(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】スルーガラスビアを有する3Dインターポーザ、銅とガラス表面との間の接着性を増大させる方法およびそれによる物品
(51)【国際特許分類】
C23C 18/18 20060101AFI20240205BHJP
C03C 17/06 20060101ALI20240205BHJP
C23C 18/38 20060101ALI20240205BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20240205BHJP
C23C 14/08 20060101ALI20240205BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
C23C18/18
C03C17/06 Z
C23C18/38
H01L23/14 C
C23C14/08 J
C23C14/24 N
(21)【出願番号】P 2021525589
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2019057757
(87)【国際公開番号】W WO2020101856
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】キム,フン
(72)【発明者】
【氏名】マズンダー,プランティック
(72)【発明者】
【氏名】レジキアン,アラム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディ,ラジェッシュ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/153777(WO,A1)
【文献】特開2012-009788(JP,A)
【文献】特表2016-533429(JP,A)
【文献】特開2001-271171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-20/08
C03C 17/06
C03C 17/34-17/40
C23C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マンガン(MnO
x)を含む接着層をガラスまたはガラスセラミック基板の表面上に堆積させるステップと、
前記接着層上に無電解銅堆積のための触媒を堆積させるステップと、
前記触媒を堆積させた後に前記MnO
x層上に無電解めっきによって第1の銅の層を堆積させるステップと、
を含
み、
前記接着層は、還元雰囲気でアニーリングされる、
方法。
【請求項2】
前記接着層を化学蒸着または原子層堆積によって堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接着層
がMnO
x
からなる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記接着層が、酸素を除いて50at%以上のMnを含
み、
at%は、原子%であり、酸素以外の層の全成分をベースとして決定される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記接着層
のアニーリングが、前記触媒を堆積させる前に行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記接着層
のアニーリングが、前記触媒を堆積させた後に行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記還元雰囲気でのアニーリングを200℃以上の温度にて、
ガス組成中1体積%以上の
H
2
を含む還元剤を含有する雰囲気で行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記接着層を還元雰囲気でアニールする前に前記接着層を酸化雰囲気でプレアニールするステップをさらに含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記接着層が、アニーリング後に厚さ3nm以上のMnO
xの層を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記表面が、前記ガラスまたはガラスセラミック基板に形成されたビアホールの内部表面である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年11月13日に出願された米国仮特許出願第62/760,406号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、銅に対する接着性が改善されたガラス表面および物品に関する。
【背景技術】
【0003】
ビアを有するガラスおよびガラスセラミック基板は、電気的インターフェース、RFフィルタおよびRFスイッチとして使用されるインターポーザのような使用を含む多くの用途において望まれている。ガラス基板は、かかる用途についてシリコンおよび繊維強化ポリマーの魅力的な代替品となっている。しかし、かかるビアを銅で充填することが望まれており、銅はガラスに良好に接着しない。加えて、銅とガラスとの間のハーメチックシールが一部の用途で所望され、銅がガラスに良好に接着しないことから、かかるシールを得ることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、銅とガラスおよびガラスセラミック材料とをより良好に接着する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の方法は、酸化マンガン(MnOx)を含む接着層をガラスまたはガラスセラミック基板の表面上に堆積させるステップと、接着層上に無電解銅堆積のための触媒を堆積させるステップと、触媒を堆積させた後にMnOx層上に無電解めっきによって第1の銅の層を堆積させるステップと、接着層を還元雰囲気でアニールするステップとを含む。
【0006】
第2の態様では、第1の態様について、接着層を化学蒸着または原子層堆積によって堆積させる。
【0007】
第3の態様では、第1の態様または第2の態様について、接着層は本質的にMnOxからなる。
【0008】
第4の態様では、第1の態様または第2の態様について、接着層はMnOxからなる。
【0009】
第5の態様では、第1の態様または第2の態様について、接着層は、酸素を除いて50at%以上のMnを含む。
【0010】
第6の態様では、第1から第5までのいずれか1つの態様について、触媒を堆積させる前に接着層を還元雰囲気でアニールする。
【0011】
第7の態様では、第1から第5までのいずれか1つの態様について、触媒を堆積させた後に接着層を還元雰囲気でアニールする。
【0012】
第8の態様では、第1から第5までのいずれか1つの態様について、第1の銅の層を堆積させた後に接着層を還元雰囲気でアニールする。
【0013】
第9の態様では、第1から第8までのいずれか1つの態様について、還元雰囲気でのアニーリングを200℃以上の温度にて、1体積%以上の還元剤を含有する雰囲気で行う。
【0014】
第10の態様では、第1から第9までのいずれか1つの態様について、接着層を還元雰囲気でアニールする前に接着層を酸化雰囲気でプレアニールするステップをさらに含む。
【0015】
第11の態様では、第1から第10までのいずれか1つの態様について、接着層は、アニーリング後に厚さ3nm以上のMnOxの層を含む。
【0016】
第12の態様では、第11の態様について、接着層は、アニーリング後に厚さ6nm以上のMnOxの層を含む。
