
【0020】
電気的素子3は、島状部IL上に位置している。電気的素子3は、島状部ILよりも小さく、
図2においては電気的素子3の縁から島状部ILがはみ出ている。例えば電気的素子3は、センサ、半導体素子、アクチュエータなどである。例えばセンサとしては、可視光や近赤外光を受光する光学センサ、温度センサ、圧力センサ、タッチセンサなどに適用できる。例えば半導体素子としては、発光素子、受光素子、ダイオード、トランジスタなどに適用できる。
【0021】
電気的素子3が発光素子である場合、可撓性及び伸縮性を有するフレキシブルディスプレイを実現できる。発光素子としては、例えば、ミニLED、マイクロLEDといった100μm前後の大きさを有する発光ダイオード、又は有機エレクトロルミネッセンス素子を利用することができる。
【0022】
電気的素子3がアクチュエータである場合、例えばピエゾ素子を適用できる。なお、電気的素子3は、ここで例示したものに限られず、その他にも種々の機能を有する素子を適用し得る。電気的素子3は、コンデンサや抵抗などであってもよい。また、電気的素子3の配置位置や形状は、
図2に示した例に限定されるものではない。
【0023】
図3は、
図2の線III-IIIに沿ったフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図3に示すように、フレキシブル基板100は、有機絶縁層5と、有機絶縁層6と、有機絶縁層7と、有機絶縁層8と、有機絶縁層9と、有機絶縁層10と、をさらに備えている。絶縁基材4は、第1面S1と、第1面S1とは反対側の第2面S2と、を有している。延在部E1は、第1面S1の一部及び第2面S2の一部を構成している。有機絶縁層5は、絶縁基材4の第2面S2を覆っている。走査線1は、絶縁基材4の第2面S2側に設けられている。具体的には、走査線1は、有機絶縁層5の上に配置されている。
【0024】
有機絶縁層6は、走査線1及び有機絶縁層5を覆っている。有機絶縁層5及び有機絶縁層6は、例えばポリイミドなどの有機材料で形成されている。なお、有機絶縁層5,6は、絶縁基材4(島状部IL、延在部E1、及び延在部E2)の直上のみに設けられているが、絶縁基材4が存在しない領域(開口OPに重なる領域)に設けられてもよい。但し、フレキシブル基板100の可撓性及び伸縮性の観点からは、
図3に示すような配置態様が好ましい。また、
図3に示す例では、延在部E1の直上に、信号線2は配置されない。絶縁基材4、有機絶縁層5、有機絶縁層6、走査線1などは、アレイ基板ARを構成している。
【0025】
有機絶縁層7は、絶縁基材4の第2面S2側に位置し、アレイ基板ARに密着している。有機絶縁層7は、絶縁基材4、有機絶縁層5、及び有機絶縁層6を覆っている。つまり、有機絶縁層7は、アレイ基板ARを覆っている。有機絶縁層8は、絶縁基材4の第1面S1側に位置し、アレイ基板ARに密着している。有機絶縁層7及び有機絶縁層8は、複数の開口OPを通って密着している。有機絶縁層9は、有機絶縁層7に対してアレイ基板ARの反対側に位置し、有機絶縁層7に密着している。有機絶縁層10は、有機絶縁層8に対してアレイ基板ARの反対側に位置し、有機絶縁層8に密着している。
【0026】
本実施形態において、有機絶縁層7は第1有機絶縁層として機能し、有機絶縁層9は第2有機絶縁層として機能し、有機絶縁層8は第3有機絶縁層として機能し、有機絶縁層10は第4有機絶縁層として機能している。有機絶縁層7乃至10は、可撓性を有する有機材料で形成されている。
【0027】
図4は、
図2の線IV-IVに沿ったフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図4に示すように、延在部E2は、第1面S1の一部及び第2面S2の一部を構成している。信号線2は、絶縁基材4の第2面S2側に設けられている。具体的には、信号線2は、有機絶縁層6の上に配置されている。有機絶縁層7は、絶縁基材4、有機絶縁層5、有機絶縁層6、及び信号線2を覆っている。つまり、有機絶縁層7は、アレイ基板ARを覆っている。
図4に示す例では、延在部E2の直上に、走査線1は配置されていない。
図3及び
図4に示したように、絶縁基材4、有機絶縁層5、走査線1、有機絶縁層6、及び信号線2は、有機絶縁層7,8によって上下左右を囲まれている。信号線2もアレイ基板ARを構成している。
【0028】
図5は、
