(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】仮固定基板、複合基板および電子部品の剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2021509045
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020011046
(87)【国際公開番号】W WO2020195932
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2019054441
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】野村 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 杉夫
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228483(JP,A)
【文献】特開2007-251080(JP,A)
【文献】特開2013-247280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
前記複合基板に対して前記仮固定基板の前記照射面側からレーザー光を照射することによって、前記電子部品から前記仮固定基板を剥離させることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一つの請求項に記載の電子部品の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を接着し、仮固定するための固定面と、前記固定面の反対側にある底面とを備える仮固定基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化、低背化への要求が強まっており、その製造のためのシリコンウェハーについても極端に薄くした状態で用いられるケースが多くなっている。この際、薄くしたシリコンウェハーは剛性が不足し、搬送、研削・研磨といったプロセスに耐えられないため、ガラスやセラミックスからなる仮固定基板を用いる方法が知られている(特許文献1、2、3)。
【0003】
これらの従来技術では、熱硬化性樹脂によってシリコンウェハーを支持基板に対して接着、冷却した後、シリコンウェハーを研削・研磨により薄くする。さらにシリコンウェハー表面への多層配線形成等を行い、その後、仮固定基板からシリコンウェハーを剥がし、所望の寸法にダイシングする。剥離の際は、仮固定基板側から接着層に予め設けた剥離層にレーザー光をあてることで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-023438
【文献】特開2010-058989
【文献】特許5304112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、仮固定基板側からレーザー光を照射して、シリコンウェハーから仮固定基板を剥離する際、剥離度合いに仮固定基板の面内でのムラが生ずることがある。この場合には、仮固定基板が、剥離できる部分と剥離できない部分に分かれて、シリコンウェハーが割れることがあった。
【0006】
本発明者は、レーザー光のエネルギーを高くすることで、仮固定基板の全面にわたって剥離を促進することも試みた。しかし、レーザー光のエネルギーを高くすると、シリコンウェハー上の電子部品にダメージを与えるケースがある。
【0007】
本発明の課題は、仮固定基板に電子部品を仮固定し、仮固定基板側からレーザー光を照射して仮固定基板を剥離させるのに際して、剥離の歩留りを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子部品を接着し、仮固定するための固定面と、前記固定面の反対側にある照射面とを備える仮固定基板であって、
前記仮固定基板が外周部と内周部とを有しており、前記内周部の全光線透過率が前記外周部の全光線透過率よりも低く、かつ60%以上であることを特徴とする、仮固定基板に係るものである。
【0009】
また、本発明は、前記仮固定基板、および前記仮固定基板の前記固定面に接着された電子部品を備えていることを特徴とする、複合基板に係るものである。
【0010】
また、本発明は、前記複合基板に対して前記仮固定基板の前記照射面側からレーザー光を照射することによって、前記電子部品から前記仮固定基板を剥離させることを特徴とする、電子部品の剥離方法に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明者は、仮固定基板上で半導体基板などを接着した後、レーザー光を仮固定基板側から照射して仮固定基板を剥離させるのに際して、半導体基板などに割れが生ずる原因について検討した。この結果、半導体基板などの割れの場所が一定せず、レーザー照射時に、剥離しにくい部分に応力が集中的に加わり、割れの原因になっているものと考えられた。
【0012】