【0017】
第13の態様では、第12の態様について、接着層は、アニーリング後に厚さ6nm~9nmのMnOxの層を含む。
【0018】
第14の態様では、第1から第13までのいずれか1つの態様について、表面は、ガラスまたはガラスセラミック基板に形成されたビアホールの内部表面である。
【0019】
第15の態様では、第14の態様について、ビアはスルービアである。
【0020】
第16の態様では、第14の態様について、ビアはブラインドビアである。
【0021】
第17の態様では、第1から第14までのいずれか1つの態様について、表面はトレンチの内部表面である。
【0022】
第18の態様では、第1から第14までのいずれか1つの態様について、表面は基板の平面部分のパターン化部分である。
【0023】
第19の態様では、第1から第18までのいずれか1つの態様について、接着層をコンフォーマルに堆積させる。
【0024】
第20の態様では、第1から第18までのいずれか1つの態様について、接着層をコンフォーマルに堆積させない。
【0025】
第21の態様では、第1から第20までのいずれか1つの態様について、接着層をALDによって堆積させる。
【0026】
第22の態様では、第1から第20までのいずれか1つの態様について、接着層をCVDによって堆積させる。
【0027】
第23の態様では、第1から第22までのいずれか1つの態様について、第1の銅の層上に電解めっきによって第2の銅の層を堆積させるステップをさらに含む。
【0028】
第24の態様では、第23の態様について、第2の銅の層は2μm以上の厚さを有する。
【0029】
第25の態様では、第23または第24の態様について、第2の銅の層は、5N/cmテープ試験に合格することが可能である。
【0030】
第26の態様では、第1から第25までのいずれか1つの態様について、ガラスまたはガラスセラミック基板は、酸化物ベースのモル%で50%~100%のSiO2のバルク組成を有する材料を含む。
【0031】
第27の態様では、第1から第26までのいずれか1つの態様について、触媒を堆積させるステップは、アミノシランまたは窒素含有ポリカチオンで処理することによって接着層を帯電させるステップと、帯電させた後に、パラジウム含有溶液での処理によってパラジウム錯体を接着層に吸着させるステップとを含む。
【0032】
第28の態様の方法は、酸化マンガン(MnOx)を含む接着層をガラスまたはガラスセラミック基板の表面上に堆積させるステップと、接着層上に導電性金属の第1の層を堆積させるステップと、接着層を還元雰囲気でアニールするステップとを含む。
【0033】
第28の態様は、第1から第27までのいずれか1つの態様について、任意の順列で組み合わせることができる。
【0034】
第29の態様では、第28の態様について、導電性金属の第1の層を堆積させた後に接着層をアニールする。
【0035】
第30の態様では、第28または第29の態様について、接着層を化学蒸着または原子層堆積によって堆積させる。
【0036】
第31の態様では、第28から第30までのいずれか1つの態様について、接着層を還元雰囲気でアニールする前に接着層を酸化雰囲気でプレアニールするステップをさらに含む。
【0037】
第32の態様では、第28から第31までのいずれか1つの態様について、表面は、ガラスまたはガラスセラミック基板に形成されたビアホールの内部表面である。
【0038】
第33の態様では、物品は、内部表面をそれぞれ有する複数のビアが形成されたガラスまたはガラスセラミック基板と、少なくとも3nmの厚さを有する、内部表面に結合したMnOxの層と、MnOxの層に結合した銅の層とを備える。
【0039】
第33の態様は、第1から第32までのいずれか1つの態様と任意の順列で組み合わせることができる。
【0040】
第34の態様では、第33の態様について、ビアを充填する銅が、5N/cmテープ試験に合格することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】スルービアホールを有する基板を示す図である。
【
図2】ブラインドビアホールを有する基板を示す図である。
【
図3】MnO
x接着層を有する充填されたスルービアホールを示す図である。
【
図5】一方を還元アニールに供し、他方を供しなかった2つの実施例の透過電子顕微鏡法(TEM)画像を示す図である。
【
図6】組成データを付け加えた、一方を還元アニールに供し、他方を供しなかった2つの実施例のTEM画像を示す図である。
【
図7】
図6と同様であるが、実施例上の異なる位置でのTEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ビアを有するガラスおよびガラスセラミック基板は、多数の用途に望ましい。例えば、一方の面の論理デバイスともう一方の面の記憶装置とを接続するスルーパッケージビア(TPV)相互接続を有する3Dインターポーザは、高帯域幅デバイスに望ましい。現在選択される基板は、有機またはシリコンである。有機インターポーザは寸法安定性に乏しいが、シリコンウェーハは高価であり、半導体特性のために高い誘電損失が問題となる。ガラスは、その低い誘電率、熱安定性および低いコストから優れた基板材料であり得る。スルービアまたはブラインドビアを有するガラスまたはガラスセラミック基板の用途がある。これらのビアホールは通例、銅等の導電性金属によって完全にまたはコンフォーマルに充填し、電気経路を与えるビアを形成する必要がある。銅が、特に望ましい導電性金属である。しかしながら、ガラスおよびガラスセラミック材料の化学的不活性および低い固有粗度は、銅とビア内のガラス壁との接着性に関する問題を引き起こす。銅とガラスとの接着性の欠如は、亀裂、剥離、ならびにガラス-銅界面に沿った水分および他の汚染物質の通路等の信頼性の問題を生じさせ得る。ビアホールの内部表面および他の表面を含む任意のガラスまたはガラスセラミック表面上での銅とガラスまたはガラスセラミック材料との有効な接着性を増大させるアプローチが本明細書に記載される。
【0043】
幾つかの実施形態では、MnOxを含む層が、銅または他の導電性金属とガラスとの接着を促進するために接着層として使用される。本明細書に記載される還元雰囲気下でのMnOxの層のアニーリングは、驚くべきことに優れた接着性をもたらす。理論に制限されるものではないが、かかるアニーリングは、MnOx層においてガラス近くの比較的酸素に富んだ領域および銅近くの比較的酸素の乏しい領域の勾配をもたらすと考えられる。より高酸化状態のMnを含む酸素に富んだ領域は、より酸化物のような性質を有し、ガラスまたは誘電体コーティング基板と酸化物間の結合を形成することができる。より低酸化状態のMnを含む酸素の乏しい領域は、より金属のような性質を有し、銅または他の導電性金属と金属結合を形成することができる。結果として、銅層は、5N/cm接着性試験に合格するのに十分な接着性でガラスと結合することができる。
【0044】
