(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240205BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240205BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B60R16/02 620C
H02G11/00
H02G3/04 037
(21)【出願番号】P 2022028836
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-088896(JP,A)
【文献】特開2007-196987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 11/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が車体に回動可能に連結され且つ他端がドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、
鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、
前記第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、
前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を
備え、
前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、
前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、
前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とするワイヤハーネス配索構造。
【請求項2】
前記第1車体側接続対象と前記第2車体側接続対象とは、共通の接続対象であり、
前記第1配索線は、前記共通の接続対象に接続される1束の配索線から前記車体側で分岐した一方の配索線であり、
前記第2配索線は、前記1束の配索線から前記車体側で分岐した他方の配索線である請求項1に記載のワイヤハーネス配索構造。
【請求項3】
前記第1配索線は、前記第1リンクアームに沿って前記第1車体側接続対象と前記第1ドア側接続対象とを接続する線長が、前記第1車体側接続対象と前記第1ドア側接続対象とを前記第2リンクアームを経由して結ぶ経路の長さよりも短く、
前記第2配索線は、前記第2リンクアームに沿って前記第2車体側接続対象と前記第2ドア側接続対象とを接続する線長が、前記第2車体側接続対象と前記第2ドア側接続対象とを前記第1リンクアームを経由して結ぶ経路の長さよりも短い請求項1又は2に記載のワイヤハーネス配索構造。
【請求項4】
前記ドア本体又は前記第1リンクアームに設けられ前記第1リンクアームを回動させる駆動部を備え、
前記第1配索線は、前記駆動部に電力を供給するための電力線を含む請求項1~3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス配索構造。
【請求項5】
車体に組み付けられるドア本体と、
一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、
鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、
前記第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、
前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を
備え、
前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、
前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、
前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とするリンク式スライドドア。
【請求項6】
一端が車体に回動可能に連結され且つ他端が前記車体に組み付けられるドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、
鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を
備え、
前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、
前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、
前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、
前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、スライドドア用の配索構造が記載されている。このスライドドア用の配索構造は、車体側に設けられたガイド部によってガイドされるスライド部を有するスライドドアと、スライドドアと車体側とを電気的に接続し、かつスライド部が通過する軌跡空間を横断している可撓性の導電体と、当該導電体に沿って配置された板状の弾性体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スライドドアとして、スライド部を有するものではなく、スライドドアと車体とを固定するリンクアームによってスライドドアをスライド移動するリンク式スライドドアを構成する場合、例えば、車体側の機器とスライドドア側の機器とを接続する配索線の線径が相対的に大きい場合、配索線を屈曲することが困難になり配索性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配索線を適正に配索することができるワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネス配索構造は、一端が車体に回動可能に連結され且つ他端がドