(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】切削先端を備えた骨ねじ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A61B17/86
(21)【出願番号】P 2020533206
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018065966
(87)【国際公開番号】W WO2019126019
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ラムゼイ・クリストファー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05443509(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0162029(US,A1)
【文献】特表平07-503644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0162028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨ねじであって、
長手方向中心軸線を画定する細長いシャンクであって、前記細長いシャンクは、近位端と、遠位方向内方にテーパ状となる円錐状遠位先端領域を有する遠位端と、遠位対向面と、を有する、細長いシャンクと、
前記細長いシャンク上に形成された少なくとも2つのねじ山であって、それぞれのねじ山は、前記長手方向中心軸線の半径方向外側に位置付けられ、前記ねじ山の近位対向面と前記円錐状遠位先端領域の前記遠位対向面との間の交点によって画定される先導切削縁部において、前記遠位端で終端する、少なくとも2つのねじ山と、を備え、前記遠位対向面は、前記遠位対向面の対向する側面に沿って延びる第1及び第2の湾曲縁部を有し、前記第1及び第2の湾曲縁部はそれぞれ、凹状領域及び凸状領域を有し、前記遠位対向面は、
第3及び第4の凸状縁部を更に有し、前記第3及び第4の凸状縁部は、前記第1及び第2の湾曲縁部を含む前記遠位対向面の他の部分よりも前記長手方向中心軸線
の半径方向外側に
位置するように前記遠位対向面の半径方向の最外周のみに沿って延びる
、骨ねじ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのねじ山は、互いに180度オフセットされた第1のねじ山及び第2のねじ山を含む、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項3】
前記少なくとも2つのねじ山は、前記細長いシャンクを中心として互いに半径方向に等距離にある、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項4】
前記細長いシャンクはカニューレ状ではない、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのねじ山のそれぞれの前記先導切削縁部は、前記凹状領域に沿って延びる、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項6】
前記凸状領域は、前記長手方向中心軸線を中心として円周方向に位置付けられている、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項7】
前記長手方向中心軸線に沿って前記遠位対向面から遠位方向に延びる遠位突出部を更に備え、前記遠位突出部は、前記細長いシャンクの直径より小さい直径を有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項8】
前記遠位対向面は、円錐形状を有し、前記細長いシャンクの前記長手方向中心軸線に対して垂直に延びる平面と鋭角を形成する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項9】
前記遠位対向面は、前記遠位対向面が凹状となるように、少なくとも2つの前記先導切削縁部から近位方向に延びる、請求項1に記載の骨ねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
改良された切削先端を有する骨ねじ及びその使用方法が本明細書に提供される。
【背景技術】
【0002】
様々な病気が原因で、脊椎の異常を手で整骨したり又は手当てしたりする必要性が生じる可能性があり、多くの脊椎の手術においては、1つ以上の骨ねじを使用する必要がある。具体的には、骨ねじを脊椎内で使用して、変形部を矯正したり、外傷部及び/又は退行性変性部を治療したりすることができる。例えば、骨ねじは、ロッド及びプレートを脊椎に固着するための器具使用手術に使用することができ、複数の骨構造物を一つに保持することによってその融合を支援するために脊椎の一部を固定するために使用することができ、脊椎の異常を治療するための様々な他の手術で使用することができる。骨ねじは、これらの施術中に様々な要素を脊椎のセグメントにアンカーしたりあるいはしっかり取り付けたりする手段を提供することができる。
【0003】
