(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ガス吸着装置、吸着ユニットを製造する方法、及びガス吸着装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240205BHJP
B01D 53/02 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/02 100
(21)【出願番号】P 2020013464
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 璃奈
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩之
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-058022(JP,U)
【文献】実開昭59-106525(JP,U)
【文献】特表平04-501229(JP,A)
【文献】特表2017-535416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12
B01D 53/14-53/18
B65D 35/00-35/42;35/56-37/00
B01J 20/00-20/28;20/30-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吸着装置であって、
ガス流路中に複数の吸着ユニットの集合体を備えており、
各吸着ユニットは、ガス分子を吸着する多孔質の吸着剤と、前記吸着剤を収容する通気性を有する容器とを備え、
前記容器は前記吸着剤の体積変化に追従できるよう
にマシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて構成され
ており、
前記容器は前記吸着ユニットの周囲に隙間を確保するための
単数または複数の面状の突出部を外面に備えており、前記複数の吸着ユニットはこの突出部が様々な向きを向いた状態で前記集合体を成しているガス吸着装置。
【請求項2】
ガス吸着装置であって、
ガス流路中に少なくとも一つの吸着ユニットを備えており、
各吸着ユニットは、ガス分子を吸着する多孔質の吸着剤と、前記吸着剤を収容する通気性を有する容器とを備え、
前記容器は前記吸着剤の体積変化に追従できるよう
にマシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて構成されており、
前記容器の少なくとも一部に蛇腹構造を備えるガス吸着装置。
【請求項3】
ガス吸着装置であって、
ガス流路中に少なくとも一つの吸着ユニットを備えており、
各吸着ユニットは、ガス分子を吸着する多孔質の吸着剤と、前記吸着剤を収容する通気性を有する容器とを備え、
前記容器は前記吸着剤の体積変化に追従できるよう
にマシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて構成されており、
前記吸着ユニットには前記容器の内部空間と区画
されて熱溶着により形成された貫通孔を備えるガス吸着装置。
【請求項4】
請求項3のガス吸着装置であって、さらに吸着層を備えており、前記吸着ユニットは前記吸着層に隣接して配置され、前記貫通孔がガス流の方向となるよう向けられるガス吸着装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれかのガス吸着装置であって、前記容器は前記吸着ユニットの周囲に隙間を確保するための
単数または複数の面状の突出部を外面に備えるガス吸着装置。
【請求項6】
請求項1または5のガス吸着装置であって、前記突出部は複数の面状の突出部であり、各突出部は互いに異なる向きに設けられるガス吸着装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかのガス吸着装置であって、前記容器の内部には使用環境下で前記吸着剤に生ずる体積膨張以上の空隙を有するガス吸着装置。
【請求項8】
ガス分子を吸着する多孔質の吸着剤と、前記吸着剤を収容する通気性を有する容器とを備え、前記容器が前記吸着剤の体積変化に追従できるよう構成されている吸着ユニットを製造する方法であって、
前記容器を、マシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて形成し、
