IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.の特許一覧

<>
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図1
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図2
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図3
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図4
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図5
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図6
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図7
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図8
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図9
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図10
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図11
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図12
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図13
  • 特許-靴下用の動的換気システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】靴下用の動的換気システム
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A41B11/00 Z
A41B11/00 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020533067
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IT2018000155
(87)【国際公開番号】W WO2019116405
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】102017000143190
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521223863
【氏名又は名称】トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジーニ,ファビオ
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-091698(JP,A)
【文献】特表2006-515651(JP,A)
【文献】特表2001-514345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B11/00-11/14
A41D13/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つま先部(20)と、踵部(21)と、足部を包み込むよう構成された部分(22)と、足首部及び脚部を包み込むよう構成された部分(23)と、ユーザの前記脚部に付着させるよう構成された伸縮性のある縁部(24)とを備える動的換気靴下であって、
前記靴下は、前記靴下の機能的特徴を明確にすることが可能な異なる構造及び差別化された編み方を有するセクタで形成された動的換気システムを更に備え、
前記異なる構造を有する前記セクタは、
-人間工学に基づいた左右非対称のストリップ構造(3)と、
-空気循環システムが形成された通気性ゾーンを備えた第1の構造と、
-空気を通過させるための複数の遊離部分(6)によって交互に遮られる複数の接触セクタ(5)で構成された第2の構造と、
-一対の第1のリブ(11)と、
を備えており、
前記ストリップ構造(3)は、前記足部の形状に追従するように構成されると共に、第1のセクタ(4)が画定されるようにユーザの土踏まず部を収容するよう構成され、前記第1のセクタ(4)は、空気の通過と初期の湿気の迅速な排出とを促進するための開口及び疎な編み目を持つ薄いメッシュを有し、前記第1のセクタ(4)が、前記ユーザの動作中に前記足部の対応するゾーンが吸排気できるようにするための一体化された通気部分であり、
前記第1の構造は、前記足部及び前記脚部の温度を調節するために設けられると共に、外部環境から前記脚部及び足部を隔離する効果を有する「通気溝」を形成するように、皮膚と前記靴下との間に空気を収容かつ維持するために設けられ、前記第1の構造は、メッシュの表面が不規則に起伏するように編まれたメッシュによって形成され、これによって前記皮膚との接触に際し多数の微小な間隔を置きながら、皮膚との接触点と皮膚からの離脱点とが交互に形成されるようにしており、
前記複数の接触セクタ(5)は、前記遊離部分よりも前記皮膚への支持力が高く、前記接触セクタは、前記遊離部分よりも厚く、かつ、過熱した湿度の高い空気が排出されるためのガイドとして機能するように、ガイド壁を形成するよう構成されており、前記ガイド壁は、前記遊離部分を、一方の隣接する前記接触セクタのペアと他方のユーザの前記脚部との間のトンネルとして機能させることができるものであり、
