(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】配索構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20240205BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240205BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20240205BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04
F16B2/08 U
F16L3/137
(21)【出願番号】P 2020067331
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晴健
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-103639(JP,A)
【文献】特開2001-039467(JP,A)
【文献】特開2014-099989(JP,A)
【文献】特開2008-130491(JP,A)
【文献】特開2013-027169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H02G 3/04
F16B 2/08
F16L 3/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に固定される固定部と、ワイヤハーネスに対して巻き付けられるバンド部と、前記バンド部を係止する係止部と、を有し、前記ワイヤハーネスを保持する複数のバンドクランプと、
前記ワイヤハーネスに沿って配置され、かつ前記ワイヤハーネスの剛性よりも高い剛性を有する可撓性の外装部材と、
前記バンド部が挿通される第一貫通孔と、前記外装部材が挿通される第二貫通孔と、を有し、前記バンドクランプと前記外装部材とを連結する複数の連結部材と、
を備え、
前記外装部材の両端の形状は、先端へ向かうに従って幅が狭くなるテーパ形状であり、
前記外装部材は、前記ワイヤハーネスの半径方向において前記バンド部よりも外側に位置していることを特徴とする配索構造。
【請求項2】
隣り合う二つの前記連結部材の間において前記ワイヤハーネスと前記外装部材とを結束する結束材を備える
請求項1に記載の配索構造。
【請求項3】
前記外装部材は、平板状の樹脂部材である
請求項1または2に記載の配索構造。
【請求項4】
複数の前記外装部材を備え、
一つの前記バンド部が複数の前記連結部材を介して複数の前記外装部材と連結されている
請求項1から3の何れか1項に記載の配索構造。
【請求項5】
複数の前記外装部材は、前記ワイヤハーネスを間に挟んで互いに対向している
請求項4に記載の配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配索経路を規制する技術がある。特許文献1には、配索経路において電線束に形成される曲げ部を含む範囲で電線束に縦添えされる樹脂製の骨部材と、電線束の長手方向に離間した複数箇所で骨部材を電線束に固定する結束手段と、を備えるワイヤハーネスが開示されている。特許文献1の骨部材は、所定以上の曲げ荷重によって曲げ変形すると共に、曲げ荷重が解除されても曲げ変形が残る形状維持特性を持つ線条体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配索経路を規制する配索構造において、汎用性を向上できることが望ましい。例えば、経路を規制する長さ、および経路を規制する方向の少なくとも一方を自在に調整できれば、汎用性が向上する。
【0005】
本発明の目的は、汎用性を向上させることができる配索構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配索構造は、車両の車体に固定される固定部と、ワイヤハーネスに対して巻き付けられるバンド部と、前記バンド部を係止する係止部と、を有し、前記ワイヤハーネスを保持する複数のバンドクランプと、前記ワイヤハーネスに沿って配置され、かつ前記ワイヤハーネスの剛性よりも高い剛性を有する可撓性の外装部材と、前記バンド部が挿通される第一貫通孔と、前記外装部材が挿通される第二貫通孔と、を有し、前記バンドクランプと前記外装部材とを連結する複数の連結部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る配索構造は、ワイヤハーネスに沿って配置され、かつワイヤハーネスの剛性よりも高い剛性を有する可撓性の外装部材と、バンドクランプのバンド部が挿通される第一貫通孔と、外装部材が挿通される第二貫通孔と、を有し、バンドクランプと外装部材とを連結する複数の連結部材と、を備える。本発明に係る配索構造では、隣り合うバンドクランプの距離を自在に調整すること、バンド部に対する連結部材の固定位置を自在に調整すること、の少なくとも一方が可能である。本発明に係る配索構造によれば、配索経路を規制する際の汎用性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る配索構造の各要素を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバンドクランプの平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るバンドクランプの側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る連結部材の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る外装部材および連結部材の平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る外装部材および連結部材の側面図である。
