(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】歯形部を有する冷間鍛造製部品と、その製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B21K 1/12 20060101AFI20240205BHJP
B21J 5/06 20060101ALI20240205BHJP
B21J 5/02 20060101ALI20240205BHJP
B21J 13/02 20060101ALI20240205BHJP
B21J 13/03 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B21K1/12
B21J5/06 B
B21J5/02 B
B21J13/02 B
B21J13/02 C
B21J13/02 K
B21J13/03
(21)【出願番号】P 2020050415
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513281460
【氏名又は名称】日鉄精圧品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆一
(72)【発明者】
【氏名】新貝 康晴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-097558(JP,A)
【文献】特開2009-275878(JP,A)
【文献】特開2008-200684(JP,A)
【文献】特開2010-137262(JP,A)
【文献】特開2008-114256(JP,A)
【文献】特開2002-178086(JP,A)
【文献】特開平03-077738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21K 1/12
B21J 5/06
B21J 5/02
B21J 13/02
B21J 13/03
F16D 1/02
F16D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯形部と該歯形部に連続する第1の歯形無し部を軸方向へ備える冷間鍛造製部品であって、
前記歯形部は、
前記軸方向へ延び、かつ複数の歯形を有し、前記歯形の前記軸方向における両端部のうち、前記第1の歯形無し部から近い方の端部を歯形終端部、前記第1の歯形無し部から遠い方の端部を歯形先端部とするとき、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に2mmの位置と、前記歯形先端部から前記歯形終端部の方向に2mmの位置との間の領域におけるオーバーボール径の最大値および最小値の差ΔOBDが式(1)の関係を満足
し、
前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に10mm以内の範囲に、前記歯形終端部のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する細径歯形部と、前記細径歯形部のオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する太径歯形部を備える、
冷間鍛造製部品。
ΔOBD≦歯底円直径×0.001mm …(1)
但し、歯底円直径は、歯形終端部から歯形先端部の中央位置における歯底円直径で、単位はmmである。
【請求項2】
冷間鍛造による前方押出し加工を行って請求項
1の冷間鍛造製部品を製造する製造方法であって、
前記前方押出し加工において、前記歯形の前記軸方向の中央位置から前記歯形終端部までにおける最高加工速度が、前記歯形先端部から前記中央位置までにおける平均加工速度よりも高く、かつ前記
中央位置における加工速度よりも高い、冷間鍛造製部品の製造方法。
【請求項3】
前記最高加工速度が80mm/sec超であり、前記平均加工速度が50mm/sec未満である、
請求項
2に記載の冷間鍛造製部品の製造方法。
【請求項4】
プレス機のスライド下死点よりも前に、歯形部の加工を完了する、
請求項
3に記載の冷間鍛造製部品の製造方法。
【請求項5】
パンチ金型と、ダイ金型と、パンチ収容金型と、ダイ収容金型と、加圧機構とを備え、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより
下記(a)または(b)の冷間鍛造製部品を製造する装置であって、
前記パンチ金型は、前記冷間鍛造製部品の素材を成形方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、前記素材を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、前記パンチ金型により押される前記素材を前記冷間鍛造製部品に加工し、
前記パンチ収容金型は、前記パンチ金型を支持し、かつ前記成形方向へ移動自在であり、
前記ダイ収容金型は、前記ダイ金型を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、