理論に制限されるものではないが、銅および同様の金属とガラスとを接着する弱い連結により金属と酸化物との結合が困難であると考えられる。そのため、酸化物接着層を使用する場合、系の最も弱い連結は、酸化物接着層と銅との間の界面であると考えられる。銅と接触する場合の本明細書に記載される還元雰囲気下でのMnOx接着層のアニーリングは、より強いMnOx-銅界面をもたらすと考えられる。本明細書に記載される実験では、かかるアニーリングは、より良好な接着性をもたらした。幾つかの実験では、MnOxの層は、かかるアニーリング後に銅に隣接したままであり、多量のMnOが銅-MnOx界面近くで検出される。銅はMnOに、より酸化した形態のMnOxよりも良好に接着し、MnO層により優れた接着性が説明され得る。しかし、他の実験では、かかるアニーリングがより良好な接着性をもたらしたが、銅に隣接したMnOxの観察可能な分離層は存在せず、存在する全てのMnOは、本明細書に記載される方法論を用いて直接検出するには十分でなかった。しかし、観察された優れた接着性および幾つかの実験におけるMnOの観察に基づくと、アニーリングにより界面にMnOが生じ、銅とMnOxと銅との結合が改善すると考えられる。アニーリングおよびサンプル条件に応じてMnの大部分がガラスまたは銅に拡散し得るが、MnO酸化状態の幾らかのMnが界面に残り、接着性を高めると考えられる。
【0045】
ビアを有する基板
図1に例示的な物品100の横断面を示す。物品100は基板110を含む。基板110は、厚さTで隔てられた第1の表面112および第2の表面114を有する。複数のビアホール124が第1の表面112から第2の表面114まで伸び、すなわち、ビアホール124はスルービアホールである。内部表面126は、基板110内に形成されるビア124の内部表面である。
【0046】
図2に例示的な物品200の横断面を示す。物品200は基板110を含む。基板110は、厚さTで隔てられた第1の表面112および第2の表面114を有する。複数のビアホール224が第1の表面112から第2の表面114に向かって伸びるが、第2の表面114には到達せず、すなわち、ビアホール124はブラインドビアである。表面226は、基板110内に形成されるビア224の内部表面である。
【0047】
図1および
図2は特定のビアホール構成を示すが、様々な他のビアホール構成を用いることができる。非限定的な例としては、砂時計形、バーベル形、面取りエッジ、または様々な他の形状を有するビアを、
図1および2に示す円筒形状の代わりに用いることができる。ビアホールは、例えば第1または第2の表面上のビアの開口部の直径の少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%の直径を有するウエスト(最小径を有するビア上の部位)を有する、実質的に円筒状であってもよい。ビアホールは、任意の好適なアスペクト比を有し得る。例えば、ビアホールは1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲、またはこれらの値のいずれかを下限として有する任意の無制限の範囲のアスペクト比を有することができる。他のビア形状を用いてもよい。
【0048】
ガラス組成物
最も一般的な意味で、ビアホールを形成し得る任意の好適なガラスまたはガラスセラミック組成物を使用することができる。例示的な組成物としては、高純度溶融シリカ(HPFS)およびアルミノホウケイ酸ガラスが挙げられる。高シリカガラスは、本明細書に記載される実施形態ではない場合に金属との結合にとって特に問題となる。幾つかの実施形態では、ガラスまたはガラスセラミックは、酸化物ベースの重量により50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または95重量%以上のシリカ含有量を有する。
【0049】
MnOx接着層
銅等の導電性金属を堆積させる前に、MnOxを含む接着層をガラス上に堆積させる。この接着層は、本明細書に記載される還元雰囲気でのアニーリング後に、接着層を堆積させるガラスと、続いて堆積させる銅等の導電性金属との両方に良好に接着する。
【0050】
接着層は、ガラスと銅または本明細書に記載される他の金属との両方に結合するのに十分なMnOxを含む任意の組成を有し得る。接着層は、本質的にMnOxからなっていても、または他の成分を有していてもよい。例えば、接着層はMnSiOxを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、接着層は、酸素を除いて20at%~100at%のMn、または20at%~90at%のMnである。幾つかの実施形態では、接着層は、酸素を除いて50at%以上のMnである。本明細書で使用される場合、「酸素を除いた」at%評価は、at%が酸素以外の層の全成分をベースとして決定されることを意味する。そのため、純粋なMnOxの層は、酸化状態に関わらず、酸素を除いて100at%のMnを有する。
【0051】
MnOx接着層は、任意の好適なプロセスによって堆積させることができる。好適なプロセスとしては、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、ロングスロースパッタリング、再スパッタリング法および電子ビーム蒸着が挙げられる。ビアの内側表面等の非平面形状に対する堆積が所望される場合、供給源への視線(line of sight)に依存しないCVDおよびALD等の手法を用いることができる。供給源への視線に依存する手法、例えば様々なタイプのスパッタリングおよび電子ビーム蒸着を用いて、接着層をビアの開口部の近くにのみ堆積させ、中央部には堆積させないような非平面形状への不均一な堆積を達成することができる。供給源への視線に依存する手法を用いて、十分に小さな平面へのコンフォーマル堆積を達成することもできる。CVDおよびALD等の手法は、ビアホールの内部表面等の非平面領域を含む大きな領域上でのコンフォーマル堆積を達成するために用いることができる。本明細書で使用される場合、「コンフォーマル」層は均一な厚さを有する。
【0052】
堆積の手法およびパラメータに応じて、MnOx接着層を一部の位置に堆積させ、他の位置には堆積させないこともできる。例えば、コンフォーマル堆積法を用いて、ビア内部表面の全体にMnOx層を堆積させることができる。または、特定の基板配向および回転と組み合わせた視線堆積法を用いて、MnOx接着層を、例えばビアの開口部の近くのビア内部表面にのみ堆積させることができる。
【0053】
様々な前駆体によってMnOを堆積させることが可能である。(EtCp)2Mn、Mn(thd;2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン)3、Mnアミジネート(ビス(N,N’-ジ-i-プロピルペンチルアミジナト)マンガン(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、シクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル、エチルシクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル、マンガン(0)カルボニル、またはマンガン前駆体を含有する同様の金属有機化合物もしくはハロゲン化物を、酸化マンガンを堆積させるために使用することができる。
【0054】
MnO
x接着層は、任意の好適な厚さを有し得る。幾つかの実施形態では、MnO
x接着層は1nm、2nm、4nm、6nm、8nm、10nm、15nm、20nm、25nm、50nm、100nm、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態では、MnO
x接着層は、4nm~20nmまたは6nm~15nmの厚さを有する。他の厚さを用いてもよい。本明細書で使用される場合、MnO
x層の厚さは、
図5に示すような混合層を含まない。他に規定のない限り、MnO
x層の厚さは、TEM画像に見ることができる界面を観察し、電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて様々な部位での層の組成を決定することによって測定することができる。
