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特許7430639良好な機械的強度を有する天然繊維を含むトップシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】良好な機械的強度を有する天然繊維を含むトップシート
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20240205BHJP
   A61F 13/512 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 100
A61F13/511 400
A61F13/512
A61F13/512 200
A61F13/512 300
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020540665
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2018110397
(87)【国際公開番号】W WO2019076288
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/106835
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(72)【発明者】
【氏名】グエルテキン、エルデム
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ、ロザーティ
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-255051(JP,A)
【文献】実開平02-017126(JP,U)
【文献】特開2009-089965(JP,A)
【文献】特開2010-279621(JP,A)
【文献】特開2017-153915(JP,A)
【文献】国際公開第2016/040101(WO,A1)
【文献】特表2016-511109(JP,A)
【文献】特開2005-097782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 - 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層(1)及び第2の層(2)を含む、吸収性物品に使用するためのトップシート(24)であって、前記第2の層(2)が、前記第1の層(1)と向かい合う関係にあり、
前記第1の層(1)が、スパンレース不織布であり、かつ前記第1の層(1)の総重量に対して少なくとも15重量%の天然繊維を含み、
前記第1の層(1)が、複数の突出部(9)及び複数の孔(5)を含み、
前記突出部(9)の大部分は前記第1の層(1)と第2の層(2)の間で中空かつ内側空隙容積(14)を含み、
前記複数の孔(5)が、前記突出部(9)の間に位置し、前記複数の突出部(9)及び前記孔(5)が、前記第1の層(1)に三次元形状を付与し、
前記第1の層(1)及び前記第2の層(2)が、前記突出部(9)の間で互いに接合され、前記第2の層(2)が、前記第1の層(1)の前記孔(5)と少なくとも部分的に位置合わせされた複数の孔(5)を有し、前記第1の層(1)が、前記孔(5)において前記トップシートの前記第2の層(2)を少なくとも部分的に貫通しており、
前記第1の層(1)が、引張強度試験方法に従って、三次元エンボス加工および穿孔後において少なくとも3N/(5cm)の最小CD強度を有し、かつ、
前記第1の層(1)は、ホットメルト接着剤によって結合領域内で前記第2の層(2)に付着されている、トップシート(24)。
【請求項2】
前記第1の層(1)の前記天然繊維が、10mmよりも短い繊維を含む、請求項1に記載のトップシート(24)。
【請求項3】
前記トップシートが、少なくとも80サイクルの摩耗保持パラメータを有する、請求項1又は2に記載のトップシート(24)。
【請求項4】
前記第1の層(1)が、クロスラッピングによって形成したウェブとスパンレースによって形成したウェブとを結合させた不織布層である、請求項1~3のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項5】
前記第1の層(1)が、熱融着性繊維を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項6】
前記第1の層(1)が、キャリアウェブと、天然繊維を含むウェブとから構成される不織布層であり、前記天然繊維を含むウェブの一部が、前記キャリアウェブに入っている、請求項1~5のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項7】
前記キャリアウェブが、スパンボンド不織布又はカード不織布である、請求項6に記載のトップシート(24)。
【請求項8】
前記天然繊維が、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項9】
前記複数の孔(5)が、前記第1の層(1)内に均一に分布している、請求項1~8のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項10】
前記トップシートは、流出試験方法に従って40%未満の流出量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項11】
前記第2の層(2)が、合成繊維、天然繊維、及び/又はこれらの組み合わせを含み、前記合成繊維が、単一成分繊維、多成分繊維、及びこれらの組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項12】
前記第2の層(2)が、前記孔(5)の外側の領域内で平坦である、請求項1~11のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項13】
前記第2の層(2)が、複数の突出部(9)を含み、前記複数の突出部(9)が、前記第2の層(2)に三次元形状を付与し、前記第1の層(1)の前記複数の突出部(9)が、前記第2の層(2)の前記複数の突出部(9)と少なくとも部分的に位置合わせされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項14】
前記第1の層(1)が、ホットメルト接着剤によって結合領域内で前記第2の層(2)に取り付けられ、前記ホットメルト接着剤が、0℃~40℃の範囲で0.3×10Paよりも高い貯蔵弾性率(G’)を有し、
前記第1の層(1)と前記第2の層(2)との間の剥離力が、剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超である、請求項1~13のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項15】
前記結合領域が、前記第1の層(1)の前記突出部と一致する前記第2の層(2)の領域を含み、前記第2の層(2)が、突出部を有していない、請求項1に記載のトップシート(24)。
【請求項16】
前記第1の層(1)が、エンボス加工によって結合領域内で前記第2の層(2)に取り付けられ、
前記第1の層(1)と前記第2の層(2)との間の剥離力が、剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超である、請求項1~13のいずれか一項に記載のトップシート(24)。
【請求項17】
おむつ又はパンツなどの吸収性物品(20)であって、縦方向中心線(80)と、前記縦方向中心線に垂直な横断中心線(90)と、
請求項1~16のいずれか一項に記載のトップシート(24)と、
バックシート(26)と、
前記バックシート及び前記トップシートの中間に位置付けられた吸収性コア(28)と、を備え、
前記第1の層(1)が、前記吸収性物品(20)の使用中に着用者に向かって面しており、前記第2の層が、前記吸収性コアに向かって面している、吸収性物品(20)。
【請求項18】
前記横断中心線に平行な方向における前記トップシート(24)の前記第2の層(2)の幅が、前記トップシート(24)の前記第1の層(1)の幅よりも大きい、請求項17に記載の吸収性物品(20)。
【請求項19】
前記吸収性物品が、ガスケットカフ(32)を含み、前記第2の層(2)が、縦方向縁を含み、前記第2の層(2)の前記縦方向縁が、前記ガスケットカフに結合されている、請求項18に記載の吸収性物品(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な構造強度及び機械的強度を有する三次元トップシートを提供する。トップシートは、乳児用おむつ、トレーニングパンツ、婦人衛生用生理用ナプキン、又は成人用失禁用製品などの、個人衛生用物品に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
乳児用使い捨ておむつ、幼児用トレーニングパンツ、成人用失禁下着、及び/又は生理用ナプキンなどの個人衛生用吸収性物品は、排泄物、特に大量の尿、軟液状糞便(bowel movement、BM)、及び/又は経血を吸収して収容するように設計されている。これらの吸収性物品は、異なる機能を提供するいくつかの層、所望の場合には、層(例えば、捕捉層、分配層など)の中でもとりわけ、例えば、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアなどを含み得る。
【0003】
トップシートは、概して液体透過性であり、身体から排泄される流体を受容し、当該流体を捕捉システム、分配システム、及び/又は吸収性コアに向けて方向付ける際に役立つように構成されている。一般には、トップシートは、施された界面活性剤処理によって親水性になるように作られ得、流体は、トップシートに引きつけられた後、下層の捕捉システム、分配システム及び/又は吸収性コアに流れる。トップシートの重要な特性の1つは、吸収性物品によって流体が吸収され得る前に、トップシート上に当該流体が溜まるのを低減する能力である。
【0004】
三次元トップシートが開発されており、これについては、例えば、米国特許出願第2014/0121625(A1)号を参照されたい。そのような三次元トップシートは、有孔であってもよい。三次元有孔トップシートは、雄型/雌型ホットエンボス加工又はホットピンプロセスなどのパターン化プロセスを介して形成されてもよい。これらの三次元トップシートは、良好な流体処理特性を有する。
【0005】
トップシートは、柔軟であり、生分解性であり、かつアレルギー、刺激、又は発疹を引き起こす可能性が低い特性を有するとして知られている天然セルロース繊維である綿又は竹繊維などの天然繊維を含んでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願第2014/0121625(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改善された構造強度及び機械的強度を有する吸収性物品に使用するための、天然繊維を含むトップシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
吸収性物品に使用するためのトップシートが開示され、トップシートは、第1の層及び第2の層を含む。第2の層は、第1の層と向かい合う関係にある。第1の層は、スパンレース不織布であり、かつ第1の層の総重量に対して、少なくとも15重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも95重量%の天然繊維を含む。第1の層は、複数の突出部及び複数の孔を含む。複数の孔は、突出部の大部分の間に位置し、複数の突出部は、第1の層に三次元形状を付与する。第1の層及び第2の層は、突出部の大部分の間で互いに接触する。第2の層は、第1の層の孔と少なくとも部分的に、又は完全に位置合わせされた複数の孔を有する。第1の層は、孔においてトップシートの第2の層を少なくとも部分的に貫通する。
【0009】
第1の層は、引張強度試験方法に従って、少なくとも3N/(5cm)、又は少なくとも5N/(5cm)、又は少なくとも8N/(5cm)の最小CD強度を有する。第1の層は、25N/(5cm)以下、又は20N/(5cm)以下、又は15N/(5cm)以下のCD強度を有し得る。
【0010】
本発明者らは、少なくとも15重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも95重量%の天然繊維及び少なくとも3N/(5cm)の最小CD強度を有する第1の層を有する三次元の有孔トップシートを有することが、改善された構造強度及び機械的強度を有するトップシートを提供することを見出した。パターン化プロセス中、上記のトップシートは、損傷せず、天然繊維及び/又は合成繊維の毛羽立ちを生じない。吸収性物品の着用者の皮膚上の刺激及び発疹を有するリスクが減少する。
【0011】
トップシートは、本明細書で以下に記載されるマーチンデール耐摩耗性試験方法に従って測定されるとき、少なくとも80サイクル、又は80~480サイクル、又は80~400サイクル、又は80~350サイクル、又は100~350サイクルの摩耗保持パラメータを有し得る。
【0012】
更に、複数の孔を有する第1の層及び第2の層を含む、本発明のトップシートは、体液のより良好な吸収を可能にする。トップシートは、着用者の皮膚との液状排泄物の接触を低減することができる。したがって、トップシートは、吸収性物品の着用者の皮膚と接触するときに十分に乾燥している。
【0013】
更に、トップシートの三次元の第1の層を提供することは、排尿行為中の皮膚/体液の接触、及び/又は皮膚/体液の接触時間を低減する。吸収性物品の着用者の皮膚の不快感が低減される。
【0014】
また、トップシートの第1の層が、使用条件中に皮膚と直接接触することが好ましいため、トップシートの第1の層で綿繊維などの天然繊維の高含有量を有することは、着用者の皮膚に対して柔軟な感触を有することと、着用者の皮膚と接触する生分解性材料の量を増加させ、吸収性物品の着用者の皮膚上のアレルギー、刺激、又は発疹のリスクを減少させることと、を可能にする。
【0015】
第1の層は、クロスラッピングスパンレース不織布層であってもよい。第1の層の繊維は、MD方向(機械方向)に対して直角であるCD方向(横断方向)にクロスラッピングされ得る。したがって、このようなクロスラッピングスパンレース不織布層は、改善された構造強度及び機械的強度を有する。
【0016】
第1の層は、熱融着性繊維などの合成繊維(例えば、熱可塑性繊維)を含み得る。そのような繊維は、トップシートの第1の層内の天然繊維と混合されてもよい。熱融着性繊維は、スパンレースプロセスの乾燥工程中にわずかに溶融し得る。したがって、熱融着性繊維は、トップシートの第1の層に追加の機械的強度を提供し得る。
【0017】
更に、熱融着性繊維は、エンボス加工によってトップシートの第1の層及び第2の層を結合することを可能にし得る。
【0018】
あるいは、第1の層は、キャリアウェブと、天然繊維を含むウェブとから構成される不織布であってもよく、ウェブの繊維の少なくとも一部が、キャリアウェブの繊維の少なくとも一部と相互貫入する天然繊維を含む。
【0019】
キャリアウェブは、スパンボンド繊維又はカード繊維を含んでもよい。
【0020】
天然繊維を含むウェブの一部がキャリアウェブに入っているため、天然繊維を含むウェブは、引張強度などの強化された機械的強度を有し、したがって、トップシートの機械的強度を改善する。
【0021】
天然繊維は、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましくは、天然繊維は、綿繊維である。
【0022】
複数の孔は、第1の層上に均一に分布され得る。
【0023】
トップシートは、流出量試験方法に従って40%未満の流出量を有し得る。
【0024】
上記のトップシートはまた、吸収性物品の着用者に面する表面上への再湿潤の低減、及びより良好な液体捕捉などの改善された流体処理特性を提供する。
【0025】
第2の層は、合成繊維、天然繊維、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。合成繊維は、単一成分繊維、多成分繊維、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0026】
第2の層は、突出部を有していなくてもよい。
【0027】
あるいは、あまり好ましくないが、第2の層は、複数の突出部を含み得る。複数の突出部は、三次元形状を第2の層に付与し得る。第1の層の複数の突出部は、第2の層の複数の突出部と少なくとも部分的に位置合わせされ得る。
【0028】
第2の層は、第1の層よりも高い機械方向(machine direction、MD)強度を有し得る。より高いMD強度を有する第2の層は、例えば、トップシートを巻き取る又は切り替えるときに、張力を受けることができ、したがって、トップシートが張力を受けるときに第1の層を「保護する」ことができる。例えば、第2の層のMD強度は、第1の層のMD強度よりも少なくとも25%高くてもよく、又は少なくとも50%高くてもよく、又は少なくとも75%高くてもよく、又は少なくとも100%高くてもよい。第2の層のMD強度は、15N/5cm~100N/5cmであってもよい。
【0029】
トップシートは、向かい合わせの関係で2つの層の三次元積層体を形成する。向かい合わせの関係の2つの層の積層体を有することは、液状排泄物と接触する際の第1の層の脱水を改善する。したがって、2つの層の積層体を含むトップシートが吸収性物品に組み込まれると、このトップシートは、着用者の皮膚との液状排泄物の接触を低減することができる。
【0030】
更に、吸収性物品の着用者に面する表面上への再湿潤を低減することもできる。
【0031】
本発明はまた、縦方向中心線と、縦方向中心線に垂直な横断中心線と、本明細書に説明されるトップシートと、吸収性コアと、バックシートと、を備える吸収性物品に関する。吸収性コアは、トップシートとバックシートとの中間に位置付けられる。トップシートの第1の層は、吸収性物品の使用中に着用者の皮膚と接触し、第2の層は、吸収性コアに向かって面する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の上記及び他の特徴及び利点、並びにそれらを実現する様式は、本開示の以下の実施例形態の説明を添付の図面と併せて参照することによって、より明らかになり、本開示自体の理解が深まるであろう。
図1】本発明による、三次元の第1の層及び突出部を有していない第2の層を有するトップシートの概略図である。
図2】本発明による、三次元の第1の層及び突出部を有していない第2の層を有するトップシートの概略図である。
図3】本発明による、三次元の第1の層を有するトップシートの概略図である。
図4】本発明による、第1の層及び第2の層を有する三次元トップシートの概略図である。
図5】本開示のトップシートを形成するための第1の例示的なプロセスの概略的例示である。
図6】本開示による、第1及び第2のロールの一部分の噛み合い係合の図である。
図7】本開示による、第1のロールの一部分の図である。
図8】本開示による、第2のロールの一部分の図である。
図9】本開示のトップシートを形成するための第2の例示的なプロセスの概略的例示である。
図10】いくつかの層が部分的に取り除かれた、本発明のトップシートを備え得る、おむつの形態の例示的な吸収性物品の上面図である。
図11図10のおむつの横断面図である。
図12】実質的に吸収性材料を含まない領域を有する、本発明のトップシートを備え得る、おむつの形態の例示的な吸収性物品の上面図である。
図13図12の物品の横断面図である。
図14】おむつが流体で充填された結果としてコア中にチャネルが形成される場合の、図13と同じ点で切断された物品の横断面図である。
図15】本明細書に開示される接触角試験方法の際の、繊維上の水滴の例を示す顕微鏡写真である。
図16】突出部及び孔を有するトップシートとして使用される不織布材料の写真である。
