(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】蓄電池システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240205BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20240205BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H02J7/00 Z
H01M50/20
H02J7/00 U
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60R16/04 Z
(21)【出願番号】P 2020028348
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】江藤 玲央
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-045671(JP,A)
【文献】特開2008-293752(JP,A)
【文献】特開2012-085491(JP,A)
【文献】特開2013-112160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 50/20
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数の電池パックを備える蓄電池システムであって、
各々の前記電池パックに設けられた複数のアース取出部と、
各々の前記電池パックにおいて、複数の前記アース取出部のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する検出部と、
少なくとも各々の前記電池パックに設けられ、前記検出部で検出された前記接続パター
ンを記憶する記憶部と、
前記電池パックの前記車両への再搭載時に前記検出部によって新たに検出された前記接続パターン、及び前記記憶部に
記憶されている前記接続パターンと、を比較する演算部と、を備える、蓄電池システム。
【請求項2】
車両に搭載された複数の電池パックを備える蓄電池システムであって、
各々の前記電池パックに設けられた複数のアース取出部と、
各々の前記電池パックにおいて、複数の前記アース取出部のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する検出部と、
少なくとも各々の前記電池パックに設けられ、前記検出部で検出された前記接続パターンに関する情報を記憶する記憶部と、
前記電池パックの前記車両への再搭載時に前記検出部によって新たに検出された前記接続パターン、及び前記記憶部に記憶された前記情報に基づいて、前記電池パックの搭載位置を識別する演算部と、を備え、
前記記憶部は、前記検出部で検出された前記接続パターンに対応する前記搭載位置を記憶し、
前記演算部は、前記再搭載時に前記検出部によって新たに検出された前記接続パターンを、前記記憶部で記憶された前記情報と照会することで、
前記再搭載時における前記電池パックの前記搭載位置を識別する
、蓄電池システム。
【請求項3】
複数の前記アース取出部は、前記アースと接続可能な接続部材を各々有し、
前記検出部は、
各々の前記接続部材と接続される複数の端子と、
複数の前記端子の前記アースとの接続状態を判定することによって、前記接続パターンを検出する判定部と、を有する、請求項1
又は2に記載の蓄電池システム。
【請求項4】
前記接続部材は、前記電池パックの筐体から外側へ突出するボルトによって構成され、
前記筐体には、前記接続部材の周りに、絶縁膜から金属材料が露出した露出部が形成され、
前記アース取出部及び前記端子は、前記ボルトに締結したナットでアースケーブルに設けられたアース端子を前記露出部に押圧することで、前記アースと接続される、
請求項3に記載の蓄電池システム。
【請求項5】
複数の前記アース取出部の何れかは、規制部材によって前記アースとの接続が規制されている、
請求項1~4の何れか一項に記載の蓄電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池システムとして、車両に搭載された複数の電池パックを有するものが記載されている。複数の電池パックには、それぞれ固有の識別情報が付与されている。また、それぞれの電池パックの搭載位置は、予め付与された固有の識別情報毎に記憶されている。これにより、識別情報に基づいて、各電池パックの搭載位置が認識可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の蓄電池システムでは、複数の電池パックに対して固有の識別情報を個々に付与しなくてはならない上、搭載位置も個別に設定して、管理する必要があった。そのため、制御や情報管理などが複雑になるという問題があった。従って、複数の電池パックを車両に搭載する場合に、各々の電池パックの搭載位置の識別を簡便に行うことが求められる。
【0005】
本発明は、複数の電池パックを車両に搭載する場合に、各々の電池パックの搭載位置の識別を簡便に行うことができる蓄電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄電池システムは、車両に搭載された複数の電池パックを備える蓄電池システムであって、各々の電池パックに設けられた複数のアース取出部と、各々の電池パックにおいて、複数のアース取出部のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する検出部と、少なくとも各々の前記電池パックに設けられ、検出部で検出された接続パターンに関する情報を記憶する記憶部と、電池パックの車両への再搭載時に検出部によって新たに検出された接続パターン、及び記憶部に記憶された情報に基づいて、電池パックの搭載位置を識別する演算部と、を備える。
