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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20240205BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20240205BHJP
   F16B 21/07 20060101ALI20240205BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H01R9/00 B
H01R9/22
F16B21/07 Z
F16B21/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022026419
(22)【出願日】2022-02-24
(65)【公開番号】P2023122740
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩部 真明
(72)【発明者】
【氏名】増田 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】新味 義史
(72)【発明者】
【氏名】横山 弘行
(72)【発明者】
【氏名】石神 将之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓人
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0028098(KR,A)
【文献】登録実用新案第3216263(JP,U)
【文献】特開平8-31497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/22-9/26
F16B 21/07
F16B 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容される第1端子金具と、
前記ハウジングに収容される第2端子金具と、
前記ハウジングの第1螺子収容室の中で、前記第1螺子収容室の第1作業用開口から螺子軸方向に沿って挿入された工具によって螺子軸周りに回転可能で、かつ、前記第1端子金具の螺子部に螺合して、前記第1端子金具に第1導電部材の電気接続部を螺子止め固定する第1螺子部材と、
前記ハウジングの第2螺子収容室の中で、前記第2螺子収容室の第2作業用開口から螺子軸方向に沿って挿入された前記工具によって螺子軸周りに回転可能で、かつ、前記第2端子金具の螺子部に螺合して、前記第2端子金具に第2導電部材の電気接続部を螺子止め固定する第2螺子部材と、
前記第1作業用開口を開閉させる第1カバー部材と、
前記第2作業用開口を開閉させる第2カバー部材と、
を備え、
前記第1端子金具と前記第2端子金具は、それぞれの前記螺子部の螺子軸を平行にして前記ハウジングに収容され、
前記第1螺子収容室と前記第2螺子収容室は、前記第1螺子部材と前記第2螺子部材のそれぞれの螺子軸に直交する方向に並べて配置され、
前記ハウジングは、前記第1螺子収容室と前記第2螺子収容室の配列方向を軸方向とし、前記第1カバー部材を前記第1作業用開口に対する開位置と閉位置との間で回動させる第1回転軸と、前記配列方向を軸方向とし、前記第2カバー部材を前記第2作業用開口に対する開位置と閉位置との間で回動させる第2回転軸と、閉位置の前記第1カバー部材を開位置へと回動させながら前記第1回転軸に沿って前記第2カバー部材側に滑動させ、開位置の前記第1カバー部材で閉位置の前記第2カバー部材の開位置への回動を抑止させる第1開方向変換部と、閉位置の前記第2カバー部材を開位置へと回動させながら前記第2回転軸に沿って前記第1カバー部材側に滑動させ、開位置の前記第2カバー部材で閉位置の前記第1カバー部材の開位置への回動を抑止させる第2開方向変換部と、を有することを特徴とした端子台。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記第1カバー部材を開位置で係止する第1カバー係止部と、前記第2カバー部材を開位置で係止する第2カバー係止部と、を有することを特徴とした請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記第1カバー部材には、前記開位置と前記閉位置との間に、前記工具による前記第1螺子部材の軸周りの回転が可能な作業可能位置と前記工具による前記第1螺子部材の軸周りの回転が不能な作業不能位置とが設定されており、
前記第2カバー部材には、前記開位置と前記閉位置との間に、前記工具による前記第2螺子部材の軸周りの回転が可能な作業可能位置と前記工具による前記第2螺子部材の軸周りの回転が不能な作業不能位置とが設定されており、
前記第1カバー部材は、開位置のときに閉位置の前記第2カバー部材を作業不能位置に止め、
前記第2カバー部材は、開位置のときに閉位置の前記第1カバー部材を作業不能位置に止めることを特徴とした請求項1又は2に記載の端子台。
【請求項4】
前記ハウジングは、開位置の前記第1カバー部材を閉位置へと回動させながら前記第1回転軸に沿って前記第2カバー部材から離れる方向に滑動させる第1閉方向変換部と、開位置の前記第2カバー部材を閉位置へと回動させながら前記第2回転軸に沿って前記第1カバー部材から離れる方向に滑動させる第2閉方向変換部と、を有することを特徴とした請求項1,2又は3に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子台としては、極数毎の端子金具と、極数毎に対になった端子金具及び導電部材の組み合わせを螺子止め固定させる極数毎の螺子部材と、螺子部材への外部からの接触を抑制することが可能なカバー部材と、を備えるものが知られている。この種の端子台については、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来の端子台は、複数の螺子部材を1つのカバー部材で覆っており、このカバー部材を外すことでそれぞれの螺子部材に対してソケット等の工具を同時に差し込むことができてしまう。