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、前記第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を備え、前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るリンク式スライドドアは、車体に組み付けられるドア本体と、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームと、鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームと、前記第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、前記第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を備え、前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るワイヤハーネスは、一端が車体に回動可能に連結され且つ他端が前記車体に組み付けられるドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第1リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第1車体側接続対象と前記ドア本体側の第1ドア側接続対象とを接続する第1配索線と、鉛直方向に沿って前記第1リンクアームと並んで設けられ、一端が前記車体に回動可能に連結され且つ他端が前記ドア本体に回動可能に連結され、前記車体及び前記ドア本体のそれぞれに対して相対回動しつつ、前記第1リンクアームと共に前記車体に対して前記ドア本体をスライド移動可能に支持する第2リンクアームに沿って配索されて設けられ、前記車体側の第2車体側接続対象と前記ドア本体側の第2ドア側接続対象とを接続する第2配索線と、を備え、前記第1リンクアームは、当該第1リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第1溝部を含み、前記第2リンクアームは、当該第2リンクアームが延在する延在方向に沿って溝状に形成された第2溝部を含み、前記第1配索線は、前記第1溝部に収容された状態で前記第1リンクアームに配索され、前記第2配索線は、前記第2溝部に収容された状態で前記第2リンクアームに配索されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るワイヤハーネス配索構造、リンク式スライドドア、及び、ワイヤハーネスは、車体とドア本体との間で配索される配索線を第1配索線と第2配索線とに分けて配索することで、それぞれの配索線の線径を相対的に小さくすることができ、これにより、屈曲性を確保できるので、配索線を適正に配索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るメインリンク機構の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るサブリンク機構の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係るワイヤハーネス配索構造1、リンク式スライドドアSD、及び、ワイヤハーネスWHについて説明する。
【0013】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z(交差方向Z)」という。延在方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に交差し、典型的には直交する。延在方向Xは、例えば、後述するメインリンクアーム11が延在する方向(長手方向)に沿った方向である。幅方向Yは、例えば、メインリンクアーム11の短手方向に沿った方向である。高さ方向Zは、車両の車両高さ方向(車高方向)に沿った方向であり、また鉛直方向に沿った方向でもある。ドア本体Dのスライド方向Sは、ドア本体Dを閉じた状態におけるメインリンクアーム11の延在方向Xに沿う方向であり、ここでは、車体Bの全長方向に沿った方向に相当する。言い換えれば、ドア本体Dのスライド方向Sは、メインリンクアーム11の回動軸(後述の回動軸部12a、13a)に交差する方向であり、典型的には当該回動軸に直交する方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0014】
ワイヤハーネス配索構造1は、車両に適用され、車両の車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持すると共に、車体B側に設けられた機器やコネクタ等の接続対象と、ドア本体D側に設けられた機器やコネクタ等の接続対象とを電気的に接続するものである。この例では、車体B側には、第1車体側接続対象及び第2車体側接続対象としての車体側コネクタBC1が設けられ、ドア本体D側には、第1ドア側接続対象としてのドア側コネクタDC1、及び、第2ドア側接続対象としてのドア側コネクタDC2が設けられている。ドア側コネクタDC1は、ドア側コネクタDC2よりも後述のメインリンク機構10の近傍に設けられ、ドア側コネクタDC2は、ドア側コネクタDC1よりも後述のサブリンク機構20の近傍に設けられている。例えば、ドア側コネクタDC1は、ドア側コネクタDC2よりも高さ方向Zの上側に設けられ、ドア側コネクタDC2は、ドア側コネクタDC1よりも高さ方向Zの下側に設けられている。
【0015】
ワイヤハーネス配索構造1は、
図1~
図3に示すように、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、駆動部30と、第1配索線W1と、第2配索線W2とを備える。第1配索線W1と第2配索線W2とは、ワイヤハーネスWHを構成する。言い換えれば、ワイヤハーネスWHは、第1配索線W1と、第2配索線W2とを備えるものであるということもできる。また、ドア本体Dと、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、駆動部30と、第1配索線W1と、第2配索線W2とは、リンク式スライドドアSDを構成する。言い換えれば、リンク式スライドドアSDは、ドア本体Dと、メインリンク機構10と、サブリンク機構20と、駆動部30と、第1配索線W1と、第2配索線W2とを備えるものであるということもできる。