一端が開口した長尺の袋に所定量の吸着剤を投入する工程と、前記吸着剤が封入されるように前記袋を
前記容器となるように封止して吸着ユニットを形成する工程と、前記吸着ユニットを切り離す工程とを備える方法。
【請求項9】
請求項1のガス吸着装置を製造する方法であって、
窪みが形成されるように
マシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて形成した第一のシートをセットする工程と、前記窪みに吸着剤を入れる工程と、前記第一のシートに
マシュマロゲルと布袋を除いて柔軟性を有する素材にて形成した第二のシートを重ねる工程と、前記吸着剤が封入されるように前記吸着剤の周囲で二つの前記シートを封止することで前記突出部を外面に有する前記吸着ユニットを形成する工程と、このようにして形成された複数の前記吸着ユニットを前記突出部が様々な向きを向いた状態で集合体としてガス流路中に配置する工程とを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で開示する技術は多孔質体を用いてガス分子を補足するガス吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔質の吸着剤を用いてガス分子を補足するガス吸着装置では、様々な方法により吸着剤をガス通路内の所定の領域に保持している。例えば、国際公開第2018/062504号に開示されている方法では、多孔質材料の一種であるMOF(Metal Organic Framework、金属有機構造体)/PCP(Porous Coordination Polymer、多孔性配位高分子)の粉末を適切な溶媒に分散させた状態でマシュマロゲルの中に導入し、乾燥により溶媒を除去することにより、MOF/PCPをマシュマロゲルに保持させている。特開2017-198884号公報には、電子写真方式の画像形成装置から発生するVOC(揮発性有機化合物)を補足するフィルターが開示されている。このフィルターでは、MOF/PCPを布袋に充填したり合成樹脂に混合させたりすることで保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/062504号パンフレット
【文献】特開2017-198884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2018/062504号の技術では、マシュマロゲルが高価であるうえ、MOF/PCPの導入に用いた溶媒をマシュマロゲルから除去するための乾燥工程が必要である。また、マシュマロゲルが何らかの液体に触れるとMOF/PCPが簡単にマシュマロゲルから排出されてしまう。特開2017-198884号公報のフィルターではMOF/PCPを布袋に充填したり合成樹脂の支持体に混合させたりすることで所定の位置に保持している。布袋に充填されるなどして流路に配置されたMOF/PCPがガス流路を遮るため、圧力損失が大きい。またガス吸着時に多孔質体が体積膨張すると布袋などの支持体が破損して多孔質体が漏れ出る虞がある。したがって、以上の問題点の少なくとも一つを解決することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願で開示する技術のひとつの態様はガス吸着装置であって、ガス流路中に少なくとも一つの吸着ユニットを備えており、各吸着ユニットは、ガス分子を吸着する多孔質の吸着剤と、前記吸着剤を収容する通気性を有する容器とを備え、前記容器は前記吸着剤の体積変化に追従できるよう構成される。実施形態によっては、前記容器の内部には使用環境下で前記吸着剤に生ずる体積膨張以上の空隙を有する。実施形態によっては、前記容器は柔軟性を有する素材から形成される。実施形態によっては、前記容器の少なくとも一部に蛇腹構造を備える。これにより例えば吸着剤が体積変化しても容器が破損しないなどの効果が得られる。
【0006】
実施形態によっては、前記容器は前記吸着ユニットの周囲に隙間を確保するための突出部を外面に備える。実施形態によっては、前記突出部は複数の面状の突出部であり、各突出部は互いに異なる向きに設けられる。これにより容器同士が密集しすぎず、ガス流の圧力損失が過大にならない。
【0007】
