(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】作動ハンドル
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A61F9/007 200Z
A61F9/007 130Z
(21)【出願番号】P 2021529446
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060633
(87)【国際公開番号】W WO2020121204
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ニッコロ マシオ
(72)【発明者】
【氏名】ニールス アレクサンダー アプト
(72)【発明者】
【氏名】レト グリューエブラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ユング
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0195539(US,A1)
【文献】特表2005-524456(JP,A)
【文献】国際公開第2005/048849(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具であって、
身体部位に挿入されるように構成された機能的端部を含む装置と、
前記装置の近位端部に連結された遠位端部を含む主ハンドルと、
前記主ハンドルに移動可能に連結される近位端部を含む作動ハンドル挿入体であって、多数の第1の転動構成要素を含む前記作動ハンドル挿入体と、
前記作動ハンドル挿入体の遠位端部に連結された作動管であって、前記装置が作動停止状態にあるときに、前記装置の前記機能的端部が少なくとも部分的に前記作動管の遠位端部の外側に延びる、前記作動管と、
前記主ハンドルに連結されるように構成された近位端部を含む複数のレバーであって、前記複数のレバーが、対応する数の第2の転動構成要素を含む、複数のレバーと、
複数の転動要素であって、
前記転動要素の各々が、前記多数の第2の転動構成要素の1つと前記多数の第1の転動構成要素の1つとの間に配置され、且つ
前記複数のレバーの1つ又は複数のレバーを押圧することにより、前記転動要素が前記対応する数の第1の転動構成要素又は第2の転動構成要素の少なくとも1つの上を転動して前記作動ハンドル挿入体を前記装置に対して前方に押し出し、前記作動管に前記装置を前記作動停止状態から作動状態へ移行させる、
複数の転動要素と
を含
み、
前記第1の転動構成要素の各々は、ランプであって、複数の前記転動要素の1つがその上で転動するように構成される、前記ランプを含み、
前記第2の転動構成要素の各々は転動要素収容部を含み、且つ
前記転動要素収容部は、溝であって、複数の前記転動要素の1つがその中で転動するように構成される、前記溝を含み、
前記ランプは、少なくとも以下の1つを含む、
(
i) 複数の前記転動要素の1つを閉じ込めるように構成される、側壁、又は、
(ii) 複数の前記転動要素の1つの移動を制限するための突起を前記ランプの底部に含む、
手術器具。
【請求項2】
前記装置の前記機能的端部は顎部又はアームを含み、且つ
前記作動管に前記装置を前記作動停止状態から前記作動状態へ移行させることは、前記顎部又はアームを閉じることを更に含む、
請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
複数の前記転動要素は円筒状である、
請求項1に記載の手術器具。
【請求項4】
前記溝は、U字状であるか又は半円形として成形される、
請求項1に記載の手術器具。
【請求項5】
前記転動要素収容部は、複数の前記転動要素の1つの径方向移動を阻止する、
請求項1に記載の手術器具。
【請求項6】
前記第2の転動構成要素の各々は、ランプであって、複数の前記転動要素の1つがその上で転動するように構成される、前記ランプを含み、
前記第1の転動構成要素の各々は転動要素収容部を含み、且つ
前記転動要素収容部は、溝であって、複数の前記転動要素の1つがその中で転動するように構成される、前記溝を含む、
請求項1に記載の手術器具。
【請求項7】
手術器具であって、
身体部位に挿入されるように構成された機能的端部を含む装置と、
前記装置の近位端部に連結された遠位端部を含む主ハンドルと、
前記主ハンドルに移動可能に連結される近位端部を含む作動ハンドル挿入体であって、多数の第1の転動構成要素を含む前記作動ハンドル挿入体と、
