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特許7430548車両用ドアの開閉制御装置、車両システム
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  • 特許-車両用ドアの開閉制御装置、車両システム 図1
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  • 特許-車両用ドアの開閉制御装置、車両システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】車両用ドアの開閉制御装置、車両システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20240205BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240205BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240205BHJP
   B60R 25/40 20130101ALI20240205BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240205BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20240205BHJP
【FI】
E05F15/73
B60J5/04 C
B60J5/06 A
B60R25/40
E05B49/00 K
E05F15/655
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020041886
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021143500
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幹雄
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160761(JP,A)
【文献】特開昭62-248779(JP,A)
【文献】特開2019-90162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0110172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 49/00
E05B 77/00-85/28
B60J 5/04- 5/08
B60R 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下部に設置されるセンサと、
前記車両に備わった電源から電力供給を受けて動作し、前記センサの信号に基づいてユーザの所定挙動が検出されたときに、前記車両に備わった自動式ドアを開状態へ制御するための信号を出力するコントロールユニットと、
を含み、
前記コントロールユニットは、前記車両の電源よりも蓄電量の小さい内部電源を備えており、前記車両から取得する当該車両の停止を示す信号に基づいて、前記車両が停止したときには前記車両の電源からの電力受給を停止して前記内部電源から電力受給を行って前記センサによる検出動作を継続させ、前記内部電源からの電力供給が途絶えたときに当該検出動作を停止させる、
車両用自動式ドアの制御装置。
【請求項2】
前記コントロールユニットは、前記車両に備わったドアの解錠を示す信号、前記車両にスマートキーが接近したことを示す信号、前記コントロールユニットの全体動作を停止させるスイッチがオン状態にされたことを示す信号の少なくとも1つが入力されたときに、前記センサの前記検出動作を再開させる、
請求項に記載の車両用自動式ドアの制御装置。
【請求項3】
前記コントロールユニットは、前記車両に備わったドアの解錠を示す信号と前記車両にスマートキーが接近したことを示す信号の2つが同時期に入力されたときに、前記センサの前記検出動作を再開させる、
請求項に記載の車両用自動式ドアの制御装置。
【請求項4】
前記所定挙動は、前記センサの検出範囲に前記ユーザの体の一部を配置することである、
請求項1~の何れか1項に記載の車両用自動式ドアの制御装置。
【請求項5】
前記自動式ドアが自動式スライドドアである、
請求項1~の何れか1項に記載の車両用自動式ドアの制御装置。
【請求項6】
請求項1~の何れか1項に記載の車両用自動式ドアの制御装置と、当該制御装置と接続される自動式ドアを備える車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの所定挙動を検知して車両用ドアの自動的な開閉を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの所定挙動(例えば車両の下側に足を配置すること)を検知して、車両用ドアの自動的な開閉を制御する装置が知られている(例えば、特開2018-105119号公報参照)。
【0003】
ところで、上記のような車両用ドアの開閉制御装置では、通常、車両の待機中にはユーザの所定挙動を検知するためのセンサを常に動作させている。このため、例えば長期間車両を使わなかったような場合に待機時間が長くなると、いわゆるバッテリー上がりを引き起こす場合がある。このような不都合に対して、従来は、待機時間が長くなる場合には開閉制御装置のスイッチをオフにして動作を停止させることをユーザに推奨するといった対策が取られているが、これはユーザの注意力に頼る形になるのであまり好ましい対策ではない。
【0004】
