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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20240205BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240205BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240205BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240205BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20240205BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240205BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20240205BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20240205BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240205BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20240205BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240205BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240205BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20240205BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240205BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240205BHJP
【FI】
H01M50/588
H01M10/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6557
H01M50/342 101
H01G11/12
H01G11/80
H01G11/78
H01G11/18
H01M50/591
H01M50/505
H01M50/503
H01M50/204 401Z
H01M50/209
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020009772
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021118072
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 賢志
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】田丸 耕二郎
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142919(WO,A1)
【文献】特開2018-092717(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179797(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/588 - 595
H01M 10/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6557
H01M 50/342
H01M 50/204 - 216
H01M 50/502 - 516
H01G 11/12
H01G 11/80
H01G 11/78
H01G 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間に設けられた導電板及びシール部材と、を備える蓄電装置であって、
前記複数の蓄電モジュールのそれぞれは、セパレータを介して前記蓄電モジュールの積層方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う前記電極間に形成される内部空間に収容された電解液と、前記電極積層体の積層方向に沿う側面を取り囲むとともに前記内部空間を封止する封止体と、を有し、
前記複数の電極は、負極終端電極と、正極終端電極と、前記負極終端電極及び前記正極終端電極の間に積層された複数のバイポーラ電極と、を有し、
前記複数のバイポーラ電極のそれぞれは、電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極と、を有し、
前記電極積層体は、前記積層方向の一端及び他端において前記封止体から露出する電極露出部を有し、
前記積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間において、互いに対向する前記電極露出部間に前記導電板が接触配置されるとともに、互いに対向する前記封止体間の少なくとも一部に前記シール部材が充填されており、
前記シール部材は、前記封止体に接着されている、蓄電装置。
【請求項2】
積層された複数の蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間に設けられた導電板及びシール部材と、を備える蓄電装置であって、
前記複数の蓄電モジュールのそれぞれは、セパレータを介して前記蓄電モジュールの積層方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う前記電極間に形成される内部空間に収容された電解液と、前記電極積層体の積層方向に沿う側面を取り囲むとともに前記内部空間を封止する封止体と、を有し、