前記複数の接触セクタ(5)及び前記複数の遊離部分(6)は、螺旋形状に追従している前記足首部及び脚部の周りを回転するよう構成された斜めのパターンに従って配置され、ここで前記接触セクタ(5)が、熱の調節に必要な空気の流れを増大させ、かつ加熱された前記空気の流れが当該靴下の縁部へと誘導排出されるように、別々にこれを送り、その結果、前記足部の異なるゾーン間の熱の差がリセットされるようにすることで、前記空気の分散を管理できる隆起部及び溝の形成とそれらの相互作用を作り出すことに寄与しており、また前記第2の構造が、伸縮性縁部(24)に向かって徐々に拡大している螺旋形状を有しており、
一対の第1のリブ(11)は、空気を循環させるための通路を形成すると共に、前記ユーザのアキレス腱部を保護するように、2本の隆起した線として構成されており、前記第1のリブはそれぞれがクッションであり、前記クッションは、空気が入っている小さな空洞を内部に形成する編み方を有し、そこに空気が充満しており、
前記動的換気システムは、前記ユーザの運動中に前記ユーザの皮膚が空気にさらされ、乾いた状態が保たれるように構成されている、
動的換気靴下。
【請求項2】
前記ストリップ構造(3)が上部ストリップ(30)を含み、
前記上部ストリップ(30)が、前記つま先部と甲部との間のおよそ半分だけ前記足部の上部に沿って前記足部の外側側部へと延び、前記靴下の足底側において、前部ストリップ(31)及び後部ストリップ(32)へと分かれていき、
前記前部ストリップ(31)が、前記足部の前記上部の内側側部において前記上部ストリップ(30)に接続するように前記足部の長手方向範囲に対してほぼ垂直に延びるよう構成されており、
前記後部ストリップ(32)が、前記踵部に及ぶまで前記土踏まず部の形状に追従し、前記足部の内側側部において前記前部ストリップ(31)及び前記上部ストリップ(30)と結合かつ接合するよう構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項3】
前記ストリップ構造(3)は、前記土踏まず部を保護及び防護し、前記ユーザの中足骨の動きを安定させ、空気及び湿気を前記足部の下方から取り込み、前記空気及び湿気を前記足部の側部へと運び、前記伸縮性縁部(24)まで前記空気及び湿気を螺旋に向けて上方に送るよう構成されており、
前記ストリップ構造(3)は、前記第1のセクタ(4)がピストンとして機能し、前記土踏まず部に向けて空気を送ることができるように、前記ストリップ構造を囲む部分の圧迫値よりも高い圧迫値を有している
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項4】
前記動的換気システムは、全面に沿って連続的で均一な空気の移動や通過が起こり、前記足部及び前記脚部の均一かつ一様な温度が得られ、前記空気及び湿気の排出が内側の前記皮膚の真上で早くも開始されるように、前記第1の構造による空気の微小循環と、前記第2の構造の前記螺旋形状による大循環とを作り出すよう構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項5】
前記複数の接触セクタ(5)は、前記ユーザのふくらはぎ部及びすね部を打撃や応力から保護するよう構成されたスポンジ加工を施した完全なメッシュ加工を有しており、かつ、空気を移動させたり、循環させたりするトンネルとして機能している前記遊離部分(6)によって交互に遮られており、
前記遊離部分(6)は、空気及び湿気の排出を増大するためのより広い空間を確保するために、横方向に開いたメッシュを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項6】
前記接触セクタ(5)が、前記靴下の上部にある空気の流れを外部に送る端部輪郭を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項7】
前記複数の接触セクタ(5)及び前記複数の遊離部分(6)は、前記靴下の上部にある湿った空気の流れを外部に送る前記接触セクタ(5)の端部輪郭によって補助された螺旋状の経路を通って、湿った空気が移動かつ排出されるように、斜めに配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項8】
前記遊離部分(6)は、空気を上方へと移動させるように、前記脚部の周りを回るよう構成されており、
前記遊離部分(6)が、前記靴下の前記前部と後部とでは前記伸縮性縁部(24)において実質的に等距離になっているが、前記靴下の側部における前記遊離部分は、前記前部及び前記後部における前記遊離部分よりも間隔が広がっている
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項9】
前記螺旋は、前記足首部における高い圧力と前記靴下の上部における低い圧力との間に圧力差が生じるように、前記足首部において小さい寸法を有すると共に前記脚部に沿って増大する寸法を有しており、
前記圧力差は、該圧力差と釣り合うように空気を上方に引き込む真空効果をもたらし、空気の上昇と排出を容易にすると共に促進させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項10】
前記足部、前記靴下及び履物間の相対的な動きに耐性をもたらす補強点で得られる、前記足部を制御かつ保持するために構成された制御及び保持ゾーンを更に備え、
