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特許7430523ロボット手術のための座標系の迅速な位置合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ロボット手術のための座標系の迅速な位置合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240205BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61B34/20
B25J9/10 A
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019220118
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2020089731
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】16/211,594
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0256259(US,A1)
【文献】特開2018-183597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
B25J 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットが、前記外科用ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記外科用ロボットを制御するためのシステムであって、前記システムは、
通信インターフェースと、
プロセッサであって、
1つ以上の時間に、前記外科用ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記通信インターフェースを介して前記外科用ロボットから受信し、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出し、
前記ツールのポーズを追跡するための追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信し、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出し、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせし、かつ
前記位置合わせに基づいて、前記外科用ロボットを制御するように構成されている、プロセッサと、を備え
前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、システム。
【請求項2】
外科用ロボットが、前記外科用ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記外科用ロボットを制御するためのシステムであって、前記システムは、
通信インターフェースと、
プロセッサであって、
1つ以上の時間に、前記外科用ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記通信インターフェースを介して前記外科用ロボットから受信し、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出し、
前記ツールのポーズを追跡するための追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信し、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出し、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせし、かつ
前記位置合わせに基づいて、前記外科用ロボットを制御するように構成されている、プロセッサと、を備え、
前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、ステム。
【請求項3】
外科用ロボットが、前記外科用ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記外科用ロボットを制御するためのシステムであって、前記システムは、
通信インターフェースと、
プロセッサであって、
1つ以上の時間に、前記外科用ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記通信インターフェースを介して前記外科用ロボットから受信し、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出し、
前記ツールのポーズを追跡するための追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信し、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出し、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせし、かつ
前記位置合わせに基づいて、前記外科用ロボットを制御するように構成されている、プロセッサと、を備え、
前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、ステム。
【請求項4】
外科用ロボットが、前記外科用ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記外科用ロボットを制御するためのシステムであって、前記システムは、
通信インターフェースと、
プロセッサであって、
1つ以上の時間に、前記外科用ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記通信インターフェースを介して前記外科用ロボットから受信し、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出し、
前記ツールのポーズを追跡するための追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信し、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出し、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせし、かつ
前記位置合わせに基づいて、前記外科用ロボットを制御するように構成されている、プロセッサと、を備え、
前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、ステム。
【請求項5】
前記センサがコイルを含み、前記追跡システムは、前記コイル内に前記センサ追跡信号を誘発する磁場を発生させる複数の磁場発生器を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサが前記ツールに連結されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサが前記アームに連結されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡手術及び他の種類の診断手術を含む、ロボット手術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2014/0330114号は、身体内の追跡要素を追跡するためのシステムについて記載している。このシステムは、第1の追跡センサに対する公称位置に対して身体内の追跡要素の現在の位置を検出するための第1の追跡センサを含む第1の追跡システムと、第2の追跡センサに対する第1の追跡システムの第1の追跡センサの位置を決定するための第2の追跡センサを含む第2の追跡システムと、制御ユニットと、を含む。第1の追跡センサは移動可能であり、制御ユニットは、第1の追跡センサを基準にして、公称位置に対する追跡要素の現在位置の偏差を示す補正信号を送達するように構成される。更に、それぞれの追跡方法が提供される。