【
図7】
図7は、ワイヤハーネスに対するバンドクランプの締付を説明する図である。
【
図8】
図8は、車体に対するバンドクランプの固定を説明する断面図である。
【
図9】
図9は、連結部材の配置の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、連結部材の配置の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第1変形例に係る配索構造の平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の第1変形例に係る配索構造の断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の第2変形例に係る配索構造の平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の第2変形例に係る配索構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る配索構造につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、配索構造に関する。
図1は、実施形態に係る配索構造の各要素を示す平面図、
図2は、実施形態に係るバンドクランプの平面図、
図3は、実施形態に係るバンドクランプの側面図、
図4は、実施形態に係る連結部材の斜視図、
図5は、実施形態に係る外装部材および連結部材の平面図、
図6は、実施形態に係る外装部材および連結部材の側面図、
図7は、ワイヤハーネスに対するバンドクランプの締付を説明する図、
図8は、車体に対するバンドクランプの固定を説明する断面図、
図9は、連結部材の配置の一例を示す断面図、
図10は、連結部材の配置の一例を示す断面図、
図11は、実施形態に係る配索構造を示す図、
図12は、比較例に係る配索構造を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の配索構造1は、複数のバンドクランプ2と、可撓性の外装部材3と、複数の連結部材4と、を有する。配索構造1は、ワイヤハーネスWHの配索経路を規制する機能を有する。ワイヤハーネスWHは、例えば、複数の電線の集合体である。ワイヤハーネスWHは、芯線の太さや被膜の厚さが異なる複数種類の電線を含んでいてもよい。
【0012】
図2および
図3に示すように、バンドクランプ2は、固定部21と、バンド部22と、係止部23と、を有する。固定部21、バンド部22、および係止部23は、例えば、絶縁性の合成樹脂によって一体に成型されている。固定部21は、車両100の車体に対して固定される部分である。固定部21は、例えば、車体のパネル101に対して固定される。固定部21は、柱部21aと、一対の係止アーム21bと、押圧部21cと、を有する。柱部21aの形状は、柱状または棒状である。
【0013】
係止アーム21bは、柱部21aの先端につながっている。係止アーム21bは、柱部21aの先端から基端側に向けて延在している。係止アーム21bは、柱部21aの軸方向に対して傾斜しており、かつ可撓性を有している。押圧部21cは、柱部21aの基端とつながっている。押圧部21cの形状は、柱部21aの先端へ近づくに従って断面積が広がるテーパ形状である。押圧部21cは、例えば、傘形状を有する。押圧部21cは、パネル101の壁面に押し付けられる際に弾性変形するように構成されている。
【0014】
係止部23は、固定部21とバンド部22との間に位置している。つまり、係止部23は、柱部21aの基端につながっている。係止部23は、挿通孔23aと、係止歯23bと、を有する。挿通孔23aは、バンド部22が挿入される貫通孔であり、係止部23を貫通している。係止歯23bは、挿通孔23aに配置されている。
【0015】
バンド部22は、係止部23から固定部21の側とは反対側に向けて延在している。バンド部22の形状は、平板形状である。バンド部22は、可撓性を有しており、ワイヤハーネスWHに対して巻き付け可能である。バンド部22における一方側の主面には、複数の鋸歯状の歯22aが設けられている。歯22aは、バンド部22の長手方向と直交する方向に延在している。複数の歯22aは、バンド部22の長手方向に沿って配列されている。バンド部22が挿通孔23aに挿通されると、係止歯23bがバンド部22の歯22aを係止する。係止歯23bは、例えば、挿通孔23aから抜け出る方向へのバンド部22の動きを規制する。
【0016】
外装部材3は、例えば、絶縁性の合成樹脂によって成型されている。本実施形態の外装部材3の形状は、細長い平板形状である。