【0016】
ここで、ワイヤハーネス配索構造1は、メインリンク機構10及びサブリンク機構20によってドア本体Dを支持し、後述するメインリンクアーム11及びサブリンクアーム21を回動させることによって、一般的なスライド用のガイドレールを用いずに、車体Bに対してドア本体Dをスライド方向Sに沿ってスライド移動させるものである。以下、ワイヤハーネス配索構造1について詳細に説明する。
【0017】
メインリンク機構10は、
図1に示すように、サブリンク機構20と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する機構である。なお、
図1では、車体Bのドア用開口部Baを1点鎖線で図示している。メインリンク機構10は、メインリンクアーム11と、第1連結部12と、第2連結部13とを含んで構成される。
【0018】
メインリンクアーム11は、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する部材である。メインリンクアーム11は、第1アーム11aと、第2アーム11bとを含んで構成される。
【0019】
第1アーム11aは、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第1アーム11aは、例えば、車体B側からドア本体D側に屈曲した屈曲部を有した形状に形成されている。なお、第1アーム11aは、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような屈曲した形状に限定されない。第1アーム11aは、底面部11hと、一対の側壁部11iとを含んで構成される。底面部11hは、高さ方向Zの一方側(下方側)に位置する部分であり、延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成されている。一対の側壁部11iは、それぞれが延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成され、底面部11hの幅方向Yの両端から高さ方向Zに沿って立設し、幅方向Yに沿って一定の間隔をあけて位置している。第1アーム11aは、底面部11hの高さ方向Zの他方側(上方側)が開口され、延在方向Xの両端部が閉塞されている。このように構成された第1アーム11aは、底面部11hと一対の側壁部11iとにより囲われて形成された後述の溝部11dに、車体B側とドア本体D側との間に配索される第1配索線W1を収容する。
【0020】
第2アーム11bは、上述の第1アーム11aと同等に構成されている。すなわち、第2アーム11bは、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第2アーム11bは、例えば、車体B側からドア本体D側に屈曲した屈曲部を有した形状に形成されている。なお、第2アーム11bは、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような屈曲した形状に限定されない。第2アーム11bは、第1アーム11aと高さ方向Zに沿って並んで配置されている。第2アーム11bは、底面部11mと、一対の側壁部11nとを含んで構成される。底面部11mは、高さ方向Zの一方側(下方側)に位置する部分であり、延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成されている。一対の側壁部11nは、それぞれが延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成され、底面部11mの幅方向Yの両端から高さ方向Zに沿って立設し、幅方向Yに沿って一定の間隔をあけて位置している。第2アーム11bは、底面部11mの高さ方向Zの他方側(上方側)が開口され、延在方向Xの両端部が閉塞されている。このように構成された第2アーム11bは、底面部11mと一対の側壁部11nとにより囲われて形成された後述の溝部11eに、車体B側とドア本体D側との間に配索される第1配索線W1を収容可能である。
【0021】
次に、第1連結部12について説明する。第1連結部12は、
図2に示すように、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端を車体Bに回動可能に連結するものであり、回動軸部12aと、軸受け部12bとを含んで構成される。
【0022】
回動軸部12aは、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端を回動可能に支持するものである。回動軸部12aは、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、メインリンクアーム11の延在方向Xの一端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部12aは、メインリンクアーム11において、第1アーム11aの延在方向Xの一端の孔部と、第2アーム11bの延在方向Xの一端の孔部とに挿通されている。回動軸部12aは、高さ方向Zにおいて第1アーム11aと第2アーム11bとの間隔を一定に保つためのストッパー(図示省略)が設けられている。このストッパーは、高さ方向Zにおいて第1アーム11aと第2アーム11bとが位置ずれすることを防止する。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部12aは、当該回動軸部12aの軸回りに回動可能に第1アーム11aの一端と第2アーム11bの一端とを支持する。なお、第1アーム11aと第2アーム11bとが位置ずれすることを防止する構成は、上記ストッパー以外の構成であってもよい。
【0023】
軸受け部12bは、回動軸部12aを車体Bに連結するものである。軸受け部12bは、固定プレート12cと、一対の支持プレート12dとを含んで構成される。
【0024】
