IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カワサキモータース株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-搬送装置 図1
  • 特許-搬送装置 図2
  • 特許-搬送装置 図3
  • 特許-搬送装置 図4
  • 特許-搬送装置 図5
  • 特許-搬送装置 図6
  • 特許-搬送装置 図7
  • 特許-搬送装置 図8
  • 特許-搬送装置 図9
  • 特許-搬送装置 図10
  • 特許-搬送装置 図11
  • 特許-搬送装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/02 20060101AFI20240205BHJP
   B05B 16/40 20180101ALI20240205BHJP
   B65G 21/00 20060101ALI20240205BHJP
   B65G 35/08 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B05B13/02
B05B16/40
B65G21/00 Z
B65G35/08 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020091664
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021186708
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】中川 文寛
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-277577(JP,A)
【文献】実開昭59-046911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/00-12/14
13/00-13/06
B05C 7/00-21/00
B65G21/00-21/22
35/00-37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記閉鎖体が前記支持体とは別の支持部によって前記トロリーに支持されている、搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置であって、
前記複数の閉鎖体は、前記複数のトロリーに対応して設けられ、
前記閉鎖体は、前記スリットを閉じた状態で前記トロリーと共に走行可能なように、前記トロリーに支持される、搬送装置。
【請求項3】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記支持体は前記トロリーに対して回転可能に支持され、前記閉鎖体は前記トロリーに対して非回転状態に保たれる、搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記閉鎖体は、前記トロリーに着脱可能に取付けられる、搬送装置。
【請求項5】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記スリットが延びる方向において、前記閉鎖体は、前記複数の支持体間のピッチと同じ長さに形成されている、搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記閉鎖体は、前記仕切と接触した状態で前記スリットに沿って移動する、搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記複数の閉鎖体は、前記作業用空間の外側から前記スリットを閉じる、搬送装置。
【請求項8】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記複数のトロリーは、前記トロリーの移動経路に沿って上流側の前記トロリーが下流側の前記トロリーを押すように、前記トロリーの移動経路を移動する、搬送装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つの記載の搬送装置であって、
前記仕切は前記スリットに沿うレールを含み、
前記複数の閉鎖体は、前記レールにより前記スリットに沿って移動するように案内される、搬送装置。
【請求項10】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記複数の閉鎖体のそれぞれは、前記スリットを閉じた状態に保つように曲り可能に構成されている、搬送装置。
【請求項11】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、
を備え、
前記複数のトロリーは、第1位置から第2位置を経由する経路に沿って走行し、
前記第2位置に対応する位置に達した前記閉鎖体を、前記トロリーとは別の経路を経由して前記第1位置に対応する位置に戻す閉鎖体戻し搬送機構をさらに備える、搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載の搬送装置であって、
前記閉鎖体戻し搬送機構は、前記別の経路に沿う戻し用レールを含み、
前記閉鎖体は、前記閉鎖体が前記戻し用レールに挿入される際にガイドの役割を果すガイド部を含む、搬送装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の搬送装置であって、
前記閉鎖体のうち前記作業用空間内に向く面は、金属によって形成されている、搬送装置。
【請求項14】
作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、
前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、
前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、
前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、を備える搬送装置と、
前記スリットよりも上方に設けられる作業用ロボットと、
を備える作業用ロボット設備用の搬送装置。
【請求項15】
請求項14に記載の作業用ロボット設備用の搬送装置であって、
前記作業用空間の側方に前記仕切が設けられ、
前記作業用ロボットは、前記仕切に対して前記スリットよりも上方に設けられた塗装作業用ロボットであり、
前記支持体は、上方から塗料が吹付けられる位置で作業対象物を支持する、作業用ロボット設備用の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レールに沿って走行するキャリヤより棒体を立設し、その棒体で塗装対象物を支持するコンベヤを開示している。このコンベヤにおいては、垂直軸案内ローラが左右から案内板で挟まれており、コンベアレールには進行方向に沿った溝が形成されている。この溝に塗料等が侵入しないよう、レールと塗装対象物との間に防塵板が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-075370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンベヤによると、塗装作業を行う作業用空間内と、キャリヤがある作業用空間外とは隔離されておらず、空気の行き来を遮断できない。このため、塗装システム上、都合の悪い空気の乱れが発生する恐れがある。
