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特許7430632とくには部分的に凸状の湾曲を有する複数の溝線によって形成された屋根領域を有する寸法的に安定な食品および飲料品容器を製造するためのシート状複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】とくには部分的に凸状の湾曲を有する複数の溝線によって形成された屋根領域を有する寸法的に安定な食品および飲料品容器を製造するためのシート状複合体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/06 20060101AFI20240205BHJP
   B65D 5/74 20060101ALI20240205BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B65D5/06 300
B65D5/74 020C
B65D65/40 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020511977
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073032
(87)【国際公開番号】W WO2019042942
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】102017215078.5
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー コンビブロック サービシズ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIG Combibloc Services AG
【住所又は居所原語表記】Laufengasse 18,CH-8212 Neuhausen am Rheinfall,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルツ、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーテル、メラニー
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/097606(WO,A2)
【文献】特開2005-324831(JP,A)
【文献】国際公開第2009/030910(WO,A2)
【文献】特開平11-091792(JP,A)
【文献】特開2004-042937(JP,A)
【文献】国際公開第2010/070121(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/06
B65D 5/74
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品または飲料品容器を製造するためのシート状複合体(100)であって、
a)キャリア層(603)、
b)バリア層(605)、および
c)内側ポリマー層(606)
を外面(101)から内面(401)への方向に層シーケンスの互いに重ねられた層として備えるシート状複合体(100)であって、
当該シート状複合体(100)は、複数の溝線(102)を有し、前記複数の溝線(102)は、当該シート状複合体(100)を前記溝線(102)に沿って折り曲げ、当該シート状複合体(100)のシーム領域(103)を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器(500)を得ることができるように配置および構成され、
前記閉じた容器(500)は、屋根領域(507)を有し、
前記複数の溝線(102)のうちの溝線(104)の第1の部分が、前記屋根領域(507)の第1の部分領域(106)の周囲を少なくとも部分的に形成し、
前記第1の部分の前記溝線(104)は、前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)に対して、少なくとも部分的に凸状の湾曲を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)は、長手方向(109)における最大長さである第1の長さ(107)を有し、前記長手方向(109)に対して直角な周方向(110)における最大長さである第2の長さ(108)を有し、
前記第2の長さ(108)に対する前記第1の長さ(107)の比率が、0.6~0.8の範囲内にあり、
前記屋根領域(507)の少なくとも1つのさらなる部分領域(112)を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)および前記屋根領域(507)の前記少なくとも1つのさらなる部分領域(112)は、前記閉じた容器(500)において前記閉じた容器(500)の前記屋根領域(507)を協働して形成するように配置および形成され、
前記屋根領域(507)の前記少なくとも1つのさらなる部分領域(112)は、前記長手方向(109)の第3の長さ(113)を有し、
前記第3の長さ(113)に対する前記第1の長さ(107)の比率は、1.3~5.0の範囲内にあり、
前記キャリア層(603)は、前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)に孔(111)を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)は、第1の表面積を有し、
前記孔(111)は、さらなる表面積を有し、
前記さらなる表面積に対する前記第1の表面積の比率は、15.0~45.0の範囲内にある、シート状複合体(100)。
【請求項2】
当該シート状複合体(100)は、単一の閉じた容器(500)を製造するためのブランクである、請求項1に記載のシート状複合体(100)。
【請求項3】
前記孔(111)は、少なくとも孔カバー層として前記バリア層(605)および前記内側ポリマー層(606)によって覆われる、請求項に記載のシート状複合体(100)。
【請求項4】
食品または飲料品容器を製造するためのシート状複合体(100)であって、
a)キャリア層(603)を含むシート状複合体前駆体を用意することと、
b)前記シート状複合体前駆体に複数の溝線(102)を導入することと
を方法ステップとして含み、
前記複数の溝線(102)の溝線(102)は、前記シート状複合体前駆体から得られたシート状複合体(100)を前記溝線(102)に沿って折り曲げ、前記シート状複合体(100)のシーム領域(103)を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器(500)を得ることができるように導入され、
前記閉じた容器(500)は、屋根領域(507)を有し、
前記複数の溝線(102)のうちの溝線(104)の第1の部分が、前記屋根領域(507)の第1の部分領域(106)の周囲を少なくとも部分的に形成し、
前記第1の部分の前記溝線(104)は、前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)に対して、少なくとも部分的に凸状の湾曲を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)は、長手方向(109)における最大長さである第1の長さ(107)を有し、前記長手方向(109)に対して直角な周方向(110)における最大長さである第2の長さ(108)を有し、
前記第2の長さ(108)に対する前記第1の長さ(107)の比率が、0.6~0.8の範囲内にあり、
前記屋根領域(507)の少なくとも1つのさらなる部分領域(112)を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)および前記屋根領域(507)の前記少なくとも1つのさらなる部分領域(112)は、前記閉じた容器(500)において前記閉じた容器(500)の前記屋根領域(507)を協働して形成するように配置および形成され、
前記屋根領域(507)の前記少なくとも1つのさらなる部分領域(112)は、前記長手方向(109)の第3の長さ(113)を有し、
前記第3の長さ(113)に対する前記第1の長さ(107)の比率は、1.3~5.0の範囲内にあり、
前記キャリア層(603)は、前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)に孔(111)を有し、
前記屋根領域(507)の前記第1の部分領域(106)は、第1の表面積を有し、
前記孔(111)は、さらなる表面積を有し、
前記さらなる表面積に対する前記第1の表面積の比率は、15.0~45.0の範囲内にある、方法(700)。
【請求項5】
請求項に記載の方法(700)によって得ることができるシート状複合体(100)。
【請求項6】
請求項1~またはのいずれか一項に記載のシート状複合体(100)を備える容器前駆体(200)。
【請求項7】
請求項1~またはのいずれか一項に記載のシート状複合体(100)を備える閉じた容器(500)。
【請求項8】
a.第1の長手方向のエッジ(115)およびさらなる長手方向のエッジ(116)を備える請求項1~またはのいずれか一項に記載のシート状複合体(100)を用意することと、
b.前記シート状複合体(100)を前記複数の溝線(102)のうちの溝線(102)に沿って折り曲げることと、
c.前記第1の長手方向のエッジ(115)を前記さらなる長手方向のエッジ(116)に接触させて接合し、長手方向のシーム(301)を得ることと
を方法ステップとして含む、方法(800)。
【請求項9】
請求項に記載の方法(800)によって得ることができる容器前駆体(200)。
【請求項10】
A)請求項またはに記載の容器前駆体(200)を用意することと、
B)前記容器前駆体(200)の底部領域(504)を、前記シート状複合体(100)を前記複数の溝線(102)のうちの溝線(102)に沿って折り曲げることによって形成することと、
C)前記底部領域(504)を閉鎖することと、
D)前記容器前駆体(200)を食品または飲料品で満たすことと、
E)前記容器前駆体(200)を上部領域(503)において閉じることにより、閉じた容器(500)を得ることと
を方法ステップとして含む、方法(900)。
【請求項11】
請求項10に記載の方法(900)によって得ることができる閉じた容器(500)。
【請求項12】
食品または飲料品容器を製造するための、請求項1~またはのいずれか一項に記載のシート状複合体(100)あるいは請求項またはに記載の容器前駆体(200)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)キャリア層、
b)バリア層、および
c)内側ポリマー層
を外面から内面への方向に層シーケンスの互いに重ねられた層として備えるシート状複合体であって、
当該シート状複合体は、複数の溝線を有し、複数の溝線は、当該シート状複合体を溝線に沿って折り曲げ、当該シート状複合体のシーム領域を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器を得ることができるように配置および構成され、閉じた容器は、屋根領域を有し、複数の溝線のうちの溝線の第1の部分が、屋根領域の第1の部分領域の周囲を少なくとも部分的に形成し、第1の部分の溝線は、屋根領域の第1の部分領域に対して、少なくとも部分的に凸状の湾曲を有し、屋根領域の第1の部分領域は、長手方向の第1の長さを有し、長手方向に対して直角な周方向の第2の長さを有し、第2の長さに対する第1の長さの比率が、0.2~2.0の範囲内にある、シート状複合体に関する。さらに、本発明は、シート状複合体、容器前駆体、および閉じた容器の製造方法、ならびに上述の方法の製品、さらなる容器前駆体、さらなる閉じた容器、およびシート状複合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、食品および飲料品は、人間が消費する食品および飲料品であっても、動物の飼料としての製品であっても、缶または蓋によって閉じられる瓶に貯蔵することによって保存されてきた。この場合、最初に食品または飲料品ならびに容器(ここでは、瓶または缶)を別々に、それぞれできる限り殺菌し、次いで食品または飲料品を容器へと導入して容器を閉鎖することによって、貯蔵寿命を延ばすことができる。しかしながら、食品または飲料品の貯蔵寿命を延ばすこれらの方策は、長期にわたって試みられ、試験されてきたが、例えば後にさらなる殺菌が必要であるなど、一連の欠点を有する。缶および瓶は、基本的に円筒形であるため、高密度かつ省スペースな貯蔵が可能ではないという欠点を有する。さらに、缶および瓶は、本質的にかなりの重量を有し、したがって輸送におけるエネルギ消費が大きくなる。また、ガラス、ブリキ、またはアルミニウムの製造は、たとえこの目的に使用される原材料がリサイクルされたとしても、かなり大きなエネルギ消費を必要とする。瓶の場合、さらなる悪化要因は、輸送費の増大である。瓶は、通常は、ガラス工場で事前に製作され、その後に、食品および飲料品を入れる施設まで、相当の輸送量を使用して輸送しなければならない。さらに、瓶および缶は、かなりの力を費やすか、あるいは道具の助けを借りなければ開封することができず、すなわちかなり面倒なやり方でしか開くことができない。缶の場合、開封時に生じる鋭利なエッジで怪我を負うリスクが高い。瓶の場合、充てんまたは充てん済みの瓶の開封の過程において、割れたガラスが食品または飲料品に入り込む場合が頻繁に存在し、最悪の場合、食品または飲料品が消費されるときに体内の怪我につながる可能性がある。また、缶および瓶のどちらにも、食品または飲料品の中身の識別および宣伝のためのラベルが必要である。瓶や缶には、情報および宣伝メッセージを容易に直接印刷することができない。したがって、実際の印刷に加えて、紙または適切なフィルムなどの印刷のための基材、ならびに固定手段、接着剤、またはシール材が必要である。
【0003】
食品および飲料品を最小限の劣化で長期間にわたって保管するための他のパッケージングシステムも、先行技術から知られている。これらは、シート状複合体から製造される容器であり、このシート状複合体は、ラミネートと呼ばれることも多い。この種のシート状複合体は、とりわけ国際公開第90/09926号公報に開示されているように、熱可塑性ポリマー層と、通常は容器に寸法安定性を与える厚紙または紙からなるキャリア層と、接着促進層と、バリア層と、さらなるポリマー層とから構成されることが多い。キャリア層がラミネートから製造された容器に寸法安定性を付与しているため、これらの容器は、フィルムバッグとは対照的に、上述の瓶および缶のさらなる発展形とみなされる。
【0004】
同時に、これらのラミネート容器は、従来からの瓶および缶と比べて多くの利点をすでに有している。それにもかかわらず、これらのパッケージングシステムの場合にも、改善の機会が存在する。例えば、これらのラミネート容器は、それ自体が、比較的開けにくいことが多い。この問題に対処するために、先行技術のラミネート容器に開封補助具が設けられている。これらは、キャリア層に設けられた孔の形態であることが多いラミネートの予定破壊部位の領域に、接着によって適用されることが多い。ラミネート容器のいくつかの好都合な構成において、孔を有する容器の領域が曲がり、あるいは波打ち、すなわち完全には平坦でないという問題が発生する。これは、開封補助具の適用にとって不都合である。例えば、開封補助具が容器に充分にしっかりと接着されない状況が、製造プロセスにおいて生じ得る。例えば、開封補助具が、容器の輸送または保管の過程で外れてしまう可能性があり、これは、容器の開封が面倒になるという問題を引き起こす。また、開封補助具の容器への接着においてシールが不充分であるという状況が、製造プロセスにおいて生じる。これにより、容器の開封後に、ラミネートと適用された開封補助具との間で漏れが生じる。これにより、容器の中身を注ぎ出すときに、意図せぬ横方向の流出が生じる可能性がある。したがって、効率的かつ清潔な注ぎ出しが可能ではない。これらの問題を可能な限り回避するために、上述の不完全に平坦な容器の領域において、開封補助具を容器へと接着するために、より多くの接着剤を使用することが必要になると考えられる。これが、出発原料の消費が増えることで製造コストが高くなるがゆえに望ましくないことは、容易に明らかである。さらに、過度に大量の接着剤を使用すると、接着剤が溢れる可能性がある。溢れた接着剤が、バリア層によって覆われ、多くの場合にポリマー層によっても覆われているキャリア層の孔へと流れることで、硬化後に、開封特性を不都合に損なう可能性がある。例えば、孔カバー層がきれいに破られず、したがってきれいな注ぎ口が得られないという状況が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第90/09926号公報