このため、従来の端子台は、カバー部材を外すことで複数の螺子部材に対する同時接触が可能になってしまうので、例えば、作業者が螺子部材間の短絡に注意しながら螺子部材の着脱作業を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数の螺子部材に対する同時着脱作業を不能にする端子台を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに収容される第1端子金具と、前記ハウジングに収容される第2端子金具と、前記ハウジングの第1螺子収容室の中で、前記第1螺子収容室の第1作業用開口から螺子軸方向に沿って挿入された工具によって螺子軸周りに回転可能で、かつ、前記第1端子金具の螺子部に螺合して、前記第1端子金具に第1導電部材の電気接続部を螺子止め固定する第1螺子部材と、前記ハウジングの第2螺子収容室の中で、前記第2螺子収容室の第2作業用開口から螺子軸方向に沿って挿入された前記工具によって螺子軸周りに回転可能で、かつ、前記第2端子金具の螺子部に螺合して、前記第2端子金具に第2導電部材の電気接続部を螺子止め固定する第2螺子部材と、前記第1作業用開口を開閉させる第1カバー部材と、前記第2作業用開口を開閉させる第2カバー部材と、を備え、前記第1端子金具と前記第2端子金具は、それぞれの前記螺子部の螺子軸を平行にして前記ハウジングに収容され、前記第1螺子収容室と前記第2螺子収容室は、前記第1螺子部材と前記第2螺子部材のそれぞれの螺子軸に直交する方向に並べて配置され、前記ハウジングは、前記第1螺子収容室と前記第2螺子収容室の配列方向を軸方向とし、前記第1カバー部材を前記第1作業用開口に対する開位置と閉位置との間で回動させる第1回転軸と、前記配列方向を軸方向とし、前記第2カバー部材を前記第2作業用開口に対する開位置と閉位置との間で回動させる第2回転軸と、閉位置の前記第1カバー部材を開位置へと回動させながら前記第1回転軸に沿って前記第2カバー部材側に滑動させ、開位置の前記第1カバー部材で閉位置の前記第2カバー部材の開位置への回動を抑止させる第1開方向変換部と、閉位置の前記第2カバー部材を開位置へと回動させながら前記第2回転軸に沿って前記第1カバー部材側に滑動させ、開位置の前記第2カバー部材で閉位置の前記第1カバー部材の開位置への回動を抑止させる第2開方向変換部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る端子台は、第1螺子部材と第2螺子部材を一方ずつしか工具で着脱できない第1カバー部材と第2カバー部材のカバー構造を採っているので、その着脱作業時の第1螺子部材と第2螺子部材の短絡を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た斜視図であり、第2カバー部材の開方向への回動が開位置の第1カバー部材で止められている状態を示している。
図2図2は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第2カバー部材の開方向への回動が開位置の第1カバー部材で止められている状態を示している。
図3図3は、図2のX1-X1線断面図である。
図4図4は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た斜視図であり、第1カバー部材と第2カバー部材が各々閉位置の状態を示している。
図5図5は、実施形態の端子台をコネクタ嵌合部側から見た斜視図であり、第1カバー部材と第2カバー部材が各々閉位置の状態を示している。
図6図6は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1カバー部材と第2カバー部材が各々閉位置の状態を示している。
図7図7は、端子台の分解斜視図である。
図8図8は、図6のY-Y線断面の部分拡大図である。
図9図9は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1開方向変換部による第1カバー部材の案内開始時の状態を示している。
図10図10は、図9の端子台を矢視A方向に見た平面図である。
図11図11は、図10のZ1-Z1線断面の部分拡大図である。
図12図12は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1開方向変換部による第1カバー部材の案内終了時の状態を示している。
図13図13は、図12の端子台を矢視A方向に見た平面図である。
図14図14は、図13のZ2-Z2線断面の部分拡大図である。
図15図15は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た斜視図であり、第1カバー部材が開位置で第2カバー部材が閉位置の状態を示している。
図16図16は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1カバー部材が開位置で第2カバー部材が閉位置の状態を示している。
図17図17は、図16のX2-X2線断面図である。
図18図18は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1閉方向変換部による第1カバー部材の案内開始時の状態を示している。
図19図19は、図18の端子台を矢視A方向に見た平面図である。
図20図20は、図19のZ3-Z3線断面図である。
図21図21は、実施形態の端子台をカバー部材側から見た平面図であり、第1閉方向変換部による第1カバー部材の案内終了時の状態を示している。
図22図22は、図21の端子台を矢視A方向に見た平面図である。