このような手術では、選択された進入点で、骨ねじを正確に挿入することが重要である。最初の挿入試行中に、骨ねじが進入点から外へ回転し、又はそぐ傾向を低減することも重要である。別の望ましい特質は、挿入のための骨の解剖学的構造を準備するために必要な器具の数を低減することであろう。最初のねじ挿入は、手術を一層困難かつ危険なものとし得る、相当に難しい課題であり得る一方で、正確なねじ配置のための進入点を準備するために追加の装置を必要とし得る。追加の装置の必要性を低減するための1つのアプローチは、ねじのねじ山にひだ又は垂直切込み若しくは溝を作ることである。このひだ特徴部は、ねじが骨内へ回転される際に、骨を切除するための垂直縁部を形成する。しかし、このアプローチによる結果として、一旦ねじが完全に挿入されると骨の解剖学的構造内での固定が弱められる。このように固定が弱められる可能性は、より短いねじにおいて増強される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、進入点を準備するための追加の器具の必要性を低減し、特により短い長さのねじの場合に潜在的なねじ固定を犠牲にしない、最初のねじ挿入のための改良された構造を有する骨ねじが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
骨ねじ及び骨ねじを製造及び使用するための方法が、本明細書に提供される。一実施形態では、長手方向中心軸線を画定しており、かつ、近位端と、遠位方向内方にテーパ状となる円錐状遠位先端領域を有する遠位端と、遠位対向面と、を有する、細長いシャンクを含む骨ねじが提供される。骨ねじは、細長いシャンク上に形成された少なくとも2つのねじ山も含む。それぞれのねじ山は、長手方向中心軸線の半径方向外側に位置付けられ、ねじ山の近位対向面と円錐状遠位先端領域の遠位対向面との間の交点によって画定される先導切削縁部において、遠位端で終端し得る。
【0006】
骨ねじは、様々な構成を有し得る。例えば、骨ねじは、互いに180度オフセットされた第1のねじ山及び第2のねじ山を有し得る。他の態様では、少なくとも2つのねじ山は、細長いシャンクを中心として互いに半径方向に等距離にあり得る。
【0007】
他の実施形態では、遠位対向面は、長円形状を有し得、第1及び第2の湾曲縁部が、その対向する側面に沿って延びる。第1及び第2の湾曲縁部は、それぞれ凹状領域及び凸状領域を有し得る。少なくとも2つのねじ山のそれぞれの先導切削縁部は、凹状領域に沿って延び得る。他の態様では、第1及び第2の湾曲縁部は、それぞれ凹状領域及び凸状領域を有し得、凸状領域は、長手方向中心軸線を中心として円周方向に位置付けられ得る。
【0008】
別の実施形態では、長手方向中心軸線に沿って遠位対向面から遠位方向に延びる遠位突出部を備え得る。遠位突出部は、細長いシャンクの小径より小さい直径を有し得る。
【0009】
他の態様では、遠位対向面は、円錐形状を有し得、細長いシャンクの長手方向中心軸線に対して垂直に延びる平面と鋭角を形成し得る。他の実施形態では、遠位対向面は、遠位対向面が凹状となるように、少なくとも2つの切削縁部から近位方向に延び得る。
【0010】
別の実施形態では、骨ねじが提供され、骨ねじは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる長手方向中心軸線と、を有する細長いシャンクを備える。細長いシャンクは、細長いシャンクの少なくとも近位部分に沿った大径と、遠位端において遠位方向内方にテーパ状となる円錐状遠位先端領域と、遠位対向面であって、遠位対向面の外周を画定する縁部を有する、遠位対向面と、を有し得る。骨ねじは、遠位対向面の外周の一部に沿って形成された、少なくとも2つの切削縁部と、細長いシャンクに沿って延びる、少なくとも2つのねじ山と、も有し得る。それぞれのねじ山は、近位面及び遠位面を有し得、それぞれのねじ山の近位面は、少なくとも2つの切削縁部のうちの1つで終端し得る。
【0011】
骨ねじは、様々な構成を有し得る。例えば、細長いシャンクの遠位対向面は、凹状であり得る。特定の実施形態では、少なくとも2つの切削縁部は、長手方向中心軸線上に位置付けられた遠位対向面の中間点から遠位方向に位置付けられ得る。他の実施形態では、骨ねじは、互いに180度オフセットされた第1のねじ山及び第2のねじ山を含み得る。
【0012】
他の実施形態では、遠位対向面の外周を画定する縁部の少なくとも一部は、遠位対向面と少なくとも2つのねじ山の遠位面との間の、交点によって画定され得る。他の態様では、遠位対向面の外周は、凹状領域及び凸状領域を有する長円形状を有し得る。
【0013】
骨ねじは、長手方向中心軸線に沿って遠位対向面から遠位方向に延びる遠位突出部などの他の表面特徴部を含んでもよく、遠位突出部は、細長いシャンクの小径より小さい直径を有する。
【0014】
頸椎内に骨ねじを埋め込む方法もまた提供される。一実施形態では、本方法は、患者の頸椎内の骨表面と接触している骨ねじの、遠位対向面の外周に沿って形成された少なくとも2つの切削縁部を位置付けることを含み得る。したがって、少なくとも2つの切削縁部は、骨表面と係合し得る。少なくとも2つの切削縁部は、遠位対向面の外周の一部と、骨ねじに沿って延びる少なくとも2つのねじ山の近位面とによって画定され得る。本方法は、少なくとも2つの切削縁部のねじ山が、骨を切除して、骨ねじを骨の中に前進させるように、骨ねじを回転させることを更に含み得る。
【0015】
一実施形態では、骨ねじは、骨表面に対して90度以外の角度で位置付けられ得る。他の態様では、骨と接触している少なくとも2つの切削縁部を位置付けることは、遠位対向面上の遠位突出部を、骨内に形成されたガイド穴の中に挿入すること、を含み得る。
【0016】
別の実施形態では、遠位対向面の中央領域は、少なくとも2つの切削縁部が骨表面と接触して位置付けられているときに中央領域が骨表面に接触しないように、少なくとも2つの切削縁部から近位に位置付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することで、より完全な理解がなされるであろう。