【0055】
堆積時に、MnOx接着層は任意の好適な酸素含有量を有し得る。幾つかの実施形態では、MnOxをPVDによって堆積させ、堆積時の酸化状態はMn3O4である。酸化状態を、続いて本明細書に記載される酸化および/または還元雰囲気への曝露によって変更することができる。接着層が、酸素を除いて20at%以上、50at%以上または80at%以上(ここで、at%は原子%を意味する)のMnを含む、請求項1の方法。
【0056】
プレアニール
還元雰囲気下でのアニーリングの前に、ガラスに隣接した高酸化状態を、好適な堆積法および酸化雰囲気でのプレアニーリングの1つ以上によって達成することができる。このプレアニールは、技術的に、「アニール」という語が微細構造を変化させる熱処理を説明するために一般に用いられるという意味ではアニーリング工程である。しかし、本明細書では、「プレアニール」は、酸化雰囲気下での「プレアニーリング」と還元雰囲気下での「アニーリング」との混同を避けるために、還元雰囲気下でのアニーリングの前の熱処理を説明するために用いられる。MnOx接着層のプレアニーリングおよび続くアニーリングは、MnOx接着層にわたる酸化(および酸化状態)勾配の形成を可能にする。プレアニール(酸化)は、ガラスに隣接したMnOx層における高酸化状態を達成/維持し、MnOx層がガラスに良好に接着する。また、アニール(還元)は、銅に隣接したMnOx層における低酸化状態を達成し、MnOx層が銅に良好に接着する。幾つかの実施形態では、プレアニール(または堆積条件)とアニールとの組合せにより、ガラスから銅への酸化状態の勾配を有するMnOx層が得られる。幾つかの実施形態では、MnOx層は、おそらくはガラスおよび/または銅へのMnの拡散によってアニール中に消費され得る。しかし、理論に制限されるものではないが、幾らかの残留MnOxが、かかる拡散の後に銅-ガラス界面に、その界面での接着性を高めるのに適した酸化状態で残ると考えられる。
【0057】
任意のプレアニールを、MnOx接着層を堆積させた後、かつ還元雰囲気下でのアニールの前の任意の時点で行うことができる。MnOx接着層の堆積前のプレアニールの実行は、ガラスに隣接したMnOx接着層の望ましい酸化効果を有しない。任意のプレアニールを、MnOx接着層のアニーリングの前の任意の時点で行うことができる。幾つかの実施形態では、MnOx接着層を堆積させた後、かつ銅等の金属の堆積、および触媒の堆積等の関連工程を開始する前に任意のプレアニールを行うことが好ましい。この時点でプレアニールを行うことで、他のプロセスの結果に干渉することなく、ガラスに隣接したMnOx接着層の望ましい酸化効果が可能となる。
【0058】
任意の好適なプレアニール温度を用いることができ、ここで「好適なプレアニール温度」は、その温度でのプレアニールによりMnOx接着層が酸化することを意味する。幾つかの実施形態では、アニーリング温度は200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲である。幾つかの実施形態では、アニーリング温度は200℃~600℃、300℃~500℃または350℃~450℃である。過度に高い温度でのアニーリングは、MnOx層またはその下の基板への損傷等の望ましくない影響を引き起こす恐れがある。過度に低い温度でのアニーリングは、商業的に実用的となるには遅すぎる速度でのMnOx接着層の酸化をもたらす可能性がある。
【0059】
任意の好適なプレアニール雰囲気を用いることができ、ここで「好適なプレアニール雰囲気」は、プレアニールにより200℃~600℃の温度範囲でMnOx接着層が酸化することを意味する。殆どの酸素含有雰囲気が好適である。幾つかの実施形態では、低いコストのために周囲条件が好ましい。
【0060】
一般的な金属堆積
銅等の導電性金属をMnOx接着層上に堆積させることができる。任意の好適な堆積プロセスを用いることができる。ビアの充填については、銅を堆積させるために視線に依存しないプロセスを用いることが望ましい。例えば、無電解めっきおよび電気めっきを用いることができる。電気めっきは、堆積源への視線に依存しないことから、ビアの充填に望ましい手法である。しかし、電気めっきは、物理蒸着(PVD)等の視線に依存する先の堆積法に依存し、堆積層(例えば、MnOx接着層、後続の電気めっきのための銅シード層等)のいずれかについてビアホールの充填時の困難に直面する可能性がある。
【0061】
触媒
幾つかの実施形態では、無電解堆積を用いて銅を堆積させる。無電解堆積では、触媒が存在する場合、はるかに急速に銅が堆積する。銅の無電解堆積に好適なプロセスフローの1つは、以下の通りである:
・アミノシランまたは窒素含有ポリカチオンで表面を処理する;
・パラジウム含有溶液での処理によってパラジウム錯体を吸着させる;
・無電解銅を堆積させる
無電解堆積によって金属を堆積させる前に、基板を任意にアミノシランまたは窒素含有ポリカチオンで処理してもよい。続いて触媒を任意に堆積させてもよい。アミノシランまたは窒素含有ポリカチオンでの処理は、ガラス表面のカチオン電荷状態をもたらし、触媒の吸着を促進する。触媒吸着工程は、例えばK2PdCl4またはイオンパラジウムまたはSn/Pdコロイド溶液でのガラス表面の処理を必要とする。パラジウム錯体は、通常はアニオン形態で存在し、したがって、ガラス表面へのそれらの吸着は、プロトン化アミン等のカチオン性表面基によって促進される。K2PdCl4またはイオンパラジウム化学を用いる場合、次の工程は、好ましくは(限定されるものではないが)約2~10nmの寸法のコロイドの形態の金属パラジウムPd(0)へのパラジウム錯体の還元を含んでいた。Sn/Pdコロイド溶液を使用する場合、パラジウムは既に、酸エッチングによって除去されるSnシェルを周囲に有するPd(0)形態である。
【0062】
銅または他の金属の薄い第1の層
幾つかの実施形態では、銅等の導電性金属の薄い第1の層をMnOx接着層上に堆積させる。無電解堆積は、電気めっきと比べて遅い。しかし、無電解堆積は非導電性表面上で行うことができ、電気めっきは導電性表面に限定される。ビアの内表面への堆積については、無電解堆積が有利には視線に依存しない。原子層堆積(ALD)は、銅の薄い第1の層を堆積させる、視線に依存しない別の好適な方法である。直接的な視線に依存しないこれらの手法が、物理蒸着(PVD)等の直接的な視線に依存する幾つかの手法と比較して低い接着性をもたらし得ることが認められている。理論に制限されるものではないが、視線堆積法は、堆積時により多くの運動エネルギーを必要とし、銅とMnOx接着層との間の結合の形成、場合によってはMnOxの酸化状態の変化を引き起こす可能性があると考えられる。
【0063】
幾つかの実施形態では、視線に依存する手法を用いて、導電性金属の薄い第1の層を堆積させることができる。これらの手法は、視線がビアとは良好に機能しない可能性があることから、銅とビアの内部表面との接着の際に用いることが困難であり得る。この問題は、3:1以上、4:1以上、5:1以上、6:1以上、8:1以上または10:1以上等の高いアスペクト比を有するビアで特に悪化し得る。しかし、堆積条件に応じて、PVDによる銅の第1の(シード)層の堆積が幾らかのMnOの形成を生じ得ることが認められている。この場合、接着性は無電解堆積、CVDおよびALD等の視線に依存しない手法によって堆積させた第1の銅の層で見られるよりも優れている可能性がある。しかし、還元雰囲気下でのアニーリングが、シード層の堆積に用いられる手法に関わらず、接着性を改善することができる。
【0064】
