(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240205BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240205BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240205BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240205BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240205BHJP
G11C 11/4097 20060101ALI20240205BHJP
G11C 7/18 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H10B12/00 681B
H01L27/088 E
H10B12/00 671Z
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H10B12/00 681F
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
G11C11/4097
G11C7/18
(21)【出願番号】P 2022164776
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2020501862の分割
【原出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2018030810
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018056653
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018077326
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】大貫 達也
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-145875(JP,A)
【文献】特開2013-168631(JP,A)
【文献】特開2016-054282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
G11C 11/4097
G11C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンスアンプと、前記第1のセンスアンプに隣接する第2のセンスアンプと、第1のセルアレイと、第2のセルアレイと、第1のビット線と、第2のビット線と、第3のビット線と、第4のビット線と、を有し、
前記第1のセルアレイは、複数の第1のメモリセルを有し、
前記第1のセルアレイは、前記第1のセンスアンプの上および前記第2のセンスアンプの上に配置され、
前記第2のセルアレイは、複数の第2のメモリセルを有し、
前記第2のセルアレイは、前記第1のセルアレイの上に配置され、
前記第1のビット線は、前記第1のセンスアンプと電気的に接続され、
前記第2のビット線は、前記第1のセンスアンプと電気的に接続され、
前記第3のビット線は、前記第2のセンスアンプと電気的に接続され、
前記第4のビット線は、前記第2のセンスアンプと電気的に接続され、
前記第1のセルアレイの領域は、前記第2のセルアレイの領域と重なり、
前記第1のセルアレイの領域は、第1の群と、前記第1の群と隣接する第2の群と、前記第2の群と隣接する第3の群と、前記第2の群と隣接し、かつ前記第3の群と隣接する第4の群と、前記第4の群と隣接する第5の群と、前記第5の群と隣接する第6の群と、を有し、
前記第1の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第2の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第3の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第4の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第5の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第6の群は、前記第1のメモリセルを1つ以上有し、
前記第2のセルアレイの領域は、第7の群と、前記第7の群と隣接する第8の群と、前記第8の群と隣接する第9の群と、前記第8の群と隣接し、かつ前記第9の群と隣接する第10の群と、前記第10の群と隣接する第11の群と、前記第11の群と隣接する第12の群と、を有し、
前記第7の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第8の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第9の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第10の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第11の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第12の群は、前記第2のメモリセルを1つ以上有し、
前記第1のビット線は、前記第1の群と電気的に接続される第1の部分と、前記第3の群と電気的に接続される第2の部分と、前記第9の群と電気的に接続される第3の部分と、を含み、
前記第2のビット線は、前記第2の群と電気的に接続される第1の部分と、前記第7の群と電気的に接続される第2の部分と、前記第8の群と電気的に接続される第3の部分と、を含み、
前記第3のビット線は、前記第4の群と電気的に接続される第1の部分と、前記第6の群と電気的に接続される第2の部分と、前記第12の群と電気的に接続される第3の部分と、を含み、
前記第4のビット線は、前記第5の群と電気的に接続される第1の部分と、前記第10の群と電気的に接続される第2の部分と、前記第11の群と電気的に接続される第3の部分と、を含み、
前記第3のビット線の第1の部分は、前記第1のビット線の第2の部分と隣接し、かつ前記第2のビット線の第1の部分と隣接する記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、記憶装置、半導体装置またはこれらを用いた電子機器に関する。
【0002】
ただし、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されるものではない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本明細書等で開示する発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置および電子機器などは、半導体装置と言える場合がある。もしくは、これらは半導体装置を有すると言える場合がある。
【背景技術】
【0004】
トランジスタに適用可能な半導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ。)に関する研究が盛んに行われている。
【0005】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、CAAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(nanocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照。)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よりも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4および非特許文献5に示されている。
【0006】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非特許文献7および非特許文献8参照。)。
【0007】
また、記憶装置の一つとしてDRAM(Dynamic Random Access Memory)が知られている。DRAMは、複数のメモリセルがマトリクス状に設けられたセルアレイと、複数のビット線と、複数のワード線とを有する。メモリセルは、複数のビット線のいずれか一つ、および、複数のワード線のいずれか一つと電気的に接続される。ワード線には、情報の書き込み読み出しが行なわれるメモリセルを選択するための選択信号が供給される。メモリセルに対する情報の書き込み、および読み出しは、ビット線を介して行なわれる。
【0008】
よって、例えば、ビット線Aを介してメモリセルXに情報を書き込む際に、ビット線Aの電位変動に起因するノイズが、ビット線Aに隣接するビット線Bにノイズとして伝播する場合がある。すると、ビット線Bと電気的に接続しているメモリセルYの保持情報が意図せず書き変わってしまう場合がある。このようなノイズの影響を抑える方法の一つとして、交差ビット線対方式が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
また、DRAMには、折り返しビット線方式(フォールデッドビット線方式)と開放型ビット線方式(オープンビット線方式)の2つの方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献】
【0011】
【文献】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, p.183-186
【文献】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, p.04ED18-1-04ED18-10
【文献】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, p.151-154
【文献】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, p.Q3012-Q3022
【文献】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, p.155-164
【文献】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, p.021201-1-021201-7
【文献】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, p.T216-T217
【文献】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
交差ビット線対方式は、フォールデッドビット線方式の記憶装置に適用できるが、メモリセルの集積度が高いオープンビット線方式の記憶装置への適用が出来ない。よって、セルアレイの高集積化が困難であった。
【0013】
また、交差ビット線対方式では、一対のビット線の少なくとも一部に交差部を設ける必要があり、当該交差部にメモリセルを配置できない。
【0014】
本発明の一態様は、集積度の高い記憶装置を提供することを課題の一とする。または、ノイズの影響を受けにくい記憶装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い記憶装置を提供することを課題の一とする。または、消費電力の少ない記憶装置を提供することを課題の一とする。または、新規な記憶装置を提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0015】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
複数のメモリセルを有する第1セルアレイと、複数のメモリセルを有する第2セルアレイを重ねて設ける。第1ビット線対に含まれる2つのビット線は、それぞれが第1セルアレイに含まれるメモリセルの一部と第2セルアレイに含まれるメモリセルの一部と電気的に接続する。第2ビット線対に含まれる2つのビット線は、それぞれが第1セルアレイに含まれるメモリセルの一部と第2セルアレイに含まれるメモリセルの一部と電気的に接続する。第1セルアレイにおいて、第2ビット線対に含まれるビット線の一方は、第1ビット線対の一部と重なる領域を有し、第2セルアレイにおいて、第2ビット線対に含まれるビット線の他方は、第1ビット線対の一部と重なる領域を有する。
【0017】
本発明の一態様は、第1セルアレイと、第2セルアレイと、第1ビット線対と、第2ビット線対と、を有し、第1セルアレイと第2セルアレイは互いに重なる領域を有し、第1セルアレイは、Aa個(Aaは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ba個(Baは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ca個(Caは1以上の整数)の第1メモリセルと、Da個(Daは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ea個(Eaは1以上の整数)の第1メモリセルと、Fa個(Faは1以上の整数)の第1メモリセルと、を有し、第2セルアレイは、Ab個(Abは1以上の整数)の第2メモリセルと、Bb個(Bbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Cb個(Cbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Db個(Dbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Eb個(Ebは1以上の整数)の第2メモリセルと、Fb個(Fbは1以上の整数)の第2メモリセルと、を有し、第1ビット線対の一方のビット線は、Aa個の第1メモリセル、Ca個の第1メモリセル、およびCb個の第2メモリセルと電気的に接続し、第1ビット線対の他方のビット線は、Ba個の第1メモリセル、Ab個の第2メモリセル、およびBb個の第2メモリセルと電気的に接続し、第2ビット線対の一方のビット線は、Da個の第1メモリセル、Fa個の第1メモリセル、およびFb個の第2メモリセルと電気的に接続し、第2ビット線対の他方のビット線は、Ea個の第1メモリセル、Db個の第2メモリセル、およびEb個の第2メモリセルと電気的に接続し、Da個の第1メモリセルの一部はBa個の第1メモリセルと隣接し、Da個の第1メモリセルの他の一部はCa個の第1メモリセルと隣接し、Db個の第1メモリセルの一部はBb個の第1メモリセルと隣接し、Db個の第1メモリセルの他の一部はCb個の第1メモリセルと隣接する記憶装置である。
【0018】
第1ビット線対および第2ビット線対は、それぞれ複数有してもよい。第1メモリセルは、第1トランジスタと、第1容量素子と、を有し、第2メモリセルは、第2トランジスタと、第2容量素子と、を有してもよい。第1トランジスタおよび第2トランジスタは、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0019】
また、本発明の別の一態様は、第1セルアレイと、第2セルアレイと、第1乃至第4BLfビット線と、第1乃至第4BLsビット線と、第1乃至第4BLBfビット線と、第1乃至第4BLBsビット線と、を有し、第1セルアレイと第2セルアレイは互いに重なる領域を有し、第1セルアレイは、Aa個の第1メモリセルと、Ba個の第1メモリセルと、Ca個の第1メモリセルと、Da個の第1メモリセルと、Ea個の第1メモリセルと、Fa個の第1メモリセルと、Ga個(Gaは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ha個(Haは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ia個(Iaは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ja個(Jaは1以上の整数)の第1メモリセルと、Ka個(Kaは1以上の整数)の第1メモリセルと、La個(Laは1以上の整数)の第1メモリセルと、を有し、第2セルアレイは、Ab個の第2メモリセルと、Bb個の第2メモリセルと、Cb個の第2メモリセルと、Db個の第2メモリセルと、Eb個の第2メモリセルと、Fb個の第2メモリセルと、Gb個(Gbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Hb個(Hbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Ib個(Ibは1以上の整数)の第2メモリセルと、Jb個(Jbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Kb個(Kbは1以上の整数)の第2メモリセルと、Lb個(Lbは1以上の整数)の第2メモリセルと、を有し、第1BLfビット線は、Ba個の第1メモリセルと、Bb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第1BLsビット線は、Ab個の第2メモリセルと電気的に接続され、第1BLBfビット線は、Ca個の第1メモリセルと、Cb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第1BLBsビット線は、Aa個の第1メモリセルと電気的に接続され、第2BLfビット線は、Fa個の第1メモリセルと、Fb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第2BLsビット線は、Db個の第2メモリセルと電気的に接続され、第2BLBfビット線は、Ea個の第1メモリセルと、Eb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第2BLBsビット線は、Da個の第1メモリセルと電気的に接続され、第3BLfビット線は、Ia個の第1メモリセルと、Ib個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第3BLsビット線は、Gb個の第2メモリセルと電気的に接続され、第3BLBfビット線は、Ha個の第1メモリセルと、Hb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第3BLBsビット線は、Ga個の第1メモリセルと電気的に接続され、第4BLfビット線は、Ka個の第1メモリセルと、Kb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第4BLsビット線は、Jb個の第2メモリセルと電気的に接続され、第4BLBfビット線は、La個の第1メモリセルと、Lb個の第2メモリセルと、電気的に接続され、第4BLBsビット線は、Ja個の第1メモリセルと電気的に接続され、Ba個の第1メモリセルと、Ia個の第1メモリセルは、Da個の第1メモリセルの一部と隣接し、Ca個の第1メモリセルと、Ha個の第1メモリセルは、Da個の第1メモリセルの他の一部と隣接し、Ja個の第1メモリセルの一部はIa個の第1メモリセルと隣接し、Ja個の第1メモリセルの他の一部はHa個の第1メモリセルと隣接し、Bb個の第2メモリセルと、Ib個の第2メモリセルは、Db個の第2メモリセルの一部と隣接し、Cb個の第2メモリセルと、Hb個の第2メモリセルは、Db個の第2メモリセルの他の一部と隣接し、Jb個の第2メモリセルの一部はIb個の第2メモリセルと隣接し、Jb個の第2メモリセルの他の一部はHb個の第2メモリセルと隣接する記憶装置である。
【0020】
また、上記記憶装置において、第1センスアンプと、第11乃至第14スイッチと、を有し、第1BLfビット線は、第11スイッチを介して第1センスアンプと電気的に接続され、第1BLsビット線は、第12スイッチを介して第1センスアンプと電気的に接続され、第1BLBfビット線は、第13スイッチを介して第1センスアンプと電気的に接続され、第1BLBsビット線は、第14スイッチを介して第1センスアンプと電気的に接続してもよい。
【0021】
また、上記記憶装置において、第2センスアンプと、第21乃至第24スイッチと、を有し、第2BLfビット線は、第21スイッチを介して第2センスアンプと電気的に接続され、第2BLsビット線は、第22スイッチを介して第2センスアンプと電気的に接続され、第2BLBfビット線は、第23スイッチを介して第2センスアンプと電気的に接続され、第2BLBsビット線は、第24スイッチを介して第2センスアンプと電気的に接続してもよい。
【0022】
また、上記記憶装置において、第3センスアンプと、第31乃至第34スイッチと、を有し、第3BLfビット線は、第31スイッチを介して第3センスアンプと電気的に接続され、第3BLsビット線は、第32スイッチを介して第3センスアンプと電気的に接続され、第3BLBfビット線は、第33スイッチを介して第3センスアンプと電気的に接続され、第3BLBsビット線は、第34スイッチを介して第3センスアンプと電気的に接続してもよい。
【0023】
また、上記記憶装置において、第4センスアンプと、第41乃至第44スイッチと、を有し、第4BLfビット線は、第41スイッチを介して第4センスアンプと電気的に接続され、第4BLsビット線は、第42スイッチを介して第4センスアンプと電気的に接続され、第4BLBfビット線は、第43スイッチを介して第4センスアンプと電気的に接続され、第4BLBsビット線は、第44スイッチを介して第4センスアンプと電気的に接続してもよい。
【0024】
CaはBaの0.8倍以上1.2倍以下が好ましく、CaとBaが同数であるとより好ましい。AbはAaの0.8倍以上1.2倍以下が好ましく、AbとAaが同数であるとより好ましい。BaとCaの合計は、Aaの0.8倍以上1.2倍以下が好ましく、BaとCaの合計がAaと同数であるとより好ましい。IaはBaの0.8倍以上1.2倍以下が好ましく、IaとBaが同数であるとより好ましい。
【0025】
本発明の別の一態様は、第1メモリセルと、第2メモリセルと、第1ビット線と、第2ビット線と、センスアンプと、を有し、第1メモリセルは、第1トランジスタと、第1容量素子と、を有し、第2メモリセルは、第2トランジスタと、第2容量素子と、を有し、第1トランジスタと第2トランジスタは、それぞれの半導体層に酸化物半導体を含み、第1メモリセルは第1ビット線を介してセンスアンプと電気的に接続され、第2メモリセルは第2ビット線を介してセンスアンプと電気的に接続されている記憶装置の動作方法であって、第1トランジスタのゲートに第1電位を供給して、第1容量素子に保持されている電荷を第1ビット線に供給する第1動作を有し、第1動作の期間中、第2トランジスタのゲートに第2電位を供給する記憶装置の動作方法である。
【0026】
第1動作終了後、第1トランジスタのゲートに第3電位を供給してもよい。また、第1トランジスタのゲートに第1電位を供給して、第1ビット線の電荷を第1容量素子に供給する第2動作を有してもよい。第2動作の期間中、第2トランジスタのゲートに第2電位を供給する。第2動作終了後、第1トランジスタのゲートに第3電位を供給してもよい。
【0027】
第1電位は、第1トランジスタのソース電位およびドレイン電位よりも高い電位である。第2電位は、第2トランジスタのソース電位およびドレイン電位よりも低い電位である。第3電位は、第1トランジスタのソース電位およびドレイン電位よりも低い電位である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、ノイズの影響を受けにくい記憶装置を提供することができる。または、集積度の高い記憶装置を提供することができる。または、信頼性の高い記憶装置を提供することができる。または、消費電力の少ない記憶装置を提供することができる。または、新規な記憶装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。
【0029】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図4】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図8】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図9】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図10】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図11】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図12】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図13】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図14】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図17】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図18】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図19】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図20】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図21】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図22】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図23】センスアンプとメモリセルの接続関係を示す図。
【
図26】折り返しビット線方式の記憶装置と開放ビット線方式の記憶装置を示す図。
【
図27】ビット線とセンスアンプを説明する図、およびビット線の電位変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0032】
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするため、図に反映しないことがある。
【0033】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
【0034】
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0035】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0036】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0037】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0038】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。
【0039】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0040】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0041】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0042】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体層の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネルの割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0043】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0044】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
【0045】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0046】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0047】
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0048】
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0049】
また、本明細書等において、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、その後にエッチング工程を行う場合は、特段の説明がない限り、当該レジストマスクは、エッチング工程終了後に除去するものとする。
【0050】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(「VDD」または「H電位」ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(「GND」または「GND電位」ともいう。)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0051】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0052】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
【0053】
(実施の形態1)
本発明の一態様の記憶装置について図面を用いて説明する。
【0054】
はじめに、折り返しビット線方式の記憶装置と、開放ビット線方式の記憶装置について説明しておく。
【0055】
図26(A)は折り返しビット線方式の記憶装置901を説明するブロック図である。記憶装置901は、マトリクス状に配置されたメモリセル911を含むセルアレイ921と、複数のワード線と、複数のビット線と、複数のセンスアンプSAと、を有する。記憶装置901では、複数のビット線が行方向(または列方向)に延在して設けられ、複数のワード線が列方向(または行方向)に延在して設けられている。
【0056】
複数のワード線は、それぞれが複数のビット線対と交差する。複数のビット線は、複数のビット線BLと複数のビット線BLBを含む。
図26(A)では、3本のビット線BL(ビット線BL1乃至ビット線BL3)と3本のビット線BLB(ビット線BLB1乃至ビット線BLB3)を示している。
【0057】
