(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】熱間等方圧加圧のためのカプセルを作成する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/15 20060101AFI20240205BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B22F3/15 G
B22F3/16
(21)【出願番号】P 2021504590
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2019052667
(87)【国際公開番号】W WO2019197936
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520393255
【氏名又は名称】ボディコート アイエムティ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BODYCOTE IMT,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン、バイロン
(72)【発明者】
【氏名】パグリウソ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ルトフィールド、アレックス
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-082323(JP,A)
【文献】特開昭54-058606(JP,A)
【文献】特開平05-031539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/15
B30B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間等方圧加圧(HIP)のためのカプセルを作成する方法であって、
(i)第1の金属シートを選択する工程と、
(ii)前記第1の金属シートに成形処理が施され、これによって、第1の延長端部と第2の延長端部とを含む前記カプセルの第1の部材を画定する工程
であって、前記第1の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記第1の部材の周方向のみに延長している、工程と、
(iii)第2の金属シートを選択する工程と、
(iv)前記第2の金属シートに成形処理が施され、これによって、第1の延長端部と第2の延長端部とを含む前記カプセルの第2の部材を画定する工程
であって、前記第2の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記第2の部材の周方向のみに延長している、工程と、
(v)前記第1の部材を前記第2の部材に対して固定して、これによって、HIPのためのカプセルの少なくとも一部を画定し、前記第1の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記第2の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部に対して隣り合っており、隣り合った端部同士を溶接によってともに固定する工程と、を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の金属シート、前記第2の金属シート、またはその両方は、少なくとも1ミリメートル(mm)の厚み、および、少なくとも0.25平方メートル(m
2)、好ましくは、4m
2未満の表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(ii)の工程において、前記第1の金属シート、前記第2の金属シート、またはその両方に、ダイを使用した成形処理が施され、好ましくは、同じダイを使用して複数の実質的に同一の第1の部材、第2の部材、またはその両方を製造する工程を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(ii)の工程は、ダイを形成する工程を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、少なくとも3つの、好ましくは、少なくとも7つの外に向かった湾曲した領域を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記湾曲した領域の1または複数の形状は、半円である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である構成要素(A)、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である構成要素(B)、および部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である構成要素(C)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状である構成要素(D)、および/または、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状である構成要素(E)、および/または、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状である構成要素(F)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凸状の湾曲を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凹状の湾曲を含む、請求項7を引用する請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の部材、前記第2の部材、またはその両方は、複数の凸状の湾曲および複数の凹状の湾曲を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の金属シートおよび前記第2の金属シートに実質的に同一の処理が施されて実質的に同一の第1の部材および第2の部材が製造される