固定プレート12cは、車体Bに固定される部分である。固定プレート12cは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、車体Bに固定される。
【0025】
一対の支持プレート12dは、回動軸部12aを支持するものである。一対の支持プレート12dは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート12cの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート12dは、一方の支持プレート12dと他方の支持プレート12dとの間に回動軸部12aが設けられている。一対の支持プレート12dは、それぞれが回動軸部12aを挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート12dの孔部には回動軸部12aの一端が挿通され、他方の支持プレート12dの孔部には回動軸部12aの他端が挿通されている。一対の支持プレート12dに挿通された回動軸部12aは、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部12bは、第1アーム11a及び第2アーム11bに挿通された回動軸部12aの両端を、一対の支持プレート12dにより支持した状態で、固定プレート12cが車体Bに固定されている。
【0026】
次に、第2連結部13について説明する。第2連結部13は、
図2に示すように、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端をドア本体Dに回動可能に連結するものであり、第1連結部12と同等に構成されている。すなわち、第2連結部13は、回動軸部13aと、軸受け部13bとを含んで構成される。
【0027】
回動軸部13aは、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端を回動可能に支持するものである。回動軸部13aは、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、メインリンクアーム11の延在方向Xの他端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部13aは、メインリンクアーム11において、第1アーム11aの延在方向Xの他端の孔部と、第2アーム11bの延在方向Xの他端の孔部とに挿通されている。回動軸部13aは、高さ方向Zにおいて第1アーム11aと第2アーム11bとの間隔を一定に保つためのストッパー(図示省略)が設けられている。このストッパーは、高さ方向Zにおいて第1アーム11aと第2アーム11bとが位置ずれすることを防止する。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部13aは、当該回動軸部13aの軸回りに回動可能に第1アーム11aの他端と第2アーム11bの他端とを支持する。なお、第1アーム11aと第2アーム11bとが位置ずれすることを防止する構成は、上記ストッパー以外の構成であってもよい。
【0028】
軸受け部13bは、回動軸部13aをドア本体Dに連結するものである。軸受け部13bは、固定プレート13cと、一対の支持プレート13dとを含んで構成される。
【0029】
固定プレート13cは、ドア本体Dに固定される部分である。固定プレート13cは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、ドア本体Dに固定される。
【0030】
一対の支持プレート13dは、回動軸部13aを支持するものである。一対の支持プレート13dは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート13cの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート13dは、一方の支持プレート13dと他方の支持プレート13dとの間に回動軸部13aが設けられている。一対の支持プレート13dは、それぞれが回動軸部13aを挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート13dの孔部には回動軸部13aの一端が挿通され、他方の支持プレート13dの孔部には回動軸部13aの他端が挿通されている。一対の支持プレート13dに挿通された回動軸部13aは、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部13bは、第1アーム11a及び第2アーム11bに挿通された回動軸部13aの両端を、一対の支持プレート13dにより支持した状態で、固定プレート13cがドア本体Dに固定されている。
【0031】
上述のように構成されたメインリンクアーム11は、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、サブリンク機構20と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド方向Sに沿ってスライド移動可能に支持する。
【0032】
次に、サブリンク機構20について説明する。サブリンク機構20は、高さ方向Zに沿ってメインリンク機構10と並んで設けられ、この例では、メインリンク機構10の高さ方向Zの下側に設けられ、メインリンク機構10と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持するものである。サブリンク機構20は、サブリンクアーム21と、第1連結部22と、第2連結部23とを含んで構成される。
【0033】
サブリンクアーム21は、高さ方向Zに沿ってメインリンクアーム11と並んで設けられ、
図3に示すように、第1アーム21aを含んで構成される。
【0034】