【発明の概要】
【0006】
一般的に言えば、本発明の目的は、先行技術から生じる欠点を少なくとも部分的に克服することである。本発明のさらなる目的は、溝に沿って折り曲げ、シールし、開封補助具を適用することによって、きわめて良好な開封性を有し、開封後に食品または飲料品をきわめてきれいに注ぎ出すことができる寸法的に安定な食品または飲料品容器をもたらすことができるラミネートを提供することである。さらに、ここで、好ましくは開封補助具を最小限の接着剤またはシール材しか使用せずに充分にしっかりと取り付けることができる。好ましくは、ここで、食品または飲料品容器は、可能な限り多数の異なる形状をとることができる。好ましくは、食品または飲料品容器は、きわめて把持性が良好な形状を有する。良好な把持性を備えた形状は、好ましくは、食品または飲料品容器の丸みを帯びた長手方向のエッジによって達成される。これに加え、あるいはこれに代えて、食品または飲料品容器は、好ましくは、容器の底部領域に対して傾斜した屋根を有する。これに関連して、本発明は、好ましくは、容器の開封および注ぎ出しの特性、開封補助具の容器への接着、あるいは両方への悪影響を最小限に抑えつつ、底部領域に対する屋根の傾斜を最大にすることを可能にする。本発明のさらなる目的は、食品または飲料品容器のきわめて良好な開封によって一定の容器サイズで最大サイズの注ぎ孔がもたらされる上述の好都合なラミネートを提供することである。本発明のさらなる目的は、溝に沿って折り曲げてシールすることにより、開封後にきわめて省スペースなやり方で処分することができる寸法的に安定な食品または飲料品容器をもたらすことができるラミネートを提供することである。本発明のさらなる目的は、上述の寸法的に安定な食品または飲料品容器を提供することである。
【0007】
上述の目的のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を少なくとも部分的に達成するための貢献が、独立請求項によってなされる。従属請求項が、これらの目的のうちの少なくとも1つの少なくとも部分的な達成に貢献する好ましい実施形態を提供する。
【0008】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献が、シート状複合体1の実施形態1によってなされ、シート状複合体1の実施形態1は、
a)キャリア層、
b)バリア層、および
c)内側ポリマー層
をシート状複合体の外面からシート状複合体の内面への方向に層シーケンスの互いに重ねられた層として備え、
このシート状複合体は、複数の溝線を有し、複数の溝線は、このシート状複合体を溝線に沿って折り曲げ、このシート状複合体のシーム領域を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器を得ることができるように配置および構成され、閉じた容器は、屋根領域を有し、複数の溝線のうちの溝線の第1の部分が、屋根領域の第1の部分領域の周囲を少なくとも部分的に形成し、第1の部分の溝線は、屋根領域の第1の部分領域に対して、少なくとも部分的に凸状の湾曲を有し、屋根領域の第1の部分領域は、長手方向の第1の長さを有し、長手方向に対して直角な周方向の第2の長さを有し、第2の長さに対する第1の長さの比率が、0.2~2.0の範囲内にある。好ましくは、第2の長さに対する第1の長さの比率は、0.2~1.8、より好ましくは0.2~1.6、より好ましくは0.2~1.4、より好ましくは0.3~1.2、より好ましくは0.4~1.0、より好ましくは0.5~0.9、より好ましくは0.6~0.9、最も好ましくは0.6~0.8の範囲内である。
【0009】
本発明の実施形態2において、シート状複合体1は、実施形態1に従って構成され、シート状複合体は、単一の閉じた容器の製造のためのブランクである。
【0010】
本発明の実施形態3において、シート状複合体1は、実施形態1または2に従って構成され、キャリア層は、屋根領域の第1の部分領域に孔を有する。
【0011】
本発明の実施形態4において、シート状複合体1は、実施形態3に従って構成され、孔は、少なくとも孔カバー層としてバリア層および内側ポリマー層によって覆われる。好ましくは、孔は、外側ポリマー層またはポリマー中間層あるいは両方によってさらに覆われる。本明細書において、孔を覆う層は、孔カバー層と呼ばれる。少なくとも2つの孔カバー層が存在する場合、孔における孔カバー層は、好ましくは孔内で互いに接合された層の層シーケンスを形成する。
【0012】
本発明の実施形態5において、シート状複合体1は、実施形態3または4に従って構成され、屋根領域の第1の部分領域は、第1の表面積を有し、孔は、さらなる表面積を有し、さらなる表面積に対する第1の表面積の比率は、1.0~45.0の範囲内にある。好ましい実施形態において、さらなる表面積に対する第1の表面積の比率は、1.5~40.0、好ましくは2.0~38.0、最も好ましくは3.0~35.0の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態において、さらなる表面積に対する第1の表面積の比率は、1.5~15.0、好ましくは1.5~10.0、より好ましくは1.5~8.0、より好ましくは2.0~7.0、より好ましくは3.0~6.0、最も好ましくは3.5~5.5の範囲内にある。あるいは、好ましくは、さらなる表面積に対する第1の表面積の比は、15.0~45.0、好ましくは17.0~43.0、より好ましくは19.0~40.0、より好ましくは20.0~38.0、最も好ましくは22.0~36.0の範囲内にある。第1およびさらなる表面積についてのこれらの数字に関して、第1の表面積は、好ましくはさらなる表面積を含み、すなわち孔の表面積は、屋根領域の第1の部分領域の表面積の決定に含まれ、差し引かれない。
【0013】
本発明の実施形態6において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、シート状複合体は、屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域を有し、屋根領域の第1の部分領域および屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、閉じた容器において閉じた容器の屋根領域を協働して形成するように配置および形成され、屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、長手方向の第3の長さを有し、第3の長さは、第1の長さと異なる。好ましくは、第3の長さは、第1の長さよりも短い。好ましくは、第3の長さは、第1の長さよりも少なくとも5mm、より好ましくは少なくとも8mm、最も好ましくは少なくとも10mm短い。この場合、第1の長さと第3の長さとの間の差は、好ましくは、シート状複合体から製造される容器の屋根領域の傾斜に影響を与える。
【0014】
本発明の実施形態7において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、シート状複合体は、屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域を有し、屋根領域の第1の部分領域および屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、閉じた容器において閉じた容器の屋根領域を協働して形成するように配置および形成され、屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、長手方向の第3の長さを有し、第3の長さに対する第1の長さの比率は、1.0~5.0、好ましくは1.0~4.5、より好ましくは1.0~4.0、より好ましくは1.0~3.5、より好ましくは1.0~3.0、より好ましくは1.1~2.8、より好ましくは1.2~2.7、より好ましくは1.3~2.6、より好ましくは1.3~2.5、最も好ましくは1.4~2.4の範囲内にある。第3の長さに対する第1の長さの比率が大きいほど、好ましくは、シート状複合体から製造される容器の屋根領域の傾斜が大きい。
【0015】
本発明の実施形態8において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、複数の溝線の溝線は、シート状複合体の外面に線形なくぼみを少なくとも部分的に含む。好ましい線形なくぼみは、材料の線形な変位である。好ましくは、複数の溝線の溝線は、シート状複合体の外面上の線形なくぼみの形態をとる。さらに好ましくは、複数の溝線の溝線は、シート状複合体の内面に膨らみを有する。
【0016】
本発明の実施形態9において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、屋根領域の第1の部分領域は、周方向において、複数の溝線の溝線によって少なくとも部分的に境界付けられた少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つの三角形領域からそれぞれなる2つのグループの間に配置される。好ましくは、それぞれの場合に、複数の溝線の溝線によって少なくとも部分的に境界付けられた3つ、より好ましくは4つの三角形領域は、屋根領域の第1の部分領域と屋根領域の第1のさらなる部分領域との間および屋根領域の第1の部分領域と屋根領域の第2のさらなる部分領域との間に配置される。
【0017】
本発明の実施形態10において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、シート状複合体は、外側ポリマー層をさらに含み、外側ポリマー層は、キャリア層のバリア層から遠い側においてキャリア層に重なる。好ましい実施形態において、外側ポリマー層は、キャリア層に隣接する。外側ポリマー層は、好ましくは、いずれの場合も外側ポリマー層の重量に基づいて、少なくとも50重量%の程度まで、より好ましくは少なくとも60重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも70重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも80重量%の程度まで、最も好ましくは少なくとも90重量%の程度までポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両方を含む。
【0018】
本発明の実施形態11において、シート状複合体1は、実施形態10に従って構成され、外側ポリマー層は、いずれの場合も外側ポリマー層の重量に基づいて、少なくとも50重量%の程度まで、より好ましくは少なくとも60重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも70重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも80重量%の程度まで、最も好ましくは少なくとも90重量%の程度までLDPEを含む。
【0019】
本発明の実施形態12において、シート状複合体1は、実施形態10または11に従って構成され、外側ポリマー層に、外側ポリマー層のキャリア層から遠い側または外側ポリマー層のキャリア層に面する側において、カラー適用、好ましくは装飾が重ねられる。上述の両方の配置において、カラー適用は、好ましくは外側ポリマー層に隣接する。好ましくは、カラー適用は、少なくとも1つの着色剤、より好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、さらにより好ましくは少なくとも5つ、最も好ましくは少なくとも6つの着色剤を含む。上述の着色剤は、好ましくはそれぞれが異なる色を有する。
【0020】
本発明の実施形態13において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、シート状複合体は、キャリア層とバリア層との間にポリマー中間層を含む。
【0021】
本発明の実施形態14において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、内側ポリマー層、ポリマー中間層、および外側ポリマー層からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせが、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両者の混合物を含み、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両者の混合物からなる。好ましくは、内側ポリマー層、ポリマー中間層、および外側ポリマー層からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせが、いずれの場合もそれぞれの層の重量に基づいて、少なくとも50重量%の程度まで、好ましくは少なくとも60重量%の程度まで、より好ましくは少なくとも70重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも80重量%の程度まで、最も好ましくは少なくとも90重量%の程度まで、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両者の混合物を含む。
【0022】
本発明の実施形態15において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、キャリア層は、厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含み、好ましくは厚紙、板紙、および紙からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせからなる。
【0023】
本発明の実施形態16において、シート状複合体1は、上述の実施形態のいずれかに従って構成され、バリア層は、プラスチック、金属、および金属酸化物からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを含み、好ましくはプラスチック、金属、および金属酸化物からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせからなる。
【0024】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献が、方法1の実施形態1によってなされ、方法1の実施形態1は、
a)キャリア層を含むシート状複合体前駆体を用意することと、
b)シート状複合体前駆体に複数の溝線を導入することと
を方法ステップとして含み
