(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】塗装装置用スプレーガン支持装置
(51)【国際特許分類】
B05B 13/04 20060101AFI20240205BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240205BHJP
B05B 15/70 20180101ALI20240205BHJP
B05B 15/65 20180101ALI20240205BHJP
【FI】
B05B13/04
B05B12/00 A
B05B15/70
B05B15/65
(21)【出願番号】P 2020047352
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-208729(JP,A)
【文献】特開2002-159896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 13/04
B05B 12/00
B05B 15/70
B05B 15/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装装置のアームに支持される支持装置本体(2)と、
該支持装置本体(2)に装着された、複数のスプレーガンを備えたスプレーガンユニット(3)と、
前記支持装置本体(2)に装着された、前記スプレーガンユニット(3)に支持されたスプレーガン(7)にエアーを供給するためのエアー供給手段(14)と、を具備した塗装装置用スプレーガン支持装置であって、
前記スプレーガンユニット(3)は、
前記支持装置本体(2)に水平方向に回動自在に装着された回転体(4)と、
該回転体(4)の下方側に連結された、それぞれの先端側にスプレーガンが装着される複数本のアーム本体(19)を有するスプレーガン支持アーム(6)と、を具備するとともに、
前記回転体(4)の内部には、スプレーガンの数に対応した回転体側塗料供給路(8)が形成され、
前記アーム本体(19)の内部には、前記回転体側塗料供給路(8)に連結されたアーム側塗料供給路(9)と、スプレーガンにエアーを供給するためのアーム側エアー供給路(18)が形成され、
前記エアー供給手段(14)は、
前記支持装置本体(2)に装着された本体部(15)と、
該本体部(5)の内部に上下方向に可動自在に備えられた可動部(16)と、
該可動部(16)内に形成された可動部側エアー供給路(17)と、を具備するとともに、
前記可動部(16)を下降することで、使用するスプレーガンが装着されたアーム本体(19)に形成されたアーム側エアー供給路(18)と前記可動部側エアー供給路(17)とを連結し、連結した状態で前記可動部(16)を上昇することで、アーム側エアー供給路(18)と可動部側エアー供給路(17)の連結を解除する、ことを特徴とする塗装装置用スプレーガン支持装置。
【請求項2】
前記スプレーガンユニット(3)及びエアー供給手段(14)をそれぞれ支持装置本体(2)の両端側に装着したことを特徴とする請求項1に記載の塗装装置用スプレーガン支持装置。
【請求項3】
前記アーム本体(19)を4本備えるとともに、それぞれのアーム本体(19)にスプレーガン(7)を装着したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗装装置用スプレーガン支持装置。
【請求項4】
前記回転体(4)に無端状のベルト(11)を連結するとともに該ベルト(11)にモーター(12)を連結し、モーター(12)を駆動することで前記ベルト(11)を介して前記回転体(4)を回動することとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗装装置用スプレーガン支持装置。
【請求項5】
前記可動部(16)をエアシリンダー(19)によって上下方向に可動自在としてことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗装装置用スプレーガン支持装置。
【請求項6】