図23図23は、図22のZ4-Z4線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る端子台の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係る端子台の実施形態の1つを図1から図23に基づいて説明する。
【0011】
図1から図23の符号1は、本実施形態の端子台を示す。この端子台1は、例えば、一方の電気機器(図示略)に設置され、この電気機器における第1導電部材510と第2導電部材520を他方の電気機器(図示略)に電気接続させるために設けられる。
【0012】
端子台1は、第1端子金具10と第2端子金具20を備える(図5及び図7)。そして、この端子台1は、その第1端子金具10と第2端子金具20が収容されるハウジング30を備える(図1から図23)。第1端子金具10と第2端子金具20は、金属等の導電性材料で成形される。また、ハウジング30は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0013】
この端子台1は、第1端子金具10に第1導電部材510を螺子止め固定してその相互間を物理的且つ電気的に接続させると共に、第2端子金具20に第2導電部材520を螺子止め固定してその相互間を物理的且つ電気的に接続させる。よって、この端子台1は、第1端子金具10に第1導電部材510を螺子止め固定する第1螺子部材41と、第2端子金具20に第2導電部材520を螺子止め固定する第2螺子部材42と、を備える(図2図7図8図11図14図20及び図23)。第1螺子部材41と第2螺子部材42は、金属等の導電性材料で成形される。但し、第1螺子部材41と第2螺子部材42は、必ずしも導電性材料で成形されていなくてもよい。
【0014】
この端子台1は、第1カバー部材50と第2カバー部材60を備えており(図1から図23)、その第1螺子部材41を工具(図示略)で螺子軸周りに回転させる際に第1カバー部材50を開位置まで移動させ、その工具(図示略)で第2螺子部材42を螺子軸周りに回転させる際に第2カバー部材60を開位置まで移動させる。第1カバー部材50と第2カバー部材60は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0015】
また、この端子台1は、第1端子金具10に電線の端末の第1相手方端子(図示略)を嵌合接続してその相互間を物理的且つ電気的に接続させると共に、第2端子金具20に電線の端末の第2相手方端子(図示略)を嵌合接続してその相互間を物理的且つ電気的に接続させることによって、第1端子金具10と第2端子金具20にそのそれぞれの電線の先の他方の電気機器を電気接続させる。
【0016】
第1端子金具10は、第1螺子部材41を螺合させ、かつ、この第1螺子部材41との間で第1導電部材510の電気接続部511を挟持する螺子部11を有する(図7図8及び図17)。この螺子部11は、雌螺子部として形成されたものであってもよく、雄螺子部として形成されたものであってもよい。第1螺子部材41については、この螺子部11の形態に応じて、雄螺子部材又は雌螺子部材が用いられる。ここで示す螺子部11は、雌螺子部として形成されている。よって、ここでは、雄螺子部材として成形された第1螺子部材41が用いられる。
【0017】
また、この第1端子金具10は、第1相手方端子の相手方端子部を嵌合接続させる端子部12を有する(図5図7及び図17)。この端子部12は、雌端子形状に形成されたものであってもよく、雄端子形状に形成されたものであってもよい。ここで示す端子部12は、雄端子形状に形成され、雌端子形状に形成された第1相手方端子の相手方端子部に挿入嵌合させる。
【0018】
第2端子金具20は、第2螺子部材42を螺合させ、かつ、この第2螺子部材42との間で第2導電部材520の電気接続部521を挟持する螺子部21を有する(図3図7及び図8)。この螺子部21は、雌螺子部として形成されたものであってもよく、雄螺子部として形成されたものであってもよい。第2螺子部材42については、この螺子部21の形態に応じて、雄螺子部材又は雌螺子部材が用いられる。ここで示す螺子部21は、雌螺子部として形成されている。よって、ここでは、雄螺子部材として成形された第2螺子部材42が用いられる。
【0019】
更に、この第2端子金具20は、第2相手方端子の相手方端子部を嵌合接続させる端子部22を有する(図5及び図7)。この端子部22は、雌端子形状に形成されたものであってもよく、雄端子形状に形成されたものであってもよい。ここで示す端子部22は、雄端子形状に形成され、雌端子形状に形成された第2相手方端子の相手方端子部に挿入嵌合させる。
【0020】
この第1端子金具10と第2端子金具20は、それぞれが異なる形状に成形されたものであってもよく、それぞれが同一の部品として成形されたものであってもよい。ここでは、第1端子金具10と第2端子金具20が同一の部品として成形されている。ここで示す第1端子金具10は、円柱状の主体の一端に同心の螺子部11が形成され、かつ、この主体の他端側を端子部12として利用する。この端子部12の先端には、合成樹脂等の絶縁性材料で成形された触指防止部材15が設けられている(図5及び図17)。また、ここで示す第2端子金具20は、円柱状の主体の一端に同心の螺子部21が形成され、かつ、この主体の他端側を端子部22として利用する。この端子部22の先端には、合成樹脂等の絶縁性材料で成形された触指防止部材25が設けられている(図5)。
【0021】
この第1端子金具10と第2端子金具20は、それぞれが同一の部品であるのか否かに拘わらず、それぞれの螺子部11,21の螺子軸を平行にしてハウジング30に収容される。よって、この第1端子金具10と第2端子金具20においては、ハウジング30の中で、第1螺子部材41が差し込まれる螺子部11の開口と第2螺子部材42が差し込まれる螺子部21の開口とが同じ向きに口を開けている。
【0022】