前記加圧機構は、前記ダイ収容金型に支持されて、前記ダイ金型を前記パンチ金型へ向かう方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、
前記歯形部の成形開始から成形完了までの間、前記成形方向について停止して前記歯形部を成形し、
前記歯形部の成形完了以降に、前記パンチ金型および前記パンチ収容金型と同速度で前記ダイ収容金型へ向けて移動するとともに、前記加圧機構が縮みながら、減速および停止する、
冷間鍛造製部品の製造装置。
(a)歯形部と該歯形部に連続する第1の歯形無し部を軸方向へ備え、
前記歯形部は、
前記軸方向へ延び、かつ複数の歯形を有し、前記歯形の前記軸方向における両端部のうち、前記第1の歯形無し部から近い方の端部を歯形終端部、前記第1の歯形無し部から遠い方の端部を歯形先端部とするとき、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に2mmの位置と、前記歯形先端部から前記歯形終端部の方向に2mmの位置との間の領域におけるオーバーボール径の最大値および最小値の差ΔOBDが式(1)の関係を満足する、
冷間鍛造製部品。
ΔOBD≦歯底円直径×0.001mm …(1)
但し、歯底円直径は、歯形終端部から歯形先端部の中央位置における歯底円直径で、単位はmmである。
(b)上記(a)の冷間鍛造製部品であって、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に10mm以内の範囲に、前記歯形終端部のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する細径歯形部と、前記細径歯形部のオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する太径歯形部を備える、冷間鍛造製部品。
【請求項6】
パンチ金型と、ダイ金型と、パンチ収容金型と、加圧機構とを備え、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより
下記(a)または(b)の冷間鍛造製部品を製造する装置であって、
前記パンチ金型は、前記冷間鍛造製部品の素材を成形方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、前記素材を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、前記パンチ金型により押される前記素材を前記冷間鍛造製部品に加工し、
前記パンチ収容金型は、成形方向へ移動自在であるスライドに支持され、かつ前記パンチ金型を収容し、
前記加圧機構は、前記パンチ収容金型に支持されて、前記パンチ金型を前記ダイ金型へ向けて加圧し、
前記パンチ収容金型は、
前記歯形部の成形開始から成形完了までの間、前記パンチ金型と同速度で前記ダイ金型へ向けて移動し、
前記歯形部の成形完了以降に、前記パンチ金型が停止するとともに、前記加圧機構が縮みながら、前記ダイ金型に接近しながら減速および停止する、
冷間鍛造製部品の製造装置。
(a)歯形部と該歯形部に連続する第1の歯形無し部を軸方向へ備え、
前記歯形部は、
前記軸方向へ延び、かつ複数の歯形を有し、前記歯形の前記軸方向における両端部のうち、前記第1の歯形無し部から近い方の端部を歯形終端部、前記第1の歯形無し部から遠い方の端部を歯形先端部とするとき、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に2mmの位置と、前記歯形先端部から前記歯形終端部の方向に2mmの位置との間の領域におけるオーバーボール径の最大値および最小値の差ΔOBDが式(1)の関係を満足する、
冷間鍛造製部品。
ΔOBD≦歯底円直径×0.001mm …(1)
但し、歯底円直径は、歯形終端部から歯形先端部の中央位置における歯底円直径で、単位はmmである。
(b)上記(a)の冷間鍛造製部品であって、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に10mm以内の範囲に、前記歯形終端部のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する細径歯形部と、前記細径歯形部のオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する太径歯形部を備える、冷間鍛造製部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯形部を有する冷間鍛造製部品と、その製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯形部を有する冷間鍛造製部品の一つとしてインタミシャフト(Intermediate Shaft)が知られる。インタミシャフトは、自動車や建設機械等の入力軸と出力軸の間に配置されて動力を伝達する中間軸である。
【0003】
図1は、インタミシャフト1の一例を示す説明図である。