前記可動部(16)内に形成された可動部側エアー供給路(17)と、アーム本体(19)の内部に形成されたアーム側エアー供給路(18)はそれぞれ、霧化エアー供給路、パターンエアー供給路及びニードル稼働用エアー供給路であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の塗装装置用スプレーガン支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗装装置用スプレーガン支持装置に係り、より詳しくは、複数のスプレーガンを支持するとともに、使用するスプレーガンを切り替えることでカラーチェンジを可能にした塗装装置において、スプレーガンにエアーを供給するエアー供給ホースの本数を減らすことで装置全体の小型化を図ることを特徴とした塗装装置用スプレーガン支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から塗装装置は、被塗装物(以下「ワーク」という。)に向けて塗料を噴射するためのスプレーガンと、塗料ホースを介してスプレーガンに塗料を供給するための塗料供給手段を有しており、塗料供給手段からスプレーガンに塗料を供給しながら、この供給された塗料をスプレーガンよりワークに向けて噴射している。そして、ワークの塗装において塗料の色を替える場合には、スプレーガンを替えることなく、1個のスプレーガンのみで、供給する塗料のカラーチェンジを行いながらスプレーガンに塗料を供給する方法が採用されていた。
【0003】
ここで、従来のカラーチェンジの方法ついて説明すると、従来のカラーチェンジの方法では、互いに色の異なる複数種類の塗料を、マニホールド等を介して1個のスプレーガンに供給可能とし、使用する色に応じてスプレーガンに供給する塗料を切り替える方法としている。即ち、一つの塗料による塗装が完了した後に、スプレーガン及び塗料供給ホース内を洗浄した後に、バルブ等によって他の塗料をスプレーガンに供給可能な状態にして、カラーチェンジを可能にしていた。従ってこの方法によれば、1個のスプレーガンによって、複数の塗料による塗装を行うことが可能となる。
【0004】
しかしながら、このような方法を採用した場合には、塗料の色替えを行うたびごとに、スプレーガン、及び塗料ホースを洗浄しなければならず、煩わしさに耐えず、また、作業効率の低下を招いてしまっていた。
【0005】
更に、塗料の色替えのたびごとにスプレーガン及び塗料ホースを洗浄する場合には、ホース内に残っている塗料が無駄になってしまうとともにシンナー等の洗浄溶剤が必要であり、無駄が多かった。特に、近年は多品種少量生産のワークが増加しているために、従来の方法では、このような洗浄作業による作業効率の低下、残塗料の無駄や洗浄溶剤の使用は、コストの増加にもつながっていた。
【0006】
この点、カラーチェンジの際に、スプレーガンを塗装機から取り外して交換する交換する方法も考えられるが、この方法では、スプレーガンの着脱作業が大変であり作業効率が悪いという問題点が考えられる。
【0007】
そのため、このような問題点を解決する方法として、それぞれにスプレーガンを備えた複数のスプレーガン支持アームをマニホールドに連結して、マニホールドを回転することによって、使用するスプレーガンを切り替え、それによりカラーチェンジを可能にしたスプレーガン支持装置が提案されており、このスプレーガン支持装置によれば、スプレーガンを交換することなく、また、スプレーガン内を洗浄すること無く、カラーチェンジが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-211937号公報
【文献】特許第5749374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、スプレーガンは一般的に、先端の吐出口より塗料を吐出するとともに、この塗料を霧化エアーにより霧状にして噴射することでワークの塗装を行うことが行われる。また、このとき、霧化した塗料をパターンエアーによって所定のパターンにして噴射することが行われる。更に、塗料を吐出する吐出口は通常はニードルによって閉鎖されており、塗装を行うときにニードルを後方に退避させて吐出口を解放し、塗装が完了した後にニードルを前進させて吐出口を閉鎖するが、このニードルの進退はニードル稼働用エアーによって行う。
【0010】
従って、一つのスプレーガンを稼働するためには、塗料ホース1本のほかに、霧化エアー供給用ホース、パターンエアー供給用ホース及びニードル稼働用エアー供給ホースの3本のエアーホースをスプレーガンに連結する必要がある。
【0011】
そして、前述のような、複数のスプレーガン支持アームをマニホールドに連結し、それぞれのスプレーガン支持アームにスプレーガンを備えたスプレーガン支持装置では、スプレーガンの数に対応した塗料ホース及びエアーホースをマニホールドに連結する必要がある。
【0012】