図17】突出部及び孔を有するトップシートとして使用される不織布材料の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
用語の定義
本発明で使用する場合、用語「吸収性物品」は、身体から排泄された種々の液状排泄物を吸収し収容するために、着用者の身体に直接当たるように、あるいは近接するように配置される、おむつ、パンツ又は婦人衛生用生理用ナプキンなどの使い捨ての製品を指す。典型的には、これらの吸収性物品は、トップシート、バックシート及び吸収性コアを備え、所望により捕捉層、及び/又は分配層及びその他の部材を備え、吸収性コアは、通常、バックシートと捕捉システム又はトップシートとの間に配置される。本発明の吸収性物品は、おむつ又はパンツであってもよい。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「おむつ」は、身体から排泄された液状排泄物を吸収し収容するために、着用者によって胴体下部周りの身に付けられることを目的とした吸収性物品のことを指す。おむつは、小児(例えば、乳児又は幼児)又は成人によって着用されてもよい。おむつは、締着部材を備えて提供されてもよい。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「パンツ」は、小児又は成人の着用者を対象として設計された、固定縁、ウエスト開口部及びレッグ開口部を有する吸収性物品を指す。着用者の脚を一対のレッグ開口部に挿入し、パンツ型の吸収性物品を着用者の胴体下部周りに滑り込ませることによって、パンツは着用者の適切な位置に配置される。パンツは、限定するものではないが、再取り付け可能な接合材及び/又は再取り付け不可能な接合材(例えば、縫合、溶接、接着剤、粘着性接合材、留め具など)を用いて吸収性物品の部分を互いに結合することを含む任意の好適な手法によって、予め形成されてもよい。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置(例えば、側部締着、前側腰部締着)で予め成形されてもよい。
【0036】
用語「機械的強度」又は「強度」は、材料が物理的力の応力に耐える能力を指す。この強度は、材料が損傷又は変形せずに支持することができる、重量又は縦方向強度に相当し得る。
【0037】
用語「CD強度」は、引張強度試験方法(即ち、機械方向(MD)の反対である横断方向(Cross direction、CD)によるCD強度試験方法)中に横断方向に加えられる力を指す。
【0038】
用語「MD強度」は、引張強度試験方法(即ち、横断方向とは異なり機械方向によるMD強度試験方法)中に機械方向に加えられる力を指す。
【0039】
用語「損傷」は、吸収性物品のトップシートなどの材料の値、有用性、又は通常の機能を損なう物理的損壊を意味する。
【0040】
親水性又は疎水性の程度は、各場合において、具体的な材料との水の接触角を求めることによって測定され得る。
【0041】
用語「親水性」は、本明細書に説明される接触角試験方法に従って70°以下の接触角を有する材料を指す。
【0042】
用語「疎水性」は、本明細書に説明される接触角試験方法に従って70°超の接触角を有する材料を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「孔の大部分」は、トップシート内の孔の50%超、又は60%超、又は70%超、又は80%超、又は90%超~最大100%を意味する。
【0044】
用語「結合領域」は、本発明のトップシートの第1の層及び第2の層が、結合によりトップシートを形成するいくつかの方法によって、一緒に接合されるか、又は互いに取り付けられている領域を意味する。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「ウェブ」とは、ロール状に巻くことが可能な材料のことを指す。ウェブは不織布であってもよい。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「不織布ウェブ」は、方向を揃えて、又はランダムに配向した繊維からなるウェブ、シート又はバットを、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により結合して製造された材料を指し、紙、並びに、からみ糸若しくはフィラメント糸を含む織物、編物、タフト、ステッチボンド、又は、更なるニードル加工の有無に関わらず湿式縮絨によるフェルトなどの製造物は含まない。繊維は天然由来のものでもよく、又は人工的なものでもよい。繊維は、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されてもよい。不織布の多孔質繊維構造は、所望により、液体透過性又は液体不透過性となるように構成されてもよい。
【0047】
用語「スパンレース不織布」は、繊維の互いの結束及び交絡が、繊維を互いに織り交ぜさせる、針のような、移動するフリース又は布を通過する圧力下の複数の水ジェットによって得られる不織布を意味する。これらのスパンレース不織布は、本質的に、それらの圧密が水圧交絡から生じることにより定義される。本明細書で使用する場合、「スパンレース不織布」はまた、2つのウェブから形成された不織布を指し、これは、水圧交絡によって互いに組み合わせられる。2つのウェブには、水圧交絡によって1つの不織布へと組み合わせられる前に、例えば、パターン付きカレンダーロール及びアンビルロールを使用して結合パターンを付与することによって、熱及び/又は圧力結合などの、結合プロセスが行われ得る。しかしながら、この2つのウェブは、水圧交絡のみによって互いに組み合わせられる。
【0048】
典型的には、本明細書で使用する場合、用語「セルロース繊維」は、木材パルプ繊維である天然繊維を指す。適用できる木材パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに、例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプなどの機械パルプが挙げられる。落葉樹(以下、「硬材」とも呼ぶ)及び針葉樹(以下、「軟材」とも呼ぶ)の両方に由来するパルプを使用することができる。硬材繊維及び軟材繊維は、配合することが可能であり、あるいは、層状に堆積させて層状ウェブを提供することもできる。
【0049】
用語「熱融着性繊維」は、特定の温度で加熱されるときに、当該繊維が、熱融着性繊維と同じ材料又は異なる材料を含む他の繊維に融着し得るものである繊維を意味する。
【0050】
「備える(含む)」、「備えている(含んでいる)」などの用語は、非限定的な用語であり、それぞれは、続いて記載される特徴(例えば、構成要素)の存在を特定するが、他の特徴(例えば、当該技術分野において既知の、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素)の存在を除外しない。動詞「備える(含む)」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を発揮する様式に実質的に影響を及ぼすような、言及されていない要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「から本質的になる」及び指定されていない要素、工程、又は成分を除外する用語「からなる」を包含するものと解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲の範囲を限定しない。また、「典型的には」、「通常」、「有利に」などの用語も、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲の範囲を限定することを意図しない特徴を修飾する。
【0051】
天然繊維を含むトップシート
相当量の天然繊維を含む不織布ウェブは、熱融着又は熱接着によって統合することができない。したがって、天然繊維を含むそのような不織布ウェブは、多くの場合、ウォータージェットを用いたスパンレーシングプロセスを使用することによって、密着した安定なウェブに統合される。そのような不織布ウェブは、スパンレース不織布ウェブと称される。
【0052】
天然繊維を含む不織布ウェブは、例えば、パターン化プロセスによって、テクスチャ加工されて、特定の審美特性及び/又は機能特性を有する三次元トップシートを形成し得る。
【0053】
しかしながら、三次元の有孔トップシートを形成するために、雌型/雄型ホットエンボス加工又はホットピンプロセスなどのパターン化プロセスが存在するが、これらのプロセスは、天然繊維を含む不織布ウェブへの適用に限界がある。実際に、耐久性のある三次元構造を相当量の天然繊維を含むウェブに付与することは非常に困難である。したがって、天然繊維を含む不織布ウェブがそのようなプロセスで改質される場合、得られるウェブを安定なものにすることは容易ではない。
【0054】
したがって、本発明に関して、第1及び第2の層を含むトップシートが提供され、第1の層は、天然繊維を含むスパンレース不織布である。第2の層は、熱可塑性繊維を含んでもよい。第1及び第2の層は、例えば、接着剤を使用することなどによって互いに接合され、それによって、第2の層は、第1の層を第2の層と接合する前に第1の層に付与された、第1の層の三次元構成の安定化を容易にする。
【0055】
更に、パターン化プロセス中には、その強度を低減することによって、又は使用中の一体性の問題を生じる高い毛羽立ちレベルを有することによって、天然繊維を含む第1の層を損傷させるリスクが高い。毛羽立ちレベルは、トップシートの表面から突出する、解きほぐされた繊維の量に対応する。高い毛羽立ちレベルを有すると、吸収性物品の着用者の皮膚への刺激及び皮膚の痒みの感覚を増大させる。
【0056】
パターン化プロセス中の損傷のリスクは、突出部を付与するために第1の層に必要とされる歪みに起因する。熱可塑性繊維などの合成繊維は、典型的には、比較的長い又は本質的に無端(例えば、スパンボンド不織布ウェブにおける)であるか、又はそれらは、画定された長さに切断される(いわゆるステープル繊維)。人工ステープル繊維は、非常に狭い分布(例えば、38mm+/-3mm)を有する特定の繊維長さを有するが、綿繊維などの天然繊維は、比較的広い繊維長さ分布を有する。スパンレース材料では、繊維は、絡み合い及び繊維/繊維摩擦によって一緒に保持される。したがって、綿繊維に含まれる短繊維部分により、良好な機械的強度及び毛羽立ち耐性の達成が難しい。この達成は、かかる不織布を更に加工して孔及び三次元構造を形成する(例えば、突出部を付与することによって)ときに、材料の通過に機械的応力及び歪みが更に必要とされることに起因して、より困難になる。
【0057】
綿繊維などの天然繊維は、8mm~30mmの繊維長さ分布を有し得る。市販の綿繊維の繊維長さ分布の例が以下に与えられる。繊維の中でも比較的短い長さの繊維の数に起因して、突出部を付与している間の層の歪み及び局所的伸長中に、これらの短繊維がスパンレース層の(毛羽立ち)から引き抜かれるリスクは、合成繊維を有する層よりも増大する。また、天然繊維が着用者の皮膚と接触する使用条件では、繊維は短くなるほど毛羽立ち易いことから、皮膚と層との間の摩擦に起因して、天然繊維の毛羽立ちのリスクは、合成繊維よりも増大する。第2の層に第1の層を取り付けることで、第1の層内のより短い繊維の固定化が補助され、したがって、摩擦のリスクを低減することができる。
【0058】
更に、天然繊維は、高親水性である。親水性は、トップシートを通した体液の吸収及び浸透を容易にするが、そのようなトップシートは、典型的には、トップシート内に残っている残留液体及びトップシートの下の構成要素からトップシートに戻る(及び通過する)液体に起因して、幾分湿ったままになる。したがって、天然繊維を含むトップシートは、トップシートの乾燥性を改善するために、疎水性処理によって処理され得る。この場合、トップシートに使用されるスパンレース不織布は、疎水性処理が不織布内の繊維同士の摩擦を低減し得るため、強度を失う場合がある。
【0059】
本発明のトップシートは、物品の使用中に着用者の皮膚に接触する吸収性物品の一部である。トップシートは、当業者には既知であるように、バックシートの部分、吸収性コア、吸収性物品のバリアレッグカフ、及び/又は任意の他の層に接合され得る。更に、トップシートの少なくとも一部分又はその全体を液体透過性とすることができ、これにより液状の身体排泄物がその厚みを通して容易に浸透する。
【0060】
本発明のトップシートは、天然繊維を含み、合成繊維を更に含んでもよい。
【0061】
合成繊維は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。より具体的には、合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー(例えば、テレフタレートシクロへキシレン-ジメチレンイソフタレートコポリマー)、エチレングリコールコポリマー(例えば、エチレンテレフタレートシクロへキシレン-ジメチレンコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシルエーテルエステル、ポリヒドロキシルエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。加えて、レーヨン、ポリエチレン、及びポリプロピレン繊維などの他の合成繊維は、本開示の範囲内で使用することができる。
【0062】
好ましくは、合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
更に、合成繊維は、単一成分繊維(即ち、単一合成材料又は混合物が繊維全体を構成)、2成分繊維(即ち、繊維が複数の領域に分割され、当該領域が2つ以上の異なる合成材料又はその混合物を含む)などの多成分繊維、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0064】
好適な2成分繊維の非限定例は、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の共重合体から作製されている繊維であり、Fiber Innovation Technology,Inc.(Johnson City,TN)から市販されている「CoPET/PET」繊維として既知である。
【0065】
トップシートはまた、ポリマー、具体的には、ヒドロキシルポリマーから作製される半合成繊維を含んでもよい。好適なヒドロキシルポリマーの非限定例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ビスコースなどのセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、リヨセル(Tencel(登録商標))及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
天然繊維は、麦わら繊維、米わら繊維、亜麻繊維、竹繊維、綿繊維、黄麻繊維、麻繊維、サイザル繊維、バガス繊維、ヘスペルアロエ繊維、茅、海水又は淡水藻類/海藻、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0067】
好ましくは、天然繊維は、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、天然繊維は、綿繊維である。
【0068】
トップシートとして好適なある種の不織布材料は、延伸性ポリプロピレン/ポリエチレンスパンボンド不織布であり得る。トップシートとして好適なある種の不織布材料は、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むスパンボンド不織布であり得る。繊維は、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物であってもよい。あるいは、繊維は、繊維の鞘がポリエチレンで、繊維の芯がポリプロピレンである芯鞘繊維などの複合繊維を含み得る。
【0069】
トップシートは、8~80g/m、又は8~60g/m、又は8~50g/m、又は10~40g/mの坪量を有し得る。
【0070】
本発明のトップシートは、第1の層及び第2の層を含む。第2の層は、第1の層と向かい合う関係にある。好ましくは、トップシートの第1の層は、着用者の皮膚と直接接触している。第1の層は、10g/m~50g/m、又は15g/m~40g/mの坪量を有し得る。第2の層は、5g/m~50g/m、又は7g/m~30g/m、又は7g/m~20g/mの坪量を有し得る。第2の層は、第1の層の坪量よりも少なくとも5g/m低い、又は少なくとも10g/m低い坪量を有し得る。そのような比較的低坪量の層は、第1の層の三次元構成の安定化を容易にするために十分なものであることが見出されている。
【0071】
トップシートは、2層、又はあまり好ましくないが多層で形成されてもよい。
【0072】
三次元の第1の層:
第1の層は、スパンレース不織布である。
【0073】
第1の層は、天然繊維を含み、合成繊維を更に含んでもよい。合成繊維及び天然繊維のリストは、トップシートについて上記に開示されたリストと対応する。
【0074】
不織布ウェブは、例えば、エアレイプロセス、湿式プロセス、メルトブロープロセス、スパンボンドプロセス、ニードルパンチプロセス及びカード処理プロセス等の多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブ中の繊維は、次いで、水ジェットを用いるスパンレーシングプロセス(水流交絡プロセス)を介して結合され得る。
【0075】
好ましくは、合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0076】
好ましくは、天然繊維は、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、天然繊維は、綿繊維である。
【0077】
綿繊維は、良好な液体捕捉、良好な通気性及び良好な柔軟性を有する天然セルロース繊維である。したがって、綿繊維の第1の層を含むトップシートを有することは、トップシートの流体処理特性を改善しながらトップシートの柔軟性を改善する。
【0078】
第1の層は、トップシートの第1の層内の天然繊維と混合され得る熱融着性繊維を含み得る。
【0079】
第1の層は、第1の層の総重量に対して、少なくとも15重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも95重量%の綿繊維などの天然繊維を含む。第1の層はまた、第1の層の総重量に対して、99重量%~100重量%の綿繊維などの天然繊維で作製されてもよい。
【0080】
トップシートの第1の層が、物品が使用中であるときに吸収性物品の着用者の皮膚と直接接触することが好ましいため、トップシートの第1の層で綿繊維などの天然繊維の高含有量を有することは、着用者の皮膚に対して柔軟な感触を有することと、着用者の皮膚と接触する生分解性材料の量を増加させ、着用者の皮膚上のアレルギー、刺激、又は発疹のリスクを減少させることと、を可能にする。
【0081】
第1の層は、親水性又は疎水性であってもよい。好ましくは、第1の層は、疎水性である。
【0082】
疎水性の第1の層を持たせるために、疎水性処理が第1の層に適用され得る。疎水性処理は、石油化学系のもの、又は少なくともある程度天然資源由来のものであってもよい。疎水性処理は、天然のものであってもよい。
【0083】
疎水性処理は、天然油、バター又はワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。いくつかの例は、限定されるものではないが、綿種子油、ココナッツ油、アボカド油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、アーモンド油、ラノリン油、オリーブ油、ヒマワリ種子油、ユーカリ油、シアバター、ココアバター、ムルムルバター、アーモンドバター、アボカドバター、アロエバター、マンゴバター、蜜蝋、大豆ワックス、キャンデリラワックス、米糠ワックス、ココナッツワックスである。