図1等に示すように、外装部材3の両端の形状は、先端へ向かうに従って幅が狭くなるテーパ形状である。外装部材3は、ワイヤハーネスWHの配索経路に沿って湾曲可能な可撓性を有する。また、外装部材3の剛性は、ワイヤハーネスWHの剛性よりも高い。ここで、外装部材3およびワイヤハーネスWHの剛性は、例えば、曲げに対する剛性、ねじりに対する剛性、剪断に対する剛性の少なくとも一つである。例えば、外装部材3の曲げ剛性がワイヤハーネスWHの曲げ剛性よりも高くされてもよい。ワイヤハーネスWHの剛性は、例えば、電線の集合体が有する剛性である。
【0017】
外装部材3は、ワイヤハーネスWHの経路を規制できる剛性を有している。また、外装部材3は、ワイヤハーネスWHの振動を抑制できる剛性を有している。例えば、外装部材3の材料、断面積、断面形状等は、ワイヤハーネスWHの経路を規制し、ワイヤハーネスWHの振動を抑制できるように定められている。
【0018】
連結部材4は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型されている。
図4に示すように、本実施形態の連結部材4の形状は、直方体形状である。連結部材4は、第一貫通孔41および第二貫通孔42を有する。第一貫通孔41および第二貫通孔42は、それぞれ連結部材4を貫通している。第一貫通孔41は、第一方向Xに沿って連結部材4を貫通している。第二貫通孔42は、第二方向Yに沿って連結部材4を貫通している。第二方向Yは、第一方向Xと交差する方向であり、本実施形態では第一方向Xと直交する方向である。第一貫通孔41および第二貫通孔42は、第三方向Zの互いに異なる位置に形成されている。第三方向Zは、第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する方向である。
【0019】
第一貫通孔41の断面形状は、バンド部22の断面形状に対応している。第二方向Yにおける第一貫通孔41の幅は、バンド部22の幅よりもわずかに大きい。第三方向Zにおける第一貫通孔41の幅は、バンド部22の厚さよりもわずかに大きい。第二貫通孔42の断面形状は、外装部材3の断面形状に対応している。第一方向Xにおける第二貫通孔42の幅は、外装部材3の幅よりもわずかに大きい。第三方向Zにおける第二貫通孔42の幅は、外装部材3の厚さよりもわずかに大きい。
【0020】
図5および
図6に示すように、外装部材3に対して複数の連結部材4が取り付けられる。言い換えると、外装部材3は、複数の連結部材4の第二貫通孔42に挿通される。一つの外装部材3に取り付けられる連結部材4の個数は、三個以上であってもよい。連結部材4は、外装部材3の任意の位置に位置付けることが可能である。つまり、複数の連結部材4のピッチが自在に設定可能である。複数の連結部材4のそれぞれに対して、バンドクランプ2のバンド部22が挿通される。
【0021】
図7に示すように、バンドクランプ2は、ワイヤハーネスWHに対して巻き付けられる。バンド部22は係止部23の挿通孔23aに挿通され、ワイヤハーネスWHに対して締め付けられる。ワイヤハーネスWHに対するバンドクランプ2の締め付けは、治具を用いてなされてもよい。バンド部22における先端の余剰部分は、例えば、バンドカッターによって切断される。
【0022】
図8に示すように、バンドクランプ2の固定部21は、車両100のパネル101に対して固定される。パネル101は、車両100の車体を構成する部材の一例である。パネル101には、貫通孔101aが形成されている。固定部21は、貫通孔101aに挿入される。このときに、固定部21は、係止アーム21bを撓み変形させながら貫通孔101aを通過する。係止アーム21bは、撓み変形した状態で貫通孔101aを通過する。固定部21は、係止アーム21bと押圧部21cとの間にパネル101を挟み込む。ワイヤハーネスWHは、バンドクランプ2を介してパネル101に対して固定される。
【0023】
外装部材3は、連結部材4およびバンドクランプ2を介してパネル101によって支持される。外装部材3は、
図8に示すように、ワイヤハーネスWHの半径方向においてバンド部22よりも外側に位置している。つまり、連結部材4は、第二貫通孔42が第一貫通孔41よりも外側に位置するようにバンド部22に取り付けられる。
【0024】
図8では、連結部材4がワイヤハーネスWHを間に挟んで固定部21と対向している。ただし、固定部21と連結部材4との相対位置は、これには限定されない。例えば、
図9および
図10に示すように、固定部21と連結部材4とが約90°ずれて配置されてもよい。固定部21に対する連結部材4の位相は、例えば、以下に説明するように定められてもよい。
【0025】
連結部材4の位置は、例えば、ワイヤハーネスWHの経路を効果的に規制する観点から定められる。例えば、
図11に示すように、連結部材4は、ワイヤハーネスWHの湾曲形状の山や谷に外装部材3を沿わせるように配置される。このように外装部材3が配置されることで、ワイヤハーネスWHの経路が外装部材3によって好適に規制される。
【0026】
連結部材4の位置は、例えば、ワイヤハーネスWHの振動を抑制する観点から定められてもよい。例えば、連結部材4は、外装部材3をワイヤハーネスWHに対して下方や上方に位置付けるように配置されてもよい。つまり、外装部材3は、ワイヤハーネスWHを下側または上側から支持するように配置されてもよい。このような配置によれば、車両上下方向において外装部材3がワイヤハーネスWHの振動を抑制することができる。
【0027】
また、板状の外装部材3は、外装部材3の幅方向の振動に対して高い曲げ剛性を有する。連結部材4は、抑制したい振動の方向を外装部材3の幅方向と一致させるように配置されてもよい。
