(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240205BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20240205BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20240205BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
E02F9/00 D
F01N3/022 Z
F01N3/023 K
F01N3/00 F
(21)【出願番号】P 2020044947
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】柳下 和也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信隆
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-075211(JP,A)
【文献】特開2018-159368(JP,A)
【文献】国際公開第2008/136203(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/004805(WO,A1)
【文献】特開2017-194032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F01N 3/00- 3/38
F01N 9/00-11/00
B60K 11/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に対して旋回可能に前記下部走行体の鉛直上側に連結される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載されるエンジンと、
前記上部旋回体に搭載され、前記エンジンからの排気ガスを後処理して、大気に排気する後処理装置であって、前記排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集して、前記粒子状物質を前記排気ガスから除去する処理を少なくとも行う後処理装置と、
前記エンジンと前記後処理装置との間を接続する排気管と、
前記粒子状物質を除去する前記処理の前後の差圧を検知する差圧センサであって、前記排気管との間に前記後処理装置を挟んだ状態で配置される差圧センサと、
隙間が間に形成される状態で前記後処理装置が前記鉛直上側に設置される台座と、
前記粒子状物質を除去する前記処理が行われる前の圧力を前記差圧センサに導く第1の導圧管と、
前記粒子状物質を除去する前記処理が行われた後の圧力を前記差圧センサに導く第2の導圧管と、
を具備
し、
前記第1の導圧管は、前記後処理装置と前記台座との間の前記隙間を通って延設される、建設機械。
【請求項2】
前記第1の導圧管は、前記差圧センサと前記排気管との間を接続し、前記粒子状物質を除去する前記処理が行われる前の前記圧力を前記排気管から前記差圧センサに導く、
請求項1の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械として油圧ショベルが開示されている。この油圧ショベルでは、上部旋回体のエンジンルームに、エンジン及び後処理装置が搭載される。そして、後処理装置によって、エンジンからの排気ガスの無害化処理等の後処理が行われ、後処理された排気ガスが大気に排気される。エンジンと後処理装置との間は、排気管を介して接続される。
【0003】
前記特許文献1の後処理装置には、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF:diesel particulate filter)が設けられる。そして、後処理装置は、ディーゼル微粒子捕集フィルタによって、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM:particulate matter)を捕集し、粒子状物質を排気ガスから除去する処理を、後処理の1つとして行う。また、油圧ショベルには、粒子状物質を除去する処理の前後の差圧を検知する差圧センサが、設けられる。差圧センサでの検知結果に基づいて、ディーゼル微粒子捕集フィルタにおける目詰まりが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のような建設機械のエンジンルームでは、エンジンでの発熱によって、エンジン及び排気管等が高温になる。このため、エンジンで発生する熱の差圧センサへの影響が低減されることが、求められている。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、粒子状物質を除去する処理の前後の差圧を検知する差圧センサが設けられる構成において、エンジンで発生する熱の差圧センサへの影響が低減される建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能に前記下部走行体の鉛直上側に連結される上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載されるエンジンと、前記上部旋回体に搭載され、前記エンジンからの排気ガスを後処理して、大気に排気する後処理装置であって、前記排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集して、前記粒子状物質を前記排気ガスから