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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】締結ファスナー
(51)【国際特許分類】
   F16B 13/10 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
F16B13/10 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020060197
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156423
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江崎 孝信
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-019173(JP,U)
【文献】特開2014-081031(JP,A)
【文献】特開2020-034155(JP,A)
【文献】米国特許第09115744(US,B1)
【文献】中国実用新案第203453233(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/10
F16B 2/18
F16B 5/06
F16B 12/10
F16B 13/08
F16B 13/10
F16B 19/00
F16B 19/10
F16B 21/20
F16B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の部材に形成した取付孔から他方の部材に形成した取付孔に通され、前記他方の部材の前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、前記一方の部材を前記他方の部材に締結する締結ファスナーであって、
前記各部材の前記取付孔よりも大きいプレートからなり、略中央に円形の貫通孔及び当該円形の貫通孔の内周から外側に向けて突状に貫通されるキー溝からなるキー孔を有する取付プレートと、
前記取付プレートの片側一方の面で前記キー孔の両側に前記片側一方の面の周縁部をフランジとして残して前記各部材の前記各取付孔に挿通可能に平行に突出される一対の軸受プレート、及び前記一対の軸受プレート間の略中央で前記各軸受プレートの突出方向中間部に略円筒状に形成され、前記取付プレートの前記円形の貫通孔に連通されるシャフト挿通部と、
前記シャフト挿通部に挿通されて、前記シャフト挿通部の前記一対の軸受プレートの突出端側に対応する一端から前記取付プレートの円形の孔まで延び、一端部に前記シャフト挿通部の一端に係止可能なフランジ部を有し、前記シャフト挿通部に、前記フランジ部を含む前記一端部側を前記シャフト挿通部の一端からその延長上に進退可能に挿通配置されるシャフトと、
前記シャフト挿通部と前記シャフトとの間に介在され、常態として前記シャフトを前記取付プレートの前記円形の孔に向けて押圧付勢するシャフト用のばね部材と、
各々、前記一対の軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記一対の軸受プレート間に一端縁部を前記各軸受プレートの突出端側に向けて他端縁部を前記取付プレート側に向けて嵌合配置された状態での当該各軸受プレートの両側各側縁部間から外側に表れる外面部から前記他端縁部にかけてに係止爪を有し、前記各軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に対称的に嵌合配置され、前記一対の軸受プレートの突出端側に一対の軸を介して回動可能に支持されて、前記各係止爪を前記一対の軸受プレート間から出没可能に配置される一対のフック、及び前記一対のフックと一体回動可能に前記一対の軸から前記シャフト挿通部の一端延長上に延び、各先端が前記シャフト挿通部の一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置されて、前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置に回動することにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間から外側に向けて回動案内し、前記各係止爪を前記一対の軸受プレートの外側所定の位置に突出し、前記各先端を前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置に回動することにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間に向けて回動案内し、前記各係止爪を各軸受プレート間に没入する一対のアームと、
前記一対のフック又は前記一対のアームの近傍に配置され、常態として、前記一対のアームを前記シャフト挿通部の一端の開口縁部に係止される前記シャフトのフランジ部に向けて回動付勢し、前記各アームの前記各先端を当該フランジ部に弾性的に当接させるとともに、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間から外側に向けて回動付勢し、前記各係止爪を前記各軸受プレート間から外側所定の位置に保持するフック用又はアーム用のばね部材と、
先端に、前記取付プレートの前記キー孔の前記円形の孔に嵌挿可能でかつ前記取付プレートの前記キー孔から挿通し前記シャフト挿通部の前記シャフトを他端部から押圧して、前記フランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させるのに必要な前記シャフトの押圧ストローク分の長さを有する円筒部、及び前記円筒部の外周に前記キー孔の前記キー溝に嵌挿可能に外側に向けて突出され、前記フランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させた状態で、前記取付プレートの前記片側一方の面側で前記キー孔の周縁部に係止可能なキー型係合部を有し、基端に、つまみ部を有する取り外しキーと、
を備え、
本締結ファスナーで前記各部材を締結する際は、前記一対の軸受プレートを前記各部材の前記各取付孔にワンプッシュで通し、前記各フックの係止爪を前記他方の部材の前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させ、
本締結ファスナーを前記各部材から取り外す際は、前記取り外しキーを前記取付プレートの前記キー孔に合わせて差し込み、前記取り外しキー先端の前記円筒部で前記シャフト挿通部の前記シャフトを他端部から押圧して、前記シャフトのフランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させることにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間に向けて回動案内し、前記各係止爪を前記各軸受プレート間に没入させ、この状態から、前記取り外しキーを回転して前記円筒部外周の前記キー型係合部を前記取付プレートの前記片側一方の面側で前記キー孔の周縁部に係止して、本締結ファスナーを前記各部材の前記各取付孔から引き抜く、
ことを特徴とする締結ファスナー。
【請求項2】
取付プレートは一方の部材の取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、一対の軸受プレートはそれぞれ、各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する略角形に形成されて、前記各部材の各取付孔は角形に開口される請求項1に記載のパネルファスナー。
【請求項3】
シャフト挿通部は一端側の内周面が他端側の内周面よりも大経に形成されて、前記一端側の内周にばね受け部が設けられ、シャフト用のばね部材として引張りコイルスプリングが採用され、前記引張りコイルスプリングが前記シャフト挿通部の前記ばね受け部に配置されて、前記シャフト挿通部の前記ばね受け部と前記シャフトの一端部との間に介在される請求項1又は2に記載の締結ファスナー。
【請求項4】
一対のフックと一対のアームはそれぞれ、一体をなす請求項1乃至3のいずれかに記載の締結ファスナー。
【請求項5】
