(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】操作された免疫グロブリンラムダ軽鎖を有する非ヒト動物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A01K 67/027 20240101AFI20240205BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240205BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240205BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20240205BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A01K67/027 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/54
C12N15/85 Z
(21)【出願番号】P 2020530565
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 US2018063841
(87)【国際公開番号】W WO2019113065
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-30
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, リン
(72)【発明者】
【氏名】グオ, チュングァン
(72)【発明者】
【氏名】マクウィルター, ジョン
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534751(JP,A)
【文献】特表2015-505477(JP,A)
【文献】国際公開第02/066630(WO,A1)
【文献】松本隆志,ヒト抗体の開発と応用はどこまで進んでいるか,化学と生物,1998年,Vol. 36, No. 7,pp. 448-456
【文献】BENTOLILA, LA et al.,Constitutive Expression of Terminal Deoxynucleotidyl Transferase in Transgenic Mice Is Sufficient for N Region Diversity to Occur at Any Ig Locus Throughout B Cell Differentiation,The Journal of Immunology,1997年,Vol. 158, No. 2,pp. 715-723
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子改変されたマウスであって、前記遺伝子改変されたマウスの生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)1つのマウスCλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
(a)の前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び(b)の前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、1つまたは複数の内在性のマウスVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数の内在性のマウスJκ遺伝子セグメントの代わりに存在し、
(a)の前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び(b)の前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、(c)の前記1つのマウスCλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記遺伝子改変されたマウスが、抗体を発現するB細胞集団を含み、
前記抗体が、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含み、
前記遺伝子改変されたマウスが、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にマウスCκ遺伝子を含まない、前記遺伝子改変されたマウス。
【請求項2】
前記遺伝子改変されたマウスが、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、請求項1に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項3】
前記遺伝子改変されたマウスが、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子
座についてヘテロ接合型である、請求項1に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項4】
前記遺伝子改変されたマウスの前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、請求項3に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項5】
前記マウスの前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトD
H遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJ
H遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
(a)の前記1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメント、(b)の前記1つまたは複数のヒトD
H遺伝子セグメント、及び(c)の前記1つまたは複数のヒトJ
H遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のマウス免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、請求項1~4のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項6】
(a)の前記1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメント、(b)の1つまたは複数のヒトD
H遺伝子セグメント、及び(c)の1つまたは複数のヒトJ
H遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のマウスV
H遺伝子セグメント、1つもしくは複数のマウスD
H遺伝子セグメント、1つもしくは複数のマウスJ
H遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、請求項5に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項7】
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、請求項5または6に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項8】
前記1つまたは複数のマウス免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のマウス免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、請求項5~7のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項9】
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H遺伝子セグメントが、V
H3-74、V
H3-73、V
H3-72、V
H2-70、V
H1-69、V
H3-66、V
H3-64、V
H4-61、V
H4-59、V
H1-58、V
H3-53、V
H5-51、V
H3-49、V
H3-48、V
H1-46、V
H1-45、V
H3-43、V
H4-39、V
H4-34、V
H3-33、V
H4-31、V
H3-30、V
H4-28、V
H2-26、V
H1-24、V
H3-23、V
H3-21、V
H3-20、V
H1-18、V
H3-15、V
H3-13、V
H3-11、V
H3-9、V
H1-8、V
H3-7、V
H2-5、V
H7-4-1、V
H4-4、V
H1-3、V
H1-2、V
H6-1、またはそれらの組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H遺伝子セグメントが、D
H1-1、D
H2-2、D
H3-3、D
H4-4、D
H5-5、D
H6-6、D
H1-7、D
H2-8、D
H3-9、D
H3-10、D
H5-12、D
H6-13、D
H2-15、D
H3-16、D
H4-17、D
H6-19、D
H1-20、D
H2-21、D
H3-22、D
H6-25、D
H1-26、D
H7-27、またはそれらの組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H遺伝子セグメントが、J
H1、J
H2、J
H3、J
H4、J
H5、J
H6、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項5~8のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項10】
前記遺伝子改変されたマウスが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、請求項5~9のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項11】
(a)の前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び(b)の前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のマウスVκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のマウスJκ遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせが代替される、請求項1~10のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項12】
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項13】
前記κ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、請求項12に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項14】
内在性のVλ遺伝子セグメント
、内在性のJλ遺伝子セグメント、及
び内在性のCλ遺伝子の全部または一部が欠失される、請求項1~13のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項15】
各ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインが、(i)(a)の前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)(b)の前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる、請求項1~14のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項16】
前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたマウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月5日出願の米国仮出願第62/594,944号、2017年12月5日出願の米国仮出願第62/594,946号、2017年12月21日出願の米国仮出願第62/609,241号、及び2017年12月21日出願の米国仮出願第62/609,251号に対する優先権を主張し、これらの文献はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、配列表を含み、この配列表は、ASCII形式で電子的に提出されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。このASCIIコピーは、2018年12月3日に作成されたものであり、2010794-1440_SL.txtという名称を有し、そのサイズは30,059バイトである。
【背景技術】
【0003】
ヒト抗体は、最も成長が著しいクラスの治療剤である。現在ヒト抗体の生成に使用される技術の中で、ヒト抗体の全部または一部をコードする遺伝物質で操作された遺伝子操作動物(例えば、げっ歯類)を開発することは、さまざまな疾患を治療するためのヒト治療モノクローナル抗体の分野に革命をもたらしてはいるものの、遺伝子操作された宿主動物におけるヒト抗体レパートリーを最大化する改良型のヒトモノクローナル抗体産生インビボ系を開発することが依然として求められている。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示は、げっ歯類を提供し、このげっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のCλ遺伝子と、
を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、1つまたは複数のCλ遺伝子に機能可能なように連結され、げっ歯類は、操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない。
【0005】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のCλ遺伝子は、ある1つのCλ遺伝子である。いくつかの実施形態では、Cλ遺伝子は、げっ歯類Cλ遺伝子であるか、またはげっ歯類Cλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子、マウスCλ2遺伝子、またはマウスCλ3遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子であるか、またはマウスCλ1遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、ラットCλ遺伝子であるか、またはラットCλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、またはラットCλ4遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせの代わりに存在する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントによって、すべての機能性のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、及び/またはすべての機能性のげっ歯類Jκ遺伝子セグメントが代替される。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、及びVλ3-1を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる。例えば、
図20を参照すると、第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてVλ3-12遺伝子セグメント(の3’側)に隣接して見られる。第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ3-12遺伝子セグメント(好ましくは、その3’側)に隣接する位置に当該非コード配列を含み得る。第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ2-11遺伝子セグメント(好ましくは、その5’側)に隣接する位置に当該非コード配列を含むこともあり得る。場合によっては、第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ3-12遺伝子セグメント(好ましくは、その3’側)及びVλ2-11遺伝子セグメント(好ましくは、その5’側)に隣接する位置に当該非コード配列を含むこともあり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ遺伝子セグメントに隣接して見られる。例えば、
図21を参照すると、第1の例示の内在性のヒトJκ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に見られる。第1の例示の内在性のヒトJκ非コード配列を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ遺伝子セグメント(例えば、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7)に隣接する位置に非コード配列を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる。
【0012】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、κ軽鎖非コード配列は、ヒトκ軽鎖非コード配列である。いくつかの実施形態では、ヒトκ軽鎖非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である。いくつかの実施形態では、げっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントは、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される。
【0014】
いくつかの実施形態では、げっ歯類のゲノムは、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、転写制御要素は、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、外来性TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)を自体の生殖細胞ゲノムに含まない同等マウス(例えば、同腹仔)と比較して軽鎖の結合部多様性(junctional diversity)が少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍に増加する(例えば、このように増加した結合部多様性を伴う軽鎖可変ドメインを発現する)。いくつかの実施形態では、結合部多様性は、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定される。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、このげっ歯類が産生する軽鎖(例えば、ラムダ軽鎖及び/またはカッパ軽鎖)の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%が、鋳型非依存性のヌクレオチド付加を伴って生じる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する。ある実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントは、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントは、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、及びVH6-1を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントは、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントは、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、及びDH7-27を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、及びJH6を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVH非コード配列を含み、1つまたは複数のVH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトDH非コード配列を含み、1つまたは複数のDH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJH非コード配列を含み、1つまたは複数のJH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である。
【0024】
いくつかの実施形態では、げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域は、内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域である。
【0025】
いくつかの実施形態では、内在性のVλ遺伝子セグメント、内在性のJλ遺伝子セグメント、及び内在性のCλ遺伝子は、その全部または一部が欠失される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない。
【0026】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない。いくつかの実施形態では、げっ歯類の生殖細胞ゲノムは、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片は、(例えば、雄性生殖器系の細胞(例えば、精巣細胞)において)発現する。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する。いくつかの実施形態では、第1のヒトVH遺伝子セグメントは、VH1-2であり、第2のヒトVH遺伝子セグメントは、VH6-1である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む。いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインは、(i)1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリン重鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む。いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインは、(i)1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖可変領域配列によってコードされる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、1つまたは複数のエピトープを含む抗原での免疫化に応答してB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、げっ歯類は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を発現するB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、げっ歯類は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する抗体を発現するB細胞集団を産生し、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列には、体細胞超変異が生じる。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団におけるB細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%が、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、マウスまたはラットである。
【0034】
いくつかの実施形態では、げっ歯類から得られる細胞及び/または組織(例えば、単離された細胞及び/または組織)が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、提供される細胞及び組織には、例えば、リンパ系組織、脾細胞、B細胞、幹細胞、及び/または生殖細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、提供される細胞は、単離される。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、プロB細胞、プレB細胞、未熟B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、B細胞系リンパ球、及び/または形質細胞であるか、あるいはそれを含む。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、幹細胞(例えば、胚性幹細胞)及び/または生殖細胞(例えば、精子、卵母細胞)を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離されたげっ歯類細胞を提供し、この単離されたげっ歯類細胞の生殖細胞ゲノムは、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Cλ遺伝子に機能可能なように連結される。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単離されたげっ歯類細胞は、操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単離されたげっ歯類細胞は、げっ歯類胚性幹(ES)細胞である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のげっ歯類ES細胞から生じたげっ歯類胚を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の単離されたげっ歯類細胞から生じた不死化細胞を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類の作製方法を提供し、この方法は、
(a)げっ歯類ES細胞の生殖細胞ゲノムに1つまたは複数のDNA断片を導入するステップであって、1つまたは複数のDNA断片が、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)1つまたは複数のCλ遺伝子
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のCλ遺伝子が、げっ歯類ES細胞の生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に導入され、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のCλ遺伝子が、機能可能なように連結される、当該導入するステップと、
(b)(a)において生じたげっ歯類ES細胞を使用してげっ歯類を生じさせるステップと、
を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類の作製方法は、げっ歯類ES細胞の生殖細胞ゲノムにおいて1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列が位置するようにげっ歯類ES細胞の生殖細胞ゲノムにκ軽鎖非コード配列を導入するステップを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類の作製方法を提供し、この方法は、
生殖細胞ゲノムにおいて内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のCλ遺伝子と、
を含むように操作するステップ、
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、1つまたは複数のCλ遺伝子に機能可能なように連結され、
1つまたは複数のCλ遺伝子は、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座に挿入される。
【0043】
いくつかの実施形態では、Cλ遺伝子によって、内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座におけるげっ歯類Cκ遺伝子が代替される。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、及びVλ3-1を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、及びVλ3-1を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、Cλ遺伝子は、げっ歯類Cλ遺伝子であるか、またはげっ歯類Cλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子、マウスCλ2遺伝子、またはマウスCλ3遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子であるか、またはマウスCλ1遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、ラットCλ遺伝子であるか、またはラットCλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、またはラットCλ4遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のDNA断片は、少なくとも1つ選択マーカーを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のDNA断片は、少なくとも1つの部位特異的組換え部位を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、げっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される。
【0050】
いくつかの実施形態では、生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップは、げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類ES細胞において実施される。
【0051】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVH非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトDH非コード配列を含み、1つまたは複数のDH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJH非コード配列を含み、1つまたは複数のJH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH非コード配列はそれぞれ、イントロンであるか、またはイントロンを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示は、げっ歯類における抗体の産生方法を提供し、この方法は、
(i)げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップであって、
げっ歯類が、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(c)1つまたは複数のCλ遺伝子、
を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含む生殖細胞ゲノムを有し、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
1つまたは複数のCλ遺伝子が、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに、操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座に存在する、当該免疫化するステップと、
目的抗原に対する免疫応答をげっ歯類が生成する上で十分な条件の下でげっ歯類を維持するステップと、
目的抗原に結合する抗体を、げっ歯類、げっ歯類の細胞、またはげっ歯類の細胞に由来する細胞、から回収するステップと、
を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、免疫化するステップに応答して、げっ歯類は、目的抗原に結合する抗体を発現するB細胞を産生する。いくつかの実施形態では、B細胞が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、B細胞が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、免疫化するステップに応答して、げっ歯類は、目的抗原に結合する抗体を発現するB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、免疫化するステップに応答して、げっ歯類は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する抗体を発現するB細胞集団を産生し、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列には、体細胞超変異が生じる。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団におけるB細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%が、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、目的抗原に結合する抗体は、げっ歯類のB細胞から単離、回収、または同定される。いくつかの実施形態では、目的抗原に結合する抗体は、げっ歯類のB細胞を用いて作製されたハイブリドーマから単離、回収、または同定される。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗原は、1つまたは複数のエピトープを含み、目的抗原に結合する抗体は、1つまたは複数のエピトープのうちの1つのエピトープに結合する。
【0059】
いくつかの実施形態では、Cλ遺伝子は、げっ歯類Cλ遺伝子であるか、またはげっ歯類Cλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子、マウスCλ2遺伝子、またはマウスCλ3遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子であるか、またはマウスCλ1遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、ラットCλ遺伝子であるか、またはラットCλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、またはラットCλ4遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である配列を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、及びVλ3-1を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、及びVλ3-1を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJλ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる。
【0063】
いくつかの実施形態では、げっ歯類は、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む生殖細胞ゲノム
を有し、
1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される。
【0064】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントは、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントは、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、及びVH6-1を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントは、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントは、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、及びDH7-27を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントは、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、及びJH6を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてVH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、またはVH6-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVH非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトVH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座のVH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、またはVH6-1に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてDH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、またはDH7-27にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトDH非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトDH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座のDH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、またはDH7-27に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、またはJH6にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJH非コード配列を含み、1つまたは複数のヒトJH非コード配列はそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座のJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、またはJH6に隣接して見られる。いくつかの実施形態では、回収されるげっ歯類の細胞は、B細胞である。いくつかの実施形態では、げっ歯類の細胞に由来する細胞は、ハイブリドーマである。
【0068】
いくつかの実施形態では、ヒト重鎖可変領域配列、ヒトラムダ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトカッパ軽鎖可変領域配列をコードするヌクレオチド配列は、B細胞から得られる。
【0069】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない。いくつかの実施形態では、げっ歯類の生殖細胞ゲノムは、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片は、(例えば、雄性生殖器系の細胞(例えば、精巣細胞)において)発現する。
【0070】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する。いくつかの実施形態では、第1のヒトVH遺伝子セグメントは、VH1-2であり、第2のヒトVH遺伝子セグメントは、VH6-1である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する。
【0071】
いくつかの実施形態では、げっ歯類は、マウスまたはラットである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、ホモ接合型の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類を提供し、この操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及びげっ歯類Cλ遺伝子は、機能可能なように互いに連結され、
げっ歯類Cλ遺伝子は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在し、
操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、
(a)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、当該1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(b)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、当該1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含み、
免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にヒトκ軽鎖非コード配列を含み、このヒトκ軽鎖非コード配列は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子である。
【0074】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーであるEκi及びEκ3’を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント及び/または1つもしくは複数のJκ遺伝子セグメントが欠失している。いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、機能性のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント及び/またはげっ歯類Jκ遺伝子セグメントがすべて欠失している。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示は、げっ歯類を提供し、このげっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)ヒト重鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類重鎖定常ドメイン配列をそれぞれが含む免疫グロブリン重鎖をげっ歯類が発現するように1つまたは複数の内在性の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含むホモ接合型の内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、
(b)ヒトκ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類κ軽鎖定常ドメイン配列をそれぞれが含む免疫グロブリン軽鎖をげっ歯類が発現するように内在性のげっ歯類Cκ領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数のJκ遺伝子セグメントを含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
(c)第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及びげっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
げっ歯類Cλ遺伝子が、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在し、
操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(a)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、当該1つまたは複数のヒトVλ非コード配列、及び
(b)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、当該1つまたは複数のヒトJκ非コード配列
を含み、
免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にヒトκ軽鎖非コード配列を含み、このヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有し、
その結果、げっ歯類が、ヒトλ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類λ軽鎖定常ドメイン配列をそれぞれが含む免疫グロブリン軽鎖を発現する、当該第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である。
【0078】
いくつかの実施形態では、げっ歯類のゲノムは、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、転写制御要素は、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、外来性TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)を自体の生殖細胞ゲノムに含まない同等マウス(例えば、同腹仔)と比較して軽鎖の結合部多様性が少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍に増加する(例えば、このように増加した結合部多様性を伴う軽鎖可変ドメインを発現する)。いくつかの実施形態では、結合部多様性は、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定される。いくつかの実施形態では、結合部多様性は、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、このげっ歯類が産生する軽鎖(例えば、ラムダ軽鎖及び/またはカッパ軽鎖)の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%が、鋳型非依存性のヌクレオチド付加を伴って生じる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、ラットまたはマウスである。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示は、ある方法によって調製される抗体を提供し、この方法は、
(a)本明細書に記載のげっ歯類を提供するステップと、
(b)げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップと、
(c)目的抗原に対する免疫応答をげっ歯類が生成する上で十分な条件の下でげっ歯類を維持するステップと、
(d)目的抗原に結合する抗体を、げっ歯類、またはげっ歯類の細胞、またはげっ歯類の細胞に由来する細胞、から回収するステップと、
を含み、
(d)に記載の抗体は、ヒト重鎖可変ドメイン及びヒトλ軽鎖可変ドメインを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示は、ある方法によって調製される抗体を提供し、この方法は、
(a)本明細書に記載のげっ歯類を目的抗原で免疫化するステップと、
(b)目的抗原に対する免疫応答をげっ歯類が生成する上で十分な条件の下でげっ歯類を維持するステップと、
(c)目的抗原に結合する抗体を、げっ歯類、またはげっ歯類の細胞、またはげっ歯類の細胞に由来する細胞、から回収するステップと、
を含み、
(c)に記載の抗体は、ヒト重鎖可変ドメイン及びヒトλ軽鎖可変ドメインを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、げっ歯類は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない。いくつかの実施形態では、げっ歯類は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、1つまたは複数のエピトープを含む抗原での免疫化に応答してB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、げっ歯類は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を発現するB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、げっ歯類は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する抗体を発現するB細胞集団を産生し、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、及び/または(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列には、体細胞超変異が生じる。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団におけるB細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%が、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示は、抗体の作製方法を提供し、この方法は、
(i)宿主細胞において免疫グロブリン重鎖をコードする第1のヌクレオチド配列を発現させることであって、第1のヌクレオチド配列がヒト重鎖可変領域配列を含む、当該発現させること、
(ii)宿主細胞において免疫グロブリンλ軽鎖をコードする第2のヌクレオチド配列を発現させることであって、第2のヌクレオチド配列が、げっ歯類から同定(例えば、発現及び/または単離)されたヒトλ軽鎖可変領域配列を含み、このげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のCλ遺伝子と、
を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、1つまたは複数のCλ遺伝子に機能可能なように連結され、
げっ歯類が、操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、当該発現させること、
(iii)免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖が発現し、抗体を形成するように宿主細胞を培養すること、ならびに
(iv)宿主細胞及び/または宿主細胞培養物から抗体を得ること、
を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、ヒト重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、完全ヒト抗体である。
【0090】
いくつかの実施形態では、第2のヌクレオチドは、ヒトλ軽鎖定常領域配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗体は、リバースキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、げっ歯類重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、げっ歯類λ軽鎖定常領域配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示は、げっ歯類を提供し、このげっ歯類の生殖細胞ゲノムは、
(a)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
げっ歯類が、第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、当該第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメント
をさらに含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、当該第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、Cκ遺伝子は、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である。
【0094】
いくつかの実施形態では、げっ歯類のゲノムは、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、転写制御要素は、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、外来性TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である。
【0095】
いくつかの実施形態では、げっ歯類のゲノムは、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、転写制御要素は、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、外来性TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)を自体の生殖細胞ゲノムに含まない同等マウス(例えば、同腹仔)と比較して軽鎖の結合部多様性が少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍に増加する(例えば、このように増加した結合部多様性を伴う軽鎖可変ドメインを発現する)。いくつかの実施形態では、結合部多様性は、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定される。いくつかの実施形態では、結合部多様性は、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を自体の生殖細胞ゲノムに含み、このげっ歯類が産生する軽鎖(例えば、ラムダ軽鎖及び/またはカッパ軽鎖)の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%が、鋳型非依存性のヌクレオチド付加を伴って生じる。
【0098】
さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、げっ歯類、げっ歯類細胞、またはげっ歯類組織であり、いくつかの実施形態では、マウス、マウス細胞、またはマウス組織であり、いくつかの実施形態では、ラット、ラット細胞、またはラット組織である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマウス、マウス細胞、またはマウス組織は、129系、BALB/c系、C57BL/6系、129xC57BL/6ミックス系、またはそれらの組み合わせを含む遺伝的背景を含む。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目2)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目1に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目3)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子についてヘテロ接合型である、項目1に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目4)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目3に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目5)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目4に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目6)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、項目1~5のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目7)
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメント
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
を含む、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目8)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目7に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目9)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、項目1~8のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目10)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目1~9のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目11)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目1~10のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目12)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目11に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目13)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目11に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目14)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目1~13のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目15)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目14に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目16)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目14に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目17)
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目18)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目17に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目19)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目18に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目20)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目1~19のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目21)
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)ヒト重鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類重鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン重鎖を前記げっ歯類が発現するように1つまたは複数の内在性の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座であって、前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座、
(b)第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに前記第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、ならびに
(c)ヒトκ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類κ軽鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を前記げっ歯類が発現するように内在性のげっ歯類Cκ領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数のJκ遺伝子セグメントを含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、を含み、
前記げっ歯類が、ヒトλ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類λ軽鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目22)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、項目20または項目21に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目23)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目20~22のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目24)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目20~23のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目25)
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、項目20~24のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目26)
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントが、V
H
3-74、V
H
3-73、V
H
3-72、V
H
2-70、V
H
1-69、V
H
3-66、V
H
3-64、V
H
4-61、V
H
4-59、V
H
1-58、V
H
3-53、V
H
5-51、V
H
3-49、V
H
3-48、V
H
1-46、V
H
1-45、V
H
3-43、V
H
4-39、V
H
4-34、V
H
3-33、V
H
4-31、V
H
3-30、V
H
4-28、V
H
2-26、V
H
1-24、V
H
3-23、V
H
3-21、V
H
3-20、V
H
1-18、V
H
3-15、V
H
3-13、V
H
3-11、V
H
3-9、V
H
1-8、V
H
3-7、V
H
2-5、V
H
7-4-1、V
H
4-4、V
H
1-3、V
H
1-2、V
H
6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントが、D
H
1-1、D
H
2-2、D
H
3-3、D
H
4-4、D
H
5-5、D
H
6-6、D
H
1-7、D
H
2-8、D
H
3-9、D
H
3-10、D
H
5-12、D
H
6-13、D
H
2-15、D
H
3-16、D
H
4-17、D
H
6-19、D
H
1-20、D
H
2-21、D
H
3-22、D
H
6-25、D
H
1-26、D
H
7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、J
H
6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目20~25のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目27)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、項目20~26のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目28)
前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、項目20~27のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目29)
前記1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片が発現する、項目28に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目30)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、項目28または項目29に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目31)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、項目28~30のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目32)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、項目28~31のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目33)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、項目28~32のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目34)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトV
H
遺伝子セグメントと第2のヒトV
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目28~33のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目35)
前記第1のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
1-2であり、前記第2のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
6-1である、項目34に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目36)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目28~31のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目37)
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目20及び項目22~36のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目38)
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、マウスCλ1遺伝子、マウスCλ2遺伝子、またはマウスCλ3遺伝子との同一性が少なくとも80%である配列を有する、項目9~37のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目39)
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、マウスCλ1遺伝子を含む、項目9~38のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目40)
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、ラットCλ遺伝子を含む、項目9~39のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目41)
前記ラットCλ遺伝子が、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、またはラットCλ4遺伝子との同一性が少なくとも80%である配列を有する、項目40に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目42)
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせの代わりに存在する、項目1~41のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目43)
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目1~42のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目44)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列をさらに含む、項目1~43のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目45)
前記κ軽鎖非コード配列が、ヒトκ軽鎖非コード配列である、項目44に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目46)
前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、項目45に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目47)
不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座をさらに含む、項目1~46のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目48)
前記げっ歯類が、前記不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、項目47に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目49)
前記げっ歯類が、前記不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目47に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目50)
前記内在性のVλ遺伝子セグメント、前記内在性のJλ遺伝子セグメント、及び前記内在性のCλ遺伝子の全部または一部が欠失される、項目1~49のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目51)
前記げっ歯類が、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない、項目1~50のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目52)
前記げっ歯類が、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない、項目1~51のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目53)
前記げっ歯類が、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む、項目1~52のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目54)
前記ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインが、(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる、項目53に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目55)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、項目1~54のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目56)
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、項目55に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目57)
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目55または項目56に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目58)
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記生殖細胞ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、項目55~57のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目59)
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、
(b)ヒト重鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類重鎖定常ドメイン配列をそれぞれが含む免疫グロブリン重鎖を前記げっ歯類が発現するように1つまたは複数の内在性の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座であって、前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座、ならびに
(c)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を含む、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含む、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在し、
前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であり、
前記げっ歯類が、げっ歯類λ軽鎖定常ドメイン配列に融合したヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目60)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目1~59のいずれか1項に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
(項目61)
項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類から得られた、単離されたげっ歯類細胞。
(項目62)
項目61に記載の単離されたげっ歯類細胞から生じた不死化細胞。
(項目63)
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹(ES)細胞である、項目61に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目64)
項目63に記載のげっ歯類ES細胞から生じたげっ歯類胚。
(項目65)
抗体を調製するための、項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類の使用。
(項目66)
軽鎖可変領域配列を調製するための、項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類の使用。
(項目67)
軽鎖可変ドメイン配列を調製するための、項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類の使用。
(項目68)
項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類から得られた、単離されたB細胞であって、前記B細胞のゲノムが、
(a)ラムダ軽鎖可変領域配列に機能可能なように連結された、再構成されたヒトラムダ軽鎖可変領域配列