なお、待機状態において検知物が比較的長い時間(例えば5分間)検知され続けた場合には、異常状態とみなして開閉制御装置の動作を停止させるという技術も知られている。しかし、この技術は、例えば偶然車両の下側に縁石が存在した場合などを想定したものであり、通常時にはほとんど起こりえない。このため、バッテリー上がりに対する有効な対策とはなり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-105119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明に係る具体的態様は、ユーザの所定挙動を検知して車両用ドアの自動的な開閉を制御する車両用ドアの開閉制御装置を用いる際のバッテリー上がりを防止することを可能とする技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の車両用自動式ドアの制御装置は、(a)車両の下部に設置されるセンサと、(b)前記車両に備わった電源から電力供給を受けて動作し、前記センサの信号に基づいてユーザの所定挙動が検出されたときに、前記車両に備わった自動式ドアを開状態へ制御するための信号を出力するコントロールユニットと、を含み、(c)前記コントロールユニットは、前記車両の電源よりも蓄電量の小さい内部電源を備えており、前記車両から取得する当該車両の停止を示す信号に基づいて、前記車両が停止したときには前記車両の電源からの電力受給を停止して前記内部電源から電力受給を行って前記センサによる検出動作を継続させ、前記内部電源からの電力供給が途絶えたときに当該検出動作を停止させる、車両用自動式ドアの制御装置である。
【0008】
上記構成によれば、ユーザの所定挙動を検知して車両用ドアの自動的な開閉を制御する車両用ドアの開閉制御装置を用いる際のバッテリー上がりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムの構成を示す図である。
図2図2は、車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3図3は、変形例の車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、一実施形態の車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムの構成を示す図である。本実施形態の制御装置100は、車両に備わった自動式ドア10を開状態へ制御するための信号を生成して当該自動式ドア10へ供給するためのものであり、センサ1、コントロールユニット2、メインスイッチ3を含んで構成されている。また、自動式ドア10は、例えば車両の後部座席に対応して車両の片側ないし両側に設置され、モータ等の駆動力によって開閉する自動式スライドドアである。
【0011】
センサ1は、車両の下部において、例えば自動式ドア10の下方に対応する位置に設置されており、車両の下部における一定範囲内の物体の有無を検出する。このセンサ1としては、例えば赤外発光素子と赤外受光素子を備えた赤外線センサ、超音波センサなどを用いることができる。センサ1における赤外発光素子は、コントロールユニット2により、所定周期で発光するように制御することができる。
【0012】
コントロールユニット2は、センサ1と接続されているとともに、車両に備わった電源15とメインスイッチ3を介して接続されている。また、コントロールユニット2は、車両に備わった自動式ドア10、車両用メインECU11のそれぞれと接続されている。また、コントロールユニット2は、車両のイグニッション電圧、パーキングブレーキ信号の各々を取得可能に車両の各部と接続されている。このコントロールユニット2は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムを用いて構成されており、所定の動作プログラムを実行することで各種処理を実現する。具体的には、コントロールユニット2は、電源15から電力供給を受けて動作し、センサ1の信号に基づいてユーザの所定挙動が検出されたときに、車両に備わった自動式ドア10を開状態へ制御するための信号(ドアSW信号)を自動式ドア10へ出力する。ここで、本実施形態ではユーザの所定挙動として、センサ1から一定範囲内において一定時間、ユーザの足(体の一部)が配置されることを想定する。
【0013】
上記のコントロールユニット2は、例えばプログラムの実行により実現されるタイマを備えており、車両から取得するイグニッション(IG)電圧に基づいて、IG電圧がOFF(相対的に低い電圧)となってから所定期間が経過したときに、センサ1への電力供給を停止する。IG電圧は、車両のIG電圧ラインから取得できる。コントロールユニット2は、コントロールユニット2内のCPUに内蔵されたセンサ1への電流供給スイッチをOFFとすることによってセンサ1への電力供給を停止することにより検出動作を停止させる。ここでいう所定期間は、車両の電源15のいわゆるバッテリー上がりを防止し得る期間として適宜設定することができ、例えば72時間と設定することができる。
【0014】
また、上記のコントロールユニット2は、車両に備わったドアの解錠を示す信号、車両にスマートキーが接近したことを示す信号、コントロールユニット2の全体動作を停止させるものであるメインスイッチ3がオン状態にされたことを示す信号の少なくとも1つが入力されたときに、センサ1による検出動作を再開させる。ドアの解錠を示す信号は、車両側メインECU11を介してロック/アンロックユニット12から取得することができる。車両にスマートキー14が接近したことを示す信号は、車両側メインECU11を介してスマートキーユニット13から取得することができる。
【0015】
なお、車両用メインECU11とは、車両に設置されてドアの施錠/解錠やスマートキー14に関する処理などを行うためのコントローラである。ロック/アンロックユニット12とは、車両のドアの施錠/解錠を制御するユニットである。スマートキーユニット13とは、ユーザの携帯するスマートキー14との間で無線通信を行い、スマートキー14が接近したことを検出し、さらにスマートキー14が操作された際にはその操作内容を車両側メインECU11へ伝達し、ドアの施錠/解錠を行わせるためのものである。
【0016】
図2は、車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。1段目に電源15の電圧が示されている。ここでは常時12Vの電圧が供給されているものとする。2段目にIG電圧(IG信号)が示されている。「ON」が車両動作中、「OFF」が車両停止中に対応している。3段目にコントロールユニット2の動作状態が示されている。「作動」はコントロールユニット2全体が作動していることを示し、「SLEEP(スリープ)」はセンサ1による検出動作が停止されていることを示し、「OFF」はコントロールユニット2全体の作動が停止していることを示している。
