(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】電池ユニットの収納構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20240205BHJP
H01M 50/256 20210101ALI20240205BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/256 101
(21)【出願番号】P 2021145298
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】丸井 暁
(72)【発明者】
【氏名】福迫 尚紀
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-018357(JP,U)
【文献】特開2019-145269(JP,A)
【文献】特開2014-100212(JP,A)
【文献】特開2018-163757(JP,A)
【文献】特開2004-231024(JP,A)
【文献】特開2010-222793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
H01H 35/00
H02H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な電池ユニットを収納する収納棚と、
前記収納棚に収納された前記電池ユニットに接続された状態で前記電池ユニットの動作を制御する制御ユニットと、
一端が前記制御ユニットに電気的に接続された第1電力線と、
前記第1電力線の他端に電気的に接続された第1コネクタと、
外部からの受電及び外部への給電を行う第2電力線の一端に電気的に接続された第2コネクタと、
前記収納棚の底面側に取り付けられ、前記収納棚を支持するキャスタと、
前記キャスタを載置する載置台と、
前記載置台と前記第1コネクタとを機械的に接続するリンク機構と、
を備え、
前記載置台は、載置対象となるキャスタが載置されることで載置面の位置が下がり、下がった状態から前記収納棚に揺れが加わり所定向きに所定距離だけ前記キャスタが移動した場合には、前記キャスタをさらに前記所定向きへ移動させるように載置面が傾く弾性機構を備え、
前記リンク機構は、前記下がった状態で且つ前記キャスタが前記所定向きに前記所定距離だけ移動していない状態において、前記第1コネクタが前記第2コネクタに電気的に接続された状態を維持し、且つ、前記載置台の載置面が傾くことで前記キャスタが前記所定向きに少なくとも前記所定距離より大きく移動した場合に、前記第1電力線と前記第2電力線とを電気的に遮断するために前記第1コネクタを前記第2コネクタから離間させる向きに移動させるように可動する機構である、
電池ユニットの収納構造。
【請求項2】
前記載置台は複数備えられ、
前記リンク機構は、複数備えられた載置台のうち少なくとも1つに接続される、
請求項1に記載の電池ユニットの収納構造。
【請求項3】
複数備えられた載置台のうち、前記リンク機構に接続された載置台を第1載置台、前記リンク機構に接続されていない載置台を第2載置台とし、
前記第2載置台は、前記第1載置台の載置面が傾いて載置対象となるキャスタである第1キャスタが前記第1載置台から落ちた場合に、前記第1キャスタの前記第2載置台へ向かう向きへの移動を、前記第2載置台の端部で制止する位置に設置されている、
請求項2に記載の電池ユニットの収納構造。
【請求項4】
前記第1電力線は、少なくとも、前記第1キャスタが前記第1載置台に載置された状態から前記第1載置台から落ちて前記第2載置台の端部で制止される位置まで移動する分の余長をもつ、
請求項3に記載の電池ユニットの収納構造。
【請求項5】
前記収納棚は、前記電池ユニットが複数を収納可能な棚であり、
前記リンク機構は、前記収納棚に収納可能な複数の電池ユニットのうちの所定数以上の電池ユニットが前記収納棚に収納された状態になることを必要条件として、前記第1コネクタが前記第2コネクタに電気的に接続される機構である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電池ユニットの収納構造。
【請求項6】