を含み、
前記再構成されたヒトラムダ軽鎖可変領域配列が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
を含む、
前記単離されたB細胞。
(項目69)
(b)げっ歯類重鎖可変領域配列に機能可能なように連結された、再構成されたヒト重鎖可変領域配列
をさらに含む、項目68に記載の単離されたB細胞であって、
前記再構成されたヒト重鎖可変領域配列が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
を含む、
前記単離されたB細胞。
(項目70)
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を提供するステップと、
(b)前記げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップと、
(c)前記目的抗原に対する免疫応答を前記げっ歯類が生成する上で十分な条件の下で前記げっ歯類を維持するステップと、
(d)前記げっ歯類から
(i)前記目的抗原に結合する抗体、
(ii)前記目的抗原に結合する抗体のヒト軽鎖可変ドメインもしくはヒト重鎖可変ドメイン、軽鎖、または重鎖をコードするヌクレオチド、あるいは
(iii)前記目的抗原に結合する抗体を発現する細胞
を回収するステップと、
を含む方法によって調製された抗体であって、
(d)に記載の抗体が、ヒト重鎖可変ドメイン及びヒトλ軽鎖可変ドメインを含む、前記抗体。
(項目71)
単離されたげっ歯類細胞であって、前記単離されたげっ歯類細胞のゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記単離されたげっ歯類細胞。
(項目72)
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目71に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目73)
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、項目71に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目74)
前記単離されたげっ歯類細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目73に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目75)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目74に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目76)
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、項目71~75のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目77)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、項目71~76のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目78)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目71~77のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目79)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目71~78のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目80)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目79に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目81)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目79に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目82)
(a)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(b)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目71~81のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目83)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目82に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目84)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目82に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目85)
前記げっ歯類細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目71~84のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目86)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、項目85に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目87)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目85または項目86に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目88)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目85~87のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目89)
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、項目85~88のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目90)
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントが、V
H
3-74、V
H
3-73、V
H
3-72、V
H
2-70、V
H
1-69、V
H
3-66、V
H
3-64、V
H
4-61、V
H
4-59、V
H
1-58、V
H
3-53、V
H
5-51、V
H
3-49、V
H
3-48、V
H
1-46、V
H
1-45、V
H
3-43、V
H
4-39、V
H
4-34、V
H
3-33、V
H
4-31、V
H
3-30、V
H
4-28、V
H
2-26、V
H
1-24、V
H
3-23、V
H
3-21、V
H
3-20、V
H
1-18、V
H
3-15、V
H
3-13、V
H
3-11、V
H
3-9、V
H
1-8、V
H
3-7、V
H
2-5、V
H
7-4-1、V
H
4-4、V
H
1-3、V
H
1-2、V
H
6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントが、D
H
1-1、D
H
2-2、D
H
3-3、D
H
4-4、D
H
5-5、D
H
6-6、D
H
1-7、D
H
2-8、D
H
3-9、D
H
3-10、D
H
5-12、D
H
6-13、D
H
2-15、D
H
3-16、D
H
4-17、D
H
6-19、D
H
1-20、D
H
2-21、D
H
3-22、D
H
6-25、D
H
1-26、D
H
7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、J
H
6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目85~89のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目91)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、項目85~90のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目92)
前記げっ歯類細胞の前記ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、項目85~91のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目93)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、項目92に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目94)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、項目92または項目93に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目95)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、項目92~94のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目96)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、項目92~95のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目97)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトV
H
遺伝子セグメントと第2のヒトV
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目92~96のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目98)
前記第1のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
1-2であり、前記第2のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
6-1である、項目97に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目99)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目92~94のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目100)
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目85~99のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目101)
前記単離されたげっ歯類細胞の前記ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、項目71~100のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目102)
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、項目101に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目103)
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目101または項目102に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目104)
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記げっ歯類細胞の前記ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、項目101~103のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目105)
前記げっ歯類細胞が、ラット細胞またはマウス細胞である、項目71~104のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目106)
項目71~105のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞から生じた不死化細胞。
(項目107)
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹(ES)細胞である、項目71~105のいずれか1項に記載の単離されたげっ歯類細胞。
(項目108)
項目107に記載のげっ歯類ES細胞から生じたげっ歯類胚。
(項目109)
遺伝子改変されたげっ歯類の作製方法であって、前記方法が、
(a)げっ歯類ES細胞のゲノムにおける第1の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に1つまたは複数のDNA断片を導入するステップであって、
前記1つまたは複数のDNA断片が、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記Cλ遺伝子が、前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムにおける前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に導入され、前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記Cλ遺伝子が、機能可能なように連結される、前記導入するステップと、
(b)(a)において生じた前記げっ歯類ES細胞を使用してげっ歯類を生じさせるステップと、
を含む、前記方法。
(項目110)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目109または項目110に記載の方法。
(項目112)
前記1つまたは複数のDNA断片が、少なくとも1つの選択マーカーをさらに含む、項目109~111のいずれか1項に記載の方法。
(項目113)
前記1つまたは複数のDNA断片が、少なくとも1つの部位特異的組換え部位をさらに含む、項目109~112のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
1つまたは複数のヒトVλ非コード配列、及び1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に導入することをさらに含む、項目109~113のいずれか1項に記載の方法であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、ヒトVλ遺伝子セグメントに隣接し、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、ヒトJλ遺伝子セグメントに隣接する、前記方法。
(項目115)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列が位置するように前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムに前記κ軽鎖非コード配列を導入することをさらに含む、項目109~114のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記げっ歯類ES細胞が、ラットES細胞またはマウスES細胞である、項目109~115のいずれか1項に記載の方法。
(項目117)
遺伝子改変されたげっ歯類の作製方法であって、前記方法が、
(a)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子が、前記第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される、前記方法。
(項目118)
前記方法が、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子が、前記第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される、項目117に記載の方法。
(項目119)
前記方法が、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目117に記載の方法。
(項目120)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記方法が、
(c)(i)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目117~120のいずれか1項に記載の方法。
(項目122)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作する前記ステップが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体のゲノムに含むげっ歯類ES細胞において実施される、項目117~121のいずれか1項に記載の方法。
(項目123)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目122に記載の方法。
(項目124)
前記操作するステップが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を自体のゲノムに含むげっ歯類ES細胞において実施される、項目117~120、項目122、及び項目123のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトV
H
非コード配列を含み、前記1つまたは複数のヒトV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、項目121~124のいずれか1項に記載の方法。
(項目126)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトD
H
非コード配列を含み、前記1つまたは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、項目121~125のいずれか1項に記載の方法。
(項目127)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJ
H
非コード配列を含み、前記1つまたは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、項目121~126のいずれか1項に記載の方法。
(項目128)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、げっ歯類Cκ遺伝子を含まない、項目109~127のいずれか1項に記載の方法。
(項目129)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目110~115及び項目119~128のいずれか1項に記載の方法。
(項目130)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、項目109~129のいずれか1項に記載の方法。
(項目131)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目109~130のいずれか1項に記載の方法。
(項目132)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目109~131のいずれか1項に記載の方法。
(項目133)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目132に記載の方法。
(項目134)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目132に記載の方法。
(項目135)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目109~134のいずれか1項に記載の方法。
(項目136)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目135に記載の方法。
(項目137)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目135に記載の方法。
(項目138)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、項目111~116及び項目121~137のいずれか1項に記載の方法。
(項目139)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目111~116及び項目121~138のいずれか1項に記載の方法。
(項目140)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目111~116及び項目121~139のいずれか1項に記載の方法。
(項目141)
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、項目111~116及び項目121~140のいずれか1項に記載の方法。
(項目142)
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントが、V
H
3-74、V
H
3-73、V
H
3-72、V
H
2-70、V
H
1-69、V
H
3-66、V
H
3-64、V
H
4-61、V
H
4-59、V
H
1-58、V
H
3-53、V
H
5-51、V
H
3-49、V
H
3-48、V
H
1-46、V
H
1-45、V
H
3-43、V
H
4-39、V
H
4-34、V
H
3-33、V
H
4-31、V
H
3-30、V
H
4-28、V
H
2-26、V
H
1-24、V
H
3-23、V
H
3-21、V
H
3-20、V
H
1-18、V
H
3-15、V
H
3-13、V
H
3-11、V
H
3-9、V
H
1-8、V
H
3-7、V
H
2-5、V
H
7-4-1、V
H
4-4、V
H
1-3、V
H
1-2、V
H
6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントが、D
H
1-1、D
H
2-2、D
H
3-3、D
H
4-4、D
H
5-5、D
H
6-6、D
H
1-7、D
H
2-8、D
H
3-9、D
H
3-10、D
H
5-12、D
H
6-13、D
H
2-15、D
H
3-16、D
H
4-17、D
H
6-19、D
H
1-20、D
H
2-21、D
H
3-22、D
H
6-25、D
H
1-26、D
H
7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、J
H
6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目111~116及び項目121~141のいずれか1項に記載の方法。
(項目143)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、項目111~116及び項目121~142のいずれか1項に記載の方法。
(項目144)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノム、または前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、項目111~116及び項目121~143のいずれか1項に記載の方法。
(項目145)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、項目144に記載の方法。
(項目146)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、項目144または項目145に記載の方法。
(項目147)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、項目144~146のいずれか1項に記載の方法。
(項目148)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、項目144~147のいずれか1項に記載の方法。
(項目149)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトV
H
遺伝子セグメントと第2のヒトV
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目144~148のいずれか1項に記載の方法。
(項目150)
前記第1のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
1-2であり、前記第2のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
6-1である、項目149に記載の方法。
(項目151)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目144~146のいずれか1項に記載の方法。
(項目152)
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目111~116及び項目121~151のいずれか1項に記載の方法。
(項目153)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノム、または前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、項目109~152のいずれか1項に記載の方法。
(項目154)
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、項目153に記載の方法。
(項目155)
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目153または項目154に記載の方法。
(項目156)
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、項目153~155のいずれか1項に記載の方法。
(項目157)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目109~156のいずれか1項に記載の方法。
(項目158)
遺伝子改変されたげっ歯類における抗体の産生方法であって、前記方法が、
(a)げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップであって、
前記げっ歯類が、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含む生殖細胞ゲノムを有し、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子(c)が、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、前記免疫化するステップと、
(b)前記目的抗原に対する免疫応答を前記げっ歯類が生成する上で十分な条件の下で前記げっ歯類を維持するステップと、
(c)前記げっ歯類から
(i)前記目的抗原に結合する抗体、
(ii)前記目的抗原に結合する抗体のヒト軽鎖可変ドメインもしくはヒト重鎖可変ドメイン、軽鎖、または重鎖をコードするヌクレオチド、あるいは
(iii)前記目的抗原に結合する抗体を発現する細胞
を回収するステップと、
を含む、前記方法。
(項目159)
前記げっ歯類の前記細胞が、B細胞である、項目158に記載の方法。
(項目160)
前記B細胞からハイブリドーマを生成させることをさらに含む、項目159に記載の方法。
(項目161)
抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)宿主細胞において免疫グロブリン重鎖をコードする第1のヌクレオチド配列を発現させることであって、前記第1のヌクレオチド配列が、ヒト重鎖可変領域配列を含む、前記発現させること、
(b)宿主細胞において免疫グロブリンλ軽鎖をコードする第2のヌクレオチド配列を発現させることであって、前記第2のヌクレオチド配列が、遺伝子改変されたげっ歯類から同定されたヒトλ軽鎖可変領域配列を含み、
前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記発現させること、
(c)免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖が発現し、抗体を形成するように前記宿主細胞を培養すること、ならびに
(d)前記宿主細胞または宿主細胞培養物から前記抗体を得ること
を含む、前記方法。
(項目162)
前記第1のヌクレオチドが、ヒト重鎖定常領域遺伝子をさらに含む、項目161に記載の方法。
(項目163)
前記第2のヌクレオチドが、ヒトλ軽鎖定常領域遺伝子をさらに含む、項目161または項目162に記載の方法。
(項目164)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目158~163のいずれか1項に記載の方法。
(項目165)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、項目158~163のいずれか1項に記載の方法。
(項目166)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目165に記載の方法。
(項目167)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目166に記載の方法。
(項目168)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、項目158~167のいずれか1項に記載の方法。
(項目169)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、項目158~168のいずれか1項に記載の方法。
(項目170)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目158~169のいずれか1項に記載の方法。
(項目171)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目158~170のいずれか1項に記載の方法。
(項目172)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目171に記載の方法。
(項目173)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目171に記載の方法。
(項目174)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目158~173のいずれか1項に記載の方法。
(項目175)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目174に記載の方法。
(項目176)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目174に記載の方法。
(項目177)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目158~176のいずれか1項に記載の方法。
(項目178)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、項目177に記載の方法。
(項目179)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目177または項目178に記載の方法。
(項目180)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目177~179のいずれか1項に記載の方法。
(項目181)
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、項目177~180のいずれか1項に記載の方法。
(項目182)
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントが、V
H
3-74、V
H
3-73、V
H
3-72、V
H
2-70、V
H
1-69、V
H
3-66、V
H
3-64、V
H
4-61、V
H
4-59、V
H
1-58、V
H
3-53、V
H
5-51、V
H
3-49、V
H
3-48、V
H
1-46、V
H
1-45、V
H
3-43、V
H
4-39、V
H
4-34、V
H
3-33、V
H
4-31、V
H
3-30、V
H
4-28、V
H
2-26、V
H
1-24、V
H
3-23、V
H
3-21、V
H
3-20、V
H
1-18、V
H
3-15、V
H
3-13、V
H
3-11、V
H
3-9、V
H
1-8、V
H
3-7、V
H
2-5、V
H
7-4-1、V
H
4-4、V
H
1-3、V
H
1-2、V
H
6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントが、D
H
1-1、D
H
2-2、D
H
3-3、D
H
4-4、D
H
5-5、D
H
6-6、D
H
1-7、D
H
2-8、D
H
3-9、D
H
3-10、D
H
5-12、D
H
6-13、D
H
2-15、D
H
3-16、D
H
4-17、D
H
6-19、D
H
1-20、D
H
2-21、D
H
3-22、D
H
6-25、D
H
1-26、D
H
7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、J
H
6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目177~181のいずれか1項に記載の方法。
(項目183)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、項目177~182のいずれか1項に記載の方法。
(項目184)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、項目177~183のいずれか1項に記載の方法。
(項目185)
前記1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片が発現する、項目184に記載の方法。
(項目186)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、項目184または項目185に記載の方法。
(項目187)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、項目184~186のいずれか1項に記載の方法。
(項目188)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、項目184~187のいずれか1項に記載の方法。
(項目189)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、項目184~188のいずれか1項に記載の方法。
(項目190)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトV
H
遺伝子セグメントと第2のヒトV
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目184~189のいずれか1項に記載の方法。
(項目191)
前記第1のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
1-2であり、前記第2のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
6-1である、項目190に記載の方法。
(項目192)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目184~187のいずれか1項に記載の方法。
(項目193)
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目177~192のいずれか1項に記載の方法。
(項目194)
前記げっ歯類が、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む、項目158~193のいずれか1項に記載の方法。
(項目195)
前記ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインが、(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる、項目194に記載の方法。
(項目196)
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、項目158~195のいずれか1項に記載の方法。
(項目197)
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、項目196に記載の方法。
(項目198)
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目196または項目197に記載の方法。
(項目199)
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記生殖細胞ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、項目196~198のいずれか1項に記載の方法。
(項目200)
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、項目158~199のいずれか1項に記載の方法。
(項目201)
げっ歯類胚性幹(ES)細胞であって、前記げっ歯類ES細胞のゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記げっ歯類ES細胞。
(項目202)
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目201に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目203)
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、項目201に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目204)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、項目203に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目205)
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、項目204に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目206)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目201~205のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目207)
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、項目201~206に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目208)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、項目201~207のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目209)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目201~208のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目210)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目201~209のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目211)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目210に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目212)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目210に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目213)
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目201~212のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目214)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、項目213に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目215)
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、項目213に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目216)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、項目201~215のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目217)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、項目216に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目218)
前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類V
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類D
H
遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類J
H
遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、項目216または項目217に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目219)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のV
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトV
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトV
H
非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のD
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトD
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトD
H
非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJ
H
非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJ
H
遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJ
H
非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、項目216~218のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目220)
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、項目216~219のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目221)
(i)前記1つまたは複数のヒトV
H
遺伝子セグメントが、V
H
3-74、V
H
3-73、V
H
3-72、V
H
2-70、V
H
1-69、V
H
3-66、V
H
3-64、V
H
4-61、V
H
4-59、V
H
1-58、V
H
3-53、V
H
5-51、V
H
3-49、V
H
3-48、V
H
1-46、V
H
1-45、V
H
3-43、V
H
4-39、V
H
4-34、V
H
3-33、V
H
4-31、V
H
3-30、V
H
4-28、V
H
2-26、V
H
1-24、V
H
3-23、V
H
3-21、V
H
3-20、V
H
1-18、V
H
3-15、V
H
3-13、V
H
3-11、V
H
3-9、V
H
1-8、V
H
3-7、V
H
2-5、V
H
7-4-1、V
H
4-4、V
H
1-3、V
H
1-2、V
H
6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトD
H
遺伝子セグメントが、D
H
1-1、D
H
2-2、D
H
3-3、D
H
4-4、D
H
5-5、D
H
6-6、D
H
1-7、D
H
2-8、D
H
3-9、D
H
3-10、D
H
5-12、D
H
6-13、D
H
2-15、D
H
3-16、D
H
4-17、D
H
6-19、D
H
1-20、D
H
2-21、D
H
3-22、D
H
6-25、D
H
1-26、D
H
7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJ
H
遺伝子セグメントが、J
H
1、J
H
2、J
H
3、J
H
4、J
H
5、J
H
6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
項目216~220のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目222)
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、項目216~221のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目223)
前記げっ歯類の前記ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、項目216~222のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目224)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、項目223に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目225)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、項目223または項目224に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目226)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、項目223~225のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目227)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、項目223~226のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目228)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトV
H
遺伝子セグメントと第2のヒトV
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目223~227のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目229)
前記第1のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
1-2であり、前記第2のヒトV
H
遺伝子セグメントがV
H
6-1である、項目228に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目230)
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトV
H
遺伝子セグメントとヒトD
H
遺伝子セグメントとの間に位置する、項目223~225のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目231)
前記げっ歯類細胞が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、項目216~230のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目232)
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、項目201~231のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目233)
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、項目232に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目234)
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目232または項目233に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目235)
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、項目232~234のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目236)
前記げっ歯類ES細胞が、ラットES細胞またはマウスES細胞である、項目201~235のいずれか1項に記載のげっ歯類ES細胞。
(項目237)
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を前記抗原で免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を決定し、及び/または前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を決定するステップと、
(c)(i)ヒト重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列、及び/または
(ii)ヒト軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列、
を用いることによって完全ヒト抗体を発現させるステップと、
を含む、前記方法。
(項目238)
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)2つのヒトλ軽鎖及び2つのヒト重鎖を含む完全ヒト抗体を哺乳類細胞において発現させるステップであって、それぞれのヒトλ軽鎖が、ヒトλ軽鎖可変領域によってコードされるヒトλ軽鎖可変ドメインを含み、それぞれのヒト重鎖が、ヒト重鎖可変領域によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを含み、少なくとも1つのヒト重鎖可変領域またはヒトλ軽鎖可変領域のヌクレオチド配列が、項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類から得られたものである、前記発現させるステップと、
(b)前記完全ヒト抗体を得るステップと、
を含む、前記方法。
(項目239)
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列を決定し、及び/または前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
(c)(i)ヒト重鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列、及び/または
(ii)ヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列
を用いることによって完全ヒト抗体を発現させるステップと、
を含む、前記方法。
(項目240)
ヒト重鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列を用いることが、(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列及び前記ヒト重鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む、項目239に記載の方法。
(項目241)
ヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を用いることが、(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列及び前記ヒト軽鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む、項目239または項目240に記載の方法。
(項目242)
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)2つのヒトλ軽鎖及び2つのヒト重鎖を含む前記完全ヒト抗体を哺乳類細胞において発現させるステップであって、それぞれのヒトλ軽鎖が、ヒト軽鎖可変ドメインを含み、それぞれのヒト重鎖が、ヒト重鎖可変ドメインを含み、少なくとも1つのヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列が、項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類から得られたものである、前記発現させるステップと、
(b)前記完全ヒト抗体を得るステップと、
を含む、前記方法。
(項目243)
ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を生成させるための方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
を含む、前記方法。
(項目244)
ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定することが、前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を決定することを含む、項目243に記載の方法。
(項目245)
完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖の調製方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
(c)前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を、それぞれヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結して完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖を形成させるステップと、
を含む、前記方法。
(項目246)
前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を、それぞれヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結することが、前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を、前記ヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列に機能可能なように連結することを含む、項目245に記載の方法。
(項目247)
ヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を生成させるための方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするそれぞれヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を決定するステップと、
を含む、前記方法。
(項目248)
完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖をコードするヌクレオチド配列の調製方法であって、前記方法が、
(a)項目1~60のいずれか1項に記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするそれぞれヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を決定するステップと、
(c)前記ヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を、それぞれヒト重鎖定常領域遺伝子またはヒト軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結することで、完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖をコードするヌクレオチド配列を形成させるステップと、
を含む、前記方法。
【0099】
本明細書に含まれる図面は、下記の図から構成されており、当該図面は、例示のみを目的とするものであり、限定のためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図1A】本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用される標的化ベクター(実施例1.1に記載のもの)を構築するための方針の実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図1B】本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用される標的化ベクター(実施例1.1に記載のもの)を構築するための方針の実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図2A】げっ歯類胚性幹(ES)細胞クローン(本開示による実施形態の作製に使用したもの)の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座に標的化ベクター(実施例1.1に記載のもの)を挿入する実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図2B】本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用される標的化ベクター(実施例1.1に記載のもの)を挿入することで得られる操作されたIgκ軽鎖遺伝子座における選択カセット(複数可)をリコンビナーゼ介在性に除去する実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図3】本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用される標的化ベクター(実施例1.2に記載のもの)を構築するための方針の実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図4A】げっ歯類胚性幹(ES)細胞クローン(本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用したもの)の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座への標的化ベクター(実施例1.2に記載のもの)の挿入を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図4B】本開示によるげっ歯類の実施形態の作製に使用される標的化ベクター(実施例1.2に記載のもの)を挿入することで得られる操作されたIgκ軽鎖遺伝子座における選択カセット(複数可)をリコンビナーゼ介在性に除去する実施形態例を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
【
図5】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、野生型(WT)マウス及び6558HO(LiK、ホモ接合型)マウスから収集した脾細胞のsingle cellゲート処理したものが示され、上の横列は、CD19(y軸)及びCD3(x軸)の発現を示し、下の横列は、CD19
+ゲート処理した脾細胞による免疫グロブリンD(IgD、y軸)及び免疫グロブリンM(IgM、x軸)の発現を示す。
【
図6】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、野生型(WT)マウス及び6558HO(LiK、ホモ接合型)マウスから収集した骨髄のsingle cellゲート処理したものを代表するものが示され、上の横列は、CD19(y軸)及びCD3(x軸)の発現を示し、下の横列は、免疫グロブリンM(IgD、y軸)及びB220(x軸)の発現を示す。
【
図7】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、野生型(WT)マウス及び6558HO(LiK、ホモ接合型)マウスから得られた脾細胞のCD19
+ゲート処理したものを代表するものによって、マウスIgλ(y軸)定常領域またはマウスIgκ(x軸)定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖の発現が示される。
【
図8】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した脾細胞のsingle cellゲート処理したものを代表するものによってCD19(y軸)及びCD3(x軸)の発現が示される。HOH/LiK/λ
-/-マウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号を参照のこと)についてホモ接合型であり、LiK遺伝子座についてホモ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であるマウスを表す。HOH/KoK/LiK/λ
-/-マウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号を参照のこと)についてホモ接合型であり、LiK遺伝子座と、ヒト化免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座を含む第2のカッパ遺伝子座と、を含む一方のカッパ遺伝子座についてヘミ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であるマウスを表す。HOH/KoKマウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖についてホモ接合型であり、ヒト化免疫グロブリンカッパ軽鎖についてホモ接合型である対照マウスを表す。
【
図9】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した脾細胞のCD19
+ゲート処理したものを代表するものによって、マウスIgλ(y軸)定常領域またはマウスIgκ(x軸)定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖の発現が示される。
【
図10】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した骨髄のsingle cellゲート処理したものを代表するものによって免疫グロブリンM(IgD、y軸)及びB220(x軸)の発現が示される。
【
図11】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した骨髄のsingle cellゲート処理したものを代表するものによって、マウスIgλ(y軸)定常領域またはマウスIgκ(x軸)定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖の、未熟(上の横列)B細胞及び成熟(下の横列)B細胞における発現が示される。
【
図12】本開示による実施形態例を模式図で示し(図の縮尺は実際のものとは異なる)、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、及び当該遺伝子座の再構成によるmRNA分子の形成が示される。
【
図13】本開示による代表的な実施形態から得られた結果を示し、実施例3.3に記載の野生型(WT)マウス及び6558ホモ接合型(LiK HO)マウスから単離された血清を使用したSDS-PAGEの代表的なタンパク質免疫ブロット(ウエスタンブロット)が示される。
【
図14】本開示による実施形態の試験結果を示し、ヒト化マウスから収集した脾細胞のsingle cellゲート処理したものを代表するものによってCD19(y軸)及びCD3(x軸)の発現が示される。HOH/LiK/λ
-/-/TdTマウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号を参照のこと)についてホモ接合型であり、LiK遺伝子座についてホモ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であるマウスであって、外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を含むマウスを表す。HOH/KoK/LiK/λ
-/-/TdTマウスは、ヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号を参照のこと)についてホモ接合型であり、LiK遺伝子座と、ヒト化免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座を含む第2のカッパ遺伝子座と、を含む一方のカッパ遺伝子座についてヘミ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であるマウスであって、外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を含むマウスを表す。
【
図15】本開示による実施形態の試験結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した脾細胞のCD19
+ゲート処理したものを代表するものによって、マウスIgλ(y軸)定常領域またはマウスIgκ(x軸)定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖の発現が示される。
【
図16】本開示による実施形態の試験結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した骨髄の単一細胞のsingle cellゲート処理したものを代表するものによって免疫グロブリンM(IgM、y軸)及びB220(x軸)の発現が示される。
【
図17】本開示による実施形態の試験結果を示し、示されるさまざまなヒト化マウスから収集した骨髄のsingle cellゲート処理したものを代表するものによって、マウスIgλ(y軸)定常領域またはマウスIgκ(x軸)定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖の、未熟(上の横列)B細胞及び成熟(下の横列)B細胞における発現が示される。
【
図18】本開示による実施形態の試験結果を示し、タンパク質免疫原で免疫化した後にLiK/VI-3マウス系統、LiK/VI-3/TdTマウス系統、及びVI-3/TdTマウス系統における免疫応答を比較したグラフが示される。
【
図19】本開示による実施形態の試験結果を示し、HISタグに融合した無関係のタンパク質抗原で免疫化した後にLiK/VI-3マウス系統、LiK/VI-3/TdTマウス系統、及びVI-3/TdTマウス系統におけるHisタグに対する免疫応答を比較したグラフが示される。
【
図20】内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座の一部を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
図20では、内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座における第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列を表すものが第1の矢印によって指し示される。示されるように、内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座における第1の例示の内在性のヒトVλ非コード配列(線によって表される)は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンIgλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ3-12遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)及びヒトVλ2-11遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)に隣接して見られる。同様に、
図20では、内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座における第2の例示の内在性のヒトVλ非コード配列を表すものが第2の矢印によって指し示される。示されるように、内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座における第2の例示の内在性のヒトVλ非コード配列(線によって示される)は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ2-11遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)及びヒトVλ3-10遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)に隣接して見られる。
【
図21】内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の一部を図示する(図の縮尺は実際のものとは異なる)。
図21では、内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における第1の例示の内在性のヒトJκ非コード配列を表すものが第1の矢印によって指し示される。示されるように、内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における第1の例示の内在性のヒトJκ非コード配列(線によって示される)は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)及びヒトJκ2遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)に隣接して見られる。同様に、
図21では、内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における第2の例示の内在性のヒトJκ非コード配列を表すものが第2の矢印によって指し示される。示されるように、内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における第2の例示の内在性のヒトJκ非コード配列(線によって示される)は、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ2遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)及びヒトJκ3遺伝子セグメント(濃い灰色四角によって表される)に隣接して見られる。
【発明を実施するための形態】
【0101】
配列表から選択した配列に関する簡単な説明
下記のものは、マウス、ラット、またはヒトのラムダ遺伝子のさまざまな免疫グロブリン定常領域の代表的な核酸配列及びアミノ酸配列である。免疫グロブリン遺伝子及びポリペプチドの核酸配列及びアミノ酸配列は、International Immunogenetics Information Systemのウェブサイト(www.imgt.org.)から入手可能である。
【0102】
【0103】
【0104】
マウスCλ2 DNA(配列番号3):
GTCAGCCCAAGTCCACTCCCACTCTCACCGTGTTTCCACCTTCCTCTGAGGAGCTCAAGGAAAACAAAGCCACACTGGTGTGTCTGATTTCCAACTTTTCCCCGAGTGGTGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAAATGGTACACCTATCACCCAGGGTGTGGACACTTCAAATCCCACCAAAGAGGGCAACAAGTTCATGGCCAGCAGCTTCCTACATTTGACATCGGACCAGTGGAGATCTCACAACAGTTTTACCTGTCAAGTTACACATGAAGGGGACACTGTGGAGAAGAGTCTGTCTCCTGCAGAATGTCTC
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
ラットCλ2 DNA(配列番号9):
ACCAACCCAAGGCTACGCCCTCAGTCACCCTGTTCCCACCTTCCTCTGAAGAGCTCAAGACTGACAAGGCTACACTGGTGTGTATGGTGACAGATTTCTACCCTGGTGTTATGACAGTGGTCTGGAAGGCAGATGGTACCCCTATCACTCAGGGTGTGGAGACTACCCAGCCTTTCAAACAGAACAACAAGTACATGGCTACCAGCTACCTGCTTTTGACAGCAAAAGCATGGGAGACTCATAGCAATTACAGCTGCCAGGTCACTCACGAAGAGAACACTGTGGAGAAGAGTTTGTCCCGTGCTGAGTGTTCC
【0111】
ラットCλ2 アミノ酸(配列番号10):
【化8】
【0112】
【0113】
ラットCλ3 アミノ酸(配列番号12):
【化10】
【0114】
ラットCλ4 DNA(配列番号13):
【化11】
【0115】
ラットCλ4 アミノ酸(配列番号14):
【化12】
【0116】
【0117】
ヒトCλ1 アミノ酸(配列番号16):
【化14】
【0118】
【0119】
ヒトCλ2 アミノ酸(配列番号18):
【化16】
【0120】
【0121】
ヒトCλ3 アミノ酸(配列番号20):
【化18】
【0122】
【0123】
ヒトCλ6 アミノ酸(配列番号22):
【化20】
【0124】
【0125】
ヒトCλ7 アミノ酸(配列番号24):
【化22】
【0126】
定義
本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義され、本明細書に記載のある特定の実施形態によって限定されない。当業者なら、本明細書を読めば、そのような記載の実施形態と均等となるか、またはその他の形態で特許請求の範囲に入り得るさまざまな改変を認識するであろう。一般に、本明細書に記載の用語は、別に明確に示されない限り、それが当該技術分野で理解される意味に従って使用される。以下には、ある特定の用語の定義が明示的に示され、本明細書を通じて具体的な実例において使用されるこうした用語及び他の用語の意味は、当業者には文脈から明らかであろう。下記の用語及び他の用語についての追加の定義は、本明細書を通じて示される。本明細書内で引用される参考特許文献及び参考非特許文献、またはその関連部分は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0127】
請求要素を改変するために特許請求の範囲において順序を示す用語(「第1の」、「第2の」、「第3の」など)が使用されることは、その用語自体によって、ある請求要素が別の請求要素を上回る何らかの優先性、優位性、または順序を有していることを暗示するものでもなければ、方法の行為が実施される時間的な順序を暗示するものでもなく、ある特定の名称を有するある請求要素を、同じ名称(順序を示す用語が使用されていること以外は同じ名称)を有する別の要素と区別するための単なる標識として使用され、これによって、こうした請求要素が区別される。
【0128】
本出願において使用される「約」及び「およそ」という用語は、均等物として使用される。本出願において使用される数字はいずれも、約またはおよそによって修飾されていようがいまいが、当業者が理解する任意の通常の増減を網羅することが意図される。
