(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】車両内通信システム、車両内通信方法、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240205BHJP
H04L 12/42 20060101ALI20240205BHJP
H04L 45/00 20220101ALI20240205BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
H04L12/42 Z
H04L45/00
(21)【出願番号】P 2021567984
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2020077848
(87)【国際公開番号】W WO2020228396
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】201910395575.0
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】王 学寰
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲興▼新
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220055(JP,A)
【文献】特開2007-228232(JP,A)
【文献】特開2008-166990(JP,A)
【文献】特開2017-074887(JP,A)
【文献】特開昭63-173746(JP,A)
【文献】特開2009-017230(JP,A)
【文献】特開2016-196295(JP,A)
【文献】特開2019-134301(JP,A)
【文献】特開2010-098467(JP,A)
【文献】特開2009-094731(JP,A)
【文献】国際公開第2020/145334(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/187203(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0218412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 12/42
H04L 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの制御デバイスと、
複数のゲートウェイデバイスと、
複数の通信エンドポイントと
を備える車両内通信システムであって、各ゲートウェイデバイスは、前記制御デバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つの他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、少なくとも1つの通信エンドポイントに通信可能に接続され、前記複数のゲートウェイデバイスは、第1のゲートウェイデバイスを含み、
前記第1のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって前記通信データのうちの第1の通信データをルーティングするように、および前記第1の通信リンクが異常であるとき、前記ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって前記第1の通信データをルーティングするように構成され、
前記ローカルルーティングポリシーは、前記車両内通信システムのネットワークトポロジおよび前記エンドツーエンド通信のルートターゲットに基づいて判定され、
前記エンドツーエンド通信は、前記複数の通信エンドポイントの少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、前記複数のゲートウェイデバイスの少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、前記複数の通信エンドポイントの任意の通信エンドポイントと前記制御デバイスとの間の通信、および前記複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと前記制御デバイスとの間の通信のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項2】
各通信エンドポイントは、センサ、およびアクチュエータの電気制御ユニットのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、前記ゲートウェイデバイスに隣接したゲートウェイデバイスに直列に接続されて、リング通信ネットワークを形成する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、すべての他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続されて、メッシュ通信ネットワークを形成する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の通信リンクが異常であることは、
前記第1の通信リンクが故障すること、
前記第1の通信リンクが輻輳すること、および
前記第1の通信リンクの一部の機能が故障すること
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントは、同じ機能または重複した機能を有し、
前記少なくとも2つの通信エンドポイントは、異なるゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続され、または前記少なくとも2つの通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、前記少なくとも2つの通信エンドポイントにおける別の通信エンドポイントは、少なくとも1つの制御デバイスに通信可能に接続される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも2つの通信エンドポイントは、車両の同じエリアに設置され、前記同じエリアは、前記車両の左前部エリア、前記車両の右前部エリア、前記車両の左後部エリア、前記車両の右後部エリア、前記車両の前部エリア、前記車両の中央エリア、前記車両の後部エリア、前記車両の左エリア、および前記車両の右エリアのうちの1つである、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続され、または
前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも1つの制御デバイスにも通信可能に接続される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のゲートウェイデバイスは、
前記エンドツーエンド通信の前記通信データを受信するとき、
前記通信データのうちの第2の通信データを2つ以上の部分に分割し、前記ローカルルーティングポリシーによって示された2つ以上の通信リンクを使用することによって
前記第2の通信データ
の前記2つ以上の部分を
別々にルーティングすることであって、前記第2の通信データは、前記第1の通信データとは異なる、ことを行うように構成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御デバイスと、前記複数のゲートウェイデバイスにおける1つのゲートウェイデバイスとは、同じ物理エンティティとして結合され、または同じ物理位置に配置される、
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
複数の制御デバイスが存在し、各制御デバイスと、前記複数のゲートウェイデバイスにおける異なるゲートウェイデバイスとは、同じ物理エンティティとして結合され、または同じ物理位置に配置される、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のゲートウェイデバイスは、車両内に配置されるすべてのゲートウェイデバイス、または前記車両内に配置されるすべてのゲートウェイデバイスの一部である、
請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
複数のゲートウェイデバイスと複数の通信エンドポイントとを備える車両内通信システムであって、各ゲートウェイデバイスは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つの他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、少なくとも1つの通信エンドポイントに通信可能に接続され、
N個のタイプの機能エンティティが、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイス上に分散方式で配置され、前記N個のタイプの機能エンティティのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つのゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイス上に配置され、前記少なくとも2つのゲートウェイデバイス上に配置された機能エンティティのタイプの合計は、前記N個のタイプの機能エンティティをカバーし、N≧2であり、前記複数のゲートウェイデバイスは、第1のゲートウェイデバイスを含み、
前記第1のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって前記第1の通信データをルーティングするように、および前記第1の通信リンクが異常であるとき、前記ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって前記第1の通信データの一部またはすべてをルーティングするように構成され、
前記エンドツーエンド通信は、前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、前記複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと前記少なくとも2つのゲートウェイデバイスの任意の機能エンティティとの間の通信、および前記複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと前記少なくとも2つのゲートウェイデバイスの任意の機能エンティティとの間の通信のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項14】
各通信エンドポイントは、センサ、およびアクチュエータの電気制御ユニットのうちの少なくとも1つを含む、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、前記ゲートウェイデバイスに隣接したゲートウェイデバイスに直列に接続されて、リング通信ネットワークを形成し、または
各ゲートウェイデバイスは、すべての他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続されて、メッシュ通信ネットワークを形成する、
請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の通信リンクが異常であることは、
前記第1の通信リンクが故障すること、
前記第1の通信リンクが輻輳すること、および
前記第1の通信リンクの一部の機能が故障すること
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項13から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントは、同じ機能または重複した機能を有し、前記少なくとも2つの通信エンドポイントは、異なるゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続され、または、前記少なくとも2つの通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、前記少なくとも2つの通信エンドポイントにおける別の通信エンドポイントは、少なくとも1つの制御デバイスに通信可能に接続され、または
前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続され、もしくは前記複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも1つの制御デバイスにも通信可能に接続される、
請求項13から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のゲートウェイデバイスは、車両内に配置されるすべてのゲートウェイデバイス、または前記車両内に配置されるすべてのゲートウェイデバイスの一部である、
請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ローカルルーティングポリシーは、前記第1のゲートウェイデバイスにおいて事前構成される、
請求項1から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の通信エンドポイントは、少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つの制御デバイスは、前記少なくとも1つのセンサからデータを受信し、前記データに従って運転プランニングまたは車両制御を実行するように構成される、
請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの制御デバイスは、一次的制御デバイスと二次的制御デバイスとを含み、前記一次的制御デバイスと前記二次的制御デバイスとは同じ能力を有するか、または、前記二次的制御デバイスが前記一次的制御デバイスより低い能力を有する、
請求項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記通信エンドポイントの少なくとも1つは、センサと、コンピューティング
の機能および
前記複数の通信エンドポイントの各通信エンドポイントを制御
する機能を有する電子制御ユニットとを含み、前記少なくとも1つの制御デバイスは、前記センサのパラメータを調整するように構成される、
請求項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
車両内通信方法であって、前記方法は、
第1のデバイスによって、エンドツーエンド通信の通信データを受信するステップと、
前記第1のデバイスによって、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクが異常であるかどうかを検出するステップと、
前記第1の通信リンクが正常であることを検出するとき、前記第1のデバイスによって、前記ローカルルーティングポリシーによって示された前記第1の通信リンクを使用することによって前記通信データのうちの第1の通信データをルーティングし、または
前記第1の通信リンクが異常であることを検出するとき、前記第1のデバイスによって、前記ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって前記第1の通信データをルーティングするステップと
を含み、
前記ローカルルーティングポリシーは、前記第1のデバイスを含む車両内通信システムのネットワークトポロジおよび前記エンドツーエンド通信のルートターゲットに基づいて判定され、
前記第1のデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおけるゲートウェイデバイス、または少なくとも1つの制御デバイスにおける制御デバイスであり、前記エンドツーエンド通信は、前記複数のゲートウェイデバイスに接続された複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、前記複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、前記複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと前記制御デバイスとの間の通信、および前記複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと前記制御デバイスとの間の通信のうちの少なくとも1つを含む、
車両内通信方法。
【請求項24】
各通信エンドポイントは、センサ、およびアクチュエータの電気制御ユニットのうちの少なくとも1つを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、前記ゲートウェイデバイスに隣接したゲートウェイデバイスに直列に接続されて、リング通信ネットワークを形成し、または各ゲートウェイデバイスは、すべての他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続されて、メッシュ通信ネットワークを形成する、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の通信リンクが異常であることは、
前記第1の通信リンクが故障すること、
前記第1の通信リンクが輻輳すること、および
前記第1の通信リンクの一部の機能が故障すること
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、
前記第1のデバイスによって、前記エンドツーエンド通信の前記通信データを受信するステップと、
前記第1のデバイスによって、
