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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】負極電極および電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240205BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240205BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240205BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240205BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240205BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/36 D
H01M10/0566
H01M10/052
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021175306
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023064880
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晃
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095853(JP,A)
【文献】特開2018-206727(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114433(WO,A1)
【文献】特開2013-149403(JP,A)
【文献】特開2007-273183(JP,A)
【文献】国際公開第2013/076996(WO,A1)
【文献】特開2011-096623(JP,A)
【文献】特表2015-507329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、負極活物質層とを含む負極電極であって、
前記負極活物質層は、前記基材側から順に第一活物質層および第二活物質層を有し、
前記第一活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm未満であり、
前記第二活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm以上1500個/mm以下である、電解液を含むリチウムイオン電池に用いるための負極電極。
【請求項2】
前記第一活物質層は、第一活物質粒子から構成され、
前記第二活物質層は、第二活物質粒子から構成され、
前記第二活物質粒子の平均粒子径は、前記第一活物質粒子の平均粒子径より小さい、請求項1に記載の負極電極。
【請求項3】
前記第二活物質粒子のBET比表面積は、前記第一活物質粒子のBET比表面積より大きい、請求項に記載の負極電極。
【請求項4】
前記第二活物質層の単位体積あたりの質量密度は、前記第一活物質層の単位体積あたりの質量密度より低い、請求項1から3のいずれか一項に記載の負極電極。
【請求項5】
前記第二活物質層の厚みは、10μm以上40μm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極電極。
【請求項6】
単位体積あたりの質量密度が1.4g/cm以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の負極電極。
【請求項7】
前記第二活物質層は、温度200℃以上の酸素含有雰囲気下で分解する熱可塑性樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の負極電極。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の負極電極と、電解液とを含むリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負極電極および電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集電体側活物質層および表層側活物質層から構成される負極活物質層を備えるリチウム二次電池が開示され、表層側活物質層に含まれる負極活物質は、集電体側活物質層に含まれる負極活物質に比べ平均比表面積が大きいことが開示されている。
【0003】
特許文献2には、多孔層を外面側に有する蓄電デバイス用焼結体が開示され、多孔層を形成するための造孔材として焼結時に焼失する粒子状ポリマーを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2011/114433号
【文献】特開2021-96965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
負極活物質の比表面積が大きくなると、活物質粒子と電解液との界面が増えることにより電極反応が促進され抵抗が下がる。一方で副反応も増えることにより、耐久において不可逆リチウムが増加し、容量維持率が悪化する。
また、比表面積が大きい負極活物質は、粒子径が比較的小さかったり、石炭・石油ピッチ、フェノール樹脂などに由来する表面被覆量が比較的少なかったりすることが多い。負極活物質の粒子径が小さくなるほど、反応面積は増大し、電池抵抗は低減され易くなる一方、負極活物質層の気孔径が小さくなり、充放電時の電解液の拡散が阻害されて十分な入出力特性が得られないことがある。また、負極活物質の表面被覆量が少ないほど負極活物質の粒子強度は低下するため、負極活物質を含む層を比較的高い密度にまで圧延すると割れが生じ、耐久性が悪化することがある。
【0006】
また、焼結時に焼失する粒子状ポリマーを造孔材として用いる場合、造孔材を焼失させるための熱処理の温度がバインダーや集電箔の耐熱温度を超え、負極電極に悪影響を及ぼす場合がある。
【0007】
本開示の目的は、電池抵抗(初期抵抗)が低減され、耐久試験後においても容量維持率が低下しにくい負極電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の負極電極および電池を提供する。
[1] 基材と、負極活物質層とを含み、
前記負極活物質層は、前記基材側から順に第一活物質層および第二活物質層を有し、
前記第一活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm未満であり、
前記第二活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm以上1500個/mm以下である、負極電極。
[2] 前記第一活物質層は、第一活物質粒子から構成され、
前記第二活物質層は、第二活物質粒子から構成され、
前記第二活物質粒子の平均粒子径は、前記第一活物質粒子の平均粒子径より小さい、[1]に記載の負極電極。
[3] 前記第二活物質粒子のBET比表面積は、前記第一活物質粒子のBET比表面積より大きい、[1]または[2]に記載の負極電極。
[4] 前記第二活物質層の単位体積あたりの質量密度は、前記第一活物質層の単位体積あたりの質量密度より低い、[1]から[3]のいずれかに記載の負極電極。