【0005】
そこで、本開示は、作業用空間内の空気の流れの乱れを抑える構造とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、搬送装置は、作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この搬送装置によると、複数の閉鎖体は、前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットを閉じる。このため、スリットを閉じる閉鎖体が作業用空間内の空気の流れの乱れを抑える構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】塗装用設備の全体構成を示す概略平面図である。
図2図1のII-II線における概略断面図である。
図3】移動本体部とレールとの変形例を示す概略断面図である。
図4】作業用空間内から搬送装置を見た状態を示す説明図である。
図5】トロリー及び支持体が曲線路を移動する状態を示す説明図である。
図6】搬送路の一部が上下にずれる場合の変形例を示す説明図である。
図7】閉鎖体に係る変形例を示す概略断面図である。
図8】同上の閉鎖板を示す斜視図である。
図9】閉鎖体戻し搬送装置を備える搬送装置を示す説明図である。
図10】閉鎖体を示す正面図である。
図11】閉鎖体を示す平面図である。
図12】変形例に係る閉鎖体戻し搬送装置を備える搬送装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る搬送装置について説明する。本実施形態では、搬送装置が作業用ロボット設備用の搬送装置である例が説明される。また、本実施形態では、作業が塗装作業である例が説明される。
【0010】
図1は塗装用設備10の全体構成を示す概略平面図である。本塗装用設備10においては、少なくとも1つの作業用空間11、12、13が設定される。作業用空間11、12、13は、側壁、天井壁、床面等の周囲仕切14によって周囲から仕切られた空間であってもよい。作業用空間11、12、13のうち作業対象物Pが出入りする部分は、外側空間に対して仕切られていなくてもよい。
【0011】
作業用空間11、12、13は、例えば、塗装作業のための空間である。例えば、トロリー40による搬送路Aにおける搬送方向において、上流側から順に作業用空間11、12、13が設けられ、作業用空間11が塗装用空間11であり、作業用空間12がUV(ultraviolet)照射用空間12であり、作業用空間13が乾燥炉用空間13であってもよい。複数のトロリー40が搬送路Aに沿って連続的に並ぶが、図1では一部のトロリー40が図示されている。
【0012】
塗装用空間11は、作業対象物Pに塗料を吹付けるための空間である。例えば、塗装用空間11内に塗装作業用ロボット20が設けられる。塗装作業用ロボット20は、例えば、垂直多関節ロボットである。塗装作業用ロボット20のアームの先端に塗装ノズル22が設けられる。塗装ノズル22から噴出された塗料が作業対象物Pに吹付けられ、作業対象物Pの表面に塗料が付着される。作業対象物Pは、一例として自動二輪車の燃料タンクである。塗装用空間11においては、上から下に向う気流が生成されてもよい。塗装用空間11を周囲から仕切る周囲仕切14は、噴出された塗料のミストが外部に漏れ出ること、及び、気流が乱れること等を抑制することができる。本実施形態では、塗装用空間11において、作業対象物PにUV硬化塗料が吹付けられることが想定される。
【0013】
UV照射用空間12は、UV光を作業対象物Pに照射するための空間である。UV照射用空間12内には、UV光を照射するUV照射装置12aが設けられる。UV照射用空間12内において、作業対象物Pの表面にUV光が照射され、これにより、作業対象物Pの表面のUV硬化塗料が硬化する。UV照射用空間12を周囲から仕切る周囲仕切14は、照射されたUV光が周囲に漏れることを抑制することができる。
【0014】
乾燥炉用空間13は、作業対象物Pを加熱するための空間である。乾燥炉用空間13には、ヒーター等の加熱装置13aが設けられる。加熱装置13aによって、乾燥炉用空間13内の温度が周囲の温度よりも高温に保たれる。乾燥炉用空間13内において、作業対象物Pが加熱され、これにより、作業対象物Pの表面のUV硬化塗料中の揮発成分が揮発して、UV硬化塗料が乾燥する。乾燥炉用空間13を周囲から仕切る周囲仕切14は、熱風が周囲に漏れ出ることを抑制することができる。
【0015】
作業用空間11、12、13の例は、上記例には限定されない。例えば、乾燥炉用空間13は省略されてもよい。また、例えば、熱硬化塗料が作業対象物Pに吹付けられる場合には、上記UV照射用空間12は省略されてもよい。また、例えば、作業用空間11、12、13の前後又は中間等に、作業対象物の表面の塵をクリーニングする空間、余熱用の空間、作業対象物Pを搬送装置30にセットする空間、作業対象物Pを搬送装置30から取外す空間等が設けられてもよい。
【0016】
搬送装置30は、作業対象物Pが上記作業用空間11、12、13を通過するように、作業対象物Pを搬送する装置である。本実施形態では、搬送装置30は、作業対象物Pを環状の搬送路Aに沿って搬送する。一例として、搬送路Aは、一方向に長い長方形状の4つの角部を丸めた環状であることが想定される。
【0017】
図2図1のII-II線における概略断面図である。図4は作業用空間11、12、13内から搬送装置30を見た状態を示す説明図である。図4においては、スリット16及びガイドレール17が2点鎖線で示されている。また、図4においては、トロリー40、支持体50及び閉鎖体60がスリット16に沿って並んで設けられる様子が示される。図5はトロリー40及び支持体50が搬送路Aに沿って曲線路を移動する状態を示す説明図である。
【0018】
図1から図5に示すように、搬送装置30は、複数のトロリー40と、複数の支持体50と、閉鎖体60とを備える。ここで、周囲仕切14のうちトロリー40が走行する空間と作業用空間11、12、13とを仕切るものを仕切15とする。仕切15は、上下方向に沿う垂直仕切15aと、水平方向に沿う水平仕切15bとを含む。垂直仕切15aは、作業用空間11、12、13を仕切る仕切の一例であり、平面視におけるトロリー40が走行する空間と作業用空間11、12、13との境界で、上下方向及び搬送路Aに沿って延びる。垂直仕切15aは、作業用空間11、12、13をその一方から仕切る。水平仕切15bは、トロリー40が走行する空間と、その上側の作業用空間との境界で、水平方向及び搬送路Aに沿って延びる。
【0019】
この垂直仕切15aには、スリット16が形成されている。スリット16は、垂直仕切1a5において、搬送路Aに沿って延びるように形成されている。本実施形態では、スリット16は、床面から上方に離れた位置に、当該床面と水平方向に沿って延びるように形成されている。スリット16は、床面に対して斜め又は垂直に延びてもよい。スリット16の開口幅は、任意である。スリット16の上下の開口幅は、例えば、支持体50の基部の上下寸法よりも大きく、当該支持体50の基部を配置可能な大きさに形成される。なお、本実施形態では、作業用空間11、12、13に対して垂直仕切15aを隔てて外側にあるトロリー40の走行空間も、トロリー用仕切14aによって仕切られている。このトロリー用仕切14aは省略されてもよい。