前記通信データのうちの第2の通信データを2つ以上の部分に分割し、前記ローカルルーティングポリシーによって示された2つ以上の通信リンクを使用することによって
前記第2の通信データ
の前記2つ以上の部分を
別々にルーティングするステップであって、前記第2の通信データは、前記第1の通信データとは異なる、ステップと、
を含む、
請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ローカルルーティングポリシーは、前記第1のデバイスによって事前構成される、
請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
メモリと、通信インターフェースと、前記メモリおよび前記通信インターフェースに結合された少なくとも1つのプロセッサとを備える車両内通信デバイスであって、前記メモリは、命令を記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記命令を実行して、請求項23から28のいずれか一項に記載の方法におけるステップを実行するように構成される、
車両内通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両技術の分野に関し、詳細には、車両内通信システム、車両内通信方法、およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車電気/電子(electrical/electronic、E/E)アーキテクチャシステムは、車両における電気/電子コントローラ、センサ、およびアクチュエータなどのコンポーネントの相互接続および機能を実装する。E/Eアーキテクチャは、すべての電気/電子コンポーネント、相互接続構造/トポロジ構造、および電気/電子コンポーネントの論理機能を含む。車両内通信ネットワークは、E/Eアーキテクチャのフレームワークであり、車両におけるすべての電気制御ユニット(Electric Control Unit、ECU)を接続して、コントローラ、メモリ、アクチュエータ、およびセンサなどのECUの間で通信を実装する。
【0003】
科学および技術の発展に伴い、インテリジェント車(intelligent car)、特に自己運転車(self-driving car)が、グローバル自動車産業の重要な発展方向性となってきている。自己運転車は、人または物を輸送するために使用されることができる。これは、人の移動利便性および効率を大幅に向上させることができる。将来において、自己運転車は、高いビジネス価値および社会的価値を有するであろう。自己運転車は、ナビゲーションにおいて自己運転車のまわりの環境を検知し、車両が無人であるときに自己運転を実装することができる車両である。車におけるさまざまな車両搭載デバイスは、インテリジェント運転(intelligent driving)、支援運転、自己運転、およびインテリジェント車の通信などの処理において、非常に重要な役割を果たす。車に取り付けられたスイッチ、ブリッジ、およびイーサネットなどのさまざまな車両内設備は、さまざまなタイプの、検知され、収集されたデータまたは通信データを、車の移動中いかなる時でも送信する。これらの設備は、車両のインターネット、車両対車両の通信、および車両対人の通信において重要な役割を果たし、自動車運転の安全性および快適さを事実上向上させる。具体的には、自己運転車は、自己運転を完全にするためのアクチュエータを駆動するために、音響レーダ、レーザレーダ、ナビゲーションシステム、オドメータ、加速度計、およびカメラなどのデバイスを使用することによって、車の位置および周囲のオブジェクトについての情報を検出してよく、制御システムを使用することによって、検出された情報を解釈し、ナビゲーション経路を識別してよい。
【0004】
低レイテンシの、堅牢な、安定した、信頼できる車両内通信ネットワークは、自己運転車の安全な移動を保証する。自己運転車の安全性(セキュリティ)をどのように向上させるかは、当業者によって至急解決されるべき問題の1つである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、車両の車両内通信システム、車両内通信方法、およびデバイスを提供して、低レイテンシの、堅牢な、安定した、信頼できる車両内通信ネットワークの実装に役立て、自己運転車の安全性を向上させる。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、車両内通信システムを提供する。システムは、少なくとも1つの制御デバイス(この明細書における制御デバイスは、略してコントローラともまた呼ばれてよい)と、複数のゲートウェイデバイス(この明細書におけるゲートウェイデバイスは、略して、ゲートウェイともまた呼ばれてよい)と、複数の通信エンドポイントとを含む。各ゲートウェイデバイスは、制御デバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つの他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、少なくとも1つの通信エンドポイントにさらに通信可能に接続され、複数のゲートウェイデバイスは、第1のゲートウェイデバイスを含む。制御デバイスは、複数の通信エンドポイントにおける各通信エンドポイントを制御するように構成される。第1のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって第1の通信データをルーティングするように、および第1の通信リンクが異常であるとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって第1の通信データの一部またはすべてをルーティングするように構成される。
【0007】
エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと制御デバイスとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと制御デバイスとの間の通信。
【0008】
本発明において提供される車両内通信ネットワークのアーキテクチャにおいて、各ゲートウェイデバイスは、制御デバイスに接続されるように設計され、各ゲートウェイデバイスは、少なくとも2つの他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、その結果、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から通信ライン冗長性がもたらされることが可能であることを知ることができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるゲートウェイデバイスは、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて第1の通信リンク(たとえば、最適な/最短の通信リンク)を選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能である。加えて、第1の通信リンクが異常である(たとえば、第1の通信リンクにおけるゲートウェイまたはインターフェースまたはラインが異常である)とき、ネットワーク送信能力は、通信ライン冗長性に基づいて、なおも提供されることが可能である。言い換えれば、通信データは、第2の通信リンクを使用することによって送信される。これは、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を向上させ、車、特に自己運転車の安全性を向上させる。
【0009】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、制御デバイスは、あるいは、少なくとも1つの通信エンドポイントに接続されてもよい。
【0010】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、各通信エンドポイントは、たとえば、センサであってもよいし、またはアクチュエータの電気制御ユニット(Electric Control Unit、ECU)であってもよい。
【0011】
センサは、環境関連データを収集するように構成される。センサは、たとえば、車両における、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ、カメラ、測位システム(たとえば、GPSもしくはbeidou測位システム)、慣性センサ、速度センサ、加速度センサ、湿度センサ、または光強度センサであってよい。
【0012】
ECUは、車両の内側にあって、コンピューティングおよび制御機能を有し、1つまたは複数の機能を制御し、車両のアクチュエータまたは別の制御されたコンポーネントに情報もしくはコマンドを送る電子ユニットを指す。ECUは、たとえば、サーボモータのECU、液圧デバイスのECU、または専用システムのECUであってよい。専用システムは、たとえば、アンチロック制動システム(Anti-lock Braking System、ABS)または電子安定化プログラム(Electronic Stability Program、ESP)である。さまざまなECUは、この明細書においてアクチュエータと呼ばれてよい。
【0013】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、そのゲートウェイデバイスに隣接したゲートウェイデバイスに直列に接続されて、リング通信ネットワークを形成する。
【0014】
本発明の第1の態様の実施形態において、各ゲートウェイデバイスは、制御デバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、制御デバイスに接続されてスター通信ネットワーク(略して、スターネットワーク)を形成する。したがって、リング通信ネットワーク(略して、リングネットワーク)が複数のゲートウェイデバイスの間でさらに形成されるとき、スターネットワークとリングネットワークとが共同して、冗長送信を実装する。スターネットワークおよびリングネットワークに基づいて形成されたネットワークトポロジアーキテクチャは、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて最適な/最短の通信リンクを選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能である。ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、スターネットワークおよびリングネットワークによって実装された冗長性送信が使用されて、ネットワーク送信能力を保証し、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性をさらに向上させ、車、特に自己運転車の安全性をさらに向上させる。
【0015】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、すべての他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続されて、メッシュ通信ネットワーク(メッシュネットワーク)を形成する。
【0016】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、車両内通信システムのネットワークトポロジおよびエンドツーエンド通信のルートターゲットに基づいて、第1のゲートウェイデバイスのローカルルーティングポリシーが判定される。
【0017】
本発明の第1の態様の実施形態において、各ゲートウェイデバイスは、制御デバイスに接続されてスターネットワークを形成する。したがって、複数のゲートウェイデバイスがメッシュネットワークをさらに形成するとき、スターネットワークとメッシュネットワークとが共同して、冗長送信を実装する。上述したリングネットワークと比較されると、メッシュネットワークは、ゲートウェイ間の冗長接続をさらに強化することができる。したがって、スターネットワークおよびメッシュネットワークに基づいて形成されたネットワークトポロジアーキテクチャは、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から、より/より複合的な冗長性を提供することができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて最適な/最短の通信リンクを選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能である。ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、スターネットワークおよびメッシュネットワークによって実装された冗長性送信が使用されて、ネットワーク送信能力を保証し、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性をさらに向上させ、車、特に自己運転車の安全性をさらに向上させる。
【0018】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、第1の通信リンクが異常であることは、具体的には、以下のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
第1の通信リンクが故障する、第1の通信リンクが輻輳する、および第1の通信リンクの一部の機能が故障する。
【0019】
第1の通信リンクが故障することは、第1の通信リンクにおける関連ネットワーク要素が異常(たとえば、故障または不良)であることがある。たとえば、ゲートウェイ全体が不良であることがあり、1つもしくは複数のセンサ/アクチュエータが不良であることがあり、またはコントローラのチップでさえ異常なことがある。
【0020】
あるいは、第1の通信リンクが故障することは、第1の通信リンクにおける接続ライン、ケーブル、またはインターフェースが異常(たとえば、故障、不良、もしくは切断)であることがある。たとえば、センサ/アクチュエータとゲートウェイとの間の接続、センサ/アクチュエータとコントローラとの間の接続、ゲートウェイとゲートウェイとの間の接続、またはゲートウェイとコントローラとの間の接続が異常なことがある。
【0021】
第1の通信リンクの一部の機能が故障することは、第1の通信リンクにおけるゲートウェイの一部の機能が故障する、もしくはラインポートのトラフィック能力が減少する、もしくはゲートウェイのスイッチング能力が減少するために、ゲートウェイのスイッチング能力が減少することであることがある、または、第1の通信リンクにおけるコントローラの問題、たとえば、コントローラとゲートウェイとの間の物理チップが送信レートの減少をもたらす問題であることがある。
【0022】
リンクが故障すること、または一部の機能が故障することは、さまざまな理由によってもたらされることがあり、たとえば、デバイス/ライン/インターフェースが老朽化する、複合的な通信シナリオによってライン輻輳がもたらされることがある、および車両の走行中の衝突/衝撃によって電子コンポーネントの緩み/落下/損傷/切断がもたらされることがある。
【0023】
第1の通信リンクが輻輳することは、第1の通信リンクに関与されたゲートウェイ、接続ライン、ケーブル、またはインターフェースにおける通信トラフィックが、正常に処理されるトラフィック閾値を超え、その結果として、通信帯域幅がふさがれることであることがある。
【0024】
リンクが輻輳することは、緊急状態において通信データが大幅に増加された、または、別の通信リンクの例外に起因してトラフィックがそのリンクに分散されたために、もたらされることがある。
【0025】
理論上、コントローラのチップ、ケーブル、インターフェース、およびコネクタなどの電子コンポーネントが行き当たりばったり故障することがあり、またはさまざまな電子コンポーネントが衝撃中、緩み、切断され、もしくは損傷されることがあり、または一部の電子コンポーネントが車の衝突の後で、不良である、もしくは損傷されることがあり、またはリンクのデータの量が増加されたためにリンクが輻輳することがあることを知ることができる。これらの可能性は、車両内ネットワーク通信の中断、または一部の車両機能への損傷をもたらすことがある。しかしながら、本発明のこの実施形態によれば、車両内通信システムは、上述した問題が発生したとき、なおも安定した、信頼できる通信のサポートを提供することができる。これは、安全性問題または運転事故さえも回避し、車、特に自己運転車の運転安全性を保証する。
【0026】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントは、同じ機能または重複した機能を有する。少なくとも2つの通信エンドポイントは、異なるゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続される。
【0027】
あるいは、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントは、同じ機能または重複した機能を有する。少なくとも2つの通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントが、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも2つの通信エンドポイントにおける別の通信エンドポイントが、少なくとも1つの制御デバイスに通信可能に接続される。
【0028】
同じ機能または重複した機能は、1つのグループにおける1つまたは複数の通信エンドポイントの特定の機能が、別のグループにおける1つまたは複数の通信エンドポイントの機能によって完全にまたは部分的に置き換えられることが可能であることを意味する。たとえば、同じモデルの2つのカメラが同じエリアをカバーする場合、それは、2つのカメラが同じ画像知覚機能を有すると考えられることができる。あるいは、異なる精度のカメラが同じエリアをカバーする場合、それは、カメラが重複した機能を有すると考えられることができる。あるいは、カメラおよびレーザレーダが同じ範囲をカバーするが、異なる画像タイプを有する場合、それは、カメラが重複した機能を有すると考えられることができる。