前記載置台は、前記キャスタを載置する載置面に、前記揺れが所定値を超えるまで前記キャスタの移動を抑制する凸部又は凹部が形成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電池ユニットの収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ユニットの収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉器が開路時に、多段積みされた電池ユニットを取出せる電池ユニット盤のインターロック装置が記載されている。特許文献1に記載のインターロック装置は、箱体と、上記箱体に多段積みされた電池ユニットと、上記電池ユニットを直列接続した直流回路に接続された開閉器と、上記開閉器が開路のとき上記電池ユニットの移動を可能し、閉路のとき移動を不可とするインターロック機構と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインターロック機構は、開閉器で電池ユニットを含む回路のON/OFFを制御することで、開閉器が閉路(回路ON)のときに電池ユニットを移動不可とし、開閉器が開路(回路OFF)のときに電池ユニットを移動可能とする機構である。よって、特許文献1に記載のインターロック機構では、開閉器が故障してしまった場合には、インターロックが働かない。
【0005】
さらに、特許文献1に記載の技術では、開閉器が正常な場合における電池ユニットの交換時(メンテナンス時)には対応できるが、開閉器の故障の有無に拘わらず地震などにより異常な外力が加わった場合に回路をOFFすることができず、そのような場面で安全上自動的に回路をOFFさせるためには別の構造が必要となる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、電池ユニットの動作を制御する電気部品が故障した状態であっても機能させることが可能で、異常な外力が加わった場合にも機能させることが可能なインターロックを備えた電池ユニットの収納構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電池ユニットの収納構造は、充放電可能な電池ユニットを収納する収納棚と、前記収納棚に収納された前記電池ユニットに接続された状態で前記電池ユニットの動作を制御する制御ユニットと、一端が前記制御ユニットに電気的に接続された第1電力線と、前記第1電力線の他端に電気的に接続された第1コネクタと、外部からの受電及び外部への給電を行う第2電力線の一端に電気的に接続された第2コネクタと、前記収納棚の底面側に取り付けられ、前記収納棚を支持するキャスタと、前記キャスタを載置する載置台と、前記載置台と前記第1コネクタとを機械的に接続するリンク機構と、を備え、前記載置台は、載置対象となるキャスタが載置されることで載置面の位置が下がり、下がった状態から前記収納棚に揺れが加わり所定向きに所定距離だけ前記キャスタが移動した場合には、前記キャスタをさらに前記所定向きへ移動させるように載置面が傾く弾性機構を備え、前記リンク機構は、前記下がった状態で且つ前記キャスタが前記所定向きに前記所定距離だけ移動していない状態において、前記第1コネクタが前記第2コネクタに電気的に接続された状態を維持し、且つ、前記載置台の載置面が傾くことで前記キャスタが前記所定向きに少なくとも前記所定距離より大きく移動した場合に、前記第1電力線と前記第2電力線とを電気的に遮断するために前記第1コネクタを前記第2コネクタから離間させる向きに移動させるように可動する機構である、ものである。
【0008】
この態様に係る電池ユニットの収納構造によれば、異常な外力が加わった場合にインターロックを機能させることができ、また電気部品に依らず機械的にインターロックを機能させる構造を備えるため、電池ユニットの動作を制御する電気部品が故障した状態や停電時においてもインターロックを機能させることができる。
【0009】
また、前記載置台は複数備えられ、前記リンク機構は、複数備えられた載置台のうち少なくとも1つに接続される、ことができる。これにより、電池ユニットの収納構造において、キャスタを載置する載置台を複数備えたうえで、リンク機構によりインターロックを機能させることができる。
【0010】
さらに、複数備えられた載置台のうち、前記リンク機構に接続された載置台を第1載置台、前記リンク機構に接続されていない載置台を第2載置台とし、前記第2載置台は、前記第1載置台の載置面が傾いて載置対象となるキャスタである第1キャスタが前記第1載置台から落ちた場合に、前記第1キャスタの前記第2載置台へ向かう向きへの移動を、前記第2載置台の端部で制止する位置に設置されている、ことができる。これにより、電池ユニットの収納構造において、異常な外力によりインターロックが働いた場合にも収納棚の余分な移動を制限することができる。
【0011】
ここで、前記第1電力線は、少なくとも、前記第1キャスタが前記第1載置台に載置された状態から前記第1載置台から落ちて前記第2載置台の端部で制止される位置まで移動する分の余長をもつ、ことが好ましい。これにより、電池ユニットの収納構造において、インターロックが働くことによる第1電力線への負荷や損傷を防ぐことができる。
【0012】
また、前記収納棚は、前記電池ユニットが複数を収納可能な棚であり、前記リンク機構は、前記収納棚に収納可能な複数の電池ユニットのうちの所定数以上の電池ユニットが前記収納棚に収納された状態になることを必要条件として、前記第1コネクタが前記第2コネクタに電気的に接続される機構である、ことが好ましい。これにより、電池ユニットの収納構造に対し、電池ユニットを収納棚に収納する途中で未だ所定数の電池ユニットが収納されていない段階において、制御ユニットを非稼働の状態を保つことができる。