前記作動ハンドル挿入体の遠位端部に連結された作動管であって、前記装置が作動停止状態にあるときに、前記装置の前記機能的端部が少なくとも部分的に前記作動管の遠位端部の外側に延びる、前記作動管と、
前記主ハンドルに連結されるように構成された近位端部を含む複数のレバーであって、前記複数のレバーが、対応する数の第2の転動構成要素を含む、複数のレバーと、
複数の転動要素であって、
前記転動要素の各々が、前記多数の第2の転動構成要素の1つと前記多数の第1の転動構成要素の1つとの間に配置され、且つ
前記複数のレバーの1つ又は複数のレバーを押圧することにより、前記転動要素が前記対応する数の第1の転動構成要素又は第2の転動構成要素の少なくとも1つの上を転動して前記作動ハンドル挿入体を前記装置に対して前方に押し出し、前記作動管に前記装置を前記作動停止状態から作動状態へ移行させる、
複数の転動要素と
を含み、
前記第1の転動構成要素の各々は、第1のランプであって、複数の前記転動要素の1つがその上で転動するように構成される、前記第1のランプを含み、且つ
前記第2の転動構成要素の各々は、第2のランプであって、複数の前記転動要素の前記1つがその上で転動するように構成される、前記第2のランプを含む
、
手術器具。
【請求項8】
前記第1のランプは、第1の始点と第1の終点とを有する通路として成形される第1の溝を含み、且つ
前記第2のランプは、第2の始点と第2の終点とを有する通路として成形される第2の溝を含む、
請求項7に記載の手術器具。
【請求項9】
前記第1の始点、前記第1の終点、前記第2の始点、及び前記第2の終点は、複数の前記転動要素の長手方向の移動を制限する、
請求項8に記載の手術器具。
【請求項10】
前記第1の転動構成要素の各々は、ランプであって、複数の前記転動要素の1つがその上で転動するように構成される、前記ランプを含み、且つ
前記第2の転動構成要素の各々は、保持器であって、複数の前記転動要素の1つがその中で転動するように構成される、前記保持器を含む、
請求項1に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、傾斜ランプ上に転動要素を含む作動機構を有する作動ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の手術処置(例えば、眼科処置)中に、外科医は、鉗子、鋏などを用いることにより身体部位内の特定の組織を巧みに扱う(例えば、除去、切断、剥離などをする)必要がある。このような手術処置の例は、異なる黄斑表面疾患を治療するための内境界膜(ILM)除去及び網膜上膜(ERM)除去である。そのような処置中に、外科医は、例えば鉗子として機能する手術器具の先端を患者の眼球に挿入し、鉗子を使用してILMを把持して剥離する。手術器具の先端に位置する、鉗子又は鋏の顎部を外科医が開閉することを可能にする作動ハンドルを手術器具に提供するために、特定の設計が現在使用されている。しかしながら、ある場合には、既存の作動ハンドルは、非常に多くの部品を必要とし、構造的に複雑であり、組み立てが困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、概して、傾斜ランプ上に転動要素を含む作動機構を有する作動ハンドルに関する。
【0004】
本明細書に開示する特定の実施形態は、身体部位に挿入されるように構成された機能的端部を含む装置と、装置の近位端部に連結された遠位端部を含む主ハンドルとを含む手術器具を提供する。手術器具は、主ハンドルに移動可能に連結される近位端部を含む作動ハンドル挿入体であって、多数の第1の転動構成要素を含む作動ハンドル挿入体を更に含む。手術器具は、作動ハンドル挿入体の遠位端部に連結された作動管であって、装置が作動停止状態にあるときに、装置の機能的端部が少なくとも部分的に作動管の遠位端部の外側に延びる、作動管を更に含む。手術器具は、主ハンドルに連結されるように構成された近位端部を含む複数のレバーであって、複数のレバーが、対応する数の第2の転動構成要素を含む、複数のレバーを更に含む。手術器具は、複数の転動要素であって、転動要素の各々が、多数の第2の転動構成要素の1つと多数の第1の転動構成要素の1つとの間に配置され、且つ複数のレバーの1つ又は複数のレバーを押圧することにより、転動要素が対応する数の第1の転動構成要素又は第2の転動構成要素の少なくとも1つの上を転動して作動ハンドル挿入体を装置に対して前方に押し出し、作動管に装置を作動停止状態から作動状態へ移行させる、複数の転動要素を更に含む。
【0005】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的特徴を詳述する。
