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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ガス漏洩検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/00 20060101AFI20240205BHJP
   G01M 3/28 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
G01M3/00 C
G01M3/28 A
G01M3/28 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020118429
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015525
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】小西 良平
(72)【発明者】
【氏名】中田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直也
(72)【発明者】
【氏名】坪井 研
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-030882(JP,A)
【文献】特開平08-219934(JP,A)
【文献】特開2020-094964(JP,A)
【文献】特開2001-337002(JP,A)
【文献】特開平09-217900(JP,A)
【文献】特開平10-160616(JP,A)
【文献】特開2002-243572(JP,A)
【文献】特開平08-094484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0150554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各住居にガスを供給するガス配管と、
前記各住居に設置され、前記ガス配管に接続されているガス流路内のガス流量を取得し、及び前記ガス流路内のガス圧を検出するガスメータと、
各前記ガスメータから前記ガス流量及び前記ガス圧を収集する監視センターと、を備え、
前記監視センターは、
前記ガス配管を通流する前記ガスの流量と各前記ガスメータが取得した前記ガス流量の総和とを比較することにより、及び/又は各前記ガスメータが取得した前記ガスの流量が無いときに検出した前記ガス圧である、第1ガス圧を基にして、前記ガス配管からの前記ガスの漏洩の有無を判定する工程(A)と、
前記工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した場合に、各前記ガスメータの位置情報と、各前記ガスメータが検出した前記第1ガス圧と、を基に、前記ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B)と、を実行し、
前記各住居を複数の住居ごとに、複数の大エリアに区分けし、
前記工程(A)において、前記大エリアごとに、前記ガスの漏洩の有無を判定し、
前記工程(B)において、前記工程(A)で前記ガスの漏洩が発生していると判定した前記大エリアにおいて、前記ガスの漏洩が発生している場所を特定するように構成されている、
ス漏洩検出システム。
【請求項2】
前記監視センターは、前記工程(B)において、前記ガスメータが検出した前記第1ガス圧が、予め設定されている所定のガス圧値以下である場合に、当該ガスメータが設置されている箇所近傍が前記ガスの漏洩が発生している場所であると特定する、請求項1に記載のガス漏洩検出システム。
【請求項3】
前記監視センターは、前記ガスの漏洩が発生している場所として特定した、前記大エリアについて、複数の住居ごとに、複数の中エリアに区分けし、
前記工程(B)において、前記中エリアごとに、前記ガスの漏洩の有無を判定する工程(B1)と、前記工程(B1)で前記ガスの漏洩が発生していると判定した前記中エリアにおいて、前記ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B2)とを実行するように構成されている、請求項に記載のガス漏洩検出システム。
【請求項4】
各住居にガスを供給するガス配管と、
前記各住居に設置され、前記ガス配管に接続されているガス流路内のガス流量を取得し、及び前記ガス流路内のガス圧を検出するガスメータと、
各前記ガスメータから前記ガス流量及び前記ガス圧を収集する監視センターと、を備え、
前記監視センターは、
前記ガス配管を通流する前記ガスの流量と各前記ガスメータが取得した前記ガス流量の総和とを比較することにより、及び/又は各前記ガスメータが取得した前記ガスの流量が無いときに検出した前記ガス圧である、第1ガス圧を基にして、前記ガス配管からの前記ガスの漏洩の有無を判定する工程(A)と、
前記工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した場合に、各前記ガスメータの位置情報と、各前記ガスメータが検出した前記第1ガス圧と、を基に、前記ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B)と、を実行し、
記各住居を複数の住居ごとに、複数の大エリアに区分けし、
前記工程(B)において、各前記大エリアにおけるガスメータが検出した第1ガス圧の平均値を算出し、算出した第1ガス圧の平均値が、他の大エリアに比して小さい大エリアをガスの漏洩が発生している場所として特定する工程(B3)を実行するように構成されている、