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の部材および前記第2の部材の各々がシェルを画定し、前記シェルは、互いを固定して前記カプセルの少なくとも一部を画定し、前記第1の部材は、非線形であり、かつ実質的に単一の面内において延在する前記第1の延長端部を含み、前記第1の部材は、前記第1の延長端部と対蹠的に対向する前記第2の延長端部を含み、前記第2の延長端部は、非線形であり、かつ、前記第1の延長端部が延在する同じ面である前記単一の面において延在し、前記第2の部材は、非線形であり、かつ実質的に単一の面内において延在する前記第1の延長端部を含み、前記第2の部材は、前記第1の延長端部と対蹠的に対向する前記第2の延長端部を含み、前記第2の延長端部は、非線形であり、かつ、前記第1の延長端部が延在する同じ面である前記単一の面において延在する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記カプセルは、実質的に閉じた容器を画定し、前記閉じた容器は、前記容器の空所へのアクセスを可能にするように配置されるオリフィスに関連する溶接線を除いて、前記閉じた容器を見るに際し外部から視認可能な10よりも少ない、好ましくは、4よりも少ない溶接線を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の部材および前記第2の部材を備えるアッセンブリ内に画定される空所内に構造体を配置する工程を備え、前記構造体は、円筒形の構成要素および/または円錐台形の構成要素を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
HIPのためのカプセルであって、
第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間の溶接継ぎ目と、内部に画定される空所と、を備え、
前記第1の部材および前記第2の部材は、第1の延長端部と第2の延長端部とを各々含み、
前記第1の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記第1の部材の周方向のみに延長しており、
前記第2の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記第2の部材の周方向のみに延長しており、
前記第1の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部は、前記溶接継ぎ目において前記第2の部材の前記第1の延長端部および前記第2の延長端部と隣り合っており、
前記第1の部材および前記第2の部材は、溶接線または溶接された領域を含まない、カプセル。
【請求項17】
部品(HIP加工済み部品)を製造する方法であって、
(i)請求項1~15のいずれか1項に記載の方法に従ってカプセルを形成する工程と、(ii)前記カプセルにHIP加工を施す工程と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品に関するものであり、限定するものではないが、とりわけ、粉末冶金(PM)熱間等方圧加圧(HIP)のためのカプセルを作成する方法に関する。発明は、また、カプセル自体、HIP加工済み部品の製造方法およびHIP加工済み部品自体にも関する。
【背景技術】
【0002】
粉末冶金(PM)熱間等方圧加圧(HIP)法を利用して比較的複雑な形状の部品を製造することは周知である。HIPとは、金属シートのカプセルが包んで金属粉末の形状を画定し、次いで、それは、HIPによって圧縮されるという、均一な微細構造かつ機械的な特性を有する単一の部品を製造する確立された製造方法である。HIPのためのカプセルを成形するために、金属シートは切断され、および、折り曲げられてカプセルの部分が画定され、次いでこれらは、ともに溶接される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、カプセルを画定するために使用される溶接の回数が多いほど、一度の溶接が失敗するリスクがより大きくなり、よって、カプセルがHIP処理において使用できなくなる。加えて、カプセルを製造するために使用される溶接の回数が多いほど、製造されたカプセルが公差から外れるリスクがより大きくなる。それは、各溶接について、その箇所にある程度の誤りが存在するからである。追加的な圧着の各々は、潜在的な誤りを堆積させる。
【0004】
HIPによって部品を製造するために使用されたカプセルに関連する他の問題は、以下に続く説明から明らかになるであろう。
上述した問題に対処することが発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の第1の態様に応じて、熱間等方圧加圧(HIP)のためのカプセルを作成する方法が提供され、この方法は、
(i)第1の金属シートを選択する工程と、
(ii)前記第1のシートに成形処理が施され、これによって、前記カプセルの第1の部材を画定する工程と、
(iii)前記第1の部材を1以上の他の部材に対して固定して、これによって、HIPのためのカプセルの少なくとも一部を画定する工程と、を備える。
【0006】
(i)の工程において、金属は、鋼を含んでもよく、限定されるものではないが、例えば、軟鋼、ステンレス鋼、または、アルミニウムである。この金属は、好ましくは、成形可能なものがよく、好ましくは、冷間成形に適したものがよい。この金属は、好ましくは、冷間圧延鋼を含む。
【0007】
この金属、例えば、鋼は、少なくとも100ニュートン毎平方ミリメートル(N/mm2)、好ましくは、少なくとも150N/mm2の最大降伏強度(Re)を有する。最大降伏強度は、300N/mm2未満であってもよく、好ましくは、280N/mm2未満である。
【0008】
この金属、例えば、鋼は、300N/mm2~400N/mm2の範囲の抗張力(Rm)を有してもよい。
(i)の工程において選択された第1の金属シートは、少なくとも1ミリメートル(mm)、好ましくは、少なくとも2mmの厚みを有する。厚みは、ダイの形状に応じて異なる。好ましくは5mm以下である。第1のシートは、好ましくは、実質的に平面状である。好ましくは、その範囲に亘って実質的に一定の厚みを有する。
【0009】