-前記靴下は、ランニング用靴下であり、前記制御及び保持ゾーン(8)は、前記足部を支持するゾーンに2つの横方向制御及び保持ゾーンを備えると共に前記踵部に3つ目の制御及び保持ゾーンを備え、前記制御及び保持ゾーンにより、前記靴下を前記履物に対して不動に保つことができるため、ランニング中に前記ユーザの前記足部が行う動作又は力みによって湿った空気の移動や外部への湿った空気の経路を変化させ得る摩擦作用が発生せず、
又は、
-前記靴下は、サイクリング用又はマウンテンバイク用の靴下であり、前記制御及び保持ゾーン(8)は1つのみであり、前記制御及び保持ゾーン(8)は、ペダルを漕いでいる間の前記靴下の動きを防ぐために中足骨の中央に配置されるよう構成され、前記ユーザによって前記ペダルを漕ぐ間に正しい動力を発揮させることに加えて、前記土踏まず部から外部にかけて空気を正しく循環させ、
又は、
-前記靴下は、スキー用靴下であり、前記制御及び保持ゾーン(8)は、ブーツ内で良好な保持が得られると共に腱部及び靭帯部が過度に伸長する恐れのある動きを回避し、カーブで強引に移動するときにおける前記足部と前記ブーツとの間の相対移動からスキーヤーを防ぐために、前記足部の外側の前記踵部の近傍に横方向に配置されるよう構成された制御及び保持ゾーンを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項11】
前記靴下は、スキー用靴下であり、
前記スキー用靴下は、前記足部の動きに伴う前記皮膚上の摩擦現象を回避し、空気の更なる経路と循環を作り出すように、前記ユーザの母趾近傍の内側側部に互いに対して平行に配置された第2のリブ(9)を備えた部分を更に有し、
前記第2のリブ(9)は、隆起されており、摩擦による摩耗に強い糸で編まれている、
請求項10に記載の動的換気靴下。
【請求項12】
前記第1のリブ(11)がそれぞれ立体的な形状を有し、前記アキレス腱部の側部に配置されるよう構成されたストリップの形態を有し、前記ユーザが硬い履物を着用したときに保護を確実にもたらすように左右対称であり、
前記第1のリブはそれぞれ、前記アキレス腱部を含む前記足部の後部が更に保護されるように、前記ユーザの皮膚を前記履物から内部で離隔させ、
前記第1のリブは、スポンジ加工によって得られる補強セクタ(10)に配置されており、前記アキレス腱部を衝撃及び靴/ブーツとの摩擦から保護すると共に前記履物に対する外側からの衝撃や摩耗から保護するためのクッション効果を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項13】
-前記靴下は、ランニング用靴下であり、
前記ランニング用靴下は、前記ユーザのくるぶし部の下及び該くるぶし部の横方向の両側に位置するよう構成されたスペーサ(14)を更に備え、
各スペーサ(14)は、スペーサ(14)間に通気路が形成されるように、前記ユーザによって履かれる履物に対してシムを形成し、
前記スペーサが、前記くるぶし部の下側の領域の形態に適応するように湾曲している、
又は、
-前記靴下は、ハイキング用靴下であり、
前記ハイキング用靴下は、前記くるぶし部を前記ユーザによって履かれる履物から離隔させることにより、通気路を形成し、かつ前記くるぶし部を保護するために、前記ユーザの前記くるぶし部の下に位置するよう構成された第2のリブを更に備え、
各第2のリブは、空気が入っている小さな空洞を内部に形成する編み方を有し、そこに空気が充満しているクッションである
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項14】
前記靴下の前記伸縮性縁部(24)は、前記靴下の滑り落ちに抵抗するために、前記ユーザの脚筋に適応し、かつ追従する解剖学的形状を有しており、
前記伸縮性縁部は、前記脚筋上にしっかり載るように前記靴下の後部側が高くなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項15】
前記ストリップ構造は、使用される他の糸と共に加工される弾性糸が使用されることによって形成されており、その際、前記ストリップ構造の開始位置で前記弾性糸を固定し、前記弾性糸を再度固定した後、メッシュを加工すると共に前記弾性糸を裁断しており、その結果、差別化される圧迫ゾーンを得ることができるパターンに従って前記弾性糸がほどけないようにしている
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【請求項16】
前記靴下は、一対の靴下のうちの一方の靴下であり、
前記一方の靴下の全ての構造及びゾーンが、他方の靴下に対して鏡像状であり、前記ユーザの左右の前記足部及び左右の前記脚部の解剖学的形状にそれぞれ追従しており、
各靴下が、最適な快適感や安定感をもたらしつつ、刺激性の現象又はアレルギー反応を回避するために、前記ユーザの前記皮膚との接触においてメッシュを有し、
前記靴下を作製する際に使用される繊維には、天然のものと合成のものとの両方があるので、履物との摩擦により生じる摩耗に対して耐性を前記靴下に付与するために、各靴下の外側に編み部が設けられる