インタミシャフト1は、歯形部2と、歯形部2に連続する歯形無し部3を軸方向へ備える。歯形部2は、軸方向へ延び、かつ所定の歯形高さを有する複数の歯形4を有する。ここで、歯形4の軸方向における両端部のうち、歯形無し部3に近い方の端部を歯形終端部5、歯形無し部3から遠い方の端部を歯形先端部6とする。
【0004】
図2は、インタミシャフト1の歯形部2を拡大して示す説明図である。
冷間鍛造による前方押出し加工を行うことによりインタミシャフト1の歯形部を製造すると、ボール歯車マイクロメータによって測定される、歯形終端部5のオーバーボール径(OBD;Over Ball Diameter)が、歯形終端部5以外の歯形一般部7のオーバーボール径よりも大きくなる、という寸法精度不良が発生する。例えば、歯形終端部5のオーバーボール径と歯形一般部7のオーバーボール径の差は20μm超に達する。
【0005】
この形状精度不良を修正するため、冷間鍛造後に歯形部2を研削する必要があり、インタミシャフト1の製造コストが高いことの一因になっている。また、このような精度不良を許容したまま使用する場合には、騒音や疲労寿命低下の一因となっている。
【0006】
特許文献1には、パンチの一端側に複数の突条部を設け、各突条部に成形ランド部と、凸部と、成形ランド部と凸部との間に前記パンチのたわみ量を見込んだ凹部を設けること、すなわちパンチに見込み形状を設けることにより、鍛造品の寸法精度を向上する発明が開示されている。
【0007】
特許文献2には、前方押出し加工においてダイに形成される素材投入孔の成形孔側の内径を素材の外径と略同一径にするとともに、素材のパンチ側の内径を、素材投入孔と素材との間に所定の間隙が形成されるように素材の外径より大きくし、この素材投入孔内に素材を投入した後、この素材の後端をパンチにより前方に押圧し、素材投入孔の前方に形成される成形孔に、素材を押し出して所定形状の成形品を得る発明が開示されている。
【0008】
特許文献2開示発明は、前方押出し加工によって、例えばインタミシャフトのような先端に歯形部を有するシャフト部品を加工する方法であり、素材および金型双方の形状を工夫することにより、成形時に必要とされるパンチの加圧力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-178086号公報
【文献】特開平3-077738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1開示発明を適用して、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことによりインタミシャフト1の歯形終端部5のオーバーボール径の増加を抑制するには、歯形終端部5を成形する金型の形状を小さくすることになる。しかし、これでは、インタミシャフト1の先端部の形状も小さくなってしまう。このため、特許文献1開示発明では、歯形終端部のオーバーボール径と、歯形終端部以外の歯形一般部のオーバーボール径の差が小さく、高い寸法精度を有する冷間鍛造製部品を製造することはできない。
【0011】
特許文献2開示発明は、素材投入孔と素材の隙間を設けておくことにより、前方押出しにおける成形荷重を低減することを狙ったものである。一方、歯形終端部のオーバーボール径の増大は、歯形終端部と歯形無し部の境界周辺に相当する部分の弾性回復に起因する。特許文献2開示発明によって、この弾性回復の量を有効に低減することはできない。したがって、歯形終端部のオーバーボール径と、歯形終端部以外の歯形一般部のオーバーボール径の差が小さく、高い寸法精度を有する冷間鍛造製部品を製造することはできない。
【0012】
本発明の目的は、歯形終端部から歯形先端部までの外径の変化が小さく、具体的には、歯形終端部のオーバーボール径と、歯形終端部以外の歯形一般部のオーバーボール径の差が例えば20μm以下と小さく、高い寸法精度を有する、歯形部を有する冷間鍛造製部品と、その製造方法および製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下に列記の通りである。
【0014】
(1)歯形部と該歯形部に連続する第1の歯形無し部を軸方向へ備える冷間鍛造製部品であって、
前記歯形部は、
前記軸方向へ延び、かつ複数の歯形を有し、前記歯形の前記軸方向における両端部のうち、前記第1の歯形無し部から近い方の端部を歯形終端部、前記第1の歯形無し部から遠い方の端部を歯形先端部とするとき、前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に2mmの位置と、前記歯形先端部から前記歯形終端部の方向に2mmの位置との間の領域におけるオーバーボール径の最大値および最小値の差ΔOBDが式(1)の関係を満足する、
冷間鍛造製部品。
ΔOBD≦歯底円直径×0.001mm …(1)
但し、歯底円直径は、歯形終端部から歯形先端部の中央位置における歯底円直径で、単位はmmである。
【0015】