第1の金属シートは、少なくとも0.25平方メートル(m2)、少なくとも0.5m2、または、少なくとも1m2の表面積を有する。表面積は、4m2未満である。
(ii)の工程では、好適には、この工程において画定される第1の部材の外面における領域を画定するための所定の形状を有する、好適には、ダイを使用して、第1のシートに成形処理が施される。成形処理では、第1のシートに対して好適に力を加えて、ダイの中に押し込み、これによって、第1のシートがダイの形状を取り入れる。第1のシートに力を加えてそれをダイの中に押し込むに際し、液体が使用されてもよい。この方法は、同じダイを使用して複数(例えば、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または少なくとも10つ)の実質的に同一の第1の部材を製造する工程を含む。
【0010】
方法における(ii)の工程は、好ましくは、第1の金属シートのダイによる成形を備える。成形処理は、曲げ成形、深絞り成形、スピン成形、およびハイドロフォーム成形から選択される。ハイドロフォーム成形が好ましい。
【0011】
方法では、好ましくは、第1の部材を画定するために単一の金属シートが使用される。
第1の部材は、好ましくは、溶接線または溶接された領域を含まない。第1の部材は、好ましくは、一元である。第1の部材は、好ましくは、モノシリックである。第1の部材は、好ましくは、実質的に一定の厚みをその範囲に亘って有する。第1の部材は、好ましくは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの外に向かった(例えば、使用に際し第1の部材を組み入れたカプセルの外面を画定するための)湾曲した領域を含む。上述の湾曲した領域は、好ましくは、別個である。湾曲した領域のいくつかは、互いに隣接している。
【0012】
1以上の湾曲した領域の、好ましくは、各々の形状は、部分的に円であり、例えば、弓形(または、とりわけ、半円)である。
第1の部材は、湾曲した構成要素(A)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。本明細書の文脈では、好適には、「かまぼこ型」の用語は、好適には、半円形の断面を有する半円筒形を参照する。構成要素(A)は、少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(A)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0013】
第1の部材は、湾曲した構成要素(B)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。構成要素(B)は、構成要素(A)から、例えば、第1の部材の構成要素1つ分だけ離れている。構成要素(B)は、少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(B)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0014】
第1の部材は、湾曲した構成要素(C)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。構成要素(C)は、構成要素(A)および/または構成要素(C)から、例えば、第1の部材の他の構成要素1つまたは複数分だけ離れている。構成要素(C)は、少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(C)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0015】
第1の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(D)を含む。本明細書の文脈では、「半円錐台状」の用語は、好適には、円錐台の半分の形状を参照する。構成要素(D)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)に隣接してもよい。構成要素(D)は、いずれの点においても少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、いずれの点においても1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(D)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0016】
第1の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(E)を含む。構成要素(E)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)に隣接してもよい。構成要素(D)から離れていてもよい。構成要素(E)は、いずれの点においても少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、いずれの点においても1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(E)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0017】
第1の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(F)を含む。構成要素(F)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)に隣接してもよい。構成要素(F)は、いずれの点においても少なくとも50mmの、例えば、少なくとも100mmの曲率半径を有する。曲率半径は、いずれの点においても1000mm未満であり、例えば、600mm未満である。構成要素(F)は、少なくとも10mm、例えば、少なくとも40mmの幅を有し、この幅は、好適には、円筒の軸と平行の方向において測定される。幅は、200mm未満または150mm未満である。
【0018】
第1の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凸状の湾曲を含む。
【0019】