【0013】
また、前記載置台は、前記キャスタを載置する載置面に、前記揺れが所定値を超えるまで前記キャスタの移動を抑制する凸部又は凹部が形成されている、ことが好ましい。これにより、電池ユニットの収納構造において、どの程度の異常外力に対してインターロックを機能させるかを容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、電池ユニットの動作を制御する電気部品が故障した状態であっても機能させることが可能で、異常な外力が加わった場合にも機能させることが可能なインターロックを備えた電池ユニットの収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す概略側面図である。
【
図2】
図1の電池ユニットの収納構造における異なる状態の一例を示す概略側面図である。
【
図3】実施形態2に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す概略側面図である。
【
図4】実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す図で、
図1又は
図3における電池ユニットの収納構造におけるキャスタの位置での水平断面の一例を示す図である。
【
図5】実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の他の例を示す図で、
図1又は
図3における電池ユニットの収納構造におけるキャスタの位置での水平断面の他の例を示す図である。
【
図6】実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の他の例を示す、キャスタの位置での水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。また、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0017】
(実施形態1)
実施形態1について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1及び
図2は、実施形態1に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す概略側面図で、
図1と
図2とは互いに異なる状態を示している。
【0018】
本実施形態に係る電池ユニットの収納構造は、電池ユニットを収納した状態で定置用電源装置として使用されることができる。この定置用電源装置は、産業用、家庭用など、その用途は問わない。
図1はこの定置用電源装置の稼働時の状態を示しており、
図2はこの定置用電源装置の異常外力付加時又はメンテナンス時の状態を示している。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る電池ユニットの収納構造1(以下、本構造1)は、電池ユニット12を収納する収納棚11と、キャスタ13,14、制御ユニット15、第1電力線16、第1コネクタ17、第2コネクタ21、載置台30,40、及びリンク機構50を備えることができる。なお、本構造1には図示しない水タンクなどの冷却機構も具備することができる。
【0020】
図1では、収納棚11として3段の棚を例示しており、便宜上、各段は1列であるものとして説明する。収納棚11は、フレーム骨格のみで構成することができ、各段を構成する1対の横フレーム11aと列を構成する4つの縦フレームとを含む外枠フレームと、各1対の横フレーム11aについて横フレーム11a間を橋架する2本の棒状フレーム11bと、を備えることができる。電池ユニット12は、2本の棒状フレーム11bの上に載置されることで、収納棚11に収納されることができる。
【0021】
無論、収納棚11の形状や大きさは問わず、電池ユニット12の載置面も板状の部材であっても、対象となる電池ユニット12が載置できればよい。また、収納棚11は、
図1で例示した3段1列の棚に限ったものではなく、段数や列数は問わず、また1段に収納可能な電池ユニット12の数や1列に収納可能な電池ユニット12の数は問わない。なお、収納棚11は、収納ラックと称することもできる。
【0022】
電池ユニット12は、充放電可能な電池ユニットであれば、その種類は問わず、例えば金属箱に入れたリチウムイオン蓄電池や、鉛蓄電池などが挙げられる。
図1では、収納棚11に合計3つの電池ユニット12が収納される例を示している。
【0023】
制御ユニット15は、収納棚11に収納された電池ユニット12に接続された状態で電池ユニット12の動作を制御する。この動作の制御には充放電機能のON/OFFの制御が含まれる。制御ユニット15は、このようなON/OFF制御を行うスイッチ基板とすることができ、例えば、手動でのON/OFF操作を受け付ける操作スイッチを備えるか、あるいは外部装置からの指示に応じてON/OFFを制御することが可能に構成されている。