【
図1B】ねじ山が取り除かれた、
図1Aの骨ねじのシャンクの側面図である。
【
図1C】
図1Aの骨ねじの近位-遠位端方向から見た図である。
【
図1F】
図1Aの骨ねじの遠位-近位端方向から見た図である。
【
図3C】
図3Aの骨ねじの遠位-近位端方向から見た図である。
【
図3D】
図3Aの骨ねじの遠位先端の断面部分の斜視図である。
【
図3E】
図3Dの骨ねじの遠位先端の断面部分の別の斜視図である。
【
図4】骨ねじの別の実施形態の遠位先端の断面側面図である。
【
図5B】ねじ山が取り除かれた
図5Aの骨ねじのシャンクの側面図である。
【
図5D】
図5Aの骨ねじの遠位-近位端方向から見た図である。
【
図6】骨ねじ組立体を形成するための受容部材及び加圧キャップと共に示される
図1の骨ねじの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な典型的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0019】
骨ねじを骨の中へ、特に、頸椎内で前進させるとき、外科医は、様々な角度で、かつ様々な位置から、ねじを前進させることを要求される場合が多い。これらの様々な前進条件によって、ねじを成功裏に前進させることが難題となる場合がある。したがって、骨内のガイド穴によって、又は骨内のガイド穴なしに、様々な角度で前進させられることができる、頸椎内などの骨内に埋め込まれるように構成されている様々なねじが本明細書で提供される。骨ねじは、脊椎手術に、特に、頸椎内への配置に関連して説明されているが、このねじは、任意の種類の骨、若しくは組織(縫合糸アンカー内など、又は肩部内の骨のような骨に軟組織を固定するため)に関連して使用でき、又は、他の非外科的用途で使用することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、骨ねじには、細長いシャンクが備えられ、このシャンクは、骨ねじが骨にねじ込まれる際に骨を切削するように構成されている遠位端又は先端を有する。ねじは、この細長いシャンクに沿って延びる、少なくとも2つのねじ山を有することができる。骨ねじの遠位先端部分は、遠位対向面を有することができ、ねじ山のそれぞれと遠位対向面は、細長いシャンクの長手方向中心軸線から半径方向外側に位置付けられている切削縁部を画定することができる。切削縁部は、骨の表面に対して様々な角度で骨に当ててねじを配置する際に、切削縁部が骨と接触することを可能にするために、遠位対向面の少なくとも一部の遠位であることができる。その結果、ねじが、回転させられるとき、切削縁部は、骨に係合し、かつ骨の中へと切削するように構成されることができ、ねじによって、ねじ自体の骨の中への経路が作リ出されることが可能となる。
【0021】
図1A~
図1Iは、細長いシャンク102を有する骨ねじ100の一実施形態を図示する。この細長いシャンク102は、近位端104、遠位端106、及び長手方向中心軸線L1を有する。ねじ100は、近位端に頭部112を含むことができ、この頭部112は、ねじ100を骨内へと前進させるための、ドライバーツール(図示せず)と連結するように構成されている駆動機構114を有する。ねじは、骨を切削するように構成されている遠位端106上の遠位先端で終端する、ねじに沿って形成された2つ以上のねじ山も有することができる。
【0022】
骨ねじ100の頭部112は、様々な構成を有することができ、頭部内又は頭部上に様々な駆動機構を形成することができる。
図1Cに示されるように、駆動機構114は、ねじ回し、六角ドライバなどのドライバーツールを受容するように構成されることができる。しかしながら、任意の相補的な嵌合機構を使用することができる。他の実施形態では、頭部は、ドライバーツールのドライブソケット内に受容されるように成形されてもよく、あるいは、骨ねじは、頭部のない形状であってもよく、シャンクがドライバーツールと嵌合してもよい(図示せず)。
【0023】
骨ねじ100の細長いシャンク102はまた、様々な構成を有することができる。細長いシャンク102は、ねじ山が取り除かれて
図1Bに示されている。図示されるように、図示されるシャンク102は、シャンク102の大部分に沿って延びる(骨ねじ100の小径を表す)一定の直径を有する円筒形本体を有する。シャンクは、例えば遠位端で、遠位方向にテーパ状にすることができ、より大きい直径からより小さい最遠位の直径に移行するようにすることができる。例えば、直径は、シャンク102の全長の約70~85%に沿って一定であることができ、テーパ状の遠位端が、15~30%であるようにすることができる。他の実施形態では、シャンク102は、シャンクの近位端でより大きい直径で、その遠位端に向かってより小さい直径になるように全長に沿ってテーパ状にすることができる。したがって、シャンクのテーパは、シャンクの長さに沿って一定の割合で直径が減少するように、シャンクの長さに沿って連続的であってもよく、あるいは遠位端のみがテーパ状となる一方で、近位部は一定の直径であるように、シャンクの遠位端のみにテーパが位置していてもよい。
【0024】
上記のように、細長いシャンクは、それに沿って形成されたねじ山を含み得る。図示される実施形態では、ねじ100は、その外面に形成された2つのねじ山130を有するが、2つ以上の、例えば2つ、3つ、4つ、又は5つのねじ山を使用することができる。図示される実施形態では、ねじ山130はそれぞれ、シャンク102の互いに反対側(例えば、180度離れた)で開始し、近位端104と遠位端106との間の細長いシャンク102の少なくとも一部に沿って回転するパターンで延びて、螺旋を形成する。シャンク102に沿って形成されたねじ山の数にかかわらず、ねじ山は、そのねじ山の初めが互いにバランスされるように、シャンク102の周りで互いから等距離に位置付けられることが好ましい。ねじ山130はそれぞれ、以下で更に詳細に説明するように、切削縁部122又はその近くで終端する最遠位端を有することができる。ねじ山130は、シャンク102の全長に沿って、ほぼ一定のねじ山ピッチと一定のリードとを有することができる。