取付プレートに、一対のフックが一対の軸受プレート間から突出された前記一対のフックの突出状態及び前記一対のフックが前記一対の軸受プレート間に没入された前記一対のフックの没入状態を表示するインジケーターを備え、前記インジケーターは、前記取付プレートのキー孔の前記一対のフックに対応する両側に貫通して形成される一対の表示窓と、前記一対の軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に一対の軸と平行な一対の支軸を介して回動可能に取り付けられ、一端側が前記一対のフックの内面部に係合可能に当該内面部に向けて延び、他端側が前記取付プレートに向けて延び、他端に前記一対の表示窓に近接して対向配置されて、前記フックの突出状態を表示する一対の表示プレートを有する一対の作動レバーと、前記各作動レバーの近傍に配置され、常態として前記各作動レバーの一端を前記一対のフックの突出状態の前記各フックの内面部に向けて回動付勢するとともに、前記各作動レバーの他端の前記表示プレートを前記取付プレートの前記各表示窓に近接して対向配置し、前記一対のフックの突出状態を表示する一対の作動レバー用のばね部材とを有し、前記一対のフックの前記係止爪が前記一対の軸受プレート間から外側所定の位置に突出されることにより、前記一対のフックの内面部は前記各作動レバーの一端に対して係合せず、前記各作動レバーの他端の前記各表示プレートが前記各表示窓に対向配置された状態を保持して、前記一対のフックの突出状態を表示し、前記一対のフックが前記一対の軸受プレート間に没入されることにより、前記一対のフックの内面部が前記各作動レバーの一端に対して係合し、前記各作レバーの一端を押圧回動して、前記他端の前記各表示プレートを前記各表示窓から離間し、前記一対のフックの没入状態を表示する請求項1乃至4のいずれかに記載の締結ファスナー。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のパネルなど複数の部材を締結するのに使用する締結ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、2枚のパネルなど複数の部材を締結するのにボルト、ナットが使用される。ところが、これらの部材をボルト、ナットで締結する場合、ボルトを一方の部材側から各部材間を通して、他方の部材側でナットを合わせ、工具を使ってボルトをナットに締め込むため、ボルト止めの数量が多いと、ボルトの締め込み作業が容易でなく、ボルトの締め込みに多くの時間を要する。また、このような作業のために、ボルトの締め忘れが少なくない。このため、組み立て後の製品の輸送中に、製品からボルトが脱落したり脱落したボルトを紛失したりするといったことも発生する。
【0003】
そこで、従来より、複数のパネルからなる組み立て式のラックやキャビネットなどの組み立てに、2枚のパネル間を手早くかつ簡単に接合するための、ファスナーが提案されている。この種のパネルファスナーが特許文献1に開示されている。
【0004】
この文献1のファスナは、中心回転軸と、中心回転軸のパネル挿入方向の先端部に設けた鎖錠片と、中心回転軸のパネル挿入方向末端部に設けたファスナ回転操作部と、中心回転軸より鎖錠片と同方向に延出して形成され、ファスナを取付パネルに固定する保持機構と、ファスナの回転を規制する係止部とを備える。このファスナはまた、ファスナ回転操作部の表面側に、コインやマイナスドライバで操作可能な溝部が形成される。保持機構として、中心回転軸に直交して腕部が形成される。
一方、取付パネルのファスナ取り付け位置には、取付孔部が形成される。この場合、取付孔部は、ファスナの中心回転軸を保持する一対の張出部からなる回転軸支持部と、鎖錠片および腕部が通り抜け可能な貫通部と、ファスナに形成された係止部を係止する回転規制部とを有する。回転軸支持部の一対の張出部は、中心回転軸を保持するために細径の孔部を形成している。一方の回転規制部は、ファスナの回転を反時計方向で規制し、他方の回転規制部は、ファスナの回転を時計方向で規制し、ファスナの最大回転角度を90度に規制する。また、本体パネルのファスナ取り付け位置には、係止孔部が形成される。この場合、係止孔部は、ファスナの中心回転軸が通り抜け可能な回転軸貫通部と、鎖錠片が通り抜け可能な鎖錠片貫通部を有する。さらに、本体パネルの両端には折曲部を形成し、取付パネルとの間に形成される空間部でファスナの腕部の厚みを吸収する構造としている。
このようにしてファスナを取付パネルに形成された取付孔部に取付パネルの表面側から挿入し反時計方向に回転してファスナを保持した後、取付パネルの裏面側を本体パネルに当接させて、ファスナの先端部を本体パネルに形成された係止孔部に挿入し時計方向に回転して、取付パネルを本体パネルに固定するようになっている。
このようなパネルの取付構造により、2枚のパネルを手早くかつ簡単に接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-270770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のパネルファスナーでは、このパネルファスナーを2枚のパネルの取付孔に取り付ける場合、各パネルの取付孔に通し回転させて固定するので、パネルファスナーを回転させるための工具を必要とし、パネルファスナーの取付作業が煩雑である、という問題がある。また、2枚のパネルの一方を取付孔部とし、他方を係止孔部として、各孔を異なる特殊な形状とするため、孔の形状が複雑で、孔明けに要するコストが増大する、という問題がある。さらに、このパネルファスナーを2枚のパネルの取付孔から取り外す必要がある場合、取付作業とは反対に、このパネルファスナーを回転させて各パネルの取付孔から引き抜く必要があり、取り外し作業も煩雑とならざるを得ない、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の締結ファスナーにおいて、締結ファスナーを工具を用いることなしに2枚のパネルなど複数の部材の各取付孔にワンプッシュで通し係止させて取付作業を簡単にし、複数の部材を従来にも増して手早くかつ簡単に接合できるようにすること、複数の部材の各取付孔を単純な形状とし、孔明けに要するコストを低く抑えること、締結ファスナーを複数の部材の各取付孔に取り付けた後の取り外しも簡単に行えること、など、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
一方の部材に形成した取付孔から他方の部材に形成した取付孔に通され、前記他方の部材の前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、前記一方の部材を前記他方の部材に締結する締結ファスナーであって、
前記各部材の前記取付孔よりも大きいプレートからなり、略中央に円形の貫通孔及び当該円形の貫通孔の内周から外側に向けて突状に貫通されるキー溝からなるキー孔を有する取付プレートと、
前記取付プレートの片側一方の面で前記キー孔の両側に前記片側一方の面の周縁部をフランジとして残して前記各部材の前記各取付孔に挿通可能に平行に突出される一対の軸受プレート、及び前記一対の軸受プレート間の略中央で前記各軸受プレートの突出方向中間部に略円筒状に形成され、前記取付プレートの前記円形の貫通孔に連通されるシャフト挿通部と、
前記シャフト挿通部に挿通されて、前記シャフト挿通部の前記一対の軸受プレートの突出端側に対応する一端から前記取付プレートの円形の孔まで延び、一端部に前記シャフト挿通部の一端に係止可能なフランジ部を有し、前記シャフト挿通部に、前記フランジ部を含む前記一端部側を前記シャフト挿通部の一端からその延長上に進退可能に挿通配置されるシャフトと、
前記シャフト挿通部と前記シャフトとの間に介在され、常態として前記シャフトを前記取付プレートの前記円形の孔に向けて押圧付勢するシャフト用のばね部材と、
各々、前記一対の軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記一対の軸受プレート間に一端縁部を前記各軸受プレートの突出端側に向けて他端縁部を前記取付プレート側に向けて嵌合配置された状態での当該各軸受プレートの両側各側縁部間から外側に表れる外面部から前記他端縁部にかけてに係止爪を有し、前記各軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に対称的に嵌合配置され、前記一対の軸受プレートの突出端側に一対の軸を介して回動可能に支持されて、前記各係止爪を前記一対の軸受プレート間から出没可能に配置される一対のフック、及び前記一対のフックと一体回動可能に前記一対の軸から前記シャフト挿通部の一端延長上に延び、各先端が前記シャフト挿通部の一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置されて、前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置に回動することにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間から外側に向けて回動案内し、前記各係止爪を前記一対の軸受プレートの外側所定の位置に突出し、前記各先端を前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置に回動することにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間に向けて回動案内し、前記各係止爪を各軸受プレート間に没入する一対のアームと、