図1の例では、制御ユニット15が収納される電池ユニット12毎に設けられている。
【0024】
図1では、電池ユニット12に接続された制御ユニット15を並列に繋いだ例を挙げているが、直列に繋いだ場合にも以下に説明するようなインターロックは同様に機能する。また、例えば全ての電池ユニット12が直列に接続され、1つの制御ユニット15がそれらを一括で制御するような構成も採用することができる。このように、制御ユニット15は、収納される全ての電池ユニット12に対して1つ設けられていてもよいし、例えば収納されるうちの複数の電池ユニット12毎に設けられていてもよい。
【0025】
第1電力線16は、その一端が制御ユニット15に電気的に接続された電力線であり、制御ユニット15を介して外部からの電力の受電や外部への給電を行うための電力線である。第1コネクタ17は、第1電力線16の他端に電気的に接続されたコネクタである。
【0026】
第2電力線2は、外部からの受電及び外部への給電を行う電力線(外部電力線)である。第2コネクタ21は、第2電力線2の一端に電気的に接続されたコネクタで、第1コネクタ17と電気的に接続できるような形状をもつ。第2電力線2の他端は、例えばインバータに接続されることができる。
【0027】
キャスタ13,14は、収納棚11の底面側に取り付けられ、収納棚11を支持する。ここでは、キャスタ13,14は、それぞれ収納棚11の底面に設けられたキャスタ取付部11c,11dに取り付けられる例を挙げている。
【0028】
図1では、紙面奥側にもキャスタ13,14と同じ2つのキャスタが取り付けられ、合計で4つのキャスタが取り付けられているものとして説明する。但し、収納棚11の底面側に取り付けられるキャスタの数は3以上であればよい。また、取り付けられるキャスタの種類は、車輪型のものに限らず、ボール型のもの(ボールキャスタ)であってもよい。また、車輪型のキャスタは、車輪の回転方向(進行方向)が変更できない固定キャスタであってもよいし、鉛直軸を中心に回動可能にして車輪の回転方向を変更できる自在キャスタであってもよい。また、キャスタは、取り付ける位置によって異なる種類やサイズのものを取り付けることも可能である。
【0029】
載置台30,40は、それぞれキャスタ13,14を載置する台である。
図1の例では、4つのキャスタのそれぞれに対応して4つの載置台が設けられることになるが、これに限らず、稼働時においても載置台に載置されないキャスタが存在してもよいし、複数のキャスタを1つの載置台に載置させてもよい。なお、キャスタと載置台の配置のバリエーションについては実施形態3として後述する。
【0030】
載置台30は、キャスタ13を載置する第1載置板31と、載置対象となるキャスタ13が載置されることで載置面の位置が下がる弾性機構と、を備える。載置面の位置が下がるとは、載置面が収納棚11等の重みにより沈み込むことを指す。後述のばね部材32,33の説明から分かるように、装置の通常の稼働時には、載置面の高さが一律に沈み込み載置面がほぼフラットで外力無しにキャスタ13の転がりが生じない状態(
図1に示す状態)となる。以下、この状態を通常稼働状態と称する。なお、単純な例として板状の部材である第1載置板31を挙げているが、板状以外の載置部材であっても、キャスタを載置する載置面を形成できていればよい。
【0031】
上記弾性機構は、さらに、
図1のような通常稼働状態から収納棚11に揺れが加わり所定向きに所定距離だけキャスタ13が移動した場合には、キャスタ13をさらに上記所定向きへ移動させるように載置面が傾く機構である。このような機構により、揺れにより上記所定向き、上記所定距離だけキャスタ13が移動した際には、キャスタ13をさらに上記所定向きへの移動を誘導するように第1載置板31が傾く。そして、結果的に、キャスタ13を第1載置板31から転がり落とし、
図2に示すように、載置台30をキャスタ非載置の状態にすること、つまり収納棚11を載置台30から降ろした状態にすることができる。上記所定向きは
図1及び
図2の右方向(
図2中の白抜き矢印の方向)を指すことができる。
【0032】
換言すれば、上記弾性機構は、このような傾きが可能なように上記所定向きに応じて弾性率が異なるように構成されることができる。
図1及び
図2の例では、上記弾性機構として、第1載置板31の下面にばね部材32,33が設けられている。ここで、ばね部材32は、ばね部材33より第1コネクタ17側に設けられる部材である。
【0033】
ばね部材32,33は、少なくとも無負荷状態での高さがばね部材33よりばね部材32の方が高くなり且つ定位置にキャスタ13が載置されたときに第1載置板31がフラットになるように、双方のばねについての、線径、コイル中心径(平均コイル径)、有効巻き数、及びばね材料の横弾性係数、あるいはそれらによって決まるばね定数等の諸元が設定されている。また、上記所定距離は弾性機構によって異なることになり、換言すれば上記所定距離を所望の距離にするような弾性機構を用意しておけばよい。