図2の線V-Vに沿ったフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図5に示すように、島状部ILは、第1面S1の一部及び第2面S2の一部を構成している。電気的素子3は、絶縁基材4の複数の島状部ILのうち対応する島状部ILの第2面S2側に設けられている。
【0029】
電気的素子3と島状部ILとの間には、無機絶縁層19(パッシベーション層)が配置されている。無機絶縁層19は、平面視においては電気的素子3(あるいは島状部IL)と重畳する島状に形成されている。第1部分1aは、有機絶縁層5の上に配置され、有機絶縁層6によって覆われている。第2部分1bは、無機絶縁層19の上に配置され、電気的素子3と電気的に接続されている。
図5に示す例においては、第2部分1bの両端部が有機絶縁層5に覆われている。
【0030】
コンタクトホールCH1,CH2は、有機絶縁層5に形成されている。図中、一方の第1部分1aは、コンタクトホールCH1に配置された接続部材CM1を介して第2部分1bと電気的に接続されている。他方の第1部分1aは、コンタクトホールCH2に配置された接続部材CM2を介して第2部分1bと電気的に接続されている。接続部材CM1,CM2は、それぞれ第1部分1aの一部であってもよいし、第1部分1aとは別途に設けられてもよい。
【0031】
このように、電気的素子3と絶縁基材4との間には島状の無機絶縁層19が配置されている。無機絶縁層19は、電気的素子3や走査線1の第2部分1bへの水分等の侵入を抑制する保護膜として機能する。このため、フレキシブル基板100の信頼性の向上を図ることができる。また、一般的に無機膜は有機膜に比べてクラックが生じやすいが、走査線1の第1部分1aの下方には無機絶縁層19が設けられていないため、第1部分1aにおける走査線1の断線を抑制することができる。上記のことは、上記信号線2についても同様である。さらに、無機絶縁層19がフレキシブル基板100の全体に設けられている場合と比較して、フレキシブル基板100の伸縮性及び可撓性が阻害され難いものである。
【0032】
また、走査線1において、電気的素子3と重畳する第2部分1bが第1部分1aとは異なる層に配置されている。そのため、電気的素子3の近傍において、アレイ基板ARの設計の自由度の向上を図ることができる。また、コンタクトホールCH1,CH2は無機絶縁層19の上方に設けられている。無機絶縁層19の上方にて第1部分1aと第2部分1bとが接続されるため、第1部分1aと第2部分1bとの接続不良を抑制することができる。電気的素子3の下方には、絶縁基材4の島状部ILが配置されている。これにより、電気的素子3を良好に支持できる。
無機絶縁層19、接続部材CM1,CM2、及び電気的素子3も、アレイ基板ARを構成している。
【0033】
次に、
図3乃至
図5に示した有機絶縁層7乃至10について詳細に説明する。
図3に示すように、有機絶縁層7乃至10は、伸縮性及び可撓性を持っている。有機絶縁層7乃至10は、それぞれ絶縁基材4より弾性率の低い材料で形成されている。本実施形態において、有機絶縁層7乃至10は、同一の材料で形成されている。有機絶縁層7乃至10を形成する伸縮性材料(有機絶縁材料)としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、及びエポキシ系の何れかの樹脂を挙げることができる。
【0034】
有機絶縁層7,8,及び10は、それぞれ中実の層である。有機絶縁層9の内部には、複数の気泡がランダムに混在されている。有機絶縁層9の剛性をバランスする観点から、気泡は有機絶縁層9の内部に均等に混在されている方が望ましい。
【0035】
絶縁基材4の厚みをT4、有機絶縁層7の厚みをT7、有機絶縁層8の厚みをT8、有機絶縁層9の厚みをT9、有機絶縁層10の厚みをT10とする。本実施形態において、厚みT9は、厚みT7より大きい。
図3及び
図4に示すように、走査線1と重なる領域及び信号線2と重なる領域において、厚みT7と厚みT9との和は、厚みT4と厚みT8と厚みT10との和と同一である方が望ましい(T7+T9=T4+T8+T10)。これにより、走査線1及び信号線2をフレキシブル基板100の中立面の近傍に配置することができるため、走査線1及び信号線2に応力が加わり難くすることができる。
【0036】
有機絶縁層7は、走査線1、信号線2、電気的素子3などを保護する保護層として機能している。さらに、有機絶縁層7は、フレキシブル基板100の有機絶縁層9側を平坦化する平坦化層として機能している。有機絶縁層7の内部に、気泡は混在されていない。そのため、有機絶縁層7は密着層として機能し、有機絶縁層7をアレイ基板ARに良好に密着させることができる。厚みT7は、特に限定されるものではないが、数μmであり、10μm未満である方が望ましい。