【0025】
図示される実施形態では、ねじ山130のそれぞれは、近位方向に面する近位面132と、遠位方向に面する遠位面134と、近位対向面132と遠位対向面134との間の角度で近位対向面132及び遠位対向面134に対して相対的に延びることができる最外径方向面136と、を有する。ねじ山130のそれぞれのねじ山輪郭は、例えば、正方形又は矩形の形状であり得る。他の実施形態では、ねじ山のねじ山輪郭は、径方向面のない三角形、丸みを帯びたものなどであり得るが、ねじ山のそれぞれの高さ及び幅は変化し得る。図示される実施形態では、
図1D及び
図1Eに見られるように、ねじ山は非対称であり、近位面132が、遠位面134と比較して、長手方向軸線L1に垂直な平面に対してより急勾配の角度で最外径方向面136へと延びている。しかしながら、様々な実施形態において、対称なねじを使用することができる。
【0026】
他の例示的なねじ山の形態が、例えば、2011年5月18日付け出願の米国特許出願公開第2011/0288599号、及び2012年8月22日付け出願の米国特許出願公開第2013/0053901号に開示され、双方の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0027】
ねじ山の数、ピッチ、リード、大径及び小径、並びにねじ山の形状を含めて、本明細書において論じられるねじ山は、骨との係合を容易にするように選択することができる。加えて、ねじ山の直径は、上述の細長いシャンクの直径と同様に変化させることができるが、ここでねじ山の直径とは、骨ねじの大径を表す。小径を表す細長いシャンクの直径について既に論じたように、骨ねじの大径及び小径は、骨ねじの一方の端部から他方の端部まで(例えば、近位端から遠位端まで)テーパ状になり得る。大径及び小径のテーパは、互いに同一であっても、又は互いに異なっていてもよい。大径及び小径のテーパの開始位置は、骨ねじの細長いシャンクに沿って同じ位置であっても、又は異なる位置であってもよく、その結果、一定の頂部間の幅又は様々な頂部間の幅がもたらされ得る。大径は、ねじ山の最大径を表し得、一方、小径は、ねじ山の最小径を表し得る。ねじ山が本明細書に示されているが、他の実施形態では、他の表面特徴部を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、骨ねじは、ねじが一方向に回転することを可能にするが、反対方向の回転に抵抗するか、若しくは回転を防止するように構成されてもよく、かつ/又はその上に形成された滑り止め、スパイク、摩擦嵌め特徴部などを含むことができる。
【0028】
ねじ100はまた、遠位先端の様々な異なる構成を有することができる。例えば、
図1F~
図1Iに示されるように、骨ねじ100の遠位端106は、骨ねじ100の最遠位面を形成する遠位対向面115を有し得る。
図1F及び
図1Hに最もよく示されるように、遠位対向面115は、遠位対向面115の周りに延びて遠位対向面115の外周を画定する外縁を有し得る。遠位対向面115の形状は、様々であり得るが、図示される実施形態では、遠位対向面115は、実質的に長円であり、上記外周を画定する上記外縁に沿って形成された、凹状領域及び凸状領域を有する。例示的な実施形態では、遠位対向面115は、長手方向中心軸線を中心として半径方向に位置付けられ、外周の大部分を画定する、互いに対向する凸状領域117を有する。より小さい、互いに対向する凹状領域119は、遠位対向面115の互いに対向する端部に沿って延び、凸状領域117の半径方向外側に更に離間している。
【0029】
遠位対向面115の形状は、様々であり得るが、図示される実施形態では、長手方向中心軸線L1と整列し、遠位対向面115の中点に形成された、非常に小さい先端又は突端を有する。これにより、例えば
図1Dに示されるように、遠位対向面115の非常に小さい円錐形の形状をもたらすことができ、軸線L1を通って延びる断面に沿って見たときにねじ100の遠位端106が凸状であることができる。したがって、ねじ100の遠位対向面115は、長手方向中心軸線L1に対して垂直に延び、かつ最遠位点の中点を通って延びる平面と鋭角A1を画定することができる。特定の実施形態では、角度A1は、例えば、約10度であり得る。この円錐形状により、骨の中への骨ねじ100の効果的なドッキングを容易にすることができる一方、依然として、切削縁部122が、骨と直接係合することを可能にする。
【0030】
図1F~
図1Iに示されるように、遠位端106は、上に形成された2つ以上の切削縁部122を有することもできる。切削縁部122は、骨ねじ100が回転している間の、骨の中への骨の切削を容易にするように構成されている。切削縁部122は、遠位対向面115の外周の一部に沿って形成され得る。図示される実施形態では、切削縁部122は、遠位対向面115の外周の凹状領域119に沿って、長手方向中心軸線A1の半径方向外側の位置の、骨ねじの互いに対向する側に、形成される。切削縁部122は、遠位対向面115とそれぞれのねじ山130の近位面132との交点によって画定され得る。それぞれのねじ山の遠位面134は、