[5] 前記第二活物質層の厚みは、10μm以上40μm以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の負極電極。
[6] 単位体積あたりの質量密度が1.4g/cm以上である、[1]から[5]のいずれかに記載の負極電極。
[7] 前記第二活物質層は、温度200℃以上の酸素含有雰囲気下で分解する熱可塑性樹脂を含む、[1]から[6]のいずれかに記載の負極電極。
[8] [1]から[7]のいずれかに記載の負極電極を含む、電池。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電池抵抗(初期抵抗)が低減され、耐久試験後においても容量維持率が低下しにくい負極電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、負極電極の一例を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態におけるカプセル状粒子の概念図である。
図3図3は、第1製造方法を示す概略フローチャートである。
図4図4は、本実施形態における塗工を図解する第1概念図である。
図5図5は、本実施形態における塗工の一例を図解する概略図である。
図6図6は、第2製造方法を示す概略フローチャートである。
図7図7は、本実施形態における電極体の一例を示す概略図である。
図8図8は、本実施形態における電池の一例を示す概略図である。
図9図9は、実施例における負極電極層の断面SEM画像である。
図10図10は、比較例における負極電極層の断面SEM画像である。
図11図11は、本実施例における試験電池の組み立て過程を示す概略図である。
図12図12は、試験電池の負極活物質層の密度に対する抵抗を示すグラフである。
図13図13は、試験電池の負極活物質層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。
図14図14は、試験電池の負極活物質層の密度に対する抵抗を示すグラフである。
図15図15は、試験電池の負極活物質層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。
図16図16は、試験電池の負極活物質層の密度に対する抵抗を示すグラフである。
図17図17は、試験電池の負極活物質層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」とも記される。)が説明される。ただし以下の説明は、特許請求の範囲を限定しない。
【0012】
本明細書における幾何学的な用語(例えば「直交」、「平行」等)は、厳密な意味に解されるべきではない。例えば「直交」は、厳密な意味での「直交」から多少ずれていてもよい。本明細書における幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。
【0013】
各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。本開示の理解を助けるために、各図中の寸法関係(長さ、幅、厚さ等)が変更されている場合がある。
【0014】
本明細書において、「実質的に・・・からなる」との記載は、「・・・からなる」との記載と、「・・・を含む」との記載との中間の概念である。「実質的に・・・からなる」との記載は、本開示の目的を阻害しない範囲で、必須成分に加えて、追加の成分が含まれ得ることを示す。例えば、当該技術の分野において通常想定される成分(例えば不純物等)が、追加の成分として含まれていてもよい。
【0015】
本明細書において、例えば「0.2から0.8」等の数値範囲は、特に断りのない限り、上限値および下限値を含む。例えば「0.2から0.8」は、「0.2以上0.8以下」の数値範囲を示す。また、数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値および下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
【0016】
本明細書において、例えば「LiCoO2」等の化学量論的組成式によって化合物が表現されている場合、該化学量論的組成式は代表例に過ぎない。例えば、コバルト酸リチウムが「LiCoO2」と表現されている時、特に断りのない限り、コバルト酸リチウムは「Li/Co/O=1/1/2」の組成比に限定されず、任意の組成比でLi、CoおよびOを含み得る。組成比は非化学量論的であってもよい。
【0017】
本明細書において、「粒子」および「空孔」は、文脈に応じて、単数として扱われることもあるし、複数として扱われることもあるし、単数および複数の両方として扱われることもある。例えば「粒子」は、個々の粒子を示すこともあるし、粒子の集合体(粉体)を示すこともある。
【0018】
本開示は、任意の電池に適用され得る。リチウムイオン電池は、本実施形態の一部に過ぎない。
【0019】
<負極電極>
本開示の負極電極は、基材と、負極活物質層とを含み、負極活物質層は、基材側から順に第一活物質層および第二活物質層を有し、第一活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm未満であり、第二活物質層は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度が200個/mm以上1500個/mm以下である。
【0020】
図1は、負極電極100を示す。負極電極100は、基材10と負極活物質層50とを含む。
【0021】
(基材)
基材10は導電性のシートである。基材10は、例えばアルミニウム(Al)箔、銅(Cu)箔等を含んでいてもよい。基材10は、例えば5μmから50μmの厚みを有していてもよい。例えば基材10の表面に被覆層が形成されていてもよい。被覆層は、例えば導電性の炭素材料等を含んでいてもよい。被覆層は、例えば負極活物質層50に比して小さい厚みを有していてもよい。
【0022】
(負極活物質層)
負極活物質層50は、基材10側から順に第一活物質層51および第二活物質層52を有する。第一活物質層51は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度が200個/mm未満である。第二活物質層52は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度が200個/mm以上1500個/mm以下である。
【0023】
第一および第二活物質層において直径3μm以上の空孔の単位面積あたりの個数密度がそれぞれ上記範囲であることにより、電池抵抗(初期抵抗)が低減され易く、耐久試験後においても容量維持率が低下しにくい傾向にある。これは、負極活物質層の耐久性が第一活物質層の存在により向上し、結果、耐久試験後においても容量維持率が低下しにくくなるためであると推定される。また、負極活物質層の表層側に第二活物質層が存在することにより、電解液が負極活物質層中に拡散し易くなり、電池抵抗が低減され易くなるためであると推定される。
【0024】
第一活物質層51は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度が、耐久試験後の容量維持率の低下抑制の観点から好ましくは180個/mm未満、より好ましくは170個/mm未満、さらに好ましくは160個/mm未満、特に好ましくは150個/mm未満、とりわけ好ましくは100個/mm未満である。第一活物質層51は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度が0個/mm以上であり、例えば1個/mm以上または5個/mmであってよい。