【0037】
有機絶縁層9の内部には気泡が混在されているため、有機絶縁層9の実効厚みを低減させることができる。有機絶縁層9は、剛性調整層として機能している。有機絶縁層9が中実の層である場合と比較し、有機絶縁層9の低剛性化を図ることができるため、フレキシブル基板100の伸長率向上及び低応力化を図ることができる。有機絶縁層9において、電気的素子3の直上の部分のみ、中実の部分であってもよい。
【0038】
有機絶縁層9はアレイ基板ARを支持する支持層としても機能している。そのため、アレイ基板AR上に有機絶縁層7及び有機絶縁層9を積層させることで、製造工程及びハンドリングの際に発生し得る様々なリスクを低減させることができる。厚みT9は、特に限定されるものではないが、気泡を混在させる観点から、厚みT7より大きい方が望ましく、例えば20μmである。
【0039】
有機絶縁層8,10は、それぞれ絶縁基材4を支持する支持層として機能している。そのため、フレキシブル基板100の強度が全体的に増すとともに、下方からの水分等の侵入を抑制することができる。また、有機絶縁層8,10を付加することで、ハンドリングの際に発生し得る様々なリスクを、一層、低減させることができる。
【0040】
次に、有機絶縁層7,8,10のような中実の有機絶縁層における、厚みと、弾性率と、剛性と、の関係について説明する。
図6は、有機絶縁層における、厚み、弾性率、及び剛性の関係を表で示す図である。
図6に示すように、有機絶縁層の厚みが小さくなる程、有機絶縁層の剛性が低下することが分かる。また、有機絶縁層の弾性率が低下する程、有機絶縁層の剛性が低下することが分かる。例えば、有機絶縁層の弾性率が一桁低下すると、有機絶縁層の剛性も一桁低下する。
【0041】
そこで、本実施形態において、有機絶縁層の厚みと剛性との関係に注目し、気泡を混在させることで有機絶縁層9の実効厚みを低減させ、有機絶縁層9の剛性を低下させることができる。しかも、有機絶縁層9を有機絶縁層7と同一の材料で形成することができるため、有機絶縁層7及び有機絶縁層9を効率よく製造することができる。
【0042】
さらに、厚みT9を小さくしすぎること無しに、有機絶縁層9を形成することができる。ここで言う厚みT9とは、第3方向d3における有機絶縁層9の両主面間の距離である。気泡が混在していることで有機絶縁層9の剛性を低下させつつ、厚みT7と厚みT9との和(T7+T9)を、所望の厚み以上に設定することができる。そのため、製造歩留まりの高いフレキシブル基板100を得ることができる。例えば、フレキシブル基板100の製造工程において、ガラス基板などの間接材からアレイ基板ARなどを含む直接材をLLO(laser lift off)等の手法にて剥離する際に、アレイ基板ARから有機絶縁層7が剥がれたり、有機絶縁層7から有機絶縁層9が剥がれたり、する事態を低減することができる。
【0043】
次に、有機絶縁層の弾性率を変えた場合における、フレキシブル基板100の伸長率と歪量との関係について説明する。
図7は、フレキシブル基板100において、伸長率に対する歪量の変化をグラフで示す図である。
図7には、フレキシブル基板100を第1方向d1に伸長させたシミュレーションの結果を示している。
図7に示すように、フレキシブル基板100の歪量は小さい方が望ましい。なぜなら、フレキシブル基板100を伸長させた際、走査線1、信号線2などに応力を加わり難くできるためである。そこで、フレキシブル基板100の歪量を小さくするために、有機絶縁層の弾性率を低くした方が有効であることが分かる。
【0044】
但し、有機絶縁層の弾性率を低くしすぎると、ハンドリングの際に様々なリスクが発生し易くなってしまう。有機絶縁層の厚みを大きくすれば上記リスクを低減させることはできるが、有機絶縁層の厚みの増大を招くこととなる。そのため、上記リスク及び有機絶縁層の厚みの上限を考慮し、有機絶縁層の厚み及び弾性率が設定されていればよい。
【0045】
上記のように構成された第1の実施形態に係るフレキシブル基板100によれば、フレキシブル基板100は、絶縁基材4を有するアレイ基板ARと、有機絶縁層7乃至10と、を備えている。有機絶縁層9の内部には複数の気泡が混在されている。有機絶縁層7乃至10のそれぞれの弾性率は、絶縁基材4の弾性率より低い。そのため、伸長率の向上が可能なフレキシブル基板を得ることができる。
