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特許7430554光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20240205BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240205BHJP
   H04N 23/76 20230101ALI20240205BHJP
【FI】
G06K7/14 078
G06K7/10 276
G06K7/10 372
H04N23/76
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020050009
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149655
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田近 太一
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136853(JP,A)
【文献】特開2003-256773(JP,A)
【文献】特開2016-146536(JP,A)
【文献】国際公開第2004/004361(WO,A1)
【文献】特開2011-076517(JP,A)
【文献】特開2002-175499(JP,A)
【文献】特開2013-077306(JP,A)
【文献】特開2000-057255(JP,A)
【文献】特開2016-163277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
G06K 7/10
H04N 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、
コードに光を照射する照明部と、
前記照明部から照射されコードで反射された光を受光して入力画像を取得する撮像部と、
前記撮像部で得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する変換部と、
前記変換部で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行うデコード部と、
を備え、
前記特性変換式が、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされており、
前記変換部は、
前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素については、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、
前記入力値が前記閾値よりも小さな画素については、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、
前記特性変換式が、前記入力値となる輝度値が0から所定値までの範囲で、前記出力値となる輝度値階調数の1/5以下となるように設定されてなる光学式情報読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学式情報読取装置であって、
前記特性変換式が、上に凸な曲線状である光学式情報読取装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記閾値が互いに異なる複数の前記特性変換式から、運用時に用いる特性変換式を決定するためのチューニング部を備え、
前記チューニング部は、前記複数の前記特性変換式のそれぞれに基づいて前記変換部により生成された前記コード画像の前記デコード部による各読取結果を参照して、前記運用時に用いる特性変換式を決定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項5】
請求項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
予め作成された、オフセット量の異なる複数の変換特性曲線から、前記コード画像の明暗の変動とコントラスト差の低いコード画像への対応力に基づいて、いずれかを選択するためのチューニング部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項6】
請求項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記チューニング部は、前記オフセット量の異なる複数の変換特性曲線に基づいて、前記変換部で階調変換を行って得られたコード画像に対して、それぞれ前記デコード部でデコードして、その読取結果に基づいて、前記複数の変換特性曲線のパラメータを決定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項7】
請求項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記チューニング部は、前記複数の変換特性曲線の内で、互いのパラメータが近い変換特性曲線の読み取り結果を参照して、いずれかの変換特性曲線を選択するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項8】
搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、
コードに光を照射する照明部と、
前記照明部から照射されコードで反射された光を受光して入力画像を取得する撮像部と、
前記撮像部で得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する変換部と、
前記変換部で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行うデコード部と、
異なる複数の前記特性変換式から、運用時に用いる特性変換式を決定するためのチューニング部と、
を備え、
前記変換部は、
前記入力値が前記特性変換式ごとに異なる閾値よりも大きな画素については、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化する出力値を出力し、
前記入力値が前記閾値よりも小さな画素については、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力し、
前記チューニング部は、前記複数の前記特性変換式のそれぞれに基づいて前記変換部により生成された前記コード画像の前記デコード部による各読取結果を参照して、前記運用時に用いる特性変換式を決定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項9】
搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置を用いた光学式情報読取方法であって、
照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部で受光して入力画像を取得する工程と、
前記得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなり、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する際、
前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素は、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、
前記入力値が前記閾値よりも小さな画素は、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力することで、
画素毎に前記出力値を有するコード画像を変換部で生成する工程と、
前記撮像部で生成したコード画像に基づいて、デコード部でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【請求項10】
搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置を用いたコード読取を行う光学式情報読取プログラムであって、
照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部で受光して入力画像を取得する機能と、
前記得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなり、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する際、
前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素は、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、
前記入力値が前記閾値よりも小さな画素は、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力することで、
画素毎に前記出力値を有するコード画像を変換部で生成する機能と、
前記撮像部で生成したコード画像に基づいて、デコード部でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う機能と、
をコンピュータに実現させる光学式情報読取プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるバーコードやQRコード等、コードやシンボル等と呼ばれるマーク(以下「コード」と呼ぶ。)からの光を受光し、結像モジュールによりコードの画像データを取得し、その画像データを解析することでコードに応じた情報を読み取る、コードリーダなどと呼ばれる光学式情報読取装置が知られている。例えば物流業界では、配送される様々な搬送物がコンベアで搬送される過程で、各搬送物に付されたバーコードを読み取る定置式コードリーダが用いられている。このような定置式コードリーダは、コンベア上を搬送される搬送物を、離れた位置から照明光を照射し、カメラで撮像して、得られた画像中からバーコードを探しだし、復号化している。