【0084】
疎水性処理は、第1の層中に存在する綿繊維の割合が増加するにつれて、使用量が増加され得る。疎水性処理の範囲は、0.1g/m~最大10g/m、好ましくは0.5g/m~4g/mの坪量であり得る。
【0085】
疎水性処理は、撥水処理、シリコーンポリマー又はポリエーテルなどの疎水性界面活性剤であってもよい。例は、Chemours Company製のZelan(商標)R3、及びPulcra Chemicals製のREPELLAN(登録商標)である。
【0086】
好ましくは、第1の層は、疎水性処理を含む。
【0087】
第1の層は、孔の大部分の間にランド領域を含み得る。
【0088】
コンディショニングプロセス後の第1の層のランド領域上の接触角は、以下に説明されるコンディショニング後接触角試験方法に従って、50°超であり得る。好ましくは、コンディショニングプロセス後の第1の層のランド領域上の接触角は、コンディショニング後接触角試験方法に従って、60°超であり得る。
【0089】
疎水性処理は、当該技術分野において既知の、キスロールコーティング、スプレー、グラビア印刷、スロットコーティング、浸漬又は他の塗布プロセスを介して適用され得る。
【0090】
疎水性処理は、そのように適用されてもよく(即ち、純粋な疎水性処理)、又は最初に溶媒中に溶解され、次いで、適用後に除去されてもよく、又は最初に水に混合されてエマルションを形成し、次いで、適用後に除去されてもよい。疎水性処理が最初に水に混合されてエマルションを形成するとき、乳化剤が必要とされ得る。
【0091】
第1の層は、疎水性天然繊維及び親水性天然繊維の混合物を含んでもよい。疎水性天然繊維は、第1の層を形成する前に疎水性処理を用いて処理される親水性天然繊維であってもよい。
【0092】
疎水性天然繊維の量は、親水性天然繊維の量よりも多くてもよい。
【0093】
例えば、第1の層に含まれる天然繊維は、第1の層の総重量に対して、5重量%~40重量%、又は5重量%~30重量%の親水性天然繊維、及び60重量%~95重量%、又は30重量%~95重量%の疎水性天然繊維の混合物を含んでもよい。第1の層に含まれる天然繊維はまた、100重量%の疎水性天然繊維であってもよい。
【0094】
あるいは、第1の層は、合成繊維、天然繊維、及び/又はこれらの組み合わせ、並びに疎水性天然繊維からなる群から選択される親水性繊維の混合物を含んでもよい。疎水性天然繊維は、第1の層を形成する前に疎水性処理を用いて処理された親水性天然繊維であってもよい。
【0095】
疎水性天然繊維の量は、親水性繊維の量よりも多くてもよい。
【0096】
例えば、第1の層は、第1の層の総重量に対して、5重量%~40重量%の親水性繊維、及び60重量%~95重量%の疎水性天然繊維の混合物を含んでもよい。
【0097】
あるいは、洗浄及び/又は脱色によって処理されていないか、又は軽く処理された綿繊維などの天然疎水性繊維が使用されてもよい。未処理の綿繊維(即ち、非漂白又は非洗浄)は、繊維上の天然ワックスに起因して疎水性である。あるいは、当該技術分野において既知のように、疎水性ビスコース繊維が使用されてもよい。
【0098】
第1の層は、10g/m~50g/m、又は15g/m~40g/mの坪量を有し得る。
【0099】
クロスラッピングスパンレース不織布層
第1の層は、クロスラッピングスパンレース不織布層であってもよい。
【0100】
第1の層の半製品(precursor web)ウェブは、例えば、カード処理プロセスによって形成されるカード不織布ウェブであってもよい。繊維ウェブがカード処理プロセスを介して形成されると、クロスラッパーが、クロスラッピング不織布層を形成するために使用され得る。クロスラッパーの機能は、軽量繊維ウェブを受容し、このプロセス中に軽量ウェブを層内で層化することによってより重いウェブを生成することであり、繊維ウェブの方向は、例えば、90°だけ変更されてもよい。当該技術分野において既知の任意のクロスラッピング技術が、クロスラッピング不織布層を得るために適用され得る。それによって、機械方向(MD)及び横断方向(CD)の機械的強度が良好であるウェブが得られる。
【0101】
次いで、クロスラッピング不織布層の繊維は、スパンレース不織布に結合され得る。水流交絡は、繊維が互いに結合されるように、繊維のウェブにぶつかる高速の水ジェットを使用する。水流交絡は、半製品ウェブとして、乾式(カード又はエアレイド)繊維ウェブ又は湿式ウェブを使用して、実行され得る。
【0102】
このプロセスの最後に、トップシートの第1の層として、クロスラッピングスパンレース不織布層を得る。したがって、トップシートの第1の層の機械的強度は、典型的には、不織布が機械方向の特定のプロセスに関連する繊維配向度を有することから増大し、この増大が、MD対CDにおけるより高い機械的強度をもたらす。
【0103】
複合不織布層
あるいは、第1の層は、不織布キャリアウェブと、天然繊維を含むウェブと、から構成され、当該天然繊維を含むウェブの一部が当該キャリアウェブに入っている、スパンレース不織布層であってもよい。
【0104】
天然繊維を含むウェブが、キャリアウェブの片側上に形成されてもよい。天然繊維ウェブの天然繊維は、キャリアウェブの繊維ネットワークに入り、繊維ネットワークと交絡し得る。当然のことながら、天然繊維は、互いに交絡し得る。キャリアウェブはまた、天然繊維を含むウェブと交絡し得る。
【0105】
キャリアウェブは、異なる種類の合成繊維で作製されてもよい。不織布ウェブは、セルロース繊維から作製されてもよい。
【0106】
合成繊維は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。より具体的には、合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー(例えば、テレフタレートシクロへキシレン-ジメチレンイソフタレートコポリマー)、エチレングリコールコポリマー(例えば、エチレンテレフタレートシクロへキシレン-ジメチレンコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシルエーテルエステル、ポリヒドロキシルエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。加えて、レーヨン、ポリエチレン、及びポリプロピレン繊維などの他の合成繊維は、本開示の範囲内で使用することができる。
【0107】
好ましくは、合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0108】
キャリアウェブは、スパンボンド繊維又はカード繊維を含んでもよい。キャリアウェブは、カードウェブ又はスパンボンドウェブであってもよい。
【0109】
天然繊維を含むウェブは、綿繊維、竹繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される天然繊維を含み得る。好ましくは、天然繊維を含むウェブは、綿繊維を含む。
【0110】
天然繊維を含むウェブは、ステープル繊維を含んでもよい。天然繊維は、ステープル繊維であってもよい。
【0111】
天然繊維を含むウェブは、綿繊維と、レーヨン繊維、パルプ繊維、及び熱融着性繊維などの天然繊維を含むウェブの総重量に対して、0重量%~10%、又は1重量%~8重量%、又は1重量%~5重量%の他の繊維で作製されてもよい。
【0112】
毛細管力は、天然繊維を含むウェブが厚さ方向の第1の層の中心に形成される場合、第1の層の側部から徐々に増加し得る。したがって、トップシートの第1の層は、天然繊維を含むウェブから第1の層の内側への改善された液体処理特性を示し、それにより、天然繊維を含むウェブが形成される側部は、乾いた感触を提供する。
【0113】
更に、天然繊維を含むウェブの一部がキャリアウェブに入っているため、天然繊維を含むウェブは、引張強度などの機械的強度が強化されており、したがって、トップシートの機械的強度を改善する。
【0114】
第1の層は、第1の層の総重量に対して少なくとも20重量%の天然繊維と、第1の層の総重量に対して80重量%以下の熱可塑性繊維などの合成繊維と、を含む不織布層であり得る。第1の層は、第1の層の総重量に対して少なくとも30重量%の天然繊維と、第1の層の総重量に対して70重量%以下の熱可塑性繊維などの合成繊維と、を含む。第1の層は、第1の層の総重量に対して少なくとも50重量%の天然繊維と、第1の層の総重量に対して70重量%以下の熱可塑性繊維などの合成繊維と、を含み得る。
【0115】
キャリアウェブは、スルーエアボンドプロセス、エアレイプロセス、カード処理プロセス、スパンボンドプロセス、又は不織布ウェブを形成する当該技術分野の他の既知のプロセスを介して形成され得る。例えば、スルーエアボンドプロセスを使用することによって、合成繊維の混合物は、カード処理機械を用いてキャリアウェブ内に形成され、所定の温度の熱風は、キャリアウェブを通して送風されて、繊維交絡部を融合させ得る。キャリアウェブは、ワイヤメッシュ無端ベルト上で搬送され得る。
【0116】
別途、天然繊維を含むウェブは、例えば、カード処理機械によって得られ得る。
【0117】
天然繊維を含んでいる得られたウェブは、キャリアウェブ上に重ね合わせられ得、ジェットノズルからの水ジェットは、天然繊維を含むウェブに向けられ得る。水ジェットがウェブに当たると、天然繊維とキャリアウェブの構成繊維との間に天然繊維を含むウェブ内で絡み合いが生じ得、したがって、スパンレース不織布を形成する。水ジェットはまた、キャリアウェブに向けられてもよく、又は両方のウェブに向けられてもよい。
【0118】
第2の層
トップシートは、第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、上記のように第1の層に対応する。
【0119】
トップシートは、上記のように第1の層と向かい合う関係にある第2の層を有する。
【0120】
第2の層は、天然繊維、合成繊維、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布又は不織布ウェブであってもよい。好ましくは、第2の層は、天然繊維を有していないか、又は第1の層よりも少なくとも10重量%少ない量の天然繊維などの、第1の層よりも少ない天然繊維を有する。第2の層は、10重量%以下、又は5重量%以下の天然繊維を有していなくてもよい。
【0121】
合成繊維及び天然繊維のリストは、トップシートについて上記に開示されたリストに対応する。
【0122】
トップシートとしての使用にとって好適な不織布材料のいくつかの例としては、限定されるものではないが、スパンボンドされた不織布、カード不織布、カードエアスルー不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチされた不織布、及び容易に変形できるように比較的特別な特性を有する不織布が挙げられ得る。
【0123】
不織布ウェブは、例えば、エアレイプロセス、湿式プロセス、メルトブロープロセス、スパンボンドプロセス、ニードルパンチプロセス及びカード処理プロセス等の多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブ中の繊維は、次いで、スパンレースプロセス、水流交絡、カレンダーボンド、スルーエアボンド、及びレジンボンドを介して結合され得る。
【0124】
好ましくは、合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
合成繊維は、単一成分繊維、2成分繊維などの多成分繊維、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0126】
好ましくは、天然繊維は、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、天然繊維は、綿繊維である。
【0127】
繊維は、任意の好適なデニール若しくはデニール範囲、及び/又は繊維長さ若しくは繊維長さ範囲を有し得る。
【0128】
第1の層及び第2の層の構造
第1の層は、第1表面及び第2の表面を有する。第2の層は、第1表面及び第2の表面を有する。
【0129】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第1の層の第1の表面は、物品の使用中に着用者の身体に向かって面し、第1の層の第2の表面は、吸収性物品のバックシートに向かって面している。
【0130】
第2の層の第1の表面は、第1の層の第2の表面と接触し得る。
【0131】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第2の層の第1の表面は、物品の使用中に着用者の身体に向かって面し、第2の層の第2の表面は、バックシートに向かって面している。
【0132】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第1の層は、着用者の身体に向かって面し、第2の層は、バックシートに向かって面している。
【0133】
第1の層は、複数の孔を有する。トップシートの第1の層内の孔は、特に第1の層が疎水性であるときに、初期の、かつ急速な流体流を可能にする重要な役割を果たす。したがって、疎水性であり得るトップシートの第1の層は、トップシートの着用者に面する表面上の湿潤を低減するために孔と協調して機能する。
【0134】
複数の孔は、第1の層上に均一に分布され得る。材料の安定性を確保するために、それらの特定の形状及びサイズにかかわらず、孔の大部分の間の最小距離は、好ましくは少なくとも0.5mm、より好ましくは1.5mmである。この距離は、トップシートの第1の層の第1の表面上で測定される。
【0135】
第2の層は、複数の孔を有する。第2の層は、第1の層の孔と少なくとも部分的に位置合わせされた複数の孔を有する。第1の層の孔は、第2の層の孔に対応する。第2の層の全ての孔は、第1の層の孔と位置合わせされ得る。
【0136】
第2の層の複数の孔は、第2の層上に均一に分布され得る。
【0137】
第1の層は、孔においてトップシートの第2の層を少なくとも部分的に貫通する。この特性は、以下に説明されるプロセスに従って容易化され得る。
【0138】
したがって、孔は、第1の層の表面から外向きに延在してもよい。孔は、第1の層の第2の表面から離れて外向きに延在してもよい。
【0139】
同様に、孔は、第2の層の表面から離れて外側に延在してもよい。孔は、第2の層の第2の表面から離れて外向きに延在してもよい。
【0140】
第1の層及び第2の層の孔は、孔が側壁を含むように、第1又は第2の層の表面から離れて外向きに延在する。
【0141】
一般に、スパンレース不織布を穿孔することは、当該材料を弱める。しかしながら、孔において(具体的には、孔の側壁において)トップシートの第2の層を少なくとも部分的に貫通する第1の層を有することによって、全体として第1の層上及びトップシート上に安定化効果を有する。この安定化効果は、天然繊維を含む第1の層の安定した三次元構成を更に容易にする。トップシートの皮膚接触層として相当量の(親水性)天然繊維を含む層を使用する場合、皮膚の乾燥性に悪影響を及ぼす傾向がある。三次元構成を付与することは、皮膚との接触を低減させる。しかしながら、第1の層の下にある(即ち、使用中に皮膚から離れて提供される)第2の層が突出部を有していない場合、第1の層と第2の層との間の接触が低減され、十分な一体性を得る上で問題が生じ、剥離のリスクが増大する。
【0142】
孔における第2の層内への第1の層の繊維の(部分的)貫入は、第1及び第2の層の剥離のリスクを低減することによって、トップシートの一体性を改善する。繊維貫入は、第1の層のみが突出部を有することにより第1の層と第2の層との間の接触面積が低減される場合であっても、第1の層と第2の層との積層体を安定化させる「アンカー点」を形成する。アンカー点はまた、繊維の毛羽立ちのリスクを低減する。
【0143】
第1の層の孔の側壁は、複数の孔内の第2の層の孔の側壁に達せずに終了し得る。したがって、孔の側壁の底部において、孔は、第2の層によってのみ形成され得る。
【0144】
孔は、形状が変化してもよい。例えば、第1の層の第1の表面から見たときの孔の形状は、円形、楕円形、矩形、又は多角形であってもよい。好ましくは、孔は、円形形状、楕円形形状、又は多角形形状を有する。
【0145】
孔の三次元形状は、円筒形(例えば、円形又は楕円形基部を有する)、角柱(例えば、多角形基部を有する)、切頭円錐又は角錐であってもよい。
【0146】
あまり好ましくないが、第1の層及び第2の層の複数の孔は、側壁を有していない単純な穴であってもよい。
【0147】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、孔は、トップシートから外向きに離れて、吸収性コアに向かって延在し得る。あるいは、あまり好ましくないが、孔は、吸収性コアから離れて(即ち、物品が使用中であるときに着用者の皮膚に向かって)延在してもよい。
【0148】
第1の層及び第2の層の孔の側壁の延在量は、第1の層の第1の表面を越えて少なくとも0.1mm、好ましくは第1の層の第1の表面を越えて少なくとも0.2mmであるべきである。第1の層及び第2の層の孔の側壁は、漏斗又はチャネルを形成し得る。
【0149】
孔は、第1の表面に近位の頂部、及び第2の表面に近位の底部を有する側壁を備え得る。
【0150】
用語「孔の頂部」は、第1の層の第1の表面に近位である孔の一部を意味する。
【0151】
用語「孔の底部」は、第1の層の第2の表面に近位、又は孔の底縁に近位である孔の一部を意味する。
【0152】
孔は、テーパ状になり、孔の直径が、孔の底縁の近位の開口部の直径よりも、第2の表面の近位でより大きいように、円錐形状とされることになる。
【0153】
孔を有するトップシートは、概して、再湿潤、即ち、液体がトップシート(吸収性コアなど)の下の構成要素からトップシート内に戻る、及びトップシートを通過するリスクが増大している。有孔疎水性トップシート(本発明に関して、第1層が疎水性である場合)に関して、再湿潤は、主に孔を通して生じる。孔のテーパ形状は、吸収性コアに向かう孔の直径が第1の層の孔の直径よりも小さいため、再湿潤を低減するために役立ち得る。更に、第1の層が疎水性である場合、疎水性の第1の層の孔の側壁は、第2の層の側壁(親水性であってもよい)に重なり、したがって、孔を通過して戻る液体のリスクを更に低減する。
【0154】
孔はまた、サイズが変化してもよい。より小さい孔は、より少ない再湿潤に寄与し得、一般に、着用者の皮膚に赤色の跡を生じ難くする傾向がある。したがって、孔は、4mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、又は2.5mm以下のサイズを有してもよい。孔のサイズは、0.5mm未満でなくてもよい。サイズは、孔が表面から離れて外向きに延在する表面と反対側の表面上で決定され、即ち、円錐形の孔について、より大きい孔の開口部が決定される。
【0155】
第1の層はまた、複数の突出部を含む。
【0156】
突出部の大部分は、第1のZ方向高さを有し得る。
【0157】
突出部の大部分は、第1の層の第1の表面上に位置し得る。突出部の大部分は、第1の層の第1の表面から外向きに延在し得る。
【0158】
あるいは、突出部は、第1の層の第2の表面から外向きに延在してもよい。この場合、突出部は、以下に説明されるように、「陥没部」と名付けられ得る。
【0159】
複数の突出部は、第1の層の第1の表面上で均一であり得る。突出部の大部分は、第1の層の完全な表面全体に提供されてもよく、又は第1の層の一部分のみに提供されてもよい。
【0160】
複数の孔は、突出部の間に位置する。
【0161】
複数の突出部は、第1の層に三次元形状を付与する。
【0162】
突出部の大部分は、中空であり得る。第1の層の第1の表面から見るとき、突出部の大部分は、第1の層のランド領域から同一方向に突出し得る。
【0163】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、物品が使用中であるときに、着用者の皮膚に向かって吸収性物品の吸収性コアから離れて突出し得る。