【0025】
第二活物質層52は、厚み方向に平行な横断面において、直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度が、電池抵抗(初期抵抗)の低減の観点から好ましくは220個/mm以上1450個/mm以下、より好ましくは240個/mm以上1400個/mm以下、さらに好ましくは260個/mm以上1350個/mm以下、特に好ましくは280個/mm以上1300個/mm以下、とりわけ好ましくは300個/mm以上1250個/mm以下である。
【0026】
直径3μm以上の空孔40の単位面積あたりの個数密度は、電極100(活物質層50)の厚み方向に平行な横断面のSEM画像において測定される。厚み方向に平行な横断面のSEM画像は、図5のy軸方向から撮像されたSEM画像を示す。電極100の横断面から無作為に抽出された10箇所で、SEM画像が取得される。すなわち10枚以上のSEM画像が準備される。各SEM画像において、直径3μm以上の空孔40が計数される。直径3μm以上の空孔40の個数が撮像範囲の面積で除されることにより、個数密度が算出される。10枚以上のSEM画像において、個数密度がそれぞれ算出される。10個以上の個数密度の算術平均が、直径3μm以上の空孔40の個数密度とみなされる。
【0027】
直径3μm以上の空孔40の直径は、電極100(負極活物質層50)の厚み方向に平行な横断面のSEM画像における最大径を示す。直径3μm以上の空孔40の最大径は、直径3μm以上の空孔40の輪郭線上における最も離れた2点間の距離を示す。直径3μm以上の空孔40は、例えば3μmから100μmの直径を有していてもよいし、5μmから50μmの直径を有していてもよいし、10μmから30μmの直径を有していてもよい。
【0028】
直径3μm以上の空孔40は、後述のカプセル状粒子30に由来する形状を有し得る。直径3μm以上の空孔40は、例えば球状に近似した形状を有し得る。直径3μm以上の空孔40は、例えば1から5のアスペクト比を有していてよく、例えば1から3のアスペクト比、または1から2のアスペクト比、または1から1.5のアスペクト比を有していてもよい。「アスペクト比」は、短径に対する長径の比を示す。アスペクト比は、電極100(負極活物質層50)の厚み方向に平行な横断面のSEM画像において測定される。前述のSEM画像における最大径が長径とみなされる。長径を規定する線分と直交する径の中で、最大の径が短径とみなされる。アスペクト比は、10個以上の直径3μm以上の空孔40において測定される。10個以上の直径3μm以上の空孔40は無作為に抽出される。10個以上のアスペクト比の算術平均が、直径3μm以上の空孔40のアスペクト比とみなされる。
【0029】
直径3μm以上の空孔40の少なくとも一部は、負極活物質層50の表面に開口部(入口)を有していてもよい。直径3μm以上の空孔40の内部の幅に比して、開口部は小さい幅を有していてもよい。内部および開口部の幅は、活物質層50の厚み方向と直交する方向(図1のx軸方向)の寸法を示す。直径3μm以上の空孔40が活物質層50の表面に開口していることにより、例えば、受入性の向上等が期待される。
【0030】
負極活物質層50の単位体積あたりの質量密度は、例えば0.8g/cm3から2.0g/cm3であってよく、0.8g/cm3から1.6g/cm3であってもよい。本明細書において単位体積あたりの質量密度は見かけ密度を示す。
【0031】
第一活物質層51および第二活物質層52の単位体積あたりの質量密度は互いに同一または異なっていてよく、電池抵抗の低減、耐久試験後の容量維持率の低下抑制の観点から第二活物質層52の単位体積あたりの質量密度が第一活物質層51の単位体積あたりの質量密度より低いことが好ましい。第一活物質層51の単位体積あたりの質量密度は、好ましくは1.0g/cm3から2.0g/cm3である。第二活物質層52の単位体積あたりの質量密度は、好ましくは0.5g/cm3から2g/cm3、より好ましくは0.8g/cm3から1.8g/cm3である。
【0032】
負極活物質層50は、例えば10μmから200μmの厚みを有していてもよいし、50μmから100μmの厚みを有していてもよい。
【0033】
第一活物質層51および第二活物質層52の厚みは、例えば5μmから100μmであってよく、15μmから50μmであってよい。第一活物質層51および第二活物質層52の厚みは互いに同一であってよく、異なっていてもよい。負極活物質層50、第一活物質層51および第二活物質層52の厚みは、上述のSEM画像から測定される。
【0034】
第一活物質層51は、第一活物質粒子1から構成されることができる。第二活物質層52は、第二活物質粒子2から構成されることができる。本明細書において、第一活物質粒子および第二活物質粒子の両方を指すときは活物質粒子ということがある。第一活物質層51および第二活物質層52は、樹脂片33をさらに含むことができる。負極活物質層50は、第一活物質層51および第二活物質層52の両方が樹脂片33を含んでいてよいし、第二活物質層52のみが樹脂片33を含み、第一活物質層51が樹脂片33を含んでいなくてもよい。第一活物質層51および第二活物質層52は、バインダ(不図示)をさらに含むことができる。第一活物質層51および第二活物質層52は、導電材(不図示)をさらに含むことができる。
【0035】
(活物質粒子)
活物質粒子は負極活物質を含む。負極活物質は、任意の成分を含み得る。負極活物質は、例えば黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、Si、SiO、Si基合金、Sn、SnO、Sn基合金およびLi4Ti512からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。活物質粒子は、実質的に負極活物質からなっていてもよい。活物質粒子は、負極活物質以外の成分をさらに含んでいてもよい。
【0036】
活物質粒子は任意の大きさを有し得る。活物質粒子の平均粒子径は、例えば1μmから30μmであってよく、1μmから20μmであってもよいし、1μmから10μmであってもよい。本明細書において活物質粒子の平均粒子径は、体積基準の粒度分布において小粒径側からの累積粒子体積が全粒子体積の50%になる粒子径を表す。本明細書において活物質粒子の平均粒子径はD50とも表記することがある。平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により測定され得る。
【0037】
第一活物質粒子および第二活物質粒子の平均粒子径は互いに同一または異なっていてよく、電池抵抗(初期抵抗)の低減、耐久試験後の容量維持率の低下抑制の観点から第二活物質粒子の平均粒子径が第一活物質粒子の平均粒子径より小さいことが好ましい。
【0038】
第一活物質粒子の平均粒子径は、好ましくは2μm以上30μm以下であり、より好ましく5μm以上20μm以下、さらに好ましくは10μm超20μm以下である。
【0039】
第二活物質粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは4μm以上10μm以下である。
【0040】
