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  • 特許-入れ歯の成形方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】入れ歯の成形方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20240205BHJP
   A61C 13/007 20060101ALI20240205BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240205BHJP
   A61C 13/14 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61C13/00 B
A61C13/007
B33Y40/20
A61C13/14 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022088194
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176096
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】508319657
【氏名又は名称】株式会社医科歯科技研
(74)【代理人】
【識別番号】100082832
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 邦章
(72)【発明者】
【氏名】藤原 芳生
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/054400(WO,A1)
【文献】特開2019-141553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
A61C 13/007
B33Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔スキャナーでスキャニングして得られた入れ歯データーを所要のデーターベースに送信して保存した入れ歯データーを利用するもので、
上記入れ歯データーを3次元プリンターに送信して所要の入れ歯を成形し、
この3次元プリンターで成形した入れ歯を所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接重合して入れ歯を矯正成形することを特徴とする入れ歯の成形方法。
【請求項2】
入れ歯が人工歯と歯床を一体化した総入れ歯であることを特徴とする請求項1に記載の入れ歯の成形方法。
【請求項3】
入れ歯データーによる3次元プリンターでの入れ歯の成形品が入れ歯データーのものよりも1.01~1.03%大きく成形したものとしたことを特徴とする請求項1に記載の入れ歯の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科分野における入れ歯の成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の入れ歯の作成では、所要のトレーに型取り材料を入れて口腔に合わせて歯牙の型取りをし、その型取りをした面に石膏を装填して歯形模型を作り、その歯形模型にかみあわせ材料を装填して患者に噛んでもらって入れ歯模型を作成し、咬合器に付けて噛み合いを調整して所要の入れ歯を作成するようにしていた。
【0003】
近年、3次元プリンターが応用されて、口腔スキャナーで入れ歯のデーターを作成すれば、その3次元データーを3次元プリンターに送信して入れ歯が成形できるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-199107号公報
【文献】特表2018-501059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、3次元プリンターによって入れ歯を成形した場合、その表面精度がよくなく、矯正する必要が生じ、非常に手間と時間がかかるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、口腔スキャナーでスキャニングして得られた入れ歯データーを所要のデーターベースに送信して保存した入れ歯データーを利用するもので、上記入れ歯データーを3次元プリンターに送信して所要の入れ歯を成形し、この3次元プリンターで成形した入れ歯を所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接重合して入れ歯を矯正成形することを特徴とする入れ歯の成形方法を提供することにある。
【0007】
また、入れ歯が人工歯と歯床を一体化した総入れ歯であることを特徴とする入れ歯の成形方法を提供することにある。
【0008】
さらに、入れ歯データーによる3次元プリンターでの入れ歯の成形品が入れ歯データーのものよりも1.01~1.03%大きく成形したものとしたことを特徴とする入れ歯の成型方法を提供するにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の入れ歯の成形方法は、特許請求の範囲の請求項1に記載のように、口腔スキャナーでスキャニングして得られた入れ歯スキャンデーターを所要のデーターベースに送信して保存した入れ歯データーを利用するもので、上記入れ歯データーを3次元プリンターに送信して所要の入れ歯を成形し、この3次元プリンターで成形した入れ歯を所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接重合して入れ歯を矯正成形するので、3次元プリンターによって入れ歯を成形しても、所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に挿着して圧接重合して入れ歯を矯正成形するため、表面精度をよく矯正でき、手間と時間を短縮することができる。
【0010】