【0007】
本発明に係る蓄電池システムでは、検出部は、各々の電池パックにおいて、複数のアース取出部のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する。また、記憶部は、検出部で検出された接続パターンに関する情報を記憶しておくことができる。そして、演算部は、電池パックの車両への再搭載時に検出部によって新たに検出された接続パターン、及び記憶部に記憶された情報に基づいて、電池パックの搭載位置を識別することができる。このような構成によれば、演算部は、識別信号などを用いなくとも、複数のアース取出部のアースとの接続パターンという、物理的な構造を用いて電池パックの状態を識別することができる。また、演算部は、複雑な演算やデータ管理などを行う必要性を低減し、新たに検出された接続パターン、及び記憶部に記憶された情報を用いるようなシンプルな処理にて、電池パックの搭載位置を識別することができる。以上より、複数の電池パックを車両に搭載する場合に、各々の電池パックの搭載位置の識別を簡便に行うことができる。
【0008】
記憶部は、検出部で検出された接続パターンを記憶し、演算部は、再搭載時に検出部によって新たに検出された接続パターンと、記憶部に記憶されている接続パターンと、を比較することで、電池パックの搭載位置を識別してよい。この場合、前回の搭載時の接続パターンと、再搭載時の接続パターンが異なる場合、演算部は、再搭載時における電池パックの搭載場所が、前回のものと異なっていることを識別することができる。
【0009】
記憶部は、検出部で検出された接続パターンに対応する搭載位置を記憶し、演算部は、再搭載時に検出部によって新たに検出された接続パターンを、記憶部で記憶された情報と照会することで、電池パックの搭載位置を識別する。この場合、特定の電池パックに対して特定の接続パターンでアースが接続されるようにしておくと、接続パターンを電池パックの搭載位置と紐付け可能な識別情報として取り扱うことが可能となる。従って、前回の搭載時の搭載位置と接続パターンを紐付けて記憶部に記憶させておくことで、演算部は、再搭載時に、検出した接続パターンを記憶部の情報と照会することで、当該接続パターンに対応する電池パックの前回の搭載位置を記憶部から読み出すことができる。これにより、演算部は、再搭載時における電池パックの搭載場所が、前回のものと異なっていることを識別することができる。
【0010】
複数のアース取出部は、アースと接続可能な接続部材を各々有し、検出部は、各々の接続部材と接続される複数の端子と、複数の端子のアースとの接続状態を判定することによって、接続パターンを検出する判定部と、を有してよい。この場合、既存の電池パックに対して、端子を追加する共に、既存の電池パックECUに上記判定部として機能するプログラムを追加するだけで、検出部を構成することができる。
【0011】
接続部材は、電池パックの筐体から外側へ突出するボルトによって構成され、筐体には、接続部材の周りに、絶縁膜から金属材料が露出した露出部が形成され、アース取出部及び端子は、ボルトに締結したナットでアースケーブルに設けられたアース端子を露出部に押圧することで、アースと接続されてよい。これにより、ナットをボルトに締結するだけで、容易にアース取出部をアースと接続し、検出部が当該アースとの接続を検出できる。
【0012】
複数のアース取出部の何れかは、規制部材によってアースとの接続が規制されていてよい。この場合、特定の接続パターンを特定の電池パックの識別情報として用いる場合に、作業者が、誤って異なる接続パターンとすることを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の電池パックを車両に搭載する場合に、各々の電池パックの搭載位置の識別を簡便に行うことができる蓄電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る蓄電池システムのブロック構成を示すブロック構成図である。
【
図3】アース取出部周辺の各種部品の展開断面図である。
【
図4】アース取出部周辺の各種部品の断面図であって、(a)はアース取出部がアースと接続された状態を示し、(b)はアース取出部がアースと接続されていない状態を示す。
【
図5】第1の運用において、車両の所定の搭載位置に、初めて電池パックが搭載されたときにおける接地判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】第1の運用において、一度電池パックが車両から取り外され、再び車両の所定位置へ電池パックを再配置するときにおける接地判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【
図7】第1の運用における、各電池パックの搭載位置の一例を示す図である。
【
図8】第2の運用において、車両の所定の搭載位置に、初めて電池パックが搭載されたときにおける接地判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【
図9】第2の運用において、一度電池パックが車両から取り外され、再び車両の所定位置へ電池パックを再配置するときにおける接地判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