【0003】
米国特許出願公開第2015/0119637号は、外科医にロボット駆動式内視鏡装置を所望の解剖学的位置に駆動する能力を提供する、管腔内ロボットシステムについて記載している。デジタルカメラが内視鏡装置に取り付けられる。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0258535号は、物体の3次元位置を検出するための装置、システム、及び方法、並びにそれらを伴う外科用オートメーションについて記載している。外科用ロボットシステムは、ロボット基部と、ロボット基部に連結されたロボットアームと、ロボットアームに連結されたエンドエフェクタと、を有するロボットを含み得る。エンドエフェクタ、外科用器具、患者、及び/又は追跡される他の物体は、能動的及び/又は受動的追跡マーカーを含む。実体写真測量赤外線カメラなどのカメラは、追跡マーカーを検出することができ、ロボットは、追跡マーカーから物体の3次元位置を決定する。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0290631号は、浮遊電磁場発生器システム及び方法について記載している。システムは、外科用ベッド部分を備える。システムはまた、外科用ベッド部分内に配設されたブレース構成要素を備える。加えて、システムは、ブレース構成要素に取り付けられた第1のアームを備える。第1のアームは、外科用ベッド部分に隣接して位置付けられる。加えて、第1のアームは、内部に埋め込まれた少なくとも1つの磁場発生器コイルを有する。システムはまた、ブレース構成要素に取り付けられた第2のアームを備える。第2のアームは、外科用ベッド部分に隣接して位置付けられる。加えて、第2のアームは、内部に埋め込まれた少なくとも1つの磁場発生器コイルを有する。第2のアームは、第1のアームに平行して位置付けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部の実施形態によれば、外科用ロボットがロボットのアームと、アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、ロボットを制御するためのシステムが提供される。システムは、通信インターフェース及びプロセッサを含む。プロセッサは、1つ以上の時間に、ロボットのロボット座標系(RCS)に対するアームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、通信インターフェースを介してロボットから受信するように構成される。プロセッサは、アーム追跡信号から、1つ以上の時間における、RCSに対する、集合体の少なくとも1つの特定部分のそれぞれのRCSポーズを導出するように更に構成される。プロセッサは、追跡システムから、追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、追跡システムに属し、集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示すセンサ追跡信号を受信するように更に構成される。プロセッサは、センサ追跡信号から、1つ以上の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出するように更に構成される。プロセッサは、RCSポーズ及びTCSポーズに基づいて、RCS及びTCSを互いに位置合わせし、位置合わせに基づいて、ロボットを制御するように更に構成される。
【0007】
一部の実施形態では、センサはコイルを含み、追跡システムは、コイル内にセンサ追跡信号を誘発する磁場を発生させる複数の磁場発生器を含む。
【0008】
一部の実施形態では、センサはツールに連結されている。
【0009】
一部の実施形態では、センサはアームに連結されている。
【0010】
一部の実施形態では、時間は第1の時間であり、RCSポーズは第1の時間のRCSポーズであり、TCSポーズは第1の時間のTCSポーズであり、プロセッサは、
第2の時間に、アーム追跡信号を受信し、
アーム追跡信号から、第2の時間における、RCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
センサ追跡信号から、第2の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
位置合わせに基づいて、第2の時間のTCSポーズをRCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
変換されたポーズと第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
距離が既定の閾値を超えていることに応答して、第1の時間のRCSポーズを使用せず、また第1の時間のTCSポーズを使用せず、第2の時間のRCSポーズ及び第2の時間のTCSポーズを使用してRCS及びTCSを互いに再位置合わせするように更に構成される。
【0011】
一部の実施形態では、時間は第1の時間であり、RCSポーズは第1の時間のRCSポーズであり、TCSポーズは第1の時間のTCSポーズであり、プロセッサは、
第2の時間に、アーム追跡信号を受信し、
アーム追跡信号から、第2の時間における、RCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
センサ追跡信号から、第2の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
位置合わせに基づいて、第2の時間のTCSポーズをRCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
変換されたポーズと第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、第2の時間のRCSポーズ、第2の時間のTCSポーズ、第1の時間のRCSポーズ、及び第1の時間のTCSポーズを使用してRCS及びTCSを互いに再位置合わせするように更に構成される。
【0012】
一部の実施形態では、時間は第1の時間であり、RCSポーズは第1の時間のRCSポーズであり、TCSポーズは第1の時間のTCSポーズであり、プロセッサは、
第2の時間に、アーム追跡信号を受信し、
アーム追跡信号から、第2の時間における、RCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
センサ追跡信号から、第2の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
位置合わせに基づいて、第2の時間のRCSポーズをTCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
変換されたポーズと第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
距離が既定の閾値を超えていることに応答して、第1の時間のRCSポーズを使用せず、また第1の時間のTCSポーズを使用せず、第2の時間のRCSポーズ及び第2の時間のTCSポーズを使用してRCS及びTCSを互いに再位置合わせするように更に構成される。
【0013】
一部の実施形態では、時間は第1の時間であり、RCSポーズは第1の時間のRCSポーズであり、TCSポーズは第1の時間のTCSポーズであり、プロセッサは、
第2の時間に、アーム追跡信号を受信し、