【0006】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、従来技術の作動ハンドルを備えた手術器具の例を図示する。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、レバーを有する作動要素を含む例示的な手術器具の外観図を図示する。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、転動要素収容部とランプとを備えた作動ハンドルを有する手術器具の例示的な断面図を図示する。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、内側ランプと外側ランプとを備えた作動ハンドルを有する手術器具の例示的な断面図を図示する。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、内側ランプと転動要素保持器とを備えた作動ハンドルを有する手術器具の例示的な断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
理解を容易にする目的で、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができると企図されている。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、傾斜ランプ上に転動要素を含む作動機構を有する作動ハンドルを提供する。
【0010】
図1は、従来技術の作動ハンドルを備えた手術器具の例を図示する。図示のように、手術器具は、主ハンドル(「ハンドル」)102と、プローブ作動ハンドル(「作動ハンドル」)104と、管収容部105と、プローブ作動管(「作動管又は管」)106と、プローブの先端における、鉗子108として示す、装置とを含む。作動ハンドル104は、チタン、ステンレス鋼又は好適な熱可塑性材料などの、形状記憶性を有する弾性材料から作製される。管106は、チタン、ステンレス鋼、又は好適なポリマーなどの、任意の好適な医療用グレードの管類であってもよく、鉗子108が管106内を容易に往復移動できるような大きさとされる。鉗子108は、概して、ステンレス鋼又はチタンから作製されるが、他の材料も使用され得る。
【0011】
図1の手術器具は、使用時に、作動ハンドル104が弛緩状態にあるときに、鉗子108が、管106の遠位端部の外側に突出するか又は延びるように設計され、管106自体は管収容部105の外に延びる。作動ハンドル104を握ることにより、管収容部105をハンドル102に対して前方に移動させるか又は押し出す。管収容部105の前方への移動が管106に伝達され、鉗子108の顎部の遠位部分を覆うように管106を前方に摺動させ、それにより、顎部を互いに押し付ける。鉗子108の顎部を閉じることにより、外科医は、例えば、身体部位内の組織(例えば、ILM)を把持して剥離することができる。鉗子108を覆う管106の移動量は、弛緩状態にある作動ハンドル104の外径を変化させることにより制御することができる。
図1の例では、作動ハンドル104は、多くの部品を必要とし、構造的に複雑であり、組み立てが困難であることがある。
【0012】
よって、本明細書で説明する特定の実施形態は、傾斜ランプ上に転動要素を含む作動機構を備えた作動ハンドルに関する。
【0013】
図2は、ハンドル202と、作動ハンドル204と、管収容部205と、作動管206と、装置208とを備えた例示的な手術器具200の外観図を図示する。図示のように、作動ハンドル204は、管収容部205をハンドル202及び装置208に対して前方に移動させるか又は押し出すために押圧されるように構成される多数のレバー210(例えば、210a、210b、210cなど)を含む。管収容部205の前方への移動が管206に伝達され、管206を前方に摺動させて、近位端部がハンドル202に連結された、装置208を作動させる。装置208は、機能的端部(例えば、能動又は可動端部)と呼ばれる遠位端部を備えた作動管206内に収まるように成形される任意の手術装置であってもよい。例えば、装置208は、機能的端部を備えた針として成形されてもよい。装置208の機能的端部は、顎部又はアームを備えた、鉗子、鋏などを含んでもよい。装置208の近位端部は、
図3に示すハンドル202の挿入体の遠位端部に連結される。装置208の顎部又はアームを押し合わせる、管206の前方への移動の結果として装置208を作動させる。作動装置とは、顎部又はアームが閉じられる装置を指す。
