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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019232429
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101128
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】弁理士法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉見 成正
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-096687(JP,A)
【文献】特開2007-107751(JP,A)
【文献】特開2010-127549(JP,A)
【文献】特開2003-240299(JP,A)
【文献】特開2009-228937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0261217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具の上方に配置され、下向き開放型に設けられて内側を集煙部とするフード本体と、このフード本体に装備される排気手段とを備え、
前記フード本体は、左右の側面部と、前方下向きに湾曲した前面部及び後方下向きに湾曲した後面部と、これら前面部及び後面部の間に位置する中間面部とを含み、
前記集煙部に上昇した煙等の流れを前記前面部及び後面部の各内側でそれぞれ旋回流として排気手段に吸引させる左右一対の開口部を前記中間面部と側面部との間に設けたレンジフードにおいて、
前記開口部は、前部開口と、当該前部開口に連なる後部開口とを含み、
前記開口部は左右方向及び前後方向に非対称な開口形状に設けられ、
前記前部開口の左右幅は前記後部開口の左右幅よりも大きく、後部開口の前後長さは、前部開口の前後長さよりも長く設けられていることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記中間面部の上方に、前記左右の開口部に連なる煙道が形成され、この煙道は平面内で後方に向かうに連れて左右幅が幅狭に設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ、IHクッキングヒーター等の加熱調理器具の上方に配置されるレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理により発生する煙や、油等を含んで上昇する空気(以下、単に「煙等」と称する)を吸気して外部に排気するレンジフードとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
このレンジフードは、左右両側に位置する中空の側面部と、これら側面部の間にガイド部を設けて下向きに開口する集煙部とを含むフード本体と、
前記側面部の内部空間を経て煙等を排気する排気手段を備えて構成されている。
フード本体は、集煙部に向かって上昇する煙等を前後に分ける中間案内部と、この中間案内部の前側で下向きに湾曲する第1の案内面と、中間案内部の後側で下向きに湾曲する第2の案内面とを備えており、側面部には、第1の案内面によって水平渦巻(旋回流)に形成された煙等を吸引する第1の開口部と、第2の案内面によって水平渦巻に形成された煙等を吸引する第2の開口部とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010―127549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のレンジフードによれば、集煙部の前後各領域で煙等を水平渦巻状にして効率よく吸引でき、開口部を通じて外部に排気することが可能となる。
しかしながら、このレンジフードにあっては、開口部が側面部に設けられている構成上、側面部内を煙道として煙等が流れる構成となるため、側面部の内面側が清掃部位となり、側面部内の清掃が非常に面倒になる、という不都合がある。しかも、清掃領域がフード本体の左右二箇所領域に分散しているため、開口部を覆うフィルターが4つ必要となり、煙道内部とフィルターの清掃範囲が広くなって清掃に時間がかかる、という問題もある。
また、特許文献1記載のレンジフードは、フード本体を上下に薄くすることを企図しているものの、煙等の吸込口となる開口部の高さすなわち上下幅は、吸引に必要となる幅を最小限確保しなければならないため、薄型化にも自ずと制約がある。
なお、フード本体の内側に整流板を設け、フード本体の内周と整流板の外周との間の四方を吸込口とすることで薄型化を図ったレンジフードも存在するが、このタイプのレンジフードにあっては、平面積の大きい整流板が採用されることになり、清掃の負担が重くなる、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、レンジフードにおいて、整流板を無くし、且つ、煙道を小さくする設計が可能となり、それによって清掃の負担を小さくできるレンジフードを提供することにある。