除去する処理を少なくとも行う後処理装置と、前記エンジンと前記後処理装置との間を接続する排気管と、前記粒子状物質を除去する前記処理の前後の差圧を検知する差圧センサであって、前記排気管との間に前記後処理装置を挟んだ状態で配置される差圧センサと、隙間が間に形成される状態で前記後処理装置が前記鉛直上側に設置される台座と、前記粒子状物質を除去する前記処理が行われる前の圧力を前記差圧センサに導く第1の導圧管と、前記粒子状物質を除去する前記処理が行われた後の圧力を前記差圧センサに導く第2の導圧管と、を備え、前記第1の導圧管は、前記後処理装置と前記台座との間の前記隙間を通って延設される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粒子状物質を除去する処理の前後の差圧を検知する差圧センサが設けられる構成において、エンジンで発生する熱の差圧センサへの影響が低減される建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る油圧ショベルを示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの上部旋回体において、エンジンルーム及びその近傍の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る油圧ショベルのエンジンルームにおいて、エンジン及び後処理装置、及び、これらの近傍の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置、排気管及び台座、及び、これらの近傍の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置及び差圧センサ、及び、これらの近傍の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置及び差圧センサ、及び、これらの近傍の構成を、
図5とは異なる方向から視た状態で示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置及び差圧センサ、及び、これらの近傍を、第1の水平方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置及び差圧センサ、及び、これらの近傍を、第2の水平方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る油圧ショベルにおいて、後処理装置と台座との間の隙間の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、建設機械の一例として、第1の実施形態に係る油圧ショベル1を示す。
図1に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2及び上部旋回体3を備える。上部旋回体3は、下部走行体2の鉛直上側に連結される。上部旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2に示す方向)に平行又は略平行な旋回軸を中心として、下部走行体2に対して旋回可能である。
【0012】
上部旋回体3では、鉛直方向に交差する(垂直又は略垂直な)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。
図1では、紙面に対して垂直又は略垂直な方向が、上部旋回体3の幅方向(左右方向)と一致又は略一致する。また、下部走行体2でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。
図1では、下部走行体2の前後方向が上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致する状態、すなわち、下部走行体2の前方側が上部旋回体3の前方側(矢印X1側)と一致又は略一致する状態で、油圧ショベル1を示す。また、
図1では、下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれを、幅方向の一方側、すなわち、左方側から視た状態で示す。
【0013】
上部旋回体3には、作業装置5が連結される。作業装置5は、下部走行体2に対して、上部旋回体3と一緒に旋回する。作業装置5は、ブーム6、アーム7及びバケット8を備える。ブーム6の基端部は、上部旋回体3に回動可能に取付けられる。ブーム6が上部旋回体3に対して回動することにより、ブーム6は、上部旋回体3に対して起状動作又は伏状動作する。アーム7の基端部は、ブーム6の先端部に回動可能に取付けられる。アーム7がブーム6に対して回動することにより、アーム7は、ブーム6に対して起状動作又は伏状動作する。バケット8は、アタッチメントの1種であり、アーム7の先端部に取外し可能に取付けられる。ブーム6、アーム7及びバケット8を作動することにより、油圧ショベル1では、バケット8によって土砂等が掘削される。
【0014】
上部旋回体3は、旋回テーブル11及び運転室12を備える。運転室12は、旋回テーブル11上に設置される。運転室12は、上部旋回体3の幅方向について、作業装置5に対して並んで配置される。運転室12では、作業者によって油圧ショベル1の操作等が行われる。また、上部旋回体3では、運転室12に対して後方側に、エンジンルーム13が形成される。
【0015】
図2は、上部旋回体3においてエンジンルーム13及びその近傍の構成を示す。
図2は、鉛直上側から視た状態を示し、
図2では、矢印Y1及び矢印Y2で示す方向が、上部旋回体3の幅方向となる。