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的換気靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置に応じて特定かつ局所的機能を有する差別化されたゾーンを形成するのにとりわけ適しており、足部及び脚部の効果的な通気性と、正確かつ均一な熱調節とを得ることができ、その一方で支持、クッション保護、及びスポーツ活動中の血液循環や筋肉を補助するマイクロマッサージをもたらす靴下用の動的換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ますます専門的で高精度の性能を備えた衣類、とりわけ靴下を持つ必要性により、高性能化が進み、一定の快適性、熱調節、耐性、保持、保護、支持及び維持などの要件に応じられるようにすることを目的とした、製織及び加工技術の開発・研究が推進されている。
【0003】
市場が感じている必要性の1つは、ユーザが一連の動きを、たとえ極端なものであっても完璧な快適さの中で、締め付けや制限を何ら感じることなく完全に行うことができるように、ますます人間工学に配慮した靴下であり、その一方で、靴下が接触する足部及び脚部の完全な通気性や熱調節、及びその良好な保護を促進しつつも、摩耗や破損に耐性があり、それでいて好ましく、魅力的な美的外観を備えた衣類でもある、様々なスポーツ分野の靴下を利用できるようにすることである。
【0004】
ユーザが認識しているように、こうした快適で、実用的で、機能的で、視覚的にも好ましく、柔軟に使用でき、それでいてとりわけ高レベルの技術的性能を備えた衣類や付属品全てに大いに関心が集まっている。
【0005】
特に靴下の分野で、とりわけスポーツ活動に使用される全ての靴下の中で非常に要求されている側面は、スポーツ活動中に生じる湿気を放出させるように靴下が空気を容易に通し、一定の温度を一定時間維持するように温度調節されており、その一方で、快適であり、かつ保護性を有していることである。
【0006】
これまでに例示したものに加えて、一定の通気性が得られ、また孔部を形成する保持点によって取得され、メッシュの穿孔部を通る空気の通過を可能にする、いわゆる「通気溝」を備えた靴下が市場に存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで引用した通気溝は垂直であるため、空気は極めて限定された垂直線に沿ってのみ通過し、その結果、1つの温度にさらされている皮膚のわずかな部分が存在する一方で、これらの皮膚に隣接している皮膚の部分は、「通気溝」の近傍にあるかどうかによって、徐々に上昇したり、低下したりする温度にさらされることになる。こうした温度の変化は、好ましく快適な皮膚感覚が、とりわけより著しい発汗のある足部で得られないユーザにとって、明らかに不快なものとなる暑さや寒さの感覚を生み出す。
【0008】
とりわけ温度が上昇し過ぎた場合、一定の温度に達し、かつ応力を受けると筋線維の流れが最適ではなくなるため、筋肉の細胞外基質に損傷が生じる恐れがある。
【0009】
血管の観点から、高温ゾーンから低温ゾーンへの移行がある時点で熱衝撃が生じるため、高温ゾーンと低温ゾーンとの間で温度ジャンプが発生すると、水分が集められる可能性があり、このために筋収縮を確実に行わせる細胞化学反応が影響を受けることになる。
【0010】
また、スキーを例として外気温が体温よりもはるかに低くなる場合は、例示したばかりの現象の影響が大きくなる。
【0011】
これまでに行われた研究から、放熱が行われなかったり、かつ/又は放熱が不規則に行われたりすると、強制的かつさらなる温度の上昇が起こり、それが、時間の経過と共に血管の老化を引き起こす前述の影響の促進につながることが分かっている。
【0012】
その上、過度の熱により、筋肉間に存在するサーファクタント液の粘度が低下し、その結果動作効率が低下し、細胞及び筋肉の損傷のリスクが高まることになる。
【0013】
スポーツ活動用の靴下の分野では、これまでに例示したものに加えて、いわゆる「包帯」を有する靴下が存在し、これには、この「包帯が接する足部及び/又は脚部の部分を収容して保護する役割があるはずだが、圧迫能力及び/又は保持能力を有し得る生地内の別の構造に対応していないため、視覚的にわずかな加工差が見られるのは指定ゾーンのみとなる。このゾーンは心理的な助けになりこそすれ、有効でも効果的でもない。
【0014】
市場が感じている必要性の1つは、たとえば平坦で薄いメッシュ生地を有し、またその一方で明確に画定されたゾーンで圧迫力を発揮し、なおかつ特定のゾーンで保護をもたらすような靴下を利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの目的は、生理学的特徴、すなわち足部及び脚部の形状に第二の皮膚として適応することができ、それでいて当該靴下が接触する足部及び脚部の最適な快適感、優れた通気性、筋肉レベルでの有効な圧迫、及びその保護をもたらすような衣類をユーザに提供できるようにする靴下用の動的換気システムにより、上記で開示している問題点を克服することで、従来技術の課題を解決することである。
【0016】
本発明の第2の目的は、ユーザが行う動作中に、皮膚、筋肉及び骨が影響を受ける動き、作用力、応力及び圧力に反応することにより、足部及び脚部を保護することができる機能的特徴へと姿を変える、構造的特徴を当該靴下にもたらす、靴下用の動的換気システムを考案することである。
【0017】
本発明の第3の目的は、発揮すべき機能や保護のタイプに応じて、明確に画定され、かつ境界が定められたゾーンを有する、靴下用の動的換気システムを考案することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、履物と接触するにあたり、制御及び維持管理のゾーンをもたらす一方、皮膚との接触において快適かつ滑らかなゾーンが形成され、これにより系統的な維持管理及び通気性のセクタがもたらされるような靴下用の動的換気システムを考案することである。