任意の好適な厚さを、無電解堆積によって堆積させる銅または他の金属の第1の層に用いることができる。幾つかの実施形態では、無電解堆積の目的が電気めっきを可能にすることである場合、第1の層は、電気めっきに用いられる伝導性をもたらすのに十分な厚さを有する必要がある。例えば、150nmの厚さまで堆積させた無電解銅のシート抵抗は、1Ω/sq未満であり、電気めっきの導電性シードとするのに十分である。幾つかの実施形態では、第1の層は50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、1000nm、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態では、第1の層は50nm~1000nm、100nm~500nmまたは100nm~200nmの厚さを有する。
【0065】
電気めっきによる銅または他の金属のより厚い第2の層
幾つかの実施形態では、より厚い銅層のより迅速な堆積が所望される場合、第1の銅の層の無電解堆積に続いて、任意に第2の、より厚い銅の層の電気めっきを行ってもよい。無電解堆積は、最初に非導電性の表面へと堆積させる能力等の或る特定の利点を有する。しかし、無電解めっきは、厚い層が所望される場合に遅い場合がある。最初の無電解銅の層を堆積させ、電気めっきに用いられる導電性表面を形成した後、電気めっきを用いて、より厚い銅の層をより迅速に堆積させることができる。銅の総厚さは、任意の所望の厚さであり得る。ビアホールへのビアの形成については、銅の総厚さは、ビアホール形状および所望のビア形状に応じる。例えば、ホールを完全に充填することが所望される場合、銅の総厚さをビアホールの半径とする必要がある。銅の導電性コンフォーマルコーティングが所望される場合、総厚さは、ホールの総厚さより小さいが、所望の伝導性を達成するのに十分に厚い必要がある。幾つかの実施形態では、第2の層は1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、100μm、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲、またはこれらの値の1つを下端点として有する任意の無制限の範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態では、第2の層は1μm~100μm、1μm~20μm、3μm~15μmの範囲、または2μm以上の厚さを有する。
【0066】
還元雰囲気下でのアニーリング
幾つかの実施形態では、MnOx層を還元雰囲気下でアニールする。本明細書に記載される実験では、このアニーリングに水素含有量4%のフォーミングガス(4体積%の水素を含む窒素)を使用した。しかし、異なるパーセンテージの水素を含むフォーミングガスおよび代替ガス組成のフォーミングガスを含む他の還元雰囲気を用いてもよい。本明細書で使用される場合、「還元雰囲気」は、200℃~600℃の温度範囲の少なくとも1つのアニーリング温度でMnOxから酸素を抽出する雰囲気である。幾つかの実施形態では、還元雰囲気は1体積%以上のH2または同様の還元剤を含み、還元雰囲気への曝露は、200℃以上の温度である。フォーミングガスと少なくとも同程度に強く、より好ましくは水素含有量4%のフォーミングガスと少なくとも同程度に強く酸素を抽出する還元雰囲気を使用することが好ましい。
【0067】
任意の好適なアニーリング温度を用いることができ、ここで「好適なアニーリング温度」は、その温度でアニーリングによりMnOx接着層から酸素が抽出されることを意味する。幾つかの実施形態では、アニーリング温度は200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、またはこれらの値のいずれか2つを端点として有する任意の範囲である。幾つかの実施形態では、アニーリング温度は200℃~600℃、200℃~400℃または300℃~400℃である。過度に高い温度でのアニーリングは、銅の凝集等の望ましくない影響および望ましくない応力を引き起こす恐れがある。幾つかの実施形態では、アニーリング温度は、かかる凝集を回避するために400℃以下であるが、場合によっては、例えばより厚い銅層と共により高い温度を用いてもよい。過度に低い温度でのアニーリングは、商業的に実用的となるには遅すぎる速度でのMnOx接着層からの酸素の抽出をもたらす可能性がある。
【0068】
酸化マンガンはMnO、Mn3O4、Mn2O3およびMnO2の広範な酸化状態で安定している。その混合を含むその酸化状態のいずれかの酸化マンガンは、「酸化マンガン」または「MnOx」とみなされる。ガラスと接触する接着層の部分については、ガラスとの強い結合を形成するために、MnO2等のより高酸化状態のMnOxが好ましい。しかし、これらの高酸化状態では銅、ならびに銀および金等の他の導電性金属との弱い結合が形成される。MnO等のより低い酸化状態が、金属との強い結合を形成するために、かかる導電性金属と接触する接着層の部分に望ましい。しかし、これらの低酸化状態ではガラスとの弱い結合が形成される。
【0069】
本明細書に記載される幾つかの実施形態では、金属に隣接した低い酸化物状態(例えば、測定可能なMnOの層)から、ガラスに隣接したより高い酸化物状態への接着層にわたるMnOxの酸化物状態の勾配を有する接着層を記載する。本明細書に記載される幾つかの実施形態では、かかる勾配構造を還元雰囲気でのアニーリングによって達成し、金属に隣接した低酸化状態を達成する方法も教示する。かかるアニーリングのパラメータおよび動態は、MnOxの酸化状態を導電性金属に近いほど大きく、かつガラスに近いほど小さく還元するように選択することができる。
【0070】
本明細書に記載される幾つかの実施形態では、処理が完了した後に残る金属に隣接した測定可能なMnOxの分離層を有しない接着層を記載する。理論に制限されるものではないが、還元雰囲気下でのアニーリングは、幾つかの実施形態では、界面の性質を変化させ、測定可能なMnOxの層を生じることなく金属層とMnOx接着層との間の結合強度を増大し得ると考えられる。かかる実施形態では、MnOx接着層と金属層との間の界面の性質の物理的変化は、直接観察するのが困難であり得る。しかし、物理的変化は、MnOx-金属界面がアニールされていないサンプルにおいて破損が生じる部位であるという合理的仮定に基づくと、例えば5N/cmテープ試験等のテープ試験によって測定可能である。理論に制限されるものではないが、物理的相違は、Mnの拡散、および/またはMnによって媒介される結合によって生じる銅とガラスとの混合領域であり得る。
【0071】
堆積後の任意の時点でのMnOx接着層のアニーリングによって幾らかの利益を得ることができる。例えば、MnOx接着層は、(1)堆積させた直後、かつ任意の他の工程を行う前(酸化プレアニールを行わない場合)、(2)任意のプレアニールの後、かつ任意の他の層を堆積させる前、(3)触媒を堆積させた後、かつ銅(または他の金属)を堆積させる前、(4)銅の薄い第1の層を、例えば無電解めっきによって堆積させた後、または(5)銅の厚い第2の層を、例えば電気めっきによって堆積させた後にアニールすることができる。幾つかの実施形態では、銅の薄い第1の層を堆積させた後、かつ銅の厚い第2の層を堆積させる前に還元雰囲気下でアニールすることが好ましい。水素は、銅を透過してMnOx接着層に到達し得る小分子である。この透過は、無電解銅堆積後のフォーミングガス下でのアニーリングが、接着性の改善およびMnOx接着層の微細構造の顕著な相違をもたらすという本明細書に記載される実験結果と一致する。第1の銅の層が存在した後のアニーリングは、MnOxが、MnOまたはさらにはMn等の銅と良好に結合する酸化状態へと還元される場合に、干渉機構が生じる時間なしに即座に還元されることを可能にする。有益な効果は、銅のより厚い第2の層を堆積させた後に得ることができる。しかし、水素が第2の層を介して接着層に到達することは、第2の層の厚さおよび全体的な物品の形状に応じて、より困難な場合がある。有益な効果は、銅により良好に接着する、より低酸化状態のMnOxが還元アニールによって生じ得ることから、還元アニールを銅が存在する前に行う場合にも得ることができる。しかし、より低酸化状態のMnOxとの結合が干渉機構の時間なしに即座に生じ得るように、銅が存在した後に還元雰囲気下でアニールすることが好ましい。