【0164】
あるいは、あまり好ましくないが、本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、吸収性物品の吸収性コアに向かって突出してもよい。
【0165】
断面図から、即ち、Z方向から見た際、突出部の大部分は、任意の好適な形状を有し得、当該形状としては円筒形、球根形状、円錐形状及びキノコ形状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
上方から見た際、突出部の大部分は、円形状、ダイヤモンド形状、丸められたダイヤモンド形状、アメリカンフットボール形状、卵形状、クローバー形状、三角形状、涙滴形状、及び楕円形状の突出部が挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な形状を有し得る。好ましくは、突出部の大部分は、ドーム形状を有する。
【0167】
突出部の大部分は、一体となって1つ以上のグラフィックスを形成してもよい。グラフィックスを有することにより、介護人に対して、吸収性物品が液状排泄物を多く吸収可能であるという認識を与えやすくすることができる。
【0168】
更に、突出部の大部分は、一体となってロゴ、例えば、Pampers Heartロゴなどの、1つ以上のグラフィックスを形成してもよい。
【0169】
第1の層の第1の表面から外向きに延在する突出部の大部分は、トップシートの第1の層の総面積の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、ただし95%以下を表し得る。
【0170】
突出部の大部分は、約300μm~約6000μm、好ましくは約500μm~約5000μm、より好ましくは約750μm~約3000μmの範囲でZ方向高さを有し得る。
【0171】
図1を参照すると、トップシートは、三次元の第1の層1及び突出部を有していない第2の層2を含み得る。第1の層は、第1の表面3及び第2の表面4を含み得る。第2の層は、第1の表面10及び第2の表面11を含み得る。
【0172】
第2の層2の第1の表面10は、第1の層1の第2の表面4と接触し得る。
【0173】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第2の層2の第1の表面10は、物品の使用中に着用者の身体に向かって面し、第2の層2の第2の表面11は、バックシートに向かって面している。
【0174】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第1の層1は、物品の使用中に着用者の身体に向かって面し、第2の層2は、バックシートに向かって面している。
【0175】
第2の層2は、複数の孔5を有する。第1の層1は、複数の孔5を有する。
【0176】
孔は、第1の層1の第1の表面3に近位の頂部6、及び第1の層1の第2の表面4に近位の底部7を有する側壁を備え得る。
【0177】
第2の層2は、第1の層1の孔5と少なくとも部分的に、又は完全に位置合わせされた複数の孔5を有する。第1の層1及び第2の層2の孔5は、同じであり得る。第2の層2の複数の孔5は、少なくとも部分的に、第1の層1の孔5と同じ幅及び/又は長さを有し得る。
【0178】
第1の層1内の孔の側壁は、第2の層2内の孔の側壁よりも短くてもよい。したがって、孔5の底部において、孔5は、第2の層2によってのみ形成され得る。
【0179】
第1の層は、孔5の大部分の間又は全ての間にランド領域8を含み得る。ランド領域8は、実質的に平坦な領域であり得る。好ましくは、ランド領域8は、平坦な領域である。
【0180】
ランド領域8は、孔5を完全に取り囲み得る。ランド領域は、第1の層を通る略連続グリッドを一緒に形成し得、一方で孔5は、第1の層全体にわたる別個の要素であり得る。
【0181】
第1の層1はまた、複数の突出部9を有し得る。
【0182】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、トップシート24の第1の層1のランド領域8から突出して、ランド領域8から基部16及び対向する遠位部分17を形成し得る。突出部9の対向する遠位部分は、突出部9の基部から離間されている頂部ピークを形成する遠位端まで延在し得る。突出部の大部分の基部、又は突出部9の全ては、円形突出部の外周が円周であるように画定され得、各突出部は、第1の層1のランド領域8から外向きに突出し始める。
【0183】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、第1のZ方向高さを有し得る。
【0184】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、第1の層1の第1の表面3上に位置し得る。突出部の大部分、又は突出部9の全ては、第1の層1の第1の表面3から外向きに延在し得る。あるいは、突出部9は、第1の層1の第2の表面4から外向きに延在してもよい。この場合、突出部9は、以下に説明されるように、「陥没部」と名付けられ得る。
【0185】
複数の突出部9は、第1の層1の第1の表面3上に均一に分布され得る。突出部の大部分、又は突出部9の全ては、第1の層1の完全な表面全体に提供されてもよく、又は第1の層1の一部分のみに提供されてもよい。
【0186】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、複数のランド領域8及び/又は複数の孔5によって取り囲まれ得る。複数の孔5は、突出部の大部分、又は突出部9の全ての間に位置する。
【0187】
複数の突出部9は、三次元形状を第1の層1に付与する。複数のランド領域8、複数の孔5、及び複数の突出部9は、トップシート24の第1の層1の第1の表面3上に三次元表面を形成し得る。
【0188】
あるいは、複数のランド領域8、複数の孔5、及び複数の突出部9は、トップシート24の第1の層1の第2の表面4上に三次元表面を形成し得る。
【0189】
複数のランド領域8、複数の孔及び複数の突出部は、トップシート24の第1の層1に三次元形状を付与し得る。
【0190】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、中空であり得る。第1の層1の第1の表面3から見るとき、突出部の大部分、又は突出部9の全ては、第1の層1のランド領域8から同一方向に突出し得る。
【0191】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、吸収性物品の吸収性コアから離れるように突出し得る。
【0192】
あるいは、あまり好ましくないが、本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、吸収性物品の吸収性コアに向かって突出してもよい。
【0193】
2つ以上の隣接する突出部9は、縦方向中心線に略垂直の方向における、又は第1の層1の縦方向中心線に略平行な方向における、1つ以上のランド領域8及び/又は1つ以上の孔5によって分離され得る。第1の層の縦方向中心線は、トップシートが吸収性物品中に組み込まれるとき、吸収性物品の縦方向中心線に対応する。
【0194】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、繊維を全く含まないか又はほとんど含まない突出部の一部分である内側空隙容積14を含み得る。空隙容積14は、トップシートの通気性を改善し得る。突出部9の大部分は、体液を受容するための空隙容積を提供し得る。
【0195】
本明細書に説明されるトップシート24が吸収性物品に組み込まれるとき、トップシートは、分配層などの下層と密接に接触し得る。下層は、圧密されていない乾式繊維構造体の乾式繊維又は湿式繊維構造体で作製され得る。突出部9の空隙容積14は、その中に糞便が吸収されて捕捉されることを可能にし得る。
【0196】
突出部の大部分、又は突出部9の全ては、基部16の内側部分の2つの側壁から測定される開口部を形成する基部16の突出部基部幅WBによって画定され得る。突出部9の大部分は、遠位部分17が実質的に円形形状であるときに、内側突出部の2つの側壁の間を測定した最大内部幅であるか、又は内側突出部の側壁の最大直径である、内側空隙容積14の幅WDによって画定され得る。反対側の遠位部分17の空隙容積14の最大内幅WDは、突出部9の基部16の突出部基部幅WBより大きくてもよい。突出部9の大部分の基部16の突出部基部幅WBは、0.5mm~15mm、又は0.5mm~10mm、又は0.5mm~5mm、又は0.5mm~3mmの範囲であり得る。基部16の突出部基部幅WB及び遠位部分17の幅WDの寸法の測定は、顕微鏡写真上でなされ得る。
【0197】
トップシートのこの三次元の第1の層は、トップシートにより優れた柔軟性を提供する。また、突出部が、着用者の皮膚と体液との間に空間を本質的に生じるため、着用者の皮膚をランド領域内の体液から離して維持することにも役立つ。
【0198】
第2の層2は、孔5の大部分の間にランド領域12を含み得る。第1の層1のランド領域8は、第2の層2のランド領域12と位置合わせされ得る。
【0199】
第1の層1のランド領域8及び第2の層2のランド領域12は、第1の層1及び第2の層2の孔5を完全に取り囲み得る。
【0200】
第1の層1のランド領域8及び第2の層2のランド領域12は、実質的に平坦な領域であり得る。好ましくは、第1の層1のランド領域8及び第2の層2のランド領域12は、平坦な領域である。
【0201】
第2の層2は、突出部を有していなくてもよい。第1の層の突出部と一致する第1の層の領域は、実質的に平坦であってもよく、又は平坦であってもよい。第1の層と組み合わせられると、中空空間は、第1の層の突出部と第2の層との間のトップシートの内側に形成される。
【0202】
第1の層1及び第2の層2は、互いに接触してもよく、第1の層1の突出部の大部分、又は突出部9の全ての間で互いに接合されてもよい。第1の層及び第2の層は、互いに接触し得、ランド領域(8、12)及び/又は孔5で互いに接合され得る。
【0203】
第1の層及び第2の層は、突出部領域内で接触していなくてもよい。
【0204】
第1の層及び第2の層は、機械的結合、接着剤結合、圧力結合、熱結合、両層に加熱気体を通過させること、又は当該技術分野で既知のとおり接合してトップシートを形成する他の方法により、一緒に接合されるか、又は互いに取り付けられてもよい。
【0205】
特に、第1の層が比較的多量の天然繊維を含むとき、熱を使用して第1及び第2の層を互いに結合することは困難であり得る。天然繊維が熱に曝される際に粘着性にならないか、又は溶融しないため、第1の層は、第2の層に適切かつ永続的に結合しない場合がある。好ましくは、第1の層は、ホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に付着される。
【0206】
結合領域は、ランド領域(8、12)及び/又は孔5にあり得る。
【0207】
第1の層が、ホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に取り付けられるとき、第1の層と第2の層との間の剥離力は、本明細書に以下に説明される剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超、好ましくは0.50N/(50.8mm)超、より好ましくは1.00N/(50.8mm)超であり得る。
【0208】
上述のトップシートが吸収性物品に使用され、剥離力が十分に高くない場合、特に、物品が湿っているとき、吸収性物品の着用者の動きによって第1の層が第2の層から外され得るリスクがある。これは、使用中の一体性の問題を生じさせ得る。したがって、トップシートの第1の層と第2の層との間の増大した剥離力を有することは、使用条件中にトップシートに一体性を維持させることを可能にする。
【0209】
第1の層及び第2の層は、らせん状、スロットコーティング、又はスプレーの形態で塗布されたホットメルト接着剤で互いに取り付けられ得る。ホットメルト接着剤の坪量は、少なくとも1g/m、好ましくは少なくとも5g/m、より好ましくは少なくとも7g/mであり得る。
【0210】
接着剤は、第2の層を第1の層と接合する前に、第2の層上に適用され得る。ホットメルト接着剤は、ランド領域のみに適用されなくてもよい。その代わりに、接着剤はまた、第1の層の突出部と一致する領域内の第2の層上に適用されてもよい。第2の層が、第1の層の突出部と一致する領域で平坦である場合、空隙容積が、第2の層と第1の層の突出部との間に形成される。
【0211】
ホットメルト接着剤などの接着剤を、第1の層の突出部と一致する第2の層の平坦な領域にも適用する場合、接着剤が、吸収性物品の使用中及び物品の保管中に典型的に生じる温度(そのような温度は、最大40℃であり得る)で十分に固化し非粘着性であるように、接着剤を選択することが重要である。そうでなければ、吸収性物品が圧縮されると、突出部が第2の層に結合して突出部を損なうリスクがある。吸収性物品及びトップシートの圧縮は、多くの場合、おむつが、製造後、消費者による開封前の包装内で圧縮されるとき、及び着用者が使用中に圧力を付与するとき(例えば、座るとき)に生じることになる。
【0212】
ホットメルト接着剤などの接着剤は、保管及び使用条件において十分に非粘着性であると同時に、使用中の剥離のリスクを低減又は回避するために第1及び第2の層の間に強力な結合を提供しなければならない。
【0213】
更に、ホットメルト接着剤は、孔を介して吸収性物品の着用者の皮膚と接触し得、これは皮膚に問題を生じさせ得る。
【0214】
したがって、これらの問題に対処するために、ホットメルト接着剤は、ASTM E28-99試験方法に従って、60℃超、好ましくは80℃超、より好ましくは90℃超の軟化点を有し得る。更に、ホットメルト接着剤は、0℃及び40℃の範囲で0.3×10Paより高い貯蔵弾性率(G’)を有し得る。より好ましくは、ホットメルト接着剤は、0℃~50℃、又は0℃~60℃、又は0℃~70℃、又は0℃~80℃、又は0℃~90℃、更により好ましくは0℃~100℃の範囲で0.3×10Paよりも高い貯蔵弾性率(G’)を有し得る。
【0215】
他の例では、ホットメルト接着剤は、0℃~50℃の範囲、好ましくは0℃~75℃の範囲、より好ましくは0℃~100℃の範囲で、1.0×10Paよりも高い貯蔵弾性率(G’)を有し得る。ホットメルト接着剤は、25℃で2.0×10Pa未満である貯蔵弾性率(G’)を有してもよい。
【0216】
ホットメルト接着剤が60℃の温度未満で軟化する場合、ホットメルト接着剤は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち、1.013×10Pa)、又は吸収性物品の使用中の体温(37℃)で粘着性になることになる。
【0217】
ホットメルト接着剤は、親水性であり得る。親水性ホットメルト接着剤は、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、及びこれらの組み合わせ又は当該技術分野において既知の他のホットメルト接着剤からなる群から選択され得る。
【0218】
第1の層及び第2の層を付着させる親水性ホットメルト接着剤を有することは、液体流出量を低くすることに役立ち得る。したがって、本発明のトップシートが吸収性物品に使用されるとき、吸収性物品の後方腰部領域上又は前方腰部領域上での漏れのリスクが低減される。
【0219】
ホットメルト接着剤が第1の層及び/又は第2の層のランド領域に塗布されるとき、ホットメルト接着剤はまた、孔の頂部及び/又は側壁に到達し得る。
【0220】
接着剤を使用することに加えて、又はそれに代えて、第1の層は、エンボス加工又はピン結合によって、結合領域内で第2の層に取り付けられてもよい。用語「エンボス加工」は、例えば、熱又は圧力によって、第1の層と第2の層との間に結合点を作り出すことを意味する。
【0221】
総エンボス加工/結合領域は、トップシートの1%~20%であるものとして画定され得る。これは、材料の柔軟性に影響を与えないことを可能にする。
【0222】
結合領域は、ランド領域(8、12)及び/又は孔5にあり得る。
【0223】
第1の層が、エンボス加工によって結合領域内で第2の層に取り付けられるとき、第1の層と第2の層との間の剥離力は、剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超、好ましくは0.50N/(50.8mm)超、より好ましくは1.00N/(50.8mm)超であり得る。
【0224】
上記のトップシートが吸収性物品に使用され、剥離力が十分に高くない場合、吸収性物品の着用者の動きによって第1の層が第2の層から外され得るリスクがある。これは、使用中の一体性の問題を生じさせ得る。したがって、トップシートの第1の層と第2の層との間の増大した剥離力を有することは、使用条件中にトップシートに一体性を維持させることを可能にする。
【0225】
図2を参照すると、第1の層1はまた、第1の層にのみ設けられ、第2の層には設けられていない複数の孔18を含み得る。あるいは、第1の層は、第2の層内の孔と位置合わせされ、第1の層が孔において第2の層を少なくとも部分的に貫通する、孔のみを含んでもよい。第1の層が、第2の層内の孔と位置合わせされていない孔を含む場合、そのような孔の寸法は、第2の層内の孔と位置合わせされる孔よりも小さくてもよい。
【0226】
孔18は、第1の層1の第1の表面3に沿って均一に分布され得る。
【0227】
第1の層のみに提供される複数の孔18は、親水性であり得る。親水性処理が、これらの孔18の大部分に適用され得る。親水性処理は、第2の層内の孔と位置合わせされた孔に適用され得る、上記と同じ親水性処理に対応し得る。第1の層にのみ提供される孔18の幅は、孔寸法試験方法に従って、1mm未満、好ましくは0.5mm未満であり得る。
【0228】
あるいは、第1の層のみに提供される孔18は、疎水性であってもよい。そのような場合、これらの孔18の幅は、孔寸法試験方法に従って、1mmよりも大きくてもよく、好ましくは1.5mmよりも大きくてもよい。
【0229】
第1の層のみに提供される複数の孔18、及び第2の層の孔と位置合わせされている孔を有するトップシートの第1の層を有することは、トップシートの第1の層を通して体液がより良好に吸収されることを可能にする。
【0230】
更に、第1の層の機械的強度が維持され得る。実際に、パターン化プロセス中にトップシートの第1の層に加えられる応力は、最初に、第1の層内のみにある孔に影響を及ぼし、不織布ウェブの繊維の絡み合いに影響を及ぼさない。トップシートの第1の層は、その強度をより大幅に維持し、パターン化プロセス中に第1の層からの短繊維の毛羽立ちを低減し得る。
【0231】
第1の層内のみにある複数の孔は、第2の層内の孔と位置合わせされる複数の孔が形成される前に、第1の層内に形成され得る。したがって、第1の層は、第1の層内に孔を形成することによって予備穿孔され得る。孔は、親水性又は疎水性であってもよい。予備穿孔された第1の層は、次いで、以下に開示されるプロセスに進んで、第2の層内の孔と位置合わせされる複数の孔を形成し得る。
【0232】
第1の層内のみにある複数の孔は、以下に開示される同じプロセスを介して形成されて、複数の孔を形成してもよい。
【0233】
図3によると、トップシート24の第1の層1は、第1の層1の第1の表面3から外向きに突出する複数の突出部9、又は第1の層1の第2の表面4から外向きに突出する複数の陥没部13を含み得る。
【0234】
あるいは、第1の層1は、第1の層1の第1の表面3から外向きに突出する複数の突出部9、及び第1の層1の第2の表面4から外向きに突出する複数の陥没部13を含み得る。
【0235】
本発明のトップシート24は、第2の層を含む。トップシートの第2の層は、この図では表されない。
【0236】
用語「陥没部」は、トップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、着用者の皮膚から離れて突出するトップシートの突出部に対応する。
【0237】