このため、本発明者は、仮固定基板の内周部の全光線透過率を外周部の全光線透過率よりも低くすることで、仮固定基板側からレーザー光を照射したときに、外周部が内周部よりも先に剥離し易くなるようにしてみた。この結果、剥離が外周部から内周部へと径方向に向かって進行する結果、仮固定基板の接着部分が内周に残り、最後に剥離することになる。この結果、仮固定基板の全面にわたって剥離終了までに割れが生じにくくなることを実験的に確認し、本発明に到達した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、仮固定基板2(2A)の固定面2aに接着剤3を設けた状態を示し、(b)は、仮固定基板2(2A)の固定面2aに半導体基板7を接着した状態を示す。
【
図2】(a)は、複合基板に対して仮固定基板2(2A)側からレーザー光Aを照射している状態を示し、(b)は、半導体基板7を仮固定基板2(2A)から分離している状態を示す。
【
図3】(a)は、仮固定基板2(2A)の固定面2aに接着剤3を設けた状態を示し、(b)は、仮固定基板2(2A)の固定面2aに電子部品4を接着した状態を示す。
【
図4】(a)は、複合基板12Aに対して仮固定基板2(2A)側からレーザー光Aを照射している状態を示し、(b)は、電子部品4および樹脂モールドを仮固定基板2(2A)から分離している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、仮固定基板上に電子部品を仮固定し、次いで剥離させるプロセスについて述べる。まず、
図1(a)に示すように、仮固定基板2(2A)の固定面2a上に接着剤層3を設ける。2bはレーザー光の照射面である。
【0015】
次いで、
図1(b)に示すように、仮固定基板2(2A)上に半導体基板7を設置し、接着剤層3を硬化させて接着層3Aを形成し、複合基板12を得る。この硬化工程は、接着剤の性質に合わせて行うが、加熱、紫外線照射を例示できる。
【0016】
次いで、
図2(a)に示すように、複合基板12に対して仮固定基板2(2A)の照射面2b側から矢印Aのようにレーザー光を照射し、
図2(b)に示すように半導体基板7を仮固定基板2(2A)から分離する。
【0017】
図3、
図4は他の実施形態に係るものである。
図3(a)に示すように、仮固定基板2(2A)の固定面2a上に接着剤層3を設ける。次いで、
図3(b)に示すように、仮固定基板2(2A)の固定面上に多数の電子部品4を固定し、接着剤層3を硬化させて接着層3Aを形成する。次いで、
図4(a)に示すように、樹脂モールド6によって電子部品4を被覆し、隣接する電子部品4間の間隙5にも樹脂モールドを浸透させる。これによって、仮固定基板2(2A)上に電子部品4および樹脂モールド6を固定し、複合基板12Aを得る。6aは、電子部品を被覆する被覆層であり、6bは、間隙5を充填する充填部である。
【0018】
次いで、
図4(a)に示すように、複合基板12Aに対して仮固定基板2(2A)の照射面2b側から矢印Aのようにレーザー光を照射し、
図4(b)に示すように、樹脂モールド6および電子部品4を仮固定基板2(2A)から分離する。
【0019】
ここで、本発明においては、仮固定基板が外周部と内周部とを有しており、外周部の全光線透過率が内周部の全光線透過率よりも高い。
例えば、
図5に示す仮固定基板2は、固定面2aが略円形であり、リング状の外周部9、内周部10およびこれらの間のリング状の中間部11を有する。また、
図6に示す仮固定基板2Aは、固定面2aが長方形状をしている。そして、仮固定基板2Aは、長方形の内周部10、仮固定基板2Aの縁部に沿って一周する外周部9およびこれらの間の中間部11を有する。
【0020】
ここで、外周部9の全光線透過率を内周部10の全光線透過率よりも高くする。これによって、
図2(a)、
図4(a)に示すように仮固定基板2(2A)の照射面に対してレーザー光Aを照射したときに、外周部のほうが全光線透過率が高いために、電子部品の仮固定基板からの剥離が進行し易く、内周部では剥離の進行が遅れる。この結果、仮固定基板の固定面のエッジに沿って一周する外周部9から、内周部10へと向かって矢印Bのように剥離が進行していく(
図5、
図6)。この結果、剥離状態が固定面の周方向に見て均等になり易く、局所的な応力集中が起こりにくく、剥離時の電子部品の破損が生じにくいことが判明した。
【0021】
本発明においては、仮固定基板の固定面の形状は特に限定されないが、円形、楕円形のような湾曲形状であってよく、あるいは、三角形、四角形、六角形などの多角形であってよい。
【0022】
外周部とは、仮固定基板の固定面の外側輪郭に沿って固定面を一周する領域を示す。また、内周部とは、固定面の中心Oを含む領域を示す。更に、仮固定基板の固定面の中心をOとしたとき、中心Oから固定面の外側輪郭の2点に下ろした垂線L(L1、L2)を想定し、この垂線L(L1、L2)の長さをX、Yとする。このとき、
図5、
図6に例示するように、固定面の外側輪郭から幅0.05X(Xの5%)の帯状領域を外周部とする。また、固定面の中心Oから内周部10の輪郭10aまでの距離は0.2X(Xの20%)とする。