【
図10】第2の運用における、各電池パックの搭載位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電池システム100のブロック構成を示すブロック構成図である。蓄電池システム100は、車両110に搭載された複数の電池パック1と、車両用ECU2と、を備えて構成される。複数の電池パック1は、車両110内の所定の位置に設置される。また、複数の電池パック1は、各々、車両110の搭載位置から着脱可能である。すなわち、一度車両110の所定の搭載位置に電池パック1を配置しても、当該電池パック1を取り外して、再搭載することができる。
【0017】
まず、
図2を参照して、一つあたりの電池パック1の構成について説明する。
図2は、電池パック1の展開斜視図である。
図2に示すように、電池パック1は、電池パック筐体3(筐体)と、電池セル4と、複数のアース取出部6と、接地判定装置7と、複数の接地判定用端子8(端子、検出部)と、を備える。
【0018】
電池パック筐体3は、電池セル4等の各種構成部品を収容する箱状の部材である。電池パック筐体3は、ここでは扁平な直方体状の形状を有している。電池パック筐体3は、各種構成部品を収容した後に、蓋体3aを閉じることで、内部空間を閉じることができる。電池セル4は、電力を蓄電すると共に電力を車両110に供給する機器である。
【0019】
複数のアース取出部6は、電池パック筐体3をアースと接続するためのアースの取り出し口である。本実施形態では、電池パック筐体3の長手方向の一方の端壁部3bに三つのアース取出部6が設けられている。複数のアース取出部6は、アースと接続可能なアース取出ボルト10(接続部材)を各々有する。アース取出ボルト10は、電池パック筐体3から外側へ突出する。また、電池パック筐体3には、アース取出ボルト10の周りに、絶縁膜から金属材料が露出した露出部11が形成される。
【0020】
接地判定装置7及び複数の接地判定用端子8は、各々の電池パック1において、複数のアース取出部6のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する検出部20として機能する。接地判定装置7は、電池パック1に内蔵されたECUによって構成される。接地判定装置7の詳細なブロック構成は後述する。接地判定用端子8は、アース取出ボルト10と接続される。また、接地判定用端子8は、接地判定装置接続線12(検出部)を介して各々接地判定装置7と接続される。接地判定装置7は、複数の接地判定用端子8のアースとの接続状態を判定することによって、接続パターンを検出する判定部31(検出部)を備えている(
図1参照)。
【0021】
次に、
図3及び
図4を参照して、一つあたりのアース取出部6周辺の構成について、詳細に説明する。
図3は、アース取出部6周辺の各種部品の展開断面図である。
図4は、アース取出部6周辺の各種部品の断面図であって、(a)はアース取出部6がアースと接続された状態を示し、(b)はアース取出部6がアースと接続されていない状態を示す。
図3及び
図4に示すように、アース取出ボルト10は、電池パック筐体3の端壁部3bを内部空間から外部へ向かうように突出している。具体的に、アース取出ボルト10の頭部10aは、電池パック筐体3の内部空間側に配置され、軸部10bが端壁部3bの貫通孔を介して外部まで延びている。接地判定用端子8は、電池パック筐体3の内部空間において、軸部10bを挿通させた状態でアース取出ボルト10に取り付けられる。接地判定用端子8は、頭部10aと端壁部3bに挟まれた状態で固定される(
図4参照)。なお、頭部10a、接地判定用端子8、及び端壁部3bは、固定剤19で固定される。
【0022】
露出部11は、端壁部3bの外部側において、アース取出ボルト10の軸部10bの周りに形成される。露出部11は、絶縁膜13から金属材料14が露出した部分である。絶縁膜13は、電池パック筐体3の全体を塗装することによって形成される塗料の膜である。金属材料14は、電池パック筐体3の母材となる材料であり、導電性を有する材料である。
【0023】
アース取出部6及び接地判定用端子8は、アース取出ボルト10に締結したアースナット16(ナット)でアースケーブル17に設けられたアース端子18を露出部11に押圧することで、アースと接続される。アースケーブル17の先端には、アース端子18が設けられている。アース端子18は、軸部10bを挿通させた状態でアース取出ボルト10に取り付けられる。アース端子18は、アースナット16と端壁部3bに挟まれた状態で固定される(
図4(a)参照)。ここで、端壁部3bは、アース端子18の押圧位置に、上述の露出部11を有する。これにより、アース端子18と金属材料14とは、露出部11を介して電気的に接続される。なお、図面においては、絶縁膜13の厚みが強調されているが、絶縁膜13の厚みは、アース端子18と露出部11が接触する程度の厚みに設定されている。
【0024】
以上のように、
図4(a)に示すように、アース取出部6がアースに接続された状態では、電池パック筐体3の金属材料14、アース端子18、アースケーブル17、アースナット16、アース取出ボルト10、接地判定用端子8、及び接地判定装置接続線12は、互いに電気的に接続された状態となり、アースに接続された状態となる。これにより、図中の破線の矢印で示されるような接地回路が形成される。その一方、
図4(b)に示すように、アースナット16、アース端子18がアース取出ボルト10に取り付けられていない場合、接地回路が形成されない。
【0025】