【0003】
撮像部がコードを含む搬送物の画像を撮像素子で撮像して画像データを生成する際に、撮像素子の有するビット数の高い入力値を、よりビット数の低い出力値に変換する。このようなビット数の変換に際して、変換特性を切り替えることのできるコードリーダが知られている(特許文献1)。標準の変換特性から、ダイナミックレンジの拡大を目的とした変換特性に変更することにより、撮像部が有するダイナミックレンジを有効に拡大し、デコードに必要なコントラストを有するコード画像を得ることができる。
【0004】
しかしながら、コードが付された荷物の高低差などによって、画像データの明るさが大きく変動する場合や、コード自体が低コントラストである場合は、上記の方法では必ずしも十分なコントラストを有するコード画像が得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-136853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、コードの読み取りを安定して行えるようにした光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る光学式情報読取装置によれば、搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、コードに光を照射する照明部と、前記照明部から照射されコードで反射された光を受光して入力画像を取得する撮像部と、前記撮像部で得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する変換部と、前記変換部で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行うデコード部とを備え、前記特性変換式が、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされており、前記変換部は、前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素については、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、前記入力値が前記閾値よりも小さな画素については、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力するよう構成できる。上記構成により、コードのコントラストが変化しても安定的に読み取りを行うことができる。
【0008】
また、第2の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記構成に加えて、前記特性変換式を、前記入力値となる輝度値が0から所定値までの範囲で、前記出力値となる輝度値階調数の1/5以下となるように設定することができる。上記構成により、撮像部の入力値が低い、暗い画素については出力値制限することとなり、入力値が小さい領域では出力値の表現が制約を受けるものの、コード読み取りにおいて重要な暗部と明部のコントラストを確保できる利点が得られる。
【0009】
さらに、第3の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記特性変換式を、上に凸な曲線状とすることができる。
【0011】
さらにまた、第の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、前記閾値が互いに異なる複数の前記特性変換式から、運用時に用いる特性変換式を決定するためのチューニング部を備え、前記チューニング部は、前記複数の前記特性変換式のそれぞれに基づいて前記変換部により生成された前記コード画像の前記デコード部による各読取結果を参照して、前記運用時に用いる特性変換式を決定するよう構成できる。
【0012】
さらにまた、第の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、予め作成された、オフセット量の異なる複数の変換特性曲線から、前記コード画像の明暗の変動とコントラスト差の低いコード画像への対応力に基づいて、いずれかを選択するためのチューニング部を備えることができる。
【0013】
さらにまた、第の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記チューニング部は、前記オフセット量の異なる複数の変換特性曲線に基づいて、前記変換部で階調変換を行って得られたコード画像に対して、それぞれ前記デコード部でデコードして、その読取結果に基づいて、前記複数の変換特性曲線のパラメータを決定するよう構成できる。
【0014】
さらにまた、第の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記チューニング部は、前記複数の変換特性曲線の内で、互いのパラメータが近い変換特性曲線の読み取り結果を参照して、いずれかの変換特性曲線を選択するよう構成できる。上記構成により、コード画像の明暗の変動へのロバスト性を高めることができる。
さらにまた、第8の側面に係る光学式情報読取装置によれば、搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置であって、コードに光を照射する照明部と、前記照明部から照射されコードで反射された光を受光して入力画像を取得する撮像部と、前記撮像部で得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する変換部と、前記変換部で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行うデコード部と、異なる複数の前記特性変換式から、運用時に用いる特性変換式を決定するためのチューニング部と、を備え、前記変換部は、前記入力値が前記特性変換式ごとに異なる閾値よりも大きな画素については、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化する出力値を出力し、前記入力値が前記閾値よりも小さな画素については、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力し、前記チューニング部は、前記複数の前記特性変換式のそれぞれに基づいて前記変換部により生成された前記コード画像の前記デコード部による各読取結果を参照して、前記運用時に用いる特性変換式を決定するよう構成できる。
【0015】
さらにまた、第9の側面に係る光学式情報読取方法によれば、搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置を用いた光学式情報読取方法であって、照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部で受光して入力画像を取得する工程と、前記得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなり、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減し、各画素が前記出力値を有する出力値を算出したコード画像を生成する際、前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素は、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、前記入力値が前記閾値よりも小さな画素は、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力することで、画素毎に前記出力値を有するコード画像を変換部で生成する工程と、前記撮像部で生成したコード画像に基づいて、デコード部でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う工程とを含むことができる。これにより、コードのコントラストが変化しても安定的に読み取りを行うことができる。
【0016】
さらにまた、第10の側面に係る光学式情報読取プログラムによれば、搬送ライン上を移動する搬送物に付されたコードを読み取る光学式情報読取装置を用いたコード読取を行う光学式情報読取プログラムであって、照明部からコードに照明光を照射し、コードで反射された反射光を撮像部で受光して入力画像を取得する機能と、前記得られた入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなり、前記入力値が0の位置では前記出力値がマイナス方向となるように、前記入力値と出力値の関係を示すグラフ上でオフセットされる特性変換式に基づいて、入力値から階調数を削減した出力値を算出し、各画素が前記出力値を有するコード画像を生成する際、前記入力値が、前記特性変換式が前記オフセットされる量に基づいて定められた閾値よりも大きな画素は、前記特性変換式に基づいて、当該入力値の大きさに基づいて変化すると共に、前記入力値が前記閾値から大きくなるほど当該入力値の変化に対して前記出力値の変化幅が小さくなるような出力値を出力し、前記入力値が前記閾値よりも小さな画素は、前記特性変換式によらず、前記入力値が前記閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力することで、画素毎に前記出力値を有するコード画像を変換部で生成する機能と、前記撮像部で生成したコード画像に基づいて、デコード部でコードにエンコードされた情報のデコード処理を行う機能とをコンピュータに実現させることができる。上記構成により、コードのコントラストが変化しても安定的に読み取りを行うことができる。
【0017】
さらにまた、第11の側面に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体または記憶した機器は、上記プログラムを格納したものである。記録媒体には、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray、HD DVD(AOD)、UHD(いずれも商品名)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記憶した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る光学式情報読取システムの構成を示す模式図である。