ス漏洩検出システム。
【請求項5】
前記監視センターは、前記ガスの漏洩が発生している場所として特定した、前記大エリアについて、複数の住居ごとに、複数の中エリアに区分けし、
前記工程(B)において、各前記中エリアにおけるガスメータが検出した第1ガス圧の平均値を算出し、算出した第1ガス圧の平均値が、他の中エリアに比して小さい中エリアをガスの漏洩が発生している場所として特定する工程(B4)を実行するように構成されている、請求項に記載のガス漏洩検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏洩検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の共有配管のガス漏れを検知するガス漏れ検知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されているガス漏れ検知装置では、共用配管の入口付近に電子式の元ガスメータを設け、各住戸ガスメータにて計測された住戸ガス流量の合計と、元ガスメータにて計測された元ガス流量とを比較し、その流量差が所定値以上のときガス漏れが発生していると判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3438955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているガス漏れ検知装置では、共有配管でガス漏れが発生していることは検知できるが、ガス漏れが発生している箇所まで特定することができず、未だ改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、上述したような事情に鑑みて、ガスの漏洩箇所を特定することができる、ガス漏洩検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガス漏洩検出システムは、各住居にガスを供給するガス配管と、前記各住居に設置され、前記ガス配管に接続されているガス流路内のガス流量を取得し、及び前記ガス流路内のガス圧を検出するガスメータと、各前記ガスメータから前記ガス流量及び前記ガス圧を収集する監視センターと、を備え、前記監視センターは、前記ガス配管を通流する前記ガスの流量と各前記ガスメータが取得した前記ガス流量の総和とを比較することにより、及び/又は各前記ガスメータが取得した前記ガス流量が無いときに検出した前記ガス圧である、第1ガス圧を基にして、前記ガス配管からの前記ガスの漏洩の有無を判定する工程(A)と、前記工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した場合に、各前記ガスメータの位置情報と、各前記ガスメータが検出した前記第1ガス圧と、を基に、前記ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B)と、を実行するように構成されている。
【0007】
これにより、ガスの漏洩箇所を特定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るガス漏洩検出システムによれば、ガスの漏洩箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示すガス漏洩検出システムにおける要部の概略構成を示す模式図である。
図3図3は、図1に示すガス漏洩検出システムのガスメータ及び監視センターの概略構成を示す模式図である。
図4図4は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0011】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムは、各住居にガスを供給するガス配管と、各住居に設置され、ガス配管に接続されているガス流路内のガス流量を取得し、及びガス流路内のガス圧を検出するガスメータと、各ガスメータからガス流量及びガス圧を収集する監視センターと、を備え、監視センターは、ガス配管を通流するガスの流量と各ガスメータが取得したガス流量の総和とを比較することにより、及び/又は各ガスメータが取得したガス流量が無いときに検出したガス圧である、第1ガス圧を基にして、ガス配管からのガスの漏洩の有無を判定する工程(A)と、工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した場合に、各ガスメータの位置情報と、各ガスメータが検出した第1ガス圧と、を基に、ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B)と、を実行するように構成されている。
【0012】
また、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムでは、監視センターは、工程(B)において、ガスメータが検出した第1ガス圧が、予め設定されている所定のガス圧値以下である場合に、当該ガスメータが設置されている箇所近傍がガスの漏洩が発生している場所であると特定してもよい。
【0013】
また、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムでは、監視センターは、各住居を複数の住居ごとに、複数の大エリアに区分けし、工程(A)において、大エリアごとにガスの漏洩の有無を判定し、工程(B)において、工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した大エリアにおいて、ガス漏洩箇所を特定するように構成されていてもよい。