前記一対のフック又は前記一対のアームの近傍に配置され、常態として、前記一対のアームを前記シャフト挿通部の一端の開口縁部に係止される前記シャフトのフランジ部に向けて回動付勢し、前記各アームの前記各先端を当該フランジ部に弾性的に当接させるとともに、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間から外側に向けて回動付勢し、前記各係止爪を前記各軸受プレート間から外側所定の位置に保持するフック用又はアーム用のばね部材と、
先端に、前記取付プレートの前記キー孔の前記円形の孔に嵌挿可能でかつ前記取付プレートの前記キー孔から挿通し前記シャフト挿通部の前記シャフトを他端部から押圧して、前記フランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させるのに必要な前記シャフトの押圧ストローク分の長さを有する円筒部、及び前記円筒部の外周に前記キー孔の前記キー溝に嵌挿可能に外側に向けて突出され、前記フランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させた状態で、前記取付プレートの前記片側一方の面側で前記キー孔の周縁部に係止可能なキー型係合部を有し、基端に、つまみ部を有する取り外しキーと、
を備え、
本締結ファスナーで前記各部材を締結する際は、前記一対の軸受プレートを前記各部材の前記各取付孔にワンプッシュで通し、前記各フックの係止爪を前記他方の部材の前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させ、
本締結ファスナーを前記各部材から取り外す際は、前記取り外しキーを前記取付プレートの前記キー孔に合わせて差し込み、前記取り外しキー先端の前記円筒部で前記シャフト挿通部の前記シャフトを他端部から押圧して、前記シャフトのフランジ部で前記一対のアームの前記各先端を前記シャフト挿通部の一端の位置から前記シャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させることにより、前記一対のフックを前記一対の軸受プレートの両側各側縁部間に向けて回動案内し、前記各係止爪を前記各軸受プレート間に没入させ、この状態から、前記取り外しキーを回転して前記円筒部外周の前記キー型係合部を前記取付プレートの前記片側一方の面側で前記キー孔の周縁部に係止して、本締結ファスナーを前記各部材の前記各取付孔から引き抜く、
ことを要旨とする。
【0009】
また、この締結ファスナーは各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)取付プレートは一方の部材の取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、一対の軸受プレートはそれぞれ、各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する略角形に形成されて、前記各部材の各取付孔は角形に開口される。
(2)シャフト挿通部は一端側の内周面が他端側の内周面よりも大経に形成されて、前記一端側の内周にばね受け部が設けられ、シャフト用のばね部材として引張りコイルスプリングが採用され、前記引張りコイルスプリングが前記シャフト挿通部の前記ばね受け部に配置されて、前記シャフト挿通部の前記ばね受け部と前記シャフトの一端部との間に介在される。
(3)一対のフックと一対のアームはそれぞれ、一体をなす。
(4)取付プレートに、一対のフックが一対の軸受プレート間から突出された前記一対のフックの突出状態及び前記一対のフックが前記一対の軸受プレート間に没入された前記一対のフックの没入状態を表示するインジケーターを備え、前記インジケーターは、前記取付プレートのキー孔の前記一対のフックに対応する両側に貫通して形成される一対の表示窓と、前記一対の軸受プレート間で前記シャフト挿通部の両側に一対の軸と平行な一対の支軸を介して回動可能に取り付けられ、一端側が前記一対のフックの内面部に係合可能に当該内面部に向けて延び、他端側が前記取付プレートに向けて延び、他端に前記一対の表示窓に近接して対向配置されて、前記フックの突出状態を表示する一対の表示プレートを有する一対の作動レバーと、前記各作動レバーの近傍に配置され、常態として前記各作動レバーの一端を前記一対のフックの突出状態の前記各フックの内面部に向けて回動付勢す
るとともに、前記各作動レバーの他端の前記表示プレートを前記取付プレートの前記各表示窓に近接して対向配置し、前記一対のフックの突出状態を表示する一対の作動レバー用のばね部材とを有し、前記一対のフックの前記係止爪が前記一対の軸受プレート間から外側所定の位置に突出されることにより、前記一対のフックの内面部は前記各作動レバーの一端に対して係合せず、前記各作動レバーの他端の前記各表示プレートが前記各表示窓に対向配置された状態を保持して、前記一対のフックの突出状態を表示し、前記一対のフックが前記一対の軸受プレート間に没入されることにより、前記一対のフックの内面部が前記各作動レバーの一端に対して係合し、前記各作レバーの一端を押圧回動して、前記他端の前記各表示プレートを前記各表示窓から離間し、前記一対のフックの没入状態を表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の締結ファスナーによれば、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
(1)この締結ファスナーで各部材を締結する際は、締結ファスナーを工具を用いることなしに各部材の各取付孔にワンプッシュで通し係止させることができるので、取付作業を簡単にし、各部材を従来にも増して手早くかつ簡単に接合することができる。
(2)取付プレートを一方の部材の取付孔よりも少し大きい角形のプレートとし、一対の軸受プレートをそれぞれ、各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさで、これら各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する略角形に形成することにより、各部材の各取付孔を角形に開口するので、各部材の取付孔を単純な形状にすることができ、孔明けに要するコストを低く抑えることができる。
(3)この締結ファスナーを各部材から取り外す場合は、取り外しキーを取付プレートのキー孔に合わせて差し込み、取り外しキー先端の円筒部でシャフト挿通部のシャフトを他端部から押圧して、シャフトのフランジ部で一対のアームの各先端をシャフト挿通部の一端の位置からシャフト挿通部の一端延長上所定の位置まで回動させることにより、一対のフックを一対の軸受プレートの両側各側縁部間に向けて回動案内し、各係止爪を各軸受プレート間に没入させ、この状態から、取り外しキーを回転することにより円筒部外周のキー型係合部を取付プレートの片側一方の面側でキー孔の周縁部に係止して、本締結ファスナーを各部材の各取付孔から引き抜くので、締結ファスナーを各部材から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る締結ファスナーの全体構成を示す図((a)は正面図(b)は背面図(c)は右側面図(左側面図は右側面図を180°反転された状態に表れる。)(d)は平面図(底面図は平面図を180°反転された状態に表れる。)なお、(e)は各部材の各取付孔の正面図)
図2】同締結ファスナーに併せて備える取り外しキーの構成を示す図((a)は平面図(b)は側面図)
図3】同締結ファスナーの使用例を示し、同締結ファスナーで2枚のパネルなど2部材を締結する場合を示す図
図4】同締結ファスナーの使用例を示し、2部材締結後の各部材から同締結ファスナーを取り外す場合を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に締結ファスナーの全体構成を示し、図2にこの締結ファスナーに用いる取り外しキーの構成を示している。
【0013】
図1に示すように、締結ファスナーFは、一方の部材に形成した取付孔から他方の部材に形成した取付孔に通され、他方の部材の取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、一方の部材を他方の部材に締結する形式のものになっている。なお、以下の説明で、一方の部材及び他方の部材を合わせて単に2部材又は各部材という場合がある。