【0020】
本実施形態における作業用空間11において、スリット16から離れた位置、例えば、床或いは周囲仕切14のうちスリット16とは反対側の壁に吸気口が形成されてもよい。これにより、気流がスリット16から遠ざかる方向に流れ、塗料がスリット16に向けて流れることが防がれる。
【0021】
本実施形態における作業用空間11において、スリット16と反対側、例えば、周囲仕切14のうちスリット16とは反対側の壁内面側にウォーターカーテンが形成されてもよい。ウォーターカーテンは、壁の一面において、膜をなしつつ流れる水によって形成される。ウォーターカーテンに向けて塗料が噴射されて塗装作業がなされる。これにより、塗料がスリット16に向けて流れることが防がれる。
【0022】
複数のトロリー40は、スリット16に沿って作業用空間11、12、13の外側を走行するように構成される。本実施形態では、搬送路Aに沿って環状のレール48が設けられる。トロリー40は、移動本体部41と、支柱部44とを備える。移動本体部41は、レール48によってガイドされた状態で、搬送路Aに沿って移動可能に構成される。例えば、レール48の幅方向中央に、上方に開口するガイド溝が形成される。移動本体部41は長尺形状に形成される。移動本体部41がレール48内のガイド溝内に配置された状態で、レール48内を移動することができる。レール48内において、隣接する移動本体部41の端部同士は接触している。このため、レール48内を移動するいずれかの移動本体部41をレール48に沿って移動させると、搬送方向において下流側の移動本体部41も押されて移動する。
【0023】
移動本体部41とレール48との間で、凹凸関係が逆であってもよい。すなわち、図3に示すように、移動本体部41に対応する移動本体部41Bに溝41Bgが形成され、レール48に対応する細長いレール48Bが上記溝41Bg内に配置される構成であってもよい。つまり、移動本体部48Bが、レール41Bに跨った状態でレール41B上を移動する構成である。
【0024】
複数のトロリー40は、フリクションローラ49によってレール48に沿って走行駆動される。すなわち、レール48に沿って複数のフリクションローラ49が設けられる。フリクションローラ49は、レール48の両側に設けられる。レール48の両側のフリクションローラ49は、移動本体部41に対してその両側から接する。フリクションローラ49は、駆動部としての走行用モータ49Mによって回転駆動される。フリクションローラ49が移動本体部41に接した状態で走行用モータ49Mによって回転駆動されることにより、移動本体部41がレール48に沿って走行駆動される。これに伴って、フリクションローラ49によって走行駆動された移動本体部41に対して下流側の移動本体部41も押されて移動する。レール48が循環軌道である場合、フリクションローラ49はレール48に沿っていずれの位置に設けられてもよい。レール48が循環移動では無い場合、少なくとも搬送路Aの最も上流側にフリクションローラ49が設けられればよい。
【0025】
レール48は、スリット16に沿って設けられているため、複数のトロリー40がレール48に沿って走行駆動されることで、当該複数のトロリー40が作業用空間11、12、13の外側を走行することができる。
【0026】
支柱部44は、長尺形状に形成されている。支柱部44は、基部45を介して移動本体部41に立設状態で支持されている。本実施形態では、移動本体部41の延在方向中間部から上方に向うように支柱部44が支持されている。
【0027】
複数の支持体50は、複数のトロリー40のそれぞれからスリット16を通って作業用空間11、12、13内に向けて延びるように形成されている。本実施形態では、支持体50は、支持本体部51と、枝部52、52とを備える。支持本体部51は、搬送装置上方から見てレール48におけるトロリー40の進行方向と直交する方向に、長尺状に形成されている。支持本体部51の基端部は、支持体50に支持される。本実施形態では、支持本体部51は、支柱部44のうちスリット16に対応する高さ部分に、水平姿勢で片持ち状に支持される。支持本体部51は、作業用空間11、12、13の外側からスリット16を通って作業用空間11、12、13内に向けて延びる。支持本体部51のうち作業用空間11、12、13内に位置する部分に枝部52、52が設けられる。枝部52、52は、作業対象物Pを支持するための部分である。枝部52、52は、作業対象物Pの形状に応じて、当該作業対象物Pを支持するのに適した構成に形成される。例えば、枝部52、52は作業対象物Pを下から支えて支持する構成、又は、作業対象物Pを吊して支持する構成等に形成される。これにより、トロリー40が搬送路Aに沿って移動すると、支持体50はスリット16に沿って移動し、支持体50に支持された作業対象物Pは、作業用空間11、12、13内をスリット16に沿って移動することができる。
【0028】
支持体50は、トロリー40に対して、支持本体部51を中心軸として回転可能に支持されていてもよい。本実施形態では、支持体50は、支持体回転駆動部46を介して支柱部44に回転可能に支持される。支持体回転駆動部46は、例えば、モータにより支持体50を、支持本体部51を中心軸として回転させる構成である。
【0029】
複数の閉鎖体60は、スリット16を閉じるようにスリット16の延在方向に連なった状態で、スリット16に沿って複数のトロリー40と共に搬送路Aに沿って移動可能に構成されている。
【0030】
本実施形態では、垂直仕切15aは、スリット16の上下の両縁に沿う2つのガイドレール17を含む。ガイドレール17は、垂直仕切15aにおいて、トロリー40が走行する側に設けられる。なお、ガイドレール17は、スリット16の両縁に対して作業用空間11、12、13側に設けられてもよい。ガイドレール17は、スリット16の両縁のうちスリット16内の空間を向く面に設けられてもよい。ただし、本実施形態における配置のほうが、トロリー40が作業用空間11、12、13中の塗料等で汚れたり、UV光で劣化したりすることを避けることができ、また、作業用空間11、12、13中の気流を乱したりすることを避けることができる点で、推奨される。2つのガイドレール17には、スリット16の幅方向中央に向けて開口するガイド溝17gが形成されている。ガイド溝17gの奥部は、開口部よりも幅広であってもよい。
【0031】
閉鎖体60は、一方向に長い長方形板状に形成されている。複数の閉鎖体60は、複数のトロリー40に対応して設けられる。複数の閉鎖体60は、複数のトロリー40に対して1対1の関係で設けられてもよいし、1対複数の関係で設けられてもよい。本実施形態では、複数の閉鎖体60は、本実施形態では、複数のトロリー40に対して1対1の関係で設けられている。スリット16が延びる方向において、閉鎖体60の長さ寸法は、複数の支持体50がレール48に沿って並ぶピッチと同じ形成されている。閉鎖体60は、移動本体部41と同じ長さ寸法であってもよい。複数の閉鎖体60が複数のトロリー40に対して1対1の関係で設けられ、かつ、閉鎖体60の長手方向寸法が、複数の支持体50のピッチと同じとされているため、複数の閉鎖体60が互いに接しつつスリット16の延在方向に沿って並ぶことができる。閉鎖体60の長さ寸法が、複数の支持体50がレール48に沿って並ぶピッチよりも長く、複数の閉鎖体60が部分的に重複した状態でスリット16に沿って連なっていてもよい。また、閉鎖体60の上下方向の両縁はガイドレール17のガイド溝17g内に配置され、当該ガイド溝17g内面と接するため、閉鎖体60は、垂直仕切15aの一部であるガイドレール17と接触した状態でスリット16に沿って移動する。