【0129】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」という冠詞は、異なる定義が明確に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されたい。一群に属する1つまたは複数のメンバーの間に「または」を含む請求項または説明は、異なる定義が示されない限り、またはその他の状況の下で文脈から明らかでない限り、そうした群メンバーのうちの1つ、複数、またはすべてが、所与の生成物もしくはプロセスに存在するか、そこで用いられるか、またはその他の様式でそれと関連する場合を満たすものと見なされる。本発明は、当該群に属する正確に1つのメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在するか、そこで用いられるか、またはその他の様式でそれと関連する実施形態を含む。本発明は、当該群に属する複数またはすべてのメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在するか、そこで用いられるか、またはその他の様式でそれと関連する実施形態も含む。さらに、別段の指定がない限り、または矛盾もしくは不一致が生じ得ることが当業者に明らかとなることが想定されない限り、1つまたは複数の限定、要素、項、説明用語などが、列挙される請求項の1つまたは複数から、同じ基礎請求項に依存する別の請求項(または関連する任意の他の請求項)へと導入される変形、組み合わせ、及び順列はすべて、本発明によって包含されることが理解されよう。要素がリスト(例えば、マーカッシュ群または類似形式のもの)として提示される場合、こうした要素の各部分群も開示されると共に、当該群から任意の要素(複数可)を除外可能であることが理解されよう。一般に、本発明または本発明の態様が特定の要素、特徴などを含むと称される場合、本発明のある特定の実施形態、または本発明のある特定の態様は、そのような要素、特徴などからなるか、またはそれから本質的になると理解されたい。単純化の目的で、そうした実施形態は、そのような多くの言葉を用いて本明細書で場合ごとに具体的には示されていない。本発明の実施形態または態様はいずれも、具体的に除外されることが本明細書に記載されているか否かとは無関係に、特許請求の範囲から明確に除外可能であることも理解されたい。
【0130】
投与:本明細書で使用されるこの用語は、組成物を対象または系(例えば、細胞、臓器、組織、生物、またはその関連する構成要素もしくは構成要素のセット)に投与することを含む。投与経路は、例えば組成物が投与される対象または系、組成物の性質、投与の目的などに応じて異なり得ることを当業者なら理解するであろう。例えば、ある特定の実施形態では、動物対象(例えば、ヒトまたはげっ歯類)への投与は、気管支(気管支点滴によるものを含む)、頬側、腸内、皮下(interdermal)、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、くも膜下腔内、静脈内、脳室内、粘膜、鼻腔、口腔、直腸、皮下(subcutaneous)、舌下、局所、気管(気管内点滴によるものを含む)、経皮、膣、及び/または硝子体へのものであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、間欠投与を行うものであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも選択期間、連続投与(例えば、灌流)を行うものであり得る。
【0131】
軽快:本明細書で使用されるこの用語は、状態の阻止、低減、もしくは緩和、または対象の状態の改善を含む。軽快は、疾患、障害、または病状の完全回復または完全阻止を含むが、それが要件というわけではない。
【0132】
およそ:1つまたは複数の目的値に適用されるこの用語は、記載の参照値と同様の値を含む。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、またはその他の状況の下で文脈から明らかでない限り、記載の参照値の±10%以内(記載の参照値を超えるか、または下回る)となる値の範囲を指す(但し、そのような数が、とり得る値の100%を超えることになる場合は除かれる)。
【0133】
生物学的に活性:本明細書で使用されるこの用語は、インビトロまたはインビボ(例えば、生物内)の生物学的系において活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生物に存在するときにその生物内で生物学的な作用を有する物質は、生物学的に活性であると考えられる。特定の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性である場合、そのタンパク質またはポリペプチドにおいてそのタンパク質またはポリペプチドの生物学的な活性の少なくとも1つを共有する部分は、典型的には、「生物学的に活性」な部分と称される。
【0134】
同等:本明細書で使用されるこの用語は、2つ以上の物質、実体、状況、状態セットなどが、互いに同一ではあり得ないが、観測される差異または類似性に基づいて結論が合理的に導かれ得るほどに十分に類似していることで、それらの間での比較が可能であることを指す。2つ以上のそのような物質、実体、状況、状態セットなどが同等と見なされるには任意の所与の状況においてどの程度の同一性が必要とされるかを、当業者なら文脈を加味して理解するであろう。
【0135】
保存的:本明細書で使用されるこの用語は、保存的アミノ酸置換を説明する場合を指し、こうした保存的アミノ酸置換には、アミノ酸残基が、化学特性(例えば、電荷または疎水性)が類似する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されることが含まれる。一般に、保存的アミノ酸置換がなされても、タンパク質の目的機能特性(例えば、受容体がリガンドに結合する能力)が実質的に変化することはない。化学特性が類似する側鎖を有するアミノ酸群の例としては、以下のものが挙げられる:脂肪族側鎖(グリシン(Gly,G)、アラニン(Ala,A)、バリン(Val,V)、ロイシン(Leu,L)、及びイソロイシン(Ile,I)など)、脂肪族-ヒドロキシル側鎖(セリン(Ser,S)及びスレオニン(Thr,T)など)、アミド含有側鎖(アスパラギン(Asn,N)及びグルタミン(Gln,Q)など)、芳香族側鎖(フェニルアラニン(Phe,F)、チロシン(Tyr,Y)、及びトリプトファン(Trp,W)など)、塩基性側鎖(リジン(Lys,K)、アルギニン(Arg,R)、及びヒスチジン(His,H)など)、酸性側鎖(アスパラギン酸(Asp,D)及びグルタミン酸(Glu,E)など)、ならびに含硫側鎖(システイン(Cys,C)及びメチオニン(Met,M)など)。保存的アミノ酸置換群には、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン(Val/Leu/Ile,V/L/I)、フェニルアラニン/チロシン(Phe/Tyr,F/Y)、リジン/アルギニン(Lys/Arg,K/R)、アラニン/バリン(Ala/Val,A/V)、グルタミン酸/アスパラギン酸(Glu/Asp,E/D)、及びアスパラギン/グルタミン(Asn/Gln,N/Q)が含まれる。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、タンパク質における任意の天然残基をアラニンで置換するものであり得、こうした置換は、例えば、アラニンスキャニング変異導入法において使用されるものである。いくつかの実施形態では、Gonnet,G.H.et al.,1992,Science 256:1443-1445(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されるPAM250対数尤度行列において正の値を有する保存的置換が行われる。いくつかの実施形態では、置換は、中程度に保存的な置換であり、この場合の置換は、PAM250対数尤度行列において負ではない値を有する。
【0136】
対照:本明細書で使用されるこの用語は、結果の比較対象となる標準であるという、当該技術分野で理解される意味の「対照」を指す。典型的には、変数を抽出してそのような変数に関する結論が出るようにすることによって実験における公正性を向上させるために対照が使用される。いくつかの実施形態では、対照は、試験反応または試験アッセイと同時に実施されることで比較物を与える反応またはアッセイである。「対照」は、「対照動物」も含む。「対照動物」は、本明細書に記載の改変を有するか、本明細書に記載のものとは異なる改変を有するか、または改変を有し得ない(すなわち、野生型動物)。ある実験では、「試験」(すなわち、試験対象の変数)が適用され、第2の実験では、試験対象の当該変数が適用されず、これが「対照」となる。いくつかの実施形態では、対照は、歴史的対照(すなわち、以前に実施された試験もしくはアッセイのもの、または既に知られている量もしくは結果)である。いくつかの実施形態では、対照は、出版もしくはその他の様式で保存された記録であるか、またはそれらを含む。対照は、正の対照または負の対照であり得る。
【0137】
破壊:本明細書で使用されるこの用語は、DNA分子(例えば、内在性の相同配列(遺伝子または遺伝子座など)を有するもの)による相同組換え事象の結果を指す。いくつかの実施形態では、DNA配列(複数可)の挿入、欠失、置換、代替、ミスセンス変異、もしくはフレームシフト、またはそれらの任意の組み合わせが、破壊によって達成されるか、またはもたらされ得る。挿入には、遺伝子全体または遺伝子断片(例えば、エクソン)の挿入が含まれ得、挿入され得るこうした遺伝子全体または遺伝子断片は、内在性配列以外を起源とするもの(例えば、異種配列)であり得る。いくつかの実施形態では、破壊によって、遺伝子または遺伝子産物(例えば、遺伝子によってコードされるポリペプチド)の発現及び/または活性が増加し得る。いくつかの実施形態では、破壊によって、遺伝子または遺伝子産物の発現及び/または活性が減少し得る。いくつかの実施形態では、破壊によって、遺伝子またはコードされる遺伝子産物(例えば、コードされるポリペプチド)の配列が変化し得る。いくつかの実施形態では、破壊によって、遺伝子またはコードされる遺伝子産物(例えば、コードされるポリペプチド)が短縮化または断片化し得る。いくつかの実施形態では、破壊によって、遺伝子またはコードされる遺伝子産物が伸長し得る。いくつかのそのような実施形態では、破壊によって、融合ポリペプチドのアセンブリが達成され得る。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルに影響を及ぼし得るが、遺伝子または遺伝子産物の活性には影響を及ぼし得ない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の活性に影響を及ぼし得るが、遺伝子または遺伝子産物のレベルには影響を及ぼし得ない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルに顕著な影響を及ぼし得ない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の活性に顕著な影響を及ぼし得ない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルまたは活性のいずれにも顕著な影響を及ぼし得ない。
【0138】
決定、測定、判断、評価、アッセイ、及び分析:これらの用語は、任意の形態の測定を指すために本明細書で互換的に使用され、要素の存在有無を決定することを含む。これらの用語は、定量的決定及び/または定性的決定の両方を含む。アッセイは、相対的または絶対的なものであり得る。「の存在のアッセイ」は、存在する何かの量を決定すること、及び/またはその存在有無を決定すること、であり得る。
【0139】
内在性プロモーター:本明細書で使用されるこの用語は、天然では内在性遺伝子に(例えば、野生型生物では)付随するプロモーターを指す。
【0140】
操作された:本明細書で使用されるこの用語は、一般に、人工的に処理されているという側面を指す。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の配列が、天然ではその順序で一緒に連結されないものであり、人工的に処理されることで、操作されるポリヌクレオチドにおいて互いに直接的に連結されるとき、そのポリヌクレオチドは、「操作された」と考えられ得る。いくつかの実施形態では、第1のコード配列とは機能可能なように結び付いているが、第2のコード配列とは機能可能なように結び付いていない状態で天然では見られる調節配列であって、第2のコード配列と機能可能なように結び付くように人工的に連結された調節配列を、操作されたポリヌクレオチドは含み得る。代替または追加として、いくつかの実施形態では、ポリペプチド要素またはポリペプチドドメインをそれぞれがコードし、天然では互いに連結されない第1の核酸配列と第2の核酸配列とが、単一の操作されたポリヌクレオチドにおいて互いに連結され得る。同様に、いくつかの実施形態では、細胞または生物は、その遺伝情報が改変されるように処理されている(例えば、それまでは存在しなかった新たな遺伝物質が導入されているか、または既に存在した遺伝物質が、改変もしくは除去されている)のであれば、「操作された」と考えられ得る。慣行であり、当業者なら理解していることであるが、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫は、実際の処理が前の実体に対して実施されたものであったとしても、典型的には、依然として「操作された」と称される。さらに、当業者なら理解するであろうが、本明細書に記載の「操作」が達成され得る方法論は、さまざまなものが利用可能である。例えば、いくつかの実施形態では、「操作」は、分析または比較を実施するか、あるいはその他の方法で配列、改変などを分析、推奨、及び/または選択するようにプログラムされたコンピューターシステムを使用することによって選択または設計(例えば、核酸配列、ポリペプチド配列、細胞、組織、及び/または生物の選択または設計)を行うものであり得る。代替または追加として、いくつかの実施形態では、「操作」は、インビトロの化学合成方法論及び/または組換え核酸技術(例えば、核酸の増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を介すもの)、ハイブリダイゼーション、変異導入、形質転換、トランスフェクトなど)、及び/またはさまざまな制御された接合方法論のいずれか、を使用するものであり得る。当業者なら理解するであろうが、確立されたそのような技術(例えば、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養及び形質転換のためのもの)(例えば、電気穿孔、リポフェクションなど)は、当該技術分野でさまざまなものが知られており、本明細書を通じて引用及び/または論じられるさまざまな一般参考文献及びより具体的な参考文献に記載されている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989、及びPrinciples of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Manipulation,5th Ed.,ed.By Old,R.W.and S.B.Primrose,Blackwell Science,Inc.,1994(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0141】
機能性:本明細書で使用されるこの用語は、実体(例えば、遺伝子または遺伝子セグメント)の形態または断片が、特定の特性(例えば、コード配列の一部を形成する)及び/または活性を示すことを指す。例えば、免疫グロブリンの文脈では、アセンブリ(または組換え)が生じることで機能性のコード配列を形成する特有の遺伝子セグメント(すなわち、V、D、及び/またはJ)によって可変領域がコードされる。遺伝子セグメントは、ゲノムに存在するときは、多様性は生じるものの、クラスター中にまとまっている。「機能性」遺伝子セグメントは、発現する配列(すなわち、可変領域)に出現する遺伝子セグメントであって、それに対応するゲノムDNAが単離(すなわち、クローニング)され、シークエンスによって同定されている遺伝子セグメントである。免疫グロブリン遺伝子セグメント配列が、発現するレパートリーには出現しないものの、オープンリーディングフレームを含み、機能性であると考えられる場合もある一方で、免疫グロブリン遺伝子セグメント配列が、変異(例えば、点変異、挿入、欠失など)を含むことで終止コドン及び/または短縮型配列が生じ、それに伴って、そのような遺伝子セグメント配列が、非変異配列(複数可)には伴う特性(複数可)及び/または活性(複数可)を発揮することが不可能となる場合もある。そのような配列は、発現する配列には出現せず、それ故に、偽遺伝子として分類される。
【0142】
遺伝子:本明細書で使用されるこの用語は、染色体において産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードするDNA配列を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子は、コード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子は、非コード配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、遺伝子は、コード(例えば、エクソン)配列も非コード配列(例えば、イントロン)配列も含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子は、1つまたは複数の調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)及び/またはイントロン配列を含み得、こうした配列は、例えば、遺伝子発現(例えば、細胞型特異的発現、誘導性発現など)の側面の1つまたは複数を制御するか、またはそれに影響を与え得る配列である。明確化の目的で記載すると、本開示において使用される「遺伝子」という用語は、一般に、ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸の一部分を指すことに留意されたい。当業者には文脈から明らかであろうが、この用語は、任意選択で調節配列を包含し得る。この定義は、「遺伝子」という用語が非タンパク質コード発現単位に適用されることの除外を意図するものではなく、むしろ、本文書で使用されるこの用語がポリペプチドコード核酸を指すことが多いことの明確化を意図するものである。
【0143】
異種:本明細書で使用されるこの用語は、物質または実体が、異なる供給源に由来することを指す。例えば、この用語は、特定の細胞または生物に存在するポリペプチド、遺伝子、または遺伝子産物に関して使用されるとき、言及されるポリペプチド、遺伝子、または遺伝子産物が、1)人工的に操作されたものであり、2)(例えば、遺伝子操作を介して)人工的に細胞もしくは生物(またはその前駆体)に導入されたものであり、及び/または3)言及される細胞もしくは生物(例えば、言及される細胞型もしくは生物型)によって天然では産生されないか、またはそこに天然では存在しないものであることを明確化するものである。「異種」は、ポリペプチド、遺伝子、または遺伝子産物が特定の天然の細胞または生物には通常存在するが、変更または改変されていることも含み、こうした変更または改変は、例えば、変異導入によって行われるか、または天然では付随しない調節要素であって、いくつかの実施形態では非内在性である調節要素(例えば、プロモーター)の制御下に配置することによって行われる。
【0144】
宿主細胞:本明細書で使用されるこの用語は、核酸またはタンパク質が導入されている細胞を指す。そのような用語は、特定の対象細胞を指すだけでなく、そのような細胞の子孫を指すためにも使用されることを、当業者なら本開示を読めば理解するであろう。そのような子孫は、変異または環境の影響に起因して世代を経るにつれてある特定の改変が生じ得るため、実際は親細胞と同一ではあり得ないが、「宿主細胞」という語句の範囲内に依然として含まれる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核細胞もしくは真核細胞であるか、または原核細胞もしくは真核細胞を含む。一般に、宿主細胞は、細胞が分類される生命界とは無関係に、異種核酸または異種タンパク質の受容及び/または産生に適した任意の細胞である。細胞の例としては、原核生物及び真核生物の細胞(単一細胞または複数細胞)、細菌細胞(例えば、Escherichia coli、Bacillus属の種、Streptomyces属の種などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia methanolicaなど)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞、Trichoplusia niなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、または細胞融合体(例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞、サル細胞、類人猿細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、またはマウス細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞であり、下記の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB-11 CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎細胞(例えば、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC5、Colo205、HB8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(上皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、Sertoli細胞、BRL 3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、及び前述の細胞に由来する細胞株。いくつかの実施形態では、細胞は、1つまたは複数のウイルス遺伝子を含み、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(登録商標)細胞)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単離された細胞であるか、または単離された細胞を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、組織の一部である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、生物の一部である。
【0145】
同一性:配列の比較と関連して本明細書で使用されるこの用語は、ヌクレオチド配列及び/またはアミノ酸配列の同一性を測定するために使用され得る、当業者に知られるいくつかの異なるアルゴリズムによって決定される同一性を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の同一性は、10.0のオープンギャップペナルティ、0.1の伸長ギャップペナルティを用いるClustalW v.1.83(低速)アライメント、及びGonnet類似性行列(MACVECTOR(商標)10.0.2,MacVector Inc.,2008)を使用して決定される。
【0146】
の代わりに:本明細書で使用されるこの用語は、第1の核酸配列が、染色体における第2の核酸配列の位置(例えば、第2の核酸配列が、染色体において以前は(例えば、元々は)例えば第2の核酸配列の内在性の遺伝子座に位置していた位置)に位置する位置置換を指す。「の代わりに」という語句は、第2の核酸配列が、例えば遺伝子座または染色体から除去されることを必要とするものではない。いくつかの実施形態では、第2の核酸配列と第1の核酸配列とは、例えば、これらの第1の配列と第2の配列とが、互いに相同的であり、対応する要素(例えば、タンパク質コード要素、調節要素など)を含み、及び/または類似もしくは同一の配列を有するという点において、互いに同等である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列及び/または第2の核酸配列は、プロモーター、エンハンサー、スプライスドナー部位、スプライスアクセプター部位、イントロン、エクソン、非翻訳領域(UTR)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列及び/または第2の核酸配列は、1つまたは複数のコード配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第2の核酸配列のホモログまたはバリアント(例えば、変異体)である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第2の配列のオルソログまたはホモログである。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、ヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列がヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む場合を含めて、第2の核酸配列は、げっ歯類配列(例えば、マウス配列もしくはラット配列)であるか、またはげっ歯類配列(例えば、マウス配列もしくはラット配列)を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列がヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む場合を含めて、第2の核酸配列は、ヒト配列であるか、またはヒト配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第2の配列のバリアントまたは変異体(すなわち、第2の配列と比較して1つまたは複数の配列差異(例えば、置換)を含む配列)である。実際に導入される核酸配列は、実際に導入される配列を得るために使用される供給源核酸配列の一部である調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’非翻訳領域、または3’非翻訳領域など)を1つまたは複数含み得る。例えば、さまざまな実施形態において、第1の核酸配列は、内在性配列を異種配列で置換するものであり、この置換の結果、実際に導入された核酸配列(異種配列を含む)からは遺伝子産物が産生するが、内在性配列は発現しない。第1の核酸配列は、内在性のゲノム配列の特徴を有するものであり、当該内在性配列によってコードされるポリペプチドと類似の機能を有するポリペプチドをコードする核酸配列を有する(例えば、当該内在性のゲノム配列は、非ヒト可変領域ポリペプチドの全部または一部をコードし、当該DNA断片は、1つまたは複数のヒト可変領域ポリペプチドの全部または一部をコードする)。さまざまな実施形態において、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントまたはその断片は、内在性の非ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントまたはその断片の代わりに存在する。
【0147】
インビトロ:本明細書で使用されるこの用語は、多細胞生物内ではなく、人工的な環境(例えば、試験管内または反応容器内、細胞培養物内など)において事象が生じることを指す。
【0148】
インビボ:本明細書で使用されるこの用語は、多細胞生物(ヒト及び/または非ヒト動物など)内で事象が生じることを指す。細胞ベースの系の文脈では、この用語は、(例えば、インビトロ系と対比して)生細胞内で事象が生じることを指すために使用され得る。
【0149】
単離された:本明細書で使用されるこの用語は、物質及び/または実体が、(1)それが最初に生じたとき(天然及び/または実験的状況であるかは問われない)にはそれに付随していた成分の少なくともいくつかとは分離されており、及び/または(2)人工的に設計、生成、調製、及び/または製造されているものであることを指す。単離された物質及び/または実体は、それに最初に付随したその他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超が分離された状態であり得る。いくつかの実施形態では、単離された物質は、それに最初に付随したその他の成分の10%~100%、15%~100%、20%~100%、25%~100%、30%~100%、35%~100%、40%~100%、45%~100%、50%~100%、55%~100%、60%~100%、65%~100%、70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、または99%~100%が分離されている。いくつかの実施形態では、単離された物質は、それに最初に付随したその他の成分の10%~100%、10%~99%、10%~98%、10%~97%、10%~96%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、または10%~15%が分離されている。いくつかの実施形態では、単離された物質は、それに最初に付随したその他の成分の11%~99%、12%~98%、13%~97%、14%~96%、15%~95%、20%~90%、25%~85%、30%~80%、35%~75%、40%~70%、45%~65%、50%~60%、または55%~60%が分離されている。いくつかの実施形態では、単離された物質の純度は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超である。いくつかの実施形態では、単離された物質の純度は、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、96%~99%、97%~99%、または98%~99%である。いくつかの実施形態では、単離された物質の純度は、80%~99%、80%~98%、80%~97%、80%~96%、80%~95%、80%~90%、または80%~85%である。いくつかの実施形態では、単離された物質の純度は、85%~98%、90%~97%、または95%~96%である。いくつかの実施形態では、物質は、他の成分を実質的に含まないのであれば、「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者なら理解するであろうが、物質は、ある特定の他の成分(例えば、1つまたは複数の担体または医薬品添加物(例えば、緩衝剤、溶剤、水など)など)と組み合わさった後にも依然として「単離された」と考えられるか、または「純粋」であるとさえ考えられ得る。そのような実施形態では、物質の単離パーセントまたは純度は、そのような担体または医薬品添加物を含めずに計算される。一例を挙げるにすぎないが、いくつかの実施形態では、天然に生じる生物学的ポリマー(ポリペプチドまたはポリヌクレオチドなど)は、a)それが得られる起源または供給源の要因によって、天然におけるその天然状態ではそれに付随する成分のいくつかまたはすべてがそれに伴わないとき、b)天然においてそれを産生する種と同一の種の他のポリペプチドまたは核酸をそれが実質的に含まないとき、あるいはc)天然においてそれを産生する種のものではない細胞もしくは他の発現系によってそれが発現するか、またはその他の様式で当該細胞もしくは他の発現系に由来する成分がそれに付随するとき、「単離された」と考えられる。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、化学的に合成されるか、またはそれを天然に産生するものとは異なる細胞系において合成されるものであるとき、「単離された」ポリペプチドであると考えられる。代替または追加として、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の精製技術に供されているポリペプチドは、a)天然ではそれに付随し、及び/またはb)それが最初に産生したときにそれに付随する他の物質からそれが分離されている限りにおいては、「単離された」ポリペプチドであると考えられ得る。
【0150】
遺伝子座:本明細書で使用されるこの用語は、遺伝子(もしくは相当配列)、DNA配列、またはポリペプチドコード配列の位置(複数可)を指すか、あるいは生物のゲノムの染色体上の位置を指す。例えば、「免疫グロブリン遺伝子座」は、免疫グロブリン遺伝子セグメント(例えば、V、D、J、もしくはC)、免疫グロブリン遺伝子セグメントDNA配列、または免疫グロブリン遺伝子セグメントコード配列の位置を指すか、あるいは生物のゲノムの染色体上でそのような配列が存在することが同定されている免疫グロブリン遺伝子セグメント位置を指し得る。「免疫グロブリン遺伝子座」は、免疫グロブリン遺伝子セグメントの制御要素を含み得、こうした制御要素には、限定されないが、エンハンサー配列、プロモーター配列、5’調節配列、及び/または3’調節配列、あるいはエンハンサー領域、プロモーター領域、5’調節領域、及び/または3’調節領域、あるいはそれらの組み合わせが含まれる。「免疫グロブリン遺伝子座」は、遺伝子間DNA(例えば、野生型遺伝子座において遺伝子セグメントの間に通常は存在または出現するDNA)を含み得る。染色体は、いくつかの実施形態では、数百の遺伝子または数千にも及ぶ遺伝子を含み、異なる種の間で比較すると類似の遺伝子座が局在化する位置が物理的に共通し得ることを当業者なら理解するであろう。そのような遺伝子座は、シンテニーが共有されていると説明され得る。
【0151】
天然では見られる:生物学的要素(例えば、核酸配列)に関して本明細書で使用されるこの用語は、細胞または生物(例えば、動物)において、操作(例えば、遺伝子操作)が行われていなければ、特定の状況及び/または位置に生物学的要素が見られ得ることを意味する。換言すれば、天然では特定の状況及び/または位置に見られる配列が、操作(例えば、遺伝子操作)の結果として、特定の状況及び/または位置に存在しないということである。例えば、天然では内在性のヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1遺伝子セグメントに隣接して見られる配列は、ヒトにおいて、遺伝子操作が行われていなければ、内在性のヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1遺伝子セグメントに隣接して見られ得る配列である。いくつかの実施形態では、配列は、それが細胞または生物に天然では見られる場所から入手、取得、及び/または単離され得る。いくつかの実施形態では、細胞または生物は、当該細胞または生物に天然では見られる配列の直接的な供給源ではない。例えば、細胞または生物における対応配列は、同定された後、当該技術分野で知られる機構によって生成または複製され得る。
【0152】
非ヒト動物:本明細書で使用されるこの用語は、ヒトではない任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、円口類、硬骨魚類、軟骨魚類(例えば、サメまたはエイ)、両生類、爬虫類、哺乳類、及び鳥類である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳類は、霊長類、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、雌ウシ、またはげっ歯類である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、げっ歯類(ラットまたはマウスなど)である。
【0153】
核酸:本明細書で使用されるこの用語は、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込まれ得る化合物及び/または物質である。文脈から明らかであろうが、いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド)を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、RNAであるか、またはRNAを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、DNAであるか、またはDNAを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つもしくは複数の天然核酸残基であるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つもしくは複数の核酸アナログであるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸アナログは、ホスホジエステル骨格を利用しないという点において、「核酸」とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つもしくは複数の「ペプチド核酸」であるか、それを含むか、またはそれからなり、「ペプチド核酸」は、当該技術分野で知られており、ホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を骨格中に有する。代替または追加として、いくつかの実施形態では、「核酸」は、ホスホジエステル結合ではなく、ホスホロチオエート結合及び/または5’-N-ホスホロアミダイト結合を1つまたは複数有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つもしくは複数の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)であるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つもしくは複数のヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、介在塩基(intercalated base)、及びそれらの組み合わせ)であるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、天然核酸に見られる糖と比較して修飾された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を1つまたは複数含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、機能性遺伝子産物(RNAまたはポリペプチドなど)をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つまたは複数のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つまたは複数のエクソンを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、天然源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素合成(インビボまたはインビトロ)、組換え細胞または組換え系における再産生、及び化学合成、のうちの1つまたは複数によって調製される。いくつかの実施形態では、「核酸」は、例えば、限定されないが、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも110個、少なくとも120個、少なくとも130個、少なくとも140個、少なくとも150個、少なくとも160個、少なくとも170個、少なくとも180個、少なくとも190個、少なくとも20個、少なくとも225個、少なくとも250個、少なくとも275個、少なくとも300個、少なくとも325個、少なくとも350個、少なくとも375個、少なくとも400個、少なくとも425個、少なくとも450個、少なくとも475個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個、少なくとも1500個、少なくとも2000個、少なくとも2500個、少なくとも3000個、少なくとも3500個、少なくとも4000個、少なくとも4500個、少なくとも5000個、またはそれを超える数の残基の長さを有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、一本鎖である。いくつかの実施形態では、「核酸」は、二本鎖である。いくつかの実施形態では、「核酸」は、ポリペプチドをコードする要素を少なくとも1つ含むヌクレオチド配列を有するか、またはポリペプチドをコードする配列の相補配列である要素を少なくとも1つ含むヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、酵素活性を有する。
【0154】
機能可能なように連結された:本明細書で使用されるこの用語は、記載の要素が、その意図される様式でそれが機能することを可能にする関係性において並置されていることを指す。コード配列に「機能可能なように連結された」制御配列は、制御配列と適合する条件の下でコード配列の発現が達成されるような様式でライゲーションされている。「機能可能なように連結された」配列は、目的遺伝子と近接する発現制御配列と、トランス作用を及ぼして目的遺伝子(もしくは目的配列)を制御する発現制御配列、または離れた位置から作用して目的遺伝子(もしくは目的配列)を制御する発現制御配列と、の両方を含む。「発現制御配列」という用語は、ライゲーション対象であるコード配列の発現及びプロセシングに影響を与える上で必要なポリヌクレオチド配列を含む。「発現制御配列」は、適切な転写開始配列、転写終結配列、転写プロモーター配列、及び転写エンハンサー配列、効率的なRNAプロセシングシグナル(スプライシングシグナル及びポリアデニル化シグナルなど)、細胞質mRNAを安定化する配列、翻訳効率を向上させる配列(すなわち、コザックコンセンサス配列)、ポリペプチドの安定性を向上させる配列、ならびに望まれるときには、ポリペプチドの分泌を向上させる配列、を含む。そのような制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なる。例えば、原核生物では、そのような制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含み、一方、真核生物では、典型的には、そのような制御配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、発現及びプロセシングに不可欠な存在である構成要素を含むことが意図され、存在すると有利となる追加の構成要素(例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列)も含み得る。
【0155】
生理学的条件:本明細書で使用されるこの用語は、細胞または生物が生存し、及び/またはその数を増やす条件に関してこの用語が当該技術分野で理解される意味を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、生物系または細胞系について天然で生じ得る外部環境条件または内部環境条件を含む。いくつかの実施形態では、生理学的条件は、ヒトまたは非ヒト動物の体内に生じる条件であり、特に、手術部位及び/またはその内部に生じる条件である。生理学的条件には、典型的には、例えば、20~40℃の温度範囲、1の気圧、6~8のpH、1~20mMのグルコース濃度、大気レベルの酸素濃度、及び地球上で受ける重力が含まれる。いくつかの実施形態では、実験室における条件は、生理学的条件に操作及び/または維持される。いくつかの実施形態では、生理学的条件は、生物に見られるものである。
【0156】
ポリペプチド:本明細書で使用されるこの用語は、アミノ酸の任意のポリマー鎖を指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に生じるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然には生じないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然では互いに別々に生じる部分(すなわち、2種類以上の異なる生物に由来する部分(例えば、ヒト部分及び非ヒト部分))を含むアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、人工的に設計及び/または生成されるという点において操作されたアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然には生じない配列(例えば、当該ポリペプチドをコードするために人工的に設計及び/または生成されるという点において操作された配列)によってコードされるアミノ酸配列を有する。
【0157】
組換え:本明細書で使用されるこの用語は、ポリペプチドが組換え手段によって設計、操作、調製、発現、創出、または単離されることを指し、こうして得られるポリペプチドは、組換え発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることで発現するポリペプチド、組換えヒトポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーから単離されたポリペプチド(Hoogenboom,H.R.,1997,TIB Tech.15:62-70、Azzazy,H.and W.E.Highsmith,2002,Clin.Biochem.35:425-45、Gavilondo,J.V.and J.W.Larrick,2002,BioTechniques 29:128-45、Hoogenboom H.,and P.Chames,2000,Immunol.Today 21:371-8(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むように遺伝子操作されている動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:6287-95、Kellermann,S-A.and L.L.Green,2002,Curr.Opin.Biotechnol.13:593-7、Little,M.et al.,2000,Immunol.Today 21:364-70、Osborn,M.J.et al.,2013,J.Immunol.190:1481-90、Lee,E-C.et al.,2014,Nat.Biotech.32(4):356-63、Macdonald,L.E.et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5147-52、Murphy,A.J.et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153-8(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、または選択される配列要素が互いに関連してスプライシングを受ける任意の他の手段によって調製、発現、創出、もしくは単離されるポリペプチドなどである。いくつかの実施形態では、そのような選択される配列要素の1つまたは複数は、天然に見られるものである。いくつかの実施形態では、そのような選択される配列要素の1つまたは複数は、インシリコで設計される。いくつかの実施形態では、そのような選択される配列要素の1つまたは複数は、既知の配列要素(例えば、天然の供給源または合成の(例えば、人工的な)供給源に由来するもの)に変異が導入される(例えば、インビボまたはインビトロで行われる)ことで得られる。例えば、いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、目的の供給源生物(例えば、ヒト、マウスなど)のゲノムに見られる配列から構成される。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、変異導入(例えば、インビトロまたはインビボでのものであり、例えば、非ヒト動物において行われる)によって得られるアミノ酸配列を有し、その結果、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリペプチド配列が起源であり、それと関連はするものの、天然ではインビボで非ヒト動物のゲノム内に存在し得ない配列となる。
【0158】
参照:本明細書で使用されるこの用語は、目的の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値の比較対象となる標準または対照の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値を指す。いくつかの実施形態では、参照の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値は、目的の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値の試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態では、参照の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値は、歴史的参照であり、こうした歴史的参照は、任意選択で実際の媒体において具体化される。いくつかの実施形態では、参照は、対照を指し得る。「参照」は、「参照動物」も含む。「参照動物」は、本明細書に記載の改変を有するか、本明細書に記載のものとは異なる改変を有するか、または改変を有し得ない(すなわち、野生型動物)。典型的には、当業者なら理解するであろうが、参照の物質、動物、コホート、個体、集団、試料、配列、または値は、目的の物質、動物(例えば、哺乳類)、コホート、個体、集団、試料、配列、または値の決定または特徴付けに利用されるものと同等の条件の下で決定または特徴付けされる。
【0159】
代替:本明細書で使用されるこの用語は、宿主遺伝子座(例えば、ゲノムにおけるもの)に見られる「代替される」核酸配列(例えば、遺伝子)が、当該遺伝子座から除去され、その位置に異なる「代替」核酸が位置するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、代替される核酸配列及び代替核酸配列は、例えば、それらの配列が、互いに相同的であり、対応する要素(例えば、タンパク質コード要素、調節要素など)を含み、及び/または類似もしくは同一の配列を有するという点において、互いに同等である。いくつかの実施形態では、代替される核酸配列は、プロモーター、エンハンサー、スプライスドナー部位、スプライスアクセプター部位、イントロン、エクソン、非翻訳領域(UTR)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、代替核酸配列は、1つまたは複数のコード配列を含む。いくつかの実施形態では、代替核酸配列は、代替される核酸配列のホモログまたはバリアント(例えば、変異体)である。いくつかの実施形態では、代替核酸配列は、代替される配列のオルソログまたはホモログである。いくつかの実施形態では、代替核酸配列は、ヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、代替核酸配列がヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む場合を含めて、代替される核酸配列は、げっ歯類配列(例えば、マウス配列もしくはラット配列)であるか、またはげっ歯類配列(例えば、マウス配列もしくはラット配列)を含む。いくつかの実施形態では、代替核酸配列がヒト核酸配列であるか、またはヒト核酸配列を含む場合を含めて、代替される核酸配列は、ヒト配列であるか、またはヒト配列を含む。いくつかの実施形態では、代替核酸配列は、代替される配列のバリアントまたは変異体(すなわち、代替される配列と比較して1つまたは複数の配列差異(例えば、置換)を含む配列)である。実際に導入される核酸配列は、実際に導入される配列を得るために使用される供給源核酸配列の一部である調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’非翻訳領域、または3’非翻訳領域など)を1つまたは複数含み得る。例えば、さまざまな実施形態において、代替物は、内在性配列を異種配列で置換するものであり、この置換の結果、実際に導入された核酸配列(異種配列を含む)からは遺伝子産物が産生するが、内在性配列は発現しない。代替物は、内在性のゲノム配列の特徴を有するものであり、当該内在性配列によってコードされるポリペプチドと類似の機能を有するポリペプチドをコードする核酸配列を有する(例えば、当該内在性のゲノム配列は、非ヒト可変領域ポリペプチドの全部または一部をコードし、当該DNA断片は、1つまたは複数のヒト可変領域ポリペプチドの全部または一部をコードする)。さまざまな実施形態において、内在性の非ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントまたはその断片は、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントまたはその断片で代替される。
【0160】
実質的に:本明細書で使用されるこの用語は、目的の特徴または特性が示される程度または度合いが完全またはほぼ完全である定性的な状態を指す。生物学的現象及び化学的現象が、皆無ではないにせよ、完了に至り、及び/または完全な状態まで進行するか、あるいは絶対的な結果を達成または回避することは稀であることを生物学分野の当業者なら理解するであろう。それ故に、「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び化学的現象に固有の潜在的な完全性欠如をとらえるために本明細書で使用される。
【0161】
実質的な類似性:本明細書で使用されるこの用語は、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を指す。当業者なら理解するであろうが、2つの配列は、一般に、類似残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を対応位置に含むのであれば、「実質的に類似する」と考えられる。当該技術分野では理解されていることであるが、類似残基は、同一残基であり得る(後述の実質的な同一性も参照のこと)一方で、類似残基は、ほぼ同等の構造特徴及び/または機能特徴を有する非同一残基でもあり得る。例えば、当業者にはよく知られていることであるが、ある特定のアミノ酸は、典型的には、「疎水性」アミノ酸もしくは「親水性」アミノ酸として分類され、及び/または「極性」側鎖もしくは「非極性」側鎖を有するものとして分類される。あるアミノ酸を同じ型の別のアミノ酸へと置換することは、多くの場合、「保存的」置換であると考えられ得る。以下の表は、典型的なアミノ酸分類のまとめである。
【表3】
【表4】
【0162】
当該技術分野ではよく知られていることであるが、アミノ酸配列または核酸配列は、さまざまなアルゴリズムのいずれを使用しても比較することができ、こうしたアルゴリズムには、商業的なコンピュータープログラム(ヌクレオチド配列についてはBLASTN、ならびにアミノ酸配列についてはBLASTP、ギャップBLAST、及びPSI-BLASTなど)において利用可能なものが含まれる。そのようなプログラムの例は、Altschul,S.F.et al.,1990,J.Mol.Biol.,215(3):403-10、Altschul,S.F.et al.,1996,Meth.Enzymol.266:460-80、Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389-402、Baxevanis,A.D.and B.F.F.Ouellette(eds.)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.132,Humana Press,1998(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。上述のプログラムは、類似配列を同定することに加えて、典型的には、類似性度の指標も提供する。いくつかの実施形態では、2つの配列は、それらの対応残基の関連残基区間にわたる類似性(例えば、同一性、または保存的置換を含む)が、例えば、限定されないが、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれを超える%であるならば、実質的に類似すると考えられる。いくつかの実施形態では、関連区間は、完全配列(例えば、遺伝子の配列、遺伝子セグメント、ドメインをコードする配列、ポリペプチド、またはドメイン)である。いくつかの実施形態では、関連区間の残基数は、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、またはそれを超える数である。いくつかの実施形態では、関連区間の残基数は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、またはそれを超える数である。いくつかの実施形態では、関連区間は、完全配列に沿う連続残基を含む。いくつかの実施形態では、関連区間は、完全配列に沿う非連続残基を含み、こうした非連続残基は、例えば、ポリペプチドまたはその一部が折り畳まれて立体構造が生じることによって一緒にまとまる非連続残基である。
【0163】
実質的な同一性:本明細書で使用されるこの用語は、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を指す。当業者なら理解するであろうが、2つの配列は、一般に、同一残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を対応位置に含むのであれば、「実質的に同一」であると考えられる。当該技術分野ではよく知られていることであるが、アミノ酸配列または核酸配列は、さまざまなアルゴリズムのいずれを使用しても比較することができ、こうしたアルゴリズムには、商業的なコンピュータープログラム(ヌクレオチド配列についてはBLASTN、ならびにアミノ酸配列についてはBLASTP、ギャップBLAST、及びPSI-BLASTなど)において利用可能なものが含まれる。そのようなプログラムの例は、Altschul,S.F.et al.,1990,J.Mol.Biol.,215(3):403-10、Altschul,S.F.et al.,1996,Meth.Enzymol.266:460-80、Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389-402、Baxevanis,A.D.and B.F.F.Ouellette(eds.)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.132,Humana Press,1998(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。上述のプログラムは、同一配列を同定することに加えて、典型的には、同一性度の指標も提供する。いくつかの実施形態では、2つの配列は、それらの対応残基の関連残基区間にわたる同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれを超える%であるならば、実質的に同一であると考えられる。いくつかの実施形態では、関連残基区間は、完全配列である。いくつかの実施形態では、関連残基区間の残基数は、例えば、限定されないが、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、またはそれを超える数である。
【0164】
標的化コンストラクトまたは標的化ベクター:本明細書で使用されるこの用語は、標的化領域を含むポリヌクレオチド分子を指す。標的化領域は、標的細胞、標的組織、または標的動物における配列と同一または実質的に同一の配列を含み、当該細胞、組織、または動物のゲノム内の位置へと相同組換えを介して標的化コンストラクトの組み込みに提供される。部位特異的リコンビナーゼの認識部位(例えば、loxP部位またはFrt部位)を標的化に使用する標的化領域も含められ、こうした標的化領域は、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的化コンストラクトは、特定の目的核酸配列もしくは目的遺伝子、選択可能マーカー、制御配列、及び/または調節配列、ならびにそのような配列が関与する組換えを支援または促進するタンパク質を外来性に導入することによって媒介される組換えを可能にする他の核酸配列、をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的化コンストラクトは、目的遺伝子の全部または一部をさらに含み、目的遺伝子は、内在性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を有するポリペプチドの全部または一部をコードする異種遺伝子である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的化コンストラクトは、目的ヒト化遺伝子の全部または一部をさらに含み、目的ヒト化遺伝子は、内在性配列によってコードされるポリペプチドと類似の機能を有するポリペプチドの全部または一部をコードする。いくつかの実施形態では、標的化コンストラクト(または標的化ベクター)は、人工的に処理された核酸配列を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の配列を含む操作されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドを含むように標的化コンストラクト(または標的化ベクター)を構築することができ、これらの2つ以上の配列は、天然ではその順序で一緒に連結されることがないが、当該操作されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドにおいて互いに直接的に連結されるように人工的に処理されている。
【0165】
導入遺伝子または導入遺伝子コンストラクト:本明細書で使用されるこれらの用語は、本明細書に記載の方法などによって人工的に細胞に導入されている核酸配列(例えば、目的ポリペプチドの全部または一部をコードするもの)を指す。導入遺伝子は、それが導入される遺伝子操作動物または遺伝子操作細胞にとって、部分的または全体的に異種、すなわち、外来のものであり得る。導入遺伝子は、1つまたは複数の転写調節配列と、選択される核酸配列の発現に必要となり得る任意の他の核酸(イントロンまたはプロモーターなど)と、を含み得る。
【0166】
遺伝子改変された非ヒト動物または遺伝子操作された非ヒト動物:これらの用語は、本明細書で互換的に使用され、目的ポリペプチドの全部または一部をコードする異種核酸及び/または異種遺伝子を自体の細胞の1つまたは複数が含む任意の非天然起源の非ヒト動物を指す。例えば、いくつかの実施形態では、「遺伝子改変された非ヒト動物」または「遺伝子操作された非ヒト動物」は、本明細書に記載の導入遺伝子または導入遺伝子コンストラクトを含む非ヒト動物を指す。いくつかの実施形態では、異種核酸及び/または異種遺伝子は、前駆細胞への導入、意図的な遺伝子処理(マイクロインジェクションなど)、または組換えウイルスを用いる感染によって、直接的または間接的に細胞に導入される。遺伝子処理という用語は、古典的な交配繁殖技術は含まず、むしろ、組換えDNA分子(複数可)の導入を対象とする。この分子は、染色体内に組み込まれ得るか、または染色体外で複製されるDNAであり得る。「遺伝子改変された非ヒト動物」または「遺伝子操作された非ヒト動物」という語句は、異種核酸及び/または異種遺伝子についてヘテロ接合型またはホモ接合型である動物、及び/または異種核酸及び/異種遺伝子のコピーを1つまたは複数有する動物、を指す。
【0167】
ベクター:本明細書で使用されるこの用語は、自体に付随する別の核酸を輸送する能力を有する核酸分子を指す。ある実施形態では、ベクターは、それと連結される核酸を宿主細胞(真核細胞及び/または原核細胞など)において染色体外で複製及び/または発現させる能力を有する。機能可能なように連結された遺伝子の発現を誘導する能力を有するベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
【0168】
野生型:本明細書で使用されるこの用語は、(変異体、疾患状態、改変状態などと対比して)「通常」の状態または状況で天然に見られる構造及び/または活性を有する実体を指す。野生型の遺伝子及びポリペプチドは、多くの場合、複数の異なる形態(例えば、アレル)で存在することを当業者なら理解するであろう。
【0169】
詳細な説明
本開示は、とりわけ、ヒトVλドメインをコードする異種遺伝物質を有する操作された非ヒト動物を提供し、当該異種遺伝物質は、ヒトVλ遺伝子配列及びヒトJλ遺伝子配列(すなわち、遺伝子セグメント)と、ヒト部分及び非ヒト部分を含むIgλ軽鎖を有する抗体、または完全にヒトのIgλ軽鎖を有する抗体、を適切に再構成(例えば、組換えシグナル配列(RSS))し、発現させる他のヒト配列と、を含む。例えば、さまざまな実施形態において、操作された非ヒト動物のゲノムにヒト遺伝子セグメントが存在するとき、対応する組換えシグナル配列(複数可)も存在し得る(例えば、Vλ遺伝子セグメントにはVλRSSが付随し、Jλ遺伝子セグメントにはJλRSSが付随し、Vκ遺伝子セグメントにはVκRSSが付随し、Jκ遺伝子セグメントにはJκRSSが付随するなどする)。さまざまな実施形態において、提供される操作された非ヒト動物は、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを有する軽鎖を含む抗体が当該非ヒト動物の抗体レパートリーに発現するような様式で挿入された異種遺伝物質を含む。さらに、提供される操作された非ヒト動物は、当該非ヒト動物の生殖細胞ゲノムにおいてヒトIgλ遺伝子配列及び非ヒトIgλ遺伝子配列(例えば、遺伝子セグメント)ならびにいくつかの実施形態ではヒトIgκ軽鎖配列を含む操作されたIgκ軽鎖遺伝子座から、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを有する軽鎖を含む抗体が発現するような様式で挿入された異種遺伝物質を含む。
【0170】
いずれの特定の理論によっても拘束されることは望まないが、本明細書に記載の非ヒト動物は、治療抗体を産生させるためのヒトVλドメインを含む抗体の発現を活用する改良型のインビボ系を提供することが企図される。偏った抗体応答(例えば、κ軽鎖またはλ軽鎖のいずれかの比率が圧倒的に高いことによって特徴付けられる抗体応答)と関連する疾患標的に対するヒト抗体ベースの治療剤(例えば、ヒトモノクローナル抗体、多重特異性の結合物質、scFv、融合ポリペプチドなど)を開発するための異種遺伝物質を含む別の操作形態の軽鎖遺伝子座(例えば、Igκ軽鎖遺伝子座)が、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物から得られることも企図される。したがって、抗体レパートリー及び/または抗体応答が偏ることに部分的には起因して、付随する免疫原性が不十分な標的(例えば、ウイルス)に対するヒト抗体及びヒト抗体ベースの分子(例えば、多重特異性の結合物質、scFv、融合ポリペプチドなど)を開発する上で、提供される非ヒト動物は特に有用である。
【0171】
本開示では、とりわけ、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及びCλ遺伝子を含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座について記載される。そのような遺伝子座は、「ラムダ・イン・カッパ」遺伝子座または「LiK」と称される。
【0172】
具体的には、本開示では、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含む生殖細胞ゲノムを有する非ヒト動物(例えば、げっ歯類)の作製について記載され、当該操作されたIgκ軽鎖遺伝子座は、いくつかの実施形態では、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結されるように、当該複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが導入され、非ヒトCκ遺伝子の代わりに当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子が導入されていることによって特徴付けられる。本明細書に記載のように、そのような操作されたIgκ軽鎖遺伝子座が生成される結果として、非ヒト動物の生殖細胞ゲノムにおける当該操作されたIgκ軽鎖遺伝子座から、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを含む軽鎖を含む抗体が発現する。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物の生殖細胞ゲノムは、ヒトIgλ軽鎖配列を含むIgκ軽鎖遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物の生殖細胞ゲノムは、(i)ヒトIgλ軽鎖配列を含むIgκ軽鎖遺伝子座と、(ii)(a)ヒトIgλ軽鎖配列を含むIgκ軽鎖遺伝子座または(ii)(b)ヒトIgκ軽鎖配列を含むIgκ軽鎖遺伝子座と、を含む。提供される非ヒト動物の生殖細胞ゲノムは、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIgκ軽鎖遺伝子座を含むと共に、(i)ヒト化IgH遺伝子座、または(ii)ヒト化IgH遺伝子座、及び機能的サイレンシングもしくはその他の様式での非機能化が行われた内在性のIgλ軽鎖遺伝子座、をさらに含む。提供される非ヒト動物は、本明細書に記載のように、ヒトVλドメインを含むIgλ軽鎖を含む抗体レパートリーを発現する。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖遺伝子座内にヒトIgλ軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖遺伝子座内にヒトIgλ軽鎖配列及び非ヒトIgλ軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖遺伝子座内にヒトIgλ軽鎖配列及びヒトIgκ軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖遺伝子座内にヒトIgλ軽鎖配列、ヒトIgκ軽鎖配列、及びネズミIgκ軽鎖配列、及び/またはネズミIgλ軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖遺伝子座内にヒトIgλ軽鎖配列、非ヒトIgλ軽鎖配列、ヒトIgκ軽鎖配列、非ヒトIgκ軽鎖配列、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書に記載の非ヒト動物の実施形態の多くでは、非ヒト配列は、ネズミ配列(例えば、マウスもしくはラット)であるか、またはネズミ配列(例えば、マウスもしくはラット)を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、Igκ軽鎖配列及び/またはIgλ軽鎖配列は、ヒト及び/またはネズミを起源とする遺伝子間DNAを含む。いくつかの実施形態では、Igκ軽鎖配列及び/またはIgλ軽鎖配列は、ヒトまたはネズミを起源とする供給源配列に基づく操作された遺伝子間DNAを含む。いくつかの実施形態では、当該遺伝子間DNAは、当該遺伝子間DNAが実際に導入、挿入、配置、または操作される免疫グロブリン遺伝子座と同じ免疫グロブリン遺伝子座のものである(例えば、Igκ軽鎖遺伝子座にIgκ遺伝子間DNAが含められる)。いくつかの実施形態では、当該遺伝子間DNAは、当該遺伝子間DNAが実際に導入、挿入、配置、または操作される免疫グロブリン遺伝子座とは異なる免疫グロブリン遺伝子座のものである(例えば、Igκ軽鎖遺伝子座にIgλ遺伝子間DNAが含められる)。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、Igκ軽鎖配列(複数可)、Igλ軽鎖配列(複数可)、及び/またはそれらの組み合わせを含む遺伝子間DNAを含む操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含む。
【0175】
さまざまな実施形態において、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域(例えば、1つまたは複数の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子(例えば、IgM、IgD、IgG、IgE、IgAなど)を含む内在性の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域)に機能可能なように連結された少なくとも1つのヒトVH遺伝子セグメント、少なくとも1つのヒトDH遺伝子セグメント、及び少なくとも1つのヒトJH遺伝子セグメント(例えば、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結された複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメント)を含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、図面に示される免疫グロブリン遺伝子座を1つまたは複数含む生殖細胞ゲノムを有する。そのような操作された非ヒト動物は、ヒト抗体及びヒト抗体断片の供給源となる共に、ヒト治療抗体を産生させるためのヒトVλ配列の活用に適した改良型のインビボ系を提供する。
【0176】
後述の実施例セクションに記載のように、それぞれのヒト重鎖可変領域遺伝子セグメント(すなわち、VH、DH、及びJH)及びヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、内在性のカッパ遺伝子座に対してはVλ及びJλ)のうちの少なくとも1つ(例えば、複数のヒト重鎖可変領域遺伝子セグメント(すなわち、VH、DH、及びJH)及びヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、内在性のカッパ遺伝子座に対してはVλ及びJλ))を非ヒト可変領域遺伝子セグメントの代わりに内在性の免疫グロブリン遺伝子座に含むと共に、これらのヒト可変領域遺伝子セグメントの間にヒト非コード遺伝子間DNAを含むゲノムを有する非ヒト動物が提供される。そのような遺伝子間DNAは、例えば、抗体の可変ドメインが生じる状況の下でのヒト遺伝子セグメントの適切な組換え及び発現を可能にするプロモーター、リーダー配列、及び組換えシグナル配列を含む。非ヒト免疫グロブリン遺伝子座は、そのような非コード遺伝子間DNAも含むことを当業者は理解している。そのような遺伝子座の構築において他のヒト遺伝子間DNAまたは非ヒト遺伝子間DNAを用いても、非ヒト動物において抗体が生じる状況の下でヒト可変ドメインが同じく発現し得ることを、本開示を読めば当業者なら理解するであろう。そのような類似の遺伝子座がヒト可変ドメインを含む抗体の発現を達成する上で必要なことは、所望のヒト遺伝子セグメントのヒトコード配列(すなわち、エクソン)を含むことのみである。
【0177】
下記のセクションには、さまざまな態様のある特定の実施形態が詳述され、それらはそれぞれ、本明細書に記載の任意の態様または実施形態に適用することが可能である。セクションは、限定のために使用されるものではない。
【0178】
非ヒト動物における抗体レパートリー
免疫グロブリン(抗体とも呼ばれる)は、病原体(例えば、ウイルス、細菌など)を中和するために宿主免疫系のB細胞が産生する大型(約150kD)のY字型糖タンパク質である。免疫グロブリン(Ig)はそれぞれ、2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖から構成され、これらの重鎖及び軽鎖はそれぞれ、可変ドメイン及び定常ドメインという2種類の構造的構成要素を有する。異なるB細胞が産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンが産生する抗体はすべて、同じ重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する。それぞれの抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、一緒になって抗原結合領域(または抗原結合部位)を構成する。免疫グロブリンは、それが含む重鎖定常領域(または重鎖定常ドメイン)に基づいてアイソタイプまたはクラスと称される異なる種類のものとして存在し得る。アイソタイプが同じ抗体はすべて、同一の重鎖定常領域を有するが、アイソタイプが異なる抗体の重鎖定常領域は異なる。以下の表は、マウス及びヒトにおける9つの抗体アイソタイプのまとめである。
【表5】
【0179】
他の種では、アイソタイプは他にも同定されている。異なるアイソタイプの間には構造特徴差異が存在するため、アイソタイプは、特定の生物学的特性を抗体に付与するものであり、動物の体内でアイソタイプが見られる位置(細胞、組織など)は異なる。B細胞は、初期には、同一の抗原結合領域を有するIgM及びIgDを産生する。B細胞は、活性化すると、クラススイッチと称されるプロセスによってアイソタイプを異なるものに切り替える。このプロセスでは、B細胞が産生する抗体の定常領域は変化するが、可変領域は同じまま残り、それによって元の抗体(B細胞)の抗原特異性が保存される。
【0180】
2つの別々の遺伝子座(Igκ及びIgλ)は、再構成時に抗体の軽鎖をコードする遺伝子セグメントを含んでおり、アレル排除もアイソタイプ排除も示す。κ
+B細胞とλ
+B細胞との発現比は、種間で異なる。例えば、ヒトで見られる比は、約60:40(κ:λ)である。マウス及びラットで観測される比は、95:5(κ:λ)である。興味深いことに、ネコにおいて観測されるκ:λ比(5:95)は、マウス及びラットのものとは逆である。観測されるこうした比の背後に存在する考え得る理由を解明するために試験がいくつか実施されており、遺伝子座の複雑性(すなわち、遺伝子セグメントの数、具体的にはV遺伝子セグメントの数)と、遺伝子セグメント再構成の効率と、の両方が理論的根拠として提唱されている。ヒトIgλ軽鎖遺伝子座は、1,000kbにわたって広がっており、およそ70個のVλ遺伝子セグメント(29~33個が機能性)及び7つのJλ-Cλ遺伝子セグメント対(4~5対が機能性)が3つのクラスターにまとまったものを含むものである(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の