折り返しビット線方式の記憶装置901では、ビット線BLとビット線BLBが交互に設けられている。また、1つのビット線BLと1つのビット線BLBで、1つのビット線対を構成する。記憶装置901では、ビット線BL1とビット線BLB1で構成されたビット線対と、ビット線BL2とビット線BLB2で構成されたビット線対と、ビット線BL3とビット線BLB3で構成されたビット線対と、を示している。また、一つのセンスアンプSAは、一つのビット線対と電気的に接続される。
【0058】
メモリセル911はワード線とビット線の交点近傍に設けられる。ただし、1つのビット線対において、ビット線BLと電気的に接続するメモリセル911と、ビット線BLBと電気的に接続するメモリセル911は、同じワード線と電気的に接続することはできない。よって、折り返しビット線方式の記憶装置では、全ての交点近傍にメモリセルを設けることが出来ない。よって、メモリセルの高集積化が難しい。
【0059】
図26(B)は開放ビット線方式の記憶装置902を説明するブロック図である。開放ビット線方式の記憶装置902では、ビット線BLがセルアレイ921aに設けられ、ビット線BLBがセルアレイ921bに設けられている。また、セルアレイ921aとセルアレイ921bのそれぞれに、複数のワード線が設けられている。
【0060】
開放ビット線方式の記憶装置902では、ビット線BLとビット線BLBが異なるセルアレイに設けられ、セルアレイ毎にワード線が設けられているため、全ての交点近傍にメモリセルを設けることが出来る。よって、セルアレイの高集積化が容易となる。
【0061】
メモリセル911が保持している情報の読み出しは、センスアンプSAで行なわれる。ワード線によって特定のメモリセル911が選択されると、選択されたメモリセル911の情報がビット線(ビット線BLまたはビット線BLB)に供給され、当該ビット線の電位が変動する。センスアンプSAは、ビット線BLとビット線BLBの電位差を増幅して出力する。
【0062】
図27(A1)に記憶装置901のビット線とセンスアンプSAを示す。
図27(A2)は、ビット線の電位変化を示すタイミングチャートである。
【0063】
それぞれのビット線は寄生容量を介して容量結合している。例えば、ビット線BLB1とビット線BL2の間には寄生容量CpAが存在する。このため、情報の書き込みによりビット線BLB1の電位が反転すると、隣接するビット線BL2の電位も変動する場合がある。
【0064】
図27(A2)を用いて記憶装置901の誤動作について説明する。期間T0において、ビット線BL1およびビット線BLB2がH電位よりも少し低い電位であり、ビット線BLB1およびビット線BL2がL電位よりも少し高い電位であるとする。期間T1において、ビット線BLB1にH電位が供給されると、寄生容量CpAを介して容量結合しているビット線BL2の電位も上昇し、ビット線BLB2の電位よりも高くなる場合がある。センスアンプSAは僅かな電位差も増幅するため、ビット線BL2を含むビット線対では間違った情報が読み出される。すなわち、ビット線BLB1の電位変動がノイズとしてビット線BL2に作用する。
【0065】
ビット線BL2とビット線BLB2を交差させることで、ノイズの影響を軽減することができる。本明細書等では、ビット線BLとビット線BLBの交差部を有するビット線対を「交差ビット線対」という。
図27(B1)は、交差ビット線対を有する記憶装置901のビット線とセンスアンプSAを示す図である。また、
図27(B2)は、交差ビット線対の電位変化を示すタイミングチャートである。
【0066】
図27(B1)は、ビット線BL2とビット線BLB2を含むビット線対が交差ビット線対である。
図27(B1)に示す交差ビット線対は3つの交差部931を有し、ビット線BL2の一部と、ビット線BLB2の一部がビット線BLB1と隣接している。具体的には、ビット線BL2の領域D1および領域D2と、ビット線BLB2の領域DB1および領域DB2がビット線BLB1と隣接している。
【0067】
前述した通り、ビット線BLB1とビット線BL2の間には寄生容量CpAが存在する。同様に、ビット線BLB1とビット線BLB2の間の寄生容量を寄生容量CpBとする。寄生容量CpAの容量値は、例えば、領域D1の長さと領域D2の長さの合計に比例する。同様に、寄生容量CpBの容量値は、領域DB1の長さと領域DB2の長さの合計に比例する。寄生容量CpAの容量値と寄生容量CpBの容量値は、同じであることが好ましい。よって、ビット線BL2のビット線BLB1と隣接する領域の長さの合計(領域D1および領域D2の長さの合計)と、ビット線BLB2のビット線BLB1と隣接する領域の長さの合計(領域DB1および領域DB2の長さの合計)は同じであることが好ましい。
【0068】
なお、寄生容量CpAの容量値は、領域D1に接続するメモリセルの数と領域D2に接続するメモリセルの数の合計にも比例する。同様に寄生容量CpBの容量値は、領域DB1に接続するメモリセルの数と領域DB2に接続するメモリセルの数の合計にも比例する。よって、領域D1に接続するメモリセルの数と領域D2に接続するメモリセルの数の合計と、領域DB1に接続するメモリセルの数と領域DB2に接続するメモリセルの数の合計は同じであることが好ましい。
【0069】
図27(B2)を用いて交差ビット線対の電位変化を説明する。期間T0において、ビット線BL1およびビット線BLB2がH電位よりも少し低い電位であり、ビット線BLB1およびビット線BL2がL電位よりも少し高い電位であるとする。期間T1において、ビット線BLB1にH電位が供給されると、寄生容量CpAを介して容量結合しているビット線BL2の電位が上昇する。また、寄生容量CpBを介して容量結合しているビット線BLB2の電位も上昇する。このように、交差ビット線対では、ビット線BL2およびビット線BLB2共に電位が上昇する。よって、両者の電位差は、ノイズの影響を受けてもほとんど変わらない。
【0070】
折り返しビット線方式の記憶装置では、交差ビット線対と非交差ビット線対を交互に設けることで、ノイズによる誤動作を防ぎ、記憶装置の信頼性を高めることができる。一方で、開放ビット線(オープンビット線)方式の記憶装置では、1つのビット線対に含まれるビット線BLとビット線BLBが同一平面上の異なるセルアレイに存在するため、交差ビット線対を実現できない。
【0071】
<<記憶装置100>>
図1は、本発明の一態様である記憶装置100の構成例を示すブロック図である。
【0072】
記憶装置100は、入出力回路111(IO Circuit)、制御回路112(Controller)、I2Cレシーバ113(I2C Receiver)、設定レジスタ114(Setting Register)、LVDS回路115、LVDS回路116、デコーダ117(Decoder)、記憶ブロックアレイ210(Memory Block Array)を有する。
【0073】
また、制御回路112は、レジスタ118(Reg_r)、およびレジスタ119(Reg_w)を有する。また、記憶ブロックアレイ210は、n個(nは1以上の整数。)の記憶ブロック211(Memory Block)を有する。本明細書等では、1個目の記憶ブロック211を記憶ブロック211_1と示し、i個目(iは1以上n以下の整数。)の記憶ブロック211を記憶ブロック211_iと示している。
【0074】
入出力回路111は、外部機器と信号の受け渡しを行なう機能を有する。記憶装置100の動作条件などは、設定レジスタ114に記憶されている設定パラメータにより決定される。設定パラメータは、入出力回路111およびI2Cレシーバ113を介して設定レジスタ114に書き込まれる。なお、目的または用途などに応じてI2Cレシーバ113は省略してもよい。
【0075】
設定パラメータの一例として、リフレッシュ動作の実行間隔や回路動作の動作タイミングなどの指定情報などがある。制御回路112は設定パラメータおよび外部からのコマンド信号を処理して記憶装置100の動作モードを決定する機能を有する。制御回路112は、色々な制御信号を生成して、記憶装置100全体の動作を制御する機能を有する。
【0076】
また、外部から入出力回路111を介して制御回路112に、リセット信号res、アドレス信号ADDR[16:0]、行アドレス識別信号RAS(Row Address Strobe)、列アドレス識別信号CAS(Column Address Strobe)、書き込み制御信号WE(Write Enable)、データ書き込み用クロック信号clk_t、書き込みデータWDATA[7:0]などが供給される。データ書き込み用クロック信号clk_tは、転送回路LVDS_rxを介して制御回路112に供給される。
【0077】
また、制御回路112から入出力回路111に、データ読み出し用クロック信号clk_w、読み出しデータRDATA[7:0]が供給される。データ読み出し用クロック信号clk_wは、転送回路LVDS_txを介して入出力回路111に供給される。転送回路LVDS_rxおよび転送回路LVDS_txは、LVDS(Low voltage differential signaling)規格で動作する転送回路である。なお、目的または用途などに応じて、転送回路LVDS_rxおよび転送回路LVDS_txの一方または双方を省略してもよい。
【0078】
書き込みデータWDATA[7:0]は、データ書き込み用クロック信号clk_tに同期して転送され、制御回路112内のレジスタ119に保持される。制御回路112はレジスタ119に保持されているデータを記憶ブロックアレイ210に供給する機能を有する。
【0079】
また、記憶ブロックアレイ210から読み出されたデータは、読み出しデータRDATA[7:0]として制御回路112内のレジスタ118に保持される。制御回路112は、読み出しデータRDATA[7:0]をデータ読み出し用クロック信号clk_wに同期して入出力回路111に転送する機能を有する。
【0080】
また、制御回路112は、列アドレス信号C_ADDR、列選択イネーブル信号CSEL_EN、データラッチ信号DLAT、グローバル書き込み許可信号GW_EN、グローバル読み出し許可信号GR_EN、グローバルセンスアンプ許可信号GSA_EN、グローバルイコライズ許可信号GEQ_ENB、ローカルセンスアンプ許可信号LSA_EN、ローカルイコライズ許可信号LEQ_ENB、およびワード線アドレス選択信号WL_ADDR[7:0]などを出力する機能を有する。
【0081】
列アドレス信号C_ADDRおよび列選択イネーブル信号CSEL_ENはデコーダ117に供給される。
【0082】
<記憶ブロック>
図2(A)は記憶ブロック211_i(Memory Block)の構成例を示すブロック図である。
図2(B)は、記憶ブロック211_iに含まれる、ローカルセンスアンプアレイ214、セルアレイ221a、およびセルアレイ221bの構成例を示す斜視ブロック図である。また、
図2(B)などに、X方向、Y方向、およびZ方向を示す矢印を付している。X方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれが互いに直交する方向である。
【0083】
記憶ブロック211_iは、ワード線ドライバ212(WL Driver)、ローカルセンスアンプドライバ213(LSA Driver)、ローカルセンスアンプアレイ214、グローバルセンスアンプ215(Global SA)、読み出し書き込みセレクタ216(R/W Selector)、セルアレイ221a(Cell Array)、およびセルアレイ221b(Cell Array)を有する。
【0084】
データラッチ信号DLAT、グローバル書き込み許可信号GW_EN、およびグローバル読み出し許可信号GR_ENは、読み出し書き込みセレクタ216に供給される。グローバルセンスアンプ許可信号GSA_ENおよびグローバルイコライズ許可信号GEQ_ENBは、グローバルセンスアンプ215に供給される。ローカルセンスアンプ許可信号LSA_ENおよびローカルイコライズ許可信号LEQ_ENBはローカルセンスアンプアレイ214に供給される。ワード線アドレス選択信号WL_ADDR[7:0]は、ワード線ドライバ212に供給される。
【0085】
ローカルセンスアンプアレイ214(Local Sense Amplifiers Array)は、f行g列(fおよびgは、共に1以上の整数)のマトリクス状に配置された複数のセンスアンプ127(Sense Amplifier)を有する。本明細書などでは、1行1列目のセンスアンプ127をセンスアンプ127[1,1]と示す。また、k行h列目(kは1以上f以下の整数。hは1以上g以下の整数。)のセンスアンプ127をセンスアンプ127[k,h]と示す。
【0086】
セルアレイ221aはローカルセンスアンプアレイ214の上方に重ねて設けられ、セルアレイ221bはセルアレイ221aの上方に重ねて設けられている。セルアレイ221aおよびセルアレイ221bをローカルセンスアンプアレイ214の上方に重ねて設けることで、ビット線の配線長を短くすることが出来る。また、セルアレイ221aとセルアレイ221bを重ねて設けることで、メモリセルの実装密度を高めることができる。
【0087】
セルアレイ221aは、p行q列(pおよびqは、共に1以上の整数)のマトリクス状に配置された複数のメモリセル10aを有する。セルアレイ221bは、p行q列のマトリクス状に配置された複数のメモリセル10bを有する。また、セルアレイ221aは、X方向(行方向)に延在するp本のワード線WLaを有する(
図2(B)に図示せず。)。また、セルアレイ221bは、X方向(行方向)に延在するp本のワード線WLbを有する(
図2(B)に図示せず。)。なお、本明細書などでは、j本目(jは1以上p以下の整数。)のワード線WLaをワード線WLa[j]と示し、j本目のワード線WLbをワード線WLb[j]と示す。
【0088】
1つのメモリセル10aは、ワード線WLaのいずれか1つと電気的に接続される。また、1つのメモリセル10bは、ワード線WLbのいずれか1つと電気的に接続される。
【0089】
図3および
図4は、センスアンプ127、メモリセル10a、およびメモリセル10bの接続関係を示す斜視ブロック図である。
図3および
図4では、記憶ブロック211に含まれる、ローカルセンスアンプアレイ214の一部、セルアレイ221aの一部、およびセルアレイ221bの一部を示している。
図3および
図4に示すセンスアンプ127は、2セル幅型のセンスアンプである。本明細書等において、「2セル幅型のセンスアンプ」とは、X方向の長さが、おおよそメモリセル2つ分に相当するセンスアンプのことを言う。
【0090】
図3は、センスアンプ127[k,h]、センスアンプ127[k-1,h]、およびセンスアンプ127[k+1,h]と、これらのセンスアンプ127と電気的に接続するメモリセル10aおよびメモリセル10bを示している。なお、
図3では、一例として、1つのセンスアンプ127に、12個のメモリセル10aと12個のメモリセル10bが電気的に接続される場合を示している。ただし、1つのセンスアンプ127と電気的に接続するメモリセル10aおよびメモリセル10bの数はこれに限定されない。
【0091】
図4は、センスアンプ127とメモリセル10aおよびメモリセル10bの接続関係を示す斜視ブロック図である。
図4では、センスアンプ127[k,h]と電気的に接続するメモリセルと、センスアンプ127[k+1,h]と電気的に接続するメモリセルと、を示している。なお、
図4では、ワード線WLaとワード線WLbの記載を省略している。また、
図5は、センスアンプ127[k,h]およびセンスアンプ127[k+1,h]と、それぞれに対応するビット線BLおよびビット線BLBを示した図である。
【0092】
1つのセンスアンプ127は、1つのビット線対と電気的に接続される。ビット線対に含まれるビット線BLとビット線BLBのうち、ビット線BLはセンスアンプ127のノードNDと電気的に接続され、ビット線BLBはセンスアンプ127のノードNDBと電気的に接続される。センスアンプ127は、ビット線BLとビット線BLBの電位差を増幅する機能を有する。
【0093】
本明細書などでは、センスアンプ127[k,h]と電気的に接続するビット線BLをビット線BL[k,h]と示す。また、センスアンプ127[k,h]と電気的に接続するビット線BLBをビット線BLB[k,h]と示す。また、センスアンプ127[k,h]のノードNDをノードND[k,h]と示す。また、センスアンプ127[k,h]のノードNDBをノードNDB[k,h]と示す。
【0094】
1つのメモリセル10aは、ビット線BLのいずれか1つもしくはビット線BLBのいずれか1つと電気的に接続する。また、1つのメモリセル10bは、ビット線BLのいずれか1つまたはビット線BLBのいずれか1つと電気的に接続する。
【0095】
セルアレイ221aは、A個(Aは1以上の整数)のメモリセル10aを有するメモリセル群51aと、B個(Bは1以上の整数)のメモリセル10aを有するメモリセル群52aと、C個(Cは1以上の整数)のメモリセル10aを有するメモリセル群53aと、を有する。
【0096】
セルアレイ221bは、D個(Dは1以上の整数)のメモリセル10bを有するメモリセル群51bと、E個(Eは1以上の整数)のメモリセル10bを有するメモリセル群52bと、F個(Fは1以上の整数)のメモリセル10bを有するメモリセル群53bと、を有する。
【0097】
メモリセル群51aおよびメモリセル群53aに含まれるメモリセル10a、ならびにメモリセル群53bに含まれるメモリセル10bは、それぞれがビット線BLBと電気的に接続される。
【0098】
メモリセル群51bおよびメモリセル群52bに含まれるメモリセル10b、ならびにメモリセル群52aに含まれるメモリセル10aは、それぞれがビット線BLと電気的に接続される。
【0099】
よって、ビット線BLは、セルアレイ221aにおいてメモリセル10aと電気的に接続する領域と、セルアレイ221bにおいてメモリセル10bと電気的に接続する領域と、を有する。同様に、ビット線BLBは、セルアレイ221aにおいてメモリセル10aと電気的に接続する領域と、セルアレイ221bにおいてメモリセル10bと電気的に接続する領域と、を有する。
【0100】
また、本明細書などでは、ビット線BL[k,h]またはビット線BLB[k,h]を介して、センスアンプ127[k,h]と電気的に接続するメモリセル群51aをメモリセル群51a[k,h]と示す。また、メモリセル群52a、メモリセル群53a、メモリセル群51b、メモリセル群52b、およびメモリセル群53bも同様に示す。
【0101】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+1,h]は、メモリセル群52a[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLB[k+1,h]は、ビット線BL[k,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0102】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51a[k+1,h]は、メモリセル群52a[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53a[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをZ方向から見ると、ビット線BLB[k+1,h]は、ビット線BL[k,h]と隣接する領域と、ビット線BLB[k,h]と隣接する領域と、を有する。
【0103】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+1,h]は、メモリセル群52b[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、ビット線BL[k+1,h]は、ビット線BL[k,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0104】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群51b[k+1,h]は、メモリセル群52b[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53b[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをZ方向から見ると、ビット線BL[k+1,h]は、ビット線BL[k,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0105】
ビット線BLの寄生容量およびビット線BLBの寄生容量は、それぞれのビット線に電気的に接続するメモリセルの数によって変化する。
【0106】
また、セルアレイ221aにおいて、ビット線BL[k,h]とビット線BLB[k+1,h]の間に生じる寄生容量Cpa1と、ビット線BLB[k,h]とビット線BLB[k+1,h]の間に生じる寄生容量Cpa2の容量値は、同じであることが好ましい(
図5参照。)。具体的には、寄生容量Cpa1の容量値が寄生容量Cpa2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。寄生容量Cpa1と寄生容量Cpa2の容量値を同じにする、もしくは、近づけることで、ノイズの影響をより受けにくくすることが出来る。
【0107】
よって、メモリセル群52a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるBと、メモリセル群53a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるCは、同じであることが好ましい。具体的には、CはBの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0108】
この場合、寄生容量Cpa1は、
図27(B1)に示した寄生容量CpAまたは寄生容量CpBの一方に相当し、寄生容量Cpa2が他方に相当する。
【0109】
また、セルアレイ221bにおいて、ビット線BL[k,h]とビット線BL[k+1,h]の間に生じる寄生容量Cpb1と、ビット線BLB[k,h]とビット線BL[k+1,h]の間に生じる寄生容量Cpb2の容量値は、同じであることが好ましい。具体的には、寄生容量Cpb1の容量値が寄生容量Cpb2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。寄生容量Cpb1と寄生容量Cpb2の容量値を同じにする、もしくは、近づけることで、ノイズの影響をより受けにくくすることが出来る。
【0110】
よって、メモリセル群52b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるEと、メモリセル群53b[k,h]が有するメモリセル10aの数であるFは、同じであることが好ましい。具体的には、FはEの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0111】
この場合、寄生容量Cpb1は、
図27(B1)に示した寄生容量CpAまたは寄生容量CpBの一方に相当し、寄生容量Cpb2が他方に相当する。
【0112】
また、ビット線BL[k,h]がビット線BL[k+1,h]及びビット線BLB[k+1,h]からノイズの影響を受ける場合がある。この場合、寄生容量Cpa1と寄生容量Cpb1との容量値は、同じであることが好ましい。具体的には、寄生容量Cpa1の容量値が寄生容量Cpb1の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。寄生容量Cpa1と寄生容量Cpb1の容量値を同じにする、もしくは、近づけることで、ノイズの影響をより受けにくくすることが出来る。
【0113】
よって、メモリセル群52a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるBと、メモリセル群52b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるEは、同じであることが好ましい。具体的には、EはBの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0114】
この場合、寄生容量Cpa1は、
図27(B1)に示した寄生容量CpAまたは寄生容量CpBの一方に相当し、寄生容量Cpb1が他方に相当する。
【0115】
また、ビット線BLB[k,h]がビット線BL[k+1,h]及びビット線BLB[k+1,h]からノイズの影響を受ける場合がある。この場合、寄生容量Cpa2と寄生容量Cpb2との容量値は、同じであることが好ましい。具体的には、寄生容量Cpa2の容量値が寄生容量Cpb2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。寄生容量Cpa2と寄生容量Cpb2の容量値を同じにする、もしくは、近づけることで、ノイズの影響をより受けにくくすることが出来る。
【0116】
よって、メモリセル群53a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるCと、メモリセル群53b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるFは、同じであることが好ましい。具体的には、FはCの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0117】
この場合、寄生容量Cpa2は、
図27(B1)に示した寄生容量CpAまたは寄生容量CpBの一方に相当し、寄生容量Cpb2が他方に相当する。
【0118】
メモリセル群51a[k+1,h]が有するメモリセル10aの数であるAは、メモリセル群52a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるBと、メモリセル群53a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるCの合計と同じであることが好ましい。具体的には、BとCの合計がAの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0119】
また、メモリセル群52a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるBと、メモリセル群53a[k,h]が有するメモリセル10aの数であるCは、同じもしくは同程度であることが好ましい。具体的には、BはCの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0120】
また、メモリセル群52b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるEと、メモリセル群53b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるFは、同じもしくは同程度であることが好ましい。具体的には、EはFの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0121】
また、メモリセル群51b[k+1,h]が有するメモリセル10bの数であるDは、メモリセル群52b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるEと、メモリセル群53b[k,h]が有するメモリセル10bの数であるFの合計と同じであることが好ましい。具体的には、EとFの合計がDの0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0122】
本発明の一態様によれば、交差ビット線対方式で生じる交差部を設けることなく、交差ビット線対方式と同様のノイズ低減効果が得られる。すなわち、記憶装置100の信頼性とメモリセルの実装密度を共に高めることができる。
【0123】
〔メモリセル〕
図6(A)に、メモリセル10aおよびメモリセル10bに用いることができる回路構成例を示す。メモリセル10aおよびメモリセル10bは、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、フロントゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある。)、およびバックゲートを有する。バックゲートは、ゲートとバックゲートで半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。バックゲートの電位を変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。バックゲートの電位はゲートと同電位としてもよく、接地電位GNDなど任意の固定電位としてもよい。
【0124】
トランジスタM1のソースまたはドレインの一方は、容量素子CAの一方の電極と電気的に接続され、トランジスタM1のソースまたはドレインの他方は、ビット線BLまたはビット線BLBの一方と電気的に接続され、トランジスタM1のゲートは、ワード線WLaまたはワード線WLbの一方と電気的に接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと電気的に接続されている。容量素子CAの他方の電極は、配線CALと電気的に接続されている。
【0125】
配線CALは、容量素子CAの他方の電極に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、および読み出し時において、配線CALには、低レベル電位(基準電位という場合がある。)を印加するのが好ましい。
【0126】
配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
【0127】
データの書き込みおよび読み出しは、ワード線WLaおよび/またはワード線WLbにトランジスタM1を導通状態(オン状態)とする電位を供給し、トランジスタM1を導通状態にして、ビット線BLまたはビット線BLBと容量素子CAの一方の電極を電気的に接続することによって行われる。
【0128】
また、
図6(B)に示す回路構成例をメモリセル10aおよびメモリセル10bに用いてもよい。
図6(B)に示す回路構成例では、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、ワード線WLaまたはワード線WLbと電気的に接続されている。このような構成にすることによって、トランジスタM1のバックゲートに、トランジスタM1のゲートと同じ電位を印加することができるため、トランジスタM1がオン状態の時にトランジスタM1のソースとドレインの間に流れる電流(オン電流)を増加することができる。
【0129】
また、トランジスタM1は、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタであってもよい。トランジスタM1にシングルゲート構造のトランジスタを用いた場合の回路構成例を
図6(C)に示す。