【0032】
本実施形態では、閉鎖体60の両縁は、他の部分よりも厚く形成されている。複数の閉鎖体60のそれぞれの両縁がガイド溝17gに沿って案内されることによって、複数の閉鎖体60が連なった状態でスリット16に沿って移動することができる。また、ガイドレール17は、作業用空間11、12、13に対して外側に設けられるから、複数の閉鎖体60は、作業用空間11、12、13の外側からスリット16を閉じ、作業用空間11、12、13とトロリーのある空間を隔離することができる。なお、垂直仕切15aは、搬送路Aに沿って環状に形成されていてもよいし、作業用空間11、12、13に対応する部分のみに形成されていてもよい。なお、作業対象物Pを支持体50に支持させたり、取外したりするエリア等では、仕切15は設けられなくてもよい。このエリアにおいても、閉鎖体60をガイドするため、ガイドレール17のみが設けられるエリアが存在してもよい。
【0033】
閉鎖体60は、スリット16を閉じた状態でトロリー40と共に走行可能なように、トロリー40に支持される。本実施形態では、閉鎖体60の中央部に支持体50の支持本体部51が通過する通過部60hが形成されている。
【0034】
閉鎖体支持部47が、閉鎖体60を非回転状態に保ちつつ、当該閉鎖体60を支持している。より具体的には、支柱部44からスリット16に向けて閉鎖体支持部47が突出している。閉鎖体支持部47は長尺棒状に形成されている。閉鎖体支持部47の基端部は、支柱部44に対してネジ止、溶接等によって片持ち状に支持されている。2つの閉鎖体支持部47が、支持体回転駆動部46の上下の位置に設けられていてもよい。閉鎖体支持部47の先端部は、閉鎖体60の長手方向中間部であって通過部60hの上下の位置に連結されている。
【0035】
本実施形態では、閉鎖体60は、ガイドレール17によっても非回転状態に保たれる。閉鎖体60は、ガイドレール17及び閉鎖体支持部47の少なくとも一方によって非回転状態に保たれればよく、その両方によって非回転状態に保たれることは必須ではない。
【0036】
このように、閉鎖体60が非回転状態に保たれた状態で、支持体50の支持本体部51は通過部60hを貫通しているから、閉鎖体60を非回転状態に保ったまま、支持体50がトロリー40に対して回転できる。支持本体部51のうち通過部60hに挿通される部分よりも基端部に当該支持本体部51と共に回転する補助閉鎖体51pが設けられてもよい(図2参照)。補助閉鎖体51pは、例えば、円板状に形成される。補助閉鎖体51pは、通過部60hと支持本体部51との隙間を塞ぐことができる。スリット16と支持体50との間の隙間(具体的には上下の隙間)に比べて、閉鎖体60と支持体50との隙間(具体的には通過部60hと支持体50との隙間)の方が小さく設定されてもよい。
【0037】
閉鎖体60は、トロリー40に対して着脱可能に取付けられていてもよい。例えば、閉鎖体60が閉鎖体支持部47に対してネジ止、嵌め込み構造等によって連結されていてもよい。これにより、レール48の終端等において、閉鎖体60がトロリー40から容易に取外される。この場合において、通過部60hに挿通された支持体50が干渉する場合には、通過部60hは、閉鎖体60の一方の縁(例えば下側の縁)から閉鎖体60の中央に向うU字状開口形状としてもよい(図9参照)。これにより、支持本体部51は、閉鎖体60の一方の縁から通過部60h内に容易に入り込みあるいは抜けることができる。あるいは、支持体50をトロリー40に対してネジ止、嵌め込み構造等によって着脱可能に取付け、支持体50を取外して、閉鎖体60を取外すようにしてもよい。
【0038】
複数の閉鎖体60のそれぞれは、スリット16を閉じた状態に保つように曲り可能に構成されている。すなわち、トロリー40は、上記のように環状の搬送路Aに沿って走行するため、垂直仕切15aの一部も搬送路Aに沿って曲る。垂直仕切15aに形成されたスリット16も当該垂直仕切15aに応じて曲るように延在する。閉鎖体60は、垂直仕切15a及びスリット16の曲りに応じて曲ってスリット16を閉じた状態に保つ。
【0039】
本実施形態では、閉鎖体60は、長手方向において複数に分割されている。閉鎖体60は、閉鎖体支持部47によって支持される中央部分60aと、その両側の部分60bとに分割されていてもよい。図4では、閉鎖体60は、中央部分60aと、その両側それぞれの3つの部分60b、合計7つに分割されている例が示される。中央部分60a、部分60bは、曲げ可能な関節部60cによって連結されている。関節部60cは、機械的なヒンジ構造であってもよいし、ゴム等の弾性部材によって形成された部分であってもよいし、閉鎖体60の一部が溝状に薄く形成されることによって形成された部分であってもよい。閉鎖体60は関節部60cにおいてその厚み方向に曲ることができる。このため、閉鎖体60がガイドレール17に沿って移動し、当該ガイドレール17の曲り部分に位置すると、そのガイドレール17によるガイド状態下、閉鎖体60がスリット16の曲りに応じて曲ることができる。
【0040】
閉鎖体60が曲ることができる構成は、関節部60cが設けられる構成に限られない。例えば、閉鎖体60自体が曲げ変形可能な部材によって形成されていてもよい。例えば、閉鎖体60がゴム等の弾性板によって形成されていてもよいし、薄くて曲げ可能な樹脂板、金属板等によって形成されていてもよい(後述する図7及び図8に示す変形例参照)。
【0041】
作業用空間11、12、13において、作業用ロボットが設けられる場合、作業用ロボットはスリット16よりも上方に設けられてもよい。図2においては、塗装用空間11において、塗装作業用ロボット20が、スリット16よりも上方に設けられる例が示される。トロリー40の搬送領域の真上にロボット土台部分20Bが設けられてもよい。言い換えると、作業用空間11、12、13が、搬送方向Aに垂直な断面でL字状に形成されてもよい。L字状部分のうち凹む部分にトロリー40の搬送領域が設けられる。この場合に、断面形状において、スリット16よりも上方で、上下方向に対して垂直な方向(水平方向)においてスリット16よりも作業対象物Pからから離れる側にロボット土台部分20Bが配置される。これによってトロリー40上方の空間を有効利用することができるとともに、ロボット土台部分20Bを作業対象物Pから遠ざけることができ、ロボット土台部分20Bに塗料が付着することを防ぎやすい。なお、ロボット土台部分20Bは、塗装作業用ロボット20等の作業用ロボットを、一定位置に支持する部分であり、作業用ロボットは、当該ロボット土台部分20Bを基準位置として動いて各種作業を行うことができる。
【0042】
支持体50は、上方から塗料が吹付けられる位置で、作業対象物Pを支持している。本実施形態では、支持体50は、塗装作業用ロボット20を一定位置に支持するロボット土台部分20Bよりも下方で作業対象物Pを支持している。塗装作業用ロボット20のアームの先端の塗装ノズル22は、上方から作業対象物Pに向けて塗料を吹付けることができる。