【0072】
幾つかの実施形態では、還元雰囲気下でのアニーリング後にMnOxの分離層が観察可能であり得る。任意の好適な厚さが存在し得る。幾つかの実施形態では、このMnOxの層は3nm以上、6nm以上、または6nm~9nmの厚さを有することができる。幾つかの実施形態では、還元雰囲気下でのアニーリング後にMnOx領域は(TEMおよびEELSによって)殆ど検出可能でない可能性があるが、幾らかのMnOx(おそらくは低酸化状態)がガラス-銅界面に残り、銅/ガラス結合を媒介し、接着性を高めると考えられる。
【0073】
構造
図3に本明細書に記載される処理後の充填されたビアホール構造300を示す。ビアホール310を有する基板305上に、以下の層を順に堆積させる:MnO
x接着層320、触媒層330、第1の銅の層340および第2の銅の層350。第1の銅の層340および第2の銅の層350がビアホール310を充填する。MnO
x接着層320が銅と基板305との優れた接着性をもたらす。本明細書に記載されるアニーリング後に、MnO
x接着層320および触媒層330の1つ以上が拡散により存在しなくてもよい。また、第1の銅の層340および第2の銅の層350は、明確な層として識別可能でなくてもよい。
【0074】
図4に幾つかの実施形態によるプロセスフローを示す。以下の工程を順に行う:
工程410:基板にホールを形成する
工程420:MnO
x接着層を堆積させる
工程430:(任意に)プレアニールしてMnO
xを酸化する
工程440:触媒を堆積させる
工程450:無電解銅を堆積させる
工程460:電気めっき銅を堆積させる
MnO
x接着層を堆積させた後、かつ任意のプレアニール(行う場合)の後の任意の時点で、MnO
x接着層を還元雰囲気下でアニールする。理論に制限されるものではないが、このアニールによって、銅-MnO
x界面でMnO
xの少なくとも一部がより低い酸化状態へと還元され、この還元されたMnO
xが接着性を高めると考えられる。
【0075】
実験
接着性
本明細書に記載されるように堆積させた銅層に対して接着性試験を行った。接着性を、ASTM規格D3359クロスハッチテープ試験に準拠した5N/cmテープ試験を用いて試験した。接着性について試験したサンプルは平面であり、銅をビアの内部表面に堆積させなかったが、この試験によりビアの内部表面への銅の接着性が示される。
【実施例】
【0076】
実施例1
サンプルを以下のように作製した:
・厚さ10nmのMnOxの層を、清浄な平面EXG(Eagle XG(登録商標)、Corning, Inc.から入手可能)ガラス基板上に電子ビーム蒸着によって堆積させた。
【0077】
・MnOxおよびガラス基板を400℃にて真空下で30分間熱処理し、ガラス表面とMnOxとの接着性を改善させた。
【0078】
・パラジウム触媒を堆積させた。
【0079】
・厚さ150nmの第1の銅の層を、パラジウム触媒を用いる無電解堆積によって堆積させた。堆積速度は約100nm/分とした。
【0080】
・サンプルを還元雰囲気(フォーミングガス、4%H2および96%N2)にて400℃で10分間アニールした。
【0081】
・厚さ3μmの第2の銅の層を、電気めっきを用いて堆積させた。
【0082】
・サンプルを350℃にて真空下で熱処理し、電気めっき銅中のあらゆる固有応力を除去した。
【0083】
ASTM規格D3359クロスハッチテープ試験を、銅ブロックに対して5N/cmの接着強度を有するテープを用い、実施例1のサンプルに対して行った。最も単純なバージョンの試験を用いた。テープ片をクロスハッチ積層膜に押し付け、テープを剥ぎ取った際のコーティング除去の程度を観察した。他に規定のない限り、この同じ試験を接着性全般の測定に用いる。実施例1は、5N/cm接着性試験に合格した。
【0084】
実施例2
サンプルを以下のように作製した:
・厚さ10nmのMnOxの層を、清浄な平面EXG(Eagle XG(登録商標)、Corning, Inc.から入手可能)ガラス基板上にPVDによって堆積させた。
【0085】
・MnOxおよびガラス基板は、Cu堆積の前に熱処理しなかった。
【0086】
・厚さ150nmの第1の銅の層をPVDによって堆積させた。
【0087】
・サンプルを還元雰囲気でアニールしなかった。
【0088】
・厚さ2.5μmの第2の銅の層を、電気めっきを用いて堆積させた。
【0089】
・サンプルを350℃にて真空下で熱処理し、電気めっき銅中のあらゆる固有応力を除去した。
【0090】
実施例2は、5N/cm接着性試験に合格した。
【0091】
実施例3
サンプルを以下のように作製した:
・厚さ10nmのMnOxの層を、清浄な平面EXG(Eagle XG(登録商標)、Corning, Inc.から入手可能)ガラス基板上にPVDによって堆積させた。
【0092】
・MnOxおよびガラス基板を400℃にて真空下で30分間熱処理し、ガラス表面とMnOxとの接着性を改善させた。
【0093】
・パラジウム触媒を堆積させた。
【0094】
・厚さ150nmの第1の銅の層を、パラジウム触媒を用いる無電解堆積によって堆積させた。堆積速度は約100nm/分とした。
【0095】
・サンプルを還元雰囲気(フォーミングガス、4%H2および96%N2)にて400℃で10分間アニールした。
【0096】
・厚さ2.5μmの第2の銅の層を、電気めっきを用いて堆積させた。
【0097】
・サンプルを350℃にて真空下で熱処理し、電気めっき銅中のあらゆる固有応力を除去した。
【0098】
実施例3は、5N/cm接着性試験に合格した。
【0099】
実施例2および3を、TEM(透過電子顕微鏡法)およびEELS(電子エネルギー損失分光法)を用いて評価した。
【0100】
図5に実施例2のTEM画像510および実施例3のTEM画像520を示す。
図5(のみ)において、「MnO」という表示は、MnO
xの意味で用いられる。この
図5のみでのMnOの使用は、特定の酸化状態を指す、本明細書でのMnOの通常の使用からは外れている。還元雰囲気でアニールしなかったサンプルについての画像510は、9nmのMnO厚さを示すが、還元雰囲気でアニールしたサンプルについての画像520は、6nmのMnO厚さしか示さない。画像510と画像520との比較により、還元雰囲気への曝露がMnO層に影響を及ぼすことが示される。還元雰囲気下でのアニールに加えて実施例2と実施例3とには違いがあった。具体的には、実施例2の銅シード層はPVDによって堆積させ、実施例3の銅シードは無電解めっきによって堆積させた。しかし、この堆積方法の違いは、MnO
x層の厚さに対して大きな影響を与えるとは考えられない。
【0101】
図6に実施例2のTEM画像610および実施例3のTEM画像620を示す。
図6中の番号を付けた十字は、Mn酸化状態の組成の決定のためにEELS分析を行った位置を意味する。画像610において、番号は以下に対応する:
1:Mn
3O
4
2:Mn
2O
3(微量
*)+Mn
3O
4(微量)+SiO