第1の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凹状の湾曲を含む。
【0020】
第1の部材は、上述したように複数の凹状の湾曲を含んでもよい。第1の部材は、上述したように複数の凸状の湾曲を含んでもよい。
第1の部材は、環状および/または半円の形状を有する構成要素(G)を含む。構成要素(G)は、第1の部材の延長軸の方向を向いている。構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)の少なくとも3つ、好ましくは、構成要素の各々が第1の部材の同じ延長軸に沿って湾曲する。
【0021】
第1の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、構成要素(F)、および/または構成要素(G)を画定するように好適に配置される、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または、少なくとも7つの屈曲部(好適には、12個よりも少ない屈曲部)を含んでもよい。屈曲部の各々は、第1のシートを5°~90°の範囲の角度において、例えば、10°~75°で曲げた結果である。
【0022】
一実施形態では、第1の部材は、軸、例えば、第1の部材の延長軸に対して対称である。別の実施形態では、第1の部材は、延長軸などの軸に対して非対称である。
第1の態様の方法は、
(a)第2の金属シートを選択する工程と、
(b)前記第2のシートに成形処理が施され、これによって、前記カプセルの第2の部材を画定する工程と、を備える。
【0023】
(a)の工程において、金属は、(i)の工程において参照される金属のいずれの特徴を有してもよい。
(a)の工程において選択された第2の金属シートは、少なくとも1mm、好ましくは、少なくとも2mm、好ましくは、少なくとも2mmの厚みを有する。厚みは、5mm未満である。第2のシートは、好ましくは、実質的に平面状である。好ましくは、その範囲に亘って実質的に一定の厚みを有する。
【0024】
第2の金属シートは、少なくとも0.25平方メートル(m2)、少なくとも0.5m2、または、少なくとも1m2の表面積を有する。表面積は、4m2未満である。
(b)の工程では、好適には、この工程において画定される第2の部材の外面における領域を画定するための所定の形状を有する、好適には、ダイを使用して、第2のシートに成形処理が施される。成形処理では、第2のシートに対して好適に力を加えて、ダイの中に押し込み、これによって、第2のシートがダイの形状を取り入れる。第2のシートに力を加えてそれをダイの中に押し込むに際し、液体が使用されてもよい。成形処理は、第1のシートの成形について記述したものと同様であってよい。ハイドロフォーム成形が好ましい。
【0025】
方法では、好ましくは、第2の部材を画定するために単一の金属シートが使用される。
第2の部材は、好ましくは、溶接線または溶接された領域を含まない。第2の部材は、好ましくは、一元である。第2の部材は、好ましくは、モノシリックである。第2の部材は、好ましくは、実質的に一定の厚みをその範囲に亘って有する。第2の部材は、好ましくは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの外に向かった(例えば、使用に際し第2の部材を組み入れるカプセルの外面を画定するための)湾曲した領域を含む。上述の湾曲した領域は、好ましくは、別個である。湾曲した領域のいくつかは、互いに隣接している。
【0026】
1または複数の湾曲した領域の、好ましくは、各々の形状は、部分的に円であり、例えば、弓形(または、とりわけ、半円)である。
第2の部材は、湾曲した構成要素(A)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。
【0027】
第2の部材は、湾曲した構成要素(B)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。構成要素(B)は、構成要素(A)から、例えば、第1の部材の構成要素1つ分だけ離れている。
【0028】
第2の部材は、湾曲した構成要素(C)を含む。湾曲は規則的または変則的である。湾曲は、その範囲に亘って一定の曲率半径、または、その範囲に亘って異なる曲率半径を有する。構成要素(A)は、部分的に円筒形、例えば、かまぼこ型である。構成要素(C)は、構成要素(A)および/または構成要素(C)から、例えば、第2の部材の他の構成要素1つまたは複数分だけ離れている。
【0029】
第2の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(D)を含む。構成要素(D)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)に隣接してもよい。
【0030】
第2の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(E)を含む。構成要素(E)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)に隣接してもよい。構成要素(D)から離れていてもよい。
【0031】
第2の部材は、部分的に円錐台形、例えば、半円錐台状の構成要素(F)を含む。構成要素(F)は、構成要素(A)、構成要素(B)、または構成要素(C)と連続してもよい。
【0032】
第2の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凸状の湾曲を含む。
【0033】
第2の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凹状の湾曲を含む。
【0034】
第2の部材は、上述したように複数の凹状の湾曲を含んでもよい。第2の部材は、上述したように複数の凸状の湾曲を含んでもよい。
第2の部材は、環状および/または半円の形状を有する構成要素(G)を含む。構成要素(G)は、第2の部材の延長軸の方向を向いている。構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、および構成要素(F)の少なくとも3つ、好ましくは、構成要素の各々が第2の部材の同じ延長軸に沿って湾曲する。