【0029】
本発明のこの実施形態の実装中、エリアにあって、同じもしくは類似した機能を実装する電子モジュール(センサ、アクチュエータ、センサとアクチュエータとの組合せなど)は、異なるゲートウェイに別々に接続される、または2つ以上のリンクを使用することによってゲートウェイとコントローラとに別々に接続される。このようにして、エリアにおけるゲートウェイ全体が不良である、もしくは故障するとき、エリアにおけるコントローラ全体が不良である、もしくは故障するとき、またはエリアにおけるゲートウェイに接続された電子モジュール全体が不良である、もしくは故障するとき、またはリンクが異常であるとき、冗長接続として働く別のリンクが、なおも正常な通信を実装することができる。2リンク冗長性バックアップは、車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性をさらに向上させる。
【0030】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、少なくとも2つの通信エンドポイントは、車両の同じエリアに設置され、同じエリアは、以下のうちの1つである。車両の左前部エリア、車両の右前部エリア、車両の左後部エリア、車両の右後部エリア、車両の前部エリア、車両の中央エリア、車両の後部エリア、車両の左エリア、および車両の右エリア。
【0031】
本発明のこの実施形態の実装中、1つのリンクが異常であるとき、別のリンクがなおも適切に作動することができるので、検出および検知能力は、エリアにおいてなおも利用可能である。これは、ゲートウェイが故障する、コントローラが故障する、制御エンドポイントが故障する、または接続ラインが故障するために、エリアにおいて周囲の環境が検知されることができないという「全盲」状態を回避する。このようにして、車両を道路脇に安全に停止するための緊急措置が取られてよく、または、人間によって運転を引き継ぐように自己運転レベルが削減される。冗長性バックアップは、2つ以上のリンクを使用することによって、同じ機能もしくは重複した機能を有する2つ以上の通信エンドポイント上で実施されて、通信エンドポイントの冗長接続設計を実装し、車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性をさらに向上させる。
【0032】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続される。あるいは、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも1つの制御デバイスにもまた通信可能に接続される。
【0033】
本発明の実施形態によれば、通信エンドポイントは、2つ以上のリンクを使用することによって、異なるゲートウェイに接続される、またはゲートウェイとコントローラとに接続される。このようにして、1つのリンクが異常であるとき、他のリンクがなおも適切に作動することができるので、検出および検知能力は、エリアにおいてなおも利用可能である。これは、ゲートウェイが故障する、コントローラが故障する、制御エンドポイントが故障する、または接続ラインが故障するために、エリアにおいて周囲の環境が検知されることができないという「全盲」状態を回避する。冗長性バックアップは、2つ以上のリンクを使用することによって単一の通信エンドポイント上で実施されて、通信エンドポイントの冗長接続設計を実装し、車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性をさらに向上させる。
【0034】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、第1のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の第2の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第3の通信リンクを使用することによって第2の通信データの一部またはすべてをルーティングするように、およびローカルルーティングポリシーによって示された第4の通信リンクを使用することによって第2の通信データの一部またはすべてをルーティングするようにさらに構成される。
【0035】
言い換えれば、エンドツーエンド通信の一部の通信データについて、通信データのすべてが、ローカルルーティングポリシーによって示された少なくとも2つの通信リンクの各々を使用することによってルーティングされてよい。言い換えれば、通信データは、マルチリンク送信の方式で、異なる通信リンクを使用することによって送信されるように再現される。このようにして、いずれかのリンクが不良であるときも、正常な情報送信が保証されることが可能である。これは、比較的低い通信レイテンシを保証する。
【0036】
エンドツーエンド通信の一部の通信データについて、通信データは、ローカルルーティングポリシーによって示された少なくとも2つの通信リンクを使用することによって、別々にルーティングされてよい。言い換えれば、通信データの異なる断片が、マルチリンク送信の方式で、異なる通信リンクを使用することによって送信される。具体的には、選択的マルチリンク送信が使用されてよく、高重要度、および/または高優先度、および/または少ない量のデータを有する通信データが選択され、2つ以上のリンクを使用することによって送信される。このようにして、比較的低い通信レイテンシが保証されながら、リンクの通信負荷が削減される。
【0037】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、制御デバイスと、複数のゲートウェイデバイスにおける1つのゲートウェイデバイスとは、同じ物理エンティティとして結合される、または同じ物理位置に配置され、制御デバイスは、内部ラインを通してゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、制御デバイスは、外部ラインを通して別のゲートウェイデバイスに通信可能に接続される。
【0038】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、複数の制御デバイスが存在し、各制御デバイスと、複数のゲートウェイデバイスにおける異なるゲートウェイデバイスとは、同じ物理エンティティとして結合される、または同じ物理位置に配置され、各制御デバイスは、内部ラインを通して、制御デバイスに結合されたゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、各制御デバイスは、外部ラインを通して別のゲートウェイデバイスに通信可能に接続される。
【0039】
本発明の上述した実施形態の実装中、ゲートウェイとコントローラとは、結合される、または同じ物理位置に配置され、その結果、いくつかの物理ケーブルの長さが削減されることが可能であり、いくつかのケーブルが回路基板の内部ケーブルに変換されることさえ可能である。これは、技術的難題およびコストの削減に役立ち、この設計に基づいた車両内通信ネットワークはまた、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を保証し、車、特に自己運転車の安全性を保証するために、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することができる。
【0040】
第1の態様によれば、可能な実施形態において、車両内通信システムは、車両のシャシーに置かれる。たとえば、コントローラおよびゲートウェイは、自動車シャシーに配置されて、車両搭載通信シャシーを形成する。これは、複数の車両モデルへの適応を促進する。
【0041】
第2の態様によれば、本発明の実施形態は、複数のゲートウェイデバイスと複数の通信エンドポイントとを含む車両内通信システムを提供する。各ゲートウェイデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つの他のゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、各ゲートウェイデバイスは、少なくとも1つの通信エンドポイントに通信可能に接続される。N個のタイプの機能エンティティが、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイス上に分散方式で配置され、N個のタイプの機能エンティティのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイス上に配置され、少なくとも2つのゲートウェイデバイス上に配置された機能エンティティのタイプの合計は、N個のタイプの機能エンティティをカバーし、N≧2であり、複数のゲートウェイデバイスは、第1のゲートウェイデバイスを含む。N個のタイプの機能エンティティは、制御デバイスの機能を実装するように共同して構成され、ここで、制御デバイスの機能は、複数の通信エンドポイントにおける各通信エンドポイントを制御する機能を表す。第1のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって第1の通信データをルーティングするように、および第1の通信リンクが異常であるとき、ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって第1の通信データの一部またはすべてをルーティングするように構成される。
【0042】
エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと少なくとも2つのゲートウェイデバイスの任意の機能エンティティとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと少なくとも2つのゲートウェイデバイスの任意の機能エンティティとの間の通信。
【0043】
機能エンティティがソフトウェア形式(たとえば、機能モジュール)であるとき、たとえば、ソフトウェアのコードは、ゲートウェイのチップの中に構成されてよい。機能エンティティがハードウェア形式であるとき、たとえば、このハードウェアエンティティは、ゲートウェイのチップ/回路に結合されてよい。
【0044】
この設計に基づいた車両内通信ネットワークにおいて、ゲートウェイと、コントローラのいくつかの機能モジュールとは、一緒に結合される、または同じ物理位置に配置されることを知ることができる。これは、ゲートウェイ間での違いを削減し、コントローラの再使用度合いを増加させ、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性を向上させることに役立つ。車両内通信ネットワークはまた、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することができる。ネットワーク送信能力を提供することに加えて、通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、車両内通信ネットワークは、ゲートウェイが異常であるときにコントローラの論理機能が適切に起動することを保証することができ、その結果、通信機能セキュリティがさらに保証され、車、特に自己運転車の安全性がさらに向上される。
【0045】
第2の態様によれば、可能な実施形態において、各通信エンドポイントは、センサ、およびアクチュエータの電気制御ユニットのうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
第2の態様によれば、可能な実施形態において、複数のゲートウェイデバイスにおける各ゲートウェイデバイスは、そのゲートウェイデバイスに隣接したゲートウェイデバイスに直列に接続されて、リング通信ネットワークを形成する。あるいは、各ゲートウェイデバイスは、すべての他のゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続されて、メッシュ通信ネットワークを形成する。
【0047】
第2の態様によれば、可能な実施形態において、第1のゲートウェイデバイスのローカルルーティングポリシーは、車両内通信システムのネットワークトポロジおよびエンドツーエンド通信のルートターゲットに基づいて判定される。
【0048】
第2の態様によれば、可能な実施形態において、第1の通信リンクが異常であることは、具体的には、以下のうちの少なくとも1つを含む。第1の通信リンクが故障する、第1の通信リンクが輻輳する、および第1の通信リンクの一部の機能が故障する。
【0049】
第2の態様によれば、可能な実施形態において、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントは、同じ機能または重複した機能を有し、ここで、少なくとも2つの通信エンドポイントは、異なるゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続される、または、少なくとも2つの通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントが、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも2つの通信エンドポイントにおける別の通信エンドポイントが、少なくとも1つの制御デバイスに通信可能に接続される。
【0050】
あるいは、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続される、または、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも1つの通信エンドポイントは、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも1つのゲートウェイデバイスに通信可能に接続され、少なくとも1つの制御デバイスにもまた通信可能に接続される。
【0051】
第2の態様の可能な実施形態の特定の内容については、第1の態様において説明された車両内通信システムの関連した説明への参照が行われることが留意されるべきである。詳細は、本明細書において再度説明されない。
【0052】
第3の態様によれば、本発明の実施形態は、車両内通信方法を提供する。方法は、第1の態様において説明された車両内通信システムに適用される。方法は、以下を含む。第1のデバイスは、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信し、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクが異常であるかどうかを検出し、第1の通信リンクが正常であることを検出するとき、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって第1の通信データをルーティングし、または、第1の通信リンクが異常であることを検出するとき、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって第1の通信データの一部またはすべてをルーティングする。
【0053】
第1のデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイス、または少なくとも1つの制御デバイスにおける任意の制御デバイスである。
【0054】
エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと制御デバイスとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと制御デバイスとの間の通信。
【0055】
第4の態様によれば、本発明の実施形態は、別の車両内通信方法を提供する。方法は、第2の態様において説明された車両内通信システムに適用される。方法は、以下を含む。第1のデバイスは、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信し、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクが異常であるかどうかを検出し、第1の通信リンクが正常であることを検出するとき、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって第1の通信データをルーティングし、または、第1の通信リンクが異常であることを検出するとき、第1のデバイスは、ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって第1の通信データの一部またはすべてをルーティングする。
【0056】
第1のデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイス、または少なくとも1つの制御デバイスにおける任意の制御デバイスである。
【0057】
エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと制御デバイスとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと制御デバイスとの間の通信。
【0058】
第5の態様によれば、本発明の実施形態は、車両内通信デバイスを提供する。デバイスは、具体的には、第1のデバイスであり、第1のデバイスは、第1の態様による車両内通信システムにおける複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイス、もしくは少なくとも1つの制御デバイスにおける任意の制御デバイス、または、第2の態様による車両内通信システムにおける複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイス、もしくは少なくとも1つの制御デバイスにおける任意の制御デバイスである。