【0014】
また、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムでは、監視センターは、ガスの漏洩が発生している場所として特定した、大エリアについて、複数の住居ごとに、複数の中エリアに区分けし、工程(B)において、中エリアごとに、ガスの漏洩の有無を判定する(B1)と、工程(B1)でガスの漏洩が発生していると判定した中エリアにおいて、ガスの漏洩が発生している場所を特定する(B2)とを実行するように構成されていてもよい。
【0015】
また、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムでは、監視センターは、各住居を複数の住居ごとに、複数の大エリアに区分けし、工程(B)において、各大エリアにおけるガスメータが検出した第1ガス圧の平均値を算出し、算出した第1ガス圧の平均値が、他の大エリアに比して小さい大エリアをガスの漏洩が発生している場所として特定する工程(B3)を実行するように構成されていてもよい。
【0016】
さらに、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムでは、監視センターは、ガスの漏洩が発生している場所として特定した、大エリアについて、複数の住居ごとに、複数の中エリアに区分けし、工程(B)において、各中エリアにおけるガスメータが検出した第1ガス圧の平均値を算出し、算出した第1ガス圧の平均値が、他の中エリアに比して小さい中エリアをガスの漏洩が発生している場所として特定する工程(B4)を実行するように構成されていてもよい。
【0017】
以下、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの一例について、図1図5を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[ガス漏洩検出システムの構成]
図1は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの概略構成を示す模式図である。図2は、図1に示すガス漏洩検出システムにおける要部の概略構成を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システム300は、各住居100にガスを供給するガス配管11A、11Bと、各住居100に設置されているガスメータ120と、監視センター200と、を備えている。監視センター200は、監視エリア400内に所属している各住居100に設置されているガスメータ120を監視するように構成されている。
【0020】
なお、監視エリア400の監視は、1つの監視センター200で行ってもよく、複数の監視センター200が共同で行ってもよい。また、ガス配管11Aとガス配管11Bを適宜な配管で接続してもよい。
【0021】
監視エリア400は、複数(ここでは、2つ)の大エリア500A、500Bから構成されていてもよい。また、大エリア500A、500Bは、それぞれ、複数の中エリア70A、70B、70Nから構成されていてもよい。さらに、複数の中エリア70A、70B、70Nは、それぞれ、複数の小エリアから構成されていてもよい。
【0022】
ここで、図1及び図2を参照しながら、大エリア500Aの構成について、詳細に説明する。なお、大エリア500Bは、大エリア500Aと同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0023】
図2に示すように、大エリア500A内には、ガス配管11Aが設置されている。ガス配管11Aの上流側には、第1弁21A及び第1ガスメータ31Aが設置されている。第1弁21Aは、ガス配管11A内のガスの通流を許可/禁止するように構成されていて、例えば、開閉弁で構成されていてもよい。第1ガスメータ31Aは、ガス配管11A内を通流するガスの流量を検知し、検知したガスの流量を監視センター200に出力するように構成されている。
【0024】
また、ガス配管11Aには、複数のガス配管12A、12B、12Cが接続されている。ガス配管12Aの上流側には、第2弁22A及び第2ガスメータ32Aが設置されている。第2弁22Aは、ガス配管12A内のガスの通流を許可/禁止するように構成されていて、例えば、開閉弁で構成されていてもよい。第2ガスメータ32Aは、ガス配管12A内を通流するガスの流量を検知し、検知したガスの流量を監視センター200に出力するように構成されている。
【0025】
ガス配管12Aには、中エリア70A(70B、70N)に所属する各住居100A~100Eにガスを供給するためのガス流路110A~110Eが接続されている。ガス流路110A~110Eには、それぞれ、ガスメータ120(第3ガスメータ120A~120E)が設置されている。
【0026】
なお、本実施の形態1においては、中エリア70A(70B、70N)に所属する住居100として、5つの住居100A~100Eを示したが、これは説明の便宜上のためであり、中エリア70A(70B、70N)に従属する住居100の数は、数十であってもよく、数百であってもよく、数千であってもよく、数万であってもよい。
【0027】
また、各住居100A~100Eを区別する必要がない場合には、住居100と称する場合がある。同様に、ガス流路110A~110Eを区別する必要がない場合には、ガス流路110と称する場合がある。また、第3ガスメータ120A~120Eを区別する必要がない場合には、ガスメータ120と称する場合がある。