【0019】
本発明の目的はこれらにとどまらず、容易に作製でき、かつ非常に機能的な靴下用の動的換気システムを考案することも含まれる。
【0020】
これらの目的、及び本明細書の中でより明らかになるさらに別の目的は、以下に特許請求している靴下用の動的換気システムによって実質的に達成される。
【0021】
本発明による靴下用の動的換気システムの詳細な説明から、さらに別の特徴及び利点が明らかになり、添付の図面を参照しながらこれらを示すことになるが、添付の図面は単に例示を目的としており、したがって非限定的な目的のために付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による靴下の内側側面図を示す。
図2図1の靴下の外側側面図を示す。
図3】当該靴下の背面図を示す。
図4図3の靴下の正面図を示す。
図5】本発明による、左右の靴下それぞれの底面図を示す。
図6図1の靴下の上面図を示す。
図7】当該靴下内の空気の動きを表す図を示す。
図8図7の靴下の断面図を示す。
図9】本発明による別の靴下の内側側面図を示す。
図10図9の靴下の外側側面図を示す。
図11図9の靴下の左右の靴下それぞれの底面図を示す。
図12】本発明によるさらに別の靴下の左右の靴下それぞれの底面図を示す。
図13図12の靴下の内側側面図を示す。
図14図13の靴下の外側側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
引用した図を参照すると、本発明による動的換気システム(dynamic ventilation system)を備えた靴下において、1でその全体が示されている。
【0024】
図に示すように、当該靴下1は、つま先部20と、従来の踵部21と、足部を包み込む部分22と、足首部及び脚部を包み込む部分23と、脚部に沿って確実に摺動しないようにするために、ユーザの脚部に付着させるために設けられた伸縮性のある縁部24とを備えた標準的な靴下として示され、かつ構成されている。
【0025】
本発明に従って作製された靴下は、様々な構造及び差別化される処理加工部を設けており、これらにより、本明細書の記載を進めるうちにより効果的に例示されるように、当該靴下がゾーンに応じて、明確に画定された機能的特徴部を取得できるようになるセクタをもたらしている。
【0026】
本発明によれば、靴下用の本動的換気システムは、土踏まず部(plantar arch)を収容する役割を有するストリップ構造(strip structure)3を備え、これにより、オープン加工及び間引き加工されたメッシュを有するセクタ4が内部に形成され、その結果、空気を通過させることができる。
【0027】
具体的には、セクタ4は一体化された通気ゾーンであり、スポーツをする人及び/又はスキーヤーの動作中に大変なストレスを受ける足部のこの部分が呼吸できるようにしている。この一体化された通気ゾーンには、空気の通過と初期の湿気の迅速な排出とを促進するために、非常に細い穿孔処理が施されている。
【0028】
より詳細には、このストリップ構造3は、図6に示すように、つま先部と甲部との間のおよそ半分だけ足部の上部に配置された上部ストリップ30を含み、この上部ストリップ30は、足部の外側側部へと続き、図5に示すように、当該靴下の足底側において、第1の前部ストリップ31及び成形された後部ストリップ32へと分かれていく。
【0029】
具体的には、第1の前部ストリップ31は、足部の長手方向範囲に対してほぼ垂直に回転して、内側側部で上部ストリップ30と結合している一方、第2の後部ストリップ32は、踵部に及ぶまで土踏まず部の形状に追従して、常に足部の内側側部で、第1のストリップ31及び上部ストリップ30と結合かつ接合している。
【0030】
例示したばかりのストリップ構造3は、人間工学的かつ左右非対称であり、それを取り囲む足部の形状に追従している。図5及び図6を確認するとはっきりと視認できるように、このようにして土踏まず部が支持され、かつ収容されている。
【0031】
より詳細には、足部の前述の部分を実質的に圧迫し続けているこのタイプの構造を得るために、使用される他の糸と共に加工される別の弾性糸が使用され、その際、当該部分の開始位置でこの弾性糸がほどけないようにこれを固定し、また明確に画定され、かつ正確に差別化される圧迫ゾーンが、メッシュ間で限定され、かつ識別される部分内で得られるようにするパターンに従って固定された糸を再度動かした後、メッシュを加工し、かつ糸を裁断している。これらの加工方法について述べたことは、簡略化し過ぎない程度に極めて簡略化されているが、差別化された圧迫を伴う弾性挿入物を得るための加工システムについては、同じ出願人の特許に詳細に例示されている。
【0032】
当然のことながら、ストリップ3が設けられているゾーンでは、周囲のセクタよりも高い圧迫値を設定しており、このようにして、セクタ4はピストンとして機能し、土踏まず部のゾーンへと空気を送ることができる。
【0033】
さらに、足部の下の土踏まず部の部分にあるストリップ3は、土踏まず部自体を支持するのに役立ち、血液の循環を促進するように足部の快適感及び保持の感覚をもたらす一方で、同時に補強も行っている。
【0034】
本発明によれば、当該靴下において、本動的換気システムは、足部の温度を調節し、皮膚と靴下との間で一定量の空気を収容かつ維持し、これによって脚部及び足部を外部環境から隔離する効果を伴う、一種の通気溝を形成するために設けられる、空気循環システムが形成される透過ゾーンを備えた第1の構造で構成されている。