前記複数の電極は、負極終端電極と、正極終端電極と、前記負極終端電極及び前記正極終端電極の間に積層された複数のバイポーラ電極と、を有し、
前記複数のバイポーラ電極のそれぞれは、電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極と、を有し、
前記電極積層体は、前記積層方向の一端及び他端において前記封止体から露出する電極露出部を有し、
前記積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間において、互いに対向する前記電極露出部間に前記導電板が接触配置されるとともに、互いに対向する前記封止体間の少なくとも一部に前記シール部材が充填されており、
前記封止体は、前記積層方向に沿う外周面と、前記積層方向を向く一対の端面と、前記外周面に設けられ、前記電極積層体の外側に向けて張り出す庇部と、を有し、
前記端面は、前記庇部の設置箇所に対応する第1部分と、前記設置箇所に対応しない第2部分と、を有し、
前記シール部材は少なくとも前記第2部分上に設けられている、蓄電装置。
【請求項3】
前記第1部分及び前記第2部分は、前記封止体の周方向で互いに隣り合っており、
前記シール部材は、前記第1部分にも設けられている、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記導電板には、冷却用流体を流通させる冷却用流路が形成され、
前記導電板は、前記冷却用流路の入口及び出口が前記第1部分に対応するように配置されている、請求項2又は3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電モジュールは、前記内部空間の圧力を調整する圧力調整弁を有し、
前記圧力調整弁は、前記第2部分に対応する前記外周面に取り付けられている、請求項2~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記シール部材は、前記封止体に接着されている、請求項~5のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、積層された複数の蓄電モジュールを備える蓄電装置が知られている。また、従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている。例えば、特許文献1に開示されたバイポーラ電池は、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、電極積層体の側面に設けられたポリプロピレン製のセルケーシング(封止体)と、を備えている。バイポーラ電極の縁部には、ポリプロピレン層が設けられており、バイポーラ電極とセルケーシングとは、ポリプロピレン層を介して一体成形により強固に固着されている。これにより、電解液を封止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-135764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような蓄電モジュールでは、電解液がアルカリ水溶液である場合、いわゆるアルカリクリープ現象により、電解液が各電極の電極板上を伝わり、ポリプロピレン層と当該電極板との間の隙間を通って当該電極板の外面側に滲み出ることがある。最外の電極でアルカリクリープ現象が起これば系外に電解液が漏れる。アルカリクリープ現象に限らず、液漏れが生じると、積層された蓄電モジュール間で短絡(トラッキング)が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、蓄電モジュール間で短絡が生じることを抑制可能な蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の蓄電装置は、積層された複数の蓄電モジュールと、蓄電モジュールの積層方向で隣り合う蓄電モジュール間に設けられた導電板及びシール部材と、を備える蓄電装置であって、複数の蓄電モジュールのそれぞれは、セパレータを介して蓄電モジュールの積層方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う電極間に形成される内部空間に収容された電解液と、電極積層体の積層方向に沿う側面を取り囲むとともに内部空間を封止する封止体と、を有し、複数の電極は、負極終端電極と、正極終端電極と、負極終端電極及び正極終端電極の間に積層された複数のバイポーラ電極と、を有し、複数のバイポーラ電極のそれぞれは、電極板と、電極板の一方面に設けられた正極と、電極板の他方面に設けられた負極と、を有し、電極積層体は、積層方向の一端及び他端において封止体から露出する電極露出部を有し、積層方向で隣り合う蓄電モジュール間において、互いに対向する電極露出部間に導電板が接触配置されるとともに、互いに対向する封止体間の少なくとも一部にシール部材が充填されている。
【0007】
この蓄電装置では、積層方向で隣り合う蓄電モジュール間において、互いに対向する封止体の間の少なくとも一部にシール部材が充填されている。このため、蓄電モジュールの内部空間から電解液が漏れて封止体の外周面に流れ出た場合でも、シール部材が充填された部分では、封止体の外周面を伝わる電解液の入り込みが抑制できる。よって、封止体の外周面を伝わる電解液を通じ、蓄電モジュール間で短絡が生じることを抑制できる。
【0008】
封止体は、積層方向に沿う外周面と、積層方向を向く一対の端面と、外周面に設けられ、電極積層体の外側に向けて張り出す庇部と、を有し、端面は、庇部の設置箇所に対応する第1部分と、設置箇所に対応しない第2部分と、を有し、シール部材は少なくとも第2部分上に設けられていてもよい。この場合、封止体の端面のうち、庇部の設置箇所に対応する第1部分では、電解液が外周面に流れ出ても、電解液が庇部を伝わって落ちるので、電解液の入り込みが抑制できる。庇部の設置箇所に対応しない第2部分では、シール部材が設けられているので、電解液の入り込みが抑制できる。よって、封止体の外周面を伝わる電解液を通じ、蓄電モジュール間で短絡が生じることを確実に抑制できる。