図2】光学式情報読取装置の斜視図である。
図3図2の光学式情報読取装置の正面図である。
図4図2の光学式情報読取装置の側面図である。
図5図2の光学式情報読取装置の天面図である。
図6図2の光学式情報読取装置の底面図である。
図7図1の光学式情報読取装置のブロック図である。
図8】光学式情報読取装置と読取対象物との距離に応じて読取面積や光量が変化する様子を示す模式図である。
図9】近くに置かれたコードと、遠くに置かれたコードとで、明るさや大きさが変化する様子を示すイメージ図である。
図10】HDR変換式を表すグラフである。
図11】標準変換特性で生成したコード画像のイメージ図である。
図12】HDR変換特性で生成したコード画像のイメージ図である。
図13】12ビットの入力値を8ビットに変換する変換式を示すグラフである。
図14図13の白部分の輝度値に対するコントラストを示す片対数グラフである。
図15】標準コントラストコードを図14の標準変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図16】標準コントラストコードを図14のHDR変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図17】低コントラストコードを図14の標準変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図18】低コントラストコードを図14のHDR変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図19】HDR1、2、3の変換特性曲線を示すグラフである。
図20図19において仮想的に出力値がマイナスの領域を示すグラフである。
図21図19の変換特性曲線について、コードの白部分の輝度値と、コントラストの関係を示す片対数グラフである。
図22図21の標準変換特性で標準コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図23図21のHDR1で標準コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図24図19の標準変換特性で低コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図25図19のHDR1で低コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。
図26】ガンマ補正の変換式を示すグラフである。
図27】γ=4、8、16、32、64としたHDR変換式の曲線を示すグラフである。
図28図27のHDR変換式において、コードの白部分の輝度値と、コントラストの関係を示す片対数グラフである。
図29】パラメータ値βを変化させたHDR変換式を示すグラフである。
図30】チューニング時のHDRの最適化方法を示すフローチャートである。
図31図31A図31Eは、コード画像の明るさを変化させた場合に、輝度値の分布が変化する様子を示す分布図である。
図32】光学式情報読取プログラムのチューニング画面の一例を示すイメージ図である。
図33】実施例1に係る光学式情報読取装置と、比較例に係る光学式情報読取装置で、搬送物との距離が変化した場合に得られる画像データを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0020】
本発明の実施形態1に係る光学式情報読取システム1000を、図1の模式図に示す。光学式情報読取システム1000は、バーコードや二次元コードなどのコードやシンボルと呼ばれるマーク(以下、集合的に「コード」と呼ぶ。)を読み取って、データの登録、照合を行う。図1に示す光学式情報読取システム1000は、光学式情報読取装置1と、コンピュータ100と、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)101と、搬送用ベルトコンベアBCを備える。
【0021】
この例では、運用時において複数のワークWKが搬送用ベルトコンベアBCの上面に載置された状態で図1における矢印Yの方向へ搬送されており、そのワークWKから上方へ離れた所に、実施形態1に係る光学式情報読取装置1が設置されている。ワークWKは、例えば荷物等の搬送物であり、バーコードや二次元コード等のコードが付されている。コードには、例えば荷物の名称、送り先などの情報が符号化されて記録されている。また、ワークWKが製品の場合は、製品の名称や製造番号、価格などをコードに記録して、トレーサビリティ対応としている。
【0022】
光学式情報読取装置1は、ワークWKに付されているコードを撮像し、撮像された画像に含まれるコードを複合化(デコード処理)して情報を読み取ることができるように構成されたコードリーダである。光学式情報読取装置1は、その運用時に動かないようにブラケット等に固定して使用してもよいし、ロボットや使用者等が把持して動かしながら運用してもよい。また、静止状態にあるワークWKのコードを光学式情報読取装置1によって読み取るようにしてもよい。なお運用時とは、搬送用ベルトコンベアBCによって搬送されるワークWKのコードを順に読み取る動作を行っているときである。
【0023】
各ワークWKにはコードが付されている。コードには、バーコード等の一次元コードや、二次元コードが利用できる。二次元コードとしては、例えばQRコード、マイクロQRコード、データマトリクス(Data matrix;Data code)、ベリコード(Veri code)、アズテックコード(Aztec code)、PDF417、マキシコード(Maxi code)などが挙げられる(いずれも商品名)。二次元コードにはスタック型とマトリクス型があるが、本発明はいずれの二次元コードに対しても適用できる。コードは、ワークWKに直接印刷あるいは刻印することで付してもよいし、ラベルに印刷した後にワークWKに貼付することによって付してもよく、その手段、方法は問わない。
【0024】
光学式情報読取装置1は、コンピュータ100及びプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)101にそれぞれ信号線100a、101aによって有線接続されているが、これに限らず、光学式情報読取装置1、コンピュータ100及びPLC101に通信モジュールを内蔵し、光学式情報読取装置1と、コンピュータ100及びPLC101とを無線接続するようにしてもよい。PLC101は、搬送用ベルトコンベアBC及び光学式情報読取装置1をシーケンス制御するための制御装置であり、汎用のPLCを利用することができる。コンピュータ100は、汎用あるいは専用の電子計算機や携帯型端末等を利用することができる。
【0025】
また光学式情報読取装置1は、その運用時において、PLC101から信号線101aを介して、コード読取の開始タイミングを規定する読取開始トリガ信号を受信する。そして、光学式情報読取装置1は、この読取開始トリガ信号に基づいてコードの撮像やデコードを行う。その後、デコードした結果は、信号線101aを介してPLC101へ送信される。このように、光学式情報読取装置1の運用時には、光学式情報読取装置1とPLC101等の外部制御装置との間で、信号線101aを介して読取開始トリガ信号の入力とデコード結果の出力が繰り返し行われる。なお、読取開始トリガ信号の入力やデコード結果の出力は、上述したように、光学式情報読取装置1とPLC101との間の信号線101aを介して行ってもよいし、それ以外の信号線を介して行ってもよい。例えば、ワークWKの到着を検知するためのセンサと光学式情報読取装置1とを直接的に接続し、そのセンサから光学式情報読取装置1へ読取開始トリガ信号を入力するようにしてもよい。
【0026】
光学式情報読取装置1の外観を、図2図6に示す。これらの図において、図2は光学式情報読取装置1の斜視図、図3図2の光学式情報読取装置1の正面図、図4図2の光学式情報読取装置1の側面図、図5図2の光学式情報読取装置1の天面図、図6図2の光学式情報読取装置1の底面図を、それぞれ示している。
【0027】
光学式情報読取装置1は、照明部4と、撮像部5と、表示部6と、電源コネクタ7と、信号線コネクタ8とが設けられている。さらに、装置本体2には、図5に示すインジケータ9と、図3に示すエイマー10と、図5に示すセレクトボタン11と、エンターボタン12とが設けられている。
【0028】
装置本体2は、上下方向に長い略矩形箱状をなすケーシング2aを備えている。ケーシング2aの内部には、図7に示す制御ユニット29やデコード部31等が設けられている。ケーシング2aの前面には、光学式情報読取装置1の前方へ向けて光を照射することによってワークWKの少なくともコードを照明する照明部4と、光学式情報読取装置1の前方にあるワークWKの少なくともコードを撮像する撮像部5とが設けられている。さらにケーシング2aの前面には、発光ダイオード(LED)等の発光体で構成されたエイマー10が設けられている。このエイマー10は、光学式情報読取装置1の前方へ向けて光を照射することによって撮像部5による撮像範囲や照明部4の光軸の目安を示すためのものである。使用者は、エイマー10から照射される光を参照して光学式情報読取装置1を設置することもできる。
【0029】
ケーシング2aの上面には、図5に示すように表示部6が設けられている。またケーシング2aの上面には、光学式情報読取装置1の設定時等に使用するセレクトボタン11及びエンターボタン12とが設けられている。セレクトボタン11及びエンターボタン12は制御ユニット29に接続されていて、制御ユニット29はセレクトボタン11及びエンターボタン12の操作状態を検出可能になっている。セレクトボタン11は、表示部6に表示された複数の選択肢の中から1つを選択する際に操作するボタンである。エンターボタン12は、セレクトボタン11で選択した結果を確定する際に操作するボタンである。