【0014】
図1に示すように、この締結ファスナーFは、取付プレート1と、一対の軸受プレート2A及びシャフト挿通部2Bと、シャフト3と、シャフト用のばね部材4と、一対のフック5A及び一対のアーム5Bと、一対のフック用又はアーム用のばね部材6と、インジケーター7と、図2に示す取り外しキー8と、を備えて構成される。これら各部は次のような構成を有する。
【0015】
取付プレート1は、2部材の取付孔よりも大きいプレートからなり、略中央に円形の貫通孔10及びこの円形の貫通孔10の内周から外側に向けて突状に貫通されるキー溝11からなるキー孔101を有する。
【0016】
この場合、取付プレート1は一方の部材の取付孔よりも少し大きい角形の、ここでは長方形の、全体としてフラットなプレートからなる。また、この場合、キー孔101は、円形の貫通孔10と、この円形の貫通孔10に対して取付プレート1の長辺方向と平行な直径上で交差され、両端をこの円形の貫通孔10の内周から外側に突出される平面視略一文字形の貫通孔、言い換えれば、細長い長方形の貫通孔をなすキー溝11との組み合わせからなる。
【0017】
一対の軸受プレート2Aは、取付プレート1の片側一方の面(以下、内側面という。)でキー孔101の両側に、取付プレート1の内側面の周縁部をフランジ12として残して、各部材の各取付孔に挿通可能に平行に突出される。
【0018】
この場合、一対の軸受プレート2Aはそれぞれ、取付プレート1に一体に設けられ、取付プレート1の長辺と平行に突出される。一対の軸受プレート1はそれぞれ、各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさ、換言すれば、各軸受プレート2Aの断面形状が各軸受プレート2A間の断面形状とともに各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する略角形に、ここでは長方形の板状に形成される。これにより、各部材の各取付孔P1、P2は一対の軸受プレート2Aが通り抜け可能に角形に、ここでは縦長の長方形に開口される(図1(e)参照)。
【0019】
シャフト挿通部2Bは、一対の軸受プレート2A間の略中央で各軸受プレート2Aの突出方向中間部に略円筒状に形成され、取付プレート1の円形の貫通孔10に連通される。
【0020】
この場合、シャフト挿通部2Bは一対の軸受プレート2A間に各軸受プレート2Aと一体に形成される。このシャフト挿通部2Bは一対の軸受プレート2A間において取付プレート1のキー孔101と同軸上でキー孔101から所定の距離離れた各軸受プレート2Aの中間部に円形の貫通孔10と同径で所定の長さの略円筒状に形成される。また、この場合、シャフト挿通部2Bは一端側(各軸受プレートの突出端201側に対応する一端側)の内周面が他端側の内周面よりも大経に形成されて、一端側の内周にばね受け部20が設けられる。ここでは、シャフト挿通部2Bの内周面全面の一端側の略半面が他端側の略半面よりも大径に形成されて、すなわち、一端側の半面が溝状に形成されて、コイルスプリングのためのばね受け部20になっている。
【0021】
シャフト3は、シャフト挿通部2Bに挿通されて、シャフト挿通部2Bの一端から取付プレート1の円形の孔10まで延び、一端部にシャフト挿通部2Bの一端に係止可能なフランジ部30を有する。この場合、シャフト3は、シャフト挿通部2B及び取付プレート1の円形の孔10に嵌挿可能にシャフト挿通部2B及び円形の孔10の径よりも僅かに小径で、シャフト挿通部2Bの一端から取付プレート1の円形の孔10までの長さを有する円筒形のシャフトからなり、一端部にシャフト挿通部2Bの径よりも大きい円板状のフランジ部30が設けられる。このシャフト3は、シャフト挿通部2Bに、フランジ部30を含む一端部側をシャフト挿通部2Bの一端からその延長上に進退可能に挿通配置される。
【0022】
シャフト用のばね部材4は、シャフト挿通部2Bとシャフト3との間に介在され、常態としてシャフト3を取付プレート1の円形の孔10に向けて押圧付勢する。
【0023】
この場合、シャフト用のばね部材4として引張りコイルスプリングが採用される(以下、引張りコイルスプリング4という。)。この引張りコイルスプリング4は一端側がシャフト挿通部2Bの一端側に挿入されて一端側のばね受け部20に配置固定され、他端がシャフト3の一端部に固定されて、シャフト挿通部2B一端のばね受け部20とシャフト3の一端部との間に介装される。この引張りコイルスプリング4の引張り力により、常態として、シャフト3がシャフト挿通部2B内でシャフト挿通部2Bから取付プレート1の円形の孔10に向けて押圧付勢され、シャフト3一端部のフランジ部30がシャフト挿通部2Bの一端開口縁部に圧接される。
【0024】
一対のフック5Aは、各々、一対の軸受プレート2A間でシャフト挿通部2Bの両側に嵌合可能に略コマ状に形成されて、一対の軸受プレート2A間に一端縁部501を各軸受プレート2Aの突出端201側に向けて他端縁部502を取付プレート1側に向けて嵌合配置された状態での、当該各軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に表れる外面部503から他端縁部502にかけてに係止爪52を有している。各フック5Aは、各軸受プレート2A間でシャフト挿通部2Bの両側に対称的に嵌合配置され、一対の軸受プレート2Aの突出端201側に一対の軸51を介して回動可能に支持されて、各係止爪52が一対の軸受プレート2A間から出没可能に配置される。
【0025】
この場合、一対のフック5Aはそれぞれ、一対の軸受プレート2A間でシャフト挿通部2Bの両側の、シャフト挿通部2Bと各軸受プレート2Aの両側各側縁部202、203との範囲内に配置可能な大きさを有し、シャフト挿通部2Bの軸心を対称中心として対称的なコマ形状になっている。また、これらのフック5Aはそれぞれ、回動中心が各フック3の一端縁部501側に設けられ、そこに軸51を挿通可能に軸挿通部50が形成される。各フック3の他端縁部502は円の中心を各フック3の回動中心よりも各フック3の一端縁部501に近くかつ外面部503とは反対側の内面部504寄りの位置におく円弧状に形成される。また、この場合、各フック5Aの外面部503は各軸受プレート2Aの両側各側縁部202、203と平行に断面直線状のフラットな面として形成され、各フック5Aの一端縁部501は回動中心に中心をおく円弧状に形成され、各フック5Aの内面部504は一端縁部501側から他端縁部502側にかけて外面部503に対して漸次離れる方向に斜めに形成される。そして、各フック5Aの一端縁部501の幅方向中央部から内面部504の幅方向中央部にかけて、軸挿通部50を含めて、後述するフック用又はアーム用のばね部材6のためのばね受け部505として凹部505が形成される。
【0026】
一対のアーム5Bは、一対のフック5Aと一体回動可能に一対の軸51からシャフト挿通部2Bの一端延長上に延び、各アーム5Bの各先端53がシャフト挿通部2Bの一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置される。各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置に回動することにより、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に向けて回動案内され、各係止爪52が一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側所定の位置に突出し、各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置に回動することにより、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内され、各係止爪52が各軸受プレート2A間に没入されるようになっている。
【0027】
この場合、一対のフック5Aと一対のアーム5Bはそれぞれ、一体をなす。一対のアーム5Bはそれぞれ、各フック5Aの一端縁部501に連続して形成され、各フック5Aの内面部504側に延ばされて、各フック5Aと各アーム5Bが全体として略L字形に形成される。また、この場合、一方のアーム5Bは一方のフック5Aの一端縁部501で中央の凹部505の片側一方から突出され、他方のアーム5Bは他方のフック5Aの一端縁部501で中央の凹部505の片側他方から突出される。なお、各アーム5Bの先端53は内面部504側の面がシャフト挿通部5Bの一端に係止されるシャフト3のフランジ部30に当接係合可能に断面湾曲状に膨出される。かくして、各アーム5Bの各先端53がシャフト挿通部2Bの一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置され、各アーム5Bの各先端53がシャフト挿通部2Bの一端のシャフト3のフランジ部30にあると、各アーム5Bに連続する一対のフック5Aは各係止爪52が一対の軸受プレート2Aから外側所定の位置まで突出され、各アーム5Bの各先端53がシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置にあると、各アーム5Bに連続する一対のフック5Aは各係止爪52が各軸受プレート2A間に没入されるようになっている。