第1アーム21aは、延在方向Xに沿って延在し長尺状に形成された金属部材である。第1アーム21aは、例えば、延在方向Xに沿って直線状に形成されている。なお、第1アーム21aは、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持できるものであれば、このような直線状の形状に限定されない。第1アーム21aは、底面部21cと、一対の側壁部21dとを含んで構成される。底面部21cは、高さ方向Zの一方側(下方側)に位置する部分であり、延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成されている。一対の側壁部21dは、それぞれが延在方向Xに沿って長尺状かつ平板状に形成され、底面部21cの幅方向Yの両端から高さ方向Zに沿って立設し、幅方向Yに沿って一定の間隔をあけて位置している。第1アーム21aは、底面部21cの高さ方向Zの他方側(上方側)が開口され、延在方向Xの両端部が閉塞されている。このように構成された第1アーム21aは、底面部21cと一対の側壁部21dとにより囲われて形成された後述の溝部21bに、車体B側とドア本体D側との間に配索される第2配索線W2を収容する。
【0035】
次に、第1連結部22について説明する。第1連結部22は、
図3に示すように、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端を車体Bに回動可能に連結するものであり、回動軸部22aと、軸受け部22bとを含んで構成される。
【0036】
回動軸部22aは、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端を回動可能に支持するものである。回動軸部22aは、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、サブリンクアーム21の延在方向Xの一端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部22aは、サブリンクアーム21において、第1アーム21aの延在方向Xの一端の孔部に挿通されている。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部22aは、当該回動軸部22aの軸回りに回動可能に第1アーム21aの一端を支持する。
【0037】
軸受け部22bは、回動軸部22aを車体Bに連結するものである。軸受け部22bは、固定プレート22cと、一対の支持プレート22dとを含んで構成される。
【0038】
固定プレート22cは、車体Bに固定される部分である。固定プレート22cは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、車体Bに固定される。
【0039】
一対の支持プレート22dは、回動軸部22aを支持するものである。一対の支持プレート22dは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート22cの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート22dは、一方の支持プレート22dと他方の支持プレート22dとの間に回動軸部22aが設けられている。一対の支持プレート22dは、それぞれが回動軸部22aを挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート22dの孔部には回動軸部22aの一端が挿通され、他方の支持プレート22dの孔部には回動軸部22aの他端が挿通されている。一対の支持プレート22dに挿通された回動軸部22aは、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部22bは、第1アーム21aに挿通された回動軸部22aの両端を、一対の支持プレート22dにより支持した状態で、固定プレート22cが車体Bに固定されている。
【0040】
次に、第2連結部23について説明する。第2連結部23は、
図3に示すように、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端をドア本体Dに回動可能に連結するものであり、第1連結部22と同等に構成されている。すなわち、第2連結部23は、回動軸部23aと、軸受け部23bとを含んで構成される。
【0041】
回動軸部23aは、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端を回動可能に支持するものである。回動軸部23aは、棒状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、サブリンクアーム21の延在方向Xの他端の孔部(筒状の孔部)に挿通されている。具体的には、回動軸部23aは、サブリンクアーム21において、第1アーム21aの延在方向Xの他端の孔部に挿通されている。高さ方向Zに沿って延在する回動軸部23aは、当該回動軸部23aの軸回りに回動可能に第1アーム21aの他端を支持する。
【0042】
軸受け部23bは、回動軸部23aをドア本体Dに連結するものである。軸受け部23bは、固定プレート23cと、一対の支持プレート23dとを含んで構成される。
【0043】
固定プレート23cは、ドア本体Dに固定される部分である。固定プレート23cは、平板状に形成され、高さ方向Zに沿って延在し、ドア本体Dに固定される。
【0044】
一対の支持プレート23dは、回動軸部23aを支持するものである。一対の支持プレート23dは、それぞれが平板状に形成され、固定プレート23cの高さ方向Zの両端から幅方向Yに沿って立設し、高さ方向Zに沿って一定の間隔をあけて位置している。一対の支持プレート23dは、一方の支持プレート23dと他方の支持プレート23dとの間に回動軸部23aが設けられている。一対の支持プレート23dは、それぞれが回動軸部23aを挿通するための孔部を有し、一方の支持プレート23dの孔部には回動軸部23aの一端が挿通され、他方の支持プレート23dの孔部には回動軸部23aの他端が挿通されている。一対の支持プレート23dに挿通された回動軸部23aは、その両端部に抜け止め部が設けられている。上述のように構成された軸受け部23bは、第1アーム21aに挿通された回動軸部23aの両端を、一対の支持プレート23dにより支持した状態で、固定プレート23cがドア本体Dに固定されている。
【0045】
上述のように構成されたサブリンクアーム21は、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、メインリンクアーム11と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。