図1に戻り、上述の電池パック1の構成を踏まえて、蓄電池システム100のブロック構成について説明する。
図1に示すように、各々の電池パック1の接地判定装置7は、判定部31と、記憶部32と、演算部33と、異常検知部34と、を備える。
【0026】
判定部31は、検出部20の一部を構成するものであり、複数の接地判定用端子8のアースとの接続状態を判定することによって、接続パターンを検出する。ここで、接地パターンとは、複数のアース取出部6のアースとの接続状態を示しており、複数のアース取出部6のうちの、どのアース取出部6がアースと接続され、どのアース取出部6がアースと接続されていないかを示すパターンである。例えば、
図7に示す「電池パック1A」では、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと接続、アース取出部6C=アースと非接続」という接続パターンとなる。接地判定装置7は、電池パック1内の電源と電気的に接続されている。従って、判定部31は、例えば、電気抵抗値を測定するなどにより、複数の接地判定用端子8のどれがアースに接続されているかを判定することができる。なお、判定部31が、どの接地判定用端子8がアースと接続されているかを判定する方法は特に限定されず、あらゆる方法が採用されてよい。
【0027】
記憶部32は、各種情報を記憶するものである。記憶部32は、検出部20で検出された接続パターンに関する情報を記憶する。ここで、「接続パターンに関する情報」とは、接地パターンに関係する情報全般を示す意味であり、接地パターンそのものを示す情報、及び接地パターンと対応関係を有する情報などを含む。具体的に、記憶部32は、検出部20で検出された接続パターンを記憶する。また、記憶部32は、検出部20で検出された接続パターンに対応する搭載位置を記憶する。記憶部32は、ある接続パターンが検出されたら、当該接続パターンを有する電池パック1が、車両110内のどの搭載位置に搭載されているかを取得する。そして、記憶部32は、接続パターンと搭載位置とを互いに紐づけて記憶する。例えば、
図7(a)では、記憶部32は、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと接続、アース取出部6C=アースと非接続」という接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG1」という搭載位置を紐付けて記憶する。
【0028】
演算部33は、電池パック1の車両110への再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターン、及び記憶部32に記憶された情報に基づいて、電池パック1の搭載位置を識別する。なお、演算部33の具体的な機能については、後述の運用の例を説明する際に説明する。
【0029】
異常検知部34は、演算部33の演算結果に基づき、再搭載時の電池パック1の搭載位置が、前回搭載時の電池パック1と異なっている場合に、異常を検出する。
【0030】
車両用ECU[Electronic Control Unit]2は、車両110の制御のために設けられたECUである。車両用ECU2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。車両用ECU2では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。車両用ECU2は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。車両用ECU2の一部も、蓄電池システム100の制御に用いられてよい。具体的に、車両用ECU2は、管理部41と、出力制御部42と、を備える。管理部41は、複数の電池パック1の搭載位置を一括で管理することができる。このとき、管理部41は、複数の電池パック1における接続パターンと搭載位置とを紐付けた状態で管理してよい。また、管理部41は、各搭載位置において、どの電池パック1が載置されたかの履歴を残してもよい。
【0031】
出力制御部42は、出力部43を制御して、ユーザに対してどのような情報を出力するかを調整することができる。例えば、出力制御部42は、異常検知部34によって異常検知が行われた場合、ユーザに対して電池パック1の搭載位置が誤っているため正しい搭載位置に置きなおすように注意喚起してもよく、搭載位置が異なっていることだけをユーザに伝えてもよい。なお、出力部43は、画像によって情報を出力するモニタ、音声によって情報を出力するスピーカなどによって構成されてよい。
【0032】
次に、
図5~
図10を参照して、蓄電池システム100の具体的な運用の一例について説明する。
【0033】
(第1の運用)
図5~
図7は、第1の運用の例について示す図である。
図5は、第1の運用において、車両110の所定の搭載位置に、初めて電池パック1が搭載されたときにおける接地判定装置7の処理内容を示すフローチャートである。なお、再搭載のタイミングにおいても、
図5の処理は実行される。
図6は、第1の運用において、一度電池パック1が車両110から取り外され、再び車両110の所定位置へ電池パック1を再配置するときにおける接地判定装置7の処理内容を示すフローチャートである。
図7は、第1の運用における、各電池パック1の搭載位置の一例を示す図である。第1の運用では、それぞれの電池パック1において、複数のアース取出部6の接続パターンとして、固有のものが予め決められている。この場合、各電池パック1において予め決められた接続パターンにて接続されるように、複数のアース取出部6の何れかは、規制部材50によってアースとの接続が規制されてよい(