そのために、このようなスプレーガン支持装置では、スプレーガンの数が増えていくと、マニホールドに連結する塗料ホース及びエアーホースの数が多くなってしまい、装置の大型化を招いてしまうという問題点が考えられる。例えば、マニホールドに4本の支持アームを連結した場合には、塗料ホース4本の他に、霧化エアー供給用ホース、パターンエアー供給用ホース及びニードル稼働用エアー供給ホースの3本のエアーホースを4本ずつで合計12本のエアーホースをマニホールドに連結しなければならず、塗装装置全体が大型してしまう。
【0013】
また、このようなスプレーガン支持装置では、前述したように、使用するスプレーガンを切り替える際にはマニホールドを回転する必要があり、それによりホースがねじれるが、マニホールドに連結する塗料ホース及びエアーホースの数が多くなると、多数のホースがねじれるために取り扱いが大変であるとともに、マニホールドにホースを連結するための継ぎ手が壊れてしまうことも考えられる。
【0014】
そこで本発明は、複数のスプレーガンを支持するとともに、使用するスプレーガンを切り替えることでカラーチェンジを可能にした塗装装置において、スプレーガンの数が多くなった場合でも、連結するホースの数が多くなることを防止して、装置全体が大型化することを防止可能にした塗装装置用スプレーガン支持装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置は、
塗装装置のアームに支持される支持装置本体と、
該支持装置本体に装着された、複数のスプレーガンを備えたスプレーガンユニットと、
前記支持装置本体に装着された、前記スプレーガンユニットに支持されたスプレーガンにエアーを供給するためのエアー供給手段と、を具備した塗装用スプレーガン支持装置であって、
前記スプレーガンユニットは、
前記支持装置本体に水平方向に回動自在に装着された回転体と、
該回転体の下方側に連結された、それぞれの先端側にスプレーガンが装着される複数本のアーム本体を有するスプレーガン支持アームと、を具備するとともに、
前記回転体内には、スプレーガンの数に対応した回転体側塗料供給路が形成され、
前記アーム本体のそれぞれの内部には、前記回転体側塗料供給路に連結されたアーム側塗料供給路と、スプレーガンにエアーを供給するためのアーム側エアー供給路が形成され、
前記エアー供給手段は、
前記支持装置本体に装着された本体部と、
該本体部の内部に上下方向に可動自在に備えられた可動部と、
該可動部内に形成された可動部側エアー供給路と、を具備するとともに、
前記可動部を下降することで、使用するスプレーガンが装着されたアーム本体に形成されたアーム側エアー供給路と可動部側エアー供給路とを連結し、連結した状態で前記可動部を上昇することで、アーム側エアー供給路と可動部側エアー供給路の連結を解除する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置は、スプレーガンにエアーを供給するためのエアー供給手段を、支持装置本体に装着された本体部と、この本体部の内部に上下方向に可動自在に備えられた可動部と、可動部内に形成された可動部側エアー供給路を具備する構成にするとともに、可動部を下降することで、使用するスプレーガンが装着されたアーム本体に形成されたアーム側エアー供給路と可動部側エアー供給路とを連結可能としている。即ち、スプレーガンに各種のエアーを供給するためのエアー供給手段を各スプレーガンが共有することとしている。そのために、スプレーガンの数が多くなった場合でも、装置全体が大型化することを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例を上面側から示した図である。
【
図2】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例を正面側から示した図である。
【
図3】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例におけるスプレーガンユニットを説明するための図である。
【
図4】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例におけるスプレーガン支持アームを説明するための図である。
【
図5】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例におけるエアー供給手段を説明するための図である。
【