複数の溝線の溝線は、シート状複合体前駆体から得られたシート状複合体を溝線に沿って折り曲げ、シート状複合体のシーム領域を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器を得ることができるように導入され、閉じた容器は、屋根領域を有し、複数の溝線のうちの溝線の第1の部分が、屋根領域の第1の部分領域の周囲を少なくとも部分的に形成し、第1の部分の溝線は、屋根領域の第1の部分領域に対して、少なくとも部分的に凸状の湾曲を有し、屋根領域の第1の部分領域は、長手方向の第1の長さを有し、長手方向に対して直角な周方向の第2の長さを有し、第2の長さに対する第1の長さの比率が、0.2~2.0の範囲内にある。好ましくは、第2の長さに対する第1の長さの比率は、0.2~1.8、より好ましくは0.2~1.6、より好ましくは0.2~1.4、より好ましくは0.3~1.2、より好ましくは0.4~1.0、より好ましくは0.5~0.9、より好ましくは0.6~0.9、最も好ましくは0.6~0.8の範囲内である。好ましくは、キャリア層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。方法1は、好ましくは、シート状複合体の製造方法である。好ましいシート状複合体は、食品または飲料品容器を製造するように設計される。
【0025】
本発明の実施形態2において、方法1は、方法1の実施形態1に従って構成され、この方法は、
c)キャリア層にバリア層を重ねること、
d)バリア層のキャリア層から遠い側において、バリア層に内側ポリマー層を重ねることによって、シート状複合体を得ることと
を方法ステップとしてさらに含む。
【0026】
好ましくは、バリア層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。バリア層との重ね合わせは、好ましくはラミネーションの形態で達成される。
【0027】
本発明の実施形態3において、方法1は、方法1の実施形態2に従って構成され、方法ステップb)およびc)の間において、キャリア層に、キャリア層のバリア層から遠い側において、外側ポリマー層が重ねられる。好ましくは、外側ポリマー層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。外側ポリマー層との重ね合わせは、好ましくは、外側ポリマー層を得ることができる外側ポリマー組成物を押し出すことによって達成される。
【0028】
本発明の実施形態4において、方法1は、方法1の実施形態2または3に従って構成され、方法ステップc)において、ポリマー中間層が、キャリア層とバリア層との間に導入される。好ましくは、ポリマー中間層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。
【0029】
本発明の実施形態5において、方法1は、方法1の実施形態1に従って構成され、方法ステップa)におけるシート状複合体前駆体は、
A.キャリア層、
B.バリア層、および
C.内側ポリマー層
をシート状複合体前駆体の外面からシート状複合体前駆体の内面への方向に層シーケンスの互いに重ねられた層の形態で備え、方法ステップb)においてシート状複合体が得られる。好ましくは、キャリア層、バリア層、または内側ポリマー層、あるいは上述のうちの少なくとも2つの組み合わせは、本発明のシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。
【0030】
本発明の実施形態6において、方法1は、方法1の実施形態5に従って構成され、方法ステップa)におけるシート状複合体前駆体は、外面を向いた側においてキャリア層に重なる外側ポリマー層をさらに含む。好ましくは、外側ポリマー層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。
【0031】
本発明の実施形態7において、方法1は、方法1の実施形態5または6に従って構成され、方法ステップa)におけるシート状複合体前駆体は、キャリア層とバリア層との間にポリマー中間層をさらに含む。好ましくは、ポリマー中間層は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。
【0032】
本発明の実施形態8において、方法1は、方法1の実施形態1および5~7のいずれかに従って構成され、この方法は、方法ステップa)の後に、シート状複合体前駆体を所定のサイズに切断して単一の閉じた容器の製造のためのブランクを形成することをさらに含む。好ましくは、上述のサイズへの切断は、方法ステップb)の後に行われる。
【0033】
本発明の実施形態9において、方法1は、方法1の実施形態2~8のいずれかに従って構成され、方法ステップb)において、複数の溝線の溝線の導入は、シート状複合体のキャリア層のバリア層から遠い側に、複数の線形なくぼみを導入する形態で達成される。好ましくは、導入は、少なくとも1つの溝付けツールを、シート状複合体のバリア層から遠い側においてシート状複合体前駆体に接触させ、好ましくは同時にシート状複合体前駆体の反対側にも接触させることによって達成される。シート状複合体前駆体の好ましくは線形な領域が、好ましくは、上述の反対側の溝付けツールの凹部に取り込まれる。ここで、この領域は、好ましくは凹部へと押し込まれる。このようにして、線形なくぼみは、好ましくは線形な材料変位の形態で得られる。好ましい溝付けツールは、2つの部分からなる構造である。したがって、溝付けツールは、好ましくは、凹部を有する1つの部分と、シート状複合体前駆体を凹部に押し込むように設計されたさらなる部分とを含む。したがって、2つの部分は、好ましくは互いに噛み合う設計である。
【0034】
本発明の実施形態10において、方法1は、方法1の実施形態6~9のいずれかに従って構成され、方法ステップa)におけるシート状複合体前駆体は、外側ポリマー層のキャリア層から遠い側において外側ポリマー層に重なるカラー適用をさらに含む。好ましくは、カラー適用は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。
【0035】
本発明の実施形態11において、方法1は、方法1の実施形態1~4および9のいずれかに従って構成され、シート状複合体前駆体は、キャリア層に重なるカラー適用をさらに含む。好ましくは、カラー適用は、本発明によるシート状複合体1の実施形態のいずれかに従って構成および配置される。好ましくは、カラー適用は、キャリア層のバリア層から遠い側においてキャリア層に重なる。
【0036】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、方法1によって方法1の実施形態1~11のいずれかに従って得ることができるシート状複合体2の実施形態1によってなされる。
【0037】
本発明の目的の少なくとも1つの達成への貢献は、いずれの場合も上述の実施形態のいずれかによるシート状複合体1または2を含む容器前駆体1の実施形態1によってなされる。
【0038】
本発明の実施形態2において、容器前駆体1は、容器前駆体1の実施形態1に従って構成され、シート状複合体は、少なくとも2つの折り目、好ましくは少なくとも3つの折り目、より好ましくは少なくとも4つの折り目を備える。
【0039】
本発明の実施形態3において、容器前駆体1は、容器前駆体1の実施形態1または2に従って構成され、シート状複合体は、第1の長手方向のエッジおよびさらなる長手方向のエッジを備え、第1の長手方向のエッジがさらなる長手方向のエッジに接合されることで、容器前駆体の長手方向のシームが形成される。
【0040】
本発明の実施形態4において、容器前駆体1は、容器前駆体1の実施形態3に従って構成され、シート状複合体は、屋根領域の2つのさらなる部分領域を含み、屋根領域の2つのさらなる部分領域は、長手方向のシームによって互いに接合される。
【0041】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、いずれの場合も上述の実施形態のいずれかによるシート状複合体1または2を備える閉じた容器1の実施形態1によってなされる。好ましくは、本発明による閉じた容器は、食品または飲料品容器である。
【0042】
本発明の実施形態2において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態1に従って構成され、屋根領域の第1の部分領域および屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、閉じた容器において屋根領域を形成する。
【0043】
本発明の実施形態3において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態1または2に従って構成され、閉じた容器は、屋根領域に接合された開封補助具を備える。
【0044】
本発明の実施形態4において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態1~3のいずれかに従って構成され、屋根領域の第1の部分領域および屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域の各々は、屋根シーム領域に隣接し、屋根領域の第1の部分領域および屋根領域の少なくとも1つのさらなる部分領域は、閉じた容器において屋根シームによって互いに接合され、屋根シーム領域は、屋根シームにおいて互いに接合される。好ましくは、屋根シームは、フィンシームの形態をとる。屋根シーム領域は、ここではフィンとも呼ばれる。
【0045】
本発明の実施形態5において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態1~4のいずれかに従って構成され、閉じた容器は、食品または飲料品を含む。
【0046】
本発明の実施形態6において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態1~5のいずれかに従って構成され、シート状複合体が、第1の長手方向のエッジおよびさらなる長手方向のエッジを備え、第1の長手方向のエッジがさらなる長手方向のエッジに接合されることで、閉じた容器の長手方向のシームが形成される。
【0047】
本発明の実施形態7において、閉じた容器1は、閉じた容器1の実施形態6に従って構成され、シート状複合体が、屋根領域の2つのさらなる部分領域を含み、屋根領域の2つのさらなる部分領域は、長手方向のシームによって互いに接合される。
【0048】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、方法2の実施形態1によってなされ、方法2の実施形態1は、
a.いずれの場合も上述の実施形態のいずれかによる第1の長手方向のエッジおよびさらなる長手方向のエッジを備えるシート状複合体1または2を用意することと、
b.シート状複合体を複数の溝線のうちの溝線に沿って折り曲げることと、
c.第1の長手方向のエッジをさらなる長手方向のエッジに接触させて接合し、長手方向のシームを得ることと
を方法ステップとして含む。
【0049】
方法2は、好ましくは、容器前駆体の製造方法である。好ましい容器前駆体は、食品または飲料品容器の前駆体である。方法ステップc.における接合は、好ましくはシールの形態で、好ましくはいずれの場合もシーラントとしての内側ポリマー層または外側ポリマー層あるいは両方によって達成される。
【0050】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、方法2によって方法2の実施形態1に従って得ることができる容器前駆体2の実施形態1によってなされる。
【0051】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、
A)容器前駆体1または2を、いずれの場合も上述の実施形態のいずれかに従って用意することと、
B)容器前駆体の底部領域を、複数の溝線のうちの溝線に沿ってシート状複合体を折り曲げることによって形成することと、
C)底部領域を閉鎖することと、
D)容器前駆体を食品または飲料品で満たすことと、
E)容器前駆体を上部領域において閉じることにより、閉じた容器を得ることと
を方法ステップとして含む方法3の実施形態1によってなされる。
【0052】
方法3は、好ましくは、閉じた容器の製造方法である。好ましい閉じた容器は、食品または飲料品容器である。方法ステップC)における閉鎖は、好ましくはシール、より好ましくは熱風シールを含む。方法ステップE)における閉鎖は、好ましくは、シール、より好ましくは超音波シールを含む。これに代え、あるいはこれに加えて、好ましくは、方法ステップE)におけるシールは、シーラントとしての内側ポリマー層によって達成される。さらに好ましくは、方法ステップE)において、屋根シームは、好ましくは屋根シームの第1の部分領域に隣接する屋根シーム領域を屋根シームの少なくとも1つのさらなる部分領域に隣接する屋根シーム領域に接触させて接合することによって形成される。方法ステップB)~E)は、好ましくは充てん機において実施される。方法ステップD)の前に、容器前駆体は、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは内部について滅菌される。
【0053】
本発明の実施形態2において、方法3は、方法3の実施形態1に従って構成され、方法ステップC)またはE)あるいは両方における閉鎖は、シート状複合体のシーム領域を接合することによって達成される。好ましい接合方法は、シールである。好ましくは、閉じた容器は、シート状複合体と一体に形成されていない蓋または底部あるいはいずれも含まない。好ましくは、この方法は、方法ステップA)およびB)の間に、容器前駆体を成形することを含み、好ましくは成形された容器前駆体を好ましくはマンドレルホイールのマンドレルへと配置することをさらに含む。好ましくは、方法ステップB)~E)は、充てん機において実施される。好ましい充てん機は、マンドレルホイールを含む。
【0054】
本発明の実施形態3において、方法3は、方法3の実施形態1または2に従って構成され、方法ステップB)における折り曲げの最中のシート状複合体の少なくとも一部は、10~50℃、好ましくは15~40℃、より好ましくは16~30℃、最も好ましくは18~25℃の範囲内の温度を有する。
【0055】
本発明の実施形態4において、方法3は、方法3の実施形態1~3のいずれかに従って構成され、方法ステップC)またはE)あるいは両方における閉鎖は、シールを含み、シールは、照射、高温固体との接触、機械的振動の誘発、および高温ガスとの接触からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせによって達成される。この場合、方法ステップE)におけるシール方法とは異なる上述の群からのシール方法を、方法ステップC)において使用してもよく、逆も同様である。しかしながら、同じシール方法を使用することも可能である。
【0056】
本発明の実施形態5において、方法3は、方法3の実施形態1~4のいずれかに従って構成され、この方法は、方法ステップF)をさらに含み、方法ステップF)において、閉じた容器の屋根領域が開封補助具に接合される。好ましくは、閉じた容器は、開封補助具がキャリア層の孔を覆うように、開封補助具に接合される。好ましい開封補助具は、例えば切断リングなどの切断ツールである。さらに好ましくは、開封補助具は蓋を含むことができる。
【0057】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、方法3によって方法3の実施形態1~5のいずれかに従って得ることができる閉じた容器2の実施形態1によってなされる。
【0058】
本発明の少なくとも1つの目的の達成への貢献は、いずれの場合も上述の実施形態のいずれかによるシート状複合体1または2あるいはいずれの場合も上述の実施形態のいずれかによる容器前駆体1または2の食品または飲料品容器を製造するための使用の実施形態1によってなされる。食品または飲料品容器は、好ましくは、シート状複合体の屋根領域に接合された開封補助具を含む。
【0059】
例えばシート状複合体1について、本発明の1つのカテゴリにおいて好ましいとして説明される特徴は、本発明のさらなるカテゴリの実施形態においても同様に好ましい。
溝線
【0060】