アーム追跡信号から、第2の時間における、RCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
センサ追跡信号から、第2の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
位置合わせに基づいて、第2の時間のRCSポーズをTCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
変換されたポーズと第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、第2の時間のRCSポーズ、第2の時間のTCSポーズ、第1の時間のRCSポーズ、及び第1の時間のTCSポーズを使用してRCS及びTCSを互いに再位置合わせするように更に構成される。
【0014】
一部の実施形態では、プロセッサは、
TCSに対する標的アームポーズオフセットを計算することと、
位置合わせに基づいて、標的アームポーズオフセットをRCSに変換することによって、変換された標的アームポーズオフセットを計算することと、
変換された標的アームポーズオフセットをロボットに伝達することによって、ロボットに標的アームポーズオフセットの分だけアームのアームポーズを変化させることと、によって、ロボットを制御するように構成される。
【0015】
一部の実施形態では、
ロボットは、被験者上で動作しており、
追跡システムは、被験者に連結された少なくとも1つの被験者追跡センサを更に含み、
プロセッサは更に、
追跡システムから、TCSに対する被験者追跡センサの被験者追跡センサポーズを示す被験者追跡信号を受信し、かつ
被験者追跡信号から、被験者の被験者ポーズの変化を導出するように構成され、
プロセッサは、被験者の被験者ポーズの変化に応答して、標的アームポーズオフセットを計算するように構成される。
【0016】
本発明の一部の実施形態によれば、外科用ロボットがロボットのアームと、アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、ロボットを制御するための方法が更に提供される。この方法は、1つ以上の時間に、ロボットのロボット座標系(RCS)に対するアームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、ロボットから受信することを含む。この方法は、アーム追跡信号から、1つ以上の時間における、RCSに対する、集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出することを更に含む。この方法は、追跡システムから、追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、追跡システムに属し、集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信することを更に含む。この方法は、センサ追跡信号から、1つ以上の時間における、TCSに対する、集合体の特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出することを更に含む。この方法は、RCSポーズ及びTCSポーズに基づいて、RCS及びTCSを互いに位置合わせし、位置合わせに基づいてロボットを制御することを更に含む。
【0017】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって一層十分な理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一部の実施形態による、被験者に対してロボット手術を実行するためのシステムの概略図である。
図2】本発明の一部の実施形態による、2つの座標系を互いに位置合わせするための方法及びアルゴリズムのフローチャートである。
図3】本発明の一部の実施形態による、外科用ロボットを制御するための方法及びアルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
用語集
特許請求の範囲を含む本出願の文脈において、物体の「ポーズ」は、(i)物体の位置、及び(ii)物体の配向の組み合わせを指す。よって、例えば、3次元設定では、物体のポーズは、物体の位置を記述する位置ベクトル(x、y、z)と、物体の配向を記述する配向ベクトル(x’、y’、z’)と、を合わせたものによって記述され得る。(典型的には、配向ベクトルは、単位長さとなるように正規化される。)
【0020】
概説
ロボット外科手術では、ロボットアームは外科用ツールを操作する。例えば、ロボット耳鼻咽喉内視鏡手術では、ロボットアームは、内視鏡を被験者の鼻腔又は副鼻腔内に挿入し、この腔内で内視鏡を操作し得る。
【0021】
多くの場合、処置中、ツールのアイコンは、医師がツールの動きを追跡し得るように、被験者の術前スキャン上に重ね合わされる。医師は、アイコンを操作することによるか、ツールを手動で移動させることによるか、又は任意の他の好適な手法によって、ツールの標的ポーズを更に指定することができる。典型的には、ツールが標的ポーズを安全に達成することを確実にするために、追跡システムは、ツールのポーズを追跡し、追跡に応答してロボットへの命令を発行し、ツールが標的ポーズに向かって徐々に移動されるようにする。
【0022】
いくつかの用途では、ツールのポーズの追跡を容易にするために、少なくとも1つの追跡センサがロボットのアームに及び/又はツールに連結される。例えば、内視鏡手術では、2つ又は3つのコイルが、内視鏡上の所定の位置で内視鏡に連結されてもよく、交流磁場は、異なるそれぞれの周波数で、被験者の付近にある複数の磁場発生器によって発生させられてもよい。コイル内に誘導された電圧の様々な周波数構成要素に基づいて、追跡システムは、コイルのそれぞれのポーズ、ひいてはツールのポーズを確認し得る。
【0023】
課題は、上述のようにロボット手術を実行するとき、ロボットに送達される命令は、典型的には追跡システムの座標系とは異なるロボットの座標系に関して指定されなければならないことである。よって、典型的には、本明細書ではロボット座標系(RCS)と称されるロボットの座標系を、本明細書では追跡座標系(TCS)と称される追跡システムの座標系と位置合わせすることが必要である。換言すれば、TCSに対して指定されるように、任意のポーズをRCSにマッピングする変換TTCS→RCSを見つけることが必要である。
【0024】
2つの座標系を位置合わせするための1つの手法は、反復最近接ポイント(Iterative Closest Point(ICP))アルゴリズムの使用を伴う。具体的には、追跡センサが様々な異なる位置に移動されると、センサの2つの座標のセット、一方はRCSでの座標のセット、もう一方はTCSでの座標のセットが記録され得る。続いて、座標のセットを使用して、ICPアルゴリズムを使用してTTCS→RCSを見つけることができる。
【0025】
しかしながら、本発明の実施形態は、ICPに勝るいくつかの利点をもたらす、改善された位置合わせ手法を利用する。具体的には、ロボットがツールを移動させると、プロセッサは、センサの座標だけでなく、センサの配向も確認する。よって、プロセッサは、センサのそれぞれのポーズについて、1対の対応するベクトル:(i)TCSに対するセンサのポーズを記述する、PTCS=(x,y,z,x’,y’,z’)TCS、及び(ii)RCSに対するセンサのポーズを記述する、PRCS=(x,y,z,x’,y’,z’)RCSを取得する。1つ以上のそのような対応するベクトルの対に基づいて、プロセッサは、2つの座標系間の変換を計算する。
【0026】
有利には、センサのそれぞれのポーズは6つの変数を含み、位置合わせは6つの自由度のみを伴うため、単一のポーズでも、2つの座標系を位置合わせするのに十分である。更に、ICPに対して、反復アルゴリズム(最急降下法など)が変換を解決するために使用される場合であっても、必要とされる反復は少なくなり得る。よって、位置合わせは、比較的迅速に行われ得る。更に、ICPに対して、変換を解決する際に極小値に収束するリスクが少なくなる。