【0028】
連結部材4の位置は、例えば、ワイヤハーネスWHを保護する観点から定められてもよい。例えば、
図11に示すように、連結部材4は、バリ102とワイヤハーネスWHとの間に位置付けるように配置される。バリ102は、例えば、車両100の車体に存在するバリである。このように外装部材3が配置されることで、ワイヤハーネスWHがバリ102に接触して傷ついてしまうことが抑制される。
【0029】
本実施形態に係る配索構造1では、ワイヤハーネスWHと比較して高い剛性を有する外装部材3がワイヤハーネスWHに沿って配置される。また、外装部材3が連結部材4によって複数のバンドクランプ2と連結される。本実施形態の配索構造1では、隣り合うバンドクランプ2の距離(ピッチ)を自在に調節可能である。また、バンド部22に対する連結部材4の固定位置を自在に調節可能である。よって、本実施形態の配索構造1によれば、ワイヤハーネスWHの経路を規制する際の汎用性が向上する。また、本実施形態の配索構造1は、簡易な構成でワイヤハーネスWHの経路を規制することができる。
【0030】
また、本実施形態の配索構造1は、簡易な構成でワイヤハーネスWHを保護することができる。
図11には、ワイヤハーネスWHの振動範囲A1が示されている。車両100の振動により、ワイヤハーネスWHにおいて二つのバンドクランプ2の間の部分が振動することがある。本実施形態の配索構造1では、相対的に高い剛性を有する外装部材3がワイヤハーネスWHに沿って配置されているため、ワイヤハーネスWHの振動が抑制される。
図12には、比較例の配索構造200が示されている。比較例の配索構造200は、外装部材3および連結部材4を有していない。この場合、ワイヤハーネスWHの振動範囲A2が広くなり、ワイヤハーネスWHがバリ102と接触しやすくなる。これに対して、本実施形態の配索構造1は、比較例の振動範囲A2と比較して振動範囲A1を狭くし、ワイヤハーネスWHを保護することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る配索構造1は、複数のバンドクランプ2と、可撓性の外装部材3と、複数の連結部材4と、を有する。バンドクランプ2は、車両100の車体に対して固定される固定部21と、ワイヤハーネスWHに対して巻き付けられるバンド部22と、バンド部22を係止する係止部23と、を有し、ワイヤハーネスWHを保持する。外装部材3は、ワイヤハーネスWHに沿って配置され、かつワイヤハーネスWHの剛性よりも高い剛性を有する。連結部材4は、バンド部22が挿通される第一貫通孔41と、外装部材3が挿通される第二貫通孔42と、を有し、バンドクランプ2と外装部材3とを連結する。
【0032】
本実施形態の配索構造1では、隣り合うバンドクランプ2の距離を自在に調節すること、バンド部22に対する連結部材4の固定位置を自在に調整すること、の少なくとも一方が可能である。よって、本実施形態の配索構造1は、配索経路を規制する際の汎用性を向上させることができる。
【0033】
本実施形態の外装部材3は、平板状の樹脂部材である。このような外装部材3は、配索経路に沿って湾曲する可撓性と、ワイヤハーネスWHの経路を規制する剛性と、を両立させることができる。
【0034】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図13は、実施形態の第1変形例に係る配索構造の平面図、
図14は、実施形態の第1変形例に係る配索構造の断面図である。
図14には、
図13のXIV-XIV断面が示されている。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、複数の外装部材3を有する点である。
【0035】
図13および
図14に示すように、実施形態の第1変形例に係る配索構造1は、二本の外装部材3を有する。以下の説明では、二本の外装部材3の一方を第一外装部材3Aと称し、他方を第二外装部材3Bと称する。第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bは、ワイヤハーネスWHを間に挟んで互いに対向するように配置されている。第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bは、例えば、ワイヤハーネスWHの湾曲形状の山部や谷部に沿って配置されている。
【0036】
実施形態の第1変形例に係る配索構造1は、三本のバンドクランプ2と六個の連結部材を有する。バンドクランプ2のバンド部22は、二つの連結部材4に挿通されている。二つの連結部材4の一方には第一外装部材3Aが挿通され、二つの連結部材4の他方には第二外装部材3Bが挿通される。つまり、一つのバンド部22が複数の連結部材4を介して複数の外装部材3A,3Bと連結されている。
【0037】
第一外装部材3Aは、ワイヤハーネスWHとバリ102との間に配置されており、バリ102との接触からワイヤハーネスWHを保護することができる。第二外装部材3Bは、ワイヤハーネスWHとバリ103との間に配置されており、バリ103との接触からワイヤハーネスWHを保護することができる。
【0038】