図6(C)に示すトランジスタM1はバックゲートを有さないため、メモリセルの作製工程を短縮することができる。
【0130】
なお、トランジスタM1として、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、チャネルが形成される半導体層として、インジウム、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズ)、亜鉛のいずれか一を有する酸化物半導体を用いることができる。特に、OSトランジスタの半導体層として、インジウム、ガリウム、亜鉛からなる酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0131】
インジウム、ガリウム、亜鉛を含む酸化物半導体を適用したOSトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特性を有している。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に低くすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。また、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に低いため、メモリセルに対して多値データ、またはアナログデータを保持することができる。
【0132】
ここで、トランジスタの電気特性の1つであるId-Vg特性の温度依存性について説明しておく。
図7(A)および
図7(B)に、トランジスタの電気特性の1つであるId-Vg特性の一例を示す。Id-Vg特性は、ゲート電圧(Vg)の変化に対するドレイン電流(Id)の変化を示す。
図7(A)および
図7(B)の横軸は、Vgをリニアスケールで示している。また、
図7(A)および
図7(B)の縦軸は、Idをログスケールで示している。
【0133】
図7(A)は、OSトランジスタのId-Vg特性を示している。
図7(B)は、チャネルが形成される半導体層にシリコンを用いたトランジスタ(「Siトランジスタ」ともいう。)のId-Vg特性を示している。なお、
図7(A)および
図7(B)は、どちらもnチャネル型トランジスタのId-Vg特性である。
【0134】
OSトランジスタおよびSiトランジスタともに、Vthは高温になるほどマイナス方向にシフトし、サブスレッショルド係数は高温になるほど増大するという性質を有する。その結果、高温になるほどVgが0Vの時のId(「カットオフ電流」ともいう)が増加する。
【0135】
OSトランジスタは高温下の動作においてもオフ電流が増加しにくい(
図7(A)参照。)。また、OSトランジスタは、動作温度の上昇とともにオン電流が増加する。一方で、Siトランジスタは、温度の上昇とともに、オフ電流が増加し、オン電流が低下する(
図7(B)参照。)。
【0136】
図7(A)に示すように、OSトランジスタは、Vgを負電圧にすることで高温下においてもオフ電流を低減することができる。よって、トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることで、高温下の動作においてもトランジスタM1を含む半導体装置全体の消費電力を下げることができる。
【0137】
本明細書等において、OSトランジスタを用いたDRAMを、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)呼ぶ。トランジスタM1としてOSトランジスタを適用することにより、DOSRAMを構成することができる。
【0138】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0139】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した記憶ブロック211の変形例を説明する。本実施の形態に無い説明については、上記実施の形態を参酌すればよい。
【0140】
前述したように、セルアレイ221aとセルアレイ221bを積層することで、メモリセルの実装密度を2倍にすることができる。ただし、センスアンプ127と電気的に接続するメモリセルの総数も2倍になるため、ビット線BLおよびビット線BLBに生じる寄生容量も増加する。該寄生容量はセンスアンプ127の負荷になるため、該寄生容量の増加は、センスアンプ127の不安定動作や、記憶装置100の動作速度低下の一因となりえる。
【0141】
<構成例>
本実施の形態では、ビット線BLおよびビット線BLBに生じる寄生容量を低減する構成を、
図8を用いて説明する。
図8では、ローカルセンスアンプアレイ214の一部、セルアレイ221aの一部、およびセルアレイ221bの一部を抜粋して示している。
【0142】
図8に示す構成では、ビット線BLに換えて、第1ビット線BLfと第2ビット線BLsを設け、ビット線BLBに換えて、第1ビット線BLBfと第2ビット線BLBsを設けている。すなわち、ビット線BLを第1ビット線BLfと第2ビット線BLsに分割し、ビット線BLBを第1ビット線BLBfと第2ビット線BLBsに分割して設ける。
【0143】
本実施の形態などでは、センスアンプ127[k,h]と電気的に接続する第1ビット線BLfを第1ビット線BLf[k,h]と示す。第2ビット線BLs、第1ビット線BLBf、および第2ビット線BLBsも同様に示す。
【0144】
また、センスアンプ127にスイッチ231乃至スイッチ234を設ける。本実施の形態などでは、センスアンプ127[k,h]が有するスイッチ231をスイッチ231[k,h]と示す。スイッチ232乃至スイッチ234も同様に示す。
【0145】
第1ビット線BLf[k,h]は、メモリセル群52a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k,h]は、スイッチ231[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。なお、
図8ではメモリセル群を明示していないが、メモリセル群については
図4を参酌すればよい。
【0146】
第2ビット線BLs[k,h]は、メモリセル群51b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k,h]は、スイッチ232[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。
【0147】
第1ビット線BLBf[k,h]は、メモリセル群53a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k,h]は、スイッチ233[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。
【0148】
第2ビット線BLBs[k,h]は、メモリセル群51a[k,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k,h]は、スイッチ234[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。
【0149】
スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとしては、例えば電気的スイッチまたは機械的なスイッチなどを用いることができる。例えば、スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとして、トランジスタ、MEMSなどを用いることができる。なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、該トランジスタの極性は特に限定されない。
【0150】
スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとしては、複数のトランジスタを組み合わせた論理回路を用いてもよい。例えば、論理回路として相補型の論理回路(Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタを用いた論理回路)を用いてもよい。
【0151】
<動作例>
例えば、メモリセル群51a[k,h]に含まれるメモリセル10aおよびメモリセル群51b[k,h]に含まれるメモリセル10bのいずれかにデータの書き込みまたは読み出しを行なう場合、スイッチ231[k,h]およびスイッチ233[k,h]をオフ状態(非導通状態)とし、スイッチ232[k,h]およびスイッチ234[k,h]をオン状態(導通状態)とする(
図9参照。)。
【0152】
言い換えると、ワード線WLa[j-6]乃至ワード線WLa[j-1]およびワード線WLb[j-6]乃至ワード線WLb[j-1]のいずれかが選択される場合は、スイッチ231[k,h]およびスイッチ233[k,h]をオフ状態とし、スイッチ232[k,h]およびスイッチ234[k,h]をオン状態とする。
【0153】
また、例えば、メモリセル群52a[k,h]に含まれるメモリセル10a、メモリセル群52b[k,h]に含まれるメモリセル10b、メモリセル群53a[k,h]に含まれるメモリセル10a、メモリセル群53b[k,h]に含まれるメモリセル10bのいずれかにデータの書き込みまたは読み出しを行なう場合、スイッチ232[k,h]およびスイッチ234[k,h]をオフ状態とし、スイッチ231[k,h]およびスイッチ233[k,h]をオン状態とする(
図10参照。)。
【0154】
言い換えると、ワード線WLa[j]乃至ワード線WLa[j+5]およびワード線WLb[j]乃至ワード線WLb[j+5]のいずれかが選択される場合は、スイッチ232[k,h]およびスイッチ234[k,h]をオフ状態とし、スイッチ231[k,h]およびスイッチ233[k,h]をオン状態とする。
【0155】
なお、実際には、選択されたワード線WL(ワード線WLaおよびワード線WLbのいずれか一つ。)と電気的に接続する全てのメモリセルのデータを保存するため、これらのメモリセルと電気的に接続するセンスアンプ127は全て動作させる必要がある。本実施の形態では、ワード線WLa[j]乃至ワード線WLa[j+5]およびワード線WLb[j]乃至ワード線WLb[j+5]のいずれかが選択された場合に、k行目に配置された全てのセンスアンプ127と、k+1行目に配置された全てのセンスアンプ127を動作させる必要がある。
【0156】
図11では、ワード線WLa[j]乃至ワード線WLa[j+5]およびワード線WLb[j]乃至ワード線WLb[j+5]のいずれかが選択された場合に、センスアンプ127[k,h]と同時にセンスアンプ127[k+1,h]も動作させる様子を示している。具体的には、センスアンプ127[k,h]が有するスイッチ232[k,h]およびスイッチ234[k,h]をオフ状態、スイッチ231[k,h]およびスイッチ233[k,h]をオン状態とし、センスアンプ127[k+1,h]が有するスイッチ231[k+1,h]およびスイッチ233[k+1,h]をオフ状態、スイッチ232[k+1,h]およびスイッチ234[k+1,h]をオン状態とする。
【0157】
ビット線BLおよびビット線BLBを分割して設け、選択するワード線WL(ワード線WLaおよびワード線WLb)のアドレスに応じてスイッチ231乃至スイッチ234のオン状態とオフ状態を制御することで、センスアンプ127の負荷である寄生容量を低減することができる。本実施の形態では、センスアンプ127の負荷である寄生容量を半減させることができる。
【0158】
なお、スイッチ231乃至スイッチ234の動作は、ローカルセンスアンプドライバ213によって制御される。
【0159】
本発明の一態様によれば、センスアンプ動作の安定性を高めることができる。よって、記憶装置100の信頼性を高めることができる。または、本発明の一態様によれば、センスアンプ127の動作速度を高めることができる。よって、記憶装置100の動作速度を高めることができる。
【0160】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0161】
(実施の形態3)
本実施の形態では、記憶ブロック211の変形例として、4セル幅型のセンスアンプ127であるセンスアンプ127A、メモリセル10a、およびメモリセル10bの接続例について説明する。本明細書等において、「4セル幅型のセンスアンプ」とは、X方向の長さが、おおよそメモリセル4つ分に相当するセンスアンプのことを言う。
【0162】
また、説明の繰り返しを減らすため、主に上記実施の形態と異なる事柄について説明する。本実施の形態に無い説明については、上記実施の形態を参酌すればよい。
【0163】
〔構成例〕
図12および
図13は、センスアンプ127A、メモリセル10a、およびメモリセル10bの接続関係を示す斜視ブロック図である。なお、センスアンプ127と同様に、k行h列目のセンスアンプ127Aをセンスアンプ127A[k,h]と示す。
【0164】
図12は、センスアンプ127A[k-2,h]、センスアンプ127A[k-1,h]、センスアンプ127A[k,h]、センスアンプ127A[k+1,h]、センスアンプ127A[k+2,h]、およびセンスアンプ127A[k+3,h]と、これらのセンスアンプ127Aのいずれかと電気的に接続するメモリセルと、を示した図である。
【0165】
なお、
図12では、一例として、1つのセンスアンプ127Aに、12個のメモリセル10aと12個のメモリセル10bが電気的に接続される場合を示している。ただし、1つのセンスアンプ127Aと電気的に接続するメモリセル10aおよびメモリセル10bの数はこれに限定されない。
【0166】
図13は、センスアンプ127Aとメモリセル10aおよびメモリセル10bの接続関係を示すための斜視ブロック図である。
図13は、センスアンプ127A[k,h]乃至センスアンプ127A[k+3,h]のいずれかと電気的に接続するメモリセルを示した図である。なお、
図13では、ワード線WLaとワード線WLbの記載を省略している。
図14は、
図13に示す部位281の拡大図である。
図15は、セルアレイ221bの一部をZ方向から見た図である。また、
図16は、センスアンプ127A[k,h]乃至センスアンプ127A[k+3,h]と、それぞれに対応するビット線BLおよびビット線BLBを示した図である。
【0167】
1つのセンスアンプ127Aは、1つのビット線対と電気的に接続される。ビット線対に含まれるビット線BLとビット線BLBのうち、ビット線BLはセンスアンプ127AのノードNDと電気的に接続され、ビット線BLBはセンスアンプ127AのノードNDBと電気的に接続される。センスアンプ127Aは、ビット線BLとビット線BLBの電位差を増幅する機能を有する。
【0168】
なお、上記実施の形態と同様に本実施の形態においても、ビット線BL[k,h]またはビット線BLB[k,h]を介して、センスアンプ127A[k,h]と電気的に接続するメモリセル群51aをメモリセル群51a[k,h]と示す。また、メモリセル群52a、メモリセル群53a、メモリセル群51b、メモリセル群52b、およびメモリセル群53bも同様に示す。
【0169】
また、
図13および
図14において、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLB[k+2,h]は、ビット線BL[k,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0170】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+3,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLB[k+3,h]は、ビット線BL[k+1,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0171】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]およびメモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]およびメモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0172】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+3,h]は、メモリセル群52a[k,h]およびメモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]およびメモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0173】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53a[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをZ方向から見ると、ビット線BLB[k+2,h]は、ビット線BL[k,h]と隣接する領域と、ビット線BLB[k,h]と隣接する領域と、を有する。
【0174】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51a[k+3,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]と隣接する領域と、メモリセル群53a[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをZ方向から見ると、ビット線BLB[k+3,h]は、ビット線BL[k+1,h]と隣接する領域と、ビット線BLB[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。
【0175】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群52a[k+1,h]とメモリセル群52a[k,h]は、メモリセル群51a[k+2,h]を介して隣接する。また、メモリセル群53a[k+1,h]とメモリセル群53a[k,h]は、メモリセル群51a[k+2,h]を介して隣接する。
【0176】
また、
図13および
図14において、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLB[k+2,h]は、ビット線BL[k,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0177】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+3,h]は、メモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、ビット線BL[k+3,h]は、ビット線BL[k+1,h]と重なる領域と、ビット線BLB[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0178】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]およびメモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]およびメモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0179】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+3,h]は、メモリセル群52b[k,h]およびメモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]およびメモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0180】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53b[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをZ方向から見ると、ビット線BL[k+2,h]は、ビット線BL[k,h]と隣接する領域と、ビット線BLB[k,h]と隣接する領域と、を有する。
【0181】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群51b[k+3,h]は、メモリセル群52b[k+1,h]と隣接する領域と、メモリセル群53b[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをZ方向から見ると、ビット線BL[k+3,h]は、ビット線BL[k+1,h]と隣接する領域と、ビット線BLB[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。
【0182】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群52b[k+1,h]とメモリセル群52b[k,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]を介して隣接する。また、メモリセル群53b[k+1,h]とメモリセル群53b[k,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]を介して隣接する。
【0183】
図15(A)および(B)は、セルアレイ221bの一部をZ方向から見た図である。
図15(A)は、メモリセル群51b[k+2,h]、メモリセル群52b[k+2,h]、およびメモリセル群53b[k+2,h]、ならびに、メモリセル群51b[k+3,h]、メモリセル群52b[k+3,h]、およびメモリセル群53b[k+3,h]を示している。
図15(B)は、メモリセル群51b[k,h]、メモリセル群52b[k,h]、およびメモリセル群53b[k,h]、ならびに、メモリセル群51b[k+1,h]、メモリセル群52b[k+1,h]、およびメモリセル群53b[k+1,h]を示している。また、その他のメモリセル10bを破線で示している。
【0184】
本実施の形態では、メモリセル群51b、メモリセル群52b、およびメモリセル群53bは、X方向に沿って全て同じ方向に配列される。具体的には、
図15(A)および(B)において、X方向を横軸と見て図面に向かって左から順にメモリセル群51b、メモリセル群52b、およびメモリセル群53bが配列される。なお、図示していないが、メモリセル群51a、メモリセル群52a、およびメモリセル群53aも同様に配列される。
【0185】
ビット線BLの寄生容量およびビット線BLBの寄生容量は、それぞれのビット線に電気的に接続するメモリセルの数によって変化する。上記実施の形態で説明したように、ビット線BLの寄生容量およびビット線BLBの寄生容量は同じであることが好ましい。双方の容量値を同じにする、もしくは、近づけることで、ノイズの影響をより受けにくくすることが出来る。なお、より詳細な説明については、上記実施の形態を参酌すればよい。
【0186】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0187】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3に示した記憶ブロック211の変形例を説明する。本実施の形態に無い説明については、上記実施の形態を参酌すればよい。
【0188】
上記実施の形態で説明したように、セルアレイ221aとセルアレイ221bを積層することで、メモリセルの実装密度を2倍にすることができる。ただし、センスアンプ127Aと電気的に接続するメモリセルの総数も2倍になるため、ビット線BLおよびビット線BLBに生じる寄生容量も増加する。該寄生容量はセンスアンプ127Aの負荷になるため、該寄生容量の増加は、センスアンプ127Aの不安定動作や、記憶装置100の動作速度低下の一因となりえる。
【0189】
<構成例>
本実施の形態では、ビット線BLおよびビット線BLBに生じる寄生容量を低減する構成を、
図17および
図18を用いて説明する。
図17では、ローカルセンスアンプアレイ214の一部、セルアレイ221aの一部、およびセルアレイ221bの一部を抜粋して示している。
図18は、
図17に示す部位282の拡大図である。
【0190】
図17に示すように、ビット線BLに換えて、第1ビット線BLfと第2ビット線BLsを設け、ビット線BLBに換えて、第1ビット線BLBfと第2ビット線BLBsを設ける。すなわち、ビット線BLを第1ビット線BLfと第2ビット線BLsに分割し、ビット線BLBを第1ビット線BLBfと第2ビット線BLBsに分割して設ける。
【0191】
なお、上記実施の形態と同様に本実施の形態においても、センスアンプ127A[k,h]と電気的に接続する第1ビット線BLfを第1ビット線BLf[k,h]と示す。第2ビット線BLs、第1ビット線BLBf、および第2ビット線BLBsも同様に示す。
【0192】
また、センスアンプ127Aにスイッチ231乃至スイッチ234を設ける。上記実施の形態と同様に、センスアンプ127A[k,h]が有するスイッチ231をスイッチ231[k,h]と示す。スイッチ232乃至スイッチ234も同様に示す。
【0193】
第1ビット線BLf[k,h]は、メモリセル群52a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k,h]は、スイッチ231[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。なお、
図17および
図18ではメモリセル群を明示していないが、メモリセル群については
図13および
図14を参酌すればよい。
【0194】
第2ビット線BLs[k,h]は、メモリセル群51b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k,h]は、スイッチ232[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。
【0195】
第1ビット線BLBf[k,h]は、メモリセル群53a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k,h]は、スイッチ233[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。なお、
図17および
図18ではスイッチ233[k,h]をセンスアンプ127A[k+1,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k,h]中に設けても構わない。
【0196】
第2ビット線BLBs[k,h]は、メモリセル群51a[k,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k,h]は、スイッチ234[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。
【0197】
また、第1ビット線BLf[k+1,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k+1,h]は、スイッチ231[k+1,h]を介してノードND[k+1,h]と電気的に接続される。
【0198】
第2ビット線BLs[k+1,h]は、メモリセル群51b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k+1,h]は、スイッチ232[k+1,h]を介してノードND[k+1,h]と電気的に接続される。
【0199】
第1ビット線BLBf[k+1,h]は、メモリセル群53a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k+1,h]は、スイッチ233[k+1,h]を介してノードNDB[k+1,h]と電気的に接続される。
【0200】
第2ビット線BLBs[k+1,h]は、メモリセル群51a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k+1,h]は、スイッチ234[k+1,h]を介してノードNDB[k+1,h]と電気的に接続される。
【0201】
第1ビット線BLf[k+2,h]は、メモリセル群52a[k+2,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k+2,h]は、スイッチ231[k+2,h]を介してノードND[k+2,h]と電気的に接続される。
【0202】
第2ビット線BLs[k+2,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k+2,h]は、スイッチ232[k+2,h]を介してノードND[k+2,h]と電気的に接続される。
【0203】
第1ビット線BLBf[k+2,h]は、メモリセル群53a[k+2,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k+2,h]は、スイッチ233[k+2,h]を介してノードNDB[k+2,h]と電気的に接続される。なお、
図17および
図18ではスイッチ233[k+2,h]をセンスアンプ127A[k+3,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k+2,h]中に設けても構わない。
【0204】
また、第1ビット線BLf[k+3,h]は、メモリセル群52a[k+3,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+3,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k+3,h]は、スイッチ231[k+3,h]を介してノードND[k+3,h]と電気的に接続される。
【0205】
第2ビット線BLs[k+3,h]は、メモリセル群51b[k+3,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k+3,h]は、スイッチ232[k+3,h]を介してノードND[k+3,h]と電気的に接続される。
【0206】
第1ビット線BLBf[k+3,h]は、メモリセル群53a[k+3,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k+3,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k+3,h]は、スイッチ233[k+3,h]を介してノードNDB[k+3,h]と電気的に接続される。
【0207】
第2ビット線BLBs[k+3,h]は、メモリセル群51a[k+3,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k+3,h]は、スイッチ234[k+3,h]を介してノードNDB[k+3,h]と電気的に接続される。なお、