【0046】
次に、駆動部30について説明する。駆動部30は、メインリンクアーム11を回動させるものであり、モータ等を含んで構成される。駆動部30は、例えば、ドア本体Dに設けられ、ドア側コネクタDC1を介して第1配索線W1に接続される。駆動部30は、第1配索線W1を介して供給される電力により動作してメインリンクアーム11を回動させる。駆動部30は、例えば、回転力を伝達するドライブシャフトや歯車等を介してメインリンクアーム11の回動軸に連結され、当該回動軸を回動させることで、メインリンクアーム11を回動させる。
【0047】
ワイヤハーネス配索構造1は、上述のようなリンク式スライドドアSDに配索線Wを配索する構造として、メインリンクアーム11に設けられた溝部11d、11eと、サブリンクアーム21に設けられた溝部21bとを備える。
【0048】
溝部11dは、メインリンクアーム11の第1アーム11aに設けられ、第1アーム11aの底面部11hと一対の側壁部11iとにより囲われて形成された領域である。溝部11dは、第1アーム11aにおいて延在方向Xに沿って溝状に形成され、溝部11dの断面が矩形状に形成されている。溝部11dは、配索線Wを収容可能な収容空間部を有し、車体B側とドア本体D側との間において第1アーム11aに沿って配索される配索線Wを収容空間部に収容可能であり、この例では、実際に、配索線W(第1配索線W1)を収容空間部に収容している例を示している。
【0049】
溝部11eは、メインリンクアーム11の第2アーム11bに設けられ、第2アーム11bの底面部11mと一対の側壁部11nとにより囲われて形成された領域である。溝部11eは、第2アーム11bにおいて延在方向Xに沿って溝状に形成され、溝部11eの断面が矩形状に形成されている。溝部11eは、配索線Wを収容可能な収容空間部を有し、車体B側とドア本体D側との間において第2アーム11bに沿って配索される配索線Wを収容空間部に収容可能であり、この例では、配索線Wを収容空間部に収容していない例を示している。
【0050】
溝部21bは、サブリンクアーム21の第1アーム21aに設けられ、第1アーム21aの底面部21cと一対の側壁部21dとにより囲われて形成された領域である。溝部21bは、第1アーム21aにおいて延在方向Xに沿って溝状に形成され、溝部21bの断面が矩形状に形成されている。溝部21bは、配索線Wを収容可能な収容空間部を有し、車体B側とドア本体D側との間において第1アーム21aに沿って配索される配索線Wを収容空間部に収容可能であり、配索線W(第2配索線W2)を収容空間部に収容している。
【0051】
次に、メインリンクアーム11の溝部11dに配索される第1配索線W1について説明する。第1配索線W1は、電力を供給するための電力線や通信を行うための通信線等を含んで構成される。第1配索線W1は、共通の車体側コネクタBC1に接続される1束の配索線Wから車体B側で分岐した一方の配索線である。第1配索線W1は、メインリンクアーム11に沿って配索されて設けられ、この例ではメインリンクアーム11の溝部11dに収容された状態で配索されている。メインリンクアーム11の溝部11dに収容された第1配索線W1は、車体B側に設けられた車体側コネクタBC1と、ドア本体D側に設けられたドア側コネクタDC1とを接続する。第1配索線W1は、メインリンクアーム11に沿って車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とを接続する線長が、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とをサブリンクアーム21を経由して結ぶ線路の長さよりも短い。このように、第1配索線W1は、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とを接続する際に、最短となる接続経路に沿って配索されている。
【0052】
次に、サブリンクアーム21の溝部21bに配索される第2配索線W2について説明する。第2配索線W2は、電力を供給するための電力線や通信を行うための通信線等を含んで構成される。第2配索線W2は、共通の車体側コネクタBC1に接続される1束の配索線Wから車体B側で分岐した他方の配索線である。第2配索線W2は、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、この例ではサブリンクアーム21の溝部21bに収容された状態で配索されている。サブリンクアーム21の溝部21bに収容された第2配索線W2は、車体B側に設けられた車体側コネクタBC1と、ドア本体D側に設けられたドア側コネクタDC2とを接続する。第2配索線W2は、サブリンクアーム21に沿って車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とを接続する線長が、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とメインリンクアーム11を経由して結ぶ線路の長さよりも短い。このように、第2配索線W2は、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とを接続する際に、最短となる接続経路に沿って配索されている。
【0053】
上述のように構成されたワイヤハーネス配索構造1は、駆動部30によってメインリンクアーム11が回動されることで、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動し、車体Bに対してドア本体Dを全閉位置から全開位置、又は、全開位置から全閉位置までスライド方向Sに沿ってスライド移動させる。つまり、メインリンクアーム11は、駆動部30によって回動されることで、第1連結部12の回動軸部12aと第2連結部13の回動軸部13aとを回動軸として、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する。このとき、サブリンクアーム21は、メインリンクアーム11が駆動部30によって回動されることで、第1連結部22の回動軸部22aと第2連結部23の回動軸部23aとを回動軸として、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する。そして、メインリンクアーム11に沿って配索され溝部11dに収容された第1配索線W1は、メインリンクアーム11が回動している間も、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とを電気的に接続している。また、サブリンクアーム21に沿って配索され溝部21bに収容された第2配索線W2は、サブリンクアーム21が回動している間も、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とを電気的に接続している。