【0030】
さらに、ケーシング2aの上面の左右両側には、図4に示すようにそれぞれインジケータ9が設けられている。インジケータ9は、制御ユニット29に接続されており、例えば発光ダイオード等の発光体で構成することができる。光学式情報読取装置1の作動状態をインジケータ9の点灯状態によって外部に報知することができる。
【0031】
ケーシング2aの下面には、図6に示すように光学式情報読取装置1に電力を供給するための電力配線が接続される電源コネクタ7と、コンピュータ100及びPLC101に接続される信号線100a、101a用のイーサネット(商品名)コネクタ8とが設けられている。尚、Ethernet規格は一例であり、Ethernet規格以外の規格の信号線を利用することもできる。
(照明部4)
【0032】
照明部4は、図3に示すように複数の第1発光ダイオード16及び複数の第2発光ダイオード17とを備えている。第1発光ダイオード16と第2発光ダイオード17とは、制御ユニット29に電気的に接続されていて制御ユニット29により個別に制御され、別々に点灯及び消灯させることができるようになっている。
【0033】
光学式情報読取装置1の構成を示すブロック図を、図7に示す。この図に示すように、光学式情報読取装置1は、照明部4と、撮像部5と、変換部30と、デコード部31とを備える。照明部4は、コードに光を照射する。撮像部5は、照明部4から照射されコードで反射された光を受光して、入力画像を取得する。変換部30は、撮像部5で得られた入力画像から、コード画像を生成する。コード画像は、入力画像を構成する画素毎に、入力値が大きいほど入力値の変化に対して出力値の変化幅が小さくなる特性変換式を用いて、入力値から階調数を削減した出力値を算出したものである。特性変換式は、後述するHDR変換式が利用できる。変換部30は、入力値が予め定められた閾値よりも大きな画素については、特性変換式に基づいて、この入力値の大きさに基づいて変化する出力値を出力する。ここで入力値とは、入力画像を構成する各画素の画素値を示す。入力値の例としては輝度値が挙げられる。一方で、入力値が閾値よりも小さな画素については、入力値が閾値よりも大きな画素よりも、相対的に小さな一定の値を出力値として出力するように構成している。ここで、相対的に小さな一定の値とは、コードの読取に際して無視できる程度の多少の変動を許容する。
【0034】
最後にデコード部31は、変換部30で生成したコード画像に基づいて、コードにエンコードされた情報のデコードを行う。このようにすることで、コードのコントラストが変化しても安定的に読み取りを行うことができる。特に、コード画像の明るさが変動する場合であっても、コードの白部と黒部のコントラスト値を一定に保持する変換特性を用いてコード画像を生成することで、コードの読取り対応力が向上する。これによりワークの高低差が大きい場合の対応力を向上させることができる。
(撮像部5の構成)
【0035】
撮像部5は、ワークWKに付されており、照明部4によって照明されているコードを撮像する撮像素子5aと、レンズ等を有する光学系5bと、オートフォーカス機構(AF機構)5cとを備えている。光学系5bには、ワークWKのコードが付された部分から反射した光が入射するようになっている。撮像素子5aは、光学系5bを通して得られたコードの画像を電気信号に変換するCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の受光素子からなるイメージセンサである。撮像素子5aは制御ユニット29に接続されていて、撮像素子5aによって変換された電気信号は、制御ユニット29に入力される。また、AF機構5cは、光学系5bを構成するレンズのうち、合焦用レンズの位置や屈折率を変更することによってピント合わせを行う機構である。AF機構5cも制御ユニット29に接続され、制御ユニット29のAF制御部29aにより制御される。
(表示部6)
【0036】
表示部6は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等で構成される。表示部6は、制御ユニット29に接続され、例えば撮像部5で撮像されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル等を表示させることができる。読み取り成功率とは、複数回読み取り処理を実行したときの平均読み取り成功率である。マッチングレベルとは、デコードが成功したコードの読み取りのしやすさを示す読取余裕度である。これはデコード時に発生した誤り訂正の数等から求めることができ、例えば数値で表すことができる。誤り訂正が少なければ少ないほど読取余裕度が高くなり、一方、誤り訂正が多ければ多いほど読取余裕度が低くなる。
(変換部30)
【0037】
光学式情報読取装置1は変換部30を備えている。変換部30は、制御ユニット29に接続されている。変換部30は、撮像素子5aにより取得された第1画像の画素値を所定の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成する部分である。第1画像は変換前画像と呼ぶこともできる。第2画像は変換後画像と呼ぶこともできる。変換部30が第1画像の画素値を変換する際に使用する変換特性は、後述する記憶装置35の変換特性記憶部35dに予め記憶されている。
(デコード部31)
【0038】
光学式情報読取装置1は、白黒の二値化されたデータをデコードするデコード部31を有している。デコードには、符号化されたデータの対照関係を示すテーブルを使用することができる。さらに、デコード部31は、デコードした結果が正しいか否かを所定のチェック方式に従ってチェックする。データに誤りが発見された場合にはエラー訂正機能を使用して正しいデータを演算する。エラー訂正機能はコードの種類によって異なる。
【0039】
この実施形態では、デコード部31が変換部30により変換された第2画像に含まれるコードをデコードする。デコード部31は、コードをデコードして得られたデコード結果を記憶装置35に書き込むように構成されている。また、デコード部31では、デコード前の第2画像に対して各種画像処理フィルタ等の画像処理を行う。
(通信部32)
【0040】
光学式情報読取装置1は通信部32を有している。通信部32は、コンピュータ100及びPLC101と通信を行う部分である。通信部32は、コンピュータ100及びPLC101と接続されるI/O部、RS232C等のシリアル通信部、無線LANや有線LAN等のネットワーク通信部を有していてもよい。
(制御ユニット29)
【0041】
図7に示す制御ユニット29は、光学式情報読取装置1の各部を制御するためのユニットであり、CPUやMPU、システムLSI、DSPや専用ハードウエア等で構成することができる。制御ユニット29は、後述するように様々な機能を搭載しているが、これらは論理回路によって実現されていてもよいし、ソフトウエアを実行することによって実現されていてもよい。
【0042】
制御ユニット29は、AF制御部29aと、撮像制御部29bと、チューニング部29cと、UI管理部29eとを有している。AF制御部29aは、AF機構5cを制御するユニットであり、従来から周知のコントラストAFや位相差AFによって光学系5bのピント合わせを行うことができるように構成されている。
【0043】
撮像制御部29bは、ゲインを調整したり、照明部4の光量を制御したり、撮像素子5aの露光時間(シャッタースピード)を制御するユニットである。ここで、ゲインとは、撮像素子5aから出力された画像の明るさをデジタル画像処理によって増幅する際の増幅率(倍率とも呼ばれる)のことである。照明部4の光量については、第1発光ダイオード16と第2発光ダイオード17を別々に制御して変更することができる。ゲイン、照明部4の光量及び露光時間は、撮像部5の撮像条件である。
【0044】
チューニング部29cは、ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等の撮像条件や、デコード部31における画像処理条件を変更するユニットである。デコード部31における画像処理条件とは、画像処理フィルタの係数(フィルタの強弱)や、複数の画像処理フィルタがある場合に画像処理フィルタの切替、種類の異なる画像処理フィルタの組み合わせ等である。搬送時のワークWKに対する外光の影響や、コードが付されている面の色及び材質等によって適切な撮像条件及び画像処理条件は異なる。よって、チューニング部29cは、より適切な撮像条件及び画像処理条件を探索して、AF制御部29a、撮像制御部29b、デコード部31による処理を設定する。画像処理フィルタは、従来から周知の各種フィルタを使用することができる。またチューニング部29cによるチューニングに際しては、オフセット量の異なる複数の変換特性曲線に基づいて、変換部30で階調変換を行って得られたコード画像に対して、それぞれデコード部31でデコードして、その読取結果に基づいて、複数の変換特性曲線のパラメータを決定することができる。
【0045】
チューニング部29cは、光学式情報読取装置1を運用する前に行われる光学式情報読取装置1の設定時に撮像部5により取得された第1画像を用いて、変換部30に、変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた第2画像を生成させ、生成された第2画像に含まれるコードをデコード部31によってそれぞれデコードした結果を解析することにより、複数の異なる変換特性の中から1つを選択するように構成されている。このチューニング部29cによる処理手順については後述するフローチャートに基づいて詳細に説明するが、概略は次のとおりである。
【0046】