図17ではスイッチ234[k+3,h]をセンスアンプ127A[k+2,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k+3,h]中に設けても構わない。
【0208】
スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとしては、例えば電気的スイッチまたは機械的なスイッチなどを用いることができる。例えば、スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとして、トランジスタ、MEMSなどを用いることができる。なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、該トランジスタの極性は特に限定されない。
【0209】
スイッチ231乃至スイッチ234などのスイッチとしては、複数のトランジスタを組み合わせた論理回路を用いてもよい。例えば、論理回路として相補型の論理回路(Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタを用いた論理回路)を用いてもよい。
【0210】
データの書き込みまたは読み出しを行なうために行なわれるメモリセル選択動作については、実施の形態2を参酌して理解できる。よって、本実施の形態での詳細な説明は省略する。
【0211】
ビット線BLおよびビット線BLBを分割して設け、選択するワード線WL(ワード線WLaおよびワード線WLb)のアドレスに応じてスイッチ231乃至スイッチ234のオン状態とオフ状態を制御することで、センスアンプ127の負荷である寄生容量を低減することができる。本実施の形態では、センスアンプ127の負荷である寄生容量を半減させることができる。
【0212】
本発明の一態様によれば、センスアンプ動作の安定性を高めることができる。よって、記憶装置100の信頼性を高めることができる。または、本発明の一態様によれば、センスアンプ127の動作速度を高めることができる。よって、記憶装置100の動作速度を高めることができる。
【0213】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0214】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示した記憶ブロック211の変形例を説明する。なお、本実施の形態に無い説明については、上記実施の形態を参酌すればよい。
【0215】
<構成例>
図19は、ローカルセンスアンプアレイ214の一部、セルアレイ221aの一部、およびセルアレイ221bの一部を抜粋して示している。
図20は、
図19に示す部位283の拡大図である。また、
図21は、
図19に示す部位284の拡大図である。
【0216】
また、
図22は、センスアンプ127Aとメモリセル10aおよびメモリセル10bの接続関係を示すための斜視ブロック図である。
図22は、
図19からワード線WLaとワード線WLbの記載を省略した図である。
図23は、
図22に示す部位285の拡大図である。また、
図24は、セルアレイ221bの一部をZ方向から見た図である。また、
図25は、センスアンプ127A[k-1,h]乃至センスアンプ127A[k+3,h]と、それぞれに対応するビット線BLおよびビット線BLBを示した図である。
【0217】
第1ビット線BLf[k,h]は、メモリセル群52a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k,h]は、スイッチ231[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。なお、
図19、
図20、および
図21ではメモリセル群を明示していないが、メモリセル群については
図22および
図23を参酌すればよい。
【0218】
第2ビット線BLs[k,h]は、メモリセル群51b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k,h]は、スイッチ232[k,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。
【0219】
第1ビット線BLBf[k,h]は、メモリセル群53a[k,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k,h]は、スイッチ233[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。なお、
図19および
図20ではスイッチ233[k,h]をセンスアンプ127A[k+1,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k,h]中に設けても構わない。
【0220】
第2ビット線BLBs[k,h]は、メモリセル群51a[k,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k,h]は、スイッチ234[k,h]を介してノードNDB[k,h]と電気的に接続される。
【0221】
また、第1ビット線BLf[k+1,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k+1,h]は、スイッチ231[k+1,h]を介してノードND[k+1,h]と電気的に接続される。なお、
図19および
図20ではスイッチ231[k+1,h]をセンスアンプ127A[k,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k+1,h]中に設けても構わない。
【0222】
第2ビット線BLs[k+1,h]は、メモリセル群51b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k+1,h]は、スイッチ232[k+1,h]を介してノードND[k+1,h]と電気的に接続される。
【0223】
第1ビット線BLBf[k+1,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k+1,h]は、スイッチ233[k+1,h]を介してノードNDB[k+1,h]と電気的に接続される。
【0224】
第2ビット線BLBs[k+1,h]は、メモリセル群51a[k+1,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k+1,h]は、スイッチ234[k+1,h]を介してノードNDB[k+1,h]と電気的に接続される。
【0225】
第1ビット線BLf[k-1,h]は、メモリセル群52a[k-1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k-1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k-1,h]は、スイッチ231[k-1,h]を介してノードND[k,h]と電気的に接続される。
【0226】
第2ビット線BLs[k-1,h]は、メモリセル群51b[k-1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k-1,h]は、スイッチ232[k-1,h]を介してノードND[k-1,h]と電気的に接続される。
【0227】
第1ビット線BLBf[k-1,h]は、メモリセル群53a[k-1,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群53b[k-1,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k-1,h]は、スイッチ233[k-1,h]を介してノードNDB[k-1,h]と電気的に接続される。なお、
図19および
図21ではスイッチ233[k-1,h]をセンスアンプ127A[k-2,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k-1,h]中に設けても構わない。
【0228】
第2ビット線BLBs[k-1,h]は、メモリセル群51a[k-1,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k-1,h]は、スイッチ234[k-1,h]を介してノードNDB[k-1,h]と電気的に接続される。
【0229】
また、第1ビット線BLf[k+2,h]は、メモリセル群52a[k+2,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLf[k+2,h]は、スイッチ231[k+2,h]を介してノードND[k+2,h]と電気的に接続される。なお、
図19ではスイッチ231[k+2,h]をセンスアンプ127A[k+3,h]中に設けているが、センスアンプ127A[k+2,h]中に設けても構わない。
【0230】
第2ビット線BLs[k+2,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第2ビット線BLs[k+2,h]は、スイッチ232[k+2,h]を介してノードND[k+2,h]と電気的に接続される。
【0231】
第1ビット線BLBf[k+2,h]は、メモリセル群52a[k+2,h]に含まれるメモリセル10aならびにメモリセル群52b[k+2,h]に含まれるメモリセル10bと電気的に接続される。また、第1ビット線BLBf[k+2,h]は、スイッチ233[k+2,h]を介してノードNDB[k+1,h]と電気的に接続される。
【0232】
第2ビット線BLBs[k+2,h]は、メモリセル群51a[k+2,h]に含まれるメモリセル10aと電気的に接続される。また、第2ビット線BLBs[k+2,h]は、スイッチ234[k+2,h]を介してノードNDB[k+2,h]と電気的に接続される。
【0233】
また、
図22および
図23において、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLBs[k+2,h]は、ビット線BLf[k,h]と重なる領域と、ビット線BLBf[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0234】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k-1,h]は、メモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLBs[k-1,h]は、ビット線BLBf[k+1,h]と重なる領域と、ビット線BLf[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0235】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]およびメモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]およびメモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0236】
また、セルアレイ221aをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51a[k-1,h]は、メモリセル群52a[k,h]およびメモリセル群53a[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53a[k,h]およびメモリセル群52a[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0237】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51a[k+2,h]は、メモリセル群52a[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53a[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをZ方向から見ると、ビット線BLBs[k+2,h]は、ビット線BLf[k,h]と隣接する領域と、ビット線BLBf[k,h]と隣接する領域と、を有する。
【0238】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51a[k-1,h]は、メモリセル群53a[k+1,h]と隣接する領域と、メモリセル群52a[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221aをZ方向から見ると、ビット線BLBs[k-1,h]は、ビット線BLf[k+1,h]と隣接する領域と、ビット線BLBf[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。
【0239】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群53a[k+1,h]とメモリセル群52a[k,h]は、メモリセル群51a[k+2,h]を介して隣接する。メモリセル群52a[k+1,h]とメモリセル群53a[k,h]は、メモリセル群51a[k+2,h]を介して隣接する。
【0240】
また、
図22および
図23において、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLs[k+2,h]は、ビット線BLf[k,h]と重なる領域と、ビット線BLBf[k,h]と重なる領域と、を有する。
【0241】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k-1,h]は、メモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、ビット線BLBs[k-1,h]は、ビット線BLf[k+1,h]と重なる領域と、ビット線BLBf[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0242】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]およびメモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]およびメモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0243】
また、セルアレイ221bをX方向(行方向)から見ると、メモリセル群51b[k-1,h]は、メモリセル群52b[k,h]およびメモリセル群53b[k+1,h]と重なる領域と、メモリセル群53b[k,h]およびメモリセル群52b[k+1,h]と重なる領域と、を有する。
【0244】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群51b[k+2,h]は、メモリセル群52b[k,h]と隣接する領域と、メモリセル群53b[k,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをZ方向から見ると、ビット線BLs[k+2,h]は、ビット線BLf[k,h]と隣接する領域と、ビット線BLBf[k,h]と隣接する領域と、を有する。
【0245】
また、セルアレイ221aをZ方向から見ると、メモリセル群51b[k-1,h]は、メモリセル群53b[k+1,h]と隣接する領域と、メモリセル群52b[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。すなわち、セルアレイ221bをZ方向から見ると、ビット線BLBs[k-1,h]は、ビット線BLf[k+1,h]と隣接する領域と、ビット線BLBf[k+1,h]と隣接する領域と、を有する。
【0246】
また、セルアレイ221bをZ方向から見ると、メモリセル群53b[k+1,h]とメモリセル群52b[k,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]を介して隣接する。メモリセル群52b[k+1,h]とメモリセル群53b[k,h]は、メモリセル群51b[k+2,h]を介して隣接する。
【0247】
図24(A)および(B)は、セルアレイ221bの一部をZ方向から見た図である。
図24(A)は、メモリセル群51b[k+2,h]、メモリセル群52b[k+2,h]、およびメモリセル群53b[k+2,h]、ならびに、メモリセル群51b[k+3,h]、メモリセル群52b[k+3,h]、およびメモリセル群53b[k+3,h]を示している。
図24(B)は、メモリセル群51b[k,h]、メモリセル群52b[k,h]、およびメモリセル群53b[k,h]、ならびに、メモリセル群51b[k+1,h]、メモリセル群52b[k+1,h]、およびメモリセル群53b[k+1,h]を示している。また、その他のメモリセル10bを破線で示している。
【0248】
本実施の形態では、センスアンプ127A[k,h]と電気的に接続するメモリセル群(メモリセル群51b[k,h]、メモリセル群52b[k,h]、およびメモリセル群53b[k,h])と、センスアンプ127A[k+2,h]と電気的に接続するメモリセル群(メモリセル群51b[k+2,h]、メモリセル群52b[k+2,h]、およびメモリセル群53b[k+2,h])は、同じ方向に配列されている。
【0249】
具体的には、
図24(A)および(B)において、X方向を横軸と見て図面に向かって左から順にメモリセル群51b[k,h]、メモリセル群52b[k,h]、およびメモリセル群53b[k,h]が配列される。同様に、左から順にメモリセル群51b[k+2,h]、メモリセル群52b[k+2,h]、およびメモリセル群53b[k+2,h]が配列される。
【0250】
また、センスアンプ127A[k+1,h]と電気的に接続するメモリセル群(メモリセル群51b[k+1,h]、メモリセル群52b[k+1,h]、およびメモリセル群53b[k+1,h])と、センスアンプ127A[k-1,h]と電気的に接続するメモリセル群(メモリセル群51b[k-1,h]、メモリセル群52b[k-1,h]、およびメモリセル群53b[k-1,h])は、同じ方向に配列されている。
【0251】
具体的には、
図24(A)および(B)において、X方向を横軸と見て図面に向かって右から順にメモリセル群51b[k+1,h]、メモリセル群52b[k+1,h]、およびメモリセル群53b[k+1,h]が配列される。同様に、右から順にメモリセル群51b[k-1,h]、メモリセル群52b[k-1,h]、およびメモリセル群53b[k-1,h]が配列される。
【0252】
よって、センスアンプ127A[k,h]と電気的に接続するメモリセル群およびセンスアンプ127A[k+2,h]と電気的に接続するメモリセル群と、センスアンプ127A[k+1,h]と電気的に接続するメモリセル群およびセンスアンプ127A[k-1,h]と電気的に接続するメモリセル群で、メモリセル群の配列方向が異なる。なお、図示していないが、メモリセル群51a、メモリセル群52a、およびメモリセル群53aについても同様である。
【0253】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0254】
(実施の形態6)
本実施の形態では、ローカルセンスアンプアレイ214に含まれるセンスアンプ127の回路構成例と、記憶装置100の動作例について図面を用いて説明する。
【0255】
<回路構成例>
図28にセンスアンプ127[k,h]の回路構成例を示す。
図28に示すセンスアンプ127[k,h]は、プリチャージ回路132、増幅回路133、および入出力回路134を有する。なお、本実施の形態などでは、センスアンプ127[k,h]に含まれるプリチャージ回路132、増幅回路133、および入出力回路134を、プリチャージ回路132[k,h]、増幅回路133[k,h]、および入出力回路134[k,h]と示す。
【0256】
また、
図28では、配線BLf[k,h]を介してセンスアンプ127[k,h]と電気的に接続するメモリセル10aと、配線BLBf[k,h]を介してセンスアンプ127[k,h]と電気的に接続するメモリセル10aを示している。
図28では、メモリセル10aとして、
図6(C)に示したメモリセルを用いる例を示している。
【0257】
〔プリチャージ回路132〕
プリチャージ回路132[k,h]は、nチャネル型のトランジスタTr21乃至トランジスタTr23を有する。なお、トランジスタTr21乃至トランジスタTr23は、pチャネル型であってもよい。
【0258】
トランジスタTr21のソースまたはドレインの一方は配線BLf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線PREと電気的に接続されている。トランジスタTr21のソースまたはドレインの一方と、配線BLf[k,h]の節点がノードND[k,h]である。
【0259】
トランジスタTr22のソースまたはドレインの一方は配線BLBf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線PREと電気的に接続されている。トランジスタTr22のソースまたはドレインの一方と、配線BLBf[k,h]の節点がノードNDB[k,h]である。
【0260】
トランジスタTr23のソースまたはドレインの一方はノードND[k,h]を介して配線BLf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方はノードNDB[k,h]を介して配線BLBf[k,h]と電気的に接続されている。トランジスタTr21のゲート、トランジスタTr22のゲート、及びトランジスタTr23のゲートは、配線PLと電気的に接続されている。
【0261】
プリチャージ回路132[k,h]は、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する機能を有する。
【0262】
〔増幅回路133〕
増幅回路133[k,h]は、pチャネル型のトランジスタTr31およびトランジスタTr32と、nチャネル型のトランジスタTr33およびトランジスタTr34を有する。
【0263】
トランジスタTr31のソースまたはドレインの一方は配線SPと電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタTr32のゲート、トランジスタTr34のゲート、ノードND[k,h]、および配線BLf[k,h]と電気的に接続されている。
【0264】
トランジスタTr33のソースまたはドレインの一方はトランジスタTr32のゲート、トランジスタTr34のゲート、ノードNDB[k,h]、および配線BLf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SNと電気的に接続されている。
【0265】
トランジスタTr32のソースまたはドレインの一方は配線SPと電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタTr31のゲート、トランジスタTr33のゲート、ノードNDB[k,h]、および配線BLBf[k,h]と電気的に接続されている。
【0266】
トランジスタTr34のソースまたはドレインの一方はトランジスタTr31のゲート、トランジスタTr33のゲート、ノードNDB[k,h]、および配線BLBf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SNと電気的に接続されている。
【0267】
増幅回路133[k,h]は、配線BLf[k,h]、配線BLBf[k,h]の電位を増幅する機能を有する。なお、増幅回路133[k,h]は、ラッチ型のセンスアンプとして機能する。
【0268】
〔入出力回路134〕
入出力回路134[k,h]は、nチャネル型のトランジスタTr41およびトランジスタTr42を有する。なお、トランジスタTr41およびトランジスタTr42は、pチャネル型であってもよい。
【0269】
トランジスタTr41のソースまたはドレインの一方は、ノードND[k,h]および配線BLf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SALa[k]と電気的に接続されている。トランジスタTr42のソースまたはドレインの一方はノードNDB[k,h]および配線BLBf[k,h]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線SALb[k]と電気的に接続されている。トランジスタTr41のゲートおよびトランジスタTr42のゲートは、配線CSELと電気的に接続されている。
【0270】
入出力回路134[k,h]は、配線CSELに供給される電位に基づいて、配線BLf[k,h]と配線SALa[k]の導通状態、および配線BLBf[k,h]と配線SALb[k]の導通状態を制御する機能を有する。すなわち、入出力回路134[k,h]によって、配線SALa[k]および配線SALb[k]に電位を出力するか否かを選択できる。
【0271】
配線SP、配線SN、配線CSEL、配線PRE、配線PLは、プリチャージ回路132、増幅回路133、および入出力回路134の動作を制御するための信号を伝える機能を有する。配線SP、配線SN、配線CSEL、配線PRE、配線PLは、
図1に示す制御回路112と接続されている。制御回路112は、配線SP、配線SN、配線CSEL、配線PRE、配線PLに制御信号を供給する機能を有する。
【0272】
<動作例>
続いて、記憶装置100の動作例について説明する。本実施の形態では、
図28に示すセンスアンプ127およびメモリセル10aの動作例について説明する。本実施の形態では、4つの動作モード(読み出しモード、書き込みモード、リフレッシュモード、保持モード)について説明する。また、メモリセル10aおよびメモリセル10bは、それぞれが1ビットの情報を記憶可能な記憶素子とする。
【0273】
〔読み出しモード〕
読み出しモードとは、メモリセル10aまたはメモリセル10bに記憶されている情報を読み出す時に行なう動作モードである。
図29に示したタイミングチャートを用いて、読み出しモードの動作例について説明する。一例として、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに記憶されている情報を読み出す動作について説明する。
【0274】
[期間T11]
期間T11において、プリチャージ回路132[k,h]を動作させ、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。具体的には、配線PLの電位をVDDとし、トランジスタTr21乃至トランジスタTr23をオン状態にする。これにより、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]に、配線PREの電位Vpre(「Vpre」ともいう。)が供給される。なお、電位Vpreは、VSSを越えてVDD未満の電位である。本実施の形態では、電位Vpreを(VDD+VSS)/2とする。本実施の形態では、VDDを1.5V、VSSを0V、Vpreを0.75Vとする。
【0275】
なお、期間T11において、配線CSELの電位はVSSであり、入出力回路134[k,h]においてトランジスタTr41、トランジスタTr42はオフ状態である。また、期間T11において、配線CSELの電位を、後述する電位VNNとしてもよい。
【0276】
また、ワード線WLa[j]の電位は電位VNNであり、メモリセル10aが有するトランジスタM1はオフ状態である。本実施の形態において、メモリセル10aは1ビットの記憶素子であるため、メモリセル10aにはVDDまたはVSSが保持される。電位VNN(「VNN」ともいう。)はトランジスタM1をオフ状態にする電位である。よって、VNNはVSS以下の電位であることが好ましい。また、VNNはVSSよりも低い電位であることがより好ましい。
【0277】
VSSを基準電位(0V)とすると、VSSよりも低い電位を「負電位」、「負電圧」、または「負バイアス」と呼ぶ場合がある。前述したように、VNNは負電位であることが好ましい。言い換えると、VNNはトランジスタM1のソース電位およびドレイン電位よりも低い電位であることが好ましい。本実施の形態では、VNNを-0.5Vとする。
【0278】
ワード線WLa[j]に供給するVNNを負電位とすることにより、トランジスタM1をより確実にオフ状態とすることができる。特に、高温動作下においてもデータの保持時間が長い記憶装置を提供することができる。
【0279】
ワード線WLa[j]と同様に、ワード線WLa[j+5]の電位はVNNであり、ワード線WLa[j+5]と電気的に接続するメモリセル10aが有するトランジスタM1はオフ状態である。
【0280】
また、配線SPおよび配線SNの電位は電位Vpreであり、増幅回路133[k,h]は停止状態である。
【0281】
[期間T12]
期間T12において、配線PLの電位をVSSまたはVNNとし、トランジスタTr21乃至トランジスタTr23をオフ状態にする。この場合、VNNはトランジスタTr21乃至トランジスタTr23のソース電位およびドレイン電位よりも低い電位であることが好ましい。すなわち、VNNは負電位であることが好ましい。
【0282】
また、期間T12において、ワード線WLa[j]を選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位を電位VPPとすることにより、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。
【0283】
電位VPP(「VPP」ともいう。)はトランジスタM1をオン状態にする電位であるため、VPPはVDD以上の電位であることが好ましい。また、VPPはVDDよりも高い電位であると、より好ましい。特に、VPPがVDDよりもトランジスタM1のVth以上高い電位であると、さらに好ましい。本実施の形態では、VPPを3.0Vとする。
【0284】
これにより、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aにおいて、配線BLf[k,h]と容量素子CAがトランジスタM1を介して導通状態となり、容量素子CAに保持されている電荷量に応じて配線BLf[k,h]の電位が変動する。
【0285】
図29では、当該メモリセル10aにデータ“1”が格納され、容量素子CAに蓄積されている電荷の量が多い場合を例示している。容量素子CAに蓄積されている電荷の量が多い場合、容量素子CAから配線BLf[k,h]へ電荷が放出されることにより、電位VpreからΔV1だけ配線BLf[k,h]の電位が上昇する。一方、当該メモリセル10aにデータ“0”が格納され、容量素子CAに蓄積されている電荷の量が少ない場合は、配線BLf[k,h]から容量素子CAへ電荷が流入することにより、配線BLf[k,h]の電位はΔV2だけ下降する(図示せず。)。