そのハウジング30は、第1端子金具10の螺子部11と第1螺子部材41と第1導電部材510の電気接続部511とが収容される第1螺子収容室31を有する(図1図2図8図9図11図12図14から図18図20図21及び図23)。第1螺子部材41は、第1作業用開口31a(図1図2図8図9図12図15から図18及び図21)から螺子軸方向に沿って第1螺子収容室31に挿入される。そして、この第1螺子部材41は、その第1螺子収容室31の中で、第1端子金具10の螺子部11に螺合して、この第1端子金具10に第1導電部材510の電気接続部511を螺子止め固定する。
【0023】
第1螺子収容室31では、第1作業用開口31aを螺子軸方向で第1螺子部材41に対向配置させている。よって、第1螺子部材41は、その第1螺子収容室31の中で、この第1螺子収容室31の第1作業用開口31aから螺子軸方向に沿って挿入されたソケット等の工具によって螺子軸周りに回転させることができる。ここでは、螺子軸方向で第1螺子部材41の頭部41aと第1作業用開口31aが対向配置されており(図1図2図8図9図12及び図15から図18)、その工具に第1螺子部材41の頭部41aが差し込まれる。
【0024】
また、この第1螺子収容室31は、第1作業用開口31aに対して直交させた開口であり、室内に対して第1導電部材510の電気接続部511を抜き差しさせる第1挿抜口31bを有する(図1図2図6図9図11図12図14から図18図20図21及び図23)。
【0025】
更に、このハウジング30は、第2端子金具20の螺子部21と第2螺子部材42と第2導電部材520の電気接続部521とが収容される第2螺子収容室32を有する(図1から図3図8図11図14図20及び図23)。第2螺子部材42は、第2作業用開口32a(図1から図3及び図8)から螺子軸方向に沿って第2螺子収容室32に挿入される。そして、この第2螺子部材42は、その第2螺子収容室32の中で、第2端子金具20の螺子部21に螺合して、この第2端子金具20に第2導電部材520の電気接続部521を螺子止め固定する。
【0026】
第2螺子収容室32では、第2作業用開口32aを螺子軸方向で第2螺子部材42に対向配置させている。よって、第2螺子部材42は、その第2螺子収容室32の中で、この第2螺子収容室32の第2作業用開口32aから螺子軸方向に沿って挿入されたソケット等の工具によって螺子軸周りに回転させることができる。ここでは、螺子軸方向で第2螺子部材42の頭部42aと第2作業用開口32aが対向配置されており(図2図3及び図8)、その工具に第2螺子部材42の頭部42aが差し込まれる。
【0027】
また、この第2螺子収容室32は、第2作業用開口32aに対して直交させた開口であり、室内に対して第2導電部材520の電気接続部521を抜き差しさせる第2挿抜口32bを有する(図1から図3図6図9図11図12図14図16図18図20図21及び図23)。
【0028】
ここで示す第1螺子収容室31と第2螺子収容室32は、第1螺子部材41(第1端子金具10の螺子部11)と第2螺子部材42(第2端子金具20の螺子部21)のそれぞれの螺子軸に直交する方向に並べて配置される。また、ここで示す第1螺子収容室31と第2螺子収容室32は、それぞれに略同形状の矩形の第1作業用開口31aと第2作業用開口32aを有している。
【0029】
ハウジング30には、その第1作業用開口31aを開閉させる第1カバー部材50が組み付けられる。更に、このハウジング30には、その第2作業用開口32aを開閉させる第2カバー部材60が組み付けられる。
【0030】
第1カバー部材50は、第1作業用開口31aに対して開位置(図1から図3及び図15から図17)と閉位置(図4から図6及び図8)との間で回動させる。この第1カバー部材50には、その開位置と閉位置との間で、工具による第1螺子部材41の軸周りの回転が可能な作業可能位置と工具による第1螺子部材41の軸周りの回転が不能な作業不能位置とが設定されている。この第1カバー部材50は、少なくとも第1作業用開口31aに対する開位置が作業可能位置になっている。例えば、第1カバー部材50は、開位置になって初めて第1作業用開口31aから螺子軸方向で第1螺子部材41(ここでは、頭部41a)の全体を露出させるものであり、この開位置でのみ工具で第1螺子部材41を軸周りに回転させる。
【0031】
また、第2カバー部材60は、第2作業用開口32aに対して開位置と閉位置との間で回動させる。この第2カバー部材60には、その開位置と閉位置との間で、工具による第2螺子部材42の軸周りの回転が可能な作業可能位置と工具による第2螺子部材42の軸周りの回転が不能な作業不能位置とが設定されている。この第2カバー部材60は、少なくとも第2作業用開口32aに対する開位置が作業可能位置になっている。例えば、第2カバー部材60は、開位置になって初めて第2作業用開口32aから螺子軸方向で第2螺子部材42(ここでは、頭部42a)の全体を露出させるものであり、この開位置でのみ工具で第2螺子部材42を軸周りに回転させる。
【0032】
第1カバー部材50は、第1作業用開口31aに対して開位置のときに、閉位置の第2カバー部材60を作業不能位置に止め、工具による第2螺子部材42の着脱作業が行えないようにする(図1から図3)。そして、第2カバー部材60は、第2作業用開口32aに対して開位置のときに、閉位置の第1カバー部材50を作業不能位置に止め、工具による第1螺子部材41の着脱作業が行えないようにする。
【0033】
ハウジング30は、第1螺子収容室31と第2螺子収容室32の配列方向(以下、「収容室配列方向」という。)を軸方向とし、第1カバー部材50を第1作業用開口31aに対する開位置と閉位置との間で回動させる第1回転軸33aと、その収容室配列方向を軸方向とし、第2カバー部材60を第2作業用開口32aに対する開位置と閉位置との間で回動させる第2回転軸33bと、を有する。ここでは、その第1回転軸33aと第2回転軸33bを同軸上で並べて配置している(図5から図7図10から図14図16図18から図20図22及び図23)。
【0034】