【0043】
このように構成された搬送装置30によると、スリット16を閉じる閉鎖体60が作業用空間11、12、13内の空気の流れの乱れを抑える構造とすることができる。
【0044】
例えば、塗装用空間11では、塗装用空間11における気流が安定し、また、塗料が外部に漏れ難くなる。
【0045】
また、UV照射用空間12では、UV光が外部に漏れ難く、トロリー40等のUV光による劣化が抑制される。
【0046】
また、乾燥炉用空間13では、熱が逃げ難くなり、効率よく作業対象物Pが加熱される。
【0047】
また、塗料、UV光、熱は、スリット16周辺部分の汚れ、劣化をも生じさせ得る。スリットをシールするためスリットにゴムシール等を設ける構成では、作業室において当該ゴムシールの交換作業を行うことになる。本実施形態では、複数の閉鎖体60は、スリット16に沿って複数のトロリー40と共に移動し、作業用空間11、12、13の側方から離れた位置に移動することができる。この位置において、複数の閉鎖体60のクリーニング、交換等のメンテナンス作業を容易に行える。閉鎖体60の表面にはフッ素樹脂加工が施されていてもよい。これにより、閉鎖体60の表面のクリーニングが容易に行われる。
【0048】
また、閉鎖体60は、スリット16を閉じた状態でトロリー40と共に走行するため、閉鎖体60を移動させる装置を別途設けなくて、簡易な構成で閉鎖体60を移動させることができる。
【0049】
また、支持体50及び作業対象物Pを作業用空間11、12、13内で回転させる一方で、閉鎖体60を非回転状態に保つことができるので、複数の閉鎖体60がスリット16を閉じるように連なる構成を容易に実現できる。本実施形態では、長方形状の閉鎖体60の短辺が対向して複数の閉鎖体60が連なる構成が実現される。
【0050】
また、閉鎖体60をトロリー40に対して着脱することで、閉鎖体60を取外して洗浄したり、閉鎖体60を交換したりする作業が容易となる。
【0051】
複数の支持体50間のピッチと同じ長さの閉鎖体60によって、複数のトロリー40と同数の閉鎖体60によってスリット16を閉じることができる。
【0052】
閉鎖体60が、垂直仕切15a(本実施形態ではガイドレール17)と接触した状態でスリット16に沿って移動するため、スリット16がより確実に閉じられる。この際、閉鎖体60の表面にフッ素樹脂加工が施されていれば、閉鎖体60が円滑に移動することができ、摩耗もし難い。
【0053】
閉鎖体60が作業用空間11、12、13の外側からスリット16を閉じる構成であれば、作業用空間11、12、13の外側から閉鎖体60のメンテナンス、例えば、クリーニング等を実施し易い。
【0054】
閉鎖体60に通過部60hが形成されていれば、スリット16に対して閉鎖体60を一定姿勢にした状態で、支持体50を回転させて、作業対象物Pを回転させることができる。
【0055】
また、ガイドレール17によって閉鎖体60がスリット16に沿って走行するように案内できる。これにより、作業用空間11、12、13内と、その外方空間との隔離をより確実に行うことができる。
【0056】
また、ガイドレール17は長手方向に分離可能であるとともに、垂直仕切15aから着脱可能に構成されることが好ましい。これによってガイドレール17についても垂直仕切15aから取り外して洗浄することができる。
【0057】
また、トロリー40の搬送路Aに応じてスリット16が曲っている場合において、閉鎖体60がスリット16の曲りに応じて曲ってスリット16を閉じた状態に保つことができる。本実施形態では、閉鎖体60がガイドレール17によって曲げられることで、スリット16の曲りに応じて曲ることができる。
【0058】
また、スリット16よりも上方に作業用ロボットとして塗装作業用ロボット20が設けられるため、作業対象物Pが搬送される搬送路Aにおいて、地面水平方向幅の省スペース化が可能となる。
【0059】
また、作業用空間11、12、13の側方の垂直仕切15aに対して、スリット16よりも上方に塗装作業用ロボット20が設けられ、支持体50は、上方から塗装作業用ロボット20により塗料が吹付けられる位置で作業対象物Pを支持する。このため、塗装が塗装作業用ロボットにかかり難くなる。
【0060】
図6は搬送路Aの一部が上下にずれる場合の変形例を示す説明図である。同図では、下搬送路ALから上搬送路AUにずれる場合が示される。この場合、下搬送路ALの搬送方向下流側に可動レール148及び可動ガイドレール117が設けられる。可動レール148及び可動ガイドレール117は、昇降駆動装置100によって下搬送路ALと上搬送路AUとの間で昇降駆動可能に構成される。昇降駆動装置100はスプロケット等を利用して、可動レール148及び可動ガイドレール117を昇降させる装置であってもよい。
【0061】
トロリー40及び閉鎖体60が下搬送路ALにおけるレール48及びガイドレール17に沿って移動し、その最下流側にある可動レール148及び可動ガイドレール117に移動する。すると、可動レール148及び可動ガイドレール117が昇降駆動装置100によって、上搬送路AUにおけるレール48及びガイドレール17に対応する高さ位置に上昇する。すると、トロリー40及び閉鎖体60は、可動レール148及び可動ガイドレール117から上搬送路AUにおけるレール48及びガイドレール17に移動し、続けてレール48及びガイドレール17に沿って移動していくことができる。
【0062】
これにより、搬送路Aが上下にずれている場合においても、閉鎖体60をトロリー40と共に移動させていくことができる。本昇降駆動装置100が設けられる部分において、スリット16は存在しても存在しなくてもよい。スリット16が存在しなくても、ガイドレール17が設けられればよい。
【0063】
なお、搬送路Aが上から下にずれる部分では、上記とは逆に、トロリー40及び閉鎖体60を一緒に上から下に移動させればよい。
【0064】
図7は閉鎖体260に係る変形例を示す概略断面図である。図8は閉鎖体260を示す斜視図である。閉鎖体260は、閉鎖本体部261と、表面板部262とを備える。閉鎖本体部261は、シリコンゴム等の弾性板により形成された長方形板状に形成されている。閉鎖本体部261は弾性板によって形成されているため、その厚み方向に曲るように弾性変形することができる。閉鎖本体部261の一方面が表面板部262によって覆われている。表面板部262は、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属板により形成された長方形板である。表面板部262は、閉鎖本体部261の曲げに応じて曲ることができる程度に小さい厚み(例えば0.3~0.5mm)に形成されている。表面板部262は、ネジ止又は接着剤等によって閉鎖本体部261に取付けられる。かかる閉鎖体260は、その延在方向全体に亘って徐々に曲ることができ、ガイドレール17の連続的な曲線に追随して曲り易い。閉鎖体260の表面に金属板により形成された表面板部262が設けられているため、UV光等によって閉鎖体260が劣化し難い。閉鎖体260を構成する表面板部262は、必ず作業用空間11,12,13側になるように配置される。
【0065】