【0023】
例えば、
図5の例では、固定面2aは円形であり、外周部9は円環形状であり、内周部10は円形である。固定面の直径をXとしたき、外周部9の幅は0.05Xとし、内周部10の幅は0.20Xとする。また、
図6の例では、固定面2aは長方形であり、外周部9は帯状であり、内周部10は長方形である。ここで、中心Oから固定面の外側輪郭20まで下ろした垂線L1、L2の長さをX、Yとする。ここで、外周部9の幅は、縦方向では0.05Yであり、横方向では0.05Xである。また、内周部10の幅は、縦方向では0.40Yであり、横方向では0.40Xである。
【0024】
仮固定基板の全光線透過率は、仮固定基板の照射面に入射する入射光の光強度に対する、仮固定基板の固定面から出射する出射光の強度の比率である(出射光の強度/入射光の強度)。全光線透過率測定はJIS規格K7361 に基づいて行った。また、このとき、入射光の波長分布は、複合基板に対して入射させて電子部品を仮固定基板から剥離させるときの入射光の波長分布と同一のものとする。例えば、電子部品の剥離に使用するレーザー光の波長が300nmである場合には、全光線透過率を測定するときの入射光の波長も300nmとする。また、全光線透過率は、分光光度計で測定するものとする。
【0025】
具体的には、外周部の透過率を測定するときには、固定面の中心Oから固定面の外側輪郭の2点に下ろした垂線L(L1、L2)を想定し、この垂線の長さをX(Y)としたとき、固定面の外側輪郭から中心Oに向かってX/30(Y/30)の測定箇所を12個選択する。このとき、中心Oに対して12個の測定箇所が互いに30°ずつ離れた角度で存在するようにする。そして、12個の各点についてそれぞれ全光線透過率を測定し、その平均値を外周部の透過率とすることができる。
【0026】
また、内周部の透過率を測定するときには、固定面の中心Oから固定面の外側輪郭の2点に下ろした垂線L(L1、L2)を想定し、この垂線の長さをX(Y)としたとき、固定面の外側輪郭から中心Oに向かってX/3(Y/3)の測定箇所を12個選択する。このとき、中心Oに対して12個の測定箇所が互いに30°ずつ離れた角度で存在するようにする。そして、12個の各点についてそれぞれ全光線透過率を測定し、その平均値を内周部の透過率とすることができる。
【0027】
ここで、本発明の観点からは、内周部の全光線透過率が外周部の全光線透過率よりも低いが、この差は0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることが更に好ましく、0.5%以上であることが特に好ましい。一方、内周部の全光線透過率と外周部の全光線透過率との差が大きくなると、剥離の程度に差ができてしまい、内周部が全くはがれないことが発生する。
こうした観点からは、内周部の全光線透過率と外周部の全光線透過率との差は、5.0%以下が好ましく、3.0%以下が更に好ましく、1.0%以下が特に好ましい。
【0028】
本発明では、内周部の全光線透過率を60.0%以上とする。これが低いと、剥離時に内周部で割れが生じ易くなる。こうした観点からは、内周部の全光線透過率を60.0%以上とするが、65.0%以上が好ましく、70.0%以上が更に好ましい。また、外周部の全光線透過率は60.0%を超えているが、65.0%以上が好ましく、70.0%以上が更に好ましい。内周部の光線透過率、外周部の光線透過率は、95.0%以下が好ましく、90.0%以下が更に好ましい。
【0029】
仮固定基板2の厚みは、0.3~3.0mmとすることが好ましい。仮固定基板2の厚みを0.3mm以上とすることによって、仮固定に好適な機械的強度を確保しやすい。また、仮固定基板2の厚みを3.0mm以下とすることによって、好適な全光線透過率を得易くなる。
【0030】
仮固定基板の材質は時に限定されないが、レーザー光照射に対する耐久性を有することが好ましい。好適な実施形態においては、仮固定基板が、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化珪素からなる。これらは緻密性を高くしやすく、薬品に対する耐久性が高い。
【0031】
好適な実施形態においては、仮固定基板を構成する材料が透光性アルミナである。この場合、好ましくは純度99.9%以上(好ましくは99.95%以上)の高純度アルミナ粉末に対して、100ppm以上、300ppm以下の酸化マグネシウム粉末を添加する。このような高純度アルミナ粉末としては、大明化学工業株式会社製の高純度アルミナ粉体を例示できる。また、この酸化マグネシウム粉末の純度は99.9%以上が好ましく、平均粒径は50μm以下が好ましい。
【0032】
また、好適な実施形態においては、焼結助剤として、アルミナ粉末に対して、ジルコニア(ZrO2)を200~800ppm、イットリア(Y2O3)を10~30ppm添加することが好ましい。
【0033】
仮固定基板の成形方法は特に限定されず、ドクターブレード法、押し出し法、モールドキャスト法など任意の方法であってよい。特に好ましくは、ベース基板をモールドキャスト法を用いて製造する。