図1を参照のこと)。発現する抗体レパートリーにおいて観測されるVλ領域の大部分は、最も近位のクラスター(クラスターAと称される)内に含まれる遺伝子セグメントによってコードされる。マウスIgλ軽鎖遺伝子座は、ヒト遺伝子座と比較して著しく異なり、系統によっては、わずか数個のVλ遺伝子セグメント及びJλ遺伝子セグメントが2つの異なる遺伝子クラスターにまとまったもの含むものである(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の
図2を参照のこと)。
【0181】
さまざまなヒト疾患を治療するための治療抗体の開発の大部分は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に相当する遺伝物質を異なる量で自体のゲノムに保有する操作された非ヒト動物系統(具体的には、操作されたげっ歯類系統)の創出に重点が置かれてきた(このことは、例えば、Bruggemann,M.et al.,2015,Arch.Immunol.Ther.Exp.63:101-8(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に概説されている)。そのような遺伝子操作されたげっ歯類系統を創出する初期の試みでは、遺伝子セグメントの組換えが自体によって支援され得るようにヒト免疫グロブリン遺伝子座の複数部分を組み込み、内在性の免疫グロブリン遺伝子座を不活化した状態で完全ヒト重鎖及び/または完全ヒト軽鎖を産生させることに焦点が当てられた(例えば、Bruggemann,M.et al.,1989,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.86:67-09-13、Bruggemann,M.et al.,1991,Eur.J.Immunol.21:1323-6、Taylor,L.D.et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:6287-6295、Davies,N.P.et al.,1993,Biotechnol.11:911-4、Green,L.L.et al.,1994,Nat.Genet.7:13-21、Lonberg,N.et al.,1994,Nature 368:856-9、Taylor,L.D.et al.,1994,Int.Immunol.6:579-91、Wagner,S.D.et al.,1994,Eur.J.Immunol.24:2672-81、Fishwild,D.M.et al.,1996,Nat.Biotechnol.14:845-51、Wagner,S.D.et al.,1996,Genomics 35:405-14、Mendez,M.J.et al.,1997,Nat.Genet.15:146-56、Green,L.L.et al.,1998,J.Exp.Med.188:483-95、Xian,J.et al.,1998,Transgenics 2:333-43、Little,M.et al.,2000,Immunol.Today 21:364-70、Kellermann,S.A.and L.L.Green,2002,Cur.Opin.Biotechnol.13:593-7(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる)を参照のこと)。具体的には、ヒトIgλ軽鎖配列の組み込みが試みられたこともある(例えば、米国特許出願公開第2002/0088016A1号、同第2003/0217373A1号、及び同第2011/0236378A1号、米国特許第6,998,514号及び同第7,435,871号、Nicholson,I.C.et al.,1999,J.Immunol.163:6898-906、Popov,A.V et al.,1999,J.Exp.Med.189(10):1611-19(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。そのような試みでは、ヒトVλ配列、ヒトJλ配列、及びヒトCλ配列を含む酵母人工染色体を無作為に組み込み、それによって完全ヒトIgλ軽鎖(すなわち、ヒトVλドメイン及びヒトCλドメイン)を発現するマウス系統を創出することに焦点が当てられている。より最近の試みでは、上記の試みと同様にヒトVλ配列、ヒトJλ配列、及びヒトCλ配列を含むコンストラクトを使用する類似方針が用いられている(Osborn,M.J.et al.,2013,J.Immunol.190:1481-90、Lee,E-C.et al.,2014,Nat.Biotech.32(4):356-63(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
【0182】
さらに他の試みでは、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが内在性のIg軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結されるように当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを内在性のげっ歯類Ig軽鎖遺伝子座(κ及びλ)に特異的に挿入することが行われている(例えば、米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。そのような動物では、クラスターA及びクラスターBに由来するヒトVλ遺伝子セグメントのすべてと、1つまたは4つのヒトJλ遺伝子セグメントとが、内在性のIgκ軽鎖遺伝子座及びIgλ軽鎖遺伝子座に挿入された。結果として、いくつかの異なるヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが、両方の操作されたげっ歯類Ig軽鎖遺伝子座において適切に再構成されることで、げっ歯類抗体レパートリーに発現する機能性軽鎖を形成し、内在性のCκ領域及びCλ領域のいずれかと関連して当該軽鎖がヒトVλドメインを含むことが示された(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の表7及び
図11~13を参照のこと)。具体的には、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを内部に有する操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を有するマウスでは、脾臓コンパートメントにおいてヒトラムダと内在性ラムダとの比(IgCκとIgCλとの比によって測定されたもの)が約1:1となることが示された(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の表4を参照のこと)。実際、両方の操作されたマウス系統(すなわち、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座または操作されたIgλ軽鎖遺伝子座)において、げっ歯類において内在性のIg軽鎖遺伝子座(通常は、軽鎖発現に大きな偏りが見られる(上記の内容を参照のこと))からヒトVλドメインが発現し得ることが示された。本開示は、操作された別のIg軽鎖遺伝子座構造を生じさせることで、非ヒト動物において治療標的に対する抗体レパートリーの中でのヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの利用度が最大化し得るという認識を提供し、このことは、具体的には、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座(すなわち、ヒト細胞に見られる遺伝子座)に通常伴う複雑性及び強固な品質を有さないIgλ軽鎖遺伝子座を含む非ヒト動物(例えば、マウス及びラット)と比較したときに見られ得る。そのような操作された別のIg軽鎖遺伝子座構造は、その設計から得られる特有の抗体レパートリーを生じさせるための能力を与えるものである。
【0183】
本開示は、内在性のIgκ軽鎖遺伝子座の非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子の代わりに挿入された非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む操作された内在性のIgκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物が良好に作製される例を示す。具体的には、(1)ヒト可変領域及び非ヒト定常領域を有する抗体であって、ヒトVλドメイン及び非ヒトCλドメインを含む軽鎖を含む抗体を発現する操作された非ヒト動物と、(2)ヒト可変領域及びヒト定常領域を有する抗体であって、ヒトVλドメイン及びヒトCλドメインを含む軽鎖を含む抗体を発現する操作された非ヒト動物と、が良好に作製されることを本開示は具体的に示す。本明細書に具体例が示されるように、そのような軽鎖の発現は、当該複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを内在性のIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に挿入することによって達成される。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、内在性のIgλ軽鎖可変領域の発現が(例えば、遺伝子欠失によって)不活化するように操作される。
【0184】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、内在性のIgκ軽鎖可変領域の発現が(例えば、代替または置換によって)不活化するように操作される。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、当該非ヒト動物が、操作された内在性のIgκ軽鎖遺伝子座からヒトIgλ軽鎖可変領域を発現し、操作された内在性のIgκ軽鎖遺伝子座からヒトIgκ軽鎖可変領域を発現するように操作される。したがって、本開示は、少なくともいくつかの実施形態では、別ものになるように操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含む操作された非ヒト動物を提供することによって、ヒト抗体を産生させるための改良型のインビボ系を開発することを包含し、当該操作されたIgκ軽鎖遺伝子座からは、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを含む抗体レパートリーが発現する。
【0185】
核酸コンストラクト
典型的には、ヒトIgλ軽鎖配列(例えば、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント)またはその一部(複数可)を含むポリヌクレオチド分子は、宿主細胞において当該ポリヌクレオチド分子を複製するためにベクター(好ましくは、DNAベクター)と連結される(例えば、そこに挿入される)。
【0186】
ヒトIgλ軽鎖配列は、既知の配列もしくは供給源(例えば、ライブラリー)から直接的にクローニングするか、またはGenBankもしくは他の公的に利用可能なデータベース(例えば、IMGT)から入手可能な公開配列に基づいてインシリコで設計された生殖細胞配列から合成することができる。あるいは、細菌人工染色体(BAC)ライブラリーから目的の免疫グロブリンDNA配列(例えば、ヒトVλ配列及びヒトJλ配列、ならびにそれらの組み合わせ)を得ることができる。BACライブラリーは、100~150kbのサイズの挿入断片を含み得、300kbもの大きさの挿入断片を保有する能力を有する(Shizuya,et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 89:8794-8797、Swiatek,et al.,1993,Genes and Development 7:2071-2084、Kim,et al.,1996,Genomics 34 213-218(文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。例えば、保有挿入断片の平均サイズが164~196kbのヒトBACライブラリーについて記載されている(Osoegawa,K.et al.,2001,Genome Res.11(3):483-96、Osoegawa,K.et al.,1998,Genomics 52:1-8,Article No.GE985423(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。ヒト及びマウスのゲノムBACライブラリーが構築されており、商業的に利用可能である(例えば、ThermoFisher)。ゲノムBACライブラリーは、免疫グロブリンDNA配列に加えて、転写制御領域の供給源としても役立ち得るものである。
【0187】
あるいは、免疫グロブリンDNA配列は、酵母人工染色体(YAC)から単離、クローニング、及び/または導入され得る。例えば、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座のヌクレオチド配列が決定されている(例えば、Dunham,I.et al.,1999,Nature 402:489-95(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。さらに、以前には、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座導入遺伝子をアセンブリするためにYACが用いられている(例えば、Popov,A.V.et al.,1996,Gene 177:195-201、Popov,A.V.et al.,1999,J.Exp.Med.189(10):1611-19(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。Igλ軽鎖遺伝子座(ヒトまたはげっ歯類)全体をクローニングし、いくつかのYAC内に含めることができる。複数のYACが用いられ、それらのYACが、オーバーラップする類似領域を含むのであれば、それらのYACを酵母宿主株内で組換えることで、遺伝子座全体または遺伝子座の所望部分(例えば、標的化ベクターの標的となる領域)に相当する単一のコンストラクトを得ることができる。当該技術分野で知られ、及び/または本明細書に記載される方法による胚性幹細胞または胚へのコンストラクトの導入を支援するよう組み込まれた哺乳類の選択カセットを付加することによってYACアームに付加的な改変を施すことができる。
【0188】
本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座の構築において使用するためのヒトIgλ軽鎖遺伝子セグメントのDNA配列及びアミノ酸配列は、公開データベース(例えば、GenBank、IMGTなど)及び/または公開抗体配列から入手することができる。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖遺伝子セグメントを含む核酸コンストラクトは、J領域(すなわち、複数の軽鎖J遺伝子セグメントを含むゲノム配列)を含み、このJ領域は、ヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列をその対応12RSSと共に含み、ヒトJκ遺伝子セグメントのコード配列にその対応23RSSと共に典型的には付随する非コード遺伝子間DNAの間に当該12RSSが配置されている。
【0189】
いくつかの実施形態では、そのような配列は、操作された軽鎖J領域と称され得る。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖遺伝子セグメントを含む核酸コンストラクトは、ヒトIgλ軽鎖定常領域(Cλ)遺伝子または非ヒトIgλ軽鎖定常領域(Cλ)遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ配列及びヒトJλ配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖遺伝子セグメントを含む核酸コンストラクトは、1つまたは複数の非ヒトIgκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)に機能可能なように連結されたヒトVλ配列及びヒトJλ配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖遺伝子セグメントを含む核酸コンストラクトは、非ヒトCλ領域遺伝子またはヒトCλ領域遺伝子と非ヒトIgκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)とに機能可能なように連結されたヒトVλ配列及びヒトJλ配列を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、ヒトVλ配列及びヒトJλ配列を含む核酸コンストラクトは、ヒト及び/またはネズミを起源とする遺伝子間DNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子間DNAは、ネズミ非コードIgκ軽鎖配列、ヒト非コードIgκ軽鎖配列、ネズミ非コードIgλ軽鎖配列、ヒト非コードIgλ軽鎖配列、もしくはそれらの組み合わせであるか、またはこれを含む。
【0191】
核酸コンストラクトは、当該技術分野で知られる方法を使用して調製され得る。例えば、核酸コンストラクトは、より大きなプラスミドの一部として調製され得る。そのように調製することで、正しく構築されたものを当該技術分野で知られる効率的な様式でクローニング及び選択することが可能となる。ヒトIgλ軽鎖配列の全部または一部を本明細書に記載のように含む核酸コンストラクトは、プラスミド上の制限酵素作用部位の間に位置し得る結果、所望の非ヒト動物への組み込みを行うためのその他のプラスミド配列から単離すること可能である。
【0192】
核酸コンストラクト(例えば、プラスミド)の調製及び宿主生物の形質転換において用いられる方法は、さまざまなものが当該技術分野で知られている。原核細胞及び真核細胞の両方のための他の適切な発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Manipulation,5th Ed.,ed.By Old,R.W.and S.B.Primrose,Blackwell Science,Inc.,1994 and Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,J.et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0193】
標的化ベクター
ゲノムの標的遺伝子座への核酸コンストラクトの導入には標的化ベクターを用いることができ、こうした標的化ベクターは、核酸コンストラクトと、当該核酸コンストラクトに隣接するホモロジーアームと、を含む。標的化ベクターの設計、構造、及び/または使用に一般に適用可能なさまざまな選択肢及び特徴を当業者なら認識するであろう。例えば、標的化ベクターは、直鎖形態または環状形態をとり得、一本鎖または二本鎖であり得る。標的化ベクターは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)であり得る。参照しやすいように、ホモロジーアームは、本明細書では5’(すなわち、上流)ホモロジーアーム及び3’(すなわち、下流)ホモロジーアームと称される。この用語法は、標的化ベクター内での核酸コンストラクトに対するホモロジーアームの相対位置に関する。5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームは、標的遺伝子座内の領域に対応するか、または別の標的化ベクター内の領域に対応し、これらの領域は、本明細書ではそれぞれ「5’標的配列」及び「3’標的配列」と称される。いくつかの実施形態では、ホモロジーアームは、5’標的配列または3’標的配列としても機能し得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法では、互いに組換えを生じさせる能力を有する2つ、3つ、または4つ以上の標的化ベクターが用いられる。さまざまな実施形態において、標的化ベクターは、本明細書の他の箇所に記載の大型標的化ベクター(LTVEC)である。そのような実施形態では、第1の標的化ベクター、第2の標的化ベクター、及び第3の標的化ベクターは、それぞれが5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームを含む。第1の標的化ベクターの3’ホモロジーアームは、第2の標的化ベクターの5’ホモロジーアームとオーバーラップする配列(すなわち、オーバーラップ配列)を含み、これによって、第1のLTVECと第2のLTVECとの間での相同組換えが可能となる。
【0195】
二重標的化法の場合、第1の標的化ベクターの5’ホモロジーアーム、及び第2の標的化ベクターの3’ホモロジーアームは、標的ゲノム遺伝子座内の対応セグメント(すなわち、標的配列)に類似し得、これによって、第1の標的化ベクター及び第2の標的化ベクターとゲノムの対応セグメントとの相同組換えが促進され、標的ゲノム遺伝子座が改変され得る。
【0196】
三重標的化法の場合、第2の標的化ベクターの3’ホモロジーアームは、第3の標的化ベクターの5’ホモロジーアームとオーバーラップする配列(すなわち、オーバーラップ配列)を含み得、これによって、第2のLTVECと第3のLTVECとの間での相同組換えが可能となり得る。第1の標的化ベクターの5’ホモロジーアーム、及び第3の標的化ベクターの3’ホモロジーアームは、標的ゲノム遺伝子座内の対応セグメント(すなわち、標的配列)に類似しており、これによって、第1の標的化ベクター及び第3の標的化ベクターとゲノムの対応セグメントとの相同組換えが促進され、標的ゲノム遺伝子座が改変され得る。
【0197】
ホモロジーアーム及び標的配列、または2つのホモロジーアームは、これらの2つの領域が、相同組換え反応の基質として働く上で十分なレベルの配列同一性を互いに共有するとき、互いに「対応する(correspond)」か、または「対応する(corresponding)」。所与の標的配列と、標的化ベクターに見られる対応ホモロジーアーム(すなわち、オーバーラップ配列)と、の間の配列同一性、または2つのホモロジーアームの間の配列同一性は、相同組換えを生じさせる任意の度合いの配列同一性であり得る。一例を挙げるにすぎないが、標的化ベクター(またはその断片)のホモロジーアームと、別の標的化ベクターの標的配列または標的ゲノム遺伝子座(もしくはその断片)の標的配列と、によって共有される量の配列同一性は、例えば、限定されないが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性であり得、その結果、これらの配列には、相同組換えが生じる。
【0198】
さらに、ホモロジーアームと対応標的配列と間の対応類似性(例えば、同一性)領域は、標的ゲノム遺伝子座における相同組換えの促進に十分な任意の長さのものであり得る。例えば、所与のホモロジーアーム及び/または対応標的配列は、例えば、限定されないが、約5~10kb、約5~15kb、約5~20kb、約5~25kb、約5~30kb、約5~35kb、約5~40kb、約5~45kb、約5~50kb、約5~55kb、約5~60kb、約5~65kb、約5~70kb、約5~75kb、約5~80kb、約5~85kb、約5~90kb、約5~95kb、約5~100kb、約100~200kb、または約200~300kbの長さの対応類似性領域(本明細書の他の箇所に記載のものなど)を含み得、その結果、ホモロジーアームは、細胞の標的ゲノム遺伝子座内の対応標的配列(複数可)、または別の標的化ベクター内の対応標的配列(複数可)、との相同組換えを受ける上で十分な類似性を有する。いくつかの実施形態では、所与のホモロジーアーム及び/または対応標的配列は、例えば、限定されないが、約10~100kb、約15~100kb、約20~100kb、約25~100kb、約30~100kb、約35~100kb、約40~100kb、約45~100kb、約50~100kb、約55~100kb、約60~100kb、約65~100kb、約70~100kb、約75~100kb、約80~100kb、約85~100kb、約90~100kb、または約95~100kbの長さの対応類似性領域(本明細書の他の箇所に記載のものなど)を含み、その結果、ホモロジーアームは、細胞の標的ゲノム遺伝子座内の対応標的配列(複数可)、または別の標的化ベクター内の対応標的配列(複数可)、との相同組換えを受ける上で十分な類似性を有する。
【0199】
第1の標的化ベクターの3’ホモロジーアームと第2の標的化ベクターの5’ホモロジーアームとのオーバーラップ配列、または第2の標的化ベクターの3’ホモロジーアームと第3の標的化ベクターの5’ホモロジーアームとのオーバーラップ配列は、当該標的化ベクターの間での相同組換えの促進に十分な任意の長さのものであり得る。例えば、ホモロジーアームの所与のオーバーラップ配列は、約1~5kb、約5~10kb、約5~15kb、約5~20kb、約5~25kb、約5~30kb、約5~35kb、約5~40kb、約5~45kb、約5~50kb、約5~55kb、約5~60kb、約5~65kb、約5~70kb、約5~75kb、約5~80kb、約5~85kb、約5~90kb、約5~95kb、約5~100kb、約100~200kb、または約200~300kbの長さの対応オーバーラップ領域を含み得、その結果、ホモロジーアームのオーバーラップ配列は、別の標的化ベクター内の対応オーバーラップ配列との相同組換えを受ける上で十分な類似性を有する。いくつかの実施形態では、ホモロジーアームの所与のオーバーラップ配列は、約1~100kb、約5~100kb、約10~100kb、約15~100kb、約20~100kb、約25~100kb、約30~100kb、約35~100kb、約40~100kb、約45~100kb、約50~100kb、約55~100kb、約60~100kb、約65~100kb、約70~100kb、約75~100kb、約80~100kb、約85~100kb、約90~100kb、または約95~100kbの長さのオーバーラップ領域を含み、その結果、ホモロジーアームのオーバーラップ配列は、別の標的化ベクター内の対応オーバーラップ配列との相同組換えを受ける上で十分な類似性を有する。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、1~5kb(両端値を含む)のものである。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、約1kb~約70kb(両端値を含む)のものである。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、約10kb~約70kb(両端値を含む)のものである。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、約10kb~約50kb(両端値を含む)のものである。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、少なくとも10kbのものである。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、少なくとも20kbのものである。例えば、オーバーラップ配列は、約1kb~約5kb(両端値を含む)、約5kb~約10kb(両端値を含む)、約10kb~約15kb(両端値を含む)、約15kb~約20kb(両端値を含む)、約20kb~約25kb(両端値を含む)、約25kb~約30kb(両端値を含む)、約30kb~約35kb(両端値を含む)、約35kb~約40kb(両端値を含む)、約40kb~約45kb(両端値を含む)、約45kb~約50kb(両端値を含む)、約50kb~約60kb(両端値を含む)、約60kb~約70kb(両端値を含む)、約70kb~約80kb(両端値を含む)、約80kb~約90kb(両端値を含む)、約90kb~約100kb(両端値を含む)、約100kb~約120kb(両端値を含む)、約120kb~約140kb(両端値を含む)、約140kb~約160kb(両端値を含む)、約160kb~約180kb(両端値を含む)、約180kb~約200kb(両端値を含む)、約200kb~約220kb(両端値を含む)、約220kb~約240kb(両端値を含む)、約240kb~約260kb(両端値を含む)、約260kb~約280kb(両端値を含む)、または約280kb~約300kb(両端値を含む)のものであり得る。一例を挙げるにすぎないが、オーバーラップ配列は、約20kb~約60kb(両端値を含む)のものであり得る。あるいは、オーバーラップ配列は、少なくとも1kb、少なくとも5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも25kb、少なくとも30kb、少なくとも35kb、少なくとも40kb、少なくとも45kb、少なくとも50kb、少なくとも60kb、少なくとも70kb、少なくとも80kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも120kb、少なくとも140kb、少なくとも160kb、少なくとも180kb、少なくとも200kb、少なくとも220kb、少なくとも240kb、少なくとも260kb、少なくとも280kb、または少なくとも300kbのものであり得る。いくつかの実施形態では、オーバーラップ配列は、最大で400kb、最大で350kb、最大で300kb、最大で280kb、最大で260kb、最大で240kb、最大で220kb、最大で200kb、最大で180kb、最大で160kb、最大で140kb、最大で120kb、最大で100kb、最大で90kb、最大で80kb、最大で70kb、最大で60kb、または最大で50kbのものであり得る。
【0200】
ホモロジーアームは、いくつかの実施形態では、細胞にとって自己起源の遺伝子座(例えば、標的遺伝子座)に対応するか、あるいは細胞のゲノムに組み込まれた異種または外来性のDNAセグメントの一領域(例えば、導入遺伝子、発現カセット、または異種もしくは外来性のDNA領域が挙げられる)に対応し得る。いくつかの実施形態では、ホモロジーアームは、いくつかの実施形態では、細胞における標的化ベクター上の一領域に対応する。いくつかの実施形態では、標的化ベクターのホモロジーアームは、酵母人工染色体(YAC)の一領域、細菌人工染色体(BAC)の一領域、ヒト人工染色体の一領域、または適切な宿主細胞に含められた任意の他の操作された領域に対応し得る。さらに別の場合、標的化ベクターのホモロジーアームは、BACライブラリー、コスミドライブラリー、またはP1ファージライブラリーの一領域に対応し得るか、または当該一領域に由来し得る。いくつかのある特定の実施形態では、標的化ベクターのホモロジーアームは、原核生物、酵母、鳥類(例えば、ニワトリ)、非ヒト哺乳類、げっ歯類、ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)、家畜化哺乳類、農業哺乳類、または任意の他の目的生物にとって自己起源、異種、または外来性の遺伝子座に対応する。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ物質(例えば、Casタンパク質)によって誘導されるニックまたは二本鎖切断が存在しなければ、通常の方法を使用する標的化に対する感受性が限られているか、あるいは標的部位に対する良好な組み込みが生じるレベルが相対的に低く、及び/またはオフターゲット組み込みが顕著なレベルで生じる細胞の遺伝子座にホモロジーアームが対応する。いくつかの実施形態では、ホモロジーアームは、操作されたDNAを含むように設計される。
【0201】
いくつかの実施形態では、標的化ベクター(複数可)の5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームは、標的ゲノムに対応する。あるいは、ホモロジーアームは、関連ゲノムに対応する。例えば、標的ゲノムは、第1の系統のマウスゲノムであり、標的化アームは、第2の系統のマウスゲノムに対応し、第1の系統と第2の系統とは異なる。ある特定の実施形態では、ホモロジーアームは、同じ動物のゲノムに対応するか、または同じ系統のゲノムに由来し、例えば、標的ゲノムは、第1の系統のマウスゲノムであり、標的化アームは、同じマウスまたは同じ系統に由来するマウスゲノムに対応する。
【0202】
標的化ベクターのホモロジーアームは、対応標的配列との相同組換え事象の促進に十分な任意の長さのものであり得、こうした長さの例としては、例えば、1~5kb(両端値を含む)、5~10kb(両端値を含む)、5~15kb(両端値を含む)、5~20kb(両端値を含む)、5~25kb(両端値を含む)、5~30kb(両端値を含む)、5~35kb(両端値を含む)、5~40kb(両端値を含む)、5~45kb(両端値を含む)、5~50kb(両端値を含む)、5~55kb(両端値を含む)、5~60kb(両端値を含む)、5~65kb(両端値を含む)、5~70kb(両端値を含む)、5~75kb(両端値を含む)、5~80kb(両端値を含む)、5~85kb(両端値を含む)、5~90kb(両端値を含む)、5~95kb(両端値を含む)、5~100kb(両端値を含む)、100~200kb(両端値を含む)、または200~300kb(両端値を含む)の長さが挙げられる。いくつかの実施形態では、標的化ベクターのホモロジーアームは、1~100kb(両端値を含む)、5~100kb(両端値を含む)、10~100kb(両端値を含む)、15~100kb(両端値を含む)、20~100kb(両端値を含む)、25~100kb(両端値を含む)、30~100kb(両端値を含む)、35~100kb(両端値を含む)、40~100kb(両端値を含む)、45~100kb(両端値を含む)、50~100kb(両端値を含む)、55~100kb(両端値を含む)、60~100kb(両端値を含む)、65~100kb(両端値を含む)、70~100kb(両端値を含む)、75~100kb(両端値を含む)、80~100kb(両端値を含む)、85~100kb(両端値を含む)、90~100kb(両端値を含む)、または95~100kb(両端値を含む)の長さを有する対応標的配列との相同組換え事象の促進に十分な長さを有する。本明細書に記載のように、大型標的化ベクターでは、より長い標的化アームを用いることができる。
【0203】
標的遺伝子座の改変(例えば、Igκ軽鎖遺伝子座の改変、または既に改変または操作されているIgκ軽鎖遺伝子座の改変)を促進するためにヌクレアーゼ物質(例えば、CRISPR/Cas系)を標的化ベクターと併用することができる。そのようなヌクレアーゼ物質は、標的化ベクターと標的遺伝子座との間の相同組換えを促進し得る。ヌクレアーゼ物質が標的化ベクターと併用される場合、ヌクレアーゼ切断可能部位にニックまたは二本鎖切断が生じたときに標的配列とホモロジーアームとの間での相同組換え事象の発生が促進されるようにヌクレアーゼ切断可能部位に十分に近接して位置する5’標的配列及び3’標的配列に対応する5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームを標的化ベクターが含み得る。「ヌクレアーゼ切断可能部位」という用語は、ヌクレアーゼ物質によってニックまたは二本鎖切断が創出されるDNA配列(例えば、Cas9切断可能部位)を含む。標的化ベクターの5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームに対応する標的遺伝子座内の標的配列は、認識部位においてニックまたは二本鎖切断が生じたときに5’標的配列及び3’標的配列と5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームとの間での相同組換え事象の発生が促進されるような距離となっていれば、ヌクレアーゼ切断可能部位に「十分に近接して位置する」。したがって、ある特定の実施形態では、標的化ベクターの5’ホモロジーアーム及び/または3’ホモロジーアームに対応する標的配列は、所与の認識部位から少なくとも1ヌクレオチド以内に位置するか、または所与の認識部位から少なくとも10ヌクレオチド~約14kb以内に位置する。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ切断可能部位は、標的配列の少なくとも一方または両方に直接隣接する。
【0204】
標的化ベクターのホモロジーアームに対応する標的配列とヌクレアーゼ切断可能部位との間の空間的な関係性は異なり得る。例えば、標的配列は、ヌクレアーゼ切断可能部位に対して5’側に位置し得るか、標的配列は、認識部位に対して3’側に位置し得るか、または標的配列は、ヌクレアーゼ切断可能部位に隣接し得る。
【0205】
標的化ベクター(例えば、大型標的化ベクターが挙げられる)をヌクレアーゼ物質と併用することで、標的化ベクターの単独使用時と比較して標的化効率が向上し得る。例えば、標的化ベクターが、ヌクレアーゼ物質と併用されると、標的化ベクターの標的化効率が、標的化ベクターの単独使用時と比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはこれらの整数から形成される範囲内(2~10倍など)に向上し得る。
【0206】
標的化ベクターによっては、「大型標的化ベクター」または「LTVEC」であり、こうした標的化ベクターには、細胞における相同組換えの実施が意図される他の手法によって典型的には使用されるものと比較して大きな核酸配列に対応するホモロジーアームを含む標的化ベクター、及び当該大きな核酸配列に由来するホモロジーアームを含む標的化ベクター、が含まれる。LTVECは、例えば、長さが少なくとも10kbのものであり得るか、または5’ホモロジーアームと3’ホモロジーアームとの合計の長さは、例えば、少なくとも10kbであり得る。LTVECには、細胞における相同組換えの実施が意図される他の手法によって典型的には使用されるものと比較して大きな核酸コンストラクトを含む標的化ベクターも含まれる。例えば、従来のプラスミドベースの標的化ベクターではその収容サイズ限界のために収容することが不可能な大きな遺伝子座でも、LTVECを使用すれば改変することが可能となる。例えば、標的遺伝子座は、ヌクレアーゼ物質(例えば、Casタンパク質)によって誘導されるニックまたは二本鎖切断が存在しなければ、通常の方法を使用して標的化することが不可能であるか、または不正確にしか標的化できないか、もしくは標的化の効率がかなり低いものにとどまり得る細胞の遺伝子座であり得る(すなわち、5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームは、こうした遺伝子座に対応し得る)。
【0207】
いくつかの実施形態では、3つまたは4つの要素が関与する組換え事象において、互いの組換えに加えて標的ゲノム遺伝子座との組換えも生じさせる能力を有する2つまたは3つのLTVECが、本明細書に記載の方法において用いられる。そのような方法では、単一のLTVECを使用したのでは達成することが不可能な大きな遺伝子座の改変を行うことが可能となる。
【0208】
LTVECの例としては、細菌人工染色体(BAC)、ヒト人工染色体、または酵母人工染色体(YAC)に由来するベクターが挙げられる。LTVECは、直鎖形態または環状形態をとり得る。LTVEC及びその調製方法の例は、例えば、米国特許第6,586,251号、同第6,596,541号、及び同第7,105,348号、ならびに国際特許出願公開第WO2002/036789号に記載されており、これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0209】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、及び非ヒト組織
ヒトIgλ軽鎖遺伝子座の少なくとも一部(すなわち、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも一部)に対応し、ヒトVλドメイン(すなわち、再構成されたヒトVλ-Jλ配列)をコードする遺伝物質が組み込まれることで生じるヒトVλドメインを含む軽鎖を含む抗体を発現する(例えば、自体のB細胞が当該抗体を発現する)非ヒト動物であって、当該遺伝物質が、対応する非ヒトIgκ軽鎖可変領域配列の代わりに自体の生殖細胞ゲノムに存在する非ヒト動物が提供される。本明細書に記載の適切な例としては、限定されないが、げっ歯類、具体的にはマウスが挙げられる。
【0210】
本開示は、例えば、ヒトが患うさまざまな疾患の治療において、使用可能な新たな抗体、抗体構成要素(例えば、抗原結合部分及び/またはそれを含む組成もしくは形式)、及び/または抗体ベースの治療剤を同定及び開発するための改良型のインビボ系を提供する。さらに、本開示は、操作された免疫グロブリン遺伝子座(操作された免疫グロブリン(Ig)カッパ(κ)軽鎖遺伝子座など)を有し、及び/またはその他の状況の下で、ヒトVラムダ(λ)領域を軽鎖が有することによって特徴付けられる抗体レパートリーを発現、産生、もしくは含有する非ヒト動物(例えば、げっ歯類)が有用であるという認識も包含する。例えば、いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物は、新たな抗体ベースの治療剤の同定及び開発においてヒトVλ配列の多様性を利用する上で有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトに投与するための抗体及び/または抗体ベースの治療剤を開発するための改良型のインビボ系を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトVλ領域配列を含む現存インビボ系から得られる抗体及び/または抗体ベースの治療剤と比較して性能(例えば、抗原特異的抗体レパートリーの発現及び/または出現)が改良されていることによって特徴付けられるヒトVλドメイン含有抗体及び/またはヒトVλドメイン含有抗体ベースの治療剤を開発するための改良型のインビボ系を提供する。
【0211】
本開示は、とりわけ、操作された免疫グロブリン軽鎖可変領域及び操作された免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子を含むIgκ軽鎖遺伝子座を有する非ヒト動物を提供する。本明細書に記載のように、提供される非ヒト動物は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが存在することによって特徴付けられる操作された免疫グロブリンκ軽鎖可変領域を含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含み、当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、免疫グロブリンλ軽鎖定常領域(Cλ)遺伝子に機能可能なように連結され、当該免疫グロブリンλ軽鎖定常領域(Cλ)遺伝子は、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域(Cκ)遺伝子の代わりに当該非ヒト動物の内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座に配置される。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、起源が免疫グロブリンλ軽鎖及び/または免疫グロブリンκ軽鎖ならびにそれらの組み合わせである遺伝子間DNAを含むIgκ軽鎖遺伝子座を含む。
【0212】
多くの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖可変領域は、当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に配置または挿入された免疫グロブリンκ軽鎖配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に配置または挿入された当該免疫グロブリンκ軽鎖配列は、ネズミ(例えば、ラットもしくはマウス)配列であるか、またはネズミ(例えば、ラットもしくはマウス)配列を含む。いくつかの実施形態では、当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に配置または挿入された当該免疫グロブリンκ軽鎖配列は、ヒト配列であるか、またはヒト配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列は、天然ではヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られるゲノム配列であるか、または当該ゲノム配列を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、または少なくとも25個の機能性のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、5~25個、5~24個、5~23個、5~22個、5~21個、5~20個、5~19個、5~18個、5~17個、5~16個、5~15個、5~14個、5~13個、5~12個、5~11個、5~10個、5~9つ、5~8つ、5~7つ、または5~6つの機能性のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、6~25個、7~25個、8~25個、9~25個、10~25個、11~25個、12~25個、13~25個、14~25個、15~25個、16~25個、17~25個、18~25個、19~25個、20~25個、21~25個、22~25個、23~25個、または24~25個の機能性のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、6~24個、7~23個、8~22個、9~21個、10~20個、11~19個、12~18個、13~17個、14~16個、または15~16個の機能性のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、6~24個、7~23個、8~22個、9~21個、10~20個、11~19個、12~18個、13~17個、または14~16個の機能性のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、全部で10~70個、10~65個、10~60個、10~55個、10~50個、10~45個、10~40個、10~35個、10~30個、10~25個、10~20個、または10~15個のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、全部で15~70個、20~70個、25~70個、30~70個、35~70個、40~70個、45~70個、50~70個、55~70個、60~70個、または65~70個のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、全部で15~65個、20~60個、25~55個、20~50個、25~45個、30~40個、30~35個、または35~40個のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、天然または生殖細胞における配置を有するヒトVλ遺伝子セグメント及び/またはヒトJλ遺伝子セグメント(例えば、ヒト非コード免疫グロブリンλ軽鎖配列が間に存在する複数のヒトVλ遺伝子セグメントコード配列及び/またはヒトJλ遺伝子セグメントコード配列を含むDNA配列)を含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、天然もしくは生殖細胞における配置とははずれた配置または天然もしくは生殖細胞における配置から逸脱した配置を有するヒトVλ遺伝子セグメント及び/またはヒトJλ遺伝子セグメント(例えば、非コード免疫グロブリンκ軽鎖配列(例えば、ヒトまたはネズミ)が間に存在する複数のヒトVλ遺伝子セグメントコード配列及び/またはヒトJλ遺伝子セグメントコード配列を含むDNA配列)を含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、天然ではヒト細胞の生殖細胞ゲノムのヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座に見られない配置を有するヒトVλ遺伝子セグメント及び/またはヒトJλ遺伝子セグメントを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト非コード免疫グロブリン軽鎖配列(例えば、κ、λ、及びそれらの組み合わせ)が間に存在する(または並置される、付随するなどする)複数のヒトVλコード配列及びヒトJλコード配列を含むDNA配列を内在性の非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座に含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、非ヒト(例えば、ネズミ)非コード免疫グロブリンλ軽鎖配列が間に存在する複数のヒトVλコード配列及びヒトJλコード配列を含むDNA配列を内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座に含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、当該非ヒト動物の生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から抗体が発現することによって特徴付けられ、当該抗体は、(1)ヒトVλドメインと、(2)非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、1匹または複数匹の操作された参照非ヒト動物と比較して、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座からのヒトVλ領域の利用度が(例えば、限定されないが、約2倍に)改良されていることによって特徴付けられる。
【0218】
いくつかの実施形態では、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織が提供され、当該内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、(c)Cλ遺伝子と、を含み、(a)と(b)とは、(c)に機能可能なように連結され、当該げっ歯類は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない。
【0219】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及びCλ遺伝子の挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織が提供され、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、当該Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該Cλ遺伝子は、非ヒトCκ遺伝子の代わりに当該内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される。非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態の多くでは、非ヒトCκ遺伝子の代わりに内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入されるCλ遺伝子は、非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子である。いくつかの実施形態では、非ヒトCλ遺伝子は、霊長類Cλ遺伝子、ヤギCλ遺伝子、ヒツジCλ遺伝子、ブタCλ遺伝子、イヌCλ遺伝子、雌ウシCλ遺伝子、またはげっ歯類Cλ遺伝子からなる群から選択される哺乳類Cλ遺伝子であるか、または当該哺乳類Cλ遺伝子を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、非ヒトCλ遺伝子は、げっ歯類Cλ遺伝子であるか、またはげっ歯類Cλ遺伝子を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、マウスCλ遺伝子であるか、またはマウスCλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1、マウスCλ2、及びマウスCλ3からなる群から選択されるマウスCλ遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1、マウスCλ2、及びマウスCλ3からなる群から選択されるマウスCλ遺伝子と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、マウスCλ1遺伝子は、配列番号1であるか、または配列番号1を含む。いくつかのある特定の実施形態では、マウスCλ2遺伝子は、配列番号3であるか、または配列番号3を含む。いくつかのある特定の実施形態では、マウスCλ3遺伝子は、配列番号5であるか、または配列番号5を含む。いくつかのある特定の実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子と同一の配列を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1、マウスCλ2、及びマウスCλ3からなる群から選択されるマウスCλ遺伝子との同一性が80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、または98%~100%である配列を含む。いくつかの実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1、マウスCλ2、及びマウスCλ3からなる群から選択されるマウスCλ遺伝子との同一性が80%~98%、80%~95%、80%~90%、または80%~85%である配列を含む。いくつかの実施形態では、マウスCλ遺伝子は、マウスCλ1、マウスCλ2、及びマウスCλ3からなる群から選択されるマウスCλ遺伝子との同一性が85%~98%、90%~95%、または88%~93%である配列を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、げっ歯類Cλ遺伝子は、ラットCλ遺伝子であるか、またはラットCλ遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、及びラットCλ4遺伝子からなる群から選択されるラットCλ遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、及びラットCλ4遺伝子からなる群から選択されるラットCλ遺伝子と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ラットCλ1遺伝子は、配列番号7であるか、または配列番号7を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ラットCλ2遺伝子は、配列番号9であるか、または配列番号9を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ラットCλ3遺伝子は、配列番号11であるか、または配列番号11を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ラットCλ4遺伝子は、配列番号13であるか、または配列番号13を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、及びラットCλ4遺伝子からなる群から選択されるラットCλ遺伝子との同一性が80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、または98%~100%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、及びラットCλ4遺伝子からなる群から選択されるラットCλ遺伝子との同一性が80%~98%、80%~95%、80%~90%、または80%~85%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ラットCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、及びラットCλ4遺伝子からなる群から選択されるラットCλ遺伝子との同一性が85%~98%、90%~95%、または88%~93%である配列を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子と同一の配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ1遺伝子は、配列番号15であるか、または配列番号15を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ2遺伝子は、配列番号17であるか、または配列番号17を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ3遺伝子は、配列番号19であるか、または配列番号19を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ6遺伝子は、配列番号21であるか、または配列番号21を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ7遺伝子は、配列番号23であるか、または配列番号23を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ2遺伝子であるか、またはヒトCλ2遺伝子を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子との同一性が80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、または98%~100%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子との同一性が80%~98%、80%~95%、80%~90%、または80%~85%である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、及びヒトCλ7遺伝子からなる群から選択されるヒトCλ遺伝子との同一性が85%~98%、90%~95%、または88%~93%である配列を含む。
【0227】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントを挿入することによって、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における非ヒトVκ遺伝子セグメント及び非ヒトJκ遺伝子セグメントが代替される。いくつかの実施形態では、挿入は、ヒトVλ遺伝子セグメントの間及びヒトJλ遺伝子セグメントの間、ならびにそれらの組み合わせの間に天然では見られるヒト非コードDNAを含む。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントを挿入することによって、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における非ヒトVκ遺伝子セグメント及び非ヒトJκ遺伝子セグメントの代わりにされるか、またはこれらの遺伝子セグメントが代替される。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、少なくとも24個、少なくとも34個、少なくとも52個、少なくとも61個、または少なくとも70個のヒトVλ遺伝子セグメントと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのヒトJλ遺伝子セグメントと、の挿入を含む。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織のある特定の実施形態のいくつかでは、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、39個のヒトVλ遺伝子セグメントと、少なくとも5つのヒトJλ遺伝子セグメントと、の挿入を含む。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせと、ヒトJJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7、またはそれらの任意の組み合わせと、の挿入を含む。いくつかの実施形態では、挿入は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、またはヒトVλ3-1に隣接して見られるヒト非コードDNAと、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、またはヒトJλ7に隣接して見られるヒト非コードDNA(の全部または一部)と、を含む。いくつかのある特定の実施形態では、挿入は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、またはヒトVλ3-1に隣接して見られるヒト非コードDNAと、天然では内在性のヒトκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1、ヒトJκ2、ヒトJκ3、ヒトJκ4、またはヒトJκ5に隣接して見られるヒト非コードDNAと、を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせの挿入は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、またはヒトVλ3-1に隣接して見られるヒト非コードDNAを含み、ヒトJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7、またはそれらの任意の組み合わせの挿入は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7に隣接して見られるヒト非コードDNA(の全部または一部)を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせの挿入は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、またはヒトVλ3-1に隣接して見られるヒト非コードDNAを含み、ヒトJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7、またはそれらの任意の組み合わせの挿入は、天然では内在性のヒトκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1、ヒトJκ2、ヒトJκ3、ヒトJκ4、またはヒトJκ5に隣接して見られるヒト非コードDNA(の全部または一部)を含む。
【0228】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、本明細書に記載の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの間、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの間、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間、ならびにそれらの組み合わせにヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列は、天然ではヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られるゲノム配列であるか、または当該ゲノム配列を含む。
【0229】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、当該非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の生殖細胞ゲノムは、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの挿入を含む内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座をさらに含み、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される(例えば、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0230】
いくつかの実施形態では、1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントを挿入することによって、非ヒトVH遺伝子セグメント、非ヒトDH遺伝子セグメント、及び非ヒトJH遺伝子セグメントの全部もしくは一部の代わりにされるか、または当該全部もしくは一部が代替される(例えば、当該挿入によって、ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントのコード配列で非ヒトVH遺伝子セグメント、非ヒトDH遺伝子セグメント、及び非ヒトJH遺伝子セグメントのコード配列が位置的に代替または置換される)。いくつかのある特定の実施形態では、挿入は、ヒトVH遺伝子セグメントの間、ヒトDH遺伝子セグメントの間、及びヒトJH遺伝子セグメントの間、ならびにそれらの組み合わせの間に天然では見られるヒト非コードDNAを含む。いくつかの実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、内在性の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域であるか、または内在性の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域を含む。多くの実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域(例えば、内在性のもの)は、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子または非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子セグメント(例えば、IgM、IgD、IgG、IgE、IgAなど)を含む。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、ヒトVH遺伝子セグメントであるVH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせと、ヒトDH遺伝子セグメントであるDH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせと、ヒトJH遺伝子セグメントであるJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせと、の挿入を含む。いくつかのある特定の実施形態では、挿入は、天然では内在性の重鎖遺伝子座においてヒトVH3-74、ヒトVH3-73、ヒトVH3-72、ヒトVH2-70、ヒトVH1-69、ヒトVH3-66、ヒトVH3-64、ヒトVH4-61、ヒトVH4-59、ヒトVH1-58、ヒトVH3-53、ヒトVH5-51、ヒトVH3-49、ヒトVH3-48、ヒトVH1-46、ヒトVH1-45、ヒトVH3-43、ヒトVH4-39、ヒトVH4-34、ヒトVH3-33、ヒトVH4-31、ヒトVH3-30、ヒトVH4-28、ヒトVH2-26、ヒトVH1-24、ヒトVH3-23、ヒトVH3-21、ヒトVH3-20、ヒトVH1-18、ヒトVH3-15、ヒトVH3-13、ヒトVH3-11、ヒトVH3-9、ヒトVH1-8、ヒトVH3-7、ヒトVH2-5、ヒトVH7-4-1、ヒトVH4-4、ヒトVH1-3、ヒトVH1-2、またはヒトVH6-1に隣接して見られるヒト非コードDNAと、天然ではヒトDH1-1、ヒトDH2-2、ヒトDH3-3、ヒトDH4-4、ヒトDH5-5、ヒトDH6-6、ヒトDH1-7、ヒトDH2-8、ヒトDH3-9、ヒトDH3-10、ヒトDH5-12、ヒトDH6-13、ヒトDH2-15、ヒトDH3-16、ヒトDH4-17、ヒトDH6-19、ヒトDH1-20、ヒトDH2-21、ヒトDH3-22、ヒトDH6-25、ヒトDH1-26、またはヒトDH7-27に隣接して見られるヒト非コードDNAと、天然では内在性の重鎖遺伝子座においてヒトJH1、ヒトJH2、ヒトJH3、ヒトJH4、ヒトJH5、またはヒトJHに隣接して見られるヒト非コードDNAと、を含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、自体のゲノム(例えば、自体の生殖細胞ゲノム)にAdam6遺伝子を含み、当該Adam6遺伝子は、ADAM6ポリペプチド、ADAM6機能性オルソログ、ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、ADAM6ポリペプチド、ADAM6機能性オルソログ、ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片は、Adam6遺伝子から発現する。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子の起源は、Adam6遺伝子を含む非ヒト動物とは異なる(例えば、マウスが、ラットAdam6遺伝子を含むか、または別の系統のマウスから得られるマウスAdam6遺伝子を含む)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、異所性Adam6遺伝子を含む。本明細書で使用される「異所性」Adam6遺伝子は、Adam6遺伝子が野生型の非ヒト動物に見られる状況とは異なる状況の下にあるAdam6遺伝子を指す。例えば、Adam6遺伝子は、異なる染色体に位置するか、異なる遺伝子座に位置するか、または異なる配列に隣接して配置され得る。異所性Adam6遺伝子の例は、ヒト免疫グロブリン配列(例えば、ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメント)内に位置するマウスAdam6遺伝子である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、挿入または組み込まれたAdam6遺伝子を含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の非ヒトAdam6ポリペプチド、非ヒトAdam6機能性オルソログ、非ヒトAdam6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列の挿入を自体のゲノム(例えば、自体の生殖細胞ゲノム)に含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を自体のゲノム(例えば、自体の生殖細胞ゲノム)に含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、マウスAdam6a遺伝子及び/またはマウスAdam6b遺伝子を自体のゲノム(例えば、自体の生殖細胞ゲノム)に含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数のヌクレオチド配列(マウスADAM6a、マウスADAM6a機能性オルソログ、マウスADAM6a機能性ホモログ、もしくはその機能性断片、及び/またはマウスADAM6b、マウスADAM6b機能性オルソログ、マウスADAM6b機能性ホモログ、もしくはその機能性断片)を含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体に挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列がヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントと近接するような位置に挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列がヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントに隣接するような位置に挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列がヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントの間に位置するような位置に挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、第1のヒトVH遺伝子セグメントは、ヒトVH1-2であり、第2のヒトVH遺伝子セグメントは、ヒトVH6-1である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに挿入され、及び/または位置する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の非ヒトADAM6ポリペプチド、非ヒトADAM6機能性オルソログ、非ヒトADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列は、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に挿入される。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ADAM6活性を回復または増強するAdam6遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子は、機能性の内在性Adam6遺伝子を含む同等の非ヒト動物のレベルにまでADAM6活性を回復させる。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子は、機能性のAdam6遺伝子を含まない同等の非ヒト動物のADAM6活性の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍のレベルにまでADAM6活性を増強する。
【0236】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、雄性非ヒト動物における妊孕性を回復または増強するAdam6遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子は、機能性の内在性Adam6遺伝子を含む同等の非ヒト動物のレベルにまで雄性非ヒト動物の妊孕性を回復させる。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子は、雄性非ヒト動物を交配させることによって産まれる仔の数が、機能性のAdam6遺伝子を含まない同等の雄性非ヒト動物を同等に交配させることによって産まれる仔の数の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%となるように雄性非ヒト動物の妊孕性を回復させる。いくつかの実施形態では、Adam6遺伝子は、雄性非ヒト動物を交配させることによって産まれる仔の数が、機能性のAdam6遺伝子を含まない同等の雄性非ヒト動物を同等に交配させることによって産まれる仔の数の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍となるように雄性非ヒト動物の妊孕性を増強する。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、少なくとも1つの内在性の非ヒトAdam6遺伝子を含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの内在性の非ヒトAdam6遺伝子を含まないことで、内在性の非ヒトAdam6遺伝子を含まない雄性マウスのADAM6活性及び/または妊孕性が低下する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、少なくとも1つの内在性の非ヒトAdam6遺伝子の破壊を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの内在性の非ヒトAdam6遺伝子が破壊されることで、内在性の非ヒトAdam6遺伝子を含まない雄性マウスのADAM6活性及び/または妊孕性が低下する。
【0238】
非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、本明細書に記載の内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型またはヘテロ接合型である。
【0239】
非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、本明細書に記載の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型またはヘテロ接合型である。
【0240】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座は、その全部または一部が欠失される。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の実施形態のいくつかでは、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座は、機能的にサイレンシングされるか、またはその他の様式で非機能化される(例えば、遺伝子標的化によって非機能化される)。提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織のある特定の実施形態のいくつかでは、非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、機能的サイレンシングまたはその他の様式での非機能化が行われた本明細書に記載の内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型またはヘテロ接合型である。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖、または内在性の免疫グロブリンλ軽鎖及び内在性の免疫グロブリンκ軽鎖を検出可能なほど発現しない。
【0242】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含むゲノムを有する。
【0243】