【0028】
さらに、中エリア70B、70Nは、中エリア70Aと同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0029】
ガスメータ120は、ガス流路110内を通流するガスの流量である、ガス流量を取得し、及びガス流路110内のガス圧を検出し、取得したガス流量及びガス圧を監視センター200に出力するように構成されている。
【0030】
また、監視センター200は、ガス配管11A及び/又はガス配管12Aを通流するガスの流量と各ガスメータ120が取得したガス流量の総和とを比較することにより、及び/又は各ガスメータ120が取得したガス流量が無いときに検出したガス圧である、第1ガス圧を基にして、ガス配管11A及び/又はガス配管12Aからガスの漏洩を判定する工程(A)と、工程(A)でガスの漏洩が発生していると判定した場合に、各ガスメータ120の位置情報と、各ガスメータ120が検出した第1ガス圧と、を基に、ガスの漏洩が発生している場所を特定する工程(B)と、を実行するように構成されている。
【0031】
ここで、図1図3を参照しながら、ガスメータ120と監視センター200の構成について、具体的に説明する。
【0032】
図3は、図1に示すガス漏洩検出システムのガスメータ及び監視センターの概略構成を示す模式図である。
【0033】
図3に示すように、ガスメータ120は、流量取得部1、圧力検出部2、及び制御部50を有している。また、監視センター200は、制御部60を有している。
【0034】
流量取得部1は、例えば、公知の流量計測部で構成されていてもよい。また、流量取得部1は、流量計測部と、当該流量計測部が検知し、制御部50によって算出された流量情報を記憶するメモリと、から構成されていてもよく、監視センター200と送受信することで、ロードサーベイで構成されていてもよい。流量計測部としては、例えば、超音波振動子からなる送受信器、及び水晶振動子等からなる発振回路を有する流量計測部を用いてもよい。
【0035】
圧力検出部2は、ガス流路110内を通流するガスの圧力を測定(検出)する公知の圧力検出部を採用することができる。
【0036】
制御部50は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。また、制御部50は、演算部51、記憶部52、及び無線モジュール53を有している。
【0037】
演算部51としては、CPU等を使用することができ、記憶部52としては、ROM及び/又はRAM等の公知のメモリを使用することができる。無線モジュール53は、監視センター200の無線モジュール63と送受信するように構成されている。
【0038】
監視センター200の制御部60は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。また、制御部60は、演算部61、記憶部62、無線モジュール63、及び報知部64を有している。
【0039】
演算部61としては、CPU等を使用することができ、記憶部62としては、ROM及び/又はRAM等の公知のメモリを使用することができる。無線モジュール63は、ガスメータ120の無線モジュール53と送受信するように構成されている。
【0040】
報知部64は、ガス漏洩の発生の警告を外部に知らせることができれば、どのような構成であってもよい。外部に知らせる態様としては、例えば、監視センター200に設置されているモニター等の画面に、文字データ又は画像データ等を表示させる態様であってもよく、警報ランプ等により、光又は色で知らせるような態様であってもよく、スピーカ又はサイレン等により、音声で知らせる態様であってもよい。また、通信ネットワークを介してスマートフォン、携帯電話、又はタブレット型コンピュータ等にメール又はアプリで知らせる態様であってもよい。
【0041】
[ガス漏洩検出システムの動作及び作用効果]
次に、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システム300の動作及び作用効果について、図1図5を参照しながら、説明する。なお、以下の動作は、監視センター200における制御部60の演算部61が、記憶部62に格納されているプログラムを読み出すことにより、実行される。
【0042】
図4は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、図1及び図2に示すように、ガス配管12Aにおけるガス流路110Bが接続されている部分とガス流路110Cが接続されている部分との間(ガス漏洩箇所600)でガスの漏洩が発生しているとする。
【0044】
また、あるエリア(例えば、大エリア500A)に所属するガスメータ120(例えば、第3ガスメータ120E)の圧力検出部2が、ガス流路110内を通流するガスの圧力を測定する場合に、他のエリア(例えば、大エリア500B)に所属する住居100でガスが使用されていても、第3ガスメータ120Eが測定する圧力値には、ほとんど影響がないものとする。
【0045】
すなわち、他のエリア(例えば、大エリア500B)に所属する住居100でガスが使用されているときに、あるエリア(例えば、大エリア500A)に所属するガスメータ120の圧力検出部2が測定した圧力値と、他のエリア(例えば、大エリア500B)に所属する住居100でガスが使用されていないときに、あるエリア(例えば、大エリア500A)に所属するガスメータ120の圧力検出部2が測定した圧力値と、の差は、充分に小さいものとする。このため、他のエリアでのガスの使用の有無は、後述する、ガスの漏洩判定及びガスの漏洩箇所の特定に影響がないものとする。