【0046】
(第1の実施形態の変形例1)
次に、上記第1の実施形態の変形例1について説明する。
図8は、本変形例1に係るフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
【0047】
図8に示すように、本変形例1の有機絶縁層10は中実の層ではない。有機絶縁層10は、有機絶縁層9と同様に構成され、有機絶縁層10の内部には複数の気泡が混在されている。上記第1の実施形態と比較し、有機絶縁層10の低剛性化を図ることができるため、一層、フレキシブル基板100の伸長率向上及び低応力化を図ることができる。有機絶縁層7,9と、有機絶縁層8,10とは、同様に構成されている。これにより、アレイ基板ARの両側に位置する有機絶縁層の剛性をバランスすることができ、走査線1、信号線2などに不所望な応力を加わり難くすることができる。上述した以外、本変形例1のフレキシブル基板100は、上記第1の実施形態と同様に構成されている。
本変形例1においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第1の実施形態の変形例2)
次に、上記第1の実施形態の変形例2について説明する。
図9は、本変形例2に係るフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
【0049】
図9に示すように、本変形例2のフレキシブル基板100は、有機絶縁層10無しに構成されてもよい。上述した以外、本変形例2のフレキシブル基板100は、上記第1の実施形態と同様に構成されている。
本変形例2においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(第1の実施形態の変形例3)
次に、上記第1の実施形態の変形例3について説明する。
図10は、本変形例3に係るフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
【0051】
図10に示すように、本変形例3の有機絶縁層8は中実の層ではない。有機絶縁層8の内部には複数の気泡が混在されている。フレキシブル基板100の中立面の観点から、走査線1と重なる領域及び信号線2と重なる領域において、厚みT7と厚みT9との和は、厚みT4と厚みT8との和と同一である方が望ましい(T7+T9=T4+T8)。上述した以外、本変形例3のフレキシブル基板100は、上記変形例2と同様に構成されている。
本変形例3においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(第1の実施形態の変形例4)
次に、上記第1の実施形態の変形例4について説明する。本変形例4のフレキシブル基板100において、有機絶縁層9は中実の層であり、有機絶縁層9の内部に気泡が混在されていなくともよい。その場合、有機絶縁層9は、有機絶縁層7と異なる材料で形成され、有機絶縁層7より弾性率の低い材料で形成されている。上述した第1の実施形態と比較し、本変形例4の厚みT9は増大する。有機絶縁層7の厚みの上限を考慮しなくともよい場合、本変形例4のようにフレキシブル基板100が構成されてもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、第2の実施形態に係るフレキシブル基板100の一部を示す拡大平面図である。
図11には、絶縁基材4及び有機絶縁層7,8を示している。本第2の実施形態のフレキシブル基板100は、アレイ基板AR以外の構成に関して上記第1の実施形態と相違している。
【0054】
図11に示すように、絶縁基材4は、複数の島状部ILと、複数の延在部E1と、複数の延在部E2と、複数の開口OPと、を有している。各々の延在部E1,E2は、2つの島状部ILの間に遊びを持たせてかけ渡されている(
図2)。各々の延在部E1は、複数の湾曲した第1区間E1aと、複数の第1区間E1a以外の第2区間E1bと、を含んでいる。各々の延在部E2は、複数の湾曲した第1区間E2aと、複数の第1区間E2a以外の第2区間E2bと、を含んでいる。第1区間E1a,E2aは、配線の伸長部における最大歪み個所に相当している。
【0055】
有機絶縁層7は、複数の延在部E1,E2の第1区間E1a,E2aに重なった複数の第1部分7aと、複数の第1部分7a以外の第2部分7bと、を有している。各々の第1部分7aは、複数の第1区間E1a,E2aのうち対応する一の第1区間に重なっている。第2部分7bは、伸縮性及び可撓性を持っている。図中、複数の第1部分7aにはドットパターンを付し、第2部分7bには斜線を付している。