【0034】
載置台40も、載置対象となるキャスタがキャスタ14となるが、載置台30と同様の弾性機構を備える。
図1及び
図2の例では、載置台40は、第2載置板41を備え、上記弾性機構として、第2載置板41の下面にばね部材42,43が設けられている。ばね部材42,43は、それぞればね部材32,33と同様のばね部材とすることができるが、後述するリンク機構50による負荷も考慮して寸法等の諸元を設定しておくことができる。
【0035】
リンク機構50は、載置台30と第1コネクタ17とを機械的に接続する機構である。そして、リンク機構50は、通常稼働状態で且つキャスタ13が上記所定向きに上記所定距離だけ移動していない状態において、第1コネクタ17が第2コネクタ21に電気的に接続された状態を維持する。つまり、本構造1では、通常稼働状態で電池ユニット12を収納した収納棚11等の重量で載置台30,40が沈み、載置台30にリンク機構50で繋がれた第1コネクタ17が下がることで、第1電力線16と第2電力線2とが電気的に接続された状態、つまり電力線回路が繋がった状態が維持される。
【0036】
さらに、リンク機構50は、載置台30の載置面が傾くことでキャスタ13が上記所定向きに少なくとも上記所定距離より大きく移動した場合に、第1電力線16と第2電力線2とを電気的に遮断するために第1コネクタ17を第2コネクタ21から離間させる向き(
図2の上向き矢印参照)に移動させるように可動する機構である。リンク機構50は、このようにコネクタ間を離間させる向きに物理的に移動させることができ、結果として、第1コネクタ17の位置が第2コネクタ21の位置に対して上がり、第1電力線16と第2電力線2とが電気的に非接続の状態、つまり電力線回路が物理的に切れた状態となる。なお、
図1の例の場合、第2コネクタ21はその位置が固定されているものとする。
【0037】
補足すると、上記所定向きに少なくとも上記所定距離より大きく移動した場合は、
図2の回転の矢印に示すように第1載置板31が回転することになり、
図2の状態のようにキャスタ13が載置台30から降ろされた状態に移行する。上記所定距離は、キャスタ13が載置台30から完全に降ろされた状態(
図2の状態)の手前の距離、つまり第1載置板31の部までの距離とすることもできる。
【0038】
リンク機構50の例としては、
図1及び
図2に示すように、第1部材51、第2部材52、第1ジョイント部53、第2ジョイント部54を備えた機構とすることができる。第1部材51の一端は第1載置板31の第1コネクタ17側の端部に第1ジョイント部53で回動可能に取り付けられ、第1部材51の他端は第2部材52の一端に第2ジョイント部54で回動可能に取り付けられている。第2部材52は、その断面がL字状に形成されており、その他端は取付部52aを構成する。この取付部52aは第2部材52における第1コネクタ17に固定されている。
【0039】
無論、リンク機構50におけるリンク部材やジョイント部の数、形状、サイズ等は問わず、上述のようなコネクタ間の接続の維持及び離間が可能であればよい。また、リンク機構50として、
図1ではオープンループ構造をもった機構を例示したが、クローズドループ構造をもった機構であっても適用することはできる。また、リンク機構50は、
図1の左側から収納棚11を見た場合の位置がキャスタ13の位置と重複しないように設置されることもできる。
【0040】
また、リンク機構50の代替案として、第2コネクタ21側に取付部52aが固定されている構成(但し、第1載置板31の第1コネクタ17側の端部が上がることでこの取付部52aが下がるようなリンク機構)を採用することもできる。その場合、第1コネクタ17はその位置が固定され、上記所定向きへの上記所定距離の移動が発生した際に、固定された第1コネクタ17に対して第2コネクタ21が下がることになる。
【0041】
また、第1コネクタ17及び第2コネクタ21を接触状態から非接触状態にし易くするように、両者の接触部を構成しておくことが好ましい。例えば、第1コネクタ17と第2コネクタ21との接触部においては、第1コネクタ17及び第2コネクタ21の少なくとも一方側に磁石を用いることもできる。
【0042】
以上のように、本構造1は、このようなリンク機構50を備え、第1載置板31からキャスタ13が降りる程度の異常外力が付加された時に電力線回路が遮断できるような諸元の異なる2種類のバネ部材32,33の組合せを用い、上記異常外力の付加をトリガとしてコネクタ間を接触状態から非接触状態へと切り替える。
【0043】