第一活物質粒子は、例えば0.5m/gから10m/gのBET比表面積を有していてよいし、好ましくは0.5m/gから3m/gのBET比表面積を有する。第二活物質粒子は、例えば1m/gから10m/gのBET比表面積を有していてよく、好ましくは3m/gから9m/gのBET比表面積を有する。第一活物質粒子および第二活物質粒子のBET比表面積は互いに同一または異なっていてよく、電池抵抗(初期抵抗)の低減、耐久試験後の容量維持率の低下抑制の低減の観点から第二活物質粒子のBET比表面積は第一活物質粒子のBET比表面積より大きいことが好ましい。BET比表面積は、BET多点法により測定される。
【0041】
(樹脂片)
樹脂片33は、直径3μm以上の空孔40内に配置されている。樹脂片33は熱可塑性樹脂を含む。樹脂片33は、直径3μm以上の空孔40を形成するために用いる後述のカプセル状粒子の外殻が変形したものであり得る。樹脂片33は第一活物質層51および第二活物質層52の両方に含まれてよい。樹脂片33は第二活物質層52のみに含まれてよく、第一活物質層51に含まれていなくてもよい。樹脂片33は任意の形状を有し得る。樹脂片33は、例えばフレーク状であってもよいし、粒子状であってもよい。直径3μm以上の空孔40内に配置された樹脂片33は、負極活物質層50内における電子伝導およびイオン伝導を実質的に阻害しないと考えられる。なお、本開示の別の実施形態においては、適当な方法(例えば吸引、エアブロー等)により、樹脂片33の少なくとも一部が直径3μm以上の空孔40から取り除かれてもよい。
【0042】
(カプセル状粒子)
カプセル状粒子は造孔材として機能する。負極活物質層(または塗膜)内においてカプセル状粒子が収縮することにより、空孔が形成される。カプセル状粒子の形状により、空孔形状が制御され得る。カプセル状粒子は、負極活物質層50において、好ましくは第二活物質層52において、直径3μm以上の空孔40を形成することができる。カプセル状粒子は、例えば1μmから100μmの平均粒子径を有していてもよい。カプセル状粒子は、例えば5μmから40μmの平均粒子径を有していてもよい。
【0043】
例えば、カプセル状粒子の平均粒子径と、目的とする第一または第二活物質層の厚みとが特定の関係を満たしてもよい。例えば、第一または第二活物質層の厚みに対する、カプセル状粒子の平均粒子径の比が0.05から0.4であってもよい。第一または第二活物質層の厚みに対する、カプセル状粒子の平均粒子径の比が0.05から0.4である時、スラリーの塗工性が向上する傾向がある。第一または第二活物質層の厚みに対する、カプセル状粒子の平均粒子径の比は、例えば、0.1から0.4であってもよいし、0.2から0.3であってもよい。
【0044】
本実施形態のカプセル状粒子は、電極の製造過程において一旦膨張した後、収縮する場合がある。カプセル状粒子は、膨張した状態で、活物質粒子に比して大きい平均粒子径を有していてもよい。カプセル状粒子が活物質粒子に比して大きいサイズを有することにより、活物質粒子に比して大きいサイズの空孔が形成され得る。
【0045】
カプセル状粒子は、任意の粒子形状を有し得る。カプセル状粒子は、例えば、球状、柱状、板状等であってもよい。
【0046】
カプセル状粒子の配合量により、第一または第二活物質層における空孔量、空孔の個数密度等が制御され得る。カプセル状粒子の配合量は、その他固形分に対して、例えば0.01%から5%の質量分率を有していてもよい。「その他固形分」は、スラリーに含まれる成分のうち、分散媒およびカプセル状粒子を除く成分の合計を示す。カプセル状粒子は、その他固形分に対して、例えば0.05%から3%の質量分率を有していてもよいし、0.1%から1%の質量分率を有していてもよいし、0.2%から0.8%の質量分率を有していてもよいし、0.3%から0.7%の質量分率を有していてもよい。
【0047】
カプセル状粒子は熱可塑性樹脂を含む。本実施形態においては、特定の性質を有する熱可塑性樹脂が選択される。すなわち熱可塑性樹脂は、有機溶媒の共存下で加熱されることにより軟化し得る。熱可塑性樹脂は、有機溶媒の共存下で、例えば60℃から160℃の軟化点を有していてもよい。熱可塑性樹脂は、有機溶媒の共存下で、例えば100℃から140℃の軟化点を有していてもよい。熱可塑性樹脂は、有機溶媒の共存下で、例えば100℃以下の軟化点を有していてもよい。熱可塑性樹脂は例えば温度200℃以上の酸素含有雰囲気下で分解する熱可塑性樹脂であってよい。第二活物質層52は、温度200℃以上の酸素含有雰囲気下で分解する熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0048】
熱可塑性樹脂は、例えば有機溶媒と接触しただけでは、実質的に軟化しない材料であってもよい。熱可塑性樹脂は、例えば有機溶媒に実質的に溶解しない材料であってもよい。例えば熱可塑性樹脂の一部が有機溶媒に溶解してもよい。
【0049】
熱可塑性樹脂は、1種以上のモノマーが重合することにより形成されていてもよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ニトリル系モノマー、カルボキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ビニル系モノマー、およびビニリデン系モノマーからなる群より選択される少なくとも1種に由来する、構成繰返し単位を含んでいてもよい。ニトリル系モノマーは、例えば、アクリルニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。カルボキシ基含有モノマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。本実施形態における「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを示す。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、および(メタ)アクリル酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。ビニル系モノマーは、例えば、塩化ビニル等を含んでいてもよい。ビニリデン系モノマーは、例えば、塩化ビニリデン等を含んでいてもよい。
【0050】
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂および塩化ビニリデン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0051】
図2は、本実施形態におけるカプセル状粒子の概念図である。カプセル状粒子30は、外殻31を含む。カプセル状粒子30は、例えば、中空であってもよい。カプセル状粒子30は、外殻31と内包物32とを含んでいてもよい。例えば、市販の熱膨張性マイクロカプセルが、カプセル状粒子30として使用されてもよい。
【0052】
外殻31は、前述の熱可塑性樹脂を含む。内包物32は、揮発性物質およびガスからなる群より選択される少なくとも1種を含む。膨張前の熱膨張性マイクロカプセルがカプセル状粒子30として使用される場合、内包物32が揮発性物質を含む。揮発性物質は、加熱されることによりガスを発する物質である。揮発性物質は、例えば液体炭化水素等を含んでいてもよい。揮発性物質は、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。内包物32が揮発性物質を含む時、揮発性物質はカプセル状粒子30に対して、例えば5%以上100%未満の体積分率を有していてもよい。揮発性物質はカプセル状粒子30に対して、例えば10%から50%の体積分率を有していてもよいし、10%から40%の体積分率を有していてもよい。