支柱部44側には、閉鎖体260に応じて広がるベース244が設けられている。ベース244から閉鎖体260に向けて突出する複数の付勢支持部245が設けられる。付勢支持部245は、ねじりコイルバネ等のばねを含んでおり、閉鎖体260をスリット16に向けて付勢する。付勢支持部245としては、ばねにショックアブソーバが組込まれたばね付減衰装置であってもよい。複数の付勢支持部245は、閉鎖体260の長手方向において分散した複数箇所で当該閉鎖体260を支持していてもよい。図8において、複数の付勢支持部245が閉鎖体260に連結される箇所の例が点線で示される。複数の付勢支持部245によって、閉鎖体260が、垂直仕切15aに対応する垂直仕切215aに向けて付勢される。複数の付勢支持部245が上下に設けられている理由は、閉鎖体260を後述する受ガイドレール217及び樋部218により確実に押付けるためである。
【0066】
垂直仕切215aは、受ガイドレール217と、樋部218とを含む。受ガイドレール217は、スリット16の上側の縁であって作業用空間11、12、13とは反対側の部分に設けられる。樋部218は、スリット16の下側の縁であって作業用空間11、12、13とは反対側の部分に設けられる。閉鎖体260は、複数の付勢支持部245によって、受ガイドレール217及び樋部218に向けて付勢される。このため、垂直仕切215aが搬送路Aに沿って曲っており、これに伴って受ガイドレール217及び樋部218が曲っている場合でも、閉鎖体260が受ガイドレール217及び樋部218に押付けられて曲ることができる。これにより、スリット16がより確実に閉じられる。
【0067】
樋部218には、上方に開口する溝218gが形成されている。溝218g内には液体、例えば、水が供給される。樋部218のうち作業用空間11、12、13から遠い側の壁は、作業用空間11、12、13に近い側の壁よりも高い。溝218g内に供給された水等の液体Lqは、溝218g内に貯まる。液体Lqが一定量以上溜ると、液体Lqは、垂直仕切215aを超えて、垂直仕切215aのうち作業用空間11、12、13側の内壁面を伝って流れ落ちる。この液体Lqによって、内壁面に対する塗料の付着が抑制される。
【0068】
搬送路Aのうちの一部のみに閉鎖体260が設けられてもよい。図9は閉鎖体戻し搬送装置300を備える搬送装置を示す説明図である。本変形例において、複数のトロリー40が第1位置P1から第2位置P2を経由する経路に沿って走行するとする。第1位置P1及び第2位置P2は、搬送路Aの途中に設定され、従って、第1位置P1から第2位置P2を経由する経路は搬送路Aの一部である。図9において垂直仕切15a及びスリット16は省略される。閉鎖体360が通過する経路に沿ってスリット16は適宜形成され得る。
【0069】
閉鎖体戻し搬送装置300は、第2位置P2に対応する位置に達した閉鎖体360を、トロリー40とは別の経路を経由して第1位置に対応する位置に戻す。図9に示す例では、閉鎖体360には、下方に開口するU字状の通過部360hが形成されている。閉鎖体支持部47が省略されており、閉鎖体260は、ガイドレール17に沿ってガイドされつつ、通過部360hを通過する支持体50によって押されてトロリー40と共に移動する。このため、閉鎖体360は、トロリー40に対して上方に外れることができる。
【0070】
第1位置P1と第2位置P2との間においてガイドレール17が設けられている。ガイドレール17の上側に戻し用ガイドレール317が設けられている。戻し用ガイドレールは、第1位置P1から第2位置P2とは別の経路に沿う。第1位置P1に、第1可動ガイドレール310が設けられる。第1可動ガイドレール310は第1昇降機構314によって、ガイドレール17の高さ位置と戻し用ガイドレール317の高さ位置との間で昇降駆動される。第1昇降機構314としては、スプロケット等を利用した機構が採用されてもよい。第2位置P2に、第2可動ガイドレール320が設けられる。第2可動ガイドレール320は第2昇降機構324によって、ガイドレール17の高さ位置と戻し用ガイドレール317の高さ位置との間で昇降駆動される。第1昇降機構314、第2昇降機構324としては、スプロケット等を利用した機構が採用されてもよい。また、第2可動ガイドレール320が戻し用ガイドレール317の高さ位置に位置する状態で、閉鎖体360を戻し用ガイドレール317に向けて押し動かす押動機構330が設けられる。押動機構330は、エアシリンダ、油圧シリンダ等によって構成されてもよい。
【0071】
本変形例によると、第1可動ガイドレール310が戻し用ガイドレール317に対応する高さ位置に位置する状態で、当該第1可動ガイドレール310に閉鎖体360が支持される。この状態で、トロリー40が第1位置P1に達すると、第1可動ガイドレール310がガイドレール17に対応する高さ位置に下降する。これにより、支持体50が通過部360h内を通過した状態となる。この状態で、トロリー40が移動すると、支持体50によって閉鎖体360が押され、閉鎖体360がトロリー40と共に移動する。なお、この後、第1可動ガイドレール310は、戻し用ガイドレール317に対応する高さ位置に上昇する。
【0072】
トロリー40がレール48に沿って移動する。第2可動ガイドレール320がガイドレール17に対応する高さ位置に位置する状態で、トロリー40が第2位置P2に達する。すると、閉鎖体360は、第2可動ガイドレール320によって支持された状態となる。この状態で、第2可動ガイドレール320が戻し用ガイドレール317に対応する高さ位置に上昇する。この際、支持体50は、通過部360hの下方に抜出る。閉鎖体360が戻し用ガイドレール317の隣に位置する状態で、押動機構330が閉鎖体360を、第2可動ガイドレール320から戻し用ガイドレール317に向けて押す。すると、閉鎖体360が戻し用ガイドレール317内に移動する。戻し用ガイドレール317内の閉鎖体360が連鎖して押され、その押動方向最下流側の閉鎖体360が第1可動ガイドレール310内に移動する。
【0073】
このように、閉鎖体360が取外されたトロリー40は、第2位置P2からさらに走行する。
【0074】
なお、閉鎖体360が戻し用ガイドレール317内に容易に入り込むことができるように、閉鎖体360にガイド部360gが設けられていてもよい。ガイド部360gは、例えば、閉鎖体360の四隅に形成される。それぞれのガイド部360gは、閉鎖体360の長尺方向外側に向けて徐々に上下方向中間部に向うガイド形状に形成される。
【0075】
図10において、4隅にガイド部360gが形成された閉鎖体360の拡大図が示される。同図に示すように、閉鎖体360にガイド部360gが形成されていると、当該閉鎖体360がガイドレール17(又は戻し用ガイドレール317)のガイド溝17g内に挿入される際に、ガイド部360gがガイド溝17gの開口上縁又は下縁に接触する。これにより、閉鎖体360が上下方向においてガイド溝17g内に円滑に案内される。
【0076】
図11に示すように、閉鎖体360に、厚み方向ガイド部360fが設けられてもよい。厚み方向ガイド部360fは、例えば、閉鎖体360の長手方向両端部に設けられる。それぞれの厚み方向ガイド部360fは、閉鎖体360の長尺方向外側に向けて徐々に厚み方向中間部に向うガイド形状に形成される。この場合、当該閉鎖体360がガイドレール17(又は戻し用ガイドレール317)のガイド溝17g内に挿入される際に、厚み方向ガイド部360fがガイド溝17gの開口両側縁に接触する。これにより、閉鎖体360がその厚み方向においてガイド溝17g内に円滑に案内される。