【0286】
なお、期間T12において、配線CSELの電位はVSSまたはVNNであり、入出力回路134[k,h]においてトランジスタTr41、トランジスタTr42はオフ状態である。この場合、VNNはトランジスタTr41およびトランジスタTr42のソース電位およびドレイン電位よりも低い電位であることが好ましい。すなわち、VNNは負電位であることが好ましい。
【0287】
また、配線SPおよび配線SNの電位は電位Vpreである。増幅回路133[k,h]は停止状態を維持する。
【0288】
[期間T13]
期間T13において、配線SPの電位をVDDまで変化させ、配線SNの電位をVSSまで変化させる。すると、増幅回路133[k,h]が動作状態になる。増幅回路133[k,h]は、配線BLf[k,h]と配線BLBf[k,h]の電位差(
図29においてはΔV1)を増幅させる機能を有する。
【0289】
増幅回路133[k,h]が動作状態になることにより、配線BLf[k,h]の電位が、Vpre+ΔV1からVDDになる。また、配線BLBf[k,h]の電位が、VpreからVSSになる。
【0290】
なお、期間T13の初期において、配線BLf[k,h]の電位がVpre-ΔV2である場合は、増幅回路133[k,h]が動作状態になることにより、配線BLf[k,h]の電位が、Vpre-ΔV2からVSSになる。また、配線BLBf[k,h]の電位が、電位VpreからVDDになる。
【0291】
また、期間T13において配線PLの電位はVSSまたはVNNであり、プリチャージ回路132[k,h]においてトランジスタTr21乃至トランジスタTr23はオフ状態である。
【0292】
また、配線CSELの電位はVSSまたはVNNであり、入出力回路134[k,h]においてトランジスタTr41、トランジスタTr42はオフ状態である。また、ワード線WLa[j]の電位はVPPであり、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aが有するトランジスタM1はオン状態である。よって、当該メモリセル10aでは、配線BLf[k,h]の電位(VDD)に応じた電荷量が、容量素子CAに蓄積される。
【0293】
[期間T14]
期間T14において、配線CSELの電位を制御することにより、入出力回路134[k,h]をオン状態にする。具体的には、配線CSELの電位をVDDまたはVPPとすることにより、トランジスタTr41とトランジスタTr42をオン状態にする。これにより、配線BLf[k,h]の電位が配線SALa[k]に供給され、配線BLBf[k,h]の電位が配線SALb[k]に供給される。
【0294】
なお、期間T14において、配線PLの電位はVSSまたはVNNであり、プリチャージ回路132[k,h]においてトランジスタTr21乃至トランジスタTr23はオフ状態である。また、ワード線WLa[j]の電位はVPPであり、メモリセル10aが有するトランジスタM1はオン状態である。また、配線SPの電位はVDDであり、配線SNの電位はVSSであり、増幅回路133[k,h]は動作状態である。よって、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aでは、配線BLf[k,h]の電位(VDD)に応じた電荷が、配線BLf[k,h]を介して容量素子CAに供給され、蓄積される。
【0295】
[期間T15]
期間T15において、配線CSELの電位を制御することにより、入出力回路134[k,h]をオフ状態にする。具体的には、配線CSELの電位をVSSまたはVNNとすることにより、トランジスタTr41、トランジスタTr42をオフ状態にする。
【0296】
また、期間T15において、ワード線WLa[j]を非選択状態とする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVNNとする。すると、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aが有するトランジスタがオフ状態になる。これにより、VDDに応じた電荷量が、当該メモリセル10aが有する容量素子CAに保持される。よって、データの読み出しが行われた後も、データがメモリセル10aに保持される。
【0297】
ワード線WLa[j]に供給するVNNを負電位とすることにより、トランジスタM1をより確実にオフ状態とすることができる。特に、高温動作下においてもデータの保持時間が長い記憶装置を提供することができる。
【0298】
なお、期間T15において入出力回路134[k,h]をオフ状態にしても、増幅回路133[k,h]が動作状態であれば、配線BLf[k,h]と配線BLBf[k,h]の電位は増幅回路ACにより保持される。そのため、センスアンプ127[k,h]はメモリセル10aから読み出した情報を一時的に保持する機能を有する。
【0299】
上記の動作により、メモリセル10aから情報を読み出すことができる。読み出されたデータは、配線SALa[k]および/または配線SALb[k]を介して制御回路112(
図1参照。)に供給される。なお、他のメモリセルからのデータの読み出しも、当該メモリセル10aと同様に行うことができる。
【0300】
〔書き込みモード〕
書き込みモードとは、記憶させる情報をメモリセル10aまたはメモリセル10bに書き込む時に行なう動作モードである。
図30に示したタイミングチャートを用いて書き込みモードの動作例を説明する。一例として、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに情報を書き込む動作について説明する。
【0301】
[期間T21]
期間T21において、期間T11と同様の動作を行い、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。具体的には、配線PLの電位をVDDとし、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位をVpreにする。
【0302】
[期間T22]
期間T22において、配線PLの電位をVSSまたはVNNとし、トランジスタTr21乃至トランジスタTr23をオフ状態にする。また、データの書き込みを行うメモリセル10aと電気的に接続されたワード線WLa[j]を選択する。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVPPとし、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。これにより、当該メモリセル10aにおいて配線BLf[k,h]と容量素子CAがトランジスタM1を介して導通状態になる。
【0303】
この時、既にメモリセル10aにデータ“1”が格納されている場合、容量素子CAから配線BLf[k,h]へ電荷が放出されることにより、VpreからΔV1だけ配線BLf[k,h]の電位が上昇する。
【0304】
[期間T23]
期間T23において、配線SPの電位をVDDとし、配線SNの電位をVSSとし、増幅回路133[k,h]を動作状態にする。
【0305】
[期間T24]
期間T24において、配線CSELの電位を制御することにより、入出力回路134[k,h]を動作状態にする。これにより、配線BLf[k,h]と配線SALa[k]が導通状態となる。また、配線BLBf[k,h]と配線SALb[k]が導通状態となる。
【0306】
データ信号WDATAは、配線SALa[k]および配線SALb[k]を介して入出力回路134[k,h]に供給される。配線SALa[k]および配線SALb[k]に、データ信号WDATAに相当する書き込み電位を供給することにより、入出力回路134[k,h]を介して配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]に書き込み電位が供給される。例えば、メモリセル10aにデータ“0”を格納する場合、配線SALa[k]にVSSを供給し、配線SALb[k]にVDDを供給する。
【0307】
すると、増幅回路133[k,h]が有するトランジスタTr31乃至トランジスタTr34のオンオフ状態が反転し、配線BLf[k,h]に配線SNの電位(VSS)が供給され、配線BLBf[k,h]に配線SPの電位(VDD)が供給される。よって、データ“0”を示す電位(VSS)に応じた電荷量が配線BLf[k,h]を介して容量素子CAに供給され、蓄積される。このような動作により、メモリセル10aにデータを書き込むことができる。
【0308】
[期間T25]
期間T25において、ワード線WLa[j]にVNNを供給し、ワード線WLa[j]を非選択状態とする。これにより、メモリセル10aに書き込まれた電荷が保持される。
【0309】
また、配線CSELの電位をVSSまたはVNNとすることにより、トランジスタTr41、トランジスタTr42をオフ状態にする。
【0310】
なお、配線BLf[k,h]に配線SALa[k]の電位が供給された後は、入出力回路134[k,h]においてトランジスタTr41、トランジスタTr42をオフ状態にしても、増幅回路133[k,h]が動作状態であれば、配線BLf[k,h]と配線BLBf[k,h]の電位は増幅回路133[k,h]により保持される。よって、トランジスタTr41、トランジスタTr42をオン状態からオフ状態に変更するタイミングは、ワード線WLa[j]を選択する前であっても後であってもよい。
【0311】
上記の動作により、メモリセル10aにデータを書き込むことができる。なお、他のメモリセルへのデータの書き込みも、当該メモリセル10aと同様に行うことができる。
【0312】
ワード線WLa[j]に供給するVNNを負電位とすることにより、トランジスタM1をより確実にオフ状態とすることができる。特に、高温動作下においてもデータの保持時間が長い記憶装置を提供することができる。
【0313】
〔リフレッシュモード〕
リフレッシュモードモードとは、メモリセル10aに書き込まれたデータを維持するため、一定期間毎にリフレッシュ動作(再書き込み動作)を行なうための動作モードである。
図31に示したタイミングチャートを用いてリフレッシュモードモードの動作について説明する。一例として、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに記憶されている情報を、再度書き込む動作について説明する。なお、リフレッシュ動作も上記動作モードと同様の原理で行うことができる。
【0314】
[期間T31]
期間T31において、期間T11と同様の動作を行い、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。具体的には、配線PLの電位をVDDとし、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位をVpreにする。
【0315】
[期間T32]
期間T32において、配線PLの電位をVSSまたはVNNとし、トランジスタTr21乃至トランジスタTr23をオフ状態にする。また、データの書き込みを行うメモリセル10aと電気的に接続されたワード線WLa[j]を選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVPPとし、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。これにより、メモリセル10aにおいて配線BLf[k,h]と容量素子CAがトランジスタM1を介して導通状態になる。
【0316】
この時、既にメモリセル10aにデータ“1”が格納されている場合、容量素子CAから配線BLf[k,h]へ電荷が放出されることにより、VpreからΔV1だけ配線BLf[k,h]の電位が上昇する。
【0317】
[期間T33]
期間T33において、配線SPの電位をVDDとし、配線SNの電位をVSSとし、増幅回路133[k,h]を動作状態にする。増幅回路133[k,h]が動作状態になることにより、配線BLf[k,h]の電位は、Vpre+ΔV1から配線SPの電位(VDD)になる。また、配線BLBf[k,h]の電位は、Vpreから配線SNの電位(VSS)になる。
【0318】
[期間T34]
期間T34において、ワード線WLa[j]にVNNを供給し、ワード線WLa[j]を非選択状態とする。これにより、配線BLf[k,h]の電位(VDD)に応じた電荷量が、配線BLf[k,h]を介してメモリセル10aが有する容量素子CAに供給され、蓄積される。
【0319】
ワード線WLa[j]に供給するVNNを負電位とすることにより、トランジスタM1をより確実にオフ状態とすることができる。特に、高温動作下においてもデータの保持時間が長い記憶装置を提供することができる。
【0320】
リフレッシュモードでは、データの読み出しまたは書き込みを行なわないため、入出力回路134[k,h]はオフ状態のままでよい。よって、リフレッシュモードは、読み出しモードおよび書き込みモードよりも短期間で行なうことができる。なお、他のメモリセルのリフレッシュモードも、当該メモリセル10aと同様に行うことができる。
【0321】
また、トランジスタM1にはOSトランジスタを用いることが好ましい。上記実施の形態で説明したように、OSトランジスタはオフ電流が著しく少ないトランジスタである。トランジスタM1にOSトランジスタを用いることにより、一定期間当たりのリフレッシュ動作回数を低減することができる。または、リフレッシュ動作を無くすことこができる。
【0322】
〔保持モード〕
保持モードとは、メモリセル10aに書き込まれたデータを保持する動作モードである。読み出しモード、書き込みモード、およびリフレッシュモードのいずれの動作モードにも関与しないメモリセルは、保持モードで動作していると言える。
【0323】
例えば、上記動作説明において、記憶装置100が、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに対して、読み出しモード、書き込みモード、またはリフレッシュモードのいずれかで動作している期間中、ワード線WLa[j+5]と電気的に接続するメモリセル10aは保持モードで動作している(
図29乃至
図31参照)。
【0324】
より具体的には、記憶装置100が、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに対して、読み出しモード、書き込みモード、またはリフレッシュモードのいずれかで動作している期間中、ワード線WLa[j+5]の電位はVNNである。よって、ワード線WLa[j+5]と電気的に接続するメモリセル10aに含まれるトランジスタM1はオフ状態が維持されている。すなわち、保持モード動作期間中は当該メモリセル10aに記憶されている情報が保持される。
【0325】
トランジスタM1をより確実にオフ状態とするため、VNNは負電位であることが好ましい。VNNを負電位とすることにより、誤書き込みや誤読み出しを生じにくくすることができる。VNNを負電位とすることにより、記憶装置100の信頼性を高めることができる。
【0326】
<変形例>
続いて、
図28に示した回路構成の変形例を
図32に示す。
図32は、メモリセル10aとして、
図6(A)に示したメモリセルを用いた場合の回路構成例である。よって、
図32に示すメモリセル10aは、バックゲートを有するトランジスタM1を含む。トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLaと電気的に接続する。
【0327】
配線BGLaは、セルアレイ221a中でX方向(行方向)に延在してp本設けられている(図示せず。)。また、セルアレイ221bは、X方向(行方向)に延在するp本の配線BGLbを有する(図示せず。)。なお、本明細書などでは、j本目(jは1以上p以下の整数。)の配線BGLaを配線BGLa[j]と示し、j本目の配線BGLbを配線BGLb[j]と示す。また、配線BGLa[j]はワード線WLa[j]と並行して設けられ、配線BGLb[j]はワード線WLb[j]と並行して設けられている。
【0328】
図32において、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aは、配線BGLa[j]と電気的に接続される。配線BGLa[j]は、当該メモリセル10aが有するトランジスタM1のバックゲートと電気的に接続される。なお、メモリセル10a以外の回路構成は
図28と同じである。
【0329】
次に、
図32に示す回路構成の動作例を
図33乃至
図35を用いて説明する。当該回路構成においても、
図28に示した回路構成と同様に、4つの動作モード(読み出しモード、書き込みモード、リフレッシュモード、保持モード)で動作できる。説明の繰り返しを減らすため、主に上記動作モードと異なる点について説明する。なお、
図33乃至
図35では、配線CSEL、配線SALa[k]、および配線SALb[k]の電位変化の記載を省略している。
【0330】
〔読み出しモード〕
図33に示したタイミングチャートを用いて、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに記憶されている情報を読み出す動作について説明する。
【0331】
[期間T11]
期間T11において、プリチャージ回路132[k,h]を動作させ、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。また、配線BGLa[j]の電位を電位VBL(「VBL」ともいう。)とする。VBLは、VSSよりも低い電位である。よって、VBLは負電位である。VBLの大きさは、バックゲート電極側のゲート絶縁層の厚さによっても変わる。バックゲート電極側のゲート絶縁層の厚さが、フロントゲート電極側のゲート絶縁層よりも厚い場合、VBLはVNNよりも大きくなる場合がある。本実施の形態では、VBLを-3Vとする。
【0332】
配線BGLa[j]のみに負電位を供給することによっても、トランジスタM1をオフ状態とすることができる。しかしながら、ワード線WLa[j]および配線BGLa[j]の双方に負電位を供給することが好ましい。特に、バックゲート電極側のゲート絶縁層の厚さが、フロントゲート電極側のゲート絶縁層よりも厚い場合、ワード線WLa[j]および配線BGLa[j]の双方に負電位を供給することによって、配線BGLa[j]のみに負電位を供給する場合よりも小さいVBLで同等の効果が実現できる。すなわち、トランジスタM1に加わる電界強度を低減することができる。よって、トランジスタM1の信頼性を高めることができる。さらに、トランジスタM1の消費電力を低減することができる。よって、記憶装置100の信頼性を高め、消費電力を低減することができる。
【0333】
[期間T12]
期間T12において、ワード線WLa[j]を選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位を電位VPPとすることにより、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。また、配線BGLa[j]の電位を電位VSS以上にする。本実施の形態では、配線BGLa[j]の電位を電位VSS(0V)としているが、電位VSSよりも高くてもよい。例えば、配線BGLa[j]の電位を電位VPPとしてもよい。
【0334】
[期間T13、期間T14]
期間T13および期間T14において、当該メモリセル10aに記憶されている情報を読み出す。
【0335】
[期間T15]
【0336】
期間T15において、ワード線WLa[j]を非選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVNNとする。また、ワード線WLa[j]の電位がVNNになるのに合わせて、配線BGLa[j]の電位をVBLにする。
【0337】
なお、読み出しモードで動作している間、配線BGLa[j]の電位を変化させずに一定電位を維持してもよい。例えば、配線BGLa[j]に負電位を供給してトランジスタM1のVthをプラス方向にシフトさせることができる。これにより、カットオフ電流を低減することができる。
【0338】
また一方で、ワード線WLa[j]の電位上昇に合わせて配線BGLa[j]の電位を上昇させることにより、トランジスタM1の動作速度を高めることができる。よって、読み出し動作に必要な時間を短縮することができる。すなわち、記憶装置100の動作速度を高めることができる。
【0339】
また、ワード線WLa[j]および配線BGLa[j]の双方の電位を上昇させることで、一方のみの電位を上昇させる場合よりも少ない電位上昇で同等の動作速度が実現できる。よって、トランジスタM1に加わる電界強度を低減することができるため、トランジスタM1の信頼性を高めることができる。さらに、トランジスタM1の消費電力を低減することができる。すなわち、記憶装置100の信頼性を高め、消費電力を低減することができる。
【0340】
〔書き込みモード〕
図34に示したタイミングチャートを用いて、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに情報を書き込む動作について説明する。
【0341】
[期間T21]
期間T21において、プリチャージ回路132[k,h]を動作させ、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。また、配線BGLa[j]の電位を電位VBLとする。
【0342】
[期間T22]
【0343】
期間T22において、ワード線WLa[j]を選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位を電位VPPとすることにより、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。また、配線BGLa[j]の電位を電位VSS以上にする。
【0344】
[期間T23、期間T24]
期間T23および期間T24において、当該メモリセル10aに情報を書き込む。
【0345】
[期間T25]
【0346】
期間T25において、ワード線WLa[j]を非選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVNNとする。また、ワード線WLa[j]の電位がVNNになるのに合わせて、配線BGLa[j]の電位をVBLにする。
【0347】
なお、書き込みモードで動作している間、配線BGLa[j]の電位を変化させずに一定電位のままとしてもよい。例えば、配線BGLa[j]を負電位とすることで、トランジスタM1のVthをプラス方向にシフトさせ、カットオフ電流を低減することができる。一方で、ワード線WLa[j]の電位上昇に合わせて配線BGLa[j]の電位を上昇させることにより、トランジスタM1の動作速度を高めることができる。よって、書き込み動作に必要な時間を短縮することができる。すなわち、記憶装置100の動作速度を高めることができる。
【0348】
〔リフレッシュモード〕
図35に示したタイミングチャートを用いて、配線BLf[k,h]およびワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに記憶されている情報を、再度書き込む動作について説明する。
【0349】
[期間T31]
期間T31において、プリチャージ回路132[k,h]を動作させ、配線BLf[k,h]および配線BLBf[k,h]の電位を初期化する。また、配線BGLa[j]の電位を電位VBLとする。
【0350】
[期間T32]
【0351】
期間T32において、ワード線WLa[j]を選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位を電位VPPとすることにより、メモリセル10aが有するトランジスタM1をオン状態にする。また、配線BGLa[j]の電位を電位VSS以上にする。
【0352】
[期間T33]
期間T33において、当該メモリセル10aに書き込まれた情報を、再度書き込む。
【0353】
[期間T34]
【0354】
期間T34において、ワード線WLa[j]を非選択状態にする。具体的には、ワード線WLa[j]の電位をVNNとする。また、配線BGLa[j]の電位をVBLにする。
【0355】
なお、リフレッシュモードで動作している間、配線BGLa[j]の電位を変化させずに一定電位のままとしてもよい。例えば、配線BGLa[j]を負電位とすることで、トランジスタM1のVthをプラス方向にシフトさせ、カットオフ電流を低減することができる。一方で、ワード線WLa[j]の電位上昇に合わせて配線BGLa[j]の電位を上昇させることにより、トランジスタM1の動作速度を高めることができる。よって、リフレッシュ動作に必要な時間を短縮することができる。すなわち、記憶装置100の動作速度を高めることができる。
【0356】
〔保持モード〕
前述した通り、保持モードとは、メモリセル10aに書き込まれたデータを保持する動作モードである。読み出しモード、書き込みモード、およびリフレッシュモードのいずれの動作モードにも関与しないメモリセルは、保持モードで動作していると言える。
【0357】
例えば、上記動作説明において、記憶装置100が、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに対して、読み出しモード、書き込みモード、またはリフレッシュモードのいずれかで動作している期間中、ワード線WLa[j+5]と電気的に接続するメモリセル10aは保持モードで動作している(
図33乃至
図35参照)。
【0358】
より具体的には、記憶装置100が、ワード線WLa[j]と電気的に接続するメモリセル10aに対して、読み出しモード、書き込みモード、またはリフレッシュモードのいずれかで動作している期間中、ワード線WLa[j+5]の電位はVNNであり、配線BGLa[j+5]の電位はVBLである。よって、ワード線WLa[j+5]と電気的に接続するメモリセル10aに含まれるトランジスタM1はオフ状態が維持される。すなわち、保持モード動作期間中は当該メモリセル10aに記憶されている情報が保持される。
【0359】
配線BGLa[j+5]のみに負電位を供給することによっても、トランジスタM1をオフ状態とすることができる。しかしながら、ワード線WLa[j+5]および配線BGLa[j+5]の双方に負電位を供給することが好ましい。特に、バックゲート電極側のゲート絶縁層の厚さが、フロントゲート電極側のゲート絶縁層よりも厚い場合、ワード線WLa[j+5]および配線BGLa[j+5]の双方に負電位を供給することによって、配線BGLa[j+5]のみに負電位を供給する場合よりも小さいVBLで同等の効果が実現できる。すなわち、トランジスタM1に加わる電界強度を低減することができる。よって、トランジスタM1の信頼性を高めることができる。さらに、トランジスタM1の消費電力を低減することができる。よって、記憶装置100の信頼性を高め、消費電力を低減することができる。
【0360】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0361】
(実施の形態7)
本実施の形態では、記憶装置100の断面構成例について図面を用いて説明する。
【0362】
<記憶装置の構造例>
図36に、記憶装置100の一部の断面を示す。
図36に示す記憶装置100は、基板291上に、ローカルセンスアンプアレイ214、セルアレイ221a、およびセルアレイ221bを積層している。なお、セルアレイ221aおよびセルアレイ221b以外の回路は、ローカルセンスアンプアレイ214と同様に基板291上に設けられる。
図36では、基板291として単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基板)を用いる場合を示している。ローカルセンスアンプアレイ214に含まれるトランジスタは、ソース、ドレイン、およびチャネルが、基板291の一部に形成される。また、セルアレイ221aおよびセルアレイ221bには薄膜トランジスタ(例えば、OSトランジスタ)が含まれる。
【0363】
〔ローカルセンスアンプアレイ214〕
図36において、ローカルセンスアンプアレイ214は、基板291上にトランジスタ233a、トランジスタ233b、およびトランジスタ233cを有する。
図36では、トランジスタ233a、トランジスタ233b、およびトランジスタ233cのチャネル長方向の断面を示している。
【0364】
前述した通り、トランジスタ233a、トランジスタ233b、およびトランジスタ233cのチャネルは、基板291の一部に形成される。集積回路に高速動作が求められる場合は、基板291として単結晶半導体基板を用いることが好ましい。
【0365】
トランジスタ233a、トランジスタ233b、およびトランジスタ233cは、素子分離層292によって他のトランジスタと電気的に分離される。素子分離層の形成は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法や、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。
【0366】
また、トランジスタ233a、トランジスタ233b、およびトランジスタ233c上に絶縁層293、絶縁層235、絶縁層237が設けられ、絶縁層237中に電極238が埋設されている。電極238はコンタクトプラグ236を介してトランジスタ233aのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
【0367】
また、電極238および絶縁層237の上に、絶縁層239、絶縁層240、および絶縁層241が設けられ、絶縁層239、絶縁層240、および絶縁層241の中に電極242が埋設されている。電極242は、電極238と電気的に接続される。
【0368】
また、電極242および絶縁層241の上に、絶縁層243、および絶縁層244が設けられ、絶縁層243、および絶縁層244の中に電極245が埋設されている。電極245は、電極242と電気的に接続される。
【0369】
また、電極245および絶縁層244の上に、絶縁層246および絶縁層247が設けられ、絶縁層246および絶縁層247の中に電極249が埋設されている。電極249は、電極245と電気的に接続される。
【0370】
また、電極249および絶縁層247の上に、絶縁層248および絶縁層250が設けられ、絶縁層248および絶縁層250の中に電極251が埋設されている。電極251は、電極249と電気的に接続される。
【0371】
〔セルアレイ221a〕
セルアレイ221aは、ローカルセンスアンプアレイ214上に設けられる。
図36において、セルアレイ221aは、トランジスタ368a、トランジスタ368b、容量素子369a、および容量素子369bを有する。
図36では、トランジスタ368aおよびトランジスタ368bは、チャネル長方向の断面を示している。なお、トランジスタ368a、およびトランジスタ368bは、バックゲートを有するトランジスタである。
【0372】