図1Gに最もよく示されるように、切削縁部122よりも前で終端し得る。具体的には、図示される実施形態では、それぞれのねじ山の、近位面134及び最外径方向面136は、ねじ山の終端の遠位端で互いに向かってテーパ状になっており、切削縁部122の一方の端部で終端する。この構成の結果、骨ねじの遠位端におけるそれぞれのねじ山の遠位面134は、ねじ山の最外径方向面136と骨ねじの遠位対向面115との間に延びる。
【0031】
図1F~
図1Iを引き続き参照すると、上記のように、各切削縁部122は、凹状湾曲形状を有し得、遠位対向面115の外周の一部を画定する。切削縁部122は、湾曲しているが、長手方向軸線L1と骨ねじ100の外径との間で概ね半径方向に延び得る。切削縁部122の形状及び位置の結果として、切削縁部122は、ねじが骨内へ回転されるときに、切削縁部122が骨を切削し、それによってねじ山のための経路を形成するように、構成される。骨表面に対して垂直ではない極端な角度であっても効果的な係合及び切削を行うことができる。これは、しばしば、頸椎内で必要とされることである。例えば、ユーザは、ねじ100が、骨の表面に対して約18~20度などの斜角又は鋭角であるときでさえ、ねじ100を骨の中へ前進させることができる。このように、切削縁部122を含む、骨ねじ100の遠位端又は遠位先端は、骨ねじ100の効率を最大化し、骨ねじ100を骨内に打ち込むのに必要なトルク及び下向きの力を最小化するように構成することができる。
【0032】
骨ねじ100は、いかなる内側ルーメン又はカニュレーションも有しないが、所望に応じて、特定の用途のために内側ルーメンが備えられてもよい。例えば、
図2は、骨ねじ100に類似する骨ねじ200を示し、骨ねじ200は、細長いシャンク202は、近位端204、遠位端206、及び長手方向軸線L2を有する。図示されているねじ200は、頭部212も含み、この頭部212は、ねじ200を骨内へと前進させるための、ドライバーツール(図示せず)と連結するように構成されている駆動機構214を有する。ねじは、ねじに沿って形成された2つ以上のねじ山230を有することができる。ねじ山230は、骨を切削するように構成されている先導切削縁部を有する、遠位端106上の遠位先端で終端する。内側ルーメン208は、軸線L2に沿って、ねじ200の内部を通って延びるように示されており、内側ルーメン208は、骨ねじの固定を支援するために、骨及び/又は骨セメント内への骨ねじの配置を容易にするためのガイドワイヤを受容するように構成され得る。
【0033】
加えて、骨ねじの遠位端を変更して、骨ねじの切削縁部を、骨と更に大きく係合させることができる。例えば、凹状の遠位対向面を使用して、骨内にねじを前進させる際に、切削縁部が、骨とのより大きな直接的かつじかの係合を有することを可能にすることができる。
図3A~
図3Eに示されるように、骨ねじ100に類似する骨ねじ300は、近位端304及び遠位端306を有する細長いシャンク302を有し得る。ねじ300は、頭部312を含むことができ、この頭部312は、ねじ300を骨内へと前進させるための、ドライバーツール(図示せず)と連結するように構成されている駆動機構314を有する。ねじは、そのねじに沿って形成された2つ以上のねじ山330を有し得る。ねじ山330のそれぞれは、近位方向に面する近位面332と、遠位方向に面する遠位面334と、近位対向面332と遠位対向面334との間に延びることができる最外径方向面336と、を有し得る。ねじ山330は、遠位端306上の、先導切削縁部322を有する遠位先端で終端することができる。先導切削縁部322は、上述の切削縁部122と同様に、骨を切削するように構成されている。
【0034】
この実施形態では、遠位対向面315は、凹状であり、中間部分が、遠位対向面315の外縁よりも近位に位置付けられている。
図3Bに示されるように長手方向の断面に沿って見ると、ねじ300が骨内に前進させられるときに、切削縁部322と骨との間の直接かつ遮られない接触を可能にするように、骨ねじが、構成されるように、ねじ300の遠位端306は、椀形状を有し得る。換言すれば、切削縁部322は、より遠位にあり、それから遠位対向面315の中間部分である。したがって、遠位対向面315は、長手方向軸線L3に対して垂直に延びる平面に対して、鋭角で延びる側壁を有し得る。特定の例示的な実施形態では、この角度は、約-10度であり得る。
【0035】
前の実施形態と同様に、かつ
図3C~
図3Eに示されるように、切削縁部322は、遠位対向面315の外周に沿って、互いに対向する側に形成され得る。各切削縁部322は、切削縁部122と同様に、遠位対向面315と、ねじ山330のそれぞれの近位面332との間の交点によって画定され得る。切削縁部322は、骨ねじ300の長手方向軸線L3と骨ねじ300の外径との間で半径方向外側に延び得る。各切削縁部322はまた、湾曲した凹状の形状を有することができる。遠位対向面315の外周は、面115に関して上述したものと同様の凸状領域を含むこともできる。使用中、遠位対向面315は、凹状であるから、切削縁部322は、遠位方向に突出して骨内により一層大きく係合するものであり、切削縁部322が骨と係合するまでは、ねじ300の遠位端306上にはいかなる接触点もない。したがって、切削縁部322は、様々な異なる角度から骨を効果的に切削することができ、ねじ300がねじ300自体の経路を骨内に作ることを可能にしながら、多くの異なる運用状況でユーザがねじ300を骨内に配置することを可能にする。例えば、ユーザは、ねじ300が、骨の表面に対して約18~20度などの斜角又は鋭角であるときでさえ、ねじ300を骨内に前進させることができる。切削縁部322は、骨ねじ300の効率を最大化し、骨ねじ300を骨内に打ち込むのに必要なトルク及び下向きの力を最小化する一方で、切削縁部322の動作に偶発的に干渉し得る任意の遠位突出部を除去するようにも構成することができる。