【0009】
第1部分及び第2部分は、封止体の周方向で互いに隣り合っており、シール部材は、第1部分にも設けられていてもよい。この場合、液漏れによる蓄電モジュール間の短絡を更に抑制できる。
【0010】
導電板には、冷却用流体を流通させる冷却用流路が形成され、導電板は、冷却用流路の入口及び出口が第1部分に対応するように配置されていてもよい。この場合、冷却用流路の入口及び出口がシール部材によって塞がれることが抑制される。
【0011】
蓄電モジュールは、内部空間の圧力を調整する圧力調整弁を有し、圧力調整弁は、第2部分に対応する外周面に取り付けられていてもよい。この場合、第2部分に対応する外周面には庇部が設けられていないので、圧力調整弁を容易に取り付けることができる。
【0012】
シール部材は、封止体に接着されていてもよい。この場合、シール部材の位置ずれが抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、蓄電モジュール間で短絡が生じることを抑制可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2】蓄電装置の側面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】シール部材が設けられた蓄電モジュールの斜視図である。
図6】シール部材が設けられた蓄電モジュールの上面図である。
図7】蓄電モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0016】
図1図7を参照して、本実施形態に係る蓄電装置1について説明する。図1は、蓄電装置1の斜視図である。図2は、蓄電装置1の側面図である。図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、シール部材Sが設けられた蓄電モジュール3の斜視図である。図6は、シール部材Sが設けられた蓄電モジュール3の上面図である。図7は、蓄電モジュール3の断面図である。
【0017】
蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、モジュール積層体2と、拘束部材4と、を備えている。モジュール積層体2は、積層された複数の蓄電モジュール3を含んでいる。拘束部材4は、モジュール積層体2に対して、蓄電モジュール3の積層方向の両側から拘束荷重を付加する。蓄電モジュール3は、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。本明細書では、説明の便宜上、積層方向をZ軸方向とし、積層方向から見た蓄電モジュール3の長手方向をY軸方向とし、蓄電モジュール3の短手方向をX軸方向としている。
【0018】
モジュール積層体2は、複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では8つ)の導電板5と、シール部材Sと、を含む。蓄電モジュール3は、一例としてバイポーラ電池である。蓄電モジュール3は、例えばニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池等の二次電池である。ただし、蓄電装置1は、上記二次電池に限られず、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1は、ニッケル水素二次電池である。
【0019】
複数の蓄電モジュール3は、導電板5を介して積層されている。積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。本実施形態では、図3に示されるように、複数の(8つ)の導電板5は、複数(6つ)の導電板5Aと、複数(2つ)の導電板5B(導電部材)と、によって構成されている。導電板5Aは、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間に設けられている。積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、導電板5Aは、互いに対向する電極積層体31の電極露出部31b間に接触配置されている。電極露出部31bについては、後述する。導電板5Bは、複数の蓄電モジュール3のうち積層端に位置する蓄電モジュール3の積層方向の外側に設けられている。図1及び図2に示されるように、一方の導電板5Bには、正極端子6(電極端子)が接続されている。他方の導電板5Bには、負極端子7(電極端子)が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、導電板5Bの縁部から積層方向に交差する方向(Y軸方向)に突出している。正極端子6及び負極端子7を介して、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0020】
図3及び図4に示されるように、導電板5Aには、冷却用流体を流通させる複数の冷却用流路5aが形成されている。ここで、冷却用流体としては、例えば、空気、水等が用いられる。冷却用流路5aは、積層方向(Z軸方向)に交差する交差方向(X軸方向)に沿って延びている。冷却用流路5aの延在する方向(X軸方向)は、積層方向(Z軸方向)及び正極端子6及び負極端子7の引き出し方向(Y軸方向)の両方に直交する。導電板5Aは、冷却用流路5aに冷却用流体を流通させることにより、蓄電モジュール3で発生した熱を放熱する放熱板として機能する。
【0021】
導電板5は、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。冷却用流路5aの一対の端部5b,5cは、導電板5のX軸方向を向く一対の側面にそれぞれ設けられている。本実施形態では、積層方向から見た導電板5の面積は蓄電モジュール3の面積よりも小さい。放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は蓄電モジュール3の面積と同じでもよく、蓄電モジュール3の面積よりも大きくてもよい。