【0014】
図2に示すように、手術器具200は、6つのレバー210を含む。しかしながら、他の実施形態では、より少数又は多数のレバー210が使用されてもよい。作動ハンドル204のレバー210が管収容部205を前方に押し出して装置208を作動させることを可能にするために、いくつかの技術又は機構が使用されてもよい。
図3~
図6は、多数の代替的な機構をより詳細に図示する。
【0015】
図3は、転動要素314a及び314bなどの多数の転動要素314を介して作動ハンドル挿入体307と相互作用するように構成されるレバー310a及び310bなどの多数のレバー310を有する作動ハンドル304と、ハンドル302とを含む例示的な手術器具300の断面図を図示する。
図3~
図6には、管収容部、作動管、及び装置は示されていない。
【0016】
ハンドル302は、レバー収容部301とハンドル挿入体303とを含む。レバー収容部301は、レバー310を収容する目的でハンドル挿入体303の周囲に円筒体として成形されるハンドル302の部分を指す。より具体的には、レバー310は、レバー収容部301により適所に保持されるか又は収容される、レバー尾部311を含む。
図4が更に詳細に示すように、各レバー尾部311は、レバー収容部301の内面とハンドル挿入体303の外面との間の隙間に挿入される。円筒体として成形される、ハンドル挿入体303は、同じくハンドル挿入体303の直径と同じ直径を有する円筒体として成形される、作動ハンドル挿入体307に連結される。装置(図示せず)は、作動ハンドル挿入体307の遠位端部に連結されるように構成される、管収容部(図示せず)を貫通して延びる。装置の近位端部は、作動ハンドル挿入体307を更に貫通して延びて、ハンドル挿入体303の遠位端部318(又はハンドル302の遠位端部)に連結される。したがって、装置は、ハンドル挿入体303に対して装置が移動しないという点で固定されている。
【0017】
特定の実施形態では、作動ハンドル挿入体307及びハンドル挿入体303は、ばね(図示せず)で互いに連結される。作動ハンドル挿入体307は、転動要素314が転動して力を及ぼし、それにより、以下に説明するように、作動ハンドル挿入体307を前方に押し出すように構成される、多数の傾斜ランプ316を含む。
【0018】
作動ハンドル304の各レバー310は、溝であって、転動のために転動要素314がその中に配置される、溝を備えた転動要素収容部312を含む。断面視で見た場合に、溝は半円又はU字の形状を有する。
図3の例では、転動要素314は円筒状である。各転動要素314は、転動要素収容部312内に閉じ込められたままでそれぞれの傾斜ランプ316上で転動するように構成される。
図3の手術器具300の断面図は、作動ハンドル挿入体307の2つのランプ316のみを図示する。しかしながら、レバー310と同数のランプ316がある。また、転動要素314は、各対のランプ316とレバー310の間で使用される。
【0019】
作動ハンドル304に関連する作動機構は、外科医などの、使用者がレバー310の1つ又は複数を作動ハンドル挿入体307に向けて押圧して、転動要素314からランプ316に力を及ぼしつつ転動要素314に対応するランプ316上を転動させることを伴う。ランプ316上の転動要素314が及ぼす力により、作動ハンドル挿入体307及び作動管(図示せず)がハンドル挿入体307及び装置(図示せず)に対して前方に(例えば、ハンドル300の遠位端部に向けて)押し出され、それにより、
図2との関連で説明したように、手術器具300に取り付けられた装置を作動させる。換言すれば、作動ハンドル304に関連する作動機構は、(例えば、転動要素収容部312が位置する箇所の上部の)レバー310に加えられた力を作動要素挿入体307の水平移動に変換し、これにより、装置を作動させる。装置を作動させるとは、作動停止状態から作動状態に装置を移行させることを指す。
【0020】
上記で説明したように、ハンドル挿入体303は、ばねを使用して作動ハンドル挿入体307に移動可能に連結される。それゆえ、作動ハンドル挿入体307を前方に移動させると、ばねが伸長して作動ハンドル挿入体307に対抗する力を及ぼし、その結果、外科医がレバー310を解放すると作動ハンドル挿入体307がその静止位置に戻る。これにより、装置を作動停止させ、作動停止とは、装置(例えば、鉗子)の顎部又はアームが開いている状態を指す。
【0021】