(2)前記歯形終端部から前記歯形先端部の方向に10mm以内の範囲に、前記歯形終端部のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する細径歯形部と、前記細径歯形部のオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する太径歯形部を備える、
上記(1)の冷間鍛造製部品。
【0016】
(3)冷間鍛造による前方押出し加工を行って上記(1)または(2)の冷間鍛造製部品を製造する製造方法であって、
前記前方押出し加工において、前記歯形の前記軸方向の中央位置から前記歯形終端部までにおける最高加工速度が、前記歯形先端部から前記中央位置までにおける平均加工速度よりも高く、かつ前記歯形中央位置における加工速度よりも高い、
冷間鍛造製部品の製造方法。
【0017】
(4)前記最高加工速度が80mm/sec超であり、前記平均加工速度が50mm/sec未満である、
上記(3)の冷間鍛造製部品の製造方法。
【0018】
(5)プレス機のスライド下死点よりも前に、歯形部の加工を完了する、
上記(4)の冷間鍛造製部品の製造方法。
【0019】
(6)パンチ金型と、ダイ金型と、パンチ収容金型と、ダイ収容金型と、加圧機構とを備え、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより上記(1)または(2)の冷間鍛造製部品を製造する装置であって、
前記パンチ金型は、前記冷間鍛造製部品の素材を成形方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、前記素材を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、前記パンチ金型により押される前記素材を前記冷間鍛造製部品に加工し、
前記パンチ収容金型は、前記パンチ金型を支持し、かつ前記成形方向へ移動自在であり、
前記ダイ収容金型は、前記ダイ金型を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、
前記加圧機構は、前記ダイ収容金型に支持されて、前記ダイ金型を前記パンチ金型へ向かう方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、
前記歯形部の成形開始から成形完了までの間、前記成形方向について停止して前記歯形部を成形し、
前記歯形部の成形完了以降に、前記パンチ金型および前記パンチ収容金型と同速度で前記ダイ収容金型へ向けて移動するとともに、前記加圧機構が縮みながら、減速および停止する、
冷間鍛造製部品の製造装置。
【0020】
(7)パンチ金型と、ダイ金型と、パンチ収容金型と、加圧機構とを備え、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより上記(1)または(2)の冷間鍛造製部品を製造する装置であって、
前記パンチ金型は、前記冷間鍛造製部品の素材を成形方向へ加圧し、
前記ダイ金型は、前記素材を前記成形方向へ出し入れ自在に収容し、前記パンチ金型により押される前記素材を前記冷間鍛造製部品に加工し、
前記パンチ収容金型は、成形方向へ移動自在であるスライドに支持され、かつ前記パンチ金型を収容し、
前記加圧機構は、前記パンチ収容金型に支持されて、前記パンチ金型を前記ダイ金型へ向けて加圧し、
前記パンチ収容金型は、
前記歯形部の成形開始から成形完了までの間、前記パンチ金型と同速度で前記ダイ金型へ向けて移動し、
前記歯形部の成形完了以降に、前記パンチ金型が停止するとともに、前記加圧機構が縮みながら、前記ダイ金型に接近しながら減速および停止する、
冷間鍛造製部品の製造装置。
【0021】
これらの本発明において、「歯形終端部」とは、所定の完全な歯形高さが減少し始める軸方向位置を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、歯形終端部の太径化を抑制でき、歯形終端部から歯形先端部までの外径の変化が小さく、具体的には、歯形終端部のオーバーボール径と、歯形終端部以外の歯形一般部のオーバーボール径の差が、通常のクランクモーションによる製造時のオーバーボール径の差よりも小さく、高い寸法精度を有する冷間鍛造製部品と、その製造方法および製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、インタミシャフトの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、インタミシャフトの歯形部を拡大して示す説明図である。
【
図3】
図3は、歯形の軸方向位置(スプライン根元からの距離)と、オーバーボール径との関係を示す図である。
【
図4a】
図4aは、本発明に係る製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図4b】
図4bは、本発明に係る製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図4c】
図4cは、本発明に係る製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る冷間鍛造製部品の歯形部を拡大して示す説明図である。