但し、載置台30における上記弾性機構は、3以上のばね部材で構成することや、他の弾性部材で構成することもできる。無論、載置台40に備える弾性機構も、3以上のばね部材で構成することや他の弾性部材で構成することもでき、また、載置台30に備える弾性機構と異なる機構を採用することもできる。また、載置台30,40は弾性機構をもつため、本構造1は一定の免震機能を有すると言える。よって、載置台30,40は免震台と称することもできる。
【0044】
また、上記所定向きへの上記所定距離の移動が発生する場合は揺れがあった場合(異常外力付加時)であるとして説明したが、同様の作用はメンテナンス(電池交換等)の作業を行う作業者によって与えることができる。
【0045】
つまり、上述したようなリンク機構50及び弾性機構を備えることで、
図1の通常稼働状態からメンテナンス時の状態への移行も、作業者が上記所定向きに上記所定距離だけ引き出すことで可能となる。メンテナンス時、作業者は、例えば制御ユニット15でOFFにしてから、
図1の右側に向けて収納棚11を引き出すことで、載置台30,40からそれぞれキャスタ13,14を降ろすことができる。このとき、制御ユニット15が故障していた場合でも電力線回路が遮断できるため、作業者の安全を確保することができる。
【0046】
以上に説明したように、本構造1は、電池ユニット12を収納するキャスタ付き収納棚11を載置台30,40の上に載せると第1コネクタ17と第2コネクタ21とが繋がり電力線回路がONとなり、載置台30,40の上から降ろすとそれらコネクタ間が離れ電力線回路がOFFとなるインターロックをもつ。
【0047】
よって、本構造1によれば、地震等によって異常な外力が加わった場合にインターロックを機能させることができ、また電気部品に依らず機械的にインターロックを機能させる構造を備えるため、電池ユニット12の動作を制御する電気部品である制御ユニット15が故障した状態においてもインターロックを機能させることができる。このように、本構造1では、制御ユニット15が故障した際でもメンテナンス時に収納棚11を、第1コネクタ17と第2コネクタ21とが電気的に遮断されるように引き出すことで、あるいは設置向きを逆にしておいた場合には押し出すことで、電力線回路がOFFとなり作業者が安全にアクセスできる。また、このようなインターロックは、機械的な部品のみの構成であり、リレーやセンサなどの比較的高価な電気部品が不要となるといった効果や、停電時でも機能させることができる(機能損失しない)といった効果も奏する。
【0048】
また、
図1で例示したように、リンク機構50は、複数備えられた載置台のうち少なくとも1つに接続されることができる。これにより、本構造1において、キャスタを載置する載置台を複数備えたうえで、リンク機構50によりインターロックを機能させることができ、コストや電池ユニット20の収納数や外力に対しての応答性などに応じて、必要な分だけリンク機構50に接続させておくことができる。
【0049】
また、リンク機構50は1つの搭載台30に接続されることを前提に説明したが、
図1の奥側の搭載台も合わせて2つの搭載台30に接続することや、合計4つの搭載台30,40のうち2つ以上の搭載台に接続しておくこともできる。つまり、リンク機構50は複数の載置台に接続しておくこともできる。これにより、第1コネクタ17と第2コネクタ21とを非接続とする力をそれらの複数の載置台で分散することができる。無論、本構造1に備えられた全ての載置台にリンク機構50を接続することもできる。
【0050】
また、次のような構成例を採用することもできる。ここでは、本構造1に備えられた載置台のうち、リンク機構50と接続された載置台(
図1の例では載置台30)を第1載置台、接続されていない載置台(
図1の例では載置台40)を第2載置台と称し、説明を行う。
【0051】
第2載置台40は、第1載置台30の載置面が傾いて載置対象となるキャスタであるキャスタ13が第1載置台30から落ちた場合に、キャスタ13の第2載置台40へ向かう向きへの移動を、載置台40の端部で制止する位置に設置されていることができる。これにより、本構造1において、異常な外力によりインターロックが働いた場合にも収納棚11の余分な移動を制限することができる。
【0052】
ここで、第1電力線16は、少なくとも、キャスタ13が第1載置台30に載置された状態から第1載置台30から落ちて第2載置台40の端部で制止される位置まで移動する分(
図2の長さL)の余長をもつことが好ましい。このような余長をもたせておくことで、インターロックが働くことによって第1電力線16に負荷がかかったり第1電力線16を損傷や切断させたりすることを防止することができる。また、本構造1において、制御ユニット15は収納棚11に固定されていなくてもよいが、このような予長を持たせる場合には固定されていても第1電力線16からの力が制御ユニット15にかかり難くなるため、制御ユニット15の落下防止効果は期待できる。
【0053】
但し、このような位置への設置は必須ではなく、逆にこのような制止の位置に配置しないことで収納棚11の出し入れは容易になる。
【0054】