【0046】
そして、図4に示すように、監視センター200の演算部61は、ガス配管を通流するガスの流量を取得する(ステップS101)。
【0047】
このとき、監視センター200の演算部61は、監視エリア400全体で通流しているガスの流量を取得してもよい。すなわち、監視センター200の演算部61は、第1ガスメータ31A及び第1ガスメータ31Bが検出したガスの流量を取得してもよい。
【0048】
また、監視センター200の演算部61は、大エリア500A内で通流しているガスの流量と、大エリア500B内で通流しているガスの流量と、を別々に取得してもよい。すなわち、監視センター200の演算部61は、第1ガスメータ31Aが検知したガスの流量を大エリア500A内で通流しているガスの流量として取得し、かつ、第1ガスメータ31Bが検知したガスの流量を大エリア500B内で通流しているガスの流量として取得してもよい。
【0049】
さらに、監視センター200の演算部61は、中エリア70A~70Nのそれぞれで通流しているガスの流量を別々に取得してもよい。すなわち、監視センター200の演算部61は、第2ガスメータ32Aが検知したガスの流量を中エリア70A内で通流しているガスの流量として取得し、第2ガスメータ32Bが検知したガスの流量を中エリア70B内で通流しているガスの流量として取得し、第2ガスメータ32Nが検知したガスの流量を中エリア70N内で通流しているガスの流量として取得してもよい。
【0050】
次に、監視センター200の演算部61は、各ガスメータ120から当該ガスメータ120が検知した(取得した)ガスの流量である、ガス流量を取得する(ステップS102)。このとき、監視センター200の演算部61は、ステップS101で取得したガスの流量に対応するエリアに所属する各ガスメータ120からガス流量を取得する。
【0051】
具体的には、例えば、監視センター200の演算部61は、ステップS101で大エリア500Aと大エリア500Bのそれぞれについて、ガスの流量を取得した場合には、大エリア500A、500Bのそれぞれに所属している各ガスメータ120からガス流量を取得する。
【0052】
次に、監視センター200の演算部61は、ステップS102で取得したガス流量の総和を算出する(ステップS103)。ついで、監視センター200の演算部61は、ステップS101で取得したガス配管におけるガスの流量からステップS103で算出したガス流量の総和を減算した値が、予め設定されている所定の第1閾値より大きいか否かを判定する(ステップS104)。
【0053】
このとき、監視センター200は、監視エリア400全体でのガスの漏洩の有無を判定してもよい。また、監視センター200は、大エリア500Aにおけるガスの漏洩の有無の判定と、大エリア500Bにおけるガスの漏洩の有無の判定を並行して実行してもよい。さらに、監視センター200は、中エリア70A~70Nのそれぞれにおいて、ガスの漏洩の有無の判定を並行して実行してもよい。
【0054】
ここで、第1閾値は、予め実験等により設定することができ、例えば、3L/hであってもよい。
【0055】
監視センター200の演算部61は、ステップS101で取得したガス配管におけるガスの流量からステップS103で算出したガス流量の総和を減算した値が、第1閾値以下であると判定した場合(ステップS104でNo)には、ガスの漏洩が発生していないと判断することができ、ステップS101の処理に戻る。
【0056】
一方、監視センター200の演算部61は、ステップS101で取得したガス配管におけるガスの流量からステップS103で算出したガス流量の総和を減算した値が、第1閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS104でYes)には、ガス配管でガスの漏洩が発生していると判定する(ステップS105)。なお、監視センター200の演算部61は、ステップS105の処理を実行するときに、ガス配管でガスの漏洩が発生していることを報知部64により外部に報知してもよい。
【0057】
次に、監視センター200の演算部61は、各ガスメータ120の流量取得部1がガスの流量が無いと検知したときに、圧力検出部2が検出したガス圧である、第1ガス圧を取得する(ステップS106)。
【0058】
このとき、監視センター200の演算部61は、ガスの漏洩が発生していると判定した、大エリア(ここでは、大エリア500A)内に設置されている各ガスメータ120が検出した第1ガス圧を取得してもよい。
【0059】
また、監視センター200の演算部61は、監視エリア400内に設置されている各ガスメータ120が検出した第1ガス圧を取得してもよい。
【0060】
ここで、「各ガスメータ120の流量取得部1がガスの流量が無い」とは、各住居100において、ガスを使用していない状態をいい、ガス流路110内をガスが通流していない状態である。このため、監視センター200の演算部61は、ガス流路110内のガスの通流による圧力変動の影響を受けない圧力値を取得することができる。
【0061】
なお、監視センター200の演算部61は、記憶部62内にガス流量とガス圧が記憶されている場合には、記憶部62から第1ガス圧を取得してもよく、各ガスメータ120の記憶部52内に記憶されているガス流量とガス圧から第1ガス圧を取得してもよい。
【0062】