第1の層1は、複数の突出部9、複数の孔5、複数の陥没部13、及び複数のランド領域8を含み得る。
【0238】
複数のランド領域8、複数の陥没部13、複数の孔5及び複数の突出部9は、第1の層1の第1の側部3上に三次元表面を一緒に形成し得る。
【0239】
あるいは、第1の層は、複数の陥没部13、複数の孔5、及び複数のランド領域8を含み得る。複数のランド領域8、複数の陥没部13及び複数の孔5は、第1の層1の第2の側部4上に三次元表面を一緒に形成し得る。
【0240】
複数の陥没部13は、1つ以上のランド領域8、1つ以上の孔、及び/又は1つ以上の突出部9によって分離され得る。
【0241】
第1の層の孔5は、第1の層1の陥没部13の大部分の間、及び/又は第1の層1の陥没部13の大部分内に位置し得る。あるいは、いくつかの陥没部13は、その中に孔5を有していなくてもよい。
【0242】
陥没部13の大部分は、その中に、ランド領域8から最遠位の場所に孔5を画定し得る。
【0243】
ランド領域8は、隣接する突出部9、隣接する陥没部13及び/又は隣接する孔5の中間に位置付けられ得る。
【0244】
ランド領域8は、トップシート24の第1の層1を通る略連続グリッドを形成し得るが、突出部9、孔及び/又は陥没部は、トップシート24の第1の層1の全体にわたる別個の要素であり得る。
【0245】
陥没部の大部分は、約200μm~約3000μm、好ましくは約300μm~約2000μm、より好ましくは約500μm~約1500μm、更により好ましくは約700μm~約1000μmの範囲でZ方向高さを有し得る。
【0246】
突出部9のZ方向高さは、陥没部13のZ方向高さと等しいか又はそれより高くてもよい。
【0247】
第1層の疎水性/親水性
第1の層は、疎水性であってもよい。第2の層は、親水性であってもよい。
【0248】
孔間の第1の層の第1の表面上の接触角は、本明細書に以下に説明される接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0249】
孔間の第2の層の第2の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。
【0250】
孔間の第1の層の第1の表面間の接触角と、孔間の第2の層の第2の表面上の接触角との差は、少なくとも10°、又は少なくとも20°であり得る。
【0251】
第1の層1及び第2の層2の孔5の幅は、本明細書に以下に説明される孔寸法試験方法に従って、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、更により好ましくは少なくとも2mmであり得る。
【0252】
あるいは、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。この幅を有するこれらの孔によると、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分は、親水性であり得る。
【0253】
親水性処理が、孔5に適用され得る。親水性処理は、BASFのPluronic(登録商標)界面活性剤、BASFのTetronic(登録商標)界面活性剤、及びこれらの組み合わせなどの親水性界面活性剤であってもよい。
【0254】
第1の層1及び第2の層2の孔5は、親水性処理、即ち、親水性界面活性剤を含み得る。
【0255】
親水性処理は、穿孔ピンプロセス中に、又は印刷プロセスを介して、又はトップシートの2つの層の間の親水性ホットメルト接着剤を介して、孔の大部分に適用され得る。
【0256】
第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも20%が親水性であってもよく、好ましくは第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも30%が親水性であってもよく、より好ましくは第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも50%が親水性であってもよい。更により好ましくは、第1の層及び第2の層の全孔の100%が、親水性である。
【0257】
孔の大部分、又は孔の全てにおける接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。具体的には、孔の大部分の頂部及び底部上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。
【0258】
別の側部上では、第1の層は、疎水性であってもよい。第2の層は、疎水性であってもよい。
【0259】
疎水性処理が、第2の層に適用されてもよい。疎水性処理は、第1の層について上記に開示された疎水性処理のリストにおいて選択されてもよい。第2の層は、疎水性界面活性剤を含んでもよい。
【0260】
疎水性処理は、当該技術分野において既知の、キスロールコーティング、スプレー、グラビア印刷、スロットコーティング、及び他の適用プロセスを介して適用され得る。
【0261】
孔の大部分の間の第1の層の第1の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0262】
孔の大部分の間の第2の層の第2の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0263】
第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、更により好ましくは少なくとも2mmであり得る。
【0264】
あるいは、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。この幅を有する孔によると、孔の大部分は、上記のように親水性であり得る。
【0265】
あるいは、第1の層は、親水性であってもよい。第2の層は、親水性又は疎水性であってもよい。
【0266】
孔の大部分の間の第1の層の第1の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。孔の大部分の間の第1の層の第2の表面上の接触角は、孔寸法試験方法に従って70°以下であり得る。
【0267】
孔の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。
【0268】
したがって、上記のトップシートは、吸収性物品の着用者に面する表面上への再湿潤の低減、及びより良好な液体捕捉などの改善された流体処理特性を提供する。
【0269】
トップシートのパラメータ
第1の層は、引張強度試験方法に従って少なくとも3N/(5cm)の最小CD強度を有する。好ましくは、第1の層は、引張強度試験方法に従って5N/(5cm)の最小CD強度を有する。より好ましくは、第1の層は、引張強度試験方法に従って8N/(5cm)の最小CD強度を有する。
【0270】
本発明のトップシートによると、トップシートの構造強度及び機械的強度が増大する。パターン化プロセス中、上記のトップシートは、損傷せず、天然繊維及び/又は合成繊維の毛羽立ちを生じない。吸収性物品の着用者の皮膚上の刺激及び発疹を有するリスクが減少する。
【0271】
本発明のトップシートは、流出量試験方法に従って40%未満の流出量を有する。好ましくは、トップシートは、流出量試験方法に従って20%未満の流出量を有する。より好ましくは、トップシートは、流出量試験方法に従って15%未満の流出量を有する。
【0272】
流出量試験方法は、吸収性物品の着用者が尿又は糞便などの体液を吸収性物品のトップシート上に排出するときの使用条件を再現する。流出量が多いとき、それは、排出された体液がトップシートによって吸収されず、例えば、吸収性物品の後方腰部領域上又は吸収性物品の前方腰部領域上に漏れを生じさせることを意味する。
【0273】
本発明のトップシートによると、体液の流出量が少なく、したがって、本発明のトップシートが吸収性物品に使用されるとき、吸収性物品の後方腰部領域上又は前方腰部領域上の漏れのリスクが低減される。
【0274】
三次元トップシート
図4を参照すると、トップシート24は、上記のような第1の層1と、向かい合う関係の上記のような第2の層2と、を含む積層体であり得る。言い換えると、第1の層1及び第2の層2は、積層体を形成するように接合される。
【0275】
第1の層1は、第1の表面3及び第2の表面4を有し得る。第2の層2は、第1の表面10及び第2の表面11を有し得る。
【0276】
第1の層1及び第2の層2は、第1の層1の第2の表面4が第2の層2の第1の表面10と接触するように、向かい合う関係で位置合わせされる。
【0277】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、第1の層1は、着用者の身体に向かって面し、第2の層2は、バックシートに向かって面している。
【0278】
第1の層1及び第2の層は、同時に機械的に変形され、一緒に組み合わせられて、突出部を有するトップシートを提供し得る。これは、第1の層1及び第2の層2の両方が、同時に機械的に変形及び一緒に組み合わせられ得ることを意味する。
【0279】
第1の層1は、複数の突出部9を含む。第2の層は、複数の突出部9を含み得る。
【0280】
第1の層の複数の突出部9は、第2の層2の複数の孔9と少なくとも部分的に位置合わせされ得るか、又は完全に位置合わせされ得る。第1の層1及び第2の層2の突出部9は、同じであり得る。
【0281】
突出部9は、第1の層1の繊維から形成され、トップシート24の第2の層2からも少なくとも部分的に形成され得る。
【0282】
第2の層が突出部を同様に含む場合、複数の突出部9は、第2の層2に三次元形状を付与する。同時に、複数の突出部9は、第1の層1に三次元形状を付与する。トップシート24は、三次元トップシートであり得る。
【0283】
図4に示されるように、突出部9の大部分は、開口部を形成し、突出部基部幅を有する基部16と、反対側の遠位部分17と、突出部9の大部分の基部16と反対側の遠位部分17との間の1つ以上の側壁15と、を備え得る。基部16、遠位部分17、及び1つ以上の側壁15は、突出部9の大部分が基部16に開口部のみを有するように、繊維によって形成され得る。
【0284】
第1の層1の第1の表面3から外向きに延在する突出部9の大部分は、トップシート24の第1の層1の総面積の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、ただし95%以下を表し得る。
【0285】
第2の層2は、複数の孔5を有する。第1の層1は、複数の孔5を有する。孔5は、頂部及び底部を有し得る。
【0286】
第2の層2は、第1の層1の孔5と少なくとも部分的に位置合わせされた複数の孔5を有する。第1の層1及び第2の層2の孔5は、同じであり得る。第2の層2の複数の孔5は、第1の層1の孔5と同じ幅及び/又は長さを有し得る。
【0287】
第1の層1は、複数の孔5内の第2の層2よりも短くてもよい。したがって、孔5の底部において、孔5は、第2の層2によってのみ形成され得る。
【0288】
第1の層1は、実質的に平坦な領域であり得るランド領域8を含み得る。好ましくは、ランド領域8は、平坦な領域である。第2の層2は、実質的に平坦な領域であり得るランド領域12を含み得る。好ましくは、ランド領域12は、平坦な領域である。第1の層1のランド領域8は、第2の層2のランド領域12と位置合わせされ得る。第2の層はまた、第1の層の突出部と位置合わせされる平坦ランド領域を有し得る。
【0289】
突出部9の大部分は、第1の層1のランド領域8から、かつ第2の層2のランド領域12から突出し得る。
【0290】
突出部9の大部分は、複数のランド領域(8、12)によって、及び/又は複数の孔5によって、取り囲まれ得る。
【0291】
複数の突出部9は、第1の層1の第1の表面3に沿って均一に分布され得る。
【0292】
突出部9の大部分は、中空であり得る。第1の層1の第1の表面3から見るとき、突起9の大部分は、第1の層1のランド領域8から同一方向に突出し得る。
【0293】
本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、吸収性物品の吸収性コアから離れるように突出し得る。
【0294】
あるいは、本明細書に説明されるトップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、複数の突出部は、吸収性物品の吸収性コアに向かって突出してもよい。
【0295】
断面図から、即ち、Z方向から見た際、突出部9の大部分は、任意の好適な形状を有し得、円筒形、球根形状、円錐形状及びキノコ形状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】
上方から見た際、突出部9の大部分は、円形状、ダイヤモンド形状、ラウンド型のダイヤモンド形状、アメリカンフットボール形状、卵形状、クローバー形状、三角形状、涙滴形状、及び楕円形状の突出部を含むが、これらに限定されない、任意の好適な形状を有し得る。好ましくは、突出部の大部分は、ドーム形状を有する。
【0297】
突出部9の大部分は、一体となって1つ以上のグラフィックスを形成してもよい。グラフィックスを有することにより、介護人に対して、吸収性物品が液状排泄物を多く吸収可能であるという認識を与えやすくすることができる。
【0298】
更に、突出部9の大部分は、一体となってロゴ、例えば、Pampers Heartロゴなどの、1つ以上のグラフィックスを形成してもよい。
【0299】
突出部9の大部分は、第1の層1及び第2の層2が一致して一緒に嵌まるなどの、第1の層1を第2の層2と係合させることから作製され得る。
【0300】
第1の層及び第2の層は、機械的結合、接着剤結合、圧力結合、熱結合、両層に加熱気体を通過させること、又は当該技術分野で既知のような接合してトップシートを形成する他の方法により、一緒に接合されるか、又は互いに取り付けられてもよい。
【0301】
好ましくは、第1の層は、上記のようにホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に付着される。
【0302】
結合領域は、ランド領域(8、12)及び/又は孔5にあり得る。
【0303】
第1の層が、ホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に取り付けられるとき、第1の層と第2の層との間の剥離力は、剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超、好ましくは0.50N/(50.8mm)超、より好ましくは1.00N/(50.8mm)超であり得る。
【0304】
第1の層は、エンボス加工又はピン結合によって、結合領域内で第2の層に取り付けられてもよい。用語「エンボス加工」は、例えば、熱又は圧力によって、第1の層と第2の層との間に結合点を作り出すことを意味する。
【0305】
総エンボス加工/結合領域は、トップシートの1%~20%であると画定され得る。これは、材料の柔軟性に影響を与えないことを可能にする。
【0306】
結合領域は、ランド領域(8、12)及び/又は孔5にあり得る。
【0307】
第1の層が、エンボス加工によって結合領域内で第2の層に取り付けられるとき、第1の層と第2の層との間の剥離力は、剥離力試験方法に従って、0.25N/(50.8mm)超、好ましくは0.50N/(50.8mm)超、より好ましくは1.00N/(50.8mm)超であり得る。
【0308】
上記のトップシートが吸収性物品に使用され、剥離力が十分に高くない場合、吸収性物品の着用者の動きによって第1の層が第2の層から外され得るリスクがある。これは、使用中の一体性の問題を生じさせ得る。したがって、トップシートの第1の層と第2の層との間の増大した剥離力を有することは、使用条件中にトップシートに一体性を維持させることを可能にする。
【0309】
突出部9の大部分は、繊維を全く含まないか又はほとんど含まない突出部の一部分である内側空隙容積14を含み得る。空隙容積14は、トップシートの通気性を改善し得る。突出部9の大部分は、体液を受容するための空隙容積を提供し得る。
【0310】
本明細書に説明されるトップシート24が吸収性物品に組み込まれるとき、トップシートは、分配層などの下層と密接に接触し得る。下層は、圧密されていない乾式繊維構造体の乾式繊維又は湿式繊維構造体で作製され得る。突出部9の空隙容積14は、その中に糞便が吸収されて捕捉されることを可能にし得る。
【0311】
突出部9の大部分は、基部16の内側部分の2つの側壁から測定される開口部を形成する基部16の突出部基部幅WBによって画定され得る。突出部9の大部分は、遠位部分17が実質的に円形形状であるときに、内側突出部の2つの側壁の間を測定した最大内部幅であるか、又は内側突出部の側壁の最大直径である、内側空隙容積14の幅WDによって画定され得る。反対側の遠位部分17の空隙容積14の最大内幅WDは、突出部9の基部16の突出部基部幅WBより大きくてもよい。突出部9の大部分の基部16の突出部基部幅WBは、0.5mm~15mm、又は0.5mm~10mm、又は0.5mm~5mm、又は0.5mm~3mmの範囲であり得る。基部16の突出部基部幅WB及び遠位部分17の幅WDの寸法の測定は、顕微鏡写真上でなされ得る。
【0312】
第1の層1及び第2の層2は、第1の層1の第1の表面3から外向きに突出する複数の突出部9、又は第2の層2の第2の表面11から外向きに突出する複数の陥没部を含み得る。
【0313】
あるいは、第1の層1及び第2の層2は、第1の層1の第1の表面3から外向きに突出する複数の突出部9、及び第2の層2の第2の表面11から外向きに突出する複数の陥没部を含み得る。
【0314】
用語「陥没部」は、トップシートが吸収性物品に組み込まれるとき、着用者の皮膚から離れて突出するトップシートの突出部に対応する。
【0315】
第1の層1及び第2の層2は、複数の陥没部、複数の孔5、複数の突出9、及び複数のランド領域(8、12)を含み得る。
【0316】
あるいは、第1の層1及び第2の層2は、複数の陥没部、複数の孔5、及び複数のランド領域(8、12)を含み得る。
【0317】
孔5は、陥没部の大部分の間、及び/又は陥没部の大部分内に位置し得る。いくつかの陥没部は、その中に孔5を有していなくてもよい。
【0318】
陥没部の大部分は、その中に、ランド領域(8、12)から最遠位の場所に孔5を画定し得る。
【0319】
ランド領域(8、12)は、隣接する突出部9、隣接する陥没部及び/又は隣接する孔5の中間に位置付けられ得る。
【0320】
複数の陥没部は、1つ以上のランド領域(8、12)、1つ以上の孔、及び/又は1つ以上の突出部9によって分離され得る。
【0321】
第1の層の複数の陥没部は、第2の層の複数の陥没部と位置合わせされ得る。第1の層及び第2の層の複数の陥没部は、同じであり得る。
【0322】
第1の層及び第2の層は、陥没部において互いに接触し得る。
【0323】
陥没部の大部分は、約200μm~約3000μm、好ましくは約300μm~約2000μm、より好ましくは約500μm~約1500μm、更により好ましくは約700μm~約1000μmの範囲内のZ方向高さを有し得る。
【0324】
突出部9のZ方向高さは、陥没部のZ方向高さ以上であり得る。
【0325】
一方側では、第1の層は、疎水性であってもよい。第2の層は、親水性であってもよい。
【0326】
孔の大部分の間の第1の層の第1の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0327】
孔の大部分の間の第2の層の第2の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。
【0328】
第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、更により好ましくは少なくとも2mmであり得る。
【0329】
あるいは、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。この幅を有するこれらの孔によると、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分は、親水性であり得る。