【0028】
フック用又はアーム用のばね部材6は、一対のフック5A又は一対のアーム5Bの近傍に配置され、常態として、一対のアーム5Bをシャフト挿通部2Bの一端の開口縁部に係止されるシャフト3のフランジ部30に向けて回動付勢し、各アーム5Bの先端53を当該フランジ部30に弾性的に当接させるとともに、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に向けて回動付勢し、各係止爪52を各軸受プレート2A間から外側所定の位置に保持する。
【0029】
この場合、フック用のばね部材6が採用され、このフック用のばね部材6にトーションスプリングが用いられる(以下、フック用のばね部材6をトーションスプリング6という。)。このトーションスプリング6は、各フック5Aの一端縁501部中央の凹部505内、すなわち、各フック5Aの一端縁部501側のばね部材受け部505に配置され、一対の軸51に挿通されて、各軸51に巻き付けられ、一端が各フック5Aの内面部504中央の凹部505内、すなわち、各フック5Aの内面部504側のばね部材受け部505に係止され、他端をシャフト挿通部2Bの外周面に係止されて、常態として、各フック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に向けて回動付勢し、各係止爪52を各軸受プレート2A間から外側所定の位置に保持するとともに、各アーム5Bをシャフト挿通部2Bの一端の開口縁部に係止されるシャフト3のフランジ部30に向けて回動付勢し、各アーム5Bの先端53を当該フランジ部30に弾性的に当接する。なお、この場合、シャフト挿通部2Bの一端の開口縁部に係止されるシャフト3のフランジ部30は各アーム5B及び各フック5Aの回動規制部になっていて、各フック5Aの各係止爪52が常態として各軸受プレート2A間から外側所定の位置に保持される。
【0030】
インジケーター7は、取付プレート1に、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間から突出された一対のフック5Aの突出状態及び一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間に没入された一対のフック5Aの没入状態を表示するものとして装着される。このインジケーター7は、一対の表示窓70と、一対の表示プレート711を有する一対の作動レバー71と、一対の作動レバー用のばね部材72とを有してなる。インジケーター7の各部は次のような構成を有している。
【0031】
一対の表示窓70はそれぞれ、取付プレート1のキー孔101の一対のフック5Aに対応する両側に貫通して形成される。この場合、各表示窓70は、取付プレート1のキー孔101のキー溝11の延長上でキー孔101と取付プレート1の両端部との間に四角形の開口にして貫通形成される。
【0032】
一対の作動レバー71はそれぞれ、一対の軸受プレート2A間でシャフト挿通部2Bの両側に一対の軸51と平行な一対の支軸73を介して回動可能に取り付けられ、一端側が一対のフック5Aの内面部504に係合可能に当該内面部504に向けて延び、他端側が取付プレート1の内側面に向けて延び、他端に一対の表示窓70に近接して対向配置されて、各フック5Aの突出状態を表示する一対の表示プレート711を有する。この場合、各作動レバー71はシャフト挿通部2Bの両側で、一方が断面略くの字形をなし、他方が断面逆くの字形をなし、一端側が他端側に対して少し長く、各フック5Aの内面部504に向けて延び、他端側が取付プレート1の内側面に向けて延び、他端に表示プレート711が取付プレート1に対して近接して平行で各表示窓70に対向配置可能に延設される。また、各作動レバー71の屈曲されて凹側となる面の両側で屈曲部に隣接する一端側の位置に軸受部712が立設される。さらに、各表示プレート711には各表示窓70に対向される面に、各フック5Aの突出状態を表す表示として色や文字などが付されたシールが貼着されるなど、色や文字などが付けられる。かくして各作動レバー71は、各軸受プレート2Aにおいてシャフト挿通部2Bの両側でシャフト挿通部2Bに近接し取付プレート1側の所定の位置に設けられる支軸挿通部204間に各作動レバー71の軸受部712が配置され、各支軸挿通部204、各軸受部712間に支軸73が挿着されて、回動可能に取り付けられる。
【0033】
一対の作動レバー用のばね部材72はそれぞれ、各作動レバー71の近傍に配置され、常態として各作動レバー71の一端を一対のフック5Aの突出状態の各フック5Aの内面部504に向けて回動付勢し、各作動レバー71の他端の表示プレート711を取付プレート1の各表示窓70に近接して対向配置し、各表示窓70に一対のフック5Aの突出状態を表示する。この場合、一対の作動レバー用のばね部材72に一対のトーションスプリングが採用される(以下、一対の作動レバー用のばね部材72をトーションスプリング72という。)。一対のトーションスフリング72は各支軸73に巻き付けられて、一端がシャフト挿通部2Bの各側面に係合され、他端が作動レバー71の他端の表示プレート711の内側面に係合されて、常態として、各作動レバー71の一端を一対のフック5Aの突出状態の各フック5Aの内面部504に向けて回動付勢し、各作動レバー71の他端の表示プレート711を取付プレート1の各表示窓70に近接して対向配置し、各表示窓70に一対のフック5Aの突出状態を表示する。
【0034】
各作動レバー71、各作動レバー用のばね部材72はかかる構成からなり、既述のとおり、常態として一対のフック5Aの係止爪52が一対の軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出されることにより、一対のフック5Aの内面部504は各作動レバー71の一端に対して係合せず、各作動レバー71の他端の各表示プレート711が各表示窓70に対向配置された状態を保持され、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示する。そして、この状態から、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間に没入されることにより、一対のフック5Aの内面部504が各作動レバー71の一端に対して係合し、各作レバー71の一端を押圧回動して、他端の各表示プレート711を各表示窓70から離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示する。
【0035】
取り外しキー8は、図2に示すように、先端に円筒部81及びキー型係合部82を有し、基端につまみ部85を有する。先端の円筒部81は、取付プレート1のキー孔101の円形の孔10に嵌挿可能な大きさで、かつ取付プレート1のキー孔101から挿通しシャフト挿通部2Bのシャフト3を他端部から押圧して、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させるのに必要なシャフト3の押圧ストローク分の長さを有する。キー型係合部82は、円筒部81の外周に、キー孔101のキー溝11に嵌挿可能に外側に向けて突出され、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させた状態で、取付プレート1の内側面側でキー孔101の周縁部に係止可能に配設される。
【0036】