実施形態によっては、前記吸着ユニットには前記容器の内部空間と区画された貫通孔を備える。実施形態によっては、前記ガス吸着装置はさらに吸着層を備えており、前記吸着ユニットは前記吸着層に隣接して配置され、前記貫通孔がガス流の方向となるよう向けられる。これによれば吸着層の仕切る仕切り部材として使用でき、装置の吸着性能を上げることができる。また貫通孔を適切に設計することでガスの流れ制御や通気抵抗の調整が可能である。
【0008】
実施形態によっては、前記吸着ユニットは、一端が開口した長尺の袋に所定量の吸着剤を投入する工程と、前記吸着剤が封入されるように前記袋を封止して吸着ユニットを形成する工程と、前記吸着ユニットを切り離す工程とで形成される。また実施形態によっては、前記吸着ユニットは、窪みが形成されるように第一のシートをセットする工程と、前記窪みに吸着剤を入れる工程と、前記第一のシートに第二のシートを重ねる工程と、前記吸着剤が封入されるように前記吸着剤の周囲で二つの前記シートを封止する工程とで形成される。これらの方法により吸着ユニットを簡便に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一つの実施形態としての吸着ユニットを示す断面図である。
【
図2】
図1の吸着ユニットを使用した一つの実施形態としてのガス吸着装置の断面図である。
【
図3】吸着ユニットの突出部の作用を説明する図である。
【
図4】
図1の吸着ユニットの吸着剤が体積膨張することにより膨らんだ容器を示す断面図である。
【
図5】吸着ユニットの製造に用いることのできる穴あきプレートを示す斜視図である。
【
図6】穴あきプレートにセットされた第一のシートの窪みに吸着剤を入れる工程を示す断面図である。
【
図7】二つのシートを吸着剤の周囲で熱溶着する工程を示す断面図である。
【
図8】個々の吸着ユニットを切り離す工程を示す断面図である。
【
図9】細長い吸着ユニットを製造する際に用いることのできる溝付きプレートを示す斜視図である。
【
図10】異なる向きに形成した面状の突出部を有する吸着ユニットを示す斜視図である。
【
図11】十字形の面状の突出部を有する吸着ユニットを示す斜視図である。
【
図12】吸着ユニットを製造する別の方法を説明する図である。
【
図13】別の実施形態として蛇腹構造を有する容器を用いた吸着ユニットを示す断面図である。
【
図14】別の実施形態として貫通孔を有する吸着ユニットを示す断面図である。
【
図15】
図14の吸着ユニットのXV-XV線における断面図である。
【
図16】
図14の吸着ユニットを使用した一つの実施形態としてのガス吸着装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願で開示する技術の各種実施形態について図面を参照しながら説明する。なお以下の実施形態のうち実質的な差異がない部分については類似の符号を付して説明の繰り返しを避ける。
【0011】
図1はひとつの実施形態としてガス吸着装置に用いることのできる吸着ユニット10を、
図2はそのような吸着ユニット10を多数用いたガス吸着装置12を示す。ガス吸着装置12はケーシング内に通されたガスから所望のガス分子を補足する。ガス吸着装置としては、例えば、自動車の燃料タンクから発生する燃料蒸気を大気中に放出されないように吸着するチャコールキャニスタやベーパーコレクターが挙げられる。ガスの流れ方向を反転させることで吸着と脱離を切り替えることも可能である。ガス吸着装置12は少なくとも一つの吸着ユニット10を備え、各吸着ユニット10は、多孔質の吸着剤14(多孔質体)と、この吸着剤14を収容する容器16とを有する。
【0012】
多孔質の吸着剤14は、例えば、MOF/PCP、COF(Covalent Organic Framework、共有結合有機性構造体)、活性炭、ゼオライト、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、あるいはこれらの組み合わせのいずれかとすることができる。当業者であれば、ガス吸着装置の用途に応じて適切な多孔質材料を選択できる。吸着剤14は特に、ガス分子を吸脱着するたびに体積変化したり、吸脱着の繰り返しにより経時的に体積変化したりするような物質を選択することもできる。MOF/PCPは例えば、Cu(bpy)2(BF4)2(bpy=4,4'-ビピリジン)(通称ELM-11)や、Fe(OH)(BDC)(BDC=1,4-ベンゼンジカルボキシレート)(通称MIL-53(Fe))を選択できる。この例はいずれもガス分子の吸着により体積が増加し、脱離により体積が減少するものである。吸着剤14は粉末の形態とすることができる。