第1カバー部材50は、閉位置で第1作業用開口31aを塞ぐカバー主体51と、このカバー主体51の一端から第1螺子収容室31の室内側に突出させたJ字形状の突出体52と、を有する(図1図3図4図6図7図10図13図15図17図19及び図22)。この第1カバー部材50は、その突出体52の突出方向における円弧状の端部を第1回転軸33aの軸受部53として利用する(図1図4から図7図10図11図13から図15図17図19図20図22及び図23)。この軸受部53には、円柱状の第1回転軸33aが相対回転自在に嵌め込まれる。ハウジング30においては、その軸受部53が配置される場所に第1回転軸33aを設ける。
【0035】
この第1カバー部材50は、閉位置のままでハウジング30に保持させるべく、閉位置でハウジング30の第1被係止部34aに係止させる係止部54を有する(図1図2図6から図9図12図15図16図18及び図21)。この係止部54は、カバー主体51の他端から収容室配列方向における一方に突出させた突起部として形成される。ハウジング30は、閉位置の係止部54に対して収容室配列方向で対向配置させる第1片部35aを有する(図1図2図6から図9図12図15図16図18及び図21)。この第1片部35aは、その一部が平面に対する交差方向への可撓性を持たせた平板状の可撓片部35aとして形成され、この可撓片部35aにおける平面状の内壁面を収容室配列方向で閉位置の係止部54に対向配置させる。この可撓片部35aは、その内壁面から収容室配列方向における他方に向けて突起状の第1被係止部34aを突出させている。
【0036】
ハウジング30においては、第1カバー部材50を閉位置から開位置へと第1回転軸33aの軸周りに回動させる際に、係止部54から力を受けた第1被係止部34aが可撓片部35aを外方に撓ませて、この係止部54に第1被係止部34aを乗り越えさせる。これにより、このハウジング30においては、第1被係止部34aによる閉位置の係止部54の係止状態が解除され、第1カバー部材50を開位置に向けて回動させることができる。カバー主体51には、第1カバー部材50を閉位置から開位置へと回転させる際に作業者の手指等を引っ掛ける膨出部55が設けられている(図1から図4図6から図10図12図13図15から図19図21及び図22)。
【0037】
また、ハウジング30においては、第1カバー部材50を開位置から閉位置へと第1回転軸33aの軸周りに回動させる際に、係止部54から力を受けた第1被係止部34aが可撓片部35aを外方に撓ませて、この係止部54に第1被係止部34aを乗り越えさせる。これにより、このハウジング30においては、第1カバー部材50を閉位置に到達させることができ、かつ、第1被係止部34aで係止部54を閉位置に止めておくことができる(図4図6及び図8)。
【0038】
第2カバー部材60は、閉位置で第2作業用開口32aを塞ぐカバー主体61と、このカバー主体61の一端から第2螺子収容室32の室内側に突出させたJ字形状の突出体62と、を有する(図1図3図4図6図7図9図10図12図13図15図16図18図19図21及び図22)。この第2カバー部材60は、その突出体62の突出方向における円弧状の端部を第2回転軸33bの軸受部63として利用する(図1図3図4図6図7図9から図16及び図18から図23)。この軸受部63には、円柱状の第2回転軸33bが相対回転自在に嵌め込まれる。ハウジング30においては、その軸受部63が配置される場所に第2回転軸33bを設ける。
【0039】
この第2カバー部材60は、閉位置のままでハウジング30に保持させるべく、閉位置でハウジング30の第2被係止部34bに係止させる係止部64を有する(図2図3図6から図9図12図16図18及び図21)。この係止部64は、カバー主体61の他端から収容室配列方向における他方に突出させた突起部として形成される。ハウジング30は、閉位置の係止部64に対して収容室配列方向で対向配置させる第2片部35bを有する(図2から図4図6から図9図12図16図18及び図21)。この第2片部35bは、その一部が平面に対する交差方向への可撓性を持たせた平板状の可撓片部35bとして形成され、この可撓片部35bにおける平面状の内壁面を収容室配列方向で閉位置の係止部64に対向配置させる。この可撓片部35bは、その内壁面から収容室配列方向における一方に向けて突起状の第2被係止部34bを突出させている。
【0040】
ハウジング30においては、第2カバー部材60を閉位置から開位置へと第2回転軸33bの軸周りに回動させる際に、係止部64から力を受けた第2被係止部34bが可撓片部35bを外方に撓ませて、この係止部64に第2被係止部34bを乗り越えさせる。これにより、このハウジング30においては、第2被係止部34bによる閉位置の係止部64の係止状態が解除され、第2カバー部材60を開位置に向けて回動させることができる。カバー主体61には、第2カバー部材60を閉位置から開位置へと回転させる際に作業者の手指等を引っ掛ける膨出部65が設けられている(図1から図4図6から図10図12図13図15から図19図21及び図22)。
【0041】
また、ハウジング30においては、第2カバー部材60を開位置から閉位置へと第2回転軸33bの軸周りに回動させる際に、係止部64から力を受けた第2被係止部34bが可撓片部35bを外方に撓ませて、この係止部64に第2被係止部34bを乗り越えさせる。これにより、このハウジング30においては、第2カバー部材60を閉位置に到達させることができ、かつ、第2被係止部34bで係止部64を閉位置に止めておくことができる(図4図6及び図8)。
【0042】