【0059】
デバイスは、メモリと、通信インターフェースと、メモリおよび通信インターフェースに結合されたプロセッサとを含む。メモリは、命令を記憶するように構成され、プロセッサは、命令を実行するように構成され、通信インターフェースは、プロセッサの制御下で、車両内通信システムにおける別のデバイスと通信するように構成される。プロセッサは、具体的には、命令を実行するとき、第3の態様または第4の態様による方法におけるステップを実施するように構成される。
【0060】
第6の態様によれば、本発明の実施形態は、不揮発性コンピュータ可読ストレージ媒体を提供する。コンピュータ可読ストレージ媒体は、第3の態様または第4の態様による方法を実装するコードを記憶するように構成される。プログラムコードがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータは、第3の態様または第4の態様において説明された方法を実装するように構成される。
【0061】
第7の態様によれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラム命令を含む。コンピュータプログラム製品がコンピュータによって実行されるとき、コンピュータは、第3の態様または第4の態様において説明された方法を実施する。コンピュータプログラム製品は、ソフトウェアインストールパッケージであってよい。第3の態様または第4の態様の設計において提供された方法が使用される必要があるとき、コンピュータプログラム製品は、第3の態様または第4の態様において説明された方法を実装するために、コンピュータ上でダウンロードされ、実行されてよい。
【0062】
本発明において提供された車両内通信ネットワークアーキテクチャは、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することが可能であることを理解することができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて最適な/最短な通信リンクを選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能である。ゲートウェイ、コントローラ、通信エンドポイント、インターフェース、または接続ラインが異常であるとき、ネットワーク送信能力が提供されることが可能である。これは、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を向上させ、車、特に自己運転車の安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の実施形態における技術的解決策、または背景技術において説明された解決策をより明確に説明するために、以下は、本発明の実施形態または背景技術における添付の図面を説明する。
【0064】
【
図1】既存の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図2】本発明の実施形態によるコントローラ、ゲートウェイ、および通信エンドポイントの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図4a】本発明の実施形態によるスターネットワークの概略図である。
【
図4b】本発明の実施形態によるリングネットワークの概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図6】本発明の実施形態による通信エンドポイントの冗長性バックアップを実装するシナリオの例示的な図である。
【
図7】本発明の実施形態による通信エンドポイントの冗長性バックアップを実装する別のシナリオの例示的な図である。
【
図8】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図9】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図10】本発明の実施形態によるメッシュネットワークの概略図である。
【
図11】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図12】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図13】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図14】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図15】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図16】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図17】本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略アーキテクチャ図である。
【
図18】本発明の実施形態による車両内通信方法の概略流れ図である。
【
図19】本発明の実施形態によるデバイスの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下は、本発明の実施形態を、本発明の実施形態における添付の図面を参照して説明する。本発明の実施形態において使用される用語は、本発明の特定の実施形態を明らかにするためにのみ使用され、本発明を限定することは意図されていない。
【0066】
機能セキュリティは、自動車上で、それが高速運転状態にあるときに高度に要求される。自動車、特に、コネクテッドカー(connected car)、インテリジェントカー(smart/intelligent car)、デジタルカー(digital car)、無人車(unmanned car、ドライバーレスカー、パイロットレスカー/自動車)、および車両のインターネット(Internet of vehicles、IoV)などの、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistant System、ADAS)をサポートするもの、またはさらに自律車両(AV)は、手動運転から自動運転へと転換され、車両内ネットワーク上で機能セキュリティが高度に要求される。特に自己運転車の場合、電気/電子制御ユニットが重要であるために、車両内通信ネットワークは、ISO26262において規定された最も高いASIL-D標準を満たす必要がある。機能セキュリティ設計は、R&Dコンセプトおよびシステム設計段階において考えられる必要がある。
【0067】
既存の車両内通信ネットワークは、通常、主要な接続技術としてのECU制御バスに基づいた分散ネットワークアーキテクチャを有する。
図1は、既存の車両内通信ネットワークの設計解決策を示す。
図1に示されるように、自動車は、物理位置に基づいて、少なくとも5つの制御エリア(左前部エリア、右前部エリア、左後部エリア、右後部エリア、および中央エリア)に分割される。車両内通信ネットワークシステムは、対応して、少なくとも5つのエリアコントローラと、少なくとも5つのサブコントローラとを含む。各エリアコントローラは、自動車の異なる制御エリアに置かれ、周囲のエリアコントローラ(たとえば、左前部エリア、右前部エリア、左後部エリア、および右後部エリアにおけるエリアコントローラ)が、中央エリアにおけるコントローラに別々に接続される。各エリアコントローラは、少なくとも1つのサブコントローラ(
図1には図示されず)に対応し、対応するエリアコントローラが設置される制御エリアに設定される。各制御エリアにおけるサブコントローラは、制御エリアにおけるエリアコントローラに検出信号を提供するように、およびエリアの制御信号に基づいて制御エリアにおけるさまざまなタイプのアクチュエータを制御するように構成される。
【0068】
しかしながら、理論上、コントローラのチップ、ケーブル、インターフェース、およびコネクタなどの電子コンポーネントが行き当たりばったり故障することがあり、またはさまざまなタイプの電子コンポーネントが衝撃中、緩み、切断され、もしくは損傷されることがあり、または一部の電子コンポーネントが車の衝突の後で、不良である、もしくは損傷されることがある。これらの可能性は、車両内ネットワーク通信の中断、または一部の車両機能への損傷をもたらし、安全性問題、または車、特に自己運転車の運転事故さえも容易にもたらすことがある。
【0069】
車、特に自己運転車の安全性を向上させるために、本発明の実施形態は、いくつかの新しい車両内通信ネットワークを提供して、上述した技術的問題の解決に役立てる。したがって、低レイテンシの、堅牢な、安定した、信頼できる通信は、車両運転中に保証されることが可能であり、車両内通信ネットワークにおける運転安全性は、保証されることが可能である。車両内通信ネットワークは、主に、車両内有線通信ネットワーク、特に、自己運転車の車両内通信ネットワークである。
【0070】
図2を参照すると、本発明の実施形態において、車両内通信ネットワークにおけるデバイスは、少なくとも複数の通信エンドポイントと、複数のゲートウェイデバイスと、制御デバイスとを含む。
【0071】
(1)この明細書における通信エンドポイントは、車両にあって、通信機能を有し、環境を検出する、または特定の機能を実施することができる機能デバイスを示す。車両は、複数の通信エンドポイントを含んでよく、通信エンドポイントは、ゲートウェイデバイス(略してゲートウェイと呼ばれてよい)または制御デバイス(略してコントローラと呼ばれてよい)に通信可能に接続される。
【0072】
通信エンドポイントは、たとえば、センサであってよい。センサは、環境の関連データを収集するように構成される。センサは、たとえば、車両における、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ、カメラ、測位システム(たとえば、GPSもしくはbeidou測位システム)、慣性センサ、速度センサ、加速度センサ、湿度センサ、光強度センサであってよい。センサの特定のタイプおよび特定の数量は、本発明において限定されない。
【0073】
通信エンドポイントは、たとえば、車両におけるアクチュエータの電気制御ユニット(Electric Control Unit、ECU)であってよい。ECUは、通常、車両にあって、計算および制御機能を有し、1つの機能または複数の機能を制御し、アクチュエータまたは別の制御されたコンポーネントに情報もしくはコマンドを送る電子ユニットである。ECUは、たとえば、サーボモータのECU、液圧デバイスのECU、または専用システムのECUであってよい。専用システムは、たとえば、アンチロック制動システム(Anti-lock Braking System、ABS)または電子安定化プログラム(Electronic Stability Program、ESP)である。さまざまなECUは、これ以降、略してアクチュエータと呼ばれ、アクチュエータの特定のタイプおよび特定の数量は、本発明において限定されない。
【0074】
(2)この明細書におけるゲートウェイデバイスは、略してゲートウェイと呼ばれる。ゲートウェイは、車両内通信ネットワークにおけるエンドツーエンド通信の通信データのルートスイッチング機能を担う。ゲートウェイは、たとえば、スイッチまたはルータであってよい。複数のゲートウェイが存在し、ゲートウェイは、車両における異なる位置に配置されてよい。本発明のこの実施形態において、ゲートウェイは、独立して配置されてもよいし、またはコントローラと統合されて一緒に配置されてもよい。
【0075】
エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと制御デバイスとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと制御デバイスとの間の通信。
【0076】
(3)この明細書における制御デバイスは、略してコントローラと呼ばれてよい。コントローラは、1つまたは複数の中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)を含んでよい。CPUは、シングルコアCPUであってもよいし、またはマルチコアCPUであってもよい。コントローラは、たとえば、車両内コンピューティングプラットフォーム、車両内コンピュータ、ドメインコントローラ、またはマルチドメインコントローラ(たとえば、自己運転コントローラもしくは情報エンターテインメントコントローラ)であってよい。コントローラは、車両関連機能の、データ計算、融合、記憶、意思決定(decision making)などを担う。コントローラは、各通信エンドポイントを制御するように構成されてよい。制御は、いくつかのセンサのプローブデータを受信し、処理すること、いくつかのアクチュエータのプローブデータを受信し、処理すること、制御命令に従っていくつかのアクチュエータを制御すること、および制御命令に従っていくつかのセンサを制御することとして表されてよい。自己運転においては、車両のインテリジェント運転、インテリジェントコックピット、および車両制御などの機能が実装されてよい。本発明のこの実施形態において、コントローラは、独立して配置されてもよいし、またはゲートウェイと統合されて一緒に配置されてもよいし、または分散方式において異なるゲートウェイ上に配置されてもよい。
【0077】
特定の適用シナリオにおいて、通信エンドポイント、ゲートウェイ、またはコントローラが異常(たとえば、故障もしくは不良)であることがあり、通信リンクにおける接続ライン、ケーブル、またはインターフェースが異常(たとえば、故障、不良、輻輳、もしくは切断)であることがあると理解され得る。
図2に示されるように、センサ/アクチュエータとゲートウェイとの間の接続、センサ/アクチュエータとコントローラとの間の接続、ゲートウェイ1とゲートウェイ2との間の接続、またはゲートウェイ1とコントローラとの間の接続が異常なことがあり、ゲートウェイ1およびゲートウェイ2が不良であることがあり、1つもしくは複数のセンサまたはアクチュエータが不良であることがあり、コントローラのチップでさえ異常なことがある。これらの例外は、さまざまな理由によってもたらされることがあり、たとえば、デバイス/ライン/インターフェースが老朽化する、複合的な通信シナリオによってライン輻輳がもたらされることがある、および車両の走行中の衝突/衝撃によって電子コンポーネントの緩み/落下/損傷/切断がもたらされることがある。
【0078】
以下は、本発明の実施形態において提供されるいくつかの車両内通信システムの特定の設計を詳細に説明する。
【0079】
最初に、
図3は、本発明の実施形態による車両内通信システムの概略構造図である。車両内通信システムは、車両のシャシーに置かれてよい(たとえば、複数の車両モデルへの適応を促進するために、コントローラおよびゲートウェイが車両のシャシーに配置されて、車両内通信シャシーを形成する)。車両内通信システムは、少なくとも1つの制御デバイス(
図3において、1つの制御デバイスが例として使用されている)と、複数のゲートウェイ(
図3において、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4が例として使用されている)と、複数の通信エンドポイントとを含む。各ゲートウェイデバイスは、1つまたは複数の通信エンドポイントに通信可能に接続されてよく、制御デバイスは、1つまたは複数の通信エンドポイントに通信可能に接続されてよい。
図3は、ゲートウェイ1およびゲートウェイ2に接続された複数のセンサおよび複数のアクチュエータの例を示しているにすぎないことが留意されるべきである。各ゲートウェイおよび各コントローラに接続されるセンサ/アクチュエータの数量、タイプ、ならびに配置位置は、本発明において限定されない。加えて、この明細書において言及される「複数のゲートウェイ」は、車両に実際に配置されたすべてのゲートウェイであってもよいし、または車両に実際に配置されたすべてのゲートウェイのうちのいくつかであってもよい。
【0080】
各ゲートウェイは、コントローラに通信可能に接続され、各ゲートウェイは、コントローラに接続されてスターネットワークを形成する。
図4aに示されるように、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4は、コントローラに別々に接続されて、スター通信ネットワーク(略してスターネットワーク)を形成する。正常なケースにおいて(例外が生じない)、各ゲートウェイとコントローラとの間の接続(スターネットワーク)は、ゲートウェイとコントローラとの間のデータ通信のために主に使用される。ゲートウェイとコントローラとの間の通信データは、収束する方式でゲートウェイにアクセスするセンサまたはアクチュエータによって送られてよく、またはゲートウェイによって生成されるサービスデータもしくは制御データであってよく、またはセンサ、アクチュエータ、もしくはゲートウェイのためにコントローラによって生成されるサービスデータもしくは制御データであってよく、またはエンドツーエンド通信のものであり、二次的通信リンクによって転送される任意の通信データであり得る。
【0081】
各ゲートウェイはまた、2つの隣接するゲートウェイに接続されて、リングネットワークを形成する。