【
図6a】
図6aは、本発明に係る別の製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図6b】
図6bは、本発明に係る別の製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図6c】
図6cは、本発明に係る別の製造装置を経時的かつ模式的に示す説明図である。
【
図7】
図7は、スプライン嵌め合いを構成する外歯(本発明に係る冷間鍛造製部品)および内歯の一例を模式的に示す説明図である。なお、便宜上、少ない歯数のものを示しているが、歯数は用途に応じて変更可能である。
【
図8】
図8(a)は従来例での接触面圧の分布を示す説明図であり、
図8(b)は本発明例での接触面圧の分布を示す説明図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る別の冷間鍛造製部品を示す説明図である。
【
図10】
図10は、外歯(本発明に係る冷間鍛造製部品)および外歯の噛み合いの一例を模式的に示す説明図である。なお、便宜上、少ない歯数のものを示しているが、歯数は用途に応じて変更可能である。
【
図11】
図11は、
図10に示す噛み合いについて、上述の方法と同様の有限要素法による数値解析により、後述する従来例1の接触面圧の分布を解析した結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述した
図1,2も参照しながら、本発明を説明する。
本発明者らは、インタミシャフトに代表される冷間鍛造製部品1における歯形終端部5の寸法精度不良の主な原因を、加工後の弾性回復量が歯形終端部5と歯形一般部7で相違することにあると、推定した。
【0025】
歯形先端部6から歯形中央部(軸方向の中央位置)8の間は一定断面である。これに対し、歯形終端部5は、断面形状が冷間鍛造製部品1の軸方向に変化する境界である。換言すると、歯形部2を歯形先端部6から歯形無し部3に向かって観察したとき、歯形高さ(=(歯先円直径-歯底円直径)/2)は、歯形先端部6から歯形中央部(軸方向の中央位置)8の間は一定であるが、歯形無し部3に向かって徐々に減少し、最終的にゼロになる。本件明細書において、歯形部2を歯形先端部6から歯形無し部3に向かって観察したとき、歯形高さが減少し始める位置を歯形終端部5と定義する。そして、前方押出し加工時の塑性ひずみ分布や静水圧応力分布が、歯形先端部6から歯形中央部8の間とは異なり、弾性回復量が大きく異なる。このような弾性回復量の相違によって、歯形終端部5の近傍が太径化すると推定される。
【0026】
この弾性回復量の差異を取り除くことは困難である。そこで、本発明者らは、加工温度制御による熱収縮などの活用、すなわち加工モーション制御によって、歯形終端部5から歯形先端部6へかけてのオーバーボール径の差を小さくすることを検討した。
【0027】
その結果、これまでには知られていなかった、以下に列記の新規な知見A~Cが得られた。
(A)30mm/s程度以下の低い加工速度で前方押出し加工を行うことにより、主に熱収縮の影響と推定されるが、オーバーボール径を大きくできる。
【0028】
(B)前方押出し加工の途中で、加工速度を高めること、すなわちパンチ金型とダイ金型の接近速度を加速することにより、加速を開始した時以降のオーバーボール径を小さくできる。
【0029】
(C)A,B項に示す知見より、歯形終端部5のオーバーボール径と、歯形先端部6のオーバーボール径の差を小さくするには、歯形先端部6から歯形中央部8までの領域の加工速度を低速とし、歯形終端部5の直前から加工速度を急速に高めること(具体的には、歯形中央部8から歯形終端部5までにおける最高加速度を、歯形先端部6から歯形中央部8までの領域の平均加工速度より高く、かつ歯形中央部8における加工速度より高くなるようにすること)が有効である。
【0030】
図3は、歯形4の軸方向位置(スプライン根元からの距離)と、オーバーボール径との関係を示す図である。なお、
図3のスプライン根元からの距離は、歯形終端部5の位置を0とし、歯形先端部6に近づく方向を正方向としている。また、オーバーボール径は、歯形終端部5から2mmの位置と12mmの位置との範囲で測定した。また、
図3において、●および▲のプロットは、歯形4の軸方向において、歯形終端部5までの距離が6mmの位置で加速を開始して歯形終端部5を成形して製造された冷間鍛造製部品の例を示し、◆のプロットは、上記の加速を行わずに歯形終端部5を成形して製造された冷間鍛造製部品の例を示している。
【0031】
図3のグラフに示すように、歯形終端部5までの距離が6mmの位置で加速を開始して歯形終端部5を成形することにより、オーバーボール径の最大値および最小値の差であるΔOBDを小さくすることができる。
【0032】
しかし、歯形終端部5の近傍を加工時の鍛造機のスライドは、既に下死点近くにあり、反転上昇する直前の状態にある。このため、たとえ、サーボモータで制御することにより複雑なスライドモーションを可能にするサーボプレス機を用いたとしても、歯形終端部5の加工速度を高めることには限界があり、所望の高い加工速度を得られない。