第1カバー部材50と第2カバー部材60は、その内の少なくとも一方に、それぞれが閉位置のときに、その一方から他方に収容室配列方向で押圧力を作用させ、この一方から他方を収容室配列方向で引き離させる押圧部を設けている。この押圧部は、第1カバー部材50と第2カバー部材60のそれぞれが閉位置のときに、第1カバー部材50の係止部54を第1被係止部34aに係止させたままの状態で保たせ、かつ、第2カバー部材60の係止部64を第2被係止部34bに係止させたままの状態で保たせるために設ける。ここでは、第2カバー部材60に押圧部66を設けている(図6図8から図10図12図16から図18及び図21)。その押圧部66は、カバー主体61から収容室配列方向における一方に突出させた突起部であり、第1カバー部材50と第2カバー部材60のそれぞれが閉位置のときに、カバー主体51に対して収容室配列方向でカバー主体61から引き離す押圧力を作用させる。
【0043】
ハウジング30には、この第1カバー部材50と第2カバー部材60を開閉させるときに、この第1カバー部材50と第2カバー部材60に対して次のような動作を行わせるカバー構造を採っている。尚、図中では、第1カバー部材50を開位置へと開いた場合の動作のみを例に挙げて示している。
【0044】
ハウジング30は、閉位置の第1カバー部材50を開位置へと回動させながら第1回転軸33aに沿って第2カバー部材60側に滑動させ、開位置の第1カバー部材50で閉位置の第2カバー部材60の開位置への回動を抑止させる第1開方向変換部36aを有する(図1図2図4から図6図9から図16及び図18から図23)。この第1開方向変換部36aは、開位置の第1カバー部材50で閉位置の第2カバー部材60を作業不能位置に止めておくことができるように、第1カバー部材50を第1回転軸33aの軸周りに開位置に向けて回動させながら第1回転軸33aに沿って第2カバー部材60側に滑動させる。つまり、この第1開方向変換部36aは、第1カバー部材50を開けて工具で第1螺子部材41の着脱作業を行う際に、その工具による第2螺子部材42の着脱作業が行えないようにするために設けている。このため、この端子台1は、第1螺子部材41の着脱作業を行う際の第1螺子部材41と第2螺子部材42の短絡を抑止することができる。
【0045】
例えば、ここで示す第1開方向変換部36aは、閉位置の第1カバー部材50が開位置に向けて回動したときに当接し、この第1カバー部材50から受けた開方向の回転トルクを第1回転軸33aに沿った第2カバー部材60側への力へと変換して、その力を第1カバー部材50に反力として作用させる傾斜部として形成されている(図9から図14)。よって、この第1開方向変換部36aは、第1カバー部材50を開位置に向けて第1回転軸33aの軸周りに回動させ続けることで、この第1カバー部材50を第1回転軸33aに沿って第2カバー部材60側に滑動させることができる。
【0046】
ここで、ハウジング30においては、第1カバー部材50が開位置を越えて更に開いてしまうと、第2カバー部材60の作業可能位置までの回動が可能になってしまう虞がある。そこで、ハウジング30は、第1カバー部材50を開位置で係止する第1カバー係止部37aを有している(図1図4から図7図9から図11図13から図15図17及び図19から図23)。この第1カバー係止部37aは、開位置まで回動してきた第1カバー部材50の更なる回動を止めるストッパであり、開位置まで回動してきた第1カバー部材50がぶつかる場所に設ける。ここでは、開位置まで回動してきた第1カバー部材50の突出体52を第1カバー係止部37aに当接させている(図17)。これにより、この端子台1は、第1螺子部材41の着脱作業を行う際の第1螺子部材41と第2螺子部材42の短絡抑止効果を高めることができる。
【0047】
また、このハウジング30は、閉位置の第2カバー部材60を開位置へと回動させながら第2回転軸33bに沿って第1カバー部材50側に滑動させ、開位置の第2カバー部材60で閉位置の第1カバー部材50の開位置への回動を抑止させる第2開方向変換部36bを有する(図1から図6図9から図16及び図18から図23)。この第2開方向変換部36bは、開位置の第2カバー部材60で閉位置の第1カバー部材50を作業不能位置に止めておくことができるように、第2カバー部材60を第2回転軸33bの軸周りに開位置に向けて回動させながら第2回転軸33bに沿って第1カバー部材50側に滑動させる。つまり、この第2開方向変換部36bは、第2カバー部材60を開けて工具で第2螺子部材42の着脱作業を行う際に、その工具による第1螺子部材41の着脱作業が行えないようにするために設けている。このため、この端子台1は、第2螺子部材42の着脱作業を行う際の第1螺子部材41と第2螺子部材42の短絡を抑止することができる。
【0048】
例えば、ここで示す第2開方向変換部36bは、第1開方向変換部36aと同じように、閉位置の第2カバー部材60が開位置に向けて回動したときに当接し、この第2カバー部材60から受けた開方向の回転トルクを第2回転軸33bに沿った第1カバー部材50側への力へと変換して、その力を第2カバー部材60に反力として作用させる傾斜部として形成されている。よって、この第2開方向変換部36bは、第2カバー部材60を開位置に向けて第2回転軸33bの軸周りに回動させ続けることで、この第2カバー部材60を第2回転軸33bに沿って第1カバー部材50側に滑動させることができる。
【0049】
ここで、ハウジング30においては、第2カバー部材60が開位置を越えて更に開いてしまうと、第1カバー部材50の作業可能位置までの回動が可能になってしまう虞がある。そこで、ハウジング30は、第2カバー部材60を開位置で係止する第2カバー係止部37bを有している(図1から図7図9から図16図18及び図19から図23)。この第2カバー係止部37bは、開位置まで回動してきた第2カバー部材60の更なる回動を止めるストッパであり、開位置まで回動してきた第2カバー部材60がぶつかる場所に設ける。ここでは、開位置まで回動してきた第2カバー部材60の突出体62を第2カバー係止部37bに当接させている。これにより、この端子台1は、第2螺子部材42の着脱作業を行う際の第1螺子部材41と第2螺子部材42の短絡抑止効果を高めることができる。
【0050】