次に、監視センター200の演算部61は、記憶部62に記憶されている、各ガスメータ120の位置情報と、ステップS106で取得した第1ガス圧と、を基に、マッピングデータを作成し(ステップS107)、ガス漏洩箇所を特定する(ステップS108)。
【0063】
このとき、監視センター200の演算部61は、例えば、図2に示すように、各ガスメータ120の位置情報と、ステップS106で取得した第1ガス圧と、を公知の地図情報上に表示してもよい。また、監視センター200の演算部61は、あるガスメータ120が検出した第1ガス圧が、予め設定されているガス圧値以下である場合には、当該ガスメータ120が設置されている箇所近傍が、ガス漏洩箇所として特定してもよい。
【0064】
ここで、予め設定されているガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が低圧(0.1MPa未満)である場合には、50~70kPaとしてもよい。また、ガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が中圧A(0.1MPa~0.3MPa未満)である場合には、0.1MPa未満としてもよく、中圧B(0.3MPa~1.0MPa未満)である場合には、0.3MPa未満としてもよい。さらに、ガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が高圧(1.0MPa以上)である場合には、1.0MPa未満としてもよい。
【0065】
また、監視センター200の演算部61は、監視エリア400を複数の大エリア(ここでは、大エリア500Aと大エリア500B)に区分けし、どの大エリア内でガスの漏洩が発生しているかを判定(どの大エリアがガス漏洩箇所であるかを特定)してもよい。
【0066】
具体的には、監視センター200の演算部61が、例えば、大エリア500Aに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、大エリア500Bに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、を算出して、算出した平均値を比較することにより、ガス漏洩箇所を特定してもよい。
【0067】
例えば、図1及び図2に示すように、ガス漏洩箇所600でガスの漏洩が発生している場合には、大エリア500Aの第1ガス圧の平均値は、大エリア500Bの第1ガス圧の平均値に比して小さくなる。このため、監視センター200の演算部61は、大エリア500Aでガスの漏洩が発生していると判定することができる。
【0068】
ついで、監視センター200の演算部61は、大エリア500Bに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、大エリア500Aに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧と、の差を算出し、当該算出した値と、各ガスメータ120の位置情報と、を公知の地図情報上に表示してもよい。
【0069】
そして、図2に示すように、ガス漏洩箇所600の上流側に配置されている第3ガスメータ120D及び第3ガスメータ120Eでは、第1ガス圧の差は小さく、ガス漏洩箇所600の下流側に設置されている第3ガスメータ120A、120B,及び120Cでは、第1ガス圧の差は大きくなるものと推測される。
【0070】
これにより、監視センター200の演算部61は、ガス配管におけるガスの漏洩箇所を特定することができる。
【0071】
なお、監視センター200の演算部61は、大エリア500Aでガスの漏洩が発生していると判定した後に、中エリアごとに、ガスの漏洩の有無を判定し、ガスの漏洩が発生していると判定した中エリアにおいて、ガスの漏洩が発生している場所を特定してもよい。
【0072】
具体的には、監視センター200の演算部61は、大エリア500Aでガスの漏洩が発生していると判定した(ステップS105)後に、中エリアごとに、ステップS101~ステップS104の処理を実行して、ガスの漏洩の有無を判定する。
【0073】
ついで、監視センター200の演算部61は、ガスの漏洩が発生していると判定した中エリアにおいて、ステップS107~ステップS109の処理を実行して、ガスの漏洩が発生している場所を特定してもよい。
【0074】
このとき、監視センター200の演算部61は、あるガスメータ120が検出した第1ガス圧が、予め設定されているガス圧値以下である場合には、当該ガスメータ120が設置されている中エリアが、ガス漏洩箇所として特定してもよい。
【0075】
また、監視センター200の演算部61は、大エリア500Aでガスの漏洩が発生していると判定した後に、中エリア70Aに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、中エリア70Bに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、中エリア70Nに所属する各ガスメータ120が検出した第1ガス圧の平均値と、を算出して、算出した第1ガス圧の平均値を比較することにより、どの中エリアでガスの漏洩が発生しているかを特定してもよい。
【0076】
このようにして、エリアを細分化していき、監視センター200の演算部61は、ガス配管におけるガスの漏洩箇所を特定してもよい。
【0077】
次に、監視センター200の演算部61は、ステップS108で特定したガス漏洩箇所を報知部64により外部に報知し(ステップS109)、本プログラムを終了する。
【0078】
次に、図5を参照しながら、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの動作の他の例について、説明する。