【0027】
典型的には、対応するベクトルのそれぞれの対が取得されると、プロセッサは、TTCS→RCSをPTCSに適用し、それにより、変換されたベクトルPRCS*を生成する。続いて、プロセッサは、任意の好適な距離関数を使用して、PRCS*とPRCSとの間の距離を計算する。PRCSとPRCS*との間の距離が既定の閾値未満である場合、プロセッサは、対応するベクトルの対を、それまでに取得された対に追加する。次いで、全ての対を使用して、プロセッサは変換を計算する。例えば、プロセッサは、最急降下法などの最適化アルゴリズムを使用して、誤差関数
【0028】
【数1】
を最小化する変換TTCS→RCSを見つけることができる。式中、Dは、上述の距離関数である。
【0029】
一方、距離が閾値よりも大きい場合、プロセッサは、ロボットの座標系が定義されているものに関して、ロボットアームの基部が移動されたと想定する。したがって、プロセッサは、予め取得されたベクトルの対を廃棄し、例えば、TTCS→RCSを分析的に解決することによって、現在の対を使用して変換を再初期化する。
【0030】
典型的には、使用される距離関数は、残差平方和(SSE)のタイプである。例えば、2つのポーズ(x,y,z,x’,y’,z’)及び(x,y,z,x’,y’,z’)間の距離は、好適な定数Cの場合、(x-x+(y-y+(z-z+C((x’-x’+(y’-y’+(z’-z’)に等しくなり得る。あるいは、配向角度α、β、及びγを使用して配向を指定すると、距離は、(x-x+(y-y+(z-z+C((α-α+(β-β+(γ-γ)に等しくなり得る。
【0031】
処置の直前に、術前スキャンの座標系と追跡システムの座標系との間の追加の位置合わせが実行される。例えば、前述の磁場の存在下で、医師は、コイルを含むシャフトを使用して、被験者の顔面の指定された部分に触れることができる。次いで、コイルからの信号から確認されるように、これらの位置におけるシャフトの先端の座標は、術前スキャンの対応する座標と(例えば、ICPを使用して)位置合わせされ得る。換言すれば、プロセッサは、被験者座標系(SCS)における任意のポーズをTCSにマッピングする、変換TSCS→TCSを、逆変換TTCS→SCSと共に計算し得る。よって、処置中、SCSで指定された標的ポーズは、TSCS→TCSを指定された標的に適用することによって、TCSに変換され得る。反対に、ツールの現在のポーズは、TTCS→SCSの適用によって、術前スキャン上に表示され得る。
【0032】
典型的には、少なくとも1つの他の追跡センサが被験者に(例えば、被験者の額に)取り付けられる。処置中、TCSに対する、このセンサの現在のポーズは、プロセッサによって継続的に計算される。センサの現在のポーズとセンサの直近のポーズとの間の差が既定の閾値を超える場合(被験者が移動したことを示す)、プロセッサはTSCS→TCSを再計算する。代替として又は追加として、被験者の動きに応答して、プロセッサは、TCSに関連するツールの標的ポーズを再計算し得る。
【0033】
システムの説明
はじめに図1を参照するが、図1は、本発明の一部の実施形態による、被験者22に対するロボット手術を実行するためのシステム20の概略図である。
【0034】
システム20は、アーム26及びコントローラ44を含む、外科用ロボット24を含む。典型的にアーム26に取り付けられたロボット24の基部25内に位置するコントローラ44は、典型的に、制御(CTRL)インターフェース46を介して1つ以上のモータ48を動作させることによってアーム26を制御するように構成される。(制御インターフェース46は、例えば、1つ以上のドライバ、エンコーダ、及び/又は他の電子的構成要素を含んでもよい。)一部の実施形態では、基部25は、接続アーム27を介して、被験者22が寄りかかる外科用椅子52に、又は被検者が横たわるベッドに接続される。
【0035】
アーム26は、互いに対して(例えば、相互連結継手で旋回することによって)、かつ基部25に対して移動するように構成された1つ以上の相互連結セグメントを含む。アーム26の最遠位セグメントは、吸引ツール又は内視鏡などのツール28を保持するように構成されている。したがって、アーム26及びツール28を含む集合体29を移動させることによって、コントローラ44は、被験者22の身体内で任意の好適なポーズにツールを位置付け得る。例えば、コントローラ44は、内視鏡が腔の画像を取得し得るように、患者の鼻腔又は副鼻腔内に内視鏡の遠位端を位置付け得る。
【0036】
システム20は、典型的にコンソール36に位置するプロセッサ40を更に備える。コントローラ44は、プロセッサ40から受信した命令に応答してアーム26を操作する。加えて、アーム26がツール28を移動させる間、コントローラ44は、アームの(特に、アームの最遠位セグメント上に指定されたポイントの)ポーズを示すアーム追跡信号58をプロセッサ40に伝達する。例えば、コントローラ44は、アームのポーズを周期的に、かつ/又はプロセッサ40からのクエリに応答して報告し得る。アーム追跡信号58は、本明細書では、基部25のポーズに対して定義される、「RCS」という表記によって示されるロボットの座標系に対するアームのポーズを示す。
【0037】
コンソール36からロボット24に延びるケーブル54は、ロボットに電力を運ぶ電気配線を含む。コントローラ44は、任意の好適な回路及び/又は他のハードウェアを含み得る通信(COMM)インターフェース50を介して、プロセッサ40との通信を交換する。一部の実施形態では、通信インターフェース50は、有線通信インターフェースであり、このような実施形態では、ケーブル54は、コントローラとプロセッサとの間で通信信号を運ぶ配線を含んでもよい。他の実施形態では、通信インターフェースは、無線通信インターフェースである。
【0038】
ケーブル54は、第1の電気的インターフェース38(例えば、ポート又はソケットを含む)を介してコンソール36に接続され、第2の電気的インターフェースを介してロボット24に接続される。一部の実施形態では、ケーブル54のコンソールに面する端部は、本明細書に記載される様々な他のケーブルのそれぞれの端部と共に、中心ケーブル56に束ねられる。
【0039】
システム20は、集合体29(すなわち、ツール28又はアーム26のいずれか)に連結された少なくとも1つのツール追跡センサを含む、追跡システム62を更に備える。ロボットが集合体を(ツール追跡センサと共に)移動させる間、追跡システム62は、センサ追跡信号60をプロセッサ40に出力する。センサ追跡信号60は、本明細書で「TCS」という表記によって示される、追跡システムの座標系に対するツール追跡センサのポーズを示す。
【0040】
一部の実施形態では、追跡システム62は、センサ追跡信号60が、ツールのポーズを示す1つ以上の電磁誘導電圧を含むことから、電磁追跡システムを含む。例えば、図1に示すように、追跡システム62は、集合体29に連結されたそれぞれの集合体連結コイル34を含む、1つ以上の(典型的には2つ又は3つの)電磁ツール追跡センサを含んでもよい。追跡システム62は、複数(例えば、10~20)の固定コイル32を更に含んでもよく、固定コイル32は、例えば、椅子52の頭部に位置付けられた支持体64内で、被験者22の付近の異なるそれぞれの位置に配設される。(簡潔化のために、1つの固定コイル32のみが図1に示されている。)交流が、異なるそれぞれの周波数で固定コイル32(又は固定コイルのサブセット)を通過し、それにより、固定コイルは、集合体連結コイル34内にそれぞれの電圧を異なる周波数で誘導する磁場を発生させる。誘導電圧は、それぞれの集合体連結コイルのそれぞれのポーズ、ひいてはツールのポーズを示す。