トランジスタ368a、およびトランジスタ368bの半導体層に、金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いることが好ましい。すなわち、トランジスタ368a、およびトランジスタ368bにOSトランジスタを用いることが好ましい。
【0373】
トランジスタ368a、およびトランジスタ368bは、絶縁層361および絶縁層362上に設けられている。また、絶縁層362上に絶縁層363および絶縁層364が設けられている。トランジスタ368a、およびトランジスタ368bのバックゲートは、絶縁層363および絶縁層364中に埋設されている。絶縁層364上に、絶縁層365および絶縁層366が設けられている。また、電極367が、絶縁層361乃至絶縁層366中に埋設されている。電極367は、電極251と電気的に接続されている。
【0374】
また、トランジスタ368a、トランジスタ368b、容量素子369a、および容量素子369b上に、絶縁層371、絶縁層372、および絶縁層373が形成され、絶縁層373上に電極375が形成されている。電極375はコンタクトプラグ374を介して電極367と電気的に接続される。
【0375】
また、電極375上に、絶縁層376、絶縁層377、絶縁層378、および絶縁層379が設けられている。また、電極380が、絶縁層376乃至絶縁層379中に埋設されている。電極380は、電極375と電気的に接続されている。
【0376】
また、電極380および絶縁層379の上に、絶縁層381および絶縁層382が設けられ、絶縁層381および絶縁層382の中に電極383が埋設されている。電極383は、電極380と電気的に接続される。
【0377】
〔セルアレイ221b〕
セルアレイ221bは、セルアレイ221a上に設けられる。
図36において、セルアレイ221bは、トランジスタ538a、トランジスタ538b、容量素子539a、および容量素子539bを有する。
図36では、トランジスタ538aおよびトランジスタ538bの、チャネル長方向の断面を示している。なお、トランジスタ538a、およびトランジスタ538bは、バックゲートを有するトランジスタである。
【0378】
トランジスタ538a、およびトランジスタ538bの半導体層に、金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いることが好ましい。すなわち、トランジスタ538a、およびトランジスタ538bにOSトランジスタを用いることが好ましい。
【0379】
トランジスタ538a、およびトランジスタ538bは、絶縁層563および絶縁層532上に設けられている。また、絶縁層532上に絶縁層533および絶縁層534が設けられている。トランジスタ538a、およびトランジスタ538bのバックゲートは、絶縁層533および絶縁層534中に埋設されている。絶縁層534上に、絶縁層535および絶縁層536が設けられている。また、電極537が、絶縁層563乃至絶縁層536中に埋設されている。電極537は、電極383と電気的に接続されている。
【0380】
また、トランジスタ538a、トランジスタ538b、容量素子539a、および容量素子539b上に、絶縁層541、絶縁層562、および絶縁層543が形成され、絶縁層543上に電極545が形成されている。電極545はコンタクトプラグ564を介して電極537と電気的に接続される。
【0381】
また、電極545上に、絶縁層566、絶縁層567、および絶縁層548が設けられている。また、電極549が、絶縁層566乃至絶縁層548中に埋設されている。電極549は、電極545を介してコンタクトプラグ564と電気的に接続されている。
【0382】
また、電極549および絶縁層548の上に、絶縁層550および絶縁層561が設けられている。絶縁層561の上に絶縁層553が設けられている。
【0383】
<変形例>
図37に記憶装置100Aの一部の断面を示す。記憶装置100Aは記憶装置100の変形例である。記憶装置100Aは、ローカルセンスアンプアレイ214A、セルアレイ221a、およびセルアレイ221bを有する。ローカルセンスアンプアレイ214A、セルアレイ221a、およびセルアレイ221bは、基板291上に順に設けられる。記憶装置100Aでは、基板291として絶縁性基板(例えば、ガラス基板)を用いる。
【0384】
ローカルセンスアンプアレイ214Aは、トランジスタ268a、トランジスタ268b、容量素子269a、および容量素子269bを有する。ローカルセンスアンプアレイ214Aに含まれるトランジスタに、薄膜トランジスタ(例えば、OSトランジスタ)を用いる。セルアレイ221aおよびセルアレイ221bは、上記と同様に作製することができる。
【0385】
ローカルセンスアンプアレイ214Aに含まれるトランジスタを全てOSトランジスタとすることで、ローカルセンスアンプアレイ214Aを単極性の集積回路にすることができる。記憶装置100Aに含まれるトランジスタを全てOSトランジスタとすることで、記憶装置100Aを単極性の記憶装置にすることができる。
【0386】
<構成材料について>
〔基板〕
基板として用いる材料に大きな制限はないが、少なくとも後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板としてシリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板等を用いることができる。また、SOI基板や、半導体基板上に歪トランジスタやFIN型トランジスタなどの半導体素子が設けられたものなどを用いることもできる。または、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に適用可能なヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化インジウムガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、シリコンゲルマニウムなどを用いてもよい。すなわち、基板は、単なる支持基板に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。
【0387】
また、基板として、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることもできる。なお、基板として、可撓性基板(フレキシブル基板)を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタや容量素子などを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタや容量素子などを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタや容量素子などとの間に剥離層を設けるとよい。
【0388】
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。基板に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。基板に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
【0389】
〔絶縁層〕
絶縁層は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のうち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
【0390】
なお、本明細書等において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる。
【0391】
また、半導体層として金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いる場合は、半導体層中の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の水素濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。特に、半導体層と接する絶縁層の水素濃度を低減することが好ましい。
【0392】
また、半導体層中の窒素濃度の増加を防ぐために、絶縁層中の窒素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁層中の窒素濃度を、SIMSにおいて5×1019atoms/cm3以下、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0393】
また、絶縁層の少なくとも半導体層と接する領域は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、電子スピン共鳴法(ESR:Electron Spin Resonance)で観察されるシグナルが少ない方が好ましい。例えば、上述のシグナルとしては、g値が2.001に観察されるE’センターが挙げられる。なお、E’センターは、シリコンのダングリングボンドに起因する。例えば、絶縁層として、酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を用いる場合、E’センター起因のスピン密度が、3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を用いればよい。
【0394】
また、上述のシグナル以外に二酸化窒素(NO2)に起因するシグナルが観察される場合がある。当該シグナルは、Nの核スピンにより3つのシグナルに分裂しており、それぞれのg値が2.037以上2.039以下(第1のシグナルとする)、g値が2.001以上2.003以下(第2のシグナルとする)、及びg値が1.964以上1.966以下(第3のシグナルとする)に観察される。
【0395】
例えば、絶縁層として、二酸化窒素(NO2)に起因するシグナルのスピン密度が、1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である絶縁層を用いると好適である。
【0396】
なお、二酸化窒素(NO2)を含む窒素酸化物(NOx)は、絶縁層中に準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体層のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物(NOx)が、絶縁層と酸化物半導体層の界面に拡散すると、当該準位が絶縁層側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁層と酸化物半導体層の界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。したがって、絶縁層として窒素酸化物の含有量が少ない膜を用いると、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することができる。
【0397】
窒素酸化物(NOx)の放出量が少ない絶縁層としては、例えば、酸化窒化シリコン層を用いることができる。当該酸化窒化シリコン層は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、窒素酸化物(NOx)の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、上記のアンモニアの放出量は、TDSにおける加熱処理の温度が50℃以上650℃以下、または50℃以上550℃以下の範囲での総量である。
【0398】
窒素酸化物(NOx)は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応するため、アンモニアの放出量が多い絶縁層を用いることで窒素酸化物(NOx)が低減される。
【0399】
また、酸化物半導体層に接する絶縁層のうち少なくとも1つは、加熱により酸素が放出される絶縁層を用いて形成することが好ましい。具体的には、絶縁層の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われるTDSにて、酸素原子に換算した酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、1.0×1019atoms/cm3以上、または1.0×1020atoms/cm3以上である絶縁層を用いることが好ましい。なお、本明細書などにおいて、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」ともいう。
【0400】
また、過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸化性雰囲気下における熱処理やプラズマ処理などで行なうことができる。または、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法などを用いて酸素を添加してもよい。酸素を添加する処理に用いるガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガス、またはオゾンガスなどの、酸素を含むガスが挙げられる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。酸素ドープ処理は、基板を加熱して行なってもよい。
【0401】
また、絶縁層として、ポリイミド、アクリル系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層を形成してもよい。
【0402】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi-O-Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0403】
絶縁層の形成方法は、特に限定されない。なお、絶縁層に用いる材料によっては焼成工程が必要な場合がある。この場合、絶縁層の焼成工程と他の熱処理工程を兼ねることで、効率よくトランジスタを作製することが可能となる。
【0404】
〔電極〕
電極を形成するための導電性材料としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0405】
また、前述した金属元素および酸素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。
【0406】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、窒素を含む導電性材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0407】
なお、半導体層に酸化物半導体を用いて、ゲート電極として前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いる場合は、酸素を含む導電性材料を半導体層側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料を半導体層側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素が半導体層に供給されやすくなる。
【0408】
なお、電極としては、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い導電性材料を用いればよい。また、埋め込み性の高い導電性材料と、チタン層、窒化チタン層、窒化タンタル層などのバリア層(拡散防止層)を組み合わせて用いてもよい。なお、電極を「コンタクトプラグ」という場合がある。
【0409】
特に、ゲート絶縁層と接する電極に不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。不純物が透過しにくい導電性材料として、例えば窒化タンタルが挙げられる。
【0410】
絶縁層に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用い、電極に不純物が透過しにくい導電性材料を用いることで、トランジスタへの不純物の拡散をさらに抑制することができる。よって、トランジスタの信頼性をさらに高めることができる。すなわち、記憶装置の信頼性をさらに高めることができる。
【0411】
〔半導体層〕
半導体層として、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、または非晶質半導体などを、単体でまたは組み合わせて用いることができる。半導体材料としては、例えば、シリコンや、ゲルマニウムなどを用いることができる。また、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体などを用いることができる。
【0412】
また、半導体層として有機半導体を用いる場合は、芳香環をもつ低分子有機材料やπ電子共役系導電性高分子などを用いることができる。例えば、ルブレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレンジイミド、テトラシアノキノジメタン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレンなどを用いることができる。
【0413】
なお、半導体層を積層してもよい。半導体層を積層する場合は、それぞれ異なる結晶状態を有する半導体を用いてもよいし、それぞれ異なる半導体材料を用いてもよい。
【0414】
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、半導体層に酸化物半導体を用いると、オフ電流が極めて少ないトランジスタを実現することができる。具体的には、ソースとドレイン間の電圧が3.5V、室温(代表的には25℃)下において、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を1×10-20A未満、1×10-22A未満、あるいは1×10-24A未満とすることができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上とすることもできる。また、半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタを提供できる。また、信頼性の良好な記憶装置などを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧な記憶装置などを提供することができる。
【0415】
また、本明細書等において、チャネルが形成される半導体層に結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタを「結晶性Siトランジスタ」ともいう。
【0416】
結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタよりも比較的高い移動度を得やすい。一方で、結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタのような極めて少ないオフ電流の実現が困難である。よって、半導体層に用いる半導体材料は、目的や用途に応じて適宜使い分けることが肝要である。例えば、目的や用途に応じて、OSトランジスタと結晶性Siトランジスタなどを組み合わせて用いてもよい。
【0417】
半導体層として酸化物半導体層を用いる場合は、酸化物半導体層をスパッタリング法で形成することが好ましい。酸化物半導体層は、スパッタリング法で形成すると酸化物半導体層の密度を高められるため、好適である。スパッタリング法で酸化物半導体層を形成する場合、スパッタリングガスには、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、または、希ガスおよび酸素の混合ガスを用いればよい。また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスや希ガスは、露点が-60℃以下、好ましくは-100℃以下にまで高純度化したガスを用いる。高純度化されたスパッタリングガスを用いて成膜することで、酸化物半導体層に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
【0418】
また、スパッタリング法で酸化物半導体層を形成する場合、スパッタリング装置が有する成膜室内の水分を可能な限り除去することが好ましい。例えば、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、成膜室内を高真空(5×10-7Paから1×10-4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、成膜室内のH2Oに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10-4Pa以下とすることが好ましく、5×10-5Pa以下とすることがより好ましい。
【0419】
〔金属酸化物〕
金属酸化物の一種である酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0420】
ここで、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素として、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0421】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0422】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0423】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0424】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0425】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0426】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0427】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0428】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0429】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0430】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0431】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0432】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M、Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M、Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In、M、Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In、M)層と表すこともできる。
【0433】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0434】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0435】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0436】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0437】
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明する。
【0438】
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0439】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
【0440】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0441】
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0442】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0443】
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0444】
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、金属酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0445】
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0446】
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属酸化物において、チャネル形成領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0447】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
【0448】
不純物濃度が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0449】
<成膜方法について>
絶縁層を形成するための絶縁性材料、電極を形成するための導電性材料、または半導体層を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、スピンコート法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法、高密度プラズマCVD(High density plasma CVD)法、LPCVD(low pressure CVD)法、APCVD(atmospheric pressure CVD)法等を含む)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、または、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、ディップ法、スプレー塗布法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)を用いて形成することができる。
【0450】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。MOCVD法、ALD法、または熱CVD法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じにくい。例えば、記憶装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、記憶装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない成膜方法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、記憶装置の歩留まりを高くすることができる。また、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0451】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0452】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、記憶装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0453】
なお、ALD法により成膜する場合は、材料ガスとして塩素を含まないガスを用いることが好ましい。
【0454】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0455】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した記憶装置などに用いることができるトランジスタの構造例について説明する。
【0456】
<トランジスタの構造例1>
図38(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Aの構造例を説明する。
図38(A)はトランジスタ510Aの上面図である。
図38(B)は、
図38(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図38(C)は、
図38(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図38(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0457】
図38(A)、(B)および(C)では、トランジスタ510Aと、層間膜として機能する絶縁層511、絶縁層512、絶縁層514、絶縁層516、絶縁層580、絶縁層582、および絶縁層584を示している。また、トランジスタ510Aと電気的に接続し、コンタクトプラグとして機能する導電層546(導電層546a、および導電層546b)と、配線として機能する導電層503と、を示している。
【0458】
トランジスタ510Aは、第1のゲート電極として機能する導電層560(導電層560a、および導電層560b)と、第2のゲート電極として機能する導電層505(導電層505a、および導電層505b)と、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁層550と、第2のゲート絶縁層として機能する絶縁層521、絶縁層522、および絶縁層524と、チャネルが形成される領域を有する酸化物530(酸化物530a、酸化物530b、および酸化物530c)と、ソースまたはドレインの一方として機能する導電層542aと、ソースまたはドレインの他方として機能する導電層542bと、絶縁層574とを有する。
【0459】
また、
図38に示すトランジスタ510Aでは、酸化物530c、絶縁層550、および導電層560が、絶縁層580に設けられた開口部内に、絶縁層574を介して配置される。また、酸化物530c、絶縁層550、および導電層560は、導電層542a、および導電層542bとの間に配置される。
【0460】
絶縁層511、および絶縁層512は、層間膜として機能する。
【0461】