【0017】
また図2において、4段目にセンサ1における赤外発光素子の出力状態が示されている。「ON」は、赤外発光素子からの出力がある状態、「OFF」は、赤外発光素子からの出力がない状態を示している。5段目に、センサ1の検知状態が示されている。「ON」は、物体を検知し得る状態を示し、「OFF」は、物体を検知し得ない状態である、本実施形態では「OFF」は、センサ1自体への電力供給がなされていない状態を示す。つまり、センサ1が検知可能な状態である間において、赤外発光素子は所定周期で出力されている。6段目にドアSW信号が示されている。「ON」は自動式ドア10を開状態へ制御するための信号が出力されている状態を示し、「OFF」は開状態へ制御するための信号が出力されていない状態を示している。7段目に自動式ドア10の動作状態が示されている。「ON」は自動式ドア10が開状態へ動作している状態を示し、「OFF」は自動式ドア10が開状態へ動作していない状態を示している。8段目にドアの解錠/施錠を示す信号(ドアロック信号)が示されている。「LOCK(ロック)」はドアが施錠されている状態を示し、「UNLOCK(アンロック)」はドアが解錠されている状態を示している。9段目にスマートキーユニット13とスマートキー14の間の通信状態が示されている。「ON」はスマートキー14が車両の近隣に存在してスマートキーユニット13との間で通信可能な状態を示し、「OFF」はスマートキー14が車両の近隣に存在せずスマートキーユニット13との間で通信可能ではない状態を示している。10段目にメインスイッチ3の開閉状態が示されている。「ON」はスイッチ閉状態を示し、「OFF」はスイッチ開状態を示している。11段目に車両から取得されるパーキングブレーキ(Pブレーキ)信号が示されている。「ON」はパーキングブレーキが作動中、「OFF」はパーキングブレーキが開放中であることを示している。
【0018】
通常動作として、センサ1の信号に基づいてコントロールユニット2により所定挙動が検出されると、ドアSW信号が「ON」となり、それに応じて自動式ドア10が開状態へ動作する。このとき、IG電圧が「ON」、かつPブレーキ信号が「OFF」である場合には、コントロールユニット2は、センサ1の信号が物体ありを示す場合であってもドアSW信号を「ON」にはしない。車両が走行中と想定されるからである。他方、IG電圧が「OFF」である場合には、Pブレーキ信号が「OFF」であってもコントロールユニット2は、センサ1の信号が物体ありを示す場合にはドアSW信号を「ON」にする。車両が停止中と想定されるからである。なお、通常動作においてコントロールユニット2は、上記した条件のほか、ドアロック信号や、スマートキーユニット13とスマートキー14の間の通信状態を考慮してドアSW信号の制御を行ってもよい。
【0019】
また、コントロールユニット2は、IG電圧に基づいて「OFF(車両停止中)」が一定時間(例えば72時間)を経過した際には、センサ1による検出動作を停止させた状態である「SLEEP」に移行する。すなわち、コントロールユニット2内のCPUに内蔵されたセンサ1への電流供給スイッチをOFFにする。このようなコントロールユニット2のタイマ機能により、電源15からの電力消費が抑えられる。
【0020】
また、コントロールユニット2は、「SLEEP」に移行した後に、ドアロック信号が「UNLOCK(アンロック)」となった場合、スマートキー14が車両の近隣に存在してスマートキーユニット13との間で通信可能な状態となった場合、メインスイッチ3の開閉状態が「OFF」となった後に「ON」となった場合の少なくとも1つが得られたときに「作動」に復帰する。
【0021】
なお、このとき、ドアロック信号が「UNLOCK(アンロック)」となったことと、スマートキー14が車両の近隣に存在してスマートキーユニット13との間で通信可能な状態となったことの2つの条件が同時期(例えば数秒の期間内)に得られたときに、コントロールユニット2が「作動」に復帰するようにしてもよい。それにより、スマートキーの特性を利用した車両盗難である「リレーアタック」を防止する効果が高まる。
【0022】
以上のような実施形態によれば、ユーザの所定挙動を検知して車両用ドアの自動的な開閉を制御する車両用ドアの開閉制御装置を用いる際のバッテリー上がりを防止することが可能となる。具体的には、車両停止から一定期間が経過するとタイマ機能によりコントロールユニット2が「SLEEP」となるので、電力消費が低減する。また、コントロールユニット2の「SLEEP」から「作動」への復帰についても、ユーザによる操作を必ずしも要せずに行うことができるので、ユーザに手間をかけることがない。
【0023】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態では、車両の停止を示す信号としてイグニッション(IG)電圧を用いていたが、車両の停止を判断でき得るものであれば、車両から得られる他の信号を用いてもよい。
【0024】
図3は、変形例の車両用自動式ドアの制御装置を含む車両システムの構成を示す図である。この制御装置100に備わったコントロールユニット2aは、内部に内蔵電源4を備えている。それ以外の点は図1に示した実施形態と同様である。この内蔵電源4は、車両の電源15よりは蓄電量の小さいものであり、車両の作動時には電源15からの電力供給を受けて充電され、車両の停止時にはコントロールユニット2aに電力供給を行う。それにより、コントロールユニット2aは、車両が停止したときには電源15からの電力受給を停止して内蔵電源4から電力受給を行うことができるので、電源15の負担を低減することができる。また、この変形例のコントロールユニット2aでは、上記した実施形態のようにIG電圧を用いたタイマ機能を設定せずとも、内蔵電源4を消費しつくして電力供給が途絶えた際には、再び電源15からの電力受給を行いつつ「SLEEP」へ移行させることができる。
【符号の説明】
【0025】
1:センサ、2、2a:コントロールユニット、3:メインスイッチ、10:自動式ドア、11:車両側メインECU、12:ロック/アンロックユニット、13:スマートキーユニット、14:スマートキー
図1
図2
図3