【0041】
あるいは、集合体連結コイル34は、固定コイル32内にそれぞれの電圧を誘導する磁場を発生させてもよい。(かかる実施形態では、センサ追跡信号60は、集合体連結コイル34ではなく、固定コイル32によって出力される。)前述の実施形態と同様に、誘導電圧は、それぞれの集合体連結コイルのそれぞれのポーズを示す。
【0042】
集合体連結コイル34は、任意の好適な方法でアーム26又はツール28に結合されてもよい。例えば、図1に示すように、少なくとも1つのコイル34は、ツールに連結されたフレキシブル回路35の表面上に形成されたループ状トレースを含んでもよい。代替として又は追加として、図1に更に示すように、少なくとも1つのコイルがツール28内に配設されてもよい。更に別の代替として、少なくとも1つのコイルは、アーム26又はツール28の周囲、例えばアーム26又はツール28の表面上に形成された溝内に巻かれてもよい。
【0043】
電磁システムの代替として又は追加として、追跡システム62は、集合体29に連結された光学マーカー、及び1つ以上のカメラを含む、光学追跡システムを含んでもよい。このような実施形態では、センサ追跡信号60は、カメラに対する光学マーカーのポーズを示す、カメラによって出力された画像を含む。
【0044】
典型的には、追跡システム62は、被験者22に、例えば被験者の額に連結された被験者追跡センサ30を更に含む。(センサ30は、典型的には、接着パッチ31内に収容される。)追跡システム62は、TCSに対するセンサ30のポーズを示す被験者センサ追跡信号66を出力する。センサ30は、例えば、ツール追跡センサについて上述したように、1つ以上の受信コイル又は発生コイルを含んでもよい。代替として又は追加として、光学追跡システムで使用するための光学マーカーは、被験者22に連結されてもよい。
【0045】
プロセッサ40及び電気インターフェース38に加えて、コンソール36は、典型的には、ロボット24と通信するための有線又は無線通信(COMM)インターフェース70と、被験者の術前スキャン68を表示するように構成されたモニタ42と、を含む。モニタ42を使用して、医師は、処置中にツール28の移動を視覚的に追跡し、かつ/又は、例えば、術前スキャン68の上に重ね合わされたアイコンを描画若しくは移動することによって、ツールの標的ポーズを指定することができる。それぞれのケーブルは、集合体連結コイル34、固定コイル32、被検者追跡センサ30、及びツール28をコンソール36に接続する。
【0046】
一般に、プロセッサ40は、単一のプロセッサとして、又は連携してネットワーク化若しくはクラスタ化されたプロセッサのセットとして、具現化されてもよい。一部の実施形態では、本明細書で説明されるプロセッサ40の機能は、例えば1つ若しくは2つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して、ハードウェア内にのみ実装される。他の実施形態では、プロセッサ40の機能は、少なくとも部分的にソフトウェア内に実装される。例えば、一部の実施形態では、プロセッサ40は、少なくとも中央演算処理装置(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含むプログラム済みデジタルコンピューティングデバイスとして具現化される。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、CPUによる実行及び処理のためにRAMに読み込まれる。プログラムコード及び/又はデータは、例えば、ネットワークを介して、電子形態でプロセッサにダウンロード可能である。あるいは又は更に、プログラムコード及び/又はデータは、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。このようなプログラムコード及び/又はデータが、プロセッサに提供されると、本明細書に記載されているタスクを行うように構成されている、機械又は専用コンピュータが実現する。
【0047】
TCS及びRCSを互いに位置合わせする
ロボットが集合体29を移動させる間、プロセッサ40は、TCS及びRCSを互いに繰り返し位置合わせする。この位置合わせは、集合体29の少なくとも1つの特定の部分の、1対以上の対応するポーズに基づく。例えば、位置合わせは、コイル34のうちの1つが連結される集合体のそれぞれの部分、及び/又はツール28の遠位端の1対以上の対応するポーズに基づいてもよい。対応するポーズのそれぞれのi番目の対は、(i)時間tにおけるTCSに対する集合体の特定の部分のポーズP TCSと、(ii)時間tにおけるRCSに対する集合体の特定の部分のポーズP RCSと、を含む。
【0048】
(P TCS及びP RCSは、同じ目的のポーズ、すなわち、時間tにおける集合体の特定の部分のポーズを記述することによって、互いに「対応する」と言われることに留意されたい。ロボットアームは、典型的に比較的ゆっくり移動するので、P TCS及びP RCSは、数ミリ秒(例えば、0~5又は5~10ミリ秒)が2つのポーズのそれぞれの時間を分離している場合であっても、互いに対応すると言われ得る。換言すれば、「時間t」は、実際には数ミリ秒の間隔を含んでもよい。)
【0049】
1対の対応するポーズでも、2つの座標系を互いに位置合わせするのに十分であるが、位置合わせの精度は一般に、位置合わせに使用される対の数と共に向上する。したがって、プロセッサは、典型的に対応するポーズの対を蓄積し、基部25が対の取得中に移動しなかったことを条件として、それまでに蓄積された対の全てに基づいて2つの座標系を繰り返し位置合わせする。
【0050】
換言すれば、プロセッサは、集合体の関連する部分毎に、対応するポーズの対のセット{(P TCS,P RCS)}を維持する。処置が実行されると、プロセッサが、ロボットの基部が移動されたことを確認するまで、プロセッサは、新たな対のポーズをセットに継続的に追加し、2つの座標系を互いに再位置合わせする。基部が移動されたことを確認したことに応答して、プロセッサはセットを空にし、次いで、セットを直近の対の対応するポーズで再初期化する。
【0051】
より具体的には、それぞれの時間tにおいて、プロセッサは、ロボットからアーム追跡信号を受信し、アーム追跡信号に基づいて、集合体の特定の部分のRCSポーズ(すなわち、RCSに対するポーズ)を計算する。プロセッサは更に、追跡システムからセンサ追跡信号60を受信し、センサ追跡信号に基づいて、時間{t}における集合体の特定の部分のそれぞれのTCSポーズを計算する。(典型的には、プロセッサは、処置が実行される際に、センサ追跡信号60を連続的に受信する。)RCSポーズ及びTCSポーズに基づいて、プロセッサは、RCS及びTCSを互いに位置合わせする。
【0052】
この点について、ここで図2を参照するが、図2は、本発明の一部の実施形態による、TCS及びRCSを互いに位置合わせするための方法72のフローチャート及びアルゴリズムである。簡略化のために、図2は、位置合わせが、ツールの遠位先端など、集合体の1つの特定の部分の対応するポーズに基づいて実行されることを想定している。
【0053】
方法72は、プロセッサが、センサ追跡信号60から集合体の特定の部分のTCSポーズを導出する、第1のTCSポーズを導出する工程74から開始する。典型的には、第1のTCSポーズを導出する工程74は、周期的に(例えば、5ms毎に1回)実行される。
【0054】
集合体の特定の部分のTCSポーズを導出するために、プロセッサは、最初に、任意の好適な手法を使用して、ツール追跡センサのTCSポーズを導出する。例えば、電磁追跡システムの場合、プロセッサは、センサ追跡信号の様々な構成要素のそれぞれの振幅から、それぞれの集合体連結コイルのポーズを計算し得る。光学追跡システムの場合、プロセッサは、カメラによって取得された画像から光学マーカーのポーズを計算するためにコンピュータビジョン手法を使用し得る。集合体の特定の部分が、センサが連結される集合体の部分と異なる場合、プロセッサは次いで、センサのTCSポーズに、集合体の特定の部分とセンサとの間の既知のポーズオフセットを追加することによって、集合体の特定の部分のTCSポーズを計算する。