【0056】
有機絶縁層8は、複数の延在部E1,E2の第1区間E1a,E2aに重なった複数の第3部分8aと、複数の第3部分8a以外の第4部分8bと、を有している。各々の第3部分8aは、複数の第1区間E1a,E2aのうち対応する一の第1区間に重なっている。第4部分8bは、伸縮性及び可撓性を持っている。図中、第3部分8aは第1部分7aと同様にドットパターンを付した部分に相当し、第4部分8bは第2部分7bと同様に斜線を付した部分に相当している。
【0057】
図12は、
図11の線XII-XIIに沿ったフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図12に示すように、有機絶縁層7は、延在部E1(絶縁基材4)の第2面S2と対向し、アレイ基板ARに直接固定されている。有機絶縁層7は、アレイ基板ARに密着している。なお、有機絶縁層7はアレイ基板ARに間接に固定されてもよい。その場合、アレイ基板ARと有機絶縁層7との間に、絶縁基材4より弾性率の低い材料で形成された第3の有機絶縁層が介在してもよい。
【0058】
有機絶縁層7は中実の層である。第2部分7bは、複数の第1部分7aの剛性より低い剛性を持っている。本実施形態において、第2部分7bは、複数の第1部分7aより弾性率の低い材料で形成されている。なお、第2部分7bは、絶縁基材4より弾性率の低い材料で形成されている。
【0059】
有機絶縁層8は、延在部E1(絶縁基材4)の第1面S1と対向し、アレイ基板ARに直接固定されている。有機絶縁層8は、アレイ基板ARに密着している。なお、有機絶縁層8はアレイ基板ARに間接に固定されてもよい。その場合、アレイ基板ARと有機絶縁層8との間に、絶縁基材4より弾性率の低い材料で形成された第3の有機絶縁層が介在してもよい。
【0060】
有機絶縁層8は中実の層である。第4部分8bは、複数の第3部分8aの剛性より低い剛性を持っている。本実施形態において、第4部分8bは、複数の第3部分8aより弾性率の低い材料で形成されている。なお、第4部分8bは、絶縁基材4より弾性率の低い材料で形成されている。
【0061】
図13は、
図11の線XIII-XIIIに沿ったフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図13に示すように、有機絶縁層7は延在部E2の第2面S2と対向し、有機絶縁層8は延在部E2の第1面S1と対向している。第2部分7b(有機絶縁層7)及び第4部分8b(有機絶縁層8)は、複数の開口OPを通って密着している。
図12及び
図13に示すように、走査線1と重なる領域及び信号線2と重なる領域において、有機絶縁層7の厚みT7は、絶縁基材4の厚みT4と有機絶縁層8の厚みT8との和と同一である(T7=T4+T8)。但し、本実施形態と異なり、厚みT7は、厚みT4と厚みT8との和と同一でなくともよい。
【0062】
次に、第1部分7a及び第3部分8aの弾性率を変えた場合における、フレキシブル基板100の伸長率と歪量との関係について説明する。
図14は、第1部分7a及び第3部分8aの弾性率を変えた場合における、フレキシブル基板100の伸長率に対する歪量の変化をグラフで示す図である。
図14には、フレキシブル基板100を第1方向d1に伸長させたシミュレーションの結果を示している。
図14に示すように、弾性率が変わると歪量も変化することが分かる。
【0063】
上記のように構成された第2の実施形態に係るフレキシブル基板100によれば、フレキシブル基板100は、絶縁基材4を有するアレイ基板ARと、有機絶縁層7と、を備えている。各々の延在部E1は、複数の湾曲した第1区間E1aと、複数の第1区間E1a以外の第2区間E1bと、を含んでいる。各々の延在部E2は、複数の湾曲した第1区間E2aと、複数の第1区間E2a以外の第2区間E2bと、を含んでいる。有機絶縁層7は、複数の第1区間E1a,E2aに重なった複数の第1部分7aと、複数の第1部分7a以外の第2部分7bと、を有している。
第2部分7bは、第1部分7aの剛性より低い剛性を持っている。第2部分7bは、絶縁基材4の剛性より低い剛性を持っている。そのため、伸長率の向上が可能なフレキシブル基板100を得ることができる。
【0064】