図7参照)。規制部材50は、アース取出ボルト10を覆うキャップ、板材、テープなどによって構成される。第1の運用では、演算部33は、再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターンを、記憶部32で記憶された情報と照会することで、電池パック1の搭載位置を識別する。
【0034】
図5に示すように、初回の電池パック1の搭載時には、検出部20が、接続パターンを検出する(ステップS100)。次に、記憶部32は、ステップS100で検出された接続パターンを記憶する(ステップS110)。次に、演算部33は、初回の電池パック1の搭載位置を取得すると共に、接続パターンと搭載位置とを紐付ける(ステップS120)。なお、演算部33が搭載位置を取得する方法は特に限定されず、作業者の情報入力によって取得されてもよく、電池パック1を搭載位置に搭載したときに、自動的に搭載位置が検出されるような機構を設けてもよい。次に、記憶部32は、接続パターンと紐付けられた搭載位置を記憶する(ステップS130)。ステップS130が終了すると、
図5に示す処理が終了する。
図5に示す処理は、搭載される全ての電池パック1に対して行われる。なお、各電池パック1の記憶部32は、車両用ECU2の管理部41へ記憶した情報を送信してよい。また、管理部41は、各電池パック1からの情報を取得して集約してよい。管理部41は、複数の接続パターンと、それらに紐付けられた搭載位置の情報を、各々の電池パック1の記憶部32へ送信してよい。
【0035】
例えば、電池パック1A~1Cが、
図7(a)に示すような位置に搭載された場合、電池パック1Aの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと接続、アース取出部6C=アースと非接続」という接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG1」を紐付けて記憶する。また、電池パック1Bの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと非接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」という接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG2」を紐付けて記憶する。また、電池パック1Cの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」という接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG3」を紐付けて記憶する。
【0036】
例えばメンテナンスなどにより、一部の、又は全部の電池パック1が車両110から取り外され、再び車両110に再搭載される場合、
図6に示す処理が実行される。
図6に示すように、検出部20は、再搭載時における現在の接続パターンを検出する(ステップS200)。このとき、規制部材50が設けられているため、作業者は、各電池パック1に対して定められた接続パターンにてアースを接続する。すなわち、同じ電池パック1に対し、初回の搭載時と再搭載時では、同様の接続パターンにてアース接続が行われる。次に、演算部33は、ステップS200で取得した新たに検出された接続パターンを、記憶部32で記憶された情報と照会することで、当該新たな接続パターンと対応する搭載位置を取得する(ステップS210)。なお、記憶部32が、管理部41から他の電池パック1の接続パターンに対応する搭載位置の情報を取得している場合、記憶部32は、記憶されている全ての接続パターンの中から、ステップS210で取得した接続パターンに対応する情報を選択する。次に、演算部33は、電池パック1の現在の搭載位置を取得する(ステップS220)。次に、演算部33は、ステップS210で取得された記憶部32の搭載位置と、ステップS220で取得された現在の搭載位置とが、同一であるか否かを判定する(ステップS230)。ステップS230において搭載位置が同一であると判定された場合、演算部33は、電池パック1が前回と同様の搭載位置に搭載されたものと判断し、
図6に示す処理が終了する。一方、ステップS230において、搭載地位が同一でないと判定された場合、演算部33は、電池パック1が前回とは異なる搭載位置に搭載されたと判断し、異常検知部34が異常検知を行う(ステップS240)。異常検知が行われた場合は、予め設定された報知などの処理がなされる。ステップS240の処理が終了したら、
図6に示す処理が終了する。
【0037】
例えば、ステップS210の処理では、電池パック1Aの演算部33は、電池パック1Aの接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG1」という情報を記憶部32から取得する。電池パック1Bの演算部33は、電池パック1Bの接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG2」という情報を記憶部32から取得する。電池パック1Cの演算部33は、電池パック1Cの接続パターンに対して、「搭載位置=搭載位置PG3」という情報を記憶部32から取得する(
図7(a)参照)。これに対し、再搭載時に、電池パック1A~1Cが、