いくつかの実施形態では、転写制御要素は、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、外来性TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に位置する。
【0245】
いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である。
【0246】
ヒトIgλ軽鎖配列は、いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座に由来する(例えば、そこから単離されるか、もしくは得られる)遺伝物質を含むか、またはヒトIgλ軽鎖遺伝子座と同一の遺伝物質を含み、ヒトIgλ軽鎖配列は、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座に由来する遺伝物質のコード部分を含むIg軽鎖をコードする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒトIgλ軽鎖配列は、少なくとも1つのヒトVλ遺伝子セグメント、及び少なくとも1つのヒトJλ遺伝子セグメント、ならびに当該少なくとも1つのヒトVλ遺伝子セグメントと当該少なくとも1つのヒトJλ遺伝子セグメントとの再構成の促進に必要な1つまたは複数の配列(例えば、組換えシグナル配列(複数可))、を含むことで、ヒトVλドメインをコードする機能性の再構成されたヒトVλ-Jλ配列を形成する。多くの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント、ならびに当該ヒトVλ遺伝子セグメントと当該ヒトJλ遺伝子セグメントとの再構成の促進に必要な1つまたは複数の配列、を含む。多くの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントのコード配列(例えば、エクソン)を少なくとも含むと共に、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列(例えば、エクソン)を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒトIgλ軽鎖配列は、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座のゲノム配列(例えば、細菌人工染色体から単離及び/またはクローニングされたもの)であり、生殖細胞における配置を有する複数のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、生殖細胞における配置を有するヒトVλ配列及びヒトJλ配列(すなわち、遺伝子セグメント)(すなわち、組換えに必要な組換え促進配列を含む介在DNAによって分離された複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び組換えに必要な組換え促進配列を含む介在DNAによって分離された複数のJλ遺伝子セグメント)を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒトIgλ軽鎖配列は、操作された配列であり、ヒト細胞においてヒトIgλ軽鎖遺伝子座に見られる配置とは異なる配置を有する複数のヒトJλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒトIgλ軽鎖配列は、操作された配列であり、野生型のネズミ細胞またはヒト細胞のIgκ軽鎖遺伝子座に見られる配置と同様または類似の配置を有する複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、操作されたヒトJλ配列(すなわち、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントとの組換えに必要な組換え促進配列を含めるデノボDNA合成によって調製されるヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、Igκ配列及びIgλ配列を含み、これらのIgκ配列及びIgλ配列は、天然ではそれぞれIgκゲノム配列及びIgλゲノム配列に別々に見られるものである。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、Igκ配列(複数可)(具体的には、Jκ領域(すなわち、複数のJκ遺伝子セグメントを含む領域に見られるコード配列及び非コード配列を含む配列))を含み、当該Igκ配列は、当該Igκ配列が、Jλ遺伝子セグメントのコード配列及びJλ12RSSを、それぞれ対応するJκ遺伝子セグメントのコード配列及びJκ23RSSの代わりに含むということを除けばIgκ軽鎖遺伝子座に天然では見られるものである。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、Jκ領域配列のJκ遺伝子セグメント及びJκ23RSSの代わりに複数のJλ遺伝子セグメント及びJλ12RSSを含む。さまざまな実施形態において、組換えに必要な組換え促進配列を含む介在(または遺伝子間)DNAは、ヒトIgκゲノム配列(複数可)及び/またはヒトIgλゲノム配列(複数可)を含む。あるいは、及びいくつかの実施形態では、組換えに必要な組換え促進配列を含む介在(または遺伝子間)DNAは、ネズミIgκゲノム配列(複数可)及び/またはネズミIgλゲノム配列(複数可)を含む。
【0248】
いくつかのある特定の実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、図面に見られる配列であるか、または図面に見られる配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、Vλドメインポリペプチドを(例えば、ヒト遺伝子セグメントの再構成後に)コードするか、またはコードする能力を有し、当該Vλドメインポリペプチドは、免疫グロブリン(具体的には、ヒトB細胞が発現する免疫グロブリン)に見られるものである。当該ヒトIgλ軽鎖配列を対応非ヒトIgκ軽鎖配列(例えば、内在性のげっ歯類Igκ軽鎖遺伝子座)の代わりに含む非ヒト動物、非ヒト胚、非ヒト細胞、ならびにこれらの非ヒト動物、非ヒト胚、及び非ヒト細胞を調製するための標的化コンストラクトも提供される。
【0249】
いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、対応非ヒトIgκ軽鎖配列の代わりに非ヒト動物の生殖細胞ゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列は、非ヒトIgλ軽鎖配列(例えば、非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子配列)の上流に挿入され、当該非ヒトIgλ軽鎖配列は、非ヒトIgκ軽鎖配列(例えば、非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子配列)の代わりに配置される。いくつかの実施形態では、ヒトIgκ軽鎖配列は、当該ヒトIgκ軽鎖配列がヒトIgλ軽鎖配列と並置されるように当該ヒトIgλ軽鎖配列の中央(すなわち、ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間)に挿入される。
【0250】
いくつかの実施形態では、非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座の可変領域のすべてまたは実質的にすべてが、1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列(本明細書に記載のもの)で代替または置換され、当該1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列は、非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される。いくつかの実施形態では、非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子は、本明細書に記載のヒトIgλ軽鎖配列を含む非ヒト動物において欠失または代替される。1つの非限定的な例では、ヒトIgλ軽鎖配列の挿入が、非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座への挿入である場合、当該挿入は、挿入点付近の非ヒトIgκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)(例えば、非ヒトIgκイントロンエンハンサー及び/または非ヒトIgκ3’エンハンサー)の完全性が維持される様式で実施される。したがって、そのような非ヒト動物は、ヒトIgλ軽鎖配列及び非ヒトIgλ軽鎖配列(例えば、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント、ならびに非ヒトCλ領域遺伝子)に機能可能なように連結された野生型Igκ軽鎖エンハンサー領域(もしくはエンハンサー配列)を有するか、またはヒトIgλ軽鎖配列(例えば、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント、ならびにヒトCλ領域遺伝子)に機能可能なように連結された野生型Igκ軽鎖エンハンサー領域(もしくはエンハンサー配列)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列で改変、置換、破壊、欠失、代替、または操作される非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座は、ネズミIgκ軽鎖遺伝子座である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列は、非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座の2つのコピーのうちの、当該非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座の1つのコピー(すなわち、アレル)に挿入され、その結果、ヒトIgκ軽鎖配列に関してヘテロ接合型である非ヒト動物が生じる。ヒトIgκ軽鎖配列に関してヘテロ接合型である非ヒト動物の実施形態のいくつかでは、非ヒト動物は、非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座のもう一方のコピー(すなわち、アレル)に挿入された1つまたは複数のヒトIgκ軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列を含むIgκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である非ヒト動物が提供される。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座は、非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含み、当該非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子は、同じ種の非ヒト動物の野生型Igκ軽鎖遺伝子座に見られる非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子の代わりに位置する。
【0252】
いくつかの実施形態では、内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座の内在性の非ヒトIgλ軽鎖配列の1つもしくは複数(またはその一部)は欠失されない。いくつかの実施形態では、内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座の内在性の非ヒトIgλ軽鎖配列の1つもしくは複数(またはその一部)は欠失される。いくつかの実施形態では、内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座の内在性の非ヒトIgλ軽鎖配列(例えば、V、J、及び/またはC、あるいはそれらの任意の組み合わせ)の1つまたは複数は、当該非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座が機能的にサイレンシングされるように改変、置換、破壊、欠失、または代替される。いくつかの実施形態では、内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座の内在性の非ヒトIgλ軽鎖配列(例えば、V、J、及び/またはC、あるいはそれらの任意の組み合わせ)の1つまたは複数は、当該非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座が機能的に不活化されるように(すなわち、非ヒト動物の抗体レパートリーにおいて発現し、及び/または検出可能な抗体の機能性軽鎖を産生することが不可能なように)標的化ベクターで改変、置換、破壊、欠失、または代替される。内在性の非ヒトIgλ軽鎖遺伝子座を不活化するための指針は、例えば、米国特許第9,006,511号(例えば、
図2を参照のこと)(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0253】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、(例えば、無作為に組み込まれるヒトIgλ軽鎖配列の一部として)自体のゲノムに無作為に組み込まれた本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含む。したがって、そのような非ヒト動物は、非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子、及び非ヒトIgκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むヒトIgλ軽鎖導入遺伝子を有し、その結果、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、再構成を受け、当該非ヒト動物の発現レパートリーに含まれる抗体のIg軽鎖をコードする能力を有し、当該Ig軽鎖は、ヒトVλドメイン及び非ヒトCλドメインを含むか、またはヒトVλドメイン及びヒトCλドメインを含むと説明され得る。本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座または導入遺伝子は、さまざまな方法を使用して検出することができ、こうした方法には、例えば、PCR、ウエスタンブロット、サザンブロット、制限酵素断片長多型(RFLP)、またはアレルの獲得もしくは消失を捉えるアッセイが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座に関してヘテロ接合型である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座に関してヘミ接合型である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座または導入遺伝子のコピーを1つまたは複数含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、図面に示されるIgκ軽鎖遺伝子座を含む。
【0254】
本明細書に記載の非ヒト動物は、その抗体選択及び抗体生成機構(例えば、組換え及び体細胞超変異)において、自体のゲノムに含められたヒト重鎖可変領域遺伝子セグメント、ヒトλ軽鎖可変領域遺伝子セグメント、及びヒトκ軽鎖可変領域遺伝子セグメントを利用することになるという認識を本開示は有する。したがって、さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物によって生じるヒト免疫グロブリンヒト重鎖可変ドメイン、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメイン、及びヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインは、それぞれ自体のゲノムに含まれるヒト重鎖可変領域遺伝子セグメント、ヒトλ軽鎖可変領域遺伝子セグメント、及びヒトκ軽鎖可変領域遺伝子セグメント、または体細胞超変異が生じたそのバリアントによってコードされる。
【0255】
いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体のゲノムに含む非ヒト動物が提供され、非ヒト動物は、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含むB細胞を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマウスのB細胞に存在するヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える数の体細胞超変異を有する。成熟抗体配列への供給源となる遺伝子セグメントを同定する方法を当業者なら認識するであろう。例えば、この分析の支援にはさまざまなツールが利用可能であり、こうしたツールは、例えば、DNAPLOT、IMGT/V-QUEST、JOINSOLVER、SoDA、及びAb-originなどである。
【0256】
本開示は、とりわけ、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する細胞及び組織を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する脾細胞(及び/または他のリンパ系組織)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するB細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するプロB細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するプレB細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する未熟B細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する成熟ナイーブB細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する活性化B細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するメモリーB細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するB細胞系リンパ球が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する血漿または形質細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する幹細胞が提供される。いくつかの実施形態では、幹細胞は、胚性幹細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する生殖細胞が提供される。いくつかの実施形態では、生殖細胞は、卵母細胞である。いくつかの実施形態では、生殖細胞は、精子細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する精子細胞は、1つまたは複数のADAM6ポリペプチド、ADAM6機能性オルソログ、ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片を発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する任意の細胞または組織が単離され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物に由来する単離された細胞及び/または単離された組織が提供される。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマが提供され、ハイブリドーマは、本明細書に記載の非ヒト動物のB細胞を用いて調製される。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマは、目的抗原で免疫化されている非ヒト動物のB細胞を用いて調製される。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマは、目的抗原上のエピトープに結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を発現する非ヒト動物のB細胞を用いて調製される。
【0257】
本明細書に記載の非ヒト動物はいずれも、1つまたは複数の目的抗原に対する免疫応答を当該非ヒト動物に生じさせる上で十分な条件及び時間を適用して当該1つまたは複数の目的抗原で免疫化され得る。非ヒト動物の免疫化するための方法を当業者なら認識している。一例として、非ヒト動物を免疫化するための方法は、限定されないが、US2007/0280945A1(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。
【0258】
本開示は、とりわけ、本明細書に記載の免疫化された非ヒト動物、ならびに当該免疫化された非ヒト動物から単離された細胞及び組織を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数のエピトープを含む抗原での免疫化に応答してB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を発現するB細胞集団を産生する。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、及び/または本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、目的抗原のエピトープの1つまたは複数に結合する抗体を発現するB細胞集団を産生し、抗原に応答して産生されるB細胞集団が発現する抗体は、(i)ヒト重鎖可変領域配列によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを有する重鎖、(ii)本明細書に記載のヒトラムダ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトラムダ軽鎖可変ドメインを有するラムダ軽鎖、(iii)本明細書に記載のヒトカッパ軽鎖可変領域配列によってコードされるヒトカッパ軽鎖可変ドメインを有するカッパ軽鎖、または(iv)それらの任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列には、体細胞超変異が生じる。いくつかの実施形態では、抗原に応答して産生されるB細胞集団におけるB細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%が、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、(1)(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び(c)Cλ遺伝子、を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントがCλ遺伝子に機能可能なように連結された操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含み、(2)自体の生殖細胞ゲノムにおいて、操作された内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まず、(3)(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメント、及び(c)Cκ遺伝子、を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントがCκ遺伝子に機能可能なように連結された操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む。いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物の脾細胞における軽鎖のうち、λ軽鎖である軽鎖の割合(例えば、検出または観測されるものであり、こうした検出または観測は、例えば、フローサイトメトリーによって実施される(例えば、実施例3を参照のこと))は、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物の脾細胞における軽鎖のうち、λ軽鎖である軽鎖の割合(例えば、検出または観測されるものであり、こうした検出または観測は、例えば、フローサイトメトリーによって実施される(例えば、実施例3を参照のこと))は、35~80%、35~75%、40~80%、40~75%、50~80%、50~75%、55~80%、55~75%、60~80%、または60~75%である。いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物の脾細胞における軽鎖のうち、κ軽鎖である軽鎖の割合(例えば、検出または観測されるものであり、こうした検出または観測は、例えば、フローサイトメトリーによって実施される(例えば、実施例3を参照のこと))は、最大で65%、最大で60%、最大で55%、最大で50%、最大で45%、最大で40%、または最大で35%である。いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物の脾細胞における軽鎖のうち、κ軽鎖である軽鎖の割合(例えば、検出または観測されるものであり、こうした検出または観測は、例えば、フローサイトメトリーによって実施される(例えば、実施例3を参照のこと))は、20~65%、25~65%、20~60%、25~60%、20~55%、25~55%、20~50%、25~50%、20~45%、25~45%、20~40%、または25~40%である。いくつかの実施形態では、そのような非ヒト動物の脾細胞におけるκ軽鎖:λ軽鎖の比(例えば、検出または観測されるものであり、こうした検出または観測は、例えば、フローサイトメトリーによって実施される(例えば、実施例3を参照のこと))は、0.5:1~3:1、0.65:1~3:1、0.8:1~3:1、1:1~3:1、1.2:1~3:1、1:1~2.3:1、1.1:1~1.8:1、1.2:1~2.3:1、または1.2:1~1.8:1である。
【0261】
提供される非ヒト動物の作製方法
特定の多型のヒトVλセグメント及びヒトJλセグメント(例えば、特定のVアレル及び/またはJアレル、あるいはそのバリアント)を含むヒトIgλ軽鎖コード配列を含めて、1つまたは複数のヒトIgλ軽鎖配列(例えば、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント)を非ヒトIgκ軽鎖配列の代わりに含む操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物を作製するための組成物及び方法が提供され、こうした組成物及び方法には、野生型の非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座に通常は見られる非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子の代わりに位置する非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むIgκ軽鎖遺伝子座からアセンブリされるヒト可変領域及び非ヒト定常領域またはヒト定常領域を含むIgλ軽鎖を含む抗体を発現する非ヒト動物を作製するための組成物及び方法が含まれる。いくつかの実施形態では、そのような抗体を内在性のIgκエンハンサー(複数可)及び/または内在性のIgκ調節配列(複数可)の制御下で発現する非ヒト動物を作製するための組成物及び方法も提供される。いくつかの実施形態では、そのような抗体を異種Igκエンハンサー(複数可)及び/または異種Igκ調節配列(複数可)の制御下で発現する非ヒト動物を作製するための組成物及び方法も提供される。
【0262】
本明細書に記載の方法は、野生型の非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座に通常は見られる非ヒトIgκ軽鎖定常領域遺伝子の代わりに位置する非ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子(例えば、ネズミCλ領域遺伝子またはヒトCλ領域遺伝子)の上流に、ヒトVλドメインをコードするヒトVλ配列及びヒトJλ配列を挿入することを含み、その結果、ヒトVλドメイン及び非ヒトCλドメイン(例えば、げっ歯類Cλドメイン)を含む軽鎖が存在することによって特徴付けられる抗体が発現するか、またはヒトVλドメイン及び非ヒトCλドメイン(例えば、1つもしくは複数のげっ歯類Cλドメイン)を含む軽鎖が存在することによって特徴付けられる抗体が発現し、これらの抗体は、B細胞の表面にも非ヒト動物の血清中にも発現する。
【0263】
いくつかの実施形態では、方法は、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む遺伝物質をIgκ軽鎖遺伝子座(例えば、野生型のIgκ軽鎖遺伝子座、改変されたIgκ軽鎖遺伝子座、または操作されたIgκ軽鎖遺伝子座)に挿入することを含む。いくつかのある特定の実施形態では、方法は、ヒトJλ遺伝子セグメントを含む遺伝物質を改変または操作された系統のIgκ軽鎖遺伝子座に挿入することを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列を含む遺伝物質は、操作されたものであるか、またはゲノム由来のもの(例えば、細菌人工染色体からクローニングされたもの)であり得る。いくつかの実施形態では、ヒトIgλ軽鎖配列を含む遺伝物質は、ヒトIgλ軽鎖遺伝子座に見られる配向とは異なる配向でヒトVλセグメント及びヒトJλセグメントを当該遺伝物質が含むが、当該ヒトVλセグメント及びヒトJλセグメントが再構成されてIg軽鎖の機能性のヒトVλドメインをコードすることを支援する配列を当該遺伝物質が含むように、公開供給源及び/または細菌人工染色体から設計され得る。一例を挙げるにすぎないが、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントに対応する遺伝物質は、本明細書で提供される指針が使用されることで、ヒト細胞のヒトIgλ軽鎖遺伝子座に見られるものとは異なる順序及び/または配置(例えば、ヒトIgκ軽鎖遺伝子座またはげっ歯類Igκ軽鎖遺伝子座と同様または類似の配置(一連のV遺伝子セグメントの3’側に介在DNAが続き、その3’側に一連のJ遺伝子セグメントが続く配置など))でヒトVλセグメント及びヒトJλセグメントを含むヒトIgλ軽鎖配列が構築されるように設計され得る。そのような例では、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの遺伝的内容は、ヒト細胞における対応セグメントと等しくなると想定されるが、順序及び配置は異なることになると想定される。本明細書に記載の非ヒト動物を作製するための操作されたIgκ軽鎖遺伝子座の構築時には、ヒトV遺伝子セグメント及びヒトJ遺伝子セグメントが正しく再構成され、機能性のヒトVλドメインを形成し得るように、必要な組換えシグナル配列が配置され得る。生殖細胞におけるヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの配置、ならびに適切な組換えに必要な配列のための指針は、例えば、Molecular Biology of B Cells,London:Elsevier Academic Press,2004,Ed.Honjo,T.,Alt,F.W.,Neuberger,M.Chapters 4(pp.37-59)and 5(61-82)において見つけることができ、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0264】
いくつかの実施形態では、方法は、単一のES細胞クローンに複数の挿入を行うことを含む。いくつかの実施形態では、方法は、後継ES細胞クローンに逐次的に挿入することを含む。いくつかの実施形態では、操作されたES細胞クローンに単一の挿入を行うことを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、方法には、DNA挿入物(複数可)がネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)に機能可能なように連結されるように当該ネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)の上流に当該DNA挿入物(複数可)を含み、当該DNA挿入物(複数可)は、ヒトVλ遺伝子セグメントであるVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせと、ヒトJλ遺伝子セグメントであるJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせと、を含み、当該ネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)は、内在性のIgκ軽鎖遺伝子座のネズミCκ遺伝子の代わりに位置する。
【0266】
いくつかの実施形態では、方法には、DNA挿入物(複数可)がネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)に機能可能なように連結されるように、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ3-1遺伝子セグメントの下流となり、非ヒトIgκイントロンエンハンサー領域(またはエンハンサー配列)の上流となる位置に当該DNA挿入物(複数可)を含み、当該DNA挿入物(複数可)は、天然ではヒトIgκ軽鎖遺伝子座のヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られるヒトIgκゲノム配列と、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つ)のヒトJλ遺伝子セグメントと、を含み、当該ネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)は、内在性の非ヒトIgκ軽鎖遺伝子座のネズミCκ遺伝子の代わりに位置する。いくつかのある特定の実施形態では、方法には、ヒトVλ3-1遺伝子セグメントと非ヒトIgκイントロンエンハンサーとの間にDNA挿入物(複数可)を含み、当該DNA挿入物(複数可)は、天然ではヒトIgκ軽鎖遺伝子座のヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られるヒトVκ-Jκ配列と、5つのヒトJλ遺伝子セグメント(例えば、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7)と、を含む。さまざまな実施形態において、ヒトJλ遺伝子セグメントを含むDNA挿入物(複数可)は、ヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列及びヒトJλ12RSSを有するヒトJκゲノムDNAを含む。
【0267】
本明細書に記載の方法を使用して追加のヒトVλセグメント及びヒトJλセグメントを挿入することで、操作されたIgλ軽鎖遺伝子座の多様性のさらなる補足が達成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座のネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)に約270kbのDNAが機能可能なように連結されるように、当該ネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)の上流に当該DNAを挿入することを含み得、当該DNAは、ヒトVλ遺伝子セグメントであるVλ10-54、Vλ6-57、Vλ4-60、Vλ8-61、及びVλ4-69を含む。そのような実施形態では、当該DNAは、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座のネズミCλ1遺伝子(またはヒトCλ2遺伝子)に機能可能なように連結されたヒトVλ5-52遺伝子セグメントの上流に挿入され、当該DNAは、ヒトVλ遺伝子セグメントであるVλ10-54、Vλ6-57、Vλ4-60、Vλ8-61、及びVλ4-69を含む。いくつかのある特定の実施形態では、当該DNAは、ヒトVpreB遺伝子を含む。上記の追加のヒトVλ遺伝子セグメントは、市販のBACクローンから直接的にクローニングされ、本明細書に記載の組換え技術または当該技術分野で知られるその他の技術を使用することで、より小さなDNA断片に配置され得る。あるいは、上記の追加のヒトVλ遺伝子セグメントは、操作されたDNA断片として合成され、当該技術分野で知られる分子生物学的技術を使用することで、上記の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座に付加され得る。同様に、追加のヒトJλ遺伝子セグメントを、市販のBACクローンから得るか、または公開配列から直接的に合成することができる。本明細書に記載の非ヒト動物の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を図示した例は、
図2Bまたは
図4Bに示される。
【0268】
適切な場合、ヒトVλドメインをコードするヒトIgλ軽鎖配列(すなわち、ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む配列)は、非ヒト動物での発現が最適化されたコドンを含むように、個別に改変され得る(例えば、米国特許第5,670,356号及び同第5,874,304号を参照のこと)。コドン最適化配列は、操作された配列であり、好ましくは、コドンが最適化されていない親ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同一のポリペプチド(または全長ポリペプチドの生物学的に活性な断片であって、全長ポリペプチドと実質的に同じ活性を有する断片)をコードする。いくつかの実施形態では、ヒトVλドメインをコードするヒトIgλ軽鎖配列は、特定の細胞型(例えば、げっ歯類細胞)のコドン利用が最適化されるように改変された配列を個別に含み得る。例えば、非ヒト動物(例えば、げっ歯類)のゲノムに挿入すべきそれぞれのヌクレオチド配列のコドンは、非ヒト動物の細胞での発現向けに最適化され得る。そのような配列は、コドン最適化配列と記載され得る。
【0269】
ヒトVλドメインをコードするヌクレオチド配列の挿入では、本明細書に記載の非ヒト動物の生殖細胞ゲノムの改変が最小限にとどまるようにされ、その結果、内在性の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座から発現するヒトVλドメインを有する軽鎖を含む抗体が発現する。ノックアウト動物及びノックイン動物を含めて、操作された非ヒト動物を作製するための方法は、当該技術分野で知られている(例えば、Gene Targeting:A Practical Approach,Joyner,ed.,Oxford University Press,Inc.,2000(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。例えば、遺伝子操作されたげっ歯類の作製では、1つまたは複数の内在性のげっ歯類遺伝子(または遺伝子セグメント)の遺伝子座の破壊と、げっ歯類ゲノムへの1つまたは複数の異種遺伝子(または遺伝子セグメントもしくはヌクレオチド配列)の導入と、が任意選択で行われ得、いくつかの実施形態では、内在性のげっ歯類遺伝子(または遺伝子セグメント)と同じ位置に対して行われる。いくつかの実施形態では、ヒトVλドメインをコードするヌクレオチド配列は、げっ歯類の生殖細胞ゲノムに無作為に挿入された操作された軽鎖導入遺伝子のネズミIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子の上流に導入される。いくつかの実施形態では、ヒトVλドメインをコードするヌクレオチド配列は、げっ歯類の生殖細胞ゲノムにおける内在性のIgκ軽鎖遺伝子座のネズミIgλ軽鎖定常領域遺伝子またはヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子の上流に導入される。いくつかのある特定の実施形態では、内在性のIgκ軽鎖遺伝子座は、マウスCλ1遺伝子に機能可能なように連結されたまたはヒトCλ2遺伝子に機能可能なように連結されたヒトIgλ遺伝子セグメント(例えば、ヒトV及びヒトJ)を含むように変更、改変、または操作される。
【0270】
本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を構築するための方法の例を示す模式図(図の縮尺は実際のものとは異なる)は、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、及び
図4Bに提供される。具体的には、
図1A及び
図1Bは、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むヌクレオチド配列が挿入されていることによって特徴付けられる操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を構築するための方針の例を示す。
図1A及び
図1Bに示されるように、ヒトVκ-Jκ遺伝子間領域(米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号を参照のこと)と、ヒトJλ遺伝子断片のセット(例えば、ヒトJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7)を含む操作された断片と、を含むDNA断片が、実施例1に記載のさまざまな分子生物学的技術を使用する一連のステップを介して、げっ歯類Igκイントロンエンハンサー領域(またはエンハンサー配列)に機能可能なように連結される。この操作された断片は、ヒトJλ遺伝子セグメントに機能可能なように連結されたげっ歯類Igλ軽鎖定常領域を含むようにも操作される。標的化ベクターに選択カセット(例えば、ネオマイシン及びハイグロマイシン)を含めることで、細菌細胞及び哺乳類細胞(例えば、胚性幹細胞)に含まれる陽性クローンを選択することが可能になる。図示されるように、ネオマイシン耐性遺伝子は、lox2372部位特異的組換え部位(lox)に隣接しており、ヒトVκ-Jκ領域とヒトJλ遺伝子セグメントのセットとの間に配置され、ハイグロマイシン選択カセットは、loxP部位特異的組換え部位に隣接し、げっ歯類Igλ軽鎖定常領域(mCλ1)遺伝子の3’側に配置される。次に、当該DNA断片を、げっ歯類Igκ軽鎖3’エンハンサーを含むDNA断片と結合することで、最終的な標的化ベクターが創出される(
図1B)。得られた標的化ベクター(コンストラクトG)を直鎖化し、電気穿孔によってげっ歯類胚性幹(ES)細胞に導入することで、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類が創出される。後述の実施例セクションに記載されるように、標的化ベクターの電気穿孔では、米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に以前に記載されている操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含むげっ歯類ES細胞を用いた。
図3に示される標的化ベクターとの相同組換えの結果、ネズミCλ1遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントによって特徴付けられる操作されたIgκ軽鎖遺伝子座が生じ、当該ネズミCλ1遺伝子は、天然では野生型Igκ軽鎖遺伝子座に見られるネズミCκ遺伝子の代わりに位置する。ヒトJλ遺伝子セグメントが特有に操作導入されている配列は、ヒトゲノムJκ領域に天然では見られるが、ヒトJκコード配列及び付随する23RSSの代わりにヒトJλコード配列及び付随する12RSSを有する配列である。陽性のげっ歯類ES細胞クローンは、本明細書に記載され、及び/または当該技術分野で知られるスクリーニング方法を使用して確認される。残存する選択カセットはいずれも、リコンビナーゼ介在性に欠失させることによって、望まれるように欠失され得る(実施例2を参照のこと)。
【0271】
別の手法として、標的化ベクターにおいてマウスCλ遺伝子の代わりにヒトCλ遺伝子が用いられ得る。一例を挙げるにすぎないが、
図3は、上記のものと類似の様式で構築された標的化ベクターを示し、この構築においては、唯一異なる点として、ヒトCλ2遺伝子をコードする配列が標的化ベクターに操作導入されており、5つのヒトJλ遺伝子セグメントと機能可能なように連結されている。そのような手法を使用することで、軽鎖の可変領域及び定常領域をコードするDNAが一緒に単離され、それによって、完全ヒト抗体を調製するためのヒト軽鎖定常領域へのいずれの連結クローニングステップもその後に行う必要がなくなり得るため、ヒト抗体治療剤の開発に利点が加わる。
【0272】
本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を構築するための標的化ベクターは、非ヒト細胞(例えば、げっ歯類胚性幹細胞)の生殖細胞ゲノムに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的化ベクターは、1つまたは複数の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子と機能可能なように連結されたヒトVHゲノムDNA、ヒトDHゲノムDNA、及びヒトJHゲノムDNA(例えば、複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含むもの)をさらに含む非ヒト細胞の生殖細胞ゲノムにおける野生型Igκ軽鎖遺伝子座に組み込まれる(例えば、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的化ベクターは、1つまたは複数の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子と機能可能なように連結されたヒトVHゲノムDNA、ヒトDHゲノムDNA、及びヒトJHゲノムDNA(例えば、複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含むもの)をさらに含む非ヒト細胞の生殖細胞ゲノムにおける改変または操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に組み込まれる(例えば、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、同第8,791,323号、同第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0273】
標的化ベクターは、電気穿孔によってげっ歯類(例えば、マウス)胚性幹細胞に導入され、その結果、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを含む軽鎖を有する抗体を発現する能力が、標的化ベクターに含まれる配列によって非ヒト細胞または非ヒト動物(例えば、マウス)に付与され、当該軽鎖は、内在性の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から発現する。本明細書に記載のように、遺伝子操作されたげっ歯類が作製され、このげっ歯類の生殖細胞ゲノムには、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(例えば、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりにげっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトIgλ軽鎖配列(すなわち、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメント)を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座)が創出されている。抗体は、げっ歯類B細胞の表面及び当該げっ歯類の血清中に発現し、当該抗体は、軽鎖がヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを有することによって特徴付けられる。げっ歯類の生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が標的化ベクターの標的ではないとき、操作された免疫グロブリンκ軽鎖導入遺伝子は、好ましくは、内在性のげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の位置とは異なる位置に挿入される(例えば、導入遺伝子は、無作為に挿入される)。
【0274】
上記のように非ヒト動物において操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を創出することで、ヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを有するそのような操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から発現する免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を産生する操作されたげっ歯類系統が得られる。免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含む操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の存在を活用することで、ヒト抗体ベースの治療剤を開発するための抗体及び抗体構成要素を産生する操作されたげっ歯類系統が創出される。このようにして、ヒト疾患を治療するために新たな抗体ベースの薬剤を開発するためのヒトVλドメインを利用するための別のインビボ系を提供する能力を有する単一の操作されたげっ歯類系統が実現する。
【0275】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物の作製方法が提供され、この方法は、(a)DNA断片を非ヒト胚性幹細胞に導入することであって、当該DNA断片が、(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、(iii)Cλ遺伝子(例えば、非ヒトまたはヒト)と、を含むヌクレオチド配列を含み、(i)~(iii)が、機能可能なように連結され、当該ヌクレオチド配列が、(i)と(ii)との間に免疫グロブリンk軽鎖配列をさらに含む、当該導入すること、(b)(a)において生じる非ヒト胚性幹細胞を得ること、ならびに(c)(b)に記載のげっ歯類胚性幹細胞を使用してげっ歯類を創出すること、を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物の作製方法が提供され、この方法は、(a)DNA断片を非ヒト胚性幹細胞に導入することであって、当該DNA断片が、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー、及び非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子、を含むヌクレオチド配列を含み、当該ヒトJλ遺伝子セグメントが、当該1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー、及び当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結される、当該導入すること、(b)(a)において生じる非ヒト胚性幹細胞を得ること、ならびに(c)(b)に記載のげっ歯類胚性幹細胞を使用してげっ歯類を創出すること、を含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物の作製方法であって、当該操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子の挿入を含み、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが、当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子が、非ヒトCκ遺伝子の代わりに当該内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座に挿入される、当該作製方法が提供され、この方法は、非ヒト動物の生殖細胞ゲノムを改変することを含み、その結果、当該生殖細胞ゲノムは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子の挿入を含む操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子は、非ヒトCκ遺伝子の代わりに当該内在性の免疫グロブリンκ遺伝子座に挿入される。
【0278】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、少なくとも24個、少なくとも34個、少なくとも52個、少なくとも61個、または少なくとも70個のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、39個のヒトVλ遺伝子セグメントを含む。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかのある特定の実施形態では、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントは、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座において関連するヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNAを含む。
【0279】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのヒトJλ遺伝子セグメントを含む。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、5つのヒトJλ遺伝子セグメントを含む。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、ヒトJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかのある特定の実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座において関連するヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNAの全部または一部を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントは、天然では内在性のヒトκ軽鎖遺伝子座においてヒトJκ1~Jκ5に隣接して見られるヒト非コードDNAを含む。
【0280】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、非コード免疫グロブリンDNAを含む遺伝子間DNA(例えば、2つのV遺伝子セグメントのコード配列の間、V遺伝子セグメントのコード配列とJ遺伝子セグメントのコード配列との間、または2つのJ遺伝子セグメントのコード配列の間に天然では見られるDNA)を含む。多くの実施形態では、当該非コード免疫グロブリンDNAは、非コード免疫グロブリン軽鎖DNA(例えば、ヒトまたはネズミ)である。いくつかの実施形態では、非コード免疫グロブリン軽鎖DNAは、免疫グロブリンκ軽鎖DNA、免疫グロブリンλ軽鎖DNA、またはそれらの組み合わせである。
【0281】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、1つまたは複数の選択マーカーをさらに含む。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、1つまたは複数の部位特異的組換え部位をさらに含む。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、同じリコンビナーゼで組換えが生じる部位特異的組換え部位のセットを1つまたは複数、さらに含む。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、異なるリコンビナーゼで組換えが生じる部位特異的組換え部位のセットを1つまたは複数、さらに含む。
【0282】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、免疫グロブリンκ軽鎖配列と免疫グロブリンλ軽鎖配列とが一緒になって含まれる連続配列を含む操作された配列を含む。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、免疫グロブリンκ軽鎖配列と免疫グロブリンλ軽鎖配列とが一緒になって含まれるが、これらの軽鎖配列の間に非免疫グロブリン配列(例えば、組換えシグナル配列、耐性遺伝子、及びそれらの組み合わせ)が介在する単一の配列、を含む操作された配列をDNA断片は含む。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、操作された配列は、Jκ領域の複数部分、及びJλ領域の複数部分を含む。いくつかの実施形態では、操作された配列は、ヒトJκ領域の複数部分、及びヒトJλ領域の複数部分を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトJκ領域の複数部分は、天然ではヒト細胞のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に見られるヒトJκ領域の非コード配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、ヒトJλ領域の複数部分は、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列及び組換えシグナル配列(RSS)を含む。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、DNA断片は、操作された配列を含み、この操作された配列は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントのコード配列及び組換えシグナル配列(RSS)が存在することによって特徴付けられ、これらの配列は、ヒトJκ遺伝子セグメントの対応するコード配列及び組換えシグナル配列(RSS)を位置的に代替または置換し(すなわち、これらの対応配列の代わりに位置する)、その結果、当該1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの当該コード配列及び組換えシグナル配列(RSS)は、当該1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントの当該非コード配列に内在するか、それに隣接するか、それと近接するか、またはそれと並置される。
【0283】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数の操作された免疫グロブリン遺伝子座(例えば、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリンκ軽鎖、免疫グロブリンλ軽鎖、及びそれらの組み合わせ)を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞にDNA断片が導入される。いくつかのある特定の実施形態では、操作された免疫グロブリン遺伝子座は、内在性の操作された免疫グロブリン遺伝子座である。
【0284】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの挿入を含む内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞にDNA断片が導入され、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される。
【0285】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞にDNA断片が導入され、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される。非ヒト動物の作製方法のある特定の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、ならびに当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと当該1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に配置されるか、導入されるか、または位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列、の挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞にDNA断片が導入され、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される。
【0286】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を非ヒト動物の生殖細胞ゲノムが含むように当該生殖細胞ゲノムを改変することは、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの挿入を含む内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞において実施され、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結される。
【0287】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を非ヒト動物の生殖細胞ゲノムが含むように当該生殖細胞ゲノムを改変することは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞において実施され、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される。非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を非ヒト動物の生殖細胞ゲノムが含むように当該生殖細胞ゲノムを改変することは、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、ならびに当該1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと当該1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に配置されるか、導入されるか、または位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列、の挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト胚性幹細胞において実施され、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される。
【0288】
非ヒト動物の作製方法の実施形態のいくつかでは、1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子断の挿入は、天然では内在性のヒト免疫グロブリン遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNA、天然では内在性のヒト免疫グロブリン遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNA、及び天然では内在性のヒト免疫グロブリン遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNAを含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法から作製されるか、生じるか、生成されるか、得られるか、または得ることが可能な非ヒト動物が提供される。
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物のゲノムは、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のヒト免疫グロブリン重鎖可変領域の1つまたは複数をさらに含む。あるいは、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、異なる改変系統(例えば、VELOCIMMUNE(登録商標)系統など)(例えば、米国特許第8,502,018号及び/または同第8,642,835号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)の胚性幹細胞に操作導入され得る。次に、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座のホモ接合性は、交配繁殖によって達成され得る。あるいは、操作された免疫グロブリンκ軽鎖導入遺伝子(上記のもの)が無作為に挿入される場合、げっ歯類系統は、とりわけ、導入遺伝子からのヒトVλドメインの発現に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、VELOCIMMUNE(登録商標)1(VI-1)マウスであり得、VI-1マウスは、18個のヒトVH遺伝子セグメント、すべてのヒトDH遺伝子セグメント、及びすべてのJH遺伝子セグメントを含む。VI-1マウスは、16個のヒトVκ遺伝子セグメント、及びすべてのヒトJκ遺伝子セグメントも含み得る。いくつかの実施形態では、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、VELOCIMMUNE(登録商標)2(VI-2)マウスであり得、VI-2マウスは、39個のヒトVH遺伝子セグメント、すべてのヒトDH遺伝子セグメント、及びすべてのJH遺伝子セグメントを含む。VI-2マウスは、30個のヒトVκ遺伝子セグメント、及びすべてのヒトJκ遺伝子セグメントも含み得る。いくつかの実施形態では、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、VELOCIMMUNE(登録商標)3(VI-3)マウスであり得、VI-3マウスは、80個のヒトVH遺伝子セグメント、すべてのヒトDH遺伝子セグメント、及びすべてのJH遺伝子セグメントを含む。VI-3マウスは、40個のヒトVκ遺伝子セグメント、及びすべてのヒトJκ遺伝子セグメントも含み得る。
【0291】
代替及び/または追加として、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の生殖細胞ゲノムは、欠失、不活化、機能的サイレンシング、またはその他の様式での非機能化が行われた内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座をさらに含む。遺伝子または遺伝子座を欠失または非機能化するための遺伝子改変は、本明細書に記載され、及び/または当該技術分野で知られる方法を使用して達成され得る。
【0292】
遺伝子操作された樹立非ヒト動物は、自体の生殖細胞ゲノムに操作されたIgκ軽鎖遺伝子座が存在すること、及び/または非ヒト動物の組織もしくは細胞においてヒトVλドメインと非ヒトCλドメインまたはヒトCλドメインとを有する抗体が発現すること、に基づいて同定され得る。次に、遺伝子操作された樹立非ヒト動物は、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を保有する追加の非ヒト動物との交配繁殖に使用され、それによって、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のコピーをそれぞれが1つまたは複数保有する非ヒト動物のコホートが創出され得る。さらに、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を保有する遺伝子操作された非ヒト動物は、他の導入遺伝子(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子)または他の望まれるように操作された免疫グロブリン遺伝子座を保有する他の遺伝子操作された非ヒト動物とさらに交配繁殖され得る。
【0293】
遺伝子操作された非ヒト動物は、導入遺伝子または組み込み配列(複数可)の発現を調節し、誘導し、誘導性にし、及び/または細胞型特異的にすることを可能にする選択された系を含むようにも作製され得る。例えば、本明細書に記載の非ヒト動物は、抗体のヒトVλドメインをコードする1つまたは複数の条件的発現配列を含むように操作され得る(このことは、例えば、Rajewski,K.et al.,1996,J.Clin.Invest.98(3):600-3(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に概説されている)。系の例としては、バクテリオファージP1のCre/loxPリコンビナーゼ系(例えば、Lakso,M.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:6232-6(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、及びS.cerevisiaeのFLP/Frtリコンビナーゼ系(O’Gorman,S.et al,1991,Science 251:1351-5(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))が挙げられる。そのような動物は、例えば、一方が、選択された改変を含む導入遺伝子(例えば、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座)を含み、もう一方が、リコンビナーゼ(例えば、Creリコンビナーゼ)をコードする導入遺伝子を含む2匹の遺伝子操作された動物を交配させることによって、「二重」に遺伝子操作された動物を構築することによって提供され得る。
【0294】
本明細書に記載の非ヒト動物は、上記のように作製されるか、または当該技術分野で知られる方法が使用されることで、ヒト遺伝子、ヒト化遺伝子、またはその他の様式で操作された遺伝子を追加で含み得、こうした遺伝子は、多くの場合、当該非ヒト動物の意図される使用に応じて当該非ヒト動物に含められる。そのようなヒト遺伝子、ヒト化遺伝子、またはその他の様式で操作された遺伝子の遺伝物質は、上記の遺伝子改変もしくは遺伝子変化を有する細胞(例えば、胚性幹細胞)のゲノムをさらに改変するか、または望まれるように遺伝子改変もしくは遺伝子操作された他の系統を用いて当該技術分野で知られる交配繁殖技術を適用することによって、導入され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトIgH及び/またはヒトIgκ軽鎖の遺伝子または遺伝子セグメント(例えば、Murphy,A.J.et al.,(2014)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153-5158、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号、米国特許第8,791,323号、ならびに米国特許出願公開第2013/0096287A1号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)をさらに含むように作製される。
【0295】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、改変または操作された系統に由来する細胞へと本明細書に記載の標的化ベクターを導入することによって作製され得る。例えば、本明細書に記載の標的化ベクターは、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに導入され得る。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、完全ヒト可変領域及びマウス定常領域を有する抗体を発現する。別の例では、本明細書に記載の標的化ベクターは、米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)のいずれか1つに記載の操作されたマウスに導入され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子(可変域遺伝子及び/または定常領域遺伝子)をさらに含むように作製される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座と、異なる種(例えば、ヒト)に由来する遺伝物質と、を含み、遺伝物質は、1つまたは複数のヒト重鎖可変領域及び/またはヒトIgκ軽鎖可変領域の全部または一部をコードする。
【0296】
例えば、本明細書に記載のように、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含む非ヒト動物は、Murphy,A.J.et al.,(2014)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153-8、Macdonald,L.E.et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5147-52、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の改変を(例えば、異種交配または複数の遺伝子標的化方針を介して)1つまたは複数、さらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むげっ歯類は、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座及び/またはヒト化免疫グロブリンκ軽鎖可変領域遺伝子座(例えば、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び/または同第8,791,323号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を含むげっ歯類と交配される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むげっ歯類は、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座(例えば、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び/または同第8,791,323号(これらの文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)と、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)と、を含むげっ歯類と交配される。
【0297】
操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むマウス(すなわち、マウスCκ遺伝子の代わりに位置するマウスCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子と機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在し、その結果、ヒトVλドメインとマウスCλドメインまたはヒトCλドメインとを含む抗体が発現することによって特徴付けられる操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むマウス)を構築することを説明する実施形態が広範囲にわたって本明細書で論じられるが、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む他の非ヒト動物も提供される。そのような非ヒト動物には、本明細書に記載の抗体を発現するように遺伝子改変され得る非ヒト動物がいずれも含まれ、こうした非ヒト動物には、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、水牛)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)などが含まれる。例えば、遺伝子改変が可能な適切なES細胞を入手することが困難な非ヒト動物については、遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製するために他の方法が用いられる。そのような方法には、例えば、非ES細胞(例えば、線維芽細胞または人工多能性細胞)のゲノムを改変するもの、及び体細胞核移植(SCNT)を用いて遺伝子改変ゲノムを適切な細胞(例えば、除核卵母細胞)に移植するもの、ならびに適切な条件の下で非ヒト動物に改変細胞(例えば、改変卵母細胞)を懐胎させて胚を形成させるもの、が含まれる。
【0298】
非ヒト動物の生殖細胞ゲノム(例えば、ブタ、雌ウシ、げっ歯類、ニワトリなどのゲノム)を改変するための方法には、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはCasタンパク質(すなわち、CRISPR/Cas系)を用いて本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含めるものが含まれる。非ヒト動物の生殖細胞ゲノムを改変するための方法向けの指針は、例えば、米国特許出願第14/747,461号(2015年6月23日出願)、同第14/948,221号(2015年11月20日出願)、及び同第14/974,623号(2015年12月18日出願)(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。