【0054】
以上のように、実施形態に係るワイヤハーネス配索構造1は、メインリンクアーム11と、サブリンクアーム21と、第1配索線W1と、第2配索線W2とを備える。メインリンクアーム11は、一端が車体Bに回動可能に連結され且つ他端がドア本体Dに回動可能に連結され、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。サブリンクアーム21は、高さ方向Zに沿ってメインリンクアーム11と並んで設けられ、一端が車体Bに回動可能に連結され且つ他端がドア本体Dに回動可能に連結され、車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動しつつ、メインリンクアーム11と共に車体Bに対してドア本体Dをスライド移動可能に支持する。第1配索線W1は、メインリンクアーム11に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC1とを接続する。第2配索線W2は、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC2とを接続する。
【0055】
この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、車体Bとドア本体Dとの間で配索される配索線Wを第1配索線W1と第2配索線W2とに分けて配索することで、それぞれの配索線の線径を相対的に小さくすることができ、これにより、屈曲性を確保できる。ワイヤハーネス配索構造1は、第1及び第2配索線W1、W2の屈曲性を確保することができるので、第1及び第2配索線W1、W2における耐久性の低下を抑制できる。また、ワイヤハーネス配索構造1は、第1及び第2配索線W1、W2の線径を小さくすることができるので、メインリンクアーム11の近傍の配索スペース、及び、サブリンクアーム21の近傍の配索スペースを相対的に小さくすることができ、各アーム11、12の意匠部品を小さくすることができ、見映えをよくすることができる。このように、ワイヤハーネス配索構造1は、配索線Wを適正に配索することができる。
【0056】
ワイヤハーネス配索構造1において、第1車体側接続対象と第2車体側接続対象とは、共通の車体側コネクタBC1であり、第1配索線W1は、共通の車体側コネクタBC1に接続される1束の配索線Wから車体B側で分岐した一方の配索線である。第2配索線W2は、1束の配索線Wから車体B側で分岐した他方の配索線である。この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、従来のように車体側コネクタBC1に接続される1束の配索線Wを、そのまま1束の配索線Wの状態でドア本体D側に配索する場合と比較して、ドア本体D側に配索される第1及び第2配索線W1、W2の線径を小さくすることができるので、配索線Wを適正に配索することができる。
【0057】
ワイヤハーネス配索構造1において、第1配索線W1は、メインリンクアーム11に沿って車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とを接続する線長が、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とをサブリンクアーム21を経由して結ぶ経路の長さよりも短い。第2配索線W2は、サブリンクアーム21に沿って車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とを接続する線長が、車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とをメインリンクアーム11を経由して結ぶ経路の長さよりも短い。この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、第1配索線W1によって車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC1とを最短距離で接続できると共に、第2配索線W2によって車体側コネクタBC1とドア側コネクタDC2とを最短距離で接続できる。
【0058】
ワイヤハーネス配索構造1は、ドア本体Dに設けられメインリンクアーム11を回動させる駆動部30を備える。第1配索線W1は、駆動部30に電力を供給するための電力線を含む。この構成により、ワイヤハーネス配索構造1は、第1配索線W1を介して供給される電力により駆動部30を動作させることで、メインリンクアーム11を回動させることができる。
【0059】
リンク式スライドドアSDは、車体Bに組み付けられるドア本体Dと、メインリンクアーム11と、サブリンクアーム21と、第1配索線W1と、第2配索線W2とを備え、第1配索線W1は、メインリンクアーム11に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC1とを接続し、第2配索線W2は、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC2とを接続する。この構成により、リンク式スライドドアSDは、車体Bとドア本体Dとの間で配索される配索線Wを第1配索線W1と第2配索線W2とに分けて配索することで、それぞれの配索線W1、W2の線径を相対的に小さくすることができ、これにより、屈曲性を確保できるので、この結果、配索線Wを適正に配索することができる。
【0060】