特定の実施形態では、転動要素314及び転動要素収容部312は、転動要素314と転動要素収容部312との摩擦を低減して、転動要素314が転動要素収容部312内で容易に転動又は回転することを可能にする、材料から作製される。他の実施形態では、転動要素314とランプ316との高い摩擦は、転動要素314が実際にランプ316上で転動できることを確実にして、ランプ316上で滑動するのではなく、転動要素314を前方に押し出すために望ましい場合がある。図示しないが、特定の実施形態では、作動ハンドル304は、全てのレバー310が押し下げられるようにするか、又はレバー310の1つ又は複数が押し下げられたことに応答して、作動ハンドル挿入体307に向かって内方に移動する、機構を有するように構成されてもよい。特定の実施形態では、転動要素314は、鋼又はセラミックなどの、硬質材料で作製される。特定の実施形態では、転動要素収容部312は、ポリオキシメチレン(POM)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低摩擦材料で作製される。特定の実施形態では、ランプ316は、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は同様の材料で作製される。
【0022】
図4は、
図3の手術器具300の構成要素をより詳細に図示する。例えば、レバー310aは、別個に示されており、転動要素収容部312aを含む。図示のように、転動要素収容部312aは、半円溝又はU字溝であって、転動要素314aがその中で転動するように構成される、半円溝又はU字溝を含む。転動要素収容部312aの半円溝又はU字溝により、転動要素収容部312aは、近位方向及び遠位方向への転動要素314aのいかなる移動も阻止し且つ転動要素314aの径方向移動を制限しつつ、転動要素314aが転動要素収容部312a内でのみ転動することを可能にする。転動要素314aの径方向移動とは、転動要素314aが転動要素収容部312a内で回転する回転軸線に直交する回転軸線を中心とする転動要素314aの移動又は回転を指すことがある。
【0023】
図4はまた、転動要素314aが配置されるように構成されるランプ316aを図示する。図示のように、ランプ316aは、転動要素314aのいかなる並進移動も防止するために転動要素314aを両側から閉じ込めるように構成される側壁317を含む。特定の実施形態では、側壁317は、側壁317との過度の摩擦により転動要素314aが回転できなくなる程度までは転動要素314aの両側を押圧しないが、側壁317が転動要素314aのいかなる並進移動も防止できるように、互いに距離をおいて配置される。また、上から見た、側壁317bを有する別のランプ316bが示されている。
【0024】
特定の実施形態では、転動要素314は、弛緩要素として転動要素収容部312とランプ316との間に配置されてもよい。そのような実施形態では、転動要素314は、転動要素収容部312に全く連結されない。特定の他の実施形態では、転動要素314は、対応する転動要素収容部312に挿入されるボアを含む。特定の実施形態では、ボアは、転動要素314の両側から(例えば、軸線を通って)延び、転動要素収容部312の側壁313に挿入される。そのような実施形態では、転動要素314は、ボアを中心に回転する。上述したように、ボアなどの要素を使用することにより、転動要素314の回転が可能になると同時に、転動要素314が適所に保持されて、転動要素314の望ましくない移動が阻止される。
【0025】
図4は、レバー収容部301とハンドル挿入体303との間に隙間を生じさせる突起及び溝を有する、レバー収容部301を備えたハンドル302を更に示す。そのような隙間の例が隙間420として示されている。上記で説明したように、かかる隙間は、レバー尾部311を収容するために形成される。例えば、レバー尾部311aは、隙間420に挿入されるように構成される。特定の実施形態では、レバー尾部311aは、隙間420内に圧入される。
【0026】
特定の実施形態では、転動要素収容部312がレバー310の一部であり且つランプ316が作動ハンドル挿入体307の一部である代わりに、転動要素収容部312が作動ハンドル挿入体307の一部であり、且つランプ316がレバー310の一部であることに留意されたい。また、円筒状転動要素314の代わりに、特定の実施形態では、球状転動要素を使用してもよく、その場合、それに応じて転動要素収容部312が修正され得ることに留意されたい。
【0027】
図5は、特定の実施形態に係る別の例示的な作動機構を使用する手術器具500を図示する。手術器具500は、レバー510と作動ハンドル挿入体507とを含む作動ハンドル504を含む。