【0033】
そこで、前方押出し加工の完了時点の近くで加工速度を高めることができる本発明に係る製造装置を新たに考案した。
【0034】
図4a~
図4cは、本発明に係る製造装置10を経時的かつ模式的に示す説明図である。
図4aに示すように、製造装置10は、パンチ金型11と、ダイ金型12と、パンチ収容金型15と、ダイ収容金型13を備える。製造装置10は、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより本発明に係る冷間鍛造製部品1を製造する。
【0035】
パンチ金型11は、冷間鍛造製部品1の素材14を、パンチ収容金型15とともに成形方向へ加圧する。ダイ金型12は、素材14を成形方向へ出し入れ自在に収容し、パンチ金型11により押される素材14を冷間鍛造製部品1に加工する。
【0036】
パンチ収容金型15は、パンチ金型11を支持し、かつプレス機スライド(図示しない)に支持されて成形方向へ移動自在である。ダイ収容金型13は、ダイ金型12を成形方向へ出し入れ自在に収容する。
製造装置10は、さらに、加圧機構16を備える。加圧機構16は、ダイ収容金型13に支持されて、ダイ金型12をパンチ金型11へ向かう方向へ加圧する。
【0037】
図4bに示すように、ダイ金型12は、冷間鍛造製部品1の歯形部2の成形開始から成形完了までの間、成形方向について停止して歯形部2を成形する。
さらに、
図4cに示すように、ダイ金型12は、歯形部2の成形完了以降に、パンチ金型11およびパンチ収容金型15と同速度でダイ収容金型13へ向けて移動するとともに、加圧機構16が縮みながら減速および停止する。
【0038】
このように、ダイ金型12は、加工の完了直前までは静止し、加工の完了と同時に、パンチ金型11およびパンチ収容金型15とともにパンチ金型11と同速度でダイ収容金型13へ向けて移動し始める。ダイ金型12を、鍛造機のクッションあるいはガスシリンダや油圧シリンダなどの加圧機構16で保持し、加工の完了と同時にパンチ金型11およびパンチ収容金型15でダイ金型12を押すことにより、加圧機構16が縮み、ダイ金型12がパンチ金型11およびパンチ収容金型15とほぼ同速度で下降する。
【0039】
したがって、製造装置10を用いれば、加工の完了直前においても加工速度を加速状態あるいは高速化することができる。つまり、前方押出し加工における、歯形部2の中央部8から歯形終端部5(つまり、成形終了位置)までにおける最高加工速度を、歯形先端部6から中央部8までにおける平均加工速度よりも高くし、かつ歯形部2の中央部8における加工速度よりも高くすることができる。なお、加工速度とは、ダイ金型12とパンチ金型11との相対的な移動方向における加工速度を意味する。
【0040】
具体的には、歯形部2の中央部8から歯形終端部5までにおける最高加工速度は、好ましくは80mm/sec超であり、より好ましくは100mm/sec超であり、さらに好ましくは150mm/sec超である。なお、最高加工速度の上限値は、特に限定するものではないが、設備制約から800mm/sec未満とするのが望ましく、500mm/sec未満がより望ましい。
【0041】
一方、歯形先端部6から中央部8までにおける平均加工速度は、好ましくは50mm/sec未満であり、より好ましくは35mm/sec以下であり、さらに好ましくは20mm/sec以下である。なお、平均加工速度の下限値は、特に限定するものではないが、生産性の観点から、0.1mm/sec以上とするのが望ましく、0.5mm/sec以上がより望ましい。また、歯形先端部6から中央部8までの領域の最高加工速度の下限値は、特に限定するものではないが、生産性の観点から、0.1mm/sec以上とすることが望ましく、0.5mm/sec以上がより望ましい。歯形先端部6から中央部8までの領域の最高加工速度の上限値もまた、特に限定するものではないが、80mm/sec以下であることが望ましく、50mm/sec以下であることがより望ましい。
【0042】
図5は、本発明に係る冷間鍛造製部品1の歯形部2を拡大して示す説明図である。
製造装置10により冷間鍛造による前方押出し加工によって製造された冷間鍛造製部品1には、
図3のグラフに●プロットおよび▲プロットにより示すとともに
図5に示すように、歯形終端部5から歯形先端部6へ向けた10mmの範囲に、細径歯形部9aと太径歯形部9bを有する。
【0043】
細径歯形部9aは、歯形終端部5のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する。一方、太径歯形部9bは、細径歯形部9aのオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する。例えば、終端部から先端部へ向けた方向において、終端部から10mmまでの範囲におけるOBDの分布を観察したとき、最小径部(細径歯形部)より先端側に、最小径部の径(OBD)より3μm以上大きい径(OBD)を有する大径部(太径歯形部)がある場合に、太径歯形部9bは、細径歯形部9aのオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有するということができる。このような状態にあれば、上記A~C項で説明したように、歯形終端部5のオーバーボール径を低減することができる。