【0036】
骨ねじ200の内側ルーメン208と同様に、内側ルーメンが、凹状遠位端を有する骨ねじ内に形成され得る。例えば、
図4は、骨ねじ300に類似する骨ねじ400を示し、細長いシャンク402は、近位端(図示せず)、遠位端406、及び長手方向軸線L4を有する。図示されているねじ400は、頭部を含み、この頭部は、ねじ400を骨内へと前進させるためのドライバーツール(図示せず)と連結するように構成されている駆動機構(図示せず)を有する。ねじは、ねじに沿って形成された2つ以上のねじ山430を有することができる。ねじ山430は、骨を切削するように構成されている先導切削縁部422を有する、遠位端406上の遠位先端で終端する。内側ルーメン408は、軸線L4に沿って細長いシャンク402を通って形成されることができ、内側ルーメン408は、骨ねじの固定を支援するために、骨及び/又は骨セメント内への骨ねじの配置を容易にするためのガイドワイヤを受容するように構成され得る。
【0037】
本明細書に開示される骨ねじの遠位対向面は、遠位対向面に形成された様々な特徴を有することができる。例えば、骨ねじの遠位端に先導するこぶ又は突出部が位置することができ、ユーザが、骨ねじを骨内に形成されたパイロット穴と整列させることが可能となる。例えば、
図5A~
図5Gは、骨ねじ100に類似する骨ねじ600を示し、細長いシャンク602は、近位端604及び遠位端606を有する。ねじ600は、頭部612も含むことができ、この頭部612は、ねじ600を骨内へと前進させるための、ドライバーツール(図示せず)と連結するように構成されている駆動機構614を有する。ねじは、そのねじに沿って形成された2つ以上のねじ山630を有し得る。ねじ山630のそれぞれは、近位面632と、遠位面634と、近位面632及び遠位面634に対して角度をもって延びることができる最外径方向面636と、を有し得る。ねじ山630は、遠位端606上の、切削縁部622を有する遠位先端で終端することができる。切削縁部622は、骨を切削するように構成されている。切削縁部622を含む遠位先端の構成は、上述した骨ねじと同じ構成を有することができる。しかし、この実施形態では、こぶ608は、骨ねじ600の遠位対向面615の中央部分又は中間部分から遠位方向に延びる。こぶ608は、概ね円錐形状など様々な形状を有し得る。例えば、こぶ608は、遠位対向面615に接続している近位基部において円筒形であり得、最遠位端の丸みを帯びた又は湾曲した先端に向かって、テーパ状となり得る。こぶ608は、長手方向中心軸線と整列させることができ、かつ骨に打ち抜かれ又は穿孔されたパイロット穴に嵌入するように構成することができ、例えば、円錐形状を使用して、ユーザが、素早くかつ容易にねじ600を骨と整列させて、ねじ600がパイロット穴内にしっかりと配置されることを確実にすることを可能にする。こぶ608の直径は、好ましくは、ねじ600のねじ山630の小径より小さく、切削縁部622が形成されることを可能にし、ねじ600が骨内へと前進させられる際、ねじ山630がなおも骨に係合するために、十分な大きさであることを確実にするのに役立つ。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書に開示される骨ねじ及びシャンクは、骨アンカー組立体の一部であり得る。例えば、
図6に示されるように、骨ねじ100は、多軸受容体1000及び加圧キャップ1100と共に使用することができる。受容体1000は、受容体1000から近位に延びるねじ延長タブ1002を有するU字体の形態であり得る。受容体1000は、骨ねじ100の頭部112を着座させるように構成された内側空洞を有し得る。細長いシャンク102は、受容体1000の遠位端の開口部を通って延びることができる。加圧キャップ1100は、受容体1000内に受容され、骨ねじ100から近位に位置付けられるように構成され得る。脊椎ロッド(図示せず)を、ねじ延長タブ1002どうしの間に位置付けることができ、加圧キャップ1100の近位部分に着座させることができる。組立体はまた、ねじ延長タブ1002どうしの間に受容されるように構成されている止めねじ(図示せず)を含むことができ、その止めねじは、遠位方向への力を脊椎ロッドと加圧キャップ1100とにかけて、そのロッドを、受容体1000にロックさせ、骨ねじ100を受容体1000に対して所定の位置にロックすることができるようになっている。ねじ延長タブ1002のそれぞれの外面は、受容体1000の器具への接続を容易にするために、例えば、凹部、くぼみ、切り欠き、凸部などの特徴部を含むことができる。例えば、ねじ延長タブ1002は、タブのそれぞれの自由端に弓状の溝を含むことができる。そのような溝は、2007年2月20日発行の米国特許第7,179,261号により詳細に説明され、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。また骨ねじ100は、例えば、2005年12月13日付けで発行の米国特許第6,974,460号、及び2004年5月18日付けで発行の米国特許第6,736,820号に開示されるような、好みの角度のねじであることができ、双方の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。あるいは、骨アンカー組立体は、骨ねじがすべての方向に同じだけ枢動する、従来の(付勢されていない)多軸ねじであり得る。本明細書に開示される手術用器具は、当技術分野で公知であるタイプの骨アンカー組立体と一緒に動作するように構成することができる。ねじに関する更なる情報は、2012年10月9日付け出願の米国特許出願第13/648,184号に見出すことができ、その開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、