第1部分7aは第2部分7bより高い剛性を持っている。そのため、フレキシブル基板100を伸長させたり、捩じったりしてフレキシブル基板100に応力が加わった際に、湾曲した第1区間E1a,E2aに重なった領域の変形を抑制することができる。これにより、走査線1の湾曲した部分及び信号線2の湾曲した部分の歪量を低減することができ、走査線1及び信号線2における断線を抑制することができるため、製品信頼性の高いフレキシブル基板100を得ることができる。
【0065】
本実施形態において、有機絶縁層7だけではなく有機絶縁層8も、複数の第3部分8aと、第4部分8bと、を有している。有機絶縁層7と、有機絶縁層8とは、同様に構成されている。これにより、アレイ基板ARの両側に位置する有機絶縁層の剛性をバランスすることができ、走査線1、信号線2などに不所望な応力を加わり難くすることができる。
【0066】
走査線1と重なる領域及び信号線2と重なる領域において、厚みT7は、厚みT4と厚みT8との和と同一である方が望ましい(T7=T4+T8)。有機絶縁層7,8により、フレキシブル基板100の中立面を制御することで、走査線1及び信号線2に応力を加わり難くすることができる。
【0067】
(第2の実施形態の変形例1)
次に、上記第2の実施形態の変形例1について説明する。
図15は、本変形例1に係るフレキシブル基板100の一部を示す拡大平面図である。
図15に示すように、本変形例1において、複数の第1区間E1a,E2aは、それぞれ屈曲している。第1部分7a及び第3部分8aは、延在部E1,E2のうち屈曲部に重なっている。上述した以外、本変形例1のフレキシブル基板100は、上記第2の実施形態と同様に構成されている。
【0068】
本変形例1においても、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、走査線1の屈曲した部分及び信号線2の屈曲した部分の歪量を低減することができ、走査線1及び信号線2における断線を抑制することができるため、製品信頼性の高いフレキシブル基板100を得ることができる。
【0069】
(第2の実施形態の変形例2)
次に、上記第2の実施形態の変形例2について説明する。
図16は、本変形例2に係るフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図16に示すように、有機絶縁層8は、第3部分8a無しに構成されている。有機絶縁層8は第4部分8bで構成され、第4部分8bは複数の第1区間E1a,E2aに重なっている。上述した以外、本変形例2のフレキシブル基板100は、上記第2の実施形態と同様に構成されている。例えば、有機絶縁層7は、第1部分7aと、第2部分7bと、を有している。そのため、本変形例2においても、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、上記第2の実施形態の変形例2と異なり、有機絶縁層7は、第1部分7a無しに構成されてもよい。有機絶縁層7は第2部分7bで構成され、第2部分7bは複数の第1区間E1a,E2aに重なっている。有機絶縁層8は、第3部分8aと、第4部分8bと、を有している。その場合も、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第2の実施形態の変形例3)
次に、上記第2の実施形態の変形例3について説明する。
図17は、本変形例3に係るフレキシブル基板100の一部を示す断面図である。
図17に示すように、有機絶縁層7において、第1部分7a及び第2部分7bは、同一の材料で形成されている。第1部分7aは中実の部分であり、第2部分7bの内部には複数の気泡が混在されている。有機絶縁層8において、第3部分8a及び第4部分8bは、同一の材料で形成されている。第3部分8aは中実の部分であり、第4部分8bの内部には複数の気泡が混在されている。
【0072】
上述した以外、本変形例3のフレキシブル基板100は、上記第2の実施形態と同様に構成されている。そのため、本変形例3においても、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100…フレキシブル基板、AR…アレイ基板、4…絶縁基材、E1…延在部、
E1a…第1区間、E1b…第2区間、E2…延在部、E2a…第1区間、
E2b…第2区間、IL…島状部、OP…開口、S1…第1面、S2…第2面、
1…走査線、2…信号線、3…電気的素子、7…有機絶縁層、7a…第1部分、
7b…第2部分、8…有機絶縁層、8a…第3部分、8b…第4部分、9…有機絶縁層、
10…有機絶縁層、T4,T7,T8,T9,T10…厚み、d1…第1方向、
d2…第2方向、d3…第3方向。