図5に示すように、転動要素514は、レバー510の外側ランプ522と作動ハンドル挿入体507の内側ランプ524との間を転動するように構成される。
図5では、転動要素514は、軸受球などの、球状のものである。図示のように、転動要素514aは、上部(又は、手術器具500をどのように見るかに応じて、底部)からの外側ランプ522aと、底部(又は上部)からの内側ランプ524aとにより、閉じ込められるか又は捕捉される。外側ランプ522とは、外側ランプ522の始点及び終点を越える近位方向及び遠位方向への転動要素314のいかなる移動(例えば、長手方向への移動)も阻止するための停止点として作用する、始点と終点とを有する通路として成形される溝を指す。内側ランプ524は、外側ランプ522と同様に成形され且つ機能する。
【0028】
作動ハンドル504に関連する作動機構は、外科医がレバー510の1つ又は複数を作動ハンドル挿入体507に向けて押圧して、転動要素514を転動させて転動要素514から内側ランプ524に力を及ぼすことを伴う。内側ランプ524に及ぶ力は、作動ハンドル挿入体507に伝えられ、それにより、作動ハンドル挿入体507を前方に押し出す。作動ハンドル挿入体507を前方に押し出すことにより、
図2との関連で説明したように、手術器具500に取り付けられた装置(図示せず)を作動させる。手術器具300と同様に、特定の実施形態では、作動ハンドル挿入体507及びハンドル挿入体501もまた、ばねを使用して互いに連結される。したがって、レバー510を解放するか又はレバー510から圧力を取り除くことにより、作動ハンドル挿入体507が後退し、それゆえ、装置を作動停止させる。
【0029】
各レバー510の先端には、ゴムバンドなどの弾性バンド(図示せず)が通過し得るフック526がある。より具体的には、弾性バンドは、全てのフック526に通されて環状に延在し、張力がかかったままであり、それにより、レバー510を作動要素挿入体507側に引き寄せる。弾性バンドは、作動ハンドル挿入体507から離れる方向へのレバー510の先端の移動を制限するように構成される。レバー510の先端の移動を制限するのは、レバー510が作動要素挿入体507から離れ過ぎた場合に、対応する転動要素514が、もはや内側ランプ524と外側ランプ522との間に閉じ込められず、それゆえ、落下することがあるからである。弾性バンドを使用することにより、レバー510と転動要素514と作動要素挿入体507との接触が確保される。
【0030】
図示のように、手術器具500のハンドル502は、多数の要素528を含む。フック状に成形される、レバー尾部511は、レバー尾部511を適所に保持していかなる望ましくない移動も阻止するように構成される、要素825に掛止する。
図5では、要素825は矩形であるが、他の実施形態では、要素825は半円形、正方形などであってもよい。
【0031】
特定の実施形態では、転動要素514は、緩みのない弾性バンドがレバー510の先端に及ぼす力により、ハンドル502から離れる外方向にレバー尾部511に力が及ぼされるように、枢支点として機能する。この力によりレバー尾部511が適所に保持され、それにより、レバー尾部511が緩んでハンドル502に向かって内方に移動するのを防止する。
【0032】
図5では、転動要素514が1対の内側ランプと外側ランプの間に閉じ込められているが、特定の実施形態では、転動要素保持器が、ランプのうちの1つの代わりに使用されてもよい。
図6には、転動保持器の例が示されている。
【0033】
図6は、転動要素保持器630により閉じ込められた転動要素614を図示する。転動要素614は、転動要素保持器630内及び傾斜ランプ634上で転動するように構成される。図示のように、転動要素保持器630は、その先端が図示のように片側から斜めに切断された、中空円筒状要素である。先端が斜めに切断されているのは、転動要素保持器630が傾斜ランプ634に全く接触しないことを確実にするためである。転動収容要素312、転動要素保持器630、及びランプ316、522、524は全て、転動構成要素と呼ばれ得ることに留意されたい。
【0034】
前述の説明は、本明細書で説明した様々な実施形態を当業者が実施できるようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用されることがある。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることが意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。