【0077】
本変形例によると、トロリー40の搬送路Aの一部のみに、閉鎖体360によって仕切られる部分を設け、他の部分に閉鎖体360を設けないようにすることができ、設備設計、作業の柔軟性向上に貢献する。
【0078】
図12は他の閉鎖体戻し搬送装置400を備える搬送装置を示す説明図である。本変形例においても、複数のトロリー40が第1位置P1から第2位置P2を経由する経路に沿って走行するとする。
【0079】
閉鎖体戻し搬送装置400は、第2位置P2に対応する位置に達した閉鎖体460を、トロリー40とは別の経路を経由して第1位置に対応する位置に戻す。図12に示す例では、閉鎖体460には、閉鎖体360と同様に、下方に開口するU字状の通過部460hが形成されている。閉鎖体支持部47が省略されている。閉鎖体460は、その長手方向中間部で2つの閉鎖分割体461、461に分割されている。
【0080】
閉鎖体戻し搬送装置400は、環状部材420と、当該環状部材420を循環回転駆動する回転駆動部424とを含む。環状部材420は、例えば、環状ベルト又はスプロケットである。回転駆動部424は、例えば、環状部材420が巻掛けられるプーリー又は歯車と、モータとを含む。環状部材420の回転駆動部424によって、環状経路に沿って回転するように支持されている。環状部材420のうちの1つの長尺経路は、搬送路Aに沿う経路であり、環状部材420のうちの他の1つの長尺経路は、前記1つの長尺経路から上方に離れた経路である。上記複数組の閉鎖分割体461は、トロリー40のピッチに応じたピッチで環状部材420に連結されている。
【0081】
環状部材420は、トロリー40の移動速度と同期して、回転駆動部424とによって回転駆動されている。トロリー40が第1位置P1に達すると、閉鎖体戻し搬送装置400により、1つの組の閉鎖分割体461が第1位置P1に対応する位置に移動駆動される。第1位置P1において、2つの閉鎖分割体461、461が合体した閉鎖体460となって、通過部460h内に支持体50が通過した状態となる。この状態で、トロリー40と閉鎖体460とが同期して第1位置P1から第2位置P2向けて移動する。トロリー40が第2位置P2に達すると、閉鎖体戻し搬送装置400により、1つの組の閉鎖分割体461が分割されつつ第2位置P2から離れる上方位置に移動駆動される。閉鎖体360は、戻す経路に沿って第2位置P2から第1位置P1に戻される。
【0082】
本変形例でも、トロリー40の走行経路の一部のみに閉鎖体460によって仕切られる部分を設け、他の部分に閉鎖体460を設けないようにすることができる。これにより、設備設計、作業の柔軟性向上に貢献することができる。
【0083】
本搬送装置の適用対象は上記実施形態に限定されず、各種作業対象物を搬送する設備に適用され得る。搬送装置は、例えば、作業対象物を、周囲に対して仕切られた空間内で搬送する装置に適用され得る。また、作業としては、上記塗装作業に限られず、各種作業が想定される。作業は、例えば、周囲に対して仕切られた空間内で行われる作業、より具体的には、周囲の温度に対して高い又は低い温度で行う作業、光を照射する作業、微細物質(液体の粒、粉等)等を吹付ける作業等であってもよい。これらの作業に応じて、上記作業用空間内に設けられる装置の種類が変更され得る。
【0084】
トロリーは、スリットに沿った経路に沿って移動する可動体であればよく、その駆動装置は限定されない。トロリーは、所定の経路に沿って設けられたフリクションローラによって移動駆動されるものであってもよい。トロリーは、所定の経路に沿って設けられたチェーン等によって移動駆動されるものであってもよい。トロリーは、自己に搭載されたモータの駆動によって移動駆動されるものであってもよい。
【0085】
また、レール48が設けられることは必須ではない。例えば、複数のトロリーのそれぞれに転動体が設けられ、転動体が転がることによって複数のトロリーが移動してもよい。
【0086】
別例として、支持体回転駆動部46は、トロリー40がレール48又は垂直仕切15aに対して移動する運動を、支持体50の回転運動に変換して、支持体50を回転させる構成であってもよい。支持体回転駆動部46は、省略されてもよい。
【0087】
複数の閉鎖体60が複数のトロリー40に対して1対複数の関係で設けられる場合、閉鎖体60の長手方向寸法は、複数のトロリー40のピッチよりも短くてもよい。例えば、複数の閉鎖体60が、複数のトロリー40に対して1対n(nは整数)の関係で設けられる場合、閉鎖体60の長手方向寸法は、複数のトロリー40のピッチに対して1/nの寸法であってもよい。
【0088】
本実施形態では、閉鎖体支持部47が閉鎖体60に連結されている。閉鎖体支持部47は省略されてもよい。この場合も、支持本体部51が通過部60h内に挿通されているから、トロリー40が走行すると、支持本体部51が通過部60hの縁に接触して閉鎖体60がトロリー40と共に走行する。かかる構成も、閉鎖体60が、スリット16を閉じた状態でトロリー40と走行可能なように、トロリー40に支持される場合に該当する。
【0089】
また、複数の閉鎖体60のそれぞれが、複数の支持体50の各間に設けられており、トロリー40が走行すると、支持本体部51が閉鎖体60の縁に接触して閉鎖体60がトロリー40と共に走行する構成であってもよい。
【0090】
閉鎖体60は、トロリー40によってレール48に沿って移動可能なように支持される必要は無い。図12に示すように、トロリー40を走行させる装置とは別の環状チェーン、フリクションローラ等によって、閉鎖体が移動駆動されてもよい。
【0091】
本実施形態では、閉鎖体60の両縁がガイド溝17g内に配置されることで、閉鎖体60が垂直仕切15aの一部であるガイドレール17と接触した状態でスリット16に沿って移動する例が説明された。しかしながら、垂直仕切15aにおいてガイドレール17が省略され、閉鎖体60がスリット16の両縁に対して直接押付けられて垂直仕切15aに接触していてもよい。この場合において、閉鎖体60は、トロリー40側から垂直仕切15aに押付けられていてもよいし、作業用空間11、12、13側から垂直仕切15aに押付けられてもよい。
【0092】
搬送路Aは、直線路であってもよい。この場合、閉鎖体は、弾性変形し難い閉鎖体であってもよい。
【0093】
支持体50が省略され、ガイドレールによって閉鎖体が支持される構造であってもよい。この場合において、トロリー40と閉鎖体60とが固定されていなくてもよい。この場合、ガイドレール17によって閉鎖体60が搬送方向Aに平行に移動するように案内されるとよい。この場合も、閉鎖体60の移動については、支持体50によって移動力が与えられることによって実現されるとよい。この場合、閉鎖体60がガイドレール17によって案内されることによって、垂直仕切15aからの離反が防がれる。
【0094】
上記に加え、閉鎖体60が上側のレールのみを備えたガイドレールで案内される構成であってもよい。この場合、閉鎖体60はガイドレールによって懸架されるように支持される。また、例えばガイドレールに、閉鎖体の厚み方向両側から閉鎖体を挟み込んで支持するローラーを備えることで、作業用空間11~13側、もしくは作業用空間11~13とスリットを挟んで反対側に閉鎖体60が倒れ込まないように保持されることが望ましい。