溝線は、シート状複合体の線状の折り曲げ補助部である。これは、好ましくは、例えば線状の材料の変位など、線状の凹部の形態をとる。ここで「線状」とは、好ましくは、凹部または材料の変位が、凹部または材料の変位の幅よりも少なくとも3倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍より大きい長さを有することを意味する。この場合、とくに断らない限り、溝線は、直線状または曲線状であってよく、あるいは直線状の部分と曲線状の部分とを有することができる。曲線状の溝線は、凸状の湾曲または凹状の湾曲あるいはそれぞれの部分を有することができる。溝線は、好ましくは、溝線に沿った折り目の形成に適する。ここで、溝線は、正確に配置されたきれいな折り目を得ることができる折り曲げの経路を示す。
長手方向、周方向
【0061】
長手方向は、シート状複合体から形成される容器前駆体または閉じた容器の底部領域から上部領域へと延びる。シート状複合体において、長手方向は、必須ではないが好ましくは容器前駆体または閉じた容器の長手方向のエッジを形成する長手方向の折り目を生み出すことができる長手方向の溝に好ましくは平行である。好ましくは、シート状複合体の長手方向は、シート状複合体から製造される閉じた容器の高さに沿って延びる方向である。周方向は、シート状複合体の複合体平面において、シート状複合体の長手方向に対して直角に延びる。したがって、シート状複合体から製造される容器前駆体または閉じた容器の周方向は、容器前駆体または閉じた容器の周囲に沿って延びる。
屋根領域
【0062】
シート状複合体から形成された閉じた容器は、容器が直立している場合、好ましくは横方向においてシェル領域によって境界付けられ、下方向において底部領域によって境界付けられ、上方向において屋根領域によって境界付けられる。ここで、シェル領域は、好ましくは底部領域を屋根領域に接続する。したがって、シート状複合体の屋根領域は、シート状複合体から製造される閉じた容器において、この閉じた容器が直立しているときにこの閉じた容器を上方向において境界付けるすべての領域の合計として形成される。これに関連して、シート状複合体のシーム領域は、好ましくは、通常は閉じた容器においてシート状複合体の追加の層を形成するがゆえに、屋根領域の一部を形成しない。屋根領域の部分領域は、好ましくは、シート状複合体から製造される閉じた容器の屋根領域を形成する溝線によって少なくとも部分的に境界付けられたシート状複合体の領域であり、上述のように、シーム領域は、好ましくはそのような部分領域とみなされない。ここで、シーム領域は、シート状複合体から閉じた容器を製造するために、閉じた容器の壁を形成するように意図されたシート状複合体の領域(壁領域)を互いに接合するシームを形成するように、さらなるシーム領域としてのシート状複合体のさらなる領域に接触して接合されるように意図されたシート状複合体の領域である。そのようなシームは、閉じた容器において、好ましくは、長手方向のシーム、本明細書において屋根シームとも呼ばれる上部領域を閉じる上部領域のシーム、および底部領域を閉じる底部領域のシームとして存在する。シームを製造すべく接合される2つのシーム領域が、最初にそれぞれの隣接する壁領域に対して典型的にはほぼ直角に折り曲げられ、次いでシーム領域の2つの内面が互いに接触させられて接合される場合、シームによって接合された2つの壁領域の間にフィンの様相で突出するシームが典型的に形成される。このようなシームは、フィンシームとも呼ばれる。フィンシームは、典型的には、突出が最小限になるように、閉じた容器において可能な限り平たく折り返され、容器の壁に接合される。屋根シームは、好ましくはフィンシームである。屋根シーム領域は、好ましくは、さらなる屋根シーム領域への接触および接合によって閉じた容器に屋根シームを形成するように意図されたシーム領域である。屋根シームは、屋根シームの少なくとも2つの部分領域が互いに接合されるシームである。長手方向のシームは、好ましくは、長手方向に延び、シート状複合体の第1の長手方向のエッジをさらなる長手方向のエッジに接続する。好ましくは、第1の長手方向のエッジを折り曲げてさらなる長手方向のエッジに接合することによって長手方向のシームを形成することにより、シート状複合体からシェル状の容器前駆体を得ることができる。長手方向のシームは、好ましくは、フィンシームの形態をとらない。代わりに、長手方向のシームにおいて、シーム領域の内面は、さらなるシーム領域の外面に接触させられて接合される。結果として、2つのシーム領域は、お互いに対して比較的平たく位置し、フィンのように突出することはない。
シート状複合体の各層
【0063】
2つの層は、相互の接着がファンデルワールス引力を超えるときに互いに接合される。互いに接合された層は、好ましくは、互いにシール、互いに接着、および互いに押し付け、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるカテゴリに属する。とくに断らない限り、層シーケンスにおいて、層同士は、互いに間接的に続くことができ、すなわち1つまたは少なくとも2つの中間層を有することができ、あるいは互いに直接的に続くことができ、すなわち中間層を有さなくてよい。これは、とくには或る層が別の層に重なるという表現形式に当てはまる。層シーケンスが列挙された層を含むという表現形式は、少なくとも指定された層が指定されたシーケンスに存在することを意味する。この表現形式は、必ずしもこれらの層が互いに直接続くことを意味しない。2つの層が互いに隣接するという表現形式は、これら2つの層が互いに直接続き、すなわち中間層を有さないことを意味する。しかしながら、この表現形式は、2つの層が互いに接合されているか否かを特定しない。代わりに、これら2つの層は、互いに接触していてもよい。
ポリマー層
【0064】
「ポリマー層」という用語は、以下では、とりわけ内側ポリマー層、外側ポリマー層、およびポリマー中間層を指す。ここで、ポリマー中間層は、キャリア層とバリア層との間のポリマー層を指す。好ましいポリマーは、ポリオレフィンである。ポリマー層は、さらなる成分を有し得る。ポリマー層は、好ましくは、押し出し法にてシート状複合体に導入または適用される。ポリマー層のさらなる成分は、好ましくは、層として塗布されるときのポリマー溶融物の挙動に悪影響を及ぼさない成分である。さらなる成分は、例えば、金属塩などの無機化合物、またはさらなる熱可塑性物質などのさらなるポリマーであってよい。しかしながら、さらなる成分がフィラーまたは顔料、例えばカーボンブラックまたは金属酸化物であることも考えられる。さらなる成分に適した熱可塑性物質として、とくには、良好な押し出し性によって容易に加工可能な熱可塑性物質が挙げられる。これらのうち、連鎖重合によって得られるポリマーが好適であり、とくにはポリエステルまたはポリオレフィンが好適であり、とりわけ環状オレフィンコポリマー(COC)または多環式オレフィンコポリマー(POC)、とくにはポリエチレンおよびポリプロピレン、とくにはポリエチレンがきわめて好ましい。ポリエチレンのなかでも、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、およびポリエチレン(PE)、ならびにこれらの少なくとも2つの組み合わせが好ましい。少なくとも2つの熱可塑性物質の混合物を使用することも可能である。好適なポリマー層は、1~25g/10分の範囲内、好ましくは2~20g/10分の範囲内、とくに好ましくは2.5~15g/10分の範囲内のメルトフローレート(MFR)を有し、0.890g/cm~0.980g/cmの範囲内、好ましくは0.895g/cm~0.975g/cmの範囲内、さらに好ましくは0.900g/cm~0.970g/cmの範囲内の密度を有する。ポリマー層は、好ましくは、80~155℃の範囲内、好ましくは90~145℃の範囲内、とくに好ましくは95~135℃の範囲内の少なくとも1つの溶融温度を有する。
内側ポリマー層
【0065】
内側ポリマー層に関する以下の詳細は、本発明のすべてのカテゴリの内側ポリマー層に当てはまる。内側ポリマー層は、熱可塑性ポリマーをベースとし、微粒子の無機固体を含んでもよい。しかしながら、内側ポリマー層は、それぞれの場合において内側ポリマー層の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の程度まで1つ以上の熱可塑性ポリマーを含むことが好ましい。好ましくは、内側ポリマー層のポリマーまたはポリマー混合物は、0.900~0.980g/cmの範囲内、とくに好ましくは0.900~0.960g/cmの範囲内、最も好ましくは0.900~0.940g/cmの範囲内の密度(ISO 1183-1:2004による)を有する。ポリマーは、好ましくは、ポリオレフィン、mポリマー、または両者の組み合わせである。内側ポリマー層は、好ましくは、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両方を含む。これに関連して、とくに好ましいポリエチレンは、LDPEである。好ましくは、内側ポリマー層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、または両方をそれぞれの場合において内側ポリマー層の総重量に基づいて少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の割合で含む。これに加え、あるいはこれに代えて、内側ポリマー層は、好ましくはHDPEを、それぞれの場合において内側ポリマー層の総重量に基づいて少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%の割合で含む。上述のポリマーのうちの1つ以上に加え、あるいはこれに代えて、内側ポリマー層は、好ましくは、メタロセン触媒によって調製されたポリマー、好ましくはmPEを含む。好ましくは、内側ポリマー層は、mPEを、それぞれの場合において内側ポリマー層の総重量に基づいて少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の割合で含む。この場合、内側ポリマー層は、例えば少なくともLDPEおよびmPEの部分、あるいは少なくともLDPEおよびHDPEの部分など、ポリマーブレンドにおいて上述のポリマーのうちの2つ以上、好ましくは2つまたは3つを含むことができる。加えて、内側ポリマー層は、好ましくは内側ポリマー層を形成する相互に重ねられた2つ以上、好ましくは3つのサブ層を含むことができる。サブ層は、好ましくは、共押し出しによって得られた層である。
【0066】
シート状複合体の好ましい構成において、内側ポリマー層は、シート状複合体の外面からシート状複合体の内面への方向に、第1のサブ層およびさらなるサブ層を含み、第1のサブ層は、いずれの場合も第1のサブ層の重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合のLDPEを含み、さらなるサブ層は、LDPEおよびmPEを含むブレンドを含み、ブレンドは、いずれの場合もブレンドの重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも65重量%の割合のLDPEと、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%の割合のmPEとを含む。この場合、さらなるサブ層は、好ましくはブレンドを、いずれの場合もさらなるサブ層の重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合で含む。より好ましくは、さらなるサブ層は、ブレンドからなる。
【0067】
シート状複合体のさらなる好ましい構成において、内側ポリマー層は、シート状複合体の外面からシート状複合体の内面への方向に、第1のサブ層、第2のサブ層、および第3のサブ層を含み、第1のサブ層は、いずれの場合も第1のサブ層の重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%の割合のHDPEと、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の割合のLDPEとを含み、第2のサブ層は、いずれの場合も第2のサブ層の重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合のLDPEを含み、第3のサブ層は、LDPEおよびmPEを含むブレンドを含み、ブレンドは、いずれの場合もブレンドの重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも65重量%の割合のLDPEと、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%の割合のmPEとを含む。この場合、第3のサブ層は、好ましくはブレンドを、いずれの場合も第3のサブ層の重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合で含む。より好ましくは、第3のサブ層は、ブレンドからなる。
外側ポリマー層
【0068】
外側ポリマー層に関する以下の詳細は、本発明のすべてのカテゴリの外側ポリマー層に当てはまる。外側ポリマー層は、好ましくは、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両方を含む。ここで、好ましいポリエチレンは、LDPEおよびHDPEならびにこれらの混合物である。好ましい外側ポリマー層は、いずれの場合も外側ポリマー層の重量に基づいて、少なくとも50重量%の程度まで、好ましくは少なくとも60重量%の程度まで、より好ましくは少なくとも70重量%の程度まで、さらにより好ましくは少なくとも80重量%の程度まで、最も好ましくは少なくとも90重量%の程度までLDPEを含む。
ポリマー中間層
【0069】
ポリマー中間層に関する以下の詳細は、本発明のすべてのカテゴリのポリマー中間層に当てはまる。ポリマー中間層は、好ましくは10~30μmの範囲内、より好ましくは12~28μmの範囲内の厚さを有する。ポリマー中間層は、好ましくは、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両方を含む。これに関連して、とくに好ましいポリエチレンは、LDPEである。好ましくは、ポリマー中間層は、ポリエチレンまたはポリプロピレンあるいは両方を、いずれの場合もポリマー中間層の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合で含む。これに加え、あるいはこれに代えて、ポリマー中間層は、好ましくはHDPEを、いずれの場合もポリマー中間層の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の割合で含む。これに関連して、ポリマー中間層は、好ましくはポリマーブレンド中に上述のポリマーを含む。
キャリア層
【0070】
使用されるキャリア層は、この目的のために当業者にとって好適であり、充てん状態の容器が自身の形状を基本的に保持するような程度まで容器に安定性を付与するために充分な強度および剛性を有する任意の材料であってよい。これは、とくには、本発明が寸法的に安定な容器の技術分野に関するため、キャリア層に必要な特徴である。この種の寸法的に安定な容器は、原則として、通常は薄いフィルムから製造されるパウチおよびバッグから区別されるべきである。いくつかのプラスチックと同様に、植物系繊維材料、とくにはパルプ、好ましくは石灰パルプ、漂白パルプ、および/または未漂白パルプが好ましく、紙および厚紙がとくに好ましい。したがって、好ましいキャリア層は、多数の繊維を含む。キャリア層の坪量は、好ましくは120~450g/mの範囲内であり、とくに好ましくは130~400g/mの範囲内であり、最も好ましくは150~380g/mの範囲内である。好ましい厚紙は、通常は単層または多層構造を有し、片面または両面が1つまたは2つ以上のカバー層でコーティングされていてもよい。加えて、好ましい厚紙は、厚紙の総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは2~15重量%、とくに好ましくは4~10重量%の残留水分含有量を有する。とくに好ましい厚紙は、多層構造を有する。さらに好ましくは、厚紙は、環境に面する表面に、「コーティングスリップ」として当業者に知られているカバー層の少なくとも1つの薄層、より好ましくは少なくとも2つの薄層を有する。さらに、好ましい厚紙は、100~360J/m、好ましくは120~350J/m、とくに好ましくは135~310J/mの範囲内のスコットボンド値(Tappi T403umによる)を有する。上述の範囲によれば、容器を高い完全性で、容易に、低い公差で折り曲げることができる複合体を提供することができる。