図4bに示されるように、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4は、ヘッドトゥテールの方式で接続されて、リング通信ネットワーク(略してリングネットワーク)を形成する。正常なケースにおいて、ゲートウェイの間の接続(リングネットワーク)は、異なるゲートウェイの間のデータ通信のために主に使用される。ゲートウェイの間の通信データは、収束する方式でゲートウェイにアクセスするセンサまたはアクチュエータによって送られてよく、またはゲートウェイによって生成されるサービスデータもしくは制御データであってよく、またはエンドツーエンド通信のものであり、二次的通信リンクによって転送される任意の通信データであり得る。
【0082】
通信エンドポイント(センサ/アクチュエータ)とゲートウェイとの間の通信接続は有線接続または無線接続であってよく、通信エンドポイント(センサ/アクチュエータ)とコントローラとの間の通信接続は有線接続または無線接続であってよく、ゲートウェイの間の通信接続は有線接続であってよく、およびゲートウェイとコントローラとの間の通信接続は有線接続であってよく、有線接続はたとえば、ケーブル接続またはバス接続であり得る。たとえば、
図3において、リンク5、リンク6、リンク7、およびリンク8は、それぞれゲートウェイの間の有線接続を表し、ならびにリンク1、リンク2、リンク3、およびリンク4は、それぞれゲートウェイとコントローラとの間の有線接続を表す。
【0083】
たとえば、正常なケースにおいて、ゲートウェイ1に接続された複数の通信エンドポイント内の自己運転センサ(たとえば、カメラ)は、画像および/または点群データおよび/またはオブジェクトデータを生成し得る。画像および/または点群データおよび/またはオブジェクトデータは、ゲートウェイ1に集約され、次いでゲートウェイ1は、画像および/または点群データおよび/またはオブジェクトデータを、ゲートウェイ1とコントローラとの間の接続(リンク1)を使用することによって、コントローラに送る。コントローラは制御情報を返し得る。制御情報は、カメラの動作パラメータを調整するために、ゲートウェイ1とコントローラとの間の接続(リンク1)、およびゲートウェイ1とカメラとの間の接続を使用することによってカメラに送られる。
【0084】
別の例の場合、正常なケースにおいて、コントローラは自己運転コントローラであると想定され、コントローラは、制動コマンドを、ゲートウェイ1に接続された複数の通信エンドポイント内のブレーキ制御ECUに送る。制動コマンドは、コントローラとゲートウェイ1との間の接続(リンク1)を使用することによって、ゲートウェイ1を通してブレーキ制御ECUに送られる。
【0085】
別の例の場合、正常なケースにおいて、ゲートウェイ1に接続された複数の通信エンドポイント内に加速度センサがあり、およびゲートウェイ4に接続された複数の通信エンドポイント内に車両安定化システムのための専用ECUがある。車両安定化システムのための専用ECUは、加速度センサについての情報を必要とする。加速度センサについての情報は、ゲートウェイ1に送られ、次いでゲートウェイ1とゲートウェイ4との間の接続(リンク8)を使用することによってゲートウェイ4に送られ、最終的にゲートウェイ4によって車両安定化システムのための専用ECUに送られる。情報はコントローラによって処理される必要はなく、通信はゲートウェイ1およびゲートウェイ4による転送を通して完了される。
【0086】
別の例の場合、正常なケースにおいて、主レーダセンサ、ならびにゲートウェイ2に接続された複数の通信エンドポイント内の主レーダセンサの目標認識および衝突防止非常ブレーキECUは、非常制動制御メッセージを、ゲートウェイ4に接続された複数の通信エンドポイント内のブレーキ制御ECUに送る必要がある。非常制動制御メッセージは、ゲートウェイ2に送られ、次いでゲートウェイ2とゲートウェイ3との間の接続(リンク6)を使用することによってゲートウェイ3に送られ、次いでゲートウェイ3とゲートウェイ4との間の接続(リンク7)を使用することによってゲートウェイ4に送られ、最終的にゲートウェイ4によってブレーキ制御ECUに送られる。このメッセージもコントローラによって処理される必要はなく、通信は、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4による転送を通して完了され得る。
【0087】
本発明のこの実施形態において、通信リンク内のいずれかの接続ライン、ケーブル、もしくはインターフェースが異常であるとき、たとえば、ゲートウェイの間の接続が無効である、欠陥がある、混雑している、もしくは切断されているとき、またはゲートウェイとコントローラとの間の接続が無効である、欠陥がある、混雑している、もしくは切断されているとき、スターネットワークおよびリングネットワークは共同して冗長送信を実施し得る。
【0088】
スターネットワーク内のいずれかの接続が異常であるとき、ゲートウェイはローカルルーティングポリシーに従って、通信データをルーティングするために使用される通信リンクを変更し、リングネットワークを通して通信データをルーティングし得る。
【0089】
たとえば、いくつかの通信データに対して、通信データの通信リンクは、「ゲートウェイ1-コントローラ」である。リンク1が異常であるとき、ゲートウェイ1は、たとえば、物理レイヤ、MACレイヤ、またはコンポーネント故障に対して、検出方法に従って、リンク1の故障を検出し得る。次いで、ゲートウェイ1は、ローカルルーティングポリシーに従って、通信リンクを「ゲートウェイ1-ゲートウェイ2-コントローラ」に変更する。このようにして、ゲートウェイ1の通信データは、リンク5およびリンク2を使用することによってコントローラに送られ得る。あるいは、ゲートウェイ1は、通信リンクを「ゲートウェイ1-ゲートウェイ4-コントローラ」に変更し、その結果、ゲートウェイ1の通信データは、リンク8およびリンク4を使用することによってコントローラに送られ得る。
【0090】
リングネットワーク内のいずれかの接続が異常であるとき、ゲートウェイはローカルルーティングポリシーに従って、通信データをルーティングするために使用される通信リンクを変更し、スターネットワークまたはリングネットワークを通して通信データをルーティングし得る。
【0091】
たとえば、いくつかの通信データに対して、通信データの通信リンクは「ゲートウェイ1-ゲートウェイ2」である。リンク5が異常であるとき、ゲートウェイ1はたとえば、物理レイヤ、MACレイヤ、またはコンポーネント故障に対して、検出方法に従って、リンク5の故障を検出し得る。次いで、ゲートウェイ1は、ローカルルーティングポリシーに従って、通信リンクを「ゲートウェイ1-コントローラ-ゲートウェイ2」に変更する。このようにして、ゲートウェイ1の通信データは、リンク1およびリンク2を使用することによってゲートウェイ2に送られ得る。
【0092】
別の例の場合、いくつかの通信データに対して、通信データの通信リンクは「ゲートウェイ1-ゲートウェイ2-ゲートウェイ3」である。リンク5が異常であるとき、ゲートウェイ1はたとえば、物理レイヤ、MACレイヤ、またはコンポーネント故障に対して、検出方法に従って、リンク5の故障を検出し得る。次いで、ゲートウェイ1は、ローカルルーティングポリシーに従って、通信リンクを「ゲートウェイ1-ゲートウェイ4-ゲートウェイ3」に変更する。このようにして、ゲートウェイ1の通信データは、リンク8およびリンク7を使用することによってゲートウェイ3に送られ得る。あるいは、通信リンクは「ゲートウェイ1-コントローラ-ゲートウェイ3」に変更され、その結果、ゲートウェイ1の通信データは、リンク1およびリンク3を使用することによってゲートウェイ3に送られ得る。
【0093】
本発明においてもたらされる車両内通信ネットワークアーキテクチャは、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性をもたらすことが可能であることを知ることができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワーク内のデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実施するためのネットワークトポロジに基づいて、最適な/最短の通信リンクを選択することができ、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイの間の低レイテンシ送信のための通信要件が保証され得る。加えて、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常なとき、ネットワーク送信能力は依然としてもたらされることができ、冗長送信は、スターネットワークおよびリングネットワークの両方を通して実施される。これは通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を改善し、および車、特に自己運転車の安全性を改善する。
【0094】
さらに、本発明のこの実施形態において、通信リンク内のいずれかの接続ライン、ケーブル、もしくはインターフェースが異常であるとき、いくつかの通信データに対して、ゲートウェイは、サービス優先度、サービス重要度、および安全性に対する影響などの要因に基づいて、送信ポリシーを変更し、通信データ内のいくつかの情報のみを送信し得る。言い換えれば、スターネットワークまたはリングネットワークは、通信データの一部をルーティングするために使用される。
【0095】
たとえば、リンク1が異常であるとき、ゲートウェイ1は、ゲートウェイ2またはゲートウェイ4、およびゲートウェイ2またはゲートウェイ4に接続されたリンクを使用することによって転送を行う必要があるので、ゲートウェイ2またはゲートウェイ4、およびゲートウェイ2またはゲートウェイ4に接続されたリンクの負荷は、設計された負荷を超えることがある。このケースにおいて、通信データの一部は、スターネットワークおよびリングネットワーク内の冗長性を通して送信され得る。たとえば、カメラは、画像データ(未加工データ)およびオブジェクトデータ(Obj情報)を生成し、画像データおよびオブジェクトデータをゲートウェイ1に送信する。画像データおよびオブジェクトデータは、コントローラに送られる必要がある。リンク1が異常であることを検出したとき、ゲートウェイ1は通信リンクを変更し、Obj情報のみをコントローラに送信し得る。
【0096】
この実施形態を実装する間、新たな通信リンク内のゲートウェイおよびリンクの通信負荷は低減されることができ、自動車は、重要な情報(たとえば、Obj情報)に基づいて、非常ハンドリング、路肩停車、および警報を出すために非常点滅器をオンにすることなどの、それに続く挙動を実施することが可能にされ、その結果、車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性がさらに保証されることができる。
【0097】
さらに、上述のように、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、ゲートウェイは異常を検出する必要があり、ローカルルーティングポリシーに従って通信リンクを変更し、および/または通信データの一部のみを送信する。これらの処理プロセスはレイテンシを引き起こし得る。本発明のこの実施形態において、レイテンシを低減するまたは除去するために以下の方式が使用され得る。
【0098】
エンドツーエンド通信のいくつかの通信データに対して、通信データのすべては、ローカルルーティングポリシーによって示される少なくとも2つの通信リンクのそれぞれを使用することによってルーティングされる。言い換えれば、通信データは、マルチリンク送信の方式での異なる通信リンクを使用することによって送信されるように複製される。
【0099】
たとえば、カメラはゲートウェイ1に接続され、カメラの通信データの宛先デバイスはコントローラである。カメラから通信データを受信した後、ゲートウェイ1は、通信データの2つのコピーを作成し得る。一方のコピーは、リンク1を使用することによってコントローラに直接送信される。他方のコピーは、ゲートウェイ2を使用することによってコントローラに転送される。このようにして、いずれかのリンクに欠陥があるときに、情報は正常に送信されることができ、その結果、比較的低い通信レイテンシが保証される。
【0100】
さらに、ゲートウェイは、選択的マルチリンク送信を行い、高い重要性および/または高い優先性および/または少ない量を有する通信データを選択し、2つ以上のリンクを使用することによって通信データを送信し得る。このようにして、リンクの通信負荷は低減され、その一方で比較的低い通信レイテンシが保証される。
【0101】
たとえば、カメラが画像データ(未加工データ)およびオブジェクトデータ(Obj情報)を生成する場合、未加工データは単一のリンクを使用することによって送信されてよく、Obj情報は2つ以上のリンクを使用することによって送信され得る。別の例の場合、共通制御情報は単一のリンクを使用することによって送信されてよく、コントローラの制御情報は複数のリンクを使用することによって送信され得る。
【0102】
さらに、上述のように、ゲートウェイのいくつかの機能が故障したとき、ゲートウェイのスイッチング能力は低下し得、またはラインポートのトラフィック能力は減少し得る。このケースにおいて、ゲートウェイは、通信リンクを変更する、または高い優先性もしくは高い重要性を有するデータを送信する、またはデータ分割の方式でデータを送信し得る。
【0103】
具体的には、通信データは、データの2つ以上の部分に分けられ得る。通信データ内のデータの部分は、ローカルルーティングポリシーによって示される2つ以上の通信リンクを使用することによって、別々にルーティングされ得る。このようにして、リンクの通信負荷は低減され、その一方で比較的低い通信レイテンシが保証される。
【0104】
たとえば、カメラが画像データ(未加工データ)およびオブジェクトデータ(Obj情報)を生成する場合、未加工データは1つのリンクを使用することによって送信されてよく、Obj情報は別のリンクを使用することによって送信され得る。別の例の場合、共通制御情報は単一のリンクを使用することによって送信されてよく、コントローラの制御情報は複数のリンクを使用することによって送信され得る。
【0105】
図3に示される車両内通信システムに基づいて、通信エンドポイントの間の冗長接続がさらに実施され得る。
図5は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図3に示される車両内通信システムとの主な違いは、車両のいくつかのエリアにおける自己運転に関連する検知のために使用される通信エンドポイントはグループ化され、異なるグループは異なるゲートウェイに接続されることにある。ゲートウェイのうちの1つが故障したとき、別のゲートウェイは依然として適切に動作できるので、このエリアにおいて検出および検知能力は依然として利用可能である。これは、ゲートウェイが故障したために、そのエリアで周囲環境が検知されることができない「全盲」状態を回避する。このようにして、車両を安全に路肩に停止させるように非常措置がとられることができ、または人によって運転を引き継ぐように自己運転レベルが低減される。あるいは、1つのグループはゲートウェイに接続されてよく、別のグループはコントローラに接続され得る。コントローラに接続されたリンクが異常であるとき、ゲートウェイの接続により、検出および検知能力は依然として利用可能になることができる。
【0106】
各グループは少なくとも1つの通信エンドポイントを含む。冗長接続として相互に使用される少なくとも2つのグループに対しては、少なくとも2つのグループの全体的な機能は同じ、同様な、または重複する。少なくとも2つのグループのそれぞれが1つの通信エンドポイントのみを有する、言い換えれば、少なくとも2つの通信エンドポイントが同じ、同様な、または重複した機能を有するとき、少なくとも2つの通信エンドポイントは、異なるゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続されることが理解され得る。
【0107】
同じ機能または重複した機能とは、1つのグループ内の1つまたは複数の通信エンドポイントの特定の機能は、別のグループ内の1つまたは複数の通信エンドポイントの機能によって、完全にまたは部分的に置き換えられることができることを意味する。たとえば、同じモデルの2つのカメラが同じエリアをカバーする場合、2つのカメラは同じ画像感知機能を有すると考えられることができる。あるいは、異なる精度のカメラが同じエリアをカバーする場合、カメラは重複した機能を有すると考えられることができる。あるいは、カメラおよびレーザレーダが同じ範囲をカバーするが、異なる画像タイプを有する場合、カメラは重複した機能を有すると考えられることができる。
【0108】
冗長接続として相互に使用される少なくとも2つのグループは、車両内の同じエリアに配置され得る。同じエリアとは、たとえば、車両の左前部エリア、車両の右前部エリア、車両の左後部エリア、車両の右後部エリア、車両の前部エリア、または車両の中央エリア、車両の後部エリア、車両の左エリア、または車両の右エリアのうちの1つである。いくつかの実施形態において、車両エリアは、前部/後部/左/右/中央、前部/中央/後部、左/中央/右、前部/後部、または左/右の方式で分けられ得ることが留意されるべきである。これは本発明において限定されない。
【0109】
たとえば、複数のADAS(先進運転支援システム、Advanced Driver Assistant System)センサは、車両の右前部エリアに配置され、なぜなら、これらのADASセンサは同じまたは同様な検出範囲を有し、これらのセンサは異なるグループにグループ化され、および異なるゲートウェイ(たとえば、ゲートウェイ1およびゲートウェイ2)に別々に接続されるからである。同様に、複数のカメラ、複数のミリ波レーダ、複数のレーザレーダ、および複数の超音波レーダなど、センサがエリアに配置されるとき、異なるゲートウェイが接続されることができるように、異なるカメラ、異なるミリ波レーダ、異なるレーザレーダ、異なる超音波レーダなどは、異なるグループにグループ化されてもよい。同様に、同じまたは同様な機能を有する複数のアクチュエータは、異なるゲートウェイに接続されるように異なるグループにグループ化されてもよい。