図6】本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置の実施例におけるスプレーガンユニットの駆動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置は、塗装装置のアームに支持される支持装置本体を有している。そして、この支持装置本体には、スプレーガンユニットが装着されており、スプレーガンユニットは複数のスプレーガンを備えている。
【0019】
また、支持装置本体にはエアー供給手段が装着されており、このエアー供給手段は、スプレーガンユニットに備えられたスプレーガンにエアーを供給するためのエアー供給手段が装着されている。
【0020】
そして、スプレーガンユニットは、支持装置本体に水平方向に回動自在に装着された回転体を有しており、この回転体の下方側には、複数本のアーム本体を有したスプレーガン支持アームが連結され、アーム本体のそれぞれに、スプレーガンが装着されている。
【0021】
また、回転体の内部には、スプレーガンの数に対応した回転体側塗料供給路が形成されており、スプレーガン支持アームを構成するアーム本体のそれぞれの内部には、回転体側塗料供給路に連結されたアーム側塗料供給路と、スプレーガンにエアーを供給するためのアーム側エアー供給路が形成されている。
【0022】
一方、エアー供給手段は、支持装置本体に装着された本体部を有しており、この本体部の内部には、上下方向に可動自在にして、可動部が備えられている。
【0023】
そして、可動部の内部には、可動部側エアー供給路が形成されており、可動部を下降することで、使用するスプレーガンが装着されたアーム本体に形成されたアーム側エアー供給路と、可動部側エアー供給路が連結されることとしている。一方、アーム側エアー供給路と可動部側エアー供給路とが連結された状態で、可動部を上昇することで、アーム側エアー供給路と可動部側エアー供給路の連結が解除されることとしている。
【0024】
ここで、スプレーガンユニット及びエアー供給手段はそれぞれ、少なくとも支持装置本体の両端側に装着するとよく、これにより、2か所以上においてワークの塗装を行うことが可能となる。
【0025】
また、アーム本体を4本備え、それぞれのスプレーガン支持アームにスプレーガンを装着するとよく、それにより、スプレーガンユニットを回動することで、少なくとも4種類の色の塗料を用いることが可能となる。
【0026】
そして、スプレーガンユニットを構成する回転体に無端状の駆動ベルトを連結するとともに、この駆動ベルトにモーターを連結し、モーターを駆動することで、駆動ベルトを介して回転体を回動するとよく、これにより、回転体を容易に回転させることが可能となる。
【0027】
また、エアー供給手段を構成する可動部は、エアシリンダーによって上下方向に可動自在にするとよく、これにより、可動部の稼働を容易にすることが可能である。
【0028】
そして、可動部内に形成された可動部側エアー供給路と、スプレーガン支持アームを構成するアーム本体の内部に形成されたアーム側エアー供給路はそれぞれ、霧化エアー供給路、パターンエアー供給路及びニードル稼働用エアー供給路にするとよく、これにより、スプレーガンによる塗料の噴霧を確実に行うことが可能となる。
【実施例1】
【0029】
本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置(以下単に「スプレーガン支持装置」と言う。)の実施例について図を参照して説明すると、
図1、2は、本実施例のスプレーガン支持装置を説明するための図であり、
図1は本実施例のスプレーガン支持装置を上面側から示しており、
図2は本実施例のスプレーガン支持装置を正面側から示しており、図において1が、本実施例のスプレーガン支持装置である。
【0030】
そして、本実施例のスプレーガン支持装置は、支持装置本体を有しており、この支持装置本体が、塗装装置としての塗装ロボットのロボットアームに支持され、それにより本実施例のスプレーガン支持装置1は、塗装装置に取り付けられることとしている。
【0031】
即ち、
図2において、22は塗装ロボットのロボットアームであり、また、図において2は支持装置本体であり、支持装置本体2は、ロボットアーム22の先端部分に備えられた取付部材23に連結されており、取付部材23は、上下方向に回動自在にして、ロボットアームの先端に連結されている。
【0032】
そして、前記支持装置本体2は、厚みを有する長尺の板状としており、両端部にはそれぞれ、スプレーガンユニットが装着されている。即ち、図において3がスプレーガンユニットであり、本実施例において前記スプレーガンユニット3は2個としており、それぞれのスプレーガンユニット3には、複数個のスプレーガンが備えられている。