【0055】
第1のTCSポーズを導出する工程74に続き、又はそれに先立ち、プロセッサは、信号受信工程76において、ロボットからアーム追跡信号を受信する。例えば、プロセッサは、ロボットがアーム追跡信号をプロセッサに伝達するように、第1のTCSポーズを導出する工程74の直後に又はそれに先立ち、ロボットからのアーム追跡信号を周期的に要求してもよい。あるいは、ロボットは、信号を伝達するための周期的な要求をプロセッサから受信しなくても、アーム追跡信号をプロセッサに周期的に(例えば、5ms毎に1回)伝達するように構成されてもよい。
【0056】
信号を受信する工程76に続き、プロセッサは、RCSポーズ導出工程78において、アーム追跡信号から集合体の特定部分のRCSポーズを導出する。最初に、プロセッサは、アーム追跡信号に明示的に指定されたRCSポーズを読み取る。RCSポーズが指定されたアームの部分が集合体の特定の部分と異なる場合、プロセッサは次いで、RCSポーズに、集合体の特定の部分とRCSポーズが指定されたアームの部分との間の既知のポーズオフセットを追加する。
【0057】
次に、チェックする工程80において、プロセッサは、TCS/RCS位置合わせが既に実行されたか否かをチェックする。はいの場合、プロセッサは、変換する工程82において、TCS/RCS位置合わせに基づいてTCSポーズをRCSに変換する。続いて、第1の距離を計算する工程84において、プロセッサは、変換されたポーズとRCSポーズとの間の距離を計算する。(例えば、プロセッサは、「概説」で上述したように、2つのポーズ間のSSEのタイプを計算し得る。)プロセッサは、次いで、第1の距離を比較する工程86において、この距離を既定の閾値と比較する。
【0058】
(あるいは、プロセッサは、RCSポーズをTCSに変換し、次いで、変換されたポーズとTCSポーズとの間の距離を計算してもよい。)
【0059】
距離が閾値以上である場合、ロボットの基部が移動された可能性が高いことを示し、プロセッサは、設定を空にする工程88において、対応するポーズの対のセットを空にする。続いて、プロセッサは、セットを増大させる工程90において、対応するポーズの対の(空の)セットにTCSポーズ及びRCSポーズを追加する。プロセッサは、次いで、位置合わせする工程92において、対応するポーズを使用して、TCS及びRCSを互いに再位置合わせする。換言すれば、プロセッサは、直近のRCSポーズ及びTCSポーズを使用するが、以前に取得したRCSポーズ及びTCSポーズのいずれも使用せず、2つの座標系を再位置合わせする。
【0060】
一方、第1の距離を比較する工程86において、プロセッサが、距離が閾値以下であることを確認した場合、プロセッサは、最初にセットを空にすることなく、セットを増大させる工程90を実行し、これにより、ポーズの最新の対が以前に取得された対に付加される。プロセッサは、次いで、セット全体を使用して、TCS及びRCSを互いに再位置合わせする。換言すれば、プロセッサは、セットに含まれる以前に取得されたRCSポーズ及びTCSポーズと共に、直近のRCSポーズ及びTCSポーズを使用して、2つの座標系を再位置合わせする。
【0061】
ここでチェックする工程80に戻り、プロセッサが、TCS/RCS位置合わせがまだ実行されていないことを確認した場合、プロセッサは、セットを増大させる工程90(よって、セットを初期化する)を即座に実行し、続いて、位置合わせする工程92を実行する。
【0062】
位置合わせする工程92に続いて、プロセッサは、第1のTCSポーズを導出する工程74に戻る。TCSポーズを導出する工程74を実行する前に、プロセッサは、ポーズを取得するための所望の周期性を得るため、数ミリ秒間待機してもよい。
【0063】
例示的な位置合わせ手法
位置合わせする工程92は、本明細書に記載されるものなどの任意の好適なアルゴリズムを使用して実行されてもよい。例えば、「概説」で上述したように、プロセッサは、誤差関数
【0064】
【数2】
を最小化する変換TTCS→RCSを見つけることができる。式中、それぞれのP RCS*は、TTCS→RCSをP TCSに適用した結果である。一部の実施形態では、この手法は、以下のように実行される。
(i)ポーズのセット内に、TCSに対する全ての位置ベクトルを均質な形態で含む位置行列M TCSを定義し、RCSに関する類似の位置行列M RCSを定義する。
【0065】
【数3】
(ii)ポーズのセット内に、TCSに対する全ての配向ベクトルを均質な形態で含む配向行列M TCSを定義し、RCSに関する類似の配向行列M RCSを定義する。
【0066】
【数4】
(iii)任意の所与の3×1ベクトルを、角度θ、φ、及びΨによってそれぞれx軸、y軸、及びz軸を中心に回転させる、3×3回転行列R3(θ、φ、Ψ)を定義する。
【0067】
【数5】
(簡潔にするために、θ、φ、及びΨに対する用語r11...r33の依存性は、本明細書に明示的に示されていない。)
(iv)任意の所定のベクトルを、x軸、y軸、及びz軸に沿って変換する、3つの変換t、t、及びtを定義する。
(v)均質な4×1ベクトル上で動作するようにR3に延長させる、4×4回転行列R4を定義する。
【0068】
【数6】
(vi)回転R3(θ、φ、Ψ)のベクトルへの適用に続いて、変換t、t、及びtによってベクトルを変換する、4×4変換行列Tを定義する。
【0069】
【数7】
(vii)位置行列M RCS*がT×M TCSに等しく、配向行列M RCS*がR4×M TCSに等しくなるようにする。
(viii)(M RCS、M RCS)と(M RCS*、M RCS*)との間の距離を最小化するθ、φ、Ψ、t、t、及びtを見つける。この距離は、「概説」で上述したように、好適な定数Cの場合、
【0070】
【数8】
に等しくなり得る。
【0071】
ロボットを制御する
ここで図3を参照するが、図3は、本発明の一部の実施形態による、ロボット24を制御するための方法94のフローチャート及びアルゴリズムである。方法94は、例えば、平行スレッド上で2つの方法を実行することによって、方法72(図2)と並行してプロセッサ40によって実行される。
【0072】
方法94は、医師からツールの遠位端の標的ポーズを受信することから開始する。
【0073】
一部の実施形態では、標的ポーズは、例えば、医師がロボットアームを標的ポーズに手動で移動させることによって、TCSにおいて指定される。例えば、内視鏡手術では、ロボットは、典型的には、洗浄のために内視鏡を繰り返し引き抜かなければならず、それにより、ロボットは、最初に医師によって指定された標的ポーズに繰り返し復帰する必要がある。
【0074】
他の実施形態では、図3で想定されるように、医師は、SCSでツールの遠位端の標的ポーズを指定する。例えば、図1を参照して上述したように、医師は、被験者の術前スキャン上に重ね合わされたアイコンを描画又は移動することによって標的ポーズを指定することができる。よって、方法94は、プロセッサ40が、ツールの遠位端の標的SCSポーズ、すなわち、SCSに対するツールの遠位端の標的ポーズを受信する、標的を受信する工程96から開始する。標的を受信する工程96に続いて、プロセッサは、標的を計算する工程98において、SCS/TCS位置合わせを使用して、ツールの遠位端の標的TCSポーズを計算する。(「概説」で上述したように、SCS/TCS位置合わせは、典型的に、処置の開始に先だって初期化される。)
【0075】