この場合、取り外しキー8は、先端に円筒部81及びキー型係合部82を有するシャフト部83と、シャフト部83の基端に接合されるつまみ部85とからなる。シャフト部83は全体として取付プレート1のキー孔101の円形の孔10に嵌挿可能にかつシャフト3の押圧ストローク分の長さよりも長い円筒状に形成され、先端面からシャフト3の押圧ストローク分の長さに相当する範囲が先端の円筒部81になっている。そして、この先端の円筒部81の外周面において、先端面からシャフト挿通部2Bの他端の開口面と取付プレート1の内側面側のキー孔101の開口との間に相当する長さ又はそれよりも若干短い長さの範囲で相互に正反対の位置に、外側(先端の円筒部81の仮想直径線の外側延長上)に向けて張り出される一対の翼形状部821からなるキー型係合部82が突設される。さらに、この先端の円筒部81の外周面には、キー型係合部82からつまみ部85方向に取付プレート1の厚み相当の間隔をあけた位置に、円形のフランジ部84が、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させた状態で、取付プレート1の片側他方の面側(外側面側)でキー孔101の周縁部に係合可能に、つまり、キー型係合部82とともに取付プレート1のキー孔101周縁部を挟持可能に配設される。また、このシャフト部83の他端面には、その中央部仮想直径線上に、つまみ部85の取付部830が凹状に形成される。また、この場合、つまみ部85は円形のうちわ形に形成されて、円板状のつまみ部本体851と、円板状のつまみ部本体851の外周縁部から突出される凸状の取付部852とからなる。このつまみ部85は凸状の取付部852がシャフト部83の他端面の凹状の取付部830に嵌め込み接合されて、シャフト部83の他端に一体的に取り付けられる。
【0037】
締結ファスナーFはかかる構成を有し、この締結ファスナーFで2部材を締結する際は、一対の軸受プレート2Aを各部材の各取付孔にワンプッシュで通し、各フック5Aの係止爪52を他方の部材の取付孔の縁部に係合させるようになっている。そして、各フック5Aの各係止爪52が各軸受プレート2A間の外側所定の位置に突出される、この状態では、各フック5Aとインジケーター7の各作動レバー71は係合されず、各作動レバー71は他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70に対向配置されて、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示する。
また、この締結ファスナーFを2部材から取り外す際は、取り外しキー8を取付プレート1のキー孔101に合わせて差し込み、取り外しキー8先端の円筒部81でシャフト挿通部2Bのシャフト3を他端部から押圧して、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させることにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内し、各係止爪52を各軸受プレート2A間に没入させ、この状態から、取り外しキー8を回転して円筒部81外周のキー型係合部82を取付プレート1の内側面側でキー孔101の周縁部に係止することで、この締結ファスナーFを各部材の各取付孔から引き抜くようになっている。そして、この締結ファスナーFの引き抜きに際して、各フック5Aが各軸受プレート2A間に没入されると、各フック5Aの内面部504と各作動プレート71の一端が係合し、各フック5Aの内面部504により各作動プレート71の一端がシャフト挿通部2B方向に押されて回動し、各作動プレート71の他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70からシャフト挿通部2Bとは反対側に回動して離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示し、この締結ファスナーFが各部材の各取付孔から引き抜かれると、各フック5Aの各係止爪52が各軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出され、この状態では、各フック5Aと各作動レバー71は係合されず、各作動レバー71は他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70に対向配置されて、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示する。
【0038】
図3にこの締結ファスナーFを例えば2枚のパネルなど2部材の締結に使用する場合を例示している。
なお、この締結ファスナーFの使用前の通常の状態は、図3(1)に示すように、各一対の軸受プレート2Aの間で一対のフック5Aがトーションスプリング6により各軸受プレート2Aの両側各側縁部202、203方向に押圧付勢されて、各フック5Aの係止爪52が各軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側所定の位置に突出される。
【0039】
そして、この2部材の締結に当たり、2部材を組み合わせ各部材の各取付孔P1、P2を合せた後、図3(2)、(3)に示すように、締結ファスナーFの一対の軸受プレート2Aを各部材の各取付孔P1、P2に差し込み押し込む(ワンプッシュする)。この場合、締結ファスナーFの各軸受プレート2Aを、各部材2の縦向きの各取付孔P1、P2に合せて縦向きにし、各軸受プレート2Aを各フック5Aとともに各部材の各取付孔P1、P2に差し込みワンプッシュする。
【0040】
このようにすると、図3(2)、(3)に示すように、締結ファスナーFは各軸受プレート2Aの両側各側縁部202、203及び各外側(外向き)の平面が先端から中間へ、中間から基端へ各部材の各取付孔P1、P2の短辺方向及び長辺方向の各縁部を摺動しつつ、各部材の各取付孔P1、P2に通される。
【0041】
この間、各軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に突出される各フック5Aの各係止爪52は、図3(2)、に示すように、各部材の各取付孔P1、P2の各短辺方向の縁部に接触して押圧され、各係止爪52が各軸51周囲のトーションスプリング6の付勢力に抗して各軸受プレート2A間に向けて回動し各軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に没入される。このようにして各フック5Aが各軸受プレート2A間に没入されると、各フック5Aの内面部504と各作動プレート71の一端が係合し、各フック5Aの内面部504により各作動プレート71の一端がシャフト挿通部2B方向に押されて回動し、各作動プレート71の他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70からシャフト挿通部2Bとは反対側に回動して離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示する。このインジケーター7の表示により、締結ファスナーFの一対の軸受プレート2Aを各部材の各取付孔P1、P2に差し込んでいるときの各フック5Aの没入状態を視覚的に確認することができる。
【0042】
そして、図3(3)に示すように、各フック5Aが各取付孔P1、P2を通過し、取付プレート1の内側面全周縁のフランジ12が一方の部材の取付孔P1の全周縁部の周辺に当接されると、各軸受プレート2A間の各フック5Aは各軸51周囲のトーションスプリング6の付勢力(トーションスプリング6の弾性復帰)により、各係止爪52が各軸受プレート2A間から各軸受プレート2Aの両側各側縁部202、203方向に回動し各軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側所定の位置に突出されて、他方の部材の取付孔P2の各短辺方向の縁部に弾性係止される。ここで、この締結ファスナーFは、図1(c)に示したように、各フック5Aの回動中心が各フック5Aの一端縁部501側で、各フック5Aの他端縁部502が円の中心を各フック5Aの回動中心よりも各フック5Aの一端縁部501に近く内面部504寄りの位置におく円弧状に形成されたことで、図3(3)に示すように、各フック5Aは外側への回動とともに各係止爪52の円弧状の部分(他端縁部502)が取付孔P2の縁部に向けて迫り出し、取付孔P2の縁部に食い込まれる。これにより、各軸受プレート2Aは一方の部材の取付孔P1から他方の部材の取付孔P2に引き寄せられ、取付プレート1の内側平面のフランジ12が一方の部材の取付孔P1の全周縁部の周辺に圧接し、2部材は取付プレート1と一対のフック5Aとの間で締め付けられて接合される。この場合、各フック5Aの各係止爪52は各軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出され、この状態では、各フック5Aとインジケーター7の各作動レバー71は係合されず、各作動レバー71は他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70に対向配置されて、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示する。このインジケーター7の表示により、締結ファスナーFの一対の軸受プレート2Aが各部材の各取付孔P1、P2に押し込まれたときの各フック5Aの突出状態、すなわち、各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部に係止された状態を視覚的に確認することができる。