図7(b)に示すような位置に搭載された場合、電池パック1Aの演算部33は、電池パック1Aの現在の搭載位置として「搭載位置PG3」を取得する。電池パック1Bの演算部33は、電池パック1Bの現在の搭載位置として「搭載位置PG2」を取得する。電池パック1Cの演算部33は、電池パック1Cの現在の搭載位置として「搭載位置PG1」を取得する。従って、ステップS230では、電池パック1Aの演算部33は、電池パック1Aについて、記憶部32の搭載位置PG1と現在の搭載位置PG3とで同一となっていないことを判定できる。電池パック1Bの演算部33は、電池パック1Bについて、記憶部32の搭載位置PG2と現在の搭載位置PG2とで同一となっていることを判定できる。電池パック1Cの演算部33は、電池パック1Cについて、記憶部32の搭載位置PG3と現在の搭載位置PG1とで同一となっていないことを判定できる。
【0038】
なお、複数の電池パック1の中には、互いに接続パターンが同一となるものが存在してもよい。この場合、記憶部32には、一つの接続パターンに対して、例えば二つの搭載位置が紐付けられた状態で存在するため、演算部33は、現在の搭載位置が、記憶部32の二つの搭載位置の何れかに該当すれば、ステップS230において「YES」と判定する。しかし、同一の接続パターンを有する電池パック1同士を離れた位置に配置したり、メンテナンスのタイミングをずらしておくことで、作業者が搭載位置を混同することは抑制できる。例えば、
図7に示す例では、一つの電池パック1に対して三つのアース取出部6が設けられているため、合計7パターンの接続パターンが存在するが、7個よりも多い電池パック1を搭載する場合は、同じ接続パターンを用いる必要が生じる。
【0039】
(第2の運用)
図8~
図10は、第2の運用の例について示す図である。
図8は、第2の運用において、車両110の所定の搭載位置に、初めて電池パック1が搭載されたときにおける接地判定装置7の処理内容を示すフローチャートである。なお、再搭載の時にも
図8の処理は実行される。
図9は、第2の運用において、一度電池パック1が車両110から取り外され、再び車両110の所定位置へ電池パック1を再配置するときにおける接地判定装置7の処理内容を示すフローチャートである。
図10は、第2の運用における、各電池パック1の搭載位置の一例を示す図である。第2の運用では、搭載位置ごとにアース取出部6に対する接続パターンを個別に設定することで、各電池パック1の接続パターンによって搭載位置を識別することができる。例えば、各搭載位置において、アースケーブル17及びアース端子18の位置及び個数を、定められた接続パターンでしか接続できないような構成としてよい。あるいは、電池パック1を搭載位置に搭載したら、対応するアース端子18にアース取出ボルト10が自動的に挿入されるような機構を設けてもよい。第2の運用では、再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターンと、記憶部32に記憶されている接続パターンと、を比較することで、電池パック1の搭載位置を識別する。
【0040】
図8に示すように、初回の電池パック1の搭載時には、検出部20が、接続パターンを検出する(ステップS300)。次に、記憶部32は、ステップS300で検出された接続パターンを記憶する(ステップS310)。ステップS310の処理が終了すると、
図8に示す処理が終了する。
図8に示す処理は、搭載される全ての電池パック1に対して行われる。
【0041】
例えば、電池パック1A~1Cが、
図10(a)に示すような位置に搭載された場合、電池パック1Aの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと接続、アース取出部6C=アースと非接続」という接続パターンを記憶する。また、電池パック1Bの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと非接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」という接続パターンを記憶する。また、電池パック1Cの記憶部32は、「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」という接続パターンを記憶する。
【0042】
例えばメンテナンスなどにより、一部の、又は全部の電池パック1が車両110から取り外され、再び車両110に再搭載される場合、
図9に示す処理が実行される。
図9に示すように、検出部20は、再搭載時における現在の接続パターンを検出する(ステップS400)。このとき、車両110の各搭載位置では定められた接続パターンでの接続がなされるように構成されているため、作業者は、各電池パック1に対して搭載位置にて定められた接続パターンにてアースを接続する。すなわち、同じ搭載位置において、初回の搭載時と再搭載時では、同様の接続パターンにてアース接続が行われる。次に、演算部33は、記憶部32に記憶された接続パターンを取得すると共に、当該記憶部32の接続パターンと、ステップS400で取得された現在の接続パターンとが、同一であるか否かを判定する(ステップS410)。ステップS410において接続パターンが同一であると判定された場合、演算部33は、電池パック1が前回と同様の搭載位置に搭載されたものと判断し、
図9に示す処理が終了する。一方、ステップS410において、搭載地位が同一でないと判定された場合、演算部33は、電池パック1が前回とは異なる搭載位置に搭載されたと判断し、異常検知部34が異常検知を行う(ステップS420)。異常検知が行われた場合は、予め設定された報知などの処理がなされる。ステップS420の処理が終了したら、
図9に示す処理が終了する。
【0043】
例えば、ステップS410の処理では、電池パック1A~1Cの演算部33は、