【0022】
シール部材Sは、積層方向で互いに隣り合う蓄電モジュール3間に設けられている。本実施形態では、シール部材Sは、積層方向で互いに隣り合う蓄電モジュール3の間に導電板5Aとともに配置されている。シール部材Sは、導電板5Aの外側に配置されている。なお、シール部材Sは、積層端に位置する蓄電モジュール3の積層方向の外側にも導電板5Bとともに配置されていてもよい。シール部材Sの具体的な配置については、後述する。
【0023】
図1図2及び図4に示されるように、蓄電装置1は、蓄電モジュール3を冷却するための冷却用流体を流通させる導入ダクト21及び導出ダクト22を有する。ここで、図4は、積層方向における一の導電板5Aの中央部を通る平面に沿った断面を示している。図4では、説明の便宜上、一の導電板5A、導入ダクト21、及び導出ダクト22のみが図示されている。
【0024】
導入ダクト21は、各導電板5Aの各冷却用流路5aの一方の端部5bに対向してY軸方向に沿って延びるように設けられている。導入ダクト21は、冷却用流体を流通させて冷却用流路5aへと冷却用流体を導入するように構成されている。導入ダクト21のY軸方向における一端には、導入ダクト21に冷却用流体を導入するための導入口21aが設けられている。導入ダクト21から冷却用流路5aの端部5bへと導入された冷却用流体は、冷却用流路5aを流通し、冷却用流路5aの他方の端部5cから導出される。
【0025】
導出ダクト22は、各導電板5Aの各冷却用流路5aの端部5cに対向してY軸方向に沿って延びるように設けられている。導出ダクト22は、冷却用流路5aの端部5cから導出された冷却用流体を流通させるように構成されている。導出ダクト22のY軸方向における一端には、導出ダクト22から外部に冷却用流体を排出するための導出口22aが設けられている。導出口22aには、例えば、導出ダクト22内の冷却用流体を吸引するブロワ等が接続される。
【0026】
図1及び図2に示されるように、拘束部材4は、モジュール積層体2を積層方向の両側から挟む一対の拘束板8(負極端子7側の拘束板8A及び正極端子6側の拘束板8B)と、一対の拘束板8を連結する複数(本実施形態では10)の連結部材9と、を含む。連結部材9は、一対の拘束板8を介して積層方向にモジュール積層体2に拘束荷重を付加する。本実施形態では、連結部材9は、一対の拘束板8を締結するボルト9a及びナット9bによって構成されている。
【0027】
拘束板8は、積層方向から見た蓄電モジュール3及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。各拘束板8と導電板5Bとの間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルムFが配置されている。絶縁フィルムFにより、拘束板8と導電板5Bとの間が絶縁されている。絶縁フィルムFは、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。本実施形態では、積層方向から見た絶縁フィルムFの面積は、蓄電モジュール3及び導電板5よりも大きく、拘束板8よりも小さい。
【0028】
拘束板8は、積層方向から見てモジュール積層体2と重なる中央部11と、中央部11から積層方向に直交する方向(本実施形態ではY軸方向)に延在すると共に積層方向から見てモジュール積層体2と重ならない縁部10と、を有する。本実施形態では、一対の縁部10は、X軸方向における中央部11の両側に設けられている。すなわち、中央部11は、一対の縁部10に挟まれている。縁部10は、積層方向の外側を向く外面10aと、積層方向の内側を向く内面10bと、を有している。中央部11は、積層方向の外側を向く外面11aと、積層方向の内側を向く内面11bと、を有している。外面10aは、外面11aよりも積層方向の内側に位置している。内面10bは、内面11bよりも積層方向の内側に位置している。
【0029】
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に延在する外縁部分である。一対の縁部10は、積層方向から見てモジュール積層体2と重ならないように配置されている。各縁部10には、ボルト9aが挿通される複数(本実施形態では5つ)の挿通孔10cが設けられている。各縁部10において、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。
【0030】
ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール3及び複数の導電板5が、拘束板8A,8Bによって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されている。また、積層方向の拘束荷重がモジュール積層体2に対して付加されている。
【0031】
内面10bは、いずれの導電板5Aよりも積層方向の外側に位置している。すなわち、X軸方向から見て、内面10bは、複数の導電板5Aのうち最外層に位置する導電板5Aよりも積層方向の外側に位置している。すなわち、いずれの導電板5Aの冷却用流路5aの入口(端部5b)又は出口(端部5c)も、縁部10によって覆われない。これにより、導入ダクト21から冷却用流路5aへと冷却用流体を円滑に導入させることができると共に、冷却用流路5aから導出ダクト22へと冷却用流体を円滑に導出させることができる。したがって、導電板5Aの冷却用流路5aに冷却用流体を確実に流通させることができる。
【0032】
上述したように、正極端子6及び負極端子7は、導電板5Bにおける短手方向(X軸方向)に沿った側面(Y軸方向と交差する側面)から突出している。このように、導電板5Bにおける縁部10と対向しない側面から電極端子(正極端子6及び負極端子7)を引き出すことにより、電極端子と縁部10との干渉を確実に防止することができる。本実施形態のように、モジュール積層体2における長手方向(Y軸方向)に沿った側面に対向する位置に導入ダクト21及び導出ダクト22を設ける場合には、電極端子と導入ダクト21又は導出ダクト22との干渉も防止することができる。