【0071】
キャリア層を、15°の曲げ角度においてISO 2493-2:2011による曲げ試験機で測定することができる曲げ抵抗によって特徴付けることができる。使用される曲げ試験機は、スウェーデンのLorentzen&WettreのL&W Bending Tester code 160である。キャリア層は、好ましくは、80~550mNの範囲内の第1の方向の曲げ抵抗を有する。多数の繊維を含むキャリア層の場合、第1の方向は、好ましくは繊維の配向の方向である。さらに、多数の繊維を含むキャリア層は、好ましくは、20~300mNの範囲内の第1の方向に垂直な第2の方向の曲げ抵抗を有する。上述の曲げ抵抗によれば、キャリア層は、とりわけ、充てん状態の容器が自身の形状を基本的に保持するような程度まで容器に安定性を付与するために充分な強度および剛性を有する。上述の測定装置で曲げ抵抗を測定するために使用されるサンプルは、38mmの幅および50mmのクランプ長を有する。キャリア層を有する好ましいシート状複合体は、100~700mNの範囲内の第1の方向の曲げ抵抗を有する。さらに好ましくは、上述のシート状複合体は、50~500mNの範囲内の第2の方向の曲げ抵抗を有する。上述の測定装置での測定に使用されるシート状複合体のサンプルは、やはり38mmの幅および50mmのクランプ長を有する。
バリア層
【0072】
使用されるバリア層は、この目的のために当業者にとって好適であり、とくには酸素に対して充分なバリア作用を有する任意の材料であってよい。バリア層は、好ましくは、
a.ポリマーバリア層、
b.金属層、
c.金属酸化物層、または
d.a~cのうちの少なくとも2つの組み合わせ
から選択される。
【0073】
バリア層が選択肢a.に従ってポリマーバリア層である場合、これは、この目的、とりわけ梱包容器に適した芳香およびガスに対するバリア性に関して当業者にとって既知の少なくとも1つのポリマーを、好ましくは少なくとも70重量%、とくに好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%含む。ここで、有用なポリマー、とくには熱可塑性材料として、単独でも、2つ以上の混合物でもよいが、NまたはO含有ポリマーが挙げられる。本発明によれば、ポリマーバリア層が、155~300℃の範囲内、好ましくは160~280℃の範囲内、とくに好ましくは170~270℃の範囲内の溶融温度を有すると、好都合であると判断できる。
【0074】
さらに好ましくは、ポリマーバリア層は、2~120g/mの範囲内、好ましくは3~60g/mの範囲内、とくに好ましくは4~40g/mの範囲内、さらに好ましくは6~30g/mの坪量を有する。さらに好ましくは、ポリマーバリア層を、例えば押し出し、とりわけ層状押し出しにより、溶融物から得ることができる。さらに好ましくは、ポリマーバリア層は、ラミネーションによってシート状複合体に導入されてもよい。これに関連して、フィルムがシート状複合体に組み込まれることが好ましい。別の実施形態においては、ポリマーの溶液または分散液からの堆積によって得ることができるポリマーバリア層を選択することも可能である。
【0075】
好適なポリマーとして、好ましくは、光散乱によるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって割り出される重量平均分子量が3×10~1×10g/モルの範囲内、好ましくは5×10~1×10g/モルの範囲内、とくに好ましくは6×10~1×10g/モルの範囲内であるポリマーが挙げられる。好適なポリマーとして、とくには、ポリアミド(PA)またはポリエチレンビニルアルコール(EVOH)あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
ポリアミドのうちで、有用なPAは、本発明による使用に関して当業者とって好適と思われるすべてのPAである。ここで、PA 6、PA 6.6、PA 6.10、PA 6.12、PA 11、またはPA 12、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの混合物がとくに言及されるべきであり、PA 6およびPA 6.6がとくに好ましく、PA 6がさらに好ましい。PA 6は、例えばAkulon(登録商標)、Durethan(登録商標)、およびUltramid(登録商標)の商品名で市販されている。さらには、例えばMXD6、Grivory(登録商標)、およびSelar(登録商標)PAなどの非晶質ポリアミドも好適である。PAは、1.01~1.40g/cmの範囲内、好ましくは1.05~1.30g/cmの範囲内、とくに好ましくは1.08~1.25g/cmの範囲内の密度を有することがさらに好ましい。PAは、130~250ml/gの範囲内、好ましくは140~220ml/gの範囲内の粘度数を有することがさらに好ましい。
【0077】
有用なEVOHとして、本発明による使用に関して当業者とって好適と思われるすべてのEVOHが挙げられる。これらのいくつかの例が、とりわけベルギーのEVAL Europe NVからEVAL(商標)という商品名で、例えばEVAL(商標)F104B型またはEVAL(商標)LR171B型などの多数の異なる変種にて市販されているEVOHである。好ましいEVOHは、以下の特性のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ以上、またはすべてを有する。
・20~60モル%、好ましくは25~45モル%の範囲内のエチレン含有量。
・1.0~1.4g/cm、好ましくは1.1~1.3g/cmの範囲内の密度。
・155~235℃、好ましくは165~225℃の範囲内の融点。
・1~25g/10分、好ましくは2~20g/10分の範囲内のMFR値(TS(EVOH)<230℃のとき210℃/2.16kg;210℃<TS(EVOH)<230℃のとき230℃/2.16kg)。
・0.05~3.2cm・20μm/(m・day・atm)の範囲内、好ましくは0.1~1cm・20μm/(m・day・atm)の範囲内の酸素透過率。
【0078】
好ましくは少なくとも1つのポリマー層、さらに好ましくは内側ポリマー層、または好ましくはすべてのポリマー層が、バリア層の溶融温度よりも低い溶融温度を有する。これは、バリア層がポリマーから形成される場合にとくに当てはまる。ここで、少なくとも1つのポリマー層、とくには内側ポリマー層の溶融温度と、バリア層の溶融温度とは、好ましくは少なくとも1K、とくに好ましくは少なくとも10K、さらにより好ましくは少なくとも50K、さらにより好ましくは少なくとも100K異なる。この温度差を、好ましくは、折り曲げの際にバリア層の溶融が存在せず、とくにはポリマーバリア層の溶融が存在しないような量にすぎないように選択すべきである。
【0079】
選択肢b.によれば、バリア層は金属層である。好適な金属層は、原則として、当業者に知られており、高い光不透過性および酸素不透過性をもたらすことができる金属を含むすべての層である。好ましい実施形態において、金属層は、箔または例えば物理気相蒸着後の堆積層の形態をとることができる。金属層は、好ましくは連続層である。さらに好ましい実施形態において、金属層は、3~20μmの範囲内、好ましくは3.5~12μmの範囲内、とくに好ましくは4~10μmの範囲内の厚さを有する。
【0080】
好ましく選択される金属は、アルミニウム、鉄、または銅である。好ましい鉄層は、例えば箔の形態の鋼層であってよい。さらに好ましくは、金属層は、アルミニウムを含む層である。アルミニウム層は、例えば、AlFeMn、AlFe1.5Mn、AlFeSi、またはAlFeSiMnなど、アルミニウム合金から適切に構成されてよい。純度は、典型的には、それぞれの場合にアルミニウム層全体に基づいて97.5%以上、好ましくは98.5%以上である。特定の構成において、金属層は、アルミニウム箔で構成される。好適なアルミニウム箔は、1%超、好ましくは1.3%超、とくに好ましくは1.5%超の延性を有し、30N/mm超、好ましくは40N/mm超、とくに好ましくは50N/mm超の引っ張り強度を有する。好適なアルミニウム箔は、ピペット試験において、3mm超、好ましくは4mm超、とくに好ましくは5mm超の液滴サイズを示す。アルミニウム層または箔の製造に適した合金が、Hydro Aluminium Deutschland GmbHまたはAmcor Flexibles Singen GmbHからEN AW 1200、EN AW 8079、またはEN AW 8111という名称で市販されている。バリア層としての金属箔の場合、金属箔と金属箔の片面および/または両面の最も近いポリマー層との間に接着促進層を設けることが可能である。
【0081】
さらに好ましくは、選択肢c.に従って選択されるバリア層は、金属酸化物層であってよい。有用な金属酸化物層として、光、蒸気、および/またはガスに対するバリア効果の達成に関して当業者にとってよく知られた好適であると思われるすべての金属酸化物層が挙げられる。すでに上述した金属、アルミニウム、鉄、または銅に基づく金属酸化物層、ならびに酸化チタンまたは酸化ケイ素化合物に基づく金属酸化物層が、とくに好ましい。金属酸化物層は、一例として、例えば配向ポリプロピレンフィルムなどのポリマー層への金属酸化物の蒸着によって製造される。この目的に関して好ましいプロセスは、物理気相蒸着である。
【0082】
さらなる好ましい実施形態において、金属層または金属酸化物層は、金属層を有する1つ以上のポリマー層で構成された層複合体の形態をとることができる。このような層を、例えば、例えば配向ポリプロピレンフィルムなどのポリマー層への金属の蒸着によって得ることができる。この目的に関して好ましいプロセスは、物理気相蒸着である。
外面
【0083】
シート状複合体の外面は、シート状複合体から製造される容器において容器の環境と接するように意図されたシート状複合体の層の表面である。これは、容器の個々の領域において、複合体の種々の領域の外面が折り曲げられて互いに重なり、あるいは互いに接合され、例えば互いにシールされることを妨げない。
内面
【0084】
シート状複合体の内面は、シート状複合体から製造される容器において容器の中身、好ましくは食品または飲料品と接するように意図されたシート状複合体の層の表面である。
接着/接着促進層
【0085】
接着促進層が、互いに直接的には隣接していない層の間に存在でき、好ましくはバリア層と内側ポリマー層との間に存在できる。この接着促進層は、本明細書において第1の接着促進層とも呼ばれる。接着促進層における有用な接着促進剤として、適切な官能基による官能化を通じ、あるいはそれぞれの隣接層の表面とのイオン結合または共有結合の形成を通じて強固な結合を生成するために適したすべてのポリマーが挙げられる。好ましくは、これらは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、などのアクリル酸、アクリレート、アクリレート誘導体、または無水マレイン酸などの二重結合を有するカルボン酸無水物、あるいはこれらのうちの少なくとも2つとエチレンとの共重合によって得られた官能性ポリオレフィン、とくにはアクリル酸コポリマーを含む。これらのうち、例えばDuPontによってBynel(登録商標)およびNucrel(登録商標)0609HSAという商品名で販売され、あるいはExxonMobil ChemicalsによってEscor(登録商標)6000ExCoという商品名で販売されているポリエチレン-無水マレイン酸グラフトポリマー(EMAH)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、またはエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)が好ましい。
【0086】
さらに好ましくは、有用な接着促進剤として、エチレン-アルキルアクリレートコポリマーも挙げられる。選択されるアルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、i-ブチル、またはペンチル基である。さらに好ましくは、接着促進層は、2つ以上の異なるエチレン-アルキルアクリレートコポリマーの混合物を含むことができる。やはり好ましくは、エチレン-アルキルアクリレートコポリマーは、例えばメチルアクリレート単位およびエチルアクリレート単位の両方が同じコポリマーに現れるエチレン-アルキルアクリレートコポリマーなど、アクリレート官能基に2つ以上の異なるアルキル基を有してもよい。
【0087】
本発明によれば、キャリア層、ポリマー層、またはバリア層と次の層との間の接着は、各々の場合において、少なくとも0.5N/15mm、好ましくは少なくとも0.7N/15mm、とくに好ましくは少なくとも0.8N/15mmであることが好ましい。本発明による一構成において、ポリマー層とキャリア層との間の接着は、少なくとも0.3N/15mm、好ましくは少なくとも0.5N/15mm、とくに好ましくは少なくとも0.7N/15mmであることが好ましい。さらには、バリア層とポリマー層との間の接着は、少なくとも0.8N/15mm、好ましくは少なくとも1.0N/15mm、とくに好ましくは少なくとも1.4N/15mmであることが好ましい。バリア層が接着促進層を介してポリマー層に間接的に続く場合、バリア層と接着促進層との間の接着は、少なくとも1.8N/15mm、好ましくは少なくとも2.2N/15mm、とくに好ましくは少なくとも2.8N/15mmであることが好ましい。特定の構成においては、個々の層の間の接着が、接着試験においてキャリア層が引き裂かれるように充分に強力であり、これは、キャリア層が厚紙の場合に厚紙繊維の破れと呼ばれる。
ポリオレフィン
【0088】
好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)あるいは両方である。好ましいポリエチレンは、LDPE、LLDPE、およびHDPEからなる群から選択される1つであり、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせである。さらなる好ましいポリオレフィンは、mポリオレフィン(メタロセン触媒によって調製されたポリオレフィン)である。好適なポリエチレンは、1~25g/10分の範囲内、好ましくは2~20g/10分の範囲内、とくに好ましくは2.5~15g/10分の範囲内のメルトフローレート(MFR=MFI-メルトフローインデックス)を有し、0.910g/cm~0.935g/cmの範囲内、好ましくは0.912g/cm~0.932g/cmの範囲内、さらに好ましくは0.915g/cm~0.930g/cmの範囲内の密度を有する。
mポリマー
【0089】
mポリマーは、メタロセン触媒によって調製されたポリマーである。メタロセンは、中心金属原子が例えばシクロペンタジエニル配位子などの2つの有機配位子の間に配置されている有機金属化合物である。好ましいmポリマーは、mポリオレフィンであり、好ましくはmポリエチレンまたはmポリプロピレンあるいは両方である。好ましいmポリエチレンは、mLDPE、mLLDPE、およびmHDPEからなる群から選択される1つであり、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせである。
溶融温度
【0090】
好ましいmポリオレフィンは、少なくとも1つの第1の溶融温度と、第2の溶融温度とを特徴とする。好ましくは、mポリオレフィンは、第1および第2の溶融温度に加えて、第3の溶融温度を特徴とする。好ましい第1の溶融温度は、84~108℃、好ましくは89~103℃、より好ましくは94~98℃の範囲内である。好ましいさらなる溶融温度は、100~124℃、好ましくは105~119℃、より好ましくは110~114℃の範囲内である。