【0035】
一実施形態では、第2の部材は、軸、例えば、第2の部材の延長軸に対して対称である。別の実施形態では、第2の部材は、延長軸などの軸に対して非対称である。
(a)の工程の第2のシートは、(i)の工程において記載された第1のシートのいずれの特徴を有してもよい。第1のシートと第2のシートとは、同じであってもなくてもよい。
【0036】
第2のシートに関連する(b)の工程は、(ii)の工程において第1のシートに行われるいずれの特徴を含んでもよい。好ましくは、第1および第2のシートには、第1の部材および第2の部材を製造する実質的に同一の処理が施される。
【0037】
説明したように(ii)の工程においてダイが使用されるとき、第1の部材および第2の部材の両方を作成するのに同じダイが使用されてもよい。
第1の部材および第2の部材は、好ましくは相補的である。第1の部材および第2の部材は、好ましくは、ともに勘合するように配置される。第1の部材および第2の部材の各々は、好適には、シェルを画定し(例えば、各々が全体の1/2を画定する)、これは、互いを固定して(例えば、方法の(iii)の工程において)カプセルの少なくとも一部を画定する。
【0038】
第1および第2の部材が同一ではない場合、第1の部材は、第2の部材が有しない1以上の構造的特徴を含んでもよく、また、その逆でもよい。例えば、第1の部材は、打ち出し突起物、例えば、四角い打ち出し突起物を含んでいてもよく、第2の部材は、同一の打ち出し突起物を含まなくてもよい。
【0039】
第1の部材は、好ましくは、非線形であり、かつ実質的に単一の面内において延在する第1の延長端部を含んでもよい。第1の部材は、好適には第1の延長端部と対蹠的に対向する第2の延長端部を含んでもよい。第2の延長端部は、非線形であり、かつ、好適には、第1の延長端部が延在する同じ面である単一の面において延在する。
【0040】
第2の部材は、好ましくは、非線形であり、かつ実質的に単一の面内において延在する第1の延長端部を含んでもよい。第2の部材は、好適には第1の延長端部と対蹠的な第2の延長端部を含んでもよい。第2の延長端部は、非線形であり、かつ、好適には、第1の延長端部が延在する同じ面である単一の面において延在する。
【0041】
方法の(iii)の工程では、第1の部材の第1および第2の延長端部は、好ましくは、第2の部材の第1および第2の延長端部に対して隣り合っており、好ましくは、隣り合った端部同士が好ましくは溶接によって好ましくはともに固定される。第1および第2の部材の第1および第2の端部の範囲に沿って延在する延長溶接線が画定される。溶接線は、実質的に対蹠的であり、かつ、単一の共通面内において延在する。
【0042】
方法は、1以上の閉鎖部を第1の部材および/または第2の部材に固定して、実質的に閉じた容器を画定する工程を備えてもよい。例えば、方法は、第1および第2の部材を備えるアッセンブリの一方の端部において、または、その端部に隣接して、第1の端片、例えば、円板を溶接することを備えてもよい。方法は、第1および第2の部材を備えるアッセンブリの逆の端部において、または、その端部に隣接して、第2の端片、例えば、円板を溶接することを備えてもよい。
【0043】
実質的に閉じた容器は、閉じた容器を見るに際し外部から視認可能な10よりも少ない、8よりも少ない、6よりも少ない、または4よりも少ない溶接線を有してもよく、これは、容器の空所へのアクセスを可能するように配置されるオリフィスに関連する溶接線を除く。
【0044】
方法は、第1および第2の部材を備えるアッセンブリ内に画定される空所内に構造体を配置することを含む。構造体は、円筒形の構成要素および/または円錐台形の構成要素を含む。
【0045】
方法において、第1および第2の部材が溶接されるとき、溶接方法は、限定されるものではないが、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、または電子ビーム溶接を含む。カプセルの第1および第2の部材(好ましくは各部材)は、好ましくは、固定、例えば、溶接され、これによって、(例えば、ヘリウムに対して)気密性の封止がこれらの要素の間において画定される。
【0046】
この方法によって作成されるカプセルは、好ましくは、カプセル内へのアクセスを可能にするための1以上のオリフィスを含んでもよい。カプセルは、粉末をその中に導入するためのオリフィスを含んでもよい。そのようなオリフィスは、好ましくは、本明細書中に記載されるようにカプセルにHIP加工が施される前に封止される。
【0047】
本発明の第2の態様に応じて、第1の態様において説明されたカプセル自体が提供される。
カプセルは、好適には、1以上の他の部材に固定された第1の部材を備え、これによって、HIP加工のためのカプセルの少なくとも一部が画定される。第1の部材および1以上の他の部材は、第1の態様に応じて説明された通りである。例えば、第1の部材は、好ましくは、溶接線または溶接された領域を含まず、および/または、実質的に一定の厚みをその範囲に亘って有し、および/または、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの外に向かった湾曲した領域を含み、1以上の湾曲した領域の、好ましくは、各々の形状は、部分的に円であり、例えば、弓形である。
【0048】
第1の態様に応じて説明したように、第1の部材は、各々が独立している、構成要素(A)および/または構成要素(B)および/または構成要素(C)および/または構成要素(D)および/または構成要素(E)および/または構成要素(F)を含んでもよい。
【0049】
第1の態様に応じて説明したように、第1の部材は、各々が独立している、複数の凹状の湾曲および/または複数の凸状の湾曲を含んでもよい。
第1の態様に応じて説明したように、第1の部材は、構成要素(G)を含んでもよい。
【0050】
第1の部材は、構成要素(A)、構成要素(B)、構成要素(C)、構成要素(D)、構成要素(E)、構成要素(F)、および/または構成要素(G)を画定するように好適に配置される、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または、少なくとも7つの屈曲部(好適には、12個よりも少ない屈曲部)を含んでもよい。屈曲部の各々は、第1のシートを5°~90°の範囲の角度において、例えば、10°~75°で曲げた結果である。