【0033】
図1に示されるように、本実施形態では、導入ダクト21は、4つの固定ネジ18Aによって一方の縁部10(冷却用流路5aの一方の端部5b側の縁部10)に固定されている。導出ダクト22は、4つの固定ネジ18Bによって他方の縁部10(冷却用流路5aの他方の端部5c側の縁部10)に固定されている。各縁部10には、固定ネジ18A,18Bが螺合される4つのネジ穴(不図示)が設けられている。4つのネジ穴は、拘束板8の長手方向中央部に位置する連結部材9以外の4つの連結部材9の近傍に設けられている。
【0034】
導入ダクト21及び導出ダクト22は、延在部21b及び延在部22bを有する。延在部21b,22bは、各縁部10のネジ穴に対向するように、積層方向に直交する平面(XY平面)に沿って延在している。延在部21b,22bには、各縁部10のネジ穴に対応する貫通孔が形成されている。固定ネジ18A,18Bは、当該貫通孔に挿通され、孔部19に螺合されている。これにより、導入ダクト21及び導出ダクト22は、縁部10に固定されている。
【0035】
図5図7に示されるように、蓄電モジュール3は、電極積層体31と、樹脂製の封止体40と、圧力調整弁52と、を備えている。電極積層体31は、セパレータ33を介して蓄電モジュール3の積層方向(Z軸方向)に沿って積層された複数の電極を含む。複数の電極は、負極終端電極38と、正極終端電極39と、負極終端電極38及び正極終端電極39の間に積層された複数のバイポーラ電極34の積層体と、を含む。なお、図示例では、負極終端電極38の外側に集電箔44が配置されており、正極終端電極39の外側に集電箔45が配置されている。このような電極積層体31では、セパレータ33を介して互いに対面する一対の電極によって単セルが構成される。
【0036】
バイポーラ電極34は、一方面35a及び一方面35aの反対側の他方面35bを含む電極板35と、一方面35aに設けられた正極36と、他方面35bに設けられた負極37とを有している。正極36は、正極活物質が電極板35に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極37は、負極活物質が電極板35に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体31において、一のバイポーラ電極34の正極36は、セパレータ33を挟んで積層方向の一方に隣り合う別のバイポーラ電極34の負極37と対向している。電極積層体31において、一のバイポーラ電極34の負極37は、セパレータ33を挟んで積層方向の他方に隣り合う別のバイポーラ電極34の正極36と対向している。このように、電極積層体31では、複数のバイポーラ電極34がセパレータ33を介して直列に積層されている。
【0037】
電極板35は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板35は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板35の縁部35cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極37を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板35の他方面35bにおける負極37の形成領域は、電極板35の一方面35aにおける正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0038】
負極終端電極38は、電極板35と、電極板35の他方面35bに設けられた負極37とを有している。負極終端電極38は、他方面35bが電極積層体31における積層方向の中央側を向くように、積層方向の一端に配置されている。負極終端電極38の電極板35の一方面35aは、電極積層体31の積層方向における一方の外側面を構成している。負極終端電極38の電極板35の他方面35bに設けられた負極37は、セパレータ33を介して、積層方向の一端のバイポーラ電極34の正極36と対向している。なお、負極終端電極38は、後述するように、蓄電モジュール3に隣接して配置される導電板5(図3参照)と電気的に接続され得る。
【0039】
正極終端電極39は、電極板35と、電極板35の一方面35aに設けられた正極36とを有している。正極終端電極39は、一方面35aが電極積層体31における積層方向の中央側を向くように、積層方向の他端に配置されている。正極終端電極39の電極板35の他方面35bは、電極積層体31の積層方向における他方の外側面を構成している。正極終端電極39の電極板35の一方面35aに設けられた正極36は、セパレータ33を介して、積層方向の他端のバイポーラ電極34の負極37と対向している。なお、正極終端電極39は、後述するように、蓄電モジュール3に隣接して配置される導電板5(図3参照)と電気的に接続され得る。
【0040】
集電箔44は、一例として、電極板35であってよい。集電箔44では、電極板35の一方面35a及び他方面35bのいずれにおいても、正極活物質及び負極活物質は塗工されていない。集電箔44と負極終端電極38とは互いに接触している。同様に、集電箔45は、一例として、電極板35であってよい。集電箔45では、電極板35の一方面35a及び他方面35bのいずれにおいても、正極活物質及び負極活物質は塗工されていない。集電箔45と正極終端電極39とは互いに接触している。なお、図示例では、集電箔44と集電箔45とが互いに近付く方向に屈曲するように示されているが、集電箔44と集電箔45とは、互いに離れる方向に屈曲し得る。例えば、集電箔44と集電箔45とは、後述する筒部32の端部よりも積層方向の外側に突出するように屈曲し得る。
【0041】
セパレータ33は、例えばシート状に形成されている。セパレータ33としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ33は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