【0330】
親水性処理が、孔5の大部分に適用され得る。親水性処理は、BASFのPluronic(登録商標)界面活性剤、BASFのTetronic(登録商標)界面活性剤、及びこれらの組み合わせなどの親水性界面活性剤であってもよい。
【0331】
第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分は、親水性界面活性剤を含み得る。
【0332】
親水性処理は、上記に説明されたような穿孔ピンプロセスを介して、又は印刷プロセスを介して、又はトップシートの2つの層の間の親水性ホットメルト接着剤を介して、孔の大部分に適用され得る。
【0333】
第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも40%が、親水性であってもよく、好ましくは第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも50%が、親水性であってもよく、より好ましくは、第1の層及び第2の層の全孔の少なくとも60%が、親水性であってもよい。更により好ましくは、第1の層及び第2の層の全孔の100%が、親水性である。
【0334】
孔の大部分上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。具体的には、孔の大部分の頂部及び底部上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。
【0335】
別の側部上では、第1の層は、疎水性であってもよい。第2の層は、疎水性であってもよい。
【0336】
疎水性処理が、第2の層に適用されてもよい。疎水性処理は、第1の層について上記に開示された疎水性処理のリストにおいて選択されてもよい。第2の層は、疎水性界面活性剤を含んでもよい。
【0337】
疎水性処理は、当該技術分野において既知の、キスロールコーティング、スプレー、グラビア印刷、スロットコーティング、及び他の適用プロセスを介して適用され得る。
【0338】
孔の大部分の間の第1の層の第1の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0339】
孔の大部分の間の第2の層の第2の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°超であり得る。
【0340】
第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、更により好ましくは少なくとも2mmであり得る。
【0341】
あるいは、第1の層1及び第2の層2の孔5の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。この幅を有する孔によると、孔の大部分は、上記のように親水性であり得る。
【0342】
あるいは、第1の層は、親水性であってもよい。第2の層は、親水性又は疎水性であってもよい。
【0343】
孔の大部分の間の第1の層の第1の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。孔の大部分の間の第1の層の第2の表面上の接触角は、接触角試験方法に従って70°以下であり得る。
【0344】
孔の大部分の幅は、孔寸法試験方法に従って、1.5mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満であり得る。
【0345】
したがって、上記のトップシートは、吸収性物品の着用者に面する表面上への再湿潤の低減、及びより良好な液体捕捉などの改善された流体処理特性を提供する。
【0346】
機械的変形、結果として生じる突出部及び孔
本開示のトップシートの三次元の有孔の第1の層、又は本開示のトップシートの第1の層及び第2の層の積層体は、以下に説明されるように、高速で工業的に生産され得る。
【0347】
図5は、本開示の基材を形成するためのプロセスの一例の概略図である。図6は、第1及び第2のロールの一部分の噛み合い係合の図である。図7は、第1のロールの一部分の図である。図8は、第2のロールの一部分の図である。
【0348】
図5図8を参照すると、本開示のトップシートの第1の層は、1つ以上の層基材399(非三次元)を、2つの噛み合いロール504及び506によって形成されるニップ502に通過させ、三次元基材400を形成することによって形成されてもよい。ロール504及び506は、加熱されてもよい。第1のロール504は、(第2のロールと組み合わせられて)基材400内に孔を作成してもよく、第2のロール506は、(第1のロールと組み合わせられて)基材400内に突出部を作成してもよい。第1のロール504は、第1のロール504から径方向外向きに延在する複数の突出部508を含んでもよい。第1のロール504はまた、第1のロール504の径方向外側表面に形成された複数の陥没部510を含んでもよい。第2のロール506は、第2のロール506から径方向外向きに延在する複数の突出部512を含んでもよい。第2のロール506はまた、第2のロール506の径方向外側表面に形成された複数の陥没部514を含んでもよい。第1のロール504上の突出部508は、第2のロール506上の突出部512とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してもよい。第1のロール504に形成された陥没部510は、第2のロール506に形成された陥没部514とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してもよい。第1のロール504の陥没部510は、突出部512を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより基材400に突起部を作成する。具体的には、突出部512が陥没部510内に係合する際、径方向の表面間に十分な深さの空間が残留するため、突出部での基材の厚さは、陥没部の厚さよりも大きい。この特徴は、突出部を形成している基材の部分を圧縮することと比較して、より柔らかい感触を有し、かつより高い突起部を提供する。第2のロール506の陥没部514は、突出部508を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それによりトップシートの第1の層内に孔を作成する。
【0349】
あるいは、別の方法が、本開示のトップシートの三次元の有孔の第1の層、又は本開示のトップシートの第1及び第2の層の積層体を形成するために使用されてもよい。
【0350】
図9を参照すると、第1の基材200は、本発明の第1の層1を形成するために、A及びBと名付けられた一対のロールを通過し得る。ロールA及びBの速度は、5~600メートル/分であり得る。ロールAの温度範囲は、40~200℃であり得る。ロールBの温度範囲は、30~200℃であり得る。ロールAは、ロールAから径方向外向きに延在する複数の突出部201を含み得る。ロールAはまた、ロールAの径方向外側表面に形成された複数の陥没部202を含み得る。ロールAの陥没部202の深さは、0.5~10mmであり得、ロールAの突出部201の深さは、0.5~9mmであり得る。ロールBは、ロールBから径方向外向きに延在する複数の突出部203を含み得る。ロールBはまた、ロールBの径方向外側表面に形成された複数の陥没部204を含み得る。ロールBの複数の突出部203の遠位端は、ピン205の形状を有し得る。
【0351】
ロールA上の突出部201は、ロールB上の突出部203とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有し得る。ロールAに形成された陥没部202は、ロールBに形成された陥没部204とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅及び/又は寸法を有し得る。ロールAの陥没部202は、ロールBの突出部203を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより第1の基材200内に突出部を作成する。ロールAは、ロールBの突出部203のピン205の形状を受容するために、陥没部領域内に複数の孔を備え得る。したがって、複数の孔5が、第1の基材200の各2つの隣接突出部の間で第1の基材200に形成される。ロールA及びロールBを通過した後、第1の基材200は、複数の突出部9と、各2つの隣接突出部の間の複数の孔5と、を含み得る。
【0352】
第2の基材206は、凹状ローラCによってもたらされ得る。ホットメルト接着剤は、第2の基材206が第1の基材200と接触する前に、装置Dによって第2の基材206の第1の表面上に添加され得る。ロールCは、ロールBの突出部203のピン205の形状を受容するために、複数の穴を含み得る。
【0353】
第2の基材206は、ロールC及びロールBを通過し得、ロールBの突出部203で第1の基材200と接触し得る。ロールBの突出部203がピンの形状を有し得るため、複数の孔は、第2の基材206上にも作成され得る。第2基材206の複数の孔5は、第1の基材200の孔5と少なくとも部分的に位置合わせされ得る。
【0354】
プロセスの最後に、三次元の有孔の第1の層1を得ることができ、これは、第1の層の突出部9の大部分の間で第2の層2と接触し得る。
【0355】
第1の基材200はまた、ロールA及びBの間で一緒に係合された第1の層1及び第2の層2であり得、同時に機械的に変形され、一緒に組み合わせられて、本発明の三次元トップシート24を形成し得る。
【0356】
複数の突出部を有するトップシートの第1の層を形成するために、第1の層1は、第1及び第2の形成部材の間で係合され、機械的に変形されて、三次元形状を有する第1の層を形成し得る。この方法は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月14日公開のProcter and Gamble Companyにより出願された国際公開第2017/156203号に説明されている。第1の層は、したがって、突出部9を形成する変形を含み得る。
【0357】
あるいは、第1の層1及び第2の層2を有する三次元トップシート24を形成するために、第1の層1及び第2の層2は、第1及び第2の形成部材の間で一緒に係合され、同時に機械的に変形され、一緒に組み合わせられて、トップシート24を形成し得る。この方法は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月14日公開のProcter and Gamble Companyにより出願された国際公開第2017/156203号に説明されている。トップシートは、したがって、突出部9を形成する変形を含み得る。
【0358】
更に、当該技術分野において既知の複数の異なる方法が、本開示の有孔不織布、即ち、有孔トップシートを作成し、孔を有する三次元不織布材料を作成するために使用され得る。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月14日公開のProcter and Gamble Companyにより出願された国際公開第2017/156200号に説明されている。
【0359】
吸収性物品
本発明のトップシートが使用され得る典型的な使い捨て吸収性物品は、着用者の身体に接して又はその近位に配置されて、身体から排出された様々な排泄物を吸収して収容し、おむつ20の形態で図10図14に表される。
【0360】
より詳細には、図10は、例示的なおむつ20を広げた状態の平面図であり、おむつ20の構造をより明瞭に示すために、おむつの一部が切り取られている。本発明の構造体は多種多様のおむつ又はその他の吸収性物品内に含まれてもよいため、このおむつ20は例示の目的のためにのみ示されている。
【0361】
図10及び図11に示されるように、吸収性物品、ここでは、おむつは、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート26、トップシート24とバックシート26との間に位置付けられている吸収性コア28を含み得る。吸収性コア28は、吸収性物品によって受け止められた液体を吸収して収容することができ、高吸収性ポリマー粒子66及び/若しくはセルロース繊維などの、吸収性材料60、並びに吸収性物品において一般的に用いられるその他の吸収性材料及び非吸収性材料(例えば、高吸収性ポリマー粒子を固定化する熱可塑性接着剤)を含んでもよい。吸収性材料及び非吸収性材料は、トップシートに向かって面する上部コアカバー層56及びバックシートに向かって面する下部カバー層58などによって、基材(例えば、1つ以上の不織布、ティッシュなど)内に包まれ得る。そのような上部及び下部コアカバー層は、不織布、ティッシュなどで作製されてもよく、例えば、それらの外周に沿って連続的に又は不連続的に互いに取り付けられ得る。
【0362】
吸収性コアは、1つ以上の基材層(不織布ウェブ又はティッシュペーパー)と、1つ以上の基材層上に配設される超吸収性ポリマー粒子と、超吸収性ポリマー粒子上に典型的に配設される熱可塑性組成物とを含み得る。典型的には、熱可塑性組成物は、熱可塑性接着剤材料である。一実施形態では、熱可塑性接着剤材料は、1つ以上の基材層上の超吸収性ポリマー粒子と少なくとも部分的に接触して、1つ以上の基材層と少なくとも部分的に接触している、繊維性層を形成する。超吸収性ポリマー粒子及び/又は熱可塑性接着剤材料のそれぞれの基材層への接着を高めるために、超吸収性ポリマー粒子を適用する前に、1つ以上の基材層上に補助接着剤が付着される場合がある。吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子が1つ以上の基材層と1つ以上のカバー層との間に含まれるように、1つ以上のカバー層も含むことができる。1つ以上の基材層及びカバー層は、不織布ウェブを含んでもよく、又は不織布ウェブで構成されてもよい。吸収性コアは、臭気制御化合物を更に含むことができる。
【0363】
吸収性コアは、1つ以上の基材層、超吸収性ポリマー粒子、熱可塑性組成物、必要に応じて補助接着剤、必要に応じてカバー層、及び必要に応じて臭気制御化合物から本質的になってもよい。
【0364】
吸収性コアはまた、不織布ウェブ又はティッシュペーパーなどの1つ以上の基材層内に包み込まれ得る、超吸収性ポリマー粒子及びエアフェルトの混合物を含んでもよい。このような吸収性コアは、吸収性材料の30重量%~95重量%、又は50重量%~95重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよく、吸収性材料の5重量%~70重量%、又は5重量%~50重量%のエアフェルトを含んでもよい(これらの割合に関して、任意の包囲基材層は、吸収性材料とは見なされない)。吸収性コアはまた、エアフェルトを含まなくてもよく、吸収性材料の100重量%の超吸収性ポリマー粒子を含んでもよい。
【0365】
本発明の吸収性物品、特に、おむつ及びパンツは、捕捉層52、分配層54、又はそれら両方の組み合わせ(本明細書では総じて捕捉分配システム「ADS」50と呼ばれる)を含み得る。
【0366】
親水性ホットメルト接着剤が、トップシートを捕捉層及び/又は分配層及び/又は吸収性コアに結合するために使用され得る。これは、流出を低減するために役立ち得る。
【0367】
ADS50の機能は、典型的には、効率的な方法で液体を迅速に捕捉し、それを吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ又はそれよりも多い基材を含み得る。
【0368】
ADSは、超吸収性ポリマーを含まなくてもよい。先行技術は、多くの種類の捕捉-分配システムを開示しており、例えば、国際公開第2000/59430号、同第95/10996号、米国特許第5700254号、国際公開第02/067809号を参照されたい。しかしながら、超吸収性ポリマー粒子はまた、ADSによって含まれてもよい。
【0369】
分配層54の機能は、吸収性コアの吸収性能がより効率的に利用され得るように、排泄された流動液を物品内のより大きい表面にわたって広げることである。分配層は、合成又はセルロース繊維系の比較的密度の低い不織布材料によって作製され得る。分配層は、30~400g/m、特に、80~300g/mの平均坪量を有し得る。
【0370】
分配層は、例えば、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ内の圧縮に対して、又は、例えば、乳児の体重下での使用状況において、第1の吸収性層に対して、高い復元力、及びそれ故高い抵抗性を付与する。これは、コアに、比較的高い空隙容積、透過性、及び液体吸収作用を提供するため、漏出が低減され、乾燥性が改善される。
【0371】
架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含んでもよいが、この層は、層の重量に対して、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100重量%の架橋セルロース繊維を含んでもよい。かかる架橋セルロース繊維の混合層の例は、70重量%の化学架橋セルロース繊維、10重量%のポリエステル(polyester、PET)繊維、及び約20重量%の未処理パルプ繊維を含んでもよい。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、70重量%の化学架橋セルロース繊維、20重量%のリヨセル繊維、及び10重量%のPET繊維を含んでもよい。別の例では、層は、68重量%の化学架橋セルロース繊維、16重量%の未処理パルプ繊維、及び16重量%のPET繊維を含んでもよい。
【0372】
吸収性物品20は、捕捉層52を更に備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉し、着用者に優れた乾燥性を提供することである。捕捉層52は、典型的には、トップシートの真下、かつ分配層の下に配置される。捕捉層は、典型的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は代替的に、カーディングを施された化学結合された不織布を含む、例えば、SMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、具体的にはラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層52が米国特許第7786341号に開示される。使用される繊維が、中実で丸形又は丸形で中空のPETステープルファイバー(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布が使用され得る。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。
【0373】
捕捉層52は、ラテックス結合剤、例えばスチレン-ブタジエンラテックス結合剤(styrene-butadiene、SBラテックス)によって、安定化され得る。かかる格子状構造を得るための方法は、例えば、欧州特許第149880号(Kwok)及び米国特許出願公開第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。結合剤は、捕捉層52中に、12重量%、14重量%又は16重量%を超えて存在してもよいが、捕捉層の30重量%以下、又は25重量%以下で存在してもよい。SBラテックスは、GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.;(Akron,Ohio))の商品名にて入手可能である。
【0374】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる捕捉層が使用されてもよい。例えば、ティッシュ層が、第1の捕捉層と分配層との間に置かれてもよい。このティッシュ層は、上述した捕捉層と比較して、向上した毛管作用による分配特性を有してもよい。ティッシュ層と第1の捕捉層は同じサイズのものであってもよく、又は異なるサイズのものであってもよく、例えば、ティッシュ層は、第1の捕捉層よりも更に吸収性物品の後ろに延びていてもよい。親水性ティッシュの例は、供給業者Havixによるセルロース繊維製の13~15g/mの高湿潤強度のものである。