【0051】
1以上の他の部材は、好適には、第1の態様に応じて説明された第2の部材を含む。第1および第2の部材は、好ましくは、実質的に同一である。
カプセルは、第1および第2の部材を備えるアッセンブリ内に画定される空所内に構造体を含んでもよい。第1の態様に応じて説明されたように、構造体は、円筒形の部材および/または円錐台形の部材を含む。
【0052】
カプセルにおいて、カプセルの第1および第2の部材(好ましくは各部材)は、好ましくは、固定、例えば、溶接され、これによって、(例えば、ヘリウムに対して)気密性の封止がこれらの要素の間において画定される。方法において、製造されるカプセルは、(例えば、ヘリウムに対して)気密性を有する。
【0053】
カプセルは、好ましくは、カプセル内へのアクセスを可能にするための1以上のオリフィスを含んでもよい。カプセルは、粉末をその中に導入するためのオリフィスを含んでもよい。カプセルから空気を除去するためのオリフィスを含んでもよい。
【0054】
本発明の第3の態様に応じて、部品(HIP加工済み部品)を製造する方法が提供され、方法は、
(i)第1および/または第2の態様に応じて説明したカプセルを選択する工程と、
(ii)カプセルにHIP加工を施す工程と、を備える。
【0055】
(ii)の工程の前に、カプセルに対して、好適には気密性であることを確認するための試験が行われてもよい。これは、カプセルにおいて画定された空所へガス、例えば、ヘリウムを導入し(例えば、カプセルの外部からカプセルへのアクセスを提供するように配置される開口を通じて)、かつ、いくらかのガスがカプセルから漏れたかどうかを評価することを含む。
【0056】
選択されたカプセルが粉末(XX)を含まない場合、方法は、カプセルの空所に粉末(XX)を導入する工程を備える。
カプセルは、好適には、空所に粉末(XX)を含み、好ましくは、所定の粉末(XX)充填重量および最適な詰め密度が達成されるように、振動させられてもよい。
【0057】
(ii)の工程の前に、方法は、好ましくは、カプセル内、例えば、カプセル内に画定された空所を真空にする工程を備える。例えば、カプセル内へのアクセスを提供するために配置される真空装置の取り付けによって、カプセル内の真空が引かれる。カプセル内の真空化の後、方法は、好ましくは、カプセルを封止する工程、例えば、カプセルへのアクセスを提供するために配置された開口を閉じる工程を備える。
【0058】
(ii)の工程は、好ましくは、HIPシステム内にカプセルを置いて、例えば、材料の壁の厚みおよび部材の全体の重量に基づいて、所定の時間、そのカプセルに所定の圧力(例えば、100メガパスカル(MPa)から200MPaの間の範囲)および温度(500℃から1250℃の間の範囲)を課すことを含む。
【0059】
(ii)の工程は、好ましくは、粉末(XX)の100%の密度を達成するために行われる。
(ii)の工程に続いて、方法は、好ましくは、熱処理のためにカプセルを従来型の熱処理炉内に置く工程を備え、続いて、部材の最適な材料の特性を達成するために、時効硬化または析出硬化が行われる。
【0060】
(ii)の工程に続いて、好適には、固められ、かつ、HIP加工済みの粉末(XX)を備える処理後部材を残すように、カプセルの部分(または好ましくは全体)が除去されてもよい。
【0061】
上述したカプセルの部分の除去は、マッチングを行うことによる。有利には、除去は、例えば、酸によるエッチングを使用した溶解によるものである。第1の部材が除去されてもよい。第2の部材が除去されてもよい。カプセルに含まれるすべてのシート材料が除去されてもよい。
【0062】
好適には、カプセルの部分の除去の後、部品に最低限の機械加工がなされる。カプセルは、近似正味形状を生成するように配置されるので、これが可能である。部品の外面領域の好適には50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満が、例えば、最終部材に含まれないカプセルの部分の除去の後に機械により処理される。好ましくは、最終部材に含まれないカプセルの部分(例えば、材料シート)の除去の後、部品は、その形状を変化させるように構成されるいかなる処理も行われない。好ましくは、最終部材に含まれないカプセルの部分(例えば、材料シート)の除去の後、部品は、部品のいずれかの部分を、部品の他のいかなる部分よりも先に優先的に除去されるいかなる処理も行われない。
【0063】
カプセルの部分を除去したのち、部品に、少なくとも部品の外部のアクセスが可能な面の実質的に全体を扱う処理が同じように行われる。例えば、処理は、研磨および/または洗浄処理を含む。
【0064】
方法において作成される部材は、最終部材を画定し、これは、画定し、または、産業処理において使用される装置、機械、またはデバイスに使用される。
本発明の第4の態様に応じて、好ましくは、第3の態様において説明されたように作成されたHIP加工済み部品自体が提供される。HIP加工済み部品は、その製造方法のために新規であると考えられる。例えば、HIP加工済み部品は、そのHIP加工済み部品の外面において、画定された(または明らかな)、二つの平行で、軸上に延在する、完全に離された線または領域を含んでもよい。線または領域は、HIP加工済み部品の長さの少なくとも70%、少なくとも90%、または少なくとも98%に沿って延在してもよい。
【0065】
HIP加工済み部品は、例えば、円筒形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(A)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(A)を含んでもよい。
【0066】
HIP加工済み部品は、例えば、円筒形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(B)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(B)を含んでもよい。
【0067】