【0053】
本実施形態において内包物32の体積分率は、カプセル状粒子30の断面SEM(Scanning Electron Microscope)画像において測定される。複数個のカプセル状粒子30が所定の樹脂に包埋される。樹脂が切断されることにより、断面試料が準備される。この時点で内包物32は実質的に除去されてもよい。断面試料の表面が清浄化される。SEMによりカプセル状粒子30の断面が観察される。カプセル状粒子30の断面において、外殻31の面積(s1)と、内包物32に由来する中空部(s2)の面積が測定される。「式:体積分率(%)=s2/(s1+s2)」により、内包物32の体積分率が算出される。10個以上のカプセル状粒子30において、内包物32の体積分率が測定される。10個以上の体積分率の算術平均が、内包物32の体積分率とみなされる。本実施形態において、内包物32の体積分率は整数部分のみ有効である。小数点以下は四捨五入される。
【0054】
膨張後の熱可塑性マイクロカプセルがカプセル状粒子30として使用される場合、内包物32がガスを含む。ガスは、例えば、炭化水素ガス等を含んでいてもよい。内包物32がガスを含む時、ガスはカプセル状粒子30に対して、例えば50%以上100%未満の体積分率を有していてもよい。ガスはカプセル状粒子30に対して、例えば70%以上100%未満の体積分率を有していてもよいし、95%以上100%未満の体積分率を有していてもよいし、95%から99%の体積分率を有していてもよい。
【0055】
(バインダ)
バインダは、活物質粒子同士を結着する。バインダは、活物質粒子と基材とを結着する。バインダは任意の成分を含み得る。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ(ビニリデンフルオリド-co-ヘキサフルオロプロピレン)(PVdF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、およびスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。バインダの配合量は第一活物質層および第二活物質層においてそれぞれ、100質量部の活物質粒子に対して、例えば0.1質量部から10質量部であってもよい。
【0056】
(導電材)
導電材は、負極活物質層50内に電子伝導パスを形成する。導電材は任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンフレーク、金属粒子、および金属繊維からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。導電材の配合量は、第一活物質層および第二活物質層においてそれぞれ100質量部の活物質粒子に対して、例えば0.1質量部から10質量部であってもよい。
【0057】
(負極電極の製造方法)
負極電極100(図1参照)は、第1製造方法によって製造されてもよい。負極電極100は、第2製造方法において形成されてもよい。
【0058】
(第1製造方法)
第1製造方法は、「(A1)スラリーの調製」、「(B1)塗工」、「(C1)乾燥」および「(D1)圧縮」を含むことができる。図3は、第1製造方法を示す概略フローチャートである。
【0059】
(A1)スラリーの調製
第1製造方法は、活物質粒子とカプセル状粒子とバインダと有機溶媒とを混合することにより、スラリーを調製することを含むことができる。第一活物質層51および第二活物質層52はそれぞれ第一活物質層用スラリーおよび第二活物質層用スラリーを用いて形成することができる。本明細書において、第一活物質層用スラリーおよび第二活物質層用スラリーの両方を指すときはスラリーということがある。スラリーは、活物質粒子、カプセル状粒子、バインダ、有機溶媒、導電材等を含むことができる。第二活物質層用スラリーはカプセル状粒子を含み、第一活物質層用スラリーはカプセル状粒子を含まなくてもよい。
【0060】
第1製造方法においては、スラリーの分散媒として有機溶媒が使用される。有機溶媒は、スラリーの分散媒として機能する。一部の成分(例えばバインダ等)が有機溶媒に溶解してもよい。有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。有機溶媒の使用量は任意である。すなわちスラリーは、任意の固形分濃度(固形分の質量分率)を有し得る。スラリーは例えば40%から80%の固形分濃度を有していてもよい。
【0061】
第1製造方法においては、任意の攪拌装置、混合装置、分散装置が使用され得る。例えば、攪拌装置の攪拌槽に、所定の配合で各材料が投入され、攪拌される。これによりスラリーが調製される。活物質粒子、カプセル状粒子、バインダおよび有機溶媒に加えて、例えば導電材等がスラリーに混合されてもよい。攪拌条件(攪拌時間、攪拌速度等)は、適宜調整される。材料の投入順序は任意である。全材料が同時に投入されてもよいし、個々の材料が順次投入されてもよい。
【0062】
(B1)塗工
第1製造方法は、スラリーを基材の表面に塗工することにより、塗膜を形成することを含むことができる。本実施形態においては、任意の塗工装置により、スラリーが基材の表面に塗工され得る。例えば、スロットダイコータ、ロールコータ等が使用されてもよい。塗工装置は、多層塗工が可能なものであってもよい。
【0063】
塗膜は、例えば二層塗工により形成されることができる。二層塗工において、第一活物質層の第一塗膜と第二活物質層の第二塗膜とは順次形成されてもよいし、実質的に同時に形成されてもよい。本明細書において、第一塗膜および第二塗膜の両方を指すときは塗膜ということがある。
【0064】
図4は、塗工を図解する概念図である。二層塗工において、第一塗膜71はカプセル状粒子を含まないように形成されてよく、第二塗膜72はカプセル状粒子30を含むように形成されてよい。
【0065】
図5に示すように、スロットダイコータ60を用いて基材10を矢印の方向に動かし、第一活物質層用スラリー81を基材10の一方の面に塗工し、第一塗膜71を形成した後、その上に重ねて第二活物質層用スラリー82を塗工し、第二塗膜72を形成することができる。
【0066】
(C1)乾燥
第1製造方法は、塗膜を加熱して乾燥させることを含むことができる。本実施形態においては、塗膜が加熱され得る限り、任意の乾燥装置が使用され得る。例えば熱風乾燥機等により、塗膜が加熱されてもよい。
【0067】
塗膜70が加熱されることにより、有機溶媒83の共存下でカプセル状粒子30(図3参照)が加熱されることになる。熱可塑性樹脂(外殻31)が軟化し、カプセル状粒子30が収縮することができる。これにより、直径3μm以上の空孔40が形成されることができる。直径3μm以上の空孔40内には樹脂片33が残留する。樹脂片33は、外殻31(図3参照)が変形したものであることができる。本実施形態における「加熱」は熱を加えることを示す。加熱対象物の温度が上昇しない場合もある。本実施形態における加熱温度は、乾燥機の槽内温度を示す。熱可塑性樹脂が軟化し得る限り、加熱温度(乾燥温度)は任意である。加熱温度は、例えば60℃から200℃であってもよいし、80℃から150℃であってもよいし、100℃から120℃であってもよい。
【0068】
さらに塗膜70が加熱されることにより、有機溶媒83(図3参照)が蒸発し得る。これにより有機溶媒83が実質的に除去され得る。塗膜70が加熱されることにより、カプセル状粒子30の内包物32も蒸発し得る。内包物32も実質的に除去され得る。
【0069】
(D1)圧縮