すなわち、光学式情報読取装置1を運用する前には、運用準備段階として、光学式情報読取装置1の設定が行われる。光学式情報読取装置1の設定時には、光学式情報読取装置1に信号線101aを介して接続されたコンピュータ100から、設定用の各種コマンドを送信することにより、各種設定を行う。この設定時に、チューニング部29cによるチューニングが行われる。チューニングを行う際、ワークWKに付されているコードを撮像部5により撮像して第1画像を得る。得られた第1画像の画素値を、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性のうちの一の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成させる。また、得られた第1画像の画素値を、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性のうちの他の変換特性に応じた画素値に変換することにより第2画像を生成させる。変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性が3以上であれば、変換部30に、第2画像を3以上生成させることもできる。
【0047】
そして、生成された複数の第2画像に含まれるコードをデコード部31でそれぞれデコードし、チューニング部29cでは、デコードが成功したコードの読み取りのしやすさを示す読取余裕度を解析する。チューニング部29cは、読取余裕度を解析した結果、読取余裕度の高かった第2画像の変換特性を選択する。光学式情報読取装置1の設定が終了した後、光学式情報読取装置1運用時には、変換部30が、撮像部5により取得された第1画像を用いて、上記チューニング部29cにより選択された変換特性に応じた第2画像を生成してデコード部31がデコードする。
【0048】
チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に1つの第1画像を取得させ、変換部30に、1つの第1画像を用いて変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた複数の第2画像を生成させるように構成されていてもよい。この場合、光学式情報読取装置1の設定時に、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性の数だけ第2画像が生成されることになる。
【0049】
また、チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に複数の第1画像を取得させ、変換部30に、複数の第1画像のそれぞれについて変換特性記憶部35dに記憶された複数の異なる変換特性の各々に応じた複数の第2画像を生成させるように構成されていてもよい。この場合、光学式情報読取装置1の設定時に第1画像が複数得られることになるので、その第1画像の数と、変換特性記憶部35dに記憶されている変換特性の数とを乗じた数の第2画像が生成されることになる。
【0050】
また、チューニング部29cは、光学式情報読取装置1の設定時、撮像部5に、撮像条件を変えて複数回撮像させて複数の第1画像を取得させるように構成されていてもよい。撮像条件は、ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等である。
【0051】
図7に示すUI管理部29eは、表示部6に、各種インターフェース、撮像部5で撮像されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル等を表示させたり、セレクトボタン11及びエンターボタン12からの入力を受け付けたり、エイマー10の点灯を制御するユニットである。
(記憶装置35)
【0052】
記憶装置35は、メモリやハードディスク等で構成されている。記憶装置35には、デコード結果記憶部35aと、画像データ記憶部35bと、パラメータセット記憶部35cと、変換特性記憶部35dとが設けられている。デコード結果記憶部35aは、デコード部31によりデコードされた結果であるデコード結果を記憶する部分である。画像データ記憶部35bは、撮像素子5aによって撮像された画像を記憶する部分である。
【0053】
変換特性記憶部35dは、変換部30で第1画像の画素値の変換時に用いられる複数の異なる変換特性を記憶する部分である。変換特性は階調変換特性であり、この実施形態では、後述する図19に示すように、3つの変換特性を変換特性記憶部35dに予め記憶させている。
【0054】
図7に示すパラメータセット記憶部35cは、コンピュータ100等の設定装置によって設定された設定情報やセレクトボタン11及びエンターボタン12によって設定された設定情報等を記憶する部分である。このパラメータセット記憶部35cには、撮像部5の撮像条件(ゲイン、照明部4の光量及び露光時間等)と、デコード部31における画像処理条件(画像処理フィルタの種類等)との少なくとも一方を構成する複数のパラメータを含むパラメータセットを記憶することができる。
【0055】
近年、製品の管理情報を短時間で認識するために、製品名やシリアル番号、価格などの情報を記録した、バーコードなどの1次元コードや、QRコード等の2次元コードが広く用いられている。このようなコードを読み取ってデコードし、コードに記録されたデータの登録や照合等の処理を行う部材として、光学式情報読取装置が用いられている。光学式情報読取装置は、手持ち式のハンディスキャナ、ハンディターミナル、業務用PDA等や、定置式のコードリーダに大別される。
【0056】
定置式の光学式情報読取装置は、物流配送センター等で広く使用されている。物流配送センターにおいては、各搬送物に付された、届け先情報が含まれるコードを読み取り、コンベア等で搬送される搬送物の自動仕分けに用いられている。このためコードを確実に読み取ることが求められ、さらに光学式情報読取装置を複数台、適切に配置することが必要となる。また年々、配送量が増加する背景もあるため、搬送物を高速で読み取らなくてはならない。
【0057】
しかしながら、物流配送センターにおいて搬送される搬送物のサイズは不定であり、背の高い大型の荷物から、背の低い小型の荷物まで様々存在する。このような不定形の荷物のコードを高速で読み取って荷物の仕分けをする用途に光学式情報読取装置を用いる場合、安定して読み取りを行うためには、以下の2つの課題が存在する。
(課題1:荷物の高さの高低差による明るさ変動抑制)
【0058】
安定したコードの読み取りをするためには、移動する荷物を鮮明に撮影する必要がある。しかしながら、荷物の高さが異なることや、光学式情報読取装置とコンベア間の距離などによって、撮影距離に大きなばらつきが生じる。一般的に、図8に示すように明るさは光学式情報読取装置1からの距離の二乗に比例して減少することが知られている。よって、図9において右下に示すように、コードが近方にある場合は明るすぎる画像になる傾向があり、逆に図9において左上に示すようにコードが遠方にある場合は暗すぎる画像になる傾向がある。
【0059】
また、リニアな画像を取得した場合、撮像対象が明るくなると、コードと、コード以外のコントラストも上がる。このため、画像が暗いと、コントラストが小さくなってデコードできなくなる。一方で画像が明るいと、コードのコントラストと共にコード以外のコントラストも上がって、処理時間がかかるという問題があった。
(課題2:低コントラストコードへの対応)
【0060】
また、別の問題として、コード自体が低コントラストになっている場合が挙げられる。例えばコードを印字する時点でインク残量が少なくなった、又は高速移動印字により十分なインクの塗布ができなかった場合などで、黒地のナローバーが薄くなっていることがある。あるいは、搬送物に付されたコードの印字面が、搬送物の搬送中に様々なものに擦れることで表面を剥ぎ取られ、事後的にコントラストが低くなる場合もある。
【0061】
課題1においては、仮に自動焦点機構などを用いてピンボケを改善したとしても、依然として残る課題であり、解決することが望ましい。
【0062】
また課題2においても、コード側での改善が困難であるため、コード読み取り性能を向上させることで対処することが望ましい。
【0063】
このような課題に対して、従来は、撮像部5で読み取ったビット数の高い画像データを、変換部30で扱い易い低ビット数の画像データに変換する変換処理に際し、変換特性を工夫することでコントラストが損なわれないようにしていた。具体的には、図10に示すような変換特性(HDRカーブやLOGカーブ等とも呼ばれる。)を用意して、コントラスト差を確保していた。ここで、標準変換特性で生成したコード画像を図11、HDR変換特性で生成したコード画像を図12に、それぞれ示す。このように、HDRカーブで表現することで白潰れや黒潰れ部分は大幅に改善され、大きなダイナミックレンジを確保してコントラストの明確なコード画像を得ることができる。
【0064】
ここで変換特性について、図10図13に基づいて説明する。図10はガンマ変換のガンマ値を変えた4つの変換特性を示している。この図に示す変換特性は、ガンマ値を1.0よりも大きな値(例えば2.0)にしたHDR特性(第一変換特性)と、HDR特性のガンマ値よりも大きなガンマ値にした超HDR特性(第一変換特性)と、ガンマ値を1.0にした標準特性と、ガンマ値を1.0未満(例えば0.5)にしたコントラスト強調特性(第二変換特性)である。各変換特性のガンマ値は例示であり、上記した値に限定されるものではない。HDR特性及び超HDR特性は、ガンマ値が1.0よりも大きな値であるため、いわゆるログ変換であり、光学式情報読取装置1の運用時に撮像部5により取得された第1画像の明るさ変動を抑制するための略対数曲線からなる特性である。ワークWKのコードの明るさが変化したとしても、デコードするための第2画像の明るさ変動が抑制される。また、HDR特性及び超HDR特性を用いることにより、ハレーションが起こり難くなるので、情報が欠落し難くなる。例えば、撮像部5の有効視野が広い場合や長深度化した場合には、ワークWKと撮像部5との距離のバラつきが大きくなり、このことで光学式情報読取装置1の運用時に撮像部5により取得された第1画像の明るさが大きく変動することが考えられるが、HDR特性及び超HDR特性を選択することで、明るさ変動が抑制された第2画像を得ることができ、読み取り精度が高まる。
【0065】