【0043】
また、この締結ファスナーFで2部材が接合された後、この2部材から締結ファスナーFを取り外す場合は、一方の手で一方の部材の取付孔P1側の取付プレート1を掴み、他方の手で他方の部材の取付孔P2側の各フック5Aを各軸受プレート2A間に押し込みながら、片側一方の手で取付プレート1を引いて締結ファスナーFを引き抜くことにより、締結ファスナーFを各部材の各取付孔P1、P2から取り外すことができる。この間、各フック5Aは、締結ファスナーFを各部材の各取付孔P1、P2にワンプッシュするときとは反対の動作を取る。そして、各フック5Aの動作に応じて、すなわち、各フック5Aの各係止爪52が各軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出される状態では、各フック5Aの内面部504と各作動レバー71の一端は係合されず、各作動レバー71他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70に対向配置されて、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示し、この状態から、各フック5Aが各軸受プレート2A間に没入されると、各フック5Aの内面部504と各作動プレート71の一端が係合し、各フック5Aの内面部504により各作動プレート71の一端がシャフト挿通部2B方向に押されて回動し、各作動プレート71他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70からシャフト挿通部2Bとは反対側に回動して離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示する。このインジケーター7の表示により、各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部に係止された状態、及び各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部から外れた状態を視覚的に確認することができる。なお、この締結ファスナーFの取り外し後、締結ファスナーFは各フック5A、インジケーター7が共に使用前の通常の状態(常態)に戻される。
【0044】
さらに、この締結ファスナーFを2部材から取り外す場合で、取り外す締結ファスナFーの数が多い場合は、取り外しキー8を用いることにより、多数の締結ファスナーFでも簡易に効率よく取り外すことができる。
【0045】
この場合、図4に示すように、まず、取り外しキー8のつまみ部85を手の親指と人差し指で挟み持ち、取り外しキー8の先端を取付プレート1のキー孔101に合わせて差し込み、先端の円筒部81でシャフト挿通部2Bのシャフト3を他端部から押圧して、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させる。これにより、一対のフック5Aは一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内され、各係止爪52が各軸受プレート2A間に没入される。各フック5Aが各軸受プレート2A間に没入されると、各フック5Aの内面部504と各作動プレート71の一端が係合し、各フック5Aの内面部504により各作動プレート71の一端がシャフト挿通部2B方向に押されて回動し、各作動プレート71の他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70からシャフト挿通部2Bとは反対側に回動して離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示する。このインジケーター7の表示により、各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部から外れた状態を視覚的に確認することができる。
【0046】
そして、この状態から、取り外しキー8を任意の方向に少し、この場合、左右どちらでも約38°程回転して、取り外しキー8の先端円筒部81外周のキー型係合部82を取付プレート1の内側面側でキー孔101の周縁部に係止すると、取付プレート1は取り外しキー8の先端円筒部81のキー型係合部82とフランジ部84との間に挟持されて、取り外しキー8が締結ファスナーFに連結される。この状態で取り外しキー8のつまみ部85を挟み持ったまま、取り外しキー8を引き、締結ファスナーFを各部材の各取付孔P1、P2から引き抜くことにより、締結ファスナーFを各部材の各取付孔P1、P2から取り外すことができる。この間、各フック5Aは、締結ファスナーFを各部材の各取付孔P1、P2にワンプッシュするときとは反対の動作を取る。そして、この各フック5Aの動作に応じて、すなわち、各フック5Aの各係止爪52が各軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出される状態では、各フック5Aの内面部504と各作動レバー71の一端は係合されず、各作動レバー71他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70に対向配置されて、インジケーター7は各フック5Aの突出状態を表示する。この状態から、各フック5Aが各軸受プレート2A間に没入されると、各フック5Aの内面部504と各作動プレート71の一端が係合し、各フック5Aの内面部504により各作動プレート71の一端がシャフト挿通部2B方向に押されて回動し、各作動プレート71他端の各表示プレート711が取付プレート1の各表示窓70からシャフト挿通部2Bとは反対側に回動して離間し、インジケーター7は各フック5Aの没入状態を表示する。このインジケーター7の表示により、各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部に係止された状態、各フック5Aが他方の部材の取付孔P2の縁部から外れた状態を、視覚的に確認することができる。なお、この締結ファスナーFの取り外し後、締結ファスナーFは各フック5A、インジケーター7が共に使用前の通常の状態(常態)に戻される。多数の締結ファスナーFについて、この取り外しキー8を用いた同様の取り外し作業を繰り返し行えばよい。
【0047】
以上説明したように、この締結ファスナーFは、取付プレート1と、一対の軸受プレート2A及びシャフト挿通部2Bと、シャフト3と、シャフト用のばね部材として引張りコイルスプリング4と、一対のフック5A及び一対のアーム5Bと、フック用又はアーム用のばね部材としてトーションスプリング6と、インジケーター7と、取り外しキー8とを備えて構成される。この締結ファスナーFで各部材を締結する際は、一対の軸受プレート2Aを各部材の各取付孔にワンプッシュで通し、各フック5Aの各係止爪52を他方の部材の取付孔の縁部に係合させるようにした。このようにしたことで、この締結ファスナーFを工具を用いることなし2部材の各取付孔にワンプッシュで通し係止させることができ、2部材を従来にも増して手早くかつ簡単に接合することができる。また、この締結ファスナーFを各部材から取り外す際は、取り外しキー8を取付プレート1のキー孔101に合わせて差し込み、取り外しキー8先端の円筒部81でシャフト挿通部2Bのシャフト3を他端部から押圧して、シャフト3のフランジ部30で一対のアーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置からシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置まで回動させることにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内し、各係止爪52を各軸受プレート2A間に没入させ、この状態から、取り外しキー8を回転して円筒部81外周のキー型係合部82を取付プレート1の内側面側でキー孔101の周縁部に係止して、この締結ファスナーFを各部材の各取付孔から引き抜くようにした。このようにしたことで、この締結ファスナーFを2部材から取り外す場合で、取り外す締結ファスナーFの数が多い場合でも、これらの締結ファスナーFを各部材から簡易かつ効率よく取り外すことができる。
【0048】
さらに、このパネルファスナーFはさらに次のような利点を有する。
【0049】