【0035】
こうした構造を得るために、その表面をわずかに不規則にして起伏させる処理が行われ、図7及び図8に示すように、これによって皮膚との接触に際し多数の微小な間隔を置きながら、皮膚との接触点と皮膚からの離脱点とが交互に形成されるようにしている。
【0036】
次いで、本動的換気システムは、図1にはっきりと示すように、空気が通過できるように、皮膚の上にある大部分が一連の遊離部分6と交互になっている複数の接触セクタ5で構成された、第2の構造をもたらしている。
【0037】
より詳細には、残りの処理加工部よりも厚い接触セクタ5は、一方の接触セクタと他方のユーザの脚部の皮膚との間に「トンネル」が得られるようにする、一種のガイド壁を形成している。
【0038】
この構成では、過熱した湿度の高い空気が排出される際のガイドとして機能する溝が形成される。
【0039】
これまでに例示したものに加えて、螺旋(ねじれ)形状に追従している足首部及び脚部の周りを回転する斜めのパターンに従って、接触セクタ5と遊離部分6とが配置され、また、この接触セクタ5の形状は、熱調節に必要な空気の流れを増大させ、かつ加熱された空気の流れが当該靴下の縁部へと誘導排出されるように、別々にこれを送り、その結果、足部の異なるゾーン間の熱デルタがリセットされるようにすることで、空気の分散を管理できるリブ及び溝の形成とそれらの相互作用とにさらに寄与している。
【0040】
さらに、図3及び図4に示すように、接触セクタ5の特定の端部輪郭が、当該靴下の上部にある空気の流れを、さらに一層指向した方向へと外部に送っている。
【0041】
具体的には、従来技術の通気溝とは異なり、対角線処理により、様々な間隔で皮膚と接触させることができる。
【0042】
前述のように、加工は斜めに行われ、また微小な間隔が加工されるため、空気が送られて、螺旋状の経路を通って移動かつ排出される。メッシュにおけるこの特別な加工は、空気の移動、ひいてはこの空気が吸収する湿気による上方への移動さえも促進する構造に反映されている。
【0043】
実際、本動的換気システムの構成では、第1の構造による空気の微小循環(microcirculation)が得られ、また第2の螺旋構造による大循環(macrocirculation)も得られるため、全面に沿って連続的で均一な空気の移動や通過が起こり、よって脚部の均一かつ一様な温度が得られることになるが、これは通気溝が垂直であり、したがって空気の通過が1本の流線に制限されている従来技術のソケットで起こることとは異なっている。また、空気及び湿気を垂直な通気溝を備えた従来技術の靴下から排出させる方法では、汗がメッシュを通過した時点で空気及び湿気を排出させるが、本動的換気システムの場合、その排出が内側の皮膚の真上で早くも実行され、これにより常に乾燥し、体温調節が行われた状態となる。本動的換気システムでは、これまでに例示したものに加えて「真空効果」が形成され、その結果、足首部と脚部との間に生じる圧力差のために、空気が容易に排出されることになる。このダイナミクスは、螺旋の寸法が小さいため足首部への圧力が上昇する一方で、脚部の上方に進むと螺旋の寸法が大きくなって、圧力が低下するため、2つの高さにおける圧力差のバランスを取るために、当該靴下において圧力の低い上部ゾーンが空気を上方へと引き込み、その結果、空気の上昇と排出とが容易になり、かつ促進されるという事実によって得られる。
【0044】
このダイナミクスは、スポーツをする人の筋肉の動きによってさらに実現されることになり、この場合、筋肉の収縮及び弛緩によって一種の天然ポンプとして機能する。
【0045】
従来技術の靴下では、足底においてセクタが、湿気が充満するように設計されている上に、スポンジ製であり、空気が溝にある孔からのみ排出されるので、靴下が湿ると重くなり、皮膚に接触するとユーザに湿潤の感覚をもたらしてしまうが、本動的換気システムでは、当該靴下が滑らかで、軽量で非常に快適であるように、皮膚が空気にさらされ、乾いた状態に保たれる。
【0046】
本発明によれば、ストリップ構造3の形状は、土踏まず部の保護及び防護、並びに中足骨の動きを安定させることに加えて、空気及び湿気を足部の側部へと運んだり、セクタ4がベローズとして動作することから、空気及び湿気を上方へ、そして縁部まで螺旋に向かって送ったりすることで、足部の下から空気及び湿気を取り除くことができる。
【0047】
本実施形態によれば、接触セクタ5はスポンジ加工で作製されているので、より完全なメッシュ加工が施されているが、空気を移動させたり、循環させたりするトンネルとして機能している遊離部分6を設けていることにより、これらセクタ5は遮られることになる。さらに、スポンジ加工によって得られる接触セクタ5は、ふくらはぎ部とすね部とを打撃や応力から保護するタスクを実行できるが、その一方で側部では、遊離部分6が目の粗いメッシュを有し、これはなぜなら、脚部の側部が打撃を受けることはそれほどなく、このために、空気の、ひいては湿気の排出を増大するためのより広い空間を備えているからである。これまで開示してきたものはスキー用靴下に存在するが、通気性の必要度がより限定的な、他のタイプのスポーツに適した別のモデルでは、空気の動きを適切に調整するために、螺旋状の線の軸方向の傾きが減少している。
【0048】
さらに、本動的換気システムを支持するために、当該靴下は、足部、当該靴下及び履物間の動きにより大きな耐性をもたらす補強点で得られる、足部を制御かつ保持するための制御及び保持ゾーンを有する。
【0049】