図10(a)に示す接続パターンを各々の記憶部32から取得する。これに対し、再搭載時に、電池パック1A~1Cが、
図10(b)に示すような位置に搭載された場合、電池パック1Aの演算部33は、電池パック1Aの現在の接続パターンとして「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」を取得する。電池パック1Bの演算部33は、電池パック1Bの現在の接続パターンとして「アース取出部6A=アースと非接続、アース取出部6B=アースと非接続、アース取出部6C=アースと接続」を取得する。電池パック1Cの演算部33は、電池パック1Cの現在の接続パターンとして「アース取出部6A=アースと接続、アース取出部6B=アースと接続、アース取出部6C=アースと非接続」を取得する。従って、ステップS410では、電池パック1Aの演算部33は、電池パック1Aについて、記憶部32の接続パターンと現在の接続パターンとで同一となっていないことを判定できる。電池パック1Bの演算部33は、電池パック1Bについて、記憶部32の接続パターンと現在の接続パターンとで同一となっていることを判定できる。電池パック1Cの演算部33は、電池パック1Cについて、記憶部32の接続パターンと現在の接続パターンとで同一となっていないことを判定できる。
【0044】
次に、本実施形態に係る蓄電池システム100の作用・効果について説明する。
【0045】
従来、電気自動車では、専用の単一の電池パックを搭載することが一般的である。これに対し、大型車両のように多くのエネルギーを必要とする車両は、複数の電池パックを搭載する必要がある。ここで、車両の搭載位置には、温度のばらつきが起きるため、十分な性能を確保するには、電池パックの搭載位置の管理が必要となる。ここで、メンテナンスのために複数の電池パックを車両から取り外した場合、各電池パックの外観が同じであるため、電池パックを車両に再搭載する時に、元の搭載位置とは異なる搭載位置に誤って搭載してしまう可能性がある。従って、電池パックの搭載位置を識別することが必要となる。
【0046】
これに対し、各々の電池パックの中のECUに従属関係を持たせるなどして識別を行う技術があるが、このような方法は、一つ一つの電池パックを特注で製造することになるため、コストが高くなるという問題が生じる。また、電池パック内部にECUを設置し、それぞれの個体番号によって識別を行う方法が存在する。しかし、当該方法を採用したとしても外観上は各電池パックは同一形状であるため、誤った搭載位置に取り付けてしまった場合は、現物に個体番号を刻印し、目視で確認を行わなくては、識別することができない。このような場合は、作業者の手違いにより、識別を誤る可能性があり、十分な対応をとれない場合がある。
【0047】
これに対し、本実施形態に係る蓄電池システム100では、検出部20は、各々の電池パック1において、複数のアース取出部6のアースとの接続状態を示す接続パターンを検出する。また、記憶部32は、少なくとも各々の電池パック1に設けられ、検出部20で検出された接続パターンに関する情報を記憶しておくことができる。そして、演算部33は、電池パック1の車両110への再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターン、及び記憶部32に記憶された情報に基づいて、電池パック1の搭載位置を識別することができる。このような構成によれば、演算部33は、識別信号などを用いなくとも、複数のアース取出部6のアースとの接続パターンという、物理的な構造を用いて電池パック1の状態を識別することができる。また、演算部33は、複雑な演算やデータ管理などを行う必要性を低減し、新たに検出された接続パターン、及び記憶部32に記憶された情報を用いるようなシンプルな処理にて、電池パック1の搭載位置を識別することができる。以上より、複数の電池パック1を車両110に搭載する場合に、各々の電池パック1の搭載位置の識別を簡便に行うことができる。
【0048】
前述の第2の運用で説明したように、記憶部32は、検出部20で検出された接続パターンを記憶し、演算部33は、再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターンと、記憶部32に記憶されている接続パターンと、を比較することで、電池パック1の搭載位置を識別してよい。この場合、前回の搭載時の接続パターンと、再搭載時の接続パターンが異なる場合、演算部33は、再搭載時における電池パック1の搭載場所が、前回のものと異なっていることを識別することができる。このように、接続パターンの違いによって搭載位置を識別することには次のようなメリットがある。例えば、個々の電池パックに識別番号を刻印して、作業者がそれを確認するような運用の場合、作業者の見間違いなどが生じ、十分な運用が行えない可能性がある。これに対し、第2の運用では、作業者は、特定の搭載位置に電池パックを設置して、アース接続という必要な作業を行えば、作業者が特段の確認作業などをする必要無く、演算部33が自動的に搭載位置の識別を行ってくれる。なお、当該効果は第1の運用においても得られる。また、第1の運用は、個々の電池パック1に対して特有のパターンで規制部材50を設ける必要が生じるが、第2の運用では個々の電池パック1に対する特有の処理が不要になる。
【0049】
前述の第1の運用で説明したように、記憶部32は、検出部20で検出された接続パターンに対応する搭載位置を記憶し、演算部33は、再搭載時に検出部20によって新たに検出された接続パターンを、記憶部32で記憶された情報と照会することで、電池パック1の搭載位置を識別する。この場合、