【0013】
図示しないが、容器16の中には、多孔質の吸着剤14の他に、吸着の際に多孔質の吸着剤14から発生する熱を吸収させるための蓄熱剤を入れることもできる。
【0014】
図1、
図4に示すように、容器16は通気性を有し、吸着剤14の体積変化に追従できるよう構成される。例えば弾性素材など柔軟性のある素材から容器16を形成できる。このようにすると吸着剤14が体積膨張しても容器16が破損しない。容器16の内部には、使用環境下で吸着剤14に生ずる体積膨張量以上の空隙を有することが好ましい。また、容器16に蓄熱剤が入っている場合、容器16の収縮により蓄熱剤と多孔質の吸着剤14との間の接触面積を増加させることで伝熱効率が高まる。容器16は例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(ナイロン等)などの合成樹脂やセルロースなどのポリマーからなる、不織布、ネット、フィルム、膜などの素材により形成することができる。容器16を構成するこれら不織布などの素材は網目状に多数の穴(空隙)を有する。この穴は、吸着したいガス分子(キャニスタ用であれば例えばブタン以上の炭化水素)が容器16内の吸着剤14と接触できるよう、そのガス分子のサイズよりも大きいものとする。また穴は、容器16内の吸着剤14が容器16の外に漏れ出ないよう、体積が増加する前の吸着剤14のサイズよりも小さいものとする。当業者であれば、ガス吸着装置の用途に応じて以上に述べた条件を満たす適切な素材を選択できる。
【0015】
図13に示すように、別の実施形態として、吸着ユニット310の容器316の少なくとも一部に蛇腹構造18を設けることもできる。このようにすると吸着剤14が体積膨張しても容器316が伸長するため破損しない。
【0016】
図1に示すように、吸着ユニット10の容器16には、周囲に隙間を確保するための突出部20を外面に設けることができる。
図3から分かるように、この突出部20が存在することにより、吸着ユニット10同士や吸着ユニット10と周囲の物体とが密着することに対する障害となる。したがって、ガスの圧力損失を低減して吸着効率を高めることができる。
図10に示すように、別の実施形態として、吸着ユニット110に複数の面状の突出部120を互いに異なる向きに設けることもできる。
図11に示すように、さらに別の実施形態として、吸着ユニット210に十字形の面状の突出部220を設けることもできる。以上の突出部20、120、220は、下で説明するように、容器16を封止する際に形成される溶着部で構成することもできる。
【0017】
〔吸着ユニットの製造〕
以上に説明した吸着ユニット10は、以下に説明する方法により簡便に製造できる。
図6~
図8に示すように、一つの実施形態として、まず、
図5にあるような複数の穴24(または凹部)を有するプレート22などの台に、例えば樹脂製の不織布からなる第一のシート26をセットする。次に、プレート22の穴24の箇所に生じたシート26の窪み32に所定量の吸着剤14を入れる(
図6)。吸着剤14は複数のノズル28から各窪み32に同時に入れることもできる。次に、第一のシート26に同様の不織布からなる第二のシート30を重ね、各穴24の周囲で二つのシート26、30を互いに熱溶着することにより容器16を形成し、吸着剤14を封止する(
図7)。溶着部34でシート26、30を切断して個々の吸着ユニット10を切り離す(
図8)。切断後の溶着部34が前述の
図1~
図4に示したように容器16の外周を取り巻く一続きの面状の突出部20となる。図示しないが、別の実施形態として、上記の穴24を有するプレート22に代えて穴のない台を用い、窪みに頼ることなく吸着剤14を第一のシート26の所定位置に乗せることも可能である。
図9に示すように、さらに別の実施形態として、溝36を有するプレート122を用いてノズルを動かしながら吸着剤14を乗せることで、細長い吸着ユニット10(図示しない)を製造することも可能である。
【0018】
図12に示すように、別の実施形態として、まず、一方の端が開口した長尺の袋38に所定量の吸着剤14を投入する。次に、この投入された吸着剤14の上端で袋38を熱溶着することにより閉じた容器16を形成し、吸着剤14を中に封止する。この工程を繰り返すことにより、溶着部34で区画された複数の吸着ユニット110を形成する。最後に、溶着部で袋38を(破線で示すように)切断して個々の吸着ユニット110を切り離す。この場合も溶着部34が前述した容器16の外面の突出部120となる。隣合う溶着部34を異なる向きに溶着すれば、前述の