ワイヤハーネスWHは、メインリンクアーム11に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC1とを接続する第1配索線W1と、サブリンクアーム21に沿って配索されて設けられ、車体B側の車体側コネクタBC1とドア本体D側のドア側コネクタDC2とを接続する第2配索線W2とを備える。この構成により、ワイヤハーネスWHは、車体Bとドア本体Dとの間で配索される配索線Wが第1配索線W1と第2配索線W2とに分けて配索されるので、それぞれの配索線W1、W2の線径を相対的に小さくすることができ、これにより、屈曲性を確保できるので、この結果、配索線Wを適正に配索することができる。
【0061】
〔変形例〕
第1車体側接続対象と第2車体側接続対象とは、共通の車体側コネクタBC1である例について説明したが、これに限定されず、例えば、第1車体側接続対象と第2車体側接続対象とは、それぞれ別々の車体側コネクタであってもよい。
【0062】
第1ドア側接続対象と第2ドア側接続対象とは、それぞれ別々のドア側コネクタDC1、DC2である例について説明したが、これに限定されず、例えば、第1ドア側接続対象と第2ドア側接続対象とは、共通のドア側コネクタであってもよい。
【0063】
第1及び第2配索線W1、W2は、1束の配索線Wが車体B側で分岐した配索線である例について説明したが、これに限定されず、例えば、1束の配索線Wが車体B側で分岐した配索線ではなく、2束の配索線Wがそれぞれ車体B側から別々に並列(パラレル)に配策された配索線であってもよい。また、第1及び第2配索線W1、W2は、ドア本体D側で合流(結合)して共通のドア側コネクタに接続されてもよい。
【0064】
第1及び第2配索線W1、W2は、それぞれ最短距離で配索される例について説明したが、これに限定されず、最短距離で配索しなくてもよい。
【0065】
ワイヤハーネス配索構造1は、駆動部30によってメインリンクアーム11が回動されることで、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、駆動部30を備えずに、車両の乗員によるドア本体Dのスライド操作によって、メインリンクアーム11及びサブリンクアーム21が車体B及びドア本体Dのそれぞれに対して相対回動するようにしてもよい。
【0066】
駆動部30は、ドア本体Dに設けられる例について説明したが、これに限定されず、例えば、メインリンクアーム11に設けられてもよい。メインリンクアーム11に設けられた駆動部30は、第1配索線W1に接続され、当該第1配索線W1を介して供給される電力により動作してメインリンクアーム11を回動させる。当該駆動部30は、例えば、回転力を伝達するドライブシャフトや歯車等を介してメインリンクアーム11の回動軸に連結され、当該回動軸を回動させることで、メインリンクアーム11を回動させる。
【0067】
溝部11d、11e、21bは、その断面が矩形状に形成される例について説明したが、これに限定されず、例えば、その断面が、底面が湾曲したU字状、C字状、H字状等に形成されてもよい。
【0068】
溝部11dは、底面部11hが高さ方向Zの一方側(下方側)に位置し、底面部11hの高さ方向Zの他方側(上方側)が開口される例について説明したが、これに限定されず、例えば、底面部11hが幅方向Yの一方側に位置し、当該底面部11hの幅方向Yの他方側が開口されてもよい。この場合、1対の側壁部11iは、高さ方向Zの両側に設けられる。溝部11e、21bについても、同様に、底面部11m、21cが幅方向Yの一方側に位置し、当該底面部11m、21cの幅方向Yの他方側が開口されてもよい。この場合、1対の側壁部11n、21dは、高さ方向Zの両側に設けられる。
【0069】
メインリンクアーム11は、1本のアーム部材において両端の回動軸部12a、13aを回動軸として回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、延在方向Xに分割された上でそれぞれの分割アームをリンクにより接続する構成としてもよい。この場合、それぞれの分割アームには溝部が形成され、それぞれの溝部は、各分割アームに渡って連続し、第1配索線W1は、この各分割アームに渡って連続した溝部に配索されればよい。
【0070】
サブリンクアーム21は、1本のアーム部材において両端の回動軸部22a、23aを回動軸として回動する例について説明したが、これに限定されず、例えば、延在方向Xに分割された上でそれぞれの分割アームをリンクにより接続する構成としてもよい。この場合、それぞれの分割アームには溝部が形成され、それぞれの溝部は、各分割アームに渡って連続し、第2配索線W2は、この各分割アームに渡って連続した溝部に配索されればよい。
【0071】
メインリンク機構10は、第1アーム21aに配索線Wを配索し、第2アーム11bに配索線Wを配索しない例について説明したが、これに限定されず、第2アーム11bにも配索線Wを配索してもよい。
【0072】
メインリンクアーム11は、溝部11d、11eを含んで構成される例について説明したが、これに限定されず、溝部11d、11eを含まなくてもよい。この場合、メインリンクアーム11は、例えば、筒状、棒状(柱状)等に形成され、筒状に形成された場合には内側に第1配索線W1を挿通させて配索し、棒状(柱状)に形成された場合には当該アームに並んで第1配索線W1を配索する。
【0073】
サブリンクアーム21は、溝部21bを含んで構成される例について説明したが、これに限定されず、溝部21bを含まなくてもよい。この場合、サブリンクアーム21は、例えば、筒状、棒状(柱状)等に形成され、筒状に形成された場合には内側に第2配索線W2を挿通させて配索し、棒状(柱状)に形成された場合には当該アームに並んで第2配索線W2を配索する。
【符号の説明】
【0074】
1 ワイヤハーネス配索構造
11 メインリンクアーム(第1リンクアーム)
21 サブリンクアーム(第2リンクアーム)
30 駆動部
B 車体
BC1 車体側コネクタ(第1車体側接続対象、第2車体側接続対象)
DC1 ドア側コネクタ(第1ドア側接続対象)
DC2 ドア側コネクタ(第2ドア側接続対象)
D ドア本体
SD リンク式スライドドア
W 配索線
W1 第1配索線
W2 第2配索線
WH ワイヤハーネス
Z 高さ方向(鉛直方向)