このように、この端子台1においては、第1カバー部材50を開いたときに、この第1カバー部材50が第1回転軸33aに沿って第2カバー部材60側に横滑りしているので、この第1カバー部材50を開位置から閉位置へと閉じるときに第1回転軸33aの軸上で元の位置に戻す必要がある。また、この端子台1においては、第2カバー部材60を開いたときに、この第2カバー部材60が第2回転軸33bに沿って第1カバー部材50側に横滑りしているので、この第2カバー部材60を開位置から閉位置へと閉じるときに第2回転軸33bの軸上で元の位置に戻す必要がある。
【0051】
そこで、ハウジング30は、開位置の第1カバー部材50を閉位置へと回動させながら第1回転軸33aに沿って第2カバー部材60から離れる方向に滑動させる第1閉方向変換部38aと、開位置の第2カバー部材60を閉位置へと回動させながら第2回転軸33bに沿って第1カバー部材50から離れる方向に滑動させる第2閉方向変換部38bと、を有している(図4から図6図9から図11図13図14図17及び図19から図23)。
【0052】
例えば、ここで示す第1閉方向変換部38aは、開位置の第1カバー部材50が閉位置に向けて回動したときに当接し、この第1カバー部材50から受けた閉方向の回転トルクを第1回転軸33aに沿った第2カバー部材60から離れる方向の力へと変換して、その力を第1カバー部材50に反力として作用させる傾斜部として形成されている(図18から図23)。よって、この第1閉方向変換部38aは、第1カバー部材50を閉位置に向けて第1回転軸33aの軸周りに回動させ続けることで、この第1カバー部材50を第1回転軸33aの軸上で第2カバー部材60から離れた元の位置に滑動させることができる。このため、第1カバー部材50は、その位置から閉位置に向けて回動させるだけで、閉位置まで到達させることができる。このように、この端子台1は、開位置の第1カバー部材50を閉位置に向けて第1回転軸33aの軸周りに回動させ続けるだけで、この第1カバー部材50を閉位置まで閉じていくことができるので、第1カバー部材50を閉じる際の作業性を向上させることができる。
【0053】
また、例えば、ここで示す第2閉方向変換部38bは、第1閉方向変換部38aと同じように、開位置の第2カバー部材60が閉位置に向けて回動したときに当接し、この第2カバー部材60から受けた閉方向の回転トルクを第2回転軸33bに沿った第1カバー部材50から離れる方向の力へと変換して、その力を第2カバー部材60に反力として作用させる傾斜部として形成されている。よって、この第2閉方向変換部38bは、第2カバー部材60を閉位置に向けて第2回転軸33bの軸周りに回動させ続けることで、この第2カバー部材60を第2回転軸33bの軸上で第1カバー部材50から離れた元の位置に滑動させることができる。このため、第2カバー部材60は、その位置から閉位置に向けて回動させるだけで、閉位置まで到達させることができる。このように、この端子台1は、開位置の第2カバー部材60を閉位置に向けて第2回転軸33bの軸周りに回動させ続けるだけで、この第2カバー部材60を閉位置まで閉じていくことができるので、第2カバー部材60を閉じる際の作業性を向上させることができる。
【0054】
この端子台1は、例えば、第1相手方端子と第2相手方端子とを備える相手方コネクタ(図示略)を嵌合接続させることによって、第1相手方端子の相手方端子部を第1端子金具10の端子部12に嵌合接続させ、かつ、第2相手方端子の相手方端子部を第2端子金具20の端子部22に嵌合接続させる。そこで、ハウジング30には、第1端子金具10の端子部12が内方に収容され、かつ、その内方に第1相手方端子の相手方端子部が挿入される円筒状の第1コネクタ嵌合部39aと、第2端子金具20の端子部22が内方に収容され、かつ、その内方に第2相手方端子の相手方端子部が挿入される円筒状の第2コネクタ嵌合部39bと、を設けている(図1図4図5図7図10図13図15図19及び図22)。その第1コネクタ嵌合部39aと第2コネクタ嵌合部39bには、第1相手方端子と第2相手方端子のそれぞれの相手方端子部を収容した相手方ハウジングの相手方コネクタ嵌合部(図示略)が嵌合接続される。
【0055】
ところで、ここで示すハウジング30は、ハウジング本体30Aと、このハウジング本体30Aに組み付けられ、かつ、第1カバー部材50及び第2カバー部材60を回動自在に保持するカバー保持部材30Bと、を備えている(図1から図23)。
【0056】
ここでは、ハウジング本体30Aとカバー保持部材30Bとが組み付けられた際にできる2つの空間が各々第1螺子収容室31及び第2螺子収容室32として利用される。また、ハウジング本体30Aには、第1カバー係止部37a、第2カバー係止部37b、第1コネクタ嵌合部39a及び第2コネクタ嵌合部39bが設けられている。また、カバー保持部材30Bには、第1回転軸33a、第2回転軸33b、第1被係止部34a、第2被係止部34b、第1片部35a、第2片部35b、第1開方向変換部36a、第2開方向変換部36b、第1閉方向変換部38a及び第2閉方向変換部38bが設けられている。
【0057】
ここで、ハウジング本体30Aには、組み付けられたカバー保持部材30Bの第1片部35aと第2片部35bにおける可撓片部35a,35bの中間に、平板状の第3片部35cが設けられている(図1図2図6から図9図11図12図14から図18図20図21及び図23)。このハウジング30においては、その第1片部35aの可撓片部35aと第3片部35cの間の空間を第1螺子収容室31として利用し、第2片部35bの可撓片部35bと第3片部35cの間の空間を第2螺子収容室32として利用する。
【0058】
また、このハウジング30においては、第1片部35aの内壁面から突出させた突起部に第1開方向変換部36aを設け、第2片部35bの内壁面から突出させた突起部に第2開方向変換部36bを設けている。
【0059】