標準特性は、ガンマ値が1.0であるため、光学式情報読取装置1の運用時に撮像部5により取得された第1画像の画素値をそのまま出力する。標準特性は、HDR特性とコントラスト強調特性の間の特性を持っている。第1画像のビット数が多ければ多いほど多くの情報を圧縮して取得できるため、撮像素子5aからの入力は10ビット入力よりも12ビット入力の方が表現豊かになる。これにより明るさ変動が抑制されて読み取り精度が高まるので、好ましい。尚、撮像素子5aから12ビットまたは10ビットで入力した信号は8ビットに変換している。
【0066】
コントラスト強調特性は、ガンマ値が1.0未満であるため、光学式情報読取装置1の運用時に撮像部5により取得された第1画像のコントラストを強調するための略指数曲線からなる特性である。ある特定の入力値として二次元コードのセル部分(黒部分)の画素値が120で、スペース部分(白部分)の画素値が130である場合のようにセル部分とスペース部分とのコントラストが小さいケースのとき、コントラスト強調特性で変換することで、出力値としてセル部分(黒部分)の画素値が23で、スペース部分(白部分)の画素値が164になり、コントラストを強調できる。
【0067】
ただし、このような一般的なHDR変換でも対応できる範囲には限りがあり、特に物流業界で扱うような高低差が大きい搬送物や、読み取り距離が長い場合、明るさのばらつきが大きい場合等には、コードの読み取りを安定して行うには依然として不十分であった。
【0068】
例えば、撮像素子で撮影して得られる画像について、画像データを構成する画素毎に12ビット(4096諧調)の入力値を、ある変換特性により8ビット(256諧調)に変換して出力する場合を考える。この場合の変換式は、図13に示すようなグラフとなる。また、このときのコードの白部分の輝度値を横軸とし、その白部分からどれだけ黒部分との差分輝度値、すなわちコントラストが取れるかを縦軸に示したグラフは、図14のようになる。
【0069】
コードを安定して読み取るためには、ある程度のコントラスト(コードの白部分と黒部分の輝度差)が必要である。ここで、コードを読み取るために必要なコントラスト値のしきい値を、エッジ強度と呼ぶ。このエッジ強度が高い場合はコードを認識し易くなり、高速読み取りが可能であるものの、輝度値が変化するとたちまち読み取りできなくなる。すなわち、読取対象の輝度値の変化の対応力が弱い。一方で、エッジ強度が低い場合は、コードのコントラスト値がノイズに埋もれて読み取りが困難となる。一般に撮像部5に用いられるCMOSセンサ等の撮像素子が持つノイズ成分が、一定量、撮像された画像に対して重畳されるため、エッジ強度を低くし過ぎると、読み取りが難しくなる。すなわち、高速読取には不適となる。半面、輝度値の変化に対する対応力は高くなる。このように、高速読取と輝度値変化対応力はトレードオフの関係にあるため、適切なしきい値を設定することが重要となる。
【0070】
ここで、図14のグラフに対して、撮像素子のノイズ成分を斜線で重ねたグラフを図15図16に示す。ここでは、一般的なコード(例示としてPCS=0.85、MTF=0.15を「標準コントラストコード」と呼ぶ。)を、標準的な明るさで読み取る場合を示している。ここでPCS(Print Contrast Signal)とは、バーコードの品質、一般的にはコントラストを表す指標である。PCS={(白の反射率)-(黒の反射率)}/(白の反射率)で計算され、理想的なコードはPCS=1.0である。またMTF(Modulation Transfer Function)とは、撮像したときのボケ度合を示す指標である。MTFはコードでなく、レンズとピント位置によって決まる値となる。MTF=0.15は、ボケが無ければ100%のコントラストが得られるところが、ボケによって15%のコントラストしか得られないことを示す。またエッジ強度は、6に設定している(縦軸において破線で示す)。図15は、標準コントラストコードを図14の標準変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフ、図16は同じく標準コントラストコードを、図14のHDR変換特性で読み取る場合のダイナミックレンジを示す片対数グラフである。これらの図に示すように、標準カーブよりHDRカーブの方がコントラストは大きく取りにくいが、ダイナミックレンジは幅広く確保することが可能となる。例えば図15において実線で示す標準カーブの場合は、輝度値512~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは8倍となる。また図16において破線で示すHDRカーブの場合は、輝度値が256~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは16倍となる。
【0071】
ただし、読取対象が低いコントラストのコード(例示としてPCS=0.70、MTF=0.12を「低コントラストコード」と呼ぶ。)になると、図17図18のようになる。低コントラストコードでは標準コントラストコードと比べ、PCSが0.85から0.70に低下しており、よりコントラストが低いコードとなっている。またMTFは0.15から0.12に低下しており、ピンボケがさらに大きくなる条件で撮像されたものを想定している。例えば図17において実線で示す標準カーブの場合は、輝度値700~4096の幅で読み取りが可能となり、図15の標準コントラストコードのダイナミックレンジ(図17において破線で示す矢印)よりも狭くなっていることがわかる。また図18において破線で示すHDRカーブの場合は、輝度値が512~4096の幅で読み取りが可能となり、図16の標準コントラストコードのダイナミックレンジ(図18において破線で示す矢印)よりも狭くなっていることがわかる。
【0072】
このように、低コントラストコードの場合は、標準的なコードと比較してダイナミックレンジが減少するため、読み取りの安定度が低下する。このため、このような低コントラストコードを含めて対応できるように、幅広いダイナミックレンジを確保できる光学式情報読取装置が望まれている。
【0073】
そこで、本実施形態に係る光学式情報読取装置においては、明るさが半分になると、傾きが倍になるような変換特性を用意している。これにより、明るさが変動してもコントラストを維持することが可能となる。具体的には、変換特性式が、撮像部5の入力値が0から所定値までの範囲で、出力値がゼロとなるように設定されている。入力値が0から所定値までの範囲とは、コードの読み取りができないレベルの暗さであり、光学式情報読取装置の設置される環境、例えば周囲の明るさや要求される精度などに応じて設定される。元々、コードの読み取りができない明るさについては、出力値があっても実質的に利用できないことから、ゼロとしても実用上の差し支えはない。また本発明は出力値を必ずしもゼロに限定するものでなく、所定の値としてもよい。この所定の値も、実質上読み取り困難な低い輝度の範囲で設定された固定値とすることが好ましい。例えば8ビット256階調の場合、0~50といった、階調数の1/5以下の範囲とする。また、固定値とする例に限らず、可変値としてもよい。ただし、可変値の上限は、例えば上述した0~50といった実質上コード読み取りが困難な輝度値とする。
【0074】
ここでは、図19に示すように、高ビット数(例えば12ビット)の入力値を低ビット数(例えば8ビット)の出力値に変換する変換特性としてHDR1、2、3の変換特性曲線を用意している。なお、図19においては比較のため、入力値を出力値に線形に変換する標準変換特性も実線で示している。この標準変換特性は、入力値0、出力値0の原点を通るのに対し、HDR1、2、3は原点を通らない。これは、図19において仮想的に出力値がマイナスの領域を示した図20に示すように、HDR1、2、3の変換特性曲線を縦軸においてマイナス方向となるようにオフセットさせているためである。換言すると、HDR1、2、3は、入力値が0のとき、出力値がマイナス方向となるようにオフセットされている。
【0075】
このように変換特性をオフセットさせることで、撮像素子の能力を一部犠牲にすることになるものの、対応可能な明暗範囲を拡大することができる。このような思想は、撮像素子の能力を最大限活用しようとする、カメラ等の光学画像を高解像度で撮像して再現しようとする技術分野では通常見られないものである。換言すると、光学画像とは異なり、定置式光学情報読取装置に特有の事情に起因する。光学画像を観察する場合は、入力値が小さい領域でも、出力値が求められる。これに対して本実施形態に係る構成によれば、入力値が小さい領域では、輝度値が0となって全く表現できなくなる。いわば、撮像素子の能力を一部捨てた状態となっている。しかしながら、光学式情報読取の分野においては、コードの読み取りが重要であって、このためには暗部と明部(一般には白部分と黒部分)のコントラストこそが重要であり、暗部が見えないことでも実用上問題が生じない。本発明は、このようなコードの読み取りに特化した変換特性を持たせることにより、光学画像の観察では採用しない、暗部の輝度値を捨てるという特有の構成を採用した結果、様々な環境下でもコントラストを確保してコードの安定読み取りを実現したものである。
【0076】
ここで、これらの変換特性曲線について、コードの白部分の輝度値と、コントラスト、すなわちコードの白部分と黒部分の輝度差の関係を示すグラフを、図21に示す。この図においても、比較のため変換特性を実線で示している。
【0077】
さらに、この図21の変換特性曲線の内、実線で示した標準変換特性を用いて、一般的なコード(PCS=0.85、MTF=0.15)を、標準位置で読み取る場合のダイナミックレンジを、図22に示す。この図において、読み取りのしきい値となるエッジ強度を5に設定すると、縦軸5を示す破線と標準変換特性の曲線が交差する点が、読み取りの下限となる。よって、輝度値512~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは8倍となる。
【0078】
これに対して、図21の変換特性曲線の内、破線で示したHDR1の変換特性を用いて、同じく一般的なコードを標準位置で読み取る場合のダイナミックレンジを、図23に示す。この図において、エッジ強度5を示す横方向の破線と、HDR1変換特性を示す縦方向の破線が交差する点が、読み取りの下限となるので、輝度値64~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは64倍となる。