2
3:SiO
2
4:Mn
2O
3(微量)+Mn
3O
4(微量
*)+SiO
2
5:Mn
3O
4
EELSデータは、定量的には分析しなかった。しかし、EELSデータから、シグナルプロファイルの形状およびそのプロファイルでの様々な特徴の相対的な大きさに基づいて、種々の成分の相対量について何らかの情報を得ることが依然として可能である。「微量」のない組成は、その組成のシグナルがEELSプロファイルにおいて強く明らかに現れたことを意味する。「微量」または「微量
*」の表記を有する組成は、その組成に対応するシグナルがEELSプロファイルにおいて弱く現れたことを意味する。かかる弱いシグナルでは、異なる組成が同様のEELSプロファイルを有する場合があり、存在する組成を断定的に述べることが困難であり得る。しかし、主要成分等の他の要因に基づいて、存在する成分についての合理的な推定を行うことができる。部位が「微量
*」および「微量」の両方を示す場合、微量
*成分がEELSプロファイルにおける弱いシグナルに微量成分よりも寄与する可能性がある。例えば、部位2でのMn
2O
3(微量
*)+Mn
3O
4(微量)+SiO
2は、EELSシグナルへの強い寄与がSiO
2から観察され、シグナル形状に基づくと、おそらくはより強いMn
2O
3およびより弱いMn
3O
4の寄与による異なる酸化状態の混合であり得る幾らかの微量MnO
xの寄与が観察されることを意味する。画像620において、番号は以下に対応する:
1:MnO
2:Mn
2O
3(微量)+Mn
3O
4(微量)+SiO
2
3:SiO
2
4:MnO+Mn
3O
4(微量
*)+Mn
2O
3(微量)
5:MnO+Mn
3O
4(微量
*)+Mn
2O
3(微量)
図6と同様、
図7に実施例2のTEM画像710および実施例3のTEM画像720を示す。
図7の画像は、
図6とは異なる位置で撮影した。
図7の番号を付けた十字は、組成の決定のためにEELS分析を行った位置を意味する。画像710において、番号は以下に対応する:
1:Mn
3O
4
2:Mn
3O
4
3:Mn
3O
4
4:MnO
x(微量)
Mn
3O
4シグナルの強度は、位置1から位置4へと減少する。画像および他の部位での測定に基づくと、銅が部位4に存在する。しかし、銅のデータは、部位4では特に収集されない。
【0102】
画像720において、番号は以下に対応する:
1:MnO
2:MnO+Mn3O4(微量)
3:MnO+Mn3O4(微量)
4:MnO+Mn3O4(微量)
5:MnOx(微量)
6:MnOx(微量)
上記の部位のEELSシグナルの説明におけるMnOxの表示は、MnOxシグナルが全体的に弱いため、異なる酸化状態のMnに起因するシグナル形状の差を読み取ることが不可能であることを意味する。画像710と同様、画像720では、銅が部位3、4、5および6に存在する。しかし、銅のデータは、これらの部位では特に収集されない。
【0103】
実施例2および3に用いられた条件下でPVDによって堆積させたMnO
xは、大部分がMn
3O
4である。
図6および
図7のEELS測定から、還元雰囲気下でアニールしなかった実施例2では、殆どがMn
3O
4のままであることが示される。対照的に、実施例3では相当量のMnOが示される。このMnOは、還元雰囲気下でのアニーリングによって形成されたと考えられる。
【0104】
実施例4~9
実施例4~9を表1に示すように作製した。
【0105】
【0106】
実施例4~9はそれぞれ、Eagle XG(登録商標)ガラス上で作製した。各実施例について、10nmのMnOxをPVDによって堆積させた。次いで、実施例の一部を周囲条件、すなわち酸化条件下にて400℃で30分間のプレアニールに供した。表1に示すように、一部の実施例はプレアニールしなかった。次いで、各実施例について、無電解堆積を用いて第1の銅の層を150nmの厚さまで堆積させた。次いで、表1に示すように、実施例の一部を還元雰囲気(フォーミングガス)下にて400℃で10分間アニールした。次いで、実施例の一部について、厚さ3μmの第2の銅の層を電気めっきによって堆積させた。5N/cmテープ試験を用いて各実施例を試験した。表1に示すように、一部の実施例が合格し、一部が不合格であった。
【0107】
表1の最も重要な点は、実施例8と実施例9との比較から明らかである。これら2つの実施例はどちらも銅の第1および第2の層が堆積していた。そのため、これらはガラスに接着させる銅の実際の用途に最も密接に対応する。実施例8および実施例9の作製における唯一の相違点は、実施例9を還元雰囲気に曝露し、実施例8を曝露しなかったことである。実施例8はテープ試験に不合格であり、実施例9は合格した。実施例8および9から、還元雰囲気でのアニーリングがMnO接着層を使用した場合の銅とガラスとの接着性を改善することが実証される。
【0108】
実施例5(不合格)と実施例9(合格)との比較により、プレアニールも接着性を改善することが示される。
【0109】
実施例4、6および7は、第2の銅の層を欠いている。無電解銅の薄い層は単独で、通例、電気めっき銅の付加的な厚い層を有する比較サンプルよりも良好に接着する。したがって、無電解銅の薄い層のみを有するサンプルについての「合格」の結果は、サンプルが電気めっき銅の厚い層を付加した後に好適な接着性を有することを必ずしも示すわけではない。また、かかる薄い層は単独で、概してビアへの使用に十分なほど導電性ではない。それにもかかわらず、実施例4、6および7の比較から、還元雰囲気下でのアニーリングが接着性を改善することが示される。実施例4と実施例7との比較から、還元雰囲気下でのアニールが接着性の改善にプレアニールよりも大きな効果を及ぼすことが示される。
【0110】
還元雰囲気下でのアニールに供した2つの完全な積層体(実施例5および9)に対し、EELS分析を行った。分離した/明確なMnOxまたはMnO層は、TEMイメージングによって検出されなかった。小さなMnシグナルがガラス-銅界面で(エネルギー分散型X線分光法によって)検出された。理論に束縛されるものではないが、還元雰囲気への曝露は、接着性に有利な銅界面でのMnOの酸化状態を確定すると考えられる。しかし、残りのMnが銅に拡散する可能性があり、これによっても接着性が改善され得る。
【0111】
結論
当業者には、本明細書に記載される様々な実施形態に対して多くの変更を行った上で有益な結果を得ることができることが認識および理解される。本実施形態の所望の利益の一部を、特徴の一部を選択し、他の特徴を用いなくとも得ることができることも明らかである。したがって、多くの修正および適合が可能であり、或る特定の状況では望ましいことさえあり、本開示の一部であることが当業者には認識される。したがって、他に規定のない限り、本開示が開示される特定の組成物、物品、デバイスおよび方法に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことも理解されたい。図面に示される特徴は、本明細書の選択実施形態の例示であり、必ずしも適当な縮尺で描かれているわけではない。これらの図面の特徴は例示であり、限定を意図するものではない。
【0112】
明示的に記載されない限り、本明細書に記載される任意の方法が、その工程を特定の順序で行う必要があると解釈されるとは何ら意図されない。したがって、方法クレームにその工程が従うべき順序が実際に列挙されない場合、または工程が特定の順序に限定されると特許請求の範囲もしくは本明細書に具体的に記載されない限り、任意の特定の順序が暗示されるとは何ら意図されない。
【0113】