HIP加工済み部品は、例えば、円筒形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(C)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(C)を含んでもよい。
【0068】
HIP加工済み部品は、例えば、円錐台形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(D)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(D)を含んでもよい。
【0069】
HIP加工済み部品は、例えば、円錐台形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(E)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(E)を含んでもよい。
【0070】
HIP加工済み部品は、例えば、円錐台形であり、かつ、第1および第2の部材の対応する構成要素(F)によって第1の態様の方法において画定される湾曲した領域(F)を含んでもよい。
【0071】
HIP加工済み部品は、領域(A)、領域(B)、領域(C)、領域(D)、領域(E)、および領域(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凸状の湾曲を含む。
【0072】
HIP加工済み部品は、領域(A)、領域(B)、領域(C)、領域(D)、領域(E)、および領域(F)から選択される1対の隣接する構成要素の間に画定される外に向かった凹状の湾曲を含む。
【0073】
HIP加工済み部品は、上述したように複数の凹状の湾曲を含んでもよい。HIP加工済み部品は、は、上述したように複数の凸状の湾曲を含んでもよい。
HIP加工済み部品は、好ましくは、十分に緻密である。
【0074】
ここで説明されるいかなる発明または実施形態のいかなる態様のいかなる特徴も必要な変更を加えて、ここで説明される他のいかなる発明または実施形態のいかなる特徴と組み合わせされてもよい。
【0075】
本発明の特定の実施形態は、例えば、添付の図面を参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図4a】
図1および
図2のカプセルと同様のカプセルの外部の半分を示す側面図。
【
図4c】(
図4bと比較して
図4cはより大きな尺度で提示されているが)
図4bの管と協働するように配置されるカプセルの内部円錐部の半分を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図において、同一または類似する部品は、同一の参照番号を有する。
比較的複雑な形状の最終部材を製造するためのカプセル2は、その内部に内部円筒部6および内部円錐部8が固定されている一対の同一の外側部材4a,4b(
図3)を備える。
図3に示すように、カプセルは、第1の端部円板10によって一方の端部が、第2の端部円板12によって反対側の端部が閉じられている。
図4aに示すカプセルの半分は、
図3に示すそれに類似するが、
図4aでは、カプセルが第1および第2の端部円板(10,12)を備えないが、代わりに、端部として振る舞う半円形状部121,123を備える点において相違する。再び
図3を参照すると、カプセルの中に金属粉末を導入し、および/または、熱間等方圧加圧(HIP)に先立ってカプセル内を真空にするためのそれぞれの管13,15,17,19,21が端部円板10を通じて延在している。カプセル2の設計は、有限要素解析(FEA)の補助とともに製造し、これによって、カプセルを使用して製造される最終部材が最適化される。
【0078】
カプセルの特徴およびその使用は、以下にさらに詳細に説明される。
外側部材4aは、単一の冷間圧延鋼シートから作成される。この部材は、一元であり、溶接線を含まない。部材4aは、ダイ成形法によって作られる。ハイドロフォーム成形は、ダイ成形の1つの種類であり、高圧油圧(水圧)流体を使用して、周辺温度(例えば、約23°C)で鋼シートをダイに押し付ける。曲げ成形も類似するが、鋼がダイの形状を取り入れるためにシート状の鋼をダイに促すのに用いられる、流体を含む袋を使用する点において異なる。
【0079】
外側部材4aは、単一の鋼シートにおいて画定される比較的複雑な形状を有する。その端部、隣接端部円板12(または、端部として振る舞っている121)において、部材4aは、実質的にかまぼこ型の形状の壁領域20を備える。
図2に示すものにおいて左の方へ移動すると、半円錐台状領域22が壁領域20に隣接し、かつ、その外面は、壁領域20の外面に対して内側に約225°の鈍角で傾斜している。対応する領域20,22の間に、平滑な外に向かった凸状の湾曲23が存在する。次いで、実質的にかまぼこ型の形状を有し、円錐領域22に対して約135°の角度を画定する外面を有する壁領域24が存在し、対応する領域の間に、平滑な外に向かった凹状の湾曲25が存在する。
【0080】
壁領域24は、半円錐台状領域28に隣接しており、半円錐台状領域28の外面は、壁領域24の外面に対して約135°の角度で傾斜している。平滑な外に向かった凹状の湾曲29が領域24,28の間に画定される。
【0081】
壁領域28は、実質的にかまぼこ型の形状であり、かつ、領域28に対して約225°の角度を画定する外面を有する壁領域30に隣接しており、平滑な外に向かった凹状の湾曲32が対応する領域の間に存在する。
【0082】
外側部材4aの形状は、前端部円板10(または端部として振る舞う123)と壁領域30との間において、比較的より複雑である。外側部材4aは、一方の端部において領域30に隣接する半円錐台状領域34を備える。反対側の端部において、径方向に延在する半環状領域36に隣接し、次に、半環状領域36は、半円錐台状領域38と連続する。領域38は、かまぼこ型領域40に隣接する。
【0083】
部材4aの領域30と円板10(または、端部として振る舞う123)との間において、領域間に凸状と凹状の湾曲を有する一連の短い領域が存在することが理解される。
カプセルの外側部材4bは、外側部材4aと同一である。外側部材4a,4bは、ともに、HIP処理においてカプセル2を使用して作成される最終部材の径方向に外に向かっている表面の大部分および/または実質的に全体を画定するように配置される同一の半分を表す。