図8に示されるような1つ以上のねじ組立体と共に、本明細書に開示されるねじのうちの1つ以上を含む、キットを提供することができる。例えば、例示的なキットは、外科医が、特定の用途のために適切なねじ及び/又はねじアセンブリを選択することができるように、様々なタイプ及びサイズの複数のねじ及び/又はねじアセンブリを含むようになっていてよい。
【0039】
使用中、骨ねじ100、200、300、400、600は、ねじ組立体の一部として、又は別の施術の一部として、患者の体内に挿入することができる。一例として骨ねじ100を使用すると、骨ねじ100の遠位端106は、例えば患者の頸椎内の、椎弓根などの骨に当てて配置され得る。ドライバーツール(図示せず)は、駆動機構114に係合することができ、ドライバーツールは、骨ねじ100を、骨に対して、例えば、時計回りに回転させるように回転されることができる。切削縁部122が回転すると、それらは骨を切削し、ねじ100を骨の中に前進させることができる。ねじ山130は、骨に係合することができ、それによって骨内に骨ねじ100を固定することができる。ドライバーツールは、骨ねじ100が骨内に完全に駆動されるまで、引き続き回転させることができる。例えば、ユーザは、患者の頸椎内の骨表面と接触して、骨ねじ100の遠位対向面115の外周に沿って形成された少なくとも2つの切削縁部122を位置付けることができる。切削縁部112は、骨表面に係合することができ、切削縁部122は、遠位対向面115の外周の一部及び少なくとも2つのねじ山130の近位面132によって画定され得る。骨ねじ100を回転させることにより、切削縁部112が骨を切除して、骨ねじを骨内へと前進させるようにすることができる。骨ねじ100は、骨表面に対して90度以外の角度で位置付けることができ、遠位対向面115上の遠位突出部は、骨内に形成されたガイド穴に挿入されることができる。遠位対向面115の中央領域は、上記少なくとも2つの切削縁部が骨表面と接触して位置付けられているときに、この中央領域が骨表面に接触しないように、切削縁部122から近位に位置付けられ得る。
【0040】
本明細書で開示するねじは、様々な材料のうちの任意のもので形成することができる。いくつかの実施形態では、ねじは、例えばポリスルホンなどの非吸収性材料、又は例えばチタン及びチタン合金などの金属から形成することができる。他の実施形態では、ねじは、長期間にわたり体内に異物を有することに関連した免疫的問題を低減することができる生体適合性の生体吸収性材料から形成したり、あるいはそれらから作製されるコーティングを含んだりすることができる。本明細書で開示するねじを形成することができる代表的な材料としては、生体吸収性エラストマー、ポリ乳酸ポリグリコール酸(PLA-PGA)等のコポリマーの組み合わせ、及び脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル-エステル)、ポリアルキレンオキザラート、ポリアミド、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、生体分子(すなわち、例えば、コラーゲン、エラスチン、生体吸収性デンプン等のバイオポリマー)等の生体吸収性ポリマー、並びにこれらのブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態では、ねじは、ポリ乳酸、又はリン酸三カルシウムとポリ乳酸との複合ブレンドから形成することができる。例えば骨成長を促進するか、又は骨ねじへの骨の付着性を改善するためのコーティングなどの、1つ以上のコーティングを骨ねじに使用することができる。本明細書に開示されるねじは、単一の一体型材料及び構造物から形成することができ、又は上記に列挙したうちの1つ以上の材料から形成することができる。
【0041】
本明細書に開示されるねじは、患者の解剖学的構造、手術のタイプ、ねじ組立体のサイズ、及び当業者には容易に明らかとなる様々な他のパラメータに応じて、様々なサイズのうちの任意のサイズで提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるねじは、例えば約30mm~60mm又は約80mm~100mmの、様々な長さを有することができ、約3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5mm、又は5.5mmなどの様々な直径を有することができる。
【0042】
更に、本開示において、実施形態の同様の参照番号が付された構成要素は概ね同様の特徴部を有し、したがって、特定の実施形態内において同様の参照番号が付された各構成要素の各特徴は、必ずしも十分に説明されていない。本明細書に説明されている装置の寸法及び形状、並びにその構成要素は、装置が使用されることになる患者の解剖学的形態、装置が使用されることになる構成要素(例えば、脊椎ロッド)の寸法及び形状、並びに装置が使用されることになる方法及び手技に少なくとも依存し得る。本明細書で提供される図面は、必ずしも原寸に比例していない。本明細書に開示される装置及び方法は、概して外科的技法を目的とするが、これらは、外科分野以外の用途に使用されてもよい。以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、記載された発明の概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。したがって、本発明は記載された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、以下の「特許請求の範囲」の文言によって定義される完全な範囲を有するものとする。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 骨ねじであって、