【0110】
グループ化規模は以下のようにしてよい。すなわち、いくつかのグループはそれぞれ少なくとも1つのセンサを含み、および/またはいくつかのグループはそれぞれ少なくとも1つのアクチュエータを含み、および/またはいくつかのグループはそれぞれ少なくとも1つのセンサと少なくとも1つのアクチュエータとを含む。
【0111】
図5に示される例において、車両の前部右エリアは、冗長接続として相互に使用される、グループの2つのペアを含む。一方のペアは、Sグループ1およびSグループ2である。Sグループ1およびSグループ2は、それぞれ少なくとも1つのセンサを含み、Sグループ1およびSグループ2は、それぞれゲートウェイ1およびゲートウェイ2に接続される。さらに、
図6に示されるように、Sグループ1は、カメラ1および車両搭載レーダ1などのセンサを含んでよく、各センサはゲートウェイ1に接続される。Sグループ2は、カメラ2および車両搭載レーダ2などのセンサを含んでよく、各センサはゲートウェイ2に接続される。他方のペアは、Aグループ1およびAグループ2である。Aグループ1およびAグループ2は、それぞれ少なくとも1つのアクチュエータを含み、Aグループ1およびAグループ2は、それぞれゲートウェイ1およびゲートウェイ2に接続される。
【0112】
グループ化原則は以下であり得る。すなわち、検出範囲に基づく、および/または検出距離に基づく、および/またはセンサタイプに基づく、および/またはセンサ応用シナリオに基づく、および/または実施される自己運転機能に基づく。
【0113】
たとえば、
図7に示されるように、車両の左前部エリアに、自動路肩停車を完了することができるセンサの最小セットは、2つのグループ、すなわち、グループ3およびグループ4にグループ化される。グループ3は、通信エンドポイント1、通信エンドポイント2などを含み、グループ4は、通信エンドポイント1、通信エンドポイント2などを含む。グループ3およびグループ4の両方は、自動路肩停車機能を実施するように構成され得る。このケースにおいて、グループ3内の各通信エンドポイントは、ゲートウェイ1に別々に接続され、グループ4内の各通信エンドポイントは、ゲートウェイ2に別々に接続される。
【0114】
別の例の場合、夜間に路肩停車を完了することができるセンサの最小セットは、2つのグループにグループ化される。2つのグループは、2つ以上の異なるゲートウェイに接続される。夜間に路肩停車を完了することができるセンサの最小セットは、日中に路肩停車を完了することができるセンサの最小セットとは異なり得る。たとえば、夜間に視線が妨げられるときはレーダ補助が必要である。
【0115】
別の例の場合、2つ以上のGPSが位置決め入力またはグランドマスタとして、車両に配置され、2つ以上のGPSはそれぞれ異なるゲートウェイに接続される。
【0116】
図5、
図6、および
図7の実施形態は、単に本発明の実施形態における解決策を説明するために使用されることが留意されるべきである。本発明において、グループ化される必要がある車両エリア、グループの数量、グループ化規模、グループ化原則、各グループ内の通信エンドポイント、接続されるゲートウェイの位置、および冗長接続として相互に使用されるゲートウェイの数量は、限定されない。
【0117】
本発明のこの実施形態によれば、エリア内で同じまたは同様な機能を実施する電子モジュール(センサ、アクチュエータ、センサおよびアクチュエータの組合せなど)はグループ化され、異なるグループ内の電子モジュールは異なるゲートウェイに接続される。エリアのゲートウェイ全体が欠陥があるもしくは故障したとき、またはエリアのゲートウェイに接続された電子モジュールのグループ全体が欠陥があるもしくは無効である、またはリンクが異常であるとき、冗長接続として使用される別のグループは、別のゲートウェイを使用することによって、正常な通信を依然として実施することができる。これは車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性をさらに改善する。
【0118】
図8に示される車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークはさらに改良され/変形されてもよいことが留意されるべきである。たとえば、冗長接続の少なくとも2つのグループに対して、少なくとも1つのグループはゲートウェイに通信可能に接続され、残りのグループはコントローラに通信可能に接続される。このようにして、たとえば、冗長接続として相互に使用される2つのグループに対して、一方のグループとゲートウェイとの間の接続が異常であるとき、他方のグループは、コントローラを使用することによって、コントローラと通信エンドポイントとの間の通信を実施し得る。同様に、一方のグループとコントローラとの間の接続が異常であるとき、他方のグループは、ゲートウェイを使用することによって、ゲートウェイと通信エンドポイントとの間の通信を実施し得る。詳しい実装プロセスについては、
図8の実施形態の上記の説明を参照されたい。詳細はここでは再び述べられない。
【0119】
図3に示される車両内通信システムに基づいて、本発明の実施形態は、通信エンドポイントの間の冗長接続を実施するためのさらに別の設計をもたらす。
図8は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図3に示される車両内通信システムとの主な違いは、車両のいくつかのエリアにおける通信エンドポイントの少なくとも1つのグループは、複数のゲートウェイにすべて接続されることにある。このようにして、1つのゲートウェイが故障したとき、別のゲートウェイは依然として適切に動作できるので、このエリアにおいて検出および検知能力は依然として利用可能である。これは、ゲートウェイが故障したために、そのエリアで周囲環境が検知されることができない「全盲」状態を回避する。
【0120】
各グループは、少なくとも1つの通信エンドポイントを含み、少なくとも1つの通信エンドポイントは、少なくとも2つのゲートウェイデバイスに別々に通信可能に接続される。グループ内の各センサおよび/または各アクチュエータは、2つ以上の物理的接続またはバスを使用することによって、異なるゲートウェイに接続され、同時に同じ情報を送信し得る。一方のリンクが故障したとき、他方のリンクの情報がシステムの正常な動作を保証することができる。
【0121】
たとえば、
図8に示されるように、車両の右前部エリアは、Aグループ1、Sグループ1などを含む。Sグループ1は少なくとも1つのセンサを含み、各センサはゲートウェイ1およびゲートウェイ2に別々に接続される。Aグループ1は少なくとも1つのアクチュエータを含み、各アクチュエータはゲートウェイ1およびゲートウェイ2に別々に接続される。
【0122】
図8の実施形態は、単に本発明のこの実施形態における解決策を説明するために使用されることが留意されるべきである。本発明において、グループ化される必要がある車両エリア、グループの数量、各グループ内の通信エンドポイント、接続されるゲートウェイの位置、および冗長接続として相互に使用されるゲートウェイの数量は、限定されない。
【0123】
本発明のこの実施形態の実装の間、センサ/アクチュエータは、2つ以上のリンクを使用することによって、異なるゲートウェイに接続される。エリアのゲートウェイ全体が欠陥があるもしくは無効であるとき、またはエリアのゲートウェイに接続されたセンサ/アクチュエータのうちの1つのリンクが異常であるとき、冗長接続として使用される別のリンクは、別のゲートウェイを使用することによって、正常な通信を依然として実施することができる。これは、車両運転の安全性、信頼性、および堅牢性をさらに改善する。
【0124】
上記に示された車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークは、さらに改良され/変形されてもよいことが留意されるべきである。たとえば、グループ内の通信エンドポイントに対して、通信エンドポイントは、2つ以上の物理的接続またはバスを使用することによって、コントローラおよび少なくとも1つのゲートウェイに接続され得る。このようにして、通信エンドポイントとコントローラとの間の接続が異常であるとき、通信エンドポイントは、ゲートウェイを使用することによって、ゲートウェイと通信エンドポイントとの間の通信を実施し得る。通信エンドポイントとゲートウェイとの間の接続が異常であるとき、通信エンドポイントは、ゲートウェイを使用することによって、コントローラと通信エンドポイントとの間の通信を実施し得る。
【0125】
図3に示される車両内通信システムに基づいて、ゲートウェイの間の冗長接続はさらに強化され得る。
図9は本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図3に示される車両内通信システムとの主な違いは、車両内通信システム内の複数のゲートウェイにおいて、各ゲートウェイは、メッシュ通信ネットワーク(略してメッシュネットワーク)が形成されるように、すべての別のゲートウェイに通信可能に接続されることにある。
図10に示されるように、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4に対して、ゲートウェイのうちの2つずつが接続されてメッシュネットワークを形成する。リングネットワークにおける冗長接続と比べて、メッシュネットワークではより多くの冗長接続が追加される。
【0126】
正常なケースにおいて、ゲートウェイの間の接続(リングネットワーク)は、異なるゲートウェイの間のデータ通信のために主に使用される。ゲートウェイの間の通信データは、収束する方式でゲートウェイにアクセスするセンサまたはアクチュエータによって送られてよく、またはゲートウェイによって生成されるサービスデータもしくは制御データであってよく、またはエンドツーエンド通信のものであり、二次的通信リンクによって転送される任意の通信データでよい。
【0127】
ゲートウェイの間の通信接続は有線接続でよい。たとえば、
図9において、リンク5、リンク6、リンク7、リンク8、リンク9、およびリンク10は、それぞれゲートウェイの間の有線接続を表す。
【0128】
図9に示される車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークは、さらに改良され/変形されてもよいことが留意されるべきである。たとえば、例外が生じたとき、通信データの一部が送信される。別の例の場合、通信エンドポイントの冗長接続が追加される。特定の実装については、関連する改良/変形の上記の説明を参照されたい。詳細はここでは再び述べられない。
【0129】
本発明においてもたらされる車両内通信ネットワークアーキテクチャは、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性をもたらすことが可能であることが理解されることができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワーク内のデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実施するためのネットワークトポロジに基づいて、最適な/最短の通信リンクを選択することができ、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイの間の低レイテンシ送信のための通信要件が保証され得る。通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、ネットワーク送信能力は依然としてもたらされることができ、スターネットワークおよびメッシュネットワークを通して共同して、冗長送信が実施される。これは通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を改善し、および車、特に自己運転車の安全性を改善する。
【0130】
上記の実施形態に示される車両内通信ネットワークは、主に4つのゲートウェイが含まれる例を使用することによって説明される。実際の応用例では、車両内通信ネットワークはさらに、より多いまたはより少ないゲートウェイを含み得る。
図11は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図3に示される車両内通信システムとの主な違いは、
図11に示される車両内通信ネットワークは、3つのゲートウェイ(ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、およびゲートウェイ3)と、少なくとも1つの制御デバイス(
図11では、例として1つの制御デバイスが使用される)とを含むことにある。同様に、各ゲートウェイデバイスは、1つまたは複数の通信エンドポイントに通信可能に接続されてよく、制御デバイスは、1つまたは複数の通信エンドポイントに通信可能に接続され得る。
図11は単に、ゲートウェイ1に接続された複数のセンサおよびアクチュエータの例を示すことが留意されるべきである。各ゲートウェイおよび各コントローラに接続されるセンサ/アクチュエータの数量、タイプ、および配置位置は、本発明において限定されない。
【0131】
同様に、各ゲートウェイはコントローラに通信可能に接続され、および各ゲートウェイはコントローラに接続されて、スターネットワークを形成する。正常なケースにおいて、スターネットワークでの接続は、ゲートウェイとコントローラとの間のデータ通信のために主に使用される。各ゲートウェイはまた、2つの隣接するゲートウェイに接続されて、リングネットワークを形成する(これは、簡略化されたメッシュネットワークと考えられてもよい)。正常なケースにおいて、リングネットワーク内の接続は、異なるゲートウェイの間のデータ通信のために主に使用される。
【0132】
図11に示される車両内通信ネットワークの関連する機能は、
図3に示される車両内通信システムの関連する説明を参照して実施され得ることが留意されるべきである。詳細はここでは再び述べられない。
【0133】
図11に示される車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークは、さらに改良され/変形されてもよいことがさらに留意されるべきである。たとえば、例外が生じたとき、通信データの一部は送信される。別の例の場合、通信エンドポイントの冗長接続が追加される。特定の実装については、関連する改良/変形の上記の説明を参照されたい。詳細はここでは再び述べられない。
【0134】
本発明のこの実施形態において車両内通信ネットワークは、より多くのゲートウェイをさらに含み得ることがさらに留意されるべきである。特定の実装解決策は、
図3に示される車両内通信ネットワークのもの、および
図11に示される車両内通信ネットワークのものと同様でよい。本明細書の簡潔性のために、詳細はここでは述べられない。
【0135】
本発明は、3つのゲートウェイを含んだ車両内通信ネットワークアーキテクチャをもたらし、その結果、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性がもたらされることができ、およびゲートウェイの数量を低減することによってコストがさらに低減されることが可能であることを知ることができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワーク内のデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実施するためのネットワークトポロジに基づいて、最適な/最短の通信リンクを選択することがあり、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイの間の低レイテンシ送信のための通信要件が保証され得る。通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常なとき、ネットワーク送信能力は依然としてもたらされることができ、冗長送信は、スターネットワークおよびリングネットワークを通して共同して実施される。これは通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を改善し、および車、特に自己運転車の安全性を改善する。
【0136】
上記で説明された実施形態は、コントローラとゲートウェイとが独立して配置される例を使用することによって主に説明された。本発明のこの実施形態では、コントローラと、複数のゲートウェイのうちの1つとは、同じ物理エンティティとしてさらに結合され得る、または同じ物理位置に配置され得る。このようにして、コントローラは、内部ラインを通してゲートウェイに通信可能に接続され、コントローラは、外部ラインを通して別のゲートウェイに通信可能に接続される。
図12は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図3に示されている車両内通信システムとの主な違いは、コントローラとゲートウェイ1とが、同じ物理エンティティとして結合される、または同じ物理位置に配置されることにある。このケースにおいて、ライン4はライン8に統合され、ライン2はライン5に統合され、ライン1は内部接続に変更される。特定の実施形態において、コントローラとゲートウェイ1が結合された物理エンティティは、多重化インターフェースを外部に提供し得る。多重化インターフェースを通して、物理エンティティは、ライン8を使用することによってゲートウェイ4に接続され、ライン3を使用することによってゲートウェイ3に接続され、ライン5を使用することによってゲートウェイ2に接続され得る。
【0137】