図10に示したような異なる向きの面状の突出部120が形成される。また、3つ以上の熱板を押し当てることによって熱溶着すれば、例えば
図11に示したような十字形状の突出部220を形成することも可能である。
【0019】
図示しないが、さらに別の実施形態として、熱溶着以外の溶着方法や接着剤を使用して容器16を封止することも可能である。
【0020】
〔貫通孔〕
図14、
図15に示すように、吸着ユニット410には容器416の内部空間と区画された貫通孔40を少なくとも一つ設けることができる。これにより貫通孔40の数、寸法、形状を適切に設計することで通気抵抗や圧力損失を容易に調整できる。貫通孔40は上述の容器16の封止と同じく熱溶着により形成することができる。
【0021】
〔吸着ユニットの使用〕
以上に説明した吸着ユニット10、110、210、310、410は、ガス通路42に設けられるガス吸着装置12のケーシング44内に様々な態様で用いることができる。
図2に示すように、一つの実施形態として、ガス吸着装置12の吸着ユニット10は、ケーシング44内に集合体として配置することができる(図では一部の吸着ユニットのみを描いている)。白抜きの矢印は吸着動作の際のガスの流れ方向を表す。吸着ユニット10の集合体は例えば両側からウレタンシート46、48で挟むことによって流出を防止し、さらに両側から押さえ部材50、52で挟むことによって保持される。押さえ部材50、52は、例えば、ガスの流れを妨げないように大きな空隙を有する樹脂製部材(プレートと呼ばれる)である。吸着ユニット10の集合体を挟む押さえ部材50、52は、ケーシング44内において、例えば、一方の側ではケーシング44の内面から突き出すリブ54によって支持され、反対側では圧縮ばね56を用いて変位を許容しつつ弾性的に支持される。吸着剤14が直接集合状態で吸着層として配置されている場合と比べると、吸着剤14が多数の吸着ユニット10として小分けされていることにより吸着ユニット10同士にさらなる隙間が生じる。したがって、ガスの圧力損失を低減して吸脱着の効率を高めることができる。
【0022】
図16に示すように、別の実施形態として、上述のような貫通孔40を有する吸着ユニット410は、ガス吸着装置412のケーシング44内に別途配置される本来の吸着層58の仕切り部材や押さえ部材として使用することができる。例えば、上述の
図2のガス吸着装置12にあるような押さえ部材50、52(の一方または両方)の代替として用いることができる。ガス吸着装置412の吸着層58は、例えば顆粒状の活性炭60の集合体からなる(図では一部の活性炭粒子のみを描いている)。吸着ユニット410はケーシング44の内径とほぼ同じ大きさの径を有する円盤状に形成し、吸着層に隣接して配置される。これによれば、このように吸着剤14を含有した仕切り部材や押さえ部材でもガス分子を吸着でき、ガス吸着装置412の吸着性能を増すことができる。また吸着ユニット410の貫通孔40は、ケーシング44内のガスの流れを制御する働きをする。当業者であれば、貫通孔40の数、寸法、形状を適切に設計することで所望の流れ制御を実現できる。例えば貫通孔40は、吸着ユニット410がケーシング44内に配置されたときにガス流の方向を向くように形成される。また、貫通孔40の存在により吸着ユニット410の表面積が増加するため、吸脱着の効率が向上する。
【0023】
以上、具体的な実施形態を説明したが、本願で開示する技術はこれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば技術の目的を逸脱することなく様々な置換、改良、変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 吸着ユニット
12 ガス吸着装置
14 吸着剤
16 容器
18 蛇腹構造
20 突出部
22 プレート
24 穴
26 第1のシート
28 ノズル
30 第2のシート
32 窪み
34 溶着部
36 溝
38 袋
40 貫通孔
42 ガス通路
44 ケーシング
46、48 ウレタンシート
50、52 押さえ部材
54 リブ
56 圧縮ばね
58 吸着層
60 活性炭