また、収納棚11は、3点以上で地面に対して支持可能であるが、そのうち全点にキャスタを設けなくても、少なくともリンク機構50が接続された載置台30に対応するキャスタ13があればよい。それ以外の支持点は、キャスタ取付部11dで示した部分をそのまま地面に接するような滑りの良い支柱で代替として地面に接するように構成することもできる。
【0055】
また、収納棚11は、1又は複数の電池ユニット12を個別に、載置台30の位置と載置台40の位置とを結ぶ方向に出し入れ可能な開口部を備えることができる。この開口部には扉を設けておくこともできる。
【0056】
また、図示しないが、本構造1は、
図1及び
図2で図示した収納棚11等の全ての構造を収納する筐体をさらに備えることもできる。その場合、第1載置台30及び第2載置台40は上記筐体の底面の内側に固定され、第2コネクタ21も上記筐体に固定されることになるが、第2コネクタ21は収納棚11を引き出す奥側の方に配置しておくことが収納棚11を引き出し易くなる。収納棚11は、第1載置台30及び第2載置台40のそれぞれにキャスタ13、キャスタ14を載置した状態で上記筐体に収納されることになる。また、上記筐体は、電池ユニット12を収納することになるため、耐火性能、絶縁性能が高いものであることが好ましい。
【0057】
例えば、
図1及び
図2において、上記筐体として、図面右側を開口部又は開閉可能な扉とし、収納棚11等を囲うような小部屋又はロッカーを用意しておいてもよい。その場合、電池ユニット12の交換時等のメンテナンス時においては、
図2で例示した異常な外力が加わるときと同様に、作業者が収納棚11を図面右側方向に引き出すことができる。作業者は、このように引き出した後、広いスペースで収納棚11から電池ユニット12を取り出すなどしてメンテナンスを行うことができる。
【0058】
(実施形態2)
実施形態2について、
図3を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
図3は、実施形態2に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す概略側面図である。
【0059】
図3で例示するように、本実施形態に係る電池ユニットの収納構造1a(以下、本構造1a)は、第1載置板31、第2載置板41にそれぞれ凸部31a,41aを備えたものである。
【0060】
本構造1aでは、第1載置板31、第2載置板41にそれぞれ凸部31a,41aが形成されているが、凸部31a,41aの代わりに又は凸部31a,41aに加えて、第1載置板31及び第2載置板41に凹部を形成しておくこともできる。凹部を形成する場合には、例えば、キャスタの半径に合った半円筒状の溝などとすることができる。
【0061】
このように、載置台(第1載置台30、第2載置台40の一方又は双方)は、対象のキャスタを載置する載置面に、上記揺れが所定値を超えるまでそのキャスタの移動を抑制する凸部又は凹部を形成しておくことができる。これにより、本実施形態では、どの程度の異常外力に対してインターロックを機能させるかを容易に調整することができる。
【0062】
(実施形態3)
実施形態3として、キャスタと載置台との関係のバリエーションについて、
図4~
図6を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明する。実施形態3では、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。
【0063】
図4は、実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の一例を示す図で、
図1又は
図3における電池ユニットの収納構造におけるキャスタの位置での水平断面の一例を示す図である。また、
図5は、実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の他の例を示す図で、
図1又は
図3における電池ユニットの収納構造におけるキャスタの位置での水平断面の他の例を示す図である。
図6は、実施形態3に係る電池ユニットの収納構造の他の例を示す、キャスタの位置での水平断面図である。
【0064】
実施形態1における通常稼働状態では、例えば
図4に示すように、第1コネクタ17側にあるキャスタ13として左右のキャスタ13L,13Rを第1載置板31の例として共通の第1載置板311に載置しておくことができる。同様に、第1コネクタ17とは離れた側のキャスタ14として左右のキャスタ14L,14Rを第2載置板41の例として共通の第2載置板411に載置しておくことができる。
【0065】
また、実施形態1における通常稼働状態では、例えば
図5に示すように、第1コネクタ17側にあるキャスタ13として左右のキャスタ13L,13Rをそれぞれ左右の第1載置板312L,312Rに載置しておくことができる。同様に、第1コネクタ17とは離れた側のキャスタ14として左右のキャスタ14L,14Rを左右の第2載置板412L,412Rに載置しておくことができる。