【0299】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、小型哺乳類であり、例えば、Dipodoidea上科またはMuroidea上科に属する小型哺乳類である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変された動物は、げっ歯類である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、マウス、ラット、及びハムスターから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、Muroidea上科から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変された動物は、Calomyscidae科(例えば、マウス様ハムスター)、Cricetidae科(例えば、ハムスター、新世界ラット及び新世界マウス、ハタネズミ)、Muridae科(真正マウス及び真正ラット、スナネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、Nesomyidae科(キノボリマウス、イワマウス、オジロキヌゲネズミ(with-tailed rat)、マダガスカルネズミ及びマダガスカルマウス)、Platacanthomyidae科(例えば、トゲヤマネ)、ならびにSpalacidae科(例えば、メクラネズミ、タケネズミ、及びモグラネズミ)から選択される科に由来する。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変されたげっ歯類は、真正マウスまたは真正ラット(Muridae科)、スナネズミ、トゲマウス、ならびにタテガミネズミから選択される。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変されたマウスは、Muridae科のメンバーに由来する。ある実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、げっ歯類である。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のげっ歯類は、マウス及びラットから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、マウスである。
【0300】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaから選択されるC57BL系のマウスであるげっ歯類である。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のマウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129/SvJae、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群から選択される129系である(例えば、Festing et al.,1999,Mammalian Genome 10:836、Auerbach,W.et al.,2000,Biotechniques 29(5):1024-1028,1030,1032(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変されたマウスは、前述の129系と前述のC57BL/6系とのミックスである。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のマウスは、前述の129系のミックスであるか、または前述のBL/6系のミックスである。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のミックスの129系は、129S6(129/SvEvTac)系である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマウスは、BALB系(例えば、BALB/c系)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマウスは、BALB系と別の前述の系統とのミックスである。
【0301】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ラットである。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のラットは、Wistarラット、LEA系、Sprague Dawley系、Fischer系、F344、F6、及びDark Agoutiから選択される。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載のラット系統は、Wistar、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6、及びDark Agoutiからなる群から選択される2つ以上の系統のミックスである。
【0302】
ラットの多能性及び/または全能性の細胞は、任意のラット系統に由来するものであり得、こうしたラット系統には、例えば、ACIラット系統(August系及びCopenhagen系を起源とする近交系)、Dark Agouti(DA)ラット系統、Wistarラット系統、LEAラット系統、Sprague Dawley(SD)ラット系統、またはFischerラット系統(Fisher F344もしくはFisher F6など)が含まれる。ラットの多能性及び/または全能性の細胞は、上記の系統の2つ以上のミックスに由来する系統から得ることもできる。例えば、ラットの多能性及び/または全能性の細胞は、DA系またはACI系に由来し得る。ACIラット系統は、毛皮模様が黒のアグーチであり、腹部及び足が白く、RT1av1ハプロタイプを有することによって特徴付けられる。そのような系統は、Harlan Laboratoriesを含めて、さまざまな供給元から利用可能である。ACIラットに由来するラットES細胞株の例は、ACI.G1ラットES細胞である。DAラット系統は、毛皮模様がアグーチであり、RT1av1ハプロタイプを有することによって特徴付けられる。そのようなラットは、Charles River and Harlan Laboratoriesを含めて、さまざまな供給元から利用可能である。DAラットに由来するラットES細胞株の例は、DA.2BラットES細胞株及びDA.2CラットES細胞株である。いくつかの実施形態では、ラットの多能性及び/または全能性の細胞は、近交系ラット系統に由来する(例えば、2014年8月21日公開の米国特許出願公開第2014-0235933A1号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。本明細書に記載の方法及び/またはコンストラクトを使用してラットゲノム(例えば、ラットES細胞のゲノム)に改変を施すための指針は、例えば、米国特許出願公開第2014-0310828号及び同第2017-0204430号(これらの文献は両方共、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。
【0303】
特定の実施形態例-免疫グロブリン重鎖遺伝子座
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むと共に、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子、非ヒト免疫グロブリン重鎖エンハンサー、及び非ヒト免疫グロブリン重鎖調節領域に機能可能なように連結された複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントが生殖細胞における配置で存在することによって特徴付けられる操作されたIgH遺伝子座(またはアレル)をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはアレル)は、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒトVH遺伝子セグメントであるVH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作されたIgH遺伝子座(またはアレル)は、ヒトDH遺伝子セグメントであるDH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒトJH遺伝子セグメントであるJH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも含む。
【0304】
本明細書に記載の非ヒト動物は、その抗体選択機構及び抗体生成機構(例えば、組換え及び体細胞超変異)において、自体のゲノムに含められたヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを利用することになるという認識を本開示は有する。したがって、さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物によって生じるヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインは、自体のゲノムに含まれるヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントまたは体細胞超変異が生じたそのバリアントによってコードされる。
【0305】
いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体のゲノムに含む非ヒト動物が提供され、非ヒト動物は、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含むB細胞を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマウスのB細胞に存在するヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える数の体細胞超変異を有する。成熟抗体配列への供給源となった遺伝子セグメントを同定する方法を当業者なら認識するであろう。例えば、この分析の支援にはさまざまなツールが利用可能であり、こうしたツールは、例えば、DNAPLOT、IMGT/V-QUEST、JOINSOLVER、SoDA、及びAb-originなどである。
【0306】
いくつかの実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子(例えば、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンE(IgE)、及び免疫グロブリンA(IgA)など)を含む。いくつかのある特定の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、げっ歯類IgM定常領域遺伝子、げっ歯類IgD定常領域遺伝子、げっ歯類IgG3定常領域遺伝子、げっ歯類IgG1定常領域遺伝子、げっ歯類IgG2b定常領域遺伝子、げっ歯類IgG2a定常領域遺伝子、げっ歯類IgE定常領域遺伝子、及びげっ歯類IgA定常領域遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖エンハンサー(すなわち、エンハンサー配列またはエンハンサー領域)に機能可能なように連結される。いくつかの実施形態では、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖調節領域(または調節配列)に機能可能なように連結される。いくつかの実施形態では、当該ヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントは、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖エンハンサー(またはエンハンサー配列)、及び1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖調節領域(または調節配列)に機能可能なように連結される。
【0307】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、内在性のAdam6遺伝子を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、同じ種の野生型非ヒト動物の生殖細胞ゲノムに見られる位置と同じ生殖細胞ゲノム位置に内在性のAdam6遺伝子(またはAdam6コード配列)を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、ヒトAdam6偽遺伝子を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、非ヒト(例えば、げっ歯類)のAdam6ポリペプチド、Adam6機能性オルソログ、Adam6機能性ホモログ、またはその機能性断片を1つまたは複数コードする少なくとも1つのヌクレオチド配列の挿入を含む。いくつかの実施形態では、当該挿入は、非ヒト動物、細胞、または組織の生殖細胞ゲノムにおける、本明細書に記載の操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の外側(例えば、限定されないが、最も5’側のVH遺伝子セグメントの上流)、操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の内部、またはその他の場所(例えば、限定されないが、非ヒトAdam6コード配列が無作為に導入される場合)になされ得る。
【0308】
さまざまな実施形態において、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、抗体分子における内在性の非ヒトVH領域の全部または一部を検出可能なほど発現しない。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、抗体分子における内在性の非ヒトVH領域(例えば、VH、DH及び/またはJH)の全部または一部をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含まない(または当該ヌクレオチド配列を欠いているか、もしくは当該ヌクレオチド配列の欠失を含む)。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、内在性の非ヒトVH遺伝子セグメント、非ヒトDH遺伝子セグメント、及び非ヒトJH遺伝子セグメントの全部または一部の欠失を含む生殖細胞ゲノムを有する。さまざまな実施形態において、提供される非ヒト動物は、繁殖力を有する。
【0309】
そのような操作された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはアレル)を保有する標的化ベクター、非ヒト細胞、及び非ヒト動物を創出するための指針は、米国特許第8,502,018号、同第8,642,835号、同第8,697,940号、及び同第8,791,323号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。非ヒト(例えば、哺乳類)ゲノムのそのような遺伝子操作及び/または遺伝子処理を達成するための技術、あるいは非ヒト動物の生殖細胞ゲノムに導入するためのそのような配列をその他の方法で調製、提供、または製造するための技術は、さまざまなものが当該技術分野で知られており、こうしたさまざまな技術を当業者なら認識している。
【0310】
特定の実施形態例-免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、非ヒトCκ遺伝子の代わりに挿入された非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子の上流に挿入された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが生殖細胞における配置(すなわち、再構成されておらず、組換えシグナル配列が付随する状態)で存在することによって特徴付けられる操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む。本明細書に記載のように、そのような操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントを含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のクラスターAに見られるヒトVλ遺伝子セグメントを少なくとも含み、いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のクラスターA及びクラスターBに見られるヒトVλ遺伝子セグメントを少なくとも含み、いくつかのある特定の実施形態では、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のクラスターA、クラスターB、及びクラスターCに見られるヒトVλ遺伝子セグメントを少なくとも含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒトVλ遺伝子セグメントであるVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒトJλ遺伝子セグメントであるJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも含む。
【0311】
本明細書に記載の非ヒト動物は、その抗体選択機構及び抗体生成機構(例えば、組換え及び体細胞超変異)において、自体のゲノムに含められたヒトλ軽鎖可変領域遺伝子セグメントを利用することになるという認識を本開示は有する。したがって、さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物によって生じるヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインは、自体のゲノムに含まれるヒトλ軽鎖可変領域遺伝子セグメントまたは体細胞超変異が生じたそのバリアントによってコードされる。
【0312】
いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体のゲノムに含む非ヒト動物が提供され、非ヒト動物は、体細胞超変異が生じたヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列を含むB細胞を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマウスのB細胞に存在するヒト重鎖可変領域配列、ヒトλ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトκ軽鎖可変領域配列は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれを超える数の体細胞超変異を有する。成熟抗体配列への供給源となった遺伝子セグメントを同定する方法を当業者なら認識するであろう。例えば、この分析の支援にはさまざまなツールが利用可能であり、こうしたツールは、例えば、DNAPLOT、IMGT/V-QUEST、JOINSOLVER、SoDA、及びAb-originなどである。
【0313】
多くの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、野生型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に見られるものと同じ非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)を含む。いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、異なる種(例えば、異なるげっ歯類種)の野生型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に見られる非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー領域(またはエンハンサー配列)を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー(すなわち、エンハンサー配列またはエンハンサー領域)に機能可能なように連結される。いくつかのある特定の実施形態では、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、ネズミ免疫グロブリンκ軽鎖イントロンエンハンサー領域(IgκEiまたはEiκ)に機能可能なように連結される。いくつかのある特定の実施形態では、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、ネズミ免疫グロブリンκ軽鎖3’エンハンサー領域(Igκ3’Eまたは3’Eκ)に機能可能なように連結される。いくつかのある特定の実施形態では、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、ネズミEiκに機能可能なように連結され、かつネズミ3’Eκに機能可能なように連結される。
【0315】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)は、ヒトVpreB遺伝子(またはヒトVpreB遺伝子コード配列)を含まない(すなわち、欠いている)。
【0316】
いくつかの実施形態では、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、げっ歯類Cλ遺伝子(例えば、マウスCλ遺伝子またはラットCλ遺伝子など)を含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、129系、BALB/c系、C57BL/6系、129xC57BL/6ミックス系、またはそれらの組み合わせを含む遺伝的背景に由来するマウスCλ遺伝子であるか、または当該マウスCλ遺伝子を含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、配列番号1(マウスCλ1)、配列番号3(マウスCλ2)、または配列番号5(マウスCλ3)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、配列番号1(マウスCλ1)、配列番号3(マウスCλ2)、または配列番号5(マウスCλ3)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子の配列であるか、または当該配列を含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλドメインは、配列番号2(マウスCλ1)、配列番号4(マウスCλ2)、または配列番号6(マウスCλ3)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλドメインは、配列番号2(マウスCλ1)、配列番号4(マウスCλ2)、または配列番号6(マウスCλ3)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλ遺伝子は、マウスCλ1ドメインポリペプチドであるか、またはマウスCλ1ドメインポリペプチドを含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、配列番号7(ラットCλ1)、配列番号9(ラットCλ2)、配列番号11(ラットCλ3)、または配列番号13(ラットCλ4)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、配列番号7(ラットCλ1)、配列番号9(ラットCλ2)、配列番号11(ラットCλ3)、または配列番号13(ラットCλ4)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかのある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)の非ヒトCλ遺伝子は、ラットCλ1遺伝子の配列であるか、または当該配列を含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλドメインは、配列番号8(ラットCλ1)、配列番号10(ラットCλ2)、配列番号12(ラットCλ3)、または配列番号14(ラットCλ4)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλドメインは、配列番号8(ラットCλ1)、配列番号10(ラットCλ2)、配列番号12(ラットCλ3)、または配列番号14(ラットCλ4)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされる非ヒトCλドメインは、ラットCλ1ドメインポリペプチドであるか、またはラットCλ1ドメインポリペプチドを含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)のヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ遺伝子(例えば、ヒトCλ1遺伝子、ヒトCλ2遺伝子、ヒトCλ3遺伝子、ヒトCλ6遺伝子、またはヒトCλ7遺伝子など)を含む。いくつかのある特定の実施形態では、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)のヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ2遺伝子であるか、またはヒトCλ2遺伝子を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)のヒトCλ遺伝子は、配列番号15(ヒトCλ1)、配列番号17(ヒトCλ2)、配列番号19(ヒトCλ3)、配列番号21(ヒトCλ6)、または配列番号23(ヒトCλ7)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)のヒトCλ遺伝子は、配列番号15(ヒトCλ1)、配列番号17(ヒトCλ2)、配列番号19(ヒトCλ3)、配列番号21(ヒトCλ6)、または配列番号23(ヒトCλ7)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)のヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ2遺伝子の配列であるか、または当該配列を含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされるヒトCλドメインは、配列番号16(ヒトCλ1)、配列番号18(ヒトCλ2)、配列番号20(ヒトCλ3)、配列番号22(ヒトCλ6)、または配列番号24(ヒトCλ7)との同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされるヒトCλドメインは、配列番号16(ヒトCλ1)、配列番号18(ヒトCλ2)、配列番号20(ヒトCλ3)、配列番号22(ヒトCλ6)、または配列番号24(ヒトCλ7)と実質的に同一または同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)に配置される配列によってコードされるヒトCλドメインは、ヒトCλ2ドメインポリペプチドであるか、またはヒトCλ2ドメインポリペプチドを含む。
【0324】
とりわけ、本開示は、Igκ軽鎖遺伝子座(またはアレル)にヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在することで、提供される非ヒト動物の軽鎖レパートリーの多様性が、そのような操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を含まない非ヒト動物が発現する抗体レパートリーにおける軽鎖の多様性と比較して増加することを示す。
【0325】
特定の実施形態例-免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むと共に、野生型の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(もしくはアレル)または不活化された免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(もしくはアレル)をさらに含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、及び/または非ヒト組織は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座の全部または一部の欠失を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、及び/または非ヒト組織は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座内に挿入を含み、当該挿入によって、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座が非機能化する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、及び/または非ヒト組織は、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座の1つまたは複数の遺伝子セグメントの欠失を含み、その結果、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座は、抗体の機能性軽鎖を生じさせる組換え及び/またはその発現を行うことができない。
【0327】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、抗体分子における内在性の非ヒトVλ領域の全部または一部を検出可能なほど発現しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、抗体分子における内在性の非ヒトVλ領域の全部または一部をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含まない(または当該ヌクレオチド配列を欠いているか、もしくは当該ヌクレオチド配列の欠失を含む)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、内在性の非ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの全部または一部の欠失を含む生殖細胞ゲノムを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、内在性の非ヒトVλ遺伝子セグメント、非ヒトJλ遺伝子セグメント、及び非ヒトCλ遺伝子セグメントの全部または一部の欠失を含む生殖細胞ゲノムを有する。
【0328】
不活化されたIgλ軽鎖遺伝子座(またはアレル)を保有する標的化ベクター、非ヒト細胞、及び動物を創出するための指針は、例えば、米国特許第9,006,511号、同第9,012,717号、同第9,029,628号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。非ヒト(例えば、哺乳類)ゲノムの特定の遺伝子座の遺伝子的不活化及び/または非ヒト(例えば、哺乳類)ゲノムの処理を達成するための技術、あるいは非ヒト動物の生殖細胞ゲノムに導入するためのそのような遺伝子的不活化(例えば、遺伝子欠失)をその他の方法で調製、提供、または製造するための技術は、さまざまなものが当該技術分野で知られており、こうしたさまざまな技術を当業者なら認識している。
【0329】
特定の実施形態例-免疫グロブリン遺伝子座の組み合わせ
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むと共に、(例えば、異種交配または複数の遺伝子標的化方針を介して)1つまたは複数の追加のヒト遺伝子またはヒト化遺伝子をさらに含む。そのような非ヒト動物は、上記のように作製されるか、または当該技術分野で知られる方法が使用されることで、非ヒト動物の意図される使用に応じて、所望の操作された遺伝子型が達成され得る。そのような追加のヒト遺伝子またはヒト化遺伝子の遺伝物質は、上記の遺伝子改変を有する細胞(例えば、胚性幹細胞)のゲノムをさらに改変するか、または望まれるように遺伝子改変された他の系統を用いて当該技術分野で知られる交配繁殖技術を適用することによって、導入され得る。
【0330】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、限定されないが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含むものが挙げられる)をさらに含むように作製される。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型であり、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であり、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である。
【0331】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、限定されないが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含むものが挙げられる)と、ヒト化免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(例えば、限定されないが、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に含むものが挙げられる)と、をさらに含むように作製される。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてヘテロ接合型であり、げっ歯類免疫グロブリンλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む1つの内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(すなわち、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座)と、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを有する別の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、をさらに含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型であり、げっ歯類免疫グロブリンλ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む1つの内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(すなわち、本明細書に記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座)と、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを有する別の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、をさらに含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、(a)非ヒトCHドメイン配列と融合したヒトVHドメイン配列を含む免疫グロブリン重鎖を非ヒト動物が発現するように1つまたは複数の内在性の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結されたヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含むホモ接合型またはヘテロ接合型のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、(b)非ヒトCλドメイン配列と融合したヒトVλドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を非ヒト動物が発現するように非ヒト免疫グロブリンCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む第1の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、(c)マウスCκドメイン配列と融合したヒトVκドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を非ヒト動物が発現するように内在性の非ヒトCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、を含むゲノムを有する。
【0333】
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、(a)非ヒトCHドメイン配列と融合したヒトVHドメイン配列を含む免疫グロブリン重鎖を非ヒト動物が発現するように1つまたは複数の内在性の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域に機能可能なように連結されたヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含むホモ接合型またはヘテロ接合型のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、(b)非ヒトCλドメイン配列と融合したヒトVλドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を非ヒト動物が発現するように非ヒト免疫グロブリンCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む第1の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、(c)マウスCκドメイン配列と融合したヒトVκドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を非ヒト動物が発現するように内在性の非ヒトCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、(d)全部または一部が機能的に不活化または欠失した、ホモ接合型またはヘテロ接合型の内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座と、を含むゲノムを有する。
【0334】
例えば、本明細書に記載のように、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む非ヒト動物は、米国特許第8,642,835号、同第8,697,940号、同第9,006,511号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる)に記載の改変を(例えば、交配または複数の遺伝子標的化方針を介して)1つまたは複数、さらに含み得る。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、1つまたは複数の非ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVH遺伝子セグメント、ヒトDH遺伝子セグメント、及びヒトJH遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座)をさらに含む。いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座、及び非機能性の内在性免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(例えば、その全部もしくは一部が欠失しているか、またはその他様式で非機能化されたもの)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、提供される非ヒト動物は、非ヒトCκ遺伝子の代わりに配置されたヒトCλ遺伝子または非ヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを有する免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、内在性の非ヒトCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、を含む。そのような実施形態では、提供される非ヒト動物は、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘミ接合型と称される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される当該ヘミ接合型の非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される当該ヘミ接合型の非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座、及び非機能性の内在性免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座をさらに含む。
【0335】
提供される非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織の使用方法
本明細書に記載の非ヒト動物は、抗体を開発するためのプラットホームとして使用することができる。具体的には、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒトラムダ軽鎖可変ドメイン及びそのようなヒトラムダ軽鎖可変ドメインを含む抗体の生成及び同定に特に有利なプラットホームとなる。
【0336】
したがって、本開示は、抗体の調製方法において本明細書に記載の非ヒト動物を使用できることを示す。本開示に従って調製される抗体には、例えば、ヒト抗体、キメラ抗体、リバースキメラ抗体、これらの抗体のいずれかの断片、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0337】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト抗体(例えば、完全ヒト抗体)の調製に用いることができ、当該ヒト抗体は、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞の遺伝物質によってコードされる核酸配列に由来する可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、目的抗原に対する免疫応答を当該非ヒト動物に生じさせる上で十分な条件及び時間を適用して当該目的抗原で免疫化される。そのように免疫化された非ヒト動物(または1つもしくは複数の細胞(例えば、1つもしくは複数のB細胞)から抗体及び/または抗体配列(すなわち、抗体の一部をコードする配列(例えば、可変領域配列))が単離及び/または同定され、さまざまなアッセイを使用して特徴付けられる。こうしたアッセイは、例えば、親和性、特異性、エピトープマッピング、リガンド-受容体相互作用の遮断能力、抑制受容体活性化などを測定するアッセイである。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物によって産生される抗体は、当該非ヒト動物から単離された1つまたは複数のヒト可変領域ヌクレオチド配列に由来する1つまたは複数のヒト可変領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物において抗薬物抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)が産生され得る。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物によって産生される抗体は、ヒト軽鎖可変ドメイン及び非ヒト(例えば、げっ歯類)軽鎖定常ドメイン、及び/またはヒト重鎖可変ドメイン及び非ヒト(例えば、げっ歯類)重鎖定常ドメインを含むリバースキメラ抗体である。
【0338】
さまざまな実施形態において、非ヒト動物によって産生される抗体は、ヒト可変ドメイン及び非ヒト定常ドメインを有する重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物によって産生される抗体は、ヒト軽鎖可変ドメイン及び非ヒト(例えば、げっ歯類)軽鎖定常ドメインを含むリバースキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物によって産生される抗体は、ヒト重鎖可変ドメイン及び非ヒト(例えば、げっ歯類)重鎖定常ドメインを含むリバースキメラ抗体である。
【0339】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、本明細書に記載の非ヒト動物を目的抗原で免疫化することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、当該非ヒト動物からリンパ球(例えば、クローン的に選択されたリンパ球)を同定することを含み、当該リンパ球は、目的抗原に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を発現する。いくつかの実施形態では、リンパ球は、B細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト重鎖可変領域配列、ヒトラムダ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトカッパ軽鎖可変領域配列が、リンパ球(例えば、B細胞)から得られ、及び/または同定される(例えば、遺伝子型が同定される(例えば、シークエンスされる))。いくつかの実施形態では、ヒト重鎖可変ドメイン、ヒトラムダ軽鎖可変ドメイン、及び/またはヒトカッパ軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列が、リンパ球(例えば、B細胞)から得られ、及び/または同定される(例えば、シークエンスされる)。いくつかの実施形態では、非ヒト動物のB細胞に由来するヒト重鎖可変領域配列、ヒトラムダ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトカッパ軽鎖可変領域配列は、宿主細胞において発現する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物のB細胞に由来するヒト重鎖可変領域配列、ヒトラムダ軽鎖可変領域配列、及び/またはヒトカッパ軽鎖可変領域配列のバリアントは、宿主細胞において発現する。いくつかの実施形態では、バリアントは、1つまたは複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の変異によって、バリアントを含む抗体の薬物動態特性及び/または薬力学的特性が改良され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の変異によって、バリアントを含む抗体の特異性、親和性、及び/または免疫原性が改良され得る。
【0340】
いくつかの実施形態では、ヒト抗体の調製方法は、本明細書に記載の非ヒト動物に由来するヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメイン及び/またはヒト免疫グロブリン軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を同定すること、ならびに(i)ヒト免疫グロブリン重鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列に対してヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を連結またはライゲーションし、それによって、完全ヒト免疫グロブリン重鎖をコードするヒト免疫グロブリン重鎖配列を形成させること、(ii)ヒト免疫グロブリンλ軽鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列に対してヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を連結またはライゲーションし、それによって、完全ヒト免疫グロブリンλ軽鎖をコードするヒト免疫グロブリンλ軽鎖配列を形成させること、及び/または(iii)ヒト免疫グロブリンκ軽鎖定常ドメインをコードするヌクレオチド配列に対してヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を連結またはライゲーションし、それによって、完全ヒト免疫グロブリンκ軽鎖をコードするヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列を形成させること、を含む。ある特定の実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖配列と、(i)ヒト免疫グロブリンλ軽鎖配列、または(ii)ヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列とが、細胞(例えば、宿主細胞、哺乳類細胞)において発現し、その結果、完全ヒト免疫グロブリン重鎖と、(i)完全ヒト免疫グロブリンλ軽鎖、または(ii)完全ヒト免疫グロブリンκ軽鎖とが、発現し、ヒト抗体を形成する。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、細胞、または細胞を含む培地から単離される。
【0341】
本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の非ヒト動物によって生じるヒト可変ドメイン(例えば、エピトープまたは抗原に対する抗体の一部としてのもの)をコードするヌクレオチド配列または核酸配列を同定するために用いられ得る。
【0342】
本明細書に記載の非ヒト動物は、本明細書に記載の非ヒト動物によって生じるヒト可変ドメイン(例えば、エピトープまたは抗原に対する抗体の一部としてのもの)のアミノ酸配列を同定するために用いられ得る。
【0343】
本明細書に記載の非ヒト動物は、さまざまなアッセイに有用なヒト抗体を産生させるための改良型のインビボ系及び生物学的材料(例えば、細胞、ヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質複合体)供給源となる。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、目的ポリペプチド(例えば、膜貫通ポリペプチドもしくは分泌ポリペプチド)を標的とし、及び/または当該目的ポリペプチドと関連する1つもしくは複数の活性を調節し、及び/または当該目的ポリペプチドと他の結合パートナー(例えば、リガンドもしくは受容体ポリペプチド)との相互作用を調節する治療剤の開発に使用される。例えば、さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の受容体ポリペプチドを標的とし、受容体ポリペプチドの活性を調節し、及び/または受容体ポリペプチドと他の結合パートナーとの相互作用を調節する治療剤の開発に使用される。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の目的ポリペプチドに結合する候補治療剤(例えば、抗体、siRNAなど)の同定、スクリーニング、及び/または開発に使用される。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つもしくは複数の目的ポリペプチドの活性を遮断するか、または1つもしくは複数の目的受容体ポリペプチドの活性を遮断する候補治療剤(例えば、抗体、siRNAなど)のスクリーニング及び開発に使用される。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の目的ポリペプチドのアンタゴニスト及び/またはアゴニストの結合プロファイルの決定に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数の目的ポリペプチドに結合する1つまたは複数の候補治療抗体のエピトープ(複数可)の決定に使用される。
【0344】
さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、1つまたは複数のヒト抗体候補の薬物動態プロファイルの決定に使用される。さまざまな実施形態において、1匹または複数匹の本明細書に記載の非ヒト動物と、1匹または複数匹の対照または参照の非ヒト動物とは、さまざまな用量(例えば、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/mg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、もしくは50mg/kg、またはそれを超える用量)で1つまたは複数のヒト抗体候補にそれぞれが曝露される。候補治療抗体は、注射投与経路、ならびに非注射投与経路を含めて、任意の所望の投与経路を介して投与され得る。注射投与経路には、例えば、静脈内注射、動脈内注射、門脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、脊髄内注射、くも膜下腔内注射、脳室内注射、頭蓋内注射、胸膜内注射、または他の注射経路が含まれる。非注射投与経路には、例えば、経口投与、鼻腔投与、経皮投与、肺投与、直腸投与、頬側投与、膣投与、眼投与が含まれる。投与は、持続注入、局所投与、留置物(ゲル、膜、もしくは同様のもの)からの持続放出、及び/または静脈内注射によるものでもあり得る。さまざまな時点(例えば、0時間時点、6時間時点、1日時点、2日時点、3日時点、4日時点、5日時点、6日時点、7日時点、8日時点、9日時点、10日時点、11日時点、または最大で30日以上が経過した時点)に非ヒト動物(ヒト化された非ヒト動物、及び対照非ヒト動物)から血液が単離される。本明細書に記載の非ヒト動物から得られた試料を使用してさまざまなアッセイ(限定されないが、全IgG、抗治療抗体応答、凝集を調べるものなどが含まれる)が実施されることで、投与された候補治療抗体の薬物動態プロファイルが決定され得る。
【0345】
さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、目的ポリペプチドの活性を遮断もしくは調節する治療効果、及び細胞変化の結果としての遺伝子発現に対する効果、または受容体ポリペプチドが存在する状況の下での、非ヒト動物における細胞表面の受容体ポリペプチドの密度に対する効果、を測定するために使用される。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物、またはそこから単離された細胞は、目的ポリペプチドに結合する候補治療剤に曝露され、その後、ある一定時間が経過してから、当該目的ポリペプチドと関連する特定の細胞プロセス(例えば、リガンド-受容体相互作用またはシグナル伝達)に対する効果について分析される。
【0346】
本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト抗体可変領域を発現するため、細胞、細胞株、及び細胞培養物を生成させることで、結合アッセイ及び機能性アッセイにおいて使用するためのヒト抗体可変領域の供給源として役立ち得るものであり、こうしたアッセイは、例えば、アンタゴニストまたはアゴニストの結合または機能についてのアッセイであり、具体的には、アンタゴニストまたはアゴニストが、目的ヒト抗原に特異的であるか、またはリガンド-受容体相互作用(結合)において機能するエピトープに特異的である場合に行われる。さまざまな実施形態において、候補治療抗体または候補治療siRNAが結合するエピトープを、本明細書に記載の非ヒト動物から単離された細胞を使用して決定することができる。
【0347】
提供される非ヒト動物に由来する細胞は、必要に応じて特定の目的のために単離及び使用するか、または多世代にわたって培養で維持することができる。さまざまな実施形態において、提供される非ヒト動物に由来する細胞は、不死化(例えば、ウイルスを使用することによるもの)され、培養(例えば、連続培養)で無期限に維持される。
【0348】
いくつかの実施形態では、非ヒト細胞は、非ヒトリンパ球である。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞は、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、及びT細胞から選択される。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞は、未熟B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、及び/または形質細胞である。
【0349】
いくつかの実施形態では、非ヒト細胞は、非ヒト胚性幹(ES)細胞である。いくつかの実施形態では、非ヒトES細胞は、げっ歯類ES細胞である。いくつかのある特定の実施形態では、げっ歯類ES細胞は、マウスES細胞であり、129系、C57BL系、BALB/c、またはそれらのミックスに由来する。いくつかのある特定の実施形態では、げっ歯類胚性幹細胞は、マウス胚性幹細胞であり、129系とC57BL系とのミックスである。いくつかのある特定の実施形態では、げっ歯類胚性幹細胞は、マウス胚性幹細胞であり、129系、C57BL系、及びBALB/c系のミックスである。
【0350】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物を作製するために本明細書に記載の非ヒトES細胞が利用される。いくつかのある特定の実施形態では、非ヒトES細胞は、マウスES細胞であり、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むマウスの作製に使用される。いくつかのある特定の実施形態では、非ヒトES細胞は、ラットES細胞であり、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むラットの作製に使用される。
【0351】
いくつかの実施形態では、非ヒト組織は、脂肪、膀胱、脳、乳房、骨髄、眼、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、膵臓、血漿、血清、皮膚、脾臓、胃、胸腺、精巣、卵、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0352】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単離された非ヒト細胞または非ヒト組織から調製、生成、産生、または取得された不死化細胞が提供される。
【0353】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒトES細胞から調製、生成、産生、または取得された非ヒト胚が提供される。いくつかのある特定の実施形態では、非ヒト胚は、げっ歯類胚であり、いくつかの実施形態では、マウス胚であり、いくつかの実施形態では、ラット胚である。
【0354】
本明細書に記載の非ヒト動物は、目的ポリペプチドに結合するヒト抗体可変領域のバリアント(例えば、ヒトVλドメインバリアント)を生成させるためのインビボ系を提供する。そのようなバリアントには、目的ポリペプチドのバリアントの2つ以上が共有する共通エピトープに対する所望の機能性、特異性、低交差反応性を有するヒト抗体可変領域が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、機能性が所望のものまたは改良されたものを得るためのスクリーニングの対象となる一連のバリアント可変領域を含むヒト抗体可変領域パネルを生成させるために用いられる。
【0355】
本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト抗体可変領域ライブラリー(例えば、ヒトVλドメインライブラリー)を生成させるためのインビボ系を提供する。そのようなライブラリーは、重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列の供給源となり、こうした重鎖可変領域配列及び/または軽鎖可変領域配列は、所望のエフェクター機能に基づいて異なるFc領域に移植することができ、当該技術分野で知られる手法を使用してそうした可変領域配列の親和性を成熟させるための供給源として使用することができ(例えば、部位特異的変異導入、エラープローンPCRなど)、及び/または抗体ベースの治療分子(例えば、キメラ抗原受容体(すなわち、抗体構成要素を使用して操作された分子(例えば、scFv))、多重特異性の結合物質(例えば、二重特異性結合物質)、及び融合タンパク質(例えば、単一ドメイン抗体、scFvなど)など)を生成させるための抗体構成要素の供給源として使用することができるものである。
【0356】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物における抗体の産生方法が提供され、この方法は、(a)本明細書に記載の非ヒト動物を目的抗原で免疫化するステップと、(b)目的抗原に対する免疫応答を非ヒト動物が生成する上で十分な条件の下で非ヒト動物を維持するステップと、(c)目的抗原に結合する抗体を非ヒト動物または非ヒト細胞から回収するステップと、を含む。
【0357】
非ヒト動物における抗体の産生方法の実施形態のいくつかでは、非ヒト細胞は、B細胞である。非ヒト動物における抗体の産生方法の実施形態のいくつかでは、非ヒト細胞は、ハイブリドーマである。
【0358】
いくつかの実施形態では、(i)ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせと、(ii)ヒトJJλ1、ヒトJλ2、ヒトJλ3、ヒトJλ6、ヒトJλ7、またはそれらの任意の組み合わせと、(iii)非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子と、を含むホモ接合型の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物が提供され、(i)~(iii)は、機能可能なように互いに連結され、非ヒトCλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の非ヒトCκ遺伝子の代わりに挿入され、ヒトVλ遺伝子セグメント(複数可)は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座において対応するヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNAを含み、ヒトJλ遺伝子セグメント(複数可)は、天然では内在性のヒトλ軽鎖遺伝子座において対応するヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られるヒト非コードDNAを含む。提供される非ヒト動物のある特定の実施形態のいくつかでは、非ヒトCλ遺伝子は、マウスCλ1遺伝子であるか、またはマウスCλ1遺伝子を含む。提供される非ヒト動物のある特定の実施形態のいくつかでは、ヒトCλ遺伝子は、ヒトCλ2遺伝子であるか、またはヒトCλ2遺伝子を含む。提供される非ヒト動物のある特定の実施形態のいくつかでは、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、非ヒト免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーであるEκi及び3’Eκをさらに含む。提供される非ヒト動物のある特定の実施形態のいくつかでは、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、非ヒトVκ遺伝子セグメント及び非ヒトJκ遺伝子セグメントの欠失を含む。
【0359】
いくつかの実施形態では、(a)本明細書に記載の非ヒト動物を提供するステップと、(b)非ヒト動物を目的抗原で免疫化するステップと、(c)目的抗原に対する免疫応答を非ヒト動物が生成する上で十分な条件の下で非ヒト動物を維持するステップと、(d)目的抗原に結合する抗体を非ヒト動物または非ヒト細胞から回収するステップと、を含む方法によって調製される抗体が提供され、(d)に記載の抗体は、ヒトVHドメイン及びヒトVλドメインを含む。
【0360】
方法によって調製される抗体の実施形態のいくつかでは、ヒトVH3-74、ヒトVH3-73、ヒトVH3-72、ヒトVH2-70、ヒトVH1-69、ヒトVH3-66、ヒトVH3-64、ヒトVH4-61、ヒトVH4-59、ヒトVH1-58、ヒトVH3-53、ヒトVH5-51、ヒトVH3-49、ヒトVH3-48、ヒトVH1-46、ヒトVH1-45、ヒトVH3-43、ヒトVH4-39、ヒトVH4-34、ヒトVH3-33、ヒトVH4-31、ヒトVH3-30、ヒトVH4-28、ヒトVH2-26、ヒトVH1-24、ヒトVH3-23、ヒトVH3-21、ヒトVH3-20、ヒトVH1-18、ヒトVH3-15、ヒトVH3-13、ヒトVH3-11、ヒトVH3-9、ヒトVH1-8、ヒトVH3-7、ヒトVH2-5、ヒトVH7-4-1、ヒトVH4-4、ヒトVH1-3、ヒトVH1-2、ヒトVH6-1、または体細胞超変異が生じたそのバリアントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域によってヒトVHドメインがコードされる。
【0361】
方法によって調製される抗体の実施形態のいくつかでは、ヒトVλ4-69、ヒトVλ8-61、ヒトVλ4-60、ヒトVλ6-57、ヒトVλ10-54、ヒトVλ5-52、ヒトVλ1-51、ヒトVλ9-49、ヒトVλ1-47、ヒトVλ7-46、ヒトVλ5-45、ヒトVλ1-44、ヒトVλ7-43、ヒトVλ1-40、ヒトVλ5-39、ヒトVλ5-37、ヒトVλ1-36、ヒトVλ3-27、ヒトVλ3-25、ヒトVλ2-23、ヒトVλ3-22、ヒトVλ3-21、ヒトVλ3-19、ヒトVλ2-18、ヒトVλ3-16、ヒトVλ2-14、ヒトVλ3-12、ヒトVλ2-11、ヒトVλ3-10、ヒトVλ3-9、ヒトVλ2-8、ヒトVλ4-3、ヒトVλ3-1、または体細胞超変異が生じたそのバリアントを含む再構成されたヒトλ軽鎖可変領域によってヒトVλドメインがコードされる。
【0362】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、治療または診断のための薬物(例えば、抗体またはその断片)の製造及び/または開発において使用するために提供される。
【0363】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織は、疾患、障害、または病状の治療、予防、または軽快のための治療用薬剤の製造において使用するために提供される。
【0364】
いくつかの実施形態では、薬剤において使用するための薬物またはワクチン(例えば、治療用薬剤として使用するためのものなど)の製造及び/または開発において本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、または非ヒト組織が利用される。
【0365】
いくつかの実施形態では、抗体またはその断片の製造及び/または開発において本明細書に記載の非ヒト動物または非ヒト細胞が利用される。
【0366】
本明細書に記載の非ヒト動物は、薬物またはワクチンを分析及び試験するためのインビボ系を提供する。さまざまな実施形態において、1匹または複数匹の本明細書に記載の非ヒト動物に候補薬物または候補ワクチンが送達された後、非ヒト動物が監視されることで、薬物またはワクチンに対する免疫応答、薬物またはワクチンの安全性プロファイル、あるいは疾患もしくは病状、及び/または疾患もしくは病状の1つもしくは複数の症状に対する作用、のうちの1つまたは複数が決定され得る。安全性プロファイルの決定に使用される方法の例としては、毒性の測定、最適用量濃度の測定、抗体(すなわち、抗薬物)応答の測定、薬物またはワクチンの効力の測定、及び考え得る危険因子の測定が挙げられる。そのような薬物またはワクチンは、そのような非ヒト動物において改良及び/または開発され得る。
【0367】
ワクチンの効力は、いくつかの方法で決定され得る。簡潔に記載すると、当該技術分野で知られる方法を使用して本明細書に記載の非ヒト動物に予めワクチン接種が行われた後に非ヒト動物にワクチンとともに抗原が負荷されるか、または感染履歴を有する非ヒト動物にワクチンが投与される。非ヒト動物(複数可)(もしくはそこから単離された細胞)を監視し、及び/または非ヒト動物(複数可)(もしくはそこから単離された細胞)に対するアッセイを1つもしくは複数実施することによってワクチンに対する非ヒト動物(複数可)の応答が測定されることで、ワクチンの効力が決定され得る。次に、ワクチンに対する非ヒト動物(複数可)の応答は、当該技術分野で知られ、及び/または本明細書に記載される尺度の1つまたは複数を使用して対照動物と比較される。
【0368】
ワクチンの効力は、ウイルス中和アッセイによってさらに決定され得る。簡潔に記載すると、本明細書に記載の非ヒト動物は、免疫化され、免疫化後のさまざまな日に血清が採取される。血清の段階希釈系列がウイルスと共に事前にインキュベートされ、このインキュベートの間に、当該ウイルスに特異的な血清中の抗体が当該ウイルスに結合することになる。次に、このウイルス/血清混合物が許容細胞に添加されることで、プラークアッセイまたはマイクロ中和アッセイによって感染性が決定される。血清中の抗体がウイルスを中和するのであれば、対照群と比較して、プラークの数が減るか、または相対ルシフェラーゼユニットが低下する。
【0369】
本明細書に記載の非ヒト動物は、ヒト抗体可変領域を生成するものであり、それ故に、診断用途(例えば、免疫学、血清学、微生物学、細胞病理学など)において使用するためのヒト抗体を産生させるためのインビボ系を提供する。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物は、細胞変化(例えば、病理学的な変化を示す特定の細胞表面マーカーの発現など)を同定するための関連抗原部位に結合するヒト抗体可変領域の生成に使用され得る。そのような抗体は、さまざまな化学実体(例えば、放射性トレーサー)と複合体化され、望まれるようにさまざまなインビボのアッセイ及び/またはインビトロのアッセイにおいて用いられ得る。
【0370】
本明細書に記載の非ヒト動物は、腫瘍疾患及び/または感染性疾患において使用するためのヒト抗体を開発及び選択するための改良型のインビボ系を提供する。さまざまな実施形態において、本明細書に記載の非ヒト動物及び対照非ヒト動物(例えば、本明細書に記載のものとは異なる遺伝子改変を有する非ヒト動物、または遺伝子改変を有さない非ヒト動物(すなわち、野生型の非ヒト動物))に対して、腫瘍(もしくは腫瘍細胞)が移植されるか、またはウイルス(例えば、インフルエンザ、HIV、HCV、HPVなど)の感染が行われ得る。感染の成立後、候補治療剤が非ヒト動物に投与され得る。非ヒト動物内の1つまたは複数の位置に腫瘍またはウイルスが確立するように十分な時間を取ってから、候補治療剤の投与が行われ得る。代替及び/または追加として、そのような非ヒト動物における免疫応答は、治療剤として開発され得る可能性のあるヒト抗体が特徴付け及び選択されるように監視され得る。
【0371】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の非ヒト動物によって産生される抗体、核酸、もしくは治療的に関連するその一部、または本明細書に開示の非ヒト動物によって産生される抗体、核酸、もしくは治療的に関連するその一部に由来する抗体、核酸、もしくは治療的に関連するその一部は、対象(例えば、ヒト対象)に投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示の非ヒト動物によって産生される抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、緩衝剤、希釈剤、医薬品添加物、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、望まれるのであれば、追加の治療的に活性な物質も1つまたは複数含み得る。
【0372】
本明細書で提供される医薬組成物の説明は、ヒトへの倫理的な投与に適した医薬組成物を主に対象としているが、そのような組成物は、一般に、すべての種類の動物への投与に適することを当業者なら理解するであろう。ヒトへの投与に適した医薬組成物を、そうした組成物がさまざまな動物への投与に適するように改変することについては知見が豊富であり、通常の技術を有する獣医学の薬理学者なら、そのような改変を設計及び/または実施することができ、こうした改変に伴う実験は、行われるとしても、単なる通常の実験にすぎない。
【0373】
例えば、本明細書で提供される医薬組成物は、滅菌された注射用形態(例えば、皮下注射または静脈内注入に適した形態)で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、注射に適した液体剤形で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、粉末(例えば、例えば、凍結乾燥され、及び/または滅菌されたもの)として提供され、こうした粉末は、任意選択で減圧下に置かれた状態であり、注射前に水性希釈剤(例えば、水、緩衝剤、塩溶液など)で再構成することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、水、塩化ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム溶液、ベンジルアルコール溶液、リン酸緩衝生理食塩水などで希釈及び/または再構成される。いくつかの実施形態では、粉末は、水性希釈剤で穏やかに(例えば、振とうせずに)混合すべきである。
【0374】
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、既知の任意の方法によって調製されるか、または薬理学の技術分野で今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、希釈剤もしくは別の医薬品添加物、及び/または1つもしくは複数の他の副成分に活性成分を結び付けた後、必要であり、及び/または望ましいのであれば、製品を所望の単回用量単位または複数回用量単位へと成型及び/または包装するステップを含む。
【0375】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の非ヒト動物によって産生される抗体を含む医薬組成物は、保管または投与のための容器(例えば、バイアル、シリンジ(例えば、IVシリンジ)、またはバッグ(例えば、IVバッグ))に含められ得る。本開示による医薬組成物は、単回単位用量、及び/または複数の単回単位用量としてバルクで調製、包装、及び/または販売され得る。本明細書で使用される「単位用量」は、所定量の活性成分を含む個別の医薬組成物量である。活性成分の量は、一般に、対象への投与が想定される活性成分用量、及び/またはそのような用量の好都合な画分(例えば、そのような用量の2分の1もしくは3分の1など)に等しい。
【0376】
本開示による医薬組成物における活性成分、医薬的に許容可能な医薬品添加物、及び/または任意の追加成分の相対量は、治療される対象の独自性、大きさ、及び/または病状に応じるだけでなく、組成物が投与されることになる経路にも応じて、異なることになる。例として、組成物は、活性成分を0.1%~100%(w/w)含み得る。
【0377】
医薬組成物は、医薬的に許容可能な医薬品添加物を追加で含み得、こうした医薬的に許容可能な医薬品添加物には、本明細書で使用されるように、溶剤、分散媒体、希釈剤、または他の液体媒体、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固形結合剤、滑沢剤、及び同様のもののうちのいずれかまたはすべてが含まれ、これらのものは、特定の所望の剤形に適合化される。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006)では、医薬組成物の製剤化において使用されるさまざまな医薬品添加物、及び医薬組成物を調製するための既知の手法が開示されている。いずれの通常の医薬品添加物媒体も、いずれかの望ましくない生物学的作用を引き起こすか、またはその他の有害な様式で医薬組成物の任意の他の成分(複数可)と相互作用するなどして物質またはその誘導体と不適合とならない限りにおいては、その使用が本開示の範囲に含まれることが企図される。
【0378】
いくつかの実施形態では、医薬的に許容可能な医薬品添加物の純度は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%である。いくつかの実施形態では、医薬品添加物は、ヒトにおける使用及び獣医学的使用について認可されているものである。いくつかの実施形態では、医薬品添加物は、米国食品医薬品局によって認可されているものである。いくつかの実施形態では、医薬品添加物は、医薬品グレードのものである。いくつかの実施形態では、医薬品添加物は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/または国際薬局方の基準を満たすものである。
【0379】
医薬組成物の製造において使用される医薬的に許容可能な医薬品添加物には、限定されないが、不活性な希釈剤、分散剤、及び/または造粒剤、界面活性剤及び/または乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/または油が含まれる。そのような医薬品添加物は、医薬製剤に任意選択で含められ得る。ココアバター及び坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び/または芳香剤などの医薬品添加物を製剤者の判断に従って組成物に含めることができる。
【0380】
いくつかの実施形態では、提供される医薬組成物は、1つまたは複数の医薬的に許容可能な医薬品添加物(例えば、保存剤、不活性な希釈剤、分散剤、界面活性剤及び/または乳化剤、緩衝剤など)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の保存剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、保存剤を含まない。