続いて、プロセッサは、ツールの遠位端を標的ポーズに向かって漸増的に移動させるように制御ループを実行する。制御ループのそれぞれの反復の開始時に、プロセッサは、第2のTCSポーズを導出する工程100において、センサ追跡信号からツールの遠位端のTCSポーズを導出する。続いて、プロセッサは、第2の距離を計算する工程102において、TCSポーズと標的TCSポーズとの間の距離を計算する。次いで、プロセッサは、第2の距離を比較する工程104において、この距離を既定の閾値と比較する。距離が閾値以下である場合、ゆえにターゲットポーズが達成された場合、プロセッサは制御ループを出て、方法94は終了する。そうでなければ、プロセッサは、小さいオフセットの分だけアーム26を標的ポーズに向かって移動させ、次いで制御ループの開始に戻る。このオフセットは、被験者追跡信号に基づいて計算されるように、被験者のポーズのあらゆる変化に応答して計算される。
【0076】
(一般に、第2のTCSポーズを導出する工程100は、図2の第1のTCSポーズを導出する工程74と一緒に実行されてもよい。例えば、プロセッサは、センサのTCSポーズを周期的に導出し、次いで、センサのTCSポーズから、集合体の特定の部分及びツールの遠位端のTCSポーズを導出し得る。よって、TCS/RCS位置合わせに使用される集合体の特定の部分がツールの遠位端である場合、第2のTCSポーズを導出する工程100は、第1のTCSポーズを導出する工程74と同一であってもよい。)
【0077】
より具体的には、距離が閾値を超えていることの確認に続き、プロセッサは、まず、第3のTCSポーズを導出する工程106において、被験者追跡信号から被験者追跡センサのTCSポーズを導出する。続いて、第3の距離を計算する工程108において、プロセッサは、被験者追跡センサの現在のTCSポーズと直近のTCSポーズとの間の距離を計算する。次いで、プロセッサは、距離が既定の閾値を超えているかどうかを第3の距離を比較する工程110でチェックする。
【0078】
距離が閾値以上である場合、ゆえに、被験者が移動していないと想定され得る場合、プロセッサは、第1のオフセットを計算する工程114において、TCSに対する標的アームポーズオフセットを計算する。次に、第2のオフセットを計算する工程116において、プロセッサは、TCS/RCS位置合わせ(図2の方法72によって得られた)を使用して、図3でRCSアームポーズオフセットと称される、変換されたアームポーズオフセットを計算する。換言すれば、プロセッサは、TCSアームポーズオフセットをRCSに変換する。続いて、プロセッサは、オフセットを伝達する工程118において、変換されたアームポーズオフセットをロボットに伝達することにより、アームポーズオフセットの分だけロボットにアームのポーズを変化させる。次いで、プロセッサは、第2のTCSポーズを導出する工程100に戻る。
【0079】
一方、第3の距離を比較する工程110において、プロセッサは、距離が閾値を超えていることを確認した(被験者のポーズが変化したことを示す)場合、プロセッサは、アームポーズオフセットの計算に先立って標的TCSポーズを再計算する。特に、プロセッサは、まず、位置合わせを再計算する工程112において、被験者追跡センサの動きに基づいてSCS/TCS位置合わせを再計算する。続いて、プロセッサは、標的を計算する工程98に戻り、SCS/TCS位置合わせを使用して、ツールの遠位端の標的TCSポーズを再計算する。(あるいは、プロセッサは、現在の標的TCSポーズに、被験者追跡センサの直近のTCSポーズを被験者追跡センサの現在のTCSポーズにマッピングする変換を適用してもよい。)次いで、プロセッサは、上述のように、制御ループを再実行する。
【0080】
本発明が、本明細書上に具体的に示されて記載されたものに限定されない点が、当業者により理解されよう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、本明細書上に記載されている様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに、上記の説明を一読すると当業者には想起されると思われる、従来技術には存在しない特徴の変更例及び改変例を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0081】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ロボットが、前記ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記ロボットを制御するためのシステムであって、前記システムは、
通信インターフェースと、
プロセッサであって、
1つ以上の時間に、前記ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記通信インターフェースを介して前記ロボットから受信し、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出し、
追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信し、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出し、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせし、かつ
前記位置合わせに基づいて、前記ロボットを制御するように構成されている、プロセッサと、を備える、システム。
(2) 前記センサがコイルを含み、前記追跡システムは、前記コイル内に前記センサ追跡信号を誘発する磁場を発生させる複数の磁場発生器を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記センサが前記ツールに連結されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記センサが前記アームに連結されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0082】
(6) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信し、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出し、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出し、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算し、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算し、かつ、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせするように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記プロセッサは、
前記TCSに対する標的アームポーズオフセットを計算すること、
前記位置合わせに基づいて、前記標的アームポーズオフセットを前記RCSに変換することによって、変換された標的アームポーズオフセットを計算すること、及び、
前記変換された標的アームポーズオフセットを前記ロボットに伝達することによって、前記ロボットに前記標的アームポーズオフセットの分だけ前記アームの前記アームポーズを変化させること、
によって、前記ロボットを制御するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記ロボットが被験者上で動作しており、
前記追跡システムが、前記被験者に連結された少なくとも1つの被験者追跡センサを更に含み、
前記プロセッサが、
前記追跡システムから、前記TCSに対する前記被験者追跡センサの被験者追跡センサポーズを示す、被験者追跡信号を受信し、かつ