図2に示すように、エンジンルーム13には、エンジン15及び後処理装置16が配置される。すなわち、エンジン15及び後処理装置16は、上部旋回体3において運転室12より後方側の領域に、搭載される。エンジン15及び後処理装置16は、旋回テーブル11上に配置される。また、
図2の一例では、後処理装置16は、エンジン15に対して、上部旋回体3の幅方向の一方側(左方側)に並んで配置される。
【0016】
後処理装置16は、エンジン15からの排気ガスの無害化処理等の後処理を行う。例えば、後処理装置16は、排気ガスに含まれる窒素酸化物及び粒子状物質等に対して処理を行う。そして、排気ガスは、後処理装置16によって後処理が行われた後に、大気に排気される。また、エンジンルーム13では、エンジン15と後処理装置16との間は、排気管17を介して接続される。したがって、エンジン15からの排気ガスは、排気管17の内部を通して、後処理装置16へ排出される。本実施形態では、後処理装置16に、図示しないディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF:diesel particulate filter)が設けられる。そして、後処理装置は、ディーゼル微粒子捕集フィルタによって、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM:particulate matter)を捕集し、粒子状物質を排気ガスから除去する処理を、後処理の1つとして行う。
【0017】
図3は、エンジンルーム13において、エンジン15及び後処理装置16、及び、これらの近傍の構成を示す。
図3に示すように、エンジンルーム13では、旋回テーブル11にエンジンフレーム21が取付けられる。そして、エンジンフレーム21上に、エンジン15が、エンジンマウント22を間に介して、設置される。また、エンジンルーム13では、エンジンフレーム21とは別の位置で、旋回テーブル11に一対の装置フレーム23が取付けられる。ここで、装置フレーム23のそれぞれとエンジンフレーム21との間には、旋回テーブル11が介在し、装置フレーム23のそれぞれは、エンジンフレーム21に直接的には連結されない。また、一対の装置フレーム23は、互いに対して離れた位置で、旋回テーブル11に取付けられる。
【0018】
また、装置フレーム23のそれぞれは、旋回テーブル11から鉛直上側へ延設される。一対の装置フレーム23のそれぞれは、鉛直上側の端を形成するビーム部(頂上ビーム部)25を備える。装置フレーム23のそれぞれのビーム部25には、中継フレーム26が接続される。中継フレーム26は、一対の装置フレーム23のビーム部25の間を、中継する。そして、一対の装置フレーム23のビーム部25には、台座27が取付けられる。台座27は、一対の装置フレーム23によって、鉛直下側から支持される。そして、台座27上に、後処理装置16が設置される。
図3等の一例では、装置フレーム23のビーム部25、及び、台座27は、エンジンフレーム21に対して、鉛直上側に位置する。このため、後処理装置16は、エンジン15に対して、鉛直上側にずれて配置される。なお、
図3では、一対の装置フレーム23の一方のビーム部25のみが示されるが、一対の装置フレーム23の他方にも、同様に、ビーム部25が設けられる。
【0019】
また、エンジンルーム13には、ポンプ28が配置される。ポンプ28は、上部旋回体3の幅方向について、エンジン15に対して後処理装置16が位置する側(左方側)に並んで配置される。また、ポンプ28は、後処理装置16に対して、鉛直下側に配置される。鉛直方向についてポンプ28と後処理装置16との間には、装置フレーム23のビーム部25、及び、台座27が、配置される。
【0020】
図4は、後処理装置16、排気管17及び台座27、及び、これらの近傍の構成を示す。
図3及び
図4に示すように、排気管17は、ベローズ管部31、及び、折返し部分32を備える。排気管17では、ベローズ管部31は、折返し部分32に対して、エンジン15に近い側、すなわち、後処理装置16から遠い側に配置される。また、排気管17では、ベローズ管部31と折返し部分32との間に、真直ぐ又は略真直ぐに延設される管部33が設けられる。台座27は、底板部35と、底板部35から鉛直上側に突出する突出板部36と、を備える。突出板部36は、底板部35の縁に沿って形成され、底板部35の周方向について全周に渡って形成される。
【0021】
ここで、エンジンルーム13において、鉛直方向に交差する(垂直又は略垂直な)第1の水平方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)、及び、鉛直方向及び第1の水平方向の両方に交差する(垂直又は略垂直な)第2の水平方向(矢印Y3及び矢印Y4)で示す方向を、規定する。本実施形態では、第1の水平方向が上部旋回体3の前後方向と一致又は略一致し、第2の水平方向が上部旋回体3の幅方向と一致又は略一致する。
【0022】
また、エンジンルーム13には、差圧センサ37が配置される。差圧センサ37は、ディーゼル微粒子捕集フィルタによる粒子状物質を除去する処理の前後の差圧を、検知する。したがって、差圧センサ37は、粒子状物質を除去する処理が行われる前の圧力と粒子状物質を除去する処理が行われた後の圧力との差、すなわち、ディーゼル微粒子捕集フィルタよりエンジン15に近い側(上流側)での圧力とディーゼル微粒子捕集フィルタよりエンジン15から遠い側(下流側)での圧力との差を、検知する。差圧センサ37での検知結果に基づいて、ディーゼル微粒子捕集フィルタにおける目詰まりが検出される。