実施形態の第1変形例に係る配索構造1では、複数の外装部材3がワイヤハーネスWHに沿って配置される。これにより、ワイヤハーネスWHの経路を規制する点で有利である。本変形例の配索構造1において、複数の外装部材3がそれぞれ異なる機能を有していてもよい。例えば、第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bの一方が主として経路規制部材として機能し、他方が主として振動抑制部材として機能してもよい。第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bの少なくとも一方は、バリ102,103からワイヤハーネスWHを保護するプロテクタ部材として機能してもよい。
【0039】
また、第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bは、複数の機能を有していてもよい。例えば、第一外装部材3Aおよび第二外装部材3Bは、経路を規制する機能、ワイヤハーネスWHの振動を抑制する機能、およびバリ102,103からワイヤハーネスWHを保護する機能の全て、または少なくとも二つの機能を有していてもよい。
【0040】
以上説明したように、本変形例に係る配索構造1は、複数の外装部材3を有する。また、一つのバンド部22が複数の連結部材4を介して複数の外装部材3と連結されている。本変形例の配索構造1によれば、複数の外装部材3により一つの機能を強化することもでき、複数の外装部材3にそれぞれ異なる機能を割り当てることもできる。
【0041】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。
図15および
図16は、実施形態の第2変形例に係る配索構造の平面図である。実施形態の第2変形例に係る配索構造1において、上記実施形態の配索構造1と異なる点は、例えば、ワイヤハーネスWHと外装部材3とを結束する結束材5を有する点である。
【0042】
図15に示すように、結束材5は、ワイヤハーネスWHおよび外装部材3に対して巻き付けられて、ワイヤハーネスWHと外装部材3とを一つにまとめている。結束材5は、例えば、テープや結束バンド等である。テープは、粘着性を有するテープであってもよく、自己融着テープ等であってもよい。結束材5は、隣り合う二つの連結部材4の間においてワイヤハーネスWHと外装部材3とを結束している。二つの連結部材4は、ワイヤハーネスWHの延在方向において隣り合っている。
【0043】
実施形態の第2変形例に係る配索構造1によれば、結束材5によってワイヤハーネスWHと外装部材3とが結束されることで、ワイヤハーネスWHの経路を規制する効果が向上する。また、ワイヤハーネスWHと外装部材3とが結束されることで、ワイヤハーネスWHの振動を抑制する効果や、ワイヤハーネスWHを保護する効果が向上する。
【0044】
結束材5は、例えば、二つの連結部材4の間の中間部に配置されてもよい。結束材5は、二つの連結部材4の間に複数配置されてもよい。例えば、二つの連結部材4の間の区間で複数の箇所にテープが巻き付けられてもよく、複数の箇所に結束バンドが取り付けられてもよい。
【0045】
図16に示すように、ワイヤハーネスWHおよび外装部材3に対して結束材5が螺旋状に巻かれてもよい。この場合は、結束材5としてテープが用いられることが好ましい。
図16に例示された結束材5は、一つの連結部材4の近傍から、隣り合う連結部材4の近傍まで螺旋状に巻き付けられている。例示された結束材5は、隙間をあけてワイヤハーネスWHおよび外装部材3の一部を露出させるように巻かれている。なお、結束材5は、ワイヤハーネスWHおよび外装部材3を露出させないようにラップさせながら巻き付けられてもよい。配索構造1が複数の外装部材3を有する場合、結束材5は、複数の外装部材3とワイヤハーネスWHとを結束することができる。
【0046】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。外装部材3の形状や長さは、例示された形状や長さには限定されない。例えば、外装部材3の幅は、ワイヤハーネスWHの外径と同じ大きさとされてもよく、ワイヤハーネスWHの外径よりも大きくされてもよい。例えば、外装部材3は、断面形状が円形の棒状の部材であってもよく、断面形状が多角形の棒状の部材であってもよい。外装部材3は、断面形状が円弧形状の板状の部材であってもよい。連結部材4において、第二貫通孔42の形状は、外装部材3の断面形状に応じて適宜定められる。
【0047】
外装部材3には、バンド部22の歯22aと同様の複数の歯が設けられてもよい。連結部材4は、外装部材3の歯を係止する係止歯を有していてもよい。この場合、連結部材4の係止歯は、外装部材3を仮係止する程度の強さで外装部材3の歯を係止してもよい。また、連結部材4の係止歯は、作業者が容易に外装部材3に対して連結部材4を両方向にスライドさせることができる程度の強さで外装部材3の歯を係止してもよい。
【0048】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 配索構造
2 バンドクランプ
3 外装部材
3A:第一外装部材、 3B:第二外装部材
4 連結部材
5 結束材
21 固定部
21a 柱部、 21b:係止アーム、 21c:押圧部
22 バンド部
22a 歯
23 係止部
23a:挿通孔、 23b:係止歯
41 第一貫通孔
42 第二貫通孔
100 車両
101 パネル
101a 貫通孔
102,103 バリ
200 比較例の配索構造
WH ワイヤハーネス
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向