【0375】
おむつはまた、特に、脚部開口部の区域内における、液体及びその他の身体排泄物の改善された収容をもたらす伸縮性ガスケットカフ32及び/又はバリア脚部カフ34を含んでもよい。通常、各ガスケットカフ32及びバリアカフ34は、図10及び図11上に誇張した形で表されている、1本以上のゴムひも33及び35を含むことになる。更に、おむつ20は、複合おむつ構造体を形成するために付着される後側耳部40、前側耳部46及び/又はバリアカフ34などの他の構造を含んでもよい。おむつはまた、ランディング区域44(例えば、面ファスナシステムにおけるループを提供する不織布ウェブ)と協働する、接着テープタブ、又はフック要素を含むテープタブなどの、テープタブ42を含み得る、接着ファスナシステム又は機械的ファスナシステム(例えば、面ファスナシステム)などの、ファスナシステムを更に含んでもよい。更に、おむつは、後側弾性腰部構造及び前側弾性腰部構造、側面パネル又はローション塗布などの、他の要素を含んでもよい。
【0376】
図10及び図11に示される、おむつ20は、第1の腰部領域36、第1の腰部領域36と反対側の第2の腰部領域38、及び第1の腰部領域36と第2の腰部領域38との間に位置する股あて領域37に概念上分割することができる。縦方向中心線80は、おむつをその長さに沿って2等分する想像線である。横断中心線90は、完全に扁平になったおむつの平面内の縦線80と垂直で、おむつの長さの中央を通る想像線である。おむつ20の周辺はおむつ20の外縁部によって画定される。おむつの縦方向縁部はおむつ20の縦方向中心線80と概ね平行に延びてもよく、末端縁部は縦方向縁部間に、おむつ20の横断中心線90と概ね平行に延びる。
【0377】
本発明のトップシート24は、第1の層及び第2の層を含み得る。トップシートの第2の層は、縦方向縁及び横方向縁を含み得る。第2の層の縦方向縁は、おむつ20の縦方向中心線80に平行であり得る。
【0378】
横断中心線90に平行な方向におけるトップシート24の第2の層の幅は、トップシート24の第1の層の幅よりも大きくてもよい。第2の層の縦方向縁は、吸収性物品のガスケットカフに結合され得る。
【0379】
トップシート24の第1の層が、第1の層の総重量に対して少なくとも15重量%の天然繊維を含むため、第1の層は、熱及び圧力などの既知の結合方法を介して吸収性物品のガスケットカフに結合することができない。糊剤が、トップシート24の第1の層をガスケットカフに結合する代替物であり得る。しかしながら、糊剤と、吸収性物品の着用者の皮膚に適用されるローションとの間には良好な相互作用が存在しない。したがって、トップシート24の第1の層の幅よりも広い幅を有する第2の層を有するトップシート24を有することが、トップシート24の第2の層の縦方向縁を、熱及び圧力などの任意の既知の結合方法によってガスケットカフに結合することを可能にする。
【0380】
おむつの捕捉層52は、トップシート24から液状排泄物を受容し得、液状排泄物を任意の分配層54に直接送ることができる。したがって、漏れが低減され得る。
【0381】
試験方法
引張強度試験方法:
引張強度方法は、トップシート材料、又はトップシートの第1及び/若しくは第2の層の引張強度を調べるために使用される。
【0382】
トップシート、又はトップシート層の層(測定されるべきものに応じて)が、その原材料形態で入手可能である場合、CD強度が測定されるときにはCD方向に配向された、又はMD強度が測定されるときにはMD方向に配向された、50mm寸法の原材料から、長さ50mm±0.5mmかつ幅50mm±0.5mmの試料片が切断される。そうでなければ、吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として、吸収性物品の横幅に沿って配向されている50mmの幅寸法でもって、吸収性物品から、長さ50mm±0.5かつ幅50mm±0.5のトップシート試験片/トップシート層試験片が取り出される。トップシート/トップシート層を吸収性物品から取り出す目的で、かみそり刃を使用して、50mm±0.5×50mm±0.5の面積の外周の周囲の吸収性物品の下層からトップシートを切除する。低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができ、必要であれば、更に4つの試験片を同様の様式で調製する。トップシートの第1の層の試験片は、トップシート試験片が下層から取り出される場合と同様の様式でトップシートの第2の層の試験片から取り出され得る。
【0383】
吸収性物品の寸法が、50mm±0.5の幅を有するトップシート試験片/トップシート層試験片を可能にしない場合、次いで、吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として、吸収性物品の横幅に沿って配向されている25mmの幅寸法でもって、吸収性物品から、25±0.5mmの幅の試験片が取り出される。トップシートを吸収性物品から取り出す目的で、かみそり刃を使用して、25±0.5mm×50±0.5mmの面積の外周の周囲の吸収性物品の下層からトップシートを切除する。低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができ、必要であれば、更に5つの試験片を同様の様式で調製する。トップシートの第1の層の試験片は、トップシート試験片が下層から取り出される場合と同様の様式でトップシートの第2の層の試験片から取り出され得る。
【0384】
トップシート試験片/トップシート層試験片を、以下の特定の選択及び修正でもって、INDA/EDANA WSP 110.4(09)に従って分析する。試料の予荷重は、0.0Nであり、試験中のクロスヘッド速度は、100mm/分であり、試験片選択肢Aは、幅が50mmである状態で使用され(CD強度が測定されるときの各試験片のCD又は横軸寸法に対応するか、又はMD強度が測定されるときのMD寸法に対応する)、試験片が25mmの幅である場合、試験片選択肢Bが使用され、一定の伸長速度(constant rate of extension、CRE)が使用され、ゲージ長さは、50±0.5mmである。
【0385】
各試験片の破断力は、幅あたりの力の単位(N/5cm)で記録される。5+1の試験片の間の破断力の算術平均として定義されるCD強度又はMD強度(試験方向に対応する)を計算し、0.1N/(5cm)単位まで報告する。
【0386】
剥離力試験方法:
剥離力試験方法が、積層されたトップシート材料の剥離力を調べるために使用される。
【0387】
吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として、吸収性物品の横幅に沿って配向されている50.8mmの幅寸法でもって、吸収性物品から、長さ150.0±0.1mmかつ幅50.8±0.1mmのトップシート試験片が取り出される。トップシートを吸収性物品から取り出す目的で、かみそり刃を使用して、150.0mm×50.8mmの面積の外周の周囲の吸収性物品の下層からトップシートを切除する。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。吸収性物品の寸法が50.8mm×150mmの領域の切除を可能にするものではない場合、可能な最大の矩形トップシート領域が、上記の手順で吸収性物品から切除されることになる。更に4つの試験片を同様の様式で調製する。
【0388】
トップシート試験片を、以下の特定の選択及び修正でもって、中国標準方法GB8808-88の国家標準に従って分析する。クロスヘッド速度が300mm/分である試験速度方法Aが使用され、使用される試験片は、幅50.8±0.03mmかつ長さ150.0±0.1mmであり、試験片は、クロスヘッドの移動方向に平行に配向されている物品の縦方向軸に平行であった試験片の寸法を用いて引張試験機内に配向される。
【0389】
GB8808-88号に従って調べられた平均引き剥がし力を、剥離力として定義し、0.01N/(50.8mm)単位まで報告する。
【0390】
接触角試験方法:
1cm×2cmの矩形状の試験片を使い捨て吸収性製品のトップシートから切り出し、試験片の表面に触れないように、又は材料の構造を乱さないように注意する。試験片は、物品の縦方向中心線と位置合わせされた長さ(2cm)を有する。試験片を、鉗子を用いて縁部から優しく取り扱い、両面テープを用いてSEM試験片ホルダー上に皮膚に面する面を上にして平らに装着する。小型の家庭用エアブラシ装置を用いて生成した微細なミストの水滴を試験片に噴霧する。液滴を生成するために使用される水は、少なくとも18MΩ-cmの抵抗率を有する蒸留脱イオン水である。エアブラシは、液滴が各々約2pLの体積を有するように調整される。約0.5mgの水滴を、均等にかつ緩やかに試験片上に付着させる。水滴を塗布した直後に、装着した試験片を液体窒素中にくぐらせて凍結させる。凍結後、試料を-150℃のCryo-SEMプレップチャンバに移し、Au/Pdでコーティングして、-150℃のCryo-SEMチャンバ内に移す。Hitachi S-4700 Cry-SEM又は同等の機器を用いて、繊維上の液滴の高分解能画像を得る。液滴は無作為に選択されるが、繊維表面から延びる液滴の投影がほぼ最大となるように、顕微鏡内で配向されている場合にのみ、液滴が撮像されるのに適している。図15の線3700によって示されるように、撮られた画像から、液滴と繊維との間の接触角を直接決定する。
【0391】
そのような方法は、第1の層の第1の表面のランド領域上で実施されて、第1の表面ランド領域接触角を測定する。2つの隣接する孔の間の中間のランド領域上に位置する10個の別個の液滴が撮像され、それらから20個の接触角測定が実施され(各撮像された液滴の各側部に対して1つ)、これらの20個の接触角測定の算術平均が計算され、第1の表面ランド領域接触角として報告される。
【0392】
このような方法はまた、孔接触角を測定するため孔に対して実施される。3つの別個の孔の頂部付近に位置する10個の別個の液滴、及び同じ3つの別個の孔の底部付近に位置する10個の液滴が撮像され、これらの40個の接触角測定が実施され(各撮像された液滴の各側部に対して1つ)、これらの40個の接触角測定の算術平均が計算され、孔接触角として報告される。
【0393】
パーセント有効面積、孔寸法及び孔間距離測定試験方法:
有効孔寸法、パーセント有効面積、及び孔間距離の測定値を、フラットベッドスキャナを用いて得た孔試験片画像から得る。スキャナは解像度6400dpi及び8ビットグレースケールの反射モードで走査可能である(好適なスキャナはEpson America Inc.(Long Beach CA)のEpson Perfection V750 Pro又はその等価物である)。スキャナは、画像解析プログラムを実行するコンピュータと連動する(好適なプログラムは、National Institute of Health(USA)のImageJ v.1.47、又はその等価物である)。試験片画像は、取得されたNIST認定定規の画像に対して距離較正される。孔試験片は、画像を取得する前に黒色ガラスタイル(HunterLab、Reston、VAから入手可能なP/N 11-0050-30、又は等価物)の裏地を貼られる。次いで、結果的に得られたグレースケール画像が、閾値階調値を介して2値画像に変換され、試験片材料領域からの開口孔領域の分離を可能にし、画像解析プログラムを使用してこれらの領域を解析した。全ての試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された調湿室内で行われる。
【0394】
試料の調製:
試験片を得るために、吸収性物品が、平面構成の固い平坦面にテープで貼り付けられる。あらゆる脚部の弾性体は、物品の平らな配置を容易にするために切断され得る。物品の吸収性コアの上に位置する領域の外側境界は、有孔層上で識別され、マークされる。有孔層の試験片は、かみそり刃を用いて物品の外周の周囲を切断することによって、物品の下層から取り出される。有孔層試験片は、孔の歪みを回避するように、縦及び横方向の伸長が維持されるように丁寧に取り出される。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TX)、又は等価物など)を使用して、試験片を下層から取り除いてもよい。5つの実質的に同様の物品から得られた5つの複製試験片を分析のために調製する。有孔基材の原材料を、吸収性物品上で用いる場合と同じ加工条件下で及び同じ程度に延伸又は活性化させることによって、試験用に調製する。試料は、試験前に、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で2時間にわたって調湿される。
【0395】
画像の取得:
定規が、スキャナガラスの側面に平行に配向されるようにスキャナベッド上に配置される。定規の画像(較正画像)は、6400dpi(約252画素/mm)の解像度及び8ビットグレースケールの反射モードで取得される。較正画像は、圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存される。較正画像を取得した後、定規がスキャナガラスから除去され、全ての試験片が同じ走査条件下で走査される。有孔試験片は、試験片の外向きの表面がスキャナのガラス表面に向いている状態で、スキャナベッドの中央に平らに寝かせて配置される。試験片の角及び縁は、取り外し前の物品に対するように、その元の縦方向及び横方向の伸張が復元されるように固設される。試験片は、有孔試験片層の機械方向(MD)及び横断方向(cross direction、CD)がスキャナのガラス表面の側面と平行かつ垂直に位置合わせされ、結果的に得られた試験片画像が頂部から底部まで垂直に通るMDを有するように配向される。黒色ガラスタイルが試験片の頂部上に配置され、スキャナ蓋が閉じられ、試験片全体の走査画像が取得される。画像は、圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存される。残りの4つの複製試験片が走査され、同様の様式で保存される。解析前に、全ての試験片画像が、物品の吸収性コアの上に位置していた有孔領域内に含まれる最大矩形視野に切り出される。
【0396】
パーセント有効孔面積計算:
較正画像ファイルが画像解析プログラム内で開かれ、直線距離較正は、撮像された定規を使用して実施される。この距離較正スケールが、解析前に全ての後続の試験片画像に適用される。試験片画像は、画像解析プログラム内にあり、距離スケールは、距離較正を使用して設定される。次に、8ビットグレースケール画像が、次の手段で2値画像(孔領域に対応する「ゼロ」又は「黒」を用いて)に変換される。階調(gray level、GL)値のヒストグラム(0~255の範囲であり、1つのビンが階調iごとの傾向Pを含む)がちょうど2つの極大値を有する場合、閾値階調値tは、Pt-1>P及びP≦Pt+1である値として定義される。ヒストグラムが2つよりも多い極大値を有する場合、ヒストグラムは、サイズ3の窓付き算術平均を使用して反復的に平滑化され、この平滑化は、ちょうど2つの極大値が存在するまで反復的に実施される。閾値階調値tは、Pt-1>P及びP≦Pt+1である値として定義される。この手順は、開口穴の暗画素ピークと試験片材料のより明るい画像ピークとの間に位置する最小母集団の階調(GL)値を識別する。ヒストグラムがゼロ又は1つの極大値のいずれかを含有する場合、方法は、更に続行することができず、出力パラメータは、定義されない。
【0397】
別個の孔領域の各々は、画像解析プログラムを使用して解析される。全ての個々の孔面積が、画像の縁に沿った部分的な孔を含んで、0.01mm単位まで測定及び記録される。0.3mm未満の面積の孔は、いずれも「無効」として定義され、破棄される。完全及び部分的な孔を含む、残りの孔、いわゆる「有効」孔面積が合計される。次いで、この合計が、画像に含まれる総面積で除算される。この値が100%で乗算され、有効面積として0.01%単位まで報告される。
【0398】
残りの4つの試験片画像が同様に解析される。5つの複製試験片に対して、0.01%単位まで平均パーセント有効面積値が計算され報告される。
【0399】
有効孔寸法測定:
較正画像(定規を含む)ファイルが画像解析プログラム内で開かれる。元画像の解像度が、双三次補間法を使用して、6400dpi~640dpi(約25.2画素/mm)にサイズ変更される。直線距離較正が、撮像された定規を使用して実施される。この距離較正スケールが、解析前に全ての後続の試験片画像に適用される。1つの試験片画像が選択され、画像解析プログラム内で開かれる。元の画像の解像度は、双三次補間法を使用して6400dpi~640dpi(約25.2画素/mm)にサイズ変更され、距離スケールが、較正画像を使用して確立された直線距離較正に従って設定される。次に、8ビットグレースケール画像が、次の手段で2値画像(孔領域に対応する「ゼロ」又は「黒」を用いて)に変換される。階調(GL)値のヒストグラム(0~255の範囲であり、1つのビンが階調iごとの傾向Pを含む)がちょうど2つの極大値を有する場合、閾値階調値tは、Pt-1>P及びP≦Pt+1である値として定義される。ヒストグラムが2つよりも多い極大値を有する場合、ヒストグラムは、サイズ3の窓付き算術平均を使用して反復的に平滑化され、この平滑化は、ちょうど2つの極大値が存在するまで反復的に実施される。閾値階調値tは、Pt-1>P及びP≦Pt+1である値として定義される。この手順は、開口穴の暗画素ピークと試験片材料のより明るい画像ピークとの間に位置する最小母集団の階調(GL)値を識別する。ヒストグラムがゼロ又は1つの極大値のいずれかを含有する場合、方法は、更に続行することができず、出力パラメータは、定義されない。次に、2つのモルフォロジー演算が2値画像上で実施される。まず、クロージング(黒色孔領域画素に接触している任意の白色背景画素を黒色孔領域画素に変換し、それによって、孔領域の外周の周囲に画素の層を追加する膨張処理、続いて、白色背景画素に接触している任意の黒色孔領域画素を除去し、それによって、孔領域の外周の周囲の画素の層を除去する収縮処理、繰り返し=1、画素数=1)が実施され、開口穴内の散在繊維を取り除く。続いて、オープニング(収縮処理、続いて、膨張処理、繰り返し=1、画素数=1)が実施され、孤立した黒色画素を取り除く。画像の縁は、収縮工程の間にパッドされて、黒色の境界線の画素が処理中に維持されることを確保する。最後に、黒色孔領域内に包囲された残る全ての空隙が埋められる。
【0400】
別個の孔領域の各々は、画像解析ソフトウェアを使用して解析される。画像の縁に沿った任意の部分的な孔は、完全な孔のみが解析されるように排除される。0~180度のその対応する配向角度と共に、個々の孔面積、外周部、フェレ径(孔の長さ)、及び最小フェレ径(孔の幅)の全てが、測定及び記録される。個々の孔面積が0.01mm単位まで、孔外周及びフェレ径(長さ及び幅)が0.01mm単位まで、並びに角度が0.01度単位まで記録される。0.3mm未満の面積の孔は、いずれも「無効」として破棄される。残りの「有効」孔の数が記録され、画像の面積で除算される。この商は、孔密度値として、1cmあたり0.1個の孔の単位まで記録される。MD(画像中では垂直)と位置合わせされた孔の配向角度は、90度として定義される。左から右にかけて増加する正勾配を有する孔は、0~90度の角度を有する。左から右にかけて減少する負勾配を有する孔は、90~180度の角度を有する。個々の孔の角度は、元の配向角度から90度を減算し、その絶対値を取ることによって、絶対孔角度を計算するために使用される。これらの測定に加えて、その長さをその幅で除算した商として各孔について定義されたアスペクト比が記録される。この解析は、4つの複製試験片の残りの画像の各々について繰り返される。有効孔寸法(面積、外周、長さ、幅、及び角度)、絶対孔角度及びアスペクト比測定値の各々についての統計的平均及び標準偏差が、全ての試験片から記録された孔値の全てを使用して計算され、報告される。有効孔寸法、絶対孔角度、アスペクト比測定値の各々についてのパーセント相対標準偏差(relative standard deviation、RSD)が、標準偏差を平均値で除算して100%を乗算することによって計算され、報告される。