【0044】
このように、歯形終端部5から歯形先端部6へ向けた10mmの範囲におけるオーバーボール径が従来よりも均一化され、歯形終端部5から歯形先端部6までの外径の変化が小さく、具体的には、歯形終端部5から歯形先端部6の方向に2mmの位置と、歯形先端部6から歯形終端部5の方向に2mmの位置との間の領域におけるオーバーボール径の最大値および最小値の差(OBD差、ΔOBD)が「歯底円直径×0.001mm」以内に抑制される。但し、歯底円直径は、歯形終端部5から歯形先端部6の中央位置8における歯底円直径である。
【0045】
図6a~
図6cは、本発明に係る別の製造装置20を経時的かつ模式的に示す説明図である。前掲の製造装置10(
図4a~
図4c参照)は、ダイ金型12を加圧機構16により保持するが、製造装置20は、パンチ金型21を加圧機構26により保持することによって、製造装置10と同様に冷間鍛造製部品1を製造する。
【0046】
図6aに示すように、製造装置20は、パンチ金型21と、ダイ金型22と、パンチ収容金型25を備え、冷間鍛造による前方押出し加工を行うことにより冷間鍛造製部品1を製造する。
【0047】
パンチ金型21は、冷間鍛造製部品1の素材24をパンチ収容金型25とともに成形方向へ加圧する。ダイ金型22は、素材24を成形方向へ出し入れ自在に収容し、パンチ金型21により押される素材24を冷間鍛造製部品1に加工する。パンチ収容金型25は、成形方向へ移動自在であるスライド(図示しない)に支持され、かつパンチ金型21を収容する。
【0048】
製造装置20は、さらに、加圧機構26を備える。加圧機構26は、パンチ収容金型25に支持されて、パンチ金型21をダイ金型22へ向けて加圧する。
【0049】
図6bに示すように、パンチ収容金型25は、歯形部2の成形開始から成形完了までの間、パンチ金型21と同速度でダイ金型22へ向けて移動する。さらに、
図6cに示すように、パンチ収容金型25は、歯形部2の成形完了と同時に、パンチ金型21が停止するとともに、加圧機構26が縮みながらダイ金型22に接近しながら減速および停止する。
【0050】
本発明に係る冷間鍛造製部品1は、歯形終端部5の太径化を抑制でき、歯形終端部5から歯形先端部6までの外径の変化が小さい。具体的には、歯形終端部5から軸方向に2mmの位置のオーバーボール径と、歯形先端部6から軸方向に2mmの位置のオーバーボール径との差が、例えば20μm以下と、通常のクランクモーションによる製造時のオーバーボール径の差よりも小さく、高い寸法精度を有する。
【0051】
このため、本発明に係る冷間鍛造製部品1を外歯歯車とし、内歯歯車30と組み合わせて、自動車や建設機械等の入力軸と出力軸の間に配置されて動力を伝達するスプラインとして用いると、中間シャフト軸の例えば振動特性や面疲労特性が向上する。この理由を説明する。
【0052】
図7は、スプライン嵌め合いを構成する外歯歯車(本発明に係る冷間鍛造製部品1)および内歯歯車30の一例を模式的に示す説明図である。
図7に示すスプライン嵌め合い部に生じる接触面圧分布を、
図3の◆プロットに示す従来例と
図3の●プロットまたは▲プロットに示す本発明例について比較して説明する。スプライン歯形の歯車の形状は、モジュール1.5、圧力角30deg.、基準円直径28mm、歯数16、歯幅16mmである。
【0053】
従来例は、30SPMのクランクプレスを用いた冷間鍛造による前方押出し加工によって製造した歯形付きシャフトである。
図3のグラフに示すように、歯形終端部5の7mm手前の位置からオーバーボール径が急激に増加し、オーバーボール径の最大値と最小値の差は25μmである。
【0054】
これに対し、本発明例は、歯形先端部6から歯形終端部5の7mm手前の位置までの範囲の加工速度は10mm/sの一定速度とし、その後、歯形終端部5の加工時には最高加工速度が130mm/sとなるように急激に加工速度を高めて製造した歯形付きシャフトである。なお、中央部8における加工速度は、10mm/sである。本発明例の加工は、サーボモーションと、歯形終端部5の加工後にさらに50mmのストロークを有する油圧シリンダをパンチ金型に設けることにより、実現した。
【0055】
図3のグラフや
図5に示すように、本発明例の歯形付きシャフトは、歯形終端部5のオーバーボール径よりも小さいオーバーボール径を有する細径歯形部9aと、細径歯形部9aのオーバーボール径よりも大きいオーバーボール径を有する太径歯形部9bを、歯形終端部5から歯形先端部6へ向けた10mmの範囲に備える。オーバーボール径の最大値と最小値の差は11μmである。
【0056】
以上のようなオーバーボール径の分布を有する従来例および本発明例の歯形シャフトを用い、スプライン部の歯面にかかる面圧の分布を、有限要素法による数値解析によって評価した。この解析では、内歯30の歯形面の加工は、理想形状通りに仕上げられていることとした。