前記被験者追跡信号から、前記被験者の被験者ポーズの変化を導出するように更に構成されており、
前記プロセッサが、前記被験者の前記被験者ポーズの前記変化に応答して、前記標的アームポーズオフセットを計算するように構成されている、実施態様9に記載のシステム。
【0083】
(11) 外科用ロボットが、前記ロボットのアームと、前記アームによって保持されるツールと、を含む集合体を移動させる間に、前記ロボットを制御するための方法であって、前記方法は、
1つ以上の時間に、前記ロボットのロボット座標系(RCS)に対する前記アームのアームポーズを示すアーム追跡信号を、前記ロボットから受信することと、
前記アーム追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の少なくとも1つの特定の部分のそれぞれのRCSポーズを導出することと、
追跡システムから、前記追跡システムの追跡システム座標系(TCS)に対する、前記追跡システムに属し、前記集合体に連結されている少なくとも1つのセンサのセンサポーズを示す、センサ追跡信号を受信することと、
前記センサ追跡信号から、前記1つ以上の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分のそれぞれのTCSポーズを導出することと、
前記RCSポーズ及び前記TCSポーズに基づいて、前記RCS及び前記TCSを互いに位置合わせすることと、
前記位置合わせに基づいて、前記ロボットを制御することと、を含む、方法。
(12) 前記センサがコイルを含み、前記追跡システムが、前記コイル内に前記センサ追跡信号を誘発する磁場を発生させる複数の磁場発生器を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記センサが、前記ツールに連結されている、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記センサが、前記アームに連結されている、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記方法は、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信することと、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出することと、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出することと、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算することと、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算することと、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせすることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
【0084】
(16) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記方法は、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信することと、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出することと、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出することと、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のTCSポーズを前記RCSに変換することによって、変換されたポーズを計算することと、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のRCSポーズとの間の距離を計算することと、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせすることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記方法は、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信することと、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出することと、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出することと、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算することと、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算することと、
前記距離が既定の閾値を超えていることに応答して、前記第1の時間のRCSポーズを使用せず、また前記第1の時間のTCSポーズを使用せず、前記第2の時間のRCSポーズ及び前記第2の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせすることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記時間が第1の時間であり、前記RCSポーズが第1の時間のRCSポーズであり、前記TCSポーズが第1の時間のTCSポーズであり、前記方法は、
第2の時間に、前記アーム追跡信号を受信することと、
前記アーム追跡信号から、前記第2の時間における、前記RCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のRCSポーズを導出することと、
前記センサ追跡信号から、前記第2の時間における、前記TCSに対する、前記集合体の前記特定の部分の第2の時間のTCSポーズを導出することと、
前記位置合わせに基づいて、前記第2の時間のRCSポーズを前記TCSに変換することによって、変換されたポーズを計算することと、
前記変換されたポーズと前記第2の時間のTCSポーズとの間の距離を計算することと、
前記距離が既定の閾値を超えていないことに応答して、前記第2の時間のRCSポーズ、前記第2の時間のTCSポーズ、前記第1の時間のRCSポーズ、及び前記第1の時間のTCSポーズを使用して、前記RCS及び前記TCSを互いに再位置合わせすることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記ロボットを制御することは、
前記TCSに対する標的アームポーズオフセットを計算することと、
前記位置合わせに基づいて、前記標的アームポーズオフセットを前記RCSに変換することによって、変換された標的アームポーズオフセットを計算することと、
前記変換された標的アームポーズオフセットを前記ロボットに伝達することによって、前記ロボットに前記標的アームポーズオフセットの分だけ前記アームの前記アームポーズを変化させることと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記ロボットが被験者上で動作しており、
前記追跡システムが、前記被験者に連結された少なくとも1つの被験者追跡センサを更に含み、
前記方法は、
前記追跡システムから、前記TCSに対する前記被験者追跡センサの被験者追跡センサポーズを示す、被験者追跡信号を受信することと、
前記被験者追跡信号から、前記被験者の被験者ポーズの変化を導出することと、を更に含み、
前記標的アームポーズオフセットを計算することは、前記被験者の前記被験者ポーズの前記変化に応答して前記アームポーズオフセットを計算することを含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3