押し出し
【0091】
押し出しにおいて、ポリマーは、典型的には、押し出し機用ダイからの出口の直下の溶融ポリマーフィルムにおいて測定される210~350℃の温度に加熱される。押し出しは、例えば押し出し機、押し出しスクリュ、フィードブロックなど、当業者にとって知られた市販の押し出しツールによって達成することができる。押し出し機の端部には、好ましくは、ポリマー溶融物が押し込まれる開口部が存在する。開口部は、ポリマー溶融物の押し出しを可能にする任意の形状を有することができる。例えば、開口部は、角形、長円形、または円形であってよい。開口部は、好ましくは、漏斗のスロットの形態である。ひとたび溶融層が上述の方法によって基材層に適用されると、溶融層は、熱硬化の目的で冷却され、この冷却は、好ましくは、5~50℃の範囲内、とくに好ましくは10~30℃の範囲内の温度に保たれる表面との接触による急冷によって達成される。その後に、少なくとも側面が表面から分離される。分離は、側面を迅速に可能な限り正確かつきれいに分離するために、当業者にとってよく知られた、好適であると思われる任意の方法で実行することができる。好ましくは、分離は、ナイフ、レーザビーム、またはウォータージェット、あるいはこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって達成され、ナイフ、とりわけ円形ナイフの使用がとくに好ましい。
ラミネーション
【0092】
本発明によれば、キャリア層にラミネーションによってバリア層を重ねることができる。この場合、事前に作成されたキャリア層およびバリア層が、適切なラミネート剤を使用して接合される。好ましいラミネート剤は、ポリマー中間層を好ましく得ることができる中間ポリマー組成物を含む。加えて、好ましいラミネート剤は、好ましくは、さらなる接着促進層を得ることができるさらなる接着促進剤組成物を含む。この場合、中間ポリマー組成物またはさらなる接着促進剤組成物あるいは両方は、好ましくは押し出しによって適用され、より好ましくは共押し出しによって適用される。
シート状複合体の折り曲げ
【0093】
シート状複合体は、好ましくは、10~50℃の範囲内、好ましくは15~45℃の範囲内、とくに好ましくは20~40℃の範囲内の温度で折り曲げられる。これは、シート状複合体が上述の範囲内の温度にあることで達成できる。また、折り曲げツールは、好ましくはシート状複合体と一緒に、上述の範囲内の温度にあることが好ましい。この目的のために、折り曲げツールは、好ましくは加熱手段を有さない。むしろ、折り曲げツールまたはシート状複合体あるいは両方を、冷却してもよい。また、折り曲げが「冷間折り曲げ」として最大で50℃の温度で行われ、接合が「熱間シール」として50℃超、好ましくは80℃超、とくに好ましくは120℃超で行われることが好ましい。上述の条件、とりわけ温度は、好ましくは例えば折り曲げツールのハウジング内などの折り曲げの環境にも当てはまる。
【0094】
ここで、「折り曲げ」は、本発明によれば、好ましくは折り曲げツールの折り曲げエッジによって、折り曲げられたシート状複合体に、角度を形成する細長い折り目が作られる作業を意味すると理解される。この目的のために、多くの場合、シート状複合体の2つの隣同士の面が、お互いに向かって次第に曲げられる。折り曲げにより、容器領域を形成すべく少なくともサブ領域において接合できる少なくとも2つの隣り合う折り曲げられた面が生じる。本発明によれば、接合を、当業者にとって適切であると思われ、気体および液体をできる限り漏らさない接合を可能にする任意の手段によって実行することができる。接合を、シールまたは接着あるいはこれら2つの手段の組み合わせによって実行することができる。シールの場合、接合は、液体およびその固化によって生み出される。接着の場合、化学結合が接合される2つの物品の界面または表面の間に形成され、接合を生み出す。シールまたは接着の場合に、シールまたは接着される面を互いにプレスすることが多くの場合に有利である。
接合
【0095】
有用な接合方法は、本発明の使用に関して当業者にとって好適であると思われ、充分に強固な接合を得ることができるあらゆる接合方法である。好ましい接合方法は、シール、接着、およびプレスからなる群から選択されるいずれかであり、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせである。シールの場合、接合は、液体およびその固化によって生み出される。接着の場合、化学結合が接合される2つの物品の界面または表面の間に形成され、接合を生み出す。シールまたは接着の場合に、シールまたは接着される面を互いにプレスすることが多くの場合に有利である。2つの層をプレスする好ましい方法は、2つの層のうちの第1の層の第1の表面を、2つの層のうちの第2の層の第1の表面に面する第2の表面へと、第1の表面の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%にわたって圧縮することである。とくに好ましい接合方法は、シールである。好ましいシール方法は、工程として、加熱、互いの重ね合わせ、およびプレスを含み、これらの工程は、好ましくはこのシーケンスで実行される。別のシーケンス、とりわけ互いの重ね合わせ、加熱、およびプレスというシーケンスも同様に考えられる。好ましい加熱方法は、ポリマー層、好ましくは熱可塑性層、より好ましくはポリエチレン層またはポリプロピレン層あるいは両方の加熱である。さらなる好ましい加熱方法は、ポリエチレン層を80~140℃、より好ましくは90~130℃、最も好ましくは100~120℃の範囲内の温度に加熱することである。さらなる好ましい加熱方法は、ポリプロピレン層を120~200℃、より好ましくは130~180℃、最も好ましくは140~170℃の範囲内の温度に加熱することである。さらなる好ましい加熱方法は、ポリマー層のシール温度へと達成される。好ましい加熱方法を、放射によって達成でき、高温ガスによって達成でき、高温固体との接触によって達成でき、機械的振動によって達成でき、好ましくは超音波によって達成でき、対流によって達成でき、あるいはこれらの手段のうちの少なくとも2つの組み合わせによって達成することができる。とくに好ましい加熱方法は、超音波振動の誘発によって達成される。
照射
【0096】
照射の場合、存在するポリマー層のプラスチックの軟化に関して当業者にとって好適な任意の種類の放射線が有用である。放射線の好ましい種類は、IR線およびUV線ならびにマイクロ波である。シート状複合体のIR溶接にも使用されるIR線の場合、0.7~5μmの波長範囲に言及すべきである。さらに、0.6~1.6μm未満の波長範囲のレーザビームを使用することが可能である。IR線の使用に関して、これらは、当業者に知られた種々の適切な発生源によって生成される。1~1.6μmの範囲の短波放射源は、好ましくはハロゲン源である。1.6超~3.5μmの範囲の中波放射源は、例えば金属箔源である。多くの場合に使用される3.5μmを超える範囲の長波放射源は、石英源である。レーザは、ますます頻繁に使用されている。例えば、0.8~1μmの波長範囲のダイオードレーザ、約1μmのNd:YAGレーザ、および約10.6μmのCOレーザが使用されている。多くの場合に0.1~100kWの電力範囲の10~45MHzの周波数範囲の高周波技術も、使用されている。
超音波
【0097】
超音波の場合、以下の処理パラメータが好ましい。
P1 5~100kHzの範囲内、好ましくは10~50kHzの範囲内、とくに好ましくは15~40kHzの範囲内の周波数。
P2 2~100μmの範囲内、好ましくは5~70μmの範囲内、とくに好ましくは10~50μmの範囲内の振幅。
P3 50~1000msの範囲内、好ましくは100~600msの範囲内、とくに好ましくは150~300msの範囲内の振動時間(ソノトロードまたはインダクタなどの振動体がシート状複合体に接触振動効果を及ぼす時間)。
【0098】
放射線および振動条件の好適な選択においては、プラスチックの固有の共振を考慮し、これらに近い周波数を選択することが有利である。
固体との接触
【0099】
固体との接触による加熱を、例えばシート状複合体に直接接触してシート状複合体へと熱を放出する加熱プレートまたは加熱金型によって達成することができる。
高温ガス
【0100】
高温ガス、好ましくは高温空気を、適切なブロア、出口開口部、またはノズル、あるいはこれらの組み合わせによって、シート状複合体へと導くことができる。多くの場合に、接触加熱と高温ガスとが同時に使用される。例えば、高温ガスの流れが通過し、結果として加熱され、適切な開口部を通って高温ガスを放出するシート状複合体から形成された管のための保持装置が、シート状複合体を保持装置の壁との接触および高温ガスによって加熱することができる。さらに、管を管ホルダで固定し、管ホルダに設けられた1つまたは2つ以上の高温ガスノズルから管の加熱対象の領域へと流れを導くことによって、管を加熱することもできる。
食品または飲料品
【0101】
このシート状複合体および容器前駆体は、好ましくは、食品または飲料品容器の製造用として設計される。さらに、本発明による閉じた容器は、好ましくは食品または飲料品容器である。食品および飲料品として、人間による消費用および動物の飼料用として当業者に知られているあらゆる種類の食品および飲料が挙げられる。好ましい食品および飲料品は、例えば乳製品、スープ、ソース、非炭酸飲料など、5℃を上回る液体である。
着色剤
【0102】
有用な着色剤として、当業者に知られており、本発明に適している固体および液体の両方の着色剤が挙げられる。DIN 55943:2001-10によれば、着色剤は、すべての着色物質、とくには染料および顔料の総称である。好ましい着色剤は、顔料である。好ましい顔料は、有機顔料である。本発明に関連して注目すべき顔料は、とくにはDIN 55943:2001-10において述べられている顔料および「産業有機顔料、第3版(Industrial Organic Pigments,Third Edition)」(Willy Herbst,Klaus Hunger Copyright(著作権)2004 WILEY-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim ISBN:3-527-30576-9)において述べられている顔料である。顔料は、好ましくは塗布媒体に溶解しない着色剤である。染料は、好ましくは塗布媒体に溶解する着色剤である。
容器前駆体
【0103】
容器前駆体は、閉じた容器の製造過程において生じる閉じた容器の前駆体です。これに関連して、容器前駆体は、必ずしもではないが好ましくはブランクの形態のシート状複合体を含む。これに関連して、シート状複合体は、展開された状態または折り曲げられた状態であってよい。好ましい容器前駆体は、所定のサイズに切断されており、単一の閉じた容器を生じるように設計されている。所定のサイズに切断され、単一の閉じた容器を生じるように設計された好ましい容器前駆体は、シェルまたはスリーブとも呼ばれる。この文脈において、シェルまたはスリーブは、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも4つの長手方向の折り目を有する折り曲げられた形態のシート状複合体を含む。さらに、容器前駆体は、好ましくは、角柱の外殻の形態をとる。好ましい角柱は、直方体である。さらに、シェルまたはスリーブは、長手方向のシームを備え、上部領域および底部領域において開いている。所定のサイズに切断され、複数の閉じた容器を生じるように設計された典型的な容器前駆体は、チューブと呼ばれることが多い。
【0104】
さらなる好ましい容器前駆体は、好ましくは上部領域または底部領域において開いており、より好ましくは両方において開いている。好ましい容器前駆体は、シェルまたはチューブあるいは両方の形態である。さらなる好ましい容器前駆体は、シート状複合体が少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回、より好ましくは少なくとも3回、最も好ましくは少なくとも4回折り曲げられているようなやり方で、シート状複合体を含む。好ましい容器前駆体は、一体の形態である。より好ましくは、容器前駆体の底部領域が、容器前駆体の側面領域と一体の設計である。
容器
【0105】
本発明による閉じた容器は、多数の異なる形態を有することができるが、基本的には直方体構造が好ましい。しかしながら、ここで、幾何学的な直方体から出発して、本発明による容器は、本発明による少なくとも部分的に凸状の湾曲を有する溝線による丸みを帯びたエッジを有する少なくとも1つの底部を有する。閉じた容器に関して、これは、好ましくは、少なくとも1つの丸みを帯びた長手方向のエッジ、好ましくは少なくとも2つの丸みを帯びた長手方向のエッジをもたらす。これらの丸みを帯びた長手方向のエッジは、鋭い折り線の形態をとるのではなく、むしろシート状複合体を折り曲げないシート状複合体における曲線の形態をとる。したがって、曲線は、シート状複合体が対応する丸みを帯びた長手方向のエッジに沿って折れ曲がることがないような充分に大きい曲率半径を有する。加えて、容器の全領域が、シート状複合体から形成されてよく、あるいは2つの部分または複数の部分からなる構成を有してもよい。複数の部分からなる構成の場合、シート状複合体と同様に、とりわけ容器の上部または底部領域に使用することができるプラスチックなどの他の材料も使用されると考えられる。しかしながら、この文脈において、容器は、領域の少なくとも50%の程度まで、とくに好ましくは少なくとも70%の程度まで、さらに好ましくは少なくとも90%の程度までシート状複合体から形成されることが好ましい。さらに、容器は、中身を空にするための装置を有することができる。これを、例えば、ポリマーまたはポリマーの混合物から形成し、容器の外面に取り付けることができる。この装置が「直接射出成形」によって容器に一体化させられている状況も考えられる。好ましい構成において、本発明による容器は、少なくとも1つのエッジ、好ましくは4~22個以上のエッジ、とくに好ましくは7~12個のエッジを有する。本発明の文脈におけるエッジは、表面の折り曲げまたは曲げにおいて生じる領域を意味すると理解される。エッジの例として、本明細書において長手方向のエッジとも呼ばれるそれぞれの場合の容器の2つの壁表面の間の長手方向の接触領域が挙げられる。容器において、容器の壁は、好ましくは、エッジによって囲まれた容器の表面である。好ましくは、本発明による閉じた容器は、内部を少なくとも部分的に取り囲み、好ましくは完全に取り囲む。好ましくは、本発明による閉じた容器の内部は、食品または飲料品を含む。好ましくは、閉じた容器は、シート状複合体と一体に形成されていない蓋または底部あるいはいずれも含まない。好ましい閉じた容器は、食品または飲料品を含む。
【0106】
好ましい実施形態によるキャリア層に設けられる少なくとも1つの孔は、種々の閉鎖具または飲用ストローに適する当業者に知られた任意の形状を有することができる。孔は、多くの場合に、平面図において丸みを帯びた部分を有する。したがって、孔は、本質的に円形、長円形、楕円形、または液滴形であってよい。キャリア層の少なくとも1つの孔の形状は、通常は、開口部の形状も予め決定し、そのような開口部は、開封後に容器から容器の中身を送出するための容器に接合された開放可能な閉鎖具、または容器の飲用ストローのいずれかによって生み出される。結果として、開いた容器の開口部は、多くの場合、キャリア層の少なくとも1つの孔と同等または同一の形状を有する。単一の孔を有するシート状複合体の構成は、主に、シート状複合体から製造される容器の内部に位置する食品または飲料品を取り出す役に立つ。とくには食品または飲料品を取り出す際に容器へと空気を導くために、さらなる孔を設けることができる。
【0107】