【0057】
図8(a)は従来例での接触面圧の分布を示す説明図であり、
図8(b)は本発明例での接触面圧の分布を示す説明図である。従来例での歯形終端部5側の接触面圧の最大値が1800MPaに到達する接触反力設定条件である。
【0058】
これに対し、同接触反力設定条件での本発明例では、歯形終端部5および歯形先端部6において比較的広い範囲に接触面圧が分布している。これらの結果、本発明例の接触面圧の最大値は、900MPaとなり、従来例の接触面圧の最大値の概ね半分に低減されている。
【0059】
以上より、本発明によって歯面の接触面圧を抑制できるため、本発明に係る冷間鍛造製部品1は、歯形4の面疲労特性や振動特性を向上することができる。
【0060】
以上の説明では、本発明に係る冷間鍛造製部品が、歯形部とこの歯形部に連続する第1の歯形無し部を軸方向へ備える場合を例にとった。しかし、本発明は、歯形無し部を一つ備える場合には限定されない。
【0061】
図9は、本発明に係る別の冷間鍛造製部品1-1を示す説明図である。
図9に示すように、冷間鍛造製部品1-1は、歯形部2に連続する第2の歯形無し部3-1を軸方向へ備えている。この場合、製造装置10,20のダイ金型12,22による制約のため、第2の歯形無し部3-1は、歯形部2の歯形底部の外径よりも小さな外径を有することになる。
【実施例】
【0062】
図4,6に示す製造装置10,20を用い、SCr420の球状化焼鈍材からなる素材に、冷間鍛造による前方押出し加工を行って、冷間鍛造製部品を製造した。
【0063】
本発明例では、前方押出し加工における、歯形部2の中央部8から歯形終端部5までにおける加工速度を、表1および表2に示すように高めた。一方、従来例ではクランクモーション(30SPMのクランクプレス)を用いたため、表1および表2に示すように、歯形部2の中央部8から歯形終端部5までにおける加工速度は、歯形先端部6から中央部8までにおける平均加工速度よりも低下した。
【0064】
また、
図10は、外歯(本発明に係る冷間鍛造製部品1)および外歯31の噛み合いの一例を模式的に示す説明図であり、
図11は、
図10に示す噛み合いについて、上述の方法と同様の有限要素法による数値解析により、従来例1の接触面圧の分布を解析した結果を示す説明図である。
【0065】
この解析では、歯車の形状は、モジュール:1.5mm、圧力角:30deg.、基準円直径:28mm(小歯車)、56mm(大歯車)、歯数:14(小歯車),28(大歯車)、歯幅:16mmとした。
加工条件および加工結果を表1および表2にまとめて示す。
【0066】
【0067】
【0068】
表1および表2における「OBD差」では、下記のように評価した。
評価A:OBD差≦歯底円直径 × 0.0007mm
評価B:歯底円直径 × 0.0007mm<OBD差≦歯底円直径 × 0.001mm
評価C:OBD差>歯底円直径 × 0.001mm
表1および表2における「接触面圧 最大値」では、外歯と外歯とが噛み合ったときの接触面圧の最大値について、評価A=基準(3000MPa)の80%未満、評価B=基準の80%以上85%未満、評価C=基準の85%以上90%未満、評価D=基準の90%以上を示す。
表1および表2における「ピッチング特性」では、接触面圧から推定されるピッチング特性について、評価A=耐久限度以上における疲労寿命が基準(3×106回)の30倍以上、評価B=同寿命が基準の3倍以上30倍未満、評価C=同寿命が基準の3倍未満を示す。
表1および表2における「終端部から先端部へ向けた10mm範囲のOBD分布」では、終端部から先端部へ向けた方向において、終端部から10mmまでの範囲におけるOBDの分布を観察したとき、最小径部(細径歯形部)より先端側に、最小径部の径(OBD)より3μm以上大きい径(OBD)を有する大径部(太径歯形部)がある場合を「有」、そのような大径部(太径歯形部)がない場合を「無」として示す。
【0069】
図3ならびに表1および表2に示すように、本発明例によれば、従来例よりも歯形終端部の太径化を抑制でき、歯形終端部から歯形先端部までの外径の変化が小さく、具体的には、歯形終端部のオーバーボール径と、歯形終端部以外の歯形一般部のオーバーボール径の差が、通常のクランクモーションによる製造時のオーバーボール径の差よりも小さく、高い寸法精度を有する冷間鍛造製部品を製造できることがわかる。このため、本発明によれば、歯形4の面疲労特性や振動特性を向上することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1-1 インタミシャフト(冷間鍛造製部品)
2 歯形部
3 歯形無し部(第1の歯形無し部)
3-1 第2の歯形無し部
4 歯形
5 歯形終端部
6 歯形先端部
7 歯形一般部
8 歯形中央位置(歯形中央部)
9a 細径歯形部
9b 太径歯形部
10 製造装置
11 パンチ金型
12 ダイ金型
13 ダイ収容金型
14 素材
15 パンチ収容金型
16 加圧機構
20 製造装置
21 パンチ金型
22 ダイ金型
24 素材
25 パンチ収容金型
26 加圧機構
30 内歯
31 外歯
A 歯底円直径