【0079】
次に、図19の変換特性曲線を用いて、低コントラストコード(PCS=0.70、MTF=0.12)を読み取る場合を、図24図25に示す。まず、図19の変換特性曲線の内、標準変換特性で低コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを、図24の片対数グラフに示す。この図に示すように、エッジ強度5を示す破線と標準変換特性が交差する点が、読み取りの下限となるので、輝度値700~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは6倍となる。
【0080】
一方、図19の変換特性曲線の内、HDR1で低コントラストコードを読み取る場合のダイナミックレンジを、図25の片対数グラフに示す。この図に示すように、エッジ強度5を示す破線と、HDR1変換特性を示す実線の曲線が交差する点が、読み取りの下限となるので、輝度値64~4096の幅で読み取りが可能となり、ダイナミックレンジは64倍となる。すなわち、図23に示した標準コントラストコードと同様のダイナミックレンジを、低コントラストコードの読み取りにおいても確保できる。
【0081】
このように、変換特性曲線としてHDR1を選択すると、広いダイナミックレンジを確保できる。半面、閾値およびノイズに対して余裕がないため、低コントラストの入力画像を安定度高く読み取ることが困難である。低コントラストの入力画像を安定度高く読み取りするためには、変換特性曲線としてHDR2を選択する。この場合、ダイナミックレンジはHDR1に比べて狭くなる。このようなトレードオフがあるため、安定度高く読取りするためには、読み取りたいコードと使用環境に合わせて適切な変換特性を選択する必要がある。
【0082】
そこで、チューニング部29cにより、対応可能な明暗範囲すなわちダイナミックレンジと、低コントラストコードへの対応力のトレードオフを最適化し、安定度の高い読取りを実現する。例えば、複数本の変換特性曲線を試行して、互いのマージンを確保したものを最適値とするよう、チューニング部29cでチューニングを行う。換言すると、実際の搬送物や周囲の明るさ等の条件に応じて、最適な変換式を選択するようにチューニングを行うことで、様々な異なる環境下でもこれに応じた適切な読み取りを行えるようになる。
(ガンマ補正)
【0083】
ここで、特性変換式の一例として、ガンマ補正について説明する。ガンマ補正は、コントラスト調整に用いられる非線形補正である。入力画像の画素値をIin、出力画像の画素値をIout、最大輝度をImaxとすると、ガンマ補正の変換式は数1で定義される。
【0084】
【数1】
【0085】
数1で定義されるガンマ補正の変換曲線は、図26のようになる。この図に示すように、γ>1のとき、変換曲線は上に凸な曲線となる。また変換後の画像は、明部の差は小さく、暗部の差は大きくなり、コントラストが全体的に明るくなる。
【0086】
γ=1のときは、変換曲線が直線状となり、変換後の画像のコントラストは無変換となる。
【0087】
γ<1のとき、変換曲線は下に凸な曲線となる。また変換後の画像は、明部の差は大きく、暗部の差は小さくなり、コントラストが全体的に暗くなる。
(HDR変換式)
【0088】
次に、ガンマ補正を利用した特性変換式の一例として、12ビットの入力値を8ビットの出力値に変換するHDR(ガンマ補正)変換式を数2に示す。
【0089】
【数2】
【0090】
数2において、
Y:出力値
X:入力値
1/γ:ガンマ係数
255:8ビット
4095:12ビット
を示している。
(コントラストと白部分輝度値の数式)
【0091】
このようなガンマ補正を利用した本実施形態に係る光学式情報読取装置で用いるHDRの変換特性は、数3で表される。
【0092】
【数3】
【0093】
数3において、
X:入力値(0~4095の諧調)
Y:出力値(0~255の諧調)
α、β:HDRカーブを調整するパラメータ値
を、それぞれ示している。
ここでも、12ビット画像を8ビット画像に変換する変換式を示している。なお、数3においてY<0のときはY=0とする。
(コントラストの計算方法)
【0094】
また、コントラストの計算方法を説明する。ここで、12ビット画像の白輝度値W_12、12ビット画像の黒輝度値をB_12、8ビット画像の白輝度値をW_8、8ビット画像の黒輝度値をB_Wと規定すると、12ビット画像のコントラストはContrast=W_12-B_12、8ビット画像のコントラストはContrast=W_8-B_8と、それぞれ定義される。
【0095】
12ビット画像を8ビット画像に変換した後の白輝度及び黒輝度は、それぞれ数4、数5で表される。
【0096】
【数4】
【0097】
【数5】
【0098】
以上から、コントラストは数6で表される。
【0099】
【数6】
【0100】
ただし、W_8<0、B_8<0は除く。
【0101】
このようなHDR変換式を用いることで、入力画像の明るさが半分になると、変換特性でその明るさを倍にする。これにより、傾きを一定に維持できる。この詳細を、以下説明する。まず、上記数3のパラメータ値αをγで置き換えると、次式で表現できる。
【0102】
【数7】
【0103】
両辺をxで微分すると次式が得られる。
【0104】
【数8】
【0105】
ここで、入力値であるxがa倍された状態を表現するため、xをaxに置き換えると、次式が得られる
【0106】
【数9】
【0107】
これを変形して、次式が得られる
【0108】
【数10】
【0109】
さらに変形して、次式が得られる。
【0110】
【数11】
【0111】
ここでγを∞とすると、次式が得られる。
【0112】
【数12】
【0113】
このように、γが無限大の理想状態では、入力値がa倍のときに、傾き(ここではコントラストに近似できる)が1/aとなることがわかる。したがって、この変換式を使うことで、入力値によらずコントラストを一定に保つことができる。さらに、Y=0のときにY’(x)<1となるようにα値とβ値を調整することで、8ビット(256段階)の諧調値を全て使える変換式を実現している。
【0114】
また、数3においてパラメータ値αを大きくすると、入力値が小さいときの出力値の大きさが顕著に増大するため、輝度値の表現力が低下することになる。つまりパラメータ値αを大きくすると、コントラスト値に換算したときにより水平になる。そこで、パラメータ値βを調整することで、カーブの0点をオフセットして調整している。
(パラメータ値α)
【0115】
数3において、パラメータ値αは、一般的なガンマ補正(数1や数2)でいうパラメータ値γに相当する。
【0116】
ここで数3において、パラメータ値αを4、8、16、32、64としたHDR変換式の曲線を、図27のグラフに示す。また、このHDR変換式を用いた、コードの白部分の輝度値と、白部分と黒部分の輝度差、すなわちコントラストの関係を示す片対数グラフを、図28に示す。
【0117】
図27に示す入力値と出力値の関係において、パラメータ値αを大きくすると、より上に凸状のHDRカーブとなる。つまり、入力値が小さい区間において、少しの入力値変化で大きな出力値となる。よって、その区間では出力輝度値は間引かれて、明るさの表現力が落ちることとなり、好ましくない。
【0118】
逆に、パラメータ値αを小さくすると、より直線に近づいたHDRカーブとなる。すなわち、入力値が小さい区間においても、緩やかな入力-出力変換が行われるため、明るさの表現力は高く、好ましいと言える。
【0119】
一方で、図28に示すコード白部分の輝度値に対するコントラスト値においては、パラメータ値αを大きくすると、コントラスト変化が小さくなる。よって、幅広いコード白部分の輝度値変化に対して、一定量のコントラストが得られ、好ましい。
【0120】
逆に、パラメータ値αを小さくすると、コントラスト変化が大きくなる。すなわち、コード白部分の輝度値変化に応じて、コントラストもばらつくため、好ましくない。
【0121】
このように、パラメータ値αは、明るさの表現力と、コードの白部分の輝度値の変化に対するコントラストの維持という観点において、トレードオフの関係性を示す。このため、これらの点を考慮して最適値を求める必要がある。
【0122】
図28に示すコントラストの均一性の観点からは、なるべくコントラスト変化が小さい方が望ましい。このため、パラメータ値αは8以上が望ましい。また、γ値が32であるとより望ましい。
【0123】
一方で、図27に示す出力値の間引きの観点からは、なるべくγ値は小さい方が望ましい。
【0124】
以上のような観点を考慮して、本実施形態に係る光学式情報読取装置においては、数3のパラメータ値αを固定値として、パラメータ値βを変化させている。ここではα=5としている。
【0125】
また、パラメータ値βを変化させたHDR変換式のグラフを、図29に示す。この例では、パラメータ値βを、11、12、13、14、15、17、19、21、23、25、27、30、34、39、45、52の16通りに変化させた場合のHDR変換式の曲線を、それぞれ示している。これらのHDR変換式の曲線を、チューニングで最適化している。なお、図29の各グラフは、パラメータ値βを11x(-128)=-1408;12x(-128)=-1536;13x(-128)=-1664;14x(-128)=-1792・・・と変化させたものである。またパラメータ値βを11x(-128)=-1408よりも小さい値にすると、変換式の傾きが1を超え、8ビットで表現できなくなるため、そのようなβは最適化の対象から省いている。また図29で、HDR5_19のカーブは、α=5(つまりγ=25=32)、β=19x(-128)=-2432であることを示している。
(チューニング時のHDRの最適化方法)
【0126】
ここで、チューニング時のHDRの最適化方法を、図30のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS3001において、明るさの仮決めを行う。
【0127】