第1製造方法は、乾燥させた塗膜70を圧縮して負極活物質層50を形成することにより、電極100を製造することを含むことができる。本実施形態においては、任意の圧縮装置が使用され得る。例えば、圧延機等が使用されてもよい。乾燥後の塗膜70が圧縮され、負極活物質層50が形成され、電極100が完成する。電極100は、電池の仕様に応じて、所定の平面サイズに切断され得る。電極100は、例えば帯状の平面形状を有するように切断されてもよい。電極100は、例えば矩形状の平面形状を有するように切断されてもよい。
【0070】
なお圧縮により、空孔が多少変形する可能性がある。ただし本実施形態における空孔は、所定の形状、サイズを圧縮後も維持し得ると考えられる。
【0071】
(第2製造方法)
図6は、第2製造方法を示す概略フローチャートである。
本実施形態における第2製造方法は、電池の製造方法である。第2製造方法は、「(A2)スラリーの調製」、「(B2)塗工」、「(C2)乾燥」、「(D2)圧縮」、「(E2)電池の組み立て」および「(F2)加熱エージング」を含むことができる。第2製造方法においては、負極電極の製造後に、電池内において空孔が形成され得る。第2製造方法は、例えば、「(E2)電池の組み立て」と「(F2)加熱エージング」との間に、「初回充電」、「初回放電」等をさらに含んでいてもよい。
【0072】
(A2)スラリーの調製
第2製造方法は、活物質粒子とカプセル状粒子とバインダと水系溶媒とを混合することにより、スラリーを調製することを含むことができる。第2製造方法においては、スラリーの分散媒として水系溶媒が使用される。水系溶媒が使用されることを除いて、第2製造方法における「(A2)スラリーの調製」においては、第1製造方法における「(A1)スラリーの調製」と同様の操作が実施されてもよい。
【0073】
(水系溶媒)
水系溶媒は、水(例えばイオン交換水等)を含む。水系溶媒は、実質的に水からなっていてもよい。水系溶媒は、水に加えて、水と混和し得る極性有機溶媒をさらに含んでいてもよい。水系溶媒は、例えば、アルコール、ケトン等をさらに含んでいてもよい。
【0074】
(B2)塗工
第2製造方法は、スラリーを基材の表面に塗工することにより、塗膜を形成することを含むことができる。第2製造方法における「(A2)塗工」においては、第1製造方法における「(A1)塗工」と同様の操作が実施されてもよい。
【0075】
(C2)乾燥
第2製造方法は、塗膜を加熱して乾燥させることことを含むことができる。第2製造方法においても、任意の乾燥装置が使用され得る。
【0076】
水系溶媒は、比較的に低い加熱温度で蒸発し得る。加熱温度は、例えば40℃から200℃であってもよいし、40℃から100℃であってもよいし、50℃から90℃であってもよいし、60℃から80℃であってもよい。
【0077】
カプセル状粒子に含まれる熱可塑性樹脂は、水系溶媒との接触によっては軟化し難いと考えられる。さらに加熱温度は低く設定され得る。そのため第2製造方法においては、乾燥後の負極活物質層において、カプセル状粒子が収縮せずに残存し得る。なお、乾燥時の加熱温度がカプセル状粒子の膨張開始温度に達しない場合、「(A2)スラリーの調製」よりも前の段階で、予めカプセル状粒子が加熱され、膨張状態とされてもよい。
【0078】
(D2)圧縮
第2製造方法は、乾燥した塗膜を圧縮して負極活物質層を形成することにより、負極電極を製造することを含むことができる。第2製造方法における「(D2)圧縮」においては、第1製造方法における「(D1)圧縮」と同様の操作が実施されてもよい。乾燥後の負極活物質層が圧縮されることにより、負極電極が完成する。圧縮後の負極活物質層においてもカプセル状粒子は、実質的に収縮せずに残存していると考えられる。負極電極は、電池の仕様に応じて、所定の平面サイズに切断され得る。
【0079】
(E2)電池の組み立て
第2製造方法は、負極電極と電解液とを含む電池を組み立てることを含むことができる。
【0080】
図7は、本実施形態における電極体の一例を示す概略図である。
例えば、電極体150が形成される。電極体150は巻回型である。ただし巻回型は一例である。本実施形態における電極体は積層(スタック)型であってもよい。電極体150は、正極電極110とセパレータ130と負極電極120とを含む。正極電極110、セパレータ130および負極電極120は、いずれも帯状のシートである。正極電極110、セパレータ130および負極電極120が積層され、さらに渦巻状に巻回されることにより電極体150が形成され得る。2枚のセパレータ130が使用されてもよい。巻回後、電極体150が扁平状に成形されてもよい。
【0081】
第2製造方法においては、正極電極110は、「(A2)スラリーの調製」から「(D2)圧縮」のプロセスに準拠して製造されていてよい。
【0082】
図8は、本実施形態における電池の一例を示す概略図である。
外装体190が準備される。外装体190は、任意の形態を有し得る。外装体190は、例えば金属製の容器等であってもよい。外装体190は、例えばアルミラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。外装体190は、例えば、角形であってもよいし、円筒形であってもよい。外装体190は、例えば、電解液を注入するための注入口(不図示)を有していてもよい。
【0083】
外装体190に電極体150が収納される。電極体150は、例えば正極集電部材181によって正極端子191に接続され得る。電極体150は、例えば負極集電部材182によって負極端子192に接続され得る。
【0084】
電解液(不図示)が準備される。電解液は、支持電解質と有機溶媒とを含む。外装体190に電解液が注入される。電解液が電極体150に含浸される。電解液の注入後、外装体190が密閉される。以上より、電池1000が組み立てられる。電池1000の組み立て後、例えば、初回充電、初回放電等が実施されてもよい。
【0085】
《(F2)加熱エージング》
第2製造方法は、電池に加熱エージングを施すことを含む。電池に加熱エージングが施されることにより、電池が完成する。本実施形態における「加熱エージング」は、電池を所定期間加熱することを示す。例えば、電池のSOC(State Of Charge)が調整される。本実施形態においては、定格容量に相当する容量が充電された状態が、100%のSOCと定義される。SOCは、例えば40%から80%に調整されてもよい。
【0086】
SOCの調整後、例えば恒温槽内で電池が所定期間保存される。恒温槽の槽内温度は、例えば40℃から120℃であってもよいし、60℃から90℃であってもよいし、70℃から80℃であってもよい。保存期間は、例えば1時間から48時間であってもよいし、12時間から24時間であってもよい。
【0087】
第2製造方法においては、カプセル状粒子に含まれる熱可塑性樹脂が電解液に接触することにより軟化する。熱可塑性樹脂が軟化することにより、カプセル状粒子が収縮し、活物質層内に空孔が形成され得る。
【0088】
第2製造方法における熱可塑性樹脂は、例えば、電解液(有機溶媒)と接触しただけで軟化する材料であってもよい。第2製造方法における熱可塑性樹脂は、例えば、電解液(有機溶媒)の共存下で加熱されることにより軟化する材料であってもよい。したがって熱可塑性樹脂は、例えば、電解液の注入から加熱エージングまでの間に軟化してもよい。熱可塑性樹脂は、加熱エージング時に軟化してもよい。すなわち、電解液の注入から加熱エージングまでの間に空孔が形成されもよいし、加熱エージング時に空孔が形成されてもよい。
【0089】