キャリア層の少なくとも1つの孔をカバーする状況において、孔カバー層は、好ましくは少なくとも1つの孔によって形成される領域の少なくとも30%、好ましくは少なくとも70%、とくに好ましくは少なくとも90%の程度まで、互いに少なくとも部分的に接合されることが好ましい。また、孔カバー層は、孔の全領域に広がる接合部の気密性の改善を達成するために、少なくとも1つの孔のエッジにおいて互いに接合され、好ましくは接合されたやり方でエッジに対して位置することが好ましい。孔カバー層は、多くの場合、キャリア層の少なくとも1つの孔によって形成される領域を覆って互いに接合される。これは、複合体から形成された容器の良好な気密性につながり、結果として容器に保存された食品または飲料品の望ましい長い貯蔵寿命につながる。
開口部/開封補助具
【0108】
容器の開口部は、通常は、少なくとも1つの孔を覆う孔カバー層を少なくとも部分的に破壊することによってもたらされる。この破壊を、切断、容器への押し込み、または容器からの引き出しによって達成することができる。破壊を、容器に接合され、少なくとも1つの孔の領域において通常は少なくとも1つの孔の上方に配置された開封補助具によって、例えば孔カバー層を通って押し込まれる飲用ストローによっても達成することができる。また、本発明による構成において、少なくとも1つの孔の領域に開封補助具が設けられることが好ましい。ここで、開封補助具は、容器の外面を呈する複合体の表面領域に設けられることが好ましい。さらに、容器は、好ましくは容器の外面に蓋などの閉鎖具を備える。この場合、閉鎖具が少なくとも部分的に、好ましくは完全に孔を覆うことが好ましい。結果として、閉鎖具は、少なくとも1つの孔の外側の領域と比較して堅牢性の低い孔カバー層を、損傷を引き起こす機械的影響から保護する。少なくとも1つの孔を覆う孔カバー層を開封するために、閉鎖具は、多くの場合に開封補助具を備える。そのような開封補助具として、例えば、孔カバー層の少なくとも一部を切り離すためのフック、孔カバー層へと切り込まれるエッジまたは刃先、孔カバー層を穿刺するためのスパイク、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせが好適である。これらの開封補助具は、多くの場合、ねじ蓋または閉鎖具のキャップに例えばヒンジを介して機械的に結合しており、したがって開封補助具は、ねじ蓋またはキャップが操作されたときに閉じた容器を開くように孔カバー層に作用する。孔を覆う複合体層と、この孔を覆い、開封補助具を有している開封可能な閉鎖具とを含むこの種の閉鎖システムは、専門家の文献において、「適用付属品」を備えた「保護付き孔」と呼ばれることもある。好ましい開封補助具は、切断ツール、穿刺ツール、および好ましくは線形な意図された破壊部位と引き裂きタブとを含む引き裂き閉鎖具からなる群から選択される1つ、あるいはこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせを備える。
試験方法
【0109】
以下の試験方法を、本発明の文脈において使用した。とくに断らない限り、23℃の周囲温度、100kPa(0.986atm)の周囲気圧、および50%の相対空気湿度で測定を行った。
MFR
【0110】
MFRは、ISO 1133規格に従って(とくに明記されない限り、190℃および2.16kgで)測定される。
密度
【0111】
密度は、ISO 1183-1規格に従って測定される。
溶融温度
【0112】
溶融温度は、ISO 11357-1、-5のDSC法に基づいて決定される。機器は、以下の測定に基づいて、製造元の指示に従って較正される。
・インジウムの温度-開始温度
・インジウムの融解熱
・亜鉛の温度-開始温度
酸素透過率
【0113】
酸素透過率は、ASTM D3985-05(2010)規格に従って決定される。検査対象のサンプルは、とくに明記されない限り、ラミネートの溝がなくかつ折り曲げられていない領域から採取される。さらに、検査対象のサンプルは、ラミネートの外向きの面がテストガスに面するようにして試験される。サンプルの面積は50cmである。測定は、23℃の周囲温度、100kPa(0.986atm)の周囲気圧、および50%の相対空気湿度で行われる。試験機器は、ドイツのノイヴィートにあるMoconのOx-Tran 2/22である。測定は、圧縮空気補正なしで行われる。測定には、周囲温度のサンプルが使用される。測定に影響するさらなる設定および因子、とりわけASTM D3985-05(2010)の項目16に挙げられているその他は、使用される機器、ならびに製造元のハンドブックによる機器の適切な使用およびメンテナンスによって定められる。
層厚さ
【0114】
0.5cmの面積を有する試料の層厚さを、走査型電子顕微鏡(SEM)によって決定した。この目的のために、決定すべき層構造の断面を、ブレード(Leica Microtome Blades 819)によって手動で行った。断面に金をスパッタリング(Watford(UK)のCressington Scientific Instruments Ltd.のCressington 108auto)し、次いで高真空(p<7.0・10-5Pa)下でSEM(Quanta 450、FEI Deutschland GmbH、Frankfurt)によって分析した。個々の層の層厚さを、ドイツのFrankfurtのFEI Companyの「xT Microscope Control」というソフトウェア(バージョン6.2.11.3381)で確認した。
PAの粘度数
【0115】
PAの粘度数は、DIN EN ISO 307(2013)規格に従って95%の硫酸中で測定される。
分子量分布
【0116】
分子量分布は、光散乱によるゲル浸透クロマトグラフィによって測定される:ISO 16014-3/-5(2009-09)。
厚紙の水分含有量
【0117】
厚紙の水分含有量は、ISO 287:2009規格に従って測定される。
接着
【0118】
2つの隣接する層の接着は、それらをInstronの「German rotating wheel fixture」などの90度剥離試験機器において測定中に40mm/分で回転する回転ローラ上に固定することによって決定される。サンプルは、事前に幅15mmのストリップに切断されている。サンプルの一方側において、薄層が互いに分離され、分離された端部が、垂直上方に向けられた引張装置に固定される。張力を割り出すための測定機器が、引張装置に取り付けられている。ローラが回転するとき、薄層を互いに分離させるために必要な力が測定される。この力が、層同士の接着に相当し、N/15mmという単位にて報告される。個々の層の分離を、例えば機械的に達成することができ、あるいは制御された前処理によって達成することができ、例えばサンプルを30%の酢酸に60℃で3分間浸すことによって達成することができる。
着色剤の検出
【0119】
有機着色剤の検出を、「産業有機顔料、第3版(Industrial Organic Pigments、Third Edition)」(Willy Herbst,Klaus Hunger Copyright(著作権)2004 WILEY-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim ISBN:3-527-30576-9)に記載されている方法に従って実施することができる。
開封補助具の接着
【0120】
容器への開封補助具の接着を決定するために使用される測定装置(図12を参照)は、図10および図11に示されるとおりの引き抜き装置を有するドイツのメルブッシュのAmetekからの電子式Chatillon DFIS 50ポータブル測定器である。ここで、引き抜き装置は、一端にクランプリングを有している2つの関節ジョイントを有するアームであり、クランプリングが開封補助具をInbusねじでクランプリングに固定することによって受け入れることができる。
【0121】
測定を実行するために、引き抜き装置が、一端において測定ユニットに固定され、他端においてクランプリングによって試験対象の開封補助具に固定され、位置合わせされる。この目的のために、開封補助具は、図11に示されるようにInbusねじでクランプリングに固定される。次いで、容器は、開封補助具が引き抜き装置によって引っ張られるときに所定の位置に留まるように、図12に見られるように固定ユニットによって固定される。測定のために、試験装置の空気圧シリンダが垂直上昇運動を開始させ、これが試験装置の引き抜き装置によって回転上昇運動に変換される。測定のために、開封補助具が容器から引きはがされ、あるいは例えば厚紙繊維が引き裂かれることによってラミネートが破れるまで、開封補助具を引っ張る力が徐々に充分に増やされる。開封補助具がラミネートから分離するのではなく、むしろラミネートが裂ける場合、これは最適な結果であると考えられる。そのようでない場合、開封補助具がラミネートから分離したときに最後に加えられていた力が、個々の容器の接着測定の結果であると考えられる。この力が大きいほど、結果は好都合である。すべての測定について、同じように固定された開封補助具を備えた10個の同一の容器が測定され、算術平均が測定の全体的な結果として形成される。
【0122】
以下で、本発明を、実施例および図面によってさらに詳しく説明するが、実施例および図面は、決して本発明を限定するものではない。また、とくに明記されない限り、図面は縮尺通りではない。
ラミネート構造
【0123】
実施例(本発明)および比較例(本発明ではない)について、以下の表1に記載の層構造および層シーケンスを有するラミネートの各々を、層押し出し法によって調製した。
【0124】
ラミネートおよび容器の製造
【0125】
ラミネートを、Davis Standardの押し出しコーティングシステムで製造した。ここで、押し出し温度は約280~330℃の範囲内であった。±6℃の温度偏差は、通常の許容範囲内である。±3g/mの坪量偏差は、通常の許容範囲内である。第1のステップにおいて、外側ポリマー層をキャリア層に適用した。第2のステップにおいて、事前に外側ポリマー層でコーティングされたキャリア層に、ポリマー中間層をバリア層とともに適用した。最後のステップにおいて、内側ポリマー層をバリア層へと適用した。個々の層を適用するために、ポリマーまたはポリマーブレンドを押し出し機において溶融させた。1つのポリマーまたはポリマーブレンドを層にて適用する場合には、得られた溶融物をフィードブロックを介してノズルへと移し、キャリア層へと押し出した。2つ以上のポリマーまたはポリマーブレンドを層にて適用する場合には、得られた溶融物をフィードブロックによって組み合わせ、その後にキャリア層へと共押し出しした。
【0126】
図1に従って上述のようにして得たラミネートの外面に、溝を導入した。この場合に、図1に示す溝パターンを、ラミネートから製造される各々の容器に関してラミネートに導入した。この場合に、さまざまな実施例および比較例について、第1の長さL、第2の長さL、第3の長さL、およびキャリア層の孔のサイズ、すなわちさらなる表面積を、表2に記載の値が得られるように変化させた。さらに、溝を導入したラミネートを、上述の孔のうちの1つと図1による溝パターンのうちの1つとをそれぞれ含む個々の容器のためのブランクに分割した。各々のブランクを4つの長手方向の溝に沿って折り曲げ、重なり合う折り曲げ面をシールすることによって、図2および図3に示されるとおりの容器前駆体を各々の場合において得た。この容器前駆体は、シェルとも呼ばれる。
【0127】
このシェルを使用して、LinnichのSIG CombiblocのCFA 712標準充てん機において、図5に示される形状の閉じた容器を製造した。これは、折り曲げおよび熱シールによる閉鎖による底部領域の作成を含む。これにより、上部が開いているビーカーが得られた。このビーカーを、過酸化水素で滅菌した。さらに、ビーカーを水で満たした。折り曲げおよび超音波シールにより、孔を含むビーカーの上部領域を閉じることで、閉じた容器を得た。欧州特許第1812298号明細書に開示されている種類の開封補助具を、DusseldorfのHenkelからのEuromelt 510という接着剤で、この容器に孔を覆って接着した。接着剤の硬化後に、各々の場合の同一の容器を、開封補助具の接着に関する上述の試験方法に従って検査し、あるいは開封補助具によって開封し、注ぎ出しの特性について検査した。開封補助具は、欧州特許第1812298号明細書の段落0002にしたがって、孔カバー層によって孔をまたいで形成された膜を貫く穿刺および切断の運動によって容器を開封する。最適な機能の場合、切断リングによって定められる膜半径の約90%が切断され、容器への接続は1つの地点だけである。膜は側方に折れ曲がり、容器の中身を妨げなく注ぎ出すことができる。対照的に、水を注ぎ出すときに水が容器の側方に流れ出し、あるいは注ぎ孔がきれいに形成されていないがために不規則な「まき散らす」流出が存在するならば、これは悪い評価となる。
【0128】
【0129】
この文脈において、比率L/Lは、屋根の傾斜を与える。L/L=1.5の場合、底部領域に対する屋根の傾斜は約5°であった。L/L=2.4の場合、屋根の傾斜は底部領域に対して約20°である。
評価
【0130】
実施例および比較例の文脈において実施した研究の結果を、以下の表3に要約する。
【0131】
【0132】
注ぎ出しの特性について、表3の記号は、以下の意味を有する。
「++」は「+」よりも有利な結果であり、
「+」は「0」よりも有利な結果であり、
「0」は「-」よりも有利な結果である。
【0133】
実験において、開封補助具を固定するために比較的大量の接着剤を使用すると、一般的に、接着剤がカバーされた孔へと溢れる結果となった。カバーされた孔の上で接着剤が硬化することで、理想的でない開封特性となった。得られた注ぎ孔がきれいでないことが多く、理想的でない注ぎ出しの特性となった。接着剤の使用量が少ないと、開封補助具が容器に良好に接着されず、あるいは開封補助具が容器にしっかりと接合されないリスクが大きくなる。後者は、結果として、きれいでない注ぎ出しの特性につながる可能性がある。上記の表2および3から、本発明の実施例によれば、本発明ではない比較例との比較により、より良好ではないかもしれないが少なくとも同等には良好な結果が、より少ない接着剤の使用で、開封補助具の容器への接着強度および注ぎ出しの特性に関して達成できることが、明確に明らかである。実用上、容器への開封補助具の接着は、少なくとも25Nでなければならない。開封補助具への接着に乏しい容器は、品質保証の理由で販売に関して推奨されない。比較例6では、接着剤の量が、開封補助具での開封を可能にするように容器に開封補助具を固定することがまったくできないほどに不充分であった。さらに、実施例3と10および実施例11と12の比較から、本発明によれば、たとえ底部領域に対する容器の屋根の傾斜が大きい場合でも、注ぎ出しの特性および開口部領域の接着について満足できる結果が得られたことが明らかである。さらに、実施例3と11および実施例10と12の比較から、本発明によれば、たとえ屋根の領域に関して開口孔がより大きい場合でも、注ぎ出しの特性および開口部領域の接着について満足できる結果が得られたことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
それぞれの図は、明細書またはそれぞれの図においてとくに述べられない限り、概略図であり、縮尺どおりではない。
図1】本発明によるシート状複合体を上面図にて示す。
図2】本発明による容器前駆体を前側の上面図にて示す。
図3図2の本発明による容器前駆体を裏側の上面図にて示す。
図4】折り曲げ後の図2の本発明による容器前駆体を示す。
図5】本発明による閉じた容器を示す。
図6】本発明によるシート状複合体の詳細を断面にて示す。
図7】シート状複合体を製造するための本発明による方法のフロー図を示す。
図8】容器前駆体を製造するための本発明による方法のフロー図を示す。
図9】閉じた容器を製造するための本発明による方法のフロー図を示す。
図10】容器への開封補助具の接着を測定するための測定装置の引き抜き装置の写真を示す。
図11】容器への開封補助具の接着を測定するために本発明ではない容器の開封補助具に固定された測定装置の引き抜き装置の写真を示す。
図12】開封補助具の容器への接着を測定するための測定装置の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0135】