図12の実施形態において、各ゲートウェイはまた、(スターネットワークと見なされ得る)コントローラに通信可能に接続されることが理解され得る。正常なケースにおいて、スターネットワークにおける接続は、ゲートウェイとコントローラとの間のデータ通信のために主に使用される。各ゲートウェイはまた、(リングネットワークと見なされ得る)2つの隣接したゲートウェイに接続される。正常なケースにおいて、リングネットワークにおける接続は、異なるゲートウェイの間のデータ通信のために主に使用される。
【0138】
図12の実施形態に示されている車両内通信システムの実装解決策は、
図3に示されている車両内通信ネットワークに関して実装され得ることに留意されるべきである。本明細書の簡潔性のために、詳細について本明細書で再び説明されない。
【0139】
図11に示されている車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークはまた、さらに改善/変形され得ることにさらに留意されるべきである。たとえば、例外が発生するとき、通信データの一部が送信される。別の例では、通信エンドポイントの冗長接続が追加される。別の例では、メッシュネットワークがゲートウェイの間に形成される(たとえば、ゲートウェイ2とゲートウェイ4との間の接続が追加され、特定の実装解決策については、
図9における実施形態の説明を参照されたい)。特定の実装については、関係する改善/変形の上記の説明を参照されたい。詳細について本明細書で再び説明されない。
【0140】
図12の実施形態は、本出願の解決策について説明するために使用されるにすぎず、それに限定されないことにさらに留意されるべきである。コントローラに結合されるゲートウェイ、またはコントローラと同じ物理位置に配置されるゲートウェイは、ゲートウェイ1に限定されず、別のゲートウェイであってよい。本発明の実施形態における車両内通信ネットワークは、より多いまたはより少ないゲートウェイをさらに含んでよい。たとえば、車両内通信ネットワークは、
図11に示されている車両内通信ネットワークに関して実装され得る。本明細書の簡潔性のために、詳細について本明細書で説明されない。
【0141】
本発明では、ゲートウェイとコントローラとは、結合される、または同じ物理位置に配置されることを理解することができる。これは、いくつかの物理ケーブルの長さを削減し、いくつかのケーブルが回路基板の内部ケーブルに変換されることさえあり得、それは、技術的難題およびコストの削減に役立つ。この設計に基づく車両内通信ネットワークはまた、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することができる。正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて最適な/最短の通信リンクを選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能である。通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、ネットワーク送信能力が依然として提供されることが可能であり、スターネットワークとリングネットワークとを通して冗長送信が共同して実装される。これは、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を向上させ、車、特に自己運転車の安全性を向上させる。
【0142】
図12に示されている車両内通信システムに基づいて、コントローラの冗長性バックアップがさらに強化され得る。
図13は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図12に示されている車両内通信システムとの主な違いは、複数のコントローラがあり、各コントローラと、複数のゲートウェイにおける異なるゲートウェイデバイスとが、同じ物理エンティティとして結合される、または同じ物理位置に配置されることにある。各コントローラは、内部ラインを通してコントローラに結合されたゲートウェイに通信可能に接続され、各コントローラは、外部ラインを通して別のゲートウェイに通信可能に接続される。
図13に示されているように、解決策について説明するための例として、2つのコントローラが主に使用される。2つのコントローラは、たとえば、一次的コントローラおよび二次的コントローラに分類され得る。一次的コントローラとゲートウェイ1とは、同じ物理エンティティに結合される、または同じ物理位置に配置される。二次的コントローラとゲートウェイ2とは、同じ物理エンティティとして結合される、または同じ物理位置に配置される。一次的/二次的コントローラは、同じ能力のバックアップであってよく、または二次的コントローラの能力は、一次的コントローラのそれよりも弱くてよく、それにより、コストがさらに削減される。
【0143】
この設計に基づく車両内通信ネットワークはまた、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することが可能であることを理解することができる。通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるときのネットワーク送信能力を提供することに加えて、車両内通信ネットワークはまた、一次的コントローラが異常(故障、不良、または能力劣化)であるとき、二次的コントローラが一次的コントローラに置き換わって、制御機能(たとえば、減速警報および路肩停車、または運転安全性に関係する機能などの重要な機能)の一部またはすべてを完了することを保証することができる。これは、通信機能セキュリティをさらに保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を向上させ、車、特に自己運転車の安全性をさらに向上させる。
【0144】
上記で説明された実施形態は、コントローラの機能が集中化される例(たとえば、コントローラが独立して配置される、またはコントローラとゲートウェイとが結合されて物理エンティティが形成される)を使用することによって主に説明された。実際には、本発明の実施形態はそれに限定されない。本発明の可能な実装において、コントローラの機能は、機能が比較的独立しているN個のタイプの機能エンティティに分割されてよく、ここで、N≧2である。このようにして、N個のタイプの機能エンティティは、制御デバイスの機能を実装するために共同して使用され、制御デバイスの機能は、複数の通信エンドポイントにおける1つまたは複数の通信エンドポイントを制御する機能を表し得る。N個のタイプの機能エンティティは、複数のゲートウェイにおける少なくとも2つのゲートウェイ上に分散方式で配置され、N個のタイプの機能エンティティのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのゲートウェイのうちの各ゲートウェイ上に配置され、少なくとも2つのゲートウェイデバイス上に配置された機能エンティティのタイプの合計は、N個のタイプの機能エンティティをカバーする。機能エンティティがソフトウェア形式(たとえば、機能モジュール)であるとき、たとえば、このソフトウェアコードは、ゲートウェイのチップの中に構成されてよい。機能エンティティがハードウェア形式であるとき、たとえば、このハードウェアエンティティは、ゲートウェイのチップ/回路に結合されてよい。
【0145】
同様に、システムにおける1つまたは複数のゲートウェイデバイスは、エンドツーエンド通信の通信データを受信するとき、ローカルルーティングポリシーによって示された通信リンクを使用することによって通信データをルーティングし、通信リンクが異常であることを検出する場合、通信リンクを変更して通信データの一部またはすべてをルーティングするように構成されてよい。エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイにおける少なくとも2つのゲートウェイの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと少なくとも3つのゲートウェイの任意の機能エンティティとの間の通信、および複数のゲートウェイにおける任意のゲートウェイと少なくとも3つのゲートウェイの任意の機能エンティティとの間の通信。
【0146】
たとえば、
図14は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。4つのゲートウェイを含むアーキテクチャが例として使用される。実装において、たとえば、コントローラは、融合、決定、制御、記憶という、4つの機能モジュールに分割されてよい。これら4つのエンティティのうちのいずれか2つが、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4と同じ物理位置に別々に配置される、または別々に物理エンティティとしてゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4と結合される。特に、たとえば、融合モジュールおよび決定モジュールは、同じ物理位置に配置される、または同じ物理エンティティとしてゲートウェイ1に結合される。記憶モジュールおよび制御モジュールは、同じ物理位置に配置される、または同じ物理エンティティとしてゲートウェイ2に結合される。融合モジュールおよび決定モジュールは、同じ物理位置に配置される、または同じ物理エンティティとしてゲートウェイ3に結合される。記憶モジュールおよび制御モジュールは、同じ物理位置に配置される、または同じ物理エンティティとしてゲートウェイ4に結合される。
【0147】
このようにして、ゲートウェイ1およびゲートウェイ4、ゲートウェイ2およびゲートウェイ3、ゲートウェイ1およびゲートウェイ2、ならびにゲートウェイ4およびゲートウェイ3は、コントローラ冗長性の4つのグループを形成する。言い換えれば、コントローラのすべての機能は、ゲートウェイ1およびゲートウェイ4を使用することによって実装されることが可能であり、コントローラのすべての機能は、ゲートウェイ2およびゲートウェイ3を使用することによって実装されてよく、コントローラのすべての機能は、ゲートウェイ2およびゲートウェイ1を使用することによって実装されてよく、またはコントローラのすべての機能は、ゲートウェイ4およびゲートウェイ3を使用することによって実装されてよい。言い換えれば、ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、ゲートウェイ3、およびゲートウェイ4のいずれか1つが異常であるか、異なる機能をもつ2つのゲートウェイが異常であるか、または関係するラインが異常であるとき、コントローラの論理機能は依然として完全であり、車両は制御されることが可能であり。これは、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性を大幅に向上させる。
【0148】
別の例では、
図15は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。4つのゲートウェイを含むアーキテクチャが例として使用される。実装において、たとえば、コントローラは、インテリジェント運転、インテリジェントコックピット、および車両制御という、3つの機能モジュールに分割されてよい。インテリジェント運転は、マルチリンク画像融合、ターゲット識別および抽出、運転プランニング、ならびに意思決定など、車両自己運転に関係するデータを処理することを主に担う。インテリジェントコックピットは、車両におけるオーディオビジュアルエンターテインメントを主に担う。車両制御は、車両本体の全体的な制御、たとえば、四輪平衡、エンジン回転速度制御を主に担う。上記の機能モジュールのうちの1つまたは2つが各ゲートウェイ上に配置され、その結果、各モジュールが、少なくとも2つのゲートウェイ上に配置されて、機能的冗長性が提供されることが保証される。たとえば、インテリジェント運転機能は、ゲートウェイ1上に配置され、インテリジェントコックピットおよび車両制御機能は、ゲートウェイ2上に配置され、インテリジェント運転機能およびインテリジェントコックピット機能は、ゲートウェイ3上に配置され、車両制御機能は、ゲートウェイ4上に配置される。このようにして、いずれかのゲートウェイが不良である、または関係するラインが異常であるとき、コントローラの論理機能は依然として完全であり、車両は制御されることが可能である。これは、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性を大幅に向上させる。
【0149】
別の例では、
図16は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図15に示されている実施形態との違いは、
図16に示されている車両内通信システムでは、冗長性バックアップが、コントローラを分割することによって取得されたN個の機能エンティティのうちのいくつかのためにのみ実施されることにある。
図16に示されているように、たとえば、コントローラは、インテリジェント運転、インテリジェントコックピット、および車両制御という、3つの機能モジュールに分割されてよい。インテリジェント運転機能は、ゲートウェイ1上に配置され、インテリジェントコックピットおよび車両制御機能は、ゲートウェイ2上に配置され、インテリジェント運転機能は、ゲートウェイ3上に配置され、車両制御機能は、ゲートウェイ4上に配置される。言い換えれば、冗長性バックアップは、インテリジェント運転および車両制御のためには実施されるが、冗長性バックアップは、インテリジェントコックピットのためには実施されない。このようにして、インテリジェント運転とともに配置されたいずれかのゲートウェイが不良である、または関係するラインが異常であるとき、コントローラのインテリジェント運転論理機能は、依然として完全である。あるいは、車両制御とともに配置されたいずれかのゲートウェイが異常である、または関係するラインが異常であるとき、コントローラの車両制御論理機能は依然として完全であり、その結果、車両制御は実装されることが可能であり、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性は大幅に改善される。加えて、冗長性バックアップは、あまり重要でない機能モジュールのためには実施されない。これは、システムリソースオーバーヘッドの削減に役立つ。
【0150】
図14から
図16の実施形態は、本出願の解決策について説明するために使用されるにすぎず、分割を通して取得される機能エンティティの量、分割基準、各機能エンティティとともに配置される特定のゲートウェイ、および各ゲートウェイ上に配置される機能エンティティの量を限定することに意図されていないことに留意されるべきである。
【0151】
図14から
図16に示されている車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークはまた、さらに改善/変更され得ることにさらに留意されるべきである。たとえば、例外が発生するとき、通信データの一部が送信される。別の例では、通信エンドポイントの冗長接続が追加される。特定の実装については、関係する改善/変更の上記の説明を参照されたい。詳細について本明細書で再び説明されない。
【0152】
この設計に基づいた車両内通信ネットワークにおいて、ゲートウェイと、コントローラのいくつかの機能モジュールとは、一緒に結合される、または同じ物理ロケーションに配置されることを知ることができる。これは、ゲートウェイ間での違いを削減し、コントローラの再使用度合いを増加させ、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性を向上させることに役立つ。車両内通信ネットワークはまた、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性を提供することができる。ネットワーク送信能力を提供することに加えて、通信エンドポイント、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、車両内通信ネットワークは、ゲートウェイが異常であるときにコントローラの論理機能が適切に起動することを保証することができ、その結果、通信機能セキュリティがさらに保証され、車、特に自己運転車の安全性がさらに向上される。
【0153】
図14から
図16において上記の実施形態に示されている車両内通信ネットワークの技術的解決策は、4つのゲートウェイが含まれる例を使用することによって主に説明された。実際の適用例では、車両内通信ネットワークは、より多いまたはより少ないゲートウェイをさらに含んでよい。
図17は、本発明の実施形態による別の車両内通信システムの概略構造図である。
図15の実施形態に示されている車両内通信システムとの主な違いは、
図17に示されている車両内通信ネットワークが、3つのゲートウェイ(ゲートウェイ1、ゲートウェイ2、およびゲートウェイ3)を含むことにある。同様に、たとえば、コントローラは、インテリジェント運転、インテリジェントコックピット、および車両制御という、3つの機能モジュールに分割されてよい。上記の機能モジュールのうちの1つまたは2つが各ゲートウェイ上に配置され、それにより、各モジュールが、少なくとも2つのゲートウェイ上に配置されて、機能的冗長性が提供されることが保証される。たとえば、インテリジェント運転機能およびインテリジェントコックピット機能は、ゲートウェイ1上に配置され、インテリジェントコックピット機能および車両制御機能は、ゲートウェイ2上に配置され、インテリジェント運転機能および車両制御機能は、ゲートウェイ3上に配置される。
【0154】
図17に示されている車両内通信ネットワークの関係する機能は、
図14から
図16に示されている車両内通信システムの関係する説明に関して実装され得ることに留意されるべきである。詳細について本明細書で再び説明されない。