より詳細には、たとえば、ランニング用靴下では、こうした制御及び保持ゾーンは基本的に3つあり、すなわち、図12及び図14に示すように、足部を支持するゾーンに2つの横方向ゾーンと、踵部に3つ目の横方向ゾーンとがある。これらの制御及び保持点により、当該靴下を履物に対して不動に保つことができるため、空気及び湿気と、それらの外部への経路とを変化させる可能性があり、ランニング活動中にユーザが行う動作及び/又は試みによって異常な渦を形成し得る摩擦作用が発生しない。
【0050】
その他の場合において、図11に示すように、サイクリング用及び/又はマウンテンバイク用の靴下では、中足骨の中央に配置され、またペダルを漕いでいる間に当該靴下が動かないようにすることで、ペダルを漕ぐステップ中に正しい動力がかかるようにすることに加えて、土踏まず部から外部にかけて空気を正しく循環させることができる、制御及び保持ゾーン8を1つのみ設けている。
【0051】
最後に、図2に示すように、スキー用靴下は、足部の外側の踵部の近傍に制御及び保持ゾーン8を有する。制御及び保持ゾーンをこのように配置することにより、スキーヤーは、カーブで強引に移動するときに、足部とブーツとの間で相対移動しないようにすることができる。このようにして、ブーツ内で良好な保持が得られ、腱部、及びとりわけ靭帯部を過度に伸長する恐れのある動きが回避される。
【0052】
実際、当該靴下は、快適であると同時に、通気性と熱調節機能とを実行するために、第二の皮膚になる必要があり、このため、相対的な摺動ゾーンが全くないようにすることが重要であり、したがって、足部は履物の中で安定感と不動の感覚とを有している必要がある。
【0053】
さらに、このスキー用靴下は、親指部のゾーンのつま先部近傍の内側側部に、互いに対して平行に配置され、また足部の動きを受けて、皮膚上で摩擦現象を発生させてはならない位置にあるリブ9を備えたゾーンを有し、その結果、空気をさらに循環させて、別の空気の通路を形成することが可能となっている。また、わずかに隆起した加工となっており、ブーツとの接触による摩耗に強い糸が製作に使用されている。
【0054】
本発明によれば、当該靴下は、アキレス腱部を打撃及び靴/スキーブーツとの摩擦から保護するための、補強セクタ10を有する。
【0055】
さらに、アキレス腱部の保護を強化し、このゾーンでも空気を循環させるための通路/トンネルを形成することを目的とする、一対の隆起リブ11を構成する2本の線を設けている。
【0056】
より詳細には、リブ11はそれぞれ、アキレス腱部の側部に配置されたストリップのようなものであり、ユーザが、たとえばとりわけ硬いスキーブーツを着用したときに、より一層の保護をもたらすことができる。この保護により、ユーザの皮膚をブーツの構造から離隔させることができるため、急激で力強い動作が行われることが多い中、アキレス腱部を有する足部の後部が、クッション効果を有するスポンジ加工によって得られる補強セクタ10の存在によってもさらに保護されることになる。また、一対のリブ11は外側に配置されて、擦れ合い部を保護する役割を果たしており、このため、リブがそれぞれ立体的な形状を有していることもあり、さらなるクッション効果がある。
【0057】
具体的には、リブはそれぞれがクッションのようなもので、クッションの内側に空気が入っている小さな空洞を形成するような加工によって得られた場合、空気が充満する。
【0058】
本発明によれば、ランニング用靴下において、くるぶし部の下の両側にスペーサ14を設けている。これらのスペーサは、くるぶし部の下側の形態に適応するようにわずかに湾曲しており、履物に対して薄い厚みを形成しているため、内側で相互間に通気路を形成している。
【0059】
トレッキング用靴下のくるぶし部ゾーンには、上記に示したアキレス腱部のリブ11と同じ方法で作製されたリブを設けており、これらはくるぶし部を靴から離隔させることにより、くるぶし部を保護することに加えて、通気路を形成するために必要である。
【0060】
前述したように、靴下用の本動的換気システムは、空気を上方へと移動させるように、脚部の周りを回転する遊離部分6で構成された通路をもたらしている。遊離部分6は弾性縁部へと続き、当該靴下の前部と後部とで実質的に等距離になっているが、図2に示すように、側部ではわずかにより間隔が広がっている。
【0061】
前述したように、螺旋の間隔は、弾性縁部に向かって上方に進むにつれて広がっている。
【0062】
さらに、当該靴下の縁部24は、筋肉に良好に適応し、かつ追従する解剖学的形状を有しており、その結果、当該靴下の滑り落ちがはるかに発生しにくくなる。実際、図7に示すように、この縁部の後部の方が高くなっており、この縁部は筋肉の上に良好に載っている。
【0063】
当該靴下は、これまでに例示したものに加えて、足部の甲部にまたがって配置され、また想定される甲部の動きのタイプを制御することにより、甲部の関節を収容するために設けられたさらに別のストリップ12を有する。足首部の周りにあるストリップ12は、足首部をより不動の状態に維持するために、くるぶし部/足首部ゾーンを圧迫することが必要とされるスキー用靴下、ランニング用靴下、トレッキング用靴下、及びサイクリング用靴下に見られる。このストリップは、くるぶし部ゾーンのスポンジ加工の内側に位置している。ストリップ12は、当該靴下の外側部分の踵部近傍から延在して、甲部の前部へと続き、足部の内側部分のくるぶし部周辺で分かれ、そしてアキレス腱部の立体的保護部分の近傍で終端している。
【0064】
これまでに述べたように、ストリップ12はくるぶし部のスポンジ保護部分の内側に組み込まれ、安定性と圧迫とをもたらすことができる、切断された弾性糸が使用されるプロセスによって作製されている。