【0079】
図5は、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
【0080】
図5に示すように、監視センター200の演算部61は、監視エリア400に所属する各ガスメータ120から当該ガスメータ120が検知した(取得した)ガスの流量である、ガス流量を取得する(ステップS201)。
【0081】
次に、監視センター200の演算部61は、各ガスメータ120の流量取得部1がガスの流量が無いと検知したときに、圧力検出部2が検出したガス圧である、第1ガス圧を取得する(ステップS202)。
【0082】
次に、監視センター200の演算部61は、ステップS202で取得した第1ガス圧が、予め設定されているガス圧値よりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0083】
ここで、予め設定されているガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が低圧(0.1MPa未満)である場合には、50~70kPaとしてもよい。また、ガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が中圧A(0.1MPa~0.3MPa未満)である場合には、0.1MPa未満としてもよく、中圧B(0.3MPa~1.0MPa未満)である場合には、0.3MPa未満としてもよい。さらに、ガス圧値としては、ガス配管を通流するガスの圧力が高圧(1.0MPa以上)である場合には、1.0MPa未満としてもよい。
【0084】
監視センター200の演算部61は、ステップS202で取得した第1ガス圧が、予め設定されているガス圧値以下である場合(ステップS203でNo)には、ガスの漏洩が発生していないと判断することができ、ステップS201の処理に戻る。
【0085】
一方、監視センター200の演算部61は、ステップS202で取得した第1ガス圧が、予め設定されているガス圧値よりも大きいと判定した場合(ステップS203でYes)には、ガス配管でガスの漏洩が発生していると判定する(ステップS204)。なお、監視センター200の演算部61は、ステップS204の処理を実行するときに、ガス配管でガスの漏洩が発生していることを報知部64により外部に報知してもよい。
【0086】
次に、監視センター200の演算部61は、記憶部62に記憶されている、各ガスメータ120の位置情報と、ステップS202で取得した第1ガス圧と、を基に、マッピングデータを作成し(ステップS205)、ガス漏洩箇所を特定する(ステップS206)。なお、ガス漏洩箇所の特定は、上述した方法によって実行してもよい。
【0087】
次に、監視センター200の演算部61は、ステップS206で特定したガス漏洩箇所を報知部64により外部に報知し(ステップS207)、本プログラムを終了する。
【0088】
このように構成された、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システム300では、ガス配管におけるガスの漏洩箇所を特定することができる。また、ガスの漏洩箇所を特定することができるため、メンテナンス作業を容易に実行することができる。
【0089】
上記特許文献1に開示されている発明では、ガスの漏洩が発生していることは検知できるものの、その漏洩箇所が特定できない。このため、メンテナンス作業員は、共有配管全域を調査する必要があり、メンテナンス作業に時間がかかる。
【0090】
一方、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システム300では、漏洩箇所の特定が、特許文献1に開示されている発明に比して、容易となり、メンテナンス作業に係る時間を短縮することができる。
【0091】
なお、本実施の形態1に係るガス漏洩検出システム300は、集合住宅における共有配管についても、ガスの漏洩箇所を特定することができることはいうまでもない。
【0092】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係るガス漏洩検出システムは、ガスの漏洩箇所を特定することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 流量取得部
2 圧力検出部
11A ガス配管
11B ガス配管
12A ガス配管
12N ガス配管
12B ガス配管
21A 第1弁
21B 第1弁
22A 第2弁
22B 第2弁
22N 第2弁
31A 第1ガスメータ
31B 第1ガスメータ
32A 第2ガスメータ
32B 第2ガスメータ
32N 第2ガスメータ
50 制御部
51 演算部
52 記憶部
53 無線モジュール
60 制御部
61 演算部
62 記憶部
63 無線モジュール
64 報知部
70A 中エリア
70B 中エリア
70N 中エリア
100 住居
100A 住居
100B 住居
100C 住居
100D 住居
100E 住居
110 ガス流路
110A ガス流路
110B ガス流路
110C ガス流路
110D ガス流路
110E ガス流路
120 ガスメータ
120A 第3ガスメータ
120B 第3ガスメータ
120C 第3ガスメータ
120D 第3ガスメータ
120E 第3ガスメータ
200 監視センター
300 ガス漏洩検出システム
400 監視エリア
500A 大エリア
500B 大エリア
600 ガス漏洩箇所
図1
図2
図3
図4
図5