図7に示すように、特定の電池パック1に対して特定の接続パターンでアースが接続されるようにしておくと、接続パターンを電池パック1の搭載位置と紐付け可能な識別情報として取り扱うことが可能となる。従って、前回の搭載時の搭載位置と接続パターンを紐付けて記憶部32に記憶させておくことで、演算部33は、再搭載時に、検出した接続パターンを記憶部32の情報と照会することで、当該接続パターンに対応する電池パック1の前回の搭載位置を記憶部32から読み出すことができる。これにより、演算部33は、再搭載時における電池パック1の搭載場所が、前回のものと異なっていることを識別することができる。このように、接続パターンと搭載位置を紐付けることで搭載位置を識別することには次のようなメリットがある。例えば、個々の電池パック1に対して識別番号をECUに設定し、識別情報と搭載位置とを紐付けて運用する場合、製造時やメンテナンス時に、個々の電池パック1に対して個別に特殊なデータ処理を行う必要が生じ、運用上の手間が大きくなる。これに対し、第1の運用では、特殊なデータ処理などを行わなくとも、電池パック1のアース取出部6にキャップなどの規制部材50を取り付けるだけの、非常にシンプルな作業で済む。また、特定の電池パック1の接続パターンを変更したい場合は、データの書き換えなどを行わなくとも、規制部材50を付け替えるだけの簡単な作業で変更可能である。また、第2の運用の場合、車両110の搭載位置側に、特定の接続パターンとなるような機構が必要になる場合がある一方、第1の運用では、電池パック1側の特有の処理が必要になる反面、車両110の搭載位置側には特定の機構が不要となる。また、本運用によれば、搭載時に確認を取らずとも、設計時の情報だけで、確実に電池パック1の搭載位置を判別することが可能となる。これにより、搭載時に、直接確認をする必要性を無くすことができる。なお、仮に接続パターンと紐付けずに搭載位置だけを記憶部32に記憶させて運用しようとした場合、電池パック1は個体としてはどれも同じであるため、記憶された搭載位置にどの電池パック1を搭載すればよいか判別することができない。これに対し、第1の運用では、搭載位置を判別するために接続パターンを電池パック1ごとに分けているため、どの電池パック1をどこの搭載位置に搭載すればよいかを容易に判別可能になる。また、電池パック1を別の車型に搭載する場合もありえるが、その場合に、接続パターンと搭載位置とが異なる場合がある。当該状況においては、接続パターン及び搭載位置を紐付けて記憶部32に記憶させておくことが、大きな情報管理上のメリットを得ることができる。
【0050】
複数のアース取出部6は、アースと接続可能なアース取出ボルト10を各々有し、検出部20は、各々のアース取出ボルト10と接続される複数の接地判定用端子8と、複数の接地判定用端子8のアースとの接続状態を判定することによって、接続パターンを検出する判定部31と、を有してよい。この場合、既存の電池パック1に対して、接地判定用端子8を追加する共に、既存の電池パックECUに上記判定部31として機能するプログラムを追加するだけで、検出部20を構成することができる。
【0051】
アース取出ボルト10は、電池パック1の電池パック筐体3から外側へ突出するアース取出ボルト10によって構成され、電池パック筐体3には、アース取出ボルト10の周りに、絶縁膜13から金属材料が露出した露出部11が形成され、アース取出部6及び接地判定用端子8は、アース取出ボルト10に締結したアースナット16でアースケーブル17に設けられたアース端子18を露出部11に押圧することで、アースと接続されてよい。これにより、アースナット16をアース取出ボルト10に締結するだけで、容易にアース取出部6をアースと接続し、検出部20が当該アースとの接続を検出できる。
【0052】
複数のアース取出部6の何れかは、規制部材50によってアースとの接続が規制されていてよい。この場合、特定の接続パターンを特定の電池パック1の識別情報として用いる場合に、作業者が、誤って異なる接続パターンとすることを抑制できる。
【0053】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、第1の運用及び第2の運用の各々の特徴を理解し易くするために、
図5,6のフローチャート、及び
図8,9のフローチャートでは、個々の運用に特有の処理だけを例示したが、一方の運用に、他方の運用の処理内容を追加してもよい。例えば、第1の運用の
図6のフローチャートの中でも、第2の運用のステップS410(
図9参照)の判定を行ってもよい。
【0055】
車両用ECU2は、各電池パック1の接地判定装置7の一部の処理を代わりに行ってもよい。なお、演算部33の一部又は全部の機能は、個々の電池パック1の接地判定装置に代えて、車両用ECU2に設けられてもよい。しかし、演算部33を車両側に設ける場合、電池パック1を他の車両へとリユースする場合などに、新たな車両側にも同様な演算部33を設ける必要がある。それに対し、個々の電池パック1が演算部33を有しておけば、新たな車両側に特別な処理装置を設けなくとも、各電池パック1を簡単にリユースすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…電池パック、3…電池パック筐体(筐体)、6…アース取出部、8…接地判定用端子(端子)、10…アース取出ボルト(ボルト)、11…露出部、13…絶縁膜、16…アースナット(ナット)、17…アースケーブル、18…アース端子、20…検出部、31…判定部、32…記憶部、33…演算部、50…規制部材、100…蓄電池システム、110…車両。