【0065】
さらに、くるぶし部の保護部分が加工部に組み込まれているため、靴/ブーツに足を入れたときに刺激となり得る隆起部や突起部がない。具体的には、スキー用靴下では、くるぶし部の保護部分は、圧力を受ける足部の部分を保護するために、ユーザがカーブして負荷をかけるセクタ、すなわち内くるぶし部のゾーンに配置され、硬いブーツに接触すると刺激を引き起こす恐れのある要素が発生しないように、常に一体化されている。この部分は、左右非対称の保護部分となっている。
【0066】
また、ストリップ3及び12は、美的観点から装飾的な模様を形成しているが、これらのストリップは、くるぶし部の周りに配置されたときに、くるぶし部の下にある軟部組織内の血液の循環促進に寄与し、また足首部関節の内側区画の安定化に寄与する極めて特有の圧迫をもたらすという、非常に明確な機能を有する。
【0067】
具体的には、保護ストリップ3及び12により、動きをより安全かつより支持されたものにするような、ユーザに快適感をもたらす効果的なマッサージ効果が得られるようになっている。
【0068】
保護ストリップの寸法は、様々なスポーツ分野で行われる動作による応力に効果的に反応するように、足底でわずかに異なる場合がある。
【0069】
当該靴下では、これまでに例示したものに加えて、セクタ4が、スポーツの分野によってわずかに異なる寸法及び形状を有し得る。実際、たとえばサイクリング用ソックスでは、より大きな安定性を得、かつ足部を保持するために、ストリップ3の寸法をより大きくする必要があることで、同等の通気性をその面が有するように拡大されたセクタ4の面が縮小することになる。
【0070】
その他の場合において、ランニング用ソックスでは、足部の動きを促進する必要があるため、ストリップ3はより狭くなる一方、サイクリング用ソックスでは、足部の動きが少ないため、このストリップはより広くなる。
【0071】
本発明によれば、全ての構造及びゾーンは、1足の靴下、すなわち左右の靴下において鏡像状であり、足部及び脚部の解剖学的形状に効果的に追従している。
【0072】
当該靴下は、これまでに例示したものに加えて、ユーザの皮膚との接触において快適で滑らかなメッシュを有するか、あるいは内側で最適な快適感や安定感をもたらしつつ、刺激性の現象やアレルギー反応を回避する機能を加工に含んでいる一方で、外側では、靴又はブーツとの摩擦により生じる摩耗に対して、良好な耐性を当該靴下に付与する加工を備える。
【0073】
当該靴下を作製する際に使用される繊維には、天然のものと合成のものとの両方がある。
【0074】
主に構造的な意味で開示してきたことから、本発明の対象となる動作は以下の通りである。
【0075】
一連の反復運動が行われ、また労力を要する特定のスポーツ活動に従事することをユーザが意図する場合、そのスポーツ従事者は、スポーツ活動のタイプに特化した本発明による靴下を着用するだけで、空気を正しく、かつ適切に循環させ、その結果としての優れた通気性により、皮膚に心地よい感覚と最適な快適感とが確実に得られるようになる。さらに、当該靴下により、ユーザは、様々な動きや試みにおいて保護されることに加えて、その最中に補助されたり、支持されたりするようになる。
【0076】
したがって、本発明は提示した目的を達成している。
【0077】
靴下用の本動的換気システムは、生理学的特徴、すなわち足部及び脚部の形状に第二の皮膚として適応することができ、それでいて当該靴下が接触する足部及び脚部の最適な快適感、適切な空気の循環による優れた通気性、筋肉レベルでの有効な圧迫、及びその保護をもたらすような衣類をユーザに提供することができる。
【0078】
有利なことに、靴下用の本動的換気システムでは、ユーザが行う動作中に、皮膚、筋肉及び骨が影響を受ける動き、作用力、応力及び圧力に反応することにより、足部及び脚部を保護しながら、皮膚、筋肉及び骨を最適な温度に維持することができる機能的特徴へと姿を変える、構造的特徴が当該靴下にもたらされる。
【0079】
さらに、靴下用の本動的換気システムは、発揮すべき機能や保護のタイプに応じて、明確に画定され、かつ境界が定められたゾーンを有する。
【0080】
実際、靴下用の本動的換気システムは、空気の正しい循環を促して、皮膚との接触において快適かつ滑らかな感覚をもたらすゾーンを得ようとするゾーンを備える一方、保持及び通気性、並びに当該動作中に発生する湿気の出口となる系統的なセクタを形成している。
【0081】
有利なことに、本動的換気システムを備えた当該靴下は、刺激となる厚みを有することなく身体の形態に完全に適応し、また、同じ範囲内にあるメッシュに対して異なる程度の圧迫をもたらす明確な部分を有する。
【0082】
本動的換気システムで得られる利点の1つは、妨害や刺激の要素が軽減され、ユーザの動きや試みがより安全になることにより、ユーザのパフォーマンスを向上させることができる靴下を使用できることである。特に、ストレス要因を軽減することで、スポーツ活動後の状態も改善され、ユーザがより迅速に身体を回復させる補助を受けることができる。
【0083】
さらに別の利点は、当該靴下用の本動的換気システムを容易に作製でき、また本システムが非常に機能的であるという事実によるものである。
【0084】
本発明に対する修正及び変更を行うことができるのは言うまでもなく、これらの修正及び変更は、本発明を特徴付ける発明概念の範囲内に全て入るものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14