更に、本発明の目的は、吸込口を形成する開口部の大きさに影響を受けることなく薄型化を促進することができるレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、調理器具の上方に配置され、下向き開放型に設けられて内側を集煙部とするフード本体と、このフード本体に装備される排気手段とを備え、
前記フード本体は、左右の側面部と、前方下向きに湾曲した前面部及び後方下向きに湾曲した後面部と、これら前面部及び後面部の間に位置する中間面部とを含み、
前記集煙部に上昇した煙等の流れを前記前面部及び後面部の各内側でそれぞれ旋回流として排気手段に吸引させる左右一対の開口部を前記中間面部と側面部との間に設けたレンジフードにおいて、
前記開口部は、前部開口と、当該前部開口に連なる後部開口とを含み、
前記開口部は左右方向及び前後方向に非対称な開口形状に設けられ、
前記前部開口の左右幅は前記後部開口の左右幅よりも大きく、後部開口の前後長さは、前部開口の前後長さよりも長く設ける、という構成を採っている。
【0008】
また、前記中間面部の上方に、前記左右の開口部に連なる煙道が形成され、この煙道は平面内で後方に向かうに連れて左右幅が幅狭に設けられる、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フード本体の前後各内側領域で水平渦巻である旋回流を形成してこれを吸引することができるため、煙等をフード本体の外側に漏らすことなく排気手段で効率よく排気することができる。
また、開口部を中間面部と側面部との間に設ける構成として煙等を吸引する構成としたから、側面部に開口部を設ける必要がなくなるので、側面部の上下幅を小さくしてフード本体を薄くすることができる。しかも、開口部の大きさが側面部の上下幅に何らの影響も与えないので、設計上の自由度も付与することができる。
更に、前部開口の左右幅を後部開口の左右幅よりも大きくすることでフード本体内における前部側の旋回流を強力に発生できるようになり、これによって、フード本体の前部外側に煙等が漏れてしまう恐れを回避若しくは低減することができる。しかも、後部開口は、前部開口の前後長さよりも長く形成されているため、側面部から外側に煙等が漏れてしまう恐れも防止することができる。
更に、左右一対の開口部を覆うフィルターを2つに減ずることができるため、清掃性を向上させ、原価低減が期待できる。
また、中間面部の上方に設けられた煙道を後方に向かうに従って幅狭に設けた構成により、煙道の平面積を小さくでき、中間面部を清掃する際の負担軽減を図ることができる。しかも、この煙道の真上に排気手段を配置する構成を採れば、煙等が通過する煙道長さを短くでき、清掃の一層の容易化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るレンジフードを下方から見た概略斜視図。
図2】前記レンジフードの平面図。
図3図2の右側面図。
図4】前記レンジフードの底面図。
図5図2のA-A線矢視断面図。
図6図2のB-B線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、位置若しくは方向を示す用語は、特に明示しない限り、図1に示されるレンジフードの上部幕板を正面に見た状態、すなわちY方向に沿って見た状態を基準とする。従って、「左」、「右」はX方向の両側にあり、「前」、「後」はY方向の手前側と奥行側となる。また、「上」、「下」はZ方向の両側にあることになる。
【0012】
図1及び図2に示されるように、レンジフード10は、平面視略方形の外形を備えたフード本体11と、当該フード本体11の上部に設けられた幕板12の後面側に装備される排気手段13とを備えて構成されている。
フード本体11は、左右の側面部15、16と、前面部17、後面部18と、これらの内側に位置する中間面部19とを含む。フード本体11は、下向き開放型の形状を呈するように設けられており、その内側は集煙部20として作用するように形成されている。
【0013】
側面部15、16は前後方向に延び、前部が後部よりも上下幅が次第に小さくなる形状に設けられ、側面部15、16の上端縁が略水平面内に位置するようにレンジフード10が図示しない天井下若しくは壁面等に据え付けされるようになっている。
【0014】
前記前面部17は前方下向きに湾曲した形状に設けられ、その内側領域で、図示しない下方の調理器具側から集煙部20に向かって上昇する煙等を水平渦巻状の旋回流に形成できるようになっている。この一方、後面部18は後方下向きに湾曲した形状に設けられ、同様に旋回流を形成できるようになっている。なお、湾曲の曲率は、例えば、前記先行技術文献に記載された構成を採用することができる。
前面部17の後部側には前記幕板12の下端が固定される上部平面22が後方に向かって一体に延びている一方、後面部18の前部側には下部平面23が前方に向かって一体に延びている。上部平面22は、図2に示されるように、後面部18よりも幾分前方位置(図2中上方位置)を後端とする奥行幅とされ、その後端は、後方に向かうに従って左右幅を減じる形状に設けられている。この一方、下部平面23は、前方に向かうに従って左右幅を拡大する形状に設けられている。この際、下部平面23の前端は、上部平面22の後端よりも下方に位置して段違いとなっており(図6参照)、上部平面22の後端と下部平面23の前端は、連結壁25により相互に連結されている。この連結壁25は、左右の側面部15、16に接する左右一対の横向き連結壁25Aと、これら横向き連結壁25Aの各内方端に連なって後方傾斜方向に延びる左右一対の傾斜連結壁25Bと、これら傾斜連結壁25B間を結ぶ後端中央連結壁25Cとを備えて構成されている。