層間膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁層を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁層に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁層を窒化処理してもよい。上記の絶縁層に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0462】
例えば、絶縁層511は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ510Aに混入するのを抑制するバリア膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁層511は、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。また、例えば、絶縁層511として酸化アルミニウムや窒化シリコンなどを用いてもよい。当該構成により、水素、水などの不純物が絶縁層511よりも基板側からトランジスタ510A側に拡散するのを抑制することができる。
【0463】
例えば、絶縁層512は、絶縁層511よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0464】
導電層503は、絶縁層512に埋め込まれるように形成される。ここで、導電層503の上面の高さと、絶縁層512の上面の高さは同程度にできる。なお導電層503は、単層とする構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電層503を2層以上の多層膜構造としてもよい。なお、導電層503は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。
【0465】
トランジスタ510Aにおいて、導電層560は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電層505は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電層505に印加する電位を、導電層560に印加する電位と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ510Aの閾値電圧を制御することができる。特に、導電層505に負の電位を印加することにより、トランジスタ510Aの閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電層505に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電層560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0466】
また、例えば、導電層505と、導電層560とを重畳して設けることで、導電層560、および導電層505に電位を印加した場合、導電層560から生じる電界と、導電層505から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0467】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電層560の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電層505の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0468】
絶縁層514、および絶縁層516は、絶縁層511または絶縁層512と同様に、層間膜として機能する。例えば、絶縁層514は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ510Aに混入するのを抑制するバリア膜として機能することが好ましい。当該構成により、水素、水などの不純物が絶縁層514よりも基板側からトランジスタ510A側に拡散するのを抑制することができる。また、例えば、絶縁層516は、絶縁層514よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0469】
第2のゲートとして機能する導電層505は、絶縁層514および絶縁層516の開口の内壁に接して導電層505aが形成され、さらに内側に導電層505bが形成されている。ここで、導電層505aおよび導電層505bの上面の高さと、絶縁層516の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ510Aでは、導電層505aおよび導電層505bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電層505は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0470】
ここで、導電層505aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0471】
例えば、導電層505aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電層505bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0472】
また、導電層505が配線の機能を兼ねる場合、導電層505bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。その場合、導電層503は、必ずしも設けなくともよい。なお、導電層505bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0473】
絶縁層521、絶縁層522、および絶縁層524は、第2のゲート絶縁層としての機能を有する。
【0474】
また、絶縁層522は、バリア性を有することが好ましい。絶縁層522がバリア性を有することで、トランジスタ510Aの周辺部からトランジスタ510Aへの水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0475】
絶縁層522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁層を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁層の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁層として機能する絶縁層にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0476】
例えば、絶縁層521は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁層を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンとを組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁層521を得ることができる。
【0477】
なお、
図38には、第2のゲート絶縁層として、3層の積層構造を示したが、単層、または2層以上の積層構造としてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0478】
チャネル形成領域として機能する領域を有する酸化物530は、酸化物530aと、酸化物530a上の酸化物530bと、酸化物530b上の酸化物530cと、を有する。酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物530b上に酸化物530cを有することで、酸化物530cよりも上方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。酸化物530として、上記実施の形態に示した金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いることができる。
【0479】
なお、酸化物530cは、絶縁層580に設けられた開口部内に、絶縁層574を介して設けられることが好ましい。絶縁層574がバリア性を有する場合、絶縁層580からの不純物が酸化物530へと拡散することを抑制することができる。
【0480】
導電層542は、一方がソース電極として機能し、他方がドレイン電極として機能する。
【0481】
導電層542aと、導電層542bとは、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を用いることができる。特に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があり、また、耐酸化性が高いため、好ましい。
【0482】
また、
図38では単層構造を示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造としてもよい。
【0483】
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0484】
また、導電層542上に、バリア層を設けてもよい。バリア層は、酸素、または水素に対してバリア性を有する物質を用いることが好ましい。当該構成により、絶縁層574を成膜する際に、導電層542が酸化することを抑制することができる。
【0485】
バリア層には、例えば、金属酸化物を用いることができる。特に、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムなどの、酸素や水素に対してバリア性のある絶縁膜を用いることが好ましい。また、CVD法で形成した窒化シリコンを用いてもよい。
【0486】
バリア層を有することで、導電層542の材料選択の幅を広げることができる。例えば、導電層542に、タングステンや、アルミニウムなどの耐酸化性が低い一方で導電性が高い材料を用いることができる。また、例えば、成膜、または加工がしやすい導電体を用いることができる。
【0487】
絶縁層550は、第1のゲート絶縁層として機能する。絶縁層550は、絶縁層580に設けられた開口部内に、酸化物530c、および絶縁層574を介して設けられることが好ましい。
【0488】
トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁層の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。その場合、絶縁層550は、第2のゲート絶縁層と同様に、積層構造としてもよい。ゲート絶縁層として機能する絶縁層を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構造とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0489】
第1のゲート電極として機能する導電層560は、導電層560a、および導電層560a上の導電層560bを有する。導電層560aは、導電層505aと同様に、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0490】
導電層560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電層560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電層560aを有することで、導電層560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0491】
酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電層560aとして、酸化物530として用いることができる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電層560bをスパッタリング法で成膜することで、導電層560aの電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0492】
導電層560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電層560は、配線として機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電層560bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0493】
絶縁層580と、トランジスタ510Aとの間に絶縁層574を配置する。絶縁層574は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0494】
絶縁層574を有することで、絶縁層580が有する水、および水素などの不純物が酸化物530c、絶縁層550を介して、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁層580が有する過剰酸素により、導電層560が酸化するのを抑制することができる。
【0495】
絶縁層580、絶縁層582、および絶縁層584は、層間膜として機能する。
【0496】
絶縁層582は、絶縁層514と同様に、水または水素などの不純物が、外部からトランジスタ510Aに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。
【0497】
また、絶縁層582に抵抗率が1×1010以上1×1015Ωcm以下の絶縁材料を用いることで、成膜時またはエッチング時などで生じるプラズマダメージを低減することができる。例えば、絶縁層582として抵抗率が1×1014Ωcm以下、好ましくは1×1013Ωcm以下の窒化シリコンを用いればよい。なお、絶縁層582に限らず、他の絶縁層に抵抗率が1×1010以上1×1015Ωcm以下の絶縁材料を用いてもよい。例えば、絶縁層584、絶縁層580、絶縁層524、および/または絶縁層516に抵抗率が1×1014Ωcm以下、好ましくは1×1013Ωcm以下の窒化シリコンを用いてもよい。
【0498】
また、絶縁層580、および絶縁層584は、絶縁層516と同様に、絶縁層582よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0499】
また、トランジスタ510Aは、絶縁層580、絶縁層582、および絶縁層584に埋め込まれた導電層546などのプラグや配線を介して、他の構造と電気的に接続してもよい。
【0500】
また、導電層546の材料としては、導電層505と同様に、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。例えば、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0501】
例えば、導電層546としては、例えば、水素、および酸素に対してバリア性を有する導電体である窒化タンタル等と、導電性が高いタングステンとの積層構造を用いることで、配線としての導電性を保持したまま、外部からの不純物の拡散を抑制することができる。
【0502】
上記構造を有することで、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。
【0503】
また、必要に応じて、バックゲート電極として機能できる導電層505と、配線として機能する導電層503を省略してもよい。
図45(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Aaは、トランジスタ510Aから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0504】
図45(A)はトランジスタ510Aaの上面図である。
図45(B)は、
図45(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図45(C)は、
図45(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図45(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0505】
<トランジスタの構造例2>
図39(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Bの構造例を説明する。
図39(A)はトランジスタ510Bの上面図である。
図39(B)は、
図39(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図39(C)は、
図39(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図39(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0506】
トランジスタ510Bは上記トランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主に上記トランジスタと異なる点について説明する。
【0507】
図39(A)乃至(C)では、導電層542(導電層542a、および導電層542b)を設けずに、露出した酸化物530b表面の一部に領域531aおよび領域531bを有する。領域531aまたは領域531bの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。また、酸化物530bと、絶縁層574の間に、絶縁層573を有する。
【0508】
図39に示す、領域531(領域531a、および領域531b)は、酸化物530bに上記の元素が添加された領域である。領域531は、例えば、ダミーゲートを用いることで形成することができる。
【0509】
具体的には、酸化物530b上にダミーゲートを設け、当該ダミーゲートをマスクとして用い、上記酸化物530bを低抵抗化する元素を添加するとよい。つまり、酸化物530が、ダミーゲートと重畳していない領域に、当該元素が添加され、領域531が形成される。なお、当該元素の添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
【0510】
なお、酸化物530を低抵抗化する元素としては、代表的には、ホウ素、またはリンが挙げられる。また、水素、炭素、窒素、フッ素、硫黄、塩素、チタン、希ガス元素等を用いてもよい。希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。当該元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。
【0511】
特に、ホウ素、及びリンは、アモルファスシリコン、または低温ポリシリコンの製造ラインの装置を使用することができるため、好ましい。既存の設備を転用することができ、設備投資を抑制することができる。
【0512】
続いて、酸化物530b、およびダミーゲート上に、絶縁層573となる絶縁膜、および絶縁層574となる絶縁膜を成膜してもよい。絶縁層573となる絶縁膜、および絶縁層574を積層して設けることで、領域531と、酸化物530cおよび絶縁層550とが重畳する領域を設けることができる。
【0513】
具体的には、絶縁層574となる絶縁膜上に絶縁層580となる絶縁膜を設けた後、絶縁層580となる絶縁膜にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことで、絶縁層580となる絶縁膜の一部を除去し、ダミーゲートを露出する。続いて、ダミーゲートを除去する際に、ダミーゲートと接する絶縁層573の一部も除去するとよい。従って、絶縁層580に設けられた開口部の側面には、絶縁層574、およい絶縁層573が露出し、当該開口部の底面には、酸化物530bに設けられた領域531の一部が露出する。次に、当該開口部に酸化物530cとなる酸化膜、絶縁層550となる絶縁膜、および導電層560となる導電膜を順に成膜した後、絶縁層580が露出するまでCMP処理などにより、酸化物530cとなる酸化膜、絶縁層550となる絶縁膜、および導電層560となる導電膜の一部を除去することで、
図39に示すトランジスタを形成することができる。
【0514】
なお、絶縁層573、および絶縁層574は必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0515】
図39に示すトランジスタは、既存の装置を転用することができ、さらに、導電層542を設けないため、コストの低減を図ることができる。
【0516】
また、必要に応じて、バックゲート電極として機能できる導電層505と、配線として機能する導電層503を省略してもよい。
図46(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Baは、トランジスタ510Bから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0517】
図46(A)はトランジスタ510Baの上面図である。
図46(B)は、
図46(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図46(C)は、
図46(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図46(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0518】
<トランジスタの構造例3>
図40(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Cの構造例を説明する。
図40(A)はトランジスタ510Cの上面図である。
図40(B)は、
図40(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図40(C)は、
図40(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図40(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0519】
トランジスタ510Cは上記トランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ510Aと異なる点について説明する。
【0520】
トランジスタ510Cは、導電層542(導電層542a、および導電層542b)と、酸化物530c、絶縁層550、酸化物551および導電層560と、が重畳する領域を有する。当該構造とすることで、オン電流が高いトランジスタを提供することができる。また、制御性が高いトランジスタを提供することができる。
【0521】
第1のゲート電極として機能する導電層560は、導電層560a、および導電層560a上の導電層560bを有する。導電層560aは、導電層505aと同様に、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0522】
導電層560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電層560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電層560aを有することで、導電層560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0523】
また、トランジスタのVthを調整するために、導電層560aに用いる材料を、仕事関数を考慮して決定してもよい。例えば、導電層560aを窒化チタン、導電層560bをタングステンで形成してもよい。導電層560aおよび導電層560bは、スパッタリング法、CVD法、またはAFM法などの既知の成膜方法で形成すればよい。なお、窒化チタンをCVD法で成膜する場合の成膜温度は380℃以上500℃以下が好ましく、400℃以上450℃以下がより好ましい。
【0524】
酸化物551は、他の絶縁層と同様の材料を用いて形成してもよい。また、酸化物551として、過剰酸素を含むIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いてもよい。例えば、酸化物551として、In-Ga-Zn酸化物をスパッタリング法で成膜する。具体的には、例えば原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて、酸素を含むスパッタリングガスを用いて成膜する。酸化物551をスパッタリング法で成膜する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比は70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%がより好ましい。
【0525】
スパッタリングガスに酸素を含むガスを用いることで、酸化物551だけでなく、酸化物551の被形成面である絶縁層550に酸素を供給することができる。また、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比を大きくすることで、絶縁層550への酸素供給量を増やすことができる。
【0526】
また、絶縁層550上に酸化物551を設けることで、絶縁層550に含まれる過剰酸素が導電層560へ拡散しにくくなる。よって、トランジスタの信頼性を高めることができる。なお、酸化物551は、目的などによっては省略される場合がある。
【0527】
また、導電層560の上面および側面、絶縁層550の側面、および酸化物530cの側面を覆うように、絶縁層574を設けることが好ましい。なお、絶縁層574は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0528】
絶縁層574を設けることで、導電層560の酸化を抑制することができる。また、絶縁層574を有することで、絶縁層580が有する水、および水素などの不純物がトランジスタ510Cへ拡散することを抑制することができる。
【0529】
また、導電層546と、絶縁層580との間に、バリア性を有する絶縁層576(絶縁層576a、および絶縁層576b)を配置してもよい。絶縁層576を設けることで、絶縁層580の酸素が導電層546と反応し、導電層546が酸化することを抑制することができる。
【0530】
また、バリア性を有する絶縁層576を設けることで、プラグや配線に用いられる導電体の材料選択の幅を広げることができる。例えば、導電層546に、酸素を吸収する性質を持つ一方で、導電性が高い金属材料を用いることができる。
【0531】
また、必要に応じて、バックゲート電極として機能できる導電層505と、配線として機能する導電層503を省略してもよい。
図47(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Caは、トランジスタ510Cから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0532】
図47(A)はトランジスタ510Caの上面図である。
図47(B)は、
図47(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図47(C)は、
図47(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図47(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0533】
<トランジスタの構造例4>
図41(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Dの構造例を説明する。
図41(A)はトランジスタ510Dの上面図である。
図41(B)は、
図41(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図41(C)は、
図41(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図41(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0534】
トランジスタ510Dは上記トランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ510Aと異なる点について説明する。
【0535】
図41に示すトランジスタ510Dは、導電層542aと酸化物530bの間に導電層547aが配置され、導電層542bと酸化物530bの間に導電層547bが配置されている。ここで、導電層542a(導電層542b)は、導電層547a(導電層547b)の上面および導電層560側の側面を越えて延在し、酸化物530bの上面に接する領域を有する。ここで、導電層547は、導電層542に用いることができる導電体を用いればよい。さらに、導電層547の膜厚は、少なくとも導電層542より厚いことが好ましい。
【0536】
図41に示すトランジスタ510Dは、上記のような構成を有することにより、トランジスタ510Aよりも、導電層542を導電層560に近づけることができる。または、導電層542aの端部および導電層542bの端部と、導電層560を重ねることができる。これにより、トランジスタ510Dの実質的なチャネル長を短くし、オン電流および周波数特性の向上を図ることができる。
【0537】
また、導電層547a(導電層547b)は、導電層542a(導電層542b)と重畳して設けられることが好ましい。このような構成にすることで、導電層546a(導電層546b)を埋め込む開口を形成するエッチングにおいて、導電層547a(導電層547b)がストッパとして機能し、酸化物530bがオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0538】
また、
図41に示すトランジスタ510Dは、絶縁層544の上に接して絶縁層565を配置する構成にしてもよい。絶縁層544としては、水または水素などの不純物や、過剰な酸素が、絶縁層580側からトランジスタ510Dに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁層565としては、絶縁層544に用いることができる絶縁層を用いることができる。また、絶縁層544を、例えば、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどの、窒化物絶縁材料を用いて形成してもよい。
【0539】
また、
図41に示すトランジスタ510Dは、