【0066】
また、電池ユニットの収納構造の他の例として、その通常稼働状態において、例えば
図6に示すように、第1コネクタ17側にあるキャスタ13として左右のキャスタ13L,13Rを共通の第1載置板313に載置しておき、第1コネクタ17とは離れた側のキャスタ14としての中央に配した1つのキャスタ14Cを第2載置板41の例として第2載置板413に載置しておくことができる。この場合、異常外力付加時におけるキャスタ13L,13Rの制止のために、それぞれ第2載置板41を備える載置台の左右に制止台420L,420Rを床に設置しておくこともできる。
【0067】
その他、図示しないが、通常稼働時においても載置台に載置されないキャスタが存在してもよい。つまり、載置台に載せない部分についても収納棚11にキャスタを取り付けておくことはできる。但し、通常稼働状態で収納棚11の水平を維持するために、載置台に載せるキャスタに比べ載せないキャスタを大径にしておくとよい。あるいは、同じく水平を維持するために、載置台に載せるキャスタに比べ載せないキャスタの取付位置を下側にして回転軸の位置を下側にすることもできる。これは、例えば
図1のキャスタ取付部11cの位置より高さが低くなるようにキャスタ取付部11dを設け、キャスタ14を載置台に載せない状態を指す。
【0068】
これらの例の場合、異常外力付加時だけでなくメンテナンス時も収納棚11を引き出すなどして広いスペースに移動させる際に収納棚11が傾いた状態になる。よって、別途、メンテナンス時にも収納棚11を水平に維持するための機構を備えておくこともできる。例えば、載置台に載せる側又は載せない側のいずれか一方のキャスタの回転軸を上下方向に可動式にする機構を採用することで、メンテナンス時にも収納棚11の水平を維持することができる。
【0069】
(実施形態4)
実施形態4について、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1~3で説明した様々な例が適用できる。
【0070】
本実施形態に係る電池ユニットの収納構造は、収納棚11が複数の電池ユニット12を収納可能な棚であることを前提として、リンク機構50を次のように構成しておく。即ち、本実施形態におけるリンク機構50は、収納棚11に収納可能な複数の電池ユニット12のうちの所定数以上の電池ユニット12が収納棚11に収納された状態になることを必要条件として、第1コネクタ17が第2コネクタ21に電気的に接続される機構とする。
【0071】
このように、本実施形態では、所定数以上の電池ユニット12が収納された収納棚11を支持するキャスタ13がリンク機構50に接続された第1載置台30に載置された状態ではじめて、リンク機構50が第1コネクタ17と第2コネクタ21とを電気的に接続し、電力線回路をONにして電力の送受ができるようになる。このような必要条件は、収納棚11や制御ユニット15の重量、所定数の電池ユニット12の重量と、弾性機構とのバランスによって成立するため、弾性機構としてそのような条件を満たすものを設計して使用すればよい。
【0072】
本実施形態によれば、電池ユニット12を収納棚11に収納する途中で未だ所定数の電池ユニット12が収納されていない段階において、制御ユニット15を非稼働の状態を保つことができ、安全面で有益となる。特に、例えばリンク機構50及び第1載置台30の少なくとも一方において、上記所定数を設定する操作部を設けておくことで、予定数を上記所定数に設定してから収納作業を行うこともできる。この操作部は、例えば弾性機構の弾性定数を変更する機械的な機構に接続されることができる。
【0073】
(他の実施形態等)
なお、本発明は上記実施形態1~4に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~4で説明した各部材の形状や材質など、或いは電池ユニットの収納方法や揺れ発生時又はメンテナンス時の動作は、例示したものに限らず、本構造の機能が果たせるものあればよい。また、本発明は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、1a 電池ユニットの収納構造
2 第2電力線(外部電力線)
11 収納棚
11a 横フレーム
11b 棒状フレーム
11c、11d キャスタ取付部
12 電池ユニット
13、13L、13R、14、14L、14R、14C キャスタ
15 制御ユニット
16 第1電力線
17 第1コネクタ
21 第2コネクタ
30 載置台(第1載置台)
31、41、311、312L、312R、313、412L、412R、411、413 載置板
31a、41a 凸部
32、33、42、43 ばね部材
40 載置台(第2載置台)
50 リンク機構
51 第1部材
52 第2部材
52a 取付部
53 第1ジョイント部
54 第2ジョイント部
420L、420R 制止台