【0015】
前記中間面部19は、前記上部平面22の下方であって、下部平面23の前方に連なるように前上がりの傾斜面内に位置するように配置されている。この中間面部19は、平面視で、後方に向かうに従って左右幅が幅狭となる形状に設けられている
中間面部19の前端は上部平面22の下面に固定されている。そして、この固定位置よりも僅か後方には、左右方向に延びるヒンジ部19Aが設けられており、当該ヒンジ部19Aよりも後方となる部分は、ヒンジ部19Aを支点として回転可能となっている。
なお、中間面部19の後端部には、当該中間面部19の上面に付着した油を受入可能なトレー24が着脱自在に設けられている。
中間面部19と上部平面22との間は、平面内で後方に向かうに従って左右幅が幅狭に設けられた空間となる煙道26とされている。中間面部19と左右の側面部15、16との間には、煙道26に連通する左右一対の開口部30が設けられている。また、上部平面22の中央部には円形の穴33が形成され、当該穴33の上部に配置される排気手段13のファンが回転することにより、開口部30から煙道26に流入した煙等が排気される。
【0016】
前記開口部30は、図2図4に示されるように、左右方向及び前後方向に非対称な開口形状に設けられている。具体的には、各開口30は、前部開口30Aと後部開口30Bとからなり、前部開口30Aの左右幅は後部開口30Bの左右幅よりも大きく、後部開口30Bの前後長さは、前部開口30Aの長さよりも長く設けられ、各開口30が、平面視で略L字状に見えるようになっている。
なお、この開口部30には、図示しないフィルターが着脱自在に配置されるようになっている。
【0017】
次に、本実施形態におけるレンジフード10の作用について説明する。
図示しない操作盤のスイッチをON操作することで排気手段13のファンが回転し、開口部30において吸引力が発生する。
レンジフード10に向かって上昇した煙等は、集煙部20内に入り、前上がりの中間面部19に沿って前面部17の内面側に流れ込む煙等は、当該前面部17の湾曲面により水平渦巻状の旋回流とされて(図5中矢印参照)前部開口30Aに吸引される。
集煙部20内に上昇した煙等の一部は後面部18や、側面部15、16側にも拡がって流れるが、後面部18の内面側に流れ込んだ煙等は、そこで旋回流とされて(図5中矢印参照)後部開口30Bの吸引力を受けて吸引される。また、側面部15、16に向かう流れも後部開口30Bにより吸引される。
このように、本実施形態におけるレンジフード10は、前面部17側に流れる煙等は前部開口30Aで、それ以外に流れる煙等は、後部開口30Bにより吸引されて排気されるようになっている。
【0018】
レンジフード10の清掃を行う場合には、中間面部19の後端側における図示しない係合部を解除することで、ヒンジ部19Aを支点として図1中矢印A方向に回転させればよい。これにより、その中間面部19の内面側を清掃することができ、必要に応じてオイルトレー24の清掃も行うことができる。
【0019】
従って、本実施形態によれば、フード本体11の前後各内側で煙等の旋回流を生じさせてこれを吸引できるため、フード本体11の外側に煙等を漏らすことなく排気することができる。
また、側面部15、16に開口部を設ける必要がなくなるので、フード本体11を薄型化することができる。
更に、前部開口30Aが相対的に大きな開口幅となるから、フード本体11内の前方に旋回流を形成させる構成と相まって煙等を確実に吸引して外側への煙漏れを回避することができる。
更に、左右一対の開口部を覆うフィルターを2つに減ずることができるため、清掃性を向上させ、原価低減が期待できる。
また、煙道を後方に向かうに従って幅狭に設けたことで、その平面積が小さくなり、煙道内の清掃を容易に行うことができる。しかも、この煙道の真上に排気手段を配置した構成では、開口部と排気手段との間の距離が短くなる結果、油汚れが付着する面積若しくは領域が小さくなり、清掃の負担軽減を図ることができる。
【0020】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
例えば、上記に開示した各部構成の形状、大きさ、相対位置等は、図示構成例に限定されるものではなく、前部側及び後部側で旋回流を生じさせて開口部、煙道を通じて排気できる構成であれば種々の変更を加えることを妨げない。
本発明は、前面部に連なる上部平面と、後面部に連なる下部平面とを段違いに設け、その間に煙道を設けて当該煙道の左右両側に開口部が形成されるというものであり、当該開口部を側面部に設けることなく中間面部と側面部との間に設ける構成であればよい。
【符号の説明】
【0021】
10…レンジフード、11…フード本体、13…排気手段、15、16側面部、17…前面部、18…後面部、19…中間面部、20…集煙部、26…煙道、30…開口部、30A…前部開口、30B…後部開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6