【0033】
ここで、
図3を参照して前記スプレーガンユニット3について説明すると、
図3はスプレーガンユニット3の縦断正面構造を示す図であり、図において4は回転体である。即ち、スプレーガンユニット3は回転体4を有している。そしてこの回転体4は、円柱状としており、前記支持装置本体2を貫通する形態で、支持装置本体2に回動自在に装着されている。なお、図において5は軸受けであり、前記回転体4はこの軸受け5によって、支持装置本体2に回動自在に装着されている。
【0034】
次に、図において6はスプレーガン支持アームである。即ち、前記回転体4の下端にはスプレーガン支持アーム6が連結されており、スプレーガン支持アーム6は、回転体4の挿入方向に直交する横方向に向いた複数本のアーム本体19を有しており、アーム本体19の先端にスプレーガン7が装着されている。そして、スプレーガン支持アーム6は、回転体4の下端に連結されているため、回転体4の回転とともに回転し、それによりスプレーガン7の位置を変えることが可能となっている。
【0035】
なお、
図4はスプレーガン支持アーム6及びアーム本体19の先端に装着されたスプレーガン7を上側から示した図であり、図に示されるように、本実施例においては、スプレーガン支持アーム6を構成するアーム本体19は、約90度の角度をあけて4本具備されている。そして、これにより、スプレーガンユニット3のそれぞれには、4個のスプレーガンが装着され、合計で8個のスプレーガンが、支持装置本体2に備えられている。但し、スプレーガン支持アーム6の本数は特に4本には限定されず、2本でもよく、あるいは3本でも良い。
【0036】
次に、
図3において8、9は、スプレーガン7に塗料を供給するための塗料供給路である。即ち、前記回転体4には、スプレーガン7の数に対応した本数の塗料供給路8が形成されている。そして、アーム本体19の内部にはそれぞれ、1本ずつのアーム側塗料供給路9が形成され、アーム側塗料供給路9の先端はそれぞれ、アーム本体19の先端に装着されたスプレーガン7の塗料供給路に連結されている。
【0037】
また、アーム側塗料供給路9の基端側はそれぞれ、スプレーガン支持アーム6の中央部分で開口とされており(
図4参照)、この開口部分において、回転体側塗料供給路8のいずれかに連結されている。
【0038】
更に、回転体側塗料供給路8はそれぞれ、上端部に連結ジョイント10が備えられており、この連結ジョイント10を介して、回転体側塗料供給路8は図示しない塗料ホースに連結される。
【0039】
次に、
図3において11は、前記回転体4を回転させるためのタイミングベルトである。即ち、前記支持装置本体2の内部において、両端の回転体4にはタイミングベルト11が巻き掛けられており、このタイミングベルト11を駆動用モーターで移動させることで、回転体4のそれぞれを同一の方向へ回転可能としている。この関係を説明するための図が
図6であり、支持装置本体2の内部を示しているとともに、支持装置本体2とスプレーガン支持アーム6とスプレーガン7を示している。また、図において11がタイミングベルト、12が駆動用モーターであり、更に13は、タイミングベルト11の張力調整のためのアイドラユニットであり、このこうせいにおいて、駆動用モーター12を駆動してタイミングベルト11を移動することで、回転体4のそれぞれが同一の方向へ回転する。
【0040】
そして、本実施例においては、前記回転体4を回転させて、それぞれのスプレーガン支持アーム6のうちの2本が支持装置本体2と平行になるようにしたときに、支持装置本体2の正面側に位置したスプレーガン7が、ワークを塗装するために用いられるスプレーガンになる。
【0041】
次に、
図1において14は、スプレーガン7にエアーを供給するためのエアー供給手段である。即ち、前述したように、スプレーガンによってワークに向けて塗料を噴霧するためには、ニードル稼働用エアーを供給してニードルを稼働して塗料吐出口を解放するとともに、塗料吐出口の近傍に霧化エアー及びパターンエアーを供給しなければならす、そのために、スプレーガンより塗料を噴霧するためには、3本のエアーホースを用いて、ニードル稼働用エアー、霧化エアー、パターンエアーをスプレーガンに供給する必要がある。一方、スプレーガンごとに3本のエアーホースを連結していたのでは、ホースの数が多くなってしまう。例えばスプレーガンユニットに4個のスプレーガンを備えた場合には、塗料ホースも含めて、合計で16本のホースをスプレーガンユニットに連結する必要があり、スプレーガン支持装置本体全体が大型化してしまう。