<電池>
本実施形態における電池1000(図8参照)は、任意の用途に使用され得る。電池1000は、例えば、電動車両において、主電源または動力アシスト用電源として使用されてもよい。複数個の電池1000(単電池)が連結されることにより、電池モジュールまたは組電池が形成されてもよい。
【0090】
電池は、電極と電解液とを含む。電池は任意の構造を有し得る。構造の一例は、前述のとおりである。電池は、電極および電解液に加えて、外装体、セパレータ等をさらに含み得る。
【0091】
(電極)
電極は、正極電極および負極電極の少なくとも一方を示す。負極は上述の負極電極を含むことができる。本実施形態においては、負極電極に空孔が形成されている。そのため電池抵抗の低減が期待される。
【0092】
正極電極は、正極活物質を含む活物質粒子を含むことができる。正極活物質は、任意の成分を含み得る。正極活物質は、例えば、LiCoO、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(NiCoMn)O2、Li(NiCoAl)O2、およびLiFePO4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。ここで、例えば「Li(NiCoMn)O2」等の組成式における「(NiCoMn)」等の記載は、括弧内の組成比の合計が1であることを示している。正極電極に含まれる活物質粒子は、実質的に正極活物質からなっていてもよい。正極電極に含まれる活物質粒子は正極活物質以外の成分をさらに含んでいてよく、例えば活物質粒子の表面に酸化物、炭化物、硼化物、リン化物、ハロゲン化物等が付着していてもよい。正極電極に含まれる活物質粒子は任意の大きさを有し得る。
【0093】
(電解液)
電解液は、支持電解質と有機溶媒とを含む。電解液は、支持電解質および有機溶媒に加えて、任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。有機溶媒は非プロトン性である。有機溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルカーボネート(DEC)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。支持電解質は有機溶媒に溶解している。支持電解質は任意の成分を含み得る。支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4、およびLiN(FSO22からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。支持電解質は、例えば0.5mоl/Lから2.0mоl/Lの濃度を有していてもよい。
【0094】
(セパレータ)
電池はセパレータをさらに含んでいてもよい(図7中の符号130参照)。セパレータの少なくとも一部は、正極電極と負極電極との間に介在している。セパレータは、正極電極と負極電極とを分離している。セパレータは、例えば、10μmから30μmの厚みを有していてもよい。セパレータは多孔質である。セパレータは電気絶縁性である。セパレータは、例えばポリオレフィン製であってもよい。セパレータは、例えば単層構造を有していてもよい。セパレータは、例えばポリエチレン(PE)層からなっていてもよい。セパレータは、例えば多層構造を有していてもよい。セパレータは、例えば三層構造を有していてもよい。セパレータは、例えばポリプロピレン(PP)層、PE層およびPP層を含んでいてもよい。PP層、PE層およびPP層は、この順に積層されていてもよい。セパレータの表面に、例えばセラミック層等が形成されていてもよい。
【実施例
【0095】
以下、本開示の実施例(以下「本実施例」とも記される。)が説明される。ただし以下の説明は、特許請求の範囲を限定しない。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
【0096】
<負極電極の製造>
No.1からNo.8に係る負極電極が製造された。
【0097】
《(A1)スラリーの調製》
下記材料が準備された。
活物質粒子1:黒鉛(平均粒子径:16μm、BET比表面積:2.9m/g)
活物質粒子2:黒鉛(平均粒子径:7μm、BET比表面積:5.1m/g)
バインダ:CMC、SBR
カプセル状粒子:熱膨張性マイクロカプセル(膨張後の状態)
水系溶媒:水
基材:Cu箔
【0098】
下記質量比での材料が水系溶媒と混合され、スラリー1から4が調製された。カプセル状粒子は混合前に加熱され、膨張状態とされた。
スラリー1:負極活物質1/CMC/SBR=98.3/0.7/1
スラリー2:負極活物質1/CMC/SBR/カプセル状粒子=97.5/0.7/1/0.8
スラリー3:負極活物質2/CMC/SBR=98.3/0.7/1
スラリー4:負極活物質2/CMC/SBR/カプセル状粒子=97.5/0.7/1/0.8
【0099】
《(B1)塗工》
第一活物質層用スラリーが基材の一方の面に塗工され、第一塗膜が形成された後、その上に重ねて第二活物質層用スラリーが塗工され、第二塗膜が形成された。第一および第二塗膜は基材の一部が露出するように形成された。スラリーは後述の圧縮後の第一および第二活物質層の厚みが同一となるように塗工された。用いた第一および第二活物質層用スラリーの組合せは表1に示される。第一および第二活物質層の塗布重量は共に片面あたり65g/m、合計130g/mであった。塗工は基材の両面に行った。
【0100】
《(C1)乾燥》
バッチ型乾燥機により、第一および第二塗膜が加熱され、乾燥された。加熱温度は60℃であった。
【0101】
《(D2)圧縮》
乾燥された第一および第二塗膜が圧縮されることにより、第一および第二活物質層を備える負極原反が製造された。No.1からNo.8に係る負極電極はいずれも、圧縮条件の変更により負極活物質層の密度[g/cm]が1.2、1.3、1.4、1.5、1.6となるように製造された。
【0102】
図9は、No.1における負極電極の厚み方向における横断面のSEM画像である。図9において、第二活物質層中に直径3μm以上のカプセル40が確認された。図10は、No.5における負極電極の厚み方向における横断面のSEM画像である。図10において、第一および二活物質層のいずれにも直径3μm以上の空孔40は確認されなかった。
【0103】
作製した負極電極の厚み方向における横断面のSEM画像から直径3μm以上の空孔の個数密度を求めた。結果を表2に示す。
【0104】
<正極の製造>
《(A2)正極用スラリーの調製》
下記材料が準備された。
活物質粒子:LiNi1/3Co1/3Mn1/32
導電材:導電性炭素
バインダ:PVdF
有機溶媒:NMP
基材:Al箔
【0105】
活物質粒子とバインダと導電材と有機溶媒とが混合されることにより、スラリーが調製された。その他固形分の質量比は、「活物質粒子/導電材/バインダ=97/2/1」であった。
【0106】
《(B2)塗工》
スラリーが基材の表面(表裏両面)に塗工されることにより、塗膜が形成された。塗膜は基材の一部が露出するように形成された。
【0107】
《(C2)乾燥》
バッチ型乾燥機により、塗膜が加熱され、乾燥された。加熱温度は60℃であった。
【0108】
《(D2)圧縮》
乾燥された塗膜が圧縮されることにより、正極活物質層を備える正極原反が製造された。
【0109】
<試験電池の製造>
《(E2)電池の組み立て》
図11は、本実施例における試験電池の組み立て過程を示す概略図である。