取付プレート1は一方の部材の取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、一対の軸受プレート2Aはそれぞれ、各部材の各取付孔に嵌挿可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する略角形に形成されて、各部材の各取付孔は角形に開口されるので、2部材の各取付孔を単純な形状にし、孔明けに要するコストを低く抑えることができる。
【0050】
シャフト挿通部2Bは一端側の内周面が他端側の内周面よりも大経に形成されて、一端側の内周にばね受け部20が設けられ、シャフト用のばね部材として引張りコイルスプリング4が採用され、引張りコイルスプリング4がシャフト挿通部2Bのばね受け部20に配置されて、シャフト挿通部2Bのばね受け部20とシャフト3の一端部との間に介在されるので、簡単なばね構造により、シャフト3を常態として取付プレート1の円形の孔10に向けて確実に押圧付勢することができる。
【0051】
各フック5Aの回動中心が各フック5Aの一端縁部501側で、各フック5Aの他端縁部502は円の中心を各フック5Aの回動中心よりも各フック5Aの一端縁部501に近くかつ外面部503とは反対側の内面部504寄りの位置におく円弧状に形成されるので、この締結ファスナーFを2部材の各取付孔に通しワンプッシュした後の各フック5Aの、各係止爪52の外側への回動とともに各係止爪52の円弧状の部分が各取付孔の縁部に向けて迫り出し、各係止爪31を各取付孔の縁部に食い付かせることができる。これにより、一対の軸受プレート2Aを一方の部材の取付孔から他方の部材の取付孔に引き寄せ、取付プレート1の内側面のフランジ12を一方の部材の取付孔の周縁部の周辺に圧接して、2部材を取付プレート1と一対のフック3との間で締め付けて接合することができ、2部材の板厚に多少のバラつきがあっても、各部材をガタツクことなく確実に接合することができる。
【0052】
一対のフック5Aと一対のアーム5Bはそれぞれ、一体をなすので、一対のアーム5Bを一対のフック5Aと一体回動可能に一対の軸51からシャフト挿通部2Bの一端延長上に延ばし、各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置して、各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置に回動することにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に向けて回動案内して、各係止爪52を一対の軸受プレート2Aの外側所定の位置に突出させ、各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置に回動することにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内し、各係止爪52を各軸受プレート2A間に確実に没入させる構造を、一対の軸受フレート2A間に簡単かつ確実に備え付けることができる。
【0053】
取付プレート1に、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間から突出された一対のフック5Aの突出状態及び一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間に没入された一対のフック5Aの没入状態を表示するインジケーター7を備えたので、この締結ファスナーFで2部材を締結する際に、各フック5Aの係止爪52が他方の部材の取付孔の縁部に係合された状態、この締結ファスナーFを2部材から取り外す際に、各フック5Aの係止爪52が他方の部材の取付孔の縁部から係合を解除された状態、それぞれを、視覚的に確認することができ、この締結ファスナーFの各部材への取り付け、各部材からの取り外しを、確実かつ容易に行うことができる。
【0054】
また、このインジケーター7は、一対の表示窓70と、一対の表示プレート711を有する一対の作動レバー71と、一対の作動レバー用のばね部材としてトーションスプリング72とを有し、一対のフック5Aの各係止爪52が一対の軸受プレート2A間から外側所定の位置に突出されることにより、一対のフック5Aの内面部504は各作動レバー71の一端に対して係合せず、各作動レバー71の他端の各表示プレート711が各表示窓70に対向配置された状態を保持して、一対のフック5Aの突出状態を表示し、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間に没入されることにより、一対のフック5Aの内面部504は各作動レバー71の一端に対して係合し、各作業レバー71の一端を押圧回動して、他端の各表示プレート711を各表示窓70から離間し、一対のフック5Aの没入状態を表示するようにした。このように一対のフック5Aの動きに連動した簡単な構造にしたことで、このインジケーター7を締結ファスナーFに低コストに付設でき、一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間から突出された一対のフック5Aの突出状態及び一対のフック5Aが一対の軸受プレート2A間に没入された一対のフック5Aの没入状態を確実に表示することができる。
【0055】
なお、この実施の形態では、一対の軸受プレート2Aを一方の部材に形成した取付孔から他方の部材に形成した取付孔にワンプッシュで通し、一対のフック5Aの各係止爪52を他方の部材の取付孔の縁部に係合させるものとしたが、各フックの各係止爪を他方の部材の取付孔の縁部周囲に係合させるようにしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、この実施の形態では、シャフト用のばね部材に引張りコイルスプリング4を用いたが、このばね部材の介設形式を変更して引張りコイルスプリングに代えて圧縮コイルスプリングを用いてもよく、また、フック用のばね部材にトーションスプリング6を用いたが、このばね部材の介設形式を変更してトーションスプリングに代えてコイルスプリングを用いてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
さらに、この実施の形態では、一対のフック5Aと一対のアーム5Bをそれぞれ一体とし、一対のアーム5Bを一対のフック5Aと一体回動可能に一対の軸51からシャフト挿通部2Bの一端延長上に延ばし、各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置とその延長上所定の位置との間に回動可能に配置して、各先端53をシャフト挿通部2Bの一端の位置に回動することにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間から外側に向けて回動案内して、各係止爪52を一対の軸受プレート2Aの外側所定の位置に突出させ、各アーム5Bの各先端53をシャフト挿通部2Bの一端延長上所定の位置に回動することにより、一対のフック5Aを一対の軸受プレート2Aの両側各側縁部202間、203間に向けて回動案内し、各係止爪52を各軸受プレート2A間に没入する構造を取ったが、一対のアームを一対のフックとは別体にして、同構造形式を取ってもよい。このようにしても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
またさらに、この実施の形態では、締結ファスナーFは2部材の接合に使用するものとして例示しているが、2部材の締結のみの使用に限定されるものではなく、2部材間に他の部材を介在する場合や3部材以上を重ねて結合する場合にも、この締結ファスナーを同様に用いることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
F パネルファスナー
1 取付プレート
10 貫通孔
11 キー溝
101 キー孔
12 フランジ
2A 軸受プレート
201 突出端
202、203 側縁部
204 支軸挿通部
2B シャフト挿通部
20 ばね受け部
3 シャフト
30 フランジ部
4 シャフト用のばね部材(引張りコイルスプリング)
5A フック
501 一端縁部
502 他端縁部
503 外面部
504 内面部
505 ばね受け部(凹部)
50 軸挿通部
51 軸
52 係止爪
5B アーム
53 先端
6 フック用又はアーム用のばね部材(トーションスプリング)
7 インジケーター
70 表示窓
71 作動レバー
711 表示プレート
712 軸受部
72 作動レバー用のばね部材(トーションスプリング)
73 支軸
8 取り外しキー
81 円筒部
82 キー型係合部
821 翼形状部
83 シャフト部
830 取付部
84 フランジ部
85 つまみ部
851 つまみ部本体
852 取付部
P1、P2 取付孔
図1
図2
図3
図4