【0042】
電極積層体31は、積層方向(Z軸方向)の一端及び他端において封止体40から露出する電極露出部31bを有する。本実施形態では、電極露出部31bは、封止体40から露出する集電箔44,45の中央領域によって構成されている。積層方向の一端側の電極露出部31bは、一例として、封止体40から露出する集電箔44(電極板35)における一方面35aの中央領域によって構成されている。積層方向の他端側の電極露出部31bは、一例として、封止体40から露出する集電箔45(電極板35)における他方面35bの中央領域によって構成されている。
【0043】
封止体40は、電極積層体31の積層方向(Z軸方向)に沿う(積層方向に延びる)側面31aを取り囲むとともに、電極積層体31において隣り合う電極間に形成される内部空間Vを封止する。封止体40は、側面31aを取り囲む筒部32を有する。筒部32は、積層方向に沿う(積層方向に延びる)外周面32aと、軸方向(Z軸方向)を向く一対の端面32bと、を有している。筒部32は、全体として矩形の筒形状に形成されている。筒部32は、電極板35の縁部35cを包囲するように電極積層体31の側面31aに設けられている。筒部32は、側面31aにおいて縁部35cを保持している。筒部32は、例えば耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂によって形成されている。筒部32の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0044】
筒部32は、複数の第1封止部41と、第2封止部42と、を有している。第1封止部41は、電極板35の縁部35cに接合されている。第1封止部41は、電極板35の一方面35aにおいて縁部35cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向から見て矩形枠状をなしている。本実施形態では、バイポーラ電極34のみならず、負極終端電極38、正極終端電極39、集電箔44及び集電箔45の電極板35に対しても第1封止部41が設けられている。すなわち、バイポーラ電極34、負極終端電極38、正極終端電極39、集電箔44及び集電箔45のそれぞれは、電極板35に第1封止部41が設けられた電極ユニットを形成している。なお、集電箔45では、電極板35の一方面35a及び他方面35bの両方の縁部35cに第1封止部41が設けられている。
【0045】
第1封止部41は、例えば超音波、熱等によって電極板35の一方面35aに溶着され、気密に接合されている。第1封止部41は、例えば積層方向に所定の厚さを有するフィルムであってよい。また、所定の厚さを有する複数枚のフィルムを積層して、部分的に段差を有する第1封止部41を形成してもよい。第1封止部41の内側は、積層方向に互いに隣り合う電極板35の縁部35c同士の間に位置している。第1封止部41の外側は、電極板35の縁よりも外側に張り出しており、その先端部分は、溶着層46により第2封止部42に接合されている。溶着層46は、例えば熱板溶着により溶融された第1封止部41の先端部分同士が互いに結合して形成される。積層方向に沿って互いに隣り合う第1封止部41同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1封止部41の外縁部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに接合していてもよい。
【0046】
電極板35と第1封止部41とが重なる領域は、電極板35と第1封止部41との接合領域Kとなっている。接合領域Kにおいて、電極板35の表面は、粗面化されている。粗面化された領域は、接合領域Kのみでもよいが、本実施形態では電極板35の全面が粗面化されている。粗面化は、例えば電解メッキによる複数の突起の形成により実現し得る。複数の突起が形成されることにより、電極板35と第1封止部41との接合界面では、溶融状態の樹脂が粗面化により形成された複数の突起間に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板35と第1封止部41との間に接合強度を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、隣り合う突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果を高めることが可能となる。
【0047】
第2封止部42は、側面31aに沿って第1封止部41を外側から包囲し、第1封止部41のそれぞれに接合されている。第2封止部42は、電極積層体31及び第1封止部41によって構成されるユニット積層体43の外側に設けられ、蓄電モジュール3の外壁を構成している。第2封止部42は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向に沿って電極積層体31の全長にわたって延在している。第2封止部42は、積層方向を軸方向として延在する矩形の筒形状を呈している。第2封止部42は、例えば射出成形時の熱によって第1封止部41の外表面に溶着されている。
【0048】
第1封止部41及び第2封止部42は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部42は、第1封止部41と共に、積層方向に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極34の間、積層方向に沿って互いに隣り合う負極終端電極38とバイポーラ電極34との間、及び積層方向に沿って互いに隣り合う正極終端電極39とバイポーラ電極34との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極34の間、負極終端電極38とバイポーラ電極34との間、及び正極終端電極39とバイポーラ電極34との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。