また、請求項2に記載のように、入れ歯が人工歯と歯床を一体化した総入れ歯であるので、たとえ総入れ歯でも、表面精度をよく矯正でき、手間と時間を短縮して成形することができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載のように、入れ歯データーによる3次元プリンターでの入れ歯の成形品が入れ歯データーのものよりも1.01~1.03%大きく成形したので、3次元プリンターによって入れ歯を成型しても、所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接重合して入れ歯を表面精度よく矯正でき、患者の口腔にあった治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例の3次元プリンターによる入れ歯成形の概要説明図、
図2】同上のフローチャートによる概要説明図、
図3】同上の入れ歯成形写真、
図4】同上の圧接重合説明拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の入れ歯の成形方法は、口腔スキャナーでスキャニングして得られた入れ歯データーを所要のデーターベースに送信して保存した入れ歯データーを利用するもので、上記入れ歯データーを3次元プリンターに送信して所要の入れ歯を成形し、この3次元プリンターで成形した入れ歯を所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接重合して入れ歯を矯正成形することを特徴としている。
【0014】
歯科患者の入れ歯に関する3次元データは、口腔スキャナーで患者の口腔内をスキャニングして、所要の入れ歯のスキャンデーターを採取し、図1のようにパソコン等の所要のデーターベースに送信し、コンピューター支援設計装置等で採取した入れ歯データーをCADデーターやSTLデーターとして必要なデーターベース処理している。
【0015】
そして、3次元プリンターの成形には、図1のように該当する歯科患者の入れ歯データーを3次元プリンターに送信し、入れ歯を成形するようにしている。
【0016】
入れ歯の3次元データーは、3次元口腔スキャナーで、STLデーターとして取得したり、所要のCADデーターに変換して取り込んだりしていて、できるだけ精密な入れ歯を得るように0.1~10ミクロン、好ましくは1.0~5.0ミクロン、より好ましくは0.1~1.0ミクロンでのCAD修正することが好ましい。
【0017】
3次元プリンターの入れ歯の材料としては、所要のアクリル系樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ハイブリッドレジン樹脂等の義歯用硬化性組成物、熱可塑性樹脂等が使用できる。
【0018】
3次元プリンターとしては、公知のもので、上記入れ歯用材料を装填して所要の温度に溶融し、3次元データーにもとづいてノズルから積層状態に放出していって所要の立体形状に造形していくことができる。
【0019】
このように入れ歯スキャンデーターを準備した3次元プリンターに送信して、所要の入れ歯材料を積層していって、入れ歯を成形することができる。
【0020】
なお、上記のように口腔スキャナーで患者の口腔内をスキャニングした所要の入れ歯のスキャンデーターによって、別途等に予め所要の寸法、形状に入れ歯金型を成型し、この入れ歯金型に上記3次元プリンターで成形した入れ歯を装着し、所要の重合剤を注入し、所要の圧接器で圧接重合して3次元プリンターで成形した入れ歯を矯正して、表面精度をよくできる。
【0021】
必要により、光学器印象によるスキャナーのスキャンにより、入れ歯の歯型を採取して成形することもできる。
【0022】
なお、歯牙データーによる3次元プリンターの入れ歯の成型品が入れ歯データーのものよりも1.01~1.03%、好ましくは1.02%大きいものとすることで、3次元プリンターによって入れ歯を成形しても、所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装填して圧接重合すれば、入れ歯を表面精度よく、患者の口腔にあった入れ歯にすることができる。
【0023】
このようにして、歯科患者の口腔状態を3次元口腔スキャナーで3次元スキャニングして、入れ歯データーを所要のデーターベースに送信し、入れ歯データーを3次元プリンターで所要の入れ歯を成形して矯正でき、上記入れ歯に所要の着色処理、研磨処理等の仕上げ処理を行うことができる。
【実施例
【0024】
図1以下4、本発明の総入れ歯の一実施例を示すものである。入れ歯の成形は、図1図2のように歯科患者の人工歯と歯床を一体化した総入れ歯の入れ歯データーを3次元口腔スキャナーで3次元スキャニングして取得して、この入れ歯データーをパソコンの所要のデーターベースに送信し、入れ歯データーを3次元プリンターに送信して所要の入れ歯を成形する。
【0025】
入れ歯の材料としては、所要のポリメタクリル酸樹脂の入れ歯用硬化性組成物を使用して上記入れ歯用材料を溶融して、3次元データーにもとづいて所要の立体形状の入れ歯に積層して造形していく。
【0026】
そして、この3次元プリンターで成形した入れ歯を、予め所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装着して圧接器に装填し、所要の常温硬化の重合レジンの重合剤を注入して圧接重合して入れ歯を矯正成形する。
【0027】
上記入れ歯の3次元データーは、STLデーターとして取得して所要のCADデーターに変換し、できるだけ精密な入れ歯を得るように0.5~1.0ミクロンでのCAD修正しておくことが好ましい。
【0028】
入れ歯は、予め所要の寸法、形状に成型した入れ歯金型に装填し、所要の重合剤を注入して圧接重合して矯正するので、3次元プリンターで成形した入れ歯を表面精度よく矯正でき、患者に治療することができる。
【0029】
上記において、入れ歯データーによる3次元プリンターの入れ歯の成形品が入れ歯データーのものよりも1.02%大きいものとすると、3次元プリンターによって入れ歯を成形しても、患者の口腔にあった違和感のない入れ歯にすることができて好ましい。
【0030】
また、上記において、圧接器を真空圧接器を使用し、特に入れ歯の人工歯側を圧接することにより、入れ歯金型を片面の成型でよく、成形の簡単化がはかれる。
【0031】
上記では、人工歯と歯床を一体化した総入れ歯の成形について説明したが、部分入れ歯についても、上記した本発明の趣旨にもとづいて適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、歯科分野における入れ歯に広く利用することができる。
図1
図2
図3
図4