長手方向中心軸線を画定する細長いシャンクであって、前記細長いシャンクは、近位端と、遠位方向内方にテーパ状となる円錐状遠位先端領域を有する遠位端と、遠位対向面と、を有する、細長いシャンクと、
前記細長いシャンク上に形成された少なくとも2つのねじ山であって、それぞれのねじ山は、前記長手方向中心軸線の半径方向外側に位置付けられ、前記ねじ山の近位対向面と前記円錐状遠位先端領域の前記遠位対向面との間の交点によって画定される先導切削縁部において、前記遠位端で終端する、少なくとも2つのねじ山と、を備える、骨ねじ。
(2) 前記少なくとも2つのねじ山は、互いに180度オフセットされた第1のねじ山及び第2のねじ山を含む、実施態様1に記載の骨ねじ。
(3) 前記少なくとも2つのねじ山は、前記細長いシャンクを中心として互いに半径方向に等距離にある、実施態様1に記載の骨ねじ。
(4) 前記遠位対向面は、長円形状を有し、第1及び第2の湾曲縁部が、その対向する側面に沿って延びる、実施態様1に記載の骨ねじ。
(5) 前記第1及び第2の湾曲縁部は、それぞれ凹状領域及び凸状領域を有し、前記少なくとも2つのねじ山のそれぞれの前記先導切削縁部は、前記凹状領域に沿って延びる、実施態様4に記載の骨ねじ。
【0044】
(6) 前記第1及び第2の湾曲縁部は、それぞれ凹状領域及び凸状領域を有し、前記凸状領域は、前記長手方向中心軸線を中心として円周方向に位置付けられている、実施態様4に記載の骨ねじ。
(7) 前記長手方向中心軸線に沿って前記遠位対向面から遠位方向に延びる遠位突出部を更に備え、前記遠位突出部は、前記細長いシャンクの小径より小さい直径を有する、実施態様1に記載の骨ねじ。
(8) 前記遠位対向面は、円錐形状を有し、前記細長いシャンクの前記長手方向中心軸線に対して垂直に延びる平面と鋭角を形成する、実施態様1に記載の骨ねじ。
(9) 前記遠位対向面は、前記遠位対向面が凹状となるように、少なくとも2つの切削縁部から近位方向に延びる、実施態様1に記載の骨ねじ。
(10) 骨ねじであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向中心軸線と、を有する細長いシャンクであって、前記細長いシャンクは、前記細長いシャンクの少なくとも近位部分に沿った大径と、前記遠位端において遠位方向内方にテーパ状となる円錐状遠位先端領域と、遠位対向面であって、前記遠位対向面の外周を画定する縁部を有する、遠位対向面と、を有する、細長いシャンクと、
前記遠位対向面の前記外周の一部に沿って形成された、少なくとも2つの切削縁部と、
前記細長いシャンクに沿って延びる少なくとも2つのねじ山であって、それぞれのねじ山は、近位面及び遠位面を有し、それぞれのねじ山の前記近位面は、前記少なくとも2つの切削縁部のうちの1つで終端する、少なくとも2つのねじ山と、を備える、骨ねじ。
【0045】
(11) 前記細長いシャンクの前記遠位対向面は、凹状である、実施態様10に記載の骨ねじ。
(12) 前記少なくとも2つの切削縁部は、前記長手方向中心軸線上に位置付けられた前記遠位対向面の中間点から遠位方向に位置付けられている、実施態様10に記載の骨ねじ。
(13) 前記少なくとも2つのねじ山は、互いに180度オフセットされた第1及び第2のねじ山を含む、実施態様10に記載の骨ねじ。
(14) 前記遠位対向面の前記外周を画定する前記縁部の少なくとも一部は、前記遠位対向面と前記少なくとも2つのねじ山の前記遠位面との間の交点によって画定されている、実施態様10に記載の骨ねじ。
(15) 前記遠位対向面の前記外周は、凹状領域及び凸状領域を有する長円形状を有する、実施態様10に記載の骨ねじ。
【0046】
(16) 前記長手方向中心軸線に沿って前記遠位対向面から遠位方向に延びる遠位突出部を更に備え、前記遠位突出部は、前記細長いシャンクの小径より小さい直径を有する、実施態様10に記載の骨ねじ。
(17) 頸椎内に骨ねじを埋め込む方法であって、
患者の頸椎内の骨表面と接触している骨ねじの遠位対向面の外周に沿って形成された少なくとも2つの切削縁部を位置付けることであって、前記少なくとも2つの切削縁部は、前記骨表面と係合し、前記少なくとも2つの切削縁部は、前記遠位対向面の前記外周の一部と、前記骨ねじに沿って延びる少なくとも2つのねじ山の近位面とによって画定されている、ことと、
前記少なくとも2つの切削縁部が骨を切除して、前記骨ねじを骨の中に前進させるように、前記骨ねじを回転させることと、を含む、方法。
(18) 前記骨ねじは、前記骨表面に対して90度以外の角度で位置付けられている、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記骨と接触している前記少なくとも2つの切削縁部を位置付けることは、前記遠位対向面上の遠位突出部を前記骨内に形成されたガイド穴の中に挿入することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記遠位対向面の中央領域は、前記少なくとも2つの切削縁部が前記骨表面と接触して位置付けられているときに前記中央領域が前記骨表面に接触しないように、前記少なくとも2つの切削縁部の近位に位置付けられている、実施態様17に記載の方法。