図38に示すトランジスタ510Aと異なり、導電層505を単層構造で設けてもよい。この場合、パターン形成された導電層505の上に絶縁層516となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜の上部を、導電層505の上面が露出するまでCMP法などを用いて除去すればよい。ここで、導電層505の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電層505上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電層505の上に形成される、絶縁層の平坦性を良好にし、酸化物530bおよび酸化物530cの結晶性の向上を図ることができる。
【0540】
また、必要に応じて、導電層505省略してもよい。
図48(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Daは、トランジスタ510Dから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0541】
図48(A)はトランジスタ510Daの上面図である。
図48(B)は、
図48(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図48(C)は、
図48(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図48(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0542】
<トランジスタの構造例5>
図42(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Eの構造例を説明する。
図42(A)はトランジスタ510Eの上面図である。
図42(B)は、
図42(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図42(C)は、
図42(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図42(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0543】
トランジスタ510Eは上記トランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主に上記トランジスタと異なる点について説明する。
【0544】
図42(A)乃至(C)では、導電層503を設けずに、第2のゲートとしての機能を有する導電層505を配線としても機能させている。また、酸化物530c上に絶縁層550を有し、絶縁層550上に金属酸化物552を有する。また、金属酸化物552上に導電層560を有し、導電層560上に絶縁層570を有する。また、絶縁層570上に絶縁層571を有する。
【0545】
金属酸化物552は、酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁層550と、導電層560との間に、酸素の拡散を抑制する金属酸化物552を設けることで、導電層560への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、酸素による導電層560の酸化を抑制することができる。
【0546】
なお、金属酸化物552は、第1のゲートの一部としての機能を有してもよい。例えば、酸化物530として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物552として用いることができる。その場合、導電層560をスパッタリング法で成膜することで、金属酸化物552の電気抵抗値を低下させて導電層とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0547】
また、金属酸化物552は、ゲート絶縁層の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁層550に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、金属酸化物552は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁層として機能する絶縁層の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0548】
トランジスタ510Eにおいて、金属酸化物552を単層で示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、ゲート電極の一部として機能する金属酸化物と、ゲート絶縁層の一部として機能する金属酸化物とを積層して設けてもよい。
【0549】
金属酸化物552を有することで、ゲート電極として機能する場合は、導電層560からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ510Eのオン電流の向上を図ることができる。または、ゲート絶縁層として機能する場合は、絶縁層550と、金属酸化物552との物理的な厚みにより、導電層560と、酸化物530との間の距離を保つことで、導電層560と酸化物530との間のリーク電流を抑制することができる。従って、絶縁層550、および金属酸化物552との積層構造を設けることで、導電層560と酸化物530との間の物理的な距離、および導電層560から酸化物530へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
【0550】
具体的には、金属酸化物552として、酸化物530に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化することで、金属酸化物552として用いることができる。または、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0551】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁層である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、金属酸化物552は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0552】
絶縁層570は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁層570よりも上方からの酸素で導電層560が酸化するのを抑制することができる。また、絶縁層570よりも上方からの水または水素などの不純物が、導電層560および絶縁層550を介して、酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0553】
絶縁層571はハードマスクとして機能する。絶縁層571を設けることで、導電層560の加工の際、導電層560の側面が概略垂直、具体的には、導電層560の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。
【0554】
なお、絶縁層571に、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア層としての機能を兼ねさせてもよい。その場合、絶縁層570は設けなくともよい。
【0555】
絶縁層571をハードマスクとして用いて、絶縁層570、導電層560、金属酸化物552、絶縁層550、および酸化物530cの一部を選択的に除去することで、これらの側面を略一致させて、かつ、酸化物530b表面の一部を露出させることができる。
【0556】
また、トランジスタ510Eは、露出した酸化物530b表面の一部に領域531aおよび領域531bを有する。領域531aまたは領域531bの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。
【0557】
領域531aおよび領域531bの形成は、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、またはプラズマ処理などを用いて、露出した酸化物530b表面にリンまたはボロンなどの不純物元素を導入することで実現できる。なお、本実施の形態などにおいて「不純物元素」とは、主成分元素以外の元素のことをいう。
【0558】
また、酸化物530b表面の一部を露出させた後に金属膜を成膜し、その後加熱処理することにより、該金属膜に含まれる元素を酸化物530bに拡散させて領域531aおよび領域531bを形成することもできる。
【0559】
酸化物530bの不純物元素が導入された領域は、電気抵抗率が低下する。このため、領域531aおよび領域531bを「不純物領域」または「低抵抗領域」という場合がある。
【0560】
絶縁層571および/または導電層560をマスクとして用いることで、領域531aおよび領域531bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することができる。よって、領域531aおよび/または領域531bと、導電層560が重ならず、寄生容量を低減することができる。また、チャネル形成領域とソースドレイン領域(領域531aまたは領域531b)の間にオフセット領域が形成されない。領域531aおよび領域531bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することにより、オン電流の増加、しきい値電圧の低減、動作周波数の向上などを実現できる。
【0561】
なお、オフ電流を更に低減するため、チャネル形成領域とソースドレイン領域の間にオフセット領域を設けてもよい。オフセット領域とは、電気抵抗率が高い領域であり、前述した不純物元素の導入が行なわれない領域である。オフセット領域の形成は、絶縁層575の形成後に前述した不純物元素の導入を行なうことで実現できる。この場合、絶縁層575も絶縁層571などと同様にマスクとして機能する。よって、酸化物530bの絶縁層575と重なる領域に不純物元素が導入されず、該領域の電気抵抗率を高いままとすることができる。
【0562】
また、トランジスタ510Eは、絶縁層570、導電層560、金属酸化物552、絶縁層550、および酸化物530cの側面に絶縁層575を有する。絶縁層575は、比誘電率の低い絶縁層であることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などであることが好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを絶縁層575に用いると、後の工程で絶縁層575中に過剰酸素領域を容易に形成できるため好ましい。また、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。また、絶縁層575は、酸素を拡散する機能を有することが好ましい。
【0563】
また、トランジスタ510Eは、絶縁層575、酸化物530上に絶縁層574を有する。絶縁層574は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁層を成膜することができる。例えば、絶縁層574として、酸化アルミニウムを用いるとよい。
【0564】
なお、スパッタリング法を用いた酸化膜は、被成膜構造体から水素を引き抜く場合がある。従って、絶縁層574が酸化物230および絶縁層575から水素および水を吸収することで、酸化物230および絶縁層575の水素濃度を低減することができる。
【0565】
また、必要に応じて、導電層505を省略してもよい。
図49(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Eaは、トランジスタ510Eから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0566】
図49(A)はトランジスタ510Eaの上面図である。
図49(B)は、
図49(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図49(C)は、
図49(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図49(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0567】
<トランジスタの構造例6>
図43(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Fの構造例を説明する。
図43(A)はトランジスタ510Fの上面図である。
図43(B)は、
図43(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図43(C)は、
図43(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図43(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0568】
トランジスタ510Fは上記トランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主に上記トランジスタと異なる点について説明する。
【0569】
トランジスタ510Fは、トランジスタ510C_1とトランジスタ510C_2を並列に接続した構成を有する。具体的には、トランジスタ510C_1のソースまたはドレインの一方とトランジスタ510C_2のソースまたはドレインの一方を、導電層546aまたは導電層546bの一方を介して電気的に接続する。また、トランジスタ510C_1のソースまたはドレインの他方とトランジスタ510C_2のソースまたはドレインの他方を、導電層546aまたは導電層546bの他方を介して電気的に接続する。また、導電層560をトランジスタ510C_1とトランジスタ510C_2のゲート電極として用いる。
【0570】
トランジスタ510C_1およびトランジスタ510C_2は、どちらもトランジスタ510Cと同じ構成を有する。よって、トランジスタ510Fは、トランジスタ510Cを2つ並列に接続したトランジスタである。なお、並列に接続するトランジスタの数は2つに限らず3つ以上であってもよい。例えば、メモリセルを構成するトランジスタにトランジスタ510Fを用いる場合、並列に接続するトランジスタの数はセルサイズに応じて決定すればよい。また、並列に接続するトランジスタの構成は、トランジスタ510Cに限定されるものではない。
【0571】
また、トランジスタ510C_1に含まれる導電層505_1は、バックゲート電極として機能する。また、トランジスタ510C_2に含まれる導電層505_2はバックゲート電極として機能する。導電層505_1と導電層505_2は、導電層505と同様の材料および方法で形成できる。
【0572】
オン電流を増やすためにチャネル幅を大きくすると、S値(subthreshold swing value)の増加、ノーマリーオン化などが生じやすい。特に、チャネル長が短いトランジスタでこの傾向が顕著になる。なお、S値はトランジスタの電気特性を表す指標の一つであり、小さいほど好ましい。チャネル幅を複数に分割することで、S値を増加させずにオン電流を増やすことが出来る。また、ノーマリーオン化することなく、オン電流を増やすことが出来る。
【0573】
また、半導体層の側面に形成されるチャネルによって、実効的なチャネル幅が見かけ上のチャネル幅よりも大きくなるS-channel構造のトランジスタでは、チャネル幅を大きくすると、その効果が低下してしまう。チャネル幅を複数に分割することで、S-channel構造の効果を保ちながら、実質的なチャネル幅を大きくすることが出来る。
【0574】
なお、チャネル幅を複数に分割する場合、分割されたチャネル幅は同じまたは同程度であることが好ましい。トランジスタ510Fでは、トランジスタ510C_1のチャネル幅とトランジスタ510C_2のチャネル幅が同じまたは同程度であることが好ましい。トランジスタ510C_1のチャネル幅をW1、トランジスタ510C_2のチャネル幅をW2とすると、W1がW2の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がより好ましく、0.95倍以上1.05倍以下がさらに好ましい。
【0575】
また、必要に応じて、バックゲート電極として機能できる導電層505と、配線として機能する導電層503を省略してもよい。
図50(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Faは、トランジスタ510Fから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0576】
図50(A)はトランジスタ510Faの上面図である。
図50(B)は、
図50(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図50(C)は、
図50(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図50(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0577】
<トランジスタの構造例7>
図44(A)および
図44(B)を用いてトランジスタ510Gの構造例を説明する。
図44(A)はトランジスタ510Gの上面図である。
図44(B)は、
図44(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。なお、
図44(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0578】
トランジスタ510Gは上記トランジスタ510Fの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ510Fと異なる点について説明する。
【0579】
トランジスタ510Gは、トランジスタEと異なる構成でトランジスタ510C_1とトランジスタ510C_2を並列接続している。具体的には、導電層505_1と導電層505_2を電気的に接続している。また、トランジスタ510C_1のソースまたはドレインの一方とトランジスタ510C_2のソースまたはドレインの一方を電気的に接続する。
図44では、トランジスタ510C_1のソースまたはドレインの一方とトランジスタ510C_2のソースまたはドレインの一方を共用し、導電層546bと電気的に接続している。また、トランジスタ510C_1はゲート電極として機能する導電層560_1を有し、トランジスタ510C_2はゲート電極として機能する導電層560_2を有する。また、導電層560_1および導電層560_2は電気的に接続される。
【0580】
導電層560_1および導電層560_2は、導電層560と同様の材料および方法で形成できる。なお、
図44では、導電層560の一部を導電層560_1として用い、導電層560の他の一部を導電層560_2として用いる例を示している。
【0581】
また、トランジスタ510C_1のソースまたはドレインの他方は、導電層546aと電気的に接続し、トランジスタ510C_2のソースまたはドレインの他方は、導電層546cと電気的に接続する。導電層546cは、導電層546aおよび導電層546bと同様の材料および方法で形成できる。また、絶縁層576cは、絶縁層576aおよび絶縁層576bと同様の材料および方法で形成できる。
【0582】
トランジスタ510Gでは、導電層546bがトランジスタ510Gのソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、導電層546aおよび導電層546bがトランジスタ510Gのソースまたはドレインの他方と電気的に接続する。
【0583】
トランジスタ510Gもトランジスタ510Fと同様の作用効果を奏する。
【0584】
また、必要に応じて、バックゲート電極として機能できる導電層505と、配線として機能する導電層503を省略してもよい。
図51(A)乃至(C)に示すトランジスタ510Gaは、トランジスタ510Gから導電層505と導電層503を除いた構成を有する。
【0585】
図51(A)はトランジスタ510Gaの上面図である。
図51(B)は、
図51(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。
図51(C)は、
図51(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、
図51(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0586】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0587】
(実施の形態9)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す記憶装置を用いることができる製品イメージ、上記実施の形態に示す記憶装置などが組み込まれた電子部品および電子機器の一例を示す。
【0588】
<製品イメージ>
まず、本発明の一形態に係わる記憶装置に用いることができる製品イメージを
図52に示す。
図52に示す領域801は高い温度特性(High T operate)を表し、領域802は高い周波数特性(High f operate)を表し、領域803は低いオフ特性(Ioff)を表し、領域804は、領域801、領域802、及び領域803が重なった領域を表す。
【0589】
なお、領域801を満たそうとする場合、トランジスタのチャネル形成領域として、炭化シリコン、または窒化ガリウムなどの炭化物または窒化物を適用することで、概略満たすことができる。また、領域802を満たそうとする場合、トランジスタのチャネル形成領域として、単結晶シリコン、または結晶性シリコンなどの珪化物を適用することで、概略満たすことができる。また、領域803を満たそうとする場合、トランジスタのチャネル形成領域として、酸化物半導体、または金属酸化物を用いることで、概略満たすことができる。
【0590】
本発明の一形態に係わる記憶装置は、例えば、領域804に示す範囲の製品に好適に用いることができる。
【0591】
従来までの製品においては、領域801、領域802、及び領域803を全て満たすことが困難であった。しかしながら、本発明の一形態に係わる記憶装置が有するトランジスタは、チャネル形成領域に結晶性OSを有する。チャネル形成領域に結晶性OSを有する場合、高い温度特性と、高い周波数特性と、低いオフ特性とを満たす記憶装置、および電子機器を提供することができる。
【0592】
なお、領域804に示す範囲の製品としては、例えば、低消費電力且つ高性能なCPUなどを有する電子機器、高温環境下での高い信頼性が求められる車載用の電子機器などが挙げられる。次に、本発明の一形態に係わる記憶装置などが組み込まれた電子部品および電子機器の一例を示す。
【0593】
<電子部品>
記憶装置100が組み込まれた電子部品の例を、
図53(A)、(B)を用いて説明を行う。
【0594】
図53(A)に電子部品700および電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図を示す。
図53(A)に示す電子部品700はICチップであり、リードおよび回路部を有する。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このようなICチップが複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
【0595】
電子部品700の回路部として、上記実施の形態に示した記憶装置100が設けられている。
図53(A)では、電子部品700のパッケージにQFP(Quad Flat Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0596】
図53(B)に電子部品730の斜視図を示す。電子部品730は、SiP(System in package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、および複数の記憶装置100が設けられている。
【0597】
電子部品730では、記憶装置100を広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路(半導体装置)を用いることができる。
【0598】
パッケージ基板732は、セラミック基板、プラスチック基板、またはガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
【0599】
インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
【0600】
インターポーザ731としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
【0601】
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0602】
また、シリコンインターポーザを用いたSiPやMCMなどでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0603】
また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、記憶装置100と半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
【0604】
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。
図53(B)では、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0605】
電子部品730は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
【0606】
<電子機器>
次に、上記電子部品を備えた電子機器の例について
図54を用いて説明を行う。
【0607】
ロボット7100は、照度センサ、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、ディスプレイ、各種センサ(赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなど)、および移動機構などを備える。電子部品730はプロセッサなどを有し、これら周辺機器を制御する機能を有する。例えば、電子部品700はセンサで取得されたデータを記憶する機能を有する。
【0608】
マイクロフォンは、使用者の音声および環境音などの音響信号を検知する機能を有する。また、スピーカは、音声および警告音などのオーディオ信号を発する機能を有する。ロボット7100は、マイクロフォンを介して入力されたオーディオ信号を解析し、必要なオーディオ信号をスピーカから発することができる。ロボット7100において、は、マイクロフォン、およびスピーカを用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0609】
カメラは、ロボット7100の周囲を撮像する機能を有する。また、ロボット7100は、移動機構を用いて移動する機能を有する。ロボット7100は、カメラを用いて周囲の画像を撮像し、画像を解析して移動する際の障害物の有無などを察知することができる。
【0610】
飛行体7120は、プロペラ、カメラ、およびバッテリなどを有し、自律して飛行する機能を有する。電子部品730はこれら周辺機器を制御する機能を有する。
【0611】
例えば、カメラで撮影した画像データは、電子部品700に記憶される。電子部品730は、画像データを解析し、移動する際の障害物の有無などを察知することができる。また、電子部品730によってバッテリの蓄電容量の変化から、バッテリ残量を推定することができる。
【0612】
掃除ロボット7140は、上面に配置されたディスプレイ、側面に配置された複数のカメラ、ブラシ、操作ボタン、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット7300には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット7300は自走し、ゴミを検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
【0613】
例えば、電子部品730は、カメラが撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシに絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシの回転を止めることができる。
【0614】
自動車7160は、エンジン、タイヤ、ブレーキ、操舵装置、カメラなどを有する。例えば、電子部品730は、ナビゲーション情報、速度、エンジンの状態、ギアの選択状態、ブレーキの使用頻度などのデータに基づいて、自動車7160の走行状態を最適化するための制御を行う。例えば、カメラで撮影した画像データは電子部品700に記憶される。
【0615】
電子部品700および/または電子部品730は、TV装置7200(テレビジョン受像装置)、スマートフォン7210、PC7220(パーソナルコンピュータ)、7230、ゲーム機7240、ゲーム機7260等に組み込むことができる。
【0616】
例えば、TV装置7200に内蔵された電子部品730は画像エンジンとして機能させることができる。例えば、電子部品730は、ノイズ除去、解像度アップコンバージョンなどの画像処理を行う。
【0617】
スマートフォン7210は、携帯情報端末の一例である。スマートフォン7210は、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、各種センサ、および表示部を有する。電子部品730によってこれら周辺機器が制御される。
【0618】
PC7220、PC7230はそれぞれノート型PC、据え置き型PCの例である。PC7230には、キーボード7232、およびモニタ装置7233が無線または有線により接続可能である。ゲーム機7240は携帯型ゲーム機の例である。ゲーム機7260は据え置き型ゲーム機の例である。ゲーム機7260には、無線または有線でコントローラ7262が接続されている。コントローラ7262に、電子部品700および/または電子部品730を組み込むこともできる。
【0619】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0620】
100:記憶装置、111:入出力回路112:制御回路、113:Cレシーバ、114:設定レジスタ、115:LVDS回路、117:デコーダ、118:レジスタ、119:レジスタ、127:センスアンプ、210:記憶ブロックアレイ、211:記憶ブロック、212:ワード線ドライバ、213:ローカルセンスアンプドライバ、214:ローカルセンスアンプアレイ、215:グローバルセンスアンプ、216:セレクタ、230:酸化物、231:スイッチ、232:スイッチ、233:スイッチ、234:スイッチ、