【0042】
そこで、本実施例のスプレーガン支持装置では、スプレーガンに各種のエアーを供給するエアーホースを、1個のスプレーガンユニット3に対して1組のみにしており、それにより、スプレーガンの数に影響されずにエアーホースの本数を一定にし、スプレーガン支持装置の大型化を防止することとした。
【0043】
即ち、
図1において、本実施例のスプレーガン支持装置1では、支持装置本体2における回転体4の外側に、スプレーガンにエアーを供給するためのエアー供給手段14を配置して、このエアー供給手段14によって、スプレーガンユニット3に備えたスプレーガン7のすべてにエアーを供給することとしている。
【0044】
ここで、エアー供給手段14について
図5を参照して説明すると、
図5は前記エアー供給手段14の内部構造を説明するための図であり、図において15は、支持装置本体2に装着される本体部である。
【0045】
即ち、前記エアー供給手段14は本体部15を有しており、この本体部15は、支持装置本体2を貫通する形態で、前記回転体4の外側において、支持装置本体2に装着されている。そして本実施例においては、前記回転体4の正面側に本体部15を配置しており、これにより、ワークを塗装するために用いられるスプレーガンに各種エアーを供給可能としている。なお、エアー供給手段14を配置する箇所は特に限定はされず、必ずしも、回転体4の正面側に配置する必要は無い。
【0046】
次に、図において16は可動部である。即ち、前記本体部15の内部には、上下方向に可動自在にして、可動部16が備えられている。そして、可動部16の内部には、可動部側エアー供給路17が形成されており、この可動部側エアー供給路17は、可動部側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路の3本としている。そして、可動部側エアー供給路17の上端側にそれぞれ、エアーホースを連結することとし、下端は開口としている。
【0047】
一方、
図3において、前記スプレーガン支持アーム6を構成するアーム本体19の内部にはそれぞれ、アーム側エアー供給路18が形成されており、このアーム側エアー供給路18は、アーム側霧化エアー供給路、アーム側パターンエアー供給路及びアーム側ニードル稼働用エアー供給路の3本としている。そして、アーム側エアー供給路18の基端側は支持装置本体2側に開口としており(
図4参照)、先端側は、スプレーガンにおける、霧化エアー供給路、パターンエアー供給路及びニードル稼働用エアー供給路のそれぞれに連結されている。
【0048】
そして、前記回転体4を回転させ、それぞれのスプレーガン支持アーム6のうちの2本が支持装置本体2と平行になり、支持装置本体2の正面側に位置したスプレーガン7、即ち、ワークを塗装するために用いられるスプレーガン7を支持するアーム本体19におけるアーム側霧化エアー供給路、アーム側パターンエアー供給路及びアーム側ニードル稼働用エアー供給路の基端側の開口が、エアー供給手段14における可動部側エアー供給路17の下端の開口に対向した状態にしなった後に、可動部16を下降させると、可動部側霧化エアー供給路とアーム側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路とアーム側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路とアーム側ニードル稼働用エアー供給路が連結し、それにより、スプレーガンに、霧化エアー、パターンエアー及びニードル稼働エアーを供給可能となる。
【0049】
一方、可動部側霧化エアー供給路とアーム側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路とアーム側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路とアーム側ニードル稼働用エアー供給路が連結している状態で、可動部16を上昇することで、連結を解除することが可能である。
【0050】
従って、予め、特定のスプレーガンが塗料を行う位置に配置されたときに、可動部16を下降させることで、そのスプレーガンを支持するアーム本体の内部に形成されたアーム側霧化エアー供給路、アーム側パターンエアー供給路、及びアーム側ニードル稼働用エアー供給路が、可動部側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路に連結されるようにしておくとよい。なお、可動部16を上下動させる方法は特に限定されないが、例えば、可動部16にエアシリンダーを連結し、エアシリンダーの作用によって可動部16を上下動すると良い。