【0023】
図5及び
図6は、後処理装置16及び差圧センサ37、及び、これらの近傍の構成を示す。
図5及び
図6では、互いに対して視る方向が異なる。また、
図7は、後処理装置16及び差圧センサ37、及び、これらの近傍を、第1の水平方向の一方側(矢印X3側)から視た状態、すなわち、上部旋回体3の前方側から視た状態で示す。そして、
図8は、後処理装置16及び差圧センサ37、及び、これらの近傍を、第2の水平方向の一方側(矢印Y4側)から視た状態、すなわち、上部旋回体3の幅方向についてエンジン15が位置する側から視た状態で示す。なお、
図7及び
図8では、後処理装置16が設置される台座27も示される。
【0024】
図4乃至
図8等に示すように、エンジンルーム13では、排気管17は、後処理装置16に対して、第1の水平方向の一方側(矢印X4側)に配置される。本実施形態では、排気管17は、後処理装置16に対して、上部旋回体3の後方側に配置される。また、差圧センサ37は、第1の水平方向について、後処理装置16に対して、排気管17が位置する側とは反対側に配置される。このため、後処理装置16は、第1の水平方向について、排気管17と差圧センサ37との間で挟まれる。本実施形態では、後処理装置16の外表面において、排気管17が位置する側とは反対側を向く部位に、差圧センサ37が配置される。そして、差圧センサ37は、後処理装置16に対して、上部旋回体3の前方側に配置される。
【0025】
また、後処理装置16の外表面において排気管17が位置する側とは反対側を向く部位では、第2の水平方向について後処理装置16の中央部に、差圧センサ37が配置される。このため、差圧センサ37は、後処理装置16に対して第2の水平方向の一方側に並んで配置されるエンジン15から、ある程度の距離離れて配置される。ここで、差圧センサ37は、後処理装置16と接触していない。差圧センサ37は、ブラケット38によって支持され、ブラケット38を間に介して、台座27に連結される。
【0026】
また、差圧センサ37には、導圧管41,42が接続される。導圧管41,42のそれぞれは、例えば、金属から形成される。導圧管(第1の導圧管)41は、ディーゼル微粒子捕集フィルタによって粒子状物質を除去する処理が行われる前の圧力を、差圧センサ37に導く。そして、導圧管(第2の導圧管)42は、ディーゼル微粒子捕集フィルタによって粒子状物質を除去する処理が行われた後の圧力を、差圧センサ37に導く。導圧管41,42のそれぞれの一端は、差圧センサ37に接続される。導圧管41は、ゴム管43を間に介して差圧センサ37に接続され、導圧管42は、ゴム管45を間に介して差圧センサ37に接続される。
【0027】
導圧管42は、後処理装置16の外表面において排気管17が位置する側とは反対側を向く部位に沿って、差圧センサ37から延設される。そして、導圧管42は、後処理装置16の外表面において排気管17が位置する側とは反対側を向く部位において、後処理装置16の内部に挿入される。そして、後処理装置16の内部では、導圧管42の差圧センサ37とは反対側の端が、ディーゼル微粒子捕集フィルタよりエンジン15から遠い側(下流側)の領域と、連通する。これにより、導圧管42は、ディーゼル微粒子捕集フィルタより下流側の領域の圧力を、差圧センサ37に導くことが可能になる。
【0028】
また、本実施形態では、後処理装置16は、台座27との間に隙間46を有する状態で、台座27の底板部35の鉛直上側に設置される。導圧管(第1の導圧管)41は、延設管部47,48を備える。導圧管41の延設管部(第1の延設管部)47は、後処理装置16の外表面において排気管17が位置する側とは反対側を向く部位に沿って延設され、差圧センサ37から鉛直下側へ向かって延設される。導圧管41の延設管部(第2の延設管部)48の一端は、延設管部47の差圧センサ37とは反対側の端(鉛直下側の端)に接続される。延設管部48は、延設管部47への接続位置から、第1の水平方向(上部旋回体3の前後方向)に沿って延設される。延設管部48は、延設管部47への接続位置から、後処理装置16と台座27との間の隙間46を通って、排気管17が位置する側(上部旋回体3の後方側)へ向かって延設される。
【0029】
延設管部48では、延設管部47への接続位置とは反対側の端が、ゴム管51を間に介して、金属製の管部材52に接続される。そして、管部材52は、ベローズ管部31と折返し部分32との間の管部33で、排気管17に接続される。したがって、導圧管(第1の導圧管)41は、差圧センサ37と排気管17との間を接続する。そして、本実施形態では、導圧管41は、粒子状物質を除去する前述の処理が行われる前の圧力を、排気管17の内部から差圧センサ37に導く。
【0030】
図9は、後処理装置16と台座27との間の隙間46の構成を示す。
図9は、第1の水平方向に垂直又は略垂直な断面、すなわち、導圧管41の延設管部48の延設方向に垂直又は略垂直な断面を示す。
図8及び
図9に示すように、台座27には、底板部35から鉛直上側に突出する突起53が設けられる。本実施形態では、突起53が2つ設けられ、突起53は、第1の水平方向について、互いに対して離れて配置される。突起53のそれぞれには、ブラケット55が、ビス56等を介して取付けられる。ブラケット55のそれぞれは、導圧管41の延設管部48を支持する。ブラケット55は、導圧管41の延設管部48が後処理装置16及び台座27のいずれにも接触しない状態に、隙間46において導圧管41を支持する。
【0031】