【0034】
好適な実施形態においては、セラミック粉末、分散媒および硬化剤を含むスラリーを製造し、このスラリーを注型し、固化させることによって成形体を得る。ここで、成形の段階では、型に離型剤を塗布し、型を組み、スラリーを注型する。次いで、スラリーを型内で硬化させて成形体を得、成形体を離型する。次いで型を洗浄する。
【0035】
次いで、成形体を乾燥し、好ましくは大気中で仮焼し、次いで、水素中で本焼成する。本焼成時の焼結温度は、焼結体の緻密化という観点から、1700~1900℃が好ましく、1750~1850℃が更に好ましい。
【0036】
また、焼成時に十分に緻密な焼結体を生成させた後に、更に追加でアニール処理を実施することで反り修正を行うことができる。このアニール温度は、1200℃~1900℃が好ましい。また、アニール時間は、1~6時間であることが好ましい。
【0037】
ここで、仮固定基板の内周部の全光線透過率を外周部の全光線透過率よりも低くするためには、外周部の焼成温度を内周部の焼成温度よりも高くすることで、焼成を促進し、気孔率を低減することができる。この温度差は5~200℃が好ましく、10~100℃が更に好ましい。また、外周部の焼結温度を内周部の焼結温度よりも高くすることで、外周部のアニールを促進することができる。
【0038】
接着剤としては、両面テープやホットメルト系の接着剤などを例示できる。また、接着剤層を仮固定基板上に設ける方法としては、ロール塗布、スプレー塗布、スクリーン印刷、スピンコートなど種々の方法を採用できる。
【0039】
半導体基板としては、JEITAもしくはSEMI規格に則ったシリコン基板が好ましい。
【0040】
また、電子部品を充填するモールド樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下の成分を混合したスラリーを調製した。
(原料粉末)
・純度99.99%のα-アルミナ粉末 100重量部
・MgO(マグネシア) 250ppm
・ZrO2(ジルコニア) 400ppm
・Y2O3(イットリア) 15ppm
(分散媒)
・2-エチルヘキサノール 45重量部
(結合剤)
・PVB樹脂 4重量部
(分散剤)
・高分子界面活性剤 3重量部
(可塑剤)
・DOP 0.1重量部
【0042】
このスラリーを、ドクターブレード法を用いて焼成後の厚さに換算して0.9mmとなるようテープ状に成形し、焼成後の大きさに換算してφ300mmとなるよう切断した。得られた粉末成形体を、大気中1240℃で仮焼(予備焼成)の後、基板をモリブデン製の板に載せ、水素3:窒素1の雰囲気中で、1800℃で2.5時間保持し、焼成を行った。その後、グラインダーによる研削、ダイヤモンド砥粒によるラップ、CMPリキッドによる研磨を順に行い、0.8mm厚の仮固定基板2を得た。
【0043】
仮固定基板2の内周部10と外周部9の全光線透過率とは、焼成の際に各焼成温度に温度勾配をつけることで、内外差の気孔率を調整して行った。
【0044】
透過率の評価は分光光度計を用いて行った。
具体的には、固定面の外側輪郭20から中心Oへと径方向に向かう直線(垂線)L上で外側輪郭から10mm(300mm/30)の場所に測定箇所を12個設けた。12個の測定箇所は、30°の角度刻みに配置した。そして、12個の測定値の平均値を外周部9の全光線透過率とした。また、固定面2の外側輪郭20から中心Oへと径方向に向かう直線上で外側輪郭から100mmm(300mm/3)の場所に測定箇所を12個設けた。12個の測定箇所は、30°の角度刻みに配置した。そして、12個の測定値の平均値を内周部の全光線透過率とした。
【0045】
次いでスピンコートで、仮固定基板上に剥離層(3M社製:Light-to-Heat Conversion)を形成する。また、スピンコートで、シリコンウェハー(厚さ0.775mm)の表面に接着剤(3M社製:LC-5320 F1035)を塗布し、仮固定基板とシリコンウェハーを貼り合わせ、複合基板を得た。
【0046】
その後、仮固定基板2の照射面2b側からレーザー光Aを照射し、仮固定基板とシリコンウェハーとの剥離を行った。同じ実験を20回繰り返し行い、シリコンウェハーが割れた場合、あるいは、シリコンウェハーと支持基板が剥がれなかった場合を「不良」としてカウントした。これらの結果を表1、2、3に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
表1、表2からわかるように、仮固定基板の外周部および内周部が本発明を満足している場合には、シリコンウェハーや仮固定基板の割れ、剥離不良が抑制されていた。
【0051】
表3の比較例1、2、3から判るように、仮固定基板の内周部の全光線透過率が外周部の全光線透過率以上である場合には、シリコンウェハーの剥離時に割れや剥離不良が発生することがあった。
比較例4では、内周部の全光線透過率が外周部の全光線透過率よりも低いが、しかし内周部の全光線透過率が60%未満であるために、剥離不良が生じた。