図1が、本発明によるシート状複合体100を上面図にて示している。図1に示されるシート状複合体100は、単一の閉じた容器500を製造するためのブランクである。シート状複合体100は、図6に示される層構造をシート状複合体100の外面101から内面401(図1では示されず)への方向に有しているラミネートである。さらに、シート状複合体100は、多数の溝線102を有する。溝線102は、溝線102に沿ってシート状複合体100を折り曲げ、シート状複合体100のシーム領域103を接合することによってシームを得ることにより、閉じた容器500が得られるように配置および構成されている。この閉じた容器500は、屋根領域507を有する(図5を参照)。この屋根領域507は、屋根領域507の第1の部分領域106と、屋根領域507の2つのさらなる部分領域112とによって形成される。屋根領域507は、直立した容器500を上部において境界付ける。多数の溝線102のうちの溝線104の第1の部分が、屋根領域507の第1の部分領域106の周囲を形成する。第1の部分の溝線104は、屋根領域507の第1の部分領域106に対して、部分的に凸状の湾曲を有する(溝線105部分)。結果として、図1に見られるように、第1の部分領域106の角部は丸みを帯びている。屋根領域507の第1の部分領域106は、長手方向109に第1の長さ(L)107を有し、長手方向109に直角な周方向110に第2の長さ(L)108を有する。2つのさらなる部分領域112の各々は、長手方向109に第3の長さ(L)113を有する。第2の長さ108に対する第1の長さ107の比は、0.72である。第3の長さ113に対する第1の長さ107の比は、1.92である。ラミネートの層構造は、とくには、厚紙材料で作られたキャリア層603を含む。このキャリア層603は、屋根領域507の第1の部分領域106に、22mmの直径を有する円形の孔111を有する。キャリア層603の孔111は、孔カバー層としての外側ポリマー層602、ポリマー中間層604、バリア層605、および内側ポリマー層606によって覆われている。孔カバー層は、孔111の領域において互いに接合されているため、孔111を横切る膜を形成する。第1の部分領域106は、第1の表面積を有し、孔111は、さらなる表面積を有する。さらなる表面積に対する第1の表面積の比率は、4.4である。屋根領域507の第1の部分領域106は、周方向110において、それぞれが多数の溝線102のうちの溝線102によって境界付けられた3つの三角形領域114からなる2つのグループの間に配置される。さらに、シート状複合体100は、図1において複合体100の上縁から複合体100の下縁までそれぞれ延びている4つの長手方向の溝117、118を有する。これらの4つの長手方向の溝のうちの2つ(長手方向の溝118)は、それぞれが2つの分岐部を含んでおり、それぞれの長手方向の溝118は、分岐部の間で、互いに平行に延びる2つの平行な溝線の形態をとる。これら2つの長手方向の溝118は、シート状複合体100から製造される閉じた容器500において、丸みを帯びることなく平たくされた2つの後方の長手方向のエッジ506を形成する。他の2つ長手方向の溝117(図1において一点鎖線で示される)は、シート状複合体100からの容器前駆体200の製造に役立つ。この目的のために、シート状複合体100は、第1の長手方向のエッジ115のシーム領域103にさらなる長手方向のエッジ116が載せられるように、上述の2つの長手方向の溝117に沿って折り曲げられる。次いで、このシーム領域103は、図2図4に示されるとおりのシェル状構造が形成されるように、さらなる長手方向のエッジ116へとシールされる。しかしながら、上述の2つの長手方向の溝117は、閉じた容器500において長手方向のエッジを形成しない。代わりに、これらの2つの長手方向の溝117は、容器500において、容器500の側壁面に位置する。容器500は、図5に見られるように、2つの丸みを帯びた前部の長手方向のエッジ505を含み、複合体100は、前部の長手方向のエッジ505において周方向110に曲げられているが、折り曲げられてはいない。ここでの曲げは、第1の部分の溝線105の凸状の湾曲に起因する。
【0136】
図2は、本発明による容器前駆体200を前側の上面図にて示している。容器前駆体200は、図1のシート状複合体100から製造された。ここで、シート状複合体100は、図1に一点鎖線で示されている2つの長手方向の溝117(折り目201)に沿って折り畳まれている。加えて、第1の長手方向のエッジ115およびさらなる長手方向のエッジ116が、容器前駆体200の裏側に位置し、すなわち図2では見て取ることができない長手方向のシーム301を形成するように、シーム領域103において互いにシールされている。容器前駆体200を、図2においては、長手方向のシーム301のシール後の平らに折り畳まれた状態で見て取ることができる。
【0137】
図3は、図2の本発明による容器前駆体を裏側の上面図にて示している。ここで、図2に関してすでに説明した長手方向のシーム301を見て取ることができる。この長手方向のシーム301に沿って、屋根領域507のさらなる2つの部分領域112が接合され、互いに接合されている。図3に示されている点線は、今や内側にあるため隠れている第1の長手方向のエッジ115と、第1の長手方向のエッジ115をさらなる長手方向のエッジ116に接合しているシーム領域103とを示している。
【0138】
図4が、折り曲げ後の図2の本発明による容器前駆体を示している。この容器前駆体200を眺めると、シート状複合体100の内面401を見て取ることができる。図2および図3において複合体を平らに折り畳んでいた一点鎖線で示される2つの長手方向の溝117(折り目201)が、今や容器前駆体200の壁面に位置し、長手方向のエッジを形成していない。形を立ち上げた結果として、他の2つの長手方向の溝118に沿って長手方向の折り目が形成されており、したがって長手方向のエッジ506が形成されている。長手方向の溝118に存在する分岐部の結果として、これらの長手方向のエッジ506は、平たくされた領域を含む。図4において下方を向いている長手方向のエッジ505は、上部領域503と底部領域504との間において、折り目によって形成されているのではなく、丸みを帯びている。結果として、図4に示されるように、容器前駆体200は、容器500がとくには外面101に水の凝縮が形成された後にも手の中により良好に収まり、手から容易に滑り出ることがないように、容器500をより容易に把持できるようにするわずかなくびれをすでに有している。
【0139】
図5は、図4の容器前駆体200から得られた本発明による閉じた容器500を、充てん機内に示している。容器500は、屋根領域507に接合され、蓋を有している開封補助具501を含む。開封補助具501は、孔111の領域の孔カバー層を切断するための切断リングを内部に含む。切断による開封は、蓋がねじ山における回転によって開かれるときに自動的に生じる。上部領域503において、容器500は、超音波によって互いにシールされた2つのシーム領域103によって形成されたフィンシーム502によって閉じられている。フィンシーム502に沿って、さらなる部分領域112および第1の部分領域106が集まり、互いに接合されて、屋根領域507を形成している。これに関連して、フィンシーム502自体は、屋根領域507の一部を形成していない。容器500は、底部領域504においても閉じられている。底部領域504は、熱風シールによって閉じられた。また、図4では下向きになっていて基本的に隠れていた丸みを帯びた長手方向のエッジ505を、図5において見て取ることができる。丸みを帯びておらず、平たくされた長手方向のエッジ506は、図5において後方を向いている。ここでは一点鎖線で示されている周方向110という用語も、図5から明らかである。
【0140】
図6は、本発明によるシート状複合体100の詳細を断面にて示している。これに関連して、図6は、図1図5のシート状複合体100の層構造を示している。したがって、シート状複合体100は、シート状複合体100の外面101からシート状複合体100の内面401へと向かう方向の層シーケンスの以下の隣接する層、すなわちカラー適用601、坪量15g/mのドイツのCologneのIneos GmbHのLDPE 19N430からなる外側ポリマー層602、スコットボンド値200J/mおよび坪量210g/mの二重コーティングスリップを有するStora EnsoのNatura T Duplexという厚紙で構成されたキャリア層603、坪量20g/mのドイツのCologneのIneos GmbHのLDPE 23L430からなるポリマー中間層604、厚さ6μmのHydro Aluminium Deutschland GmbHのEN AW 8079というアルミ箔からなるバリア層605、および坪量40g/mのドイツのCologneのIneos GmbHのLDPE 19N430からなる内側ポリマー層606で構成される。
【0141】
図7は、シート状複合体100を製造するための本発明による方法700のフロー図を示している。方法700は、シート状複合体前駆体を用意する方法ステップa)701を含み、シート状複合体前駆体は、シート状複合体前駆体の外面からシート状複合体前駆体の内面へと向かう方向の層シーケンスの互いに重ねられた層として、カラー適用601、外側ポリマー層602、キャリア層603、ポリマー中間層604、バリア層605、および内側ポリマー層606を含む。この場合、複合体前駆体は、ロール材料の形態で用意される。方法ステップb)702において、図1に示される多数の溝線102が、互いに並んだ複数の事例における繰り返しの溝線パターンとして、シート状複合体前駆体に導入される。多数の溝線102のうちの溝線102は、ここでは、シート状複合体前駆体の外面における多数の線形なくぼみの導入の形態で導入される。この目的のために、溝付けツールが、シート状複合体前駆体の外面および内面に同時に接触する。このプロセスにおいて、シート状複合体前駆体の内面の線形な領域が、溝付けツールの凹部へと凹まされる。したがって、線形なくぼみが、内面においてシート状複合体前駆体の膨らみを構成する線形な材料変位の形態で得られる。続いて、シート状複合体前駆体は、単一の閉じた容器500を製造するための多数のブランクを形成するために所定のサイズに切断され、各々のブランクは、図1に示されるシート状複合体100が得られるように、図1による多数の溝線102を正確に1つ含む。
【0142】
図8は、図2および図3の容器前駆体200を製造するための本発明による方法800のフロー図を示している。方法ステップa.801において、図1のシート状複合体100が用意される。これは、図7の方法700によって達成可能である。方法ステップb.802において、シート状複合体は、図2の折り目201が得られるように、多数の溝線102のうちの溝線102に沿って折り曲げられる。方法ステップc.803において、複合体100は、第1の長手方向のエッジ115およびさらなる長手方向のエッジ116がシーム領域103に沿って互いに当接するように、折り目201に沿ってさらに折り曲げられる。さらに、第1の長手方向のエッジ115およびさらなる長手方向のエッジ116が互いにシールされ、図3に見られるような長手方向のシーム301がもたらされる。
【0143】
図9は、図5の閉じた容器500を製造するための本発明による方法900のフロー図を示している。方法ステップA)901において、図4による容器前駆体200がもたらされる。方法ステップB)902において、容器前駆体200の底部領域504が、底部領域504に設けられた多数の溝線102のうちの溝線102に沿ってシート状複合体100を折り曲げることによって成形され、容器前駆体200の底部が形成される。この底部は、方法ステップC)903において熱風シールによって閉じられる。その後に、容器前駆体200は、過酸化水素ですすぐことによって内側から滅菌される。方法ステップD)904において、容器前駆体200は、まだ開いている上部領域503を介して液体の食品または飲料品で満たされる。後続の方法ステップD)904において、上部領域503は超音波シールによって閉じられ、したがって屋根領域507もフィンシーム502を形成することによって得られる。方法ステップF)905において、閉じた容器500の屋根領域507の第1の部分領域106が、接着によって開封補助具501に接合される。このようにして、図5の閉じた容器500が得られる。
【0144】
図10は、容器への開封補助具501の接着を測定するための測定装置1200の引き抜き装置1000の写真を示している。引き抜き装置1000は、一端にクランプリング1002を有している2つの関節ジョイントを有するアームであり、クランプリング1002が開封補助具501をInbusねじ1001でクランプリング1002に固定することによって受け入れることができる。
【0145】
図11は、容器への開封補助具501の接着を測定するために本発明ではない容器1101の開封補助具501に固定された測定装置1200の引き抜き装置1000の写真を示している。ここで、容器1101の開封補助具501は、Inbusねじ1001によってクランプリング1002に固定されている。
【0146】
図12は、容器への開封補助具501の接着を測定するための測定装置1200の写真を示している。本発明ではない容器1101を見て取ることができ、その一端に図11に示されるとおりの引き抜き装置1000が固定されている。引き抜き装置1000の他端は、測定ユニット1202に固定されている。開封補助具501は、圧力計1203およびハンドレバー1205によって調整することができる空気圧シリンダ1201の垂直上昇運動によって引っ張られる。結果として生じる力を、測定ユニット1202から読み取ることができる。引き抜き装置1000は、上昇運動を偏向させ、開封補助具501に力を伝達する。開封補助具501を引っ張るとき、容器1101は、固定ユニット1204によって所定の位置に保持される。
【符号の説明】
【0147】
100 本発明によるシート状複合体
101 外面
102 多数の溝のうちの溝
103 シーム領域
104 多数の溝のうちの第1の部分の溝
105 溝の凸状に湾曲した部分
106 屋根領域の第1の部分領域
107 第1の長さL1
108 第2の長さL2
109 長手方向
110 周方向
111 孔
112 屋根領域のさらなる部分領域
113 第3の長さL3
114 多数の溝線のうちの溝線によって境界付けられた三角形領域
115 第1の長手方向のエッジ
116 さらなる長手方向のエッジ
117 長手方向のエッジを形成しない長手方向の溝
118 平たくされた長手方向のエッジを形成する長手方向の溝
200 本発明による容器前駆体
201 折り目
301 長手方向のシーム
401 内面
500 本発明による閉じた容器
501 蓋付きの開封補助具
502 フィンシーム
503 上部領域
504 底部領域
505 丸みを帯びた長手方向のエッジ
506 丸みを帯びていない長手方向のエッジ
507 屋根領域
601 カラー適用
602 外側ポリマー層
603 キャリア層
604 ポリマー中間層
605 バリア層
606 内側ポリマー層
700 シート状複合体を製造するための本発明による方法
701 方法ステップa)
702 方法ステップb)
703 方法ステップc)
704 方法ステップd)
800 容器前駆体を製造するための本発明による方法
801 方法ステップa.
802 方法ステップb.
803 方法ステップc.
900 閉じた容器を製造するための本発明による方法
901 方法ステップA)
902 方法ステップB)
903 方法ステップC)
904 方法ステップD)
905 方法ステップE)
1000 引き抜き装置
1001 Inbusねじ
1002 クランプリング
1101 本発明でない容器
1200 開封補助具の接着を測定するための測定装置
1201 空気圧シリンダ
1202 測定ユニット
1203 圧力計
1204 固定ユニット
1205 ハンドレバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12