【0401】
孔間距離の測定
孔間の平均値、標準偏差、中央値、及び最大距離は、孔寸法測定のために解析された各試験片の2値画像を更に解析することによって測定される。各画像について、ボロノイ操作が、サイズ変更され空間的に較正された2値画像(上記のもの)に対して実施される。ボロノイ操作は、領域又は「セル」が2つの最も近いパターンの孔の境界線と等しい距離を有する画素の線を境界とする画像を生成し、これらの境界線の画素値が2値画像のユークリッド距離マップ(Euclidian distance map、EDM)から出力され、全ての他の画素値がゼロである。(EDMは、2値画像中の各孔間画素が、最も近いパターンの孔からの画素の距離と等しい値と置換される、変換された画像である。)ボロノイ変換された画像内に存在する非ゼロ距離値(即ち、境界線に沿ったユークリッド距離値)の統計解析が実施される。画像について結果的に得られた平均値、標準偏差、中央値及び最大孔間距離が計算され、次いで、孔特徴間の完全距離を反映するために2の倍数で乗算される。これらの統計的指標は、0.01mm単位まで報告される。この手順は、全ての試験片画像について繰り返される。標準偏差を平均値で除算して100%で乗算することによる孔間距離のパーセント相対標準偏差(RSD)。
【0402】
コンディショニング後接触角試験方法:
トップシート試験片が、吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として吸収性物品から取り出されるが、吸収性物品からトップシートを取り出す目的で、かみそり刃を使用して、10±1cm×10±1cmの領域の外周の周囲で吸収性物品の下層からトップシートを切除する。10±1cm×10±1cmの領域が縦方向及び横方向の中心線の交点から切除されること可能にするにはトップシートが不十分なサイズである場合、抽出され得るトップシートの最大の正方形が切除され、以後、トップシート試験片として使用される。試験片は、その縦方向及び横方向の伸張が維持されるように、慎重に取り出される。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。
【0403】
溶液(「コンディショニング溶液」)は、蒸留水、純度99%超のNaCl、及び純度96%超のコール酸ナトリウムを使用することによって、0.9重量%のNaCl及び0.3重量%のコール酸ナトリウムを用いて調製される。コンディショニング溶液は、40±2℃に加熱され、この試料調製の全体にわたってこの温度で保持される。温度維持されたコンディショニング溶液の100(+/-10)mLは、直径150~180mmのガラス容器内に充填される。試験片は、試験片を溶液の表面下に保つことによってコンディショニング溶液を含むガラス容器内に入れられ、ガラス容器は、40(+/-2)℃で30±2分間、人工気候チャンバ内に配置される。
【0404】
試験片は、次いで、清浄な金属ピンセットを使用して溶液から取り出され、吸い取り紙(試験片よりも大きい)上に配置される。吸い取り紙が部分的に湿ると、新しい吸い取り紙が使用される。これは、更なる湿りが吸い取り紙に移されなくなるまで繰り返される。試験片は、次いで、直径150~180mmの乾燥清浄ガラス容器に移され、ガラス容器は、40(+/-2)℃で30(+/-2)分間、人工気候チャンバ内に配置される。試験片は、次いで、室温まで冷却される。1cm×2cmの矩形試験片を、接触角方法に従って、コンディショニングされた試験片から切断する。接触角方法に従って測定された、コンディショニング後の試験片の第1の表面ランド領域接触角は、第1の表面ランド領域コンディショニング後接触角として報告される。
【0405】
流出量試験方法:
流出量は、WSP80.9(05)の親水性不織布を試験するための基本的な方法、不織布流出の標準試験方法に従って測定される。傾斜角度は、25°+/-1°に設定される。25±0.5gの総質量の試験液が使用される。
【0406】
トップシート試料が、吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として吸収性物品から取り出されるが、吸収性物品からトップシートを取り出す目的で、かみそり刃を使用して、100mm×280mmの領域の外周の周囲で吸収性物品の下層からトップシートを切除する。試験片は、その縦方向及び横方向の伸張が維持されるように、慎重に取り出される。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。幅100mmのトップシート層は、2つの140mm幅の参照濾紙の層の上に中心に置かれる。
【0407】
吸収性物品の寸法が100mm×280mmの領域の切除を可能にするものではない場合、最大の可能な矩形トップシート領域が、上記の手順で吸収性物品から切除されることになる。複数の試験片は、複数の吸収性物品から取り出されることになり、2つの別個の試験片の間の各隣接する側部上の5mm幅の重なり合いによって互いに接続されることになる。両面テープ接着剤は、一緒にステッチされている2つの層の間の、5mm幅の重複領域内に配置されることになる。この手順は、WSP80.9手順における親水性不織布を試験するための基本的な方法に従って使用される100mm×280mmの領域を作成することを可能にすることになる。試験に関して、試験液を供給する管は、任意の重複領域間に、機械方向又は横断方向に配置されることになる。
【0408】
貯蔵弾性率(G’)試験方法:
熱可塑性組成物のG’を求めるための動的機械分析(Dynamic Mechanical Analysis、DMA)-温度スイープ-原理
動的機械分析(DMA)を行う。振動歪みを引き起こす振動剪断応力を、一定振幅で組成物に連続的に加える一方で(この振動剪断応力は、変形が確実に完全に回復可能となるほど小さい)、別工程で温度を下降させる。適用される正弦起伏応力と得られる歪み応答との間の関係、並びに、時間軸における両方の測定値間の移り変わりを測定する。結果を、組成物の貯蔵弾性率[G’]、損失弾性率[G’’]、及び温度に依存した損失率[tan δ]によって定量する。
【0409】
機器:TA Instruments AR G2
手順:
1.温度制御を可能にする上部鋼板(直径:8mm)及び下部ペルチェ又は加熱板から構成される8mmプレート/プレートジオメトリのレオメータを使用する。レオメータは0℃~220℃の温度を適用できるものである必要がある。
2.機器説明書に従ってレオメータを較正する。
3.0.37g+/-0.01gの組成物片を切り取って重量を量り、レオメータのペルチェ又は加熱板の中心に置き、温度を160℃に設定する。
4.組成物が溶融したら、ジオメトリ間隙が1000マイクロメートルになるまで上部板をゆっくりと下げる。組成物サンプルに損傷を与えずに組成物と上部板との間の良好な接触を達成するために、レオメータヘッドの速度は1000マイクロメートル/秒を超えてはならない。
5.上部板が熱くなることができ、組成物が完全に溶融するように、このジオメトリをジオメトリカバーで2分間覆う。
6.カバーを取り除き、上部板を手で回転させて組成物を上部板とペルチェ又は加熱板との間に均一に分配し、組成物と上部板が確実に完全接触するようにする。
7.その後、ジオメトリをジオメトリカバーで更に2分間覆う。
8.ジオメトリカバーを取り除き、組成物が均一に分配されているかどうかを確認する。
9.軸力制御を0.2Nに設定し、感度は+/-0.1Nとする。
【0410】
毎分3℃の温度勾配で160℃から0℃までの温度掃引を開始する。
歪み振幅: 0.05%
角周波数: 6.28319rad/s
【0411】
計算/報告:
温度掃引から、以下のパラメータを報告する:
-ガラス転移温度(℃)(ガラス転移温度は、tan δ値のピーク最大値で定義される)
-クロスオーバー温度(℃)(クロスオーバー温度は、ゴム状平坦部の終わりからより高い温度(末端ゾーンの始めを示す)に向けて見られる。クロスオーバー温度では、貯蔵弾性率と損失弾性率が等しくなり、tan δは1である)。
-5℃の増分で0℃~160℃(例えば、0℃、5℃、10℃、以下同様)のパスカル単位の貯蔵弾性率。
【0412】
マーチンデール耐摩耗性試験方法
マーチンデール耐摩耗性試験方法を使用して、トップシート材料の耐摩耗性を調べる。
【0413】
トップシートがその原材料形態で入手可能である場合、140mm±0.5mmの直径を有する試験片を原材料から切断する。そうでなければ、140mm±0.5mmの直径を有するトップシート試験片は、吸収性物品の縦方向及び横方向の中心線の交点を中心として、吸収性物品から取り出される。トップシートを吸収性物品から取り出す目的で、かみそり刃を使用して、140mm±0.5mmの直径の外周の周囲の吸収性物品の下層からトップシートを切除する。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TXなど)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができ、必要であれば、更に4つの試験片を同様の様式で調製する。
【0414】
トップシート試験片を、リサージュ図形軌道を有するINDA/EDANA WSP 20.5(05)に従って、以下の特定の選択及び修正を用いて分析する。必要とされる重量が、各試験片に対して2.9kPaの所望の圧力を与えるために添加される。マーチンデール装置は、25サイクル/分に設定される。標準研磨剤材料は、56Aデュロメータの表面硬度を有する。ショアAは、56±1である。研磨剤材料の厚さは、1.05±0.1mmである。
【0415】
トップシートが穿孔されていない場合、試験は、4つの試験片のうちの2つで任意の方向に5mmよりも大きい穴が出現したときに終了する。穴が出現しない場合、試験は、480サイクルで終了する。試験を、20サイクルごとに停止することによって実行し、試験片を、基準が満たされているか否かを評価するために調査する。サイクル数を記録し、摩耗保持(Abrasion Integrity)パラメータとして報告する。
【0416】
トップシートが有孔である場合、試験は、4つの試験片のうちの2つで(任意の方向に)最大の孔寸法よりも5mm大きい穴が出現したときに終了する。穴が出現しない場合、試験は、480サイクルで終了する。試験を、20サイクルごとに停止することによって実行し、試験片を、基準が満たされているか否かを評価するために調査される。サイクル数を記録し、摩耗保持パラメータとして報告する。
【実施例
【0417】
以下は、本発明及び比較例のトップシートの非限定的な実施例である。これらの実施例は、単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。
【0418】
CD強度及びMD強度:実施例1~5
試料の調製:
各試料について、トップシートを形成する2つの層を、引張強度試験方法に従って外す。トップシートが吸収性物品に使用されるときに吸収性物品の着用者の皮膚と接触している第1の層が以下に提示される。あらゆる実施例について、疎水性界面活性剤は、同じものである。
【0419】
実施例1は、当該技術分野において既知の従来のユニラッパープロセスを用いて生成された100%綿スパンレース不織布ウェブである。実施例1の不織布ウェブは、浸漬プロセスを介して疎水性界面活性剤を不織布ウェブに適用することによって疎水性になる。
【0420】
実施例2は、上記のクロスラッパープロセスを用いて生成された100%綿スパンレース不織布ウェブである。実施例2の不織布ウェブは、浸漬プロセスを介して疎水性界面活性剤を不織布ウェブに適用することによって疎水性になる。
【0421】
実施例3及び4は、実施例2の不織布ウェブと同様のスパンレース不織布ウェブである。
【0422】
実施例3は、疎水性界面活性剤の部分疎水性適用を含む。つまり、不織布ウェブの一方側のみが疎水性界面活性剤を含む。したがって、実施例3の不織布ウェブの一方側は、親水性であり、実施例3の不織布ウェブの他方側は、疎水性である。
【0423】
実施例4は、いかなる疎水性適用もない、親水性スパンレース不織布ウェブである。
【0424】
実施例5は、クロスラッパープロセスを用いて生成された100%綿スパンレース不織布ウェブである。実施例5の不織布ウェブは、予備穿孔されている。実際に、孔は、水流交絡プロセス中に8メッシュベルト(8穴/平方インチ)を使用することによって、不織布ウェブ内に形成されている。実施例5の不織布予備穿孔ウェブは、浸漬プロセスを介して疎水性界面活性剤を不織布ウェブに適用することによって疎水性になる。
【0425】
実施例1は、比較例である。実施例2~5は、本発明による実施例である。
【0426】
実施例からの全ての不織布ウェブを、三次元エンボス加工プロセス(3Dエンボス加工プロセス)によって変形させ、上記の穿孔プロセスによって穿孔した(図5図8参照)。
【0427】
全ての実施例に使用される三次元パターンの写真を図16に示す。
【0428】
結果:
以下の表は、不織布ウェブがテクスチャ加工され、穿孔されて、三次元有孔ウェブを形成する前後のCD(横断方向)の機械的強度を提供する。
【0429】
CD(横断方向)強度は、本明細書に開示される引張強度試験方法に従って測定される。
【0430】
【表1】
【0431】
実施例1に関して、この従来のプロセス、即ち、従来のユニラッパープロセスで生成された不織布ウェブは、テクスチャ加工及び穿孔された後に、3N/(5cm)未満の最小CD強度を有する。実施例1の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブの構造強度及び機械的強度は、低下する。
【0432】
実施例2に関して、実施例2のクロスラッピング不織布ウェブは、実施例1よりも高いCD強度を有する。実施例2の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブのCD強度は、3N/(5cm)超である。
【0433】
実施例2の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブは、実施例1の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブよりも高い機械的強度を有する。
【0434】
実施例3及び4の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブは、実施例2の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブよりも高い機械的強度を有する。これは、不織布ウェブ上に適用される疎水性処理が、三次元テクスチャ加工及び穿孔プロセスの前であっても、不織布ウェブの機械的強度を低下させ得ることを実証する。
【0435】
実施例5に関して、三次元テクスチャ加工及び穿孔プロセスが施される前に不織布ウェブが予備穿孔されているとき、三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブが、初期強度の大部分を保持し得ることを見ることができる。
【0436】
実施例5の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブは、実施例1の三次元テクスチャ加工/有孔不織布ウェブよりも高い機械的強度を有する。
【0437】
剥離力:実施例6~8
試料の調製:
実施例6、7及び8は、第1の層及び第2の層を含む、トップシートである。第1の層は、上記のクロスラッパープロセスを用いて生成された100%綿スパンレース不織布ウェブである。第1の層の坪量は、35g/mである。第1の層は、いかなる疎水性適用もない、親水性スパンレース不織布ウェブである。実施例1のトップシートの第2の層は、4デニールの2成分PE/PET繊維を含むエアスルーカード不織布ウェブである。第2の層の坪量は、25g/mである。
【0438】
各実施例では、第1の層は、ホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に取り付けられる。
【0439】
結合領域上に適用されるホットメルト接着剤の量は、各実施例で異なり得る。
【0440】
実施例からの全ての不織布ウェブを、三次元エンボス加工プロセスによって変形させ、上記の穿孔プロセスによって穿孔した(図5図8参照)。全ての実施例に使用される三次元パターンの写真を図17に示す。
【0441】
実施例6~8は、本発明による実施例である。
【0442】
結果
各試料のトップシートの第1の層と第2の層との間の剥離力を、本明細書に開示される剥離力試験方法に従って測定する。
【0443】
【表2】
【0444】
実施例6~8のトップシートの第1の層と第2の層との間の剥離力は、0.25N/(50.8mm)よりも高い。したがって、実施例6~8のトップシートは、使用条件中、それらの一体性を維持する。実施例6~8のトップシートが吸収性物品に使用されるとき、トップシートの第1の層及び第2の層は、吸収性物品の着用者の動きによって外れない。
【0445】
摩耗保持:実施例A~D
実施例A、B、C及びDは、第1の層及び第2の層を有するトップシート材料である。第1の層は、上記の実施例材料1、2、3及び4に対応する。実施例Aは、比較例である。トップシートの第2の層は、4デニールの2成分PE/PET繊維を含むエアスルーカード不織布ウェブである。第2の層の坪量は、25g/mである。各実施例では、第1の層は、ホットメルト接着剤によって結合領域内で第2の層に取り付けられる。結合領域上に適用されるホットメルト接着剤の量は、各実施例で異なり得る。
【0446】
実施例からの全ての不織布ウェブを、三次元エンボス加工プロセスによって変形させ、上記の穿孔プロセスによって穿孔した(図5図8参照)。全ての実施例に使用される三次元パターンの写真を図17に示す。
【0447】
【表3】
【0448】
本発明の実施例B~Dは、比較例Aと比較して有意に高い耐摩耗性を呈する。
【0449】
市販の綿繊維の実施例
以下の表は、装置USTER(登録商標)AFIS PROによる2種の異なる綿タイプの結果を示す。
【0450】
【表4】
【0451】
AFISパラメータの定義:
L(n):数による平均長さは、試料中の全ての綿繊維の平均繊維長さである。
L(n)CV%:平均の周囲の繊維長さの変動は、数による長さの変動又はCV%として表現される。
L(n)5%:数による5%の長さは、綿試料中の全ての繊維の5%よりも長い長さである。
SFC(n):数による短繊維含有量は、12.7mmよりも短い綿試料中の全ての繊維の割合である。
L(w):重量による平均長さは、試料中の全ての綿繊維の平均繊維長さである。
L(w)CV%:平均の周囲の繊維長さの変動は、重量による長さの変動又はCV%として表現される。
UQL(w):重量による上位四分位長さは、綿試料中の全ての繊維のより長い25%の長さである。
SFC(w):重量による短繊維含有量は、12.7mmよりも短い綿試料中の全ての繊維の割合である。
【0452】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0453】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0454】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1
図2
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図5
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図10
図11
図12
図13
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図17