【0084】
カプセル2において、内部円筒部6および内部円錐部8は所定の場所に溶接される。次いで、2つの外側部材4a,4bは、隣り合っており、互いに溶接されることによって、実質的に直線の、軸上に延在する、直径方向に対向する溶接継ぎ目42a,42b(
図3)がカプセル2の外側に画定される。
【0085】
カプセル2が、溶接されて画定される独立した領域、例えば領域20,24,28,30,34,36,38,40を備える同等のカプセルよりも有意により速やかに組み立てられることが理解されるべきである。さらに、カプセル2を組み立てるために使用される溶接継ぎ目の数および/または長さの合計は、有利には、画定する複数の独立した領域、例えば領域20,24,28,30,34,36,38,40を備える同等のカプセルにおけるものよりも有意に少ない
溶接継ぎ目の数を最小にすることは、カプセルが製造中に受ける熱量を最小にすることも助ける。溶接は、いずれかの溶接および/または溶接されたいずれの部分の形状を歪ませることがある熱をカプセルに当てる。したがって、(複雑な形状を取り入れている)外側部材4a,4bを使用することは、カプセル、結果的には、カプセルを使用して成形される最終部材における公差を向上させることを助ける。
【0086】
さらに、溶接の数を最小にすることは、各々の溶接に関連付けられた誤りの度合いに起因してカプセルに導入される総合的な誤りを最小にし、しがたって、設計パラメータから外れているために溶接後検査において不合格となるカプセルの数を低減させる。
【0087】
要求される溶接継ぎ目の複雑さを低減することによって、製造されるカプセルは、脆弱かつ潜在的な欠陥による影響を受けることが低減されることも認められる。例えば、上述されるように、外側部材4a(および同一の外側部材4b)は、前端部円板10(または端部として振る舞う123)と壁領域30との間において、比較的複雑である。そのような複雑さを画定するために独立した領域を溶接することは時間を費やすものであるし、いずれかの不完全な溶接は、次に、不完全なカプセルに導く。したがって、複雑な溶接継ぎ目を回避(または少なくともその数/長さを低減)し、説明したように外側部材4a,4bを提供することによって、有利となる。
【0088】
カプセル2の構築の後、真空線を1以上の管13,15,17,19,21に接続することによって真空にされ、次いで、気密性を確実にするためにヘリウム漏れ試験が行われる。次に、1以上の管を通じて金属粉末が充填される。
【0089】
金属粉末は、限定されるものではないが、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の等級を含むステンレス鋼、二相鋼およびスーパー二相鋼、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト・クロム(CoCr)合金、ならびに金属基複合材料合金から選択される。金属粉末は、カプセル2において画定された空所の容積の100%を充填してもよい。充填する粉末の重量は、カプセルの設計および金属粉末の粒度分布に基づいて計算される。所定の粉末充填重量および最適な粉末詰め密度が達成されるように、金属粉末がカプセルに充填される。
【0090】
カプセル2が充填された後、管のうちの1つに真空線を接続することによって封入空気を空にして真空にする。次いで、アッセンブリを封止するために管がカールされる。
次いで、カプセル2は、HIPシステム内に置かれ、所定の時間、所定の温度および圧力が課されることによって、HIPが施される。
【0091】
HIPの後、カプセルは、所定の時間、所定の温度において、熱処理炉内に置かれて、最終部材のための最適な材料の特性を達成する。
HIPの後、最終部材に含められないカプセルの部分が除去される。これは、HIP加工後のアッセンブリを様々な酸に浸けること、および、アッセンブリを包む鋼シートを適切な時間だけ溶解し除去する工程によって行われてもよい。とりわけ、外側部材4a,4bが溶解され除去される。HIP加工がされた後、金属粉末は、十分に緻密であり、均一な細粒形を有する。
【0092】
カプセル自体に関連する利点に加えて、外側部材4a,4bを使用して作成された最終部材もまたは利点を示す。これに関して、最終部材は、非常に厳格な公差を有するカプセルを使用して作成されるので、最終部材も同様に厳格な公差を有する。さらに、部材を作成するために使用される公知の方法が用いられる場合と比較すると、HIP後、要求される機械の数が低減される。これは、例えば、述べたように、丸みを帯びた端部および/または所定の半径の角部を画定することができるということによる。
【0093】
外側部材4a,4bの使用はまた、最終部材における溶接の痕跡を低減することも助ける。例えば、カプセルにおけるいくつかの溶接部が平行なフランジによって結合される公知の方法において、フランジは製造中に粉末により充填されるいくつかの空間を当然に含むので、溶接の痕跡が最終部材において明確に視認される。そのような溶接の痕跡は、ここで説明される処理を使用することによって最小化される。
【0094】
最終部材は、その部材の外面において、画定された(または明らかな)、二つの平行で、軸上に延在する、完全に離された線または領域を含んでもよいので、上述した処理を使用して作成された最終部材の検査によって、最終部材が同一の外側部材4a,4bを使用して作成されていることを確認することが可能である。
【0095】
有利には、カプセルの部分の成形を可能にするためのダイ、例えば、外側部材4a,4bが作成されると、そのダイは、カプセルのための複数の同一の部材を製造するために複数回使用されてもよく、次に、そのカプセルは、複数の同一の最終部材を製造するために使用される。こうして、上述した方法は、従来よりもさらに整合性があるカプセルおよび最終部材の製造を可能にする。
【0096】
本発明は、上述した実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(付帯する請求項、要約書、及び図面を含む)において開示された特徴のいずれか1つ、または、いずれかの新規な組み合わせ、また、開示された工程、いずれかの方法、または、処理のいずれかの新規な1つ、または、いずれかの組み合わせにも及ぶ。