明示的に記載されない限り、本明細書に記載されるガラス成分のパーセンテージは、酸化物ベースのモル%である。明示的に記載されない限り、ガス組成のパーセンテージは体積%である。
【0114】
本明細書では銅の薄い第1の層および銅の厚い第2の層を記載する。幾つかの実施形態では銅が好ましく、ガラスへの結合および接着剤層としてのMnOxの使用に関する特有の問題および特性を有し得るが、この記載は銀、金および他の導電性金属等のガラスに直接結合することが困難な他の導電性金属を用いる他の実施形態を包含すると理解すべきである。
【0115】
例示の実施形態の趣旨または範囲から逸脱することなく様々な修正および変形を行うことができることが当業者には明らかである。例示の実施形態の趣旨および要旨を組み込んだ開示の実施形態の修正、組合せ、部分的な組合せ(sub-combinations)および変形が当業者には想到され得るため、本明細書は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈すべきである。
【0116】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0117】
実施形態1
酸化マンガン(MnOx)を含む接着層をガラスまたはガラスセラミック基板の表面上に堆積させるステップと、
前記接着層上に無電解銅堆積のための触媒を堆積させるステップと、
前記触媒を堆積させた後に前記MnOx層上に無電解めっきによって第1の銅の層を堆積させるステップと、
前記接着層を還元雰囲気でアニールするステップと
を含む方法。
【0118】
実施形態2
前記接着層を化学蒸着または原子層堆積によって堆積させる、実施形態1記載の方法。
【0119】
実施形態3
前記接着層が本質的にMnOxからなる、実施形態1または2記載の方法。
【0120】
実施形態4
前記接着層がMnOxからなる、実施形態1または2記載の方法。
【0121】
実施形態5
前記接着層が、酸素を除いて50at%以上のMnを含む、実施形態1または2記載の方法。
【0122】
実施形態6
前記触媒を堆積させる前に前記接着層を還元雰囲気でアニールする、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0123】
実施形態7
前記触媒を堆積させた後に前記接着層を還元雰囲気でアニールする、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0124】
実施形態8
前記第1の銅の層を堆積させた後に前記接着層を還元雰囲気でアニールする、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0125】
実施形態9
前記還元雰囲気でのアニーリングを200℃以上の温度にて、1体積%以上の還元剤を含有する雰囲気で行う、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の方法。
【0126】
実施形態10
前記接着層を還元雰囲気でアニールする前に前記接着層を酸化雰囲気でプレアニールするステップをさらに含む、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0127】
実施形態11
前記接着層が、アニーリング後に厚さ3nm以上のMnOxの層を含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0128】
実施形態12
前記接着層が、アニーリング後に厚さ6nm以上のMnOxの層を含む、実施形態11記載の方法。
【0129】
実施形態13
前記接着層が、アニーリング後に厚さ6nm~9nmのMnOxの層を含む、実施形態12記載の方法。
【0130】
実施形態14
前記表面が、前記ガラスまたはガラスセラミック基板に形成されたビアホールの内部表面である、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0131】
実施形態15
前記ビアがスルービアである、実施形態14記載の方法。
【0132】
実施形態16
前記ビアがブラインドビアである、実施形態14記載の方法。
【0133】
実施形態17
前記表面がトレンチの内部表面である、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0134】
実施形態18
前記表面が前記基板の平面部分のパターン化部分である、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0135】
実施形態19
前記接着層をコンフォーマルに堆積させる、実施形態1から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0136】
実施形態20
前記接着層をコンフォーマルに堆積させない、実施形態1から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0137】
実施形態21
前記接着層をALDによって堆積させる、実施形態1から20までのいずれか1つ記載の方法。
【0138】
実施形態22
前記接着層をCVDによって堆積させる、実施形態1から20までのいずれか1つ記載の方法。
【0139】
実施形態23
前記第1の銅の層上に電解めっきによって第2の銅の層を堆積させるステップをさらに含む、実施形態1から22までのいずれか1つ記載の方法。
【0140】
実施形態24
前記第2の銅の層が2μm以上の厚さを有する、実施形態23記載の方法。
【0141】
実施形態25
前記第2の銅の層が、5N/cmテープ試験に合格することが可能である、実施形態23または24記載の方法。
【0142】
実施形態26
前記ガラスまたはガラスセラミック基板が、酸化物ベースのモル%で50%~100%のSiO2のバルク組成を有する材料を含む、実施形態1から25までのいずれか1つ記載の方法。
【0143】
実施形態27
触媒を堆積させるステップが、
アミノシランまたは窒素含有ポリカチオンで処理することによって前記接着層を帯電させるステップと、
帯電させた後に、パラジウム含有溶液での処理によってパラジウム錯体を前記接着層に吸着させるステップと
を含む、実施形態1から26までのいずれか1つ記載の方法。
【0144】
実施形態28
酸化マンガン(MnOx)を含む接着層をガラスまたはガラスセラミック基板の表面上に堆積させるステップと、
前記接着層上に導電性金属の第1の層を堆積させるステップと、
前記接着層を還元雰囲気でアニールするステップと
を含む方法。
【0145】
実施形態29
前記導電性金属の第1の層を堆積させた後に前記接着層をアニールする、実施形態28記載の方法。
【0146】
実施形態30
前記接着層を化学蒸着または原子層堆積によって堆積させる、実施形態28または29記載の方法。
【0147】
実施形態31
前記接着層を還元雰囲気でアニールする前に前記接着層を酸化雰囲気でプレアニールするステップをさらに含む、実施形態28から30までのいずれか1つ記載の方法。
【0148】
実施形態32
前記表面が、前記ガラスまたはガラスセラミック基板に形成されたビアホールの内部表面である、実施形態28から31までのいずれか1つ記載の方法。
【0149】
実施形態33
内部表面をそれぞれ有する複数のビアが形成されたガラスまたはガラスセラミック基板と、
少なくとも3nmの厚さを有する、前記内部表面に結合したMnOxの層と、
前記MnOxの層に結合した銅の層と
を備える物品。
【0150】
実施形態34
前記ビアを充填する前記銅が、5N/cmテープ試験に合格することが可能である、実施形態33記載の物品。