【0051】
次に、このように構成される本実施例のスプレーガン支持装置1の作用について説明すると、本実施例のスプレーガン支持装置1を用いてワークの塗装を行う場合には、スプレーガンユニットのそれぞれの塗料供給路8に所定の塗料ホースを連結し、各スプレーガンより異なった色の塗料を噴霧可能とする。
【0052】
そしてそれとともに、エアー供給手段14における3本の可動部側エアー供給路17、即ち可動部側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路の上端に、エアーホースを連結する。
【0053】
更に、アーム本体19のそれぞれのアーム側塗料供給路9、及びアーム側エアー供給路18の先端部を、スプレーガンにおける塗料供給路、及び各種のエアー供給路に連結し、それにより、スプレーガンに塗料及びエアーを供給可能な状態にしておく。
【0054】
そして、この状態で回転体4を回転することで、塗料の噴霧を行うスプレーガンを所定の位置に配置した後に、可動部16を下降させる。そうすると、塗料の噴霧を行うスプレーガンを支持しているアーム本体19の内部に形成されたアーム側霧化エアー供給路、アーム側パターンエアー供給路、及びアーム側ニードル稼働用エアー供給路が、可動部側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路に連結され、塗料の噴霧を行うスプレーガンに霧化エアー、パターンエアー及びニードル稼働用エアーを供給可能になる。従って、これにより、スプレーガンに塗料及び各種エアーを供給することで、ワークに向けて塗料を噴霧して塗装を行うことが可能となる。
【0055】
そして、塗装が終了してカラーチェンジを行う場合には可動部16を上昇することで、可動部側霧化エアー供給路とアーム側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路とアーム側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路とアーム側ニードル稼働用エアー供給路との連結を解除する。
【0056】
そしてその後は、前述と同様に、回転体4を回転することで、次の色の塗料の噴霧を行うスプレーガンを所定の位置に配置した後に、可動部16を下降させて、次の色の塗料の噴霧を行うスプレーガンを支持しているアーム本体19の内部に形成されたアーム側霧化エアー供給路、アーム側パターンエアー供給路、及びアーム側ニードル稼働用エアー供給路を、可動部側霧化エアー供給路、可動部側パターンエアー供給路、及び可動部側ニードル稼働用エアー供給路に連結し、その後は、スプレーガンに塗料及び各種エアーを供給することで、新たな色の塗料によるワークの塗装を行う。
【0057】
このように、本実施例のスプレーガン支持装置は、スプレーガンユニットに備えられたスプレーガンに各種エアーを供給するエアー供給手段を一つにしているために、スプレーガンの数にかかわらず、スプレーガンに各種のエアーを供給するエアーホースの本数を一定にすることができる。従って、スプレーガンの数が多くなった場合でも、エアーホースの本数が多くなることが無いために、ホースの取り扱いが容易となり、装置全体が大型化することも防止することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の塗装装置用スプレーガン支持装置は、複数のスプレーガンを有することでスプレーガンを交換することなくカラーチェンジを可能にした塗装装置において、1つのエアー供給手段によって、複数のスプレーガンに対するエアーの供給を可能にしているため、複数のスプレーガンを有することでカラーチェンジを可能にした塗装装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 スプレーガン支持装置
2 支持装置本体
3 スプレーガンユニット
4 回転体
5 軸受け
6 スプレーガン支持アーム
7 スプレーガン
8 回転体側塗料供給路
9 アーム側塗料供給路
10 連結ジョイント
11 タイミングベルト
12 駆動用モーター
13 アイドラユニット
14 エアー供給手段
15 本体部
16 可動部
17 可動部側エアー供給路
18 アーム側エアー供給路
19 アーム本体
22 ロボットアーム
23 取付部材