【0049】
一例として、本実施形態では、積層された電極によって24個の内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ33、正極36、及び負極37内に含浸されている。筒部32の外周面32aには、内部空間Vに電解液を注入するための注液口(不図示)が設けられている。外周面32aは、第2封止部42の外周面により構成されている。
【0050】
本実施形態において、筒部32は、Y軸方向に沿って延在する一対の長辺部分と、X軸方向に沿って延在する一対の短辺部分と、を含む。筒部32の周方向は、長辺部分ではY軸方向であり、短辺部分ではX軸方向である。外周面32aは、長辺部分ではX軸方向を向き、短辺部分ではY軸方向を向いている。内部空間Vに電解液を注入するための注液口(不図示)は、一方の短辺部分の外周面32aに設けられている。
【0051】
封止体40は、筒部32の外周面32aに設けられ、外周面32aから電極積層体31の外側に向けて張り出す庇部51を有している。庇部51は、外周面32aから突出するとともに、筒部32の周方向に沿って延在している。本実施形態では、庇部51は、筒部32の各長辺部分の外周面32aに1つずつ設けられ、筒部32の周方向(Y軸方向)に沿って延在している。
【0052】
庇部51は、外周面32aに設けられた複数のリブ53によって補強されている。複数のリブ53は、庇部51の延在方向(Y軸方向)において所定間隔で設けられている。庇部51及びリブ53は、例えば耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂によって形成されている。庇部51及びリブ53は、例えば、筒部32と同じ材料で形成されている。庇部51及びリブ53は、例えば樹脂の射出成形によって、第2封止部42と一体的に形成されている。
【0053】
筒部32の端面32bは、庇部51の設置箇所に対応する第1部分32Aと、庇部51の設置箇所に対応しない第2部分32Bと、を含む。第1部分32A及び庇部51は、筒部32の周方向における位置が互いに一致している。第2部分32B及び庇部51は、筒部32の周方向における位置が互いに一致していない。本実施形態では、端面32bは、一対の第1部分32Aと、一対の第2部分32Bと、を含む。第1部分32Aは、筒部32の長辺部分の両端部を除く部分の端面である。第1部分32Aは、筒部32の周方向(Y軸方向)の一対の端部32Aaを有している。端部32Aaは、第1部分32Aにおける第2部分32Bとの境界部である。一方の第2部分32Bは、筒部32の一方の短辺部分と、一対の長辺部分のうち一方の短辺部分側の端部とからなるU字状の部分の端面である。他方の第2部分32Bは、筒部32の他方の短辺部分と、一対の長辺部分のうち他方の短辺部分側の端部とからなるU字状の部分の端面である。第1部分32A及び第2部分32Bは、筒部32(封止体40)の周方向で互いに隣り合っている。
【0054】
第1部分32Aに対応する外周面32aは、冷却用流路5aの入口(端部5b)及び出口(端部5c)が設けられた導電板5Aの側面と積層方向において隣り合う。つまり、導電板5は、冷却用流路5aの入口及び出口が第1部分32Aに対応するように配置されている。第1部分32Aに対応する外周面32aと、冷却用流路5aの入口及び出口が設けられた導電板5Aの側面とは、同じ方向(X軸方向)を向いている。
【0055】
庇部51は、外周面32aの積層方向の中央よりも上方に取り付けられ、下方に傾斜している。庇部51の積層方向の長さは、外周面32aの積層方向の長さよりも短い。庇部51は、積層方向において外周面32aの内側に配置されている。したがって、導電板5Aの冷却用流路5aの入口(端部5b)及び出口(端部5c)は、庇部51によって覆われない。これにより、冷却用流路5aに冷却用流体を円滑に流通させることができる。
【0056】
圧力調整弁52は、一方の第2部分32Bに対応する外周面32aに取り付けられている。圧力調整弁52は、外周面32aに設けられた注液口(不図示)に接続され、内部空間Vの圧力を調整する。本実施形態では、2つの圧力調整弁52が筒部32の一方の短辺部分の外周面32aに取り付けられている。
【0057】
シール部材Sは、積層方向で隣り合う蓄電モジュール3間において、互いに対向する封止体40の間の少なくとも一部に充填されている。シール部材Sは、積層方向で互いに隣り合う蓄電モジュール3間に2つずつ配置されている。シール部材Sは、積層方向で隣り合う蓄電モジュール3の筒部32間を封止する。シール部材Sは、少なくとも第2部分32Bの全体に設けられている。本実施形態では、シール部材Sは、第2部分32Bだけでなく、第1部分32Aの端部32Aaにも設けられている。シール部材Sは、第2部分32Bと接するとともに、第1部分32Aの端部32Aaとも接している。
【0058】
シール部材Sは、筒部32の周方向(短辺部分ではX軸方向、長辺部分ではY軸方向)に沿って延在している。シール部材Sは、筒部32の周方向の一対の端部Saを有している。端部Saは、端部32Aaと接するように設けられている。つまり、端部32Aaには、シール部材Sが設けられていると共に、端部32Aaに対応する外周面32aには、庇部51が設けられている。
【0059】
積層方向で隣り合う蓄電モジュール3では、筒部32の端面32b同士が互いに対向している。シール部材Sは、積層方向で対向する端面32bにより挟持され、圧縮されている。これにより、シール部材Sは、筒部32間を液密に封止している。シール部材Sは、端面32bと接するように設けられている。シール部材Sは、例えば、筒部32よりも軟らかく、液密性を有するスポンジシール部材(発泡シール部材)である。このため、シール部材Sは、筒部32によって容易に圧縮されて端面32bに密着し、封止性を発揮する。シール部材Sの構成材料としては、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等が挙げられる。シール部材Sは、例えば耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂によって形成されている。
【0060】
図5及び図6では、蓄電モジュール3が積層される前の状態が示されている。蓄電モジュール3が積層される際、シール部材Sは、例えば、図5及び図6に示されるように、予め筒部32の端面32b上に配置される。シール部材Sが配置された状態で蓄電モジュール3が順次積層されることにより、積層方向で互いに隣り合う蓄電モジュール3によってシール部材Sが挟持される。シール部材Sは、例えば、端面32bに接着されている。これにより、蓄電モジュール3の積層時及び積層後におけるシール部材Sの位置ずれが抑制される。
【0061】
以上説明したように、蓄電装置1では、積層方向で隣り合う蓄電モジュール3間において、互いに対向する封止体40の間の少なくとも一部にシール部材Sが充填されている。このため、蓄電モジュール3の内部空間Vから電解液が漏れて外周面32aに流れ出た場合でも、シール部材Sが充填された部分では、外周面32aを伝わる電解液の入り込みが抑制できる。よって、外周面32aを伝わる電解液を通じ、蓄電モジュール3間で短絡が生じることを抑制できる。また、シール部材Sが充填された部分では、電解液が外周面32aに流れ出ることが抑制される。これによっても、外周面32aを伝わる電解液を通じ、蓄電モジュール3間で短絡が生じることを抑制できる。なお、蓄電モジュール3の液漏れの原因として、例えば、アルカリクリープ現象、又は、集電箔45,44を含む電極板35の損傷等が考えられる。
【0062】
封止体40の端面32bは、外周面32aにおける庇部51の設置箇所に対応する第1部分32Aと、設置箇所に対応しない第2部分32Bと、を有する。シール部材Sは少なくとも第2部分32B上に設けられている。第1部分32Aでは、電解液が外周面32aに流れ出ても、電解液が庇部51を伝わって落ちるので、電解液の入り込みを抑制できる。第2部分32Bでは、シール部材Sが設けられているので、電解液の入り込みが抑制される。よって、外周面32aを伝わる電解液を通じ、蓄電モジュール3間で短絡が生じることを確実に抑制できる。また、第2部分32Bでは、電解液が外周面32aに流れ出ることが抑制される。電解液は、シール部材Sにより第1部分32A側に案内される。第1部分32A側から外周面32aに流れ出た電解液は、上述のように、庇部51を伝って落ちる。
【0063】
第1部分32A及び第2部分32Bは、封止体40の周方向で互いに隣り合っており、シール部材Sは、第1部分32Aにも設けられている。シール部材Sは、具体的には、第1部分32Aの端部32Aaにも設けられている。端部32Aaは、第1部分32Aにおける第2部分32Bとの境界部であるから、電解液が外周面32aにおける庇部51が設けられていない箇所から端部32Aaに至り易い。しかしながら、端部32Aaにはシール部材Sが設けられているので、電解液の入り込みが抑制できる。この結果、液漏れによる蓄電モジュール3間の短絡を更に抑制できる。また、端部32Aaから流れ出た電解液は、外周面32aにおける庇部51が設けられていない箇所に至り易い。しかしながら、端部32Aaにはシール部材Sが設けられているので、電解液が端部32Aaから外周面32aに流れ出て、第2部分32Bの外周面32aに至ることを抑制できる。
【0064】
導電板5Aには、冷却用流体を流通させる複数の冷却用流路5aが形成され、導電板5Aは、冷却用流路5aの入口(端部5b)及び出口(端部5c)が第1部分32Aと対応するように配置されている。第1部分32Aに対応する外周面32aには、庇部51が設けられ、庇部51により蓄電モジュール3間の短絡を抑制できる。よって、第1部分32Aには、シール部材Sを設ける必要がないので、冷却用流路5aの端部5b,5cがシール部材Sによって塞がれることが抑制される。
【0065】
圧力調整弁52は、一方の第2部分32Bに対応する外周面32aに取り付けられている。第2部分32Bに対応する外周面32aには庇部51が設けられていないので、圧力調整弁52を容易に取り付けることができる。一方の第2部分32Bに対応する外周面32aには、圧力調整弁52が取り付けられているので、庇部51を設けるスペースがない。シール部材Sによれば、このように、対応する外周面32aに庇部51を設けるスペースがない一方の第2部分32Bでも電解液の入り込みを抑制できるので、蓄電モジュール3間で短絡が生じることを抑制できる。本実施形態では、他方の第2部分32Bには圧力調整弁52が設けられていない。このため、例えば、他方の第2部分32Bの外周面32aに接するように他の部材(不図示)を配置することができる。
【0066】
シール部材Sは、筒部32の端面32bに接着されている。このため、シール部材Sの位置ずれが抑制される。
【0067】
以上、実施形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、他方の第2部分32Bに対応する外周面32aに庇部51が設けられていてもよい。シール部材Sは、端面32bのうち、第2封止部42と接するように配置されているが、第1封止部41と接するように配置されていてもよいし、第1封止部41及び第2封止部42の両方と接するように配置されていてもよい。庇部51は、積層方向に二列以上で並んで設けられ、それぞれ外周面32aから突出するとともに、筒部32の周方向に延在していてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…蓄電装置、3…蓄電モジュール、5,5A,5B…導電板、5a…冷却用流路、5b,5c…端部、31…電極積層体、31a…側面、31b…電極露出部、32…筒部、32a…外周面、32b…端面、32A…第1部分、32B…第2部分、33…セパレータ、34…バイポーラ電極、35…電極板、35a…一方面、35b…他方面、36…正極、37…負極、38…負極終端電極、39…正極終端電極、40…封止体、51…庇部、52…圧力調整弁、S…シール部材、V…内部空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7