また、カバー保持部材30Bには、収容室配列方向で第1片部35aと第2片部35bの中間に平板状の第4片部35dが設けられている(図3から図7図9から図11図13図14図17及び図19から図23)。このハウジング30においては、その第1片部35aと第4片部35dの間に亘って第1回転軸33aが設けられ、その第2片部35bと第4片部35dの間に亘って第2回転軸33bが設けられている。そして、第1閉方向変換部38aと第2閉方向変換部38bは、その第4片部35dの端部に設けられている。
【0060】
また、第1カバー係止部37aは、L字の突起部としてハウジング本体30Aに設けられ、そのL字の内方にカバー保持部材30Bの第1回転軸33aを配置させる。そして、第2カバー係止部37bは、L字の突起部としてハウジング本体30Aに設けられ、そのL字の内方にカバー保持部材30Bの第2回転軸33bを配置させる。
【0061】
ハウジング本体30Aとカバー保持部材30Bの間には、これらを組付け状態のまま保持させるロック機構30Cが複数箇所に設けられている(図1図2図4図6図9から図16及び図19から図23)。このロック機構30Cは、ハウジング本体30Aに設けた第1係止部30Cとカバー保持部材30Bに設けた第2係止部30Cとを備える(図1図4及び図15)。例えば、第1係止部30Cと第2係止部30Cは、その内の少なくとも一方が爪状の突起として設けられており、その相互間をハウジング本体30Aとカバー保持部材30Bが組み付けられているときに係止させる。ここでは、例えば、カバー保持部材30Bの第1片部35aと第2片部35bに第2係止部30Cを1つずつ設け、それぞれの第2係止部30Cの位置に合わせて第1係止部30Cがハウジング本体30Aに1つずつ設けられている。
【0062】
以上示したように、本実施形態の端子台1は、第1螺子部材41と第2螺子部材42を一方ずつしか工具で着脱できない第1カバー部材50と第2カバー部材60のカバー構造を採っているので、その着脱作業時の第1螺子部材41と第2螺子部材42の短絡を抑止することができる。そして、この端子台は、第1螺子部材41と第2螺子部材42を取り外した後で、第1カバー部材50と第2カバー部材60を閉位置で閉じたまま、第1挿抜口31bと第2挿抜口32bから一方の電気機器における第1導電部材510の電気接続部511と第2導電部材520の電気接続部521を抜き取ることができる。このため、本実施形態の端子台1は、一方の電気機器から取り外すまでの間その2極(第1端子金具10、第2端子金具20)の短絡を抑止することができる。
【0063】
更に、本実施形態の端子台1は、閉位置の第1カバー部材50を開方向に回動させるだけで、この第1カバー部材50を第2カバー部材60の作業可能位置への移動を抑止し得る位置まで横滑りさせることができ、かつ、閉位置の第2カバー部材60を開方向に回動させるだけで、この第2カバー部材60を第1カバー部材50の作業可能位置への移動を抑止し得る位置まで横滑りさせることができる。このため、この端子台1は、第1螺子部材41と第2螺子部材42を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0064】
また更に、本実施形態の端子台1は、開位置の第1カバー部材50を閉方向に回動させるだけで、この第1カバー部材50を横滑りさせながら閉位置まで移動させることができ、かつ、開位置の第2カバー部材60を閉方向に回動させるだけで、この第2カバー部材60を横滑りさせながら閉位置まで移動させることができる。このため、この端子台1は、この点からも第1螺子部材41と第2螺子部材42を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0065】
また更に、本実施形態の端子台1は、第1カバー部材50を第2カバー部材60にぶつけることなく開閉させることができ、かつ、第2カバー部材60を第1カバー部材50にぶつけることなく開閉させることができる。このため、この端子台1は、この点からも第1螺子部材41と第2螺子部材42を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0066】
また更に、本実施形態の端子台1は、ハウジングからのカバー部材の着脱を要する従来の端子台と比較して、第1カバー部材50と第2カバー部材60をハウジング30から取り外すことなく開閉させることができる。このため、本実施形態の端子台1は、この点からも第1螺子部材41と第2螺子部材42を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0067】
また更に、本実施形態の端子台1は、第1被係止部34aと係止部54を用いた1箇所のロック機構で第1カバー部材50をハウジング30に閉位置で保持させ、かつ、第2被係止部34bと係止部64を用いた1箇所のロック機構で第2カバー部材60をハウジング30に閉位置で保持させる。このため、本実施形態の端子台1は、ハウジングからの着脱を要するがため複数箇所のロック機構でカバー部材をハウジングに保持させる従来の端子台と比較して、軽い力での第1カバー部材50や第2カバー部材60の開閉作業が可能になるので、この点からも第1螺子部材41と第2螺子部材42を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 端子台
10 第1端子金具
11 螺子部
20 第2端子金具
21 螺子部
30 ハウジング
31 第1螺子収容室
31a 第1作業用開口
32 第2螺子収容室
32a 第2作業用開口
33a 第1回転軸
33b 第2回転軸
36a 第1開方向変換部
36b 第2開方向変換部
37a 第1カバー係止部
37b 第2カバー係止部
38a 第1閉方向変換部
38b 第2閉方向変換部
41 第1螺子部材
42 第2螺子部材
50 第1カバー部材
60 第2カバー部材
510 第1導電部材
511 電気接続部
520 第2導電部材
521 電気接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23