次に、ステップS3002において、パラメータの初期化を行う。ここでは、HDRインデックス値を0としパラメータ値β(index)を0、連続成功回数を0とする。各変換特性曲線にはHDRナンバーが割り当てられており、それぞれ異なるβの値が割り当てられている。例えば、HDR値が小さいほど明るさの変化には強いが、低コントラストのコードに対しては弱いなど、HDRナンバーが変化するごとにエッジ強度が高くなるようにβの値が割り当てられている。
【0128】
次に、ステップS3003において、設定されたパラメータ値βを用いて撮像部5で撮像を行い、変換部30でコード画像を生成し、ステップS3004において読取処理を実行する。そしてステップS3005において、設定されたパラメータ値βにおいて読み取り可能か否かを判定する。読み取りができない場合は、ステップS3006に進み、連続成功回数を0とする。このようにステップS3006において連続成功回数を0とするのは、連続して読み取りできることを評価するためである。一度でも読み取れない場合は、ゼロに初期化することで、連続して読み取りできる回数を計数する。上述のように、エッジ強度が低いと、低コントラストの画像を安定度高く読むことができないが、明るさの変化には強いというトレードオフが存在するため、連続読取り回数を計数することで、環境やコードのコントラストに対応して安定度高く読取りすることが可能であるかを評価する。そしてステップS3007に進み、パラメータ値βを変化させる。つまり、HDRナンバーに1を加算する。その上でステップS3003に戻り、上記の工程を繰り返す。
【0129】
一方、ステップS3005において、設定されたパラメータ値βで読み取り可能であった場合は、ステップS3008に進み、連続成功回数をカウントする。ここでは、連続成功回数に1を加算する。そしてステップS3009において、連続成功回数が所定のしきい値に至ったか否かを判定する。本実施形態においては、連続成功回数のしきい値を4としている。連続成功回数が連続成功回数しきい値に至らない場合は、ステップS3007においてパラメータ値βを大きくする、つまりHDRナンバーを段階的に大きくして、ステップS3003に戻って上記の工程を繰り返す。例えば、ステップS3007を経過する度にパラメータ値βを、11x(-128)=-1408、12x(-128)=-1536、13x(-128)=-1664、14x(-128)=-1792、・・・と順に大きくしていく。
【0130】
そして、ステップS3009において連続成功回数が連続成功回数しきい値以上となった場合は、ステップS3010に進み、このパラメータ値βを採用する。
(チューニング時の明るさの最適化方法)
【0131】
次に、チューニング部29cによるチューニング実行時の明るさの最適化方法について説明する。上述の通り、コード画像の明るさは、露光時間や照明強度等で調整する。ここで、コード画像の明るさを変化させた場合に、輝度値の分布が変化する様子を、図31A図31Eに示す。これらの図において、図31Aから図31Eに向かって、次第にコード画像の明るさが明るくなっている。なお、輝度値が0未満の頻度は0に加算される。
【0132】
これらの図に示すように、HDR曲線を固定した状態で、撮像画像の明るさを明るく変化させていくと、画像データ中のコードの領域(コード領域)の画像の輝度分布は、輝度値の広がりが一定のまま、暗い部分から明るい部分にシフトしていく形となる。このような特性から、図31Cに示すような、輝度値の分布が輝度中央値の128付近を中心とするような明るさを選択することが好ましい。
【0133】
このような傾向から、チューニング時に明るさを最適に設定するには、コード領域の白部分と黒部分の輝度値がバランス良く分布している状態となるようにする。具体的には、コード画像の読み取りが成功した後に、コード領域におけるバー領域(黒部分)の代表値をblackValue、スペース領域(白部分)の代表値をwhiteValueとした場合に、
【0134】
intensityBalance=ABS(128-(whiteValue+blackValue/2)
を計算する。そして、上式のintensityBalanceがゼロに近いほど、白部分と黒部分の輝度値のバランスが良いと見なす。このような観点から、最適な明るさとなるようにチューニング部29cで設定する。
(チューニングに用いるスコアの計算方法)
【0135】
ここで、実際のチューニングの際に用いるスコアの計算には、次式を用いる。
【0136】
contrast=whiteValue-blackValue;
【0137】
score=contrast-intensityBalance/2
【0138】
ここで、contrast値は明るさの変化によって変化しない値のため、実質的にintensityBalanceのみが最適な明るさを決めることになる。なお、contrast値をスコアに入れる理由は、コントラストの余裕度を表現するためである。
【0139】
なお以上の例では、連続して読み取りに成功したか否かでロバスト性を判断している。この構成であれば、連続して読み取りに成功した場合は、その時点までのパラメータを選択することが可能となり、パラメータの変更回数を少なくできる利点がある。ただ本発明は、この方法に限定されるものでない。例えば、パラメータの変更を一通り行った上で、読み取りに成功した内で最もよい結果を示すパラメータを選択してもよい。また、連続して読み取りに成功していなくとも、類似するパラメータの変換特性曲線の結果も踏まえて判断することで、ロバスト性を考慮できる。
(チューニング画面)
【0140】
チューニング部29cで最適なパラメータ値を設定するためのチューニングを実行するには、例えば光学式情報読取プログラムを操作して、表示部にチューニング画面を表示させて行う。このようなチューニング画面の一例を、図32に示す。この図において、左側には各種の操作を行うボタン等のツール類を配置した操作領域、右上に画像データを表示する画像表示領域、右下にグラフ表示領域を、それぞれ設けている。「読み取り」タブを選択した状態で、操作領域には、「モニタ開始」ボタン、「オートフォーカス」ボタン、「チューニング開始」ボタンが表示されている。画像表示領域には、撮像部5で実際に撮像された、コードを含む搬送物の画像データが表示される。グラフ表示領域には、チューニングを実行した際に得られたデータ領域の明るさと、HDRの最適化を実行して得られた評価値であるスコア(読み取り余裕度)の関係を示すグラフが表示されている。読取り余裕度が高いほど、安定度高くコード画像の読み取りが可能である。この画面において、ユーザが「チューニング開始」ボタンを押下すると、画像表示領域に表示された画像データに対してチューニングが開始され、図30で示したHDRの最適化方法が実行されると共に、チューニング結果がグラフ表示領域に順次プロットされる。また、画像表示領域に表示された画像データ中から、コードとして認識されたコード領域が枠で囲んで表示される。
【0141】
具体的には、「チューニング開始」ボタンを押下すると、図32において右下に設けられたグラフ表示領域に示すグラフ中に、読み取りができた個所に黒丸がプロットされる。このグラフの横軸は、画像の明るさを、縦軸は読み取り余裕度を、それぞれ示している。画像の明るさは、光学式情報読取装置で予め設定した総合明るさ(露光時間やゲインの組み合わせ)をインデックス化して出している。また読み取りやすさは、コントラストが明確に表れているか等を示す、読み取り易さの指標である。
【0142】
また光量は、光学式情報読取装置と搬送物の距離の二乗に反比例する。このため、スコアの山の極大を取る部分に明るさを決定することで、運用時においては、近距離側または遠距離側への変化の両方にバランスよく余裕度を確保した明るさを設定することができる。
【0143】
ここで、実施例1に係るHDR変換特性と、従来技術である図10のHDR変換を用いて搬送物との距離が変化した場合に得られる画像データを、図33に示す。左側は図10のHDR変換によって生成したコード画像、右側は上述したチューニング部29cによって最適化された変換特性によって生成したコード画像である。これらの図に示すように、搬送物と光学式情報読取装置の距離が変化しても、一定量の明るさを維持できていることが確認される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の光学式情報読取装置、光学式情報読取方法、光学式情報読取プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用される、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行う定置式コードリーダや、ハンディスキャナ、ハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0145】
1…光学式情報読取装置
2…装置本体
2a…ケーシング
4…照明部
5…撮像部
5a…撮像素子
5b…光学系
5c…オートフォーカス機構
6…表示部
7…電源コネクタ
8…信号線コネクタ;8b…イーサネットコネクタ;8c…USBコネクタ
9…インジケータ
10…エイマー
11…セレクトボタン
12…エンターボタン
16…第一発光ダイオード
17…第二発光ダイオード
29…制御ユニット
29a…AF制御部
29b…撮像制御部
29c…チューニング部
29e…UI管理部
30…変換部
31…デコード部
32…通信部
35…記憶装置
35a…デコード結果記憶部
35b…画像データ記憶部
35c…パラメータセット記憶部
35d…変換特性記憶部
40…チューニング画面
41…操作領域
42…画像表示領域
43…グラフ表示領域
44…「読み取り」タブ
45…「モニタ開始」ボタン
46…「オートフォーカス」ボタン
47…「チューニング開始」ボタン
100…コンピュータ
100a…信号線
101…PLC
101a…信号線
1000…光学式情報読取システム
BC…搬送用ベルトコンベア
CD1、CD2…コード
CI1、CI2…コード画像
WK…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図30
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