図17に示されている車両内通信ネットワークに基づいて、車両内通信ネットワークはまた、さらに改善/変形され得る。たとえば、例外が発生するとき、通信データの一部が送信される。別の例では、通信エンドポイントの冗長接続が追加される。特定の実装については、関係する改善/変更の上記の説明を参照されたい。詳細について本明細書で再び説明されない。
【0155】
本発明の実施形態における車両内通信ネットワークは、より多いゲートウェイをさらに含んでよいことにさらに留意されるべきである。本明細書の簡潔性のために、詳細についてこの明細書で説明されない。
【0156】
本発明は、アーキテクチャおよびシステム設計の観点から冗長性が提供されることが可能であり、ゲートウェイの量を削減することによってコストがさらに削減されることが可能であるように、3つのゲートウェイを含む車両内通信ネットワークアーキテクチャを提供することを知ることができる。ゲートウェイと、コントローラのいくつかの機能モジュールとは、互いに結合される、または同じ物理ロケーションに配置される。これは、ゲートウェイ間での違いを削減し、コントローラの再使用度合いを増加させ、車両通信のセキュリティ、堅牢性、安定性、および信頼性を向上させることに役立つ。
【0157】
上記の説明に基づいて、以下で、本発明の実施形態による車両内通信方法についてさらに説明する。
図18は、本発明の実施形態による車両内通信方法の概略流れ図である。方法は、第1のデバイスによって実施され、第1のデバイスは、車両内通信ネットワークにおける1つまたは複数のゲートウェイであり得る、またはコントローラであり得る。車両内通信ネットワークは、上記の実施形態のいずれか1つにおいて説明された車両内通信ネットワークであってよく、方法は、限定はされないが、以下のステップを含む。
【0158】
ステップS101:第1のデバイスが、エンドツーエンド通信の第1の通信データを受信する。
【0159】
いくつかの実施形態において、車両内通信ネットワークが、
図3から
図13の上記の実施形態のいずれか1つにおいて説明された車両内通信ネットワークである(言い換えれば、コントローラの機能が互いに統合される)とき、第1のデバイスは、複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイス、または少なくとも1つの制御デバイスにおける任意の制御デバイスである。エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと制御デバイスとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと制御デバイスとの間の通信。
【0160】
いくつかの他の実施形態において、車両内通信ネットワークが、
図14から
図17の上記の実施形態のいずれか1つにおいて説明された車両内通信ネットワークである(言い換えれば、コントローラの機能が、異なるゲートウェイに分散される)とき、エンドツーエンド通信は、以下のうちの少なくとも1つを含む。複数の通信エンドポイントにおける少なくとも2つの通信エンドポイントの間の通信、複数のゲートウェイデバイスにおける少なくとも2つのゲートウェイデバイスの間の通信、複数の通信エンドポイントにおける任意の通信エンドポイントと少なくとも3つのゲートウェイデバイスにおける任意の機能エンティティとの間の通信、および複数のゲートウェイデバイスにおける任意のゲートウェイデバイスと少なくとも3つのゲートウェイデバイスにおける任意の機能エンティティとの間の通信。
【0161】
ステップS102:第1のデバイスが、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクが異常であるかどうかを検出する。
【0162】
ローカルルーティングポリシーは、本発明の実施形態において提供される車両内通信ネットワークのネットワークトポロジによって判定される。ローカルルーティングポリシーは、複数の通信リンクの送信ポリシーを含んでよく、たとえば、ルーティング転送テーブル(またはルーティングテーブルと呼ばれる)であってよい。異なるいくつかの通信データについて、各タイプの通信データに対応する複数の通信リンクが判定され、優先度、たとえば、第1の通信リンク、第2の通信リンク、および第3の通信リンクに基づいてソートされる。各通信リンクは、通信データを首尾よくルーティングすることができる。
【0163】
ネットワークトポロジは、ルーティングテーブルを判定する主要因である。
図3に示されている車両内通信システムにおけるゲートウェイ1が例として使用される。データがゲートウェイ4に送信される必要がある場合、少なくとも以下の3つの通信リンクがあり得る。(1)ゲートウェイ1-ゲートウェイ4、言い換えれば、通信データが、ゲートウェイ1とゲートウェイ4との間の直接接続されたリンクを使用することによって送信される、(2)ゲートウェイ1-コントローラ-ゲートウェイ4、言い換えれば、通信データが、コントローラを使用することによって転送される、ならびに(3)ゲートウェイ1-ゲートウェイ2-ゲートウェイ3-ゲートウェイ4、言い換えれば、通信データが、ゲートウェイ2およびゲートウェイ3を使用することによって中継される。
【0164】
リンクのいくつかのホップおよびレイテンシが考慮されるとき、「ゲートウェイ1-ゲートウェイ4」が、最適な通信リンクとして設定され得る。したがって、ゲートウェイ4へのルートをもつルーティングテーブルが、ゲートウェイ1において形成されてよく、ここで、通信リンク(1)が第1の選定であり、通信リンク(2)が第2の選定であり、通信リンク(3)が第3の選定である。もちろん、各リンクの負荷および残りの帯域幅などの他の要因も、ルーティングテーブルにおけるリンクの優先度を判定するために考慮されてよい。ネットワークトポロジに加えて、サービス優先度およびターゲットゲートウェイも、ルーティングテーブルにおけるリンクの選択に影響を及ぼす。たとえば、コントローラによって処理される必要がないいくつかの非緊急サービスでは、通信リンク(1)が不良であるとき、通信リンク(3)が、送信のためのより良い選定であり得る。通信リンク(2)はより短いレイテンシを有するが、通信リンク(2)は、コントローラに送信される緊急サービスの帯域幅を占有し、コントローラの負荷を増加させる。結果的に、オーバーロードが引き起こされることがあり、自己運転など、いくつかの高度な機能が影響を受け得る。
【0165】
特定の実装において、ローカルルーティングポリシーは、履歴ルーティングエクスペリエンスに基づいて蓄積記憶を実施することによって第1のデバイスによって取得され得る、または第1のデバイスにおいて事前構成され得る。言い換えれば、ゲートウェイとコントローラとの間の通信データのルーティングテーブル、通信リンク優先度などは、標準プロトコルに従ってデバイスによって自動的に生成され得る、または事前構成を通して取得され得る。
【0166】
同じルーティングリンクについて、サービス送信は、ローカルルーティングポリシーに従って調整されてもよい。たとえば、ゲートウェイ1によってコントローラに送信される通信データは、カメラからの生画像データ生データおよびオブジェクトデータオブジェクトを含む。ゲートウェイ1が、ゲートウェイ1とコントローラとの間のリンクが輻輳しているまたは部分的に不良であることを検出するとき、ゲートウェイ1は、ローカルルーティングポリシーに従ってオブジェクトをコントローラに直接送信し、ゲートウェイ2もしくはゲートウェイ4を使用することによって生データをコントローラに転送する、または生データを直接廃棄することができる。
【0167】
データ送信の冗長性を増加させるために、ローカルルーティングポリシーは、マルチリンクコンカレンシーとして構成されることが可能である。たとえば、ゲートウェイ1は、同じオブジェクトの2つのコピーをコントローラに送り、1つのコピーは、直接接続されたリンクを使用することによって送信され、他方のコピーは、ゲートウェイ2を使用することによって転送される。このようにして、コントローラは、オブジェクトの2つのコピーの受信が失敗しない限り、オブジェクトを受信することができる。生データについては、ただ1つのコピーは構成され、たとえば、生データは、コントローラに直接接続されたリンクを使用することによって送られる。もちろん、1つのコピーが送られるとき、マルチホップ経路を使用することによってデータ分割が実施されてもよい。たとえば、生データは、2つの部分に分割され、1つの部分は、コントローラに直接接続されたリンクを使用することによって送られ、他方の部分は、ゲートウェイ4を使用することによって転送される。
【0168】
ローカルルーティングポリシーは、ゲートウェイおよびコントローラ上に事前構成されてよい。上記の静的構成に加えて、ローカルルーティングポリシーは、動的であるように構成されることも可能である。たとえば、特定の条件が満たされるとき、特定のローカルルーティングポリシーがトリガされることが可能である。たとえば、ゲートウェイ1において、生データに対してトラフィック分散送信を実施するための条件が、以下のように設定される。ゲートウェイ1とコントローラとの間の直接接続されたリンクが帯域幅の75%を占有するとき、生データの一部が、ゲートウェイ4を使用することによって転送される。
【0169】
さまざまな適用シナリオにおいて、コントローラのチップ、ケーブル、インターフェース、およびコネクタなどの電子コンポーネントが行き当たりばったり故障することがあり、またはさまざまな電子コンポーネントが衝撃中、緩み、切断され、もしくは損傷されることがあり、または一部の電子コンポーネントが車の衝突の後で、不良である、もしくは損傷されることがある。これらの可能性は、車両内通信ネットワークの中断、または一部の車両機能への損傷をもたらすことがある。例外が発生するとき、第1のデバイスは、たとえば、物理レイヤ、MACレイヤ、またはコンポーネント故障について、検出方法に従って第1の通信リンクの例外を検出し得る。
【0170】
第1の通信リンクは、車両内通信ネットワークのネットワークトポロジおよび通信データのルートターゲットに基づいて、第1のデバイスによって判定される。第1の通信リンクは、車両内通信ネットワークにおいて最短の/最適な距離または最短のレイテンシをもつ通信リンクであり得る。第1のデバイスは、通信データのアドレス情報をパースすることによってルートターゲットを判定し得る。ルートターゲットは、たとえば、コントローラ、1つもしくは複数の他のゲートウェイ、または1つもしくは複数の通信エンドポイントであり得る。
【0171】
ステップS103:第1の通信リンクが正常であることを検出するとき、第1のデバイスが、ローカルルーティングポリシーによって示された第1の通信リンクを使用することによって第1の通信データをルーティングする。
【0172】
ステップS104:第1の通信リンクが異常であることを検出するとき、第1のデバイスが、ローカルルーティングポリシーによって示された第2の通信リンクを使用することによって第1の通信データの一部またはすべてをルーティングする。
【0173】
第2の通信リンクは、車両内通信ネットワークのネットワークトポロジおよび通信データのルートターゲットに基づいて、第1のデバイスによって判定される。第2の通信リンクは、第1の通信リンクとは異なる。本発明のこの実施形態において、上記の車両内通信ネットワーク、通信エンドポイント冗長性、およびコントローラ冗長性において説明された通信ライン冗長性(リングネットワークとスターネットワークとを組み合わせることによって生成される冗長接続、およびメッシュネットワークとスターネットワークとを組み合わせることによって生成される冗長接続など)に基づいて、第1のデバイスは、第1の通信リンクに加えて、最短の/最適な距離または最短のレイテンシをもつ第2の通信リンクを判定し得る。さらに、第1の通信データの一部(たとえば、高重要度、および/または高優先度、および/または少ない量のデータをもつ情報)またはすべては、第2の通信リンクを使用することによってルーティングされる。具体的な実装処理については、上記の関係する実施形態における説明を参照されたい。本明細書の簡潔性のために、詳細について本明細書で再び説明されない。
【0174】
方法が実装されるとき、正常なケースにおいて、車両内通信ネットワークにおけるデバイス(たとえば、ゲートウェイまたはコントローラ)は、通信を実装するために、ネットワークトポロジに基づいて最適な/最短の通信リンクを選択してよく、その結果、ゲートウェイとコントローラとの間、およびゲートウェイ間で、低レイテンシ送信のための通信要件が保証されることが可能であることを知ることができる。コントローラ、ゲートウェイ、インターフェース、またはリンクが異常であるとき、通信対話は、異なる通信リンクを使用することによって依然として実装されることが可能である。これは、ネットワーク送信能力を維持し、通信機能セキュリティを保証し、車両内通信ネットワークの堅牢性、安定性、および信頼性を向上させ、車、特に自己運転車の安全性を向上させる。
【0175】
本発明の実施形態における方法については、上記で詳細に説明され、本発明の実施形態における装置について、以下に提供される。
【0176】
図19を参照すると、本発明の実施形態がデバイス1100を提供する。デバイスは、プロセッサ1101、メモリ1102、送信機1103、および受信機1104を含む。プロセッサ1101、メモリ1102、送信機1103、および受信機1104は、互いに接続される(たとえば、バスを使用することによって互いに接続され、またはプロセッサ1101、メモリ1102、送信機1103、および受信機1104の一部またはすべてが、互いに結合され得る)。
【0177】
メモリ1102は、限定はされないが、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、読取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROM)、またはコンパクトディスク読取り専用メモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)を含む。メモリ1102は、関係する命令および関係するデータ(たとえば、通信データ)を記憶するように構成される。
【0178】
送信機1103は、データを送信するように構成され、受信機1104は、データを受信するように構成される。
【0179】
プロセッサ1101は、1つまたは複数の中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)であり得る。プロセッサ1101が1つのCPUであるとき、CPUは、シングルコアCPUまたはマルチコアCPUであり得る。
【0180】
プロセッサ1101は、メモリ1102に記憶されたプログラムコードを読み取って、
図17の実施形態における第1のデバイスの機能を実装するように構成される。第1のデバイスは、たとえば、ゲートウェイまたはコントローラであり得る。
【0181】
特に、デバイス1100がゲートウェイであるとき、メモリ1102に記憶されたプログラムコードは、
図3から
図17のいずれかの実施形態における車両内通信ネットワークにおける任意のゲートウェイの機能を実装するために特に使用され、この任意のゲートウェイは、独立したゲートウェイであり得るか、またはコントローラのいくつかの機能(たとえば、
図14から
図17の実施形態におけるコントローラの機能)を統合するゲートウェイ、またはコントローラのすべての機能(たとえば、
図12および
図13の実施形態におけるコントローラの機能)であり得る。
【0182】
特に、デバイス1100がコントローラであるとき、メモリ1102に記憶されたプログラムコードは、
図3から
図11の実施形態のいずれか1つにおける車両内通信ネットワークにおけるコントローラの機能を実装するために特に使用される。
【0183】
図19は、本発明のこの実施形態の実装にすぎないことに留意されるべきである。実際の適用例では、端末1100は、より多いまたはより少ないコンポーネントをさらに含み得る。これは本明細書では限定されない。
【0184】
上記の実施形態のすべてまたは一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せによって実装され得る。実施形態を実装するためにソフトウェアが使用されるとき、実施形態は、完全にまたは部分的にコンピュータプログラム製品の形式で実装され得る。コンピュータプログラム製品は1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータ上にロードされ、実行されるとき、手順または機能のすべてまたは一部が、本発明の実施形態に従って生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、コンピュータ、コンピュータネットワーク、または別のプログラマブル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得るか、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信され得る。たとえば、コンピュータ命令は、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバー、もしくはデジタル加入者回線)または無線(たとえば、赤外線、マイクロ波などの)の方式でウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つもしくは複数の使用可能な媒体を統合しているデータ記憶デバイス、サーバもしくはデータセンターであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光媒体(たとえば、DVD)、半導体媒体(たとえば、ソリッドステートドライブ)などであり得る。
【0185】
上記の実施形態において、各実施形態の説明は、それぞれの焦点を有する。実施形態において詳細に説明されない部分については、他の実施形態における関係する説明を参照されたい。