エンジンルーム13では、エンジン15での発熱によって、エンジン15及び排気管17が高温になる。本実施形態では、排気管17との間に後処理装置16を挟んだ状態で、差圧センサ37が配置される。このため、エンジン15で発生する熱の差圧センサ37への影響が、低減される。なお、後処理装置16は、カバーで覆われているため、エンジン15及び排気管17等に比べて、外部への放熱量が小さい。
【0032】
また、本実施形態では、台座27の鉛直上側に後処理装置16が設置され、後処理装置16の外表面において排気管17が位置する側とは反対側を向く部位に、差圧センサ37が配置される。また、本実施形態では、台座27は、エンジンフレーム21に対して、鉛直上側に位置し、後処理装置16は、エンジン15に対して、鉛直上側にずれて配置される。このため、エンジン15から差圧センサ37への放射熱が、台座27によってある程度遮蔽され、差圧センサ37へのエンジン15からの熱の影響が、さらに低減される。
【0033】
また、台座27では、突出板部36が、底板部35の縁に沿って、底板部35の周方向について全周に渡って形成される。このため、台座27の突出板部36によって、エンジン15から差圧センサ37への放射熱が、さらに有効に遮蔽される。また、差圧センサ37は、後処理装置16の外表面の排気管17が位置する側とは反対側を向く部位において、第2の水平方向について後処理装置16の中央部に、配置される。このため、差圧センサ37は、エンジン15からある程度の距離離れる。したがって、差圧センサ37へのエンジン15からの熱の影響が、さらに有効に低減される。また、台座27によって、後処理装置16等の台座27よりも鉛直上側に位置する部材からの熱の、台座27よりも鉛直下側に位置するポンプ28等への影響が、低減される。
【0034】
また、差圧センサ37は、後処理装置16と接触せず、ブラケット38を間に介して、台座27に連結される。このため、後処理装置16から差圧センサ37への熱及び振動等の伝達が有効に防止される。これにより、エンジン15で発生する熱の差圧センサ37への影響等が、さらに低減される。
【0035】
また、本実施形態では、導圧管(第1の導圧管)41の延設管部48は、後処理装置16と台座27との間の隙間46を通って、延設される。このため、導圧管41において、外部への露出部分が少なくなる。これにより、後処理装置16のメンテナンス作業等において、作業者の導圧管41への接触が有効に防止され、導圧管41の破損等が有効に防止される。
【0036】
また、導圧管(第1の導圧管)41は、差圧センサ37と排気管17との間を接続し、粒子状物質を除去する前述の処理が行われる前の圧力を、排気管17から差圧センサ37に導く。ここで、後処理装置16の内部の排気ガスの流路では、急激な方向転換部分及び急激な断面変化部分が多数存在するため、圧力変動が生じ易い。これに対し、排気管17では、急激な方向転換部分等は少ない。このため、排気管17では、後処理装置16の内部の排気ガスの流路に比べて、圧力変動が生じ難い。したがって、粒子状物質を除去する処理が行われる前の圧力を排気管17から差圧センサ37に導くことにより、差圧センサ37での差圧の検知の精度が、向上する。
【0037】
また、導圧管41は、真直ぐ又は略真直ぐの管部33から、差圧センサ37に圧力を導く。すなわち、排気管17においてもより圧力変動が生じ難い領域から、導圧管41によって、圧力が差圧センサ37に導かれる。差圧センサ37での差圧の検知の精度が、さらに向上する。なお、本実施形態では、排気管17との間に後処理装置16を挟んだ状態で差圧センサ37が配置されるため、導圧管41によって差圧センサ37と排気管17との間を接続する場合、導圧管41の延設長が長くなる。このため、導圧管41によって差圧センサ37と排気管17との間を接続しても、排気管17から差圧センサ37への導圧管41を介しての熱の伝達が抑制され、排気管17から差圧センサ37への熱の影響が、低減される。
【0038】
また、本実施形態では、ブラケット55によって、導圧管41の延設管部48が後処理装置16及び台座27のいずれにも接触しない状態に、隙間46において導圧管41が支持される。このため、後処理装置16から導圧管41を介して差圧センサ37へ熱及び振動等の伝達されることが、有効に防止される。
【0039】
また、本実施形態では、導圧管41は、ゴム管43を間に介して差圧センサ37に接続され、導圧管42は、ゴム管45を間に介して差圧センサ37に接続される。また、導圧管41は、ゴム管51を間に介して、管部材52に接続される。ゴム管43,45,51を設けることにより、導圧管41,42の振動及び熱膨張が、ゴム管43,45,51によって吸収される。これにより、導圧管41,42の破損等が、有効に防止される。
【0040】
なお、前述の実施形態等では、油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、前述したエンジン15、後処理装置16、排気管17及び差圧センサ37等の構成は、下部走行体2及び上部旋回体3を備える建設機械であれば、適用可能である。前述の実施形態等の構成が適用される油圧ショベル1以外の建設機械としては、例えば、クレーンが挙げられる。
【0041】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0042】
1…油圧ショベル、2…下部走行体、3…上部旋回体、13…エンジンルーム、15…エンジン、16…後処理装置、17…排気管、27…台座、37…差圧センサ、41…導圧管(第1の導圧管)、42…導圧管(第2の導圧管)、46…隙間。