【0381】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、冷蔵状態及び/または凍結状態であり得る形態で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、冷蔵状態及び/または凍結状態ではあり得ない形態で提供される。いくつかの実施形態では、再構成された溶液及び/または液体剤形は、再構成後、ある特定の期間(例えば、2時間、12時間、24時間、2日間、5日間、7日間、10日間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、またはそれより長い期間)保管され得る。いくつかの実施形態では、抗体組成物が特定の期間を超えて保管されると抗体の分解を招く。
【0382】
液体剤形及び/または再構成された溶液は、投与前に微粒子状物質及び/または変色を含み得る。いくつかの実施形態では、溶液に変色もしくは濁りがあり、及び/またはろ過後に微粒子状物質が残存するのであれば、その溶液は使用すべきでない。
【0383】
医薬物質の製剤化及び/または製造における概論は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005において見つけることができる。
【0384】
キット
本開示は、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、DNA断片、標的化ベクター、またはそれらの任意の組み合わせを少なくとも1つ含めた1つまたは複数の容器を含むパックまたはキットをさらに提供する。キットは、任意の適用可能な方法(例えば、研究方法)において使用され得る。そのような容器(複数可)には、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する行政機関によって規定される形式の留意情報が任意選択で付随し得、こうした留意情報は、(a)ヒトへの投与を目的とする製造、使用もしくは販売に関する当局による承認、(b)使用のための指示、及び/または(c)2つ以上の実体の間及びそれらの組み合わせの間での材料及び/または生物学的製品(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物もしくは非ヒト細胞)のやり取りを規定する取り決め、を示すものである。
【0385】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、非ヒト組織、不死化細胞、非ヒトES細胞、または非ヒト胚を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、非ヒト組織、不死化細胞、非ヒトES細胞、または非ヒト胚に由来するアミノ酸(例えば、抗体またはその断片)を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、非ヒト組織、不死化細胞、非ヒトES細胞、または非ヒト胚に由来する核酸(例えば、抗体またはその断片をコードする核酸)を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物、非ヒト細胞、非ヒト組織、不死化細胞、非ヒトES細胞、または非ヒト胚から同定された配列(アミノ酸配列及び/または核酸配列)を含むキットが提供される。
【0386】
いくつかの実施形態では、治療または診断のための薬物(例えば、抗体またはその断片)の製造及び/または開発において使用するための本明細書に記載のキットが提供される。
【0387】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または病状の治療、予防、または軽快のための薬物(例えば、抗体またはその断片)の製造及び/または開発において使用するための本明細書に記載のキットが提供される。
【0388】
実施形態例が以下に説明される過程において、ある特定の実施形態の他の特徴が明らかになるであろうが、こうした実施形態例は、例示のために示されるものであり、その限定を意図するものではない。
【実施例】
【0389】
下記の実施例は、本明細書に記載の方法及び組成物をどのように構成及び使用するかについて当業者への説明となるように提供されるものであり、本開示の発明者らが自身の発明と見なすものの範囲の限定を意図するものではない。別段の指定がない限り、温度は、セ氏で示され、圧力は、大気圧または大気圧付近である。
【0390】
実施例1.カッパ軽鎖遺伝子座から少なくとも1種類のラムダ軽鎖を発現するげっ歯類を作製するための標的化ベクターの構築
実施例1.1.げっ歯類ラムダ定常領域を含む標的化ベクターの操作
この実施例は、非ヒト動物(げっ歯類(例えば、マウス)など)のゲノムに挿入するための標的化ベクターの構築方法の例を示す。さらに、この実施例は、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物の作製を示す。具体的には、この実施例は、げっ歯類が、当該非ヒト動物の生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から、ヒト可変領域及び非ヒト免疫グロブリンλ定常(Cλ)領域を有する免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現及び/または産生するように、当該げっ歯類における当該免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するための標的化ベクターの構築を示す。実施例2に後述されるように、複数のヒトJλ(例えば、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7)コード配列と、げっ歯類Cλ(例えば、マウスCλ1)コード配列と、を含むDNA断片が、内在性のげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される。具体的な実施形態例では、マウスCκ遺伝子の代わりにマウスCλ1遺伝子が挿入され、機能可能なようにげっ歯類Igκエンハンサー(例えば、Eκi及び3’Eκ)と連結される。
図1では、げっ歯類(例えば、マウス)Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、かつ内在性のIgκエンハンサーに機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在することによって特徴付けられる操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座をげっ歯類において生成させるための標的化ベクターを創出するための方針の例が示される(
図1A:標的化ベクターを構築する最初のステップ、
図1B:標的化ベクターを構築する追加の後続ステップ;ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間のヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列は、幅の広い下向きの斜線が中に並ぶ白抜きの棒によって示される(例えば、米国特許第9,006,511号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号を参照のこと)、lox:lox2372;NEO:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるネオマイシン耐性遺伝子(neo
R)、HYG:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg
R)、Spec:スペクチノマイシン耐性遺伝子(Spec
R)、R6K:R6K複製起点)。
【0391】
げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入するためのヒトJλコード配列及びげっ歯類Cλコード配列を含む標的化ベクターは、VELOCIGENE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,586,251号及びValenzuela et al.,2003,Nature Biotech.21(6):652-9(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)ならびに当該技術分野で知られる分子生物学的技術を使用して創出した。こうした記載の技術及び手法を用いることで、任意のヒトJλコード配列及び任意のCλコード配列、またはコード配列(もしくは配列断片)の組み合わせを望まれるように利用できることを当業者なら本実施例を読めば理解するであろう。
【0392】
簡潔に記載すると、ヒトJλ遺伝子セグメントであるJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7と、特有の5’オーバーラップ領域及び3’オーバーラップ領域(それぞれヒトVκ-Jκゲノム(非コード)配列及びマウスCκ遺伝子の5’側ゲノム配列に対応する)と、を含む2.7kbのDNA断片をデノボDNA合成によって調製した(pA;
図1Aの左上、Blue Heron Biotech,Bothell,WA)。このDNA断片にさまざまな制限酵素認識部位を含めることで、選択マーカー及び他のDNA断片(後述のもの)の後続のクローニングが容易になるようにした。このDNA断片は、ヒトJκ非コード配列がヒトJλコード配列及びヒトJλ組換えシグナル配列(RSS)と並置されて含まれるように特有に設計した。当該技術分野では知られていることであるが、RSSは、7つのヌクレオチド(七量体)の保存されたブロックと、その後に続く12塩基対または23塩基対の長さのスペーサーと、その後に続く9つのヌクレオチド(九量体)の第2の保存されたブロックと、からなる。したがって、RSSは、付随遺伝子セグメントに応じて7-12-9(12RSS)または7-23-9(23RSS)という配置を有する(例えば、Murphy,Kenneth,et al.“Chapter 5.”Janeway’s Immunobiology,8th ed.,Garland Science/Taylor & Francis Group,LLC,2012(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の
図5.4を参照のこと)。具体的には、ヒトJκ遺伝子セグメント(すなわち、ヒトJκコード配列)及びその付随23RSSを、その代わりとしてヒトJλ遺伝子セグメント(すなわち、ヒトJλコード配列)及びその付随12RSSで置換した。このようにして、この断片にヒトJλDNA配列及びヒトJκDNA配列を含めた。そのような配列を本明細書に記載の標的化ベクターに含めることで、操作されたげっ歯類Igκ軽鎖遺伝子座内でヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを効率的に連結することが可能となり得る(またはこの効率的な連結を促進することが可能となり得る)。
【0393】
プラスミドA(pA)をAgeI及びEcoRIで消化し、適合末端を含むネオマイシン選択カセット(すなわち、ユビキチンプロモーターの制御下にあるNeo
R遺伝子にlox2372部位が隣接するもの)にライゲーションしてプラスミドB(pB)を創出した(
図1A)。これとは別に、マウスIgκイントロンエンハンサー(Ei)を含む特有のDNA断片と、マウスCλ1遺伝子(BACクローンRP23-60e14由来のもの)を含む特有のDNA断片と、マウスCκコード配列のすぐ下流に位置する316bpの配列及び等温アセンブリを促進するための80bpのオーバーラップ配列ならびに後続のクローニングステップを促進するための制限酵素認識部位(NotI、MluI)を含むDNA断片と、R6K-Spec(スペクチノマイシンアデニリルトランスフェラーゼ遺伝子及びR6K複製起点)と、をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、等温アセンブリ(例えば、Gibson,D.G.et.al.,2009,Nat.Meth.6(5):343-5、Gibson,D.G.et al.,2010,Nat.Meth.7:901-903(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)によって結合させて一緒にすることでプラスミドC(pC)を創出した。次に、pCをNotI及びMluIで消化し、適合末端を含むハイグロマイシン選択カセット(すなわち、ユビキチンプロモーターの制御下にあるHyg
R遺伝子にloxP部位が隣接するもの)にライゲーションしてプラスミドD(pD;
図1Aの右上及び中央)を創出した。この得られたプラスミド(pD;
図1Aの中央)を、次に、PI-SceI及びAscIで消化し、適合末端を含むプラスミドB(pB)とライゲーションしてプラスミドE(pE)(
図1Aの下)を生じさせた。
【0394】
次のステップでは、上記のものとは別に、マウスCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントと、当該ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)と、を含む標的化ベクターをNotIで消化し、再ライゲーションすることで、ヒト免疫グロブリンκ配列を含むヒトVλ領域を除去し(
図1Bの上)、これによって約137kbを欠失させた。得られたコンストラクト(コンストラクトF)を、CRISPR/Cas9等温アセンブリ法(例えば、米国特許第9,738,897号及び米国公開公報第2016/0145646号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を使用してプラスミドE(pE)と結合することで、ヒトJλ-12RSSコード配列(CDS)を含むヒトJκ領域を、ヒトVκ-Jκ遺伝子間(非コード)領域(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)及びマウスIgκ3’エンハンサーと機能可能なように連結した(
図1B)。カナマイシン、ハイグロマイシン、及びスペクチノマイシンを含む培地上で陽性細菌クローンを選択した。得られた標的化ベクター(コンストラクトG)は、5’から3’の順に、loxP認識部位、NotI部位、ヒトVκ-Jκ遺伝子間配列(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、lox2372認識部位に隣接するネオマイシン選択カセット、5つのヒトJλ遺伝子セグメント及びそのそれぞれの12RSSを含むヒトJκ領域、マウス免疫グロブリンκイントロンエンハンサー(Eiκ)、マウスCλ1遺伝子、loxP認識部位に隣接するハイグロマイシン選択カセット、マウス免疫グロブリンκ3’エンハンサー(3’Eκ)、ならびにスペクチノマイシン選択カセット、を含むものである(
図1B)。
【0395】
実施例1.2.ヒトラムダ定常領域を含む標的化ベクターの操作
この実施例は、非ヒト動物(げっ歯類(例えば、マウス)など)のゲノムに挿入するための標的化ベクターの構築方法の例を示す。さらに、この実施例は、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物の作製を示す。具体的には、この実施例は、げっ歯類が、当該非ヒト動物の生殖細胞ゲノムにおける内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から、ヒト可変領域及びヒト免疫グロブリンλ定常(Cλ)領域を有する免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現及び/または産生するように、当該げっ歯類における当該免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するための標的化ベクターの構築を示す。実施例2に後述されるように、複数のヒトJλ(例えば、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7)コード配列と、ヒトCλ(例えば、ヒトCλ2)コード配列と、を含むDNA断片が、内在性のげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される。具体的には、マウスCκ遺伝子の代わりにヒトCλ2遺伝子が挿入され、機能可能なようにげっ歯類免疫グロブリンκエンハンサー(例えば、Eiκ及び3’Eκ)と連結される。標的化ベクターを創出するための方針の例は、
図3に示される。
【0396】
げっ歯類Igκ軽鎖遺伝子座に挿入するためのヒトJλコード配列及びヒトCλコード配列を含む標的化ベクターは、VELOCIGENE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,586,251号及びValenzuela et al.,2003,Nature Biotech.21(6):652-9(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)ならびに当該技術分野で知られる分子生物学的技術を使用して創出した。こうした記載の手法及び技術を用いることで、任意のヒトJλコード配列及びヒトCλコード配列、またはコード配列(もしくは配列断片)の組み合わせを望まれるように利用できることを当業者なら本実施例を読めば理解するであろう。
【0397】
簡潔に記載すると、ヒトCλコード配列と、特有の5’オーバーラップ領域及び3’オーバーラップ領域(それぞれマウスCκ遺伝子の5’側ゲノム配列及び3’側ゲノム配列に対応する)と、を含む871bpのDNA断片をデノボDNA合成によって調製した(pH;
図3の左上、Blue Heron Biotech,Bothell,WA)。このDNA断片にさまざまな制限酵素認識部位を含めることで、選択マーカー及び他のDNA断片(以下に記載のもの)の後続のクローニングを可能にした。プラスミドH(pH)をAgeI及びXhoIで消化し、適合末端を含むハイグロマイシン選択カセット(すなわち、ユビキチンプロモーターの制御下にあるHyg
R遺伝子にloxP部位が隣接するもの)にライゲーションしてプラスミドJ(pJ;
図3)を創出した。マウスCκ遺伝子及びマウスIgκエンハンサーに機能可能なように連結されたヒトJλコード配列を含む操作されたヒトJκ領域(上記のもの)を含む中間コンストラクト(Cas9及び等温アセンブリを使用してコンストラクトF及びプラスミドBから生成させたコンストラクトK)を、CRISPR/Cas9等温アセンブリ法(例えば、米国特許第9,738,897号及び米国公開公報第2016/0145646号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)を使用してプラスミドJと結合することで、ヒトJλ-12RSSコード配列(CDS)を含むヒトJκ領域を、プラスミドJのヒトCλ2コード配列と機能可能なように連結した(
図3)。カナマイシン、ハイグロマイシン、及びスペクチノマイシンを含む培地上で陽性細菌クローンを選択した。得られた標的化ベクター(コンストラクトL)は、5’から3’の順に、loxP認識部位、NotI部位、ヒトVκ-Jκ遺伝子間配列(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、lox2372認識部位に隣接するネオマイシン選択カセット、5つのヒトJλ遺伝子セグメント及びそのそれぞれの12RSSを含むヒトJκ領域、マウスIgκイントロンエンハンサー(Eiκ)、ヒトCλ2遺伝子、loxP認識部位に隣接するハイグロマイシン選択カセット、マウス免疫グロブリンκ3’エンハンサー(3’Eκ)、ならびにスペクチノマイシン選択カセット、を含むものである(
図3)。
【0398】
実施例2.操作された軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類の作製
この実施例は、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントとげっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子との挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物(例えば、げっ歯類)の作製を示し、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、当該げっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該げっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子は、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに挿入される。そのような非ヒト動物は、いくつかの実施形態では、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から免疫グロブリンλ軽鎖(可変ドメイン及び定常ドメイン)が発現することによって特徴付けられる。
【0399】
実施例1.1及び実施例1.2に記載の標的化ベクターが狙い通りに挿入されたかどうかは、ポリメラーゼ連鎖反応によって確認した。標的BAC DNAを、ポリメラーゼ連鎖反応によって確認し、電気穿孔を介してF1雑種(C57BL6NTac/129S6SvEvTac)マウス胚性幹(ES)細胞に導入し、その後、このマウスES細胞を選択培地において培養した。
【0400】
げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むヘテロ接合型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーと、当該ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列と、を含む、ヘテロ接合型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、ならびに1つの野生型のげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、を含む生殖細胞ゲノムを有するES細胞をコンストラクトG(マウスCλ1)の電気穿孔に使用した。
図2Aには、電気穿孔前後のES細胞が示される(1741HET:げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーと、当該ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列(幅の広い下向きの斜線が中に並ぶ白抜きの棒によって示される)と、を含む、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、についてゲノムがヘテロ接合型であり、野生型の免疫グロブリン重鎖遺伝子座及び免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類ES細胞クローン(例えば、米国特許第9,006,511号、同第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,150,662号、及び同第9,163,092号(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、6557HET:コンストラクトGを挿入した後のマウスES細胞クローンであり、この挿入の結果、当該マウスES細胞クローンのゲノムは、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーを含む操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型であり、当該操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座は、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在することによって特徴付けられ、当該ヒトJλ遺伝子セグメントは、ヒトJκ領域配列内に含まれ、当該ヒトJκ領域配列は、ヒトJλ遺伝子セグメントコード配列及びヒトJλ12RSSを、対応するヒトJκ遺伝子セグメントコード配列及びヒトJκ23RSSの代わりに含み、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリンλ軽鎖定常領域遺伝子(例えば、mCλ1)に機能可能なように連結される;lox:lox2372;NEO:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるネオマイシン耐性遺伝子(neo
R);HYG:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg
R);ES細胞クローンをスクリーニングするためのプライマー/プローブの選択セットの位置は、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座内の領域位置の付近に示されており、これらの領域位置を後述のアッセイにおいて検出した)。
【0401】
げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むヘテロ接合型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーと、当該ヒトVλ遺伝子セグメントとヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列と、を含む、ヘテロ接合型の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、ならびに1つの野生型のげっ歯類Igκ遺伝子座、を含む生殖細胞ゲノムを有するES細胞をコンストラクトL(ヒトCλ2)の電気穿孔に使用した。
図4Aには、電気穿孔前後のES細胞が示される(1741HET:前出のもの;20029HET:標的化ベクターを挿入した後のマウスES細胞クローンであり、当該マウスES細胞クローンが有するゲノムは、げっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサーを含む操作されたIgκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型であり、当該操作されたIgκ軽鎖遺伝子座は、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在することによって特徴付けられ、当該ヒトJλ遺伝子セグメントは、ヒトJκ領域配列内に含まれ、当該ヒトJκ領域配列は、ヒトJλ遺伝子セグメントコード配列及びヒトJλ12RSSを、対応するヒトJκ遺伝子セグメントコード配列及びヒトJκ23RSSの代わりに含み、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、ヒトIgλ軽鎖定常領域遺伝子(例えば、hCλ2)に機能可能なように連結される;lox:lox2372;NEO:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるネオマイシン耐性遺伝子(neo
R);HYG:ユビキチンプロモーターの転写制御下にあるハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg
R);ES細胞クローンをスクリーニングするためのプライマー/プローブの選択セットの位置は、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座内の領域位置の付近に示されており、これらの領域位置を以下に記載のアッセイにおいて検出した)。
【0402】
電気穿孔から10日後に薬剤耐性コロニーをピッキングし、標的化が正しく行われたかを、以前に説明されたようにTAQMAN(商標)及び核型分析によってスクリーニングした(Valenzuela et al.(前出のもの)、Frendewey,D.et al.,2010,Methods Enzymol.476:295-307(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。表1は、陽性のES細胞クローンのスクリーニングに使用したプライマー/プローブセットの例を示す(F:フォワード、R:リバース、P:プローブ、GOA:アレルの獲得、LOA:アレルの消失、WT:野生型)。
【0403】
VELOCIMOUSE(登録商標)法(DeChiara,T.M.et al.,2010,Methods Enzymol.476:285-294、DeChiara,T.M.,2009,Methods Mol.Biol.530:311-324、Poueymirou et al.,2007,Nat.Biotechnol.25:91-99(これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる))は、コンパクションを起こしていない8細胞期のSwiss Webster胚に標的ES細胞を注射するものであり、この方法を使用することで、完全にES細胞由来であり、操作されたIgκ軽鎖遺伝子座(
図2A及び
図4A)についてヘテロ接合型の健康なF0世代マウスを作製した。F0世代のヘテロ接合型マウスをC57Bl6/NTacマウスと交配させてF1ヘテロ接合体を作製し、これらのF1ヘテロ接合体を互いに交配させることで、表現型分析のためのホモ接合型のF2世代動物を作製した。
【0404】
別の方法として、上記の操作された免疫グロブリンκ遺伝子座を有するネズミES細胞を、標的化ベクターを用いて導入した1つまたは複数の選択カセットを望まれるように除去するよう改変することもできる(
図2B:6557HET:前出のもの;6558HET:標的化ベクターとの相同組換えの後に挿入されたネオマイシン選択カセット及びハイグロマイシン選択カセットをリコンビナーゼ介在性に除去した後のマウスES細胞クローン;
図4B:20029HET:前出のもの;20030HET:標的化ベクターとの相同組換えの後に挿入されたネオマイシン選択カセット及びハイグロマイシン選択カセットをリコンビナーゼ介在性に除去した後のマウスES細胞クローン。Cre:Creリコンビナーゼ)。例えば、標的化ベクターによって導入されたネオマイシンカセット及びハイグロマイシンカセットは、リコンビナーゼを一過性に発現させることによって、操作されたES細胞(もしくは胚)において除去されるか、またはリコンビナーゼを発現するように遺伝子操作された系統との交配繁殖によって除去され得る(例えば、Lakso,M.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232-6、Orban,P.C.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:6861-5、Gu,H.et al.,1993,Cell 73(6):1155-64、Araki,K.et al.,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:160-4、Dymecki,S.M.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(12):6191-6(これらの文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0405】
まとめると、この実施例は、内在性のIgκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに挿入されたげっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントが存在することによって特徴付けられる操作されたIgκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含むげっ歯類(例えば、マウス)の作製を示す。記載の操作されたIgκ軽鎖遺伝子座は、内在性の配置とは異なる配置で複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む。ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを挿入すると共に、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりにげっ歯類Cλ遺伝子またはヒトCλ遺伝子を挿入するための本明細書に記載の方針は、ヒトVλドメインを排他的に含む抗体を発現するげっ歯類を構築することを可能にするものである。λ遺伝子セグメント(内在性の向きとは異なる向きで内在性のλ遺伝子座以外に存在するもの)を排他的に含むそのような操作されたIgκ軽鎖遺伝子座から機能性軽鎖を産生させることが可能であり得るかは不明であったが、本明細書に記載のように、提供されるげっ歯類の生殖細胞ゲノムにおける内在性のIgκ軽鎖遺伝子座からは、そのようなヒトVλドメインが発現する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0406】
実施例3.操作された免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類の特徴付け
実施例3.1.操作された免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類における免疫細胞の表現型評価
この実施例は、げっ歯類Cλ遺伝子ならびにげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖エンハンサー領域及びげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖調節領域に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座内に含むように操作されたげっ歯類(例えば、マウス)におけるさまざまな免疫細胞集団の特徴付けを示す。具体的には、この実施例は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類が、野生型のげっ歯類と比較して特有の軽鎖発現プロファイルを示すことを具体的に示す。この実施例は、提供されるげっ歯類が、操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座からヒトVλ領域の幅広いレパートリーを発現することも示す。
【0407】
簡潔に記載すると、野生型(WT,75% C57BL/6NTac 25% 129SvEvTac)マウス及び6558HO(ホモ接合型LiK,75% C57BL/6NTac 25% 129SvEvTac)マウスから脾臓及び大腿骨を収集した。ウシ胎仔血清(FBS)を2.5%含む1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS,Gibco)を流し込むことによって大腿骨から骨髄を採取した。脾臓及び骨髄調製物に由来する赤血球をACK溶解緩衝剤(Gibco)で溶解した後、FBSを2.5%含む1×PBSで洗浄した。
【0408】
単離した細胞(1×10
6個)を、選択した抗体のカクテルと共に+4℃で30分間インキュベートした:抗mIgκ-FITC(187.1,BD Biosciences)、抗mIgλ-PE(RML-42,BioLegend;1060-09,Southern Biotech)、抗mIgλ-FITC(106002,Bio-Rad;ABIN303989,Antibodies-online)、抗マウスIgM-PeCy7(II/41,eBioscience)、抗マウスIgD-PerCP/Cy5.5(11-26c.2a,BioLegend)、抗マウスCD3-Pacific Blue(17A2,BioLegend)、抗マウスB220-APC(RA3-6B2,eBioscience)、抗マウスCD19-APC-H7(ID3,BD Biosciences)。染色後、細胞を洗浄し、2%のホルムアルデヒド中で固定化した。BD LSRFORTESSA(商標)フローサイトメーターでデータを取得し、FLOWJO(商標)ソフトウェアで解析した。
図5~7には、代表的な結果が示される。
【0409】
図5及び
図6に示されるように、それぞれ脾臓コンパートメント及び骨髄コンパートメントにおいて、LiKマウスにおけるCD19
+B細胞及び未熟/成熟B細胞の分布は、野生型マウスのものと比較して類似していることが見て取れる。しかしながら、LiKマウスは、こうしたマウスにおいて観測される発現がIgλ
+のもののみであったという点において、野生型マウスと比較して特有の軽鎖発現を示す(
図7)。具体的には、LiKマウスにおけるCD19
+B細胞の>90%が免疫グロブリンλ軽鎖を発現しており、このことによって、操作された免疫グロブリンκ遺伝子座における組換え及び発現が適切に生じていることが裏付けられる。こうしたマウスがマウスCκ遺伝子を含まないことから予想される通り、LiKマウスは、フローサイトメトリーによって検出可能なほど免疫グロブリンκを発現しない(すなわち、抗mIgκ抗体は、定常領域を検出する)。追加のLiKマウス同腹仔からも類似レベルの免疫グロブリンλ軽鎖の発現が観測された(データ掲載なし)。LiK遺伝子座からマウスCλ領域と関連してヒトVλ領域が発現することは、とりわけ、次世代シークエンシング手法(以下の実施例3.2に記載のもの)を使用して免疫グロブリンレパートリーを分析することによって確認した。
【0410】
実施例3.2.操作された免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類における免疫グロブリンレパートリー
上記の操作されたげっ歯類系統におけるヒト抗体遺伝子(すなわち、VDJ遺伝子セグメント)の利用度を、次世代シークエンシング抗体レパートリー分析によって決定した。具体的には、LiK遺伝子座についてホモ接合型のマウス(6558HO)の脾細胞から単離したRNAに対してRT-PCRシークエンシングを実施することで、LiK遺伝子座の転写及び組換えが正しく生じているかを確認した。
図12には、再構成されたLiK遺伝子座の代表的な図が示される(LiK遺伝子座:本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座;再構成されたLiK遺伝子座:操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(本明細書では「LiK遺伝子座」と称される)の再構成によってヒトVλ-Jλ組換えが生じたものを代表するもの;再構成されたLiK mRNA:再構成されたLiK遺伝子座の転写及びmRNAプロセシングが生じたものを代表するもの)。
【0411】
簡潔に記載すると、マウス抗CD19電磁ビーズ及びMACS(登録商標)カラム(Miltenyi Biotech)を使用する磁気細胞選別によって全脾細胞からCD19陽性細胞を選別して脾臓B細胞を富化した。製造者の説明書に従ってRNeasy Plus RNA単離キット(Qiagen)を使用して、精製脾臓B細胞から全RNAを単離した。SMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)及び免疫グロブリンλ特異的プライマー(以下を参照のこと)を使用して逆転写を実施することで、免疫グロブリンλ定常領域遺伝子配列を含むcDNAを生成させた。このプロセスの間に、新たに合成されたcDNAの3’末端にDNA配列(鋳型スイッチング(TS)プライマーの3’末端区間に対する逆相補配列)を付加した。次に、TSに特異的なプライマーと、マウスCλ1の配列に特異的なリバースプライマーと、を使用して1回目のPCR反応を行うことによって精製Igλ特異的cDNAを増幅した。約450~700bpの範囲のPCR産物を、Pippin Prep(SAGE Science)を使用して単離した後、こうした断片を、2回目のPCR反応を行うことによってさらに増幅した。表2は、レパートリーライブラリーの構築に使用した選択プライマーの配列を示す(for:フォワードプライマー、rev:リバースプライマー)。約400bp~700bpの範囲のPCR産物を単離及び精製し、KAPA Library Quantification Kit(KAPA Biosystems)を使用してqPCRによって定量化した後、Miseq Reagent Kits v3を使用するシークエンシング(2×300サイクル)を行うためにMiseqシークエンサー(Illumina)にロードした。
【0412】
生物情報学的解析については、生のIllumina配列をデマルチプレックス化し、クオリティ、長さ、及び対応する定常領域遺伝子プライマーとのマッチに基づいてフィルタリングした。オーバーラップするペアエンドリードをマージし、社内のカスタムパイプラインを使用して解析した。このパイプラインでは、ローカルにインストールしたIgBLAST(NCBI,v2.2.25+)を使用することで、再構成された軽鎖配列を、ヒト生殖細胞のVλ遺伝子セグメント及びJλ遺伝子セグメントのデータベースにアライメントし、終止コドンの存在と併せて生産的連結及び非生産的連結を示した。CDR3配列及び予測される鋳型非依存ヌクレオチドを、International Immunogenetics Information System(IMGT)において定義される境界を使用して抽出した。
【表2】
【0413】
本明細書に例示の操作されたマウスにおけるLiK遺伝子座に含まれる機能性のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの大部分が、当該内在性のカッパ遺伝子座においてげっ歯類Cλ遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むLiKマウスの発現抗体レパートリーに出現した(データ掲載なし)。全体として、本発明者らは、予想通りに、LiK遺伝子座から発現する軽鎖を有する抗体をLiKマウスのB細胞が発現することを観測した。解析した転写産物において、変化したスプライシング産物、挿入、欠失、またはその他の予想外の変異が観測されることはなかった。こうした結果は、LiK遺伝子座における組換えから、こうしたマウスの抗体レパートリーの一部として機能性軽鎖が生じることを裏付けるものである。内在性のカッパ遺伝子座においてヒトCλ遺伝子に機能可能なように連結された複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含むマウスにおいても類似の分析を実施したところ、複数のヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントの発現が検出された(データ掲載なし)。
【0414】
実施例3.3.操作された軽鎖遺伝子座を有するげっ歯類における抗体発現
この実施例は、非ヒト動物からの抗体(例えば、IgG)の発現を示し、当該抗体は、ヒトVλ領域とげっ歯類Cλ領域またはヒトCλ領域とが存在することによって特徴付けられる軽鎖を含み、当該軽鎖は、操作された内在性のげっ歯類免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座から発現する。とりわけ、この実施例は、1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及びげっ歯類Cλ遺伝子の挿入を含む内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含む非ヒト動物(例えば、げっ歯類)の血清中にIgG抗体(二量体形態及び単量体形態のもの)が発現することを具体的に示し、当該ヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントは、当該げっ歯類Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、当該げっ歯類Cλ遺伝子は、内在性のげっ歯類Igκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに挿入される。
【0415】
野生型(WT,75% C57BL/6NTac 25% 129SvEvTac)マウス及び6558ホモ接合型(「LiK」,75% C57BL/6NTac 25% 129SvEvTac)マウスから血液を採取した。Eppendorfチューブを使用して4℃、9000rpmで遠心分離を5分間行うことによって血液から血清を分離した。収集した血清を免疫ブロットに使用してIgG抗体の発現を同定した。
【0416】
マウス血清をPBS(Ca2
+及びMg2
+を含まないもの)で1:100または1:500となるように希釈し、還元条件下及び非還元条件下で4~20%のNovexトリス-グリシンゲル上で泳動させた。製造者の説明書に従ってポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜にゲルを転写した。Tween-20を0.05%含むトリス-緩衝生理食塩水(TBST,Sigma)に脱脂乳を5%含めた溶液を用いてブロットを一晩ブロッキングした。脱脂乳0.1%含有TBSTで1:1000となるように希釈した一次抗体(HRPと複合体化したヤギ抗mIgG1、Southern Biotech)にPVDF膜を室温で1時間曝露した。ブロットを4回洗浄し(1回の洗浄につき10分間実施)、製造者の説明書に従ってAmersham ECL Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare Life Sciences)を用いて5分間発色させた。次に、GE Healthcare ImageQuant LAS-4000 Cooled CCD Camera Gel Documentation Systemを使用してブロットを画像化した。画像の撮影は15秒間隔で実施し、撮影枚数が20に達するか、または画像の露出が完全となるかのどちらかが満たされるまで実施した。
図13には代表的な結果が示される(各ゲル画像の上にはレーン番号が示され、両方の画像でレーンの割り当ては同じである;左上:還元試料、左下:非還元試料;LiK HO:6558ホモ接合型;WT:野生型;各ゲル画像の左側には分子量が示される)。
【0417】
図13に示されるように、LiKマウスにおいて発現したIgG抗体のサイズは、野生型マウスにおいて発現したIgG抗体で観測されたサイズと類似しており、このことは、抗原に結合する機能性抗体をLiKマウスが産生し、ヒト疾患(複数可)の治療において使用するためのヒト抗体及びヒト抗体構成要素を産生させるためのインビボ系としてLiKマウスを使用できることを示す。
【0418】
実施例4.操作された免疫グロブリン遺伝子座をいくつか含むげっ歯類の作製及び特徴付け
本明細書に記載のLiKげっ歯類を、当該技術分野で知られる手法を使用して、複数の操作されたげっ歯類系統と複数回の交配繁殖を経て別々に交配繁殖を行うことで、下記の操作された免疫グロブリン遺伝子座を含むげっ歯類系統が確立される:(1)ヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)についてホモ接合型であり、本明細書に記載のCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)についてホモ接合型であるげっ歯類系統(いくつかの実施形態では、HoH/LiK/λ-/-マウスと本明細書で称される)、(2)ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(前出のもの)についてホモ接合型であり、不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(前出のもの)についてホモ接合型であり、本明細書に記載のCλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む第1の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、内在性のマウスCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)と、を有する免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘミ接合型であるげっ歯類系統(いくつかの実施形態では、HoH/KoK/LiK/λ-/-マウスと本明細書で称される)。別の方法として、そのようなマウスは、操作された遺伝子座を含む標的化ベクターを、操作された免疫グロブリン遺伝子座を既にいくつか含むES細胞に導入することによっても作製され得る。いくつかの実施形態では、当該げっ歯類における免疫グロブリン重鎖遺伝子座は、機能性かつ発現するげっ歯類Adam6遺伝子を含む。
【0419】
具体的には、LiKマウスを複数の操作されたマウス系統と複数回の交配繁殖を経て交配繁殖させることで、HoH/LiK/λ-/-マウス及びHoH/KoK/LiK/λ-/-マウスを確立した。
【0420】
確立時点で、こうしたヒト化マウスにおけるさまざまな免疫細胞集団をフローサイトメトリーによって特徴付けた。簡潔に記載すると、HoH/LiK/λ
-/-マウス(n=3)、HoH/KoK/LiK/λ
-/-マウス(n=4)、及びVELOCIMMUNE(登録商標)マウス(「HoH/KoK」(n=3)(米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと))から脾臓及び大腿骨を収集し、上記のフローサイトメトリー分析用に調製した。
図8~11には、代表的な結果が示される。試験した操作されたマウス系統の脾細胞において観測された平均軽鎖発現比(κ:λ)は、およそ下記の通りであった:HoH/LiK/λ
-/-:0:100、HoH/KoK/LiK/λ
-/-:40:60、HoH/KoK:85:15。
【0421】
実施例5.操作されたげっ歯類における抗体の産生
この実施例は、目的抗原(例えば、1回膜貫通型または複数回膜貫通型の膜タンパク質など)を使用することで、上記の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むげっ歯類において抗体が産生することを示す。この実施例に記載の方法、または当該技術分野でよく知られる免疫化方法を使用することで、記載の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むげっ歯類をさまざまな抗原(例えば、ポリペプチドなど)で免疫化することができる。本明細書の上記の遺伝子改変されたげっ歯類のいずれを使用しても、目的抗原での免疫化後に抗体を産生させることができ、こうした遺伝子改変されたげっ歯類は、例えば、LiKマウス(Cλ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVλ遺伝子セグメント及びヒトJλ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むマウス(LiK遺伝子座についてホモ接合型のマウスなど))、HoH/LiK/λ-/-マウス(LiK遺伝子座を含むと共に、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)ならびに不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)も含むマウス(LiK遺伝子座についてホモ接合型のマウスなど))、ならびにHoH/KoK/LiK/λ-/-マウス(LiKを含む第1の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、内在性のマウスCκ遺伝子に機能可能なように連結されたヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号を参照のこと)と、を有する免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘミ接合型であり、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座(例えば、米国特許第8,642,835号及び同第8,697,940号(これらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)ならびに不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座(例えば、米国特許第9,006,511号(当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと)も含むマウス)、である。そのようなマウスは、免疫化、ならびにヒト抗体及び/またはヒト抗体断片の産生に適している。
【0422】
上記の操作された免疫グロブリン遺伝子座をさらに含むLiKマウスに対する目的抗原の負荷は、当該技術分野で知られる免疫化方法を使用して行われる。抗体免疫応答は、ELISA免疫アッセイ(すなわち、血清中力価)によって監視される。所望の免疫応答が達成された時点で、脾細胞(及び/または他のリンパ組織)を収集し、マウス骨髄腫細胞と融合させることで、その生存能が確保され、不死化したハイブリドーマ細胞株が形成される。生じたハイブリドーマ細胞株は、スクリーニング(例えば、ELISAアッセイによって行われる)及び選択されることで、抗原特異的抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が同定される。ハイブリドーマは、望まれるように関連結合親和性及びアイソタイプについてさらに特徴付けられ得る。この手法及び上記の免疫原を使用することで、抗原特異的キメラ抗体(すなわち、ヒト可変ドメイン及びげっ歯類定常ドメインを有する抗体)がいくつか得られる。
【0423】
重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAは、単離するか、またはその他の状態で調製することができ、完全ヒト抗体を調製するためのヒト重鎖定常領域及びヒト軽鎖定常領域(例えば、所望のアイソタイプのもの)に連結することができる。そのような完全ヒト抗体(及び/またはその重鎖もしくは軽鎖)は、細胞(典型的には、CHO細胞などの哺乳類細胞)において産生させることができる。次に、関連結合親和性及び/または目的抗原の中和活性について完全ヒト抗体を特徴付けることができる。
【0424】
本明細書に記載及び/または例示の操作されたマウスのB細胞が産生する抗原特異的キメラ抗体、及び/またはその軽鎖及び/または重鎖の可変ドメイン、をコードするDNAは、抗原特異的リンパ球から直接的に単離することができる。例えば、ヒト可変領域及びげっ歯類定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離及び特徴付けることができ、その結果、特定の目的抗体(及び/または当該目的抗体を産生するB細胞)が明らかにされる。少数例を挙げるにすぎないが、そのような抗体、及び/またはその可変領域及び/または定常領域の評価される特徴は、エピトープの親和性、選択性、独自性などのうちの1つもしくは複数であり得るか、または当該1つもしくは複数を含み得る。
【0425】
げっ歯類定常領域を所望のヒト定常領域で代替えすることで、完全ヒト抗体が得られる。選択される定常領域は、特定の用途に応じて異なり得る一方で、高親和性抗原結合特徴及び標的特異性特徴は、可変領域に属する。別の方法として、本明細書に記載のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりにヒトCλ2遺伝子を含むLiKマウスを用いる場合は、免疫化されたマウスから単離された抗体におけるげっ歯類定常領域を代替えするステップは省かれる。抗原特異的抗体は、抗原陽性B細胞(免疫化されたマウスに由来するもの)から、骨髄腫細胞への融合を省いて、直接的に単離されることもあり、このことは、例えば、米国特許第7,582,298号に記載されており、当該文献は、その全体が参照によって本明細書に明確に組み込まれる。この方法を使用することで、抗原特異的完全ヒト抗体(すなわち、ヒト可変ドメイン及びヒト定常ドメインを有する抗体)がいくつか得られる。
【0426】
実施例6.操作された軽鎖遺伝子座を有すると共に、ヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)遺伝子を発現するげっ歯類の作製
実施例6.1.操作された軽鎖遺伝子座を有すると共に、ヒトTDTを発現するげっ歯類の作製
この実施例は、本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体の生殖細胞ゲノムに含み、さらに、ヒトTdTを発現するマウスの作製を示す。ヒトTdTを発現するマウスは、WO2017/210586(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の実施例1.1.に記載のように作製した。本明細書に記載の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含むゲノムを有するだけでなく、さらに、ヒトTdTも発現するマウスを複数回の交配繁殖によって作製することで、両方の改変を含むマウス系統のコホートを確立した。
【0427】
実施例6.2.操作されたカッパ遺伝子座を有すると共に、ヒトTDTを発現するげっ歯類の表現型評価
確立時点で、こうしたヒト化マウスにおける免疫細胞集団をフローサイトメトリーによって特徴付けた。簡潔に記載すると、HoH/LiK/λ
-/-/TdTマウス(n=4)及びHoH/KoK/LiK/λ
-/-/TdTマウス(n=6)から脾臓及び大腿骨を収集し、上記のフローサイトメトリー分析(上記の実施例3を参照のこと)用に調製した。
図14~17には、代表的な結果が示される。試験した操作されたマウス系統の脾細胞において観測された平均軽鎖発現比(κ:λ)は下記の通りであった:HoH/LiK/λ
-/-/TdT:0:100、HoH/KoK/LiK/λ
-/-/TdT:45:55。
【0428】
実施例6.3.ヒトTdTSを含むLiKマウスにおけるヒト免疫グロブリンカッパの結合部多様性及び生殖細胞の遺伝物質に依存しない付加
WO2017/210586(当該文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に示されるように、外来性に導入されたTdTを含むマウスでは、その軽鎖における結合部多様性と、生殖細胞の遺伝物質に依存しないヌクレオチド付加(本明細書では「鋳型非依存性のヌクレオチド付加」も使用される)と、の両方が増加した。HoH/LiK/λ-/-/TdTを含むマウス、及びHoH/KoK/LiK/λ-/-/TdTを含むマウスを、次世代シークエンシング技術を使用して評価することで、その免疫グロブリンレパートリーの配列多様性及びそのCDR3における鋳型非依存性のヌクレオチド付加の存在を決定した。
【0429】
簡潔に記載すると、マウスから脾細胞を収集し、抗マウスCD19電磁ビーズ及びMACSカラム(Miltenyi Biotech)によって全脾細胞からCD19陽性細胞を選別してB細胞を富化した。RNeasy Plusキット(Qiagen)を使用して脾臓B細胞から全RNAを単離した。
【0430】
SMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)を使用することで、オリゴdTプライマーを用いて逆転写を実施した後、遺伝子特異的PCRを実施して、マウスCλ1配列を含むcDNAを生成させた。逆転写の間に、新たに合成されたcDNAの3’末端に特定のDNA配列(PIIA:5’-CCCATGTACT CTGCGTTGAT ACCACTGCTT-3’(配列番号71))を付加した。このcDNAをNucleoSpin Gel及びPCR Clean-Up Kit(Clontech)によって精製した後、PIIAに対する逆相補配列(5’-AAGCAGTGGT ATCAACGCAG AGTACAT-3’(配列番号72))を有するプライマーをマウスCλ1特異的プライマー(5’-CACCAGTGTG GCCTTGTTAG TCTC-3’(配列番号73))とペアにして使用することで、当該cDNAをさらに増幅した。
【0431】
次に、精製した増幅産物を、PIIA特異的プライマー(5’-GTGACTGGAG TTCAGACGTG TGCTCTTCCG ATCTAAGCAG TGGTATCAAC GCAGAGT-3’(配列番号74))及びマウスCλ1特異的ネステッドプライマー(5’-ACACTCTTTC CCTACACGAC GCTCTTCCGA TCTAAGGTGG AAACAGGGTG ACTGATG-3’(配列番号75))を使用してPCRによって増幅した。450~690bpのPCR産物を単離し、Pippin Prep(SAGE Science)によって収集した。この断片を、下記のプライマーを使用してPCRによってさらに増幅した:5’-AATGATACGG CGACCACCGA GATCTACACX XXXXXACACT CTTTCCCTAC ACGACGCTCT TCCGATC-3’(配列番号76)、及び5’-CAAGCAGAAG ACGGCATACG AGATXXXXXX GTGACTGGAG TTCAGACGTG TGCTCTTCCG ATCT-3’(配列番号77)(「XXXXXX」は、試料のマルチプレックスシークエンシングを可能にするための6bpのインデックス配列を表す)。490bp~710bpのPCR産物を単離し、Pippin Prepによって収集した後、KAPA Library Quantification Kit(KAPA Biosystems)を使用してqPCRによって定量化してから、シークエンシング(v3、600サイクル)に向けてMiseqシークエンサー(Illumina)にロードした。
【0432】
生物情報学的解析については、得られたIllumina配列をデマルチプレックス化し、クオリティトリミングを行った。次に、オーバーラップするペアエンドリードをアセンブリし、ローカルにインストールしたigblast(NCBI,v2.2.25+)を使用してアノテーションを行った。ヒト生殖細胞のVλセグメント及びJλセグメントのデータベースにリードをアライメントし、ベストヒットについてソートした。同一のスコアを有するベストヒットが複数検出された時には、配列を曖昧として印付けし、解析から除外した。一連の内部のperlスクリプトを開発して結果を解析した。
【0433】
HoH/LiK/λ-/-/TdTマウスから得られた脾臓B細胞に由来するラムダ軽鎖、ならびにHoH/KoK/LiK/λ-/-/TdTマウスから得られた脾臓B細胞に由来するラムダ軽鎖とカッパ軽鎖との両方を、ラムダ遺伝子座及び/またはカッパ遺伝子座における鋳型非依存性のヌクレオチド付加及び結合部多様性の増加について試験した。HoH/LiK/λ-/-/TdTマウス及びHoH/KoK/LiK/λ-/-/TdTマウスに由来する軽鎖では、10,000リード当たりの特有CDR3数によって測定すると、結合部多様性が少なくとも2倍に増加した(データ掲載なし)。さらに、HoH/LiK/λ-/-/TdTマウス及びHoH/KoK/LiK/λ-/-/TdTマウスに由来する軽鎖(ラムダ及び/またはカッパ)の約50%に鋳型非依存性のヌクレオチド付加が生じており、これに比較して、TdTを有さない対照マウスに由来する軽鎖では鋳型非依存性のヌクレオチド付加が生じる割合が約10%にすぎなかった。
【0434】
実施例7.操作されたげっ歯類の免疫化、及び免疫原に対する免疫応答の分析
この実施例は、LiK/VI-3マウス及びLiK/VI-3/TdTマウスの免疫化、ならびに免疫原に対する血清中抗体応答の分析を示す。簡潔に記載すると、(1)VI-3/TdT(例えば、ヒトカッパ軽鎖に対する正の対照となるものであり、このマウスは、内在性のマウスラムダ軽鎖遺伝子座も有する)、ならびにそれぞれヒトラムダ軽鎖を有するVI-3マウスである(2)LiK/VI-3及び(3)LiK/VI-3/TdTを、標準的なプロトコール及びアジュバントを使用してタンパク質免疫原で免疫化した。マウスは、交配繁殖させてから免疫化を開始し、免疫原での追加免疫化後に定期的に交配繁殖させた。それぞれの抗原に対する抗血清中力価をアッセイした。
【0435】
免疫原に対する血清中抗体力価を、ELISAを使用して決定した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS,Irvine Scientific)に2μg/mlとなるように含めた抗原を用いて96ウェルマイクロタイタープレートを4℃で一晩コートした。Tween-20を0.05%含むPBS(PBS-T,Sigma-Aldrich)でプレートを洗浄し、ウシ血清アルブミン(BSA,Sigma-Aldrich)を0.5%含む250μlのPBSを用いて室温でプレートを1時間ブロッキングした。プレートをPBS-Tで洗浄した。免疫化前及び免疫化後の抗血清を1%BSA-PBSで3倍の段階希釈を行ってからプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ヤギ抗マウスIgG-Fc-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合体化二次抗体(Jackson Immunoresearch)、ヤギ抗マウスカッパ-HRP(SouthernBiotech)、またはヤギ抗マウスラムダ-HRP(SouthernBiotech)の1:5000希釈液をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、TMB/H2O2を基質として使用して15~20分間インキュベートすることによってプレートの発色処理を行った。酸で反応を停止し、分光光度計(Victor,Perkin Elmer)でプレートの読み取り処理(450nm)を行った。Graphpad PRISMソフトウェアを使用して抗体力価を計算した。力価は、結合シグナルがバックグラウンドの2倍となる内挿した血清希釈係数として定義される。
【0436】
タンパク質免疫原で免疫化した後にLiK/VI-3マウス、LiK/VI-3/TdTマウス、及びVI-3/TdTマウスにおける液性免疫応答を調べた。タンパク質で免疫化したマウスに由来する抗血清が示す抗原に対する力価は、LiK/VI-3系及びLiK/VI-3/TdT系において、VI-3/TdT系と同等に高いものである(
図18)。LiK/VI-3マウス及びLiK/VI-3/TdTマウスにおいて誘発されたラムダ力価は、共に高いものであった。VI-3/TdT系のマウスにおいては、3匹のマウスではラムダ力価は観測されなかった一方で、2匹のマウスでは低い力価が観測されており、このことは、この系統ではマウスラムダ可変領域の利用度が低いことと一致する。予想通り、LiK/VI-3マウス及びLiK/VI-3/TdTマウスはカッパ軽鎖を有さないため、これらのマウスでカッパ力価が誘発されることはなかったが、VI-3/TdTは高いカッパ力価を示した。
図19では、Hisタグのための無関係のタンパク質抗原で観測された力価が、3つのマウス系統のすべてにおいて抗Fc検出及び抗カッパ検出でベースライン力価(最小血清希釈)であった一方で、LiK/VI-3マウス及びLiK/VI-3/TdTマウスでは抗ラムダ検出で非常に低い力価が観測されたことが示される。
【0437】
ある特定の実施形態
実施形態1
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
【0438】
実施形態2
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態1に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0439】
実施形態3
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子についてヘテロ接合型である、実施形態1に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0440】
実施形態4
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態3に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0441】
実施形態5
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態4に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0442】
実施形態6
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、実施形態1~5のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0443】
実施形態7
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメント
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座と、
を含む、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
【0444】
実施形態8
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態7に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0445】
実施形態9
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0446】
実施形態10
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0447】
実施形態11
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態1~10のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0448】
実施形態12
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態11に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0449】
実施形態13
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態11に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0450】
実施形態14
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態1~13のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0451】
実施形態15
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態14に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0452】
実施形態16
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態14に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0453】
実施形態17
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
【0454】
実施形態18
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態17に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0455】
実施形態19
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態18に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0456】
実施形態20
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0457】
実施形態21
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)ヒト重鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類重鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン重鎖を前記げっ歯類が発現するように1つまたは複数の内在性の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座であって、前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座、
(b)第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに前記第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、ならびに
(c)ヒトκ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類κ軽鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を前記げっ歯類が発現するように内在性のげっ歯類Cκ領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数のJκ遺伝子セグメントを含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、
を含み、
前記げっ歯類が、ヒトλ軽鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類λ軽鎖定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
【0458】
実施形態22
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、実施形態20または実施形態21に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0459】
実施形態23
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態20~22のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0460】
実施形態24
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVH非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトDH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトDH非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJH非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態20~23のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0461】
実施形態25
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、実施形態20~24のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0462】
実施形態26
(i)前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントが、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントが、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態20~25のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0463】
実施形態27
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、実施形態20~26のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0464】
実施形態28
前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態20~27のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0465】
実施形態29
前記1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片が発現する、実施形態28に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0466】
実施形態30
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、実施形態28または実施形態29に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0467】
実施形態31
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、実施形態28~30のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0468】
実施形態32
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、実施形態28~31のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0469】
実施形態33
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、実施形態28~32のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0470】
実施形態34
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態28~33のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0471】
実施形態35
前記第1のヒトVH遺伝子セグメントがVH1-2であり、前記第2のヒトVH遺伝子セグメントがVH6-1である、実施形態34に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0472】
実施形態36