【0095】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0096】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0097】
本明細書及び図面は、以下の各態様を開示する。
【0098】
第1の態様は、作業用空間を仕切る仕切にスリットが形成された搬送装置であって、前記スリットに沿って前記作業用空間の外側を走行する複数のトロリーと、前記複数のトロリーのそれぞれから前記スリットを通って前記作業用空間内に向けて延びる複数の支持体と、前記スリットを閉じるように前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットに沿って前記複数のトロリーと共に移動する複数の閉鎖体と、を備える。この搬送装置によると、複数の閉鎖体は、前記スリットの延在方向において連なった状態で、前記スリットを閉じる。このため、スリットを閉じる閉鎖体が作業用空間内の空気の流れの乱れを抑える構造とすることができる。
【0099】
第2の態様は、第1の態様に係る搬送装置であって、前記複数の閉鎖体は、前記複数のトロリーに対応して設けられ、前記閉鎖体は、前記スリットを閉じた状態で前記トロリーと共に走行可能なように、前記トロリーに支持されるものである。トロリーによって、閉鎖体がレールに沿って走行するように支持される。トロリーに対し、閉鎖体は1対1或はある定った個数で対応して支持される。
【0100】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る搬送装置であって、前記支持体は前記トロリーに対して回転可能に支持され、前記閉鎖体は前記トロリーに対して非回転状態に保たれるものである。支持体を回転させることによって、当該支持体によって支持される作業対象物を作業室で回転させることができる。これに対して、閉鎖体が非回転状態に保たれるので、複数の閉鎖体がスリットを閉じるように連なる構成を容易に実現できる。
【0101】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記閉鎖体は、前記トロリーに着脱可能に取付けられるものである。閉鎖体を取外して洗浄したり、閉鎖体を交換したりすることが容易となる。
【0102】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記スリットが延びる方向において、前記閉鎖体は、前記複数の支持体間のピッチと同じ長さに形成されているものである。複数のトロリーと同数の閉鎖体によって、スリットを閉じることができる。
【0103】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記閉鎖体は、前記仕切と接触した状態で前記スリットに沿って移動するものである。スリットがより確実に閉じられる。
【0104】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記複数の閉鎖体は、前記作業用空間の外側から前記スリットを閉じるものである。作業用空間の外側から閉鎖体をメンテナンスできる。
【0105】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記閉鎖体に前記支持体が通過する通過部が形成されているものである。スリットに対して閉鎖体を一定姿勢にした状態で、支持体を回転させて、作業対象物を回転させることができる。
【0106】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記仕切は前記スリットに沿うレールを含み、前記複数の閉鎖体は、前記レールにより前記スリットに沿って移動するように案内されるものである。レールによって複数の閉鎖体がスリットに沿って走行するように案内される。これにより、作業用空間内外の隔離をより確実に行うことができる。
【0107】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記複数の閉鎖体のそれぞれは、前記スリットを閉じた状態に保つように曲り可能に構成されている。トロリーの移動経路に応じてスリットが曲っている場合において、閉鎖体がスリットの曲りに応じて曲ってスリットを閉じた状態に保つことができる。仕切が曲ることによってスリットが曲っている場合において、閉鎖体がスリットの曲りに応じて曲ってスリットを閉鎖することができる。
【0108】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記複数のトロリーは、第1位置から第2位置を経由する経路に沿って走行し、前記第2位置に対応する位置に達した前記閉鎖体を、前記トロリーとは別の経路を経由して前記第1位置に対応する位置に戻す閉鎖体戻し搬送機構をさらに備える。トロリーの走行経路の一部のみに閉鎖体によって仕切られる部分を設け、他の部分に閉鎖体を設けないようにすることができる。
【0109】
第12の態様は、第11の態様に係る搬送装置であって、前記閉鎖体戻し搬送機構は、前記別の経路に沿う戻し用レールを含み、前記閉鎖体は、前記閉鎖体が前記戻し用レールに挿入される際にガイドの役割を果すガイド部を含むものである。閉鎖体が戻し用レールに容易に案内される。
【0110】
第13の態様は、第1から第12のいずれか1つの態様に係る搬送装置であって、前記閉鎖体のうち前記作業用空間内に向く面は、金属によって形成されているものである。閉鎖体のうち前記作業用空間内に向く面が、UV光等によって劣化し難くなる。
【0111】
第14の態様は、第1から第13のいずれか1つの態様に係る搬送装置と、前記スリットよりも上方に設けられる作業用ロボットと、を備える作業用ロボット設備用の搬送装置である。作業対象物が搬送される搬送路において、地面水平方向幅の省スペース化が可能となる。
【0112】
第15の態様は、第14の態様に係る作業用ロボット設備用の搬送装置であって、前記作業用空間の側方に前記仕切が設けられ、前記作業用ロボットは、前記仕切に対して前記スリットよりも上方に設けられた塗装作業用ロボットであり、前記支持体は、上方から塗料が吹付けられる位置で作業対象物を支持するものである。塗料が塗装作業用ロボットにかかり難い。
【符号の説明】
【0113】
10 塗装用設備
11 塗装用空間(作業用空間)
12 UV照射用空間(作業用空間)
13 乾燥炉用空間(作業用空間)
15a、215a 垂直仕切(仕切)
16 スリット
17 ガイドレール
20 塗装作業用ロボット
30 搬送装置
40 トロリー
46 支持体回転駆動部
47 閉鎖体支持部
48 レール
49 フリクションローラ
49M 走行用モータ
50 支持体
60、260、360、460 閉鎖体
60c 関節部
60h、360h、460h 通過部
217 受ガイドレール
218 樋部
245 付勢支持部
261 閉鎖本体部
262 表面板部
300、400 閉鎖体戻し搬送装置
360g ガイド部
A 搬送路
P 作業対象物
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12