上記で製造された正極原反が切断されることにより、正極電極310が形成された。正極電極310は、帯状の平面形状を有していた。正極電極310は、幅50mm×長さ230mmの平面寸法を有していた。正極電極310は、正極基材311と正極活物質層312とを含んでいた。正極基材311の一部は、正極活物質層312から露出していた。正極基材311が露出した部分に、正極リードタブ313が超音波によって接合された。正極リードタブ313の接合位置は、長さ方向の一端から7mm離れた位置であった。
【0110】
上記で製造された負極原反が切断されることにより、負極電極320が形成された。負極電極320は、帯状の平面形状を有していた。負極電極320は、幅52mm×長さ330mmの平面寸法を有していた。負極電極320は、負極基材321と負極活物質層322を含んでいた。負極基材321の一部は、負極活物質層322から露出していた。負極基材321が露出した部分に、負極リードタブ323が超音波によって接合された。負極リードタブ323の接合位置は、長さ方向の一端から18mm離れた位置であった。
【0111】
セパレータ(不図示)が準備された。セパレータはPP層とPE層とを含んでいた。正極電極310、セパレータおよび負極電極320がこの順序で積層され、さらに渦巻状に巻回されることにより、電極体350が形成された。電極体350において正極リードタブ313および負極リードタブ323は外周に配置されていた。巻回後、電極体350が扁平状に成形された。
【0112】
外装体390が準備された。外装体390はアルミラミネートフィルム製であった。外装体390に電極体350が挿入された。挿入後、ワーク(外装体390および電極体350)がドライボックス内に移された。ワークが真空乾燥された。
【0113】
電解液が準備された。電解液は下記有機溶媒と支持電解質とを含んでいた。なお有機溶媒の成分比は、25℃、1気圧における体積に基づいている。
有機溶媒:「EC/DMC/EMC=25/35/40(体積比)」
支持電解質:LiPF6(濃度=1.15mоl/L)
【0114】
真空乾燥後、外装体390に電解液が注入された。電解液の注入後、外装体390が密封された。以上より、試験電池300が組み立てられた。試験電池300内において、負極活物質層322中のカプセル状粒子(熱可塑性樹脂)と、電解液とが接触したと考えられる。
【0115】
《(F2)加熱エージング》
試験電池のSOCが調整された。75℃に設定された恒温槽内で、試験電池が16時間保存された。
【0116】
以上の手順に従って、本実施例においては、No.1からNo.8の試験電池がそれぞれ製造された。
【0117】
<評価>
試験電池のSOCが50%に調整された。25℃の温度環境下において、試験電池が定電流方式で充放電された。充放電開始から10秒経過時点での電圧が測定された。種々の電流において、充放電開始から10秒経過時点での電圧が測定された。電流と電圧との関係が二次元直交座標にプロットされることにより、I-Vプロットが作成された。I-Vプロットの傾きから、初期抵抗が算出された。初期抵抗は、表2に示される。
【0118】
供試電池のSOCが95%に調整された。SOCの調整後、70℃に設定された恒温槽内で供試電池が60日間保存された。保存前後で供試電池の放電容量が測定された。保存前後の放電容量から容量維持率が算出された。容量維持率は、表2に示される。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】

1)値は相対値である。No.4の負極活物質層の密度が1.5であるときの初期抵抗が100と定義される。
【0121】
<結果>
No.1からNo.3の第二活物質層は、カプセル状粒子を含むスラリーにより製造された。No.4、No.6およびNo.8の第一および第二活物質層は、カプセル状粒子を含まないスラリーにより製造された。No.5、No.7の第一および第二活物質層は、カプセル状粒子を含むスラリーにより製造された。
【0122】
図12は、No.1、No.4およびNo.5の負極電極層の密度に対する初期抵抗を示すグラフである。No.1はいずれも、No.4およびNo.5に比して負極活物質層の密度が同一である場合、初期抵抗が低減していた。No.5は、密度が高くなるほど初期抵抗が増加した。
【0123】
図13は、No.1、No.4およびNo.5の負極電極層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。No.1およびNo.4は、いずれの密度においても容量維持率の低下が抑制されていた。No.5は、いずれの密度においても容量維持率の低下が大きかった。
【0124】
図14は、No.2、No.6およびNo.7の負極電極層の密度に対する初期抵抗を示すグラフである。No.2は、No.6およびNo.7に比して負極活物質層の密度が同一である場合、初期抵抗が低減していた。No.7は、密度が高くなるほど初期抵抗が増加した。
【0125】
図15は、No.2、No.6およびNo.7の負極電極層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。No.2およびNo.6は、いずれの密度においても容量維持率の低下が抑制されていた。No.7は、高密度になるほど容量維持率の低下が大きかった。
【0126】
図16は、No.3、No.4、No.6およびNo.8の負極電極層の密度に対する初期抵抗を示すグラフである。No.3はいずれも、No.4、No.6およびNo.8のに比して負極活物質層の密度が同一である場合、初期抵抗が低減していた。
【0127】
図17は、No.3、No.4、No.6およびNo.8の負極電極層の密度に対する容量維持率を示すグラフである。No.3、No.4およびNo.8は、いずれの密度においても容量維持率の低下が抑制されていた。No.6は、いずれの密度においても容量維持率の低下が大きかった。
【0128】
本実施形態および本実施例は、全ての点で例示である。本実施形態および本実施例は、制限的なものではない。例えば、本実施形態および本実施例から、任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0129】
特許請求の範囲の記載に基づいて定められる技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味における全ての変更を包含する。さらに、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の範囲内における全ての変更も包含する。
【符号の説明】
【0130】
1 第一活物質粒子、2 第二活物質粒子、10 基材、30 カプセル状粒子、31 外殻、32 内包物、33 樹脂片、40 直径3μm以上の空孔、50 活物質層、51 第1活物質層、52 第二活物質層、60 スロットダイコータ、70 塗膜、71 第一塗膜、72 第二塗膜、81 第一活物質層用スラリー、82 第二活物質層用スラリー、83 有機溶媒、100,120,320 負極電極、110,310 正極電極、130 セパレータ、150,350 電極体、181 正極集電部材、182 負極集電部材、190,390 外装体、191 正極端子、192 負極端子、300 試験電池、311 正極基材、312 正極活物質層、313 正極リードタブ、321 負極基材、322 負極活物質層、323 負極リードタブ、1000 電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17