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態28~31のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0473】
実施形態37
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態20及び実施形態22~36のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0474】
実施形態38
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、マウスCλ1遺伝子、マウスCλ2遺伝子、またはマウスCλ3遺伝子との同一性が少なくとも80%である配列を有する、実施形態9~37のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0475】
実施形態39
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、マウスCλ1遺伝子を含む、実施形態9~38のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0476】
実施形態40
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、ラットCλ遺伝子を含む、実施形態9~39のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0477】
実施形態41
前記ラットCλ遺伝子が、ラットCλ1遺伝子、ラットCλ2遺伝子、ラットCλ3遺伝子、またはラットCλ4遺伝子との同一性が少なくとも80%である配列を有する、実施形態40に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0478】
実施形態42
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせの代わりに存在する、実施形態1~41のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0479】
実施形態43
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類Vκ遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類Jκ遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0480】
実施形態44
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列をさらに含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0481】
実施形態45
前記κ軽鎖非コード配列が、ヒトκ軽鎖非コード配列である、実施形態44に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0482】
実施形態46
前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を有する、実施形態45に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0483】
実施形態47
不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座をさらに含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0484】
実施形態48
前記げっ歯類が、前記不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、実施形態47に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0485】
実施形態49
前記げっ歯類が、前記不活化された内在性の免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態47に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0486】
実施形態50
前記内在性のVλ遺伝子セグメント、前記内在性のJλ遺伝子セグメント、及び前記内在性のCλ遺伝子の全部または一部が欠失される、実施形態1~49のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0487】
実施形態51
前記げっ歯類が、内在性の免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない、実施形態1~50のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0488】
実施形態52
前記げっ歯類が、内在性の免疫グロブリンκ軽鎖可変ドメインを検出可能なほど発現しない、実施形態1~51のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0489】
実施形態53
前記げっ歯類が、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む、実施形態1~52のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0490】
実施形態54
前記ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインが、(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる、実施形態53に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0491】
実施形態55
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0492】
実施形態56
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、実施形態55に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0493】
実施形態57
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態55または実施形態56に記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0494】
実施形態58
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記生殖細胞ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、実施形態55~57のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0495】
実施形態59
遺伝子改変されたげっ歯類であって、前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(a)転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、
(b)ヒト重鎖可変ドメイン配列及びげっ歯類重鎖定常ドメイン配列をそれぞれが含む免疫グロブリン重鎖を前記げっ歯類が発現するように1つまたは複数の内在性の免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座であって、前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座、ならびに
(c)操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座であって、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)げっ歯類Cλ遺伝子と、
(iv)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(v)前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、及びJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
(vi)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間に位置するヒトκ軽鎖非コード配列であって、前記ヒトκ軽鎖非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座においてヒトVκ4-1遺伝子セグメントとヒトJκ1遺伝子セグメントとの間に見られる配列を含む、前記ヒトκ軽鎖非コード配列と、
を含む、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記げっ歯類Cλ遺伝子が、機能可能なように互いに連結され、
前記げっ歯類Cλ遺伝子が、前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のげっ歯類Cκ遺伝子の代わりに存在し、
前記生殖細胞ゲノムが、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型であり、
前記げっ歯類が、げっ歯類λ軽鎖定常ドメイン配列に融合したヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する、前記遺伝子改変されたげっ歯類。
【0496】
実施形態60
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、実施形態1~59のいずれか1つに記載の遺伝子改変されたげっ歯類。
【0497】
実施形態61
実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類から得られた、単離されたげっ歯類細胞。
【0498】
実施形態62
実施形態61に記載の単離されたげっ歯類細胞から生じた不死化細胞。
【0499】
実施形態63
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹(ES)細胞である、実施形態61に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0500】
実施形態64
実施形態63に記載のげっ歯類ES細胞から生じたげっ歯類胚。
【0501】
実施形態65
抗体を調製するための、実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類の使用。
【0502】
実施形態66
軽鎖可変領域配列を調製するための、実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類の使用。
【0503】
実施形態67
軽鎖可変ドメイン配列を調製するための、実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類の使用。
【0504】
実施形態68
実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類から得られた、単離されたB細胞であって、前記B細胞のゲノムが、
(a)ラムダ軽鎖可変領域配列に機能可能なように連結された、再構成されたヒトラムダ軽鎖可変領域配列
を含み、
前記再構成されたヒトラムダ軽鎖可変領域配列が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
を含む、
前記単離されたB細胞。
【0505】
実施形態69
(b)げっ歯類重鎖可変領域配列に機能可能なように連結された、再構成されたヒト重鎖可変領域配列
をさらに含む、実施形態68に記載の単離されたB細胞であって、
前記再構成されたヒト重鎖可変領域配列が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、
を含む、
前記単離されたB細胞。
【0506】
実施形態70
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を提供するステップと、
(b)前記げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップと、
(c)前記目的抗原に対する免疫応答を前記げっ歯類が生成する上で十分な条件の下で前記げっ歯類を維持するステップと、
(d)前記げっ歯類から
(i)前記目的抗原に結合する抗体、
(ii)前記目的抗原に結合する抗体のヒト軽鎖可変ドメインもしくはヒト重鎖可変ドメイン、軽鎖、または重鎖をコードするヌクレオチド、あるいは
(iii)前記目的抗原に結合する抗体を発現する細胞
を回収するステップと、
を含む方法によって調製された抗体であって、
(d)に記載の抗体が、ヒト重鎖可変ドメイン及びヒトλ軽鎖可変ドメインを含む、前記抗体。
【0507】
実施形態71
単離されたげっ歯類細胞であって、前記単離されたげっ歯類細胞のゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記単離されたげっ歯類細胞。
【0508】
実施形態72
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態71に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0509】
実施形態73
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、実施形態71に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0510】
実施形態74
前記単離されたげっ歯類細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態73に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0511】
実施形態75
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態74に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0512】
実施形態76
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、実施形態71~75のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0513】
実施形態77
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、実施形態71~76のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0514】
実施形態78
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態71~77のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0515】
実施形態79
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態71~78のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0516】
実施形態80
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態79に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0517】
実施形態81
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態79に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0518】
実施形態82
(a)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(b)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態71~81のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0519】
実施形態83
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態82に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0520】
実施形態84
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態82に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0521】
実施形態85
前記げっ歯類細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態71~84のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0522】
実施形態86
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、実施形態85に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0523】
実施形態87
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態85または実施形態86に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0524】
実施形態88
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVH非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトDH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトDH非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJH非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態85~87のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0525】
実施形態89
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、実施形態85~88のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0526】
実施形態90
(i)前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントが、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントが、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態85~89のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0527】
実施形態91
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、実施形態85~90のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0528】
実施形態92
前記げっ歯類細胞の前記ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態85~91のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0529】
実施形態93
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、実施形態92に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0530】
実施形態94
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、実施形態92または実施形態93に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0531】
実施形態95
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、実施形態92~94のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0532】
実施形態96
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、実施形態92~95のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0533】
実施形態97
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態92~96のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0534】
実施形態98
前記第1のヒトVH遺伝子セグメントがVH1-2であり、前記第2のヒトVH遺伝子セグメントがVH6-1である、実施形態97に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0535】
実施形態99
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態92~94のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0536】
実施形態100
前記単離されたげっ歯類細胞が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態85~99のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0537】
実施形態101
前記単離されたげっ歯類細胞の前記ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、実施形態71~100のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0538】
実施形態102
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、実施形態101に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0539】
実施形態103
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態101または実施形態102に記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0540】
実施形態104
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記げっ歯類細胞の前記ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、実施形態101~103のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0541】
実施形態105
前記げっ歯類細胞が、ラット細胞またはマウス細胞である、実施形態71~104のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0542】
実施形態106
実施形態71~105のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞から生じた不死化細胞。
【0543】
実施形態107
前記げっ歯類細胞が、げっ歯類胚性幹(ES)細胞である、実施形態71~105のいずれか1つに記載の単離されたげっ歯類細胞。
【0544】
実施形態108
実施形態107に記載のげっ歯類ES細胞から生じたげっ歯類胚。
【0545】
実施形態109
遺伝子改変されたげっ歯類の作製方法であって、前記方法が、
(a)げっ歯類ES細胞のゲノムにおける第1の操作された免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に1つまたは複数のDNA断片を導入するステップであって、
前記1つまたは複数のDNA断片が、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記Cλ遺伝子が、前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムにおける前記内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に導入され、前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び前記Cλ遺伝子が、機能可能なように連結される、前記導入するステップと、
(b)(a)において生じた前記げっ歯類ES細胞を使用してげっ歯類を生じさせるステップと、
を含む、前記方法。
【0546】
実施形態110
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態109に記載の方法。
【0547】
実施形態111
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態109または実施形態110に記載の方法。
【0548】
実施形態112
前記1つまたは複数のDNA断片が、少なくとも1つの選択マーカーをさらに含む、実施形態109~111のいずれか1つに記載の方法。
【0549】
実施形態113
前記1つまたは複数のDNA断片が、少なくとも1つの部位特異的組換え部位をさらに含む、実施形態109~112のいずれか1つに記載の方法。
【0550】
実施形態114
1つまたは複数のヒトVλ非コード配列、及び1つまたは複数のヒトVλ非コード配列を前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に導入することをさらに含む、実施形態109~113のいずれか1つに記載の方法であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、ヒトVλ遺伝子セグメントに隣接し、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、ヒトJλ遺伝子セグメントに隣接する、前記方法。
【0551】
実施形態115
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントとの間にκ軽鎖非コード配列が位置するように前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムに前記κ軽鎖非コード配列を導入することをさらに含む、実施形態109~114のいずれか1つに記載の方法。
【0552】
実施形態116
前記げっ歯類ES細胞が、ラットES細胞またはマウスES細胞である、実施形態109~115のいずれか1つに記載の方法。
【0553】
実施形態117
遺伝子改変されたげっ歯類の作製方法であって、前記方法が、
(a)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子が、前記第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される、前記方法。
【0554】
実施形態118
前記方法が、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子が、前記第2の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に挿入される、実施形態117に記載の方法。
【0555】
実施形態119
前記方法が、
(b)(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態117に記載の方法。
【0556】
実施形態120
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態119に記載の方法。
【0557】
実施形態121
前記方法が、
(c)(i)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含むように前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を操作するステップ
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態117~120のいずれか1つに記載の方法。
【0558】
実施形態122
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムにおける第1の内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を操作する前記ステップが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント及び1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントを含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を自体のゲノムに含むげっ歯類ES細胞において実施される、実施形態117~121のいずれか1つに記載の方法。
【0559】
実施形態123
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態122に記載の方法。
【0560】
実施形態124
前記操作するステップが、1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントを含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座を自体のゲノムに含むげっ歯類ES細胞において実施される、実施形態117~120、実施形態122、及び実施形態123のいずれか1つに記載の方法。
【0561】
実施形態125
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVH非コード配列を含み、前記1つまたは複数のヒトVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、実施形態121~124のいずれか1つに記載の方法。
【0562】
実施形態126
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトDH非コード配列を含み、前記1つまたは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、実施形態121~125のいずれか1つに記載の方法。
【0563】
実施形態127
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJH非コード配列を含み、前記1つまたは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、実施形態121~126のいずれか1つに記載の方法。
【0564】
実施形態128
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、げっ歯類Cκ遺伝子を含まない、実施形態109~127のいずれか1つに記載の方法。
【0565】
実施形態129
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態110~115及び実施形態119~128のいずれか1つに記載の方法。
【0566】
実施形態130
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、実施形態109~129のいずれか1つに記載の方法。
【0567】
実施形態131
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態109~130のいずれか1つに記載の方法。
【0568】
実施形態132
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態109~131のいずれか1つに記載の方法。
【0569】
実施形態133
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態132に記載の方法。
【0570】
実施形態134
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態132に記載の方法。
【0571】
実施形態135
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態109~134のいずれか1つに記載の方法。
【0572】
実施形態136
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態135に記載の方法。
【0573】
実施形態137
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態135に記載の方法。
【0574】
実施形態138
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、実施形態111~116及び実施形態121~137のいずれか1つに記載の方法。
【0575】
実施形態139
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態111~116及び実施形態121~138のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
実施形態140
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVH非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトDH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトDH非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJH非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態111~116及び実施形態121~139のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
実施形態141
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、実施形態111~116及び実施形態121~140のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
実施形態142
(i)前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントが、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントが、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態111~116及び実施形態121~141のいずれか1つに記載の方法。
【0579】
実施形態143
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、実施形態111~116及び実施形態121~142のいずれか1つに記載の方法。
【0580】
実施形態144
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノム、または前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態111~116及び実施形態121~143のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
実施形態145
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、実施形態144に記載の方法。
【0582】
実施形態146
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、実施形態144または実施形態145に記載の方法。
【0583】
実施形態147
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、実施形態144~146のいずれか1つに記載の方法。
【0584】
実施形態148
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、実施形態144~147のいずれか1つに記載の方法。
【0585】
実施形態149
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態144~148のいずれか1つに記載の方法。
【0586】
実施形態150
前記第1のヒトVH遺伝子セグメントがVH1-2であり、前記第2のヒトVH遺伝子セグメントがVH6-1である、実施形態149に記載の方法。
【0587】
実施形態151
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態144~146のいずれか1つに記載の方法。
【0588】
実施形態152
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態111~116及び実施形態121~151のいずれか1つに記載の方法。
【0589】
実施形態153
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノム、または前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、実施形態109~152のいずれか1つに記載の方法。
【0590】
実施形態154
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、実施形態153に記載の方法。
【0591】
実施形態155
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態153または実施形態154に記載の方法。
【0592】
実施形態156
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、実施形態153~155のいずれか1つに記載の方法。
【0593】
実施形態157
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、実施形態109~156のいずれか1つに記載の方法。
【0594】
実施形態158
遺伝子改変されたげっ歯類における抗体の産生方法であって、前記方法が、
(a)げっ歯類を目的抗原で免疫化するステップであって、
前記げっ歯類が、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメント、及び
(iii)Cλ遺伝子
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含む生殖細胞ゲノムを有し、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記Cλ遺伝子(c)が、げっ歯類Cκ遺伝子の代わりに前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、前記免疫化するステップと、
(b)前記目的抗原に対する免疫応答を前記げっ歯類が生成する上で十分な条件の下で前記げっ歯類を維持するステップと、
(c)前記げっ歯類から
(i)前記目的抗原に結合する抗体、
(ii)前記目的抗原に結合する抗体のヒト軽鎖可変ドメインもしくはヒト重鎖可変ドメイン、軽鎖、または重鎖をコードするヌクレオチド、あるいは
(iii)前記目的抗原に結合する抗体を発現する細胞
を回収するステップと、
を含む、前記方法。
【0595】
実施形態159
前記げっ歯類の前記細胞が、B細胞である、実施形態158に記載の方法。
【0596】
実施形態160
前記B細胞からハイブリドーマを生成させることをさらに含む、実施形態159に記載の方法。
【0597】
実施形態161
抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)宿主細胞において免疫グロブリン重鎖をコードする第1のヌクレオチド配列を発現させることであって、前記第1のヌクレオチド配列が、ヒト重鎖可変領域配列を含む、前記発現させること、
(b)宿主細胞において免疫グロブリンλ軽鎖をコードする第2のヌクレオチド配列を発現させることであって、前記第2のヌクレオチド配列が、遺伝子改変されたげっ歯類から同定されたヒトλ軽鎖可変領域配列を含み、
前記遺伝子改変されたげっ歯類の生殖細胞ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(iii)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記発現させること、
(c)免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖が発現し、抗体を形成するように前記宿主細胞を培養すること、ならびに
(d)前記宿主細胞または宿主細胞培養物から前記抗体を得ること
を含む、前記方法。
【0598】
実施形態162
前記第1のヌクレオチドが、ヒト重鎖定常領域遺伝子をさらに含む、実施形態161に記載の方法。
【0599】
実施形態163
前記第2のヌクレオチドが、ヒトλ軽鎖定常領域遺伝子をさらに含む、実施形態161または実施形態162に記載の方法。
【0600】
実施形態164
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態158~163のいずれか1つに記載の方法。
【0601】
実施形態165
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、実施形態158~163のいずれか1つに記載の方法。
【0602】
実施形態166
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態165に記載の方法。
【0603】
実施形態167
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態166に記載の方法。
【0604】
実施形態168
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、実施形態158~167のいずれか1つに記載の方法。
【0605】
実施形態169
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、実施形態158~168のいずれか1つに記載の方法。
【0606】
実施形態170
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態158~169のいずれか1つに記載の方法。
【0607】
実施形態171
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態158~170のいずれか1つに記載の方法。
【0608】
実施形態172
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態171に記載の方法。
【0609】
実施形態173
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態171に記載の方法。
【0610】
実施形態174
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態158~173のいずれか1つに記載の方法。
【0611】
実施形態175
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態174に記載の方法。
【0612】
実施形態176
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態174に記載の方法。
【0613】
実施形態177
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態158~176のいずれか1つに記載の方法。
【0614】
実施形態178
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、実施形態177に記載の方法。
【0615】
実施形態179
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態177または実施形態178に記載の方法。
【0616】
実施形態180
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVH非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトDH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトDH非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJH非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態177~179のいずれか1つに記載の方法。
【0617】
実施形態181
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、実施形態177~180のいずれか1つに記載の方法。
【0618】
実施形態182
(i)前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントが、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントが、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態177~181のいずれか1つに記載の方法。
【0619】
実施形態183
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、実施形態177~182のいずれか1つに記載の方法。
【0620】
実施形態184
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態177~183のいずれか1つに記載の方法。
【0621】
実施形態185
前記1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片が発現する、実施形態184に記載の方法。
【0622】
実施形態186
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、実施形態184または実施形態185に記載の方法。
【0623】
実施形態187
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、実施形態184~186のいずれか1つに記載の方法。
【0624】
実施形態188
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、実施形態184~187のいずれか1つに記載の方法。
【0625】
実施形態189
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、実施形態184~188のいずれか1つに記載の方法。
【0626】
実施形態190
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態184~189のいずれか1つに記載の方法。
【0627】
実施形態191
前記第1のヒトVH遺伝子セグメントがVH1-2であり、前記第2のヒトVH遺伝子セグメントがVH6-1である、実施形態190に記載の方法。
【0628】
実施形態192
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態184~187のいずれか1つに記載の方法。
【0629】
実施形態193
前記げっ歯類が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態177~192のいずれか1つに記載の方法。
【0630】
実施形態194
前記げっ歯類が、ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインをそれぞれが含む免疫グロブリンλ軽鎖を含む抗体を発現するB細胞集団を含む、実施形態158~193のいずれか1つに記載の方法。
【0631】
実施形態195
前記ヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変ドメインが、(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの1つ、または体細胞超変異が生じたそのバリアントと、を含む再構成されたヒト免疫グロブリンλ軽鎖可変領域配列によってコードされる、実施形態194に記載の方法。
【0632】
実施形態196
前記げっ歯類の前記生殖細胞ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、実施形態158~195のいずれか1つに記載の方法。
【0633】
実施形態197
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、実施形態196に記載の方法。
【0634】
実施形態198
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態196または実施形態197に記載の方法。
【0635】
実施形態199
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、前記生殖細胞ゲノムにおいて免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、実施形態196~198のいずれか1つに記載の方法。
【0636】
実施形態200
前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、実施形態158~199のいずれか1つに記載の方法。
【0637】
実施形態201
げっ歯類胚性幹(ES)細胞であって、前記げっ歯類ES細胞のゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントと、
(c)Cλ遺伝子と、
を含む第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、前記Cλ遺伝子に機能可能なように連結され、
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、前記げっ歯類ES細胞。
【0638】
実施形態202
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態201に記載のげっ歯類ES細胞。
【0639】
実施形態203
前記げっ歯類ES細胞が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座についてヘテロ接合型である、実施形態201に記載のげっ歯類ES細胞。
【0640】
実施形態204
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントと、
を含む第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVκ遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJκ遺伝子セグメントが、Cκ遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態203に記載のげっ歯類ES細胞。
【0641】
実施形態205
前記第2の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cκ遺伝子が、内在性のげっ歯類Cκ遺伝子である、実施形態204に記載のげっ歯類ES細胞。
【0642】
実施形態206
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(i)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(ii)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(iii)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
を含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態201~205のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0643】
実施形態207
前記げっ歯類が、前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にげっ歯類Cκ遺伝子を含まない、実施形態201~206に記載のげっ歯類ES細胞。
【0644】
実施形態208
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座における前記Cλ遺伝子が、げっ歯類Cλ遺伝子を含む、実施形態201~207のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0645】
実施形態209
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトVλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVλ非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトJλ遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列が、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座においてヒトJλ遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJλ非コード配列、または
(iii)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態201~208のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0646】
実施形態210
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態201~209のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0647】
実施形態211
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態210に記載のげっ歯類ES細胞。
【0648】
実施形態212
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態210に記載のげっ歯類ES細胞。
【0649】
実施形態213
(i)前記1つまたは複数のヒトVλ遺伝子セグメントが、Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、Vλ3-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトJλ遺伝子セグメントが、Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、Jλ7、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態201~212のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0650】
実施形態214
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のJλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJλ非コード配列と、
を含む、実施形態213に記載のげっ歯類ES細胞。
【0651】
実施形態215
前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座が、
(i)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Vλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトVλ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座のVλ4-69、Vλ8-61、Vλ4-60、Vλ6-57、Vλ10-54、Vλ5-52、Vλ1-51、Vλ9-49、Vλ1-47、Vλ7-46、Vλ5-45、Vλ1-44、Vλ7-43、Vλ1-40、Vλ5-39、Vλ5-37、Vλ1-36、Vλ3-27、Vλ3-25、Vλ2-23、Vλ3-22、Vλ3-21、Vλ3-19、Vλ2-18、Vλ3-16、Vλ2-14、Vλ3-12、Vλ2-11、Vλ3-10、Vλ3-9、Vλ2-8、Vλ4-3、またはVλ3-1に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトVλ非コード配列と、
(ii)前記第1の操作された内在性の免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において前記Jλ1、Jλ2、Jλ3、Jλ6、またはJλ7にそれぞれが隣接する1つまたは複数のヒトJκ非コード配列であって、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、またはJκ5に隣接して見られる、前記1つまたは複数のヒトJκ非コード配列と、
を含む、実施形態213に記載のげっ歯類ES細胞。
【0652】
実施形態216
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、
(a)1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントと、
(b)1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントと、
(c)1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントと、
を含む操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座
をさらに含み、
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座において1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結される、実施形態201~215のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0653】
実施形態217
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの組み合わせの代わりに存在する、実施形態216に記載のげっ歯類ES細胞。
【0654】
実施形態218
前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメント、及び1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントによって、1つもしくは複数のげっ歯類VH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類DH遺伝子セグメント、1つもしくは複数のげっ歯類JH遺伝子セグメント、またはそれらの任意の組み合わせが代替される、実施形態216または実施形態217に記載のげっ歯類ES細胞。
【0655】
実施形態219
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、
(i)前記1つもしくは複数のヒトVH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトVH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のVH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトVH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトVH非コード配列、
(ii)前記1つもしくは複数のヒトDH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトDH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のDH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトDH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトDH非コード配列、
(iii)前記1つもしくは複数のヒトJH遺伝子セグメントの少なくとも1つにそれぞれが隣接する1つもしくは複数のヒトJH非コード配列であって、前記1つもしくは複数のJH非コード配列がそれぞれ、天然では内在性のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座においてヒトJH遺伝子セグメントに隣接して見られる、前記1つもしくは複数のヒトJH非コード配列、または
(iv)それらの任意の組み合わせ
をさらに含む、実施形態216~218のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0656】
実施形態220
前記1つまたは複数のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、1つまたは複数の内在性のげっ歯類免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子である、実施形態216~219のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0657】
実施形態221
(i)前記1つまたは複数のヒトVH遺伝子セグメントが、VH3-74、VH3-73、VH3-72、VH2-70、VH1-69、VH3-66、VH3-64、VH4-61、VH4-59、VH1-58、VH3-53、VH5-51、VH3-49、VH3-48、VH1-46、VH1-45、VH3-43、VH4-39、VH4-34、VH3-33、VH4-31、VH3-30、VH4-28、VH2-26、VH1-24、VH3-23、VH3-21、VH3-20、VH1-18、VH3-15、VH3-13、VH3-11、VH3-9、VH1-8、VH3-7、VH2-5、VH7-4-1、VH4-4、VH1-3、VH1-2、VH6-1、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(ii)前記1つまたは複数のヒトDH遺伝子セグメントが、DH1-1、DH2-2、DH3-3、DH4-4、DH5-5、DH6-6、DH1-7、DH2-8、DH3-9、DH3-10、DH5-12、DH6-13、DH2-15、DH3-16、DH4-17、DH6-19、DH1-20、DH2-21、DH3-22、DH6-25、DH1-26、DH7-27、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
(iii)前記1つまたは複数のヒトJH遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH5、JH6、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
実施形態216~220のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0658】
実施形態222
前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、機能性の内在性げっ歯類Adam6遺伝子を含まない、実施形態216~221のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0659】
実施形態223
前記げっ歯類の前記ゲノムが、1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態216~222のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0660】
実施形態224
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上に含まれる、実施形態223に記載のげっ歯類ES細胞。
【0661】
実施形態225
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座に含まれる、実施形態223または実施形態224に記載のげっ歯類ES細胞。
【0662】
実施形態226
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトAdam6偽遺伝子の代わりに存在する、実施形態223~225のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0663】
実施形態227
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列によって、ヒトAdam6偽遺伝子が代替される、実施形態223~226のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0664】
実施形態228
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、第1のヒトVH遺伝子セグメントと第2のヒトVH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態223~227のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0665】
実施形態229
前記第1のヒトVH遺伝子セグメントがVH1-2であり、前記第2のヒトVH遺伝子セグメントがVH6-1である、実施形態228に記載のげっ歯類ES細胞。
【0666】
実施形態230
1つまたは複数のげっ歯類ADAM6ポリペプチド、げっ歯類ADAM6機能性オルソログ、げっ歯類ADAM6機能性ホモログ、またはその機能性断片をコードする前記1つまたは複数のヌクレオチド配列が、ヒトVH遺伝子セグメントとヒトDH遺伝子セグメントとの間に位置する、実施形態223~225のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0667】
実施形態231
前記げっ歯類細胞が、前記操作された内在性の免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてホモ接合型である、実施形態216~230のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0668】
実施形態232
前記げっ歯類ES細胞の前記ゲノムが、転写制御要素に機能可能なように連結された外来性のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列をさらに含む、実施形態201~231のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0669】
実施形態233
前記TdTが、TdTの短鎖アイソフォーム(TdTS)である、実施形態232に記載のげっ歯類ES細胞。
【0670】
実施形態234
前記転写制御要素が、RAG1転写制御要素、RAG2転写制御要素、免疫グロブリン重鎖転写制御要素、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御要素、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御要素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態232または実施形態233に記載のげっ歯類ES細胞。
【0671】
実施形態235
外来性TdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座に存在する、実施形態232~234のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0672】
実施形態236
前記げっ歯類ES細胞が、ラットES細胞またはマウスES細胞である、実施形態201~235のいずれか1つに記載のげっ歯類ES細胞。
【0673】
実施形態237
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を前記抗原で免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を決定し、及び/または前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を決定するステップと、
(c)(i)ヒト重鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列、及び/または
(ii)ヒト軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列、
を用いることによって完全ヒト抗体を発現させるステップと、
を含む、前記方法。
【0674】
実施形態238
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)2つのヒトλ軽鎖及び2つのヒト重鎖を含む完全ヒト抗体を哺乳類細胞において発現させるステップであって、それぞれのヒトλ軽鎖が、ヒトλ軽鎖可変領域によってコードされるヒトλ軽鎖可変ドメインを含み、それぞれのヒト重鎖が、ヒト重鎖可変領域によってコードされるヒト重鎖可変ドメインを含み、少なくとも1つのヒト重鎖可変領域またはヒトλ軽鎖可変領域のヌクレオチド配列が、実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類から得られたものである、前記発現させるステップと、
(b)前記完全ヒト抗体を得るステップと、
を含む、前記方法。
【0675】
実施形態239
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列を決定し、及び/または前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
(c)(i)ヒト重鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列、及び/または
(ii)ヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列
を用いることによって完全ヒト抗体を発現させるステップと、
を含む、前記方法。
【0676】
実施形態240
ヒト重鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列を用いることが、(b)に記載のヒト重鎖可変ドメイン配列及び前記ヒト重鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む、実施形態239に記載の方法。
【0677】
実施形態241
ヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結された(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を用いることが、(b)に記載のヒトλ軽鎖可変ドメイン配列及び前記ヒト軽鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む、実施形態239または実施形態240に記載の方法。
【0678】
実施形態242
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体の調製方法であって、前記方法が、
(a)2つのヒトλ軽鎖及び2つのヒト重鎖を含む前記完全ヒト抗体を哺乳類細胞において発現させるステップであって、それぞれのヒトλ軽鎖が、ヒト軽鎖可変ドメインを含み、それぞれのヒト重鎖が、ヒト重鎖可変ドメインを含み、少なくとも1つのヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列が、実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類から得られたものである、前記発現させるステップと、
(b)前記完全ヒト抗体を得るステップと、
を含む、前記方法。
【0679】
実施形態243
ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を生成させるための方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
を含む、前記方法。
【0680】
実施形態244
ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定することが、前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を決定することを含む、実施形態243に記載の方法。
【0681】
実施形態245
完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖の調製方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を決定するステップと、
(c)前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を、それぞれヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結して完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖を形成させるステップと、
を含む、前記方法。
【0682】
実施形態246
前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列を、それぞれヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列に機能可能なように連結することが、前記ヒト重鎖可変ドメイン配列またはヒトλ軽鎖可変ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列を、前記ヒト重鎖定常ドメイン配列またはヒト軽鎖定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列に機能可能なように連結することを含む、実施形態245に記載の方法。
【0683】
実施形態247
ヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を生成させるための方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするそれぞれヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を決定するステップと、
を含む、前記方法。
【0684】
実施形態248
完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖をコードするヌクレオチド配列の調製方法であって、前記方法が、
(a)実施形態1~60のいずれか1つに記載のげっ歯類を免疫化するステップと、
(b)前記遺伝子改変されたマウスによって産生され、かつ前記抗原に特異的に結合する抗体のヒト重鎖可変ドメインまたはヒトλ軽鎖可変ドメインをコードするそれぞれヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を決定するステップと、
(c)前記ヒト重鎖可変領域配列またはヒトλ軽鎖可変領域配列を、それぞれヒト重鎖定常領域遺伝子またはヒト軽鎖定常領域遺伝子に機能可能なように連結することで、完全ヒト重鎖または完全ヒト軽鎖をコードするヌクレオチド配列を形成させるステップと、
を含む、前記方法。
【0685】
均等物
当業者なら本開示に対するさまざまな変更、改変、及び改良を容易に思い付くであろうことを当業者なら理解するであろう。そのような変更、改変、及び改良は、本開示の一部をなすことが意図され、本発明の趣旨及び範囲に含まれることが意図される。したがって、前述の説明及び図面は例として示されるものにすぎず、本開示に記載の発明はいずれも、さらに詳細な説明がなされるとすれば、それは後述の特許請求の範囲によってなされる。
【0686】
本明細書に記載のアッセイまたは他のプロセスにおいて得られる値に起因し得る典型的な標準偏差または標準誤差を当業者なら理解するであろう。本発明の背景を説明すると共に、その実施に関する追加詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物、ウェブサイト、及び他の参照材料は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【配列表】